COVID-19の研究所漏洩説は、なぜ再び見出しを飾るようになったのか?
<記事原文 寺島先生推薦>
Why is the Covid-19 lab leak theory back in the headlines?
The US is reviving the pandemic blame game as a countermeasure to China’s public opinion offensive
米国が世界的流行の罪のなすりつけ合戦を復活させたのは、中国の世論が攻撃的になったことへの対策のためだった。
筆者:ティムル・フォメンコ(政治分析家)
出典:RT
2023年3月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年3月23日

のぞき窓から見える医療従事者の姿。防護服を身につけ、外国人が宿泊しているホテルの廊下を消毒中。医療隔離措置期間中の中国上海。2021年8月12日。© AP Photo/Andy Wong
世界の大多数の人々にとっては、Covidは終結している。私たちは次の段階に進むことに成功した。もうCovidのせいで心配したり、生活を犠牲にしたり、最も厳しい制限措置に苦しまなくてもよくなったのだ。もちろん未だに少数の地域ではそのような生活が続けられているが、世界のほとんどの人々にとっては完全に過去の出来事になった。
しかし、世界的流行が終わった後でも、去らずにしつこく残っている懸案がある。それは政治的な罪のなすりつけ合戦だ。ここ数日、米国政府は再び「研究所漏洩説」という陰謀論を広め、Covid-19ウイルスは武漢疫学研究所からの漏洩が起源であると主張し始めた。
これらの主張が再び出現しているのは偶然であるように見えるが、この工作は行政府のあちこちで画策されているものだ。まず、米国エネルギー省が、この件に関する報告書を発表し、その後米国の中国大使であるニコラス・バーンズが中国当局に対して、Covidの起源に対して「もっとも真摯な態度」を取るよう求め、それに続いてクリストファー・レイFBI長官も声明を出した。
問題なのは、なぜこんなことをしているのか、だ。そしてなぜ今なのか、だ。その答えは、以前と同じことなのだが、米国がこの陰謀論を武器として、中国の世論の勢いを削ごうとしていることだ。その具体的な目的は、中国が最近強調しているいくつかの問題点から、人々の目をそらそうというものだ。その中の一つが、先月(2023年2月)の貨物列車の脱線事故により米国のオハイオ州を襲った有毒物質流出事故とその事故に対するバイデン政権の不手際な対応についてだ。もうひとつは、中国によるウクライナ和平計画だ。

関連記事:ホワイトハウスはCovidの「研究所漏洩説」から距離を取った。
この3年間、米国はCovid-19の世界的流行を利用して、中国を攻撃する世論を多くの地域で醸成するための武器としていた。その目的は、あからさまに世界的流行とその後の混乱の責任を中国政府に押しつけることであり、さらに中国の流行対策を否定的なものであると決めつける目的もあった。具体的には以下のような言説だ。中国が隠蔽を行ったとしてその罪を咎め、中国はこのウイルスの世界規模での流行の責任があると主張し、中国のロックダウン措置を残忍で非人道的措置であると決めつけ、研究所漏洩説を広めたのだ。この研究所漏洩説については、信頼の置ける生物医療専門家たちからは全く真剣に取り上げられないような説である。
2023年までには、Covid-19の世界的流行による混乱や対策はついに終わりを迎えたようで、中国は「ゼロ・コロナ」措置を取りやめ、通常の日常生活への回帰に舵を切った。しかし米国の言い分ではそうではないようで、この研究所漏洩説を再度武器として使い始めた。そしてこの漏洩説は、大手メディアがすぐに広め、裏支えした。皮肉にも、この同じ報道機関が、オハイオ州での環境に対する大惨事についてはほとんど報じていないし、ノルド・ストリームが米国の本格的な関与のもとで破壊されたという信頼のおける報告についても同様だ。
言うまでもないが、この2件の事象が起こったことと併せて、研究室漏洩説が再度出現したということは、ただの偶然ではない。先日の「スパイ気球」事件により、憶測や激しい反中感情が広められたことを受けて、中国の国営報道機関や専門家たちは、米国への激しい反撃を開始した。具体的にはオハイオ州の大惨事を歯に衣着せず非難し、その惨事を利用して自国世論の攻撃対象としたのだ。そのことに加えて、中国当局は、独自の和平計画を提案することで、ウクライナの戦争の方向性に影響を与えようともしている。そしてこの方向性は、米国当局がウクライナで成し遂げようとしている目的を支持しないものであり、ウクライナに妥協を求める内容であるため、その後米国当局からは、却下されている。

