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ウクライナ紛争を利用して、ロシア政府を転覆する狙いがあることを、英米の支配者層は認めている

<記事原文 寺島先生推薦>

It's no secret that the West is trying to overthrow the Russian government – John Bolton was just saying it out loud

Forget the veteran warmonger, Britain's Henry Jackson Society has come up with a far more elaborate scheme

(西側がロシア政府の政権転覆を行おうとしていることは秘密でもなんでもないージョン・ボルトンが大声で語っているのだから。
この戦争中毒者の大御所以外にも、英国の圧力団体ヘンリー・ジャクソン・ソサエティが、さらに過激な陰謀を披露している)

筆者:フェリックス・リブシッツ(Felix Livshitz)

出典:RT

2022年10月8日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年10月19日



©  Getty Images / Andrey Rudakov / Bloomberg


 10月4日、悪名高いネオコンのジョン・ボルトンが、非常に露骨な表現を使った論説記事を、軍事関連ブログの19fortyfive.com.に投稿した。その論説の大胆な題名に、過激な戦争中毒者であるボルトンの思いが凝縮されている。それは、「プーチンは去らねばならない。今こそ、ロシアの政権転覆の時だ」というものだった。
 
 ボルトンは、ウクライナに対するワシントンの反応を記したに過ぎない。それはまさに、冷戦終結後のワシントンの対ロシア政策のことだ。そしてその反応はずっと変わっていない。つまり、従順で傀儡的な(米国の前に立ちはだからない)指導者を確保しようとする米帝国の政策のことだ。そのような指導者たちを、クレムリン、ひいては欧州全体に安全に据えようとしているのだ。そして、欧州やロシアを、米国の経済や政治や軍の意思に従属する勢力に抑えておきたい、ということだ。


関連記事: US should work for 'regime change' in Russia – John Bolton
 
 英米の長年の最大目的が、このような状況を作ることにあったという事実は、極めて明白だ。ボルトンの発言が多くの大手メディアの関心を引き起こしたが、今年6月にボルトンが書いた記事は、今回のウクライナ紛争を利用して、この長年に渡る目標をどう達成するかについてより詳しく書かれていたのに、こちらの記事については、ほとんど騒がれることがなかった。


英国の気まぐれ

 「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ(以後HJS)」という組織は、政府や、英国の保守党と深いつながりを持つ、強硬派の圧力団体なのだが、その団体は、報告書において以下のような問いを立てている。それは、「ウクライナ侵攻に対するロシア国内の反対勢力は、プーチン政権にとってどのくらいの脅威となっているだろうか?」というものだ。
 
 この中身のない問いについても、反対勢力の実体についても、純粋な学術的見解からの視点はなかった。実際、この文書が提供している概観は、ロシア政府を転覆させるための青写真といえるものでしかない。具体的には、その転覆をロシア国内の反政府活動家たちに内密に資金援助をすることによって達成するという青写真だ。特筆すべきは、その青写真を実現するために、7つの「推奨される政策」が提示されていることだ。
 
 この報告書がG7諸国に求めているのは、「ウクライナ軍によるロシアの敗北や、ロシアに占領された地域の奪還を目標とし、この目標が達成されるまで、武器や訓練を豊富に提供すること」だ。さらに同盟諸国に求められるのは、「ロシア政権からプーチンを排除することを求めている、と公表すること」で、同時に、「クレムリンの指導者に対するクーデターが起こる危険性の情報を広める、ただしこのようなクーデターを策謀している人々の安全は守る」ことだとしている。


独エルマウ城でのG7の会議の際、夕食後に「メルケル-オバマ」ベンチで、非公式の団体写真のために整列している各国首脳陣。©  Michael Kappeler / picture alliance via Getty Images
 

 現在、ワシントンが求められているのは、「ロシアをテロ行為に資金を提供している国家であると名指しして、プーチンは戦争犯罪者であり、欧州や世界の安全保障にとって深刻な脅威となっており、ロシア国内に民主主義を普及させることにおける脅威にもなっている、と公式に宣告すること」だ、ということだ。そしてその民主主義の普及に使われるのが、「西側の民主主義を促進する諸団体」だという。いうまでもなくこの諸団体とは、CIAの仮面機関である「全米民主主義基金」やUSAID(米国国際開発庁)などだ。これらの機関が担っているのは、「ロシア国内の様々な反政府勢力への支援を増やすための重要な任務」だ。
 
 HJSの提案によれば、まさにこれらの諸団体は、ロシア国内や、ウクライナや、バルト三国や、ポーランドで、「ロシア国内の独立系メディアへの支援も高めるべき」であるという。さらに西側諸国の政府に求められていることは、「ロシアの国家機関当局者」や軍の役人たちの「亡命を誘発し」、「これらの人々に、彼らが望む国での避難所を提供することで、ロシアの内部情報を得る」ことだとしている。そしてその情報は、この先プーチンを始め、諸大臣を国際裁判で裁く際に利用できるというのだ。


