ロシアの「キンジャール」超音速ミサイルがウクライナの米国製「パトリオット」防空システムを破壊
<記事原文 寺島先生推薦>
Russian ‘Kinzhal’ Hypersonic Missile Destroys Kiev’s US-Made ‘Patriot’ Air Defense System
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月21日

今月はほとんど毎日、大手報道機関という宣伝扇動機は、何度も何度も同じ話をオウム返しに報じ続けている。つまり、ロシアの9-A-7660「キンジャール」 超音速ミサイルが、米国製の「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムに撃ち落とされたという話だ。しかし、西側諸国政府から示されたその「決定的な」証拠というものは、一笑に付されるべき程度のものであるのに、武器というものが実際どう作動するのかの知識がない人々を納得させるには十分なようだ。その人々の中には、世界のほとんどの市民たちも含まれている。ロシア側は西側からのこの主張に対して声明を出していない。いや、より正確に言えば、5月16日の午前中までには、という意味だ。 実はこの時、「直接言及しない」方法で、ロシア側は反応したのだ。
ロシア航空宇宙防衛軍(VKS)は、ウクライナ側に対して、SEAD (敵防空網制圧)作戦を構じ、その中には2機の「キンジャール」超音速ミサイルを擁する作戦も含まれていた。 このミサイルは「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムの少なくともひとつの砲兵隊を無効にする為に使用された。両側とも破壊された米国製防空システムがどんなものであったかについて声明を出していないが、動画による証拠が残っており、それによると、最新型のひとつであるPAC-3 MSE(ミサイル部分能力向上型)であったようだ。このシステムには、広くもてはやされているCRI (Cost Reduction Initiative:費用削減作戦)ミサイルも搭載されている。 CRIミサイル一機分の現状価格はほぼ530万ドルであるので、ウクライナ政権側が32機の迎撃ミサイルを発射したということは 1億7000万ドル近い費用がかかった計算になる。
このような大量の迎撃ミサイルをもってしても、ロシアの超音速兵器を止めるのには全く効果がなかった。ただし、ウクライナのネオナチ軍事政権の発表では、ロシア航空宇宙防衛軍が発射したミサイルほとんどを迎撃したとしており、6機の「キンジャール」ミサイルを無力化したとも主張している。ただし、ロシア軍は今回の攻撃においては、たった2機のミサイルしか発射しなかったという事実がある。ロシア側はミサイルを何機発射したかについて公式見解を出してはいないが、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が出した声明から実情は伝わった。ウクライナ当局が出した偽情報に対して、ショイグ国防大臣は手短にこう語っている:
「ウクライナ側が示すロシアのミサイルに対して行った迎撃についての数値は、(たいてい)実際に我が軍が使用した(武器の)3倍高い数値になっている」
数名の軍事専門家の推定によると、ロシア航空宇宙防衛軍は、様々な種類のおとり攻撃を行い、キエフ市内及び周辺の防空を惑わそうとしていたという。そのことから、ウクライナの地元当局が、ロシアの攻撃は、「とんでもなく密集した」攻撃だったと証言していることの説明が着く。ウクライナのネオナチ軍事政権当局は、ロシアによる攻撃には、巡航ミサイルやドローンも含まれていたとしていた。地元防空軍は18機のミサイルと9機のドローンを撃ち落とし、その中に6機の「キンジャール」ミサイルも含まれていた、としていた。この主張は軍事専門家たちやテレグラム上の多くの投稿で嘲笑の的となっており、何十人ものテレグラム利用者や書込み者たちから、書き込みや悪ふざけの投稿がなされている。
首都キエフの軍当局の長であるセルゲイ・ポプコ氏はこう述べた。「この集中攻撃は集中度という面において尋常ではない規模であり、最短の時間内で撃てる最大数のミサイルが発射された。ただしキエフ市内上空でほとんど大多数の敵標的は検出され、破壊された。」
大手報道機関の宣伝扇動機の騎手たるCNNは、即座に事後処理的記事を出し、「パトリオット」の評判を守ろうとした。その内容は、「パトリオット」がウクライナに到着したのは先月であり、実際に稼働し始めたのはつい最近のことで、「米国製「パトリオット」は被害を受けたようだが、破壊はされていないようだ、この被害は、現地時間火曜日(5月16日)の朝に、ロシア軍がキエフ市内及び周辺に対して行ったミサイル攻撃の結果により出たものである」というものであり、米国当局関係者からの話として報じた。さらにこの記事によると、「米国はこのシステムの被害状況の規模を調査中である」とし、「その調査が済み次第、この防空システムを完全に取り替えなければならないのか、あるいはウクライナ軍による一部の修理で済むのかが決定される」とのことだった。さらにこの記事の記載によれば、「米国国家安全保障会議の報道官はCNNに対して、ウクライナ政府からの声明を求めているところだと語った」という。
