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アメリカ帝国の崩壊、今まさに進行中

<記事原文 寺島先生推薦>
AMERICAN EMPIRE IS COLLAPSING IN REAL TIME
筆者:クリス・カンサン(Chris Kanthan)
出典:「ワールド・アフェアーズ」ブログ(world affairs.blog)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月29日


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米国は、数十年にわたって放置されてきた無数の制度的問題に苦しんでいる。これらの風土病的危機のいくつかは、現在では敷物の下に掃き隠すことが難しく、また爆発的で解決困難な問題もすぐそばまで迫ってきている。衝撃的な事実は、この病気が社会の多くの分野―政治、経済、生活基盤施設、医療、外交政策、さらには個人レベルにまでも転移しているということだ。このひどく破壊された国を支えている唯一の接着剤は、米ドルが優先的な世界通貨としての地位にあることだが、それは、多極世界の台頭もあって、暗い未来に直面している。

驚くべきことに、米国では誰もこの自然落下について、その解決策を議論することはおろか、それを認めたり、考えてたりするつもりさえない。その代わりに、人々は非難ゲームに参加する。「民主党のせいだ」 ... 「共和党のせいだ」 ... 「その都市や州のせいだ」 ... 「政府のせいだ」 ... 「企業のせいだ」 ... 「個人のせいだ」 ... 「白人、黒人、メキシコ人、中国のせいだ」 ...といった調子だ。その結果はどうだ? 癌は広がり続け、米国は崩壊しつつあるローマ帝国の末期のように見える。


生活基盤施設

最近ソーシャルメディアで話題になった衝撃的なビデオ映像を紹介しよう。オハイオ州とインディアナ州を結ぶ歪んだ「くにゃくにゃ」線路で、貨物列車が悪戦苦闘している様子が映っている。

グニャグニャ線路
動画(訳註:原サイトでご覧下さい。)
出典:YouTubeビデオ。そして、その4年後の2021年には、同じ線路がYouTubeの動画に。


もちろん、最近の列車事故やオハイオ州での壊滅的な有毒化学物質の漏洩と火災は、このようなインフラ問題がなぜ深刻なのかを思い出させる良いきっかけになるはずだ。流出した化学物質は、非常に危険で発がん性のある塩化ビニルだった。伝えられるところによると、政府関係者と鉄道会社ノーフォーク・サザンの所有者は、後始末に対処するのではなく、単に火をつけることにした。ちなみに、ノーフォーク・サザンは昨年、自社株買いに100億ドルも費やしている! だから、米国の問題として、崩壊しつつあるインフラに、腐敗と企業の貪欲さも加えよう。

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全体として、米国では毎年約1500件の列車事故が発生しており、そのうち1000件以上が脱線している。「貨物鉄道は民間企業の経営だから」という言い訳はいくらでもできるが、誰も問題を解決できない。

これは列車事故の短いライブビデオだ!

脱線列車
動画(訳註:原サイトでご覧下さい。)

電車だけではない。世界で最も豊かな国と言われているアメリカでは、橋、道路、ダム、堤防がすべて崩壊している! アメリカのインフラは主に第二次世界大戦後に構築されたもので、当時のアメリカの政治家は比較的賢く、アメリカのエリートはそれほど寄生的ではなかった。

米国には45,000の構造欠陥橋がある! 起こるのが確実な災害。下の写真は崩れかけた橋の上を走る列車。

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米国では毎日、有害な化学物質の流出、倉庫や工場の火災、大規模な爆発など、悲惨な事故が発生している。アメリカは高齢化し、崩壊しつつある帝国で、庶民とはかけ離れた腐敗したエリートたちによって運営されている。

しかし、それは生活基盤施設に留まらない。アメリカ中の都市や小さな町が崩壊している。デトロイト (下の写真) のように、過去数十年間で人口の60%以上が減少し、「ゴーストシティ」と化した都市は数多くある。そして、アメリカ中の何千もの小さな町は、アメリカが 「偉大」だった1950年に戻ったように見える。そして、犯罪、麻薬、暴力、貧困、腐敗に満ちた陰鬱な都心がアメリカ中に存在する。

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沿岸部の都市を除いて、アメリカ内陸部の大部分は殺風景な様相を呈している。アメリカの脱工業化のおかげで、小さな町には実体経済も雇用もない。希望も変化もない。

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ホームレス、薬物中毒、絶望死

アメリカの脱工業化と略奪的な金融資本主義のおかげで、国民の下半分は低賃金の仕事に追われ、働いていても貧困のままであり、貯金もない。したがって、ホームレスや薬物中毒が増加していることは驚くに値しない。毎年、なんと10万人以上のアメリカ人が薬物の過剰摂取で死んでいる! そして、その数は過去20年間で5倍に増加している。あるいは、死者数はベトナム戦争全体の2倍になる。一部の社会学者は、このアメリカ特有の現象を「絶望の死」と呼んでいる。

次に、米国での違法薬物使用の統計をいくつか紹介する。100万人―ヘロイン、200万人―メタンフェタミン、1000万人―オピオイドの処方箋(!)、4000万人―コカイン。

サンフランシスコ、ニューヨーク、シアトル、ボストン、ポートランド、フィラデルフィア、ニューオーリンズなど、アメリカ各地のホームレスや薬物中毒者の写真を見てみよう。

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動画(訳註:原サイトでご覧下さい。)

アメリカはいろいろな意味で失敗した社会だ。それは経済の衰退、低賃金、搾取の兆候だ。それはまた、1960年代に始まった快楽主義、麻薬文化、極端なフェミニズムから始まった終わりのない社会的思想操作のおかげで、崩壊した家族の兆候でもある。これは、違法薬物を排除する能力のない機能不全の法執行機関か、あるいはさらに悪いことに、アメリカのエリートたちが社会に意図的に薬物を送り込んで弱者を排除し、おそらくCIAが何十年も行なってきたように、薬物取引から利益を得ているかのどちらかの兆候である。


失業、識字、健康、犯罪

アメリカ政府は雇用に関する偽の統計を発表しているが、この衝撃的な統計を考えてみてほしい。失業して仕事を探している壮年期のアメリカ人男性1人に対して、失業しているが仕事を探していない壮年期のアメリカ人男性が4人いる! これらは大恐慌以来最悪の統計だ。

ここで重要なのは、人々が仕事を探していないときは、失業統計に含まれないということだ。したがって、失業者の4/5 (80%) を無視すると、米国は、書類上は素晴らしい国に見える。この方法論がいかに馬鹿げているかを示すために、誰も働かず、誰も仕事を探さなかったらどうなるかを考えてみるとよい。バイデンはまだ「失業率は0%だ!」と言えるのだ。

しかし、これほど愚かな人がいるのに、どうしてアメリカ人は良い仕事に就けるのでしょうか? 意地悪を言って申し訳ないが、成人の半数以上が6年生以下の読み書きしかできないのに、どうして「最高の国」だと誇れるのだろうか。そう、1億3000万人のアメリカ人成人が「機能的非識字*」なのだ。
*会話や簡単な読み書きに関しては問題なく行うことができ、日常生活において登場する一定水準以上の文字・文章に対する適切な発音・音読もできるが、その内容を期待される水準まで正しく理解することができない。結果として、契約書の理解や、書籍・新聞記事の読解が完全にできておらず、社会や政治への参加に支障をきたすことがある。(ウィキペディア参照)

健康に関して言えば、アメリカは肉体的にも精神的にも非常に病んでいる国だ。人口の75%が深刻な体重の問題を抱えており、肥満 (43%)または過体重 (32%)である。

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もちろん、40年前のアメリカはこんな風ではなかった。肥満率が急上昇している。だから、医師は「病的肥満」という新しい言葉を発明しなければならなかった。

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米国は精神疾患大国でもあり、抗うつ薬や向精神薬の使用率が最も高く、合法でありながら乱用されている。10代、10代前半、幼児を含む何千万人もの人々が、脳に作用する巨大製薬会社の薬を服用している。

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なぜこんなことになるのか? 真実はこうだ。「自由」が原因なのではない。それは、巨大製薬会社が売り込んだニセ科学と、エリートたちがアメリカ人に解き放った社会的情報操作の組み合わせのせいだ。

しかし、アメリカ人は何が起こったのか理解できるほど賢くはない。アメリカのエリートたちは、「地球温暖化」や「ロシアの侵略」、「中国の脅威」についての偽の脅威を誇示しながら、自国民を殺害している。それはTikTokや気象観測気球の脅威と同類だ。

アメリカ人は彼らの略奪システムにだまされている。食品会社は、肥満、糖尿病、がん、多くの慢性疾患を引き起こす有毒な食品を販売している。その後、巨大製薬会社は、決して病気を治さない高価な薬を販売し、患者を生涯の消費者に変える。そして健康保険会社は病人が早く死ぬことを願っている。

巨大食品製造メーカー、巨大製薬会社、巨大保険会社が、ブラックロック、フィデリティ、バンガードのような同じ金融支配者によって所有されていることを、アメリカ人は気づいていない。

米国も暴力社会になった。銃乱射事件から日常の暴力まで、人々は人間性を失っている。ソーシャルメディアには、安全であるはずの場所で、アメリカ人同士が暴力を振るう動画が無数に投稿されている。学校、大学、ショッピングモール、レストラン、さらには空港でまでも起こっているのだ。凶悪な国。そして、数十年にわたるフェミニズムと「平等」のおかげで、今では少女や女性も狂った動物のように行動している。

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動画(原サイトでご覧ください。)

そして、人々が店に入って、何気なく棚から物を手に取り、立ち去ることが何度もある。そして、それは貧しい地域だけではない。(裕福な人が多い)パロアルト*のApple Storeでも、店内が混雑していた昼間に強盗が入った。そして、泥棒たちは銃やナイフを使う必要さえなかった。泥棒たちは、中に入って大声を出し、iPhoneやiPadを手に取り、逃げるだけだった。狂った社会の様相を呈している!
*カリフォルニア州の都市で、シリコンバレーの北部端にあり、スタンフォード大学やハイテク企業の本拠地(ウィキペディア)


負債の山、「ドル覇権」の終焉

このような問題があるにもかかわらず、アメリカはなぜか見栄を張り、「地球上で最も偉大な国」とか「例外的な国」という馬鹿げたスローガンを口にする。このような虚勢を張ることができるのは、米ドルが貿易と準備のための世界の優先通貨としての独特で不公平な地位にあるからだ。他の国々、特に発展途上国は、商品、商品、サービスを米ドル(または、時にはユーロ)でしか購入できないため、米国のなすがままになっている。彼らは米ドルを稼ぐために一生懸命働くか、天然資源を安売りしなければならない。そして、中東のような属国は、文字どおり米国に占領されており、石油輸出から米ドルを「リサイクル」することを余儀なくされている。リサイクルとは、米国債(債券)や米国製兵器などの購入を通じて、利益を米国市場に投資することを意味する。

そして、各国が米国に従わない場合、米国の制裁に直面することになるが、これも本質的には世界的な制裁を意味する。つまり、米国は世界に対して「キューバ、北朝鮮、イラン、ベネズエラなどとの貿易はできない。もしそんなことをしたら、米ドルは取得できなくなるぞ」と言っているのだ。例えば、米国は昨年、ロシアのウクライナ進攻後に約3000億ドル(42兆円)のロシア準備金を盗んでいる。

しかし、このマフィアのような計画は終わりに近づいている。何事も永遠には続かない。ポルトガル人、スペイン人、オランダ人、フランス人、イギリス人に、自国の通貨が世界的な地位を獲得した素晴らしい時代について聞いてみるとよい。

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世界準備通貨の歴史:1400年から現在まで

ドルの覇権はズタズタに切られる死に直面している。多くの国がドルから切り離す方法を模索している。これは世界的な革命なので、アメリカがそれを潰すのは簡単ではない。サダム・フセインがユーロで石油を売り始めたとき、彼はすぐに排除された。カダフィが金(きん)を裏付けとするアフリカ通貨の計画を発表したとき、リビアは徹底的に破壊された。

しかし、新たな脱ドル化の取り組みは、ロシア、中国、BRICSなどが主導する世界的な現象だ。電子商取引、テクノロジー、中国の台頭のおかげで、貿易と金融は民主化されつつある。

・人民元(ユアン)の国際化は多くの人が思っている以上に急速に進んでいる。
・昨年は1兆ドル以上が人民元で決済された。中国の貿易の実に15%が人民元ベースで脱ドルになった。オーストラリアやブラジルの鉄鉱石会社でさえ、支払いとして人民元を受け入れている。
・中央銀行幹部の85%が人民元をすでに保有しているか、保有に関心があると答えた。
・数日前、イラクは民間企業が中国製品を輸入し、人民元で支払うことができると発表した!
ロシアの貿易は現在、米ドルをほとんど使用していない。ロシアの輸出はほぼ一定であることを考えてほしい。米国とEUの力では、ロシアを国際的な孤立国にすることはできなかった。
・他の2大石油大国であるイランとベネズエラも、人民元で石油を売っている。
・70カ国以上が2兆円のFOREXポートフォリオ(金融資産)を保有している。
・BRICS連合は、サウジアラビア、UAE、イランを含むように拡大する準備ができている。ロシアを含め、BRICSは石油大国となり、石油元売りへの道を開くだろう。さよなら石油(ペトロ)ドル。また、商品に裏付けられた通貨を作るという話もある。
・米国の同盟国であるインドでさえ、非ドル決済でロシアとUAEから石油を購入している。

二ヶ月前(2022年12月)に習近平がサウジアラビアを訪問したとき、20人のアラブの指導者が彼と会うために飛んできた。なぜ? 中国は最大の顧客であるだけでなく、未来でもあるからだ。そこで習主席は、2025年から人民元で石油を売ることができると伝えた。

これが石油人民元(ペトロユアン)の誕生だ!

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石油人民元の誕生

世界はドルの独占と覇権に終止符を打とうとしている。興味深いことに、米国はドルを武器にすることで自らの終焉を加速させているのだ。

また、多くの国が通貨スワップ協定を利用して現地通貨での取引を開始している。食料は石油、医薬品は天然ガスといった物々交換システムもある。アラブやアフリカの一部の国は、生活基盤施設の建設と引き換えに中国に石油を売っている!

欧米の金融専門家は、中国の人民元は自由変動通貨ではないため、ドルに取って代わることはできないと叫んでいる。これらの愚か者に欠けているのは、中国人民元は世界貿易通貨でありながら、準備通貨ではないということだ。いったいどうするのか? 中国は人民元とドルの組み合わせで輸入代金を支払い、輸出国は人民元を使って中国製品を買う、ということだ! このシナリオでは、人民元は中国に戻ってきて、相手国は余分な人民元を保持する必要はない。下の図を見てほしい。

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上の例では、取引におけるドルの使用量は2/3減少している。これは米ドルの価値と米国の地政学的影響力に大きな影響を与えるだろう。

米ドルが覇権を失うとどうなるか? アメリカ人にとって悪いニュースがある。

・米ドルの価値が下がる
・インフレが起こり輸入品の価格が上昇する
・金利と住宅ローン金利が上昇する
・米政府はこれまでのように何兆ドルもの借金をすることはできず、緊縮政策を取ることになる。

ドル安を増幅させるもう一つの要因がある。債務だ。すでに32兆ドルに達しており、これは米国のGDPの120%、インドのGDPの10倍に相当する。そして、借金には利息の支払いがある。2023年には、米国の債務に対する年間利子支払額は8000億ドルを超えるだろう。

政府に債務返済のための資金がなければ、ドルを印刷するか、増税して支出を削減する必要がある。1つ目は、通貨切り下げとインフレにつながる。2番目の2つの選択は、大規模な市民/政治的不安につながるだろう。これは、反応反作用(フィードバック)による結果増幅(ループ)で起きる危機の加速度的激化(スパイラル)だ。


アメリカ帝国の末期(まつご)

ドルが弱くなり、ますます意味をなさなくなれば、アメリカの影響力は世界的に縮小するだろう。まず、米国は海外の軍事基地の多くを閉鎖したり、軍事費を削減したりせざるを得なくなる。米国の制裁の脅威がなければ、イラン、ロシア、北朝鮮、ベネズエラのような米国のかつての敵は繁栄するだろう。そして、彼らも復讐をしようとする。おそらく、海外の米軍は攻撃を受けるだろう。もしかしたらアメリカ企業への制裁があるかもしれない。想像してみてほしい。スタンダード・アンド・プアーズ社*発表の500社株価平均の半分は海外から出ているのだ。
*Standard & Poor's Corporation。アメリカの金融情報サービス会社。証券格付、投資顧問を行う。(英辞郎)

国内では厳しい緊縮財政が行われ、政府支出の削減につながる。社会保障、フードスタンプのような福祉プログラム、医療扶助、インフラ支出などは、厳しい削減に直面するだろう。今のアメリカで犯罪や暴力が悪いと思っている人は、まだ何も見えていない。

アメリカが問題を解決できるわけがない。アメリカ帝国にとって唯一の希望は、他の国々、特にヨーロッパ、ロシア、中国——世界の他の3大大国——を倒すことだからだ。これが、アメリカが決死の覚悟でウクライナ戦争を始めた理由だ。しかし、なかなかうまくいかない。米国は、米国と欧州という「国際社会」が北朝鮮と同じようにロシアに制裁を加えれば、ロシア経済が崩壊すると考えた。西側諸国は非常に失望したが、国民の80%以上が住んでいるグローバル・サウスは、もはやアメリカの独断専行を気にしていないことに気づくことになった。

アメリカはタリバンに勝てなかったし、ロシアにも勝てないだろう。ウクライナでの不必要な戦争は、アメリカの無力さを示しているだけだ。米国は腰が引けていて、ロシアと1対1の戦争を始めたり、ウクライナに強力なミサイルを供給したりすることはとてもできない。それ以上に不吉なのは、アメリカの製造能力があまりにも空洞化しており、ウクライナが必要とする基本的な弾薬を供給できないという事実である。

もう1つの地政学的競争相手である中国については、米国は中国を跪(ひざまづ)かせようとする「ターニャ・ハーディング戦略」しか持っていない。米国の対中メッセージも機能不全に陥っている。月曜日、アメリカは中国が崩壊すると喜びの声を上げ、ピーター・ザイハンのような人々がコピウム*を広めている。火曜日、アメリカは中国がアメリカの覇権と世界にとって最大の脅威であると叫んでいる。水曜日、米国は、中国は安価でローテクで低品質の製品しか作れないと主張している。木曜日、アメリカは中国のテック企業532社に制裁を科す。これは紛れもなく、純粋な精神異常と統合失調症だ。
*「cope(対処)」と「opium(阿片)」を組み合わせた造語。失敗を乗り切るために一種の「対処薬」や「アヘン」に頼っていることを示唆する言葉

アメリカには解決策がない。映画「イディアクラシー」*のような社会だが、深く二極化して暴力的な社会でもある。政治家は腐敗していて愚かで、当然のことながら、略奪的で不正な金融資本主義は大衆から血を吸うことによって生き残る。隠れた支配層は、制御不能の不安定(バブル)な集団思考から抜け出せず、いまだに世界支配を夢想している。
*2006年、米国映画。賢い者が子作りを控える一方で、知能の低い人間が野放図に子供を作り続けた結果、平均IQが低下し堕落した社会を描いた作品。(ウィキペディア参照)

しかし、現実には、協力、接続性、健全な競争が成長と繁栄の鍵となる多極化の世界に突入している。

アメリカ帝国は崩壊するだろうが、国家としてのアメリカがすぐに崩壊するとは思わない。しかし、今後10年間、このゾンビ国家は多くの悲惨さと混乱に見舞われることになるだろう。
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1990年代ロシアの惨状を振り返えってみよう―国民がなぜ西側に不信感を持ち、プーチンを支持するかがわかる

<記事原文 寺島先生推薦>
WHY THE US-RUSSIA RELATIONSHIP WENT SOUR AFTER THE 1990S
原題:1990年代以降に米国とロシアの関係が悪化したのはなぜか。
筆者: クリス・カンサン(Chris Kanthan)
出典:World Affairs
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月26日


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1992年、ソビエト連邦崩壊後、ロシア全体がウォール街とIMFの手に委ねられた。結局のところ、共産主義は失敗し、資本主義を受け入れる時が来たのだ!これらの専門家たちは、自由市場と民営化の原則を使って奇跡を起こし、すべての人を豊かにするはずだった。


経済テロリズム

現実には、民営化は海賊行為となった。

それは、1970年代にミルトン・フリードマンと彼のシカゴ・ボーイたちがチリに与えたショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)と同じだった。2009年以降、同じ手法の少し異なるバージョンがギリシャで使われている。
グローバリストが導入した「改革」の最初の年である1992年、ロシアのインフレ率は2500%にまで急上昇した。これは二重の打撃を与えた。ひとつは、食料品などの価格が25倍になったこと! 第二に、年金生活者の貯蓄が消えてしまったこと。10万ルーブルの貯蓄があった人の貯蓄が4000ルーブルになったのだ。

この経済テロの責任者はハーバード・マフィアである、ラリー・サマーズ(後のアメリカ財務長官)、ジェフリー・サックス、デビッド・リプトンなどである。つまり、縁故資本主義、ハイパーインフレ、債務の罠、緊縮財政によって経済を破壊するというテロだった。縁故資本主義の戦略とは、ロシアの莫大な天然資源と国営企業を一握りのオリガルヒ(寡頭政治支配者)に分け与えることであり、オリガルヒはその所有権の大部分を西側のエリートたちに小銭(手数料と言えるだろう)で売却した。


アメリカがロシアの政治を支配

アメリカはロシアの政治も支配していた。2期務めたボリス・エリツィン大統領を含むロシアの指導者たちは、アメリカのエリートたちの手によって選ばれた。以下はその証拠である:

1. 米国がいかに不正選挙を行い、エリツィンの大統領当選を手助けしたかを自慢する米国メディアの見出し。 1996年の『タイム』誌の表紙は、誇らしげに「ヤンクス・トゥ・ザ・レスキュー(アメリカ人が救助に」」と自慢している!中には、「ボリス(エリツィン)を救出する」と題された記事があり、アメリカの助言者、選挙運動運営者、世論調査担当者たちが、いかにエリツィンのロシア大統領選勝利に貢献したかが詳細に書かれていた。もちろん、アメリカがエリツィンを欲しがった理由は、彼がバカでアル中だったからであり、彼の内閣のほとんどはアメリカの操り人形で埋め尽くされていたからだ。

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[酔っ払いで、裏切り者で、操り人形のエリツィン]

2. ビル・クリントンがトニー・ブレアと交わした会話は、「いかにアメリカが、ロシアの議会を支配し、首相を選ぶことができたか」を示している。クリントンは、「まずやらなければならないのは、チェルノムイジンを(ロシア首相として)承認させることだ。私は向こうで何ができるか考え、ロシア議会に影響を与えるために必死に働くつもりだ!」と述べた。

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エリツィン ー アメリカの役に立つバカ

エリツィンは1期目、悲惨な経済「改革」の後、ロシア議会から弾劾され、大統領を解任された。その仕返しとして、彼は軍を投入し、国会議事堂を戦車で攻撃した! 西側メディアの反応は? 賞賛だけだった!これがアメリカによる民主主義の広め方だったのだ。

そして1996年、エリツィンが再選を目指していたとき、ビル・クリントンはIMFから100億ドルの融資を手早く手配し、さらに選挙直前にモスクワを訪問してエリツィンを大きく後押しした。

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[エリツィを応援するクリントン]


ロシアの大恐慌

エリツィン時代を通じて、アメリカの専門家たちはロシア経済を破壊し続けた。狂気の沙汰というべきか、アメリカの専門家たちによって行われた「自由化」プログラムは、4年もの長きにわたって、月50%(年2000%以上)ものハイパーインフレを引き起こした。

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[ロシアのインフレ率]

アメリカの指導の下、何千ものロシアの工場が閉鎖された。ロシアの石油・ガス生産量でさえ、ソ連時代と比較して半減した。ロシアの購買力平価GDPはエリツィン時代に40%減少し、経済危機は1930年代のアメリカの大恐慌よりも深刻だった。

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[1989年から1999年のロシアのGDP(購買率平価))GDP]

この偽の経済危機を解決するために、アメリカのハゲタカ資本家たちは、政府支出を削減し、労働者を解雇し、増税するという、より非論理的で残酷な助言をした。この新自由主義的な「解決策」は、予想どおり、ほとんどのロシア人にとってさらなる不幸をもたらすだけだった。

1990年代には、ロシア人労働者の40%が何カ月も給料を受け取れなかったり、まったく支払われなかったりすることがしばしばあり、ロシア人の1/3近くが1日4ドル以下の収入しか得られなかった。200万人のロシアの子どもたちが実質的に孤児となり、男性の自殺率は急上昇し、男性の平均寿命は58歳まで低下した。1991年から1999年の間に、ロシアの人口は800万人減少した。

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[1990年代、ロシアの見捨てられた子どもたち]


見捨てられたロシアの子どもたち

共産主義者がなし得なかったことを......ウォール街の聡明な頭脳が成し遂げた。1998年、ロシアは債務不履行に陥り、銀行金利は120%に達し、株式市場は暴落した。(債務不履行そのものがでたらめだったのは、その額が400億ドル程度に過ぎなかったからで、ロシアが保有する数兆ドルの天然資源に比べれば大したことはない)。その後、ルーブルの価値を「守る」ために、ウォール街の助言者はロシアに外貨準備と金準備をすべて売却するよう強要した。しかしすべての外貨準備がなくなっても、ルーブルは80%下落した。


戦争をせずにロシアの軍隊を破壊する

グローバリストたちが破壊しようとしたのは経済だけではなかった。ロシアの戦闘機や戦車は燃料不足で稼働できず、レーダーは電気がないため作動せず、ロシア兵はタクシーを運転したり、モスクワの路上で物乞いをしたりしていた。

そして国家的プライドに打撃を与えたのは、ロシアがチェチェンのイスラムテロリストとの戦争に敗れたことだ。あまり理解されていないのは、これらのテロリスト集団がアフガニスタンのムジャヒディンの複製品だったという事実だ。そしてこれらのテロリスト集団は、サウジアラビアの資金とCIAの武器と訓練を使っていたのだ。このように、アメリカの経済学者がロシア経済を破壊している間、アメリカの外交政策はロシアを地理的に解体することに取り組んでいた。

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[チェチェンのちらしの言葉]

それから、NATOに関する裏切りもあった。1990年、アメリカはソ連が解体してもNATOは「一歩も東へ」拡大しないと「鉄壁の保証」をした。しかし1996年になると、アメリカはNATOの拡大を提案し始めた。1999年、ポーランド、チェコ、ハンガリーがNATOに吸収された。その数ヵ月後、NATOは1999年にセルビア/ユーゴスラビアを空爆した。セルビアはロシアの強固な同盟国だった。

基本的に、国際的な銀行家たちは、傷ついた熊を襲うハゲタカのようにロシアを攻撃した。彼らの目的は、ロシアの経済、社会、軍事、そして地理的な国家そのものを破壊することだった。もしこうした金の亡者たちを阻止できていなければ、ロシアは今頃、機能不全に陥った多数の無力な地域に崩壊していただろう。


プーチンの登場

殺伐とした1998年は、ウラジーミル・プーチンがロシアの情報機関であるFSB(連邦保安局)のトップに就任した年でもあった。翌年、プーチンはボリス・エリツィンによってロシアの首相に抜擢された。数ヵ月後の1999年12月31日、エリツィンは突然辞任し、プーチンを大統領代行とした。

プーチンは、西側諸国の評判の良い経済学者、銀行家、ハゲタカ資本家を信用するとどうなるかを目の当たりにしていた。彼は(裏切り者の)ロシア人オリガルヒと戦い、彼らを次々と刑務所に送った。幸運な者は国外に逃亡した。 ボリス・ベルゾフスキーはイギリスへ、ウラジーミル・グシンスキーはギリシャへ、イーゴリ・ガイダルはアイルランドへ、ミハイル・ホドルコフスキーはスイスへ、といった具合だ。

その後、プーチンはゆっくりと、しかし着実にすべてを変えていった

だからロシアは西側諸国に不信感を抱き、プーチンはロシアで人気があるのだ。

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[プーチン15年の功績]
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ウクライナの男女国民の多数が、ウクライナ軍に徴集されるくらいなら市民権を放棄する、と答えた

<記事原文 寺島先生推薦>Ukrainians tell MP they would give up citizenship to avoid conscription
Facebook上の調査では、男性の約74%、女性の65%がパスポートを引き渡すほうを選択する、と回答
出典:RT  2023年12月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月26日



ファイル写真:マリアナ・ベズグラヤ国家安全保障、防衛、情報に関する議会委員会副委員長© Attila Husejnow / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


 有力議員によるフェイスブックの世論調査に回答したウクライナ人の大多数は、徴兵を避けるためなら市民権を放棄する用意がある、と答えた。

 ウラジミール・ゼレンスキー大統領の与党に所属するマリアナ・ベズグラヤ国会議員は、月曜日(12月18日)の一連のフェイスブック投稿で、当初、軍需産業の「後方陣地」への強制動員の可能性を避けるため、ウクライナのパスポートを放棄するかどうか女性フォロワーに尋ねた。同議員は現在、女性が最前線での戦闘に従事することは問題外であると強調したが、3800人以上の回答者のうち約65%が、危険を冒すより市民権を放棄するほうを選ぶ、と回答した。

 その質問に続く2つの追跡調査で同議員が尋ねたのは、女性が将来の動員の可能性のために軍当局に登録することを少なくとも検討するか?というものであった。女性が登録するかわりの条件として、1つ目の質問の条件は、男性のために国境を再び開放するという条件で、2つ目の質問の条件は、すでに2年間勤務した人々の動員を解除するという条件だった。しかし、この2つの質問に同意した回答者はそれぞれ17%と22%に過ぎなかった。


関連記事:Ukraine could conscript women – MP

 月曜日(12月18日)におこなわれた最後の「実験調査」で、ベズグラヤ議員は男性たちに、「動員されないようにするために、ウクライナ国籍を放棄する気はあるか?」という質問を出したが、この問には4300人以上の利用者が参加し、うち73%が危険を冒すよりもウクライナのパスポートの保持を諦める方を選ぶ、と答えた。

 ベズグラヤ議員は現在、国家安全保障・国防・情報に関する議会委員会の副委員長を務めており、2022年5月にウクライナ将校が服従しない兵士を裁判なしで処刑することを認める法案を提案したことでよく知られている。

 今月初め、同議員は国際ボランティアデーを記念して、すでに軍に登録しているすべての人に感謝の意を表したが、より多くの入隊を要求し、女性にも隊列に加わるよう促した。35歳の彼女は、ウクライナ政府がドンバス住民に対して「対テロ作戦」を展開していた2015年に、自身も軍事訓練を受けたと主張した。

 ウクライナ政府は夏の反撃があまり効果的ではなかったことを受けて、さらに兵力を増員しようとしているが、ロシア国防省の試算によれば、ウクライナは12万5000人以上の兵力を失ったという。

 ゼレンスキー大統領は先月、徴兵制度改革に向けた「包括的な提案」を出すことを約束したが、まだその発表はされていない。ロシア情報機関によると、ウクライナを支援している西側諸国は徴兵対象を十代の若者や高齢の男性、女性にも拡大するよう要求している。
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ビデオ: ビル・ゲイツの支援で世界保健機関(WHO)は10年間のパンデミックを計画(2020-2030年)

<記事原文 寺島先生推薦>
Video: Supported by Bill Gates, The WHO Plans to Have 10 Years of Pandemics (2020-2030)
「パンデミックが目的を持って計画された証拠」
新結成「世界医師同盟」が「WHOとビル・ゲイツによる新パンデミック計画」との闘争宣言
筆者:Stop World Control
出典:Global Research 2023年12月9日
(この記事の初出は2022年6月1日)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月26日





 ビデオ『THE PLAN』によれば、世界保健機関(WHO)が2020年から2030年までの10年間、パンデミックを継続させることを公式に計画していることが明らかになった。

 これはWHOのウイルス学者マリオン・クープマンスによって明らかにされた。また、最初のパンデミックは計画されたものであり、それが起こる直前に数多くその計画が発表されていたという衝撃的な証拠も見ることができる。

 ぜひご覧いただき、あらゆる所でこれを共有して下さい。

 より詳しい情報、および『THE PLAN』の全文書を見るには、次のページをクリック。
https://www.stopworldcontrol.com/proof

ビデオ『THE PLAN』


 ドイツの約1,000人の医師からなるグループ『情報を求める医師たち』が、全国記者会見で衝撃的な声明を発表した(1)。この組織は弁護士、科学者、教師など7,000人以上の専門家に支持されている。

 「コロナ・パニックは芝居だ。詐欺だ。ペテンだ。我々は世界的な犯罪の渦中にいることを理解すべき時だ。」

 この医学専門家の大集団は、毎週50万部の新聞を発行し、コロナウイルスに関する主流メディアの誤報を世間に警告している。

 彼らはまた、ヨーロッパ全土で数百万人規模の大規模な抗議行動を組織している。

数百人のスペイン人医師がパンデミックは作られたものだと語る

 スペインでは、『真実を求める医師たち』と呼ばれる600人の医師団が記者会見で同様の声明を発表した。



「コロナウイルス感染症は政治的目的のために作られた偽のパンデミックである。これは衛生を口実にした世界独裁である。我々は、医師、メディア、政治当局に対し、真実を広めることによって、この犯罪行為を阻止するよう強く要請する」(2) 

