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SMO(特別軍事作戦)開始から2年。西側は完全にまひ状態

<記事原文 寺島先生推薦>
Two Years After the Start of the SMO, the West is Totally Paralyzed
筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:ストラテジック・カルチャー(Strategic Culture) 2024年2月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年2月27日


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ちょうど2年前の土曜日、2022年2月24日、ウラジーミル・プーチンはウクライナにおける特別軍事作戦(SMO)の開始を発表し、その目的を説明した。それは、その3日前の2月21日、つまりキエフでのマイダン2014からちょうど8年後、プーチンが共和国を宣言したドネツクとルガンスクを公式に承認したときに起こったことからの必然的な流れだった。

このわずか3日間という短い期間に、ロシア軍が軍事介入し、3週間にわたって前線全域で続いていた大規模な爆撃と砲撃を終わらせるだろうと誰もが期待していた。ロシアの諜報機関は、NATOに支援されたキエフ軍がロシア語圏のドンバスの民族浄化を実行する準備ができているという決定的な証拠を持っていた。

2022年2月24日は、21世紀の地政学をいくつかの複雑な方法で永遠に変えた日だった。とりわけ、ウクライナを戦場とする「カオスと嘘と略奪の米帝国」と、それに簡単になびくNATOの家臣たち、そしてロシアとの間で、ロシア人が言うところの「軍事技術的」な、凶悪で全面的な対決が始まったのである。その戦場がウクライナだった。

プーチンが、この運命の3日間の前にも、そしてその最中にも、自らの決断が西側諸国の怒りを爆発させ、制裁の津波を巻き起こすことを計算に入れていたことは疑いようがない。

そう、そこが問題なのだ。国家主権の問題なのだ。真の主権国家は、永続的な脅威の下では生きていけない。プーチンはロシアが死ぬまで制裁を受けることを望んでいた可能性さえある(斜字は筆者)。結局のところ、外国からの深刻な邪魔がなければ、ロシアは天然資源に富むので、容易に生産できるものは輸入し、(天然資源から得られる)利益で生活したいという誘惑は非常に大きい。

例外主義者たちはいつも、ロシアは「核兵器を持つガソリンスタンド」だとほくそ笑んでいる。それは馬鹿げている。ロシアでは、石油とガスはGDPのおよそ15%、政府予算の30%、輸出の45%を占めている。石油とガスはロシア経済に力を与えるものであり、足を引っ張るものではない。プーチンはロシアの自己満足を揺さぶることで、自国で必要なガスはすべて自国で生産することを可能にし、比類のない核兵器と極超音速兵器を完備した。どうだ!


ウクライナが「今ほど国家としての体裁を失ったことはない」

グザヴィエ・モローはロシア在住24年のフランス人政治戦略分析家。名門サン=シール陸軍士官学校を卒業し、ソルボンヌ大学で学位を取得した。現在、フランス語版RTで2つの番組の司会をしている。

最新刊『Ukraine:Pourquoi La Russie a Gagné(ウクライナ:ロシアはなぜ勝ったのか?』は、NATO属国圏で、総合的な軍事経験がゼロに等しい即席の「専門家」たちによってでっち上げられた幼稚な空想ではなく、戦争の現実を伝えるヨーロッパの読者にとって不可欠な指南書である。

モローは、公平で現実主義的な分析家なら誰もが当初から気づいていたこと、つまり、終盤戦の条件となるロシアの決定的な軍事的優位をはっきりと示している。問題は、この終盤戦―モスクワが打ち出したウクライナの「非軍事化」と「非ナチ化」―がどのように達成されるかである。

すでに明らかなことは、ウクライナとNATOの「非軍事化」は、F-16のような新しい驚異的な兵器では変えることができない大成功を収めているということだ。

モローは、マイダンから10年近く経ったウクライナがいかに国家でないかを完璧に理解している。ウクライナは、あらゆるものが分離している、人口がごちゃ混ぜになった領土なのだ。しかも、独立以来ずっと「気味の悪い」破綻国家である。モローは、ステパン・バンデラの賛美者とレディー・ガガのファンのイデオロギーに同時に言及するような体制の下にあるウクライナの腐敗の奇妙さを、読者を非常に愉快な気持ちにさせる数ページを通じて説明している。

