30名の民主党員が、バイデン大統領に、ロシアとの交渉を求める書簡を送ったが、すぐに引っ込めた。ロシアと交渉しようとするだけでも許されない、ということだ。
<記事原文 寺島先生推薦>
30 Democrats walk into the White House demanding diplomacy with Russia. Yes, this is a joke
A group of US representatives appealed to President Joe Biden to pursue diplomacy with Russia, only to retract their letter shortly thereafter, proving that not even the suggestion of talking to Russia is tolerated
30名の民主党員が、ホワイトハウスに乗り込み、ロシアとの交渉を要求したが、それはただの冗談に過ぎなかった。
米国の国会議員の一団が、ジョー・バイデンにロシアとの交渉を行うよう求めたが、すぐにその書簡を引っ込めた。このことからわかることは、ロシアと話し合いをもつことを提案することさえ許されない、という事実だ。

筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
Robert Bridge is an American writer and journalist. He is the author of 'Midnight in the American Empire,' How Corporations and Their Political Servants are Destroying the American Dream.
@Robert_Bridge
出典:RT
2022年10月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年11月17日

米国国会議事堂案内所で、国会議員による株取引を禁止する件に関する記者会見時の民主党国会議員3人。左からアレクサンドリア・オカシオーコルテス(ニューヨーク州選出)議員。プラミラ・ジャヤパール(ワシントン州選出)議員。ジョー・ネグズ(コロラド州選出)議員© Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images
今週(10月最終週)、30人からなる民主党国会議員団が、モスクワ当局との交渉を要求した。その動機は、核の冬を避けたいというよりは、明らかに11月の中間選挙での大敗北を避けたいがためだった。しかし数時間後に、彼らはその「過激すぎる」立場を即座に撤回した。
老齢の帝王、ジョー・バイデンに宛てた仰々しい書簡の中で、これらの議員団が求めていたのは、「積極的な外交努力や、休戦に向けた現実的な骨組みを模索する努力の加速」という内容に過ぎなかった。このような要求は、イーロン・マスク氏が先日提案していた和平計画の内容とは、ほど遠いものであった。マスク氏がとりわけ求めていたのは、クリミアをロシア領にとどめるべきだという主張(クリミアは1783年以来ずっとロシア領だった。フルシチョフ書記長が、間違ってウクライナに割譲してしまうまでのことだが)と、ウクライナは中立国であるべきだ、という主張だった。しかし、物乞いには選り好みは許されない*、のだ。
*米国支配体制が示す範囲内でしか行動できない民主党議員を「物乞い」に喩えている。
「核兵器が使用される危険性が、冷戦時代の対立が最も激しかった時期以来、これまでになく高まっています」、とこの民主党員の一団は、書簡に記し、ウクライナのヴォロデミール・ゼレンスキー大統領を不用意に煽ることがないよう求めていた。ゼレンスキー大統領は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と話をする気は全くない、と言っているからだ。「この理由のため、大統領に緊急に取り組んでいただきたいのは、米国がこれまでウクライナに対して行ってきた軍事的支援や経済的支援を、積極的な外交努力と結びつけ、休戦に向けた真の骨組みを模索する努力を加速することなのです。」

関連記事: バイデン氏に和平追求を促す書簡を撤回する議員たち
この皮肉はナイフで薄切りできる(ほど緊迫感に満ちている)。なぜなら、核戦争による被害が差し迫っているという誇大宣伝は、すべてワシントン当局が出所になっているからだ。先日、バイデンは、聴衆に以下のような発言をして、民主党の資金源の人たちを驚かせたところだ。「私たちは今、ケネディとキューバのミサイル危機以来のアルマゲドンが発生する危険に直面しているという事実に向き合えていません・・・。(プーチンは)冗談で、戦略的核兵器や生物兵器や化学兵器を使う可能性がある、と言っているのではありません。というのも、今ロシア軍は思ったような戦果を上げられていないからです」、と。民主党が理解し損ねているのは、モスクワ当局はウクライナでもどこでも、大量破壊兵器を使用するなどと脅したことはない、という事実だ。
