ポーランド上空で偽旗作戦? ミサイルに誤作動などはなかった。
<記事原文 寺島先生推薦>
A False Flag Over Poland? There Was No Missile Malfunction
筆者:スコット・リッター(Scott Ritter)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年11月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年12月3日

NATOをウクライナでの紛争に引き込もうとする明らかな陰謀は、この惑星上の全ての人類への直接の脅威となる。
ウクライナのS-300地対空ミサイルがポーランド領内に着弾し、悲劇的にも2人が亡くなった話が明らかになる中、いくつかの動きが出現した。まずいくつかのNATO諸国(ポーランド、ラトビア、リトアニア、エストニア、チェコ共和国)が、パブロフの条件反射的な即刻の反応を見せて、結論に飛びつき、この事件はロシアのNATO加盟国に対する明らかな侵略行為にあたるのでNATOは何らかの措置を取るべきだ、と発表したのだ。 具体的には、NATOの対空防衛区域をウクライナにまで拡大、さらには ウクライナの上空の一部に、飛行禁止空域を設定することを求めたのだ。 2つ目の動きは、 ウクライナの権力構造の最高位の高官たちが、この事件に関わって示した混乱状態だ。その中には、ウクライナのヴオロデミル・ゼレンスキー大統領が、問題のミサイルの出処が、ウクライナであると認めることを拒否している状況も含まれる。
これらのNATO諸国は、今回のミサイル事件を受けて、NATO憲章の第4条の適用を求めているが、彼らは事前にその発動を準備していたように思われる。また、今回のミサイル発射が、あたかもウクライナの高官の預かり知らぬところで、許可もなく実行されたようにも思える。ゼレンスキーやゼレンスキー配下の軍部の補佐官でさえも知らなかったかのように。
そうなれば、今回の事件の捉え方は、ウクライナにとっての同盟国である北方のNATO加盟諸国は、ロシアとの戦争のネタを探しているだけだ、ということになる。その様は自ら崖から飛び込もうとするネズミのレミングの集中した激しさのようだ。どんな筋書きにも飛びつこうとしているからだ。たとえそれが、NATOのウクライナ干渉をあまり乗り気ではない加盟国でも実行できるように歪めて書かれていたとしても、だ。
このような捉え方は、いまほとんどのNATO加盟諸国やその言いなりの西側メディアの速記記者のたちの間で広まっている説明と軌を一にするものだ。その中身は、ウクライナのS-300ミサイルがポーランドに着弾したのは悲劇的な事故だった、問題のそのミサイルはロシアによるミサイル攻撃の反撃のために発射された、しかしそのウクライナからのミサイル発射には誤作動のようなものが生じていた、その結果ミサイルは本来の軌道を外れ、最終的にはポーランドの農家の畑に落ちるという悲劇的な結末になった、というものだ。
幾何学の基本的な知識でウクライナの防空戦域を捉えれば、このような説明は、精査に耐えうるものではないことがわかる。ロシアからウクライナに来るミサイルの軌道は、大まかに言って東から西の方向だ。それに伴い、ウクライナの防空体制は、西から東に向けた観点で取られている。そして、検知レーダーは、できるだけ遠くから、近づいてくる標的を検知できるよう設定されており、追跡レーダーに合図が送られるのは、地対空ミサイルを、設定された標的に導かせる必要が生じた時だ。そして、近づいてくるロシアからの標的物に対して発射されたS-300ミサイルは、大まかに言って西から東の方向に発射されると考えられる。 それは、そのミサイルが標的に向けて発せられたレーダーを辿るからだ。つまり、ウクライナのS-300ミサイルは、ポーランドに着弾したミサイルの軌道とは180度真逆の方向に発射されたであろう、ということだ。
一般的な話をすると、ミサイルの誤作動が起こったり、レーダーの誘導を見失ったとしても、ミサイルは発射時の方向と同じ方向に飛んでいくものだ。このような状況を逸脱しているということは、ミサイルの翼面が誤作動を起こしたか、損害を受けたせいだ、と通常は考えられる。そうなれば、ミサイルは正しい軌道を維持できなくなり、統制を失い墜落するなどの事態が生じるものだ。ウクライナのS-300ミサイルがポーランドに到達するためには、完全に機能する空力制御装置が必要だった。つまりミサイルが誤作動を起こしたわけではない、ということになる。
