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イスラエルによる「10月7日」侵攻の口実に使われた子どもはイスラエル軍の戦車に殺されたと、目撃者が明かす

<記事原文 寺島先生推薦>
Israeli October 7 posterchild was killed by Israeli tank, eyewitnesses reveal
筆者:マックス・ブルメンタール(Max Blumentahl)
出典:GRAYZONE 2023年11月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月9日


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キブツ・ベエリで10月7日に起きた人質立てこもり事件の目撃者が、イスラエルが12歳のリエル・ヘッツローニとその家族、そして隣人の殺害について世界を欺いていることを暴露した。

更新:エレクトロニック・インディファーダ(Electronic Intifada)のためにデービッド・シーンが翻訳したヤスミン・ポラトの証言ビデオは、この記事の後に続く。

イスラエル政府は、国際的な同情を得ようと必死で、10月7日にハマスが主導したイスラエル南部への攻撃で、12歳の少女が殺害されたことへの怒りを煽ろうとしている。

「この少女の遺体はひどく焼かれ、法医学考古学者が身元を確認するのに6週間以上かかった」と、イスラエル外務省は公式Twitter/Xアカウントで発表した。「12歳のリエル・ヘッツローニちゃんの遺体は灰と骨片だけです。彼女の思い出に祝福がありますように。」

イスラエル国連代表部の元スピーチライターで、イスラエルでトップクラスの英語ソーシャルメディア宣伝担当者であるアビバ・クロンパスは、Twitter/Xで、「テロリストは(ヘッツローニ家を)全員虐殺し、その後ビルに放火した」と主張した。

ナフタリ・ベネット前イスラエル首相は、「キブツ・ベエリのリエル・ヘッツローニがハマスの怪物によって自宅で殺害された......我々は最も公正な戦争を戦っている。このことが再び起こらないようにするために。」

リエル・ヘッツローニは、キブツ・ベエリで殺害された非戦闘員の一人である。イスラエル南部の小さなコミュニティが、捕虜交換を進めるために捕虜を探していたハマスの過激派に一時的に占領されたときのことだった。膠着状態が続く中、彼女は双子の兄、大叔母、ベエリの他の住民数人とともに即死した。

しかし、12歳のヘッツローニはハマスに殺されたのではなかった。少女の死を目撃したイスラエル人による新たな証言によれば、彼女は近隣住民数人とともにイスラエル軍の戦車砲弾によって殺されたという。

ヘッツローニが友軍射撃によって死亡したことが明らかになったのは、イスラエル紙『ハーレツ』の報道が、急速に拡散した『Grayzone』による調査を裏付けるものだったからだ。その調査は、イスラエルのヘリコプター・パイロットや治安当局者が、運命の日の間、友軍の砲撃を指示したこと明らかにした重大ニュースだった。

そのひとつは、キブツ・ベエリの警備チームのメンバーからのもので、彼はハーレツ紙に、「現場の指揮官たちは、人質とともにテロリストを排除するために、居住している家屋に砲撃を加えるなど、難しい決断を下した」と語った。

ある戦車大隊の司令官は、現場に到着したときにも同じ命令を受けたと回想しており、「私はバラク・ヒラム准将に会うためにベエリに到着したが、彼が最初に私に求めたことは、(ハマスのメンバーが避難している)民家に砲弾を撃ち込むことだった」とビデオ・インタビューで答えている。

ベエリの小さな家に重火器を使うという決断は、結果的に多くのイスラエル人の命を奪った。その中には、イスラエルのガザに対する残忍な攻撃を正当化するために、その死が攻撃の口実とされた少女も含まれている。そして初めて、この攻撃の目撃者が、殺害についてのおぞましい真実を語った。

「2発の砲弾が命中したとき、(リエルは)叫ぶのをやめた」

ヤスミン・ポラトは、10月7日にベエリでハマスの武装勢力に人質に取られたイスラエル人の一人だった。過激派が到着したとき、彼女はノヴァ電子音楽祭から逃げ出し、コミュニティに避難していた。11月15日のイスラエル国営放送『Kan News』とのインタビューで、ポラトは膠着状態の詳細を語った。それは政府の公式説明を切り崩すものだった。

