アメリカがイランとの戦争をするのに好都合な「タンカー攻撃」
Convenient “Tanker Attacks” as US Seeks War with Iran
トニー・カタルッチ
グローバルリサーチ 2019年6月13日
ニュー・イースタン・アウトルック
(翻訳:新見明 2019年7月13日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/convenient-tanker-attacks-as-us-seeks-war-with-iran/5680510

– Brookings Institution, “Which Path to Persia?” 2009
「・・・、もしアメリカが攻撃前に、空爆を正当化するためにイランの挑発
を非難できたらさらに好都合だろう。イランの行動が、明らかに非道で
あればあるほど、致命的であればあるほど、そして正当な理由がない
ほど、アメリカにとっては好都合だ。もちろん世界の他の国々が、世界
を破滅に導くこのたなくらみを認めかったら、アメリカはイランをそのよう
な挑発に駆り立てることはきわめて難しいことだろう。」(強調あり)
ブルッキングス研究所「ペルシャへはどちらの道を?」2009年
アメリカが一方的にいわゆる核合意から離脱してから、二度目のホルムズ海峡近くの石油タンカー「攻撃」とされるものを、欧米の報道はイランと結びつけようとしていた。
ロンドン・ガーディアンの「2隻のタンカーがオマーン湾で攻撃される」という記事では、次のように主張されている。
2隻のタンカーが、オマーン湾で攻撃されたとされている。乗組員は
避難した。1ヶ月前、同様の事件として4隻のタンカーがその地域で
攻撃された。
その記事はまた主張した。
アメリカが、テヘランに「最大限の経済的圧力」を加えて、湾岸の緊張
は、この数週間沸点に近づいていた。それはテヘランに2015年核合意
交渉を再開させるための圧力だが、アメリカは去年、自分の方から離
脱したのだ。
イランは繰り返し、その事件にはまったく関与していないし、いかなる代
理勢力にも湾岸の船やサウジの石油施設を攻撃する指示を出していな
いと述べた。
ガーディアンが認めたところでは、5月の攻撃のUAEによる調査では、「精巧な魚雷」が使用されていたが、イランが犯人であることを示すには不十分であるとのことだった。
その記事はまた、ジョン・ボルトン米国家安全保障アドバイザーが、何の証拠もなしに、イランが「ほぼ確実にかかわっている」と主張している、と書いている。
全てがあまりにも好都合だ
ホルムズ海峡近くの石油タンカー「攻撃」のニュースは、アメリカによってイランが非難され、イラン経済に圧力を掛け、さらにはイランの政権を転覆しようとするワシントンが、さらなる追加制裁をするのにあまりにも好都合である。
アメリカは最近、イラン石油を買う諸国の猶予期間を終わらせたばかりだ。日本、韓国、トルコ、中国、インドなどの国々は、イラン石油を輸入し続ければ、アメリカの制裁に直面することになる。
時を同じくして、今週「攻撃された」船の一つが「日本向けの積み荷」を運んでいたと、ガーディアンは報道した。
また好都合なことに、アメリカはイラン革命防衛隊(IRGC)をテロ指定したすぐ後に、イランのせいにされるこの一連の挑発が起こってくれたのだ。
2019年5月のAPの記事「トランプ大統領は湾岸で破壊された石油タンカーで、イランに警告を与える」の中で、次のように主張している。
中東に停泊していた4隻の石油タンカーは、湾岸当局によれば、破壊
活動によって損傷を受けたということだ。しかし、火曜日のAP通信によ
る衛星画像では、船体に大きな損傷は見られなかった。
2隻のタンカーはサウジ船籍で、1隻の船はUAE船籍で、もう一つはノルウェー船籍とされる。記事はまた主張している。
ワシントンのアメリカ当局は、何の証拠も示さず、APに語った。米軍の
最初の評価は、イランもしくはその同盟者が爆発物を使用して、船体に
穴を開けたのだと。
そして、
アメリカは既に、「イランとその代理勢力」が、その地域で海上交通を
狙っていると船に警告してきた。アメリカは、テヘランからの脅威とされ、
未だ特定されない脅威に対抗するために、航空母艦やB-52爆撃機を
ペルシャ湾に派遣した。