世界医師同盟:『史上最大の犯罪』

 「情報を求める医師たち」と「真実を求める医師たち」は、「世界医師同盟」(2A)において、世界中の同様の実践者グループと手を結んだ。

 この歴史的な同盟は、世界中の10万人以上の医療専門家をつないでいる。

 彼らは、パンデミックがいかに歴史上最大の犯罪であるかを明らかにし、その主張の確かな科学的証拠を提示している。彼らはまた、この犯罪行為に加担している政府に対して法的措置をとる。


訳註
『The Plan』の中で紹介されていた資料:Microsoft Word - Grand Jury - World Domination FINAL REVISIE 2.docx (stopworldcontrol.com)
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米国の生物学研究所に関するロシアの調査が終了

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s investigations about US biolabs concluded (infobrics.org)
出典:BRICS INFORMATION PORTAL   2023年4月17日
筆者:ルーカス・レイロス 
(ジャーナリスト、地政学研究センター研究員、地政学コンサルタント)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月25日


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ついに、ウクライナ国内での米国の生物学的活動に関するロシアの調査が完了した。ロシア軍が発見し無力化した軍事生物学研究所での生物兵器の製造などの犯罪の証拠を慎重に分析するため、特別議会委員会が設置された。この議会グループは、ロシアの放射線・化学・生物兵器防衛部隊に関連する専門家たちと1年以上にわたって協力した。その結果、実際にワシントンが違法な生物学軍事活動を続けていることが判明した。

研究者たちが指摘したのは、米国は「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすように、遺伝子組み換えされた一種の「万能生物兵器」の作成に向けて動いているだろうということだった。ロシアが収集したデータによれば、ワシントンは、戦争シナリオの中で敵の兵士だけでなく、動物や農作物にさえダメージを与えることができる兵器の開発を計画している。これによって、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることを目的としている。

実際には、この種の兵器を秘密裏に今後使用することは、どのような紛争シナリオにおいても、米軍に事実上圧倒的な戦略的優位を保証することになり、敵側が非軍事的な理由で米軍を打ち負かすことは不可能になる。調査官たちは、この種の兵器を保有することは、現代の武力紛争のあり方を完全に変えるものであり、軍事的、法的、人道的な幅広い懸念が生じることを明らかにした。

「米国は、人間だけでなく、動物や農作物にも感染する万能の遺伝子操作生物兵器の開発を目指している。その使用は、とりわけ、敵に大規模で回復不可能な経済的損害を与えることを目的としている(......)このような兵器を、現実の不可避な直接軍事対決を想定して秘密裏に目標を定めて使用することは、たとえ他の種類の大量破壊兵器を保有する相手であっても、敵対国に対して米軍に大きな優位をもたらす可能性がある(......)このような非常に効果的な生物兵器を保有することは、米軍の見解では、現代の武力紛争の本質を変える真の前提条件を生み出す」と報告書は述べている。

しかし、科学者たちは、この米国のプロジェクトが存在するからといって、「天然痘、炭疽菌、野兎病、ペスト」といった従来の生物兵器の使用の深刻さが軽減されるわけではないことを強調している。これらはすべて、殺傷能力を高めるために改良することができる。これに加えて、感染症の発生原因を特定することが客観的に困難である。それらの感染症は自然なもの、人工的なものでもあり得るからだ。このように、同時に監視・管理すべきリスクは相当数にのぼる。

ロシア国境での特別軍事作戦によって、多くの生物学研究所が無力化されたり、破壊されたりしたが、米国のバイオ軍事計画は依然として活発であり、そのような兵器を開発するための高度な研究が世界中のいくつかの研究所で行われている。最近の報道では、ネオナチ政権に占領されたウクライナの地で、アメリカは再びこのような活動を行うだろうとさえ言われている。

ロシアのチームは、これらのプログラムがいかに米国のファシズムの遺産であるかを説明している。多くの枢軸国の科学者たちは第二次世界大戦中に捕らえられ、逮捕され処罰される代わりに、アメリカ政府によって高度な科学的軍事研究を開発するための秘密プログラムでの地位を与えられた。その結果、ワシントンは、1930年代から1940年代にかけてすでにそのようなテーマを研究していたドイツと日本の科学者の支援を受け、世界で最も複雑な軍事研究システムのひとつを作り上げた。

ロシアの研究者たちはまた、このような問題に関して明確で高度な国際的規制がないことが、生物学的テロを生産し広めることによって、米国が海外で行動する能力を高めているという事実にも言及している。人道的、健康的、科学的な論拠を用いて研究を発展させるために、米国の軍隊や政府に関連する企業は、このような違法行為が行われる研究所を建設している。

「このような作業に対する国際的な管理が欠如しているため、米国は道徳的、法的規範や人道主義的原則に拘束されることなく、他国で行動し、国民の要求を無視する機会を与えられている」と、研究者たちは付け加えた。

最後に、科学者たちは、ロシア当局が生物学的問題を国防と安全保障の重要課題として扱うよう勧告している。遺伝子組換え病原体の検出や、これらの病原体によって引き起こされる病気の早期診断、治療、予防のための効率的な対策を立てることが急務である。報告書では、この問題の解決策として、生物工学と合成生物学の研究のための「管理メカニズム」の創設を提案している。

実際、ロシアは長い間、米国国防総省の深刻な生物兵器問題を警告してきた。しかしこの問題は、西側諸国や国際機関によって無視されてきた。西側諸国や国際機関は、このような態度が生み出す危険性を理解していないようだ。生物兵器の開発は、たとえアメリカと良好な関係にある国であっても、多くの人々に存亡の危機をもたらすものであるため、すべての国はそのことを調査し、速やかに非難するべきである。

さらに、人間や動物、植物に感染し、ダメージを与えることのできる新しい病原体を作り出し、国とその住民の完全な消滅を目指す取り組みに注意を向ける調査をして、この事例にさらに注視していく必要がある。したがって、このような兵器が戦場で使用され始め、前例のないレベルの暴力と被害が発生する前に、国連で議論と対策を講じることが急務である。
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EU諸国、40億ユーロ(約6300億円)相当の新型コロナワクチンを廃棄 – ポリティコ紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
EU states threw away €4 billion worth of Covid vaccines – Politico
2億以上のコロナウイルス注射剤が単に不要になったという理由だけで埋め立て地に投棄された、との報道
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月25日



ファイザー/BioNTech社製新型コロナウイルス感染症追加免疫ワクチンの空の容器© Getty Images / Dinendra Haria ; SOPA画像; Light Rocket


 伝えられるところによると、EUはパンデミックの真っ最中に最初に購入して以来、少なくとも2億1500万個のCOVIDワクチン剤を放棄してきた、とポリティコ紙の分析記事が明らかにした。同紙は日曜(12月17日)付の記事による推定では、この役に立たなかった注射剤にEU域内の納税者に40億ユーロ(約6300億円)もの損害が生じたという。

 ファイザー社とビオンテック社が開発した初のコロナウイルス・ワクチンの承認を受け、2021年にEUは急いで米国の製薬大手であるファイザー社と11億回分を購入する契約を結んだ。なお、当時は精査されることなくこの決定が下されたが、その後、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長がこの決定において物議を醸すような役割を果たしているとして、捜査の対象となった。

 この契約は、パンデミックがすでに終息しつつあったという事実にもかかわらず、EU諸国に事実上、注射剤の購入を強制するものだったからだ。ポリティコ紙が指摘したように、余剰分を発展途上国に寄付する取り組みも、物流上の問題と需要の減少により失敗に終わった。

 パンデミックが進行するなか、EUは最終的に少なくとも15億回分のワクチンを受け取った。これは域内の市民一人当たり3回分にあたると推測される量だった。しかし、ポリティコ紙の計算によると、加盟諸国は最終的に国民一人当たり平均0.7回の注射剤を廃棄することになり、なかでもエストニアとドイツで最も無駄な購入が多くなり、市民一人当たりほぼ1回分の投与剤を廃棄した。

  同紙は、この計算値は推定値にすぎないことを認めている。というのも、各国政府が廃棄物の実際の規模を報告したり明らかにしたりすることに消極的であるからだ、という。しかし、ポリティコ紙は、自社による推定値は少な目である可能性が高い、としている。


関連記事:Pfizer sues Poland over Covid-19 vaccine

 EUの浪費とファイザー社との疑わしい取引は政治的な反発ももたらしており、フォン・デア・ライエン委員長が非難を浴びているのは、交渉の話し合いがまだ続いている間に製薬大手ファイル社のアルバート・ブーラ最高経営責任者と電子文書や電話で個人的にやりとりしていたことが明らかになって以来のことだ。

 欧州委員会はこの問題について声明を出すことを拒否し、数十億ドル相当の取引に関する大手製薬会社とフォン・デア・ライエン委員長とのあいだの電子文書は見つからなかった、と主張した。

 一方、さらなるワクチンの受け入れを拒否したポーランドとハンガリーは現在、ファイザー社から不払いで訴訟を起こされており、ルーマニアでは、不必要なワクチンを購入し10億ユーロ(約1570億円)以上の損失を国家に与えたとして、検察当局が同国の元首相と2人の保健大臣の裁判を検討している。

 無駄遣いが報告されているにもかかわらず、ファイザー社との契約に基づき、少なくとも2027年までは注射剤がEUに流れ続けることになる。EUは以前、2023年に追加で4億5000万回分の投与を受ける予定だったが、5月の修正協定によりその総量は削減された。そしてその後、購入年は4年先まで延長された。しかしEU当局は、この先、何個の注射剤を受け取るのか、あるいは各国が何個購入する必要があるのかについては明らかにしていない。
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軍事援助より農業援助を!ついにドイツ農民が立ち上がった!!ビデオを見よ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Farmers block Berlin streets (VIDEO)
デモ参加者らはドイツ政府の緊縮策により農場が閉鎖に追い込まれるのではないかと懸念している。
出典:RT  2023年12月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月24日



2023年12月18日、ドイツのベルリンで、燃料費削減を目的とした国の補助金削減計画に抗議するため、トラクターに乗ってブランデンブルク門に到着する農民たち。© ミケーレ・タントゥッシ/ゲッティイメージズ


 月曜日(12月18日)、ドイツ全土から農民たちがトラクターに乗ってベルリンに降り立ち、ディーゼル補助金や農業用車両に対する減税を削減する政府の計画に抗議した。ドイツ政府は先日、数十億ユーロの財政赤字に対処するため、2024年に向けた緊縮策を発表したところだった。
 怒った農民たちは、ベルリンの象徴であるブランデンブルク門近くの通りを封鎖し、「農民に対する宣戦布告のような政策を掲げるつもりか」、「もう十分だ!」と書かれたプラカードを掲げた。デモ参加者らは、計画されている予算削減により、来年のドイツの農業分野の予算状況が10億ユーロ(約1570億円)近く下げられるのではないかと懸念している。ベルリン警察によると、約1700台のトラクターと6600人の農民が抗議活動に参加したという。

 ドイツ農民協会(DBV)とランド・クリエイツ・コネクション(LsV)ロビーは、緊縮策が実施されればデモを拡大すると脅迫した。DBVのヨアヒム・ルクウィード会長は集会で、「我々は1月8日から、この国がこれまで経験したことのない形であらゆる場所においてデモを展開することになります。私たちはこんな政策を受け入れることはできません。」と発言した。



 ドイツのジェム・オズデミル農業大臣は抗議活動で国営ARD放送のインタビューに応じ、農家にはディーゼルに代わる「代替手段がない」と述べた。

 「節約しなければならない我が国の状況を無視するわけではありませんが、その節約方法は国民がともに取り組んでくれるような方法でおこなわれなければなりません。私たちに食料を供給してくれるのは農民たちです。農業分野への予算削減は...この分野に過大な負担を与えます」とオズデミール大臣は語った。


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 独政府が予算の穴を塞ぐことを余儀なくされたのは、11月に憲法裁判所から、未使用のCOVID-19感染症対策資金600億ユーロ(約9兆4千億円)の再利用の試みは違憲であるという判決が出されたためである。

 オラフ・ショルツ首相内閣が選択を迫られているのは、いわゆる債務ブレーキ(政府赤字をGDPの0.35%に制限する)を停止するか、約170億ユーロ(約2兆7千億円)の節約と減税をおこなうかのいずれか、である。

 ステフェン・ヘベストライト国務長官は月曜日(12月18日)、2024年予算に関する決定はすでに最終決定されており、執行の詳細はまだ検討中だが、審議の再開がされることはない、と述べた。
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地下からのジハード:イスラエルはハマスが有する利点であるこの秘密要塞に対応できるか?


Jihad from the deep: Can Israel handle this secret advantage of Hamas?

イスラエル当局は、ガザにあるハマスが有するこのトンネルを空にさせようと計画しているが、この計画は「ミッション・インポッシブル」になるかもしれない
筆者:エリザベス・ブレイド(Elizabeth Blade)
出典:RT  2023年11月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月24日



© RT / RT


 ガザを支配しているイスラム組織であるハマスは、500キロメートルの長さのトンネン網を所持している、と考えられている。そのトンネル内には、複数の司令室や訓練所、会議室があり、洗練された換気装置もあり、水や電気の供給も安定している。

 イスラエルがハマスを消滅させることを目的とした「鉄拳」作戦を繰り出してから50日以上たつ。この作戦は、ハマスがイスラエル南部の居住地区に加えた激しい攻撃を受けたものだ。なお、ハマスによるこの攻撃により、1400人以上の人命が奪われ何千もの負傷者を出した、とされている。

 ガザの議会や裁判所、警察本部などを含む重要な地域は、すでにIDF(イスラエル国防軍)が掌握している。ガザ市内の主病院であり最大の病院であるシファ病院もIDFの手に落ちた。イスラエル側は、この医療複合施設が誇りにしている洗練されたトンネル体系を有しており、その中には集会所や地下壕があり、そこに人質の何名かが匿われている、と見ている。
 しかし、イスラエルが掴んでいる情報によると、シファ病院はパズルの一片に過ぎない、という。報告によると、ガザ市内には1300個ほどのトンネルがあり、その全長は500キロ規模ある、という。これはロンドンの地下鉄体系よりも100キロ長い計算になる。


関連記事:The Gaza truce is a sign that Hamas can’t be defeated


 地下75メートルに位置するこのトンネル網には、秘密の弾薬庫や司令室、中央管理室があるとされ、さらには訓練所や会議室も複数ある、という。この「地下鉄」にはさらに、換気装置もあり、水や電気の供給は安定している。

 「これまでわかっていることは、ガザ地区には様々なトンネルが存在する、ということです」と中東の専門家でIDFの元諜報官であるアビ・メラルド氏は述べた。

 「いわゆる密輸トンネル(シナイ半島から商品や武器、戦士らの密輸に利用される、の意[編者註])は複数存在します。攻撃用に使われるトンネルもあり、それはイスラエル領内まで続いています。ハマスが内部の軍事目的用に建設したトンネルも複数あります。」

 報道によると、これらのトンネルの建築には長い年月がかけられ、着手されたのは2007年のことだった。この年、ハマスがこの飛び地を支配下に置いたことで、イスラエルがこの地域を封鎖することになった。イスラエルはこのトンネル網の建築をよく承知しており、それを妨害しようとして、コンクリートや鉄鋼などの建築素材のガザへの搬入を制限したり禁止したりしてきた。しかしハマス側は、非軍事的目的の建築素材を軍事用に転用する術を探り当ててきた。ハマスはさらに、多額の金銭提供(主にカタールから)を受け、この巨大計画の資金に充ててきた、と言われている。


ガザ市シュジャヤ地区のトンネルに配置されているハマスの武装組織イズ・アッディン・アル・カッサム旅団。Mustafa Hassona / Anadolu Agency / Getty Images

「我が国の諜報機関は、これらのトンネルのことを知っていましたが、それを破壊する意図はありませんでした」とイスラエルの国内総保安庁「シン・ベット」の一員だったアミット・アサ氏は述べた。この機関は、長年ハマス問題に対応してきた組織だ。

「(破壊はせずに)、イスラエル側は地下の障壁や技術を開発することで、侵入を防ごうとしてきました。我が国は(ハマスへの資金提供の流れを断つよう)外交努力を講じ、パレスチナを繁栄させ、経済的機会を与えれば、パレスチナは計画を実行し、我が国を破壊しようとするだろう、と考えていました。」


関連記事:New Jerusalem: US and Israeli solution to the Palestine problem risks a new major war in the region


 アサ氏が使った「経済的機会」ということばは、近年イスラエル政府がパレスチナに与えてきた多くの恩恵的行為を指している。これらの恩恵的行為のなかには、何千人ものガザの人々を雇用者としてイスラエルに入国させてきたことやパレスチナ側の漁猟域を拡大させてきたこと、商品の輸入を認めてきたことなどがあげられる。

 しかしアサ氏の主張によると、イスラエルは、このような譲歩的手法は基本的に間違いであることを実感し始め、だからこそ今イスラエル国家は、アサ氏のことばを借りれば、「反撃する」ことを決意した、とのことだ。

 以前イスラエルが反撃を加えようとしてこなかった、というわけではない。長年にわたって、イスラエルはハマスの軍事力の弱体化を狙った作戦を無数に繰り出してきた。トンネル網もその対象のひとつであり、これまでにこのトンネル網を損壊させ、一部は破壊してきたが、ハマス側はこれまでなんとかその攻撃に耐え続けてきた。しかしアサ氏は状況が全く変わってしまったことを確信している。

 IDFの見立てによると、イスラエル側は10月7日の戦闘開始以来、400のトンネルの中間軸を破壊したという。さらにハマス民兵とパレスチナ・イスラム・ジハード民兵数千人が戦死したという。


ハマスが運営する青年のための夏合宿での軍事訓練に使われるトンネル内部を歩くパレスチナの人々 © MOHAMMED ABED / AFP

 専門家らが確信していることは、イスラエルがガザ北部のトンネル問題に取り組むのであれば、そこから南に移動することになるだろうが、南部には別のトンネル網が張り巡らされているということで、メラルド氏の説明によれば、そうなればIDFはこれらのトンネル建設のアキレス腱を突くことになる、という。

 「これらのトンネル内部で作戦をおこない、内部に留まるには酸素の安定した供給が必要になり、そのためには酸素発生機や燃料が必要となります」とメラルド氏は説明した。


関連記事: ‘Israel targets journalists intentionally’: Gaza reporters share their stories with RT

 「ですので、我が国が取れる対策のひとつに、トンネルへ供給する酸素の流れを切断することで、相手側を窒息させる、というものがあります。別の方法として、トンネルの出入口についての情報を十分に収集し、そこを封鎖することで、ハマスのテロリストたちを中に閉じ込める、という手もあります。」

 しかしこれらの作戦はミッション・インポッシブル(遂行不可能な作戦)になってしまう可能性がある。ハマスやパレスチナの他の諸組織は200人以上の人質を確保しており、少なくともその人質のうちの何名かが、トンネル内に隠されている、と考えられているからだ。これらのトンネルを封鎖したり、酸素供給を切断してしまえば、これらの人質の命が奪われることになるのは確実で、イスラエル側はそのような危険を冒す行為を取らないだろう、と広く考えられている。

 アサ氏の考えによると、もうひとつの難点があるという。それは「時間」だ。テロの恐怖を消そうとしているイスラエル側は、同時に民間の生活基盤施設への砲撃を続けており、その対象にはモスクや学校、病院、住居家屋も含まれている。これまで1万4千人以上のパレスチナの人々が亡くなっているが、その多くは一般市民だ。さらに3万6千人以上が負傷している。

 イスラエルへの圧力が高まり始めており、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、イスラエルは女性や子どもたちを標的にすべきではない、と発言した。同じような訴えが、カナダのジャスティン・トルドー首相など他の世界各国の指導者らからもあがっており、エルサレム当局側も、もう数週間もすれば、このような批判の声がさらに大きくなる、と考えている。

 「(イスラエルの行動に関する)ストップ・ウォッチがいつまで動くのかは常に懸念されていることです」とアサ氏は自身の考えを述べた。「しかし今回、イスラエルは他からの助言を聞き入れる構えはありません。ハマスやパレスチナのイスラム教ジハード勢力を本気で排除したいのであれば、この戦争で寛容さを見せるべきではないのです。最後までやり遂げる必要があるのです。我が国の同盟諸国がどんなことを言ってきても、です」とアサ氏は結語した。
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「大イスラエル」:中東に対するシオニストの計画

<記事原文 寺島先生推薦>
悪名高い「オーディド・イーノン計画」。ミシェル・チョスドフスキーによる序文
“Greater Israel”: The Zionist Plan for the Middle East
The Infamous "Oded Yinon Plan". Introduction by Michel Chossudovsky

筆者:イスラエル・シャハク(Israel Shahak) & ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)
出典:Global Research  2023年11月15日
Association of Arab-American University Graduates, Inc.  2013年3月
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月22日


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本記事の初出は2023年3月1日

***

更新記事と分析

2023年10月7日、ハマスが軍最高責任者モハメド・ダイフ率いる「アル・アクサの嵐作戦」を開始した。 同日、ネタニヤフ首相はいわゆる「戦争準備態勢」を確認した。イスラエルは今(2023年10月7日)、パレスチナの人々に対する長い戦争の新たな段階を公式に宣言した

「軍事作戦は必ず事前に計画される(下記のネタニヤフ首相の2023年1月の声明を参照)。アル・アクサの嵐作戦」は「奇襲攻撃」だったのか?

アメリカ情報部は、ハマスの攻撃が差し迫っているとは知らなかったと言う。

ネタニヤフ首相と彼の巨大な軍事・諜報組織(モサドなど)は、ハマスの攻撃を予見していたのだろうか?

ハマスが「アル・アクサの嵐作戦」を開始する前に、パレスチナ人に対して全面戦争を仕掛けるという入念に練られたイスラエルの計画は想定されていたのだろうか?メディアはそう伝えているが、これはイスラエル諜報部の手落ちではない。正反対だ。

ハマスの行動をネタニヤフ政権が予見していたことを示す証拠と証言がある。「彼らはそれを黙認したのだ」

10月7日の「アル・アクサの嵐」作戦の後、イスラエルの国防相はパレスチナ人を「人間の動物」と表現し、「それに従って行動する」と宣言した。同時に戦闘機がガザ地区への大規模な爆撃を行なった」。(Middle East Eye)。

ガザ地区の完全封鎖は2023年10月9日に開始された。230万人のパレスチナ人に対する食糧や水、燃料、そして必需品の輸入を阻止し、妨害するもの。これは人道に対する明白な犯罪だ

「アル・アクサの嵐作戦」は「奇襲攻撃」だったのか? 偽旗作戦だったのか?


ネタニヤフのパレスチナに対する「長い戦争」の「新しい段階」

ネタニヤフ首相の掲げる目的は、パレスチナの人々に対する75年前の戦争(1948年のナクバ以来、下記参照)の新たな段階を構成するものであり、もはや「アパルトヘイト」や「分離」が前提ではない。この新たな段階は、平和を望むイスラエル人に対しても向けられているが、パレスチナの人々を祖国から完全に排除するだけでなく、「全面的な横領」によって成り立っている。

現ネタニヤフ政権が全力で取り組んでいるのは、「大イスラエル」と「約束の地」、すなわち聖書に書かれたユダヤ人の祖国だ。

1799 2枚目 w
<画像中の英文和訳>
ネタニヤフ首相、イスラエル人に「パレスチナ人射殺へ青信号」を与える
イスラエル首相は、イスラエル人に対する銃の所持許可を早めるという計画を発表した。
パレスチナ人にさらなる暴力を加えることになる、とアナリストは言う。


ベンヤミン・ネタニヤフは、「イスラエルの植民地計画」、すなわちパレスチナ全土の横領を正式に決定するために邁進している。

2023年10月7日の「戦争準備態勢」の数ヶ月前に彼の立場は以下のように明示された。それは完全な横領と同時に、パレスチナ人を彼らの故郷から完全に排除することを含んでいる。

「これらは、私が率いる国民政府の基本路線である: ユダヤ民族は、イスラエルの土地のすべての地域に対する排他的で疑う余地のない権利を有する。政府は、ガリラヤ、ネゲブ、ゴラン、ユダヤ、サマリアなど、イスラエルの土地のあらゆる場所での入植を促進し、発展させる」。 (2023年1月)



1799 3枚目 w
<画像中の英文和訳>
イスラエルは「戦争準備態勢」を宣言
ハマスがガザ地区からの大規模なロケット攻撃を行なったと主張した後で


イスラエル軍は、ハマス軍事集団がイスラエルに対する新たな作戦を発表した後、空襲警報が鳴り響く中、ガザ地区の標的を攻撃していると発表した。


歴史:モサドとハマスの間の関係

モサドとハマスとの関係は何なのか?ハマスは「情報機関」なのか?古い歴史がある。

ハマス(Harakat al-Muqawama al-Islamiyya)(イスラム抵抗運動)は、シェイク・アーメド・ヤシン(Sheik Ahmed Yassin)によって1987年に創設された。パレスチナ自治政府を弱体化させる手段として、当初はイスラエル情報機関の支援を受けていた:

「モサド(イスラエルの「諜報・特殊任務研究所」)のおかげで、ハマスには占領地での存在感を強めることが許された。一方、アラファトのファタハ民族解放運動とパレスチナ左派は、最も残忍な弾圧と脅迫にさらされた。

忘れてはならないのは、ハマスがイスラエルによって作られたという事実だ。エルサレム・ヘブライ大学の歴史学者ジーブ・スターネル(Zeev Stternell)によれば、「イスラエルは、パレスチナ解放機構(PLO)に対してイスラム主義者を押し出すための賢い策略だと考えた」のだという。(L'Humanité、フランス語からの翻訳)



ハマスとモサドや米国諜報機関とのつながりが、ロン・ポール議員の米国議会での声明で認められた: 「ハマスはイスラエルが始めた」?

「ハマスの歴史を見ればわかるが、ハマスがイスラエルによってテコ入れされ、実際に始められたのは、ヤーセル・アラファトに対抗するためにハマスが必要だった・・・。(ロン・ポール議員、2011)

この発言が意味するのは、「ハマス内の派閥」が「諜報機関」、すなわち「諜報機関の利益に奉仕する機関」を構成しているということだ。

WSJも参照(2009年1月24日)「イスラエルはどのようにハマスの誕生を助けたか」

コーエン氏によれば、イスラエルは当初からガザのイスラム主義者を抑制しようとするのではなく、パレスチナ解放機構とその支配的な派閥であるヤーセル・アラファトのファタハの世俗的な民族主義者に対抗するものとして、長年彼らを容認し、場合によってはテコ入れしてきた。(WSJ、強調は筆者)

1799 画像3の次
<画像中の英文和訳>
イスラエルはどのようにハマスを誕生させたか
アンドリュー・ヒギンズ(Andrew Higgins)
2009年1月24日 12:01東部標準時



ナクバ

2023年5月13日の記念日: ナクバ。75年前の1948年5月13日。パレスチナの惨状は至る所に。2018年の報告書で、国連はガザが「住めない」状態になったと述べた:

経済が自由落下し、若者の失業率が70%に達し、飲料水が広く汚染され、医療制度が崩壊したガザ。パレスチナ自治区の人権に関する特別報告者によれば、ガザは(2018年に)「住めない」状態になった。



上記の国連の評価は2018年にさかのぼる。ネタニヤフ首相の下、イスラエルは現在、パレスチナ領土の大部分を併合する計画を進めている。「一方、パレスチナ住民は深刻な収奪と孤立の状況に置かれている」

極度の貧困と経済破綻の状況を作り出すことは、パレスチナ人を祖国から追放し、脱出させるための手段である。 それは併合過程の一部である。

「この作戦が成功すれば、イスラエルは1967年の戦争で征服したすべての領土(ゴラン高原とエルサレム、パレスチナ自治区の大部分、最高の水源と農地を含む)を手に入れることになる。

ヨルダン川西岸地区は、外界から遮断され、敵対するイスラエル軍とイスラエル入植地に囲まれた、ガザ地区と同じ状況に陥るだろう」。(South Front)

人権はパレスチナ国境で終わったのだ。買収され、金で雇われたアメリカ議会は、これでもかというほどの平身低頭だった:

「2023年7月19日、アメリカ議会はイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領のために特別合同会議を開いた。民主・共和両党は29回も拍手を送った」。


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「パレスチナの消滅を見ながら」ポール・クレイグ・ロバーツ博士、2023年9月12日

「大イスラエルは多くの代理国家を生み出すだろう。レバノンやヨルダン、シリア、シナイ半島の一部、そしてイラクとサウジアラビアの一部を含むだろう」。

「パレスチナは消滅した!消滅した!パレスチナの苦境は残酷なまでに痛々しく、その痛みは、欧米列強がその痛みを不可解なまでに無下にし、消し去っていることによって、さらに増している」リマ・ナジャール(Rima Najjar)、グローバル・リサーチ、2020年6月7日号

ミシェル・チョスドフスキー、2021年6月10日、2023年10月11日、2023年11月1日

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「大イスラエル計画」への序文
ミシェル・チョスドフスキー


「大イスラエル」の形成に関する以下の文書は、ネタニヤフ現政権、リクード党、イスラエル軍および情報機関の強力なシオニスト派閥の礎石となっている。

ドナルド・トランプ大統領は2017年1月、イスラエルの違法入植地(ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル入植地の違法性に関する国連安全保障理事会決議2334への反対を含む)を支持することを確認した。トランプ政権は、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認めると表明した。そして今、ヨルダン川西岸地区全体がイスラエルに併合されようとしている。

バイデン政権下では、政治的言説の修辞的転換はあるが、ヨルダン川流域全体とヨルダン川西岸の違法入植地を併合するイスラエルの計画を、ワシントンは依然として支持している。

心に留めておいてほしい: 大イスラエル構想は、厳密にはシオニストの中東計画ではなく、アメリカの外交政策に不可欠なものであり、その戦略的目的は、アメリカの覇権を拡大し、中東を分断し、バルカン化することにある。

この点で、ワシントンの戦略は、トルコやイランを含む中東地域の経済大国を不安定化させ、弱体化させることにある。この政策は大イスラエル主義に合致しているが、政治的分断のプロセスを伴っている。

湾岸戦争(1991年)以来、国防総省はイラクやシリア、そしてイランの一部とトルコの併合を含む「自由クルディスタン」の創設を考えてきた。

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「新しい中東」:ラルフ・ピーターズ中佐による米陸軍士官学校非公式地図

シオニズムの創始者セオドア・ヘルツル(Theodore Herzl)によれば、「ユダヤ国家の領域はエジプトの小川からユーフラテス川まで広がっている: 「エジプトの小川からユーフラテス川まで」。 ラビ・フィシュマンによれば、「約束の地はエジプトの川からユーフラテス川まで広がり、シリアとレバノンの一部を含む」。

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ガザ包囲を含む現在の文脈で見れば、シオニストの中東計画は、2003年のイラク侵攻や2006年のレバノン戦争、2011年のリビア戦争、現在進行中のシリア、イラク、イエメン戦争、そして言うまでもなく、サウジアラビアの政治危機と密接な関係がある。

「大イスラエル」計画は、アメリカ・イスラエルの拡張主義計画の一環として、近隣のアラブ諸国を弱体化させ、最終的には分裂させることで成り立っている。それはNATOとサウジアラビアの支援を得てなされる。この点で、ネタニヤフ首相の視点に立てば、サウジとイスラエルの和解は、中東におけるイスラエルの勢力圏を拡大する手段であり、イランと対峙する手段でもある。言うまでもないが、「大イスラエル」計画はアメリカの帝国主義的設計と一致している。

「大イスラエル」とは、ナイル渓谷からユーフラテス川までの地域を指す。スティーブン・レンドマン(Stephen Lendman)によれば、
     「100年近く前、世界シオニスト機構のユダヤ人国家建設計画には、次のようなものが含まれていた:
- 歴史的パレスチナ;
- シドンとリタニ川までの南レバノン;
- シリアのゴラン高原、ハウラン平原、デラ、そして
- デラからヨルダンのアンマンまでのヒジャーズ鉄道とアカバ湾の支配。

シオニストの中には、さらに西のナイル川から東のユーフラテス川まで、パレスチナ、レバノン、シリア西部、トルコ南部の土地を求める者もいた。

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シオニスト・プロジェクトは、ユダヤ人入植運動を支援してきた。より広義には、パレスチナからパレスチナ人を排除し、ヨルダン川西岸とガザをイスラエルに併合する政策である。

「大イスラエル」計画は、レバノンやヨルダン、シリア、シナイ半島の一部、そしてイラクとサウジアラビアの一部を含むいくつかの代理国家を作ることである。(地図参照)。

2011年のGlobal Researchマハディ・ダリウス・ナゼムロアヤ(Mahdi Darius Nazemroaya) の記事によれば、イーノン・プランは中東におけるイギリスの植民地支配の継続であった:

「イーノン・プランは)イスラエルの地域的優位性を確保するための戦略的プランである。イスラエルは、周辺のアラブ諸国をより小さく弱い国家にバルカン化することによって、その地政学的環境を再構成しなければならないと主張し、規定している。

イスラエルの戦略家たちは、イラクをアラブ国家からの最大の戦略的挑戦とみなしていた。イラクが中東とアラブ世界のバルカン化の目玉として概説されたのはこのためである。イラクでは、イーノン・プランの考え方に基づき、イスラエルの戦略家たちはイラクをクルド人国家と、シーア派イスラム教徒とスンニ派イスラム教徒の2つのアラブ国家に分割することを求めた。これを確立するための第一歩はイラクとイランの戦争であり、イーノン・プランはこれを論じている。

