ベネズエラ危機をねつ造し、不安定化工作から
介入の機会を窺うアメリカ
US is manufacturing a crisis in Venezuela so that there is chaos and 'needed' intervention
RT / Home / Op-ed 2019年3月29日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年5月22日)
<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/455081-manufactured-crisis-venezuela-us-intervention/

エバ・バーレットはフリーランスのジャーナリストで人権活動家。ガザ地区やシリアを中心に活動する。彼女の記事はブログ「In Gaza」で見られる。

政府支持の大集会、3月16日、カラカス© Eva Bartlett
ベネズエラは、現在アメリカの標的となっている。大規模な不安定化を引き起こし、傀儡政権を樹立しようとしている。
アメリカは、過去何年にも亘って、ベネズエラに対して経済戦争を仕掛けてきた。 国力を弱体化させる様々な制裁措置があった。 医薬品を購入するための国の資金力が著しく低下した。 また、バスや救急車等などに必要な交換部品すら買えなくなった。 経済戦争だけではない。 プロパンガンダ戦も途切れることはなかった。 大手メディアからアメリカの有力議員までそれに関わりを持ってきた。
ベネズエラへの「飛行をアメリカ人パイロットが拒否している」というのがAPの記事(2019年3月18日)だ。 アメリカン航空がすべてのベネズエラ便をキャンセルしたというこの記事の中には「安全上の不安」や「世情不安」という言葉もある。
3月9日、私が搭乗予定だったマイアミ-カラカス便(アメリカン航空)は、カラカス空港には着陸用の電源が十分でないということを理由にキャンセルされた。 奇妙なことに、私は翌日コパ航空に搭乗したが、カラカス空港への着陸には何の問題もなかった。 コパ航空のスタッフの話では、前日の便もちゃんと着陸できた、とのことだ。
ベネズエラ便のキャンセルの話は、マルコ・ルビオ、マイク・ペンス、ジョン・ボルトン、そして以前は無名で大統領でもなかったフアン・グアイドの声高なツイートをもっともらしく思わせることになる。
私は3月10日以降、カラカスのあちらこちらを回った。 しかし、大手メディアが伝える「世情不安」などどこにもなかった。 カラカスの市内を歩いて回った。 たいていは一人で。 しかし、身に危険を感じることはなかった。 大手メディアは西側の人々に、ベネズエラでは突然の異常事態への準備をしておくべきだ、と懲りもせず語り続けている。
事実として、2010年に私が半年過ごしたベネズエラと、今のベネズエラにほとんど差はない。 ただ、ハイパーインフレはあきれるほどひどくなっている。 2010年以降今回の再訪まで私はベネズエラに足を運んではいない。 その間の極右反政府勢力街頭暴力行為を見てはいない。 「ガリンバス」と呼ばれる暴力的街路封鎖、というのがその実態だ。 反政府勢力は人を火あぶりにしたこともある。 他にも人に暴力を振るったり、安全を損ねるような行動があった。
だから、私が思うに、アメリカン航空がベネズエラへのフライトを取りやめたことは、別に安全とか保安上の問題が絡んでいるわけではない。 政治的なものだ。 ありもしない人道危機という空洞化した言説ますます軌を一にしている。 これは前国連特別報告者アルフレッド・ゼイヤスも言っていることだ。
この14年間ベネズエラに住んでいるポール・ドブソンというジャーナリストに、こんなことが以前にあったかどうか聞いてみた。 あったとのことだ。 しかも、ほぼ同じような状況で。
2017年7月30日新憲法制定のための制憲議会選挙が行われた時だ。 エア・フランス、ユナイテッド航空やアメリカン航空を含む大手航空会社やのヨーロッパ便が、「保安上の理由」を掲げ、運航をキャンセルした。 大半の便は選挙の4日後運航を再開したが、一部は2週間後にまでずれ込んだ。
そこで、「保安上の理由」があったのか、ポールに質問した。
「ベネズエラで6ヶ月続いていた暴力的街路封鎖(「ガリンバス」)が終結するころでした。 反政府勢力は、どうして6ヶ月前にとか、2ヶ月前にその活動を止めなかったのでしょうか? 「ガリンバス」を止めたのは選挙前日です。 選挙に影響を与えようとしたことは明らかです。 国際的な視線も気にしていました。 この日特別な保安上の理由など皆無でした。 過去6ヶ月にはいくらでもありました。 ですから、実際のところ、何かちゃんとした理由があって活動を止めたわけではありません。 そして選挙を巡るたくさんの問題を引き起こすことになりました。」




アメリカは危機をねつ造するが、ベネズエラ国民の反応は冷静
2月23日、以前はほとんど名前も知られず、アメリカに後押しされたフアン・グアイドと名乗る人物がベネズエラ大統領を宣言した1ヶ月後、ベネズエラ-コロンビア国境で線香花火的な混乱があった。 アメリカが支援物資トラックをベネズエラに断固運び込むと言ったのだ。
支援トラックは、同日、放火されたが、それはコロンビア側の覆面をした若者達がやったことだ。 西側大手メディアやキューバ系下院議員のマルコ・ルビオの言っていることに耳を傾ければ、ひょっとしたベネズエラ軍が攻撃したものではないかと思うかもしれない。