このように自分の言い分だけを信じ込んで、民主党はうっかり眠れる巨人を起こしてしまったのだ。その巨人とは、反戦活動だ。この運動が大規模に見られたのは、2003年のイラク侵略時以来のことだ。アレクサンドリ・オカシオ-コルテス(以降AOC)は、5月にウクライナへ400億ドルの軍事支援を送る議案に賛成票を投じていた。そのAOCは、今月(10月)の質疑応答会で、数名の反戦活動家という希有な存在と記憶に残る面会を果たしていた。
「あなたは、当初、はみ出しものとして出馬されていましたよね。それなのに、あなたは今回のウクライナでの戦争を始める議案に賛成票を投じ続けていますね」。聴衆の中にいた一人の青年男性の声が、AOCの耳にとまった。「あなたはロシアや中国との第三次世界大戦を始めようという議案に賛成票を投じていることになります。あなたはなぜ、米国市民たちの命をおもちゃにするようなことをしているのですか?」
さらにもうひとりの反戦活動家は、AOCに民主党を離党するよう懇願していた。その活動家は、トゥルシー・ギャバード元下院議員が、離党する意思を発表したことをひきあいに出していた。ギャバード元議員は、民主党のことをこう批判していた。「臆病なウォーク(人種差別などに対する意識が高すぎること)に引きずられている、戦争亡者である支配者層たちの陰謀団」、だと。
言うまでもないことだが、ギャバード元議員が言っていたような姿は、民主党が中間選挙の直前に有権者に植え付けたい印象ではない。特に、「戦争亡者」であることが米国の国家予算では到底支払えないような代償を伴う場合はなおさらである。もう少し穏健な言い方をすれば、ジョージ・ソロスのような人々から選挙運動の資金援助を受けているAOCが、おまえは偽善者だと罵られたということだ。国会に出馬した際、AOCは何百万人もの民主党員に対して、自身は「環境活動家・社会主義者・平和運動家」であり、普通の男性・女性・トランスジェンダー・絶滅危惧種たちを、企業の暴走から守るという姿で売っていた。しかし一瞬にして、AOCは巨大企業にとっての、ただの画面映りのいい、太鼓持ちになりさがってしまった。その巨大企業の例をあげると、レイセオン・テクノロジーズ社だ。同社は169億5千万ドルという巨大な利益をあげている。その理由の大部分は、現在進行中のウクライナでの紛争のおかげで、ミサイルや防衛装置の契約が増えたからだ。

関連記事:アレクサンドリア・オカシオ・コルテス、公会堂で抗議者をあざ笑う
米国経済が大不況に向かって歩を進めている現在、多くの米国民は、ウクライナの大統領に、彼が必要とするものを、ずっと指図され続けている現状に嫌気がさしている。結局のところ、これは意外かもしれないが、ウクライナのことは、米国民たちにとって最重要課題ではないのだ。世論調査の結果が出るたびにあきらかになっているのは、ほとんどの米国民にとっても最優先課題は、止めどなく進行するインフレだ、という事実だ。結局、米国民の9割が地図のどこにあるかを言えないような、そんなはるか遠い国でおこっていることなど、誰も気にしていないのだ。そんなことより、月末にお金がなくて、家賃や暖房費が払えないことのほうが切実だ。しかしゼレンスキーは、そんなことは気にしていないし、ゼレンスキーを操っている貪欲な勢力もそうだ。自己資産が推定2000万ドルあって、豪邸に住み、各種不動産も所持しているゼレンスキーなら、インフレ問題など、2の次どころか3の次の問題とさえ思えるだろう。
民主党員、少なくとも党員のうちの何名かは、米国民が、ゼレンスキー政権に白紙小切手を渡すという政策に辟易していることにやっと気づいたようだ。いっぽう共和党は、11月の中間選挙で勝利すれば、キエフ当局への資金提供を終わらせる警告を出しているが、その共和党が票を伸ばしている理由は、国家支出を抑え、国境を封鎖する政策を立てているからだ。国境を封鎖することについては、特に多くの共和党員にとっては重要な点だ。多くの共和党員が、こんな質問をしている。「なぜ民主党員が、ウクライナがロシアとの国境を補強することにこんなにも関心があるのだろうか? その一方で、米国とメキシコ間の国境が、ひろく開放されていて、あらゆる種類の犯罪の種が入り込んでいる問題には目も向けないのに。」
