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新たに輸出された穀物はアフリカに向かっていない:ニューヨーク・タイムズが暴露したキエフの最新の嘘


<記事原文 寺島先生推薦>
The New York Times Exposed Kiev’s Latest Lie: No Newly Exported Grain Is Going To Africa

投稿元:Libya 360°

著者:アンドリュー・コリブコ

2022年8月11日

<記事飜訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2022年9月2日



(上記のツイートの邦訳)

ドミートロ・クレバ

ウクライナ政府当局発

ウクライナの穀物を積んだ最初の船がトルコの取引先に到着した。これは中東、アフリカ、アジアの全ての家庭に希望のメッセージを送ることになる。ウクライナはあなた方を見捨てない。もしロシアが義務を果たすなら、「穀物回廊」は世界的な食物安全保障を維持することができるだろう。
2022年8月8日 午前11時30分 


 ウクライナ政府関係者は真実を語らないという実績があるため、クレバ外相が自国の穀物輸出再開を「中東、アフリカ、アジアの全ての家族に希望のメッセージを送る」とツイートした際に嘘をついたとしても驚くにはあたらないだろう。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、東アジアを代表する中国と西アジアを代表するトルコに向かう船はあったが、あの崩壊しつつある旧ソビエト共和国の一国ウクライナを出航したばかりの船には、アフリカに向かう船は全くなかったと報じ、同外相のウソを暴露した。ただしそのウソを隠すために、ニューヨーク・タイムズ紙は、レーガン元アメリカ大統領のトリクルダウン・エコノミクス理論を信奉する国連関係者を引用し、キエフの非アフリカ諸国への穀物輸出は、やがてアフリカ大陸での価格下落につながると予測しているのだ。

 先週、ウクライナの指導者ゼレンスキーは、ギニアビサウの指導者に、「我々は、地域の食料安全保障の保証人になる用意がある」と話したとツイートしたばかりだが、NYTの最新記事が明らかにしたように、全世界がゼレンスキーの嘘を知っているのである。ゼレンスキーはまた、アフリカのジャーナリストに、彼らの国はたぶんロシアとの関係から何も得られないと語ったが、世界で最も影響力のある主流メディア(MSM)の一つであるNYTが証明したように、世界はキエフとの関係から何一つ得られていないのが現実である。対照的に、モスクワは、ハイブリッド戦争*の脅威に対抗するために、中央アフリカ共和国(CAR)やマリなどの友好諸国に「民主的安全保障」の特注を提供しており、これには社会経済の安定を持続的に確保するための肥料、食料、燃料も含まれている。
*訳注:ハイブリッド戦争とは、軍事戦略の一つ。正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせていることが特徴である。

 アフリカ諸国の指導者たちとその国民は、ロシアとウクライナの違いをよく理解している。これは、6月末のアフリカ連合でのウェブ・スピーチの際に、アフリカの指導者がゼレンスキーを一斉に鼻であしらっていたことで証明されている。一方アフリカ人民は、プーチン大統領の世界革命宣言、特にモスクワが脱植民地化プロセスを完遂するのを助けるというラブロフ外相の約束に心から納得している。アフリカ諸国の政府や社会は、ロシアと比べてウクライナを心から支持していない。なぜなら、ウクライナ支持で得られる具体的なものは何もないからだ。それにもかかわらず、米国の新しい「サハラ以南のアフリカに対する戦略」は、もし彼らが拒否すればカラー革命が起こるという暗黙の脅しをかけ、有無を言わせぬ選択を強要する米国の意図を非常にはっきりと伝えている。