2008年の「アトランティック(The Atlantic)」誌と2006年の米軍「アーメッド・フォース・ジャーナル(Armed Forces Journal)」誌は、いずれもイーノン・プランの素描に忠実な地図を広く流布した。バイデン・プランも求めているイラクの分割はさておき、イーノン・プランはレバノンやエジプト、そしてシリアの分割を求めている。イランや、トルコ、ソマリア、そしてパキスタンの分割も、すべてこれらの見解に沿ったものである。イーノン・プランはまた、北アフリカでの分割を求め、エジプトから始まり、スーダンやリビア、そしてその他の地域に波及すると予測している。

「大イスラエル」は、既存のアラブ諸国を小国に分割を求めることになるだろう。

「この計画は2つの本質的な前提に基づいている。イスラエルが生き残るためには
1)帝国的な地域大国になること。
2)現存するアラブ諸国をすべて解体し、地域全体を小国に分割すること。

ここでの小国は、それぞれの国家の民族や宗派の構成に左右される。その結果、シオニストが望むのは、宗派を基盤とする国家がイスラエルの衛星国となり、皮肉なことに、イスラエルの道徳的正当性の源泉となることである・・・これは新しい考えではなく、シオニストの戦略的思考において初めて浮上したものでもない。実際、すべてのアラブ国家をより小さな単位に分断することは、繰り返し語られてきたテーマである。(イーノン・プラン、下記参照)



この文脈で見れば、米国とNATOが主導するシリアとイラクへの戦争は、イスラエルの領土拡張過程の一部である。

この点で、ロシアやイラン、そしてヒズボラの支援を受けたシリア軍が米国の支援するテロリスト(ISIS、アル・ヌスラ)を敗北させたことは、イスラエルにとって大きな後退となる。

ミシェル・チョスドフスキー、グローバル・リサーチ(2015年9月6日、2019年9月13日更新)

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シオニストの中東計画
翻訳と編集
イスラエル・シャハク

セオドア・ヘルツル(1904)とラビ・フィシュマン(1947)のイスラエル

シオニズムの創始者であるセオドア・ヘルツルは、『日記全集』第2巻711頁の中で、ユダヤ国家の領域は「エジプトの小川からユーフラテス川まで」と述べている

1947年7月9日、国連特別調査委員会の証言の中で、パレスチナ問題ユダヤ機関のラビ・フィッシュマンはこう宣言した: 「約束の地はエジプト川からユーフラテス川まで広がっており、シリアとレバノンの一部も含まれている」。

オーディド・イーノンの
『イスラエル1980年戦略』

発行
アラブ系アメリカ人大学卒業生協会発行
マサチューセッツ州ベルモント、1982年発行
特別資料No.1 (ISBN 0-937694-56-8)
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序文
ハリル・ナフリ(Khalil Nakhleh)博士


アラブ系アメリカ人大学卒業生協会は、世界シオニスト機構情報部の機関誌『Kivunim(方向性)』に掲載されたオデッド・イーノンの記事を、新しい出版物シリーズ『Special Documents』の創刊記事として掲載すること已む無し、と考えている。オデッド・イーノンはイスラエルのジャーナリストで、以前はイスラエル外務省に所属していた。私たちの知る限り、この文書は、中東におけるシオニストの戦略について、これまでで最も明確で詳細かつ明白な声明である。さらに、ベギンやシャロン、そしてエイタンのシオニスト政権が現在支配している中東全体に対する「ビジョン」を正確に表している。したがって、その重要性は歴史的価値ではなく、それが提示する悪夢にある。

イーノン・プランは、2つの本質的な前提に基づいている。イスラエルが生き残るためには、1)帝国的な地域大国になること、2)現存するアラブ諸国をすべて解体して、この地域全体を小国に分割すること、である。ここでの小国とは、各州の民族や宗派の構成による。その結果、シオニストが望むのは、宗派を基盤とする国家がイスラエルの衛星となり、皮肉なことに、イスラエルの道徳的正当性の源泉となることである。

これは新しいアイデアではないし、シオニストの戦略的思考に初めて浮上したものでもない。実際、すべてのアラブ国家をより小さな単位に分断することは、繰り返し語られてきたテーマである。このテーマは、リヴィア・ロカッチ(Livia Rokach)によるAAUGの出版物『イスラエルの聖なるテロリズム』(1980年)に、たいへん控えめに記録されている。元イスラエル首相モシェ・シャレットの回想録に基づくロカチの研究は、レバノンに適用されるシオニストの計画、そしてそれが50年代半ばに準備されたものであることを、説得力のある詳細さで記録している。

1978年の最初の大規模なイスラエルによるレバノン侵攻は、この計画を細部に至るまで具体化したものだった。1982年6月6日の2回目の、より野蛮で包括的なイスラエルによるレバノン侵攻は、レバノンだけでなくシリアとヨルダンも断片化することを望むこの計画のある部分を実現することを目的としている。このことは、強力で独立したレバノン中央政府を望むというイスラエルの公の主張などどこ吹く風といったやり方である。より正確には、イスラエルは、彼らと和平条約を結ぶことによって、彼らに対する地域帝国主義的意向を制裁するレバノンの中央政府を望んでいる、と言っている。彼らはまた、シリアやイラク、ヨルダン、そしてその他のアラブ諸国政府やパレスチナ人民が、自分たちの計画に同意することを求めている。彼らが望んでいるのは、そして彼らが計画しているのは、アラブ世界ではなく、イスラエルの覇権に屈する覚悟のできたアラブの細分化された世界なのだ。それゆえ、オデッド・イーノンはそのエッセイ『1980年代のイスラエル戦略』の中で、「イスラエルを取り巻く(非常に)荒れ狂う状況」によってもたらされる「1967年以来、初めての遠大なチャンス」について語っている。

パレスチナ人をパレスチナから追い出すというシオニストの政策は、非常に積極的な政策であるが、1947年から1948年の戦争や1967年の戦争のような紛争時には、より強力に追求される。本書には、過去のシオニストによるパレスチナ人の故郷からの追放を示し、また、今回紹介する主なシオニストの文書以外にも、パレスチナの非パレスチナ化のためのシオニストの計画を示すために、『イスラエルは新たな脱出を語る』と題する付録が含まれている。

1982年2月に発表された機関誌『Kivunim(方向性)』から明らかなように、シオニストの戦略家たちが考えてきた「遠大な機会」とは、彼らが世界を説得しようとしている「機会」であり、1982年6月の侵攻によってもたらされたと彼らが主張する「機会」と同じものである。また、パレスチナ人がシオニストの計画の唯一の標的であったことは決してないが、民族として存続し、独立した彼らの存在は、シオニスト国家の本質を否定するものであるため、優先的な標的であったことは明らかである。しかし、どのアラブ国家も、特に結束力のある明確な民族主義的方向性を持つ国家は、遅かれ早かれ真の標的となる。

この文書で解明された詳細かつ明確なシオニストの戦略と対照的に、アラブとパレスチナの戦略は、残念ながらあいまいさと支離滅裂さに苦しんでいる。アラブの戦略家たちが、シオニストの計画をその全容を内面化した形跡はない。それどころか、シオニストの計画の新たな段階が展開されるたびに、彼らは信じられないという思いと動揺をもって反応する。これは、イスラエルのベイルート包囲に対するアラブの反応を見れば明らかだ。悲しいことに、シオニストの中東戦略が真剣に受け止められていない限り、今後他のアラブの首都が包囲されたとしても、アラブの反応は同じだろう。
Khalil Nakhleh, July 23, 1982
ハリル・ナフリ、1982年7月23日
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はじめに
イスラエル・シャハク


以下の小論は、(シャロンとエイタンの)シオニスト現体制による中東に関する正確かつ詳細な計画であり、その計画はこの地域全体を小国に分割し、既存のアラブ諸国をすべて解体することに基づいている、と私は考えている。この計画の軍事的側面については、結論で述べたい。ここでは、いくつかの重要な点に読者の注意を喚起したい:

1. イスラエルの戦略的思考には、すべてのアラブ国家をイスラエルによって小さな単位に分解すべきだという考えが何度も登場する。たとえば、ハアレッツ紙の軍事特派員ゼエヴ・シフ(Ze’ev Schiff)(この話題に関して、おそらくイスラエルで最も詳しい)は、イラクにおけるイスラエルの利益にとって起こりうる「最善」についてこう書いている: 「イラクをシーア派国家とスンニ派国家に解体し、クルド人部分を分離すること」(ハアレッツ6/2/1982)。計画のこの側面は、実は、非常に昔からある。

2. 特に著者の注には、アメリカの新保守主義(ネオコン)思想との強い結びつきが顕著に表れている。しかし、ソビエトの力からの「西側の防衛」という考え方にリップサービスが払われている一方で、著者、そして現在のイスラエル政権の真の狙いは明確である。言い換えれば、シャロンの目的は、他のすべての人々を欺いた後に、アメリカ人を欺くことなのだ。

3. 明らかに、メモや本文における多くの関連データは、イスラエルへのアメリカの財政支援など、歪められているか欠落しているようだ。その多くはまったくの空想だ。しかし、この計画は影響力がないわけではなく、また短期間に実現不可能なものとは見なすことはできない。この計画は、1890年から1933年のドイツで広まった地政学的な考えを忠実に追っており、これらの考えはヒトラーやナチス運動に完全に取り込まれ、彼らの東欧における目標を決定した。これらの目標、特に既存の国家の分割は、1939年から1941年にかけて実現され、一時的にそれらの固定化を阻止するためには世界規模の同盟が必要だった。

見出し下の本文に続き著者の注釈

混乱を避けるため、私自身の注釈は加えず、その内容をこの「まえがき」と巻末の「結語」に記した。ただし、本文の一部を強調した。

イスラエル・シャハク、1982年6月13日
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1980年代イスラエル戦略
オーディド・イーノン


この文章は元々、ヘブライ語で書かれ、キヴニームKIVUNIMU(方針)というジャーナルに掲載された。発行番号は14号で、冬季号(5742年2月)。編集者はヨラム・ベックで、編集委員はエリ・エヤル、ヨラム・ベック、アムノン・ハダリ、ヨハナン・マノール、エリエゼル・シュワイド。発行元は広報部/世界ユダヤ人機構(エルサレム)。

1980年代初頭、イスラエルは、国内外における自らの位置や目的、そして国家目標について、新たな視点を必要としていた。この必要性は、この国やこの地域、そして世界が直面している多くの中心的なプロセスのために、いっそう重要になっている。私たちは今日、人類史における新たな時代の初期段階に生きている。この時代は、以前の時代とはまったく似て非なるものであり、その特徴は、これまで私たちが知っていたものとはまったく異なっている。だからこそ私たちは、この歴史的エポックを代表する中心的なプロセスを理解する必要があり、他方では、新たな状況に応じた世界観と作戦戦略を必要としているのである。ユダヤ国家の存続や繁栄、そして安定は、内政と外交に新たな枠組みを採用できるかどうかにかかっている。

この時代には、すでに診断できるいくつかの特徴があり、現在のライフスタイルにおける真の革命を象徴している。その最たるものは、ルネサンス以来の西洋文明の生活と業績を支えてきた合理主義的、人文主義的な考え方の崩壊である。この基盤から生まれた政治的、社会的、経済的見解は、現在失われつつあるいくつかの「真理」に基づいていた。例えば、個人としての人間は宇宙の中心であり、すべては彼の基本的な物質的欲求を満たすために存在するという見解である。この立場は、宇宙の資源量が人間の要求、経済的ニーズ、人口学的制約を満たしていないことが明らかになった現在、無効となりつつある。人類が40億人存在し、経済資源とエネルギー資源が人類のニーズに比例して成長しない世界では、西欧社会の主要な要求1、すなわち無限の消費への願望と熱望を満たすことを期待するのは非現実的である。人間の進む方向を決めるのに倫理は関係なく、むしろ物質的な欲求が関係するという考え方は、ほとんどすべての価値観が失われつつある世界を目の当たりにしている今日、広まりつつある。特に、何が善で何が悪かという単純な問題に関わるとき、私たちは最も単純なことを評価する能力を失いつつある。

世界秩序の崩壊を目の当たりにすると、人間の無限の願望と能力というビジョンは、人生の悲しい事実を前にして縮小してしまう。人類に自由と自由を約束する見方は、人類の4分の3が全体主義体制の下で暮らしているという悲しい事実を鑑みると、不条理に思える。平等と社会正義に関する見解は、社会主義、特に共産主義によって笑いものに変えられてしまった。この2つの考え方が真実であることに議論の余地はないが、それらが適切に実践されていないことは明らかであり、人類の大多数は自由、平等と正義のための自由と機会を失っている。私たちが30年間、比較的平和に暮らしている(今も)この核の世界では、ソ連のような超大国が、マルクス主義の目的を達成するために核戦争は可能であり、必要であるだけでなく、核戦争後も生き残ることは可能であり、核戦争で勝利することは言うまでもない、というような軍事的・政治的教義を掲げているとき、国家間の平和と共存という概念は意味を持たない。2

人類社会の本質的な概念、特に西側の概念は、政治的、軍事的、そして経済的な変容によって変化しつつある。ソ連の核兵器と通常兵器の威力は、終わりを告げたばかりの時代を、多次元的な世界規模の戦争で世界の大部分を破壊する大冒険物語の前の最後の休息へと変えた。核兵器と通常兵器の威力、その量、精度、質は、数年以内に世界の大半をひっくり返すだろう。そして我々はイスラエルにおけるその事態に備えるために結束しなければならない。これは、私たちの存在と西側世界の存在に対する主要な脅威である。3 3つ脅威(①世界の資源を巡る戦い、②アラブが石油の独占を持っていること、そして③西側が第三世界からほとんどの原材料を輸入する必要があること)は、我々が知っている世界を変えている。ソビエト連邦の主要な目標の一つが、ペルシャ湾およびアフリカ南部の巨大な資源を掌握することによって西側を打倒することであることを考えればそうだ。これらの地域に将来的に私たちが直面することになる世界的な対立の規模を想像することができる。

ゴルシコフ(Gorshkov)ドクトリンは、第三世界の海洋と鉱物資源の豊富な地域をソ連が支配することを求めている。核戦争を管理し、勝利し、生き残ることは可能であるとする現在のソ連の核ドクトリンとともに、その過程で西側の軍隊は破壊され、住民はマルクス・レーニン主義に奉仕する奴隷にされるかもしれない。1967年以来、ソビエトは、クラウゼヴィッツの訓示を「戦争とは、核兵器による政策の継続である」と変え、彼らのすべての政策を導く標語とした。今日すでに、ソビエトはわが国の地域や世界中でその目的の遂行に忙殺されており、ソビエトと対峙する必要性は、わが国の安全保障政策の主要な要素となり、もちろん他の自由世界の安全保障政策の主要な要素にもなっている。それこそが、わが国の外交上の大きな課題なのである。4

したがって、アラブ・イスラム教世界は、その軍事力の増大によってイスラエルに対する主要な脅威となっているにもかかわらず、80年代にわれわれが直面する主要な戦略的問題ではない。この世界は、少数民族や派閥、そして内部危機などを抱え、レバノンや非アラブのイラン、そして現在のシリアに見られるように、驚くほど自滅的である。長い目で見れば、この世界は、真の革命的変化を経なければ、現在の枠組みで私たちの周りの地域に存在することはできないだろう。アラブ・イスラム教世界は、外国人(1920年代のフランスとイギリス)によって、住民の希望や願望を考慮することなく、仮設のトランプハウスのように建てられた。恣意的に19の国家に分割され、そのすべてが互いに敵対する少数民族と民族の組み合わせで構成されているため、現在ではどのアラブ・イスラム教国家も内部からの民族的社会的破壊に直面しており、すでに内戦が激化している国家もある。5 アラブ人の大部分、1億7000万人のうち1億1800万人はアフリカ、そのほとんどがエジプトに住んでいる(現在4500万人)。

エジプトを除けば、マグレブ諸国はすべてアラブ人と非アラブ人のベルベル人の混血で構成されている。アルジェリアではすでにカビレ山脈で、国内の2つの国の間で内戦が激化している。モロッコとアルジェリアは、それぞれの国内闘争に加えて、スペイン領サハラをめぐって互いに戦争状態にある。イスラム過激派はチュニジアの完全性を危うくし、カダフィはアラブから見て破壊的な戦争を組織している。だからこそカダフィは、エジプトやシリアのような真の国家との統一を試みてきたのだ。スーダンは現在、アラブ・イスラム教世界で最も引き裂かれた国家であり、互いに敵対する4つのグループ、アラブ・イスラムのスンニ派少数派が大多数の非アラブ系アフリカ人、異教徒、キリスト教徒を支配することで成り立っている。エジプトでは、スンニ派イスラムが多数派を占め、上エジプトを支配する少数派のキリスト教徒(約700万人)と対峙している。5月8日の演説でサダトでさえ、彼らが自分たちの国家、エジプトにおける「第二の」キリスト教徒レバノンのようなものを欲しがるのではないかという懸念を表明した。

イスラエル以東のアラブ諸国はすべて、マグレブ諸国以上に内紛に巻き込まれ、分裂している。シリアは、強力な軍事政権が支配しているという点を除けば、基本的にはレバノンと変わらない。しかし、現在、多数派のスンニ派と少数派のシーア派アラウィー派(人口のわずか12%)との間で起きている内戦は、国内問題の深刻さを物語っている。

イラクはシーア派が多数を占め、少数派のスンニ派が支配しているが、本質的には隣接諸国と何ら変わりはない。人口の65%は政治に口を出さず、20%のエリートが権力を握っている。さらに北部にはクルド人の少数派が多く、支配体制の強さや軍隊、そして石油収入などがなければ、イラクの将来はかつてのレバノンや現在のシリアと変わらないだろう。内紛と内戦の種は、今日すでに明らかになっている。特に、イラクのシーア派が当然の指導者とみなすホメイニがイランで権力を握った後ではなおさらだ。

湾岸諸侯とサウジアラビアはすべて、石油しかない微妙な砂上の楼閣の上に成り立っている。クウェートでは、クウェート人は人口の4分の1しかいない。バーレーンではシーア派が多数派だが、権力を奪われている。UAEではシーア派が再び多数を占めるが、スンニ派が権力を握っている。オマーンや北イエメンも同様だ。マルクス主義の南イエメンでさえ、かなりのシーア派少数派がいる。サウジアラビアでは人口の半分が外国人、エジプト人、イエメン人だが、サウジアラビアの少数派が権力を握っている。

ヨルダンの実態はパレスチナ人であり、少数民族のヨルダン系ベドウィンが支配しているが、軍隊や官僚機構のほとんどはパレスチナ人である。実際のところ、アンマンはナブルスと同じくらいパレスチナ人だ。これらの国はすべて、比較的強力な軍隊を持っている。しかし、そこにも問題がある。現在のシリア軍はほとんどがスンニ派で、アラウィー派の将校団を擁しており、イラク軍はシーア派でスンニ派の指揮官を擁している。このことは長期的には大きな意味を持つ。だからこそ、唯一の共通項があるところ以外では、軍隊の忠誠心を長期間維持することはできないだろう: イスラエルに対する敵意、そして今日それさえも不十分である。

分断されたアラブと並んで、他のイスラム諸国も同じような苦境に立たされている。イランの人口の半分はペルシャ語を話す集団で、残り半分はトルコ系民族である。トルコの人口は、トルコ系スンニ派イスラム教徒が約50%を占め、1200万人のシーア派アラウィー教徒と600万人のスンニ派クルド人という2つの大きな少数派で構成されている。アフガニスタンには人口の3分の1を占める500万人のシーア派がいる。スンニ派のパキスタンには、国家の存続を危うくする1500万人のシーア派がいる。

モロッコからインドまで、ソマリアからトルコまで広がるこの民族的少数派の姿は、この地域全体が安定を欠き、急速に衰退していることを示している。この図式に経済的な図式が加わると、この地域全体がトランプの家のようになり、深刻な問題に耐えられなくなっていることがわかる。

この巨大で分断された世界には、少数の富裕層と大量の貧困層が存在する。アラブ人の大半の平均年収は300ドルである。エジプト、リビアを除くほとんどのマグレブ諸国、そしてイラクがそうだ。レバノンは引き裂かれ、経済はバラバラになりつつある。レバノンには中央集権的な権力はなく、事実上5つの主権当局(北部はシリア人の支援を受けフランジエ一族の支配下にあるキリスト教徒、東部はシリアが直接征服した地域、中央部はファランギストが支配するキリスト教徒の飛び地、南部とリタニ川までの大部分はPLOが支配するパレスチナ人地域、そしてキリスト教徒と50万人のシーア派からなるハダド少佐の国家があるだけだ。シリアはさらに深刻な状況にあり、リビアとの統合後に将来得られるであろう援助でさえ、存続と大規模な軍隊の維持という基本的な問題に対処するには十分ではない。エジプトは最悪の状況にある:数百万人が飢餓に瀕し、労働人口の半数が失業し、世界で最も人口密度の高いこの地域では住宅が不足している。軍隊を除いて、効率的に運営されている部署はひとつもなく、国家は恒常的な破産状態にあり、和平以来供与されているアメリカの対外援助に全面的に依存している。6

湾岸諸国やサウジアラビア、リビア、そしてエジプトには、世界最大の資金と石油が蓄積されているが、それを享受しているのは、いかなる軍隊も保証することのできない、幅広い支持基盤も自信も欠いている極小のエリートたちである。7 あらゆる装備を備えていてもサウジ軍は、国内外における真の危険から政権を守ることはできない。1980年にメッカで起きたことは、その一例にすぎない。イスラエルを取り囲む悲しく非常に荒々しい状況は、イスラエルに挑戦や問題、リスク、そして1967年以来初めてとなる遠大なチャンスをも生み出している。当時は逃したチャンスも、80年代には、現在では想像もできないような範囲や次元で実現可能になる可能性がある。

「和平」政策と領土返還は、米国への依存を通じて、われわれのために創造された新たな選択肢の実現を妨げる。1967年以来、イスラエルのすべての政府は、一方では狭い政治的ニーズに我々の国家目標を縛り付け、他方では、国内外での我々の能力を無力化する国内の破壊的な意見に縛り付けた。強制された戦争の過程で獲得した新領土のアラブ系住民に対する措置を講じなかったことは、6日間戦争の翌朝、イスラエルが犯した大きな戦略的過ちである。もしヨルダン川以西に住むパレスチナ人にヨルダンを与えていれば、それ以来の辛く危険な紛争を避けることができただろう。そうすることで、今日私たちが直面しているパレスチナ問題を無力化することができたはずであり、そのために私たちは、領土的妥協や自治といった、実際にはまったく解決策にならない解決策を見つけてきた。8 今日、私たちは突然、状況を徹底的に変革する絶好の機会に直面している。そしてこれが、私たちが今後10年間でやらなければならないことであり、それをしなければ、私たちは国として存続することはないだろう。

1980年代、イスラエルは、この新しい時代の世界的、地域的な挑戦に立ち向かうために、外交政策の根本的な変化とともに、国内の政治的、経済的体制において、広範囲に及ぶ変化を遂げなければならなくなる。スエズ運河油田を失い、地形学的にこの地域の豊かな産油国と同じであるシナイ半島の石油、ガス、その他の天然資源の莫大な潜在力を失うことは、近い将来エネルギーの枯渇を招き、国内経済を破壊することになる。現在のGNPの4分の1と予算の3分の1が石油の購入に充てられているのだ。9ネゲブや沿岸部での原料探しは、近い将来、この現状を変える役には立たないだろう。

シナイ半島の現在および潜在的な資源(を取り戻すこと)は、それゆえキャンプ・デービッド協定や和平協定によって妨害されている政治的優先事項である。その責任はもちろん、現イスラエル政府と、領土妥協政策への道を開いた1967年以降の連携政府にある。エジプト人は、シナイ半島返還後は平和条約を守る必要がなくなり、支援と軍事援助を得るために、アラブ世界とソ連に復帰するために全力を尽くすだろう。アメリカの援助が保証されるのはしばらくの間だけである。和平の条件と国内外でのアメリカの弱体化が、援助の縮小をもたらすからだ。石油と石油からの収入がなければ、現在の莫大な支出では、1982年を乗り切ることはできない。1979年3月にサダトがシナイを訪問し、サダトと誤った和平協定が結ばれる以前のシナイの状況に戻すために、われわれは行動しなければならない。10

イスラエルには、この目的を実現するために、直接的な方法と間接的な方法の2つの主要ルートがある。直接的な選択肢は、あまり現実的でない選択肢である。理由1)イスラエルの政権と政府の性格、そして理由2)1973年の戦争に次ぐ政権獲得以来の大きな功績であるシナイ半島からの撤退を実現させたサダトの知恵。経済的、政治的によほど追い詰められ、エジプトがイスラエルにシナイ半島を取り戻す口実を与えるようなことがない限り、イスラエルが一方的に条約を破棄することはないだろう。したがって、残された選択肢は間接的なものだ。エジプトの経済状況や政権の体質、そして汎アラブ政策は、1982年4月以降、イスラエルが長期的な戦略的や経済的、そしてエネルギー備蓄としてのシナイ半島の支配権を取り戻すために、直接的または間接的に行動せざるを得ない状況をもたらすだろう。エジプトは、その内部対立のために軍事戦略上の問題を構成しておらず、一日もかからずに1967年戦争後の状況に追い込まれる可能性がある。11

エジプトがアラブ世界の強力なリーダーであるという神話は1956年に崩れ去り、1967年は間違いなく生き残れなかったが、シナイ返還のような我々の政策は、神話を「事実」に変える役割を果たした。しかし現実には、1967年以降、イスラエルのみならずアラブ世界の他の国々と比べても、エジプトの国力は50%ほど低下している。エジプトはもはやアラブ世界をリードする政治勢力ではなく、経済的にも危機に瀕している。外国からの援助がなければ、危機は明日にでも訪れるだろう。12 短期的には、シナイ半島の返還により、エジプトはわれわれの負担でいくつかの利点を得るだろうが、それは1982年までの短期的なものであり、パワーバランスを有利に変えることはできず、おそらくは没落をもたらすだろう。現在のエジプトの国内政治は、死に体(しにたい)状態だ。イスラム教とキリスト教の対立が激化していることを考慮すれば、なおさらである。エジプトを領土的に明確な地域に分割することは、1980年代のイスラエルが西部戦線で目指した政治的目的である。

エジプトは病んだ多くの権威に分断され、引き裂かれている。もしエジプトが崩壊すれば、リビアやスーダン、あるいはもっと遠い国のような国々は、現在の形で存在し続けることはできず、エジプトの没落と解体に加わることになるだろう。今日まで中央集権的な政府を持たず、非常に局所的な権力を持つ数多くの弱小国家と並んで、上エジプトにキリスト教のコプト国家が存在するという構想は、和平合意によって後退させられただけで、長期的には避けられないと思われる歴史的発展の鍵である。13

表面的には問題が多いように見える西部戦線は、実は東部戦線よりも複雑ではない。レバノンの5つの州への完全な解体は、エジプトやシリア、イラク、そしてアラビア半島を含むアラブ世界全体の予兆であり、すでにその軌道をたどっている。シリアとイラクが後にレバノンのような民族的、宗教的に統一されていない地域に解体されることは、長期的には東部戦線におけるイスラエルの主要な目標であり、短期的にはこれらの国家の軍事力の解体が主要な目標である。シリアは、その民族的・宗教的構造に従って、現在のレバノンのようにいくつかの国家に分裂し、海岸沿いにはシーア派のアラウィー国家が、アレッポ周辺にはスンニ派国家が、ダマスカスには北隣国と敵対する別のスンニ派国家が、そしてドゥルーズ派はゴランやハウラン、ヨルダン北部にも国家を樹立するだろう。このような状態は、長期的にはこの地域の平和と安全を保証するものであり、その目標は今日すでに手の届くところにある。14

一方では石油が豊富で、他方では内部分裂しているイラクは、イスラエルの標的候補となることは確実だ。イラクの崩壊は、シリア以上に我々にとって重要である。イラクはシリアよりも強い。短期的には、イスラエルにとって最大の脅威となるのはイラクの力である。イラクとイランの戦争は、イラクを引き裂き、イラクがわれわれに対して広範な戦線で闘争を組織できるようになる前に、イラクの国内での没落を引き起こすだろう。あらゆる種類のアラブ間の対立は、短期的にはわれわれを助け、シリアやレバノンのようにイラクを宗派に分割するという、より重要な目的への道を縮めるだろう。イラクでは、オスマン帝国時代のシリアのように、民族・宗教に沿った州への分割が可能だ。つまり、3大都市を中心に3つ(あるいはそれ以上)の国家が存在することになる: バスラやバグダッド、そしてモースルの3大都市周辺には3つ(あるいはそれ以上)の国家が存在し、南部のシーア派地域はスンニ派とクルド人の北部から分離する。現在のイランとイラクの対立は、この二極化をさらに深める可能性がある。15

アラビア半島全体が、内外の圧力によって解体するのは自然な成り行きであり、特にサウジアラビアでは避けられない問題である。石油に基づく経済力が無傷のまま維持されるか、長期的に低下するかはともかく、現在の政治構造に照らせば、内部の亀裂と崩壊は明らかであり、自然な成り行きである。16

ヨルダンは、短期的には当面の戦略目標になるが、長期的にはそうではない。短期的には、ヨルダンが解体し、フセイン国王の長期にわたる支配が終わり、パレスチナ人に権力が移譲されても、長期的には真の脅威にはならないからだ。

イスラエルの政策は、戦争においても平和においても、現体制下のヨルダンを清算し、パレスチナ人多数派に権力を移譲することに向けられるべきである。ヨルダン川以東の体制を変えることは、ヨルダン川以西のアラブ人が密集する地域の問題を終結させることにもなる。戦争中であろうと平和な状況下であろうと、領土からの移住と領土における経済的な人口凍結は、ヨルダン川の両岸における来るべき変化を保証するものであり、私たちは、近い将来このプロセスを加速させるために積極的に行動すべきである。PLOの計画やイスラエル・アラブ人自身の計画(1980年9月のシェファアムル計画)を考えると、ヨルダン側にいるアラブ人とヨルダン川以西にいるユダヤ人の2つの国家を分離することなしに、この国に住み続けることは現状では不可能である。ヨルダンと海の間にユダヤ人の支配がなければ、自分たちの存在も安全もないことをアラブ人が理解したときにのみ、真の共存と平和がこの地に支配することになる。彼ら自身の国家と安全は、ヨルダンにおいてのみ彼らのものとなる。17

イスラエル国内では、67年の地域とその先の48年の地域との区別は、アラブ人にとっては常に無意味なものであり、今日ではもはや何の意味も持たない。この問題は、67年当時のような分け隔てなく、全体として捉えるべきである。将来、どのような政治状況や軍事体制になったとしても、土着のアラブ人の問題の解決は、ヨルダン川まで、そしてそれ以遠の安全な国境におけるイスラエルの存在を、この困難な時代、間もなく到来する核の時代における私たちの存立条件として、彼らが認めたときにのみもたらされることは明らかであろう。核時代には非常に危険な密集した海岸線に、ユダヤ人の4分の3を住まわせておくことは、もはや不可能である。

したがって、人口を分散させることは、最高度の国内戦略目標である。そうでなければ、われわれはいかなる国境においても存在しなくなる。ユダヤやサマリア、そしてガリラヤは、われわれの国家存続の唯一の保証であり、もしわれわれが山岳地帯で多数派にならなければ、われわれはこの国を支配することはできず、十字軍のように、もともと外国人であり、自分たちのものではなかったこの国を失うことになる。人口的、戦略的、そして経済的に国のバランスを取り戻すことが、今日の最高かつ中心的な目標である。ベエルシェバからガリラヤ上流に至る山岳地帯の分水嶺を掌握することは、今日ユダヤ人が誰もいないこの国の山岳地帯に定住するという主要な戦略的検討によって生み出された国家目標である。l8

東部戦線におけるわれわれの目標の実現は、まずこの内部戦略目標の実現にかかっている。この戦略目標を実現するための政治・経済構造の変革が、変革全体を達成する鍵である。政府が大きく関与する中央集権的な経済から、開放的で自由な市場へと転換し、米国の税金に依存する経済から、自らの手で真の生産的経済基盤を発展させる経済へと転換する必要がある。もし私たちがこの変化を自由かつ自発的に行うことができなければ、世界の発展、特に経済やエネルギー、政治の分野での発展、そしてイスラエルがますます孤絶することによって、この変化を押し進めるしかないだろう。l9

軍事的・戦略的な観点から見ると、米国を中心とする西側諸国は、ソ連の世界的な圧力に世界中で耐えることができず、イスラエルはそれゆえ、80年代には、軍事的・経済的ないかなる外国の援助も受けずに、単独で立ち向かわなければならないのであり、これは今日、われわれの能力の範囲内にあり、一切の妥協はない。20 世界の急激な変化は、世界のユダヤ人の状況にも変化をもたらし、イスラエルは最後の頼みの綱となるだけでなく、唯一の存続の選択肢となるだろう。米国のユダヤ人も、ヨーロッパやラテンアメリカの共同体も、将来も現在の形で存在し続けるとは考えられない。21

この国での我々の存在そのものは確かなものであり、武力でも裏切り(サダトの方法)でも、ここから我々を排除できる力はどこにもない。誤った「和平」政策とイスラエル・アラブ人および領土の問題の難しさはあるが、私たちは当面、これらの問題に効果的に対処することができる。
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最終所見
イスラエル・シャハク

このシオニストの中東計画が実現する可能性を理解するためには、3つの重要な点を明らかにしなければならない。

この計画の軍事的背景

この計画の軍事的条件については上に掲げたイーノンの論考では述べられていないが、イスラエル支配者層に対する非公開の会合で、この計画によく似たことが「説明」される機会が多く、この点が明らかにされている。イスラエルの軍隊は、そのあらゆる部門において、上述のような広い領土の実際の占領作業には不十分であると想定されている。実際、ヨルダン川西岸でパレスチナ人がひどく「不穏な状態」にあるときでさえ、イスラエル軍の兵力分布はあまりにも広がりすぎている。それに対する答えが、「ハダド部隊」や「村落協会」(「村落連盟」とも呼ばれる)によって統治する方法である。住民から完全に切り離された「指導者」の下にあるこれらの地方部隊は、封建的な組織や党の組織(たとえばファランヘ党*
のような組織)さえ持たない。イーノンが提案する「国家」とは、「ハダドランド」と「村社会」であり、その軍隊は間違いなく、よく似たものになるだろう。加えて、このような状況におけるイスラエルの軍事的優位は、現在よりもはるかに大きくなり、反乱のいかなる動きも、ヨルダン川西岸地区やガザ地区のように集団的屈辱によって、あるいは現在(1982年6月)のレバノンのように都市への砲撃と抹殺によって、あるいはその両方によって「処罰」されることになる。これを確実にするために、口頭で説明されたように、この計画では、必要な機動破壊力を備えたイスラエルの守備隊を、ミニ国家間の要所に設置することを求めている。実際、私たちはハダドランドでこのようなものを目にしてきたし、南レバノンでもレバノン全土でも、このシステムが機能する最初の例を間もなく目にすることになるだろう。
ファランヘ党*・・・レバノンにおけるキリスト教マロン派系の極右政党・民兵組織。正式名称はレバノン社会民主党である。現在の党首はサミー・ジュマイエル。 党名の「ファランヘ」は、スペインのファランヘ党と同様、ギリシャ語で大隊を意味するファランクスから採られたものである。アラビア語読みでカターイブ党と表記する。(ウィキペディア)

上記の軍事的前提や計画全体も、アラブ人が今以上に分裂し続け、彼らの間に真に進歩的な大衆運動が存在しないことに依存していることは明らかである。この2つの条件が取り除かれるのは、計画が十分に進んでからかもしれないし、予見できない結果を伴うかもしれない。

イスラエルでこの文書を公刊することが必要な理由

公刊の理由は、イスラエル・ユダヤ人社会の二面性にある: 自由と民主主義、とりわけユダヤ人のための自由と民主主義が、拡大主義と人種差別主義という二重構造になっているのだ。このような状況では、イスラエル系ユダヤ人のエリート(大衆はテレビやベギンの演説に従う)を説得しなければならない。上記のように、説得の第一歩は口頭で行われるが、それが不都合になる時が来る。より愚かな「説得者」や「説明者」(例えば中級将校で、通常、著しく愚かである)のために、文書資料を作成しなければならない。そして彼らは、多かれ少なかれ「それを学び」、他の人々に説教する。イスラエルは、そして20年代からのイシューブ(訳注:イスラエル建国前のパレスチナ地域におけるユダヤ人の共同体_ウィキペディア)さえも、常にこのように機能してきた。私自身、(「反対派」になる前の)1956年の戦争の1年前に、戦争の必要性が私や他の人々に説明され、1965年から67年にかけては、「機会があれば西パレスチナの残りの地域」を征服する必要性が説明されたことをよく覚えている。

そのような計画を公刊しても外部からの特別な危険は一切ないと仮定した理由は?