関連記事:FBIが主張したCovid起源説に対する中国当局の反応
中国のこの対応に対して、米国はどう出るのか? 米国は研究室漏洩説を再燃させ、中国側の主張から目を逸らさせる作戦に出たのだ。市民に対して証拠は何も示さないまま 米国当局者たちからの人騒がせな表明は報道機関により間違いなく詳しく報じられ、その結果、国民の中国に対する憤怒の念が掻き立てられている。その後米国は、反中「ネタ」を次のものにどんどん更新していくのだ。こんな世論操作工作が止むことなく続けられるからこそ、米国当局と中国当局は、両国関係を通常化したり安定化したりできなくなっているのだ。そのせいで悪循環が生じ、両国関係が危険な状態になってしまうのだ。
結論だが、この研究室漏洩説の再来が画策されたのは、米国が世界中で流布される言説や世論を操作している手口についての決定的な証拠となっている。しかし、この画策の筋書きにおいて、米国が研究室漏洩説を利用している目的には、何か具体的な政策上の目論見がある訳ではない。例えば中国に制裁を課せるような合意形成を狙っている訳ではない。そうではなくて、米国がこのような画策を弄している目的は、オハイオ州での毒物流出事件に対する中国の集中砲火に対する仕返しとして、自国民の意識を逸らすことなのだ。この手法が上手くいくかどうかについては、議論の余地があろう。というのも、世界の人々はCovidに関する罪のなすりつけ合戦にはウンザリしているからだ。しっかりとした証拠が何も示されないままでは、この研究室漏洩説が以前ほど効果的な言い掛かりには決してならないだろうからだ。
Why is the Covid-19 lab leak theory back in the headlines?
The US is reviving the pandemic blame game as a countermeasure to China’s public opinion offensive
米国が世界的流行の罪のなすりつけ合戦を復活させたのは、中国の世論が攻撃的になったことへの対策のためだった。
筆者:ティムル・フォメンコ(政治分析家)
出典:RT
2023年3月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年3月23日

のぞき窓から見える医療従事者の姿。防護服を身につけ、外国人が宿泊しているホテルの廊下を消毒中。医療隔離措置期間中の中国上海。2021年8月12日。© AP Photo/Andy Wong
世界の大多数の人々にとっては、Covidは終結している。私たちは次の段階に進むことに成功した。もうCovidのせいで心配したり、生活を犠牲にしたり、最も厳しい制限措置に苦しまなくてもよくなったのだ。もちろん未だに少数の地域ではそのような生活が続けられているが、世界のほとんどの人々にとっては完全に過去の出来事になった。
しかし、世界的流行が終わった後でも、去らずにしつこく残っている懸案がある。それは政治的な罪のなすりつけ合戦だ。ここ数日、米国政府は再び「研究所漏洩説」という陰謀論を広め、Covid-19ウイルスは武漢疫学研究所からの漏洩が起源であると主張し始めた。
これらの主張が再び出現しているのは偶然であるように見えるが、この工作は行政府のあちこちで画策されているものだ。まず、米国エネルギー省が、この件に関する報告書を発表し、その後米国の中国大使であるニコラス・バーンズが中国当局に対して、Covidの起源に対して「もっとも真摯な態度」を取るよう求め、それに続いてクリストファー・レイFBI長官も声明を出した。
問題なのは、なぜこんなことをしているのか、だ。そしてなぜ今なのか、だ。その答えは、以前と同じことなのだが、米国がこの陰謀論を武器として、中国の世論の勢いを削ごうとしていることだ。その具体的な目的は、中国が最近強調しているいくつかの問題点から、人々の目をそらそうというものだ。その中の一つが、先月(2023年2月)の貨物列車の脱線事故により米国のオハイオ州を襲った有毒物質流出事故とその事故に対するバイデン政権の不手際な対応についてだ。もうひとつは、中国によるウクライナ和平計画だ。

