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リヤドを訪れた習近平の提案「石油を買います。支払いは人民元です。」

<記事原文 寺島先生推薦>

アラビアの習と「石油人民元」の推進

Xi Jinping has made an offer difficult for the Arabian Peninsula to ignore: China will be guaranteed buyers of your oil and gas, but we will pay in yuan.

習近平は、アラビア半島にとって無視しがたい提案をした:中国はあなたの石油とガスの買い手になることを保証するが、支払いは人民元で行う。

筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)

出典;The Cradle

2022年12月16日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月8日



写真出典:The Cradle

 一週間前にリヤドに降り立った中国の習近平国家主席はサウジ・アラビア王室の華やかな歓迎を受けた。このアラビアの習近平をペトロユアン(石油人民元)時代の幕開けを宣言した人物と認定することはとても魅力的なことだろう。

 しかし、それよりももっと複雑なことがある。ペトロユアンの動きが意味する地殻変動的な動きもさることながら、中国の外交が、とりわけ傷ついて獰猛になっている帝国に対して、直接の対決を避けているという点であまりにも洗練されているからだ。だから、ここには(ユーラシアの)目に映るよりもずっと多くのことが起こっていると言えるのだ。

 アラビアでの習近平の発表は巧妙だった。それは人民元の国際化も同封されていたからだ。習近平は、今後、中国は上海石油と国立天然ガス取引所を通じて、石油取引に人民元を使用すると述べ、ペルシャ湾の君主制諸国家に参加を呼び掛けた。世界の石油市場においては現在も、取引の80%近くがドル建てで行われている中でのことだ。

 表向きの目的は、アラビアの習近平とその高官や経済界の首脳たちからなる大規模な中国代表団が、湾岸協力会議(GCC)の指導者たちと会談し、貿易拡大を推進することだとされている。北京は、「GCCから一貫して原油を大量に輸入する」ことを約束した。また、天然ガスも同様だ。

 中国は5年前から地球上で最大の原油輸入国であり、その半分はアラビア半島から、4分の1以上はサウジ・アラビアから輸入している。リヤドでの習近平への豪華な歓迎の前奏曲として、貿易範囲を拡大し、GCC全体の戦略的/商業的な友好関係の強化を賞賛する特別論説が発表されたのも不思議ではない。そこには「5G通信、新エネルギー、宇宙、デジタル経済」もしっかりと含まれていた。

 王毅外相は、中国とアラビアの「戦略的選択」を倍加させた。300億ドルを超える貿易取引が正式に締結されたが、その多くは中国の野心的な一帯一路構想(BRI)の計画に大きく関連している。

 そして、習近平がアラビアに築いた2つの重要なつながり、BRIと上海協力機構(SCO)に話が及んだ。

アラビアにとってのシルクロード

 一帯一路構想(BRI)は、2023年に「一帯一路フォーラム」が復活し、北京によって本格的に後押しされることになる。最初の2回の半年ごとのフォーラムは、2017年と2019年に開催された。2021年には何も起こらなかった。これは中国の厳格なゼロ・コビド政策のためだったが、今やこの政策はあらゆる実用的目的のために放棄された。

 2023年は、BRIが10年前に習近平によって、まず中央アジア(アスタナ)で、次に東南アジア(ジャカルタ)で開始されたことから、ある意味を孕んでいる。

 BRIは、ユーラシア大陸を横断する複雑で多様な軌道もつ貿易/連結の推進を体現しているだけでなく、少なくとも21世紀半ばまでは中国の包括的な外交政策概念である。したがって、2023年のフォーラムでは、一連の新・再設計構想が前面に打ち出されることが予想される。その構想は新型コロナ後の債務危機の世界、とりわけ、負荷の大きい大西洋主義対ユーラシア主義の地政学・地経済圏に適応したものとなるであろう。