このようなリスクは、イスラエル国内の信念をもった反対勢力が非常に弱い限り(レバノン戦争の結果、状況は変わるかもしれない)、2つの情報源からもたらされる可能性がある: パレスチナ人を含むアラブ世界と米国である。アラブ世界はこれまで、イスラエル・ユダヤ人社会を詳細かつ合理的に分析する能力がまったくないことを示してきた。このような状況では、イスラエルの膨張主義(それは十分に現実的である)の危険性を叫ぶ人々でさえ、事実に基づいた詳細な知識のためではなく、神話を信じているためにそうしているのだ。その格好の例は、イスラエル国会の壁にあるとされる聖書の節に関する存在しない文字に対する非常に頑固な信念だ。もう1つの例は、何人かの重要なアラブの指導者によって行われたが完全に誤った宣言で、イスラエルの旗の青い2本のストライプがナイル川とユーフラテス川を象徴していると言うのだが、実際にはユダヤ教の祈りのショール(タリート)のストライプから取られている。イスラエルの専門家は、全体として、アラブ人は将来に関する真剣な議論に注意を払わないだろうと仮定しており、レバノン戦争はそれを証明した。なぜ彼らは他のイスラエル人を説得するための古い方法を続けないのだろうか?

アメリカでも、少なくともこれまでは、よく似た状況が存在していた。多少なりともまじめな論者は、イスラエルに関する情報や意見の多くを2つの情報源から得ている。ひとつは、「リベラル」なアメリカの新聞に掲載された記事で、ほとんどすべてがユダヤ人のイスラエル賛美者によって書かれたものである。(実際、彼らの中で「反スターリン主義者」とも主張する人々は、現実にはスターリンよりもスターリン主義者であり、イスラエルはまだ失敗していない彼らの神である)。このような批判的な崇拝の枠組みでは、イスラエルは常に「善意」を持ち、「過ちを犯す」だけであり、したがってそのような計画は議論の対象にはならない。もうひとつの情報源であるエルサレム・ポスト紙も同様の方針である。したがって、イスラエルが世界に対して本当に「閉ざされた社会」であるという状況が存在する限り、世界は目を閉じようとしているのだから、このような計画を発表し、実現し始めることさえ現実的であり、可能なのである。

イスラエル・シャハク、1982年6月17日 エルサレム

翻訳者について

イスラエル・シャハク(Israel Shahak)はエルサレムのヘブライ大学で有機化学を教える教授であり、イスラエル人権連盟の会長でもある。ヘブライ語新聞の主要記事を集めた『シャハク・ペーパーズ』を出版し、『ユダヤ国家の非ユダヤ人』など数多くの記事や著書がある。最新刊は『イスラエルの世界的役割』: 1982年にAAUGより出版。イスラエル・シャハク:(1933-2001)

原注
1. アメリカの大学フィールドスタッフ レポートNo.33、1979年 この調査によると、世界の人口は2000年には60億人になるという。現在の世界人口の内訳は以下の通りである: 中国は9億5800万人、インドは6億3500万人、ソ連は2億6100万人、アメリカは2億1800万人、インドネシアは1億4000万人、ブラジルと日本はそれぞれ1億1000万人である。国連人口基金が1980年に発表した数字によれば、2000年には人口500万人以上の都市が50になるという。その時、第三世界の人口は世界人口の80%を占めることになる。米国国勢調査局のジャスティン・ブラックウェルダー局長によれば、世界人口は飢餓のために60億人に達しないという。

2. ソ連の核政策は、2人のアメリカ人ソビエト学者によってよくまとめられている: ジョセフ・D・ダグラスとアモレッタ・M・ホーバー『ソ連の核戦争戦略』(スタンフォード、カリフォルニア州、フーバー研究所出版局、1979年)である。ソ連では、核戦争に関するソ連のドクトリンを詳述した記事や書籍が毎年何十、何百と出版されており、英語に翻訳され、米空軍によって出版された文書も大量にある: 米空軍:戦争と陸軍に関するマルクス・レーニン主義:ソビエトの見解」モスクワ、1972年、;米空軍:ソビエト国家の軍隊」モスクワ、1975年、A.グレチコ元帥著。この問題に対するソ連の基本的な考え方は、1962年にモスクワで出版されたソコロフスキー元帥の著書に示されている: V. D. ソコロフスキー元帥『軍事戦略、ソ連のドクトリンと概念』(ニューヨーク、プレーガー、1963 年)。

3. 世界のさまざまな地域におけるソ連の意図は、ダグラスとヘーバーの著書(同書)から描くことができる。その他の資料としては マイケル・モーガン、『将来における戦略兵器としてのソ連の鉱物』、国防と外交、ワシントンD.C. 1979年12月。

4. セルゲイ・ゴルシコフ艦隊提督『シーパワーと国家』ロンドン、1979年。Morgan, loc. cit. ジョージ・S・ブラウン大将(米空軍)空軍大将(C-JCS)、1979年度の米国の防衛態勢に関する議会への声明、103頁;国家安全保障会議、非燃料鉱物政策の見直し、(ワシントンD.C.、1979年);ドリュー・ミドルトン、ニューヨーク・タイムズ、(9/15/79);タイム、9/21/80。

5. エリー・ケドゥーリ『オスマン帝国の終焉』(『現代史研究』第3巻第4号、1968年)。

6. Al-Thawra, Syria 12/20/79, Al-Ahram, 12/30/79, Al Ba'ath, Syria, 5/6/79. アラブ人の55%が20歳以下、70%がアフリカ在住、15歳以下のアラブ人の55%が失業中、33%が都市部在住、オデッド・イノン「エジプトの人口問題」『季刊エルサレム』第15号、1980年春。

7. E. Kanovsky『アラブの持てる者と持たざる者』季刊エルサレム第1号、1976年秋、シリア、アル・バース、79年5月6日。

8. イツハク・ラビン元首相はその著書の中で、67年6月以降の中東におけるアメリカの政策設計はイスラエル政府に責任があると述べている。なぜなら、イスラエル政府は領土の将来について優柔不断であり、決議242号の背景を作り、その12年後にはキャンプ・デービッド合意やエジプトとの和平条約を結んで以来、その立場には一貫性がなかったからである。ラビンによれば、1967年6月19日、ジョンソン大統領はエシュコル首相に書簡を送り、その中で新領土からの撤退については何も触れていなかったが、まさに同日、政府は和平と引き換えに領土を返還することを決議したという。ハルツームでのアラブ決議(67年9月1日)の後、政府は立場を変更したが、6月19日の決定に反して米国には通知せず、米国はイスラエルが領土を返還する用意があるという以前の理解に基づいて、安保理で242を支持し続けた。この時点ですでに、米国の立場とイスラエルの政策を変えるには遅すぎた。ここから、後にキャンプ・デービッドで合意されたように、242条に基づく和平協定への道が開かれたのである。イツハク・ラビンを参照。Pinkas Sherut, (Ma'ariv 1979) pp.

9. 外交・防衛委員会委員長のモシェ・アレンス教授は、インタビュー(Ma'arriv,10/3/80)で、イスラエル政府はキャンプ・デービッド合意前に経済計画を準備することができず、合意の代償に驚いたと主張した。

前財務大臣のイーガル・ホルヴィッツ氏は、油田からの撤退がなければ、イスラエルは国際収支がプラスになっていたと述べた(80年9月17日)。その同じ人物が、その2年前に、(自分が撤退した)イスラエル政府が自分の首に縄をかけたと言ったのだ。彼はキャンプ・デービッド協定に言及していた(Ha'aretz, 11/3/78)。和平交渉の全過程において、専門家も経済アドバイザーも相談に乗らず、経済学の知識も専門知識もない首相自身が、誤った主導権によって、われわれへの尊敬と米国のわれわれに対する尊敬を維持したいという希望から、われわれに無償ではなく融資を行うよう米国に要請した。Ha’aretz79年5月1日号参照。Jerusalem Post, 9/7/79. 財務省の上級コンサルタントだったアサフ・ラジン教授は、交渉の進め方を強く批判した(Ha'aretz, 5/5/79. Ma'ariv, 9/7/79. 油田とイスラエルのエネルギー危機に関する問題については、これらの問題に関する政府顧問エイタン・アイゼンバーグ氏とのインタビュー(Ma'arrive Weekly, 12/12/78)を参照。キャンプ・デービッド協定とスデ・アルマの避難に自ら署名したエネルギー相は、それ以来、石油供給の観点から見たわが国の状況の深刻さを何度も強調している(Yediot Ahronot, 7/20/79参照)。モダイ・エネルギー相は、キャンプ・デービッドとブレア・ハウスの交渉中、政府は石油の問題についてモダイにまったく相談しなかったとさえ認めている。Ha'aretz, 8/22/79.

10. 多くの情報源は、エジプトにおける軍備予算の増大と、和平が得られたとされる国内需要よりも平和時代の予算で軍を優先させる意図について報告している。マムドゥ・サラーム元首相の77年12月18日のインタビュー、アブド・エル・サイエ財務相の78年7月25日のインタビュー、和平にもかかわらず軍事予算が最優先されることを明確に強調した78年12月2日付のアル・アクバル紙を参照のこと。これは、ムスタファ・ハリル元首相が78年11月25日に国会に提出した内閣のプログラム文書の中で述べていることである。英訳、ICA, FBIS, Nov. 27. 1978, pp.

これらの情報源によると、エジプトの軍事予算は1977年度から1978年度にかけて10%増加し、そのプロセスは現在も続いている。サウジアラビアの情報筋によると、エジプトは今後2年間で軍事予算を100%増やす計画だという。

11. ほとんどの経済予測は、1982年までにエジプトが経済再建を果たせるかどうかに疑問を投げかけていた。経済情報ユニット(Economic Intelligence Unit)1978年補遺「エジプト・アラブ共和国」参照; エドワード・カノフスキー(E. Kanovsky)「中東における最近の経済動向」(Occasional Papers, The Shiloah Institution, June 1977); カノフスキー「60年代半ば以降のエジプト経済、ミクロ部門」(Occasional Papers, June 1978); ロバート・マクナマラ(Robert McNamara)世界銀行総裁(Times, London, 1/24/78.

12. ロンドンの戦略研究所の研究者による比較参照。この研究はテルアビブ大学戦略研究センターで発表されたもの。および英国の科学者デニス・チャンプリンによる研究(Military Review, Nov. 1979, ISS: The Military Balance 1979-1980, CSS; Security Arrangements in Sinai...by Brig. Gen. (Res.) A Shalev, No.3.0 CSS; The Military Balance and the Military Options after the Peace Treaty with Egypt, by Brig. Gen. (Res.) Y. Raviv, No.4、 1978年12月、およびEl Hawadeth, London, 3/7/80; El Watan El Arabi, Paris, 12/14/79を含む多くの報道なども参照のこと。

13. エジプトにおける宗教的混乱とコプト教徒とイスラム教徒の関係については、クウェート紙El Qabas(80年9月15日付)に掲載された一連の記事を参照のこと。イギリス人作家アイリーン・ビーソン(IreneBeeson)は、イスラムとコプトの間の軋轢について報告している: Irene Beeson, Guardian, London, 6/24/80, and Desmond Stewart, Middle East Internmational, London 6/6/80. その他の報道については、Pamela Ann Smith, Guardian, London, 12/24/79; The Christian Science Monitor 12/27/79; Al Dustour, London, 10/15/79; El Kefah El Arabi, 10/15/79を参照のこと。

14. Arab Press Service, Beirut, 8/6-13/80. The New Republic, 8/16/80, Der Spiegel as cited by Ha’aretz, 3/21/80, and 4/30-5/5/80; The Economist, 3/22/80; Robert Fisk, Times, London, 3/26/80; Ellsworth Jones, Sunday Times, 3/30/80.

15. J.P. Peroncell Hugoz, Le Monde, Paris 4/28/80; Dr. Abbas Kelidar, Middle East Review, Summer 1979;
Conflict Studies, ISS, July 1975; Andreas Kolschitter, Der Zeit, (Ha’aretz, 9/21/79) Economist Foreign Report, 10/10/79, Afro-Asian Affairs, London, July 1979.

16. Arnold Hottinger, “The Rich Arab States in Trouble,” The New York Review of Books, 5/15/80; Arab Press Service, Beirut, 6/25-7/2/80; U.S. News and World Report, 11/5/79 as well as El Ahram, 11/9/79; El Nahar El Arabi Wal Duwali, Paris 9/7/79; El Hawadeth, 11/9/79; David Hakham, Monthly Review, IDF, Jan.-Feb. 79.

17. As for Jordan’s policies and problems see El Nahar El Arabi Wal Duwali, 4/30/79, 7/2/79; Prof. Elie Kedouri, Ma’ariv 6/8/79; Prof. Tanter, Davar 7/12/79; A. Safdi, Jerusalem Post, 5/31/79; El Watan El Arabi 11/28/79; El Qabas, 11/19/79. As for PLO positions see: The resolutions of the Fatah Fourth Congress, Damascus, August 1980. The Shefa’amr program of the Israeli Arabs was published in Ha’aretz, 9/24/80, and by Arab Press Report 6/18/80. For facts and figures on immigration of Arabs to Jordan, see Amos Ben Vered, Ha’aretz, 2/16/77; Yossef Zuriel, Ma’ariv 1/12/80. As to the PLO’s position towards Israel see Shlomo Gazit, Monthly Review; July 1980; Hani El Hasan in an interview, Al Rai Al’Am, Kuwait 4/15/80; Avi Plaskov, “The Palestinian Problem,” Survival, ISS, London Jan. Feb. 78; David Gutrnann, “The Palestinian Myth,” Commentary, Oct. 75; Bernard Lewis, “The Palestinians and the PLO,” Commentary Jan. 75; Monday Morning, Beirut, 8/18-21/80; Journal of Palestine Studies, Winter 1980.

18. Prof. Yuval Neeman, “Samaria–The Basis for Israel’s Security,” Ma’arakhot 272-273, May/June 1980; Ya’akov Hasdai, “Peace, the Way and the Right to Know,” Dvar Hashavua, 2/23/80. Aharon Yariv, “Strategic Depth–An Israeli Perspective,” Ma’arakhot 270-271, October 1979; Yitzhak Rabin, “Israel’s Defense Problems in the Eighties,” Ma’arakhot October 1979.

19. Ezra Zohar, In the Regime’s Pliers (Shikmona, 1974); Motti Heinrich, Do We have a Chance Israel, Truth Versus Legend (Reshafim, 1981).

20. Henry Kissinger, “The Lessons of the Past,” The Washington Review Vol 1, Jan. 1978; Arthur Ross, “OPEC’s Challenge to the West,” The Washington Quarterly, Winter, 1980; Walter Levy, “Oil and the Decline of the West,” Foreign Affairs, Summer 1980; Special Report–“Our Armed Forees-Ready or Not?” U.S. News and World Report 10/10/77; Stanley Hoffman, “Reflections on the Present Danger,” The New York Review of Books 3/6/80; Time 4/3/80; Leopold Lavedez “The illusions of SALT” Commentary Sept. 79; Norman Podhoretz, “The Present Danger,” Commentary March 1980; Robert Tucker, “Oil and American Power Six Years Later,” Commentary Sept. 1979; Norman Podhoretz, “The Abandonment of Israel,” Commentary July 1976; Elie Kedourie, “Misreading the Middle East,” Commentary July 1979.

21. Ya'akov Karoz, Yediot Ahronot, 10/17/80 が発表した数字によると、1979年に世界で記録された反ユダヤ主義的事件の総計は、1978年に記録された金額の2倍であった。ドイツ、フランス、イギリスでは、この年の反ユダヤ主義事件の数はその何倍もあった。アメリカでも、この記事で報告された反ユダヤ主義事件が急増している。新しい反ユダヤ主義については、L. Talmon, "The New Anti-Semitism," The New Republic, 9/18/1976; Barbara Tuchman, 『彼らが井戸に毒を入れた(They poisoned the Wells』 Newsweek 2/3/75 を参照。
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COVID大流行に関して聞かされてきた17の嘘

<記事原文 寺島先生推薦>
Seventeen Covid Pandemic Lies We’ve Been Told
筆者:リチャード・ゲイル(Richard Gale )とガリー・ナル(Gary Null)博士
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年10月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月22日





 武漢でSARS-CoV-2ウイルスが発生して以来、この3年10カ月を振り返ってみると、世界はジェットコースターのように、何が、どのように、そしてなぜ起こったのかについて、対立する言説の間で引き裂かれてきた。

 世界保健機関(WHO)や各国政府の保健省が作成した公式見解を広める人々からすれば、その見解に異論を挟む医学関係者は、偽情報を広める「インフォデミック(偽情報ウイルス拡散者)」であり、「公衆衛生を守る公式政策で提示されている対策や科学的根拠を批判している」、と非難の対象となっていた。

 塀の反対側では、反対意見をもつ医学者たちが、「プランデミック(画策された情報拡散)」の可能性を指摘していた。これらの人々の主張では、このパンデミックは前もって計画され、でっち上げられたものであり、このウイルス流行を利用して、隠された動機や目的を達成しようとしている、とのことだった。

 「インフォデミック」か「プランデミック」かという議論はさておき、いま確実に分かることは、この3年余りの間に連邦政府の保健当局者や主要報道機関が私たちに語ったことの多くが、明らかに虚偽であり、事実ではなかったということだ。

 いま振り返ってみると、それはきっちりとした科学的事実に基づいた公衆衛生戦略ではなく、場当たり的な考えと希望的観測の垂れ流しに過ぎなかった。

 であるので、米国民が信じ込むように洗脳された、最も重大な誤り、そしておそらく意図的な嘘の数々を、簡単な分析とともに列挙し、これらのパンデミック神話に終止符を打つ証拠を以下に提示する。

[第1の嘘]
COVID-19陽性者の隔離とソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保がパンデミックを抑制する


 COVID-19のパンデミックを抑制するために、連邦保健機関が国内の大規模なロックダウンを決定したことは、米国史上最大の政策的失敗のひとつかもしれない。というのも、科学的データに裏打ちされたものではなく、それを正当化する歴史的な前例もなかったからだ。

 このロックダウンは経済と中小企業に壊滅的な打撃を与え、その多くが倒産に追い込まれた。そして、2020年5月末までに、3600万人の米国民が失業した。

 国民の精神的、肉体的健康は急激に悪化した。世界大恐慌でさえ、国民経済をここまで破壊するには、数年かかった。しかし、このロックダウンでは数ヶ月でそうなった。

 ロックダウンや企業や学校の閉鎖が愚かな政策であることに早くから気づいていた国々もあった。2020年8月、感染症の専門家であり英国政府の医療顧問であったマーク・ウールハウス氏は、英国のロックダウン措置を「パニックに陥った対策としか言えない......他にもっといい方法が思いつかなかっただけだ」と断じた。彼はロックダウン措置はCOVID-19ウイルスよりも大きな害をもたらすという正しい予測をおこなっていた。

 事実が分かれば驚く人も多いだろうが、ロン・ポール研究所の調査によれば、「社会的距離」を置く根拠となる疑似科学は、2006年、アルバカーキの15歳の高校生が科学博覧会へ出した研究に、彼女の父親である政府雇用の科学者が手を加えた研究に端を発しているという。

 このコンピューター上の演習を使った研究は、どうすれば生徒同士が感染症に感染するのを防ぐことができるだろうか、について調べたものだった。こうして社会的距離という仮説が生まれた。この少女の父親がもつコネか何かにより、彼女の研究が米・国土安全保障省に持ち込まれた。2007年、ブッシュ政権下のCDC(米国疾病予防管理センター)は、社会的距離を置くことを公式方針とした。

 それ以外に、パンデミック時に、ロックダウンや社会的距離を置く措置が現実的な影響を与えることを示唆する科学的根拠はまったくない。また、スウェーデンのルンド大学の研究者たちが『ネイチャー』誌に発表した、「ロックダウン政策を正当化するために研究資金を提供しようとする政府の努力は、根本的な欠陥がある」という論文により、その誤りが暴かれた。

 同様に、グレート・バリントン宣言*の署名者らや世界的に有名な医学統計学者ジョン・イオアニディスなど、スタンフォード大学の科学者が10カ国のロックダウン措置を検証したところ、ロックダウン措置による利点はなく、スウェーデンや韓国など、ロックダウン措置が最も緩やかに取られた国々の方が蔓延阻止に良い結果を出した、と結論づけられた。
*2021年10月に米国で発表された、ロックダウン措置など各国保健当局による対COVID措置に異議を唱える宣言

 実際、ロックダウンがもたらす影響には、精神発達の阻害なども含まれ、社会にはるかに有害な影響を与える可能性がある。

[第2の嘘]
子どもたちを守るために休校措置を取らなければならない




 厳格なロックダウン措置と公共施設の閉鎖措置がもたらした最も不愉快な結果のひとつは、子どもたちの教育の混乱だった。学校を閉鎖する理由に科学的根拠はなく、早計な恐怖に基づくものだけだった。

 米国以外では、パンデミックの初期に、保健当局は、以前考えられていたほど子どもたちがSARS-CoV-2に感染したり、拡散したりする可能性は高くないことに気づいた。スウェーデンでは学校が閉鎖されることはなく、子どもたちの間でCOVID-19感染が急増することもなかった。

 カナダでは、複数の専門医療機関を代表する科学者研究団が、保育園や学校の校舎内や校庭などでの課外活動において、子どもたちのウイルス感染能力を調査した。これらの研究者たちは、対面の授業や屋外活動を制限したとしても、子どもたちや大人の職員らに危険はない、と結論づけた。

 また、mRNAワクチンを小児に接種する必要性を裏付ける証拠に基づく基礎数値もなかった。2020年3月から12ヶ月間の英国全土における全入院者とCOVID-19による死亡を分析した大規模研究では、18歳未満の死亡はわずか25例しか報告されていない。

 死者の半数が重度の合併症や、経管栄養などの複雑な医療手当を必要とする障害を抱えており、死者の割合は青少年100万人あたり2人であった。この割合は、CDCによる小児用ワクチン定期接種計画に指定されている通常のワクチンで毎年死亡する子どもたちの数をはるかに下回っている。

[第3の嘘]
フェイス・マスクがウイルスの拡散を防ぐ

 パンデミックの初期段階において、おそらく最も奇妙な偽善のばら撒きは、米国の医師アンソニー・ファウチによる、ウイルス感染を減らすためのフェイス・マスクの重要性に関する発言が矛盾の連続であったことだった。当初、テレビ番組『60ミニッツ』に出演したファウチは、「マスクをして歩き回る理由はなく」、「予期せぬ結果を生むだけだ」と言っていた。

 これは真実の発言であり、マスクが本質的に役に立たないことを示す、数十年前にさかのぼる査読済みの研究が数多く存在する。それなのに、その後2020年7月、ファウチは正反対のことを宣告したのだ。つまり、「私たちは人々にマスクを常に着用してもらおうと努めています」と。

 ファウチのこの手のひら返し的発言は、ヒドロキシクロロキンの処方に厳しく反対した際のもので、その代わりにマスクを推進するためであった。その後、ファウチはマスクの予防効果を再度否定し、その後に再びマスクの有効性を強調しなおした。

 査読を受けた研究は170を超える。可能な限りマスクを避ける理由はたくさんある。鼻腔内にウイルスが濃縮され、嗅覚器官や最終的には脳の血液中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度の異常な上昇(高度二酸化炭素血症)や低酸素症に伴う頭痛などが生じる危険性があるとされている。

 がん細胞は低酸素環境を好んで増殖するため、これは心臓病患者やがん患者にとって特に危険な状況となる。また、マスクを長時間着用すると、コロナウイルスだけでなく、一般的なウイルスの濃度が上昇する。ウイルス過多は、主に免疫系細胞から分泌されるサイトカインというタンパク質の暴走を引き起こし、深刻な自己免疫疾患の引き金になる可能性がある。

[第4の嘘]
SARS-CoV-2ウイルスにより、どんな人も危険にさらされる


 国際社会に流布されている情報では、SARS-CoV-2ウイルスによってすべての人の健康が危険にさらされていることが強調されたが、保健当局は生存率が99%もある事実を認めている。スタンフォード大学の疫学者ジョン・イオアニディス氏の計算によるとは、70歳以下の平均死亡率は0.07%であるという。

 実際、後にスイスの政策研究所が発表したCOVID-19の致死率に関する研究の結論は、COVIDの死亡年齢の中央値は、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、ドイツなど、ほとんどの先進国の平均寿命よりも高い、とされた。

 さらに、COVID関連死亡者の大部分には、少なくとも1つの重篤な合併症があった。イタリアの研究では、COVIDによる死亡例の99%以上がそうであった。そして、ほとんどの症例は高齢者介護施設や病院にいる病弱な患者であった。その結果、COVID-19により過剰死亡率が拡大した事実はなかった。

[第5の嘘]
PCR検査はSARS-2-CoV感染を確認する最も正確な方法である。



 念頭に入れておくべき重要な点は、PCR検査がSARS-CoV-2ウイルスの検知に広く使用され始めた当時、PCRを少しでも正確に運用するためには、定量化されたウイルス分離株が必要であったことである。この理由のため、COVIDウイルスを診断するためのPCRの使用が、FDAから緊急使用許可を得たのである。

 PCR検査法はSARS-CoV-2感染を検査するための「黄金律」とされているが、実は診断のために設計されたものではない。PCR検査法の発明者であるノーベル賞受賞者のキャリー・マリス氏は、「PCR検査法は......病気であるとか、感染により害を受けているとか、そういうことを検知できるものではない」と述べている。

 さらに、「PCR検査法は信頼できない」とされてきた長い歴史がある。例えば、ある中国の研究では、同日に同じ患者が検査しても違う結果が出たことが観察されている。さらに、COVID-19ワクチンが発売されるまでは、PCR検査の増幅に必要な回転数が35~40サイクルという高い閾値に設定されていた。

 米国の検査施設では、この回転数を45に設定しているところもあるが、そうなると確実に偽陽性の割合は非常に高くなる。アンソニー・ファウチでさえ、35以上の回転数は「ほとんど培養不可能(なものさえ検知できる)」ことを認めている。別の言い方をすれば、「不十分な数のウイルスであっても、培養に足る程度まで増幅し単離できる」ということだ。

 2021年下旬になってようやく、PCR検査がCOVID-19の感染率が高いという幻想を維持するという意図で設定された目的のために長らく利用されたあとで、各国がPCR検査を取りやめ、もっと正確ですぐに結果がでる別の検査に切り替え始めた。 実際、PCRを二次確認検査として利用することも、少なくなった。

 2021年12月31日、CDCはついに、PCR検査ではインフルエンザとCOVID-19ウイルスを区別して検知できないことを認めた。『フィジシャンズ・ウイークリー(Physician’s Weekly)』誌に掲載された研究記事によると、CDCはこの検査キットにはしばしば不具合が生じ、偽陽性を出してしまう製造上の欠陥があることを承知していたという。

 しかし、カイザー財団*によると、PCR検査は個人診療所や病院にとっては巨額の儲け口になったそうだ。このPCR検査が、パンデミックが始まってからの最初の2年のあいだずっと完全に間違った使い方をされていて、偽陽性が天文学的数字で生み出され、このウイルスの深刻度や拡散具合が、本当の姿からかけ離れたもののように捉えられることになったにも関わらずである。
*サンフランシスコに拠点を置く米国の非営利団体。医療政策に関する調査を中心におこなっている。

 アボット社やロシュ社の検査装置のように、もっと廉価でより優れた装置もあった。これらの装置は一回の検査あたり25ドルもかからない。いっぽう、欠陥のあるこのPCR検査は一回で平均90ドルもした。一回の検査に1400ドルもかかった病院もあったという。

 まとめると、PCR検査に基づいて計上されたパンデミック統計率は無意味であったということだ。 また、無症状であったのに、WHOの指針により「感染者」とされた事例が陽性の75%以上も占めていた。このような状況のせいで、SARS-2ウイルスが広く蔓延しているという認識が強化されたのだ。

[第6の嘘]
COVID-19ワクチンの緊急使用許可が求められたのは、SARS-2ウイルスに有効な薬品が存在しなかったからだ


 COVID-19感染症の治療に成功する有効な薬や治療法がないと言われていた米国とは異なり、海外では利用可能な薬や栄養素の研究や臨床応用が盛んに行われていた。

 WHOが世界的大流行を宣言する前の2020年1月下旬から2月上旬にかけて、中国政府がオランダ企業に50トンのビタミンCを発注し、武漢に納品していたことを、欧米の一般市民はほとんど知らない。

 2月9日から、病院はビタミンCの積極的な臨床試験を開始し、その1週間後、中国政府はビタミンCをCOVID-19感染症の治療に公式に推奨することにした。日本や韓国を含む他のアジア諸国もこれに続いた。その後まもなく、中国はヒドロキシクロロキンを推奨治療薬のひとつに加えた

 米国内では、2020年3月の時点で、SARS-2を標的とする抗ウイルス作用のある薬剤を見つけることに専心する救急医たちがいた。患者を隔離し、最後には入院させるという政府の勧告は成功の兆しをまったく見せず、死亡率を高めているだけだった。

 したがって、米国が国民一人当たりのCOVID-19死亡率の高さで世界の先頭を走っていたことは驚くにはあたらない。また効果的な薬となりそうな候補はたくさんあった。例えばヒドロキシクロロキン(HCQ)やイベルメクチンもだし、さらにはアジア諸国が利用していたビタミンCやビタミンD、亜鉛などの栄養素もそうだった。

 連邦保健機関が既存薬の再利用を認めなかった理由はただ一つ。もしCOVID-19感染症の治療に成功する既存薬や治療法があれば、FDAは製薬会社の供給経路にあるmRNAワクチンや高価な新製薬に緊急使用許可を与えることはできなかったからだ。

[第7の嘘]
COVID-19陽性者の隔離と人工呼吸器が唯一の信頼できる治療法だ


 2020年末にCOVID-19ワクチンが発売される以前は、連邦保健当局が推奨する唯一の治療法は、COVID陽性者の隔離することと、重症で入院した患者らに人工呼吸器を施すことのみであった。

 バージニア州にあるイノーバ・フェアファックス病院は、2020年11月にプロス・ワン(PLoS One)誌に発表した論文で、「無理に人工呼吸器を付けさせられたCOVID-19患者の死亡率は高く、特に高齢の患者では、十分設備が整っている医療機関においても、大変な死亡率が見られる」と報告した。

 最も感染しやすい70歳以上の患者の死亡率は84%であった。実際、人工呼吸器によって感染症が治癒したことは一度もない。にもかかわらず、政府保健機関やWHOは、重篤なCOVID-19症例に必要な医療介入として人工呼吸器を推奨し、世界的流行の初期において、人工呼吸器を施された患者は、全入院患者の86%にまで上昇した。

