ホワイトハウス記者会見で予告されていた「ノルドストーム破壊工作」:独首相も事前承認
<記事原文 寺島先生推薦記事>
Video: America is at War with Europe
ビデオ:米国はヨーロッパと戦争状態にある。
筆者:ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)
出典:Global Research
2023年2月16日
記事翻訳 <寺島メソッド翻訳グループ>
2023年2月25日

最新情報:「秘密作戦」は存在しなかった
ノルドストリームの破壊行為が「米国につながることを追跡する」ことを防ぐための「秘密作戦」は存在しなかった。
この[破壊工作の]事業は、シーモア・ハーシュが概説したように、2021年に密室で議論されていたが、このいわゆる「秘密作戦」の実際の計画は2021年12月に始まり、2022年6月には爆弾の仕込み、そして2023年9月26-27日には実際の破壊行為となった。(下の地図参照)。
2021年12月下旬、国家安全保障顧問のジェイク・サリバンは、ロシアの戦争準備に関わる「新たに結成された特別委員会」(統合参謀本部、CIA、国務省、財務省)と称される会議を開催した。
その中で、ノルドストリームに関してどのような行動を取るべきか、議論が交わされた。「CIAは、何をするにしても、秘密裏に行わなければならないと主張した。特別委員会関係者は皆、危険の度合いを理解していた」。
この「秘密作戦」とされる作戦の時系列を簡単に見てみよう。2021年12月下旬~2022年6月~2022年9月26日~27日:9ヶ月の期間。
2021年12月下旬:「(省庁間)特別委員会」が新たに発足 「新たに発足した(省庁間)特別委員会」がジェイク・サリバン国家安全保障顧問により招集された。
2022年初頭:秘密作戦が想定された。CIAは特別委員会に報告した。「パイプラインを爆破する方法がある」と。それは「追跡不可能な」爆破の方法だった。
その1ヵ月後。
2022年2月7日:ホワイトハウスでドイツのオラフ・ショルツ首相(米国を公式訪問中)と共に記者会見、バイデン大統領は次のように発言する:
ロシアが侵攻した場合、「ノルドストリーム2はなくなる」
2022年6月10日:(おおよその日付)
水中での爆弾の仕込み。バイデンは「いつでも爆発させられる権利、つまり私たちから遠隔操作でいつでも爆弾を作動させる権利が欲しかった」のです。
2022年9月26日~27日
バルト海のボーンホルム島近くで6個の爆弾が水中で爆発し、ノルドストリーム1、2の4本の主要パイプラインのうち3本を破壊(S・ハーシュ、上記地図参照)。
2022年2月7日のバイデン=ショルツ・ホワイトハウス記者会見
本記事にリンクされている記者会見のビデオをご覧ください。ホワイトハウスによる文字起こしもあります。
「秘密」は何もなかった。 バイデン大統領とショルツ首相によるノルドストリームに関する公的な発言は、極めて明確である。
アンドレア(ロイター)質問:ありがとうございます、大統領。 そして、ショルツ首相、ありがとうございました。 大統領、私は、あなたが長い間反対してきたこのノルドストリーム事業についてお聞きしたかったのです。今、あなたはそのことに言及しませんでしたし、ショルツ首相も言及しませんでした。今日、ショルツ首相から、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ドイツは実際にこの事業から手を引くという確約を得たのですか? また、「侵略」の定義がどのようなものになりうるか議論したのでしょうか。
バイデン大統領:まず、最初の質問です。 もしドイツが--ロシアが―つまり戦車や軍隊が再びウクライナの国境を越えて―侵攻してきたら、私たちは―もはやノルドストリーム2は存在しないことになる。 私たちはそれに終止符を打つでしょう。
質問:しかし、事業)とその支配権はドイツの管理下にあるのですから、具体的にどのようにするのでしょうか?
バイデン大統領:私たちは、約束します、必ずできます。 (ホワイトハウス記者会見、強調は著者)
「その事業はドイツの支配権の範囲内」
オラフ・ショルツ首相は、バイデン氏のノルドストリーム2から手を引く決定に関して、ロイター通信の記者に回答している。
アンドレア(ロイター) [シュルツに対する]質問:そして、あなたは今日 – ノルドストリーム2を止めて、その事業から手を引くことを今日明言しますか? あなたはそれに言及しませんでしたし、言及していませんね。
ショルツ首相:すでに申し上げたように、我々は共に行動しており、絶対に団結しており、異なる行動をすることはありません。私たちは同じ行動をとり、それらはロシアにとって非常に、非常に困難なものであり、彼らはそれを理解するはずです。(強調は著者)
記者の質問をさりげなく無視する。ノルドストリームは、シュルツが政府の長であるドイツの「支配下」にある。ショルツ首相はワシントンの要求を完全に守り、政治的な代理人として行動している。「我々は異なる手段をとることはない」と彼は言う。
上記のショルツ首相の回答をお読みください。ドイツは米国の「半植民地」になってしまったのでしょうか?
