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「ウ軍はジュネーブ条約で禁止の対人地雷を使用」 エバ・バートレットによるドネツクからの報告


<記事原文 寺島先生推薦>
The West is silent as Ukraine targets civilians in Donetsk using banned ‘butterfly’ mines
The use of PFM-1 explosives against civilians is prohibited by the Geneva Conventions – but this evidently isn’t stopping Ukraine
(ウクライナは禁止されている「バタフライ」地雷をドネツクの市民を標的にして使用しているが、西側諸国は沈黙を守っている。
PFM-1爆薬の民間人への使用はジュネーブ条約で禁止されているが、この条約は明らかにウクライナの行動にストップをかけていない。)

出典:RT

筆者:エバ・バートレット(Eva Bartlett)


カナダの独立系ジャーナリスト。中東の紛争地帯、特にシリアとパレスチナに4年近く滞在し、現地で取材活動を続けている。

2022年8月7日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年9月4日



ドネツク市の中央通りでの地雷除去。禁止されている対人高爆発弾(PFM-1)「花弁」地雷が夜間襲撃で街に投下されている。© RIA

 7月30日(土)午後9時過ぎ、ドネツク中心部を雷鳴のような爆発音が揺るがした。その直後、「バタフライ(蝶)」(または「ペタル(花びら)」)地雷を搭載したウクライナの発射したミサイルを防空が撃墜したとの発表があった。ウクライナ製のロケット弾には300個以上の爆薬が仕込まれており、着弾に成功すればドネツク中心部は文字通り地雷原と化す可能性があった。

 ソーシャルメディアやテレグラムの警告は、住民に屋内にとどまり、救急隊が道路や歩道を清掃するのを待つよう促した。撤去作業は夜の間に始まったが、夜が明けてからもこの小さな地雷はまだ何十個も残っていた。「足を失うより仕事に遅刻する方がましだ」と自宅待機の警告がさらに出された。どうしても外に出なければならない住民は、足元に注意し、草むらを避け、非常に慎重に歩くようにと勧告されている。


© Eva Batlett

 ウクライナは数ヶ月前からドンバスでこの地雷を使用していたが、ここ数日、近隣に集中的に地雷を投下している。当初は、北部のキエフスキー、南西部のキーロフスキー、西部のクイビシェフキーといった被害が大きい地区が標的となっていた。しかし、土曜日の夜には、ウクライナは遂に、ドネツク中心部にも弾丸を撃ち込んだ。

 中心部の道路や歩道、アパートの近く、公園など、地雷がいかに広がっているかを記録するために、私は苦痛な作業に耐えなければならなかった。



発見しにくく、誘発しやすい

 このような攻撃の結果、この「花びら」は広く分布しているだけでなく、たとえすぐそばに注意書きがあったとしても、見つけるのが非常に困難なことが多いことが分かった。その小さな形とくすんだ色は周囲に溶け込み、目をこらしてその場所を見なければ、簡単に見逃してしまうのだ。

 歩くときは、地雷を覆っている可能性のあるものを避け、むき出しの道路や歩道しか踏まないことを学ばねばならない。


 最初に見た地雷の束(たば)は、チョークで丸が付けられていて、その前に警告の看板があり、車がその上を通らないように、人は踏まないように配慮されていた。しかし、ここはドネツクの中心街で、近くには店や公園もある住宅街だった。この地域全体に「花びら」が散乱していた。民主共和国軍の兵士たちは整然と作業し、地区ごとに撤去していった。しかし、数百個の地雷が街中に落とされたことを考えると、これは骨の折れる仕事である。

 いくつかの団地の近くでは、多数の地雷が見つかっており、そこには「危険、地雷」と書かれた警告の看板が出ていた。その小さな爆発物の側にはその看板だけではなくチョークやタイヤなど人目を引くようなものが何か置かれていた。



「蝶型地雷」の横に置かれた「地雷に注意!」という警告看板。ドネツクで。© Eva Batlett

 しかし、地雷があると指定された場所を見ても、実際は小さいので確認するのに時間がかかることがよくあった。もし、これらの表示が何もなかったら…。民間人はもちろん、動物までも血まみれとなるだろう。これを作動させるために大きな力は不要である。


蝶型地雷の基礎知識

 対人地雷「花びら」の大きさは平均的なライター程度で小さいが、それでも非常に強力である。Telegramで公開された映像がそれを物語っている。DPRの兵士が地雷のひとつにタイヤをぶつけると、爆風でタイヤが空高く舞い上がる。人がこの地雷に足を踏み入れたらどうなるかは、想像に難くない。この爆発物は遠隔配送方法で配置される。つまり、迫撃砲、ミサイル、大砲の中に仕込むことができるし、またヘリコプターや飛行機からの投下で撒くことも可能なのだ。

