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ウクライナ。明かりは消え、水もない。間もなく熱源もなくなる

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine - Lights Out, No Water And Soon No Heat


出典:INTERNATIONALIST360°

2022年11月24日

著者:ムーン・オブ・アラバマ(Moon Of Alabama)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年12月6日



 今日(11月24日)の朝方、ロシア軍がウクライナの電力網を切断した。 

 これまでは必要な電力の5割程度の電力分配量を押さえ込む攻撃に制限されていた。そのため、1日に数時間行われる計画停電のおかげで、ウクライナのほとんどの地域で、一日に数時間は電気の供給ができていた。しかし今日の攻撃はずっと大きな問題を生じさせた。電力の供給網が攻撃されただけではなく、ウクライナの電力発電施設と送電網を繋ぐ装置も攻撃を受けたからだ。15の原子炉を持つウクライナ国内の4つの原子力発電所が、今停止状態になっている。

 キエフもそれ以外のほとんどのウクライナ国内の都市も、もはや電気がない状態だ。

 国内電力の20%をウクライナからの輸入に頼っている、モルドバも同様に影響を受けている。ウクライナの電力網が遮断されたので、モルドバ国内に一つしかない火力発電所の稼働も止まってしまった。電力網は復旧されるだろうが、その過程は非常に困難なものになるだろう。

 欧州からウクライナに輸出される電力は限られてはいて、まだ輸入できるかもしれないが、その電力が使えるのは、ウクライナの西部だけになるだろう。

 今日の攻撃が起こる以前に、ワシントン・ポスト紙は、電力網の修復は難しい、と報じていた。当ブログMoon of Alabamaが以前説明したとおり、ロシアは、330キロボルト規模の送電網とつながっている複数の変電所を攻撃していw。これらの変電所の修復は難しい:

 「ウクライナ国内のエネルギー体系にどれくらい損害が与えられてきたかが、最近明らかになっている中、ウクライナ当局と西側諸国政府当局は警告を発し始めているが、自国には限られた資源しかないことも実感しつつある。ウクライナ国内にあるソ連時代の発電所の修復は、すぐに、容易にはできないものだ。最も激しい攻撃を受けたいくつかの都市においては、当局が打てる手段が、住民に避難を呼びかけることしかないところもある。これはウクライナで、経済崩壊の危機や、近隣の欧州諸国に難民があふれ出す危険が高まっているということだ。...

 ウクライナのデニス・シュミハリ首相によれば、ウクライナ国内のエネルギー基盤の約半分が、爆撃を受けて、「故障」してる、という...

 もう何週間も、ロシアのミサイルはウクライナの送電系統の複数の主要施設を標的にしてきた。そのため、必要不可欠な複数の変電所が破壊されている。その変電所がなければ、各家庭や、会社や政府の役所や学校や病院などの生活に不可欠な施設に電力を供給できなくなる。...

 火曜日(11月22日)の記者会見において、· 国営電力会社ウクルエネルゴ(Ukrenergo )のウォロディミル・クドリツキー代表は、この電力体系の損害を「とてつもない規模だ」としていた...

 同代表によれば、ロシア側が主に標的にしたのは、発電所からの電力を送電する役割をもつ、電力供給の要となる各地の変電所だという。これらの変電所は、主に単巻変圧器を使用しておいるとのことだ。この単巻変圧器とは、「高い技術が使われ、費用も高い装置」であるため、交換が難しい。

 ワシントン当局内で流れている、ウクライナ最大の民間エネルギー会社のDTEK社が出した「喫緊に必要なもの」一覧表には、回路遮断器や軸受筒やトランス油と並んで「数10台の変圧機」があげられている。

 しかしその変圧器が、単巻変圧器(クドリツキー代表の言葉を借りれば、変電所の「要」)なのだ。それが、ウクライナが今一番必要としているもの一覧の最上位にあげられている。それは、その変圧器がウクライナの電力供給機能を維持するために非常に重要なものだからだ。」