ホワイトハウスの記者会見で公表された「秘密作戦」
バイデン氏の記者会見での発言は、ドイツのショルツ首相に支持され、いわゆる「秘密作戦」が展開され、米国の攻撃が「追跡不可能」であるという考え方を無効とするものです。
「バイデンとヌーランドの軽率な行動は、それが何であれ、計画者の何人かをいらだたせたかもしれない。しかし、それはまた好機でもあった。情報筋によると、CIAの高官の何人かが判断したことは、パイプラインを爆破することはもはや秘密の選択肢とは見なされない、なぜなら大統領がその方法を知っていると発表したばかりだからということでした」。(シーモア・ハーシュ)
これは、ジョー・バイデンの失態ではなかった。大統領とヌーランドを含む彼の政治的側近が、ノルドストリームに対する米国の破壊行為が(ドイツ政府の支持を得て)想定されていることを知らしめた政治的決断であったのだ。(下記記事の分析参照)
バイデンの公式声明は、計画された破壊工作が「ホワイトハウスまで追跡可能」であることを事実上認めている。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。
バイデンの声明は、2022年6月に実行されたいわゆる秘密破壊行為の数カ月前に、ドイツのショルツ首相のお墨付きを得て策定されたものである。
何人かの分析家やジャーナリストは、「誰が破壊工作に責任があるのか」について熟考している。これはナンセンスな行為だ。答えは明らかだ。ドイツのオラフ・ショルツ首相と協議している米国大統領だ。
バイデン大統領の2022年2月7日の宣告は、破壊行為の実行に「ゴーサイン」を出したのである。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。破壊工作を行った者たちは、ドイツ連邦共和国政府のお墨付きで、ホワイトハウスから発せられた指示を実行に移したのだ。
私の論文にあるように、ノルドストリームの破壊工作は、ドイツと欧州連合に対する米国の戦争行為であった。
そして、ドイツの首相は、ノルドストリームに対する破壊行為が、4億人以上のヨーロッパの人々の不利益になるように、米国によって想定されていたことを十分に認識していたのである。(以下の分析参照)。この点で、オラフ・ショルツ首相が米国の戦略を受け入れたことは、反逆の行為であった。
2023年2月16日付
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「米国はヨーロッパと戦争状態にある」
ミシェル・チョスドフスキー著
グローバルリサーチ
2023年2月12日
------------------------------------------------------------
情報筋によれば「この画策をしていた間ずっと、CIAと国務省の一部の職員は、“こんなことはするな。バカバカしいし、表に出れば政治的な悪夢になる”と言っていた」という。
「これは子供だましではない」と、その情報筋は言った。もしこの攻撃が米国に帰することが出来るのであれば、「それは戦争行為だ」と。
(「どのようにして米国はノルドストリームのパイプラインを破壊したのか」セイモア・ハーシュ2023年2月8日、強調は著者)
展開する「政治的悪夢」
ノルドストリームはジョー・バイデン大統領が命じた破壊行為の対象であったことを、証拠が十分に裏付けている。
ノルドストリームは、ロシアからEU加盟国4カ国の領海を通過している。国際法では、「領土保全」は、国家の領海内にある「財産」にも及ぶ。
法的な観点(国際法:国連憲章、海洋法)から、これはEUに対する米国の戦争行為であった。
外国人行為者によって、または外国人行為者のために、一国の領海内の当該「財産」を意図的に破壊することは、戦争行為に該当する。
ドイツのピーター・フランク検事総長は、綿密な調査で、次のように確認した。
「ノルドストリームのガスパイプラインの破壊について、ロシアを非難する証拠はない」。
ロシアでないとすれば、誰が背後にいるのか?
