社会運動家を守るために、コロンビア中で計画された抗議活動
Protests planned across Colombia in defense of social leaders
By Zoe PC
Internationalist 360°投稿
2019年7月26日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年9月22日)
<記事原文>Peoples Dispatch
https://peoplesdispatch.org/2019/07/26/protests-planned-across-colombia-in-defense-of-social-leaders/

2016年以降に暗殺されたコロンビアの社会運動の指導者800人の中の数名
今日,7月26日、コロンビアの社会運動の指導者や人権活動家たちの命を守ろうと、何十万人もの人々がコロンビアで100以上の町と国外30以上の町でのデモに参加することになっている。行動は“We defend peace”運動によって呼びかけられたもので、いま起こっているこれらのグループに対する大虐殺を広く知らせることと、コロンビア政府がこの件に関心を示さず、何の対策も打たないことを糾弾することを目的としている。
コロンビアの人権団体は、2016年以降800人を超える社会運動家や人権活動家、コロンビア革命軍(FARC)の元兵士とその家族が暗殺されたとしている。加えて、何千人もが殺害脅迫や嫌がらせをうけ、何百人もがでっち上げの罪で牢屋に入れられ、数十人が暗殺されかけてなんとか生き延びている。昨年、多くの大衆運動がさまざまな社会分野で行われたが、軍隊により厳しく取り押さえられ、重傷者や死亡者さえ出している
だれが犠牲者なのか?
暗殺の犠牲者の大部分は、国レベルの中心指導者や幹部ではない。ほとんどは地方レベルの指導者だ。つまり、地方レベルの指導者は、地方の有力者達の経済や支配モデルを直接脅かすからだ。地方の有力者たちは自分の影響下に私兵団や犯罪組織を持っているのだ。
例えば、多くの犠牲者は、違法な農作物をなくそうという国家プログラムなどに参加したり推奨したりする人たちだ。そのプログラムはFARC[コロンビア革命軍]と政府間で結ばれたハバナ和平協定を通じて創設され、小規模農家に、コカや違法作物の栽培をやめ、持続可能な別の作物の栽培に移行させることを目的としている。しかし、栽培作物を変えることは、麻薬取引が経済活動の中心になっている私兵団や犯罪組織が生計をたてているので、大きなさまたげとなる。
それ以外の被害者は、土地変換プログラムに基づいて、土地の所有を主張する人たちだ。そのプログラムは、被害者援助法によって2011年に創設され、立ち退きや暴力などにより土地を奪われた人に土地を返還する仕組みを作り上げているものだ。
FARCが2016年に武装解除したとき、FARCが支配していた領土が開放され、それが武装勢力同士の闘争の種になった。それ以降、多くの地域では、武装解除したとされていた私兵団が再結成され、土地の支配権をめぐっての領土争いが増加した。
先住民とアフリカ系住民のコミュニティも、地域社会活動委員会(Community Action Boards)や環境保全者、都市部の地域のまとめ役や人権保護組織のメンバーと同様、厳しくターゲットにされている。FARCの元戦闘員について言えば、最近の調査で2016年11月のハバナ和平協定締結以降、127人を超える元戦闘員が暗殺されたことが明らかになっている。
多くの暗殺事件において、指導者達や組織は以前から武装勢力から脅迫を受けていることを糾弾してきたが、政府当局は脅迫をまともに取り上げず、取り上げたとしても、痛ましいくらい乏しい防御体勢しかとらない。最近、EFE(スペインの通信社)との談話で、イバン・ドゥケ大統領は、「社会運動の指導者を守るのは難しい」とまで言っている。

7月20日、野党議員が国会期間中に暗殺された社会運動の指導者達の写真をかざしている
6月21日に、9才の息子の目の前で、暗殺された、34才のマリア・デル・ピラ-・フルタード事件は、コロンビア社会を動かした。6月1日、地域の指導者達とともに、フルタードは、地域で活動する自警団の一つであるコロンビア自警軍連合(AGC)の発行するパンフレットに攻撃の的として掲載された。地域の人権団体が政府にそのパンフレットのことを警告したのに、コロンビア当局は、パンフレットは偽物だと主張した。フルタードが自宅の外で亡くなってからほんの20日後に、彼女が殺されたことを公にした人権活動家は、止むことのない殺害脅迫のせいで避難を余儀なくされた。