これに続く最近のさらなる事件は、その地域で米軍の増強を続けるために、さらにアメリカによって利用されるだろう。そしてイランに圧力をかけ、全世界をイランとの戦争に向けて動かすことになる。
アメリカは、イランとその同盟軍に対する進行中の代理戦争を支援するために、既に中東に勢力を配備し、テヘランとの通常戦争を準備している。
これらのこと全ては、ワシントン支援勢力は決定的に敗北したシリアにおける代理戦争の数年後に、アメリカとイランのさらなる直接対決に向かうことになる。
それは又、10年前から行われ、どの大統領も実行してきたイランに関する長期的アメリカ外交政策の継続でもある。
ワシントンの長期計画
制裁の継続と猶予期間の消滅は、ワシントンの包括的共同作業計画(JCPOA)、又は「イラン核合意」からの一方的離脱の一部である。この合意は2015年に調印され、2018年にアメリカが離脱した。
その決定はバラク・オバマ元大統領とドナルド・トランプ現大統領の政治姿勢の違いとして描かれているが、実際は、計画の提案、調印、それからアメリカによる離脱は、長く追求されてきたイランとの戦争を正当化する手段として、2009年から詳細に計画されてきたことだ。
「ペルシャへの道:イランに向けたアメリカの戦略の選択肢」という2009年の論文で、企業支援のブルッキングス研究所は、アメリカ主導のイラン軍事侵略の陰謀を最初に認めている。
・・・イランに対するどのような軍事作戦も、世界ではきわめて不人気
で、適切な国際的文脈、つまり作戦が必要とする兵站支援を確保し、
その反動を最小限化することが求められだろう。
それからその論文は、どのようにアメリカが世界に対して平和構築者として現れるか、そして「きわめてよい取り引き」をイランが裏切ったか、だから米軍がしぶしぶ行動したという言い訳としてどのように描くかを展開している。
国際的非難を最小化し、支持を最大化する最良の方法は(たとえ不承
不承であろうと、秘密裏にであろうと)、イラン人が、素晴らしい提案を与
えてもらったのに、拒否したという認識が広まったときにのみ攻撃するこ
とだ。つまりその提案は、とても素晴らしく、一つの体制のみが核兵器を
得て、それらを間違った理由で取得することを決めたのだが、それを拒
否したのだ。これらの状況下で、アメリカ(もしくはイスラエル)は、その
作戦を悲しみに浸り、怒りではなく、少なくとも国際社会のいくつかが、
イランはとてもいい取り引きを「自ら拒否したのだ」と結論するだろう
と考えている。
そして2009年以降ずっと、これは正にアメリカが成し遂げようとしてきたことだ。
まず2015年のオバマ大統領の核合意調印からトランプ大統領の離脱の試みまでが、イランは合意を遵守しなかったという、ねつ造された主張に基づいていた。
2009年の政策論文はまた、イランを戦争に駆り立てることを論じて、次のように主張した(強調あり)。
挑発によって、(イラン)侵略の国際的かつ国内の政治的必要条件は
緩和されるだろう。そしてイランの挑発がひどければひどいほど(そして
アメリカがイランを刺激するのが少なければ少ないほど)、これらの非
難は減少するだろう。かなり恐ろしい挑発がないと、これらの必要条件
を満たすことは難しいだろう。
直接言及しなかったが、イランを戦争に駆り立てるワシントンの方法は、明らかにアメリカが単に「イランの挑発」自体をねつ造することだろう。
アメリカがベトナムでトンキン湾事件に続いてしたように、または、イラクが「大量破壊兵器」をもっているとアメリカがねつ造したように、ワシントンは挑発を挑発するだけでなく、それ自体を実行してきた経歴がある。しかしブルッキングズ論文でさえ認めているが、イランがワシントンの罠に引っかかることはありそうもないと、次のように述べている。
・・・確かに、もしワシントンがそのような挑発を追求するなら、テヘランが
そうせざるを得ないように、さらなる行動をとるだろう(このことについて、
あまりにも明白である事が、挑発を無効化するかもしれないが)。しかし、
挑発的動きをするかどうかは、イラン次第で、イランは過去に何度もそれ
らの挑発にうんざりしてるので、アメリカは、いつイランが挑発してくるか、
決してわからないだろう。
