イジュームは第2のブチャだ―「ウクライナの新たな偽旗作戦」としての戦争犯罪、西側の心理作戦
<記事原文 寺島先生推薦>
Izyum is Bucha 2.0: New Ukrainian False Flag War Crimes and Western PSYOP
著者:ニコラ・チンクィーニ(Nicolas Cinquini)
出典:Internationalist 360°
2022年9月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月19日
ウクライナ当局はロシアへの協力者の告訴と拘束を命じ、民間チャンネルはただ民間人の殺害を膨らませて報道している。ウクライナは2022年9月15日、イジューム付近の集団墓地で440体を発見したと偽っている。
イジュームはウクライナ東部ハリコフ州の市で、ハリコフの約138キロ南東、そしてドネツ川両岸に位置しており、ドンバス地域の玄関口といわれる。2021年1月1日時点の人口は45,884人。
ロシア軍は3月、ウクライナ北東部のイジュームを占領した。イジュームは、ドンバスのウクライナ軍陣地の北翼に向かって、ロシア軍が進軍していた途上にある町だ。
9月7日、ウクライナ軍がハリコフ周辺での攻勢を開始した。現地の戦力バランスは4対1(ウ軍対露軍)であり、ウクライナ軍よりも高度な火器を持っているにもかかわらず、そこでの殲滅戦を避け、オスコル川まで後退した。しかしロシア軍の砲兵と空軍はウクライナの集中部隊と隊列を攻撃した。ウクライナは1万2000人の軍人を死傷者として失ったようだが、ロシアの死傷者はわずかであった。
9 月 10 日の朝、あるいはそれ以前に、ロシア軍守備隊と多くの民間人はウクライナの報復を恐れてイジュームを離れた。イジュームは9 月 11 日夕方にウクライナ軍が占領した。この町では戦闘はおこなわれなかった。
この軍事的な状況は、キエフの北西郊外からのもうひとつの撤退であったブチャを思い出させる。
3月30日、ロシア軍はブチャから撤退した。そこをウクライナ軍が31日に占領した。ウクライナ国家警察の特殊部隊は、この地域の一掃作戦を開始し、ウクライナ軍を妨害した人々やロシア軍の協力者たちを排除した。
4月2日(それ以前ということはない)、ウクライナ当局は、人々の遺体を突然路上で発見し、集団墓地があると偽った。そして、その遺体は、ロシア軍が殺したにちがいないとした。まともな犯罪捜査はおこなわれなかった。死んだ市民の中には、ロシアの白腕章をつけていた者や、ロシアの食糧配給書を持っていた者もいた。ウクライナの民族主義者たちは、こうした行為を反逆の証拠とみなしている。
4月11日、フランスの調査官がやってきて、死体の法医学的調査を開始した。それらの死体は、ロシアの残虐行為の犠牲者としてウクライナが提出したものだった。しかし、予想に反して、フランス憲兵「ジャンダルム」が証明したのは、その死体となった人たちは、ロシア軍の撤退前に、ウクライナ軍の砲撃の犠牲になっていた人たちだった、ということだった。
こうした事実にもかかわらず、ブチャにおけるロシアの残虐行為という物語は、いまだにほとんどの西側メディアではカテキズム(キリスト教における教理問答のこと。つまり自明の事実を指す)扱いをされている。

一方、ウクライナの法律は、これまでは法的空白であったロシア同調者に対する次のような法令を出した。たとえば15年の懲役刑は、ロシアの食糧配給を受けて食べたりするような協力者に対する罰則とされた。また、政府は、ロシア語のカリキュラムを実施した教師を告訴すると発表している。おっと、大事なことを書き忘れていた。民間のソーシャルネットワーク・チャンネルは、ロシア軍やルガンスク軍への協力者の個人情報を、さまざまな口実を駆使してインターネット上に晒(さら)す行為をおこなっている。

