G7は、アメリカ新帝国の時代遅れの道具
<記事原文 寺島先生推薦>
The G7 is an outdated tool of the US neo-empire
Washington has co-opted both winners and losers of World War II into defending Western domination around the globe
ワシントンは、第二次世界大戦の勝者も敗者も取り込み、西側の支配を世界中で守るために利用している。
筆者:チムール・フォメンコ(Timur Fomenko)
出典:RT 2023年5月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月10日
2023年5月18日(木)、G7サミットの開幕を前に、広島で二国間会談を行う日本の岸田文雄首相と握手するジョー・バイデン大統領(左)。© AP Photo/Susan Walsh
先週末、広島でG7諸国の首脳会議が開催された。
広島はいくつかの理由で重要だ。何よりも、広島はアメリカが第二次世界大戦終結時に、原子爆弾を投下した地(長崎も同様)として世界に知られており、これによって日本帝国が降伏し、日本が米国の従属国家に変貌したことだ。
第二に、日本は中国とロシアに対するアメリカの二重包囲政策に沿って、自国の再軍事化を進めている。そのため、日本が今年のG7議長国であるという事実は、中露を標的にした米国中心の地政学的な目標の追認に過ぎなかった。
しかし、G7自体についてはどんなことが言えるのだろうか? 1975年に冷戦時代の組織として設立され、一時的に、ソ連崩壊後のロシアを西側諸国への取り込む期待も含んでいた。この集団は世界の「最も先進的な工業国」を代表すると主張している。しかし、だれにでも明らかなように、これは時代遅れの分類法だ。中国やインドなど、G7加盟国以上の経済規模を持つ国々はこの集団には含まれていない。むしろ、G7の性格と議題は明確に政治思考的(イデオロギー的)なものであり、その目標は、どんな代償を払っても西側主導の世界観を維持することになっている。

関連記事:日本の首相、NATO加盟に慎重な姿勢
G7が、無敵の存在としてかつて世界を支配していた元帝国の、実効性のある集合体であることは見逃してはならない。これらの国々は現在、アメリカの庇護の下で従属している。特筆すべきは、第二次世界大戦で連合国によって打倒された3つの枢軸国もG7に含まれていることだ。ドイツ、イタリア、日本の各ファシスト指向政権は、当然のことながら、破壊されたが、この3国は戦後、アメリカの従属国家として再建され、それぞれの利益はワシントンの手に委ねられた。
同様に、勝利したフランスやイギリスとその帝国支配下にある国々(カナダなど)も、戦争によって国内の資源と力が大きく消耗し、それまでの世界の超大国としての地位を維持することができなくなった。その結果、彼らは指導的立場のバトンをアメリカに譲り、以降、世界中で自国の利益を確保するためにアメリカの指導に従うことを頼りにしている。
どの例においても、これらの国々は帝国時代に特権的な地位を保持していた。彼らは地球の大部分を植民地化し、日本はアジアの多くを軍事的に占拠しており、莫大な富を築き上げていた。たとえば、イギリスの驚異的な富は、アフリカやインドの搾取に直接関わっている。植民地帝国は厳格に商業的な性格を持ち、政治思考様式(イデオロギー)を侵略の正当化の力として利用し、膨大な軍事力によって経済的利益を維持した。これにより、これらの国々は特権を享受し、それがグローバル・ノースとグローバル・サウスの区別を形成した。

関連記事:広島で、バイデンは日本に「核の傘」を約束
これらの国々は、自国の帝国を疲弊または敗北によって前進させることができないため、彼らが米国(「新しい帝国」)に従順であることを通して獲得した不公平な経済特権を維持しようとする。この「新しい帝国」は彼らが創設した国際秩序を受け継いだものだ。したがって、G7が、これらすべての国を一つの政治的思想の集まりにまとめたのは偶然ではない。彼らの目標は、自国の経済特権を維持し、自国の地位を脅かす国際秩序の変化を抑えようとすることである。この場合は、グローバル・サウスと中国の台頭だ。
この点において、G7は、中国が高性能技術で突破しようとする試みを阻止しようとする米国主導の目標を受け入れている。G7は、また、他の国々が北京の開発モデルに参加することを受け入れることを止め、グローバル・ノースとサウスの間の富の根本的な溝を維持したいと思っている。G7は、他の国に対して大規模な制裁や輸出禁止を課す権限を持つ唯一の集団であり、さらに、中国が自国の利益を守ることを「経済的な強制」として非難している。
G7はまた、中国やロシアが西側の歴史的な軍事的優位性に挑戦できないようにしたいと考えている。したがって、実際には、米国は第二次世界大戦の勝者と敗者(ソ連を除く)を一つの集団に組み込み、それを利用して彼らが関与していた同じ世界を継続させている。しかし、否応なく変化しているのは、G7にとって好ましくない方法で世界が変わっているという事実だ。彼らにはもはやそれほどの優位性はなく、彼らの世界GDPの占有率は縮小する一方だ。BRICS経済が成長し、多極化が進む中で、彼ら自身の小さな排他的な寄り合い(G7)は、世界経済の流れを指示しようとする立場にはほとんどない。
この小さな集合体(G7)は、自分たちは今後も豊かでありたいと思う。他方、他の全ての人々が自らを豊かにすることを止めようとしている。そんな(身勝手な)ことはうまくいかないだろう。
The G7 is an outdated tool of the US neo-empire
Washington has co-opted both winners and losers of World War II into defending Western domination around the globe
ワシントンは、第二次世界大戦の勝者も敗者も取り込み、西側の支配を世界中で守るために利用している。
筆者:チムール・フォメンコ(Timur Fomenko)
出典:RT 2023年5月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月10日

