キエフ政権の「暗殺という爆弾」が、西側に死をもたらす
<記事原文 寺島先生推薦>
An Assassin’s Bomb and the Death of the West
筆者 クリストファー・ブラック(Christopher Black)
出典:NewEasterOutlook
2022年8月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月26日

2018年9月に私がエッセイを書いたのは、ドネツク共和国の指導者であるアレクサンドル・ザハルチェンコの残忍な殺人についてであった。これはNATOの支援を受けたキエフの工作員らによるもので、彼は同年8月31日にキエフの爆弾で殺害されたのだ。この事件は、ミンスク協定の死(終焉)を告げたものだったし、だからまた、ナチスとNATOの軛(くびき)からウクライナを解放するためには、ロシアの特別軍事作戦が避けられないものであることを告げるものだった。
そのエッセイはグーグルから削除されてしまったが、彼が殺された理由は私たちにはよく分かる。2022年8月20日、ロシアの知識人アレクサンドル・ドゥーギンの娘ダリヤ・ドゥーギンが、モスクワ近郊で、キエフの別の爆弾で殺害された理由と同じだ。父親が講演したイベントに同行した後のことだった。報道で知る限り、父親は直前になって別の車で帰ることを選択しこの攻撃から生き延びた。娘はイベント会場まで乗ってきた車で帰宅したのだった。
ロシア連邦保安庁FBSは殺人犯をナターリヤ・ヴォフクと特定した。彼女はキエフ国家警備隊に所属しおり、ナチス・アゾフ大隊に所属していると私は理解しているが、アゾフ大隊の主要部隊はマリウポリでロシア軍が街を解放したときに壊滅されたのであった。彼女は、偽の身分証明書とドネツクの偽ナンバープレートを使ってロシアに入国することができ、偽装のために娘も同行していたが、ドゥーギン殺害後すぐにエストニアに逃げ、ウクライナのナンバープレートで入国した。前もってエストニアと協定を結んで、その代償を支払うことになっているのは間違いないだろう。女殺人犯、つまりキエフとNATOの関与に対する証拠は、反論の余地がないように思われる。
この殺人はいくつかのことを暴露している。
第一に、この殺人は、キエフ政権のナチス志向と不道徳性を確認するものである。
第二に、この殺人は、キエフとNATOがキエフ軍の継続的な敗北に絶望していることであり、キエフが卑劣な道を選び、キエフに反対意見を述べる者を殺害していることを確認するものである。しかし、これについては、全く驚くにはあたらない。なぜなら2014年にNATO(実はCIA)が裏で画策したウクライナでのクーデター以降、キエフが人々を殺害しているのだから。それも大規模に殺害しているのだから。
最後に、この殺人は、西側諸国の結合体の偽善を、さらにもう一度、確認することになる。例えば、露英の二重スパイだったイギリスのスクリパル、あるいはプーチン批判で有名なロシアのナワリヌイをロシアが殺害を目論んだと主張したとき、そしてナワリヌイが毒殺されていないことが明らかとなり、また、スクリパルに関するイギリスの主張も同様に偽物であることが明らかとなったとき、そんなときも、西側諸国は正義と復讐の天使を気取っていたのだった。
しかし、彼らはそれらの主張を口実にロシアに経済戦争を仕掛け、あらゆる種類の嘘泣きの「ワニの涙」と道徳や法律に関する偽りの姿勢で、すべての西側メディアを使って、反ロシア憎悪プロパガンダの津波を発生させたのである。
訳注:
2018年3月4日、元ロシア軍将校で英国諜報機関の二重スパイであるセルゲイ・スクリパルと彼の娘のユリア・スクリパルがイギリスのソールズベリー市で毒殺(未遂)された。英国の情報筋と化学兵器禁止機関によると、それはノビチョク神経ガスによるものだった。写真:

アレクセイ・ナワリヌイは、ロシアの弁護士、政治活動家。2009年以降、ドミートリー・メドヴェージェフ、ウラジーミル・プーチンへの批判などから国内のメディアで注目を集めた。写真:

ところで、スクリパル父娘は今どこにいるのだろう? 生きているのか死んでいるのか? 二人は、英米の暗殺部隊によって殺害され、死んでいる可能性が高い。