悲しいかな、民主党員はウクライナ国民を使ったロシアとの代理戦争に完全に加担していて、ウクライナ国民は使い捨ての砲弾の餌食にされている。ウクライナ国民は、他の点においては知的な国民だったが、中立国という立場を維持する絶好の機会を逃してしまった。NATOからの圧力に耐えかね、巨大な隣人に対する無益な戦いでダビデ像を演じたからだ。しかし、現代の筋書きにおいては、巨人を倒せるような魔法の石は存在しない。ウクライナにとって悲劇の運命となったのは、いつものあの連中が、モスクワ当局が12月に出していた和平計画を拒絶し、その代わりに、モスクワがウクライナに対して特殊軍事作戦を行うと発表するしかないように追い込むのを選んだことだ。ウクライナ国民の何人が、以下の簡単な質問を自問したことだろう? それは、「中立国であるという状況が、国家に損害を与えることなどあるのだろうか?」という問いだ。中立国であることで、スイスは苦しんでいるだろうか?そんなことはほとんどない。スイスは欧州で最も裕福な国の一つで、資産家たちがスイスの諸銀行に列を成している。中立国であることで、フィランドは被害を受けただろうか? いや、そんなことはない。フィンランドは、CEOWORLD誌が2021年の記事で出した、「2021年、世界で最も生活の質の高い国」で一位に選ばれているのだから。

関連記事: ウクライナの銀行が2セントで買収される可能性
そして今、民主党員の一団は、今回の選挙運動期に、ロシアとの対話を求めている。たとえ彼らがすぐにそれを撤回しなかったとしても、これは「些細なことだ、手遅れだ」と言うことはかなり控えめな表現になるだろう。というのも、これらの民主党員たちが、心の底から反戦の立場を示していたのであれば、何十億万ドル相当の武器がウクライナに垂れ流される前に、平和の声を大声で叫んでいたはずだ。だからこそ、いま平和を実現するということは、ほぼ不可能な夢なのだ。
残念なことに、モスクワ当局も同様の結論を出さざるを得なくなっている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が先日発表したところによると、ロシアは西側への外交努力から撤退する可能性がある、という。その際、同外相が触れていたのは、西側各国政府の対ロシア外交が、ますますあからさまに敵意を表している、という事実だった。
「ロシアは、ほとんど人間扱いされない状況で活動しています」、とラブロフ外相は語り、さらに、「問題や脅威が常に継続している」とした。同外相はさらに付け加えて、外交における存在感をこれまでと同程度に維持することには、「意味がない」とした。
言い換えれば、今私たちは人類史上最も不吉な時代を迎えているということである。というのも、世界の二大核保有国間で、外交努力を行う機会が事実上消滅してしまっているからだ。近年、世界がこのような状況に置かれたことはない。冷戦時、最も激しい対立があったときでさえそんなことはなかった。残念ながらワシントン当局は、このような危険な状況を迎えてしまった責めを負わなければいけない。そして今、このような状況を止められるのは、ウクライナ国民だけだ。ウクライナ国民が、自国の指導者たちに要求して、ロシアとの紛争に縛られることから抜けだし、ウクライナが中立国であるべきという条件を飲むことしかない。この惑星の将来は、本当にこの点にかかっている。
30 Democrats walk into the White House demanding diplomacy with Russia. Yes, this is a joke
A group of US representatives appealed to President Joe Biden to pursue diplomacy with Russia, only to retract their letter shortly thereafter, proving that not even the suggestion of talking to Russia is tolerated
30名の民主党員が、ホワイトハウスに乗り込み、ロシアとの交渉を要求したが、それはただの冗談に過ぎなかった。
米国の国会議員の一団が、ジョー・バイデンにロシアとの交渉を行うよう求めたが、すぐにその書簡を引っ込めた。このことからわかることは、ロシアと話し合いをもつことを提案することさえ許されない、という事実だ。

筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
Robert Bridge is an American writer and journalist. He is the author of 'Midnight in the American Empire,' How Corporations and Their Political Servants are Destroying the American Dream.
