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福島は有害廃棄物のゴミ捨て場になる運命か?

Is Fukushima doomed to become a dumping ground for toxic waste?

Peter Wynn Kirby
ピーター・ウィン・カービー

(The Guardian の記事より)  16 Mar 2018年3月16日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループo. 2019年11月)
  
<記事原文>寺島先生推薦
https://www.theguardian.com/environment/2018/mar/16/is-fukushima-doomed-to-become-a-dumping-ground-for-toxic-waste

日本政府は、復興についていろいろ明るい見通しを述べているが、「3・11フクシマ原発事故」から7年、福島の悪戦苦闘は終わっていない。


福島県飯舘村の核廃棄物保管場所 Photograph: Christian Åslund/Greenpeace

 今年の3月で、7年。2011年、福島第一原子力発電所の原子炉がメルトダウンを起こし、1号機、2号機、3号機がそれぞれ爆発して、日本の北東部何百平方キロメートルを放射能に汚染された残骸が覆い尽くした。そして、政府当局者や政治家は、期待を抱かせるような言葉を使って、福島の未来の繁栄について語った。しかしながら、福島の未来の一番重要な事柄については語られないままだ。それは、「帰還困難区域」が、いずれ日本の最も危険な核廃棄物の保管場所になる可能性がある、という点だ。

 日本政府当局者の誰一人このことは認めないだろう。少なくとも公的には。核廃棄物の最終貯蔵場を日本列島のどこにするかは、長年の目標になっているが、確定はしていない。 しかし、日本が約17、000トンの使用済み燃料を所有していることを踏まえれば、最終貯蔵場のことは必須条件だ。大半の使用済み燃料棒は、今でも、地上の貯蔵プールに不安定な状態で保存されている。いつ地震が起こるかもしれない国、日本でのことだ。 

 日本の官僚たちは、福島の短期的、中期的未来について、これでもかというほどに力を込めて、プラスのメッセージを発している。経済発展を優先し、懐疑的になっている避難者たちを、新しく「修正された」コミュニティ社会に徐々に帰還させようとしている。しかし、被害のもっとも少なかった町村でもその帰還率は15%そこそこだ。政府は帰還困難区域とその周辺の活性化についてあれこれ声明を出し、「仕事はある」と念仏のように唱えている。しかし、実際は、人影を見ることが少ない、不吉な未来に向かって進んでいるようだ。 

 福島県庁は、現在、「福島イノベーション・コースト構想」と銘打ったあるプランを推進している。それは、人々に敬遠されている地域を「ハイテク技術革新」で繁栄させる一帯に変えようとするものだ。開発対象の多くは、「ロボット関連産業群」や「福島ロボットテストフィールドのような実験ゾーン」に向けられている。


双葉町の核廃棄物保管所の航空写真、背景に福島第一原発がある。 Photograph: Christian Åslund/Greenpeace

 「福島ロボットテストフィールド」では、災害対応やそれ以外の目的のためのロボットの開発が予定されている。テストフィールドは、今回の福島の事故が示すような広範囲に亘る障害物や様々な課題解決をシミュレーションしている。フィールド内にある、屋内大水槽では 地下水中での作業の障害となるものが配置されるようだ。それは福島第一原発の下を流れる瓦礫が散在した水流を模したものである。そこではメルトダウンに対応した水中ロボットが数多く制作されたが、その性能はまだ実用に適する水準には達せず、ここ数年、ロボットは作業途中で使い物にならなくなっている。

 「福島ロボットテストフィールド」の別の敷地には、崩れかけた建物や他の瓦礫の山があり、それは地上型災害対応ロボットの性能検証グランドとして活用される。この災害対応ロボットは、捩れた鋼鉄棒、砕けたコンクリート、そしてその他の瓦礫の間を縫うように動き回る必要がある。特別に設計された滑走路や周辺の放射能汚染区域は、どんな天候でも様々な目的に対応できる、動きの不安定なドローンの重要な実験地として活用される。こういった実験を、比較的人口稠密な日本では、福島以外でやることは難しいだろうし、そもそも不可能だ。