米国政府からのこのような助言があったことから推察される事実は、米国当局でさえウクライナのネオナチ軍事政権によるこのような馬鹿げた主張と関わりを持ちたがっていないということだ。明らかに問題となっているのは、このような一笑に付すべき宣伝扇動に全く根拠がないという事実だけではなく、米国自体も世界から笑いものになってしまうという事実だ。米国でそれほど宣伝扇動に与していない報道機関の報道に目をやれば、特にこのような状況が浮き彫りとなるだろう。一例をあげると、ザ・ナショナル・インタレスト誌(TNI)だ。TNIに最近分析記事を出した一人であるジェフ・ラミア記者は、「パトリオット・ミサイルはウクライナを守れない」とし、以下のように解説している:
「パトリオット防空システムの効果は、主要な軍事施設の中での一点集中的な防衛に限られており、より高いあるいはより低い高度において標的を捉える防空システムと連携している前提で配置されている。そのような補佐がなければ、「パトリオット」を配置するには、危険が多すぎ、穴だらけの防衛体制しか取れずに、軍事資産は守れず、迎撃ミサイルがなくなれば、パトリオットの防衛力は急激に下がる。さらに、「パトリオット」防空システム自体が、脆弱なシステムなのだ。「パトリオット」のレーダー・システムを用いれば、パトリオットの配置場所が特定されてしまい、ロシア側はから自由に狙われる対象となる。つまり、「パトリオット」はウクライナの軍事施設やウクライナ国民の保護を一手に引き受けられるようなシステムではない、ということだ。」
確かに「パトリオット」は、長距離防空システムなど他の種類の防空システムや迎撃ミサイルも含めた、米国防空・ABM(弾道弾迎撃ミサイル)構想の中の一部門に過ぎない。しかし、防空体制の契約が大きな利益を産むことを考えれば、 西側政府はこのもてはやされてきた防空システムの破壊についての情報を出すことに制限をかけようとすることはまちがいないだろう。そのうえで、ロシアの超音速武器がまさにこの地対空ミサイルに撃墜されたなどという馬鹿げた話をオウム返ししているのだ。このような推測が行われているのは、米国当局の首脳でさえ、繰り返し超音速で操縦されている標的に対して、防御できる術はない、と繰り返し主張しているにも関わらずのことだ。ジョー・バイデン大統領自身も、昨年、「キンジャール」ミサイルを止めることできない、と発言している。
Russian ‘Kinzhal’ Hypersonic Missile Destroys Kiev’s US-Made ‘Patriot’ Air Defense System
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月21日

今月はほとんど毎日、大手報道機関という宣伝扇動機は、何度も何度も同じ話をオウム返しに報じ続けている。つまり、ロシアの9-A-7660「キンジャール」 超音速ミサイルが、米国製の「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムに撃ち落とされたという話だ。しかし、西側諸国政府から示されたその「決定的な」証拠というものは、一笑に付されるべき程度のものであるのに、武器というものが実際どう作動するのかの知識がない人々を納得させるには十分なようだ。その人々の中には、世界のほとんどの市民たちも含まれている。ロシア側は西側からのこの主張に対して声明を出していない。いや、より正確に言えば、5月16日の午前中までには、という意味だ。 実はこの時、「直接言及しない」方法で、ロシア側は反応したのだ。
ロシア航空宇宙防衛軍(VKS)は、ウクライナ側に対して、SEAD (敵防空網制圧)作戦を構じ、その中には2機の「キンジャール」超音速ミサイルを擁する作戦も含まれていた。 このミサイルは「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムの少なくともひとつの砲兵隊を無効にする為に使用された。両側とも破壊された米国製防空システムがどんなものであったかについて声明を出していないが、動画による証拠が残っており、それによると、最新型のひとつであるPAC-3 MSE(ミサイル部分能力向上型)であったようだ。このシステムには、広くもてはやされているCRI (Cost Reduction Initiative:費用削減作戦)ミサイルも搭載されている。 CRIミサイル一機分の現状価格はほぼ530万ドルであるので、ウクライナ政権側が32機の迎撃ミサイルを発射したということは 1億7000万ドル近い費用がかかった計算になる。