@Robert_Bridge
出典:RT
2022年10月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年11月17日

米国国会議事堂案内所で、国会議員による株取引を禁止する件に関する記者会見時の民主党国会議員3人。左からアレクサンドリア・オカシオーコルテス(ニューヨーク州選出)議員。プラミラ・ジャヤパール(ワシントン州選出)議員。ジョー・ネグズ(コロラド州選出)議員© Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images
今週(10月最終週)、30人からなる民主党国会議員団が、モスクワ当局との交渉を要求した。その動機は、核の冬を避けたいというよりは、明らかに11月の中間選挙での大敗北を避けたいがためだった。しかし数時間後に、彼らはその「過激すぎる」立場を即座に撤回した。
老齢の帝王、ジョー・バイデンに宛てた仰々しい書簡の中で、これらの議員団が求めていたのは、「積極的な外交努力や、休戦に向けた現実的な骨組みを模索する努力の加速」という内容に過ぎなかった。このような要求は、イーロン・マスク氏が先日提案していた和平計画の内容とは、ほど遠いものであった。マスク氏がとりわけ求めていたのは、クリミアをロシア領にとどめるべきだという主張(クリミアは1783年以来ずっとロシア領だった。フルシチョフ書記長が、間違ってウクライナに割譲してしまうまでのことだが)と、ウクライナは中立国であるべきだ、という主張だった。しかし、物乞いには選り好みは許されない*、のだ。
*米国支配体制が示す範囲内でしか行動できない民主党議員を「物乞い」に喩えている。
「核兵器が使用される危険性が、冷戦時代の対立が最も激しかった時期以来、これまでになく高まっています」、とこの民主党員の一団は、書簡に記し、ウクライナのヴォロデミール・ゼレンスキー大統領を不用意に煽ることがないよう求めていた。ゼレンスキー大統領は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と話をする気は全くない、と言っているからだ。「この理由のため、大統領に緊急に取り組んでいただきたいのは、米国がこれまでウクライナに対して行ってきた軍事的支援や経済的支援を、積極的な外交努力と結びつけ、休戦に向けた真の骨組みを模索する努力を加速することなのです。」

関連記事: バイデン氏に和平追求を促す書簡を撤回する議員たち
この皮肉はナイフで薄切りできる(ほど緊迫感に満ちている)。なぜなら、核戦争による被害が差し迫っているという誇大宣伝は、すべてワシントン当局が出所になっているからだ。先日、バイデンは、聴衆に以下のような発言をして、民主党の資金源の人たちを驚かせたところだ。「私たちは今、ケネディとキューバのミサイル危機以来のアルマゲドンが発生する危険に直面しているという事実に向き合えていません・・・。(プーチンは)冗談で、戦略的核兵器や生物兵器や化学兵器を使う可能性がある、と言っているのではありません。というのも、今ロシア軍は思ったような戦果を上げられていないからです」、と。民主党が理解し損ねているのは、モスクワ当局はウクライナでもどこでも、大量破壊兵器を使用するなどと脅したことはない、という事実だ。
このように自分の言い分だけを信じ込んで、民主党はうっかり眠れる巨人を起こしてしまったのだ。その巨人とは、反戦活動だ。この運動が大規模に見られたのは、2003年のイラク侵略時以来のことだ。アレクサンドリ・オカシオ-コルテス(以降AOC)は、5月にウクライナへ400億ドルの軍事支援を送る議案に賛成票を投じていた。そのAOCは、今月(10月)の質疑応答会で、数名の反戦活動家という希有な存在と記憶に残る面会を果たしていた。
「あなたは、当初、はみ出しものとして出馬されていましたよね。それなのに、あなたは今回のウクライナでの戦争を始める議案に賛成票を投じ続けていますね」。聴衆の中にいた一人の青年男性の声が、AOCの耳にとまった。「あなたはロシアや中国との第三次世界大戦を始めようという議案に賛成票を投じていることになります。あなたはなぜ、米国市民たちの命をおもちゃにするようなことをしているのですか?」