ピーター・フランク検事総長によると:
「外国人による破壊行為があったという疑いは、今のところ立証されていない」。
ピーター・フランクは、米国大統領の役割(十分に確認されている)をさりげなく打ち消している(後述)。
ノルドストリームの破壊工作は「追跡可能」。それはEUに対する経済的、社会的戦争行為である。
米国の破壊行為と制裁体制は、EU全域に社会的大混乱と苦難を引き起こした。エネルギー価格の上昇に端を発したインフレは、高騰を続けている。人々は暖房費を払うことができず、凍えている。
メディアの報道では、米国の妨害行為が社会的、経済的にどのような影響を及ぼしているのかを認めていないが、EUの公式情報筋は(その原因には触れずに)次のように確認している。
「エネルギーに窮している国民の数は1億2500万人(全人口の28%)に達する可能性がある」。
ヨーロッパは前例のない債務危機を経験している。福祉国家は解体されつつある。
EU経済の不安定化
ロシアからの安価なエネルギーに依存してきたEU経済は、工業生産(製造業)、輸送、商品貿易の構造全体の崩壊が顕著で、混乱状態にある。
解雇や失業をもたらす企業倒産がEU全域で相次いでいる。中小企業は地図から消え去る予定である。
「エネルギー価格の高騰がドイツの産業を苦しめている」...
「ドイツの製造業は、同国の経済生産の5分の1以上を占めているが、一部の企業が危機を乗り越えられないことを懸念している。...」
「フォルクスワーゲン(VLKAF)やシーメンス(SIEGY)といった業界の巨大企業も供給網の障害に悩まされているが、(エネルギー価格上昇の)衝撃に耐えられないのは、ドイツのおよそ20万社の中小製造業者である」。
「これらの企業は、ドイツの経済生産の半分以上と雇用の3分の2近くを占める260万社の中小企業「ミッテルシュタンド」[中堅企業]の重要な構成要素である。その多くは家族経営で、農村地域に深く根ざしている」。
ジョー・バイデン氏に感謝
記者会見(2022年2月)で「バイデンが秘密を漏らした」。
「あなたたちに約束します。私たちはそれができます。」と、ジョー・バイデンが述べた。
ジョー・バイデン:「ノルドストリーム2は、なくなるだろう。」
「政治家集団」の大逆罪
米国は、もはやEUの「同盟国」ではない。全く逆である。EUに対する破壊行為における米国の陰湿な役割は、十分に立証されている。疑う余地もない。
一方、EUの腐敗した政治家たちは、ロシアを非難するだけでなく、米国と協力し、ワシントンの利益のためにEUの破壊のための舞台を整えているのである。
彼らは、「敵と寝て」欧州の人々に害を与えているのである。
反逆罪とは、外国の権力者のためにヨーロッパの高位にある政治家が行う裏切り行為であり、さまざまな手段でEU全域に経済的・社会的混乱を積極的かつ意図的に引き起こしている。米国はEUの同盟国ではない。全く逆である。ワシントンは、腐敗した政府高官の支援を受けて、ヨーロッパに対して戦争を仕掛けているのだ。それは反逆の行為だ。
必要なのは、EU全体の「政権交代」であり、腐敗した政治家に対する刑事訴追である。
マスコミの反応
英紙デイリー・メール(2023年2月9日付)によれば、次のようになる。
ピューリッツァー賞受賞の調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、米海軍のダイバーがジョー・バイデン大統領の命令でパイプラインを爆発物で破壊したという未確認の情報源を引用している。
ロイターは、この疑惑の裏付けを取ることができなかった。ホワイトハウスは、「全くの虚偽であり、完全なでっち上げである」と断じた。ノルウェー外務省は、この疑惑は「ナンセンス」であると述べた。
メディアによれば、「フェイクニュース」ということだ。
ホワイトハウスが「完全なでっち上げ」と言っているが…
2022年2月のテレビニュースでのインタビューで、米国大統領は、必要であればノルドストリームに対して行動を起こすことを認めた。この発言は、ロシアの侵攻の3週間前になされたものである。
ジョー・バイデン大統領:「もしロシアが侵攻してきたら、それは戦車と軍隊が再びウクライナの国境を越えることを意味し、その時はもうノルドストリーム2は存在しないでしょう」。
記者:「しかし、このノルドストリームの事業はドイツの管理下にあるので、具体的にどのようにするのですか?」
バイデン: 「やります。約束します。私たちにはそれができます。」(強調は著者)
バイデン大統領の記者会見
動画:ミシェル・チョスドフスキーへのキャロライン・メイユーのインタビュー *原サイトからご覧ください。(訳者)
Video: America is at War with Europe
ビデオ:米国はヨーロッパと戦争状態にある。
筆者:ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)