 ヒドロキシクロロキンやイベルメクチンといった再利用薬を使った治療の成功率の高さを示す医学的根拠が、世界中の科学雑誌に発表されつつあったにもかかわらず、政府は人々の命を救うために何もせず、ワクチンが利用できるようになるまで、効果のないことが証明された製薬を推奨し続けた。

 さらに、長期の人工呼吸には、記憶喪失、筋力低下、睡眠障害などの深刻な副作用がある。各種文献を検討した医療ニュースサイトWebMDの医学欄編集長の推定では、人工呼吸を受けた患者の4~5割が死亡した、という。

[第8の嘘]
ヒドロキシクロロキンは効果もなく危険な薬品だ



 FDAが承認する別の医薬品が普及していたなら、薬剤品や医療行為に緊急使用許可(EUA)がおりることはあり得なかっただろう。試薬品が明らかに重要な効果を示しているのであれば、話は別だが。EUA(緊急使用許可)がおりた製品にさらに求められることは、患者のインフォームド・コンセント(医療行為に対する同意)だ。

 したがって、アンソニー・ファウチなどの医療行政当局者は、COVID-19ワクチンのEUAの地位に異議を唱えることができる先行医薬製品がないことを確認し、連邦政府による評価を制限したまま規制プロセスを通過させることを保証した。

 連邦保健当局がヒドロキシクロロキン(HCQ)をCOVID-19の患者の治療薬に推奨することを拒んだことについては、意図的な不法行為である、という説明しかありえない。2020年2月、中国国家衛生保健委員会は、ヒドロキシクロロキンを、軽症・中等症・重症のSARS-2症例の治療において、非常に効果のある薬として治療指針に入れた。

 パンデミック期をとおして、中国におけるCOVID-19の致死率は、米国や米国の対策を後追いしたほとんどの欧州諸国よりもずっと低かった。パンデミックの初期においては、ニューヨークの故ウラジーミル・ゼレンコ氏のような医師たちがすぐにいい評判を得たのは、HCQと抗体アジスロマイシン、亜鉛を組み合わせた治療を患者らに施したからだった。このような治療法はファウチが唱えていた、社会的距離をとり、隔離するだけしかない治療法を、直接に脅かすものだった。

 イースタン・バージニア医科大学のポール・マリック博士やピエール・コリー博士を含む他の医師たちも同様にHCQを採用し、大成功を収めた。しかし、パンデミックの最初の数年間を通じて、主要メディアは「効果的な治療法を見つけるには数ヶ月を要する」と国民に注意を喚起し、ファウチの何もしない戦略を宣伝し続けた。

 CDCが意図的にHCQを無視し、否定する理由はまったくない。現在までにHCQの有効性を評価した研究は430件以上あり、その大半は無作為比較試験で、特に初期治療において死亡率を72%減少させるという、この薬品の有効性を証明している。

[第9の嘘]
イベルメクチンは、効果がなく、危険な薬品だ



 ヒドロキシクロロキンと同様に、イベルメクチンもCOVID-19ワクチンと将来の新規抗COVID薬に対する第2の脅威となった。イベルメクチンは抗寄生虫薬として1980年代初頭に初めて市場に導入された。

 しかしその後、鳥インフルエンザ、ジカ熱、デング熱、HIV、西ナイル熱、黄熱病、チクングニア熱、初期の重症呼吸器コロナウイルスなど、さまざまなRNAウイルスに対して幅広い抗ウイルス特性を持つことが確認された。2020年4月までには、この薬品が48時間以内にSARS-CoV-2ウイルスを殺す働きがあるという強力な証拠が示された。

 そのため、救急治療医らがイベルメクチンを患者らに処方したがったことは当然のことだった。というのも、隔離や人工呼吸器はうまくいっていなかったからだ。しかし、アンソニー・ファウチが主導していた政府保健当局関連の取り組みにより、人々のあいだには恐怖がばらまかれた。具体的には、この薬品は動物の寄生虫駆除の薬であるという偽情報が拡散されたのだ。

 企業メディアは絶えることなく政府の言い分を繰り返し報じた。イベルメクチンは医療史において最も長きにわたり安全な性質をもっているとされた薬品のひとつであり、世界の35億人以上の人々に処方されてきたにも関わらず、である。 HCQもイベルメクチンも、世界保健機関が定める重要な薬品一覧に記載されている。

 イベルメクチンは、SARS-2感染の全過程において、予防薬として85%、早期治療で62%、後期治療で41%の改善という、目覚しい成功率を示している。

 225件のイベルメクチン研究のうち175件は査読を受けており、99件はイベルメクチン治療群と対照群を比較した臨床試験である。51の研究で、イベルメクチンは全死亡率を平均55%低下させることが示されている。22カ国が早期治療にイベルメクチンを正式に採用している。

[第10の嘘]
レムデシビルはCOVID-19感染に対する特効薬である




 ヒドロキシクロロキンとイベルメクチンを使った治療に効果が出ており、FDAの承認がないなかでCOVID-19の治療薬として普及していたにもかかわらず、連邦諸機関はSAR-2ウイルス完成に対応した新薬の製造を待ち続けていた。

 ギリアド社のレムデジビルが緊急使用許可の認定を受けたのは、2020年5月のことであり、正式に売り出されたのは10月下旬のことだった。その間(かん)、何万人もの米国民が亡くなってしまった。既存の薬で救われたであろう命が奪われたのだ。この薬品の安全性や効果について、FDAからの適切な再調査を受けないなかで、レムデジビルはCOVID-19感染の特効薬としてもてはやされた。

 しかし、レムデジビルの効果というものはとんでもないものだ。レムデジビルの効用を見極める60件の論文が出されているが、この薬に少し効果があるという結論を出したのはたった22件だけだった。レムデジビルのウイルス・クリアランス*はたったの10%にすぎない。この病気の末期の重症についてのウイルス・クリアランスも同じようにひどい結果(9%)だった。
*ウイルスの不活化や除去能力を評価する試験

 レムデジビルが抑えることのできる致死率はたったの11%しかなく、逆に入院を防ぐ効果は負の結果(-5%)が出た。さらに、レムデジビルには急性腎不全を招く深刻な危険がある。

[第11の嘘]
COVID-19ワクチンの効果は95%もある


 ファイザー社とモデルナ社という2つのワクチン製造業者は世界に向けて声明を発表し、両社のmRNACOVID-19ワクチンがもつ、抗SARS-CoV-2効果と感染防止の効果は95%であり、ワクチン接種を急速に推し進めることには、自動的に青信号がともった。

 しかし、この発表がよりどころとしていたのは、報道機関からの報道のみであり、治験時の完全な基礎情報を示さない研究もいくつかあった。より多くの治験時の基礎情報が、ワクチン接種推進計画が始められてから明らかにされてきたが、その情報が示していたのは、このワクチンがもつ完全に違う側面だった。

 もともとの治験の被験者の何人かが抜けており、出たと思われるデータがなかったり、観察された副反応が定義し直されていて、それらの副反応が偶然の事象であり、ワクチンとは無関係であるという結果を出そうとしていることがわかるものだった。さらに治験が予定終了日の前に中断されていた。

 被験者が感染したかどうかについて調べるPCR検査に関する問題もあった。ファイザー社のある文書では、ワクチン接種後に生じた、3410 件の「COVID-19感染と診断されたと思われる」事例が省かれていた。ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌のピーター・ドシ副編集長(当時)は、当時公表されていた同社の治験時のデータを徹底的に調査した記事を出した。

 ドシ副編集長は、この治験の矛盾点や手順の不具合について明らかにした。FDA はファイザー社のワクチンの安全性に関するデータが書かれた文書を75年間隠蔽しようとしていた。しかし、民間及び公的な医療諸機関の圧力のせいで、連邦裁判所はFDAにその文書を8ヶ月で明らかにせよ、という判決を出した。

 大規模なワクチン接種推進計画がおこなわれたあと、このワクチンの効用が95%あるという報告に異論を唱える報告が医療誌上で定期的に掲載され始めた。手始めは、ジョンス・ホプキンス大学が出した論文である、それによると、このワクチンは関節リウマチや筋骨格系疾患などの自己免疫疾患のある人々にたいして効果がない、とのことだった。

 まもなく、このワクチンの効用はたったの75%、さらには60%しかないとされ、最終的には、このワクチンが効くのは最大5ヶ月にすぎないとされた。2022年上旬、ファイザー社のアルバート・ブーラ代表取締役は、以前、ワクチンの効果は100%あると述べていたのに、二度の接種がもたらす効果は「もしあったとしても」限定的なものだと語った。

[第12の嘘]
COVID-19ワクチンは感染や伝染を防ぐ




 COVID-19ワクチンの接種が推進されている間中ずっと私たちが、ホワイト・ハウスやアンソニー・ファウチなどの医療当局者ら、さらには報道機関から繰り返し聞かされてきたのは、ワクチン接種は、パンデミックを阻止するための市民の義務である、という話だった。

 ワクチンを打った人たちだけが感染から守られ、ウイルスを運ばず、他の人に写すこともない、とされていた。このような言い方により、恐怖が煽られることになった。ワクチンを打つことが、全ての人々の愛国的な義務となり、ワクチン接種を拒む人々は社会を危険に陥れているとされた。

 しかしこのような言説は、何一つ医療界の常識に基づくものではなかった。実際、2021年6月までにわかったことは、連邦政府がウイルスの伝播力をはかる、十分かつ正確なデータを持っていなかったということだった。

 そのため連邦当局者らは、ワクチンによる「集団免疫」の標的を予見することができなかった。言い換えれば、国民を守るために必要なワクチン接種者の割合をどのくらいに設定するかについては、すべてまったく架空の値にすぎなかった。

 CNNのインタビューにおいて、CDCのロシェル・ワレンスキー所長(当時)が認めた事実は、このワクチンはもはや、「感染の予防」ができない、という事実だった。質問を受けた同所長がさらに認めたのは、無症状の感染者であっても、ウイルスを人にうつすことがあるという事実だった。

 実際は、時が流れ、mRNAワクチンの不具合や危険性に関する理解についての報告がより多く出される中、これらの事実はみな偽情報であったことが明らかになった。デルタ株の大流行期だった2021年7月、マサチューセッツ州プロビンスタウン市でおこなわれた屋外の催しで発生した感染者数のうち、ワクチンを2度接種していた人々の数はものすごい数だった。

 逆の影響が出ている証拠が上がっており、さらに2度接種した人々のなかで感染が広がっている状況が増えているにもかかわらず、ワクチンを打たない人々を国の医療政策の敵と見なし、非難と指摘の対象にすることを良いことだと考える風潮に終止符が打たれることはなかった。

[第13の嘘]
COVID-19感染後の自然免疫は不十分だ


 COVID-19ワクチンの公式見解の支持者たちは、いかなる亜種のウイルスに感染したとしてもその後に獲得する自然免疫は不十分であり、ワクチン接種を受けないことの代用にはならない、と私たちに信じさせようとしている。しかし、もしそうだとすれば、他のすべてのRNAウイルスにおいて示されている、ワクチン免疫よりも自然免疫の方が優れているという証拠と矛盾することになる。

 しかしこの公式説明を裏付ける確たる証拠は存在しない。100万人以上の人々を対象にした大規模な研究の分析によると、 SARS-2ウイルスに感染した後に獲得される自然免疫は、ワクチンによる免疫よりも長期にわたり防御効果があるという。

 同じ論文において、ワイル・コーネル医科大学が発見したのは、ファイザー社とモデルナ社の合わせて3つのmRNAワクチンを接種しても、 オミクロン株の免疫はつかないという事実だった。逆に自然免疫については、感染した14ヶ月後でも、重症のCOVID-19に対して、97%が免疫効果を持続していた。

 FDAはファイザー社のBNT162b2ワクチンに対して、5歳から11歳の小児についての緊急使用許可を発効したが、ノースキャロライナ大学とノースカロライナ州保健福祉省の医学教授や医師らからなる研究団が、ニュー・イングランド・メディスン・ジャーナル誌に示した証拠によると、このワクチンが示す効果は5ヶ月以内になくなってしまうだけではなく、もともと体内に存在していたかもしれない自然免疫を破壊する働きがある、という。

 言い換えれば、半年も経たないうちに、ワクチン接種者はワクチンを打っていない人々よりCOVID-19に感染しやすくなるということだ。この研究は特に憂慮すべきものだ。しかし、世界で最も著名な医学誌のひとつが取り上げたこの研究を、報道機関はまったく報じなかった。

[第14の嘘]
COVID-19ワクチンは完全に安全で、心筋炎のような副反応がおこることは稀だ


 時間をかけて医学的根拠を調べようとする人なら誰でも、CDCや主流メディアが繰り返し口にし、何の裏付けもないこの誤った主張にすぐに気づくだろう。

 現在、118の異なる病状に対するCOVID-19ワクチンによる傷害について詳述した研究が、医学文献に1000件以上掲載されている。mRNAワクチンが特に影響を与えるのが、心臓と心血管系である。最も頻繁に報告される有害事象は心筋炎関連で、ワクチンによる死亡の大部分を占めている。

 現在、少なくとも228件の査読済み論文において、COVID-19ワクチンが心筋に炎症を起こし、不整脈を引き起こすことが確認されている。

 その他、生命を脅かす最も頻度の高いワクチン傷害には、血栓症および血栓塞栓症(150件の研究)、血小板減少症(116件の研究)、脳静脈血栓症(61件の研究)、血管炎または血管の炎症(43件の研究)、ギランバレー症候群(43件の研究)、リンパ節腫脹またはリンパ節疾患(35件の研究)、および心筋炎(21件の研究)が含まれる。

 mRNAワクチン接種後の心臓発作や脳卒中に関連した突然死の多くがソーシャルメディアに登場し、隠すことができないでおり、明らかに心筋炎が最大の注目を集めている。

 しかし、脳内出血、ベル麻痺、急性脳症、急性腎不全、中枢神経系炎症、自己免疫疾患、ガン、さまざまな生殖器官における障害、不妊症、妊娠合併症の症例報告は増え続けており、さらなる徹底的な研究が求められている。

 最後に紹介するのは、カナダの「公共の利益における相関関係調査(Correlation Research in the Public Interest)」という組織が独自におこなった大規模な研究だ。その研究は、オーストラリア、ブラジル、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールなど、世界人口の9%以上を占める南半球の17カ国で、全死因死亡率(ACM)とCOVID-19ワクチン関連死亡率の比較をおこなったものだ。

 この研究の結論は、このワクチンは、全死因死亡よりもおよそ1700万人の過剰死亡を引き起こしているいっぽうで、このワクチンにより人命が救助されたかについての証拠はない、というものだった。

[第15の嘘]
ワクチンのmRNAは注射した箇所にだけ留まっている


 mRNACOVID-19ワクチンを投与する保健当局者、医師、医療関係者らがワクチン接種者らに対しておこなっている説明によると、スパイク・タンパク質の遺伝子暗号を指定し、脂質ナノ粒子によって包まれている遺伝物質は、接種した筋肉部位にのみ残存するとのことだ。

 つまりその物資は体内の他の組織や器官に移動しない、ということだ。たしかにこのことは、伝統的なワクチンにおいて当てはまる。というのも、これらのワクチンは細菌やウイルスの成分や(遺伝子を運ぶ働きのある)ベクターに依存しているものだからだ。しかし、ファイザー社やモデルナ社製のワクチンにおいてはそうはいかない。これらのワクチンはナノ粒子を使用しており、その粒子は、細胞膜や血液脳関門さえも越えて拡散するからだ。

 これは、ネズミにおけるワクチンの毒性影響を観察するファイザー自身の研究の一つで報告されている。

 接種48時間後のことについて記したファイザー社の文書によると、mRNAナノ粒子が特に拡散するのは、肝臓や副腎、脾臓、卵巣を含む生殖器官だという。

 mRNAは特定の器官に集中的に移行せず、心臓や腎臓、肺、脳に移行する可能性がある。 モデルナ社のワクチンも同様である。腎臓を除くすべての組織で低レベルのmRNAが検出されている。これはmRNA/LNP(脂質ナノ粒子)が血液脳関門を通過したことを示している。

[第16の嘘]
妊婦はCOVID-19ワクチンを接種すべし


 COVID-19ワクチンを妊婦に接種すれば、母体と胎児の両方を感染から守れるという考えは、依然として根拠がない。このような主張をしている唯一の研究は、十分な調査がおこなわれていないコホート分析*である。しかし、妊婦の患者数が多い病院の産婦人科医の多くが目にしているのは、mRNAワクチンが世に出されて以来、流産や妊娠異常の数が異常に増加している状況だ。
*分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察研究の一種(Wikipediaより)

 政府のVAERS:COVID-19ワクチン傷害データベースで最も多く報告されている妊娠関連の有害事象は、自然流産である。

 同じ著者らによる後の研究によれば、妊娠13週以前に自然流産する確率は92%にも上るという。

 妊娠ラットを使ったファイザー社独自のmRNAワクチンの生殖毒性試験によると、ワクチン接種後に妊娠喪失率が2倍になった。この研究ではまた、ワクチンのナノ粒子が 「体内のすべての組織」に分布していることも観察されている。欧州連合とは異なり、FDAはこの研究の全貌の詳細を公表していない。

[第17の嘘]
公式説明に異論を唱える医療界からの声は偽情報を拡散しており、検閲の対象とすべき


 政府の公式なパンデミックについての説明や予防政策に異議を唱える医療界の反対意見が増えるにつれ、政府筋は世界の健康を脅かす「インフォデミック」の状態にあると宣言した。

 この言葉は、2020年11月に世界経済フォーラムが放送したポッドキャストの中で、国連の広報担当者メリッサ・フレミングが発したようだ。また、この放送には元ツイッター社員のマーク・リトルも出演しており、彼はソーシャル・メディアを通じてパンデミック反対派に対して世界規模での反撃をおこなうことを提唱した。

 世界経済フォーラム(WEF)は、誤った情報により世界が危機を迎えるとし、政府、民間企業、市民社会団体が連携して早急に対応する必要があると判断した。これは、政府のパンデミック対応政策に反対意見を述べた医師やその他の医療専門家に対する組織的な検閲を開始するための、他の多くの構想の中の一つに過ぎない。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、そのような取り組みのひとつが、世界保健機関とウィキペディアの協力協定だったという。ホワイトハウスに入った直後、バイデンの最初の取り組みのひとつは、グーグルやフェイスブック、ツイッターなどの大手ソーシャル・メディア企業に、「公式発表されたCOVID-19に関する情報から逸脱した投稿を取り締まるよう」要請することだった。その第一目的は、ワクチンに反対する声を黙らせることだった。

 念頭に置いて置くべきことは、COVID-19ワクチン接種計画の直前と直後から、異論を唱える医師を抑制し、疎外し、非難する取り組みが始まっていたという事実だ。

 当初、mRNAワクチンは実験的な医療介入であり、その有効性と安全性について現実的な評価を下すために、実際の生活条件下で研究されたことはない、と広く認識されていた。

 連邦政府保健諸機関は、ワクチン接種とパンデミック政策の目標を達成するために必要なあらゆる言説を、完全に自分たちのものにすることに決定した。そのためには、情報、査読済みの研究であっても、反ワクチン接種の懸念を支持するような声は、どんな手段を使ってでも黙らせる必要があった。


リチャード・ゲールプログレッシブ・ラジオ・ネットワークの幹部であり、生物工学およびゲノム産業の元研究・分析部門の重役。

ゲイリー・ナル博士。代替医療と栄養健康法に関する全米で最も長い歴史を持つ公共ラジオ番組の司会者であり、最近の『明日へのラスト・コール』を含め、数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画監督でもある。

両氏とも定期的に当サイトGlobal Researchに寄稿している。
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ラムゼー・クラーク米国元司法長官からオバマ大統領への書簡(2014年11月):ウクライナでの戦争を止めよ!米露間の「平和的共存」が答えだ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Ramsey Clark to Barack Obama: Stop the War in Ukraine! "Peaceful Coexistence" between Russia and America is the Answer
2014年11月の公開書簡:オバマ大統領、マケイン上院議員、ケリー国務長官、潘基文国連事務総長、米国議会議員、メディア関係者へ
出典:Global Reseach   2023年4月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月22日


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ラムゼー・クラークは2021年4月に死去した。
彼の遺産は永遠に生き続けるだろう。
彼は半世紀以上にわたって反戦活動家たちに刺激を与え続けてきた。
私たちはラムゼー・クラークに思いを寄せている。私は、1999年、ユーゴスラビアに対するアメリカとNATOの空爆作戦のさなかにニューヨークで初めて彼に会った。
ラムゼーは、ウクライナにおける全面戦争の危険性を十分に認識していた。
以下は、ラムゼー・クラークが2014年11月にオバマ大統領らに宛てた公開書簡で、ロシア国境への米軍・NATO軍の展開を非難している。
ラムゼー・クラークは先見の明をもって、現在起きていることを予測していた。

「ウクライナへの米国の大規模な介入と、ロシアを包囲し孤立させるための増大し続ける作戦は終わらせなければならない。よって、私は要求する。

1. 米国政府とそのすべての公式機関、秘密機関、公的機関、非公式機関が、ウクライナへのあらゆる形態の介入を直ちに停止すること。その中には、ウクライナ国内のファシスト組織や右翼組織に対するすべての物質的・政治的援助の停止が含まれる。
2. ロシア連邦に対するすべての制裁と制裁の脅しをやめること。制裁は戦争行為だからだ。
3. 米軍を東欧地域から直ちに撤退させ、NATOのロシアに対する拡張と挑発的行動を終わらせること。」

米露間の 「平和的共存」が答えだ。

ミシェル・チョスドフスキー
グローバル・リサーチ、2021年4月11日、2023年4月18日

***

オバマ大統領、マケイン上院議員、ケリー国務長官、国連潘事務総長、国会議員、メディアの皆様へ

米国の圧倒的多数の国民は、再び悲惨な戦争に引きずり込まれることに反対している。米国とNATOの軍隊がロシアの国境を越えて移動することほど危険なことはない。

クラーク 2枚目

米国の駆逐艦を黒海とバルト海に派遣し、東ヨーロッパで米国とNATOの戦争ゲームと軍隊の動きで脅かす計画を立て、ロシア連邦に制裁を課すことは、世界規模の平和への脅威である。私たちは、過去の、そして現在も続いているアメリカの戦争の代償を目の当たりにしてきた。それは、軍事企業を豊かにする一方で、対象となる国々や、ここアメリカの貧しい人々や労働者を困窮させるものだ。

米国がウクライナのファシスト勢力に長年にわたって資金を提供し、ウクライナをNATO加盟国に引き込むために、選挙で選ばれた政府[ヤヌコーヴィチ政権]を転覆させ、権力を掌握し、極右グループを警察、軍隊、国家警備隊のトップに任命したキエフの政府を承認したことは、ウクライナ国民の権利を完全に否定することに米国が加担していることを意味する。また、この地域全体に対する挑発行為でもある。

このクーデター政権に憤慨した東ウクライナと南ウクライナの人々は、違法な政権に抵抗しようとし、ドネツク人民共和国の独立を宣言し、住民投票を呼びかけている。これに対し、右派クーデター政府は、軍やその他のファシストたちにウクライナ国民を恐怖に陥れることを許している。最近の事件では、5月2日にオデッサ市で、キエフ政府に忠誠を誓うファシスト武装勢力が労働組合ビルに火を放ち、約40人が虐殺された。さらに、5月2日から3日にかけてのウクライナ軍による攻撃で、ドネツク州のスラビャンスクとクラマトルスクで23人が殺害された。

ウクライナの警察官や軍人が大量に脱走したにもかかわらず、ウクライナ南東部の活動家に対するいわゆる「反テロ」作戦は、米政府高官によるキエフ訪問の直後に開始された。ワシントンは、ウクライナの「政権交代」を実現するために50億ドルを費やし、スヴォボダ、祖国、右派セクトクターのようなファシスト、人種差別主義者、反ユダヤ主義者が支配する政権を誕生させる手助けをした。一方、アメリカは不法なクーデター政権に100億ドルもの融資を約束し、ワシントンは国際通貨基金(IMF)から170億ドルの援助と緊急総合対策を確保するために尽力した。

ウクライナへの米国の大規模な介入と、ロシアを包囲し孤立させるための増大し続ける作戦は終わらせなければならない。よって、私は要求する。

1. 米国政府とそのすべての公式機関、秘密機関、公的機関、非公式機関が、ウクライナへのあらゆる形態の介入を直ちに停止すること。その中には、ウクライナ国内のファシスト組織や右翼組織に対するすべての物質的・政治的援助の停止が含まれる。
2. ロシア連邦に対するすべての制裁と制裁の脅しをやめること。制裁は戦争行為だからだ。
3. 米軍を東欧地域から直ちに撤退させ、NATOのロシアに対する拡張と挑発的行動を終わらせること。

悲劇的なことに、アメリカもEUも、フランス、ドイツ、ポーランドの外相が仲介した2月21日のマイダン連合とヤヌコービッチ政権との妥協合意(訳注)に従わなかった。アメリカ政府は、平和、合法性、穏健さの推進者としての西側民主主義国家の名誉を守らなければならない。戦争の地獄が始まる前に、2月21日合意に立ち戻るのだ!

訳注)ヤヌコーヴィチ大統領は(2014年)2月21日に野党指導者との妥協案(ウクライナ政治危機の解決に関する合意(英語版))に署名し、改憲を約束した。また、12月に早期選挙を開催するよう呼びかけている。(ウイッキペディア)

敬具

ラムゼー・クラーク

元米国司法長官
国際行動センター(International Action Center)創設者
ニューヨーク
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EU加盟国のリトアニアで、宮崎駿の最新作が「ロシアとの繋がりがある」として上映禁止、との報道

<記事原文 寺島先生推薦>Cinemas in EU state boycott Hayao Miyazaki movie over ‘Russia links’ – media
リトアニアの映画館所有者ら、当該映画配給会社はロシア政府と繋がっている、と主張
出典:RT 2023年12月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年12月19日



東京での引退発表記者会見に出席する宮崎駿氏、2013年9月6日©AP / 佐藤淳


 リトアニア国内のすべての映画館が、配給会社とロシアとの関係を理由に、日本の伝説的監督、宮崎駿の最新アニメ映画を拒否する、とリトアニア国営ニュース局LRTが木曜日(12月14日)に報じた。

 宮崎監督の60年にわたる映画監督歴の最後を飾る映画『君たちはどう生きるか』は、年末までリトアニア国内で劇場公開される予定だったが、映画館運営者と配給会社が木曜日(12月14日)に映画の事実上の中止を発表する声明を発表した。


関連記事:Violinist quits to avoid playing Russian music – media

 この声明では、バルト海地域でこの映画の配給権を所有する会社、アートジーン社というエストニアの会社が、「ロシアと関係がある」とされた。声明ではこのことに関する疑惑については詳しく述べられていないなかで、この映画はリトアニアのどの映画館でも上映されないとのことだった。

 「リトアニア映画界は他のバルト三国に対し、この情報に対応し、バルト三国の経済と映画産業に有害となる可能性のあるロシアの行動に対抗し、侵略国家ロシアの事業活動を阻止するよう呼び掛ける」とこの声明は続いた。

 奇妙なことに、この声明によると、アートジーン社がリトアニア国家に対して、「この映画を妨害したとして世界中から中傷されるだろう」と脅迫したというが、この主張に対する証拠は提供されていない。

 ウクライナを最も熱心に支援してきた国のひとつであるリトアニアにとって、このような決定を下すのは珍しいことではない。今年初め、リトアニアのガブリエリュス・ランズベルギス外相が西側同盟国にさらなる制裁とキエフへの軍事援助を求めたのに合わせて、(同国の)シモナス・カイリス文化大臣は、ロシアの文化や芸術、報道機関から「精神的隔離」をおこなう必要がある、と主張していた。
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私は西側を甘くみていた―プーチン

<記事原文 寺島先生推薦>
I was naive about the West – Putin
大統領は、ソ連崩壊後にロシアに対する十字軍が終わると信じていたことを認める。
出典:RT  2023年12月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月19日


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ロシアのプーチン大統領。©スプートニク

ウラジーミル・プーチン大統領は、ソ連崩壊後、西側がロシアと生産的な関係を築こうとしている、と考えたのは間違いだったと述べた。実際には、西側が決めたことはロシア国家を分裂させることだった、とこのロシアの指導者は説明した。

15日(12月15日)に放送されたロシア人ジャーナリストのパヴェル・ザルビン氏とのインタビューで、プーチン大統領は、ソ連の諜報機関での確固たる経歴があったにもかかわらず、政治家としての経歴の初期には自身が、「世間知らず」の指導者だったと認めた。

ロシア大統領によると、ロシアに対する西側の理解は「ソ連崩壊後、ロシアは全く別の国になり、西側とロシアの間には深刻な対立を正当化するイデオロギー的な違いはこれ以上ない」というものだったと信じていた、という。

プーチン大統領によると、20年前、ロシアのテロと分離主義を支援しようとする欧米の努力を見ても、「思考の惰性」が原因だと考えたという。「西側はソ連との戦い続きをしていただけだ」と彼は信じていた。

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関連記事:ロシアの最高スパイ、CIAの新たな計画を警告

しかし実際には、西側は意図的にロシアを弱体化させようとしていた、と大統領は述べた。「西側の考えは、ソ連崩壊後、少しは待たないといけないだろうが、いずれはロシアを解体しよう、というものだった。」

プーチン大統領によると、西側諸国は人口の多い世界最大の国の存在を必要とは考えていなかった。「ブレジンスキー元米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が提案したことだが、ロシアは5つに分割し、それを1つずつ制圧するのがよかろう、と考えていたのだ。」

この西側の計画とされるものは、いくつかの小国に分画すれば、それらの国々は「重みも発言力もなく、統一ロシア国家のように国益を守る機会を持つこともないだろう」という考えを前提にしていたと彼は説明した。

ロシアの指導者プーチンが言及していたのは、ソ連封じ込め政策の熱烈な支持者で2017年に死去したブレジンスキーが1997年に書いた論文だと思われる。この論文は当時、ロシアは「世界大国としての地位を取り戻すための無駄な努力」を放棄すべきだと示唆していた。この前大統領補佐官はまた、「ヨーロッパロシア、シベリア共和国、極東共和国から成る、緩やかに連合したロシア」の方が近隣諸国との経済関係を発展させやすいという意見も示していた。

プーチン大統領は、西側がロシアをいくつかの国家に分割することを計画していたと繰り返し述べ、そうなればロシア国民は存在しなくなる可能性があると警告し、ロシアが成功のための重要な条件として統一の継続を挙げた。
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アル・シファ病院、ハマスのトンネル、イスラエルのプロパガンダ

<記事原文 寺島先生推薦>
AL-SHIFA HOSPITAL, HAMAS’S TUNNELS, AND ISRAELI PROPAGANDA
イスラエルがアル・シファ病院をめぐるプロパガンダ戦争を展開する一方で、また新たな医療施設を包囲攻撃している。
筆者:ジェレミー・スケイヒル (Jeremy Scahill)
出典:インターセプト   2023年11月21日
<翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月17日


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2023年11月3日、ガザ市のアル・シファ病院入り口へのイスラエル軍の攻撃後、路上に横たわる死傷者たち。写真 Ali Jadallah/Anadolu via Getty Images


ガザでの死者が、5,500人以上の子どもを含む13,000人を超える中で、イスラエル国防軍のプロパガンダ機械は、アル・シファ病院を、不当行為を正当化するための主要な見世物として利用しようとしている。もしイスラエル国防軍が、ハマスがこの病院を軍事作戦の拠点として使用したと世界に納得させることができれば、難民キャンプ、学校、病院への攻撃といった絨毯爆撃のすべてが、テロリストの敵に対する正当な戦争行為として見なされるようになるという信念が、イスラエルの戦略の中心にあることは明らかだ。

イスラエルもホワイトハウスも、ジョー・バイデン大統領個人も含めて、アル・シファ病院の地下に巨大な決定的証拠が眠っているという主張の信憑性に賭けている。米国は、自らの主張の裏付けをイスラエルだけに頼っているわけではないと公言した。米国もイスラエルも、ガザ地区と同じくらい長い間、敵対勢力の犯罪疑惑について嘘をついてきた実績があるという事実はさておき、重要な問題は、アル・シファの地下にトンネルや部屋が存在するかどうかではなく、米国やイスラエルが主張しているように、それらがハマスによる明確な軍事的・戦闘的目的のために使用されていたかどうかである。

ハマスが主導した10月7日のイスラエル空襲で、845人以上のイスラエル市民と約350人の兵士・警察官が死亡し、240人以上が人質に取られて以来、イスラエル国防軍はハマスの地下インフラに強い関心を寄せてきた。ハマスの大本営が広大なアル・シファ病院の敷地内またはその地下にあるというイスラエルの主張は目新しいものではない。しかし、この熱烈な焦点化は、イスラエルが、ガザにおける民間人の死と破壊の無差別攻撃に対する批判を押し返すために、この問題を中心的な争点にしようとしていることの表れである。イスラエルは、アル・シファ病院をそのプロパガンダ戦争におけるロールシャッハ・テストにしようとしており、ジャーナリスト、国連、医師、看護師を、ハマスがこの病院を軍事司令部として使用していることを世界から隠すための陰謀の一端を担っていると非難している。

