ウクライナの炭疽菌研究所に見えるペンタゴンの足跡
<記事原文 寺島先生推薦記事>
The Pentagon’s Trail in Ukrainian Anthrax Labs
筆者:ミッション・ヴェルダッド(Mission Verdad)
出典: INTERNATIONALIST 360°
2022年12月2日
<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2022年12月13日

NGOの「ジュディシャル・ウォッチ(Judicial Watch--法の監視)」*が、ウクライナの炭疽菌研究所に米国が資金提供していることを明らかにする文書を入手した。
[訳注]* ジュディシャル ウォッチ( JW ) は、アメリカの保守的な活動家グループで、政府関係者による不正行為の疑いを調査するために、情報公開法(FOIA) の訴訟を起こしている。
ロシアのドンバス地方を守るための特別軍事作戦が始まる前、ウクライナにある米国の研究所の活動がどれほど危険なものであるかは、完全には明らかにされていなかった。
今、その研究所の活動が軍事的な性格を持ち、生物・毒物兵器禁止条約(BTWC)に基づく米国と協力国の義務に根本的に違反していることを示す、反論の余地のない証拠が現れている。
その問題で新たなスキャンダルが勃発した。11月10日、米国防総省の一部門である国防脅威削減局(DTRA)が所有する345ページに及ぶ記録を入手したと、「ジュディシャル・ウォッチ(Judicial Watch)」が報告したのだ。
同NGOは、情報公開法(FOIA)のおかげで情報に近づくことができた。
この文書は、これらの計画に関連する米国の請負業者であるBlack&Veatch(ブラック・アンド・ヴィーチ)社*から、ウクライナの生物安全研究所への資金提供に関わるデータを提供するものである。
[訳注]* Black & Veatch(BV)はカンザスシティ大都市圏最大のエンジニアリング(大型プラントを国内外に建設する)会社。1915年にミズーリ州カンザスシティで設立され、現在はカンザス州オーバーランドパークに本社を置いている。
なお、国防総省から提供されたページのうち数十ページは、米国の法律に従い、編集されている。
それでも、この情報からは、米国がウクライナに病原体管理システムを導入し、炭疽菌研究所に資金を提供したことを確認するものであり、すべて1100万ドル以上の資金で行われたものであることが判明した。
「ジュディシャル・ウォッチ」が特に明らかにしたのは、ウクライナにおける病原体資産管理システム(PACS)の実施に関する報告であり、このシステムは、「現場」、すなわちウクライナの研究所で、3段階に分けて実施されたものである。
PACS(病原体資産管理システム)は、Black&Veatch社が「旧ソ連諸国における大量破壊兵器の拡散を防ぐ」ために、国防総省のDTRA(国防脅威削減局)と「密接な協力」のもとに開発したプログラムだと、同社のウェブサイトには書かれている。
このシステムは、公共および民間の研究所にある生物製剤を記録、管理、監視するものである。これにより、国防総省はPACSを導入している、ロシアと国境を接する国々の危険な病原体の所在や使用状況を監視することができる。
ウクライナの研究所がPACSプログラムに取り組むための研修が、2018年から2019年にかけて開催された。研修会の参加者には、Black&Veatchの社員と、ウクライナの研究所関係者の全リストが含まれている。なお、役職は表示されているものの、個人名は削除されている。
• 嫌気性感染症研究所 上席研究員
• 嫌気性感染症研究所 主任研究員
• 嫌気性感染症研究所 上席研究員
• 無菌感染症研究所の研究員
• 無菌感染症分野ではトップクラスの獣医学研究
• 動物細菌感染症研究室 主任研究員
• 炭疽病研究室 室長
• 炭疽病研究室 研究員
• ※マイコトキシン学研究室 主任研究員
• マイコトキシン学の主要な獣医学研究室
• レプトスピラ症研究室 ジュニア研究員
• 神経感染症研究室研究室 研究助手
• 国際関係・地球情報部門 科学研究員
※ カビの二次代謝産物として産生される毒の総称
同時に、研修の一環として、2018年12月28日、ウクライナの炭疽菌研究所で研究活動が行われたが、その詳細は明らかにされていない。
また、「ジュディシャル・ウォッチ」は、2018年12月19日から21日にかけて、ウクライナ国立農業科学アカデミー実験・臨床獣医学研究所でPACS導入の最終段階を完了したとするBlack&Veatchの報告書を確認した。
その報告書によると、この研究所では、すべてのPACS機能が完全に稼働されていたことがわかった。
掲載されたページの中には、10件の報告書がある。その題名は、「米国政府資産移転報告書」というもので、DTRAと名前が削除されたある組織の間で交わされたものだ。そしておそらく、その組織とは、ウクライナである可能性が高い。

ウクライナをはじめとする旧ソビエト諸国は、米国とそのNATO同盟国による生物兵器の実験場になっている(写真:Getty Images)。
「ジュディシャル・ウォッチ」が公開した文書では、軍事・生物学領域におけるワシントンとキエフの協力関係や、PACSの適用によりウクライナの研究所における病原体の管理を確立しようとする試みが改めて確認されている。
さらに、これらの研究所の活動に対する資金調達と「米国政府の資産」による資金提供が再び証明された。公開された報告書には、危険な病気の名前、ウクライナの研究所やウイルス研究所の名前、国防総省、その機関DTRA、その請負業者Black&Veatchとともに、多額の資金が登場する。
この文書が慎重に編集され、危険な情報が取り除かれているという事実そのものが、ホワイトハウスがウクライナの生物学的研究所での作業の過程で追求した目的についていろいろな想像をめぐらすことができる根拠となるのである。
「ジュディシャル・ウォッチ」のトム・フィトン会長の感想は、米国が危険な病原体の実験を行っているという考えを重要視している:
「これらの新しい文書は、ウクライナの生物実験室における病原体の取り扱いに対する米国の関与を明らかにする、待ち望まれた証拠だ」と、フィトン氏は述べた。
これとは別に、ロシア連邦議会は、ウクライナ国内の米国の生物研究所の活動を調査する議会委員会の専門家の会合があったことを報告した。委員会の共同議長であるイリーナ・ヤロバヤはこう宣言した:
「病原体管理システムが、軍医の助けを借りてウクライナで計画的に実施されたことは明らかである。炭疽菌研究所の資金源も確認され、訓練に参加した職員の一覧表も明らかにされた」と述べた。
同議員は、ウクライナの研究所が「生物学的破壊工作や生物学的テロ行為の準備・実行に利用されうる」と信じるに足る十分な理由があると述べた。彼女は、BTWC署名国の第9回会議の枠組みの中で、ロシア政府は、「大量破壊兵器よりもはるかに深刻である」この危険な脅威に、国際社会の注意を引くためにあらゆる努力をすると付け加えた。
ウクライナにおける米国防総省の公的活動は、公衆衛生上の脅威の防止と説明されているが、その説明は、違法な生物学的・軍事的研究の隠れ蓑に過ぎない。
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