もしアメリカの口先だけで言っているに過ぎない心配が、ほんとうに心からの心配であるなら、キューバ、中国、ロシア、そしてその他の国々と同じようにすることもできた。 つまり、国連や赤十字のような適切なチャンネルを通して支援を送ることができるということだ。 アメリカは複数のトラックを強引にベネズエラ国境越えさせようとしたが、それは人目を引くための安っぽいプロパンガンダだったことが分かっている。 それ以上でもそれ以下でもない。
数週間後、突然、まるで狙い定めたかのように、全国的な停電が6日間続いた。 それはベネズエラのインフラとライフラインの大半に影響を与えた。 同じことを、ガザに住むパレスチナ人が少なくとも2006年以来経験している。 この年イスラエルはガザ地区唯一の発電所を爆撃している。 しかも、修理に必要な部品の輸入も許していない。 私はガザに住んでいた時、1日16時間から22時間、何ヶ月も続く停電に慣れた。ほぼ毎日ある18時間以上の停電は今でもガザで続いている。 しかし、それは以前も今も、政権転覆のやからが怒ったりする類いの話ではない。




この停電についての西側メディアの報道は、タブロイド版ばりのものだった。 何の証拠もなくこの停電で300人の死者が出たと伝え、ベネズエラの人々がカラカスのグアイレ川の泉から水を汲んでいる様子を、汚濁した下水を汲んでいると報道した。 略奪の記事もあった。 (略奪はマラカイボ市の西境では実際起きたが、カラカスでは起きていない。ただし、地方の報道されていない出来事は別だ) そして、総じてマドゥロ政権をすべてのことに責任があると非難している。
ベネズエラの独立系調査ニュースサイトの「ミッション・ベルダード」のジャーナリストと話をして分かったことだが、略奪の一つはマルカイボ市のショッピングモールで起こった。 しかし、略奪されたのは電子機器であって食料ではない。 別の略奪品は、報道に依れば、ビールとソフトドリンクだった。 人道的危機にある飢えた人々の行動としては奇妙だ。
私がカラカス市現地に入ったのは停電になって3日後。照明の消えたビル、人っ子一人いない通り、そして4日目以降の給水車やATMでの長蛇の列は別にして、他に混乱した様子は全くなかった。 それどころか、私が自分の目で見て確認したのは、ベネズエラの人々が力を合わせ、停電の厳しい影響を何とか切り抜けてゆく姿だった。
私がベネズエラ都市農業省で知ったことの一つに、停電中に野菜や作物をどのように病院や学校に搬入したか、ということがある。 それだけではない。 戦争や偽ニュースの雨風の中にあって、都市農業がどれほど頑張っているかも知った。 一般住宅地に隣接する円形の区画で若い男女が作業に従事し、あふれんばかりのレタス、ハーブ、ビーツ、ほうれん草、そして胡椒を収穫していた。 さらに、まだ作付け段階の区画もあった。



ベネズエラ北中部バラガス州の最大都市であるカティア・ラ・マール市ファブリシオ・オヘーダのコミューンはカラカス市の西方にあり、100万人を越すバリオ(最貧層の居住地)だが、住民達の話によれば、数年前17トンの収穫があったと言う。 そしてそれを平均市場価格の30-50%安い価格でコミューンに売ったのだ。
コミューンの指導者の一人の言葉によれば、ウサギを飼育して手頃で入手し易いタンパク源にしているのだと言う。
「私たちは、頑張ってこういったものを自力生産し、コミューン・共同体の役に立てようと思います。 そうしてアメリカが仕掛けている経済戦争に対抗しているのです」と彼は語った。
2日前、ラス・ブリサスにあるカラカス・バリオを訪問して、コレクティヴォ(人民組織)の長であるJaskeherryにコミューン・共同体どうやって停電を切り抜けたのか質問した。
「該当地域のすべてのコレクティヴォには不測の事態に対応して、人民に支援を与えるべく、自己組織化できる計画がありました。 私の家の冷蔵庫は強力な貯蔵庫と連携しています。 コミューン社会が肉をここに運んでくれ、私はそれを自分の家の冷蔵庫に貯蔵したのです。 約300家族がその恩恵を被りました。 すべてのコミューン・共同体には独自のコレクティヴォ組織があり、同じような支援の活動をしています」
同じ場所でさらに別の数人から聞いた話だが、混乱が起きない一つの理由は、ベネズエラ人はアメリカ仕掛けの危機に何度も対処した経験があるので、そんな時でも取り乱さなくなった、ということだ。 それはベネズエラ国内を攪乱させ、それをアメリカ介入の口実にしようと企んでいる輩を確実に落胆させただろう。
ねつ造された貧困。 政府からの支援もあるし、政府への支援もある
私は、カラカスの中産下層階層が住む区域とチャカオと、中産上層階級が住むチャカオとアルティミラ区域の大小スーパーマーケットをいくつか訪ねてみた。 食料はある。 贅沢品も。 ただし、贅沢品はベネズエラの貧困層には手が届かない。
また、棚には何の商品も置かれていない店もある、と言われている。 しかし、まだ私はそんな店を目撃したことはない。 民間企業の方針として商品を買いだめし、ありもしない物資の不足を創り出そうとしたことはよく知られている。 この企業には最大手のポーラーという食品製造会社も含まれている。
ポーラーのCEOで反政府派の支持者達は、前回の選挙でJaskeherryにマドゥロ対立候補として立候補することを望んだ。
食料が枯渇しているという話が一旦語られると、こんどは西側主流メディアがそれに尾ひれをつけて報道を続ける。 「人道的危機」もしかり。 最貧層を支援するため、政府はCLAP(=Local Committees of Supply and Production)と呼ばれる食料箱を低価格で配達することを率先して始めた。 コミューン共同体は、この取り組みで、ベネズエラ最貧層6百万の家庭に政府支援食料を配分している。