歴史的に見て、防空ミサイルは元来、陸への攻撃に陸から対抗する(地対地)ためのものだ。核兵器も搭載できるナイキ・ハーキュリーズミサイルは、このような地対地用ミサイルとして利用可能だ。イラクが使用していたソ連製のSA-2とSA-3ミサイルも、そのような地対地ミサイルだった。いっぽう、米陸軍や海軍が使用しているSM-6ミサイルは、 陸の標的も空の標的も両方攻撃できる。S-300ミサイルは、防空のための武器として製造されたものだ。(そのためこのミサイルの弾頭は比較的小さく、100~143キログラムの榴弾用になっている。)このミサイルは、地対地対応もできる。追跡レーダーを使って定められた方向に、ただ高度はミサイルが燃料切れになるまでに弾道が伸ばせるところに設定して、光線を放てばいいのだ。ミサイルは、光線が示した方向に飛び、定められた地点に落下する。
ただしそうするためには、追跡レーダーの光線がたどらなければならない軌跡はロシアから近づいてくる標的の方向、つまりポーランド側とは、真逆の方向をむくことになる。
つまり、ポーランドに着弾したウクライナのS-300ミサイルは、事故の結果そうなったのではなく、意図的にポーランド領内に着弾しようと発射されていた、ということだ。
ポーランド側は、2名の死者を出したこの事件にかかわる状況を捜査中だ。S-300ミサイルの発射が意図的なもの(論理的に考えればその結論になるだろう)であったとすれば、ポーランドはウクライナ側を犯罪の加害者と見なければならない。そうなれば、ポーランドは、このミサイルの発射やこの事件に関わったレーダーの稼働をやめさせ、問題になっているミサイルの発射に関連した記録や数値を証拠品として提出させ、それをポーランド側の検察当局に渡すことを求めてもおかしくはない。同様に、このミサイル発射に関わったすべての関係者を拘束し、訓練を受けた犯罪捜査官にその人々の捜査をゆだねることも、要求していいはずだ。
ウクライナのヴォロデミル大統領は、ウクライナが問題のミサイルを発射した事実を否定しており、その根拠は、空軍や軍の司令官の高官が提供した情報を信じているからだとした。ゼレンスキーの話が本当だとすれば、ウクライナ軍の幹部の中で陰謀があったということになる。その陰謀とは、偽旗事件をおこすことで、この紛争にNATOを引き込もうというものだ。ポーランドを襲った、このミサイルの発射の際に使用された指揮統制を調査すれば、この陰謀が指揮系統のどの程度の高い地位まで関わっていたかを突き止めることができるはずだ。
同様に、問題のミサイルがウクライナからのものであることを自国軍が認識していたにもかかわらず、ポーランドやバルト諸国が、条件反射的な反応を見せ、ポーランドを攻撃した責任はロシアにあるという尚早な結論に飛び乗ったという流れからわかることは、この攻撃の加害者と、ロシアに対して即座に非難の声を上げた側との間には、事前に何らかの申し合わせがあった可能性があった、ということだ。
今回のポーランドの事件をきっかけに、NATOとロシアの間の直接の軍事対決が起こってしまえば、米国とロシアの間での全面的な核兵器の応酬に発展してしまう可能性が生じることは、疑う余地もない。この陰謀に関わり、偽旗事件を使ってNATOをウクライナ紛争に引き込もうとしているウクライナやポーランドやバルト諸国のどの国も、この惑星上のすべての人類に対する直接の脅威を演出している、ということだ。
米国も、この件に関して米国より責任が重いNATO同盟諸国も、ウクライナによるポーランドに対するS-300ミサイル攻撃の底で何が起こっているかを突き止める必要がある。そんな陰謀が本当にあれば、の話だが、この偽旗事件を使った陰謀を特定しそこない、そんな陰謀を芽のうちに摘んでおくことができなければ、このような陰謀に関わった勢力が、また同じことを繰り返すことは十分考えられる。彼らはNATOとロシア間の直接軍事衝突という自殺的な目的を果たすまでは、何度でもやるということだ。
