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米国は台湾を戦争の引き金にした。中国は台湾の武装解除はできるのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
The U.S. Has Made Taiwan a Trigger for War. Can China Disarm It?
筆者:フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)
出典:ストラテジック・カルチャー(Strategic Culture)  2024年2月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年2月28日


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台湾は、「競争相手」とみなされる中国と対峙する米国の戦略において有用な駒である、とフィニアン・カニンガムは書いている。

1949年に中国の内戦が共産主義側の勝利で終わって以来、中国南海岸沖の台湾島は反共産主義勢力の避難所として米国の手先となってきた。米国は蒋介石独裁政権下から現在の台北政権に至るまで、台湾分離主義者を支援してきた。皮肉なことに、米国政府は台湾を「民主的で自由」であると描いている。

台湾を中華人民共和国の主権統治下にあると規定するいわゆる「一つの中国政策」に基づいて米国が北京との関係正常化に努めた1979年に、米国の台湾支持は弱まった。米国の立場は、台湾は島嶼省にすぎず、中国を一つの主権国家として認める国際規範に沿ったものである。

ところが、米国の中国とのいわゆる国交正常化は本物ではなかった。それは中国政府とソ連政府の関係にくさびを入れるための地政学的な動きだった。習国家主席とプーチン大統領の下で中国とロシアが戦略的つながりを再確立したいま、米国は中国に対するあからさまな敵意と、台湾を本土を不安定にする手先として利用する政策に戻った。

オバマ政権が2011年にアジア基軸戦略に着手した後、米国政府は意図的に中国を刺激し、主権を損なうような形で台湾との関係を熱心に回復した。

米国が台湾領土への軍事物資の供給を強化する中、台湾をめぐる緊張はますます高まっている。兵器システムは、中国本土を攻撃する能力においてますます攻撃的になっている。この発展は中国の主権を損なうだけではない。それはまた、中国政府にとって明白な国家安全保障上の脅威となる。台湾は中国本土から台湾海峡と呼ばれる狭い海を隔ててわずか130キロメートル(80マイル)の距離にあるからだ。

これにより中国は深刻な板挟みに陥っている。先制攻撃的な軍事行動を取るべきなのか、それとも政治が軌道に乗るまで待つべきなのか。

台湾で最近行われた選挙では独立支持政党が勝利した。しかし、中国本土とのより友好的な関係を望む政党への票の合計が多かった。このことは、台湾の人たちが軍事衝突に反対しており、中国政府が提案する政治的和解に好意的であることを強く示唆している。おそらく時間が経てば、台湾では平和的統一を望む声が決定的な多数派を占めるようになるだろう。

問題は、米国が中国との緊張を高める主導権を握っていることだ。その場合、中国政府はその願望とは裏腹に、最終的には軍事衝突に巻き込まれる可能性がある。

大国間競争の復活

ソ連崩壊後の1991年に冷戦が終結すると想定されて以来、その後の30年間のほとんどの間、米国は国家安全保障上の主要な懸念は国際テロを中心に展開すると宣言した。しかし近年、米国は認識されているテロの脅威を格下げし、「大国間の競争」に関する戦略的懸念を公式に優先している。

ロシアと中国は、米国の世界権力にとって地政学上最大のライバルであるとされている。このようにして、米国政府では第二次世界大戦後の50年間に国際関係を支配していた冷戦時代の地政学と言説への回帰が起きている。ロシアと中国はともに敵対関係を否定し、多極化した世界における平和共存を繰り返し主張してきたが、米国はいわゆる「ルールに基づく世界秩序」がロシアと中国によって脅かされていると執拗に描写しようとしてきた。

ジョー・バイデン大統領下の現米国政権は、国際関係を「西側民主主義対独裁国家」間の存亡をかけた争いとして描こうと画策している。このゼロサム的用語は、国際関係を「私たちと彼ら」の地政学的な陣営に二極化させることを目的とした冷戦的思考法の典型だ。このような二極化は、米国と西側の権力政治と米国の覇権的野望の促進に不可欠な機能だ。

世界を「ブロック」に分割することで、その結果として生じる対立関係と緊張がアメリカ軍国主義に影響を与えやすくなる。言い換えれば、ロシアと中国が多極化構想の中で主張する協力的な平和的国際関係は、一方的支配に基づく米国の覇権の追求にとっては忌まわしいものである。

米国にとって中国は第一の敵である

いくつかの米国の戦略計画文書は、「大国間の競争」を重視していることを明確に示している。2022年国家安全保障戦略では、米国の優先懸念事項が定義されている。その文書には次のように記載されている。