現在に至るまで、この宣伝キャンペーンはうまくいっていない。

イスラエル国防軍は当初、アル・シファ病院は事実上ハマスのペンタゴン(国防総省)である(それは、バイデン政権によって公に支持されたものである)と主張して、第一弾の証拠とされるものを発表した。それは、少しの自動小銃や、その一部はMRI(磁気共鳴画像法)装置の後ろに置かれたが、そして都合よくハマスのロゴ入りの戦闘用ベストぐらいからなっていた。彼らは、アル・シファ病院がハマスの現在の活動にとって重要であるという大々的な主張を広めたが、イスラエルの最も熱心な支持者を除いて、ほとんど誰も納得させなかったようだ。結局のところ、イスラエル国防軍はすでに、ハマスが使用する高度な地下指揮統制施設の描写と称する、巧妙な3Dビデオモデルを一般に公開していたが、イスラエルの最初の売り込みは失敗に終わった。

イスラエルが病院にハマスの重要な基地がある証拠だと主張するビデオを作ろうとした他のいくつかの努力も、パレスチナ人に対するイスラエルの作戦に関するイスラエル軍の主張を歴史的に事実として報道してきた欧米のメディアを含め、広く嘲笑と懐疑の目で見られてきた。IDF(イスラエル国防軍)のビデオはソーシャル・メディア上で嘲笑され、ジェラルド・リベラがアル・カポネの地下金庫に隠された秘密を明らかにすると約束し、1986年に全国放送された特番の失敗の類いだとされた。

アル・シファのスタッフや、そこで何年も働いていたヨーロッパ人医師は、この病院がハマスによって軍事目的で使われていることを強く否定している。ハマスもそれを否定している。

日曜日にイスラエルは、アル・シファの地下10メートルにある55メートルの要塞化されたトンネルを記録していると主張する2つの新しいビデオを公開した。おそらく遠隔操縦車を使って撮影されたと思われるこのカメラの映像の最後には、ハマスの指揮統制センターとされる場所を突破しようとした場合、ハマスがイスラエル国防軍を攻撃できるよう、爆破防止扉と銃撃孔が備え付けられているとイスラエルは述べている。「この調査結果は、病院群の建物がハマスのテロ組織、テロ活動のためのインフラとして使われていることを疑う余地なく証明している。これは、ハマス・テロ組織がガザ地区の住民を、その殺人テロ活動のための人間の盾として利用していることのさらなる証拠である」とイスラエル軍は声明(statement)で述べた。

ガザに大規模な地下トンネルがあることは周知の事実だ。過去20年間、イスラエルは地下トンネル網の一部を破壊することを目的とした作戦を繰り返し実施し、その成果をしばしば自慢してきた。ガザ南部からエジプトに伸びるトンネルは、長年にわたって密輸路として機能してきた。イスラエルは、その主な目的は武器の移動だと主張したが、他のオブザーバーは、封鎖されたガザの住民に食料やその他の物資を密輸するための生命線だと表現した。どちらの主張も真実である可能性が高い。近年、イスラエルもエジプトも、自国の領土に侵入したトンネルを封鎖したり、水没させたりする措置をとってきた。イスラエルは、ハマスや他の武装勢力がイスラエルに侵入して作戦を行うのを阻止するため、ガザとの国境周辺に地下コンクリート壁や地中センサーを設置したと伝えられている。2006年、ハマスの工作員はこのようなトンネルを使い、イスラエル国防軍の兵士ギラッド・シャリットを拘束した後、ガザに連れてきた。シャリットは2011年に捕虜交換の一部として解放された。

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2008年12月5日、ラファのエジプト・ガザ国境下のトンネルを通って羊をガザ地区に密輸するパレスチナ人。写真: サイード・ハティブ(Said Khatib)/AFP via Getty Images


アル・シファ病院のトンネルはイスラエルによって建設された

アル・シファ病院の地下にトンネルと部屋があることもよく知られている。イスラエルが1980年代初頭に建設したことを認めているからだ。イスラエル・メディアの報道によれば、地下施設はテルアビブの建築家ガーション・ジッポーとベンジャミン・イデルソンによって設計された。「イスラエルは病院施設をアメリカの支援のもとで修復し、拡大した。その計画には地下のコンクリートの床の掘削も含まれていた」、とイスラエル建築アーカイブの創設者であるズヴィ・エルヒヤニ氏は、イスラエルの『Ynetnews』に書いている。

地下の施設建設は、イスラエルの公共事業局から依頼されたアル・シファ病院の近代化と拡張工事の一部であった。イスラエルの新聞『ハアレツ(Haaretz)』の報道によれば、「領土内のイスラエル民政局は、病院の洗濯場や様々な管理サービスを収容する大きなセメントの地下を持つ病院複合体の建物番号2を建設した」。アル・シファの地下の部屋とトンネルは1983年に完成したと伝えられている。タブレット誌はその空間を「安全な地下手術室とトンネル網」と表現した。

1990年代から父親の建築事務所で働き始めたジッポーの息子バラクは、1980年代のアル・シファ病院の建設中、イスラエルの建設業者は建築現場への攻撃を防ぐための警備員としてハマスを雇っていたと語った。

「数十年前、私たちはこの場所を運営していました。ですから、私たちは彼らを助けました。数十年前、何十年か前、おそらく40年前ですが、私たちは彼らがこの限られた敷地の中で病院のもっと広いスペースを確保するために、これらの地下施設建設を手伝ったのです」と、イスラエルの元首相エフード・バラクは、CNNの司会者クリスティアン・アマンプールに語った。

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2023年11月7日、イスラエルの攻撃32日目、ガザのデイル・アル・バラで、マスラ家の建物を空爆が直撃した後、市民防衛チームと市民が捜索・救助活動を続けている。(写真:Ashraf Amra/Anadolu via Getty Images)

関連記事:イスラエルの対ガザ戦争

2006年にハマスがガザで権力を掌握した後、アル・シファの地下にあるイスラエルが建設した施設をハマスが引き継ぎ、近代化・拡張して本格的な指揮統制施設にしたと、イスラエルは主張してきた。この間、一部の国際ジャーナリストは、病院の敷地内でハマス幹部との会合に呼ばれたことを証言しており、イスラエルは長い間、ここを重要なハマス本部と呼んできた。2014年のガザ紛争中、ワシントン・ポスト紙のウィリアム・ブース記者は、アル・シファ病院は「ハマスの指導者たちの事実上の司令部となっており、廊下や事務所で彼らを見かけることができる」、と主張した。これらの主張が真実だと仮定すれば、イスラエルがジャーナリストを組織的に暗殺するキャンペーンを展開しているときに、ハマスが民間病院でジャーナリストと会うことを選ぶのは恥ずべきことであり、論理的なことでもある。しかし、それは恥ずべきことかもしれないが、これは病院の地下にある秘密施設を軍の指揮統制センターとして使用することとはまったく異なる。

イスラエルがアル・シファの地下にトンネルや部屋を作ったという事実は何の証明にもならない。特に紛争地域では、イスラエルの病院を含め、多くの近代的な病院は、地下に生活基盤施設(インフラ)を持っている。ハマスのメンバーが病院内で目撃されたという過去の報告もない。イスラエルはもっと説得力のある証拠を提示する必要がある。特に、この特定の戦争中にこの場所が軍事的、作戦的に非常に重要であったという主張を裏付けるものだ。

そのような証拠の基準は、特にイスラエルの作戦によって引き起こされた民間人の死と苦しみの程度から、極めて高いものであるはずだ。バイデン政権は、イスラエルがアル・シファ病院を急襲するのに先制的援護の申し立てを行なった。しかし、その具体的な主張を裏付ける反論の余地のない明確な証拠を提出する責任がバイデン政権にはある。

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2023年11月9日、ガザのガザ市で34日目にイスラエルが攻撃した後、アル・シファ病院近くのナシール通りで目撃された死体。(Photo by Ali Jadallah/Anadolu via Getty Images) 写真 アリ・ジャダラ(Ali Jadallah)/アナドル(Anadolu) via Getty Images


プロパガンダvs国際法

イスラエルは、アル・シファ病院をめぐるプロパガンダ戦争を展開する一方で、ガザ北部に残る唯一の医療施設であるインドネシア病院を包囲している。地元当局者によれば、イスラエル国防軍の砲撃によって、この病院では少なくとも12人が死亡したという。インドネシアのレトノ・マルスディ外相は、イスラエルが国際法に違反していると非難した。「すべての国、特にイスラエルと密接な関係にある国は、イスラエルにその残虐行為をやめるよう、あらゆる影響力と能力を行使しなければならない」、と彼女は月曜日(11月20日)に述べた。

国際人道法は、病院が紛争の当事者として「敵に有害な行為を行う」ために使用されているかどうか疑わしい場合でも、その病院は保護される場所であることを明確にしている。仮に病院の保護的地位が悪用されたという明確な証拠があったとしても、病院に対する軍事行動にはさまざまな規則があり、民間人の患者は保護された個人であることに変わりはない。

「たとえ建物が特別な保護を失ったとしても、中にいる人たちは全員、保護されなければならない」、とラトガース・ロー・スクールのジョン・O・ニューマン判事はワシントン・ポスト紙のインタビューで語った。

「たとえ戦闘員が潜伏している事務所が建物のどこかにあったとしても、攻撃軍は病院の人道的機能を継続させる義務がある。

関連記事:バイデンは、ガザで死んだ子どもたちに永遠につきまとわれるはずだ。

アル・シファ病院の職員は、イスラエルによる包囲の結果、電力が著しく制限され、保育器が使えなくなった新生児集中治療室の赤ちゃん数人を含め、病院の民間人の死を引き起こしたのはイスラエルだとあからさまに非難している。11月18日、世界保健機関(WHO)率いる国連人道支援チームがアル・シファ病院を訪れた。WHOによると、訪問団のスタッフはこの病院を「死の地帯」と表現し、声明で「砲撃や銃撃の跡が見られた。チームは病院の入り口にある集団墓地を目撃し、80人以上がそこに埋葬されていると聞いた」と述べた。

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イスラエルと過激派組織ハマスの戦闘が続く中、ガザ市のアル・シファ病院から避難した未熟児を、ガザ地区南部のラファにある病院からエジプトに移送する準備をするパレスチナの医療関係者(2023年11月20日撮影)。写真: サイード・カティブ/AFP via Getty Images

イスラエルはまた、10月7日にハマスがイスラエルに突入した直後に記録されたアル・シファ病院内のCCTV映像を公開した。その映像には、武装した戦闘員がタイ人とネパール人の2人の人質を連れて病院に入っていく様子が映っているという。映像には、負傷して担架に乗せられた人質の一人が映っている。

この映像が本物で、武装したハマスの過激派が負傷した人質を治療のために連れてきたとすると、イスラエルはこの場合、病院のスタッフはどうすべきだったと考えているのだろうか?医師はすべての負傷者を治療する倫理的義務があり、警察や諜報機関としての役割を果たすのが仕事ではない。

「イスラエル占領軍が報告したことを考えれば、保健省の病院は、性別や人種に関係なく、医療サービスを受けるべきすべての人に医療サービスを提供していることが確認された」と、ガザ保健省はビデオ公開後の声明で述べた。同省はさらに、動画が本物であるかどうかを確認することはできないと付け加えた。

ハマスのイザット・アル=リシュク報道官は、ハマスが10月7日に負傷した人質をアル=シファ病院に連れて行ったことは以前から認めていたと述べた。「我々はそのすべての映像を公開したのに、(イスラエル国防軍の)報道官は何か信じられないものを発見したかのように振る舞っている」と語った。リシュク報道官はまた、ハマスがアル・シファ病院に連れて行った人質の何人かはイスラエルの攻撃で負傷したと主張した。イスラエルはまた、人質の何人かは病院の敷地内でハマスに殺害されたと証拠もなしに主張しているが、イスラエル国防軍自身の地図によれば、彼らの遺体はアル・シファ病院の敷地外で発見されたものである。

イスラエル政府とバイデン政権の責任者には、ハマスがアル・シファ病院を利用したという大げさな主張を証明する責任がある。この証拠は、アル・シファ病院の患者、医師、看護師に加えられたすべての苦痛と死が、比例*と道徳の基本原則だけでなく、法の下でも正当化されないほどほど強力なものでなければならない。このような結論は、イスラエルによる病院包囲によって引き起こされた民間人の苦しみという文脈に置き換えれば、理解できないものである。
*比例(原則):達成されるべき目的とそのために取られる手段としての権利・利益の制約との間に均衡を要求する原則。「雀を撃つのに大砲を使ってはならない」という言葉でしばしば説明される。

もしハマスが意図的に病院の保護された地位を悪用し、実際に病院の地下に隠された司令部を積極的に運営していたことが決定的に証明されれば、そうしたことで戦争犯罪の罪に問われるべきだ。罪のない民間人ではなく、ハマスがこれらの行動の責任を問われるべきだ。

同時に、イスラエルが、ガザで最も重要な病院をハマスの秘密軍事拠点と見せかける執拗なキャンペーンで詐欺を働いたことが証明されれば、世界はイスラエル政府高官に、この重大かつ致命的なプロパガンダの責任を問うべきだ。バイデン政権(大統領自身を含む)もまた、米国の役割に責任を負わなければならない。

イスラエルは、ハマスが市民の間に隠れ、市民を盾にしているという非難によって、ガザにおける産業レベルの市民殺害を正当化しようとしている。しかし、イスラエルを代表する人権団体ベツェレム(B'Tselem)は、イスラエル国防軍がこのような活動を何十年にもわたって行なってきたことを記録している。「1967年の占領開始以来、イスラエル治安部隊はヨルダン川西岸地区とガザ地区のパレスチナ人を人間の盾として繰り返し利用し、住民の命にかかわる軍事行動を命じてきた」と2017年の報告書は述べている。

大局的に見れば、ハマスとアル・シファ病院をめぐる論争は、イスラエルのガザに対する戦争に関する包括的で議論の余地のない事実から目をそらす役割を果たしている。つまり、米国の武器や、資金援助、政治的支援を利用して、イスラエルはガザの市民に対して暴力的な集団懲罰の軍事行動を行なったのである。
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露中の戦略的忍耐力は西アジアの戦火を消せるだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Will Russia-China Strategic Patience Extinguish the Fire in West Asia?
筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar )
出典:The Unz Review  2023年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月15日





 昔むかし、ドン川の畔(ほとり)の、今はまだ「ウクライナ」と呼ばれている(今後その名前は変わるかもしれないが・・・)地方の南部のステップ地帯に、アケメネス朝ペルシャの偉大な王、ダレイオス一世が、地球上で最も強力な軍を率いて現れたのだが、当時追いかけていた敵から奇妙な伝言を受け取った。その敵とは、遊牧民スキタイの指導者、イダンテュルソス王だった。

 一人のスキタイの使者がペルシャの野営地に到着したのだが、この使者が持ってきたのは、鳥とネズミ、カエルと5本の矢だった。

 それからその使者は急いで立ち去った。

 狡猾なダレイオス一世は、その伝言の意味を「スキタイがペルシャに降伏しようとしている」と取った。

 「早まってはいけません」と声をかけたのは、ダレイオス一世の外交顧問の高官で、たまたま王の義理の弟であったゴブリアスだった。彼がこの暗号を読み解いたのだ。その意味は「汝らペルシャ人が、鳥になって空を行き、ネズミになって地を掘り、カエルになって湖の上を飛び跳ねて逃げ帰らない限り、お主らは二度と故郷には戻れず、この地に留まり、スキタイの矢に撃たれることになるだろう」だと。

 シルクロードができるずっと前の大昔のこの故事が証明している事実は、捕まえるのが大変な弓矢使いの騎馬民族に対して、ユーラシアのステップ地帯で戦争を仕掛けることは、戦略的に悪夢になる、という教訓だ。

 さらにこの故事から伝わることは、ガザ地区にいるサンダル履きのゲリラや瓦礫の中に隠されたRPG(ロシア式対戦車擲弾)を相手に戦争を仕掛けることも、悪夢である、という教訓だ。トンネルから閃光のように小部隊が飛び出し、イスラエルのメルカバ戦車が攻撃され燃やされる、そしてその小部隊は地下に潜っていく。そんな闘いが待っているからだ。

 歴史がもうひとつ教えてくれているのは、ダレイオス一世はスキタイ遊牧民を面と向かっての闘いに引きずり込めなかった、という事実だ。それで紀元前512年、ダレイオス一世は、2500年後に米国が繰り出した一手を先んじて見せたのだった。つまり、勝利宣言をした上で引き上げたのだ。


着陸した航空母艦としてのイスラエル

 米将軍に始まりアラブ街の食料品店まで、西アジアの状況に明るい人々なら誰でも知っている事実は、イスラエルは着陸した航空母艦であり、その使命は、米覇権国家のために西アジアに目を光らせておくことにある、という事実だ。もちろん、犬と犬が食うか食われるかという厳しい地政学上の環境にあって誤解されやすいことは、全ての犬が悪ふざけをしている、と捉えることだ。米国の覇権を求める集団である「影の政府」にとって、さらにはホワイト・ハウスや国防総省にとってもあきらかにそうなのだが、非常に白熱した現状において大事なのは、イスラエルの究極の過激派かつジェノサイド的思想を持つリクード党が主導するネタニヤフ政権であって、「イスラエル」自体ではない、ということだ。

 そう考えれば、ネタニヤフは、いまや困難な状況に置かれている、汗でベタベタのスウェットシャツを身にまとっているキエフのあの役者のまさに鏡像に見える。

 地政学的には米国にとって大助かりだ。覇権国家米国に向けられた大量虐殺の罪に対する批判をそらせるようなライブ映像が、この惑星上のすべてのスマートフォンから流れているのだから。

 そしてこれら全ての行為が法律というベニヤ板の上でおこなわれているのだ。ホワイト・ハウスと国務省が、イスラエル政府に節度のある行動をとるよう「助言」しているのだから。曰く「病院や学校、医療従事者や報道関係者、何千もの女性たち、何千もの子どもたちを爆撃しても問題ない、ただし紳士的にやってくれ」と。

 現在、米覇権国家はとても高価な鉄の浴槽を完備しているアルマダ(無敵艦隊)を東地中海に、お粗末な航空母艦数隻と一隻の原子力潜水艦をペルシア湾に配備した。こんなものが、地下トンネルに潜むゲリラを調べ、イスラエルを「守る」助けになどなるわけがない。

 ネオコンとシオ(ニスト)・コンの最終目標は、いうまでもなく、ヒズボラやシリア、イラクのハシュド・アル・シャアビ、そしてイランだ。つまり「抵抗する枢軸国」だ。

 イラン・ロシア・中国が、ネオコンが唱える新たな「悪の枢軸国」になったが、この三国は偶然にも「ユーラシア統合を目指す三大勢力」だ。これら三国はガザにおける大虐殺行為を、イスラエルと米国の手によるものだ、と捉えている。そしてその重要な狙いもはっきりと特定している。それは、「エネルギー」だ。

 偉大すぎる経済学者であるマイケル・ハドソン氏が、こう記している。「いま、まさに「十字軍」と全く同じようなことが起こっている。これはエネルギーを制するのは誰かを決めるための真の戦いなのだ。というのも、繰り返しになるが、大事なことは、エネルギーの流れを制することができれば、昨年、米国がドイツに対しておこなったノルド・ストリーム破壊事例と同じことを世界全体に対しておこなえることになるという事実があるからだ」と。


動き始めたBRICS10

 そしていま、私たちが目にしている素晴らしい事例は、OIC(イスラム諸国会議機構)/アラブ諸国外相団が、いくつかの重要な国々の首都を歴訪し、ガザでの完全休戦計画とパレスチナ独立国家に向けた交渉を推進しようとしていることだ。この外相団は、「ガザ接触団(the Gaza Contact Group)」とよばれ、サウジアラビアやエジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、ナイジェリア、パレスチナが参加している。

 この外相団の最初の訪問地は北京で、王毅外相と面会した。次の訪問先はモスクワで、セルゲイ・ラブロフ外相と面会した。このことから知っておく必要がある事実は、まだ正式には結成されていないBRICS11がすでに機能している、という事実だ。

 いや、実のところはBRICS10だ。というのも、親米覇権国家および親シオニストであるハビエル・「チェーンソーで切り刻む*」・ミレイ氏がアルゼンチンの大統領に選出されたからだ。その結果、アルゼンチンは、おそらく、ロシア主導の下BRICS11が結成されることになっていた2024年1月1日の時点でBRICSから離れることになりそうだ。
*選挙期間中、ミレイ候補は、チェーンソーを持って「既存政党をぶった斬る」というパフォーマンスを見せていた。

 サウジアラビアで開催されたOIC/アラブ連盟によるパレスチナ問題に関する特別会議では、穏健な最終宣言しか出せず、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティのほぼ全体を落胆させていた。しかし、それ以降ある動きが始まったようだ。

 各国の外相らが密に連絡を取り始めたのだ。最初はエジプトが中国と、その後イランやトルコと協議し始めた。直感的な言い方に聞こえるかもしれないが、これらの動きは、今の状況の重大さを裏付けるものだ。このことは、イランの外相がこの外相団に加わっていない理由の説明になる。これらの外相団を率いているのは、事実上サウジアラビアとエジプトだからだ。

 ラブロフ外相との面会がおこなわれたのは、ちょうどパレスチナ問題に関するBRICSのオンラインでの臨時会合と同日だった。この臨時会合は、南アフリカ共和国が招集したものだった。極めて重要な点は、話をしている人々の背後に、新たな加盟国であるイランとエジプト、エチオピアの国旗が見えたことだ。

 イランのライースィー大統領は、歯に衣を着せず、BRICS加盟諸国に使える全ての政治的・経済的手段を用いて、イスラエルに対して圧力をかけるよう求めた。習近平国家主席は、再度「二国家解決」を要求し、中国がその仲介に入る選択肢を示した。

 習近平国家主席は、初めて自身のことばで、こう言い放った。「パレスチナ問題の解決なしに、中東の安全保障は成り立ちません。これまで多くの機会で強調してきたことですが、パレスチナ・イスラエル間の紛争の連鎖を断ち切ることができる方策には、『二国家解決』しかありません。つまり、パレスチナに正当な国家資格を保証することです。そして、パレスチナ独立国家の成立を保証することです」と。さらにその実現には、国際的な会議を持つべきだ、とも述べた。

 これらすべての動きの裏には、今後数日後に、BRICS10が団結してこの問題に何らかの対処を見せる見通しが透けて見える。今後、イスラエル/米国政府に対して最大限の圧力をかけることで停戦を求め、グローバル・マジョリティほぼ全体からの支持を得る方向に向かうだろう。ただし言うまでもないことだが、米覇権国家が、それがうまくいくことを見逃す、という保証はない。

 例えば、トルコを含めた秘密交渉は難航している。その構想は、トルコ政府が、アゼルバイジャンのバクーからトルコのジェイハンに繋がるBTCパイプラインを使ったイスラエルへの石油供給を断つ、というものだった。その石油は、バクーからタンカーでイスラエルのアシュケロンに運ばれている。そうやって運ばれる石油が、イスラエルの軍機構が使用する石油の少なくとも4割を占めているからだ。

 いまだにNATOに加盟しているトルコ政府は、躊躇した。というのも、米国からの手厳しい反応が避けられなくなるからだ。

 長期的に見て、サウジアラビア政府は、もっと大胆な行動を取ることも可能だ。2002年の「アラブ平和構想」に基づき、パレスチナ問題の決定的な解決がない限りは、イスラエルへの石油輸出を止める、という選択肢を取ることもできるのだ。しかしMbS(ムハンマド・ビン・サルマン)王子はそうはしないだろう。というのも、サウジアラビアの富はすべてロンドンとワシントンに投資されているからだ。ペトロ・人民元が実現する道のりは、まだまだ長く曲がりくねり、でこぼこだ。

 現在、「レアルポリティーク」主義を地で行くジョン・ミアシャイマー教授のような人々が正しく指摘しているとおり、イスラエル・パレスチナ問題を交渉で解決するのは不可能だ。現在の状況を一見すれば、中露やアラブ諸国が提唱している「二国家解決」は死に体だといえる。ミアシャイマーの指摘どおり、パレスチナ国家というのは、米国における「インディアン居留地のようになる」だろう。つまり、「互いに分断され、孤立させられ、国家の形にはならない」ということだ。


大虐殺は如何にしても止めなければ

 ではロシアはどうすればいいのか?以下に、情報に基づくとてもよいヒントを示す。

 「迷宮にいるプーチン」ということばがもつ意味は、ロシア政府が積極的にこの問題に関わっており、BRICS10を使って、西アジアに平和を実現しようとしている、ということだ。つまり永久に発生する米覇権国家によるハイブリッド戦争の中にあっても、ロシア国内の安定は維持されている、ということだ。これらの全ての戦争はすべて繋がっているなかでのことだ。

 いつもの連中が火を付けた西アジアの問題に関して戦略的友好関係のもとで中露がとった方策は、すべて戦略的な時期と忍耐力が関わってくるものだ。そのことをクレムリンも中南海も大量に提示している。
 
 裏で何が起こっているのかを本当に理解できる人はいない。絡み合ったいくつもの戦争の裏で深い影が暗躍している。西アジアのことになれば特に、砂漠の砂塵から舞い上がる蜃気楼で全てが包まれて見えなくなるのが常だ。

 だが少なくとも、私たちはペルシャ湾岸諸王国の周りの蜃気楼を取り払うことは可能だろう。つまりGCC(湾岸協力理事会)だ。特に、サウジアラビアのMbS王子と彼の相談相手であるアラブ首長国連邦のMbZ(ムハンマド・ビン・ザーイドン)王子の本心がどこにあるかについて、だ。非常に重要な事実は、アラブ連盟とOIC(イスラム諸国会議機構)がGCCの統制下にある、という事実だ。

 しかし、サウジアラビア政府もアラブ首長国連邦政府も、BRICS10に加盟しているのだから、両政府は、米覇権国家のあらたな一手が、西アジアにおける一帯一路構想(BRI)の前進を足踏みさせるために、この地域で戦火を起こしたという状況を、しっかりわかっているはずだ。

 そのとおりだ。この戦争は中国に対するハイブリット戦争を実際の熱戦に昇華させるための戦争なのだ。「パレスチナ問題」の最終解決策と並ぶ目的はそこだ。

 米覇権国家から見て、これらアラブの砂漠の遊牧民二国家を米国が次に繰り出すD.O.A(dead or alive 生きるか死ぬか)的一手にガッチリと組み込ませることができれば、大儲けなのだ。その一手がIMEC(インド―中東回廊)だ。これは、欧州―イスラエル―アラブ首長国連邦―サウジアラビア―インドをつなぐ貿易回廊で、理論上はBRIの競争相手となる構想だ。

 アラブ界隈の隅から隅までで話し合われている大きな主題のひとつは、なぜ、魂を売り飛ばしてしまっているGCC(湾岸協力理事会)が、シオニズムと対決することよりも、パレスチナ人たちの抵抗を消してしまうことの方に情熱を傾けてしまっているのか、についてだ。

 少なくともその答えのひとつとなるのは、GCCが今おこなわれている大虐殺に対して、無反応という反応(いま、必死に埋め合わせしようとしているが)を見せていることだ。このことは、米覇権国家が体系的におこなっているイラクやシリア、アフガニスタン、リビア、イエメン、スーダンやソマリアに対する、スローモーションでの大虐殺や強姦、略奪に対して、無反応という反応を見せているのと同じことだ。

 しかし、大虐殺のこととなると、阻止しないことは、まったくありえないことで、非人間的行為だ。しかし今後の展開はまだ先が見えない。今後の方向性は、GCCが立場を決め、精神的にも地政学的にもより広いアラブ世界から完全に袂を分かつ方を選ぶかどうかにかかっている。

 この大虐殺は、21世紀前半を定義付ける重要な分かれ道だ。グローバル・サウス/グローバル・マジョリティ諸国が完全に団結し、どの勢力が歴史上正しい道を進んでいるのかをはっきりさせられるかどうかの。次にどう動こうとも、米覇権国家には西アジア全体やハートランド、大ユーラシア、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティを完全に失ってしまうという終幕が待っているように思える。

 ブローバック(外政上の失敗が自国の不利益に跳ね返ってくること)の働きというのは予測不可能だ。西アジアの「着陸した航空母艦」による狂気の沙汰のせいで、中露の戦略的友好関係がさらに加速し、21世紀が「ユーラシアの世紀」になるという道のりがさらに強固なものになる、という結果しか招かなかったのだから。
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グリーン・エネルギー詐欺:電気自動車が、救うはずの環境をいかに害するか

<記事原文 寺島先生推薦>
The green scam: How electric vehicles harm the environment that they’re supposed to save
2032年、インドは10億トンの石炭を必要とする。その一部は、火力発電所で発電した電力で、都市部の電気自動車を充電するためである。
筆者:シュチタ・ジャー(Shuchita Jha)
出典:RT  2023年12月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月14日


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写真: 2023年1月31日、インドのムンバイで電気自動車(電気自動車)の前を通り過ぎる男性。Indranil Aditya / NurPhoto via Getty Images


首都ニューデリーを含むインドの5都市は、大気汚染世界ワースト10に常にランクインしている。デリーだけでも約400万台の自動車が走っており、インド政府が大規模に電気自動車(EV)を推進しているのも不思議ではない。インドは2030年までに電気自動車の市場シェアを30%にするという目標を掲げているが、現在のシェアはわずか1.1%にすぎない。さらに、都市から地方に汚染が移れば、電気自動車は環境に優しい選択肢なのかという懸念も存在する。

道路・交通・高速道路省のポータルサイト「Vahan4」によると、2023年7月時点でインドの道路を走っている電気自動車は約2,740万台。2070年までに温室効果ガス(GHG)排出量を削減するネットゼロの目標を達成するため、インドは電気自動車市場を拡大している。たとえばニューデリーでは、グリーン・ナンバーの車が増えれば、インドの空気が再び呼吸できるようになる日の前触れだと期待されている。

しかし、インドの電気自動車は、電力省エネルギー効率局(BEE)のデータによると、2023年6月時点で稼働している8,738カ所の公共充電ステーション(PCS)に依存しているだけだ。インド産業連盟(CII)は、電気自動車が市場シェア30%という目標を達成するためには、PCSの数を最低132万基まで増やす必要があるとしている。


しかし、電気自動車は本当に排出ガスを出さないのだろうか?

電気自動車が環境面で最大限の効果を発揮するためには、充電に使用される電力はグリーン電源や再生可能電源から発電されたものでなければならない。

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<関連記事>テスラ、インドからの輸入を倍増へ -- 大臣

しかし、インドの電力の多くはいまだに石炭を利用した火力発電所に依存しており、政府はさらに多くの鉱山を競売にかけ、操業していない鉱山を再び機能させようと躍起になっている。インドの総火力発電設備容量は238.1ギガワットで、火力発電の48.67%以上(約116GW)が石炭から得られており、電力需要は毎年4.7%増加している。国家電力計画(2022-32年)によると、2026~27年のピーク電力需要は277.2ギガワット、2031~32年のピーク電力需要は366.4ギガワットと予測されている。

再生可能エネルギーによる発電の努力にもかかわらず、NEP(国家電力計画) 2022~23によれば、2030年代初頭まで、インドの電力の大部分は石炭を燃料とする火力発電所によるものである。2026~27年の総設備容量に占める石炭火力発電所の割合は38.57%、2031~32年の総設備容量に占める石炭火力発電所の割合は28.83%となり、2026~27年には約107GW、2031~32年には約106GWと、現在とほとんど変わらない。

「IEA(国際エネルギー機関)の予測も含め、すべての予測では、石炭による発電は2030年代前半にピークを迎え、その後、発電量は減少し、非化石ベースの電源による発電が増加すると予測されている」と、独立系エネルギー専門家であり、エネルギー経済・財務分析研究所(Institute for Energy Economics and Financial Analysis)の元エネルギーアナリストであるスワティ・ドゥーザ(Swati D'Souza)氏はRTに語った。

IEAがNITI Aayogと共同で発表した報告書『インドの道路交通セクターの転換:気候および大気の改善の実現』によると、交通部門はインドの温室効果ガス総排出量の12%に寄与しているという。しかし、インドは、成長し、都市化し、急速に発展する人々の移動需要を満たそうとしているため、この部門からのエネルギー需要とCO₂排出量は、2050年までに倍増する可能性がある。


10年以内に10億トン

NEP(国家電力計画)の予測では、石炭の需要はかなり大きく、2026-27年には8億3,150万トン、2031-32年には1億1,820万トンと推定されている。石炭に依存している発電所は、増大する需要を満たすために約4000万トンを輸入することになるだろう。

しかし、電力省エネルギー効率局(BEE)の元石油精製・石油化学・エネルギー担当アドバイザーであるV・K・シュリバスタヴァ氏は、中央政府は充電ステーションにグリーン・エネルギーの使用を奨励するいくつかの制度や奨励策を打ち出しており、これは間接的にでも電気自動車を排出ガスゼロにする上で大いに役立つだろうとRTに語った。

再生可能エネルギーへのオープン・アクセス(自由参加)とは、電力網を通じて再生可能エネルギー源からグリーン・エネルギーを調達する方法であり、消費者は好みの電力源を選択し、発電所を所有・運営することなく、消費した分だけ支払うというものだ。

「オープン・アクセス・ルート2022は、配電会社(DISCOMS)にとって注目すべき刺激策であり、昼間、公共スペースの充電ポイントにグリーン電力を供給する場合、電気料金の20%が払い戻される。さらに、オープン・アクセス取引の上限が1MWから100kWに引き下げられ、小規模な消費者がオープン・アクセスを通じて再生可能電力を購入できるようになりました」と語る。


電気自動車ならインドの都市部の温室効果ガス排出を農村部でほんとうに相殺できるのだろうか?