イスラエル軍に包囲されていると勘違いしたハマスの武装集団は、その時イスラエル軍は実際にはあまり居なかったのに、人質を家の外に出し、イスラエル警察に電話をかけ、自分たちの退去を交渉しようとした。

「誘拐はほとんど午前中、10時、11時、12時に起きている。「(午後の)3時までには、(イスラエルの)市民は皆、軍隊はもう至る所にいると思っていた。(ハマスの武装勢力は)私たちを10回、(ガザに)連れ出して戻ることができた。しかし、彼らはそのような状況だとは思っていなかったので、警察を要請したのです」と、ポラトは言った。

イスラエルの特殊部隊がようやく現場に到着したとき、ハマスとイスラエル軍の間で「停戦」が起こり、彼女を捕まえた人は投降を決めた、とポラトは語った。自分の安全を確保するため、彼は裸になり、彼女を人間の盾にしてイスラエル兵に向かっていった。

ポラトが解放され、彼女を捕まえた人が投降した後も、39人のハマス戦闘員に警備されて、14人のイスラエル人が人質として残された、と彼女は言った。その中には双子のリエルとヤナイ・ヘッツローニ、そして大叔母で保護者のアヤラ・ヘッツローニも含まれていたという。

「私は部隊の指揮官と一緒にそこに座り、家の形、テロリストのいる場所、人質のいる場所を説明した。見てください、芝生の上に4人の人質がこのように横たわっています。芝生の上に4人の人質がいて、テラスの下に2人倒れている。そしてリビングには、このように横たわっている1人の女性と、このように横たわっているもう1人の女性がいます」とポラトは語った。

ポラトは「双子(ヤナイとリエル・ヘッツローニ)と大叔母(アヤラ)のことを(イスラエル軍司令官に)話したのですが、私は彼女らを見ていませんでした」と説明した。いいですか、私が去るとき、彼女らを私は見ていなかったが、リエルの声はずっと聞こえていたから、彼らがそこにいたことは確かです。(司令官)には、台所の近くから悲鳴が聞こえたと説明したんです。私は人質全員の居場所を説明しようとしました。」

ポラトは、10月7日のハマスの作戦を可能にしたイスラエルの諜報活動の粗雑さを強調し、兵士たちは、これほど多くの武装勢力が一つの家の中にいることも、これほど大規模な部隊が、イスラエルがガザの周囲に築いたハイテク包囲壁を突破することも信じられなかったと語った。「最初に(イスラエルの特殊部隊に)40人ほどのテロリストがいると話したとき、彼らは『そんなはずはない』『大げさに言っているんだろう』と言われました。彼らは信じませんでした! 我が軍もまだ未熟だと思いました。」

午後4時には、家の中にいた武装勢力と、通りの向かいに駐留していたイスラエルの特殊部隊との間で銃撃戦が始まった。ハマスの戦闘員を追い払うことができなかったため、イスラエル軍は午後7時半に戦車を要請した。

ポラトは、戦車が小さなコミュニティに入ってくるのを見て、パニックに陥ったと語った。 「なぜ戦車の砲弾を家の中に撃ち込むのだろう?」そして私は私のそばにいた人に「なぜ戦車の砲弾を家の中に撃ち込んでいるのですか?」と聞いた。すると彼らは、「家を浄化するために壁を壊すのだ」と説明した。

通りの向こうから、ポラトは大きな爆発音を2回聞いた。戦車が家に砲弾を数発撃ち込んだのだ。家の外に横たわっていたのは、彼女の夫のタル、もう一人同じ名前のタルという男、そしてこの家の持ち主であるアディとハダス・ダガン夫妻だった。12歳の双子のリエルとヤナイ・ヘッツローニ、そして大叔母もいた。

粉塵が晴れたとき、ハダス・ダガンだけが生きて家から出てきた。

ヤスミン・ポラトによると、ダガンは後にこう言ったという。「ヤスミン、大きな音が2回鳴ったとき、私は宙を舞ったような気がした。完全に麻痺していた。目を開けると、私のアディ(・ダガン)が死んでいるのが見えた......あなたのタルもその時点で動かなくなった」。