2003年に、リチャード・ケリー博士は、米英がイラクの化学兵器について虚偽の主張をしたという報道のなかで、自分が果たした役割について英国議会委員会で証言したのだが、そのときにケリー博士に起きたことと全く同じである。ケリー博士は委員会証言の直後に殺害され、英国政府は「自殺」だと主張した。それを信じる者はほとんどいない。
もし、多くの人が疑っているように、ロシアが珍しい毒物(ノビチョク神経ガス)を使ってスクリパル父娘の命を狙ったという英国の主張が捏造で、ロシアに対する経済・政治戦争を激化させる口実としてこのドラマ全体が演出されたとしたら、スクリパル父娘の二人は興味深い物語を語ることになる。この数年、二人の消息は全く分からない。ロシア政府も家族同様に面会を求め続けているが、スクリパル父娘は姿を消したままだ。ジャーナリストのジョン・ヘルマーがこの問題に関する一連の報道で詳述しているように、二人は英国でおこなわれているこの事件の継続的な調査にも姿を見せず、また英国政府は二人を誰とも会わせないし、話もさせないままである。つまり、彼らは監禁されているか、最悪の場合は、ケリー博士のように殺害されている可能性もある。
しかし、西側の工作員(ウクライナ人殺人犯ナターリヤ・ヴォフク)が、ロシアでロシア人(ダリヤ・ドゥーギン)を殺害した場合、西側ではどのような反応があるだろうか?西側諸国政府はまだこの犯罪を非難しておらず、この殺人への支援と共謀を示している。西側メディアの報道は、多かれ少なかれ、殺人を正当化するかのように、アレクサンドル・ドゥーギンがプーチン大統領の重要な顧問であると主張している。彼がそうであるかどうかは、私が言える立場にはないし、どちらであっても関係ないことだ。しかし、これが西側諸国の路線であり、メディアもまたこの殺人に加担していることになるのである。これが彼ら西側諸国の道徳観である。プーチン大統領の友人なら、あるいは友人とおぼしき人なら、殺してもいいのである。ロシア人なら殺してもいいのである。もちろん、西側諸国の首都ではプーチン大統領自身の首を取るという声も聞かれる。
では、この殺人の目的は何なのだろうか。私には、アレクサンドル・ドゥーギンの暗殺未遂と、ロシア連邦保安庁FSBによれば標的であった可能性のあるドゥーギンの娘の殺害には、二つの目的があったように思える。ひとつは、ロシア政府、特にプーチン大統領にメッセージを送り、そのメッセージが何であるかは明確であること、そしてふたつめは、8月22日のロシアの国旗記念日を台無しにすることである。アレクサンドル・ドゥーギンもその娘も、その思想と言行によって西側諸国から「制裁」を受けたことを私たちは記憶している。それが、彼らに予定されていた運命への第一歩だった。これが西側の真の「価値観」であり、殺人に至るまで言論と思想を弾圧することが公然と容認され、提唱されているのである。ロシアは、この問題を国連の安全保障理事会で提起するつもりである。
ヨーロッパはロシア人にたいする一種のポグロム(民族大虐殺)に向かっていて、ロシア人の居住や訪問さえも禁止している。ウクライナでは、ロシア軍とドンバス共和国軍によるキエフ・NATO政権の敗北に直面し、アメリカとそのNATOの凶悪犯たちは絶望的になってしまい、ロシアにたいする経済戦争の結果として、自国民を貧困と悲惨に陥れようとしているほどである。
ロシアを潰すことは、この戦争を推進しているグローバリストのエリートにとって、自国民の生活や福祉よりも重要なことなのだ。彼らはもはや合理的な判断を下すことができない。彼らは戦争の論理に陥っており、文字通りどんな犠牲を払ってでもロシアとの戦争を追求することを決意している。その代償は大きいものとなろう。なぜなら、ロシアは目的が明確であり、歴史における自らの立場・役割を確信しており、経済的・軍事的にいかなる敵をも克服する能力に自信を持っており、ウクライナの現場でそれを証明しているからである。かつてロシアがシリアで証明したとおりである。
軍事戦略の古典『戦争論』を書いたクラウゼヴィッツは、「戦争は暴力の脈動であり、強さが可変であり、したがって爆発してエネルギーを放出する速度も可変である」とし、次のように述べている。
「戦争が何らかの政治的目的から生じていることを我々が念頭に置くならば、その存在の大義名分が戦争遂行上の最高の考慮事項であり続けるのは当然である」