出典:Global Research
2023年2月16日
記事翻訳 <寺島メソッド翻訳グループ>
2023年2月25日

最新情報:「秘密作戦」は存在しなかった
ノルドストリームの破壊行為が「米国につながることを追跡する」ことを防ぐための「秘密作戦」は存在しなかった。
この[破壊工作の]事業は、シーモア・ハーシュが概説したように、2021年に密室で議論されていたが、このいわゆる「秘密作戦」の実際の計画は2021年12月に始まり、2022年6月には爆弾の仕込み、そして2023年9月26-27日には実際の破壊行為となった。(下の地図参照)。

2021年12月下旬、国家安全保障顧問のジェイク・サリバンは、ロシアの戦争準備に関わる「新たに結成された特別委員会」(統合参謀本部、CIA、国務省、財務省)と称される会議を開催した。
その中で、ノルドストリームに関してどのような行動を取るべきか、議論が交わされた。「CIAは、何をするにしても、秘密裏に行わなければならないと主張した。特別委員会関係者は皆、危険の度合いを理解していた」。
この「秘密作戦」とされる作戦の時系列を簡単に見てみよう。2021年12月下旬~2022年6月~2022年9月26日~27日:9ヶ月の期間。
2021年12月下旬:「(省庁間)特別委員会」が新たに発足 「新たに発足した(省庁間)特別委員会」がジェイク・サリバン国家安全保障顧問により招集された。
2022年初頭:秘密作戦が想定された。CIAは特別委員会に報告した。「パイプラインを爆破する方法がある」と。それは「追跡不可能な」爆破の方法だった。
その1ヵ月後。
2022年2月7日:ホワイトハウスでドイツのオラフ・ショルツ首相(米国を公式訪問中)と共に記者会見、バイデン大統領は次のように発言する:
ロシアが侵攻した場合、「ノルドストリーム2はなくなる」
2022年6月10日:(おおよその日付)
水中での爆弾の仕込み。バイデンは「いつでも爆発させられる権利、つまり私たちから遠隔操作でいつでも爆弾を作動させる権利が欲しかった」のです。
2022年9月26日~27日
バルト海のボーンホルム島近くで6個の爆弾が水中で爆発し、ノルドストリーム1、2の4本の主要パイプラインのうち3本を破壊(S・ハーシュ、上記地図参照)。
2022年2月7日のバイデン=ショルツ・ホワイトハウス記者会見
本記事にリンクされている記者会見のビデオをご覧ください。ホワイトハウスによる文字起こしもあります。
「秘密」は何もなかった。 バイデン大統領とショルツ首相によるノルドストリームに関する公的な発言は、極めて明確である。
アンドレア(ロイター)質問:ありがとうございます、大統領。 そして、ショルツ首相、ありがとうございました。 大統領、私は、あなたが長い間反対してきたこのノルドストリーム事業についてお聞きしたかったのです。今、あなたはそのことに言及しませんでしたし、ショルツ首相も言及しませんでした。今日、ショルツ首相から、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ドイツは実際にこの事業から手を引くという確約を得たのですか? また、「侵略」の定義がどのようなものになりうるか議論したのでしょうか。
バイデン大統領:まず、最初の質問です。 もしドイツが--ロシアが―つまり戦車や軍隊が再びウクライナの国境を越えて―侵攻してきたら、私たちは―もはやノルドストリーム2は存在しないことになる。 私たちはそれに終止符を打つでしょう。
質問:しかし、事業)とその支配権はドイツの管理下にあるのですから、具体的にどのようにするのでしょうか?
バイデン大統領:私たちは、約束します、必ずできます。 (ホワイトハウス記者会見、強調は著者)
「その事業はドイツの支配権の範囲内」
オラフ・ショルツ首相は、バイデン氏のノルドストリーム2から手を引く決定に関して、ロイター通信の記者に回答している。
アンドレア(ロイター) [シュルツに対する]質問:そして、あなたは今日 – ノルドストリーム2を止めて、その事業から手を引くことを今日明言しますか? あなたはそれに言及しませんでしたし、言及していませんね。
ショルツ首相:すでに申し上げたように、我々は共に行動しており、絶対に団結しており、異なる行動をすることはありません。私たちは同じ行動をとり、それらはロシアにとって非常に、非常に困難なものであり、彼らはそれを理解するはずです。(強調は著者)
記者の質問をさりげなく無視する。ノルドストリームは、シュルツが政府の長であるドイツの「支配下」にある。ショルツ首相はワシントンの要求を完全に守り、政治的な代理人として行動している。「我々は異なる手段をとることはない」と彼は言う。
上記のショルツ首相の回答をお読みください。ドイツは米国の「半植民地」になってしまったのでしょうか?