もちろん、オリガルヒに支配されたヨーロッパの主流報道機関は、上記のどれも報道していない。


プーチンの鄧小平化に気をつけろ

本書は、「ウクライナで米国とEU当局を待ち受けている戦略的破局に大きな責任を負っている」狂ったポーランドの支配者層について、極めて有益な分析を提供している。ポーランド人は、実際、プーチンに対するカラー革命が功を奏してロシアが内部から崩壊するだろうと信じていた。しかし(アフガニスタンでムジャヒディンを使ってソ連の弱体化に成功して)ハイになっていたブレジンスキーのようなわけにはゆかない。

モローは、2022年という年が、いかにNATO属国諸国、特に歴史的に嫌露主義者であるアングロ・サクソンが、ロシアは「貧弱な力しかない国」だから降参するだろうと自己確信していた年だったかを示している。プーチンが中国経済における鄧小平のようにロシア経済を強化したことを、これら優秀な人間たちは誰も理解していなかったのは明らかだ。モローが言うように、NATO諸国のこの「自己陶酔」はクレムリンに劇的な効果をもたらすことになった。

ロシア経済に対する電撃作戦が大失敗であったのと同様に、欧州経済を破壊することが米帝国にとって大規模な戦術であり、歴史的勝利であったことは、耳が聞こえず、口がきけず、目が見えない人にとってさえ、今や明らかである。

上記のような流れの中で、今週リオで開催されたG20外相会議を迎えた。この会議は決して画期的なものではなかった。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、G20の西側諸国があらゆる手段を使って議題を「ウクライナ化」しようとしたが、成功はゼロに等しかった、と明言した。BRICSやグローバル・サウス国々は、数を力に反撃に出たのだ。

ラブロフ外相は記者会見で、西側諸国がロシアに対して集団で仕掛ける戦争の見通しについて、これ以上ないほど厳しく述べた。 以下はその要点である:

・西側諸国は、ウクライナに関する真剣な対話を一切望んでいない。

・米国からは、戦略的安定に関するロシア連邦との接触を開始するという真剣な提案はなかった。ロシアが敵国と宣言されている今、信頼を回復することはできない。

・G20の傍らで、ブリンケン米国務長官や英国外相との接触はなかった。

・ロシア連邦は、西側の新たな制裁措置に対して、ロシア経済の自給自足的発展に関わる実際的な行動で対応するだろう。

・欧州がロシア連邦との関係を回復しようとしても、もしそれが気まぐれに依存するならば、そのような接触は必要ない。

一言で言えば、外交的には「あなた方は無関係であり、私たちは気にしない」ということだ。

これは、G20中のラブロフの介入を補完するものであり、多極化に向けた明確で殊勝な道筋を再び明確にした。以下はその要点である:

・明確な中心と周縁を持たない公正な多極的世界秩序の形成は、ここ数年、より一層強まっている。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国は、世界経済の重要な一部となりつつある。アジアやアフリカ、ラテンアメリカの国々が、世界経済の重要な部分を占めるようになってきている。

・多くの西欧経済、特にヨーロッパ経済は、このような背景のもとで、実際には停滞している。これらの統計は、IMF、世界銀行、OECDといった欧米の監督機関によるものである。

・これらの機関は過去の遺物となりつつある。欧米の支配はすでに、時代の要請に応える形ではその影響力に陰りが出ている。いっぽう、現在人類が抱えている問題は、協調的な努力と、グローバル・サウス諸国とグローバル・サウスの利益への十分な配慮によってのみ解決できるものであることは、今日完全に明白である。

・IMFや世界銀行、EBRD(欧州復興開発銀行)、EIB(欧州投資銀行)といった機関は、ウクライナの軍事的資金やその他の資金を優先している。西側諸国は2500億ドル以上の資金をその下支えのために割り当て、世界の他の地域で資金不足を引き起こしている。ウクライナへの資金が大半を占め、アフリカやその他のグローバル・サウス諸国は配給制に追いやられている。

・地政学的な敵対国への恨みを晴らすために、一方的な制裁や国有資産や私有財産の差し押さえから、封鎖、禁輸、国籍による経済事業者への差別まで、非合法的な行為を用いて自国の信用を失墜させた国は、金融の安定を保証する国とは言えない。

・間違いなく、世界経済の管理体制を民主化するためには、共通理解と相互利益に焦点を当てた新しい制度が必要である。今日、BRICS、SCO、ASEAN、アフリカ連合、LAS(アラブ連盟)、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)、EAEU(ユーラシア経済連合)など、さまざまな同盟関係を強化するための積極的な動きが見られる。

