ロシア外交指針の改定について: 大事な点
<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s revised foreign policy doctrine: Key points
出典:RT
2023年3月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年4月12日
モスクワは、西側支配の残骸から、勃興しつつある多極化した世界秩序を守ることを目指している。

資料写真 © Global Look Press / Sergey Petrov
ロシアは、国境を越えた、自国の戦略的優先順位を明らかにするため、最新の外交政策指針を発表した。この指針は、プーチン大統領によって金曜日(3月31日)に署名され、効力を持つことになった。世界の主要な国々との関係に大きな影響を与えるこの文書は、今後数週間にわたって精査されることは間違いないであろう。
この外交指針を見直す必要が生じたのは、国際情勢の「劇的な変化」によるものだと、プーチンは説明した。その中には、モスクワのウクライナでの行動をめぐって西側諸国がロシアに対して行っている「ハイブリッド戦争」の進行と表現しているものも含まれる。
1. 世界平和に対する「大きな脅威」
見直された外交政策指針では、米国とその同盟国の「攻撃的な反ロシア政策」は、ロシアの安全保障だけでなく、国際平和と人類の「公正で均衡のとれた」未来の発展に対する大きな脅威である、とされている。
ロシアは、ワシントンとその同盟国が、今の世界秩序の崩壊を防ぎ止めようとしている、と考えている。その世界秩序とは、非西側諸国の資源を搾取し、非西側諸国を犠牲にすることで 、高度な経済成長が可能になっているものだ。西側諸国は「多極化する世界の現実を認めようとせず」、軍事・経済競争を排除し、反対意見を取り締まることを目指している、とこの文書は主張している。
特にアメリカは、ロシアの自立した政策を「西側の覇権」に対する脅威と見なしており、アメリカとその同盟国はモスクワに対して、「可能なあらゆる方法で」ロシアの弱体化を目指す「ハイブリッド戦争」を開始した、と新指針は謳っている。
モスクワは、外圧に直面しているすべての国の協力を強化することを求めている。そして、力と利益の均衡に基づく国際社会全体の共同努力のみが、「現代の数多くの問題」の解決策を提供することができる、としている。
2. 西側との関係
モスクワは、米国とその同盟国の政策がもたらす脅威を認識しながらも、敵対国として扱わない、と新しい構想は強調している。また、「ロシアは自らを西側の敵とは考えておらず、西側から孤立しているわけでもなく、西側に対して敵対的な意図を持っているわけでもない」とも述べている。
モスクワは、西側諸国がもつ敵意、対立、そして覇権主義的野心という政策に未来がないことを理解し、最終的には相互尊重を理由にロシアとの「実際的な協力」を再開することを望んでいる。ロシアは「そのような基盤の上で対話と協力の準備ができている」と、見直された外交政策指針には書かれている。
3. すべての国にとっての平等性
ロシアは、国の大きさ、地理的位置、あるいは軍事力に関係なく、信頼できる安全保障とすべての国のための平等な機会に基づく国際関係体制を構築しようとしている、というのが新しい外交指針だ。モスクワは、国際問題における覇権主義を否定し、他国の内政問題への干渉を避けるべきだと主張している。また、新植民地主義的な野心も捨てなければならない、としている。
モスクワは、世界的な軍事支配を目指す国家や軍事同盟の試みを無力化するための「広範な協力」を求めている。また、国際条約を通じた国際的な戦略的安定性、軍備管理、そして不拡散体制の強化により、世界的な戦争や核兵器、その他の大量破壊兵器を使用する危険性を回避するための措置をとるよう、すべての国に求めている。
4. 主要な同盟
モスクワは、中国やインドといった「主権を持つ世界の権力中心」との協力関係を深めることが、外交政策上、重要な意味を持つとみている。特に、ロシアは北京とはあらゆる分野で「包括的友好関係と戦略的協力」を、ニューデリーとは「特権的戦略的友好関係」を目指すという。
これらの国々との協力は、貿易や安全保障だけでなく、「投資と技術の関係」にも及び、「非友好的な国家の破壊的な行動」に対抗する能力を互いに強化することも含まれる。モスクワは、ユーラシア大陸を平和、安定、信頼、そして繁栄の大陸に変えようと努力している。
5. 世界的協力と地域的協力
モスクワは、世界中に友人や信頼できる友好国を見つけることができると信じている、と更新された方針は述べている。ロシアは特にイスラム文明を「友好的」と考え、イスラム世界には「大きな展望」があり、多元的な世界において独立した影響力のある大国になることができると信じている。イラン、トルコ、サウジアラビア、エジプトなど、地域の主要な勢力すべてとの協力関係を発展させることを求めている。
ロシアはまた、世界の中でより重要な位置を占め、「一部の先進国の新植民地政策 」によって引き起こされた不平等を解消したいというアフリカの願いに連帯する立場に立っている。モスクワは、貿易や投資だけでなく、安全保障上の支援も含め、アフリカ諸国の主権と独立を支援する用意があると、新しい戦略文書には書かれている。
中南米では、ブラジル、キューバ、そしてベネズエラなどとの友好関係を強化するとともに、「現実的、非イデオロギー的、概念的、そして互恵的」な関係を構築することを目指している。また、ロシアとの関係において建設的であろうとする他の国々との協力にも前向きである。