「我が国は現在、米国と世界にとって決定的な10年の初期段階にいる。大国間の地政学的な競争の時代に突入するだろう…冷戦後の時代は決定的に終わり、大国間での競争が進行中であり、それにより新しい世界が形成されようとしている…」

戦略的見通しは、中国が米国の力に対するより大きな脅威であると明確に決定している。この文書には次のように記載されている。

「ロシアとPRC(中華人民共和国)は異なる問題を突きつけている。ロシアは、ウクライナに対する残忍な侵略戦争が示しているように、今日の国際秩序の基本法を無謀に無視し、自由で開かれた国際体系に差し迫った脅威をもたらしている。対照的に中国は、国際秩序を再構築する意図と、その目的を推進するための経済力や外交力、軍事力、技術力を備えた唯一の競争相手である。」

もう一つの米国の主要な計画文書である2022年国防戦略も、中国を米国の世界権力に対する「迫りつつある問題」と定義している。そして中国は「国際秩序を再構築する意図とその能力を高めている米国の唯一の競争相手」であるとしている。

「迫りつつある問題」という用語は、「第一の敵」の婉曲表現だ。米国の国家安全保障に対する指定された最大の脅威としてロシアよりも中国を優先することは、2023年と2024年の国防権限法(NDAA)でも繰り返された。NDAAは米国の年間軍事支出8500億ドル以上を管理しているが、これは中国の軍事予算の約4倍、ロシアの軍事予算の8倍以上に相当する。

2022年2月に勃発したウクライナ戦争は、米国とロシア間の緊張と敵対関係を確実に強調した。これは、米国政府によってロシアが中国よりも大きな脅威とみなされているという印象を与える可能性がある。その印象とは裏腹に、ウクライナでの激烈な言い回しと戦争にもかかわらず、米国自身の計画立案者による戦略的見通しは、中国を長期的な主な敵であると認識している、ということである。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、米国ジャーナリストのタッカー・カールソン氏との最近のインタビューで、米国政府内では、中国がロシアよりも大きな脅威とみなされていることを認めた。プーチン大統領は「西側諸国は強いロシアよりも強い中国を恐れている」と語った。

米国は中国との戦争を計画中

連合空軍は2024年2月12日、アジア太平洋地域における兵力構造の大規模な見直しと拡大を発表した。司令官らは、「最大級紛争」に向けた新たな軍備増強の動機となる脅威と理由として、特に中国を挙げた。米空軍の文官の最上位であるフランク・ケンドール氏が2022年にその役職に任命されたとき、彼は米議会で自分の3つの優先事項は「中国、中国、そして中国」であると語った。

何人かの米軍上級司令官は、米国は今後5年間に中国と戦争状態に陥る可能性があると公に警告している。そして彼らは台湾を発火点として挙げている。

この戦争計画は、空軍、海軍、陸上兵器を含むアジア太平洋における全体的な米軍の増強を説明するものである。米国政府はオーストラリア、日本、韓国、フィリピン、グアム、そして最も挑発的には中国領土の台湾で軍事基地とミサイル配置を拡大してきた。

2024年1月16日、台湾のニュースメディアは、台湾領土が台湾海峡と中国本土に面した東海岸に2つの新しいミサイル基地を建設していると報じた。この新たな建設計画は、米国の対艦ミサイルのさらなる到着が予想されることから始まった。報告書はまた、さらに5つの基地が計画中であることも示した。

これらの展開は、今後数年間における中国との軍事対決に向けた米国による長期計画を示している。

米国の敵対行為の主要走狗としての台湾

2024年1月13日の台湾総選挙を受けて、ジョー・バイデン米国大統領は、米国は台湾領土の「独立」を支持しないと述べた。

したがって、バイデン大統領は米国政府が「一つの中国政策(OCP)」を遵守していることを公に肯定したことになる。

しかし、台湾と中国に対するバイデン大統領の公的立場は、米国のもう一つの「戦略的曖昧さ」政策の一環として理解する方がよいだろう。公式には、米国政府は中国を台湾に関する唯一の主権国として承認している、と主張している。しかし実際には、米国の行動は別の危険な目的を示している。

2023年11月にサンフランシスコで開催されたAPEC(アジア・太平洋経済協力)首脳会議で中国の習近平国家主席がバイデン大統領と会談した際、米国側は「一つの中国政策」に基づく義務を改めて強調した。その首脳会談で、習主席は米国に対し台湾への武器供与をやめるよう求めた。同首席は台湾が「最も危険な」問題だとし、統一に向けて問題が外交的に解決されなければ中国は武力行使するだろう、と警告した。バイデン大統領とその前任の共和党ドナルド・トランプ大統領の下で、米国は台湾への武器供給を拡大してきた。