ダガンは、戦車の砲弾がリエル・ヘッツローニを殺したことを確認した。彼女はポラトにリエルのことを言った。「彼女は叫び声を止めなかった......しかし、2発の砲弾が命中したとき、(リエルは)叫び声を止めた。静寂が訪れたのです」。

ポラトはこう締めくくった。「非常に大規模な事件、つまり2発の砲弾で幕を閉じた銃撃戦の後、ほとんどの人が死んだのです」。

ダガンはポラトに、人質の誰もハマスの戦闘員によって故意に殺されたのではないと強調した。「処刑も何もなかった。少なくとも、彼女と一緒にいた人たちがやったのではありません。」

10月15日の別のインタビューで、ポラトはパレスチナの武装勢力は「私たちを虐待していない。彼らは私たちをとても人道的に扱いました」、と断言した。

ダガン宅でのイスラエル軍とハマス軍のにらみ合いが、流血なしに解決できたかどうかはわからない。しかし、戦車で砲撃するというイスラエルの決断が、イスラエルの国際的な反ハマス・プロパガンダ・キャンペーンの目玉となった子供を含め、家の中にいたほとんど全員を殺す結果となったことは明らかである。イスラエル人が残したものは、「死体だらけの家」だけだった、とポラトは語った。


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ウクライナ、米国の「反攻」戦略を無視(ワシントンポスト紙)

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine ignored US ‘counteroffensive’ strategy – WaPo
米政府は早期の一点集中型の前進を望んでいたと報じられたが、キエフは同意しなかった
出典:RT 2023年12月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月9日


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ファイル写真:2023年6月、ロボティノ近郊でロシア軍によって破壊されたレオパード2戦車と数台のブラッドリー戦闘車両。©テレグラム/ロシア国防省


米国と英国の将校はキエフの春夏作戦の計画を支援し、要求されたすべての車両を提供したが、ウクライナは部隊を3つの方向に分割することを決定したと、月曜日(12月4日)に掲載されたワシントン・ポスト紙の特集記事は伝えている。

同紙の十数人の記者がウクライナ、米国、EUの「30人以上の高官」にインタビューしたが、名前を明かしたのはほんの一握りだった。同紙の結論は「楽観主義に生まれた反攻は、期待された攻撃を出すことができず、ワシントンとキエフの間に摩擦と後悔を引き起こした」というものだった。

報道によると、ドイツのヴィースバーデンにある米軍基地では、8種類の仮想演習が行われ、攻撃用の「実行可能で詳細な行動計画」が開発されたという。国防総省は4月中旬に攻撃を開始し、メリトポルまで車で移動してクリミアへの「陸橋」を切断することに集中することを望んでいた。

ある当局者によると、当時統合参謀本部議長を務めていたマーク・ミリー将軍は、「夜中に喉を切られるのではないかと考えずに眠りにつくロシア人はいないはずだ」と述べ、ロシアの後方にも破壊活動グループを送り込むようウクライナ側に助言したという。

NATO軍で武装した第47旅団は新設されたばかりで、隊員の70%が戦闘経験がなかったが、その先頭に立つことになった。

何事も計画どおりには進まなかった。

ワシントン・ポスト紙によると、ワシントンとキエフは「戦略、戦術、戦闘開始時期について、ときおり激しく意見が対立した。」という。ウクライナ指導部は、メリトポリへの集中攻撃の代わりに、ベルディャンスクとバクムート/アルチョモフスクの方向への攻撃を主張した。

キエフは当初、1,000台以上の装甲車を要求したが、ロイド・オースティン米国防長官はこれを「ほぼ不可能」と考えていた。最終的に彼らは1,500台を受け取った。しかし、一部の車両は「戦闘に適さない」と批判され、キャタピラーの欠落や整備不備などがウクライナ軍の責任とされた。

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関連記事:最終局面:ウクライナは敗北後、どのような表情を見せるのか。

米国は155ミリ砲弾を自前で生産できず、韓国から調達した。F-16戦闘機の要請は、費用の問題とロシアの防空に対する脆弱性のために拒否された。

米国はまた、ウクライナの9個旅団にNATOの戦闘方法を訓練し、装備させた。ウクライナと西側の情報に基づく模擬演習では、ウクライナの旅団は60~90日でアゾフ海に到達し、最大30~40%の死傷者が出ると予測された。