さらにもうひとりの反戦活動家は、AOCに民主党を離党するよう懇願していた。その活動家は、トゥルシー・ギャバード元下院議員が、離党する意思を発表したことをひきあいに出していた。ギャバード元議員は、民主党のことをこう批判していた。「臆病なウォーク(人種差別などに対する意識が高すぎること)に引きずられている、戦争亡者である支配者層たちの陰謀団」、だと。
言うまでもないことだが、ギャバード元議員が言っていたような姿は、民主党が中間選挙の直前に有権者に植え付けたい印象ではない。特に、「戦争亡者」であることが米国の国家予算では到底支払えないような代償を伴う場合はなおさらである。もう少し穏健な言い方をすれば、ジョージ・ソロスのような人々から選挙運動の資金援助を受けているAOCが、おまえは偽善者だと罵られたということだ。国会に出馬した際、AOCは何百万人もの民主党員に対して、自身は「環境活動家・社会主義者・平和運動家」であり、普通の男性・女性・トランスジェンダー・絶滅危惧種たちを、企業の暴走から守るという姿で売っていた。しかし一瞬にして、AOCは巨大企業にとっての、ただの画面映りのいい、太鼓持ちになりさがってしまった。その巨大企業の例をあげると、レイセオン・テクノロジーズ社だ。同社は169億5千万ドルという巨大な利益をあげている。その理由の大部分は、現在進行中のウクライナでの紛争のおかげで、ミサイルや防衛装置の契約が増えたからだ。

関連記事:アレクサンドリア・オカシオ・コルテス、公会堂で抗議者をあざ笑う
米国経済が大不況に向かって歩を進めている現在、多くの米国民は、ウクライナの大統領に、彼が必要とするものを、ずっと指図され続けている現状に嫌気がさしている。結局のところ、これは意外かもしれないが、ウクライナのことは、米国民たちにとって最重要課題ではないのだ。世論調査の結果が出るたびにあきらかになっているのは、ほとんどの米国民にとっても最優先課題は、止めどなく進行するインフレだ、という事実だ。結局、米国民の9割が地図のどこにあるかを言えないような、そんなはるか遠い国でおこっていることなど、誰も気にしていないのだ。そんなことより、月末にお金がなくて、家賃や暖房費が払えないことのほうが切実だ。しかしゼレンスキーは、そんなことは気にしていないし、ゼレンスキーを操っている貪欲な勢力もそうだ。自己資産が推定2000万ドルあって、豪邸に住み、各種不動産も所持しているゼレンスキーなら、インフレ問題など、2の次どころか3の次の問題とさえ思えるだろう。
民主党員、少なくとも党員のうちの何名かは、米国民が、ゼレンスキー政権に白紙小切手を渡すという政策に辟易していることにやっと気づいたようだ。いっぽう共和党は、11月の中間選挙で勝利すれば、キエフ当局への資金提供を終わらせる警告を出しているが、その共和党が票を伸ばしている理由は、国家支出を抑え、国境を封鎖する政策を立てているからだ。国境を封鎖することについては、特に多くの共和党員にとっては重要な点だ。多くの共和党員が、こんな質問をしている。「なぜ民主党員が、ウクライナがロシアとの国境を補強することにこんなにも関心があるのだろうか? その一方で、米国とメキシコ間の国境が、ひろく開放されていて、あらゆる種類の犯罪の種が入り込んでいる問題には目も向けないのに。」
悲しいかな、民主党員はウクライナ国民を使ったロシアとの代理戦争に完全に加担していて、ウクライナ国民は使い捨ての砲弾の餌食にされている。ウクライナ国民は、他の点においては知的な国民だったが、中立国という立場を維持する絶好の機会を逃してしまった。NATOからの圧力に耐えかね、巨大な隣人に対する無益な戦いでダビデ像を演じたからだ。しかし、現代の筋書きにおいては、巨人を倒せるような魔法の石は存在しない。ウクライナにとって悲劇の運命となったのは、いつものあの連中が、モスクワ当局が12月に出していた和平計画を拒絶し、その代わりに、モスクワがウクライナに対して特殊軍事作戦を行うと発表するしかないように追い込むのを選んだことだ。ウクライナ国民の何人が、以下の簡単な質問を自問したことだろう? それは、「中立国であるという状況が、国家に損害を与えることなどあるのだろうか?」という問いだ。中立国であることで、スイスは苦しんでいるだろうか?そんなことはほとんどない。スイスは欧州で最も裕福な国の一つで、資産家たちがスイスの諸銀行に列を成している。中立国であることで、フィランドは被害を受けただろうか? いや、そんなことはない。フィンランドは、CEOWORLD誌が2021年の記事で出した、「2021年、世界で最も生活の質の高い国」で一位に選ばれているのだから。