このような大量の迎撃ミサイルをもってしても、ロシアの超音速兵器を止めるのには全く効果がなかった。ただし、ウクライナのネオナチ軍事政権の発表では、ロシア航空宇宙防衛軍が発射したミサイルほとんどを迎撃したとしており、6機の「キンジャール」ミサイルを無力化したとも主張している。ただし、ロシア軍は今回の攻撃においては、たった2機のミサイルしか発射しなかったという事実がある。ロシア側はミサイルを何機発射したかについて公式見解を出してはいないが、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が出した声明から実情は伝わった。ウクライナ当局が出した偽情報に対して、ショイグ国防大臣は手短にこう語っている:
「ウクライナ側が示すロシアのミサイルに対して行った迎撃についての数値は、(たいてい)実際に我が軍が使用した(武器の)3倍高い数値になっている」
数名の軍事専門家の推定によると、ロシア航空宇宙防衛軍は、様々な種類のおとり攻撃を行い、キエフ市内及び周辺の防空を惑わそうとしていたという。そのことから、ウクライナの地元当局が、ロシアの攻撃は、「とんでもなく密集した」攻撃だったと証言していることの説明が着く。ウクライナのネオナチ軍事政権当局は、ロシアによる攻撃には、巡航ミサイルやドローンも含まれていたとしていた。地元防空軍は18機のミサイルと9機のドローンを撃ち落とし、その中に6機の「キンジャール」ミサイルも含まれていた、としていた。この主張は軍事専門家たちやテレグラム上の多くの投稿で嘲笑の的となっており、何十人ものテレグラム利用者や書込み者たちから、書き込みや悪ふざけの投稿がなされている。
首都キエフの軍当局の長であるセルゲイ・ポプコ氏はこう述べた。「この集中攻撃は集中度という面において尋常ではない規模であり、最短の時間内で撃てる最大数のミサイルが発射された。ただしキエフ市内上空でほとんど大多数の敵標的は検出され、破壊された。」
大手報道機関の宣伝扇動機の騎手たるCNNは、即座に事後処理的記事を出し、「パトリオット」の評判を守ろうとした。その内容は、「パトリオット」がウクライナに到着したのは先月であり、実際に稼働し始めたのはつい最近のことで、「米国製「パトリオット」は被害を受けたようだが、破壊はされていないようだ、この被害は、現地時間火曜日(5月16日)の朝に、ロシア軍がキエフ市内及び周辺に対して行ったミサイル攻撃の結果により出たものである」というものであり、米国当局関係者からの話として報じた。さらにこの記事によると、「米国はこのシステムの被害状況の規模を調査中である」とし、「その調査が済み次第、この防空システムを完全に取り替えなければならないのか、あるいはウクライナ軍による一部の修理で済むのかが決定される」とのことだった。さらにこの記事の記載によれば、「米国国家安全保障会議の報道官はCNNに対して、ウクライナ政府からの声明を求めているところだと語った」という。
米国政府からのこのような助言があったことから推察される事実は、米国当局でさえウクライナのネオナチ軍事政権によるこのような馬鹿げた主張と関わりを持ちたがっていないということだ。明らかに問題となっているのは、このような一笑に付すべき宣伝扇動に全く根拠がないという事実だけではなく、米国自体も世界から笑いものになってしまうという事実だ。米国でそれほど宣伝扇動に与していない報道機関の報道に目をやれば、特にこのような状況が浮き彫りとなるだろう。一例をあげると、ザ・ナショナル・インタレスト誌(TNI)だ。TNIに最近分析記事を出した一人であるジェフ・ラミア記者は、「パトリオット・ミサイルはウクライナを守れない」とし、以下のように解説している:
「パトリオット防空システムの効果は、主要な軍事施設の中での一点集中的な防衛に限られており、より高いあるいはより低い高度において標的を捉える防空システムと連携している前提で配置されている。そのような補佐がなければ、「パトリオット」を配置するには、危険が多すぎ、穴だらけの防衛体制しか取れずに、軍事資産は守れず、迎撃ミサイルがなくなれば、パトリオットの防衛力は急激に下がる。さらに、「パトリオット」防空システム自体が、脆弱なシステムなのだ。「パトリオット」のレーダー・システムを用いれば、パトリオットの配置場所が特定されてしまい、ロシア側はから自由に狙われる対象となる。つまり、「パトリオット」はウクライナの軍事施設やウクライナ国民の保護を一手に引き受けられるようなシステムではない、ということだ。」
確かに「パトリオット」は、長距離防空システムなど他の種類の防空システムや迎撃ミサイルも含めた、米国防空・ABM(弾道弾迎撃ミサイル)構想の中の一部門に過ぎない。しかし、防空体制の契約が大きな利益を産むことを考えれば、 西側政府はこのもてはやされてきた防空システムの破壊についての情報を出すことに制限をかけようとすることはまちがいないだろう。そのうえで、ロシアの超音速武器がまさにこの地対空ミサイルに撃墜されたなどという馬鹿げた話をオウム返ししているのだ。このような推測が行われているのは、米国当局の首脳でさえ、繰り返し超音速で操縦されている標的に対して、防御できる術はない、と繰り返し主張しているにも関わらずのことだ。ジョー・バイデン大統領自身も、昨年、「キンジャール」ミサイルを止めることできない、と発言している。
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