・今年はロシアがBRICSの議長国を務め、新たに数カ国がBRICSに加盟した。我が国は、BRICSの可能性とG20との結びつきを強化するために全力を尽くすつもりだ。

・国連安全保障理事会理事国15カ国のうち6カ国が西側諸国を代表していることを考慮すれば、私たちは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の加盟を通じてのみ、この理事会の拡大を支持する。

これが、SMO開始から2年後の、地政学的な現状だ。
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プーチンは、タッカー・カールソンの好戦的な反中国喧伝を暴いた

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin debunks Tucker Carlson’s warmongering anti-China propaganda, mocks his CIA ties
筆者:ベン・ノートン(Ben Norton)
出典:地政学的経済 (Geopolitical Economy)  2024年2月10日
<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年2月27日


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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、トランプの盟友タッカー・カールソンがモスクワでのインタビューで吐き出した「幽霊的」反中国喧伝を非難し、この元フォックス・ニュースの司会者がCIAに応募した過去を冷やかした。

米国のテレビ司会者タッカー・カールソンは、今年2月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にインタビューするため、モスクワを訪れ、政治的な大騒動を引き起こした。

これは報道機関で議論を巻き起こした。これは党派心で動く米国の政治ではよくあることだが、この議論は、「木を見て森を見ず」と言わざるをえない。

ヒラリー・クリントンのようなリベラル派の戦争タカ派は、タッカー・カールソンを裏切り者で、プーチンにとっての「役に立つ愚者」呼ばわりした。

民主党は、ロシアに対する強迫観念的な憎悪に目がくらみ、地政学的に何が起きているのか全く理解できていない。



実のところは、カールソンなどの共和党内のドナルド・トランプ信奉者たちは、長年ロシアと中国のあいだに楔(くさび)を打ち込み、中国との戦争を狂信的に推進しようとしてきた。

トランプの主席顧問であったスティーブ・バノンは、この極右の指導者であるトランプの2016年の大統領選において、2018年にこう公言していた。「我が国は中国と戦争中です」と。

バノンが求めたのは、「西側諸国が団結して、全体主義中国の台頭に立ち向かう」ことである。そしてバノンはロシアを「西側」の一部だと考えている。

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この戦略は、フランスの極右指導者であるマリー・ヌ・ルペンも使ったことがある。ルペンは、2022年にロシアとの関係を改善したいとの考えを示し、その理由はロシアが中国と同盟を結ぶことを防ぐためだ、としていた。

トランプ主義の共和党員と、それと同類のヨーロッパの極右勢力は、ロシアを、白人で、ヨーロッパ人で、キリスト教徒で、資本主義者で、中国に対する潜在的な同盟国と見なしており、中国を、いわゆる「ユダヤ・キリスト教西洋文明」に対する、非白人で、アジア的で、無神論的で、共産主義の脅威として悪魔化している。

カールソンは、この対中国戦争挑発作戦で重要な役割を演じてきた。

フォックス・ニュースのゴールデンタイムの番組で、カールソンは「ロシアはアメリカの主要な敵ではありません。まともな人は誰もそうは思いません。私たちの主な敵は中国です。米国はロシアと関係を持ち、中国に対抗するべきだからです」と述べた。


カールソンが「反戦主義者である」という言説は全くの間違いだ。カールソンがウクライナでの対ロシア代理戦争に反対しているただひとつの理由は、すべての資源を中国との戦いに集中させたいからだ。

カールソンは、フォックス局での自分の番組でこう主張していた。「我が国にとっての最大の脅威はウラジーミル・プーチンではありません。それはまったくバカげた考えです。最大の脅威は、間違いなく中国です」と。

この極右テレビ司会者が懸念しているのは、中露同盟が地球上の米国覇権を終わらせることだ。この覇権こそ、トランプ派が守りたがっているものだ。

カールソンはこう嘆いていた。「ロシアが中国と軍事協力すれば、米国の世界覇権や世界に対して持っている権力は即座に終わるでしょう。ロシアと中国が連合することになれば、全く新しい世界になり、米国は大いに弱体化することになるでしょう。それがよくないことだと、ほとんどの米国民は同意するはずです」と。


2023年にフォックス・ニュースを解雇されて以来、カールソンは、米国は中国に対抗してロシアと同盟を組むべきだという、戦争挑発的な言説を相変わらず推進し続けている。

ところが、2月のインタビューで、このロシアの指導者(プーチン)は、カールソンが共和党とトランプのために行動する政治工作員であり、共和党とトランプが、ロシア政府と、その最も重要な同盟国との間の分裂を助長することを望んでいることをはっきりと見抜いていた。