米国は挑発的な立場を取り、台湾への武装をやめるべきだという習主席の忠告を無視することを選択したようだ。

報告されているミサイル基地の拡大と台湾への米国ミサイル供給は、米国政府が中国の有する台湾に対する主権を損なうことで中国と敵対する方針を示している。

2024年2月8日、米国の特殊部隊が台湾と中国本土に近い金門諸島に常駐していると米国と台湾の報道機関が初めて報じた。この展開は米国による「一つの中国政策」への重大な違反である。APEC首脳会議中にバイデン大統領が習国家首席に直接示したとされる公約からすれば、そう取られても仕方がない。

さらに、台湾における米軍の目的には侵略的な意味合いがある。報道によると、米軍人たちは紛争に備えた台湾軍部隊の訓練と中国本土軍の監視に従事しているという。

留意すべき点は、台湾におけるこうした米国の軍事展開は、1月26日にタイで行われた米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官と中国の上級外交官王毅氏との高官レベルの会談のあとにおこなわれた事実である。同月初めにも、中国と米国の当局者は2年振りの「高官レベルの協議」を国防総省でもったところだ。この一連の会談は、両側の緊張緩和と相互交流の改善に向けた米国側の取り組みとして西側報道機関では報じられた。

繰り返しになるが、こうした接触は関係改善に向けた真の努力というよりも、米国の「戦略的曖昧さ」政策をよりよく表しているといえる。より正確には、その政策は「戦略的二枚舌」と呼ぶべきだろう。

ワシントンは、台湾に関するアメリカの真意や、より広範な戦略的対立の問題について、どうやら中国を惑わそうとしているようだ。バイデン政権は、「一つの中国政策」の堅持を表明し、衝突を避けるために軍と軍とのコミュニケーションを改善するよう求めることはあるかもしれない。

しかし実際には、米国は台湾へのさらなるミサイル供給を進めている。この前例のない米国の攻撃能力の増強は、アジア太平洋の他の地域でも再現されている。

1月に頼清徳氏が台湾総統に選出されたことにより、米国政府は今後4年間、台北での「親米」の声を際立たせることになる。頼総統は以前にも台湾の中国からの独立を主張していた。実際、選挙期間中、頼氏は台湾は「すでに独立している」ためそのような宣言をする必要はないと述べた。中国政府は繰り返し、台湾と中国本土の完全な統一に対する願望と主権を宣言してきた。しかし、習主席は、台湾が正式に独立を発表した場合、中国は領土に対する法的な主権支配を主張するために軍事力を行使する権利を留保する、と警告した。

台湾は、「大国間の競争相手」の中国と対峙する米国の戦略において有用な駒である。

米国政府は台湾の独立支持派の政治家に暗黙の支持を与えることで、分離主義者の感情を煽っている。台湾に米国の武器や軍人を供給することは、米国が中国本土との紛争が勃発した場合に台湾を守ってくれる軍事後援者であるという台湾側の考えを助長することにもなる。

重要なことは、次期台湾総統が民進党(DPP)の第3期政権であることである。民進党は蔡英文総統の下で2016年に初めて政権を握った。彼女は2020年に再選された。頼清徳副大統領が5月に大統領に就任すると、同副大統領が蔡英文総統の路線を引き継ぐことになる。民進党(DPP)は、現バイデン政権と前任者のドナルド・トランプ政権下で米国政府の全面的な支援を受けて、過去8年間にわたり独立推進勢力を煽ってきた。この政治的混乱は、頼清徳氏の大統領任期の今後4年間続く可能性が高い。

ここ8年間で台湾の兵器庫にミサイルが増強されたことも重要である2016年以前は、この島の軍事能力は限られていた。しかし民進党のもと、米国からの補給を受けて、台湾軍は弾道ミサイル能力、特に対艦ミサイルの能力を向上させた。これらの兵器の目標射程は最大500キロの短射程だが、中国南部沿岸部に届く可能性がある。

注視する必要があるのは、米国の長距離ミサイルの供給である。そのミサイルが、中国との紛争におけるより大きな米国の戦略的野心を示すことになるからだ。米国が支援する台湾の軍事化は、台湾における分離主義政治の扇動と相関関係があり、それがひいては中国政府との緊張を煽る。

2月13日、米国上院は、ウクライナに対する600億ドル、イスラエルに対する140億ドル、アジア太平洋に対する80億ドルを含む、外国同盟国に対する950億ドルの軍事援助予算案を承認した。その80億ドルのうち50億ドル近くを台湾に割り当てることになる。アジア太平洋資金は、この地域における米国のミサイル増強を補強することになる。

