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ラブロフ露外相インタビュー:地政学的戦い、ウクライナ、そしてアメリカ例外主義

<記事原文 寺島先生推薦>

Geopolitical battles, Ukraine, and US exceptionalism: Highlights from Lavrov’s big interview
The Russian foreign minister sat down for a discussion on a wide range of issues

露外相、広範囲にわたる問題についての議論のテーブルに。

出典:RT

2023年2月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月21日

ラブロフ

モスクワで、ロシヤ・セゴドニャ国際メディアグループのドミトリー・キセレフ事務局長とのインタビューで話すセルゲイ・ラブロフ外相。© Sputnik/Grigory Sysoev



 モスクワはワシントンとの地政学的闘争に巻き込まれており、ウクライナ危機がその最前線にあると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が述べた。同外相は、西側諸国は敵対関係の終結に乗り気ではないと付け加えた。

 ラブロフは、2月2日(木)日に行われたロシア国営メディアの多項目に亘るインタビューで、米国がEUの独立性の一切合切を奪っていると非難し、この発言を行った。

以下は、ラブロフ外相テレビインタビューでの主要な発言


1.ウクライナは地政学的戦いの震源地

 西側諸国は、制裁によってロシアを無力化し、「後退の10年」をもたらそうとしている、とラブロフは述べ、ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の言葉を引用した。

 「我々は地政学的な戦いの中心にいる。それは間違いない」と外相が述べた。

 ウクライナで戦うロシア兵は「英雄」であり、「その行為は、米国の完全な覇権のための条件がまったく存在しなくなる人類の未来のためのものだ」とラブロフは付け加えた。


2.米国の例外主義的信念

 米国は欧州の政治家を「服従させ」、EUから「独立の最後の痕跡すら」奪った、とラブロフ外相は主張した。米国が主張する「民主主義」とは、「民主主義がどのようにあるべきかを他者に押し付ける権利」に他ならない、とラブロフは述べた。

 ロシア外相は、ワシントンが他国に圧力をかけて言いなりにさせ、順守しても何の利点もなく、反対者には罰を与えると脅していると主張した。彼は、このやりかたを「プラグマティズム*の頂点であると同時に、シニシズム**でもある」と呼んだ。
* ドイツ語の「pragmatisch」という言葉に由来する、実用主義、道具主義、実際主義とも訳される考え方。(ウィキペディア)
** 他人の動機に対する一般的な不信感を特徴とする態度。野心、欲望、貪欲、満足感、物質主義、目標、意見などの動機を持つ人々に対して一般的な信念や希望を抱かず、それらを虚しく、達成することのできない、究極的には無意味なものであると認識し、嘲笑や非難に値すると考える。(同上)



 ラブロフによれば、米国の外交政策の核心は、米国の例外主義とワシントンの「無謬性と優越性」に対する信念であるという。


3.ウクライナにおける西側の意図

 ウクライナ紛争が激化し続けているのは、米国を中心とする西側諸国が「自分たちの覇権に対する脅威を排除したと結論づけるまで」止めようとしないからだとラブロフは主張した。ロシアを代表する外交官であるラブロフによれば、キエフは西側諸国によって、モスクワとの和平を求めることを禁じられている。

 「ウクライナ大統領ウラジーミル・ゼレンスキーがロシアとの交渉を法律で禁止したとき、誰も異議を唱えなかった。彼が...ロシアで誰が決定し、誰と話すべきかがわからないと主張しても誰も彼を叱らなかった」。

 ゼレンスキーは、欧米に支配され、操られていることを恥ずかしく思い、心理学で言う「投影」*に陥っているのだろう、とラブロフは示唆した。
* 心理学で、考え方や行動に心の内面が表現されること。自分の性質を他人の性質にしてしまうこと。投射。(デジタル大辞泉)


4.次の「反ロシア」

 ラブロフは、次に「反ロシア」になりうる国はどこか、との質問を受けた(「反ロシア」はロシア指導部が現在のウクライナを表現するのに使っている言葉である)。モルドバは、マイア・サンドゥ大統領の性格から、その役割を担わされる可能性があると述べた。

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 サンドゥは「自由や民主主義とは程遠い特殊な方法で国の舵取りをさせられている」とラブロフは評した。「彼女はルーマニアの市民権を持ち、(モルドバを)ルーマニアと合併させる準備ができており、ほとんど何でもすることができる」。さらに、サンドゥは「駆け足でNATOに加入しようとしている」とラブロフは主張した。

 ジョージアは、サーカシビリ前大統領の時代には、この表現がぴったりだったが、トビリシ*の現政権は、まずは、国益を最優先していると、ラブロフは付け加えた。
* ジョージア(旧グルジア)の首都


5.ウクライナへの支援は必要ない

 ロシアが加盟する地域防衛グループである集団安全保障条約機構(CSTO)について、ラブロフは「ウクライナへの軍事支援を同盟国に求めるつもりはなかったし、今後も求めるつもりはない」と明言した。

 「我々は特別軍事作戦の目標を達成するため、西側が(2014年の)クーデター後にキエフ政権を通して始めたこの戦争を終わらせるために必要なものをすべて持っている 」と彼は強調した。

岸田

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6.米国が設計したグローバリズムに対する中国の見解

 ラブロフは、現在のロシアと中国の関係は過去最強であるとし、「制限も限界もなく、議論に禁止されている問題もない」と言い添えた。

 モスクワも北京も、「国際貿易の既存の規範の枠内で」国家の発展を追求したいだけなのだ。

 「中国は、自国のルールのもと、自国の領域でアメリカを打ち負かす」とラブロフは評価した。ラブロフによれば、これが、アメリカが過去に世界中に広め、利益を得た経済原則を反故にする理由である。

 モスクワの目には、現在のグローバリゼーションは「もはやプラスの特徴を持っていない」とラブロフは言い、「我々が最初にパンチを食らったので、他より早くそれに気づいた」と付け加えた。

 ロシアは、米国の影響を受けた世界金融システムや、米国が現在悪用しているその他のメカニズムへは中国よりその「没入度が低い」、とラブロフは説明した。

 中国がこうしたメカニズムへの関与を減らし、自国の利益を守るための代替手段を生み出すには時間がかかるだろうが、その方向に進んでいる、とラブロフは予測した。
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