(上の画像は、サイトからのスクリーンショット)
9月13日、ロシアの占領が解除されたイジューム地域について、ウォロディミル・ゼレンスキーはソーシャルネットワークにこう書いた。
[.......]占領軍と破壊工作グループの残党が発見され、ロシアへの協力者が拘束され、完全な治安が回復されつつある。[...]
ロシアへの協力者の追跡が正式に開始された。
西側メディアは9月15日から16日の夜、ゼレンスキーの新しい声明を急いで放送した。
[.......]そして最後に。ハリコフ州イジュームで集団墓地が発見された。そこでは、必要な手続的措置がすでに開始されている。明日にはより多くの情報――明確で検証された情報――が得られるはずである。明日はイジュームにウクライナ軍および国際ジャーナリストが入る。我々は、何が本当に起こっているのか、ロシアの占領が何をもたらしたのかを世界に知ってもらいたい。ブチャ、マリウポリ、そして残念ながらイジューム......ロシアはいたるところに死を残している。ロシアはその責任を負わなければならない。世界はロシアにこの戦争の本当の責任を取らせなければならない。我々はこのためにあらゆることをおこなうつもりだ[...]。
イジューム解放の4日後に集団墓地とされる場所が発見され、すぐにジャーナリストが招集された。
9月15日、物語に最初の認知的不協和が生じた。その日は、ウクライナ人ジャーナリストたちが写真をソーシャルネットワークで共有した日だったが、集団墓地の写真ではなく、ふつうの墓地の写真だったのだ。

(Denis Kazanskyi)
9月16日になると、西側メディアから発せられる、二流の物語・プロパガンダ・偽情報の勢いが、またもや増してしまった。それは特に英国メディアからのもので、一例を上げると、お馴染みのデイリー・テレグラフからのものだった。

(上の画像は、サイトからのスクリーンショット)
しかし、最初の映像を普通に分析すればすぐに分かることは、ウクライナ兵の墓に敬意を表して多くの十字架が立てられていたことだ。つまり、ロシア軍がそこを占領したとき、ウクライナ軍の戦闘員の死骸を仲間が放ったらかして腐らせたままにしておいたのを、ロシア軍の予備将校たちが(敬意を表して)埋めたうえで、そこに十字架を立てたのだろう。このNATOの長期にわたる戦争は、ウクライナ軍にとってまさに大虐殺であることは、私たちにはすでに分かっていたのだ。
いずれにせよ、何百もの不明な死体は統計上の数字に過ぎない。元刑事捜査官として、私は調査結果を知りたいと思う。被害者の身元確認、各部隊が行動した日付と地図、それぞれの死因の特定についてである。急ぐのだ。立派な探偵なら、最初の48時間以内にこれらの基本的な調査を遂行するのは当然のことである。
イジュームは第2のブチャだ――ウクライナは砲撃で死亡した民間人と自国兵士の墓を利用して、ロシアが大虐殺をしたというカードを切った。
Izyum is Bucha 2.0: New Ukrainian False Flag War Crimes and Western PSYOP
著者:ニコラ・チンクィーニ(Nicolas Cinquini)
出典:Internationalist 360°
2022年9月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年9月19日
ウクライナ当局はロシアへの協力者の告訴と拘束を命じ、民間チャンネルはただ民間人の殺害を膨らませて報道している。ウクライナは2022年9月15日、イジューム付近の集団墓地で440体を発見したと偽っている。
イジュームはウクライナ東部ハリコフ州の市で、ハリコフの約138キロ南東、そしてドネツ川両岸に位置しており、ドンバス地域の玄関口といわれる。2021年1月1日時点の人口は45,884人。
ロシア軍は3月、ウクライナ北東部のイジュームを占領した。イジュームは、ドンバスのウクライナ軍陣地の北翼に向かって、ロシア軍が進軍していた途上にある町だ。
9月7日、ウクライナ軍がハリコフ周辺での攻勢を開始した。現地の戦力バランスは4対1(ウ軍対露軍)であり、ウクライナ軍よりも高度な火器を持っているにもかかわらず、そこでの殲滅戦を避け、オスコル川まで後退した。しかしロシア軍の砲兵と空軍はウクライナの集中部隊と隊列を攻撃した。ウクライナは1万2000人の軍人を死傷者として失ったようだが、ロシアの死傷者はわずかであった。
9 月 10 日の朝、あるいはそれ以前に、ロシア軍守備隊と多くの民間人はウクライナの報復を恐れてイジュームを離れた。イジュームは9 月 11 日夕方にウクライナ軍が占領した。この町では戦闘はおこなわれなかった。
この軍事的な状況は、キエフの北西郊外からのもうひとつの撤退であったブチャを思い出させる。
3月30日、ロシア軍はブチャから撤退した。そこをウクライナ軍が31日に占領した。ウクライナ国家警察の特殊部隊は、この地域の一掃作戦を開始し、ウクライナ軍を妨害した人々やロシア軍の協力者たちを排除した。
4月2日(それ以前ということはない)、ウクライナ当局は、人々の遺体を突然路上で発見し、集団墓地があると偽った。そして、その遺体は、ロシア軍が殺したにちがいないとした。まともな犯罪捜査はおこなわれなかった。死んだ市民の中には、ロシアの白腕章をつけていた者や、ロシアの食糧配給書を持っていた者もいた。ウクライナの民族主義者たちは、こうした行為を反逆の証拠とみなしている。
4月11日、フランスの調査官がやってきて、死体の法医学的調査を開始した。それらの死体は、ロシアの残虐行為の犠牲者としてウクライナが提出したものだった。しかし、予想に反して、フランス憲兵「ジャンダルム」が証明したのは、その死体となった人たちは、ロシア軍の撤退前に、ウクライナ軍の砲撃の犠牲になっていた人たちだった、ということだった。
こうした事実にもかかわらず、ブチャにおけるロシアの残虐行為という物語は、いまだにほとんどの西側メディアではカテキズム(キリスト教における教理問答のこと。つまり自明の事実を指す)扱いをされている。