このシステムは完璧というわけではない。 食料箱がなかなか届かないコミューン共同体もある、という話を聞いた。 しかし、それは地方レベルでの腐敗があったり、コミューン共同体の個人が公正ないしは平等な配分をしていないから、とのことだ。 昨日インタビューをしたCLAPの配分作業に従事している女性も同じ事を言っていた。
キューバ系アメリカ人の上院議員マルコ・ルビオのような性急な政治家と、自分の考えを持たない主流メディアは、マドゥロ大統領への支持はほぼ皆無、と一生懸命主張している。 しかし、大規模な大統領支持の集会と最近の影をひそめた反対派集会を見れば、その主張には根拠がないことがわかる。
3月16日、2時間、私は「反帝国主義-ベネズエラ政府支持」のデモでベネズエラ人と一緒に歩いた。 映像を撮り、彼らと話をし、選挙で選出された大統領への支持の言葉を次から次へと耳にした。
デモの参加者の多く、あるいは大半はカラカス市の最貧困層コミューン共同体の出身だった。 彼らは肌の色が黒いアフリカ系ベネズエラ人で、主流メディアにその声が取り上げられることはほとんどない。 彼らがマドゥロ政権とボリバル革命の熱心な支持者だから、というのはほぼ間違いない。
主流メディアのベネズエラ報道をどう感じているか、という私の質問に、現実を描いていない、というのが人々の答えだった。「でっち上げ。 みんなウソ。 全部ウソ。 私たちが認める大統領はニコラス・マドゥロだけ。 フアン・グアイドなどという男はすぐにでも逮捕してほしい」
若い税専門弁護士の話:
「我々がこのデモに参加しているのは、我々の(ボリバル)プロジェクトを支えるためです。 戦争は望みません。 国民のために薬が欲しいのです。 いかなる政府も薬が購入できなくなるような経済制裁はやめて欲しい。 今は国民が必要とする物資を搬入することがとても難しいのです」
まだ大勢が集まっているデモを離れ、私はカラカス市の東部区域へと向かった。 ツイッターで3つないし4つ反対派行動があると地元のジャーナリストが私に語ってくれたどれかに顔を出せないかと思ったからだ。 しかしそんな動きは皆無だった。
数日後、私はベジャス・アルテス地下鉄駅に行った。 ここでも反政府行動が起きる、との情報が乱れ飛んでいたからだ。 しかし、そんな動きはどこにもなかった。 結局のところ、国民議会の正面で、15人から20人のきちんとした身なりの男女の映像を撮った。 彼らは周辺でぶらぶら立っているだけだった。 反対声明の発表も聞かれず、その動きもなかった。 結局のところ、大半の人間はセキュリティを通り抜け、建物の中に入っていった。 反対声明もなく、その動きもなかった。 彼らからの暴力も彼らに向けられた暴力もなかった。
大人数の政府支持者たちがバイクで到着した。 近くにいた男性が語ってくれたのは、バイクに乗ったこれら男女は平穏状態を維持するために来た、とのことだ。 反対派は挑発行動も口にしており、政府支持バイク部隊はその挑発行動を起こさせないだろう、とも。 (この言葉は先ほどの地元のジャーナリストの言葉とも一致する。 反対派ならびに政府支持者のツイッターでもその趣旨の投稿があった)
カラカス市を一望するアヴィラ山から、タンカーが長い列となって山の泉水を満タンにしているところを目にした。 それはカラカス市周辺、そして市外のたくさんの病院に供給するものだ。
「ベネズエラをコントロールしているのは外国の影響ではない」と言いくるめるアメリカの反語的偽善
アメリカは力ずくで、自分達の影響力を外側からベネズエラに行使してきた。 何年にも亘って。 ワニの空涙を流すアメリカがベネズエラの人々を思っているなどと口先だけで言っても、ベネズエラの人々には何の利益もない。 西側主流メディアの大半は、アメリカがベネズエラに課している非倫理的な経済制裁の多方面にわたる弊害を一言も述べない。
1月下旬、国連人権問題専門家のイドリス・ジャザリはアメリカの経済制裁を非難し、「それはベネズエラ政府の転覆を目指したもの」であり、「軍事的であれ、経済的であれ、強制力を使って主権国家の転覆を求めることは絶対許されない」と明確に非難した。
これに加え、アメリカは最近50億USドルを差し押さえたとウエブサイト「Venezuelanalysis」は伝えている。 この金は医薬品と医薬品を生産するための原材料を購入するためのものだった。 これ以前にもアメリカは多数のベネズエラ資産を凍結している。 明らかに、これらは将来の操り人形大統領としてアメリカが育てあげたフアン・グアイドのための措置だった。
何ら驚くべきことではないが、 ジョン・ボルトンは最近またまたネズエラを脅迫し、トランプが言った「すべての選択肢が用意されている」というセリフを繰り返している。 軍事的介入の脅しだ。 まるで幻覚状態にあるかのように、外国の影響力とベネズエラについてくだを巻き、帝国主義者モンローの主義がまだ死んでいない、などと御託を並べ続けている。
3月中旬に行われたアメリカ平和評議会代表との会合において、ベネズエラ外相ホルヘ・アレアサはあからさまな米国の敵対的リーダーシップについて語った。
「あなた達の政権は『すべての選択肢が用意されている』などということをほぼ毎日口にしています。 そして、軍事的な選択もカードに入っている、というわけです。 だったら、私たちとしてはそれにたいする備えをしなければなりません。