A False Flag Over Poland? There Was No Missile Malfunction
筆者:スコット・リッター(Scott Ritter)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年11月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年12月3日

NATOをウクライナでの紛争に引き込もうとする明らかな陰謀は、この惑星上の全ての人類への直接の脅威となる。
ウクライナのS-300地対空ミサイルがポーランド領内に着弾し、悲劇的にも2人が亡くなった話が明らかになる中、いくつかの動きが出現した。まずいくつかのNATO諸国(ポーランド、ラトビア、リトアニア、エストニア、チェコ共和国)が、パブロフの条件反射的な即刻の反応を見せて、結論に飛びつき、この事件はロシアのNATO加盟国に対する明らかな侵略行為にあたるのでNATOは何らかの措置を取るべきだ、と発表したのだ。 具体的には、NATOの対空防衛区域をウクライナにまで拡大、さらには ウクライナの上空の一部に、飛行禁止空域を設定することを求めたのだ。 2つ目の動きは、 ウクライナの権力構造の最高位の高官たちが、この事件に関わって示した混乱状態だ。その中には、ウクライナのヴオロデミル・ゼレンスキー大統領が、問題のミサイルの出処が、ウクライナであると認めることを拒否している状況も含まれる。
これらのNATO諸国は、今回のミサイル事件を受けて、NATO憲章の第4条の適用を求めているが、彼らは事前にその発動を準備していたように思われる。また、今回のミサイル発射が、あたかもウクライナの高官の預かり知らぬところで、許可もなく実行されたようにも思える。ゼレンスキーやゼレンスキー配下の軍部の補佐官でさえも知らなかったかのように。
そうなれば、今回の事件の捉え方は、ウクライナにとっての同盟国である北方のNATO加盟諸国は、ロシアとの戦争のネタを探しているだけだ、ということになる。その様は自ら崖から飛び込もうとするネズミのレミングの集中した激しさのようだ。どんな筋書きにも飛びつこうとしているからだ。たとえそれが、NATOのウクライナ干渉をあまり乗り気ではない加盟国でも実行できるように歪めて書かれていたとしても、だ。
このような捉え方は、いまほとんどのNATO加盟諸国やその言いなりの西側メディアの速記記者のたちの間で広まっている説明と軌を一にするものだ。その中身は、ウクライナのS-300ミサイルがポーランドに着弾したのは悲劇的な事故だった、問題のそのミサイルはロシアによるミサイル攻撃の反撃のために発射された、しかしそのウクライナからのミサイル発射には誤作動のようなものが生じていた、その結果ミサイルは本来の軌道を外れ、最終的にはポーランドの農家の畑に落ちるという悲劇的な結末になった、というものだ。
幾何学の基本的な知識でウクライナの防空戦域を捉えれば、このような説明は、精査に耐えうるものではないことがわかる。ロシアからウクライナに来るミサイルの軌道は、大まかに言って東から西の方向だ。それに伴い、ウクライナの防空体制は、西から東に向けた観点で取られている。そして、検知レーダーは、できるだけ遠くから、近づいてくる標的を検知できるよう設定されており、追跡レーダーに合図が送られるのは、地対空ミサイルを、設定された標的に導かせる必要が生じた時だ。そして、近づいてくるロシアからの標的物に対して発射されたS-300ミサイルは、大まかに言って西から東の方向に発射されると考えられる。 それは、そのミサイルが標的に向けて発せられたレーダーを辿るからだ。つまり、ウクライナのS-300ミサイルは、ポーランドに着弾したミサイルの軌道とは180度真逆の方向に発射されたであろう、ということだ。
一般的な話をすると、ミサイルの誤作動が起こったり、レーダーの誘導を見失ったとしても、ミサイルは発射時の方向と同じ方向に飛んでいくものだ。このような状況を逸脱しているということは、ミサイルの翼面が誤作動を起こしたか、損害を受けたせいだ、と通常は考えられる。そうなれば、ミサイルは正しい軌道を維持できなくなり、統制を失い墜落するなどの事態が生じるものだ。ウクライナのS-300ミサイルがポーランドに到達するためには、完全に機能する空力制御装置が必要だった。つまりミサイルが誤作動を起こしたわけではない、ということになる。
