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カホウカダムの破壊:知っておく必要のあること

<記事原文 寺島先生推薦>
Kakhovka dam destruction: What you need to know
Moscow has accused Kiev of an act of deliberate sabotage that put at risk thousands of local residents
意図的な破壊により何千もの地元住民を危険に追いやったとして、ロシア当局はウクライナ当局を非難
出典:RT 2023年6月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月9日



© @aakherson / Telegram


 ロシアのハルキウ州のカホウカ水力発電ダムの大規模な破損により、ドニエプル川岸の広大な土地が浸水し、その地域で大規模な避難活動が行われた。ロシア側は、ウクライナの攻撃によってこのダムが被害を受けたと主張したが、ウクライナ側は、責任をロシアに負わせた。

 1956 年に建設された、高さ30メートルで3.2キロメートルの長さがあるカホウカ水力発電ダムは、18立法キロメートルほどの水量を貯水できるが、その水量は米国ユタ州にあるグレート・ソルト湖とほぼ同じだ。


何が起こったのか?

 火曜日(6月6日)の朝、このダムの近郊に位置するノバヤカホフカ市のウラジーミル・レオンチェフ市長は、このダムの一部がウクライナの攻撃により破壊されたと述べたが、報道によると、その攻撃は複合発射ロケットを使ったものだったという。



関連記事:ケルソン州内の水力発電ダムが部分的に破壊された(市長からの報告)

 レオンチェフ市長によると、28ある堰のうち少なくとも14ヶ所が倒壊し、その地域の水位が 10メートル以上に達し、町が洪水となったという。このような状況に対して、地元当局はいくつかの川岸に住む住民たちを避難させ始め、人々が避難したため、300ほどの建物が無人となったという。

 ロシア当局によると、人口が合わせて2万2千ある付近の14地区も洪水の危険にさらされているともした。現在、ウクライナ側の推定では、80程の町が危険地域となっており、現在ウクライナが支配している町々から避難するよう命令を出した。

 レオンチェフ市長によると、水位は今後72時間以内で元の状態に戻る見通しだという。


責められるべきは誰か?

 ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は、今回の事件は、「ウクライナによる意図的な破壊行為により引き起こされた」と主張し、それにより何万もの地域住民や自然環境に「悲惨な影響」を及ぼすことになる、と警告した。



関連記事:ダムの破壊後、ノバヤ・カホフカ市は洪水に見舞われた(市長からの報告)

 レオンチェフ市長は、この破壊工作の目的は、ロシアのクリミア反動への水の供給を止めるためだと述べ、さらにこの攻撃は、先日のウクライナがドンバス前線において大規模な反撃を行ったが、ロシア側の防衛により阻止された状況と関連したものである、ともつけ加えた。

 しかし、ウクライナのウォロデミル・ゼレンスキー大統領は、このダムはロシア側の「テロ攻撃」により被害を受けたと主張し、さらにミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問は、「ここ数十年間の欧州での最大の環境破壊」を工作したとして、ロシアを非難した。同顧問の考えでは、この事故の目的は、ウクライナ当局が数ヶ月前からずっと行うと広く公約してきた反撃攻勢を妨害することにあるとしている。

 多くの西側諸国政府は、ウクライナ側に立っているようで、シャルル・ミシェル欧州理事会議長は、ツイッターの投稿で、「市民の生活基盤施設を破壊することは、明らかに戦争犯罪に値する」とし、「ロシアとロシアの代理勢力にこの責任を取らせる」ことを 誓った。


ザポリージャ原発に危険はない

 このダムの爆発が引き金となり、ロシアのザポリージャ原子力発電所についての懸念の声が上がっている。この原子力発電所も、ドニエプル川岸に位置し、この川の水を原子炉の冷却に使っている。

 しかし、同原発に常時在留している国連の国際原子力機関(IAEA)は、「この原子力発電所ですぐに核事故が起こる危険はない」ことを明言し、さらに同機関はしっかりと状況把握に努めているところだと付け加えた。



関連記事:ウクライナは欧州最大の原子力発電所への電気供給を切断(公式声明)

 それでも、ラファエル・グロッシIAEA事務局長は、同原発の「冷却水の供給に使用されている貯水池の水位が大きく低下している」ことを指摘した。しかし同事務局長は、同原発には代替の水源があり、この先数ヶ月は水を確保できると見られている、と述べた。

 欧州最大規模のザポリージャ原子力発電所は、2022年2月に、ロシアの支配下となった。それ以来、この原子力発電所の砲撃により核災害が引き起こされるかもしれない状況が生まれたとして、ロシア側・ウクライナ側双方が互いに非難している。ザポリージャ州へ、2022年9月の住民投票の後、ヘルソン州やドンバスの2つの共和国とともに、ロシアに編入されることになった。


クリミアへの影響

 ロシア領クリミアのセルゲイ・アクショーノフ首長は、カホウカダムでの事故により、クリミアが洪水に見舞われることはないだろうが、クリミアの主要な水源である北クリミア運河の水位の低下を招く可能性はある、と述べた。

 それでも同首長は、クリミアの貯水所の貯水量は貯水許容量の8割を確保していると語気を強め、さらに「飲用水は必要以上の量を確保して」おり、水の消費を最大限抑える努力も行っている、と述べた。

 このダムの爆発により、この地域で何らかの軍事行動を取ることは非常に困難になったと、ロシア軍のウラジスラフ・ウゴルニー 司令官は考えている。「ウクライナ軍が(2022年)11月から攻め続けている(ドニエプル川内の)島々も水没してしまうでしょう」と同司令官は述べ、これらの島が位置する地域は、ウクライナ軍にとってより優位な状況が生じた、とも付け加えた。

 現在、両側は当該地域から撤退し、ドニエプル川両岸に陣を引いている、と同司令官は述べ、ドニエプル川のこの地域の支配権をめぐる「攻防戦」は中断している、とも付け加えた。 ウゴルニー司令官は、このダムがさらに崩壊する可能性があると警告を発し、現状においてはきちんとした復旧工事は不可能であるとも述べた。

事件前

© vestovoi / Telegram

事故後

© vestovoi / Telegram
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