プーチンは、カールソンの冷静さを欠く反中国言説に反発し、彼はこれを単なる「亡霊が話すような話」と呼んだ。

このロシア大統領は、中国は平和協力を望んでいると強調し、「中国の外交政策哲学は攻撃的ではありません」と述べた。

以下は、2月6日のやり取りの書き起こしだ。

タッカー・カールソン:問題は、次に何が起こるかということです。貴国は、ある植民地大国を別の植民地大国と交換するおつもりでしょうが、後者は、感傷的で寛容な国であるとはとてもいえません。私が言っているのは、例えばBRICSのことです。BRICSは、中国や中国経済に完全に支配される危険にさらされています。それはBRICS諸国の主権にとって良いことなのでしょうか? あなたはそれについて心配していますか?

ウラジーミル・プーチン:そんな亡霊がするような話を耳にしたことがあります。そうです、亡霊がするような話です。我が国と中国は隣国です。近親者を選べないのと同じように、隣国も選べません。我が国は中国と1000キロの国境を共有しています。これが1番の理由です。

二つ目の理由は、我が国と中国には何世紀にもわたる共存の歴史があります。両国はその状態に慣れています。

三つめの理由は、中国の外交政策哲学は侵略的ではありません。中国は、常に妥協点を探すことを考えています。それは見てのとおりだ、と思っています。

もう一つの理由は、以下のとおりです。私たちはいつも同じ亡霊のような話を聞かされてきました。いま、あなたは遠回しにおっしゃられましたが、それでも同じ亡霊のような話です。

中国との協力関係は増え続けています。中国と欧州の協力関係進展の速度は早まっています。それは、中国とロシアの協力関係の進展よりも早く、大きいものです。

ヨーロッパの人々に聞いてみてください。中国を恐れているのでしょうか? そうかもしれません。わかりません。しかし、欧州の人々はいまだに中国市場と何としても繋がろうとしています。経済問題に直面している今は、とくにそうです。

中国企業も欧州市場を開拓しています。

中国企業の米国での存在感は小さいですか? そうでしょうね。

政治的な決定により、中国との協力が制限されようとしているからです。

タッカーさん、あなたが中国との協力を制限しているのは、あなた自身の不利益になります。あなたは自分で自分を傷つけているのです。


プーチンがはっきり語ったように、共和党は中国をロシアから孤立させ、BRICSを分断することに失敗している。

皮肉なことに、ロシアゲート陰謀をめぐる民主党の冷静さを欠く行為が、ウクライナでの戦争と相まって、親トランプ派がこの戦略を実現するのを妨げたのだ。

(米国政府がロシアを中国から分断し損ねたことで、米国はインドの極右政権との同盟に重点を置き、インド政府と中国政府の間の紛争を誘発しようとしてきた。トランプもジョー・バイデンも、インドを口説こうとしている。)

カールソンの好戦的な反中国言説は、フォックス・ニュースを見ている典型的な保守層にだけ食いつかせるものではなかった。解雇された後も、カールソンは独立系放送局の司会者として、この漫画的な喧伝を拡散し続けている。

プーチン大統領にインタビューするわずか4日前の2月2日、カールソンは中国が「米国の侵略を煽っている」と主張する動画を公開した。その意味するところは、対中戦争は正当化できる、というのも中国共産党が「侵略」を支援しているのだから、というものだった。

2023年11月、カールソンはトランプとのインタビューを公開し、その中で2人とも中国政府を恐れていた。

「なぜ中国はわが国の半球で帝国主義を遂行することが許されるのでしょうか?」カールソンは尋ねた。

トランプはこう答えた。「そうです。キューバをはるかに凌ぐ脅威です。中国は、南米の至る所に顔を出しています」と。元アメリカ大統領のトランプは、一片の証拠も示さず、「中国はキューバに軍事施設を建設しています」と主張した。

カールソンはトランプの個人的な友人であり、この元大統領と共和党内のトランプ派の喧伝家として活動している。

しかし、彼らの関係は友情よりも深いものだ。実際、トランプは、カールソンが副大統領に立候補することを検討している、と公言している。

これは、トランプが今年の大統領選挙で勝利する可能性が非常に高いことを考えると、特に重要だ。ほとんどの世論調査は、重要な激戦州を含め、バイデンに勝っていることを示している。