ウクライナ戦争、対ロシア戦争の大義名分は、経済的・精神的・文化的に結合した西側の衰退であり、その衰退は加速している。それは誰の目にも明らかなものである。かつて私が知っていた、あるいは知っていると思っていた西側は死んだ。啓蒙主義・理性・道徳の西側、その衰退を19世紀後半から他の人々は語ってきた。社会の観察者や哲学者は、エリートの不道徳に支配された一般市民の生活に起こっていることを何度も何度も語ってきたのだ。彼らは市民の生活のことなど気にもかけず、国家を支配し、市民を自分たちの金儲けの手段としか見てこなかったのだ、と。
私たちは、ウクライナでの戦争に、英米独の政治的目的の表出を見る。それは、ロシアを自分たちの意志に従わせるという願望である。彼らは第一次世界大戦で失敗し、イギリスとヨーロッパの大部分を破産させ、ファシズムの台頭を招いた。この試みは第2次世界大戦で再び失敗し、世界に破滅的な結果をもたらした。ロシアを破壊する彼らの3度目の試みも、彼らがそれに固執したとしても、同様の結果に終わるだろう。
1990年代の暗黒時代から立ち直ったロシア国家は、再び力と決意を固め、誰の指示にも服従することにも拒否している。中国や他の多くの同盟国とともに、ロシアは、19世紀から現在に至るまで西側の植民地主義や残虐行為の犠牲になってきたすべての人々に対して、国際法と威厳への復帰、国家の主権、文化の尊重、独自の民主主義の形態、西側グローバル資本による支配に代わるものを世界に提供しているのである。
西側の植民地支配による秩序は、ついに粉砕されつつある。私たちが殺人と混乱を止めたいのなら、西側の植民地支配は粉砕されなければならない。暗殺者の爆弾はダリヤ・ドゥーギンを殺しただけでなく、西側の死をも告げているのだから。
クリストファー・ブラックはトロントを拠点とする国際刑事弁護士である。戦争犯罪に関する数々の著名な事件で知られ、最近、小説『Beneath the Clouds』を出版した。国際法、政治、世界の出来事に関するエッセイを、特にオンラインマガジン「New Eastern Outlook」に執筆している。
An Assassin’s Bomb and the Death of the West
筆者 クリストファー・ブラック(Christopher Black)
出典:NewEasterOutlook
2022年8月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月26日

2018年9月に私がエッセイを書いたのは、ドネツク共和国の指導者であるアレクサンドル・ザハルチェンコの残忍な殺人についてであった。これはNATOの支援を受けたキエフの工作員らによるもので、彼は同年8月31日にキエフの爆弾で殺害されたのだ。この事件は、ミンスク協定の死(終焉)を告げたものだったし、だからまた、ナチスとNATOの軛(くびき)からウクライナを解放するためには、ロシアの特別軍事作戦が避けられないものであることを告げるものだった。
そのエッセイはグーグルから削除されてしまったが、彼が殺された理由は私たちにはよく分かる。2022年8月20日、ロシアの知識人アレクサンドル・ドゥーギンの娘ダリヤ・ドゥーギンが、モスクワ近郊で、キエフの別の爆弾で殺害された理由と同じだ。父親が講演したイベントに同行した後のことだった。報道で知る限り、父親は直前になって別の車で帰ることを選択しこの攻撃から生き延びた。娘はイベント会場まで乗ってきた車で帰宅したのだった。
ロシア連邦保安庁FBSは殺人犯をナターリヤ・ヴォフクと特定した。彼女はキエフ国家警備隊に所属しおり、ナチス・アゾフ大隊に所属していると私は理解しているが、アゾフ大隊の主要部隊はマリウポリでロシア軍が街を解放したときに壊滅されたのであった。彼女は、偽の身分証明書とドネツクの偽ナンバープレートを使ってロシアに入国することができ、偽装のために娘も同行していたが、ドゥーギン殺害後すぐにエストニアに逃げ、ウクライナのナンバープレートで入国した。前もってエストニアと協定を結んで、その代償を支払うことになっているのは間違いないだろう。女殺人犯、つまりキエフとNATOの関与に対する証拠は、反論の余地がないように思われる。
この殺人はいくつかのことを暴露している。