コロンビアの社会運動や組織の現在の状況は、人道主義の危機であり、生きる権利や、コロンビアの平和構築を求める権利への脅威であるといっていいだろう。活動家たちは、防御手段を改善することだけではなく、コロンビアが変わることを求めて闘う者たちが組織的に殺されているが、その裏にある根本的な要因に有効な対策をうちだすことを政府に要求してきた。
今日、社会運動の窓口である人民会議は、運動について以下のような声明を明らかにした。
「人民の命や自然を犠牲にして、自分の利益のことだけを考えている独裁的で特権階級のための政権に、都市部や地方で対抗する者が殺されているだけではない。
社会運動やそのプロセス、組織を撲滅すべく、ごくつつましく活動している活動家さえも、合法的に抗議することが罪と見なされて、脅迫や暗殺の的になっている。
人権擁護活動や環境保全活動に対する非難、それと、何百万もの人々を退去させ、文無しにさせる巨大プロジェクトも止むことはない」と。
*[訳注] (コロンビア内戦を知るいい資料がないので、全体像を知る上でハフィントンポストのブログを転載しておきます。この翻訳ではコロンビア内政問題を扱っていますが、現在コロンビアが、アメリカのベネズエラのマドゥーロ政権打倒計画に加担し、傀儡のグアイドを支援しようとしていることは公然の事実です。しかも、コロンビア大統領サントスが、この翻訳記事のように内政を弾圧しながら、2016年ノーベル平和賞を受賞するとは考えられないことです。---- 新見)
コロンビア、左翼ゲリラと和平合意--半世紀に及ぶ内戦の行方は国民投票の結果次第
(2016年08月26日) 記事執筆者:原貫太
南米コロンビアで、歴史的な瞬間が訪れた。
コロンビア政府と左翼ゲリラ組織である「コロンビア革命軍」(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia/以下FARC)は今月24日、半世紀以上に及んだ内戦の終結に向けた和平交渉について最終合意に達したと発表した。4年にわたって交渉を続けてきた両者は、キューバの首都ハバナで共同声明を発表。調停役を務めたキューバ代表によって、「コロンビア政府とFARCは、内戦の終結と安定して持続的な平和の構築に関する、最終的で完全、かつ決定的な最終合意に到達したことを宣言する。」と読み上げられた。
コロンビア内戦は、アメリカ大陸における大規模な紛争としては最後のものとなっていた。この内戦では推定22万人が死亡、数万人が行方不明になったほか、500万人もの人々が避難民になったと言われている。
キューバ革命を見本とした左翼ゲリラ組織1959年にキューバ革命が起こると、それに影響を受けて中南米諸国では反政府左翼ゲリラ組織の結成が相次いだ。FARCもその内の一つであり、結成は1964年。キューバ革命を見本として、農地改革や富の再分配を目指して武装闘争を展開した。
台頭初期の勢力はわずかだったものの、その後麻薬組織と協力関係を築く事で勢力を拡大。最盛期には約2万人を擁し、国土の3分の1を支配していた。アメリカへのコカインの密輸で数百万ドル規模を稼いでいるとも言われており、また身代金を目的にした誘拐にも多数関与した。
しかしながら、2002年に就任したアルバロ・ウリベ元大統領は力によるFARCの掃討を掲げ、アメリカの支援を受けてFARCの掃討を本格化。複数の幹部の死亡や戦闘員の多数離脱などによって組織は弱体化し、現在のFARC構成員は7000人まで減少したと考えられている。
コロンビア政府によるFARCへの譲歩か200ページにわたる合意文書には、停戦実施、FARCの政治参加、人権侵害の容疑者や戦争犯罪者に対する裁判などについてが盛り込まれたが、これにはコロンビア政府によるFARCへの譲歩も伺える。
FARCは推定7000人の戦闘員を、ジャングルなどの野営地から国連によって設営されている武装解除キャンプへと移動させる。武装解除したゲリラ兵には月給200ドルが支給されると共に、今後政府の職業訓練事業に参加し、社会復帰への道を歩み始めることになる。
今後FARCは政党として活動することになり、助成金も受け取ることになる。また、2026年までの期間、FARCの設立する政党には10席の議席を確保することが合意文書には盛り込まれている。
紛争中に行われた人権侵害や戦争犯罪を裁くための特別裁判所の設立も予定されており、大量殺戮や拷問、レイプといった凶悪罪には最大で20年の懲役が課される。一方で、比較的軽度な犯罪に関しては恩赦が与えられる事になっており、和平合意を促進させるためのFARC側への配慮が見られる。
内戦の最終解決に向けた大きな課題--国民は納得するのか?