歴史的に見て、防空ミサイルは元来、陸への攻撃に陸から対抗する(地対地)ためのものだ。核兵器も搭載できるナイキ・ハーキュリーズミサイルは、このような地対地用ミサイルとして利用可能だ。イラクが使用していたソ連製のSA-2とSA-3ミサイルも、そのような地対地ミサイルだった。いっぽう、米陸軍や海軍が使用しているSM-6ミサイルは、 陸の標的も空の標的も両方攻撃できる。S-300ミサイルは、防空のための武器として製造されたものだ。(そのためこのミサイルの弾頭は比較的小さく、100~143キログラムの榴弾用になっている。)このミサイルは、地対地対応もできる。追跡レーダーを使って定められた方向に、ただ高度はミサイルが燃料切れになるまでに弾道が伸ばせるところに設定して、光線を放てばいいのだ。ミサイルは、光線が示した方向に飛び、定められた地点に落下する。
ただしそうするためには、追跡レーダーの光線がたどらなければならない軌跡はロシアから近づいてくる標的の方向、つまりポーランド側とは、真逆の方向をむくことになる。
つまり、ポーランドに着弾したウクライナのS-300ミサイルは、事故の結果そうなったのではなく、意図的にポーランド領内に着弾しようと発射されていた、ということだ。
ポーランド側は、2名の死者を出したこの事件にかかわる状況を捜査中だ。S-300ミサイルの発射が意図的なもの(論理的に考えればその結論になるだろう)であったとすれば、ポーランドはウクライナ側を犯罪の加害者と見なければならない。そうなれば、ポーランドは、このミサイルの発射やこの事件に関わったレーダーの稼働をやめさせ、問題になっているミサイルの発射に関連した記録や数値を証拠品として提出させ、それをポーランド側の検察当局に渡すことを求めてもおかしくはない。同様に、このミサイル発射に関わったすべての関係者を拘束し、訓練を受けた犯罪捜査官にその人々の捜査をゆだねることも、要求していいはずだ。
ウクライナのヴォロデミル大統領は、ウクライナが問題のミサイルを発射した事実を否定しており、その根拠は、空軍や軍の司令官の高官が提供した情報を信じているからだとした。ゼレンスキーの話が本当だとすれば、ウクライナ軍の幹部の中で陰謀があったということになる。その陰謀とは、偽旗事件をおこすことで、この紛争にNATOを引き込もうというものだ。ポーランドを襲った、このミサイルの発射の際に使用された指揮統制を調査すれば、この陰謀が指揮系統のどの程度の高い地位まで関わっていたかを突き止めることができるはずだ。
同様に、問題のミサイルがウクライナからのものであることを自国軍が認識していたにもかかわらず、ポーランドやバルト諸国が、条件反射的な反応を見せ、ポーランドを攻撃した責任はロシアにあるという尚早な結論に飛び乗ったという流れからわかることは、この攻撃の加害者と、ロシアに対して即座に非難の声を上げた側との間には、事前に何らかの申し合わせがあった可能性があった、ということだ。
今回のポーランドの事件をきっかけに、NATOとロシアの間の直接の軍事対決が起こってしまえば、米国とロシアの間での全面的な核兵器の応酬に発展してしまう可能性が生じることは、疑う余地もない。この陰謀に関わり、偽旗事件を使ってNATOをウクライナ紛争に引き込もうとしているウクライナやポーランドやバルト諸国のどの国も、この惑星上のすべての人類に対する直接の脅威を演出している、ということだ。
米国も、この件に関して米国より責任が重いNATO同盟諸国も、ウクライナによるポーランドに対するS-300ミサイル攻撃の底で何が起こっているかを突き止める必要がある。そんな陰謀が本当にあれば、の話だが、この偽旗事件を使った陰謀を特定しそこない、そんな陰謀を芽のうちに摘んでおくことができなければ、このような陰謀に関わった勢力が、また同じことを繰り返すことは十分考えられる。彼らはNATOとロシア間の直接軍事衝突という自殺的な目的を果たすまでは、何度でもやるということだ。
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