5月のUAE沖での石油タンカー破壊とされるものや、今度は今月のさらなる「攻撃」は、一連の計画された挑発の始まりであり得る。それは、最近IRGCをテロリストリストに加えて更にてこ入れすることを狙ったものだ。そしてアメリカ自体がイラン合意から離脱した後、制裁の再開して、さらなる経済的圧力を増大させることであった。
戦争への共同作業
アメリカはイランをさらに追い詰めるために、「イランの破壊」という5月の主張にてこ入れしようとした。ワシントンが望むのは、戦争か、あるいは少なくとも差し迫った戦争への脅威が、有害な経済制裁と共に、イラン内部の政治的・武力反乱を支援して、イランの政治的秩序を分断し、破壊をする共同作業をつくり出すということだ。
より広い地域的文脈でアメリカは、特にイラクでイランの影響が増していて、軍事的にはシリアで、イランやロシアが永続的・実質的足場を築き政治的敗北を経験してきた。
その後退にもかかわらず、ワシントンのテヘランに対する計画が成功するかどうかは、未だ政治的、経済的刺激を与えるアメリカの能力にかかっている。それはイランを孤立化させるために、同盟国や敵も同様に恐怖を伴って効果的に行われる。
これが成功するかどうかは疑問が残る。代理戦争とともに何十年にもわたるアメリカの制裁が、秘密裏であれ、公然とであれ、侵略はイランを粘り強いものにし、その地域でかつてよりさらに影響力をもつようになった。しかしその地域のイラン分断、破壊の種をまくワシントンの能力は、過小評価されるべきではない。
中東における米軍の圧力の意図的な増強やイランをねらった経済制裁は、アメリカの政策立案者が、イランを分断し、傷つけようとしていることを示してる。それは地政学的ねらいが達成されるまで、又は、新しい国際秩序が、中東でつくり出されるまで続くだろう。そして世界経済を通じて、イランに対する体制転覆がなされるまで続くだろう。
トニー・カタルッチはバンコクを基盤にする地政学研究者であり、著述家である。特にオン・ライン雑誌「New Eastern Outlook」に書いている。彼はグローバル・リサーチの常連寄稿者でもある。
この記事の出典はNew Eastern Outlookである。
トニー・カタルッチ
グローバルリサーチ 2019年6月13日
ニュー・イースタン・アウトルック
(翻訳:新見明 2019年7月13日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/convenient-tanker-attacks-as-us-seeks-war-with-iran/5680510

– Brookings Institution, “Which Path to Persia?” 2009
「・・・、もしアメリカが攻撃前に、空爆を正当化するためにイランの挑発
を非難できたらさらに好都合だろう。イランの行動が、明らかに非道で
あればあるほど、致命的であればあるほど、そして正当な理由がない
ほど、アメリカにとっては好都合だ。もちろん世界の他の国々が、世界
を破滅に導くこのたなくらみを認めかったら、アメリカはイランをそのよう
な挑発に駆り立てることはきわめて難しいことだろう。」(強調あり)
ブルッキングス研究所「ペルシャへはどちらの道を?」2009年
アメリカが一方的にいわゆる核合意から離脱してから、二度目のホルムズ海峡近くの石油タンカー「攻撃」とされるものを、欧米の報道はイランと結びつけようとしていた。
ロンドン・ガーディアンの「2隻のタンカーがオマーン湾で攻撃される」という記事では、次のように主張されている。
2隻のタンカーが、オマーン湾で攻撃されたとされている。乗組員は
避難した。1ヶ月前、同様の事件として4隻のタンカーがその地域で
攻撃された。
その記事はまた主張した。
アメリカが、テヘランに「最大限の経済的圧力」を加えて、湾岸の緊張
は、この数週間沸点に近づいていた。それはテヘランに2015年核合意
交渉を再開させるための圧力だが、アメリカは去年、自分の方から離
脱したのだ。
イランは繰り返し、その事件にはまったく関与していないし、いかなる代
理勢力にも湾岸の船やサウジの石油施設を攻撃する指示を出していな
いと述べた。
ガーディアンが認めたところでは、5月の攻撃のUAEによる調査では、「精巧な魚雷」が使用されていたが、イランが犯人であることを示すには不十分であるとのことだった。