関連記事: Be careful what you post: How Facebook and the US government have united against Americans with the 'wrong' views
 

 「ロシアの独立系メディアを通じて、ロシアの一般市民に伝えることができる情報を増やす仕組みを確立しなければならない。そして、西側の多くのラジオ局による放送や、アノニマス(英国で結成されたオンライン上の国際的な連携組織)が行っている工作活動を通じて、西側の制裁によりロシア経済やロシア金融界が受けている打撃や、ロシア軍の戦死者の高い数値についての情報を広めなければならない」と、この報告書は、背筋が寒くなるような言葉で締められている。


奴はいつも、色をまとってやってくる。

 このような提案に聞き覚えがあるとすれば、その理由は、西側がこれまでも同じような手口をずっと使ってきたからだ。あるいは、少なくとも口にしてきた手口だからだ。すべてのG7諸国の政府が、独自の取り組みや、集団としての取り組みとして、HJSがこの報告書を出してから数ヶ月間、ずっと行ってきたことだからだ。

 このことは、なぜこの報告書が西側のニュースメディアから注目を集めなかったかの理由の説明になるだろう。ほかの反クレムリン政策研究所が今年出したほとんどの主張は、メディアを騒がせたこととは対照的になっている。結局のところ、G7諸国の政府、あるいは各国の支配下や影響下にあるメディアが、発令される前から、政策や公式発表に関して注目を集めさせはしない、ということだ。あるいは、戦闘前から、戦争を効果的に進める詳細な計画が隠されることなく、周知されることはないということだ。

 HJSによるこの研究の主眼が、ロシアの政権転覆の手段を探ることに置かれていたという事実は、ウクライナの「オレンジ革命」や2014年のマイダンでのクーデターについての記載が、多くの章を割いて取り上げられていることからも、よくわかる。


2014年2月21日、ウクライナのキエフのマイダン広場の近くのインスティ・トゥースカ通りで、バリケードを見つめる一人の反政府活動家©  Etienne De Malglaive / Getty Images

 これらの「革命」の経験があるため、この圧力団体のHJSは、ロシア国内に反政府勢力の基盤を立てる重要性がしっかりとわかっているのだ。「既得権力への対抗に成功できたのは、まさに(ウクライナ国内の反政府勢力と)このような広範な連携体制がとれたから」であり、2004年や2014年に、やっかいなキエフ政権を転覆させることができた、とこの報告書には満足げに記載されている。

 ただしHJSの予見では、ロシア国内でこのような「連携体制」をとるのは、ウクライナのときよりも、困難になるであろうとしている。それは、ロシアの一般市民が、クレムリンの政局運営をかなり支持しているからだ。その目的を達成するために、HJSが武器として使えるものとして提案しているのは、「国家当局者たちをいらつかせること。侵略や軍の戦死者数で一般市民たちに動揺を与えること。西側の制裁によりロシア国民たちに打撃を与えること。ロシアのシロヴィキ(治安・防衛部隊)内に分断を生じさせること」だとしている。


関連記事:Vladislav Ugolny: Ukrainian elites are really pissed off with Elon Musk, here's why
 

 言い換えれば、この圧力団体のロビイストたちが主張しているのは、ウクライナでの例に習って、モスクワで「カラー革命」を起こすことだ。ウクライナ以外でも、グルジアやキルギスタンなどの旧ソ連圏でも、2000年代に起こってきたことだ。それぞれの地域で取られたやり口は少しずつ違うが、最終目的は同じだった。西側と与しない政権を、専制的で、国民からの評判がよくない政権に置き換え、西側の利益を増やすことや、国家主権を西側の抵当にいれることを考えるような政体を作ることだ。

 2004年のウクライナでは、全米民主主義基金の計画により、ウクライナ国内の若者たちは過激化し、抗議運動には資金が渡され、給与を与えられた抗議者たちがバスでキエフに送られ、反政府メディアの創造により暴動が煽られ、抗議者たちには海外で訓練が施され、給与を与えられた世論調査員たちが、反政府の風潮をほのめかすような調査結果を発表していた。

 こんな努力があったにもかかわらず、ウクライナから親露感情を消し去ることはできなかった。そのため、米国が密かに、あるいは公然と、キエフの過激な国粋主義者たちに、ユーロマイダンのクーデターが起こるまで、何ヶ月もかけて、資金援助を行わなければならなかったのだ。 ウクライナ国民も、それ以外の地域の人々も、米国が行ったこの干渉行為の負の遺産を引きずったまま暮らしている。ロシアに対して同じような干渉行為を行ったならば、もっとずっと悲惨なことになるだろう。 そして世界が、もっとずっと酷い惨状に陥ることは確実だ。
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