米国と同盟を結んでいない国々が、米国軍事生物研究所について回答を求めている
<記事原文 寺島先生推薦>
Non-Aligned Countries Demand Answers about US Military Biolabs
筆者:ルーカス・ライロス(Lucas Leiroz)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年11月4日

国際社会は徐々に、犯罪的な科学活動への関与について米国が回答を求める動きになっている。10月18日、ベラルーシ、ベネズエラ、ジンバブエ、中国、キューバ、ニカラグア、シリア、そしてロシアが国連でワシントンに対して生物兵器条約(BWC)第6条の発効を求めた。この措置は重要だが、今のところ、欧米と同盟関係にない国々が地政学的な立場で足並みを揃えたに過ぎない。欧米諸国もワシントンに対して説明を求め始めていることもきわめて重要である。
この条文により、ある国が条約のルールを守っていない疑いがある場合、安全保障理事会に提訴することができる。米国は生物兵器を禁止する条約に加盟しているので、犯罪の可能性を調査するために他の加盟国と協力することは米国政府の義務であろう。この場合、ワシントンが容疑者であることを考慮すると、アメリカの協力は、世界中の生物実験室、特にウクライナ国内の生物実験室の活動に関する文書や報告書を国連に提供することで成り立つはずである。
よく知られているように、ウクライナでの特別軍事作戦が始まって以来、ロシア当局は2014年からアメリカ側とウクライナ側が共同で行っていた生物学的犯罪活動に関する報告書を定期的に発表してきた。ウクライナでは46のアメリカの研究所が確認され、その周辺には少なくとも2億ドルの投資が行われていた。この作戦を通じて、モスクワ軍は、ペンタゴンの機関、ファイザーやモデルナなどのビッグテック企業、ソロスのオープンソサエティなどの慈善財団、さらには現アメリカ大統領の息子であるハンター・バイデンが関与した汚職ネットワークからの違法資金など、複数の官民団体がこれらの活動の資金提供に参加していることを証明する文書を入手した。
ロシア国防省の放射線・化学・生物防護部隊によると、これらのアメリカの研究所はコレラ、炭疽、野兎病、さらにはCOVID-19などの深刻な感染症病原体を使った研究を行い、サンプルを採取して実験結果を米国に送っていたという。ロシアの調査では、アメリカの施設で下級軍人や社会的弱者をモルモットとして使っていたことが指摘されており、違法な人体実験が行われていたことが分かっている。また、これらの人々の血液サンプルも採取され、米国に輸出されたことだろう。問題は、このような活動がWHOなどの保健機関の監督を受けずに行われていたため、実際にサンプルがどのように使われていたのかが管理されていなかったことだ。
ロシアの情報機関は、この研究は特定の民族を標的にした生物兵器の開発が主目的であり、国境地帯で発射してロシア人だけに届くようにするためであるとする報告書さえ発表している。このような事情は事態をさらに悪化させるので、米国はこの件に関して信頼できる説明をする必要性がより一層高まっている。
しかし、ロシアの非難が十分な根拠を持ち、物的証拠によって正当化されるのとは異なり、アメリカの「説明」は修辞的に弱いように思われる。ワシントンは、モスクワの主張に反論するためのいかなる種類の反論も提示することができなかった。それどころか、アメリカ当局は生物学的研究に関して曖昧で矛盾した発表をしており、これまで何一つ具体的で正式な情報が政府から得られていないのである。同じ意味で、この活動に資金を提供しているアメリカの機関も沈黙を守っている。
だからこそ、国連における各国の参加が重要なのである。生物兵器条約(BWC)第6条を行使することによって、各国は米国に、これらの研究所における自らの行動についての答えを出すよう迫ることができる。もし、米国が協力を拒否し、重要な証拠に裏付けられたもっともらしい説明をしないなら、それは単にロシアの主張が真実であることを証明することになる。
この件に関して、中国伝媒大学国際関係研究所の楊美庵教授は次のようにコメントしている:
「ロシアは調査を要求している。多くの国が要求している。アメリカの活動を調査することは必須である。しかし、彼らはあらゆる手段で調査を妨害している。米国に問題がないのであれば、何を恐れる必要があるのだろうか?このような研究の多くは、二重の目的を持っている。米国は科学的研究というが、新型兵器の製造に使われたのではないのか。米国は証拠と説明をするべきだ」。
実際、現実的な視点から状況を見ると、ロシアの主張が虚偽である可能性は極めて低い。モスクワが提出した証拠は極めて具体的かつ複雑であり、ワシントンがこれまで反論してこなかったということは、アメリカがウクライナで実際に犯罪行為を行っていたことを示すものである。その意味で、国連での調査はアメリカにとって大きな問題となるだろう。アメリカにとっての唯一の希望は、国際的な動きを促すことであると思われる。
非同盟諸国だけが調査を要求すれば、事態が先に進まない可能性がある。したがって、西側諸国もロシアの要求に沿うことが不可欠である。これは単なる地政学的な同盟の話ではなく、国際法上、何が正当で何がそうでないかの対立である。生物兵器の開発は許容すべからざる犯罪であり、地政学的利害に関係なく、国際社会全体がそれを阻止するために歩調をそろえるべきなのである。
Lucas Leiroz, researcher in Social Sciences at the Rural Federal University of Rio de Janeiro; geopolitical consultant.