トランプは大統領選に際し、極めて攻撃的な反中国政策の実施を公約に掲げている。ワシントン・ポスト紙は、トランプの顧問の発言として、「トランプは中国との大規模な新たな貿易戦争の準備をしている」と報じ、中国製品の米国への輸入に60%の関税を課そうとしている、と報じた。

フォックス・ニュースにこのことについて尋ねられたとき、トランプは関税を60%以上にするとし、「おそらくそれ以上になるでしょう」と述べた。

歴史的に見ても、この規模の経済戦争はしばしば軍事衝突につながる。つまり、トランプのタカ派的な反中国政策は、戦争に発展する可能性がある、ということだ。

カールソンは、トランプの親密な同盟者であることに加えて、カールソンはフォックス退社後に始めた、多くの人が見聞きする自身のSNS報道機関を利用して、共和党の大統領候補ヴィヴェック・ラマスワミの宣伝をおこなった。両者は共に中国を悪者扱いし、台湾をめぐる戦争の恐怖を煽った。

ラマスワミは、トランプ派とカールソン流の外交政策綱領で選挙運動を行ない、中国を孤立させるために、アメリカはロシアと同盟すべきだ、と主張している。

皮肉なことに、トランプやバノン、ラマスワミ、カールソンが提唱したこの戦略は、以前、ヘンリー・キッシンジャーによっても推進されていた。

1970年代のリチャード・ニクソン政権時代、キッシンジャーは「三角外交」を使って中国をソ連に対抗させた。当時の米国政府と中国政府とのあいだの同盟は、ソ連の不安定化をよび、最終的にはソ連崩壊につながる重要な要因となった。

2018年、キッシンジャーは、この三角外交への回帰を呼びかけたが、そのときは逆の方向だった。デイリー・ビースト紙は、「ヘンリー・キッシンジャーは、ドナルド・トランプ大統領に、米国は、台頭する中国を封じ込めるために、ロシアと協力すべきだと提案した」と報じた。


プーチンは、CIAへ応募したタッカー・カールソンを冷やかした

ドナルド・トランプと彼の極右勢力の台頭により、タッカー・カールソンは自分自身をいわゆるポピュリストとして再度売り出そうとした。

しかし、カールソンは、常に報道分野における名門家系だった。彼のミドルネームはスワンソンで、義母は同名の食品会社の相続人だった。

有力で、裕福で、政治的にコネのある一族の末裔であるカールソンは、ネオコンのタカ派として報道関係者としての経歴を始め、悪名高いネオコンの聖書である、ウィークリー・スタンダード誌に、筋金入りの戦争支持記事を大量に書いていた。

カールソンはすぐに出世し、2000年代にはCNNとMSNBCの番組の司会をつとめ、後にフォックス・ニュースに移った。

トランプ時代、カールソンは自らを超保守主義者として売り込み、ネオコンを非難し、「ポピュリスト」で得点を稼ごうとしていると語った。しかし、ジョージ・W・ブッシュ政権時代、カールソンは正真正銘のネオコンだった。

カールソンは、粗野で、新植民地主義的で、人種差別的な論点から、米国による違法なイラク侵略を熱心に支持した。

デイリー・ビースト紙は次のように書いている(強調は筆者)。

タッカー・カールソンは、ラジオ番組「ババ・ザ・ラブ・スポンジ」での過去の発言で、イラク人を「識字率が半分しかない原始的な猿」と表現した。このフォックス・ニュースの司会者は、イラク国民は「人間らしく振る舞わない」と主張し、2006年5月の人気ラジオ番組でのイラク戦争に関する討論で、イラク国民やイラク国民の文化に「全く同情しません」と述べた。カールソンは、「トイレットペーパーやフォークを使わない文化」であると述べ、イラク国民は「自分たちを統治できない」ので、米国に「黙って従うべきです」と付け加えた。2009年9月の放送で、カールソンは、アフガニスタンは決して「文明国にはならない。なぜなら、人々は文明化されていないからです」と宣言した。


実際、カールソンは熱心なレーガン主義者で冷戦戦士だったので、大学時代にCIAに応募したほどだ。

ジャーナリストのアラン・マクラウドは、1980年代に、カールソンがニカラグアに赴き、革命的なサンディニスタ政府に対するテロ戦争で、CIAの極右暗殺部隊、コントラを支援した経緯を明らかにした。

タッカーの父、リチャード・「ディック」・カールソンは、CIAや他の諜報機関と密接な関係にある米国政府の喧伝機関、ボイス・オブ・アメリカのディレクターだった。

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ロシアの諜報機関は、カールソンのCIAとのつながりをはっきりと知っていた。そこで、2月にプーチンにインタビューした際、プーチンは悪名高い米国の諜報機関に応募した経歴があることに触れ、カールソンをからかった。プーチンが強調したのは、この機関が、多くの軍事政変を組織し、無数の外国の内政に干渉してきた、という点だった

以下は、そのやり取りの書き起こしだ。

タッカー・カールソン:誰の支持を得て?

