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ロシア・ウクライナ紛争の再燃:この先に起こるのは、ゼレンスキーの降伏か?それともヨーロッパの崩壊か?

<記事原文 寺島先生推薦>

Recrudescence of the Russia-Ukraine Conflict: Zelensky’s Capitulation or Total Collapse of Europe

ロシア・ウクライナ紛争の再燃:ゼレンスキーの降伏か? それともヨーロッパの完全崩壊か?

筆者:ヨセリーナ・ゲバラ・ロペス(Yoselina Guevara López)

出典:INTERNATIONALIST 360°

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年10月18日




 今週10月11日火曜日、ロシア連邦はウクライナのエネルギー施設や軍事施設を標的にした新たな大規模攻撃を行った。ロシア防衛省が出した情報によると、ロシア軍は、この作戦で、長距離精密誘導兵器を駆使した空と海、両方からの攻撃を、軍事施設やあらかじめ目標としていたウクライナのエネルギー施設を標的にして行った、という。

 現在、ロシアとウクライナ間の紛争が、激化の一途にあることは間違いないが、モスクワはこれまでは可能な限り抑制的であろうとしてきた。この言い方が衝突となじむのであればそう言いたい。ただ、ウクライナからの攻勢に対してロシアの反応がこれまで道理にかなっていたことを考えれば、いま述べたことを肯定してもいいだろう。一方で、ウクライナの攻撃には過激な事例がいくつもある。例えば、ノルド・ストリーム1と2のパイプラインの破壊工作、ダリア・ドゥーギナさんの殺害、クリミア大橋の破壊である。言うまでもないことだが、ウクライナ軍の部隊をロシア国境に向けて侵入させようとしたこともそうだ。


クレムリンにとって超えてはならない一線

 クリミア大橋はウラジミール・プーチン大統領から見過ごすことのできない「最後の超えてはならない一線」に指定されていたが、それにもかかわらず、ウクライナは10月8日日曜日にそこを破壊した。その結果、ウクライナはモスクワからの激しい反撃を受けることになった。ウクライナのどの地域もロシアによるミサイル砲撃の嵐を逃れることはできなかった。ロシアの発祥地である首都キエフから黒海における「ロシアの」と真珠と称されている港岸都市オデッサまで、さらにはロシア語圏のハリコフから民族主義色が強く中欧の一都市とも言われるレオポリ(リヴィウ)までもが砲撃の対象となったのだ。

 ロシアの報復攻撃がどれほどの規模だったのかは、少なくとも3発のミサイルが中立国であるモルドバの上空を飛行した事実からはっきりと分かる。このミサイル飛行にキシュナウ政府は怒りの声をあげ、即座にベッサラビア(モルドバが位置する中欧の一地域のこと)のロシア大使オレグ・ヴアスネコフが呼び出された。爆発性の高いこのミサイルが、中欧及び東欧で最大規模の弾薬庫であるコバスナ弾薬庫(2万トン以上の戦争物資を格納している)の上空を通過したという事実はモルドバ当局の懸念を引き起こした。「取り返しのつかない事故がおこる」可能性を彼らは恐れたのだ。


交渉経路の断然

 ロシアのミサイルがSBU(ウクライナの諜報機関であるウクライナ保安庁)のセンターの近くを攻撃したことは、モスクワがウクライナの政治的・軍事的指導者たちを、物理的に排除しようとする傾向が強まっていることを示している。今のところは、政府の省庁や大統領府はロシアによる攻撃を受けていないが、 いつその状況が変わってもおかしくはない。和平交渉に携わる関係者たちがいると思われる非軍事施設や行政機関が攻撃されていない状況から考えると、ロシア側は話し合いで解決する経路を残しておこうとしているのだろう。しかしその経路は、ゼレンスキーが大統領令2022年第679号に署名した瞬間から絶たれた。その大統領令は、ロシアとの休戦交渉を明示的に禁じるもので、そうなるとウクライナ側からはどんな停戦協定も出せず、和平へのかすかな気配さえもなくなってしまったからだ。


冬将軍の到来と欧州の崩壊

 冬の到来を直前に控える中、ロシアのミサイル攻撃は、ウクライナの電力供給基盤を標的にしている。ウクライナの領内全てで電灯が消されていることも、「冬将軍」の到来が近づいていること示す一例だ。ロシアによるこの作戦は、一般市民たちに影響を与えている。エネルギー供給量に圧力をかけることにより、ロシアはゼレンスキーに降伏させることを狙っているようだ。一方でゼレンスキーは、敗者になることをきっぱりと拒んでいる。しかし、エネルギーの問題はウクライナだけではなく、欧州全体にも関わることなので、彼は全ての国々を生け贄に差し出していることになる。

 さらに、ロシア・ウクライナ戦争に対して、西側が武器供給を全く止めようとしないことから考えると、欧州の各国政府がウクライナ国内の人々の命にほとんど関心を持っていないことは明らかだ。加えて、ロシアからのエネルギー供給を止めることにより、すべての欧州諸国の経済を崩壊させていることにもお構いなしのようだ。 私たちの目に見えている彼らの目的は、同盟諸国やNATOの援助のもとでロシアを激しく攻撃している米国の計画に服従し続けることだけである。

 この先の見通しははっきりしている。欧州諸国の民衆は、現在政権を執っている自国政府への抗議活動を力強く継続するだろう。いまだにウクライナの無謀な行為を支えているからだ。西側諸国の民衆こそがまさに、ウクライナで継続している戦闘の経済的な犠牲者なのだ。彼らは民衆の蓄えや税金を、武器や資金として何十億ユーロ/ドルもウクライナに送っている。これらの国は、この紛争なるに間接的に参戦しているので、国家予算は既に大赤字になっている。このままいけば奈落の底まで落ちるだろう。インフレ上昇率が2桁に達している状況で、その影響の痛みを受ける家庭は何百万にものぼるだろう。冬に暖房を使えず、最悪の場合は食べるものすら十分に賄えなくなるだろう。イタリアやドイツなど、製造業に伝統のある国々で、何百もの大小企業が倒産している。それに伴い、失業者の数は増え、それは社会に暴動を起こす温床となるだろう。寒い冬の到来が近づいているが、歴史あるこの欧州大陸で政府に対する抗議活動が確かに起こっている。この地で形成されてきた革命という伝統が、まだ残存しているかどうかを、見届けようではないか。


 ヨセリーナ・ゲバラ・ロペス:ソーシャルメディアを使った発信者で、政治専門家。世界各地の様々なメディアでコラムを執筆している。ロペス氏執筆記事は、英語・イタリア語・ギリシャ語・スウェーデン語に翻訳されている。2022年、ベネズエラのシモン・ボリバル賞の国内記者賞特別賞を受賞。ベネズエラの2021アニバル・ナゾア賞国内記者賞を受賞。エルサルバドルの2022年フェリシアーノ司令官歴史記念コンテストで三等賞を受賞
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