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ハーバード大学は、世界の半分以上の国よりも裕福だ。
誰かが体制を維持しようとするから

Harvard is wealthier than half the world’s countries… because someone has to prop up the status quo


RT Home Op-ed   2019年8月31日 

(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2019年10月5日)

<記事原文>寺島先生推薦
  https://www.rt.com/op-ed/467716-harvard-wealth-countries-status-quo/ 



最近出されたある報告よると、ハーバード大学の集める寄付金は、世界109カ国より多くのお金を集めている。また、世界の多くの国よりもお金を持っている大学は、ハーバード大学だけではないらしい。富裕層にとって、現状を維持することは安くは上がらないようだ。

情報分析サイトStackerに、「アメリカの公教育システムは困難な状態にあるかもしれないが、一流大学は例外だ」という記事が載った。この記事では、数十億もの寄付金を得ているアメリカの50の大学と、世界の国々の総資産を、クレディスイス社の計算を基に比較している。それによると、世界の195カ国の収入を超える5つの大学がリストアップされている。プリンストン大学、スタンフォード大学、エール大学、テキサス大学。そして、トップは、383億ドルの寄付金を集めているハーバード大学だ。

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おそらく、他のアイビーリーグの大学以上に、ハーバード大学が売っているのは単位だけではない。ハーバード大学で教育を受ければ、限られた数のすこぶる裕福ですこぶる影響力のある人だけが入れる社交界への入場券を手にすることができる。さらに、大学はそんな評判を広めようと多くの努力している。タイムズ紙の高等教育世界大学ランキングによると、ハーバード大学の教育の質は少し落ちて、今のところは第6位となっている。ただ、同ランキングによれば、ハーバード大学の研究機関としての評判はピカイチで、研究面、教育面ともに100点満点をつけている。

国中の教員が、低賃金と高額な医療費に対してストライキを行っている一方で、以前、ウオール街が住宅ローンを売り出したのと同じように、学生ローンを売り出す中で、大学の授業料は急上昇している。SLABS(学生ローン資産担保証券)が導入されて以来、アメリカの学生の借金総額は2倍になっている。

アイビーリーグの大学は、大学への信用度が下落している昨今の傾向に流されないでいる。というのも、それなりの地位に就いた卒業生たちの合意事項として、大学の学位の価値を絶対落としてはいけないということがあるからだ。経済が不安定になれば富裕層が動揺するのは理解できる。「価値ある学位」は、彼らにとって不況時の担保資産というわけだ。 モダンアートはオークションで何百万ドルもの値段で売れるから、その価値が生じる。それと全く同様に、アイビーリーグの学位が価値を持つのは、学位を付与してくれる大学を、巨大な資金力が背後で支えているからなのだ。

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アメリカはしばしば、最も不平等な国としてランクされている。アメリカのたった3人が、最も貧しい半数の国民が持っている資産よりも多くの資産を持っている。さらに、アメリカは、建国以来もっとも不平等な状態にある。それでも、イエローベスト運動のような抗議活動は、「ウオール街占拠運動」以来、起こっていない。なぜだろうか?

インターナショナル・ソーシャル・サーベイのデータによると、ある国の経済状態が不平等になるに従って、国民は、能力主義が進んでいるように感じるそうだ。それは、もし必死に勉強すれば、いずれチャンスが来て、世界の支配者になれるという世界だ。路上で育った子どもでさえ、ハーバード大学に行けるという世界だ。これ見よがしの施し的奨学金も、こういった「ハーバード神話」を存続させる一助になっている。 アメリカ建国のもっとも力強く、息の長い神話は、アメリカは、チャンスの国だという神話だ。やる気と努力さえあれば、だれでも「成功者になれる」という神話だ。昔は、そうだったかもしれない。

しかし、これらの大学が一国よりも多くの寄付金を集めている中で、このシステムが、みんなのためになっていないという事実を無視することはできなくなっている。多くの都市でホームレスの数が過去最大になっていく中で、それらの都市にある大学までもが、貪欲に不動産を得ようとしている。不平等は、かつてないくらい明らかになってきている。

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それでもまだロサンゼルスのテント村で生活しているホームレスを、将来の自分の姿だと誰も感じていない。そんな中で、「正しい大学に行きさえすれば、世界は思いのままになる」とだまされやすい高校生達に説いてまわるだけの仕事まである。

元ハーバード大学の入試コンサルタントが、数年前、匿名記事「アイビーリーグの大学入試はまやかしだ。ハーバード大学の門番からの告白」で、この神話に水を差そうとした。それによると、彼の前にごくたまに現れる社会的経済的に底辺出身の志願者は、不適格と見なされる何らかの要素を常に持っているらしい。そして、生まれたときから世界の支配者となる運命を授けられた裕福な競争相手に追い抜かれていく。

自分たちの出身校であるハーバード大学の手を噛むようなこの匿名記事が、実情を正確に伝えているかどうかはひとまず置く。しかし、ほとんどのアイビーリーグの卒業生が、(もし彼らが望むのであれば)これから変えることができるシステムに対して、判で押したような同じような見方をして卒業していくというのは、ただの偶然ではない。安定している船をあえてゆさぶるようなことを、だれがするだろうか?このシステムは、彼らにメリットを与えてきたのだから。

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「慈善活動」は富裕層が創り出してきた伝統だ。彼らの多くは「慈善活動」が目に見える形で、「お返しする」ことが重要だと感じている。「目に見える」というのは、彼らの世界では重要な言い方となっている。誰も見る人がいない慈善活動などは意味がない。慈善舞踏会は彼らのバックボーンとなる交流の場だ。「一族財団」が、彼らの富の最終的な落ち着き先となっている。ロスチャイルドやロックフェラーといった財閥一族が「世界の長者番付」に載ることはまずない。彼らは頭を使って、自分達の資産を表に出さないからだ。博物館の脇には、金持ちの篤志家の名前が記されている。貧困層の義務は感謝であって、怒りではない、ということを知らしめるためだ。

少なくとも理論的に見れば、敗者は誰もいない。お金持ちは税金から逃れられて、労働者階級は、子ども達ががんばれば、いつかハーバード大学に入れて、彼らを迫害してきたものたちの中に入れるという夢にしがみつくことができる。親は、反抗に使う熊手を、「また今度」と棚にしまう。お金持ち達は一安心だ。

富裕層は、そんなシステムを作り出す機関たる大学にどうして「お返し」をしようではないか。雀の涙ほどの奨学金を労働者階級の前途有望な若者達に施すなんて安いものだ。そうすれば格差がますます広がる社会でトップの座を維持できるのだから。現在、トップの座にいるからといって、現状が自然に続くわけではない。だから、これがハーバード大学の仕事だ。


Helen Buyniski
ヘレン・バイニスキー

 ヘレン・バイニスキーは、アメリカのジャーナリストで政治評論家
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