ウラジーミル・プーチン:もちろん、CIAの支援を受けてです。あなたが昔参加したかった組織だと聞いていますよ。
CIAがあなたを採用しなかったことを神に感謝すべきです。もちろんCIAが重要な組織であることは分かっていますが。
私は、ソビエト連邦の諜報機関である第一総局に勤務していたのですから。
CIAは常に我が国の敵でした。それが仕事だから仕方ありませんが。



タッカー・カールソンのラテンアメリカに対する新植民地主義的見解

現在カールソンはネオコンを批判しているが、中南米に関するカールソンの外交政策は、明らかにネオコン的で、新植民地主義的だ。

カールソンは、つねづね中南米を米国の「裏庭」扱いしており、中国が「我が国の半球」を「乗っ取り」、植民地化さえしようとしていると頻繁に文句を言っている。

2022年、まだフォックス・ニュースにいた頃、カールソンはブラジルを訪れ、親米・反中国を貫く極右指導者ジャイル・ボルソナロのプロパガンダ・ドキュメンタリーを制作した。

事実上、カールソンはブラジルの選挙に干渉し、左派のルラ・ダ・シルバ(2022年の選挙で勝利)の政権復帰を阻止しようとしていた。

カールソンがボルソナロのために制作したプロモーション動画で、彼が持ち出したのは200年前に生まれた、明らかに植民地主義にもとづいた考え方であるモンロー主義だった。その目的は、中国がラテンアメリカ諸国と、中国とラテンアメリカ諸国との合意に基づく二国間関係を構築することへの恐怖を煽ることにあり、さらにこの地域における米国による侵略的介入主義を正当化することにあった。

このフォックス・ニュースの司会者はこう宣言した(強調は筆者)。

1823年、ジェームズ・モンロー大統領は、過去200年間、アメリカの外交政策の中心となっている政策を発表しました。モンロー主義と呼ばれるこの教義は、西半球の国々を大国が支配することは許されないという、非常に単純な命題を掲げています。それは、米国の利益に対する直接的な脅威となるでしょう。そして200年もの間、私たちはそれを許さなかったのです。



バイデン政権下では、モンロー主義はもはや施行されていません。

政治思想的な懸念に縛られ、些細な政治的不満にとらわれ、そして何よりも、東欧での遠い戦争(つまり、ウクライナでのロシアに対する戦争)に気を取られて、バイデン政権はその責任を放棄したのです。

そして、米国が残した空白に、新たな超大国が入り込もうとしています。

我々は、中国の台頭と、中国政府が米国に取って代わり、我が国の半球で支配的な大国としてどのように振る舞っているかを自分の目で確かめるためにブラジルに来ました。


米国政府内の超党派帝国主義

この反中国、親植民地主義の非難は、カールソンが実際、米帝国主義の熱烈な擁護者であることをはっきりと思い起こさせるものだった。

カールソンは原則的に戦争に反対しているわけではない。米帝国の対中戦争に全注意を集中させたいがために、ロシアに対する米国代理戦争を批判しているだけだ。

カールソンは、ロシアとの戦争を望まない多くの善意の人々を取り込み、中国との戦争を望むように洗脳している。

ところが、ロシアゲート陰謀をめぐり冷静さを失った米リベラル派には、この現実が見えなくなっている。

もちろん、米国政府内では、中国に対する超党派の反発がある。しかし、民主党は今、「短期的な脅威」としてロシアに固執し、中国については「長期的な脅威」と考えている。

トランプとカールソンに率いられた共和党は、ロシアとの違いを脇に置いて、米帝国のあらゆる資源を、中国共産党を封じ込め、弱体化させ、究極的には打倒することに捧げたがっている。

米国を支配する両政党は、徹底した帝国主義者だ。両政党の戦いは米国が帝国であるべきかどうかをめぐってではない。むしろ、その議論は、米帝国を維持するための最良の戦略は何か、がテーマになっている。