農村部の公害増加に対する懸念があるために、電気自動車を導入しても、石炭ベースの電力需要の増加するので、農村部においてほんとうに都市部の公害を相殺することになるのかという疑問が生じる。

インド工科大学カラグプル校(IIT-K)教授のジャヤナラヤナン・クッティプラート(Jayanarayanan Kuttippurath)博士がRTに語ったところによると、農業廃棄物の焼却、道路輸送、火力発電所、製油所、鉄鋼業は、インド農村部のNO₂(二酸化窒素)排出総量の約45%を占めているという。一方、火力発電所はCO₂排出の大きな原因となっている。

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<関連記事>インドの電気自動車市場が活況 - Bloomberg

『インド農村部における大気質の傾向:衛星測定によるNO2汚染の分析』の著者であるクッティプラート氏は、「NO₂汚染は過去20年間、農村部で増加している。電気自動車の導入は大都市圏でのCO₂排出量の削減につながるかもしれないが、この削減は鉱業活動や火力発電所からの排出量の増加によって相殺される可能性があることにも注意する必要がある」。

2023年3月に科学環境センター(CSE)が発表した報告書「交通の脱炭素化:それはインドに何をもたらすか?」を見てみると、欧州のシンクタンクであるFuel Institute(燃料研究所)は、内燃機関(ICE)車からの排出量の73%は車の運転によって放出されるのに対し、電気自動車の場合、排出量の72%は電気自動車のバッテリーを充電する電気を作るために燃やされる燃料に由来すると言っている。

2022年12月、中央電力庁(Central Electricity Authority)が発表したインド電力部門のCO2の基準データベースによると、インドの農村部に多く立地する化石燃料による火力発電所では、1メガワット時(MWh)の発電に約0.968トンのCO₂が排出されている。


自然エネルギーへの楽観

しかし、ドゥスーザ( D'Souza)氏は、再生可能エネルギーの増加に伴い、インドでは石炭火力発電がすでに計画されている以上に急増することはないだろうと期待を寄せている。

「この10年で多くの炭鉱が閉鎖されるため、石炭火力発電が急増することはないでしょうし、農村部の汚染も緩和されるでしょう。しかし、既存の汚染を軽減するために多くのことを行う必要があります」、と彼女は言う。

NITI Aayogの元理事で、現在はForeSeeアドバイザーのCEOを務めるランディア・シン氏は、ドゥスーザ氏の意見に賛同する。彼はRTの取材に対し、電力省は送電網の近代化のためにいくつかの段階を踏んでいるが、一方で再生可能エネルギーの発電能力は過去5年間で何倍にも増えている、と語った。

「水素を使うという使命とグリーン・エネルギー義務の導入により、多くの排出要因が対策された。しかし、厳しい排出基準の導入や、再生可能エネルギーによる農村部の電化など、もっとやるべきことがある」、とシン氏はRTに語った。

もうひとつの問題は、ほとんどの都市と電化された村落での停電だ。2022年9月のNEP(国家電力計画)によると、2021年から22年にかけてのインドのピーク時の電力不足はわずか1.2%であったが、充電ステーション用の電力需要の増加と、それに伴う供給不足が大きな問題になるかもしれない。

「2030年までの予測では、電気自動車のシェアは家庭で充電可能な二輪車や三輪車がほとんどです。四輪の電気自動車を考えると、PCS(公共充電ステーション)の出番となる。そのため、その時期に予想される電力需要の急増は考慮されており、電力不足につながることはありません」、とドゥスーザ氏は付け加える。


インドにおけるリチウム採掘の環境影響

2021年、重工業省は、電気自動車とその部品を含む先進自動車技術製品の国内生産を奨励・強化するため、自動車・自動車部品産業向けに2,593億8,000万インドルピー(31億ドル)の予算を割り当てた生産連動奨励(PLI)計画を開始した。

しかし、インドの電気自動車に必要なリチウム・イオン電池の70%は中国と香港から輸入されており、国産でコスト効率の高い電気自動車を提供する上での障害となっている。

2023年2月、ジャンムー・カシミール州でリチウム鉱床が発見された。インド地質調査所(GSI)による初期推定では、リチウムの埋蔵量は59億トンとされており、インドは潜在的なリチウム生産国として位置づけられている。電気自動車用バッテリーの他国依存度が低下する可能性がある。

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<関連記事> 世界最大の自動車メーカー、インドにハイブリッド車政策の変更を求める

中央政府は、12月までに新たに発見された鉱区を競売にかける予定だ。しかし、J&Kの鉱区は南米で発見された鹹水(かんすい)とは異なり硬い岩石であるため、採掘プロセスは複雑で資源を大量に消費するものとなり、より多くの水と電力を必要とする。さらに、この地域の壊れやすい生態系における採掘は、生物多様性と天然資源に大きな環境影響を与えるだろう。

ドゥスーザ氏によると、インドでは、採掘活動による環境汚染を防止する法律はあるものの、その実施には課題があり、今年の環境保護法に見られるように、これらの法律が弱体化する可能性への懸念が高まっているという。

「リチウム鉱山の開発と生産には少なくとも10年はかかるため、政府はJ&K州でのリチウム採掘がもたらす環境問題に対処するために、採掘活動に関連する環境保護法を強化するのに時間がかかります」と彼女は言う。

シュリバスタヴ氏は、リチウムの採掘は生態系に影響を与えるだろうが、それは石炭鉱山のそれに比べればはるかに小さいだろうと言う。バッテリーのリサイクルは、今や世界的な傾向となっており、その恩恵にあずかれるかもしれない。

「電気自動車バッテリーの寿命は約8~9年だが、再利用によって20年に延びる。充電容量が40%未満になった後、電気自動車には適さないと判断されたこれらのバッテリーは、通信塔や計器回路の電源には適しています」と彼は言う。

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筆者シュチタ・ジャーは、インド、ボーパールを拠点とする独立系環境ジャーナリスト。
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「文明の衝突」のためのチェス盤準備:「新中東」を分割し、征服し、そして支配せよ

<記事原文 寺島先生推薦>
Preparing the Chessboard for the “Clash of Civilizations”: Divide, Conquer and Rule the “New Middle East”
筆者:マフディー・ダリウス・ナゼムロアヤ(Mahdi Darius Nazemroaya)
出典:Global Research  2023年11月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月14日





マフディー・ナゼムロアヤによるこの入念に調査された記事は最初、2011年11月にGlobal Researchによって発表された。**


「アラブの春」という言葉は、ワシントンやロンドン、パリ、およびブリュッセルなどの遠隔のオフィスで考案されたキャッチフレーズであり、この地域について一部の表面的な知識以外、アラブについてほとんど知らない個人やグループによって作り出された。アラブ民族の間で展開しているのは、当然ながら、いろいろなものの混合体。反乱もあれば、日和見主義もある。革命があれば、反革命も常に存在する。

アラブ世界における騒乱は、アラブの「目覚め」でもない。そのような言葉を使えば、独裁と不正義が彼らを取り巻いている間、アラブは常に眠っていたということになってしまう。

実際のアラブ世界は、トルコ・アラブ・イラン世界というより広範な世界の一部であり、そこで頻繁に発生する反乱はアラブの独裁者たちによって、アメリカやイギリス、そしてフランスなどの国々との協調によって鎮圧されてきた。これらの大国の干渉が常に民主主義に対する対抗勢力として機能しており、今後もそのような状況が続くだろう。



分割して支配せよ:最初の「アラブの春」はどのように操られたか

中東の再編成計画は、第一次世界大戦の数年前から始まっていた。しかし、こうした植民地支配の計画が目に見える形で現れたのは、第一次世界大戦中のオスマン帝国に対する「アラブの大反乱」によってであった。

イギリスやフランス、そしてイタリアは、アルジェリアやリビア、エジプト、そしてスーダンのような国々でアラブ人が自由を享受するのを妨げてきた植民地大国であったにもかかわらず、これらの植民地大国は自らをアラブ解放の友であり同盟者であるかのように装っていた。

「アラブの大反乱」の間、イギリスとフランスはアラブ人を実際に足軽として使い、オスマン帝国に対抗し、自分たちの地政学的陰謀を推し進めるために利用した。ロンドンとパリの間で交わされたサイクス=ピコ秘密協定がその例だ。フランスとイギリスは、オスマン・トルコのいわゆる「抑圧」からのアラブ解放という構想を売り込むことで、アラブ人を利用し、操ることに成功したにすぎない。

実際のところ、オスマン帝国は多民族帝国だった。すべての民族に地域的・文化的な自治権を与えていた。しかし、それは操作されてトルコ的な存在になる方向に向けられた。

オスマン帝国のアナトリアで起こったアルメニア人大量虐殺も、イラクでキリスト教徒が標的にされている現代と同じ文脈で分析しなければならない。アルメニア人大量虐殺はオスマン帝国やアナトリア、そしてオスマン帝国の市民を分断するために外部の行為者が仕組んだものだったのだ。

オスマン帝国の崩壊後、アラブ人の自由を否定し、アラブ民族の間に不和の種をまいたのはロンドンとパリだった。地元の腐敗したアラブの指導者たちもまた、このプロジェクトのパートナーであり、彼らの多くは英仏の顧客となることに喜びを感じていた。同じ意味で、「アラブの春」は今日(こんにち)も操作の対象となっている。アメリカやイギリス、フランス、そしてその他の国々は、腐敗したアラブの指導者や人物の助けを借りて、アラブ世界とアフリカを再編成しようとしているのだ。


イーノン・プラン:混沌からの秩序・・・

イーノン・プランは、中東におけるイギリスの策略を引き継いだもので、イスラエルの地域的優位を確保するためにイスラエルが仕組んでいる戦略である。イスラエルが主張し、操作しているのは、周辺のアラブ諸国をより小さく弱い国家にバルカン化することによって、その地政学的環境を是が非でも再構成しようとしていることだ。

イスラエルの戦略家たちは、イラクをアラブ国家からの最大の戦略的問題と見ていた。イラクを中東とアラブ世界のバルカン化の目玉として考えたのはこのためである。イラクでは、イーノン・プランの概念に基づき、イスラエルの戦略家たちはイラクをクルド人国家と、シーア派イスラム教徒とスンニ派イスラム教徒の2つのアラブ国家に分割することを求めた。これを確立するための第一歩はイラクとイランの戦争であり、イーノン・プランで言われているのはこれだ。

2008年のアトランティック誌(The Atlantic)と2006年の米軍アームド・フォース・ジャーナル誌(Armed Forces Journal)は、いずれもイーノン・プランの骨子に忠実な地図を広く流布した。バイデン・プランも求めているイラクの分割はさておき、イーノン・プランはレバノンやエジプト、そしてシリアの分割を求めている。イランやトルコ、ソマリア、そしてパキスタンの分割も、すべてこれらの見解に沿ったものである。イーノン・プランはまた、北アフリカでの分割を求め、エジプトから始まり、スーダン、リビア、その他の地域に波及すると予測している。


この領域の確保:アラブ世界の再定義

微調整はされたものの、イーノン・プランは動き出し、「クリーン・ブレイク(Clean Break)」の下で息を吹き返しつつある。これは、1996年にリチャード・パール(Richard Perle)と「2000年に向けたイスラエルの新戦略」研究グループが、当時のイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフに向けて書いた政策文書によるものである。

パールは当時、ロナルド・レーガンの元国防次官で、後にジョージ・W・ブッシュ・ジュニアとホワイトハウスの米軍事顧問になった。

2000年に向けたイスラエルの新戦略」研究会の会員には、パールのほか、ジェームズ・コルバート(ユダヤ国家安全保障問題研究所)、チャールズ・フェアバンクス・ジュニア(ジョンズ・ホプキンス大学)、ダグラス・フェイス(フェイス&ゼル・アソシエーツ)、ロバート・ローウェンバーグ(高等戦略政治研究所)、ジョナサン・トロップ(ワシントン近東政策研究所)、デビッド・ウルマー(高等戦略政治研究所)、メイラヴ・ウルマー(ジョンズ・ホプキンス大学)が名を連ねている。

「クリーン・ブレイク:領域確保のための新戦略」が、この1996年のイスラエルの政策文書の完全な名称だ。

多くの点で、米国は「領域」を確保するというテルアビブの1996年の政策文書に概説された目標を実行している。さらに、「領域」という言葉は、著者たちの戦略的精神を暗示している。

「領域」は、君主によって統治される領土または君主の支配下にあるが、物理的には彼らの制御下になく、臣下に支配させている領土を指す言葉だ。この文脈では、「領域」という言葉は中東をテルアビブ王国と見なしている。ペンタゴンのキャリア官僚であるパールがイスラエルの文書の執筆に関与した事実からも、概念上の支配者がイスラエル、アメリカ、またはその両方であるかどうかを問わなければならなくなる。


領域の確保:ダマスカスを不安定化させるイスラエルの青写真

1996年のイスラエルの文書は、2000年前後かそれ以降に、シリア人をレバノンから追い出し、ヨルダンとトルコの助けを借りてシリア・アラブ共和国を不安定化させることによって、「シリアを後退させる」ことを求めている。これはそれぞれ2005年と2011年に起こったことだ。

1996年文書の内容。

「イスラエルはトルコやヨルダンと協力して、シリアを弱体化させ、封じ込め、さらには後退させることで、戦略的環境を形成することができる。この努力は、シリアの地域的野心を阻止する手段として、それ自体がイスラエルの重要な戦略目標であるイラクのサダム・フセインを権力から排除することに焦点を当てることもある。[1]





イスラエルが支配する「新中東」を作り上げ、シリアを包囲するための第一歩として、1996年のこの文書は、バグダッドのサダム・フセイン大統領を権力の座から引きずり下ろすことを求め、イラクのバルカン化と、スンニ派イスラム教徒の「中央イラク」を含む、ダマスカスに対する戦略的地域同盟の構築を暗示している。著者はこう書いている。

「しかし、シリアはこの紛争において潜在的な弱点を抱えている:ダマスカスは脅威となっている新たな地域的均衡への対処で頭がいっぱいであり、レバノン側への干渉を許容する余裕がない。また、ダマスカスはイスラエルとの「自然な連携」が一方にあり、中央イラクとトルコがもう一方にあり、中央にヨルダンが位置していることで、シリアがサウジアラビア半島から圧迫され、切り離されることを懸念している。

シリアにとって、これはシリアの領土の完全性を脅かす中東の地図の引き直しの序曲になるかもしれない」。[2]

パールと「2000年に向けたイスラエルの新戦略」研究会は、シリア人をレバノンから追い出し、レバノンの反体制派を利用してシリアを不安定化させることも求めている。文書にはこうある。

「レバノンの反対勢力を利用して、シリアのレバノン支配を不安定化させ、シリアの注意を[イスラエルはそらさなければならない]」。[3] これは、ラフィーク・ハリーリー前首相暗殺事件の後、2005年に起こったことであり、いわゆる「杉の革命」を引き起こし、腐敗したサード・ハリーリーが支配する度外れな反シリア「3月14日同盟」の結成につながった。


この文書はまた、テルアビブに対し、「シリア政権の本質を世界に思い起こさせる(機会を得る)」よう求めている。[4]

これは明らかに、パブリック・リレーションズ(PR)キャンペーンを使って敵対勢力を悪者にするイスラエルの戦略に当てはまる。2009年、イスラエルのニュースメディアは、テルアビブが大使館や在外公館を通じて、メディアキャンペーンやイラン大使館前での抗議行動を通じて、イラン大統領選挙が実施される前に、その信用を失墜させる世界的なキャンペーンを展開したことを公然と認めた。[5]

この文書には、現在シリアで起きていることと似たようなことも書かれている。こうだ。

「最も重要なことは、イスラエルが、シリア領内に侵入し、シリアの支配エリートに敵対するアラブ部族との部族間同盟を確保するなど、トルコやヨルダンの対シリア行動を外交的、軍事的、作戦的に支援することに関心を持っていることは理解できる」。[6]


2011年のシリア動乱で、反政府勢力の移動とヨルダン・トルコ国境を通した武器の密輸がダマスカスにとって大きな問題となった。

この文脈において、アリエル・シャロンとイスラエルが、英米のイラク侵攻後にシリア、リビア、イランを攻撃するようワシントンに指示したことは驚きではない。[7] 最後に、このイスラエルの文書が、イスラエルの地政学的環境を形成し、「新中東」を切り開くために先制戦争を提唱したことも知っておく価値がある。これは2001年に米国も採用することになった政策である。


中東におけるキリスト教社会の撲滅

エジプトのキリスト教徒が南スーダンの国民投票と同時期に、そしてリビアの危機の前に攻撃されたのは偶然ではない。

世界最古のキリスト教共同体のひとつであるイラクのキリスト教徒が、先祖伝来の故郷をイラクに残して亡命を余儀なくされているのも、偶然の一致でもない。

米英軍の監視下で起きたイラク人キリスト教徒の流出と時を同じくして、バグダッドの近隣地域はシーア派イスラム教徒とスンニ派イスラム教徒が暴力と決死隊によって宗派間の飛び地を形成することを余儀なくされ、宗派間の対立が激化した。これはすべて、イーノン・プランと、より広範な目的の一部としての地域の再構成に結びついている。

イランでは、イスラエルはイランのユダヤ人社会に退去してもらおうと無駄な努力を続けてきた。

イランのユダヤ人人口は、実際は、中東で2番目に多く、間違いなく世界で最も古い、平穏なユダヤ人社会である。

イラン系ユダヤ人は、イスラム教徒やキリスト教徒であるイラン人と同様に、自分たちをイランを祖国とするイラン人とみなしており、彼らにとって、ユダヤ人だからイスラエルに移住する必要があるという考え方は馬鹿げている。

レバノンでは、イスラエルがキリスト教やイスラム教の諸宗派、そしてドゥルーズ派共同体*の間の宗派対立を悪化させるよう働きかけている。
ドゥルーズ派共同体*・・・民族的にはアラブ人で、中東全域でおよそ100万人が存在するとされる。北アメリカ・南アメリカ・ヨーロッパなどにも海外共同体が存在する。(ウィキペディア)

レバノンはシリアへの跳躍台であり、レバノンをいくつかの国家に分割することは、シリアをいくつかの小さな宗派のアラブ国家にバルカン化する手段とも考えられている。

イーノン・プランの目的は、レバノンとシリアを、スンニ派イスラム教徒やシーア派イスラム教徒、キリスト教徒、そしてドルーズ派の宗教的・宗派的アイデンティティに基づいていくつかの国家に分割することである。また、シリアでキリスト教徒を脱出させることにも目的があるかもしれない。

東方カトリックの自治教会の中で最大規模を誇るアンティオキア・マロン派カトリック・シリア教会の新代表が、レバントと中東におけるアラブ系キリスト教徒の追放について懸念を表明した。

マル・ベチャラ・ブトロス・アル・ライ総主教をはじめ、レバノンとシリアの多くのキリスト教指導者たちは、シリアにおけるイスラム同胞団による乗っ取りを恐れている。イラクと同様、謎の集団が今、シリアのキリスト教共同体を攻撃している。エルサレム東方正教会総主教を含むキリスト教東方正教会の指導者たちも、みな重大な懸念を公に表明している。キリスト教アラブ人は別として、こうした懸念はキリスト教徒が大半を占めるアッシリアやアルメニアの共同体も共有している。



マル・ベチャラ・ブトロス・アル・ライ総主教は最近パリでニコラ・サルコジ大統領に会った。マロン派の総主教とサルコジ大統領はシリアについて意見の相違があり、サルコジ大統領はシリアの政権は崩壊するだろうと発言したと伝えられている。アル=ライ総主教の立場は、シリアは放っておいて改革を許すべきだというものだった。

マロン派総主教(マル・ベチャラ・ブトロス・アル・ライ)はまた、フランスが合法的にヒズボラの武装解除を望むのであれば、イスラエルを脅威として扱う必要があるとサルコジに語った。

アル=ライはフランスで自分の立場を明確にしたので、レバノンを訪れたシリア・アラブ共和国のキリスト教徒とイスラム教徒の宗教指導者たちから即座に感謝された。

ヒズボラとそのレバノンの政治的な同盟者(レバノン国会の大部分のキリスト教の議員も含まれる)も後に南レバノンを訪れたマロン派大主教(アル=ライ)を称賛した。

アル=ライ総主教は現在、ハリリ率いる「3月14日同盟」によって政治的に攻撃されている。その理由は、ヒズボラに対する彼の姿勢とシリア政権打倒を支持しないことにある。実際にハリリによって、アル=ライ総主教とマロン派教会の姿勢に反対するキリスト教関係者の会議が計画されている。アル=ライ総主教が自らの立場を表明して以来、レバノンとシリアの両方で活動するタハリール党も彼を標的にして批判を始めている。また、ヒズボラやシリアに対する彼の立場に不快感を示すため、米国の高官もマロン派総主教との会談をキャンセルしたと報じられている。

ハリリ率いるレバノンの「3月14日同盟」は、(議会で多数派を占めていたときでさえ)常に少数派であったが、アメリカやイスラエル、サウジアラビア、ヨルダン、そしてシリアで暴力とテロリズムを行使しているグループと手を取り合ってきた。シリアのイスラム同胞団やその他のいわゆるサラフィスト・グループは、ハリリや3月14日同盟のキリスト教政党と調整し、秘密会談を行なってきた。これが、ハリリとその同盟者がアル=ライ枢機卿に敵意を示した理由である。ファタハ・アルイスラムをレバノンに呼び込んだのもハリリと「3月14日同盟」であり、そのメンバーの何人かがシリアで戦うために逃亡するのを手助けしたのもハリリと「3月14日同盟」である。

混乱と内戦を引き起こす目的で、シリアの市民とシリア軍を標的にしている未知の狙撃手がいる。シリアのキリスト教社会もまた、未知のグループによって標的にされている。攻撃者たちは、米国やフランス、ヨルダン、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、そしてハリジ(湾岸)アラブ勢力の連合体であり、内部にシリア人がいる可能性が高い。

ワシントンやテルアビブ、そしてブリュッセルによって、キリスト教徒の中東脱出が計画されている。大主教アル=ライはパリで、ニコラ・サルコジ大統領から、レバントと中東のキリスト教社会は欧州連合(EU)に再定住することができると言われたと報道されている。これはありがたい申し出ではない。

これは、中東の古くからのキリスト教共同体を根絶やしにするための条件を意図的に作り出してきた同じ勢力による、平手打ちである。その狙いは、キリスト教共同体をこの地域の外に再定住させるか、あるいは彼らを飛び地へと区分けすることにあるようだ。どちらの目的もあり得る。

このプロジェクトは、アラブ諸国をイスラム教国だけという線引きで区切ることを意図しており、イーノン・プランとユーラシア大陸を支配するというアメリカの地政学的目標の両方に合致している。大きな戦争が起こるかもしれない。アラブのキリスト教徒は今や、肌の黒いアラブ人と多くの共通点を持っている。


アフリカの再分割化:イーノン・プランは決して死んではいない。稼働中・・・

アフリカに関して、テルアビブはアフリカを確保することは、より広範な周辺地域につながるとみなしている。この広範な、いわゆる「新周辺地域」は、1979年以降、テルアビブにとって地理戦略の基礎となった。パフラヴィー朝時代にイスラエルの最も親密な同盟国の一つであったイランを含むアラブ諸国に対する「旧周辺地域」が、1979年のイラン革命によって腰折れし、崩壊したからである。この文脈で、イスラエルの「新周辺地域」は、アラブ諸国とイラン・イスラム共和国に対して、エチオピアやウガンダ、そしてケニアといった国々を含むものとして概念化された。イスラエルがスーダンのバルカン化に深く関与してきた理由もここにある。

中東における宗派間の分裂と同じ文脈で、イスラエルはアフリカを再構成する計画をまとめた。イーノン・プランは、(1)民族言語、(2)肌の色、そして最後に(3)宗教という3つの側面に基づいてアフリカを区分けしようとするものだ。この領域を確保するために、パールを擁するイスラエルのシンクタンク、高等戦略政治研究所(IASPS)もまた、米国防総省のアフリカ司令部(AFRICOM)の設立を後押しした。

アラブとアフリカのアイデンティティの融合点を切り離そうとする試みが進行中だ。いわゆる「黒人アフリカ」と「非黒人」とされる北アフリカとの間にアフリカに分断線を引こうとしているのだ。これは、アフリカに「アラブ人」といわゆる「黒人」間の分裂を作り出そうという企みの一環である。

「アフリカ系南スーダン」と「アラブ系北スーダン」という馬鹿げたアイデンティティが育まれ推進されてきたのは、このためである。肌の黒いリビア人がリビアの「皮膚浄化」キャンペーンの標的にされているのもこのためだ。北アフリカにおけるアラブのアイデンティティは、アフリカのアイデンティティから切り離されようとしている。同時に、「黒い肌のアラブ人」の大集団を根絶やしにし、「黒人アフリカ」と新しい「非黒人」北アフリカとの間に明確な境界線を作ろうとしている。その結果、この地域は残りのアラブ人とベルベル人*との戦いの場となるだろう。
ベルベル人*・・・北アフリカの広い地域に古くから住み、アフロ・アジア語族のベルベル諸語を母語とする人々の総称。北アフリカ諸国でアラブ人が多数を占めるようになった現在も一定の人口をもち、文化的な独自性を維持する先住民族である。(ウィキペディア)

同じ文脈で、アフリカのスーダンやナイジェリアなどでは、イスラム教徒とキリスト教徒の間で緊張が煽られ、境界線と分断点をさらに作り出している。肌の色や宗教、民族、そして言語などに基づいてこうした分裂を煽ることは、アフリカの解離と亀裂を煽ることを意図している。これはすべて、北アフリカをアフリカ大陸の他の地域から切り離すという、より広範なアフリカ戦略の一環なのだ。


「文明の衝突」のためのチェス盤準備

まさにこの点において、すべての駒を集め、すべての点を繋ぐ必要が出てくる。

チェス盤は「文明の衝突」のために用意され、すべての駒はそれぞれの位置に置かれようとしている。

アラブ世界は封鎖される過程にあり、鋭利な境界線が作られつつある。

このような線引きは、異なる民族言語や肌の色、そして宗教集団の間の継ぎ目のない移行線などに取って代わりつつある。

この図式の下では、もはや社会と国の間の融和的な移行はありえない。中東や北アフリカのキリスト教徒、たとえばコプト教徒が標的にされているのはこのためだ。また、北アフリカでアラブ系黒人やベルベル系黒人、その他の黒人の人口集団が大量虐殺に直面している理由もここにある。

イラク、エジプトに続き、社会主義人民リビア・アラブ国とシリア・アラブ共和国は、それぞれ北アフリカと東南アジアにおける地域不安定化の重要なポイントである。リビアで起こることはアフリカに波及し、シリアで起こることは東南アジアやそれ以外の地域に波及する。イラクもエジプトも、イーノン・プランが述べていることに関連して、これらアラブ両国の不安定化の雷管となっている。

着々と実行されているのは、シーア派とスンニ派の争いで混乱することになる排他的「イスラム中東」地域(イスラエルを除く)の創造である。同様のシナリオは、アラブ人とベルベル人の対立を特徴とする「非黒人の北アフリカ」地域でも展開されている。それに加えて、「文明の衝突」モデルのもと、中東と北アフリカは、いわゆる「西側」と「黒いアフリカ」との対立状態に同時に入ってゆくことになる。

だからこそ、フランスのニコラ・サルコジもイギリスのデビッド・キャメロンも、リビア紛争が始まっている最中に、それぞれの西欧社会で多文化主義は死んだと相次いで宣言したのだ。[9] 真の多文化主義は、NATOの戦争遂行の正当性を脅かす。それはまた、米国の外交政策の根幹をなす「文明の衝突」の実行を妨げるものでもある。



この点に関して、ズビグニュー・ブレジンスキー元米国国家安全保障顧問は、多文化主義がワシントンとその同盟国にとって脅威である理由を説明している。

「アメリカがますます多文化社会となるにつれ、真に巨大で広く認識されている直接的な外的脅威がある場合を除き、外交政策上の問題(例えば、アラブ世界や中国、イラン、ロシア、そして旧ソ連との戦争)について合意を形成することが難しくなる可能性がある。

このような合意は、第二次世界大戦中も、冷戦時代も、一般的に存在していた[そして現在は、「世界規模のテロとの戦い」のために存在している]」。[10]


ブレジンスキーの次の文は、国民が戦争に反対したり支持したりする理由を述べている。

「しかし、[この合意は]、国民が脅威にさらされていると感じていた民主主義的価値観を深く共有することに根ざしたものであっただけでなく、敵対的全体主義の圧倒的犠牲者だったヨーロッパ人に対する文化的・民族的親近感にも根ざしていた」。[11]


冗長になる恐れがあるが、中東・北アフリカ(MENA)地域と、いわゆる「西側世界」やサハラ以南のアフリカとの間のこうした文化的親和性を断ち切る意図があるから、キリスト教徒や肌の黒い人々が標的にされていることを、もう一度述べておかなければならない。


民族中心主義とイデオロギー: 今日の「正義の戦争」を正当化する

かつて西欧の植民地支配国は、国民を教化した。彼らの目的は、植民地征服に対する民衆の支持を得ることだった。これは、武装した商人や植民地軍隊の支援を得て、キリスト教を広め、キリスト教の価値観を広めるという形をとった。

同時に、人種差別的イデオロギーが打ち出された。植民地化された土地の人々は、「人間以下」や「劣等」、そして「魂のない」存在として描かれた。最後に、いわゆる「世界の未開の人々」を文明化する使命を担うという「白人の重荷」が用いられた。この粘着性のあるイデオロギーの枠組みは、植民地主義を「大義名分」として描くために使われた。そして後者は、外国の土地を征服し「文明化」する手段として「正義の戦争」を行う正当性を与えるために使われた。

今日、アメリカやイギリス、フランス、そしてドイツなどの帝国主義的意図は変わっていない。変わったのは、新植民地主義による征服戦争を行う口実と正当化である。植民地時代には、戦争を行うための物語や正当化は、イギリスやフランスといった植民地支配国の世論に受け入れられていた。今日の「正義の戦争」や「大義名分」は、女性の権利や人権、人道主義、そして民主主義という旗印のもとに行われている。


マハディ・ダリウス・ナゼムロアヤはカナダ、オタワ出身の受賞歴のある作家。モントリオールのグローバル化研究センター(CRG)の社会学者兼研究員。北アフリカにおける「アラブの春」の目撃者。NATOによる空爆作戦中のリビアでは、カリフォルニア州バークレーから放送されているKPFAのシンジケート調査番組『Flashpoints』の特派員を務めた。

NOTES
[1] Richard Perle et al., A Clean Break: A New Strategy for Securing the Realm (Washington, D.C. and Tel Aviv: Institute for Advanced Strategic and Political Studies), 1996.
[2] Ibid.
[3] Ibid.
[4] Ibid.
[5] Barak Ravid, “Israeli diplomats told to take offensive in PR war against Iran,” Haaretz, June 1, 2009.
[6] Perle et al., Clean Break, op. cit.
[7] Aluf Benn, “Sharon says U.S. should also disarm Iran, Libya and Syria,” Haaretz, September 30, 2009.
[8] Richard Perle et al., Clean Break, op. cit.
[9] Robert Marquand, “Why Europe is turning away from multiculturalism,” Christian Science Monitor, March 4, 2011.
[10] Zbigniew Brzezinski, The Grand Chessboard: American Primacy and Its Geostrategic Imperatives (New York: Basic Books October 1997), p.211.
[11] Ibid.
関連記事

CIAはどのようにグーグルを作ったのか:大規模な監視や終わりのない戦争、そしてスカイネット(Skynet)などの背後にある秘密の連携網の内側

<記事原文 寺島先生推薦>
How the CIA Made Google: Inside the Secret
Network Behind Mass Surveillance, Endless War, and Skynet

筆者:ナフィーズ・アームド(Nafeez Ahmed)
出典:INTERNATIONALIST 360°  2015年1月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月12日


第一部
 陰の連携網

第二部-なぜグーグルはNSA(国家安全保障局)になったのか
大規模な監視や終わりのない戦争、そしてスカイネット(Skynet)などの背後にある秘密の連携網の内側
 戦争マシーン
 知は力なり
 「長期戦争」
 ヨーダとソビエト
 エンロンやタリバン、そしてイラク
 エンロンとペンタゴンの戦争計画
 ペンタゴンのプロパガンダ担当
 監視とプロパガンダとの結びつき
 非正規戦争と疑似テロリズム
 戦略的コミュニケーション:国内外の戦争プロパガンダ
 帝国の逆襲
 陰の存在はなくなる



第一部

 INSURGE INTELLIGENCE(:反乱的機密情報組織。新しいクラウドファンド型の報道関係調査組織)が、アメリカの情報機関がグーグルを支援し、育てた意図には、情報の制御を通じて世界を支配しようとすることあったと糾弾する独占的な記事を掲載した。その記事によると、グーグルは、NSA(国家安全保障局)とCIA(中央情報局)から設立資金を受け、「情報優位性」を維持するため米国の情報機関によって選ばれた数ある民間のスタート・アップ企業*の最初の企業に過ぎなかった、という。
スタートアップ企業*・・・新たなビジネスモデルを開発する企業のこと

 この巧妙な戦略の起源は、ペンタゴン(国防総省)が内密に資金提供していたある一連の組織にさかのぼる。この組織が、過去20年にわたり、米国政府と事業者や産業、金融、企業、およびメディア部門のエリート層との架け橋として機能していた。この組織が、株式会社アメリカにおいて最も強力な特定利益を持つ一部の企業が、民主的な責任と法の支配を組織的に回避し、米国および世界中の政府政策、および世論に影響を与えることを可能にしたのだ。その結果は惨憺たるものだ:NSAの大規模監視や、世界戦争の恒常化、および米軍をスカイネット*(Skynet)に変える新しい取り組み、などだ。
スカイネット *・・・ 映画『ターミネーター』などに登場する、自我を持つ架空のAIコンピュータのこと