私たちは新特使のエリオット・エイブラムスに言いました。 「クーデターは失敗だ。 で、これからどうしますか?」と。 彼は何となく頷き、こう言いました、『まあ、長い目で見ています。 次は貴国の経済が崩壊することを心待ちにしているということになります』」
マドゥロが、同じ代表団との会合で次のように私たちに語った。
「私たちは外国の軍事介入を望んでいません。 ベネズエラ人は国が独立していることにとても強い誇りを持っています。 トランプ大統領周辺の人々、例えばジョン・ボルトン、マイク・ポンペオ、マルコ・ルビオ、エリオット・エイブラムスなどですが、彼らは毎日毎日ツイッターでベネズエラについて投稿しています。 アメリカやアメリカ人についてではありません。 ベネズエラのことが気になって仕方がないのです。 もう病気と言ってもいいほどです。 極めて危険です。 私たちとしてはそれを糾弾し、止めさせなければなりません」

© Eva Bartlett
私は、シリアを巡って振りまかれた戦争プロパガンダや帝国主義者のレトリックについて過去8年間広範な著述活動をしてきたので、こういった病的なこだわりはよくわかる。 国連特別報告者のアルフレッド・デ・ゼイヤスも最近のインタビューで次のように語っている:
「もし、(あなたたちメディアが)マドゥロを腐敗した人物と呼べば、人々は次第に『あいつは、きっとどこか腐敗しているに違いない』と信じるようになるでしょう。 しかし、1980年代、90年代のベネズエラでは腐敗が蔓延していたことをマスメディアに思い起こさせる人はだれもいません。 チャベス以前、マドゥロ以前のことです。 現在の報道はマドゥロに焦点が絞られています。 マドゥロ政権の転覆が目的だからです」
現在はシリア。 過去にはリビア、イラクなどがあった。 いつも同じ事の繰り返し。 アメリカが支配したいと思う国のリーダー達を悪魔化だ。 馬鹿げたレトリックが毎日企業メディアから噴出される。 言うことはほとんど同じ。 ソーシャルメディア上で反帝国主義的な見方を辛辣な言葉で精力的に述べようものなら、 まるで待っていたかのようにそれをネット上でやみくもに攻撃する輩がいる。 一番気がかりなのは、個人への危害や政府を犯罪視することを意図したテロ行為だ。
悲しいことに、アメリカは、過去8年間同盟国と一緒にシリアに対して行ってきた同じ汚い戦術を、恥も外聞もなく、取ろうとしているようだ。 テロリストを背後で操ったり、連携したりしてベネズエラを攻撃しようとしている。 実際、昨晩この原稿を仕上げようとしていた時、電気が消えた。 今もベネズエラ全土の多くの地域で停電状態が続いている。
今週初め、ロドリゲス情報相はツイッターで、「今回の停電はグリ水力発電所が攻撃されたため」と発表した。 この発電所はベネズエラの水力発電と電力発送を担う中心的なエリアである。
今日までに、電気はカラカスで一部復旧した。
今日の午後、オートバイに乗せてもらい、少し時間をかけてカラカスのペタレ地区を回った。 ペタレ地区と言えば、ラテン・アメリカ最大の「スラム街」として知られ、バリオ(居住区)が延々と連なる。 カラカス市の中でも最貧地区のひとつであり、最も危険な場所だ。 オートバイに乗せてもらいながら、主流メディアがあると主張する「人道的危機」を捜した。 だが、あったのは野菜、果物、チキン、そして基礎食料品だった。 私が足を運んだところはすべてそうだ。 カラカス市の中心広場から山沿いにあるバリオ(居住区)まで。 7月5日現在の話だが。




カラカス市を見下ろすアヴィラ山の山裾で、オートバイに乗りながら見かけたのだが、ところどころ列を作って水差しで泉の水を集めている人たちがいた。 停電で給水に影響が出たからだ。 またタンクローリー車が何台も連なっていた。 これは市当局が手配したものであり、軍も参加して都市部、郡部へ水を供給することになっている。
ベネズエラ政府は、3月7日の停電も今週の停電も背後にはアメリカがいる、と非難した。 3月の停電については、送電網に対する①サイバー的、②電磁波的、③物理的攻撃の組み合わせだと言明した。(同様の攻撃をアメリカはイランの送電網に行う秘密の計画を持っていると言われている) 今週の停電はグリ発電施設に対する直接的物理的攻撃であり、3箇所の変電施設が炎上した。
明らかにこういった攻撃の目的は、多くの苦しみと鬱屈した気持ちを人々に植え付けることで、カオス(混沌)が存在し、アメリカの介入が「必要だ」という情況を創り出すことだ。
混乱状態は起こっていない。 国民はそれをきっぱり拒否している。
RT / Home / Op-ed 2019年3月29日
(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年5月22日)
<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/op-ed/455081-manufactured-crisis-venezuela-us-intervention/

エバ・バーレットはフリーランスのジャーナリストで人権活動家。ガザ地区やシリアを中心に活動する。彼女の記事はブログ「In Gaza」で見られる。

政府支持の大集会、3月16日、カラカス© Eva Bartlett
ベネズエラは、現在アメリカの標的となっている。大規模な不安定化を引き起こし、傀儡政権を樹立しようとしている。
アメリカは、過去何年にも亘って、ベネズエラに対して経済戦争を仕掛けてきた。 国力を弱体化させる様々な制裁措置があった。 医薬品を購入するための国の資金力が著しく低下した。 また、バスや救急車等などに必要な交換部品すら買えなくなった。 経済戦争だけではない。 プロパンガンダ戦も途切れることはなかった。 大手メディアからアメリカの有力議員までそれに関わりを持ってきた。