Russia’s revised foreign policy doctrine: Key points
出典:RT
2023年3月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年4月12日
モスクワは、西側支配の残骸から、勃興しつつある多極化した世界秩序を守ることを目指している。

資料写真 © Global Look Press / Sergey Petrov
ロシアは、国境を越えた、自国の戦略的優先順位を明らかにするため、最新の外交政策指針を発表した。この指針は、プーチン大統領によって金曜日(3月31日)に署名され、効力を持つことになった。世界の主要な国々との関係に大きな影響を与えるこの文書は、今後数週間にわたって精査されることは間違いないであろう。
この外交指針を見直す必要が生じたのは、国際情勢の「劇的な変化」によるものだと、プーチンは説明した。その中には、モスクワのウクライナでの行動をめぐって西側諸国がロシアに対して行っている「ハイブリッド戦争」の進行と表現しているものも含まれる。
1. 世界平和に対する「大きな脅威」
見直された外交政策指針では、米国とその同盟国の「攻撃的な反ロシア政策」は、ロシアの安全保障だけでなく、国際平和と人類の「公正で均衡のとれた」未来の発展に対する大きな脅威である、とされている。
ロシアは、ワシントンとその同盟国が、今の世界秩序の崩壊を防ぎ止めようとしている、と考えている。その世界秩序とは、非西側諸国の資源を搾取し、非西側諸国を犠牲にすることで 、高度な経済成長が可能になっているものだ。西側諸国は「多極化する世界の現実を認めようとせず」、軍事・経済競争を排除し、反対意見を取り締まることを目指している、とこの文書は主張している。
特にアメリカは、ロシアの自立した政策を「西側の覇権」に対する脅威と見なしており、アメリカとその同盟国はモスクワに対して、「可能なあらゆる方法で」ロシアの弱体化を目指す「ハイブリッド戦争」を開始した、と新指針は謳っている。
モスクワは、外圧に直面しているすべての国の協力を強化することを求めている。そして、力と利益の均衡に基づく国際社会全体の共同努力のみが、「現代の数多くの問題」の解決策を提供することができる、としている。
2. 西側との関係
モスクワは、米国とその同盟国の政策がもたらす脅威を認識しながらも、敵対国として扱わない、と新しい構想は強調している。また、「ロシアは自らを西側の敵とは考えておらず、西側から孤立しているわけでもなく、西側に対して敵対的な意図を持っているわけでもない」とも述べている。
モスクワは、西側諸国がもつ敵意、対立、そして覇権主義的野心という政策に未来がないことを理解し、最終的には相互尊重を理由にロシアとの「実際的な協力」を再開することを望んでいる。ロシアは「そのような基盤の上で対話と協力の準備ができている」と、見直された外交政策指針には書かれている。
3. すべての国にとっての平等性
ロシアは、国の大きさ、地理的位置、あるいは軍事力に関係なく、信頼できる安全保障とすべての国のための平等な機会に基づく国際関係体制を構築しようとしている、というのが新しい外交指針だ。モスクワは、国際問題における覇権主義を否定し、他国の内政問題への干渉を避けるべきだと主張している。また、新植民地主義的な野心も捨てなければならない、としている。
モスクワは、世界的な軍事支配を目指す国家や軍事同盟の試みを無力化するための「広範な協力」を求めている。また、国際条約を通じた国際的な戦略的安定性、軍備管理、そして不拡散体制の強化により、世界的な戦争や核兵器、その他の大量破壊兵器を使用する危険性を回避するための措置をとるよう、すべての国に求めている。
4. 主要な同盟
モスクワは、中国やインドといった「主権を持つ世界の権力中心」との協力関係を深めることが、外交政策上、重要な意味を持つとみている。特に、ロシアは北京とはあらゆる分野で「包括的友好関係と戦略的協力」を、ニューデリーとは「特権的戦略的友好関係」を目指すという。
これらの国々との協力は、貿易や安全保障だけでなく、「投資と技術の関係」にも及び、「非友好的な国家の破壊的な行動」に対抗する能力を互いに強化することも含まれる。モスクワは、ユーラシア大陸を平和、安定、信頼、そして繁栄の大陸に変えようと努力している。
5. 世界的協力と地域的協力
モスクワは、世界中に友人や信頼できる友好国を見つけることができると信じている、と更新された方針は述べている。ロシアは特にイスラム文明を「友好的」と考え、イスラム世界には「大きな展望」があり、多元的な世界において独立した影響力のある大国になることができると信じている。イラン、トルコ、サウジアラビア、エジプトなど、地域の主要な勢力すべてとの協力関係を発展させることを求めている。
ロシアはまた、世界の中でより重要な位置を占め、「一部の先進国の新植民地政策 」によって引き起こされた不平等を解消したいというアフリカの願いに連帯する立場に立っている。モスクワは、貿易や投資だけでなく、安全保障上の支援も含め、アフリカ諸国の主権と独立を支援する用意があると、新しい戦略文書には書かれている。
中南米では、ブラジル、キューバ、そしてベネズエラなどとの友好関係を強化するとともに、「現実的、非イデオロギー的、概念的、そして互恵的」な関係を構築することを目指している。また、ロシアとの関係において建設的であろうとする他の国々との協力にも前向きである。
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