ホワイトハウスの記者会見で公表された「秘密作戦」
バイデン氏の記者会見での発言は、ドイツのショルツ首相に支持され、いわゆる「秘密作戦」が展開され、米国の攻撃が「追跡不可能」であるという考え方を無効とするものです。
「バイデンとヌーランドの軽率な行動は、それが何であれ、計画者の何人かをいらだたせたかもしれない。しかし、それはまた好機でもあった。情報筋によると、CIAの高官の何人かが判断したことは、パイプラインを爆破することはもはや秘密の選択肢とは見なされない、なぜなら大統領がその方法を知っていると発表したばかりだからということでした」。(シーモア・ハーシュ)
これは、ジョー・バイデンの失態ではなかった。大統領とヌーランドを含む彼の政治的側近が、ノルドストリームに対する米国の破壊行為が(ドイツ政府の支持を得て)想定されていることを知らしめた政治的決断であったのだ。(下記記事の分析参照)
バイデンの公式声明は、計画された破壊工作が「ホワイトハウスまで追跡可能」であることを事実上認めている。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。
バイデンの声明は、2022年6月に実行されたいわゆる秘密破壊行為の数カ月前に、ドイツのショルツ首相のお墨付きを得て策定されたものである。
何人かの分析家やジャーナリストは、「誰が破壊工作に責任があるのか」について熟考している。これはナンセンスな行為だ。答えは明らかだ。ドイツのオラフ・ショルツ首相と協議している米国大統領だ。
バイデン大統領の2022年2月7日の宣告は、破壊行為の実行に「ゴーサイン」を出したのである。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。破壊工作を行った者たちは、ドイツ連邦共和国政府のお墨付きで、ホワイトハウスから発せられた指示を実行に移したのだ。
私の論文にあるように、ノルドストリームの破壊工作は、ドイツと欧州連合に対する米国の戦争行為であった。
そして、ドイツの首相は、ノルドストリームに対する破壊行為が、4億人以上のヨーロッパの人々の不利益になるように、米国によって想定されていたことを十分に認識していたのである。(以下の分析参照)。この点で、オラフ・ショルツ首相が米国の戦略を受け入れたことは、反逆の行為であった。
2023年2月16日付
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「米国はヨーロッパと戦争状態にある」
ミシェル・チョスドフスキー著
グローバルリサーチ
2023年2月12日
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情報筋によれば「この画策をしていた間ずっと、CIAと国務省の一部の職員は、“こんなことはするな。バカバカしいし、表に出れば政治的な悪夢になる”と言っていた」という。
「これは子供だましではない」と、その情報筋は言った。もしこの攻撃が米国に帰することが出来るのであれば、「それは戦争行為だ」と。
(「どのようにして米国はノルドストリームのパイプラインを破壊したのか」セイモア・ハーシュ2023年2月8日、強調は著者)
展開する「政治的悪夢」
ノルドストリームはジョー・バイデン大統領が命じた破壊行為の対象であったことを、証拠が十分に裏付けている。
ノルドストリームは、ロシアからEU加盟国4カ国の領海を通過している。国際法では、「領土保全」は、国家の領海内にある「財産」にも及ぶ。
法的な観点(国際法:国連憲章、海洋法)から、これはEUに対する米国の戦争行為であった。
外国人行為者によって、または外国人行為者のために、一国の領海内の当該「財産」を意図的に破壊することは、戦争行為に該当する。
ドイツのピーター・フランク検事総長は、綿密な調査で、次のように確認した。
「ノルドストリームのガスパイプラインの破壊について、ロシアを非難する証拠はない」。
ロシアでないとすれば、誰が背後にいるのか?