ベネズエラへの「飛行をアメリカ人パイロットが拒否している」というのがAPの記事(2019年3月18日)だ。 アメリカン航空がすべてのベネズエラ便をキャンセルしたというこの記事の中には「安全上の不安」や「世情不安」という言葉もある。
3月9日、私が搭乗予定だったマイアミ-カラカス便(アメリカン航空)は、カラカス空港には着陸用の電源が十分でないということを理由にキャンセルされた。 奇妙なことに、私は翌日コパ航空に搭乗したが、カラカス空港への着陸には何の問題もなかった。 コパ航空のスタッフの話では、前日の便もちゃんと着陸できた、とのことだ。
ベネズエラ便のキャンセルの話は、マルコ・ルビオ、マイク・ペンス、ジョン・ボルトン、そして以前は無名で大統領でもなかったフアン・グアイドの声高なツイートをもっともらしく思わせることになる。
私は3月10日以降、カラカスのあちらこちらを回った。 しかし、大手メディアが伝える「世情不安」などどこにもなかった。 カラカスの市内を歩いて回った。 たいていは一人で。 しかし、身に危険を感じることはなかった。 大手メディアは西側の人々に、ベネズエラでは突然の異常事態への準備をしておくべきだ、と懲りもせず語り続けている。
事実として、2010年に私が半年過ごしたベネズエラと、今のベネズエラにほとんど差はない。 ただ、ハイパーインフレはあきれるほどひどくなっている。 2010年以降今回の再訪まで私はベネズエラに足を運んではいない。 その間の極右反政府勢力街頭暴力行為を見てはいない。 「ガリンバス」と呼ばれる暴力的街路封鎖、というのがその実態だ。 反政府勢力は人を火あぶりにしたこともある。 他にも人に暴力を振るったり、安全を損ねるような行動があった。
だから、私が思うに、アメリカン航空がベネズエラへのフライトを取りやめたことは、別に安全とか保安上の問題が絡んでいるわけではない。 政治的なものだ。 ありもしない人道危機という空洞化した言説ますます軌を一にしている。 これは前国連特別報告者アルフレッド・ゼイヤスも言っていることだ。
この14年間ベネズエラに住んでいるポール・ドブソンというジャーナリストに、こんなことが以前にあったかどうか聞いてみた。 あったとのことだ。 しかも、ほぼ同じような状況で。
2017年7月30日新憲法制定のための制憲議会選挙が行われた時だ。 エア・フランス、ユナイテッド航空やアメリカン航空を含む大手航空会社やのヨーロッパ便が、「保安上の理由」を掲げ、運航をキャンセルした。 大半の便は選挙の4日後運航を再開したが、一部は2週間後にまでずれ込んだ。
そこで、「保安上の理由」があったのか、ポールに質問した。
「ベネズエラで6ヶ月続いていた暴力的街路封鎖(「ガリンバス」)が終結するころでした。 反政府勢力は、どうして6ヶ月前にとか、2ヶ月前にその活動を止めなかったのでしょうか? 「ガリンバス」を止めたのは選挙前日です。 選挙に影響を与えようとしたことは明らかです。 国際的な視線も気にしていました。 この日特別な保安上の理由など皆無でした。 過去6ヶ月にはいくらでもありました。 ですから、実際のところ、何かちゃんとした理由があって活動を止めたわけではありません。 そして選挙を巡るたくさんの問題を引き起こすことになりました。」




アメリカは危機をねつ造するが、ベネズエラ国民の反応は冷静
2月23日、以前はほとんど名前も知られず、アメリカに後押しされたフアン・グアイドと名乗る人物がベネズエラ大統領を宣言した1ヶ月後、ベネズエラ-コロンビア国境で線香花火的な混乱があった。 アメリカが支援物資トラックをベネズエラに断固運び込むと言ったのだ。
支援トラックは、同日、放火されたが、それはコロンビア側の覆面をした若者達がやったことだ。 西側大手メディアやキューバ系下院議員のマルコ・ルビオの言っていることに耳を傾ければ、ひょっとしたベネズエラ軍が攻撃したものではないかと思うかもしれない。
もしアメリカの口先だけで言っているに過ぎない心配が、ほんとうに心からの心配であるなら、キューバ、中国、ロシア、そしてその他の国々と同じようにすることもできた。 つまり、国連や赤十字のような適切なチャンネルを通して支援を送ることができるということだ。 アメリカは複数のトラックを強引にベネズエラ国境越えさせようとしたが、それは人目を引くための安っぽいプロパンガンダだったことが分かっている。 それ以上でもそれ以下でもない。
数週間後、突然、まるで狙い定めたかのように、全国的な停電が6日間続いた。 それはベネズエラのインフラとライフラインの大半に影響を与えた。 同じことを、ガザに住むパレスチナ人が少なくとも2006年以来経験している。 この年イスラエルはガザ地区唯一の発電所を爆撃している。 しかも、修理に必要な部品の輸入も許していない。 私はガザに住んでいた時、1日16時間から22時間、何ヶ月も続く停電に慣れた。ほぼ毎日ある18時間以上の停電は今でもガザで続いている。 しかし、それは以前も今も、政権転覆のやからが怒ったりする類いの話ではない。




この停電についての西側メディアの報道は、タブロイド版ばりのものだった。 何の証拠もなくこの停電で300人の死者が出たと伝え、ベネズエラの人々がカラカスのグアイレ川の泉から水を汲んでいる様子を、汚濁した下水を汲んでいると報道した。 略奪の記事もあった。 (略奪はマラカイボ市の西境では実際起きたが、カラカスでは起きていない。ただし、地方の報道されていない出来事は別だ) そして、総じてマドゥロ政権をすべてのことに責任があると非難している。