 ウクライナ側は、見つけることができるすべての単巻変圧器を買い上げようとしていて、はるか韓国にまで購入しにいっているが、それでもまだ、もっと多くの変圧器を注文しなければ、再設置ができない状況だ:

 「私たちは世界中にあるものすべてを集めようとしていますし、さらに注文を増やそうとしています」と、ウクライナのエネルギー省のオレナ・ゼレカリ顧問は語っている。

 電力網を修復しようという試みは、ロシアが攻撃を続ける限り意味がない。そしてこれらの攻撃を止めるには、政治的な解決法を取ることが必要となる。ウクライナは降参し、ロシアと何らかの同意点を見いださねばならなくなるだろう。ロシアは、ウクライナが所有する天然ガスの原産地にも攻撃している。:

 先週ロシアは、攻撃対象を広げた。ウクライナ国営エネルギー会社ナフトガス社のオレクシー・チェルニショフ最高責任者は、マスコミからのインタビューで、「大規模なミサイル攻撃」がハルキウ地方とポルタバ地方の10カ所のガス製造施設に着弾した。その中には、最大の生産地であり採掘地域であるシェベリンカ地区も含まれている。

 「もちろん、復旧に向けて私たちは最善を尽くしていますが、時間と資金と材料がかかることになります」、とチェルニショフ最高責任者は語っている。さらに付け加えて、「何よりも大事なのは時間です。冬になったのですから」と語った。

 天然ガスの供給が標的にされたことは、決定的な攻撃だった、とビクトリア・ヴォイティツカ氏は述べている。彼女は、元国会議員で、現在はウクライナに必要な設備を入手する市民団体で活動中だ。同氏によれば、モスクワ当局によりガスの体系が破壊されれば、ウクライナ中の諸都市や村は、「居住不可能になる」可能性がある、と述べている。


 ロシアのガス供給会社であるガスプロム社の発表によると、同社はウクライナ経由で欧州の顧客たちに供給する天然ガスの量を減らす予定であるとのことだ。そしてその理由は、ウクライナがその天然ガスを盗んでいるからだ、という。:

 ガスプロム社によると、モルドバの会社との契約に基づいて、モルドバに送られる予定だった天然ガスの一部が、ウクライナにより奪われていることに気づいたという。天然ガスの供給量と、モルドバに届いた量の計算が合わないことが続けば、11月28日の朝から、ガスプロム社はウクライナを経由して送る天然ガスの量を減らす、とロシアのこの巨大ガス会社が伝えたことを、ロシアのニュース会社タス通信が報じている。


 電気がなければ、諸都市の水道分配網で水を送れなくなる。水がなければ、トイレも使えない。公衆衛生がひどい状況になるだろう。ウクライナ国内のインターネット環境も低下している。



 人間が住めなくなっている国が、戦争を仕掛けて、勝つ見込みなどほとんどないだろう。交通機関もない。電気もない。熱源もない。伝達手段もない。とにかく何もかもが本当に困難になる。

 そのため、難民が波のように生じ、欧州各国は、ウクライナにロシアと和平交渉を持つようますます圧力をかけることになるだろう。その条件はウクライナにとって厳しいものになるだろうが、ほかにこの混乱状況から抜け出す術はない。

 先週、ウクライナによる前線での攻撃は、驚くほどに効果がなかった。大規模な部隊を配置することはもはや不可能だ。現在攻撃を行っている部隊のほとんどは、中隊規模かそれよりも小さな規模しかない。昨日公表された以下の12分間の動画には、そのような攻撃をドローンから撮影した様子が映っている。



 武装化された歩兵用車両の上に座っていた20名程度のウクライナ兵たちは、要塞化された地域に進み、人がいない一つ目の塹壕に入る。そこから、二つ目の塹壕に攻撃しようとする。そこは、数名のロシア兵が抑えている。