関連記事:ホワイトハウスはCovidの「研究所漏洩説」から距離を取った。
この3年間、米国はCovid-19の世界的流行を利用して、中国を攻撃する世論を多くの地域で醸成するための武器としていた。その目的は、あからさまに世界的流行とその後の混乱の責任を中国政府に押しつけることであり、さらに中国の流行対策を否定的なものであると決めつける目的もあった。具体的には以下のような言説だ。中国が隠蔽を行ったとしてその罪を咎め、中国はこのウイルスの世界規模での流行の責任があると主張し、中国のロックダウン措置を残忍で非人道的措置であると決めつけ、研究所漏洩説を広めたのだ。この研究所漏洩説については、信頼の置ける生物医療専門家たちからは全く真剣に取り上げられないような説である。
2023年までには、Covid-19の世界的流行による混乱や対策はついに終わりを迎えたようで、中国は「ゼロ・コロナ」措置を取りやめ、通常の日常生活への回帰に舵を切った。しかし米国の言い分ではそうではないようで、この研究所漏洩説を再度武器として使い始めた。そしてこの漏洩説は、大手メディアがすぐに広め、裏支えした。皮肉にも、この同じ報道機関が、オハイオ州での環境に対する大惨事についてはほとんど報じていないし、ノルド・ストリームが米国の本格的な関与のもとで破壊されたという信頼のおける報告についても同様だ。
言うまでもないが、この2件の事象が起こったことと併せて、研究室漏洩説が再度出現したということは、ただの偶然ではない。先日の「スパイ気球」事件により、憶測や激しい反中感情が広められたことを受けて、中国の国営報道機関や専門家たちは、米国への激しい反撃を開始した。具体的にはオハイオ州の大惨事を歯に衣着せず非難し、その惨事を利用して自国世論の攻撃対象としたのだ。そのことに加えて、中国当局は、独自の和平計画を提案することで、ウクライナの戦争の方向性に影響を与えようともしている。そしてこの方向性は、米国当局がウクライナで成し遂げようとしている目的を支持しないものであり、ウクライナに妥協を求める内容であるため、その後米国当局からは、却下されている。

関連記事:FBIが主張したCovid起源説に対する中国当局の反応
中国のこの対応に対して、米国はどう出るのか? 米国は研究室漏洩説を再燃させ、中国側の主張から目を逸らさせる作戦に出たのだ。市民に対して証拠は何も示さないまま 米国当局者たちからの人騒がせな表明は報道機関により間違いなく詳しく報じられ、その結果、国民の中国に対する憤怒の念が掻き立てられている。その後米国は、反中「ネタ」を次のものにどんどん更新していくのだ。こんな世論操作工作が止むことなく続けられるからこそ、米国当局と中国当局は、両国関係を通常化したり安定化したりできなくなっているのだ。そのせいで悪循環が生じ、両国関係が危険な状態になってしまうのだ。
結論だが、この研究室漏洩説の再来が画策されたのは、米国が世界中で流布される言説や世論を操作している手口についての決定的な証拠となっている。しかし、この画策の筋書きにおいて、米国が研究室漏洩説を利用している目的には、何か具体的な政策上の目論見がある訳ではない。例えば中国に制裁を課せるような合意形成を狙っている訳ではない。そうではなくて、米国がこのような画策を弄している目的は、オハイオ州での毒物流出事件に対する中国の集中砲火に対する仕返しとして、自国民の意識を逸らすことなのだ。この手法が上手くいくかどうかについては、議論の余地があろう。というのも、世界の人々はCovidに関する罪のなすりつけ合戦にはウンザリしているからだ。しっかりとした証拠が何も示されないままでは、この研究室漏洩説が以前ほど効果的な言い掛かりには決してならないだろうからだ。
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