ベネズエラの独立系調査ニュースサイトの「ミッション・ベルダード」のジャーナリストと話をして分かったことだが、略奪の一つはマルカイボ市のショッピングモールで起こった。 しかし、略奪されたのは電子機器であって食料ではない。 別の略奪品は、報道に依れば、ビールとソフトドリンクだった。 人道的危機にある飢えた人々の行動としては奇妙だ。
私がカラカス市現地に入ったのは停電になって3日後。照明の消えたビル、人っ子一人いない通り、そして4日目以降の給水車やATMでの長蛇の列は別にして、他に混乱した様子は全くなかった。 それどころか、私が自分の目で見て確認したのは、ベネズエラの人々が力を合わせ、停電の厳しい影響を何とか切り抜けてゆく姿だった。
私がベネズエラ都市農業省で知ったことの一つに、停電中に野菜や作物をどのように病院や学校に搬入したか、ということがある。 それだけではない。 戦争や偽ニュースの雨風の中にあって、都市農業がどれほど頑張っているかも知った。 一般住宅地に隣接する円形の区画で若い男女が作業に従事し、あふれんばかりのレタス、ハーブ、ビーツ、ほうれん草、そして胡椒を収穫していた。 さらに、まだ作付け段階の区画もあった。



ベネズエラ北中部バラガス州の最大都市であるカティア・ラ・マール市ファブリシオ・オヘーダのコミューンはカラカス市の西方にあり、100万人を越すバリオ(最貧層の居住地)だが、住民達の話によれば、数年前17トンの収穫があったと言う。 そしてそれを平均市場価格の30-50%安い価格でコミューンに売ったのだ。
コミューンの指導者の一人の言葉によれば、ウサギを飼育して手頃で入手し易いタンパク源にしているのだと言う。
「私たちは、頑張ってこういったものを自力生産し、コミューン・共同体の役に立てようと思います。 そうしてアメリカが仕掛けている経済戦争に対抗しているのです」と彼は語った。
2日前、ラス・ブリサスにあるカラカス・バリオを訪問して、コレクティヴォ(人民組織)の長であるJaskeherryにコミューン・共同体どうやって停電を切り抜けたのか質問した。
During a pro-Venezuela, anti-Imperialist march, I asked Paul Dobson of @venanalysis to speak briefly on corporate media/opposition's attack on colectivos.
— Eva Bartlett (@EvaKBartlett) 2019年3月24日
"Colectivo means collective, an expression of the organized community, incl workers, women's, ecological, pensioners..." pic.twitter.com/SlYwQH09pk
「該当地域のすべてのコレクティヴォには不測の事態に対応して、人民に支援を与えるべく、自己組織化できる計画がありました。 私の家の冷蔵庫は強力な貯蔵庫と連携しています。 コミューン社会が肉をここに運んでくれ、私はそれを自分の家の冷蔵庫に貯蔵したのです。 約300家族がその恩恵を被りました。 すべてのコミューン・共同体には独自のコレクティヴォ組織があり、同じような支援の活動をしています」
同じ場所でさらに別の数人から聞いた話だが、混乱が起きない一つの理由は、ベネズエラ人はアメリカ仕掛けの危機に何度も対処した経験があるので、そんな時でも取り乱さなくなった、ということだ。 それはベネズエラ国内を攪乱させ、それをアメリカ介入の口実にしようと企んでいる輩を確実に落胆させただろう。
ねつ造された貧困。 政府からの支援もあるし、政府への支援もある
私は、カラカスの中産下層階層が住む区域とチャカオと、中産上層階級が住むチャカオとアルティミラ区域の大小スーパーマーケットをいくつか訪ねてみた。 食料はある。 贅沢品も。 ただし、贅沢品はベネズエラの貧困層には手が届かない。
また、棚には何の商品も置かれていない店もある、と言われている。 しかし、まだ私はそんな店を目撃したことはない。 民間企業の方針として商品を買いだめし、ありもしない物資の不足を創り出そうとしたことはよく知られている。 この企業には最大手のポーラーという食品製造会社も含まれている。
ポーラーのCEOで反政府派の支持者達は、前回の選挙でJaskeherryにマドゥロ対立候補として立候補することを望んだ。
食料が枯渇しているという話が一旦語られると、こんどは西側主流メディアがそれに尾ひれをつけて報道を続ける。 「人道的危機」もしかり。 最貧層を支援するため、政府はCLAP(=Local Committees of Supply and Production)と呼ばれる食料箱を低価格で配達することを率先して始めた。 コミューン共同体は、この取り組みで、ベネズエラ最貧層6百万の家庭に政府支援食料を配分している。
このシステムは完璧というわけではない。 食料箱がなかなか届かないコミューン共同体もある、という話を聞いた。 しかし、それは地方レベルでの腐敗があったり、コミューン共同体の個人が公正ないしは平等な配分をしていないから、とのことだ。 昨日インタビューをしたCLAPの配分作業に従事している女性も同じ事を言っていた。
キューバ系アメリカ人の上院議員マルコ・ルビオのような性急な政治家と、自分の考えを持たない主流メディアは、マドゥロ大統領への支持はほぼ皆無、と一生懸命主張している。 しかし、大規模な大統領支持の集会と最近の影をひそめた反対派集会を見れば、その主張には根拠がないことがわかる。