一方、ウクライナの法律は、これまでは法的空白であったロシア同調者に対する次のような法令を出した。たとえば15年の懲役刑は、ロシアの食糧配給を受けて食べたりするような協力者に対する罰則とされた。また、政府は、ロシア語のカリキュラムを実施した教師を告訴すると発表している。おっと、大事なことを書き忘れていた。民間のソーシャルネットワーク・チャンネルは、ロシア軍やルガンスク軍への協力者の個人情報を、さまざまな口実を駆使してインターネット上に晒(さら)す行為をおこなっている。

(上の画像は、サイトからのスクリーンショット)
9月13日、ロシアの占領が解除されたイジューム地域について、ウォロディミル・ゼレンスキーはソーシャルネットワークにこう書いた。
[.......]占領軍と破壊工作グループの残党が発見され、ロシアへの協力者が拘束され、完全な治安が回復されつつある。[...]
ロシアへの協力者の追跡が正式に開始された。
西側メディアは9月15日から16日の夜、ゼレンスキーの新しい声明を急いで放送した。
[.......]そして最後に。ハリコフ州イジュームで集団墓地が発見された。そこでは、必要な手続的措置がすでに開始されている。明日にはより多くの情報――明確で検証された情報――が得られるはずである。明日はイジュームにウクライナ軍および国際ジャーナリストが入る。我々は、何が本当に起こっているのか、ロシアの占領が何をもたらしたのかを世界に知ってもらいたい。ブチャ、マリウポリ、そして残念ながらイジューム......ロシアはいたるところに死を残している。ロシアはその責任を負わなければならない。世界はロシアにこの戦争の本当の責任を取らせなければならない。我々はこのためにあらゆることをおこなうつもりだ[...]。
イジューム解放の4日後に集団墓地とされる場所が発見され、すぐにジャーナリストが招集された。
9月15日、物語に最初の認知的不協和が生じた。その日は、ウクライナ人ジャーナリストたちが写真をソーシャルネットワークで共有した日だったが、集団墓地の写真ではなく、ふつうの墓地の写真だったのだ。

(Denis Kazanskyi)
9月16日になると、西側メディアから発せられる、二流の物語・プロパガンダ・偽情報の勢いが、またもや増してしまった。それは特に英国メディアからのもので、一例を上げると、お馴染みのデイリー・テレグラフからのものだった。

(上の画像は、サイトからのスクリーンショット)
しかし、最初の映像を普通に分析すればすぐに分かることは、ウクライナ兵の墓に敬意を表して多くの十字架が立てられていたことだ。つまり、ロシア軍がそこを占領したとき、ウクライナ軍の戦闘員の死骸を仲間が放ったらかして腐らせたままにしておいたのを、ロシア軍の予備将校たちが(敬意を表して)埋めたうえで、そこに十字架を立てたのだろう。このNATOの長期にわたる戦争は、ウクライナ軍にとってまさに大虐殺であることは、私たちにはすでに分かっていたのだ。
いずれにせよ、何百もの不明な死体は統計上の数字に過ぎない。元刑事捜査官として、私は調査結果を知りたいと思う。被害者の身元確認、各部隊が行動した日付と地図、それぞれの死因の特定についてである。急ぐのだ。立派な探偵なら、最初の48時間以内にこれらの基本的な調査を遂行するのは当然のことである。
イジュームは第2のブチャだ――ウクライナは砲撃で死亡した民間人と自国兵士の墓を利用して、ロシアが大虐殺をしたというカードを切った。
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