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ロシア外相ラブロフ氏のニューヨーク攪拌(ペペ・エスコバル)

<記事原文 寺島先生推薦>

Mr. Lavrov’s New York Shuffle

筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年4月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年5月4日



セルゲイ・ラブロフ外相のニューヨークでの一幕は、満場の大喝采となる外交的効果を発揮したと、ペペ・エスコバルは書いている。

 真の紳士、この困難な時代の最高の外交官、事実を完全に把握し、愉快なユーモアのセンスに恵まれて、有名なルー・リード*の言葉を借りれば、危険な荒野を歩き、無傷であることをご想像あれ!
* アメリカニューヨーク州ブルックリン出身のミュージシャン。本名ルイス・アレン・リード 。ユダヤ系の血を引いており、父の代にラビノヴィッツ から改姓。シラキューズ大学在学中にデルモア・シュワルツに師事して詩作を学ぶ。(ウィキペディア)

 実際、セルゲイ・ラブロフ外相のニューヨークでの瞬間は、4月24日と25日、国連安全保障理事会を前にした2回の発言に見られるように、満場大喝采の外交行為であった。少なくとも、グローバル・サウス、つまりグローバル多数派の国々にとってはそうだった。

 4月24日の国連安保理第9308回会議(議題「国際平和と安全の維持、国連憲章の原則の保護による効果的な多国間主義」)は、特に重要な意味があった。

 ラブロフは、2018年の国連総会決議で極めて重要とされた「多国間主義と平和のための外交の国際デー」に会議が行われることの象徴性を強調した。

 ラブロフは前置きで、「あと2週間で、第二次世界大戦の勝利から78周年を迎えます。我が国が連合国の支援を受けて決定的な貢献をしたナチス・ドイツの敗北は、戦後の国際秩序の基礎を築きました。国連憲章はその法的根拠となり、真の多国間主義を体現する我々の組織(国連)そのものが、世界政治における中心的、調整的な役割を獲得したのです」と述べた。

 まあ、実際のところはそうでもないのだが。それでは、多国間主義がいかに踏みにじられたかを指摘するラブロフの真の荒野への歩み寄りを紹介しよう。いつも名前が挙がる札付きたちの誹謗中傷の嵐や、ニューヨークで氷のように冷たいシャワーを浴びせかけられたり、あるいは地政学的な冷凍庫に閉じ込めようとする試みを、何の苦も無く跳ね除け、彼は勝利した。それでは、現在の荒野を彼と一緒に歩いてみよう。ラブロフさん、あなたがこのショーの主役だ。


わが道か、直行路か

 例の「ルールに基づく秩序」:「国連中心体制は、深い危機を迎えています。その根本的な原因として、私たちの組織の一部の加盟国が、国際法と国連憲章を一種の「ルールに基づく秩序」に置き換えたいと願ったことが挙げられます。この「ルール」は誰も見ておらず、透明性のある国際交渉の対象でもありません。これらの「ルール」は、多国間主義の客観的な現れである、新しい独立した開発拠点の形成という自然な成り行きを打ち消すために考案され、利用されているのです。近代的な技術や金融業への参入を断ち、供給網から追い出し、財産を没収し、競争国の重要生活基盤組織を破壊し、普遍的に合意された規範や手続きを操作する、といった非合法な一方的措置で封じ込めようとしているのです。その結果、世界貿易の分断、市場体系の崩壊、WTOの麻痺、そして最終的には、もう隠し立てすることもなく、IMFを軍事的目標を含む米国とその同盟国の目標を達成するための道具に変質させてしまいました」。

 グローバリゼーション(世界の一体化)の破壊:「不従順な者を罰することで自らの優位性を主張しようとする必死の試みで、米国は、長年にわたり全人類の最高善として讃えられ、世界経済の多国間体制に貢献してきたグローバリゼーションを、さらに一歩先に進み、破壊しようとしたのです。ワシントンとそれに服従した他の西側諸国は、国際法に従って政策を構築し、「黄金の10億人」の利己的な利益に従うことを拒否する人々に対する非合法な措置を正当化するために、必要なときはいつでも彼らの「ルール」を使用します。異論を唱える者を、「我々側にいない者は、我々の敵である」という原則に従って要注意国の一つであると捉えるのです。西側各国にとって、国連のような普遍的な形式で交渉することは、長い間「不都合」なことでした。多国間主義を弱体化させる政策上の考え方を正当化するために、「独裁国家」に対する「民主国家」の結束という主題が導入されてきました。自称覇権主義者(アメリカ)によって構成が決定される「民主主義のための首脳会議」に加えて、国連を飛び越えて、他の「特権階級集団」が作られているのです」。

 「エデンの園」vs「ジャングル 」:正直に言いましょう。欧米の少数派が全人類を代表して発言することを許す人はいません。良識ある行動をとり、国際社会のすべての構成員を尊重することが必要です。「ルールに基づいた秩序」を押し付けることで、それを考えた人間は国連憲章の重要な原則である国家の主権的平等を、傲慢にも、否定しているのです。「排他的な錯誤」の真骨頂は、EU外交の最高位であるジョゼップ・ボレルが「ヨーロッパはエデンの園、それ以外の世界はジャングルだ」と「誇らしげ」に発言したことです。また、今年1月10日のNATO・EU共同声明も引用しましょう。:「西側連合」は、「我々の10億人」の利益を確保するために、NATOとEUが利用できるあらゆる経済、金融、政治、そして―私は特に注目していますが―軍事手段を駆使します」。