Non-Aligned Countries Demand Answers about US Military Biolabs
筆者:ルーカス・ライロス(Lucas Leiroz)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年11月4日

国際社会は徐々に、犯罪的な科学活動への関与について米国が回答を求める動きになっている。10月18日、ベラルーシ、ベネズエラ、ジンバブエ、中国、キューバ、ニカラグア、シリア、そしてロシアが国連でワシントンに対して生物兵器条約(BWC)第6条の発効を求めた。この措置は重要だが、今のところ、欧米と同盟関係にない国々が地政学的な立場で足並みを揃えたに過ぎない。欧米諸国もワシントンに対して説明を求め始めていることもきわめて重要である。
この条文により、ある国が条約のルールを守っていない疑いがある場合、安全保障理事会に提訴することができる。米国は生物兵器を禁止する条約に加盟しているので、犯罪の可能性を調査するために他の加盟国と協力することは米国政府の義務であろう。この場合、ワシントンが容疑者であることを考慮すると、アメリカの協力は、世界中の生物実験室、特にウクライナ国内の生物実験室の活動に関する文書や報告書を国連に提供することで成り立つはずである。
よく知られているように、ウクライナでの特別軍事作戦が始まって以来、ロシア当局は2014年からアメリカ側とウクライナ側が共同で行っていた生物学的犯罪活動に関する報告書を定期的に発表してきた。ウクライナでは46のアメリカの研究所が確認され、その周辺には少なくとも2億ドルの投資が行われていた。この作戦を通じて、モスクワ軍は、ペンタゴンの機関、ファイザーやモデルナなどのビッグテック企業、ソロスのオープンソサエティなどの慈善財団、さらには現アメリカ大統領の息子であるハンター・バイデンが関与した汚職ネットワークからの違法資金など、複数の官民団体がこれらの活動の資金提供に参加していることを証明する文書を入手した。
ロシア国防省の放射線・化学・生物防護部隊によると、これらのアメリカの研究所はコレラ、炭疽、野兎病、さらにはCOVID-19などの深刻な感染症病原体を使った研究を行い、サンプルを採取して実験結果を米国に送っていたという。ロシアの調査では、アメリカの施設で下級軍人や社会的弱者をモルモットとして使っていたことが指摘されており、違法な人体実験が行われていたことが分かっている。また、これらの人々の血液サンプルも採取され、米国に輸出されたことだろう。問題は、このような活動がWHOなどの保健機関の監督を受けずに行われていたため、実際にサンプルがどのように使われていたのかが管理されていなかったことだ。
ロシアの情報機関は、この研究は特定の民族を標的にした生物兵器の開発が主目的であり、国境地帯で発射してロシア人だけに届くようにするためであるとする報告書さえ発表している。このような事情は事態をさらに悪化させるので、米国はこの件に関して信頼できる説明をする必要性がより一層高まっている。
しかし、ロシアの非難が十分な根拠を持ち、物的証拠によって正当化されるのとは異なり、アメリカの「説明」は修辞的に弱いように思われる。ワシントンは、モスクワの主張に反論するためのいかなる種類の反論も提示することができなかった。それどころか、アメリカ当局は生物学的研究に関して曖昧で矛盾した発表をしており、これまで何一つ具体的で正式な情報が政府から得られていないのである。同じ意味で、この活動に資金を提供しているアメリカの機関も沈黙を守っている。
だからこそ、国連における各国の参加が重要なのである。生物兵器条約(BWC)第6条を行使することによって、各国は米国に、これらの研究所における自らの行動についての答えを出すよう迫ることができる。もし、米国が協力を拒否し、重要な証拠に裏付けられたもっともらしい説明をしないなら、それは単にロシアの主張が真実であることを証明することになる。
この件に関して、中国伝媒大学国際関係研究所の楊美庵教授は次のようにコメントしている:
「ロシアは調査を要求している。多くの国が要求している。アメリカの活動を調査することは必須である。しかし、彼らはあらゆる手段で調査を妨害している。米国に問題がないのであれば、何を恐れる必要があるのだろうか?このような研究の多くは、二重の目的を持っている。米国は科学的研究というが、新型兵器の製造に使われたのではないのか。米国は証拠と説明をするべきだ」。
実際、現実的な視点から状況を見ると、ロシアの主張が虚偽である可能性は極めて低い。モスクワが提出した証拠は極めて具体的かつ複雑であり、ワシントンがこれまで反論してこなかったということは、アメリカがウクライナで実際に犯罪行為を行っていたことを示すものである。その意味で、国連での調査はアメリカにとって大きな問題となるだろう。アメリカにとっての唯一の希望は、国際的な動きを促すことであると思われる。
非同盟諸国だけが調査を要求すれば、事態が先に進まない可能性がある。したがって、西側諸国もロシアの要求に沿うことが不可欠である。これは単なる地政学的な同盟の話ではなく、国際法上、何が正当で何がそうでないかの対立である。生物兵器の開発は許容すべからざる犯罪であり、地政学的利害に関係なく、国際社会全体がそれを阻止するために歩調をそろえるべきなのである。
Lucas Leiroz, researcher in Social Sciences at the Rural Federal University of Rio de Janeiro; geopolitical consultant.
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