米軍高官は同紙に対し、「彼らが実行した計画は、私たちが計画した予定表で、彼らが持っていた力で完全に実現可能でした。」と語った。米政府高官は「彼らは約束されたものをすべて時間どおりに手に入れていた」と述べた。

4月中旬に予定されていた攻撃は、6月上旬にようやく「動き出した」。ウクライナ軍はすぐに地雷原で身動きが取れなくなり、ロシア軍の砲兵に襲われた。

「アメリカ軍のブラッドレー、ドイツ軍のレオパード戦車、地雷掃討車など、西側軍の燃え尽きた兵器が戦場に散乱していた。死傷者の数は士気を低下させた。」と同紙は指摘した。わずか4日後、ヴァレリー・ザルジニー将軍はアメリカの教義と計画を「捨て」、小規模な歩兵攻撃に切り替えた。

同紙によると、6月15日にブリュッセルのNATO本部で行われた会合は「苛立ちを伴った重いものだった」という。9月に解雇されるウクライナのアレクセイ・レズニコフ国防相は、米国が供給した地雷除去装置の50%以上がすでに破壊されたとオースティンに伝えた。

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関連記事:ウクライナ 「悪いニュースに備える」 =NATO事務総長

西側諸国は機甲機動が突破口を開くとことに頼っていたが、それは「うまくいかなかった」とウクライナの国防高官は述べた。もう1人の高官は、作戦計画の戦争執行手法を軽蔑し、ドローンやその他の技術を考慮していないことを指摘した。

「これらの方法はすべて...捨ててもいい」とこの高官は言った。「今はそうはいかないからです」 。

NATO軍で武装した第47旅団は2日以内にロボティノ村を占領する予定だった。しかし、それは8月28日までには達成されておらず、それ以来、前線のその部分から引き離され、東のアヴデーエフカの崩れつつある防衛を補強するためにそこに急行している。

「前線に沿ったほぼすべての攻撃目標地点で、期待と結果が分かれています。」と同紙は指摘し、ウクライナの士気は「低下」し、その原因は「状況の不安定さ」にあると述べた。ある英国当局者は、キエフが1991年の国境を取り戻すという目標を達成するには、それが可能だとしても「数年と多くの血が必要だ」と述べた。
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西側、代理戦争でウクライナが敗北状況にあることを認める

<記事原文 寺島先生推薦>
West Admits Ukraine is Losing Proxy War
筆者:ブライアン・バーレティック(Brian Berletic)
出典:New Eastern Outlook(NEO)  2023年11月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月9日


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ウクライナで進行中の紛争は、キエフと欧米に有利に展開していると2年近く描かれてきた。その後ウクライナは負けているだけでなく、この事実を変えるために西側の支援者にできることはほとんど何もないことを認める話が、突然、洪水のように西側の見出しを満たし始めた。

ウクライナの着実な勝利と不屈の闘志だと言われてきたものが、今やウクライナの壊滅的な損失(と実質的領土損失)、さらには部隊の士気の着実な崩壊に取って代わっている。ロシア軍は訓練も統率も不十分で、時代遅れの武器すら十分には装備しておらず、弾薬の備蓄量も減少していると言われてきたものが、今や、ロシアの軍需産業基盤がアメリカとヨーロッパを合わせた生産量を上回る一方で、西側諸国と同等の、あるいは西側諸国の能力を完全に凌駕する兵器システムを配備していることを認める話に取って代わっている。


ウクライナの破局的な損失

ウクライナの損失は、特に5カ月に及ぶ反転攻勢の失敗の今となっては、ほとんど隠しようがない。

ロンドン・テレグラフ紙は、今年8月に掲載した記事「ウクライナの軍隊は採用する人員も、勝利するための時間も不足している」で以下のことを認めている。

ウクライナでの戦争は今や消耗戦の様相を呈しており、モスクワにますます有利な条件で戦われている。キエフはこれまで、西側諸国の装備不足に見事に対処してきたが、人手不足-すでに直面しつつある―は致命的となるかもしれない。