 このような状況が生まれているのは、衰退しつつある一極支配の覇権国家の米国が、疑わしい「例外主義」を振りかざしているからだけではなく、アフリカが今や新冷戦の主要な戦場になっているからである。近年、多極化体制に向けた移行が世界規模で加速された結果、21世紀を定義すべき国際関係のモデルとして、米国が主導する西側の「グローバリズム」と、BRICSが主導する南側(ここではロシアが代表)のどちらが優勢かを激しく競い合うようになった。前者は単極支配のもとでの新植民地主義であり、後者は多極化主義であり、世界体系をより平等で公平で公正なものにすることを目指すものだ。アフリカ諸国がどちらを選択するかは明白であるが、だからこそ米国とフランスが覇権を再び握ろうと必死になって不安定化工作を強化しようとしているのだ。

 ウクライナ外相の最近のウソに話を戻すと、そのウソはアフリカの聴衆ではなく、西側諸国の聴衆に向けられたものであることは間違いない。というのもアフリカ諸国はウクライナがアフリカの数カ国に小麦を送った事実は全くないことを明らかに分かっているからだ。とはいえ、崩壊しつつある旧ソビエト共和国のキエフ政権は、米国主導の西側後援諸国によって先述した「ゼロサムゲーム(米国の一人勝ちによる利益総取り )」の方の選択肢をこれらの国に押し付けるために利用されており、それによって、モスクワとの関係を犠牲にしてキエフを支援するようますます圧力がかけられている。とはいえ、アフリカ諸国と欧米資本との戦いは持続されることが期待される。というのも、アフリカ諸国はこれまでユーラシア大陸の大国であるロシアへの制裁を拒否することで、新冷戦における自らの戦略的主権を証明してきたからである。

 見ている者は思ったかもしれない。欧米圏の代理人ウクライナが、少なくともアフリカの一国に一隻の船を派遣し、米国主導の西側の制裁が極めて悪化させた世界食糧危機の影響を打ち消すのを助けるかもしれないと。欧米ひいき筋の主流メディアがこれに関する認識を操作して、アフリカにも派遣しているように偽って主張するが、そんなことは明らかに起こっていないのだ。このことは、欧米資本がいまだにアフリカに対して極めて見下した人種差別的な政策を実践していることを示している。アメリカとその同盟諸国は、東ヨーロッパの代理人ウクライナに、写真撮影の目的で穀物を船一隻分送るよう命じることさえしない。やっていることといえば、アフリカ諸国には何も渡さないままで、モスクワを捨ててキエフに付くように要求することだけだ。

 その結果、アフリカの人々は、世界的な食糧危機の真の原因について、これまで以上に疑念を抱くようになるであろう。アフリカ連合のマッキー・サル議長は6月初旬にソチを訪問した際に、米国主導の西側による制裁が危機を悪化させたという点で既にプーチン大統領の主張に賛同の意を表明している。ロシアの国連大使が以前行った説明では、この食糧危機はウクライナ紛争の最新段階より前から起こっていたことで、実際にはCOVID-19流行や、その間の西側の無謀な財政政策などの複合要因に起因するという。さらにCNNも、ロシアにこの食糧危機の全責任があるとする西側当局の事前の主張を貶めるような報道を突然出した。その報道では、先述のロシアの国連大使が、ほぼ3ヶ月前に同じような発言をしていたことを取り上げていたのだ。

 この一連の出来事を考えると、アフリカの人々に対する世界的な食糧危機の影響は欧米資本によって意図的に悪化させられていると結論づける人もいるかもしれない。というのも、キエフにたった一隻分の穀物をアフリカに送る命令さえ出せていないのだから。ハイブリッド戦争においてアフリカにこのような罰が与えられているのは、アフリカ諸国の政府がウクライナ紛争に対して原則的に中立の立場を取っているからだ。アフリカ諸国が例外なくロシアへの制裁を拒否しているからだ。とはいえ、これらの国々は、ロシアとの互恵的な関係を維持するという客観的な国益を一方的に譲歩することはないだろう。そんなことをしてしまえば、政府への国民からの支持率がガタ落ちになるからなおさらである。国民たちは欧米資本が行っている「ハンガー・ゲーム(訳注:貧しい国同士が殺し合いをさせられている状況。同名の映画参照)」に既に気づいているからである。
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