刀を抜く:日本は中国に対決する準備をしているのか?
<記事原文 寺島先生推薦>
Drawing the sword: Is Japan getting ready to move against China?
Relations with Beijing are crucial for regional trade, but is Tokyo ready to put it all on the line over Taiwan and Washington’s favor?
(刀を抜く:日本は中国に対決する準備をしているのか?
北京との関係は地域貿易にとって極めて重要だが、東京は、台湾やワシントンに味方して、すべてを賭ける準備をしているのだろうか? )
出典:RT
筆者:ティムール・フォメンコ(Timur Fomenko) 政治評論家
2022年8月24日
<記事飜訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2022年9月12日

ファイル写真: 2016年5月20日、日本の古屋圭司衆議院議員、台湾の蔡英文総統。©ウィキペディア
最近の報道によると、日本政府は中国に向けた1000発以上の弾道ミサイルの配置を検討しており、この動きは東京と北京の間の緊張を大きくエスカレートさせることになるという。
地域の安定に対する脅威や日本国憲法が課す制限を考えると、これが実現するかどうかは不明だが、この時点で、日中間の地政学的対決が新たな現実となっていることは否定しようがないだろう。
日中両国は経済的には大きく統合されていても、心の底では宿敵であり、両国の地政学的な野望は全面的な衝突の危機を深めているのである。
中国の台頭は、かつてアジアで支配的だった日本の地位を脅かし、特に係争中の領土は、北京が奪還に成功すれば、東京に対して戦略的に王手をかけることになる。東シナ海や釣魚島・尖閣諸島の問題もそうだが、最大かつ最も緊急な火種は、実は最近話題の台湾島である。
日本は今、台湾の自治権の継続が台湾の生存に不可欠であることを公にしている。なぜか?台湾が中国本土と統一されれば、北京が日本の南西部周辺の海洋支配を獲得することになるからだ。
その結果、日本は台湾に対する支援の賭け金を増やしている。今回の一連の議員訪台の前後にも、日本からも国会議員団が訪台している。先日暗殺された安倍晋三は、現在の日本の修正主義的な外交政策の立役者であり、台湾の限りない支持者であり、自らも台湾を訪問する予定であった。

関連記事:もはや除け者ではないのか?ロシアと中国が北朝鮮を「正常化」し、米国にアジアの頭痛の種を残す可能性がある。
同様に、かつて日本の植民地支配下にあり、中国から併合された台湾も、親日感情を大きく高めている。安倍首相が殺害された後、同国が示した国民の弔意の大きさは、それを如実に物語っている。
そして、日本国憲法の制約はあるが、中国が台湾を侵略した場合、日本が実際に軍事的に台湾を防衛するのではないかという憶測が広がっている。
1976年の日中国交回復の主要条件であった「一つの中国」政策にもかかわらず、日本が台湾を失うわけにはいかないことは明らかだ。
このため、東京は時間との戦いになっている。防衛費を増やし、中国の軍事力の増大に対抗するために、現行の平和志向の憲法に抜け穴を見つけようとしているのだ。
そうすることで、中国を封じ込めようと協調している他の「クワッド」グループ[日米豪印]メンバーから、特に米国とオーストラリアからの支援を得ることができる。
インドもまた、重要なパートナーである。ニューデリーは、係争中の国境をめぐる中国との緊張を悪化させないために、台湾問題から距離を置いているが、それでも日本を、北京を視野に入れた長期的な戦略パートナーとして見ている。
日本はまた、韓国をこのゲームに引き込もうとしており、この動きは米国によって後押しされている。右派の尹錫悅(ユン・ソギュル)新大統領は、北朝鮮問題では日本との協力に前向きだが、対中超タカ派姿勢を見せるという期待は実際には霧散し、前任者[文在寅]の慎重姿勢を引き継いでいる。ナンシー・ペロシの悪名高い台湾訪問の後、韓国大統領はペロシとの面会を避けたが、日本はペロシの訪問を全面的に歓迎した。

関連記事:ペロシ訪中は中国への警鐘となる。米国に宥和的では決してうまくいかない
日本は間違いなく、アジアでナンバーワンの、そして最も米国支援に前向きな国である。
しかし、それにもかかわらず、北京とは隣国であり、重要な貿易・投資パートナーである関係を揺るがすことには限界がある。歴史的な敵対関係にもかかわらず、両者のビジネス上の結びつきは非常に深い。中国経済への攻撃は、日本にとっても大きな痛手となる。特に自動車、電子機器、その他の消費財の輸出に関しては、日本も中国市場を失うわけにはいかない。
中国政府は、気まぐれに反日感情を煽り、大規模なボイコットや財産の破壊にまで発展させることがある。しかし、このような抗議行動は、2012年に尖閣諸島をめぐって発生したのが最後である。
このように、日本はアメリカの後ろ盾がありながらも、ある意味、微妙な立場にあることを思い知らされる。中国の経済力はとうに日本を凌駕し、軍事力の拡張はとどまるところを知らない。
中国の民族主義コメンテーターである胡志人(元『環球時報』編集長)は、「日本が1000発のミサイルを中国に向けるなら、中国は5000発を打ち返し、日本国内の米軍基地を標的にするだろう」と断言した。
しかし、それでも中日関係は友好的であるべきだと言う。このような経路で敵対することを、何が何でも中国が選択するわけがない。
ここで疑問が生じる。日本は台湾を守りながら、中国を全体としてかわすことができるのか。一筋縄ではいかないからこそ、日中関係は一方で、長年のライバル意識と歴史的怨恨の間で、そして他方で、抑制と相互依存の間で揺れ動き続けるのだろう。
Drawing the sword: Is Japan getting ready to move against China?
Relations with Beijing are crucial for regional trade, but is Tokyo ready to put it all on the line over Taiwan and Washington’s favor?
(刀を抜く:日本は中国に対決する準備をしているのか?
北京との関係は地域貿易にとって極めて重要だが、東京は、台湾やワシントンに味方して、すべてを賭ける準備をしているのだろうか? )
出典:RT
筆者:ティムール・フォメンコ(Timur Fomenko) 政治評論家
2022年8月24日
<記事飜訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2022年9月12日