同記事は次のようにも述べている。

あからさまだが単純な計算だ: キエフは人手不足なのだ。米国の情報筋によれば、ウクライナ軍は7万人もの戦死者を出し、さらに10万人が負傷したという。ロシアの死傷者の方が多いとはいえ、その比率はモスクワに有利である。兵の供給は一見無限にあるように見えながら、ウクライナは兵士の補充に苦労しているからだ。


この記事は、ウクライナの軍事作戦が継続不可能であることがほぼ確実であるという暗いイメージを描いている。

ウクライナ軍の戦死者7万人という主張は過小評価であり、「ロシア軍の死傷者はもっと多い」という主張は根拠がないだけでなく、西側諸国の他の情報源でも矛盾した報道がある。

米国政府に支援されたロシアの野党関係者が管理するメディアであるメディアゾナ(Mediazona)は、2022年2月以降、ロシア兵の死に関する公開情報を追跡していると言われている。

その数字を完全に検証することはできないが、ロシア国防省の数少ない発表では、ロシアの死傷者数は、メディアゾナの主張に比較的近いものだった。これに対して、ウクライナの総参謀本部が行う漫画のような荒唐無稽な主張は、しばしば西側の政府やメディアによって何の疑問も呈さず繰り返されている。

10月下旬、Business Insiderが掲載した最新の記事「ウクライナ政府高官、残存兵士が少ないため西側兵器を適切に使用できないと報告」は、ウクライナの損失とその結果生じる人員危機が悪化の一途をたどっていることを裏付けている。
記事はこう伝えている。

あるウクライナ政府関係者は、ウクライナ軍は人手不足に悩まされており、それで西側から供与された兵器が使用できなくなっていると語った、と『タイム』誌は報じている。戦争が始まって以来、何人かのウクライナ政府関係者は、ロシアの侵攻を撃退するのが難しいのは、同盟国からの供与ペースが遅いからだと非難している。
しかし、『タイム』誌の報道では、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近とされる無名の情報筋が、別の問題を強調している。「我々には供給された兵器を使う兵士がいない」、その側近は、西側の兵器についてこう語った。ウクライナは公的な数字を公表していないが、西側の推定では10万人以上の死傷者を出している。


兵員の不可逆的な損失に加えウクライナは、5カ月にわたる集中的な攻撃作戦にもかかわらず、また、ロシア軍指導部がロシアの目標はウクライナの軍隊を排除することであり、領土を奪うことではないと繰り返し述べているにもかかわらず、領土も失っている。

ニューヨーク・タイムズ紙は9月の記事「ウクライナで地歩を固めているのは誰か?今年はだれもいない」で以下のように述べている。

ウクライナの反転攻勢は、南部の広々とした野原を前進するのに苦労している。ロシアが昨冬、ウクライナの車両を減速させ、標的にされやすい位置に追い込むために築いた、広範囲に及ぶ地雷原と、何百マイルにも及ぶ要塞(塹壕、対戦車溝、コンクリート製の障害物)にウクライナ軍は直面しているのだ。両陣営の戦利を合計すると、ロシアがウクライナで支配している領土は、今年の初めと比べて200平方マイル近く増えたことになる。


ウクライナは、人員の急減と領土の実質的損失に加え、装備品の損失にも苦しんでいる。西側の軍需産業がこれらの損失を補うことができないという事実が、資材の損失をさらに大きくしている。


軍需産業生産:西側は枯渇、ロシアは拡大

昨年、西側の政治家や西側のメディアは、西側の優れた軍備が、時代遅れと思われ、その数も減少しているロシアの兵器システムを簡単に一掃するだろうという考えを宣伝した。今年6月上旬にロンドン・テレグラフ紙が掲載したひとつ記事のタイトルは、「英国製戦車がプーチンの徴兵された兵士を一掃しようとしている」であった。

これほど事実からかけ離れたものはない。

それどころか、ロシアの軍事装備は、西側の兵器システムより優れているとは言わないまでも、その能力が証明されており、ロシアの巨大な軍需産業基盤とともに、西側が訓練し装備したウクライナ軍を数でも戦闘能力でも勝っている。