 DPR*緊急援助隊によると、ウクライナはハリケーンMLRS発射ロケットを使用して地雷を撒いている。各クラスター弾は12個入りで、各クラスターには26個の地雷が内蔵されている。つまり1発あたり312個の地雷を搭載していることになる。クラスターは空中で爆発し、さまざまな方向に散布されながら広く拡散する。蝶のようなデザインなので、通常は爆発することなく滑空し、着地することができる。そして、運の悪い人が踏んでくれるのを待ち構える。  *ドネツク人民共和国



関連記事:ウクライナ、ドネツク市民を地雷で恐怖に陥れる―ドネツク市長

 この対人地雷の中には、自爆タイマー付きのものもある。ウクライナが発射しているものも含め、その他の地雷は何年も有効である。対人地雷は軍用車両にはほとんどダメージを与えないため、ドンバスでの使用は意図的に民間人を標的にし、傷を負わせるという陰湿なものとなっている。

 7月30日、ドネツク西部の労働者階級が密集する地区でのことだが、近くのアパート住民のための庭の区画の一角にある畑で、私は同型の邪悪な地雷を目にした。その地雷は散乱していたのだが、今は回収されてDPR緊急救援隊による破壊を待っていた。

 ある集合住宅の広い中庭で、私は安全な距離から、緊急援助隊が敷地内で見つけた8個の地雷をタイマーで爆発させるのを見た。彼らは前日には26個を破壊した。また、ラジコンの地雷回収機で150個の地雷を発見し、破壊した。しかし、道路や中庭を安全に復旧させるためには、まだ多くの課題が残っている。



関連記事:ドンバス共和国はGoogleを禁止している


 土曜日(7/30)夕方に地雷が散布されたため、JCCC*のDPR代表部は、地雷によって最も汚染された地域を示す対話的地図**を作成し、住民が歩行中や運転中にどの地域を避けるべきかを全体に警告している。タイヤが飛ぶ程度で済んだ車もあるが、ガソリンタンク付近で地雷が爆発すれば、車全体が爆発する可能性もある。
*停戦体制の統制と調整に関する合同センター(the Joint Center on Control and Coordination of the ceasefire regime)
** interactive map 送り手と受け手が相互に情報を交換できる地図


 ドネツク市全域に地雷が撒かれてから、複数の市民が地雷で死亡し、現在も負傷した市民が市内の病院に運び込まれている。外傷外科の副院長であるヴァディム・オノプリエンコ氏によると、先週1週間で10件の切断術が行われ、土曜日に投下された地雷とそれ以前に投下された地雷の犠牲者の中には83歳の男性も1人いたということだ。


すべての証拠はウクライナにある

 親ウクライナのコメンテーターは、当然のことながら、ロシアを非難している。民間人のことを心配していると主張するジャーナリストたちは、モスクワ軍が民間地域に地雷を撒いたというウクライナのプロパガンダを広めているが、これらの地域がロシアの同盟国によって支配されているという事実は全く気に留めていない。その中には、戦争の英雄になろうとするマルコム・ナンスもいる。彼は、悪名高い反ロシアのMSNBC*アナリストとしての仕事を一時的に放棄し、ウクライナで実際にロシア軍と戦っているようである。
*放送ネットワークNBCとマイクロソフトMSが共同で設立した米国向けのニュース専門放送局

 こういった感情の表出は、シリアで取材し、そこで西側のプロパガンダに対処する際に、私が何度も目にしてきたものである。ウクライナの民族主義者は、ドンバスの人々を人間として見ていないことを公然と認めており、彼らの殺害を奨励している。ウクライナは8年以上にわたって、ドネツク・ルガンスク人民共和国の市民を殺傷してきた。都市の中心部にクラスター弾を撃ち込み、病院、市場、学校、繁華街を標的にしている。こうしたことを考えれば、ドネツクにバタフライ地雷をばら撒いたとしても、ほとんど驚くには値しない。犯罪的ではあるが、驚くことではないのだ。

 親ウクライナの論客が用いる論拠のひとつは、キエフが1999年に署名した対人地雷禁止条約に基づいてこれらの地雷を廃棄してきたというものである。しかし、ウクライナが当初保有を宣言したこうした地雷600万個のうち、2018年現在、破棄されたのは200万個に過ぎないとされる。


 ウクライナには、民間人に対する兵器の使用について責任を問われないと信じる十分な理由がある。というのも、西側諸国の支援者とその同盟国は禁止されている兵器を民間人に平気で使う傾向があるからだ。例えば、ベトナムの枯葉剤、イラクとシリアの劣化ウラン弾、ガザの白リン弾やダート弾などがある。

 西側メディアが見て見ぬふりをするのも、キエフにとっては好都合である。
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ウクライナは対人地雷禁止条約に1999年2月24日に署名、2005年12月27日に批准/加盟の由。しかし、フィンランドと並んで2014年6月には脱退を仄めかしていた模様。
「締約国は、この条約で禁止されている活動(使用、保持、製造など)について他国を援助、勧誘、奨励することを禁止される」のに、EU諸国、米を除くNATO諸国はウクライナに軍事援助してるのだから、こいつらが喧伝する「法」は「オレ様法」であって、明文国際法を含まないのが歴然だね。

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