 もうひとつ重要なことは、習近平が12月にアラビアを訪れる前の9月に、サマルカンドに行ったことだ。それは、新型コロナ収束後に彼が行った最初の海外出張だったが、イランが正式加盟したSCO(上海協力機構)首脳会議に参加するためのものであった。中国とイランは2021年に25年間の戦略的友好関係を締結し、4000億ドルの投資を行う可能性がある。これは、中国の西アジア戦略のもう1つの柱である。

 上海協力機構(SCO)の常任理事国9カ国は、現在、世界人口の40パーセントを占めている。サマルカンドにおける彼らの重要な決定の1つは、二国間貿易、そして全体的な貿易を、自国通貨によって拡大することであった。。

 そしてこのことはさらに、リヤドと完全に同期してキルギスのビシュケクで起きていることに私たちを結びつける。すなわちそれは、ユーラシア経済連合(EAEU)の政策実施機関であるユーラシア最高経済会議が開催されたことを意味する。

 キルギスを訪れたロシアのプーチン大統領は、これ以上ないほど素直にこう言った。「相互決済における各国通貨への移行作業が加速している。共通の決済のための基礎基盤を作り、金融情報伝達のために各国の制度を統合する作業が始まっている。」

 次回のユーラシア経済最高会議は、一帯一路フォーラムに先立ち、2023年5月にロシアで開催される予定である。これらを統合すると、今後の地理経済的な進行表の輪郭が得られる。その進行表には、ペトロユアン取引(人民元建てによる石油売買)の推進と、それと平行して「共通決済のための基礎機構」、そして何より、米ドルを回避する新たな代替通貨の推進が含まれることになる。

 ユーラシア経済連合(EAEU)のマクロ経済政策責任者であるセルゲイ・グラジエフは、中国の専門家と一緒になって、まさにそれを設計しているのだ。

全面的な金融戦争

 ペトロユアン(人民元建てによる石油売買)への移行は大きな危険をはらんでいる。

 どのような深刻な地政学的ゲームの筋書においても、ペトロダラー(米ドル建ての石油売買)が弱体化すれば、50年以上続いた帝国による無銭飲食の終焉を意味することは明らかである。

 簡単に言うと、1971年、当時の「策略家ディック」リチャード・ニクソン大統領は、金本位制から離脱した。そしてその3年後、1973年のオイルショック*の後、アメリカはサウジの石油大臣、悪名高いシェイク・ヤマニに断れない提案を持ち掛けた。「我々は米国ドルであなたの石油を買い、その代わりにあなたは我々の国債と大量の武器を買い、我々の銀行に残っているものをすべて再利用してください」という提案だった。
*1973年、第4次中東戦争の際、アラブ産油国がアメリカやオランダなどのイスラエル支持に対抗して原油の原産や値上げを行い、世界経済に大きな影響を及ぼしたこと。(広辞苑)

 その合意が開始の合図となった。ワシントンは、そのとき突然に、何の裏付けもない、ヘリコプター・マネー*を無限に分配できるようになり、米ドルは、一方的に押し付けられた「規則に基づく国際秩序」に従わない30カ国に対して一連の制裁を行うことができる究極の覇権兵器となったのだ。
*米国の経済学者ミルトン・フリードマンが提唱した金融政策のひとつ。文字通り、まるで「ヘリコプターからマネー(お金・現金)をばらまく」ように、中央銀行や政府が国民に対して無条件に(制限、条件、対価等無く)現金を給付すること。(ウィキペディア等)

 この帝国主義の船を衝動的に揺り動かすことは忌み嫌われる。だから、北京とGCC(湾岸協力会議)は、ゆっくりと、しかし確実に、目立った宣伝も控えて、ペトロユアンを採用するだろう。この問題の核心は、やはり、欧米の金融カジノにお互いがさらされていることである。