その記事はまた、ジョン・ボルトン米国家安全保障アドバイザーが、何の証拠もなしに、イランが「ほぼ確実にかかわっている」と主張している、と書いている。
全てがあまりにも好都合だ
ホルムズ海峡近くの石油タンカー「攻撃」のニュースは、アメリカによってイランが非難され、イラン経済に圧力を掛け、さらにはイランの政権を転覆しようとするワシントンが、さらなる追加制裁をするのにあまりにも好都合である。
アメリカは最近、イラン石油を買う諸国の猶予期間を終わらせたばかりだ。日本、韓国、トルコ、中国、インドなどの国々は、イラン石油を輸入し続ければ、アメリカの制裁に直面することになる。
時を同じくして、今週「攻撃された」船の一つが「日本向けの積み荷」を運んでいたと、ガーディアンは報道した。
また好都合なことに、アメリカはイラン革命防衛隊(IRGC)をテロ指定したすぐ後に、イランのせいにされるこの一連の挑発が起こってくれたのだ。
2019年5月のAPの記事「トランプ大統領は湾岸で破壊された石油タンカーで、イランに警告を与える」の中で、次のように主張している。
中東に停泊していた4隻の石油タンカーは、湾岸当局によれば、破壊
活動によって損傷を受けたということだ。しかし、火曜日のAP通信によ
る衛星画像では、船体に大きな損傷は見られなかった。
2隻のタンカーはサウジ船籍で、1隻の船はUAE船籍で、もう一つはノルウェー船籍とされる。記事はまた主張している。
ワシントンのアメリカ当局は、何の証拠も示さず、APに語った。米軍の
最初の評価は、イランもしくはその同盟者が爆発物を使用して、船体に
穴を開けたのだと。
そして、
アメリカは既に、「イランとその代理勢力」が、その地域で海上交通を
狙っていると船に警告してきた。アメリカは、テヘランからの脅威とされ、
未だ特定されない脅威に対抗するために、航空母艦やB-52爆撃機を
ペルシャ湾に派遣した。
これに続く最近のさらなる事件は、その地域で米軍の増強を続けるために、さらにアメリカによって利用されるだろう。そしてイランに圧力をかけ、全世界をイランとの戦争に向けて動かすことになる。
アメリカは、イランとその同盟軍に対する進行中の代理戦争を支援するために、既に中東に勢力を配備し、テヘランとの通常戦争を準備している。
これらのこと全ては、ワシントン支援勢力は決定的に敗北したシリアにおける代理戦争の数年後に、アメリカとイランのさらなる直接対決に向かうことになる。
それは又、10年前から行われ、どの大統領も実行してきたイランに関する長期的アメリカ外交政策の継続でもある。
ワシントンの長期計画
制裁の継続と猶予期間の消滅は、ワシントンの包括的共同作業計画(JCPOA)、又は「イラン核合意」からの一方的離脱の一部である。この合意は2015年に調印され、2018年にアメリカが離脱した。
その決定はバラク・オバマ元大統領とドナルド・トランプ現大統領の政治姿勢の違いとして描かれているが、実際は、計画の提案、調印、それからアメリカによる離脱は、長く追求されてきたイランとの戦争を正当化する手段として、2009年から詳細に計画されてきたことだ。
「ペルシャへの道:イランに向けたアメリカの戦略の選択肢」という2009年の論文で、企業支援のブルッキングス研究所は、アメリカ主導のイラン軍事侵略の陰謀を最初に認めている。
・・・イランに対するどのような軍事作戦も、世界ではきわめて不人気
で、適切な国際的文脈、つまり作戦が必要とする兵站支援を確保し、
その反動を最小限化することが求められだろう。
それからその論文は、どのようにアメリカが世界に対して平和構築者として現れるか、そして「きわめてよい取り引き」をイランが裏切ったか、だから米軍がしぶしぶ行動したという言い訳としてどのように描くかを展開している。
国際的非難を最小化し、支持を最大化する最良の方法は(たとえ不承
不承であろうと、秘密裏にであろうと)、イラン人が、素晴らしい提案を与
えてもらったのに、拒否したという認識が広まったときにのみ攻撃するこ
とだ。つまりその提案は、とても素晴らしく、一つの体制のみが核兵器を
得て、それらを間違った理由で取得することを決めたのだが、それを拒
否したのだ。これらの状況下で、アメリカ(もしくはイスラエル)は、その