ファイル写真: 2016年5月20日、日本の古屋圭司衆議院議員、台湾の蔡英文総統。©ウィキペディア
最近の報道によると、日本政府は中国に向けた1000発以上の弾道ミサイルの配置を検討しており、この動きは東京と北京の間の緊張を大きくエスカレートさせることになるという。
地域の安定に対する脅威や日本国憲法が課す制限を考えると、これが実現するかどうかは不明だが、この時点で、日中間の地政学的対決が新たな現実となっていることは否定しようがないだろう。
日中両国は経済的には大きく統合されていても、心の底では宿敵であり、両国の地政学的な野望は全面的な衝突の危機を深めているのである。
中国の台頭は、かつてアジアで支配的だった日本の地位を脅かし、特に係争中の領土は、北京が奪還に成功すれば、東京に対して戦略的に王手をかけることになる。東シナ海や釣魚島・尖閣諸島の問題もそうだが、最大かつ最も緊急な火種は、実は最近話題の台湾島である。
日本は今、台湾の自治権の継続が台湾の生存に不可欠であることを公にしている。なぜか?台湾が中国本土と統一されれば、北京が日本の南西部周辺の海洋支配を獲得することになるからだ。
その結果、日本は台湾に対する支援の賭け金を増やしている。今回の一連の議員訪台の前後にも、日本からも国会議員団が訪台している。先日暗殺された安倍晋三は、現在の日本の修正主義的な外交政策の立役者であり、台湾の限りない支持者であり、自らも台湾を訪問する予定であった。

関連記事:もはや除け者ではないのか?ロシアと中国が北朝鮮を「正常化」し、米国にアジアの頭痛の種を残す可能性がある。
同様に、かつて日本の植民地支配下にあり、中国から併合された台湾も、親日感情を大きく高めている。安倍首相が殺害された後、同国が示した国民の弔意の大きさは、それを如実に物語っている。
そして、日本国憲法の制約はあるが、中国が台湾を侵略した場合、日本が実際に軍事的に台湾を防衛するのではないかという憶測が広がっている。
1976年の日中国交回復の主要条件であった「一つの中国」政策にもかかわらず、日本が台湾を失うわけにはいかないことは明らかだ。
このため、東京は時間との戦いになっている。防衛費を増やし、中国の軍事力の増大に対抗するために、現行の平和志向の憲法に抜け穴を見つけようとしているのだ。
そうすることで、中国を封じ込めようと協調している他の「クワッド」グループ[日米豪印]メンバーから、特に米国とオーストラリアからの支援を得ることができる。
インドもまた、重要なパートナーである。ニューデリーは、係争中の国境をめぐる中国との緊張を悪化させないために、台湾問題から距離を置いているが、それでも日本を、北京を視野に入れた長期的な戦略パートナーとして見ている。
日本はまた、韓国をこのゲームに引き込もうとしており、この動きは米国によって後押しされている。右派の尹錫悅(ユン・ソギュル)新大統領は、北朝鮮問題では日本との協力に前向きだが、対中超タカ派姿勢を見せるという期待は実際には霧散し、前任者[文在寅]の慎重姿勢を引き継いでいる。ナンシー・ペロシの悪名高い台湾訪問の後、韓国大統領はペロシとの面会を避けたが、日本はペロシの訪問を全面的に歓迎した。

関連記事:ペロシ訪中は中国への警鐘となる。米国に宥和的では決してうまくいかない
日本は間違いなく、アジアでナンバーワンの、そして最も米国支援に前向きな国である。
しかし、それにもかかわらず、北京とは隣国であり、重要な貿易・投資パートナーである関係を揺るがすことには限界がある。歴史的な敵対関係にもかかわらず、両者のビジネス上の結びつきは非常に深い。中国経済への攻撃は、日本にとっても大きな痛手となる。特に自動車、電子機器、その他の消費財の輸出に関しては、日本も中国市場を失うわけにはいかない。
中国政府は、気まぐれに反日感情を煽り、大規模なボイコットや財産の破壊にまで発展させることがある。しかし、このような抗議行動は、2012年に尖閣諸島をめぐって発生したのが最後である。
このように、日本はアメリカの後ろ盾がありながらも、ある意味、微妙な立場にあることを思い知らされる。中国の経済力はとうに日本を凌駕し、軍事力の拡張はとどまるところを知らない。
中国の民族主義コメンテーターである胡志人(元『環球時報』編集長)は、「日本が1000発のミサイルを中国に向けるなら、中国は5000発を打ち返し、日本国内の米軍基地を標的にするだろう」と断言した。
しかし、それでも中日関係は友好的であるべきだと言う。このような経路で敵対することを、何が何でも中国が選択するわけがない。
ここで疑問が生じる。日本は台湾を守りながら、中国を全体としてかわすことができるのか。一筋縄ではいかないからこそ、日中関係は一方で、長年のライバル意識と歴史的怨恨の間で、そして他方で、抑制と相互依存の間で揺れ動き続けるのだろう。
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