このことは米国の中国に対する敵対的意図を示すもう一つの指標である。一見、外交的関与と軍間の新たな通信交換を強めるものだが、実際はその逆だ。「一つの中国政策」に関する言説のリトマス試験紙は、中国に対する軍事攻撃能力に基づく事実である。

事実は、台湾が中国を敵に回し、挑発する手先として磨かれていることを証明している。

ウクライナ・ロシア戦争との類似点

米国がロシアに対する挑発としてウクライナを冷笑的に利用したこととの鮮やかな類似点がある。ウクライナはロシアと文化的に深いつながりがあり、領土支配をめぐる紛争の長い歴史がある。過去10年間、米国はウクライナへの軍事支援を強化し、ロシアとの敵対を煽ってきた。緊張は2022年2月に高まり、その高まる挑発を止めるためにロシアがウクライナへの軍事侵攻を命令した。2年間にわたる戦争が続き、現在も続いている。この戦争は第二次世界大戦後、ヨーロッパで最大の戦争である。推定50万人のウクライナ軍兵士が殺害された。この紛争はヨーロッパ経済に壊滅的な影響を与えた。それは核保有国間の破滅的な全面戦争に危険なほど近づける。

中国の崔天凯元駐米大使は最近、中国は台湾で軍事的な罠に陥ることはない、と述べた。経験豊富なこの外交官は、米国が扇動したウクライナとロシアの展開についてほのめかした。台湾への米国の武器供給増加問題に関して、崔氏は「誰かが代理戦争を準備しているかもしれないが、我が国はその罠には陥りません。中国人が中国人を殺害するような状況は見たくないですから」と述べた。

そのような願望は賞賛に値する。しかし、そのような見方は幸運にかけるしかないものだ。中国当局は台湾を巡る戦争を望んでおらず、戦争を避けるために全力を尽くすかもしれない。台湾との平和的統一に対する中国政府の願望が本物であることは疑いない。

それでも残念なことに、米国は邪悪な力を弄して台湾を引き金にしようとしている。米国政府は攻撃的な軍事能力を強化し、扇動的な独立推進政治を煽っている。中国政府はその敵対的な取り組みを制御していない。台湾がロシアにとってのウクライナのようなもの、つまり米国による代理戦争の場となる時が来るかもしれない。

その場合、厳しい予測がなされる。それは、中国は台湾に対する支配を主張するために、遅かれ早かれ軍事行動を起こすことになる、というものだ。米国の無謀で救いようのない挑発を考えると、戦争は避けられないように見える。誰がホワイトハウスに座るかに関係なく、米国政府の好戦的な態度は変わらない。今年11月の米国大統領選挙によって戦略的方向性が変わることはない。中国が対応を放置すればするほど、米国が提供する台湾の攻撃能力が増大し、軍事衝突の危険性はさらに大きくなるだろう。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2024年2月14日のインタビューで、2年続いているウクライナ戦争についての大きな後悔は、ロシアが米国主導の挑発に対して介入するためにもっと早く行動しなかったことだ、と述べた。プーチン大統領は、旧ウクライナ東部のロシア系住民を守り、ロシアの国家安全保障に対するNATOの増大する脅威を先手を打って回避するため、2022年2月24日にロシアのウクライナへの軍事介入を命令した。

筆者は10 年前、CIA 支援の軍事政変で2014年2月に政権を握ったウクライナのNATO 支援政権下での邪悪な展開に関する記事を書いた。この記事では、差し迫った米国主導の代理戦争を先制するために、プーチン大統領は2014年半ばにウクライナに軍隊を派遣すべきだった、と主張した。その後のウクライナでの出来事、恐ろしい規模の死と破壊、そしてプーチン大統領自身そのことを後悔していると最近認めたことは、筆者の2014年の予測が正しかったことを示唆しているだろう。

台湾の問題に関しては、ロシアが断固たる行動をとるのに出遅れたのと同じ過ちを中国が繰り返すという危険性が現実としてある。中国の習近平国家主席も先手を打つ断固とした行動をとらないことで、プーチン大統領がウクライナに対して抱いた同じ後悔を台湾に関して共有する可能性がある。

謝辞:
偉大なジャーナリスト、故ジョン・ピルジャー氏は2016年に受賞歴のあるドキュメンタリー映画「来るべき対中国戦争」を執筆、製作した。この記事を、世界を彩った最も優れたジャーナリストの一人であるジョン・ピルジャー(1939-2023)氏の追悼に捧げる。
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