第一に、この殺人は、キエフ政権のナチス志向と不道徳性を確認するものである。
第二に、この殺人は、キエフとNATOがキエフ軍の継続的な敗北に絶望していることであり、キエフが卑劣な道を選び、キエフに反対意見を述べる者を殺害していることを確認するものである。しかし、これについては、全く驚くにはあたらない。なぜなら2014年にNATO(実はCIA)が裏で画策したウクライナでのクーデター以降、キエフが人々を殺害しているのだから。それも大規模に殺害しているのだから。
最後に、この殺人は、西側諸国の結合体の偽善を、さらにもう一度、確認することになる。例えば、露英の二重スパイだったイギリスのスクリパル、あるいはプーチン批判で有名なロシアのナワリヌイをロシアが殺害を目論んだと主張したとき、そしてナワリヌイが毒殺されていないことが明らかとなり、また、スクリパルに関するイギリスの主張も同様に偽物であることが明らかとなったとき、そんなときも、西側諸国は正義と復讐の天使を気取っていたのだった。
しかし、彼らはそれらの主張を口実にロシアに経済戦争を仕掛け、あらゆる種類の嘘泣きの「ワニの涙」と道徳や法律に関する偽りの姿勢で、すべての西側メディアを使って、反ロシア憎悪プロパガンダの津波を発生させたのである。
訳注:
2018年3月4日、元ロシア軍将校で英国諜報機関の二重スパイであるセルゲイ・スクリパルと彼の娘のユリア・スクリパルがイギリスのソールズベリー市で毒殺(未遂)された。英国の情報筋と化学兵器禁止機関によると、それはノビチョク神経ガスによるものだった。写真:

アレクセイ・ナワリヌイは、ロシアの弁護士、政治活動家。2009年以降、ドミートリー・メドヴェージェフ、ウラジーミル・プーチンへの批判などから国内のメディアで注目を集めた。写真:

ところで、スクリパル父娘は今どこにいるのだろう? 生きているのか死んでいるのか? 二人は、英米の暗殺部隊によって殺害され、死んでいる可能性が高い。
2003年に、リチャード・ケリー博士は、米英がイラクの化学兵器について虚偽の主張をしたという報道のなかで、自分が果たした役割について英国議会委員会で証言したのだが、そのときにケリー博士に起きたことと全く同じである。ケリー博士は委員会証言の直後に殺害され、英国政府は「自殺」だと主張した。それを信じる者はほとんどいない。
もし、多くの人が疑っているように、ロシアが珍しい毒物(ノビチョク神経ガス)を使ってスクリパル父娘の命を狙ったという英国の主張が捏造で、ロシアに対する経済・政治戦争を激化させる口実としてこのドラマ全体が演出されたとしたら、スクリパル父娘の二人は興味深い物語を語ることになる。この数年、二人の消息は全く分からない。ロシア政府も家族同様に面会を求め続けているが、スクリパル父娘は姿を消したままだ。ジャーナリストのジョン・ヘルマーがこの問題に関する一連の報道で詳述しているように、二人は英国でおこなわれているこの事件の継続的な調査にも姿を見せず、また英国政府は二人を誰とも会わせないし、話もさせないままである。つまり、彼らは監禁されているか、最悪の場合は、ケリー博士のように殺害されている可能性もある。
しかし、西側の工作員(ウクライナ人殺人犯ナターリヤ・ヴォフク)が、ロシアでロシア人(ダリヤ・ドゥーギン)を殺害した場合、西側ではどのような反応があるだろうか?西側諸国政府はまだこの犯罪を非難しておらず、この殺人への支援と共謀を示している。西側メディアの報道は、多かれ少なかれ、殺人を正当化するかのように、アレクサンドル・ドゥーギンがプーチン大統領の重要な顧問であると主張している。彼がそうであるかどうかは、私が言える立場にはないし、どちらであっても関係ないことだ。しかし、これが西側諸国の路線であり、メディアもまたこの殺人に加担していることになるのである。これが彼ら西側諸国の道徳観である。プーチン大統領の友人なら、あるいは友人とおぼしき人なら、殺してもいいのである。ロシア人なら殺してもいいのである。もちろん、西側諸国の首都ではプーチン大統領自身の首を取るという声も聞かれる。