カールソンとトランプは、ネオコンやリベラル介入主義のタカ派と政治的に多くの共通点がある。しかし、二人はこの勢力を「ポピュリスト」だと批判することもある。

彼ら全員を結びつけているのは、米帝国を強化し、この惑星上の米国による一極覇権を維持したい、という願望だ。

これこそまさに、タッカー・カールソンが、フォックス・ニュースの番組で、「ロシアが中国と手を組むことがあれば、米国の世界覇権と米国が有する権力は即座に終わるだろう」と恐怖の面持ちで警告した理由だ。
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アレクセイ・ナワリヌイの死との奇妙なタイミングの一致

<記事原文 寺島先生推薦>
Alexei Navalny’s Death and Curious Well-Timed Coincidences
彼らは、ウクライナでの戦争に敗れ、ガザでのジェノサイドで世界中から非難され、崩壊しつつある帝国を支配している
筆者:エドワード・カーチン(Edward Curtin)
出典:Global Research 2024年2月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年2月27日


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作為による宣伝と不作為による宣伝があり、前者はしばしば後者を隠す役割を果たす。タイミングが重要である。

米国のバイデン大統領、英国、NATO、イスラエルの同盟国、そして企業メディアという彼らの代弁者が、大規模なプロパガンダの勝利を必要としていることは明らかだ。彼らはウクライナでの戦争に負け、ガザでの大量虐殺で世界中から非難され、崩壊しつつある帝国を支配している。

バイデンとネタニヤフの政治生命は深刻な危険にさらされている。そのため、彼らは自分たちの負けを隠すことを目的とした全面的な防戦プロパガンダ活動を展開したところだ。論理的思考力(ロジック)を使って、行動を起こすべき瞬間(タイミング)を見抜くことができる人には、そのことがはっきりとわかるはずだ。

プロパガンダと技術について、偉大なフランスの学者ジャック・エリュルは何年も前に、プロパガンダは

「魔法の杖をちょっと触れさえすればいいというものではありません。ゆっくりと休むことなく吹き込むことが基礎です。プロパガンダが人々の確信と遵守を生み出すのは、途切れない反復を通して効果を発揮する、だれにも知覚できない影響を通じてなのです」。

しかし、いったんこの土台が時間をかけて築かれる―休むことのない反ロシア・プーチン・ヒステリーと休むことのないイスラエルのシオニズム政策への支持がそうだが―と現在のように長期的な物語が危機に瀕した緊急事態では、強力な弥縫(びほう)策が講じられることがある。

西側の支援を受けたロシアの反体制派アレクセイ・ナワリヌイのロシアの刑務所での死が2024年2月16日金曜日に発表されると、それはすぐに反ロシア宣言の連続が起きた。その目的は、ロシアとその大統領ウラジーミル・プーチンの悪魔化を継続するだけでなく、他のことにも役立った。

そのたった一撃により、プーチンがタッカー・カールソンを通じて世界に伝えたばかりのウクライナ、ロシア、米国とNATOに関する冷静な歴史の教訓は我々の記憶の穴から消し去られた。その一方で、バイデンは何の証拠もなく、ナワリヌイの死の責任は「プーチンとその凶悪犯」とプーチンの「残虐行為」にあると宣言した。これはもちろん、ナワリヌイ、スクリパル父娘(それ以降英国政府はその所在を明かしていない)、アレクサンダー・リトビネンコなどの以前の毒殺のためにロシアに対して行われた証拠なしの冤罪の再現である。

関連記事:米国/NATOが「悪魔的死の願望」に支配され、全世界が脅かされている

その直後、ナワリヌイの死が発表された翌日の2月17日の土曜日に、ゼレンスキーは、偶然にもミュンヘン安全保障会議に出席していて、しかもナワリヌイの当時の未亡人と同席で、プーチンがナワリヌイを殺したことは「明白」であると述べた。彼がいつも演じている操り人形の仕事をしたのだ。一方、バイデンは、ウクライナのロシアとの絶望的な戦争のためのより多くの資金を要求した。この戦争は、ロシア国境への積極的な軍事進出と、親ロシア派指導者を追放した2015年のウクライナのクーデターによって最初から米国によって引き起こされた米国とNATOの戦争で、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻の舞台となった。プーチンが、カールソンがかつてCIAに参加しようとしたことを理解していると皮肉っぽく言及しながら、彼にこれらの明白な事実を伝えたことは、今では西側の歴史の中にいるほとんどの人々にとって、それ以上のことがあったとしても、主流メディアの見出しの陰に隠れてしまっている。