今回の和平合意が政治的な合法性を持つか否かは、10月2日に予定されている国民投票の結果次第だ。コロンビアのサントス大統領はテレビ演説にて、「長い戦闘を終わらせる歴史的な合意を支持するかは、全てのコロンビア人の手にかかっている。」と国民に対して呼びかけ、和平合意に対して賛成票を投じるよう求めた。
国民投票における賛成票が有権者全体の13%以上を構成した上で、過半数の人々が賛成票を投じれば今回の和平合意は発効となる。しかしながら、現地の世論調査会社によると、今年6月時点では74%の人々が賛成票を投じるとみられている一方で、多くの人々が投票の棄権を行うとも考えられており、その割合が65%に到達する恐れも出ている。これでは国民投票の正当性が確保されるとは言えず、サントス政権にとっては大きな問題となるだろう。
この背景の一つとしては、和平合意の内容に対する国民の疑念や反感が挙げられる。近年では「麻薬を手掛けているテロ集団と化した」とまで批判を受けているFARCに対して、コロンビア政府が大きく譲歩している点などはその理由だろう。加えて、停滞するコロンビア経済とそれに伴う食糧価格の高騰、また高い犯罪率などに対して大した打開策を打ち出せていないサントス政権に対する国民からの不人気も、この一因を担っているかもしれない。今年2月の時点では、国民の64%がサントス政権を支持していなかった。
また、コロンビア元大統領2人が10月の国民投票で反対票を投じる意向を表しており、当然の事ながらFARCや今回の和平合意に否定的な見方を取るその他の一部の国民も、反対票を投じることが予想される。その上、野党は軍事的なFARCの壊滅こそが、内戦の唯一の解決策であると主張しており、コロンビア内戦の最終的な解決に向けて、楽観視することは出来ないだろう。
https://www.huffingtonpost.jp/kanta-hara/colombia-civilwar_b_11716616.html
By Zoe PC
Internationalist 360°投稿
2019年7月26日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年9月22日)
<記事原文>Peoples Dispatch
https://peoplesdispatch.org/2019/07/26/protests-planned-across-colombia-in-defense-of-social-leaders/

2016年以降に暗殺されたコロンビアの社会運動の指導者800人の中の数名
今日,7月26日、コロンビアの社会運動の指導者や人権活動家たちの命を守ろうと、何十万人もの人々がコロンビアで100以上の町と国外30以上の町でのデモに参加することになっている。行動は“We defend peace”運動によって呼びかけられたもので、いま起こっているこれらのグループに対する大虐殺を広く知らせることと、コロンビア政府がこの件に関心を示さず、何の対策も打たないことを糾弾することを目的としている。
コロンビアの人権団体は、2016年以降800人を超える社会運動家や人権活動家、コロンビア革命軍(FARC)の元兵士とその家族が暗殺されたとしている。加えて、何千人もが殺害脅迫や嫌がらせをうけ、何百人もがでっち上げの罪で牢屋に入れられ、数十人が暗殺されかけてなんとか生き延びている。昨年、多くの大衆運動がさまざまな社会分野で行われたが、軍隊により厳しく取り押さえられ、重傷者や死亡者さえ出している
だれが犠牲者なのか?