 「福島ロボットテストフィールド」として計画されている区域は、海岸線に沿って約13キロに延びる隔離実験エリアとも隣接しており、「帰還困難区域」上空のテスト飛行を共同で実施する予定だ。 

 当然のことながら、福島の住民と異なり、ロボットは福島第一原子力発電所の敷地外で検出される放射線量の上昇には無頓着だ。加えて、福島県庁も触れていることだが、「帰還困難区域」が有する環境は、あまり人の手を煩わさなくてもできる他の様々な役割を果たせる可能性がある。例えば長期保存施設としてなどだ。

 福島に誇りを持って長年住んでいる人々にとっては、こういった開発はすべて東京による福島「植民地化」の継続に見える。県外の人間がこの一帯を自分達自身の目的のために使うのは、決まり切ったパターンだ。そもそもこの施設の代表者や管理的立場の人たちは今回不運な運命を辿った「フクイチ」を建設したのと同じ人間たちだからだ。 

 何年にも亘り、壮大な除染手段をいろいろ講じて、一応はすべての森、公園、農地、沿道、そして校庭の放射能に汚染された物質は剥ぎ取られたことになっている。その結果生じた1、600万立方メートルの放射能汚染土壌は、現在、「帰還困難区域」内、そしてその周辺に置かれた仮置き場に保存されている。そしてそれらは中間貯蔵施設に移されるのを待っているのだが、その施設は稼働しているとは言い難く、それに必要な敷地の半分近くはまだ借用手続きも済んでいない。 

 国の約束としては、汚染土壌は30年後には福島からすべて県外に移す、ということだが、政府当局者は、それはあくまで「土壌」に関してのことなのだ、という主張を崩してはいない。 だが約17、000トンの高放射性使用済み燃料棒があり、それらの最終貯蔵場としてどの県も手を挙げようとしない日本では、遅かれ早かれ政治家たちの出番となり、福島第一原子力発電所周辺のエリアを最終貯蔵場にするという考えが、大っぴらに語れるようになるだろう。


福島県双葉町帰還困難区域でチェックポイントを示す警備員 Photograph: Behrouz Mehri/AFP/Getty Images

 政府当局者と核廃棄物の保管を任されている役人たちは、「先送り」という「これぞ日本的!」戦略を、核廃棄物貯蔵問題に関して語るのだ。国民の受け止め方をどうにかしようとするやり口は手が込んでいる。そのやり口は、ただ静かに、でも、執拗に、どうすべきかを国民が考えなければならない日をどんどん先送りしてゆくというやり方だ。そして、ゆっくりと論点を変化させていく。日本の最も危険な物質を、福島という最も悲劇的な虐待を受けた地域に保存するなどとんでもない、という今は多くの日本人が抱いている考えは徐々に薄れ、日本人の感性に容認されることになるだろう。

 「帰還困難区域」とその周辺は、福島原発事故で汚染された地域の代表という認識が広まり、この地域の住民の数は2011年以降圧倒的に減っている。それは言い換えれば、「ここを最終処理場にしよう」というプランに反対する人が圧倒的に減っているということだ。原子力ロビーにしたら、問題を抱えた地域での、このプランに反対しにくい動きがある滅多にないチャンスを、きっと放置してはおかないだろう。 

 福島は何十年もの間、のけ者にされ、権利を剥奪され、いいように扱われてきた。結局福島第一原子力発電所の電気は直接東京に向かったのだ。いろいろなリスクを負わなければならない福島にはまったく送電されなかった。2011年メルトダウン事故の影響で、福島は背負いきれないほどの重荷を背負うことになった。政府のPRとは裏腹に、福島県民はこれから少なくとも数十年に亘って、塗炭の苦しみを味わい、白眼視されることになるだろう。



ピーター・ウィンは、オクスフォード大学の原子力・環境問題の専門家。

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