関連記事: ウクライナの銀行が2セントで買収される可能性
そして今、民主党員の一団は、今回の選挙運動期に、ロシアとの対話を求めている。たとえ彼らがすぐにそれを撤回しなかったとしても、これは「些細なことだ、手遅れだ」と言うことはかなり控えめな表現になるだろう。というのも、これらの民主党員たちが、心の底から反戦の立場を示していたのであれば、何十億万ドル相当の武器がウクライナに垂れ流される前に、平和の声を大声で叫んでいたはずだ。だからこそ、いま平和を実現するということは、ほぼ不可能な夢なのだ。
残念なことに、モスクワ当局も同様の結論を出さざるを得なくなっている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が先日発表したところによると、ロシアは西側への外交努力から撤退する可能性がある、という。その際、同外相が触れていたのは、西側各国政府の対ロシア外交が、ますますあからさまに敵意を表している、という事実だった。
「ロシアは、ほとんど人間扱いされない状況で活動しています」、とラブロフ外相は語り、さらに、「問題や脅威が常に継続している」とした。同外相はさらに付け加えて、外交における存在感をこれまでと同程度に維持することには、「意味がない」とした。
言い換えれば、今私たちは人類史上最も不吉な時代を迎えているということである。というのも、世界の二大核保有国間で、外交努力を行う機会が事実上消滅してしまっているからだ。近年、世界がこのような状況に置かれたことはない。冷戦時、最も激しい対立があったときでさえそんなことはなかった。残念ながらワシントン当局は、このような危険な状況を迎えてしまった責めを負わなければいけない。そして今、このような状況を止められるのは、ウクライナ国民だけだ。ウクライナ国民が、自国の指導者たちに要求して、ロシアとの紛争に縛られることから抜けだし、ウクライナが中立国であるべきという条件を飲むことしかない。この惑星の将来は、本当にこの点にかかっている。
- 関連記事
-
- 米国は同盟国にポーランドのミサイル事故について警告―ポリティコ社の報道 (2022/11/27)
- 英米は中央アジアで秘密の生物学的研究を継続中 (2022/11/24)
- 米国の主要二郡で投票機の不具合があったとの報道 (2022/11/22)
- 米国民の意識調査―大半が「米国は制御不能」「状況は悪化する」と回答 (2022/11/21)
- 「キューバ危機」から60年 (2022/11/19)
- CIA、NATO、そしてヘロイン大クーデター。マイアミはいかにして国際ファシズムの中心地となり、ケネディ大統領を殺害したのか。 (2022/11/19)
- 米政権がマスコミを使って、ウクライナ支援を支持する世論を醸成しようとした手口 (2022/11/19)
- 30名の民主党員が、バイデン大統領に、ロシアとの交渉を求める書簡を送ったが、すぐに引っ込めた。ロシアと交渉しようとするだけでも許されない、ということだ。 (2022/11/17)
- 次回の大統領選挙ではバイデン氏の出馬を望まない――世論調査 (2022/11/13)
- ヒトラー・ナチスの手本は、米国の黒人差別法と先住民の強制収容所だった。 (2022/11/10)
- 民主党の次世代スターだったトゥルシー・ギャバードが表舞台から去った訳は? (2022/11/06)
- 内憂の米国、中間選挙後にウクライナへの支援を終了する可能性 (2022/11/01)
- CIAが、幻覚剤LSDの人体実験において、アフリカ系アメリカ人たちを重点的に被験者にしていた (2022/10/31)
- 米国が中国の人権侵害問題議案を国連に提出したが、これは天に唾する行為 (2022/10/21)
- 9/11攻撃の21周年は、アメリカの新しい現実の1周年 (2022/10/02)
スポンサーサイト