ロシアがウクライナの防衛を強行し、長い間争われていたアヴデーエフカ市を占領している間に、すべてが起こった。日を追うごとに、バイデンのウクライナ戦争戦略は、窮地に立たされた絶望的な政治家の戦略であり、プーチンがアメリカの無頼派の政治家(バイデン)とNATOヨーロッパの手先たちを完全に出し抜いたことは明らかである。主流メディアはそうではなく、我々がさらに数十億ドルと武器を送り、英国の友人の助けを借りて戦争をさらにロシアの領土に持ち込み、核衝突の危険を冒せば、希望はすぐそこにあると提案することを好む。現状は、西側大衆の心のためのプロパガンダ戦争の真っただ中に私たちはいる。

世界の他の多くの人々は笑うしかない主流メディアの見出しを通して、ロシアが世界の平和と安定に対する大きな脅威であると欺かれてきた。以前のロシアゲートの嘘のように、ナワリヌイの死と同時に進行中のこの嘘は、重要な進行中の問題に示し合わせたように吐かれて国民の注意をそこから逸らしている。

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明日(2月25日)と水曜日(2月28日)、ジュリアン・アサンジは英国の裁判所で米国への引き渡しを阻止するための最終上訴を行う。バイデンは、主流メディアができなかった仕事をしたとして、このジャーナリストを起訴したいと考えている。その仕事とは米国の冷酷な殺人マシーンに関する事実を暴露することだ。しかし、ナワリヌイについての騒動は、無実で勇敢なアサンジの拷問と投獄に関する絶対的な偽善を二次的で「取るに足らない」ものにしてしまった。意図したとおり、アサンジをめぐる報道は今や、主流メディアがロシアに夢中になっている見出しが途切れることなく流れる中で後回しになっている。バイデン政権と闇政府(ディープステート)の重要な宣伝機関であるニューヨーク・タイムズ紙は、「プーチン大統領の脅威の重大性が欧州に明らかになりつつある」とし、「ナワリヌイの未亡人は野党指導者の仕事を続けると約束した」と報じた。これは典型的なタイムズの暴言だ。昨日の雑誌記事の見出し「マリリン・ロビンソン(作家でバラク・オバマの友人)はバイデンを神の贈り物と考えている」と同じだ。

パレスチナ人が同意するとは思わないが、米国の支援を受けたイスラエルによるパレスチナ人の虐殺―ガザだけでこれまでに29,000人以上のパレスチナ人が殺害されている―イスラエル国防軍のラファ侵攻も、ナワリヌイとロシアに関する虚偽報道によって、後回しにされたり、どこにも書かれなくなっている。

3月中旬に行われるロシアの選挙については言及しない。なぜなら、私たちは皆、律儀に、そしてタイムリーに、悪の殺人者プーチンは独裁者で、無知で、冷酷で―あなた自身の形容詞を付け加えてください―、そして間違いなく11月の公正な米国大統領選挙を不正操作しようとしていると言われるからだ。2016年の大統領選挙における誰かさんのためと同じように。

デイヴィッド・サンガーとジュリアン・バーンズによる2月17日付のNYタイムズ紙の記事、「米国はロシアが宇宙空間に核兵器を設置するかもしれないと恐れている」についても私は言及しない。

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ロシアが我々を捕まえに来ることは誰もが知っている。彼らがつねにそうしていたように。彼らはおそらくJFKを殺した、そうだろう?

メリーゴーランドに描かれた子馬のように、このプロパガンダの噴出がインターネットを一周するのを追うのは簡単だ。立ち止まって考える時間はない。子馬は揺れ動き、めまいを起こさせる。

政治アナリストのギルバート・ドクトロウが、トルコの放送局TRTワールドがナワリヌイとのインタビューの掲載を拒否したことについて、鋭い論評を寄せている。ドクトロウは、英国諜報機関がナワリヌイを殺したと主張している。TRTによれば、何らかの理由でこの件に触れてはならないのだという。

覚えておこう: ロシアがやってくる

ドクトロウが正しいかどうかは別として、プーチンがナワリヌイを殺すと考えるのは、よほど頭の悪い人間だけだろう。そうすることでプーチンが得るものは何もなく、失うものは何もない。

しかし、主流メディアとその政府の上層部は、ほとんどの人が非常に頭が悪いと考えており、そのため、作為と不作為を通じて、明らかなプロパガンダで電撃を与えようとしている。この話は以前にも聞いたことがある。
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