作戦を悲しみに浸り、怒りではなく、少なくとも国際社会のいくつかが、
イランはとてもいい取り引きを「自ら拒否したのだ」と結論するだろう
と考えている。
そして2009年以降ずっと、これは正にアメリカが成し遂げようとしてきたことだ。
まず2015年のオバマ大統領の核合意調印からトランプ大統領の離脱の試みまでが、イランは合意を遵守しなかったという、ねつ造された主張に基づいていた。
2009年の政策論文はまた、イランを戦争に駆り立てることを論じて、次のように主張した(強調あり)。
挑発によって、(イラン)侵略の国際的かつ国内の政治的必要条件は
緩和されるだろう。そしてイランの挑発がひどければひどいほど(そして
アメリカがイランを刺激するのが少なければ少ないほど)、これらの非
難は減少するだろう。かなり恐ろしい挑発がないと、これらの必要条件
を満たすことは難しいだろう。
直接言及しなかったが、イランを戦争に駆り立てるワシントンの方法は、明らかにアメリカが単に「イランの挑発」自体をねつ造することだろう。
アメリカがベトナムでトンキン湾事件に続いてしたように、または、イラクが「大量破壊兵器」をもっているとアメリカがねつ造したように、ワシントンは挑発を挑発するだけでなく、それ自体を実行してきた経歴がある。しかしブルッキングズ論文でさえ認めているが、イランがワシントンの罠に引っかかることはありそうもないと、次のように述べている。
・・・確かに、もしワシントンがそのような挑発を追求するなら、テヘランが
そうせざるを得ないように、さらなる行動をとるだろう(このことについて、
あまりにも明白である事が、挑発を無効化するかもしれないが)。しかし、
挑発的動きをするかどうかは、イラン次第で、イランは過去に何度もそれ
らの挑発にうんざりしてるので、アメリカは、いつイランが挑発してくるか、
決してわからないだろう。
5月のUAE沖での石油タンカー破壊とされるものや、今度は今月のさらなる「攻撃」は、一連の計画された挑発の始まりであり得る。それは、最近IRGCをテロリストリストに加えて更にてこ入れすることを狙ったものだ。そしてアメリカ自体がイラン合意から離脱した後、制裁の再開して、さらなる経済的圧力を増大させることであった。
戦争への共同作業
アメリカはイランをさらに追い詰めるために、「イランの破壊」という5月の主張にてこ入れしようとした。ワシントンが望むのは、戦争か、あるいは少なくとも差し迫った戦争への脅威が、有害な経済制裁と共に、イラン内部の政治的・武力反乱を支援して、イランの政治的秩序を分断し、破壊をする共同作業をつくり出すということだ。
より広い地域的文脈でアメリカは、特にイラクでイランの影響が増していて、軍事的にはシリアで、イランやロシアが永続的・実質的足場を築き政治的敗北を経験してきた。
その後退にもかかわらず、ワシントンのテヘランに対する計画が成功するかどうかは、未だ政治的、経済的刺激を与えるアメリカの能力にかかっている。それはイランを孤立化させるために、同盟国や敵も同様に恐怖を伴って効果的に行われる。
これが成功するかどうかは疑問が残る。代理戦争とともに何十年にもわたるアメリカの制裁が、秘密裏であれ、公然とであれ、侵略はイランを粘り強いものにし、その地域でかつてよりさらに影響力をもつようになった。しかしその地域のイラン分断、破壊の種をまくワシントンの能力は、過小評価されるべきではない。
中東における米軍の圧力の意図的な増強やイランをねらった経済制裁は、アメリカの政策立案者が、イランを分断し、傷つけようとしていることを示してる。それは地政学的ねらいが達成されるまで、又は、新しい国際秩序が、中東でつくり出されるまで続くだろう。そして世界経済を通じて、イランに対する体制転覆がなされるまで続くだろう。
トニー・カタルッチはバンコクを基盤にする地政学研究者であり、著述家である。特にオン・ライン雑誌「New Eastern Outlook」に書いている。彼はグローバル・リサーチの常連寄稿者でもある。
(更に読む)「アメリカはイランを脅す。「政策の見直し」計画と新体制が権力に就くまでの取り引き」 |
この記事の出典はNew Eastern Outlookである。
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