ピーター・フランク検事総長によると:
「外国人による破壊行為があったという疑いは、今のところ立証されていない」。
ピーター・フランクは、米国大統領の役割(十分に確認されている)をさりげなく打ち消している(後述)。
ノルドストリームの破壊工作は「追跡可能」。それはEUに対する経済的、社会的戦争行為である。
米国の破壊行為と制裁体制は、EU全域に社会的大混乱と苦難を引き起こした。エネルギー価格の上昇に端を発したインフレは、高騰を続けている。人々は暖房費を払うことができず、凍えている。
メディアの報道では、米国の妨害行為が社会的、経済的にどのような影響を及ぼしているのかを認めていないが、EUの公式情報筋は(その原因には触れずに)次のように確認している。
「エネルギーに窮している国民の数は1億2500万人(全人口の28%)に達する可能性がある」。
ヨーロッパは前例のない債務危機を経験している。福祉国家は解体されつつある。
EU経済の不安定化
ロシアからの安価なエネルギーに依存してきたEU経済は、工業生産(製造業)、輸送、商品貿易の構造全体の崩壊が顕著で、混乱状態にある。
解雇や失業をもたらす企業倒産がEU全域で相次いでいる。中小企業は地図から消え去る予定である。
「エネルギー価格の高騰がドイツの産業を苦しめている」...
「ドイツの製造業は、同国の経済生産の5分の1以上を占めているが、一部の企業が危機を乗り越えられないことを懸念している。...」
「フォルクスワーゲン(VLKAF)やシーメンス(SIEGY)といった業界の巨大企業も供給網の障害に悩まされているが、(エネルギー価格上昇の)衝撃に耐えられないのは、ドイツのおよそ20万社の中小製造業者である」。
「これらの企業は、ドイツの経済生産の半分以上と雇用の3分の2近くを占める260万社の中小企業「ミッテルシュタンド」[中堅企業]の重要な構成要素である。その多くは家族経営で、農村地域に深く根ざしている」。
ジョー・バイデン氏に感謝
記者会見(2022年2月)で「バイデンが秘密を漏らした」。
「あなたたちに約束します。私たちはそれができます。」と、ジョー・バイデンが述べた。
ジョー・バイデン:「ノルドストリーム2は、なくなるだろう。」
「政治家集団」の大逆罪
米国は、もはやEUの「同盟国」ではない。全く逆である。EUに対する破壊行為における米国の陰湿な役割は、十分に立証されている。疑う余地もない。
一方、EUの腐敗した政治家たちは、ロシアを非難するだけでなく、米国と協力し、ワシントンの利益のためにEUの破壊のための舞台を整えているのである。
彼らは、「敵と寝て」欧州の人々に害を与えているのである。
反逆罪とは、外国の権力者のためにヨーロッパの高位にある政治家が行う裏切り行為であり、さまざまな手段でEU全域に経済的・社会的混乱を積極的かつ意図的に引き起こしている。米国はEUの同盟国ではない。全く逆である。ワシントンは、腐敗した政府高官の支援を受けて、ヨーロッパに対して戦争を仕掛けているのだ。それは反逆の行為だ。
必要なのは、EU全体の「政権交代」であり、腐敗した政治家に対する刑事訴追である。
マスコミの反応
英紙デイリー・メール(2023年2月9日付)によれば、次のようになる。
ピューリッツァー賞受賞の調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、米海軍のダイバーがジョー・バイデン大統領の命令でパイプラインを爆発物で破壊したという未確認の情報源を引用している。
ロイターは、この疑惑の裏付けを取ることができなかった。ホワイトハウスは、「全くの虚偽であり、完全なでっち上げである」と断じた。ノルウェー外務省は、この疑惑は「ナンセンス」であると述べた。
メディアによれば、「フェイクニュース」ということだ。
ホワイトハウスが「完全なでっち上げ」と言っているが…
2022年2月のテレビニュースでのインタビューで、米国大統領は、必要であればノルドストリームに対して行動を起こすことを認めた。この発言は、ロシアの侵攻の3週間前になされたものである。
ジョー・バイデン大統領:「もしロシアが侵攻してきたら、それは戦車と軍隊が再びウクライナの国境を越えることを意味し、その時はもうノルドストリーム2は存在しないでしょう」。
記者:「しかし、このノルドストリームの事業はドイツの管理下にあるので、具体的にどのようにするのですか?」
バイデン: 「やります。約束します。私たちにはそれができます。」(強調は著者)
バイデン大統領の記者会見
動画:ミシェル・チョスドフスキーへのキャロライン・メイユーのインタビュー *原サイトからご覧ください。(訳者)
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