3月16日、2時間、私は「反帝国主義-ベネズエラ政府支持」のデモでベネズエラ人と一緒に歩いた。 映像を撮り、彼らと話をし、選挙で選出された大統領への支持の言葉を次から次へと耳にした。
デモの参加者の多く、あるいは大半はカラカス市の最貧困層コミューン共同体の出身だった。 彼らは肌の色が黒いアフリカ系ベネズエラ人で、主流メディアにその声が取り上げられることはほとんどない。 彼らがマドゥロ政権とボリバル革命の熱心な支持者だから、というのはほぼ間違いない。
主流メディアのベネズエラ報道をどう感じているか、という私の質問に、現実を描いていない、というのが人々の答えだった。「でっち上げ。 みんなウソ。 全部ウソ。 私たちが認める大統領はニコラス・マドゥロだけ。 フアン・グアイドなどという男はすぐにでも逮捕してほしい」
若い税専門弁護士の話:
「我々がこのデモに参加しているのは、我々の(ボリバル)プロジェクトを支えるためです。 戦争は望みません。 国民のために薬が欲しいのです。 いかなる政府も薬が購入できなくなるような経済制裁はやめて欲しい。 今は国民が必要とする物資を搬入することがとても難しいのです」
まだ大勢が集まっているデモを離れ、私はカラカス市の東部区域へと向かった。 ツイッターで3つないし4つ反対派行動があると地元のジャーナリストが私に語ってくれたどれかに顔を出せないかと思ったからだ。 しかしそんな動きは皆無だった。
数日後、私はベジャス・アルテス地下鉄駅に行った。 ここでも反政府行動が起きる、との情報が乱れ飛んでいたからだ。 しかし、そんな動きはどこにもなかった。 結局のところ、国民議会の正面で、15人から20人のきちんとした身なりの男女の映像を撮った。 彼らは周辺でぶらぶら立っているだけだった。 反対声明の発表も聞かれず、その動きもなかった。 結局のところ、大半の人間はセキュリティを通り抜け、建物の中に入っていった。 反対声明もなく、その動きもなかった。 彼らからの暴力も彼らに向けられた暴力もなかった。
大人数の政府支持者たちがバイクで到着した。 近くにいた男性が語ってくれたのは、バイクに乗ったこれら男女は平穏状態を維持するために来た、とのことだ。 反対派は挑発行動も口にしており、政府支持バイク部隊はその挑発行動を起こさせないだろう、とも。 (この言葉は先ほどの地元のジャーナリストの言葉とも一致する。 反対派ならびに政府支持者のツイッターでもその趣旨の投稿があった)
カラカス市を一望するアヴィラ山から、タンカーが長い列となって山の泉水を満タンにしているところを目にした。 それはカラカス市周辺、そして市外のたくさんの病院に供給するものだ。
「ベネズエラをコントロールしているのは外国の影響ではない」と言いくるめるアメリカの反語的偽善
アメリカは力ずくで、自分達の影響力を外側からベネズエラに行使してきた。 何年にも亘って。 ワニの空涙を流すアメリカがベネズエラの人々を思っているなどと口先だけで言っても、ベネズエラの人々には何の利益もない。 西側主流メディアの大半は、アメリカがベネズエラに課している非倫理的な経済制裁の多方面にわたる弊害を一言も述べない。
1月下旬、国連人権問題専門家のイドリス・ジャザリはアメリカの経済制裁を非難し、「それはベネズエラ政府の転覆を目指したもの」であり、「軍事的であれ、経済的であれ、強制力を使って主権国家の転覆を求めることは絶対許されない」と明確に非難した。
これに加え、アメリカは最近50億USドルを差し押さえたとウエブサイト「Venezuelanalysis」は伝えている。 この金は医薬品と医薬品を生産するための原材料を購入するためのものだった。 これ以前にもアメリカは多数のベネズエラ資産を凍結している。 明らかに、これらは将来の操り人形大統領としてアメリカが育てあげたフアン・グアイドのための措置だった。
何ら驚くべきことではないが、 ジョン・ボルトンは最近またまたネズエラを脅迫し、トランプが言った「すべての選択肢が用意されている」というセリフを繰り返している。 軍事的介入の脅しだ。 まるで幻覚状態にあるかのように、外国の影響力とベネズエラについてくだを巻き、帝国主義者モンローの主義がまだ死んでいない、などと御託を並べ続けている。
3月中旬に行われたアメリカ平和評議会代表との会合において、ベネズエラ外相ホルヘ・アレアサはあからさまな米国の敵対的リーダーシップについて語った。
「あなた達の政権は『すべての選択肢が用意されている』などということをほぼ毎日口にしています。 そして、軍事的な選択もカードに入っている、というわけです。 だったら、私たちとしてはそれにたいする備えをしなければなりません。
私たちは新特使のエリオット・エイブラムスに言いました。 「クーデターは失敗だ。 で、これからどうしますか?」と。 彼は何となく頷き、こう言いました、『まあ、長い目で見ています。 次は貴国の経済が崩壊することを心待ちにしているということになります』」
マドゥロが、同じ代表団との会合で次のように私たちに語った。
「私たちは外国の軍事介入を望んでいません。 ベネズエラ人は国が独立していることにとても強い誇りを持っています。 トランプ大統領周辺の人々、例えばジョン・ボルトン、マイク・ポンペオ、マルコ・ルビオ、エリオット・エイブラムスなどですが、彼らは毎日毎日ツイッターでベネズエラについて投稿しています。 アメリカやアメリカ人についてではありません。 ベネズエラのことが気になって仕方がないのです。 もう病気と言ってもいいほどです。 極めて危険です。 私たちとしてはそれを糾弾し、止めさせなければなりません」