暗殺の犠牲者の大部分は、国レベルの中心指導者や幹部ではない。ほとんどは地方レベルの指導者だ。つまり、地方レベルの指導者は、地方の有力者達の経済や支配モデルを直接脅かすからだ。地方の有力者たちは自分の影響下に私兵団や犯罪組織を持っているのだ。
例えば、多くの犠牲者は、違法な農作物をなくそうという国家プログラムなどに参加したり推奨したりする人たちだ。そのプログラムはFARC[コロンビア革命軍]と政府間で結ばれたハバナ和平協定を通じて創設され、小規模農家に、コカや違法作物の栽培をやめ、持続可能な別の作物の栽培に移行させることを目的としている。しかし、栽培作物を変えることは、麻薬取引が経済活動の中心になっている私兵団や犯罪組織が生計をたてているので、大きなさまたげとなる。
それ以外の被害者は、土地変換プログラムに基づいて、土地の所有を主張する人たちだ。そのプログラムは、被害者援助法によって2011年に創設され、立ち退きや暴力などにより土地を奪われた人に土地を返還する仕組みを作り上げているものだ。
FARCが2016年に武装解除したとき、FARCが支配していた領土が開放され、それが武装勢力同士の闘争の種になった。それ以降、多くの地域では、武装解除したとされていた私兵団が再結成され、土地の支配権をめぐっての領土争いが増加した。
先住民とアフリカ系住民のコミュニティも、地域社会活動委員会(Community Action Boards)や環境保全者、都市部の地域のまとめ役や人権保護組織のメンバーと同様、厳しくターゲットにされている。FARCの元戦闘員について言えば、最近の調査で2016年11月のハバナ和平協定締結以降、127人を超える元戦闘員が暗殺されたことが明らかになっている。
多くの暗殺事件において、指導者達や組織は以前から武装勢力から脅迫を受けていることを糾弾してきたが、政府当局は脅迫をまともに取り上げず、取り上げたとしても、痛ましいくらい乏しい防御体勢しかとらない。最近、EFE(スペインの通信社)との談話で、イバン・ドゥケ大統領は、「社会運動の指導者を守るのは難しい」とまで言っている。

7月20日、野党議員が国会期間中に暗殺された社会運動の指導者達の写真をかざしている
6月21日に、9才の息子の目の前で、暗殺された、34才のマリア・デル・ピラ-・フルタード事件は、コロンビア社会を動かした。6月1日、地域の指導者達とともに、フルタードは、地域で活動する自警団の一つであるコロンビア自警軍連合(AGC)の発行するパンフレットに攻撃の的として掲載された。地域の人権団体が政府にそのパンフレットのことを警告したのに、コロンビア当局は、パンフレットは偽物だと主張した。フルタードが自宅の外で亡くなってからほんの20日後に、彼女が殺されたことを公にした人権活動家は、止むことのない殺害脅迫のせいで避難を余儀なくされた。
コロンビアの社会運動や組織の現在の状況は、人道主義の危機であり、生きる権利や、コロンビアの平和構築を求める権利への脅威であるといっていいだろう。活動家たちは、防御手段を改善することだけではなく、コロンビアが変わることを求めて闘う者たちが組織的に殺されているが、その裏にある根本的な要因に有効な対策をうちだすことを政府に要求してきた。
今日、社会運動の窓口である人民会議は、運動について以下のような声明を明らかにした。
「人民の命や自然を犠牲にして、自分の利益のことだけを考えている独裁的で特権階級のための政権に、都市部や地方で対抗する者が殺されているだけではない。
社会運動やそのプロセス、組織を撲滅すべく、ごくつつましく活動している活動家さえも、合法的に抗議することが罪と見なされて、脅迫や暗殺の的になっている。
人権擁護活動や環境保全活動に対する非難、それと、何百万もの人々を退去させ、文無しにさせる巨大プロジェクトも止むことはない」と。
*[訳注] (コロンビア内戦を知るいい資料がないので、全体像を知る上でハフィントンポストのブログを転載しておきます。この翻訳ではコロンビア内政問題を扱っていますが、現在コロンビアが、アメリカのベネズエラのマドゥーロ政権打倒計画に加担し、傀儡のグアイドを支援しようとしていることは公然の事実です。しかも、コロンビア大統領サントスが、この翻訳記事のように内政を弾圧しながら、2016年ノーベル平和賞を受賞するとは考えられないことです。---- 新見)
コロンビア、左翼ゲリラと和平合意--半世紀に及ぶ内戦の行方は国民投票の結果次第
(2016年08月26日) 記事執筆者:原貫太
南米コロンビアで、歴史的な瞬間が訪れた。