このことは、ニューヨーク・タイムズ紙が9月に報じた記事「ロシア、制裁を乗り越えてミサイル生産を拡大、政府関係者が語る」でも認められている。

ロシアは現在、アメリカやヨーロッパよりも多くの弾薬を生産している。エス トニア国防省の高官であるクスティ・サルム(Kusti Salm)は、ロシアの現在の弾薬生産量は西側諸国の7倍に上ると推定している。


この記事は、ロシアが戦車生産を倍増させ、ミサイル生産を増加させ、少なくとも年間200万発もの砲弾を生産していることを認めている。これは欧米が現在生産している量を上回っている。これは、もし欧米が2025年から2027年にかけての増産目標を達成した時の生産量を上回る量だ。

エコノミスト誌が最近掲載した「ロシアは電子戦における優位性を数え上げ始めている」と題する記事では、ロシアが「NATOの高度にネットワーク化されたシステムに対抗するための、広範囲にわたるEW(電子戦)の素晴らしい能力を開発した」と認めている。ロシアのEW能力が、GPS誘導エクスカリバー155mm砲弾やJDAM誘導爆弾、HIMARS発射GPS誘導ロケットなど、NATOがウクライナに提供した精密誘導兵器をいかに無力化したかを説明している。

この記事はまた、ロシアのEW能力がウクライナの無人機(週ごとに数千の無人機が失われている)に与える影響についても論じている。ロシアのEW能力は、ウクライナが戦場で誘導兵器やドローンを使用する能力を混乱させるが、ロシアはウクライナの少なくとも2倍のドローンを生産することができ、ロシアに量的・質的優位性を与えていることを同記事は認めている。

ウクライナにNATOが提供するF-16戦闘機を装備するという話には誇大広告が多いが、より冷静な西側のアナリストたちは、ロシアの広大で成長しつつある航空宇宙戦力と優れた統合防空システムとの間にあって、NATOが提供するF-16は、ウクライナが特別軍事作戦の期間中に保有し、失ったソ連時代の航空機よりも良い結果をもたらすことはないだろう、と徐々に認めている。

ウクライナに何年も送られた「ゲームチェンジャー」たちは、ロシアの軍事力を上回ることはおろか、それに匹敵することもできないと証明されただけで、実際にゲームは変更されたことが明らかになった―ロシアにとって有利になるように。つまり、ロシアの膨大な軍事産業生産、安価で効果的な兵器システムに基づいた軍事原則、そして最も重要なことは、同等またはそれに近い敵対国と戦い勝利するために構築された軍事原則が有利になるようにゲームは変わったのである。

これは、何十年もの間、世界中の発展途上国や破綻国家を不釣り合いな軍事力で押し倒すために軍備を整えてきた西側諸国とは対照的で、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争に「勝利」するために米国とその同盟国が何年も前から整えておく必要があったはずの技術的、産業的、戦略的能力を、彼らは萎縮させていたのだ。

戦場における質と量の面でロシアが優位に立っていることを認めるに至った上での「解決策」は、「生産量を増やし」、ロシアの能力に関する「データを収集」して、「それに対する対抗策を開発する」ことである。しかし、こんなことは結果を得るまでに何年もかかる。その間にもロシアはこの質的・量的優位を維持するために能力を拡大し続ける。

そして、このプロセスが展開され続ける一方で、アメリカはロシアよりもさらに大きな産業基盤を持つ中国との同様の対立を同時に模索し続ける。

西側メディアが最近、ロシアの実際の軍事力について認めているように、ワシントンとブリュッセルの長年にわたるロシア国境侵犯政策によってロシアとの紛争を引き起こすずっと前に、ロシアとの実際の軍事力が示されていれば、どれだけの命が救われたことだろう。同じように、もし西側諸国が、中国を侵略し挑発しようとして引き起こされている無意味な紛争で再び過ちを繰り返す前に、現在の過ちから学べば、まだどれだけの命が救われるのだろうか。


ブライアン・バーレティックはバンコクを拠点とする地政学研究者で、特にオンラインマガジン「New Eastern Outlook」の筆者である。
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