では、この殺人の目的は何なのだろうか。私には、アレクサンドル・ドゥーギンの暗殺未遂と、ロシア連邦保安庁FSBによれば標的であった可能性のあるドゥーギンの娘の殺害には、二つの目的があったように思える。ひとつは、ロシア政府、特にプーチン大統領にメッセージを送り、そのメッセージが何であるかは明確であること、そしてふたつめは、8月22日のロシアの国旗記念日を台無しにすることである。アレクサンドル・ドゥーギンもその娘も、その思想と言行によって西側諸国から「制裁」を受けたことを私たちは記憶している。それが、彼らに予定されていた運命への第一歩だった。これが西側の真の「価値観」であり、殺人に至るまで言論と思想を弾圧することが公然と容認され、提唱されているのである。ロシアは、この問題を国連の安全保障理事会で提起するつもりである。
ヨーロッパはロシア人にたいする一種のポグロム(民族大虐殺)に向かっていて、ロシア人の居住や訪問さえも禁止している。ウクライナでは、ロシア軍とドンバス共和国軍によるキエフ・NATO政権の敗北に直面し、アメリカとそのNATOの凶悪犯たちは絶望的になってしまい、ロシアにたいする経済戦争の結果として、自国民を貧困と悲惨に陥れようとしているほどである。
ロシアを潰すことは、この戦争を推進しているグローバリストのエリートにとって、自国民の生活や福祉よりも重要なことなのだ。彼らはもはや合理的な判断を下すことができない。彼らは戦争の論理に陥っており、文字通りどんな犠牲を払ってでもロシアとの戦争を追求することを決意している。その代償は大きいものとなろう。なぜなら、ロシアは目的が明確であり、歴史における自らの立場・役割を確信しており、経済的・軍事的にいかなる敵をも克服する能力に自信を持っており、ウクライナの現場でそれを証明しているからである。かつてロシアがシリアで証明したとおりである。
軍事戦略の古典『戦争論』を書いたクラウゼヴィッツは、「戦争は暴力の脈動であり、強さが可変であり、したがって爆発してエネルギーを放出する速度も可変である」とし、次のように述べている。
「戦争が何らかの政治的目的から生じていることを我々が念頭に置くならば、その存在の大義名分が戦争遂行上の最高の考慮事項であり続けるのは当然である」
ウクライナ戦争、対ロシア戦争の大義名分は、経済的・精神的・文化的に結合した西側の衰退であり、その衰退は加速している。それは誰の目にも明らかなものである。かつて私が知っていた、あるいは知っていると思っていた西側は死んだ。啓蒙主義・理性・道徳の西側、その衰退を19世紀後半から他の人々は語ってきた。社会の観察者や哲学者は、エリートの不道徳に支配された一般市民の生活に起こっていることを何度も何度も語ってきたのだ。彼らは市民の生活のことなど気にもかけず、国家を支配し、市民を自分たちの金儲けの手段としか見てこなかったのだ、と。
私たちは、ウクライナでの戦争に、英米独の政治的目的の表出を見る。それは、ロシアを自分たちの意志に従わせるという願望である。彼らは第一次世界大戦で失敗し、イギリスとヨーロッパの大部分を破産させ、ファシズムの台頭を招いた。この試みは第2次世界大戦で再び失敗し、世界に破滅的な結果をもたらした。ロシアを破壊する彼らの3度目の試みも、彼らがそれに固執したとしても、同様の結果に終わるだろう。
1990年代の暗黒時代から立ち直ったロシア国家は、再び力と決意を固め、誰の指示にも服従することにも拒否している。中国や他の多くの同盟国とともに、ロシアは、19世紀から現在に至るまで西側の植民地主義や残虐行為の犠牲になってきたすべての人々に対して、国際法と威厳への復帰、国家の主権、文化の尊重、独自の民主主義の形態、西側グローバル資本による支配に代わるものを世界に提供しているのである。
西側の植民地支配による秩序は、ついに粉砕されつつある。私たちが殺人と混乱を止めたいのなら、西側の植民地支配は粉砕されなければならない。暗殺者の爆弾はダリヤ・ドゥーギンを殺しただけでなく、西側の死をも告げているのだから。
クリストファー・ブラックはトロントを拠点とする国際刑事弁護士である。戦争犯罪に関する数々の著名な事件で知られ、最近、小説『Beneath the Clouds』を出版した。国際法、政治、世界の出来事に関するエッセイを、特にオンラインマガジン「New Eastern Outlook」に執筆している。
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