© Eva Bartlett
私は、シリアを巡って振りまかれた戦争プロパガンダや帝国主義者のレトリックについて過去8年間広範な著述活動をしてきたので、こういった病的なこだわりはよくわかる。 国連特別報告者のアルフレッド・デ・ゼイヤスも最近のインタビューで次のように語っている:
「もし、(あなたたちメディアが)マドゥロを腐敗した人物と呼べば、人々は次第に『あいつは、きっとどこか腐敗しているに違いない』と信じるようになるでしょう。 しかし、1980年代、90年代のベネズエラでは腐敗が蔓延していたことをマスメディアに思い起こさせる人はだれもいません。 チャベス以前、マドゥロ以前のことです。 現在の報道はマドゥロに焦点が絞られています。 マドゥロ政権の転覆が目的だからです」
現在はシリア。 過去にはリビア、イラクなどがあった。 いつも同じ事の繰り返し。 アメリカが支配したいと思う国のリーダー達を悪魔化だ。 馬鹿げたレトリックが毎日企業メディアから噴出される。 言うことはほとんど同じ。 ソーシャルメディア上で反帝国主義的な見方を辛辣な言葉で精力的に述べようものなら、 まるで待っていたかのようにそれをネット上でやみくもに攻撃する輩がいる。 一番気がかりなのは、個人への危害や政府を犯罪視することを意図したテロ行為だ。
悲しいことに、アメリカは、過去8年間同盟国と一緒にシリアに対して行ってきた同じ汚い戦術を、恥も外聞もなく、取ろうとしているようだ。 テロリストを背後で操ったり、連携したりしてベネズエラを攻撃しようとしている。 実際、昨晩この原稿を仕上げようとしていた時、電気が消えた。 今もベネズエラ全土の多くの地域で停電状態が続いている。
今週初め、ロドリゲス情報相はツイッターで、「今回の停電はグリ水力発電所が攻撃されたため」と発表した。 この発電所はベネズエラの水力発電と電力発送を担う中心的なエリアである。
今日までに、電気はカラカスで一部復旧した。
今日の午後、オートバイに乗せてもらい、少し時間をかけてカラカスのペタレ地区を回った。 ペタレ地区と言えば、ラテン・アメリカ最大の「スラム街」として知られ、バリオ(居住区)が延々と連なる。 カラカス市の中でも最貧地区のひとつであり、最も危険な場所だ。 オートバイに乗せてもらいながら、主流メディアがあると主張する「人道的危機」を捜した。 だが、あったのは野菜、果物、チキン、そして基礎食料品だった。 私が足を運んだところはすべてそうだ。 カラカス市の中心広場から山沿いにあるバリオ(居住区)まで。 7月5日現在の話だが。




カラカス市を見下ろすアヴィラ山の山裾で、オートバイに乗りながら見かけたのだが、ところどころ列を作って水差しで泉の水を集めている人たちがいた。 停電で給水に影響が出たからだ。 またタンクローリー車が何台も連なっていた。 これは市当局が手配したものであり、軍も参加して都市部、郡部へ水を供給することになっている。
ベネズエラ政府は、3月7日の停電も今週の停電も背後にはアメリカがいる、と非難した。 3月の停電については、送電網に対する①サイバー的、②電磁波的、③物理的攻撃の組み合わせだと言明した。(同様の攻撃をアメリカはイランの送電網に行う秘密の計画を持っていると言われている) 今週の停電はグリ発電施設に対する直接的物理的攻撃であり、3箇所の変電施設が炎上した。
明らかにこういった攻撃の目的は、多くの苦しみと鬱屈した気持ちを人々に植え付けることで、カオス(混沌)が存在し、アメリカの介入が「必要だ」という情況を創り出すことだ。
混乱状態は起こっていない。 国民はそれをきっぱり拒否している。
- 関連記事
-
- 「ボリビアのクーデターは、リチウム資源を狙う米州機構(OAS)の策略」と語るモラレス大統領 (2019/12/19)
- 「暗殺未遂」を確信する追放されたモラレスボリビア大統領 (2019/12/17)
- ボリビアでのクーデター:モラレス大統領はなぜ追放されたのか? (2019/12/16)
- アメリカが誘導した新自由主義の悪夢から覚醒するチリ (2019/11/29)
- 社会運動家を守るために、コロンビア中で計画された抗議活動 (2019/09/30)
- ビデオ:マヌエル・セラヤ大統領インタビュー「クーデターがホンジュラスを地獄に変えた」アメリカによる政権転覆10周年 (2019/07/24)
- フアン・グアイドはアメリカの「でっち上げ」―――アメリカはどのようにベネズエラのクーデター指導者をつくり出したのか (2019/06/14)
- ベネズエラ危機をねつ造し、不安定化工作から介入の機会を窺うアメリカ (2019/05/23)
- アビー・マーチン:ベネズエラから手を引け (2019/03/05)
- ビデオ:本当の人道支援、ベネズエラの国が支援する地域市場 (2019/03/04)
- 「プーチン万歳!」ハイチの抗議デモ、アメリカ国旗を燃やし、ロシアの介入を求める (2019/03/02)
- 「もう誰も戦争を支持しない!」アメリカ人が、米主導のベネズエラ介入に反対デモ (2019/03/01)
- Otpol(オトポール)の台本どおり、ベネズエラ反政府勢力が「兵士にバラを!」作戦 (2019/03/01)
- 「ベネズエラ人道支援ライブ」はペテンだ! ロジャー・ウォーターズは非難する (2019/02/25)
- ベネズエラを守るために、力の結集を! (2019/02/25)
スポンサーサイト