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ウクライナ戦争最前線。戦闘面と経済面から考察。

<記事原文 寺島先生推薦>

Ukraine: Counter Artillery War – Financial Disaster

ウクライナ:対砲撃戦-金銭面での大惨事

筆者:アラバマの月(Moon of Alabama)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年12月28日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年1月4日

 今年(2022年)の中旬以来明らかになったことは、ウクライナでの戦争は、主に砲撃戦だということだ。

 ウクライナはこの戦いにおいて明らかに負けている。というのも、砲弾の量において、ロシアはウクライナが利用できる量の8倍の砲撃を発射している。それに対して米国と欧州諸国が、介入してきた。120ほどのM777榴弾砲と、砲兵武器で満杯にした多くのトラックが、ウクライナ軍に送られた。何百トンもの砲弾が運ばれた。米国と米国のいくつかの同盟国は、大砲の飛行範囲以上の武器を発射できるHIMARS(高機動ロケット砲システム)を供給した。

 ウクライナ側のこの体制に、ロシア軍は対応した。ロシア軍は、兵站組織と指揮組織を分配することで、HIMARSの標的を制限させる策に出た。さらにロシア軍は、電子戦の使用を強化し、ウクライナ軍が、標的を見つけるために使用しているドローンを撃ち落とした:

 電子戦術により、ウクライナ側の無人航空戦闘機が果たしてきた機能が阻害された。この戦闘機を使った戦術は戦争勃発当初の数ヶ月間は、キーウ側でもっとも効果的な戦術のひとつだった。 ウクライナ側は、優れた情報活動に頼っていたのだ。それを大きく支えていたのは、UAV(無人戦闘航空機)だった。それによりウクライナ側は、ロシアと比べてより小型の武器類しか所有していないが、その武器の精度を上げ、大きな銃口やロケット発射装置のある武器をもつロシアと対抗できていたのだ。

 しかし、ロシアによる電子戦により、これらのドローンの操縦や通信が妨害され、ウクライナ側が頼みの綱にしていた精度の高い攻撃が不可能になった。ロシア側にとっては、「(ウクライナ側の攻撃の)精度が落ちたことは、部隊の生存にとって決定的だ」と、専門家であるミハイロ・ザブロツキー氏、ジャック・ワトリング氏、オレクサンドル・ダニリューク氏、ニック・レイノルズ氏が、ロンドンの英国王立防衛安全保障研究所に出した論文の中で書いている。

 「クワドコプター(4個の回転軸を持つドローン)の平均耐性期間は、約3回の飛行だった」とザブロツキー氏、ワトリング氏、ダニリューク氏、レイノルズ氏は記載している。 「翼が改良された無人戦闘航空機の平均耐用期間は約6回の飛行になり」、「総計すれば、無人戦闘航空機による作戦が成功したのは3分の1程度だと言われている」


 ウクライナ側の武器の正味の戦闘能力が低下したため、より狙いやすい対象に、標的が変えられることになった。11月下旬から、ウクライナ側は砲撃やミサイルによるドネツク市内への爆撃を再び強化し始めた。ドネツク市内には、軍事施設や兵舎さえほとんど存在しないので、この攻撃は明らかに一般市民を標的にしたものだった。

ドネツク市内の打撃状況を示す「西側が提供した」地図
12月1日


12月5日

12月18日


(以下は訳者による参考画像)


朝日新聞のサイトより

https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ6F6D2HQ6FUHBI015.html


 ロシア語紙は、ウクライナ側の大虐殺により一般市民の犠牲者が出たと報じている。ドネツク共和国の政治当局の代表者は、この脅威に対して緊急作戦を取るよう求めている。

 厳しく包囲された前線においては、その前線を速やかに突破し、前線の向こう側にいる砲兵を捕らえることは不可能なので、ロシア軍は別の戦略を取った。ドネツク周辺のウクライナ軍による砲撃に対する攻撃に備えて、特殊組織が立ち上げられた。より多くの対砲撃レーダーが運び込まれた。発射場所を探索するため、衛星画像の分析も増やされ始めた。さらにより広範囲に対応できる対砲撃用砲台の数も増やされた。

 ここ10日間で、この作戦は大きな効果を見せ始めた。ロシア国防省からの最近の日報の多くは、この対砲撃作戦について焦点が当てられている。以下は、昨日(12月27日)の報告からである:

 対砲撃戦において、米国製M-777砲が一機発見され、操縦士と共に破壊された。場所は、ネタイロヴォ市近辺で、その操縦士はドネツクの住宅街を砲撃していた。もう1機のM-777砲がプレドラジェンカ(ザポリージャ地域)の近辺で破壊された。