コロンビア政府と左翼ゲリラ組織である「コロンビア革命軍」(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia/以下FARC)は今月24日、半世紀以上に及んだ内戦の終結に向けた和平交渉について最終合意に達したと発表した。4年にわたって交渉を続けてきた両者は、キューバの首都ハバナで共同声明を発表。調停役を務めたキューバ代表によって、「コロンビア政府とFARCは、内戦の終結と安定して持続的な平和の構築に関する、最終的で完全、かつ決定的な最終合意に到達したことを宣言する。」と読み上げられた。
コロンビア内戦は、アメリカ大陸における大規模な紛争としては最後のものとなっていた。この内戦では推定22万人が死亡、数万人が行方不明になったほか、500万人もの人々が避難民になったと言われている。
キューバ革命を見本とした左翼ゲリラ組織1959年にキューバ革命が起こると、それに影響を受けて中南米諸国では反政府左翼ゲリラ組織の結成が相次いだ。FARCもその内の一つであり、結成は1964年。キューバ革命を見本として、農地改革や富の再分配を目指して武装闘争を展開した。
台頭初期の勢力はわずかだったものの、その後麻薬組織と協力関係を築く事で勢力を拡大。最盛期には約2万人を擁し、国土の3分の1を支配していた。アメリカへのコカインの密輸で数百万ドル規模を稼いでいるとも言われており、また身代金を目的にした誘拐にも多数関与した。
しかしながら、2002年に就任したアルバロ・ウリベ元大統領は力によるFARCの掃討を掲げ、アメリカの支援を受けてFARCの掃討を本格化。複数の幹部の死亡や戦闘員の多数離脱などによって組織は弱体化し、現在のFARC構成員は7000人まで減少したと考えられている。
コロンビア政府によるFARCへの譲歩か200ページにわたる合意文書には、停戦実施、FARCの政治参加、人権侵害の容疑者や戦争犯罪者に対する裁判などについてが盛り込まれたが、これにはコロンビア政府によるFARCへの譲歩も伺える。
FARCは推定7000人の戦闘員を、ジャングルなどの野営地から国連によって設営されている武装解除キャンプへと移動させる。武装解除したゲリラ兵には月給200ドルが支給されると共に、今後政府の職業訓練事業に参加し、社会復帰への道を歩み始めることになる。
今後FARCは政党として活動することになり、助成金も受け取ることになる。また、2026年までの期間、FARCの設立する政党には10席の議席を確保することが合意文書には盛り込まれている。
紛争中に行われた人権侵害や戦争犯罪を裁くための特別裁判所の設立も予定されており、大量殺戮や拷問、レイプといった凶悪罪には最大で20年の懲役が課される。一方で、比較的軽度な犯罪に関しては恩赦が与えられる事になっており、和平合意を促進させるためのFARC側への配慮が見られる。
内戦の最終解決に向けた大きな課題--国民は納得するのか?
今回の和平合意が政治的な合法性を持つか否かは、10月2日に予定されている国民投票の結果次第だ。コロンビアのサントス大統領はテレビ演説にて、「長い戦闘を終わらせる歴史的な合意を支持するかは、全てのコロンビア人の手にかかっている。」と国民に対して呼びかけ、和平合意に対して賛成票を投じるよう求めた。
国民投票における賛成票が有権者全体の13%以上を構成した上で、過半数の人々が賛成票を投じれば今回の和平合意は発効となる。しかしながら、現地の世論調査会社によると、今年6月時点では74%の人々が賛成票を投じるとみられている一方で、多くの人々が投票の棄権を行うとも考えられており、その割合が65%に到達する恐れも出ている。これでは国民投票の正当性が確保されるとは言えず、サントス政権にとっては大きな問題となるだろう。
この背景の一つとしては、和平合意の内容に対する国民の疑念や反感が挙げられる。近年では「麻薬を手掛けているテロ集団と化した」とまで批判を受けているFARCに対して、コロンビア政府が大きく譲歩している点などはその理由だろう。加えて、停滞するコロンビア経済とそれに伴う食糧価格の高騰、また高い犯罪率などに対して大した打開策を打ち出せていないサントス政権に対する国民からの不人気も、この一因を担っているかもしれない。今年2月の時点では、国民の64%がサントス政権を支持していなかった。
また、コロンビア元大統領2人が10月の国民投票で反対票を投じる意向を表しており、当然の事ながらFARCや今回の和平合意に否定的な見方を取るその他の一部の国民も、反対票を投じることが予想される。その上、野党は軍事的なFARCの壊滅こそが、内戦の唯一の解決策であると主張しており、コロンビア内戦の最終的な解決に向けて、楽観視することは出来ないだろう。
https://www.huffingtonpost.jp/kanta-hara/colombia-civilwar_b_11716616.html
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