 NATOの 「防衛線」:「平和主義」と軍事計画の専守防衛的性格を、事あるごとに皆に納得させてきたNATOは、昨年のマドリッドでの首脳会談で、欧州大西洋地域といわゆるインド太平洋地域における「世界規模の責任」、「安全保障の不可分化」を宣言しました。つまり、今やNATOの(防衛同盟としての)「防衛線」は、太平洋の西岸に移りつつあるのです。ASEAN中心の多国間主義を弱体化させるような軍事同盟を用いた方策は、東京、ソウル、そして多くのASEAN諸国が押し込まれているAUKUS軍事同盟の創設に現れています。南シナ海における欧米の一方的な利益を確保するために、米国の支援のもと、海洋安全保障問題に介入する仕組みが構築されつつあります。先ほど引用しましたが、ジョゼップ・ボレルは、昨日、EUの海軍部隊をこの地域に派遣することを約束しました。「インド太平洋戦略」の目標が、中国を封じ込め、ロシアを孤立させることであることは隠していません。西側各国は、アジア太平洋地域における「効果的な多国間主義」をこのように理解しているのです」。

 「民主主義を推進する」:「第二次世界大戦以来、ワシントンによる何十回もの犯罪的な軍事的冒険が、多くの国からの正当性を得ようとすることもなく行われてきました。誰にも知られていない「ルール」があるから? 2003年の米国主導の連合軍による破廉恥なイラク侵攻は、2011年のリビアへの侵略と同様、国連憲章に違反して行われました。国連憲章の重大な違反は、米国による旧ソ連後の国家への干渉でした。グルジアやキルギスで「カラー革命」が組織され、2014年2月にはキエフで流血のクーデターが起こり、2020年にはベラルーシで武力による政権奪取の試みが行われました。西側諸国全体を自信満々に率いていたアングロサクソンは、こうした犯罪的な冒険をすべて正当化するだけでなく、「民主主義の推進」という路線を誇示します。しかしまた、その「ルール」にしたがって :コソボは住民投票なしで独立を認める;クリミアは、住民投票はあったが独立を認めない;フォークランド/マルビナスには手を出すな、あそこは住民投票があったのだから(英国のジョン・クレバリー外相が最近の発言)。笑ってしまいます」。

 「ウクライナ問題」の地政学:「これはウクライナの問題ではなく、国際関係が今後どのように構築されていくか、です。すなわち、利害の均衡に基づく安定した共通理解の形成を通じてか、あるいは攻撃的かつ爆破的な覇権主義の推進を通じてか、ということです。「ウクライナ問題」を地政学的な文脈から切り離して考えることは不可能です。多国間主義は、前述のように、国連憲章のすべての原則の相互関連性を尊重することを前提とします。ロシアは、特別軍事作戦の一環として追求する任務を明確に説明しました。それは、国境で直接NATO加盟国が作り出す我々の安全保障への脅威を排除し、多国間条約によって宣言された権利を奪われた人々を保護し、彼らの祖先が何世紀も住んでいた地域からの絶滅と追放(キエフ政権が公言しています)の直接的脅威から彼らを保護することでした。私たちは正直に、何のために、誰のために戦っているのかを述べました」。

 グローバル・サウスが反撃:「現段階における真の多国間主義のためには、国際関係の多極的な構造形成の客観的な動向に、国連が適応することが必要です。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の代表を増やすことによって、安全保障理事会の改革を加速させなければなりません。この国連の主要機関(安全保障理事会)において、西側諸国が現在、とんでもなく過剰な代表を占めていることは、多国間主義を弱体化させるものです。ベネズエラの主導により、国連憲章を守る友好国集団が形成されました。私たちは、憲章を尊重するすべての国に、この集団に参加するよう呼びかけます。また、BRICSやSCO(上海協力機構)の建設的な可能性を利用することも重要です。EAEU(ユーラシア経済連合)、CIS(独立国家共同体)、そしてCSTO(集団安全保障条約)は貢献する準備ができています。私たちは、グローバル・サウスの国々の地域連合の立場の主導権を利用することに賛成です。また、G20は多国間主義を維持するために有益な働きをすることができます。ただし、西側の国々が、世界経済における危機的な現象をこれだけ引き起こした自分たちの責任を曖昧にできればとの期待から、G20協議の議題にある重要な問題から各国の目をそらすことをやめれば、です」。


それで、法を破っているのは誰なのか?

 この簡潔な(ラブロフ氏の)力作に目を通した後、ラブロフが2022年2月以来、一貫した、(西側にとっては)耐え難い詳細さで、世界に語ってきたことを後追いすれば、大いに啓発されるだろう。現代史において、国際法の連続違反者は、覇権国(アメリカ)とその哀れな家臣たちだった。ロシアではない。

 つまり、モスクワはSMO(特別軍事作戦)を開始する権利を完全に有していたのである(他に選択肢がなかったのだから)。そして、この作戦は、3月31日に発表されたロシアの新しい外交政策構想に組み込まれている、論理的な結論へと導かれることになる。西側各国が何をしようとも、ロシアはそれを無視する。ロシアは、西側各国こそ、国連憲章に定められた国際法の規範から外れて行動していると見なすからだ。


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