2023年5月18日(木)、G7サミットの開幕を前に、広島で二国間会談を行う日本の岸田文雄首相と握手するジョー・バイデン大統領(左)。© AP Photo/Susan Walsh
先週末、広島でG7諸国の首脳会議が開催された。
広島はいくつかの理由で重要だ。何よりも、広島はアメリカが第二次世界大戦終結時に、原子爆弾を投下した地(長崎も同様)として世界に知られており、これによって日本帝国が降伏し、日本が米国の従属国家に変貌したことだ。
第二に、日本は中国とロシアに対するアメリカの二重包囲政策に沿って、自国の再軍事化を進めている。そのため、日本が今年のG7議長国であるという事実は、中露を標的にした米国中心の地政学的な目標の追認に過ぎなかった。
しかし、G7自体についてはどんなことが言えるのだろうか? 1975年に冷戦時代の組織として設立され、一時的に、ソ連崩壊後のロシアを西側諸国への取り込む期待も含んでいた。この集団は世界の「最も先進的な工業国」を代表すると主張している。しかし、だれにでも明らかなように、これは時代遅れの分類法だ。中国やインドなど、G7加盟国以上の経済規模を持つ国々はこの集団には含まれていない。むしろ、G7の性格と議題は明確に政治思考的(イデオロギー的)なものであり、その目標は、どんな代償を払っても西側主導の世界観を維持することになっている。

関連記事:日本の首相、NATO加盟に慎重な姿勢
G7が、無敵の存在としてかつて世界を支配していた元帝国の、実効性のある集合体であることは見逃してはならない。これらの国々は現在、アメリカの庇護の下で従属している。特筆すべきは、第二次世界大戦で連合国によって打倒された3つの枢軸国もG7に含まれていることだ。ドイツ、イタリア、日本の各ファシスト指向政権は、当然のことながら、破壊されたが、この3国は戦後、アメリカの従属国家として再建され、それぞれの利益はワシントンの手に委ねられた。
同様に、勝利したフランスやイギリスとその帝国支配下にある国々(カナダなど)も、戦争によって国内の資源と力が大きく消耗し、それまでの世界の超大国としての地位を維持することができなくなった。その結果、彼らは指導的立場のバトンをアメリカに譲り、以降、世界中で自国の利益を確保するためにアメリカの指導に従うことを頼りにしている。
どの例においても、これらの国々は帝国時代に特権的な地位を保持していた。彼らは地球の大部分を植民地化し、日本はアジアの多くを軍事的に占拠しており、莫大な富を築き上げていた。たとえば、イギリスの驚異的な富は、アフリカやインドの搾取に直接関わっている。植民地帝国は厳格に商業的な性格を持ち、政治思考様式(イデオロギー)を侵略の正当化の力として利用し、膨大な軍事力によって経済的利益を維持した。これにより、これらの国々は特権を享受し、それがグローバル・ノースとグローバル・サウスの区別を形成した。

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これらの国々は、自国の帝国を疲弊または敗北によって前進させることができないため、彼らが米国(「新しい帝国」)に従順であることを通して獲得した不公平な経済特権を維持しようとする。この「新しい帝国」は彼らが創設した国際秩序を受け継いだものだ。したがって、G7が、これらすべての国を一つの政治的思想の集まりにまとめたのは偶然ではない。彼らの目標は、自国の経済特権を維持し、自国の地位を脅かす国際秩序の変化を抑えようとすることである。この場合は、グローバル・サウスと中国の台頭だ。
この点において、G7は、中国が高性能技術で突破しようとする試みを阻止しようとする米国主導の目標を受け入れている。G7は、また、他の国々が北京の開発モデルに参加することを受け入れることを止め、グローバル・ノースとサウスの間の富の根本的な溝を維持したいと思っている。G7は、他の国に対して大規模な制裁や輸出禁止を課す権限を持つ唯一の集団であり、さらに、中国が自国の利益を守ることを「経済的な強制」として非難している。
G7はまた、中国やロシアが西側の歴史的な軍事的優位性に挑戦できないようにしたいと考えている。したがって、実際には、米国は第二次世界大戦の勝者と敗者(ソ連を除く)を一つの集団に組み込み、それを利用して彼らが関与していた同じ世界を継続させている。しかし、否応なく変化しているのは、G7にとって好ましくない方法で世界が変わっているという事実だ。彼らにはもはやそれほどの優位性はなく、彼らの世界GDPの占有率は縮小する一方だ。BRICS経済が成長し、多極化が進む中で、彼ら自身の小さな排他的な寄り合い(G7)は、世界経済の流れを指示しようとする立場にはほとんどない。
この小さな集合体(G7)は、自分たちは今後も豊かでありたいと思う。他方、他の全ての人々が自らを豊かにすることを止めようとしている。そんな(身勝手な)ことはうまくいかないだろう。
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