 中国の場合、例えば、1兆ドルもの米国債をどうするか。サウジの場合、ペトロダラーが西側金融システムの主役である以上、イランが享受しているような「戦略的自治」を考えることは難しい。帝国がとりうる対応の選択肢には、ソフトクーデターや政権交代から、リヤドに対する衝撃と畏怖、それに続く政権交代まで、あらゆるものが含まれている。

 しかし、中国―そしてロシア―が目指しているのは、サウジ・アラビア(および首長国)の苦境をはるかに超えるものである。北京とモスクワは、石油市場や世界の商品市場といったあらゆるものが、基軸通貨としての米ドルの役割にいかに結びついているかを明確に示している。

 そしてその基軸通貨としての米ドルこそが、EAEU(ユーラシア経済連合)の議論、SCO(上海協力機構)の議論、これからはBRICS+の議論、そして西アジアにおける北京の二本立ての戦略を弱体化させることに焦点を合わせているのである。

 北京とモスクワは、BRICS*の枠組みの中で、さらにSCOとEAEUの中で、2014年のマイダン後の最初のロシア制裁と2018年に放たれた事実上の対中貿易戦争以来、その戦略を緊密に連携させてきた。
*ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ

 2022年2月にモスクワがウクライナとNATOに対して発動した特別軍事作戦が実質的に対ロシア戦争に発展した今、私たちはハイブリッド戦争の領域を超えて、全面的な金融戦争に深く踏み込んでいるのである。

急速に漂い始めているSWIFT*
* SWIFTは、国際的な銀行間の取引を行う仕組み。今回のロシア制裁では、そこからロシアを排除することが合意されている。swiftlyは「速く」の意。

 グローバル・サウス*全体は、集団的(制度的)な西側が、G20参加国の外貨準備を、それが核の超大国の外貨準備金であったとしても、横取りに等しい、凍結にすることもあるという「教訓」を学んだ。ロシアに起こったことなら、他のどの国にも起こりうることだ。もう「規則」なんて存在しないのだ。
*経済的に豊かではない「南」の国々。アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの新興国など。

 ロシアは2014年から、中国のCIPS*と並行して、自国のSPFS**決済制度を改良している。どちらも、欧米主導のSWIFT決済制度を回避するもので、中央アジア、イラン、インド各地の中央銀行でますます利用されるようになっている。ユーラシア大陸では、VISAやMastercardをやめて銀聯(ぎんれい)カードやMirカードを使う人が増えている。東南アジアで大人気のAlipayやWeChatPayもそうだ。
*中国の金融決済制度 **ロシアの金融決済制度

 もちろん、ペトロダラー、そして依然として世界の外貨準備の60%弱を占める米ドルは、一夜にして消滅することはないだろう。アラビアの習近平は、かつての「超大国」ではなく、グローバル・サウスの一部のグループによって推進されている激震の最新章に過ぎないのである。

 自国通貨と新たな世界的代替通貨での取引を優先事項の最上位に位置づけている国は、南米から北アフリカ、西アジアに至るまで、多数ある。それらの国々はBRICS+もしくはSCOへの加盟を熱望している。またその両方への加盟を望んでいる国も少なくない。

 これ以上ないほどの利害関係があるのだ。そしてそれは、従属し続けるのか完全な主権を行使するかということなのだ。そこで、この困難な時代の最高の外交官であるロシアのセルゲイ・ラブロフが国際政党間会議「主権強化の基礎としてのユーラシア選択」において最後に述べた重要な言葉を残しておこう。

 「今日の緊張の高まりの主な理由は、西側共同体が、あらゆる手段を使って、歴史的に減少しつつある、国際舞台における彼らの支配力を維持しようと頑強に努力していることである.....経済成長、財政力、政治的影響力という独立した中心が強くなるのを妨げることは不可能である。その中心は、私たちの共通の大陸であるユーラシア、ラテンアメリカ、中東、アフリカに出現しているのだ。

 みなさん、お早くご乗車願います。独立主権列車が出発します。
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