 ウラガンMLRS(複数発射ロケット発射機)一機とグラートMLRS二機が、ネフスコエ(ルガンスク人民共和国)とゼベルスク(ドネツク人民共和国)近辺で破壊された。

 ウクライナ2S1グヴォズジーカ自走榴弾砲が、クラスノゴロフカとプレチストフカ(いずれもドネツク人民共和国)近辺の発射場所付近で破壊された。

 4機のMsta-B榴弾砲と2機のD-20榴弾砲がクピャンスク(ハルキウ州)、ベリカヤ・ノヴォショールカ(ドネツク人民共和国)、ノヴォグリゴローフカ(ルガンスク人民共和国)緊急で破壊された。

 航空防衛設備が、オルギンカとグセルスコエ(いずれもドネツク人民共和国)とペレモジノエ(ヘルソン州)で、ウクライナの無人戦闘航空機を3機撃ち落とした。

 加えて、コストグリゾヴォ(ヘルソン地域)で1機のウラガンMLRS(複数発射ロケット発射機)が、デバルツェボ(ドネツク人民共和国)で、3機の米国製HARM(高速対レーザー)ミサイルが、迎撃された。


 以下は今日(12月28日)の報告だ:

 対砲撃戦において、ドネツク市内の住宅街を砲撃していた、2機の米国製M-777砲と1機のドイツ製FH-70榴弾砲が、クラスノゴロフカ(ドネツク人民共和国)近辺の発射場所付近で破壊された。

 グラード多発ロケット用の3機のウクライナの戦闘機がセベルスク近辺で破壊された。

 3機のウクライナMsta-B榴弾砲が、 ペトロパブロフカ(ヘルソン州)、ベレストヴォエ(ドネツク人民共和国)、 チェルノバエフカ(ヘルソン州)付近で破壊された。

 ウクライナのD-20榴弾砲とD-30榴弾砲が、ゲオルギエフカとマリンカ(いずれもドネツク人民共和国)近辺で破壊された。


 別の報告によれば、敵機を検出して標的を定め反撃砲を発射するまでの所要時間は2分以内だという。 M-777榴弾砲の砲弾の設置と交換には、最大限の人員ときちんと訓練を受けた乗組員がいても最低3分はかかる。つまり、レーダーがウクライナ側のM-777榴弾砲からの発射を検出すれば、砲の準備がなされる前にロシア側は反撃できるのだ。

 この対砲撃作戦は、完全に成功していると言える。ウクライナがドネツク市内に最後に砲撃を行ったのが、12月23日であると報じられている。この作戦は、ウクライナ側が大砲を使い果たすまで、続けられることになるはずだ。今までのところ、ウクライナ側は「西側陣営」が生産できるよりも多くの砲弾を発射している:

 「控えめに見ても、ウクライナ側の砲弾の使用は、おそらく月に9万発くらいです」とバージニア大学の研究所のひとつであるC.N.A.のロシア研究部長であるマイケル・コフマンは、「破綻した戦争」というポドキャストの番組で、先週(12月第4週)に語っていた。さらに、「この数は、現在西側のどの国でも生産できる数を超えています。つまりこれらの砲弾はすべて在庫から使われているということです。銀行預金からお金を引き出しているのと同じようなものです」とも語っていた。

 ウクライナ側で、使える大砲の数が減れば、必要となる新しい砲弾の数も減ることになる。

 このことは、前線の要塞に兵を送りんでいるウクライナ側にとって良くない知らせだ。ウクライナ側が激しく打ち込んでいる砲弾のせいで、今でも既に大きな損失を出している状況が悪化するしかないからだ。この先、いつかの時点のどこかで、前線が破られ、ロシア軍が前進できる余地が生じることになるだろう。

 現在の戦闘は、アルテモフスク(バフムート)近辺に集中している。この都市を保持するために、ウクライナ側の司令官は、予備の武器を投与している。



 ロシアによる止むことのない砲撃のもと、現在バフムート内部と後方に配置されている(ウクライナ側の)16の旅団がひとつずつ粉砕されていくだろう。この戦闘の速度は緩慢で、ロシア側から見て、前線はごくわずかずつしか進まないものだ。しかし、ウクライナを非武装化するという観点において、非常に効果的な戦術だ。戦力の差が明らかなこの砲撃戦のために、ウクライナ側の損失は、ロシア側の損失と比べて何倍もの量になるだろう。

 経済面においては、ウクライナ側は既に戦いで敗れている。ウクライナは、「西側」各国政府からの借金で何とかやり繰りして、今後この借金を返済することはきっと不可能だろう:

 ウクライナ政府はこの戦争中に債券市場で金を工面しようと必死になっていて、ウクライナが集めた以上の金を投資家たちに支払っている、とウクライナ中央銀行は声明を出し、ウクライナが海外からの支援に深く依存している状況を指摘している。

 今年のウクライナ経済は約4割悪化するという見通しが出されており、税収入を使い果たし、 以前計画されていた、経済発展のために使われる予定の支出はずっと延期されている。12月26日(月)に出された中央銀行の声明によると、戦争によるウクライナの金融面のあまり見えていない停滞を指摘している。それは、 市場で金の工面ができなくなっている点だ。2月24日のロシア侵攻以来、ウクライナは戦争前までに溜まっていた借金の借り換えができていない。ウクライナは、当時債券市場で集めた以上の金を投資家たちに払っていたと、中央銀行は発表している。

 これら全ての要因のために、ウクライナの財政は、米国や欧州連合や欧州諸国がそれぞれ差し出す援助や、それ以外の支援者たちに深く依存する形態になってしまったのだ。そうでなくとも、ウクライナの財政は独立後の最も良かった時期でも不安定さを見せていたからだ。

 米国の統制下にある国際通貨基金(IMF)でさえ、ウクライナというブラックホールにこれ以上金を投入する気はないようだ。

 ウクライナ国会が承認した来年の予算案には、約360億ドルの負債も含まれている。支出の約半分は軍事や警察など軍事費関連だ。今年の赤字はもっと高くなっており、月に約50億ドルだ。長期にわたり、独立後、金融危機に見舞われたウクライナを支援してきた国際通貨基金は、この戦争中、大規模な融資の継続から手を引いている。

 「IMFが懸念しているのは、負債の持続可能性です」と語るのは、元経済相でキーウ経済大学のティモフィ・ミラヴァロフ教授だ。「IMFが負債の持続可能性や金融危機を懸念しているとしたら、民間の投資家たちがどう考えているかは想像がつくでしょう。」


 逆に、ロシアとの国際貿易は、今年活況を呈しており、ロシアの財政状況は、先日プーチン大統領が語った通り、「西側」よりも良いようだ。

 まず、予想されていた経済崩壊は起こりませんでした。確かに、私たちは経済が停滞すると発表していましたが、再度その数値を申し上げます。ある約束が、いや予見や希望と言った方がいいかもしれませんが、ありました。それは、ロシア経済は縮小するというものでした。ロシアのGDPは、20%かそれ以上の20%~25%低下するとしていた人々もいました。確かにGDPは下がりましたが、その低下率は20%~25%ではありませんでした。実際は2.5%で済んだのです。これがひとつです。もうひとつは、インフレの件です。申し上げた通り、今年のインフレ率は12%強で済みました。これも経済の実状を現す重要な数値のひとつです。私が思うに、この数値は多くの国々よりずっと良い数値です。G20諸国よりも良いのです。もちろんインフレは良くないことですが、他の国々と比べてインフレ率が低いということは、良いことです。

 これも先程申し上げましたが、来年のインフレ率は、4~5%に抑えることを目標に努力します。それは、最初の四半期の経済状況にもよりますが。少なくとも、私たちはそうなることを期待しています。そして今はとても良い兆候があります。インフレ率が高騰している他のG20諸国では見られない兆候です。

 失業率は3.8%と、歴史的な数値を残しています。予算が赤字なのは確かですが、今年はたったの2%で、来年もそうです。そうなれば2025年には、1%やそれ以下になることが予想されます。私たちの希望は、0.8%になることです。他の国々の状況を指摘させてください。大きく経済発展を遂げている国々も、いわゆる経済先進国についてもです。これらの国々は、我が国よりもずっと酷い赤字に苦しんでいます。米国は、5.7%だと思います。中国は7%を超えています。全ての主要国は5%以上の赤字です。しかし、我が国は、そうではありません。
 
 これは、自信を持って2023年に進むためのとても良い根拠になります。


戦争が終わる時、ウクライナの借金は信じられないほどの額になり、何世代もかけても返せないくらいになっているだろう。外国人に売れる土地も無くなっているだろうし、価値のある産業も残っていないだろう。

 「西側」による対ロ制裁戦争を思いつき、設計し、実行した人々が、実際により大きい害を与えたのは、ウクライナであり、「西側」だった。そしてその規模は予想以上だった。しかしロシアを害することは全くできなかった。こんな不手際を見せた彼らはみな、クビになってもおかしくはない。
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