 ウクライナ兵たちの装備は非常に精錬されたもののように見え、ヘルメットや軍事用ベストも着用している。しかしこれらの兵たちには援軍がない。

 ロシア軍の歩兵団が反撃する。この歩兵団は、しっかりと狙いを定めている、追撃砲や迫撃砲や戦車や空爆を行う部隊により支援されている。ロシア側はドローン機も飛ばしており、全体像を掴むことができている。ウクライナ側の諸部隊が所持しているのは、ライフル銃と、数個の手榴弾だけだ。攻撃をしている小隊が破壊された後、ロシア側の追撃攻撃が行われ、ロシア軍の出撃地点であった産業地域も破壊された。この作戦は完全な惨劇に終わった。この作戦に関わっていたウクライナ兵は、みな戦死したようだ。ロシア側の被害者はゼロか、あっても数名だった。



 毎日このような攻撃が数回行われているが、成功することはほんのわずかだ。

 以下は「クロバー・リスト(ロシア軍による今日の状況報告)」の記載内容だ:

 ドネツク戦線では、ロシア軍の諸部隊が激しい攻撃を継続した。60人以上のウクライナ兵と、5機の戦闘車両が失われた。南ドネツク戦線では、ロシア軍による砲撃や激しい攻撃により、AFU(ウクライナ軍)の攻撃を撃退し、小隊の戦術部隊一隊をパヴローフカまで押し戻した。さらに、火を使った先制攻撃を行った結果、ウグレダルから進撃していた敵の予備軍を殲滅した。

 ウクライナ軍の破壊工作団と偵察団は、(ザポリージャ地方の)ノヴォダロフカ付近で殲滅された。

 敵側の損失は、ウクライナ兵40名以上の死傷者、3台の武装車両、1台の汎用軽装甲牽引車、4台のピックアップトラックだった。

 ウクライナ軍の機甲化歩兵小隊は、クピャンスク戦線においては、(ルガンスク人民共和国内の)ノヴォシェロフスカエ付近で、攻撃を仕掛けようとしていたが、砲火と重火炎放射器武器により妨害された。

 ロシアによる砲撃の結果、30人以上のウクライナ兵と2台の自動車と一機の追撃砲が失われた。

 クラスニー・リマン戦線では、ウクライナ軍の戦術小隊が移動して、(ルガンスク人民共和国内の)チェルヴォノポフフカを攻撃しようとしたが、火炎による先制攻撃によリ中断された。

 20人以下のウクライナ兵と3人の追撃法操縦者と2台の追撃砲が失われた。

 作戦戦術隊及び陸軍航空隊と砲兵及びミサイル部隊は、(ザポリージャ地方の)ヴォルニャンスク付近に配置されていたウクライナ軍の第 128 山岳突撃旅団の指揮所と、射撃場に配置されていた72隊の砲兵隊と、144の地区に配置されていた兵と武器を無力化した。


 ここに記載があるだけでも、少なくとも150人のウクライナ兵が戦死している。

 ウクライナ側の司令官が、なぜ未だにこんな意味のない攻撃を続けているのか、私には理解不能だ。軍事的に見れば、とうの前に、防御を主にした戦術に変えるべきだったのは明らかだ。そうすれば、ウクライナ国民の命を救い、ロシア軍が攻撃する際に、もっと損害を与えられるだろうに。

 重大な法的拘束力を持たない欧州議会が今日、なんの強制力もない決議をあげた。その中身は、ロシアは「テロ行為に資金を出す国だ」と宣告するものだった。ロシア国民の中には、この宣言に対して憤怒を示したものもいた。 その数時間後、欧州議会は「精巧な」サイバー攻撃を受けた。

 欧州議会のウェブサイトが、ハッカーによる攻撃を受けたと、当局が水曜日(11月23日)に発表したのだ。

 欧州議会のロベルタ・メツォラ議長は、この攻撃は、「精巧なもの」であると述べた。そして親露勢力が犯行声明を出している。

 同議長は、このサイバー攻撃はEU議会議員たちが、ロシアを、ウクライナでの紛争に関わるテロ行為を「支援する国家」であると宣告する議案を通過させたことを受けたものである、と語った。「この攻撃に対する私の返答は、Slava Ukraini(ウクライナに栄光あれ)です」とメツォラ議長は述べている。


 この的外れの頭の固いマルタ出身の御仁には、まだまだ学んでいただかないといけないことが沢山あるようだ。
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