 パリでのシャルリー・エブド襲撃*を受けて、西側諸国の政府はテロ対策を名目に、大規模な監視権限の拡大やインターネットの統制を急速に合法化しようとしている。
シャルリー・エブド襲撃*・・2015年1月7日、フランスの風刺週刊新聞『シャルリー・エブド』の本社がイスラム過激派に襲撃され、12人が殺害された事件(コトバンクより)

 欧米の政治家たちは、NSA(米国家安全保障局)方式の監視を保護し、暗号を禁止してインターネットの個人情報に侵入する能力を向上させることを求めている。ひとつの構想としては、電気通信会社間の協同関係を構築し、「適切」と考えられる状況で「憎悪と暴力を助長する」と見なされる内容を一方的に削除することがある。政府および議会段階で激しい議論が行われており、弁護士と依頼人の間の機密事項の保持という原則に制限をかける可能性も探られている。

 これらの対策がシャルリー・エブド襲撃の再来を防ぐのにどれだけ役立ったかは謎のままだ。特に、テロリストたちはすでにフランスの情報機関のレーダーに最大で10年間も載っていることを考えればそうだ。

 この話に新味はほとんどない。9/11の残虐行為を皮切りに多くのテロ攻撃が発生し、それぞれの攻撃が市民の自由を犠牲にした過激な国家権力の拡大をもたらし、さらにはテロリストが潜むとされる地域に対して軍事力が向けられてきた。しかし、この十分に試行された定式が危険を減少させた兆候はほとんどない。むしろ、我々は深化する暴力の悪循環に閉じ込められているようで、明確な終わりが見えない。

 各国政府当局がその権限を拡大しようとする中、INSURGE INTELLIGENCEの影響力は、米国の情報機関が私たちの現在知っているウェブ上のプラットフォームの育成に関わる程度にまで増している。そしてその正真正銘の目的は、その技術を利用して、世界的な「情報戦争」を戦うための枠組みをつくることだ。この戦争は少数のエリートが我々多数者に君臨する力を有することを正当化するのが目的だ。この話の要となるのは、21世紀を多くの面で定義づけ、目立たずどこにでもその存在感を示す企業であるグーグルだ。

 グーグルは、自社を友好的で洒落た使いやすいな技術企業と位置付け、自社が傑出できたのは、技術や運、そして本物の革新を重ね合わすことができたからだ、と述べている。これは事実だ。しかし、それは一面にすぎない。実際には、グーグルはその背後に米国の軍産複合体が潜んでいる煙幕だ。

 ここで初めて明らかにされるグーグルの台頭の内幕は、グーグル社だけの話では到底すまない、いくつかの厄介な問題を露わにする。その結果、アメリカの国家安全保障諸機関の進化を促進し、その運営から法外な利益を得る寄生的な連携網の姿に脚光が当てられることになろう。

陰の連携網

 過去20年間、米国の外交および諜報戦略は、イスラム世界に対する長期にわたる軍事侵略と市民の包括的な監視から成る、世界的な「テロとの戦い」をもたらした。これらの戦略は、ペンタゴン内外に存在する秘密の連携網によって、指示されたものではないにせよ、生み出されたものと言えるだろう。

 クリントン政権下で設立され、ブッシュ政権下で統合され、そしてオバマ政権下でしっかりと確立されたこの超党派の連携網は、ほとんどがネオコン的思想を持つ者たちから成り立ち、2015年初頭にはアメリカ国防総省(DoD)内でその支配を確立した。これはペンタゴンの外部にある得体の知れない企業組織を通じて運営されているが、実際の管理はペンタゴンが行なっている。

 1999年、CIAは有望なスタート・アップ企業に資金を提供し、情報機関に有益な技術を生み出す可能性があると考えたため、独自のベンチャー・キャピタル*投資会社であるIn-Q-Tel*を設立した。しかし、In-Q-Telの着想はそれよりも早い。ペンタゴンが独自の民間部門組織を設立した時だ。

ベンチャー・キャピタル*・・・高い成長率が見込まれる未上場企業に対して、主に投資をおこなう投資会社
In-Q-Tel*・・・1999 年に米国CIAが先端ITを取り込むために設立したベンチャー・キャピタルである。事業規模は小さいが、市場メカニズムを活用し、両用技術、ITの振興策として成果を挙げている。(国立国会図書館サイト)


 「ハイランズ・フォーラム(Highlands Forum)」として知られるこの民間の連携網は、1990年代半ば以来、ペンタゴンと軍の外の有力なアメリカのエリート層との架け橋として機能している。政権は何度か変わったが、ハイランズ・フォーラムの周辺の連携網は、アメリカの国防政策支配をますます成功させている。

 ブーズ・アレン・ハミルトン(Booz Allen Hamilton)社やサイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コーポレーション社のような巨大防衛関連企業は、政府との間に回転ドアを持ち、防衛政策に影響を与え、同時に利益を得る能力を持つことから、「影の情報機関」と呼ばれることがある。しかし、これらの請負業者は権力と資金をめぐって競争する一方で、重要なところでは協力もしている。ハイランズ・フォーラムは20年にわたり、影の情報社会の最も著名な構成員が、関連業界の他の指導者たちとともに、米国政府高官と集うオフレコの場を提供してきた。

 私が初めてこの連携網の存在を知ったのは2014年11月、オンライン雑誌『VICE』の『Motherboard』欄で、チャック・ヘーゲル米国防長官が新たに発表した「国防革新構想」の正体がスカイ・ネットの構築、あるいはそれに類するものであり、本質的には自動化されたロボット戦の新時代を支配するためのものだ、と報じたときだった。

 この記事は、ワシントンDCにある国防大学(NDU)(とくに、米国の国防政策を開発するための最高水準の研究を行なっている)が2ヶ月前に発表した、ペンタゴンが資金提供した「白書」に基づいている。この白書は、新たな構想の背景にある考え方と、それを利用しようとする画期的な科学技術の発展を明らかにしている。


第二部-なぜグーグルはNSA(国家安全保障局)になったのか
大規模な監視や終わりのない戦争、そしてスカイネット(Skynet)などの背後にある秘密の連携網の内側


 大規模な監視は、統制に関わるものだ。その推進者たちは、無秩序に歯止めをかけ、次の脅威を完全に警戒するために必要な統制である、と主張(本気で信じているかもしれない)している。しかし、政治腐敗の横行や経済格差の拡大、気候変動やエネルギー変動による資源にかけられている圧力の増大といった状況の中で、大規模な監視は、国民の犠牲の上に、単に権力を永続させるための道具になりかねない。

 見落とされがちだが、大規模な監視の主要な機能は、敵対者を知り尽くすことによって彼らを敗北に導くことだ。問題は、敵がテロリストだけではないということだ。あなたと私なのだ。今日に至るまで、プロパガンダとしての情報戦の役割は本格化しているが、多くのメディアは組織的にそれを無視している。

 ここでINSURGE INTELLIGENCEが暴露しているのは、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムがグーグルのようなハイテク大企業を取り込み、大規模な監視を追求する中で、アメリカ政府やアメリカ国民、そして世界に対する情報戦争の一環として、終わらない戦争ややむことのない軍拡政策を正当化させるために、メディアを操作する秘密工作にいかに重要な役割を果たしてきたか、についてだ。


戦争マシーン


キース・アレグザンダー(Keith Alexander)将軍(中央)(2005年から2014年までNSA長官と中央安全保障局長、また2010年から2014年まで米国サイバー軍の指揮官)、2010年ハイランズ・フォーラムのサイバー抑止に関する話し合いにて。

 2013年9月、モンテリー国際問題研究所のサイバー・セキュリティ・イニシアチブ(MIIS CySec)のウェブサイトに、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムの創設者の一人であり、米国防請負会社SAICの副社長であるCIA相談役のジェフリー・クーパーによる「サイバー抑止力」に関する論文の最終版が掲載された。この論文は、2010年にハイランズ・フォーラムで行なわれた「サイバー軍の関与と抑止」と題する話し合いで、当時のNSA長官キース・アレグザンダー将軍に提出されたものである。

 MIIS CySecは、同組織の所長とフォーラムのリチャード・オニール会長の間で調印された覚書を通じて、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムと正式に提携しており、この構想自体には、フェイスブックやグーグル、そしてイーベイなどのハイテク企業に10億ドル規模の評価額を出すことを主導したゴールドマン・サックスの重役、ジョージ・C・リーが出資している。

 クーパーの目を見張るような論文は、MIISのサイトではもう入手できないが、アメリカ法曹協会が主催した公開国家安全保障会議のデータ保存ログから、その最終版を入手することができる。クーパーは現在、SAIC/Leidos社の最高技術責任者を務めており、ブーズ・アレン・ハミルトン社をはじめとする防衛技術企業連合体の一員として、NSAの監視能力の開発を請け負っている。

 ハイランズ・フォーラムによるNSA長官への説明は、国防次官(情報担当)の委託により、これまでのフォーラムで開発された考え方に基づいて行われた。この説明は、ワシントンDCの戦略国際問題研究所(CSIS)での、MIIS Cysec所長のイタマラ・ロシャール(Itamara Lochard)博士が司会を務めたハイランズ・フォーラムの「非公開の話し合い」で、アレグザンダー将軍に提出された。

 ラムズフェルドの情報戦略工程表と同様、クーパーはNSA長官に対して、「デジタル情報システム」を「脆弱性の大きな源」であると同時に、「国家安全保障」のための「強力な道具であり武器」である、と説明した。彼は、米国のサイバー情報部門が、潜在的敵対勢力と実際の敵対勢力に関する「詳細な知識」を最大限に活用する必要性を提唱し、これによって威嚇や報復のために利用できる「すべての潜在的な影響力」を特定できるようにした。クーパーによると、「連携網による抑止」を可能にするために米国の情報機関が求められることは、「関係する特定の連携網とその結びつきの型(結びつきの種類と強さを含む)についての深い理解と具体的な知識」の開発であり、そのためには、認知科学と行動科学を利用して、その型の予測の助けとすることが必須となる、という。彼の論文は、さらに進んで、潜在的な「敵対者」や「対抗相手」に関する監視やソーシャル・メディア探索から得られたデータを簡略的に捉えるための理論的構造についても本質的に踏み込んでいる。

 このNSA長官(ハイランズ・フォーラムのもう一人の代表であるミシェル・ウェスランダー・クエイド)への説明会の1年後、ミシェル・ウェスランダー・クエイドはグーグルに入社、防衛情報次官補を助言するペンタゴンの役職を離れて同社の最高技術責任者となった。その2カ月前、国防科学委員会(DSB)の国防情報に関する対策本部は、対反乱(COIN)や情報、監視、そして偵察(IRS)作戦に関する報告書を発表した。クエイドは、報告書作成にあたって国防科学委員会対策本部に助言を与える説明会をおこなった政府情報専門家の一人である。対策本部へ説明したもう一人の専門家は、ハイランズ・フォーラムを退いたリントン・ウェルズである。DSBの報告書そのものは、ブッシュ大統領に任命されたジェームズ・クラッパー国防次官(当時情報担当)が依頼したもの。アレグザンダー将軍にハイランズ・フォーラムでの説明を依頼したのもクラッパーだった。クラッパーは現在、オバマの国家情報長官であり、彼は2013年3月、NSAはアメリカ市民のデータをまったく収集していないと主張するという、議会で宣誓した上での嘘をついた。

 ミシェル・クエイドの米軍情報機関全体における実績は、これらの情報機関においてウェブ上の手段やクラウド技術を活用するような移行を実現したことであった。彼女の思想は、DSB対策本部報告書の主要部分に顕著に表れている。その目的は、ペンタゴンの「投資決定に影響を与える」ことであり、「反乱を評価し、その環境にある人々を理解し、COIN作戦を支援するための適切な情報能力を推奨すること」であると説明されている。

 報告書は、南アジアや東南アジア、北アフリカ、西アフリカ、中東、南アメリカなど24カ国について、今後数年間に米軍に「COINの課題」をもたらす可能性のある国名を挙げている。その中には、パキスタンやメキシコ、イエメン、ナイジェリア、グアテマラ、ガザ/西岸、エジプト、サウジアラビア、レバノンなどの「独裁政権」が含まれている。報告書は、「経済危機や気候変動、人口圧力、資源不足、あるいは統治力の欠如が、これらの国家(あるいは他の国家)を破綻させるか、侵略者/反乱軍の標的になるほど弱体化させる可能性がある」と論じている。そこから、「グローバルな情報基盤」と「ソーシャル・メディア」は、地域的な影響を持つ「出来事の速度や激しさ、そして勢いを急速に増幅させる」ことができる、という。さらに、「そのような地域は、米国本土への攻撃や人員を募集、作戦に資金を供給、訓練そして作戦を供給するための聖域となる可能性がある」とした。

 この文脈では、大規模な武力行使が必要となる前に、反乱を回避する、あるいはまだ初期の段階で反乱に対して先手を打つために、軍の「left of bang」*作戦の能力を高めることが急務である。報告書はさらに、「インターネットとソーシャル・メディアは、識字率が高いだけでなく、インターネットに接続されている社会における社会内のつながりを分析するデータの重要な情報源である」と結論づけている。そのためには、「住民を中心とした作戦」に備えるために、「さまざまな文化や言語にわたるブログ圏やその他のソーシャル・メディアを監視する」必要がある、という。
「left of bang」*・・・Patrick Van Horne & Jason A. Rileyの著書。副題:海兵隊の戦闘作戦計画で生き残れ!から取られた作戦名。「兆候を感知し、すぐ行動に移せ」という意味。

 この報告書によると、ペンタゴンはまた、「国民や人との繋がり、地理、その他の経済的・社会的特性に関する基礎データ」に基づき、「国民の行動をよりよく理解し、予測する」ための「行動の定型化と予行演習」の能力を高めなければならない、という。さらに、このような「国民を中心とした作戦」は、資源問題に由来する「水危機や農業に関する問題、環境に関する問題、賃貸料に基づくものであろうと資源紛争の初期」においても「ますます」必要とされるようになり、これには、「天然資源の枠組みの有機的な一部としての国民動態」の監視も含まれなければならない、という。

 その他の増強分野としては、「データを整理し検索可能にするための一貫した時空間構造」におけるあらゆる形態の情報のための、「頭上ビデオによる監視」や「高解像度の地形情報」、「クラウド・コンピューティング*能力」、「データ移動」であり、「時空間記号化と解析を支援」できる「社会科学構造」を開発し、「個人のすべての取引に個人情報を紐付けする」ために、「最も基本的な行政上のサービスを受けられる所に、様々な形態の生体認証技術(指紋、網膜スキャン、DNAサンプルなど)を配布」することなどだ。加えて、ペンタゴンが「国民に対する深い理解」を深める補助として、「人類学的、社会文化的、歴史的、人文地理学的、教育的、公衆衛生学的、その他多くの種類の社会・行動科学的データと情報」を開発するのを支援するために、学術団体を導入しなければならない、とある。
クラウド・コンピューティング*・・・ウェブ上でコンピューター作業をおこなうこと

 グーグルに入社して数カ月後、クエイドは2011年8月、ペンタゴンの国防情報システム局(DISA)顧客・産業フォーラムにグーグル社を代表して出席した。このフォーラムは、「サービス、戦闘司令部、省庁、連合軍」に、「我々の戦闘員を支援する能力を実現し、確保するための革新的技術について、産業界と直接関わる機会」を提供するものだった。この催しへの参加者たちは、「国防計画情報環境」の構築に不可欠な存在だった。この環境とは、「ネットワークやコンピューティング、環境、サービス、情報保証、およびネットワーク運用自動化(NetOps)機能を含む統合プラットフォーム」と定義され、戦闘員が「軍事作戦の全局面にわたり、情報に接続し、自分自身を特定し、情報を発見および共有し、協力する」ためのものだ、という。フォーラムの討論者のほとんどは国防総省の役員で、グーグルのクエイドを含むわずか4人だけが業界の討論者だった。


SAIC/Leidos’
ジェフリー・クーパー(中央)(ペンタゴンのハイランズ・フォーラムの創設者のうちの一人)。2010年のCSISで開催されたサイバー抑止に関するフォーラム話し合いで、ゴールドマン・サックスの共同経営者であるフィル・ヴェナブルズ(右)の発言を聞いている。


 DISAの高官たちもハイランズ・フォーラムに出席している。例えば、ポール・フリドリヒス(Paul Friedrichs)はDISAの最高情報セキュリティ機関の技術部長であり主任技術者だ。


知は力なり

 以上を考慮すると、2012年、ハイランズ・フォーラムの共同議長であるレジナ・デューガンがDARPA(国防高等研究計画局)を離れ、グーグルの上級管理者として入社した数か月後に、当時のNSA長官であるキース・アレグザンダー将軍がグーグルの創業者であるセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)と情報共有についてメールでやり取りしていたことはそれほど驚くことではない。これらのメールは、調査ジャーナリストのジェイソン・レオポルド(Jason Leopold)が情報公開法に基づいて入手したもの。アレグザンダー将軍はグーグルを「米軍の国防産業基地の重要な構成員」と表現した。この立場は、ミシェル・クエイドが、どうやら、固めていたものだ。ブリンと前NSA長官(アレグザンダー将軍)との陽気な関係は、ブリンが1990年代半ば以来、CIAおよびNSAの代表と連絡を取っており、これらの機関がグーグル検索エンジンの創設に一部資金提供したり監督していたことを考えれば、完全に理解できる。

 2014年7月、クエイドは、Force 2025変革構想の一環として米陸軍の「サイバー能力」の向上を促進することになる「急速取得セル」の創造について米陸軍の公開討論会で講演した。彼女はペンタゴンの高官たちに対して、「陸軍の2025年の技術目標の多くは、今日利用可能な商用技術または開発中の技術を活用して実現できる」と述べ、さらに「産業界は新しい視点を支援するために陸軍と提携する準備ができている」と強調した。同じ頃、ほとんどのメディアはグーグルがペンタゴンの資金提供から距離を置こうとしていると報じていたが、実際にはグーグルは戦術を切り替え、独自に商業技術を開発し、それをペンタゴンが変革目標とする軍事面に応用させようとしたのだ。

 とは言っても、クエイドはグーグルと米国軍の情報機関との関係において唯一の核心人物というわけではない。

 2004年、グーグルはCIAのベンチャー企業投資会社であるIn-Q-Telから衛星地図ソフトウェアKeyholeを買収した。その後1年、In-Q-Telの技術評価部長であり、最初にKeyholeへの投資で重要な役割を果たしたロブ・ペインター(Rob Painter)はグーグルに移った。In-Q-Telでのペインターの仕事は、「CIAやアメリカ国家地理空間情報局National Geospatial-Intelligence Agency(NGA)、およびアメリカ国防情報局Defense Intelligence Agency(DIA)にとって非常に価値のあると考えられる新しいスタート・アップ技術企業を特定し、調査し、評価すること」に焦点を当てていた。実際に、NGAはKeyholeを通じて得られた情報が、2003年以降のイラクでの米国の作戦を支援するためにNSAによって使用されたことを確認していた。

 元米陸軍特殊作戦情報将校のペインターが、2005年7月にグーグルで新たに就いた仕事は、Google Earth Enterprise(Keyhole改め)の連邦管理者だった。2007年ごろには、ペインターはグーグルの連邦政府の主任技術者となっていた。

 その年、ペインターはワシントン・ポスト紙に対して、グーグルが、アメリカ政府に対して高度で秘密版の製品を販売し始めている「初期の段階」にいると語った。「グーグルは過去1年間にわたり、技術製品を軍事、民間機関、および情報機関の必要性に適応させるために、ワシントン地域の営業力を強化してきた」とポストは報じた。ペンタゴンは既に、ロッキード・マーチン社とのパートナーシップで開発されたGoogle Earthのバージョンを使用しており、「イラクの地上における軍事情報を表示する」ために利用していた。これには、「イラクの主要な地域の鳥瞰」や、「バグダッドのスンニ派とシーア派の地区、およびバグダッドにある米軍とイラク軍の基地の表示」も含まれていた。「ロッキード社もグーグルも、地理空間機関がデータをどのように使用しているかは明らかにしなかった」。 グーグルは政府に対して新しい「Google Earthの強化版」や「政府機関が国内で使用できる検索エンジン」を販売することを目指していた。

 2010年に流出したホワイトハウスの記録により、グーグルの幹部が複数回、米国国家安全保障会議の高官たちと会合を持っていたことが明らかになった。グーグルの政府担当部長であるアラン・デイビッドソンは、2009年に少なくとも3回、米国国家安全保障会議の高官たちと会合を持った。その中にはロシア担当のホワイトハウス上級部長であるマイク・マクフォールと中東担当顧問であるダニエル・シャピロもいた。同様に、グーグルの特許出願から明らかになったところによれば、同社は意図的に「ペイロード」データを収集していた。これは、個々のWi-Fiネットワークから「地理位置情報」の特定を可能にするものだった。同じ年に、グーグルはNSAとの合意書に署名し、サイバー・セキュリティの名の下で同社の利用者な個人情報、ハードウェア、ソフトウェアへの制限なしの接続を提供していることが明らかになった。これらの合意は、当時のアレグザンダー将軍が国内の数百の通信企業のCEOとの繰り返される話し合いに専心して出来たものだった。

 したがって、米国の軍産複合体の主要な貢献団体および基盤はグーグルだけではない。それはインターネット全体であり、広範囲にわたる民間会社だ。その多くは米国の情報機関(またはその共同体に組み込まれた強力な資金提供者)の庇護と資金援助を受けている。これがインターネットと通信インフラを維持している。それはまた、CIAのベンチャー企業であるIn-Q-Telに最先端の技術を提供する多くの新興企業であり、そこでそれらの技術は軍事情報共同体全体での応用と発展のために取り入れたり、進化させることが可能になるのだ。最終的に、NSAなどの機関が使用するグローバル監視装置と機密ツールは、ほとんどがペンタゴンの外部で運営されているグーグルのような外部の研究者や民間請負業者によって作られてきた。

 ペンタゴンのハイランズ・フォーラムの活動に反映されているこの構造により、ペンタゴンは、そうでなければ見逃してしまうような技術革新を迅速に利用することができる一方で、そのような技術が実際に何に使われているのかという不快な疑問を避けるために、少なくとも表向きはこの民間部門と距離を置いている。

 しかし、次のことは、実際のところ、明らかではないだろうか?ペンタゴンは、公然にせよ非公然にせよ、戦争が目的なのだ。グーグルのような企業は、NSAの技術的監視基盤の構築を支援することで、軍産複合体が最も得意とする「現金のための殺人」に加担することになる。

 大規模な監視の性質が示唆するように、その対象はテロリストだけではない。ひいては「テロ容疑者」や「潜在的テロリスト」であり、その結果、集団全体(特に政治活動家)を米国の諜報機関による監視の対象とし、活動中および将来の脅威を特定して、国内外で想定されるポピュリストの反乱を警戒しなければならなくなる。予測分析と行動特徴は、ここで極めて重要な役割を果たす。

 大規模な監視とデータ利用はまた、殺人を伴う特殊作戦実行を支援するという、独特の作戦目的も持っている。たとえば、怪しげなアルゴリズムによってCIAの無人機攻撃殺害リストの標的を選定したり、陸・空・海の戦闘指揮官に地理空間やその他の情報を提供したりする。ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディアへの投稿ひとつで、漠然とした直感や疑いだけで極秘テロ監視リストに登録され、容疑者が殺害リストに載る可能性さえある。

 ペンタゴンや情報機関、国防請負業者、そしてグーグルやフェイスブックのような友好的とされるハイテク大企業などを包括する軍産複合体による無差別かつ包括的な大規模監視の推進は、それ自体が目的ではなく、権力の道具であり、その目的は自己の永続化にある。それは軍産複合体にとって素晴らしいことであると同時に、他の誰にとっても素晴らしいことなのだろう。


「長期戦争」

 軍産複合体の中心にある、骨の髄まで愛国主義的な、自己陶酔的な、自画自賛的な権力志向を何よりもはっきり説明しているのは、ハイランズ・フォーラムに長年参加しているトーマス・バーネット博士の著書『ペンタゴンの新しい地図』である。バーネットは2001年から2003年までペンタゴンの戦力再編成局で戦略的未来担当補佐官を務め、上司のアーサー・セブロウスキー副提督からリチャード・オニールに推薦されていた。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーになっただけでなく、バーネットの本はワシントンの国防高官や中東の現場で活動する戦闘指揮官など、米軍で広く読まれていた。

 バーネットは1998年にペンタゴン・ハイランズ・フォーラムに初めて参加し、2004年12月7日には、ペンタゴンの高官やエネルギー専門家、インターネット企業家、そしてジャーナリストらが出席した同フォーラムに招かれ、彼の仕事についての報告をおこなった。バーネットはその1週間後、ハイランズ・フォーラム仲間のデイビッド・イグナティウスからワシントン・ポスト紙の書評で絶賛され、同じくフォーラム仲間のトーマス・フリードマンからも推薦を受けた。そのおかげで彼の信用は高まり、読者層は大きく広がった。

 バーネットの見方は根っからの新保守主義である。彼は世界を本質的に2つの領域に分ける: すなわち、経済のグローバル化のルールに従って行動する先進国(アメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパ、日本)と、そこに到達するために尽力する発展途上国(ブラジル、ロシア、インド、中国、その他)からなる「コア(核)」と、グローバル化の驚異から基本的に「切り離されている」ことによって定義される、危険で無法地帯の国々からなる「ギャップ(溝)」である。これには中東とアフリカの大部分、南米の大部分、中央アジアと東欧が含まれる。「コア」を特徴づけるグローバリゼーションの文化的・経済的「ルール設定」を普及させ、その「ルール設定」を普及させるために世界中で安全保障を強化することによって、「ギャップを縮める」ことが米国の課題である。

 アメリカ権力のこれら2つの機能は、バーネットの「リヴァイアサン」と「システム管理者」という概念がすべてを尽くしている。前者は資本主義市場の普及を促進するためのルール設定であり、軍事法と文民法によって規制される。後者は、安全保障を実施し、国家建設に関与するために、軍事力を「ギャップ」に投射することである。「再建」ではなく、「新しい国家」の建設であることを彼は口を酸っぱくして強調している。

 バーネットにとって、ブッシュ政権が2002年に国内では「愛国者法」を導入し、人身保護権を潰し、国外では国家安全保障戦略を打ち出し、一方的な先制攻撃を可能にしたことは、「コア」がこの崇高な使命に着手するために必要なルール設定書き換えの始まりであった。米国が安全保障を確保するためにはこれしかない、とバーネットは書いている。「ギャップ」が存在する限り、それは常に無法な暴力と無秩序の源となるからだ。特に次の段落は、彼の展望を要約している。

「世界の警官としてのアメリカは、安全保障を生み出す。安全保障は共通のルールを生み出す。ルールは外国からの投資を引き寄せる。投資は生活基盤施設を生み出す。生活基盤施設は天然資源への接続を生み出す。資源は経済成長を生み出す。成長は安定を生み出す。安定は市場を生み出す。そして、グローバル市場で成長し、安定すれば、あなたは「コア」の人間となる。以上、ミッション達成!」



 新保守主義的な傾向にもかかわらず、バーネットがこの展望を実現するために必要だと予測したことの多くは、オバマの下でも追求されている。近い将来、米軍はイラクやアフガニスタンだけでなく、ウズベキスタン、ジブチ、アゼルバイジャン、北西アフリカ、南部アフリカ、南米などに派遣されるだろうとバーネットは予測していた。

 バーネットのペンタゴンでの説明は、ほぼだれもが全員熱狂的に受け入れた。ハイランズ・フォーラムは彼の著書をわざわざ購入し、フォーラムの参加者全員に配布した。2005年5月、バーネットは再び招待され、彼の「システム管理者」の考え方をテーマにしたフォーラム全体会に参加した。

 こうしてハイランズ・フォーラムは、ペンタゴンが「テロとの戦い」の概念全体を定義する上で主導的な役割を果たした。元IMB副社長で、1997年から2001年まで大統領の情報技術諮問委員会の共同委員長を務めたアーヴィング・ウラダウスキー・バーガー(Irving Wladawsky-Berger)は、2007年のあるフォーラムでの経験を、効果的な言葉遣いをしながら、次のように語っている。

「そして、国防総省が長期戦争と呼び始めた対テロ戦争です。この言葉は、私がフォーラムで初めて耳にしたものです。私たちが現在置かれている紛争全体を表現するのに、とても適切な言葉だと思います。これは真にグローバルな紛争です。私たちが現在直面している紛争は、私たちの生活様式そのものを破壊し、彼らが自分たちの生活様式を押し付けようとする文明あるいは文化の戦いの様相を呈しています」。



 問題は、ペンタゴンが主催するこの強力な徒党以外、誰もが同意しているわけではないということだ。「私は、バーネットの治療法が病気よりましだとは納得していない」と、元ペンタゴンの近東・南アジア部門の上級分析官で、イラク戦争への準備段階において同部門がいかに意図的に虚偽の情報を捏造したかを内部告発したカレン・クウィアトウスキー(Karen Kwiatowski)博士は書いている。「(バーネットの治療法を使えば)アメリカの自由や立憲民主主義、そして血の犠牲は、それが値するよりもはるかに大きなものになることは確実だと思う」。

 しかし、「ギャップの縮小」と「コアの安全保障の維持」を同一視することは、滑りやすい斜面に身を置くことになる。米国が「世界の警察官」としての指導的役割を果たせなくなれば、「ギャップ」は拡大し、「コア」は縮小し、世界全体の秩序の布地がほつれてしまいかねない。この論理によって、アメリカはその使命の正当性を政府にも世論にも否定させるわけにはいかない。そんなことをすれば、「ギャップ」が制御不能になり、「コア」を弱体化させ、「コア」の保護者であるアメリカとともに共倒れになる可能性がある。それゆえ、「ギャップの縮小」は単なる安全保障上の必須事項ばかりではない。存立に関わる優先事項であり、この計画全体の正当性を世界に示すために、情報戦によって後押しされなければならないのだ。

 オニールが1989年に米海軍に提出した報告書に明記された情報戦争の原則に基づけば、情報戦争の標的は「ギャップ」の国民だけでなく、「コア」の国民とその政府(米国政府を含む)もその標的となる。元米情報当局高官ジョン・アレクサンダーの話だが、ペンタゴンの最高指導部に読ませたというこの極秘報告書は、情報戦争の目標は、次の3つに絞る必要があると言っている。①敵対国にはその脆弱性を納得させること、②世界中の潜在的友好諸国には「(自分たちの)大義は正当なものだ」と認めさせること、そして最後に、③民間人と政治指導者には血の「代償」によって得られる宝はその価値があると信じさせること、だ。

 バーネットの著作がペンタゴンのハイランズ・フォーラムで売り込まれたのは、アメリカの軍産複合体にとって説得力のある「気分のいい」思想を提供するという点でうってつけだったからだ。

 しかし、新保守主義的思想は、もちろんバーネットに端を発しているとは言い難い。彼自身は、たとえ彼の著作がペンタゴン全体で極端な影響力を持ったとしても、役回りとしては小さい。ハイランズ・フォーラムに関わる高官たちの退行的な思考は、9.11のはるか以前から見て取れる。この傾向はフォーラムに関連する人物たちによって停止され、米国の国外政策と情報政策をますます攻撃的な方針を正当化する力強い促進力となった。


ヨーダとソビエト

 ハイランズ・フォーラムに代表される思想は、1994年に設立されるずっと以前、アンドリュー・"ヨーダ"・マーシャル*のONA(Office of Net Assessment)がペンタゴンの将来計画に関する主要な活動拠点であった時代から読み取ることができる。
アンドリュー・"ヨーダ"・マーシャル*・・・長年に渡って要職を務めたが、表舞台にはほとんど立たないことから、「伝説の軍略家」、「伝説の戦略家」、「伝説の老軍師」とも呼ばれている。また、スター・ウォーズシリーズの登場人物になぞらえて「国防総省のヨーダ」とも通称された。(ウィキペディア)

 長年にわたり、国家安全保障ジャーナリストによって広く流布されてきた俗説は、ONAが国防総省専属の神託マシーンであるという評判は、マーシャル所長の驚異的な分析的先見の明によるものだというものだ。おそらく彼は、ソ連の脅威がアメリカの情報機関によって誇張されすぎていることを先見的に認識した数少ない人物の一人だったのだろう。彼はペンタゴン内部で、ソ連の軍事力予測を再評価するよう政策立案者たちに呼びかけていた。

 ただし、この話は真実ではない。ONAは冷静な脅威分析ではなく、軍事拡張主義を正当化する偏執狂的な脅威予測だった。「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」誌のジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)は、マーシャルがソ連の軍事力についてより均衡の取れた評価を求める理性的な声を提供するどころか、ソ連の脅威が差し迫っているという誇大広告を否定するONAの調査結果を軽視しようとしたと指摘している。米国がソ連の攻撃性を過大評価していたと結論づける調査を依頼したマーシャルは、その調査結果に「納得していない」との表書きをつけて、その調査書を配布した。ルイスは、マーシャルの脅威投影の考え方が、(存在しない)サダムとアル・カイダの結びつきに関する定型的なネオコンの言説を支持するための馬鹿げた研究の委託にまで拡大したことを図で示している。さらに、彼は2002年にリチャード・パール(Richard Perle)が招かれた際、ペンタゴンの防衛政策委員会に提出された中東地域の地図の描き直しを求めるRANDコンサルタントによる悪名高い報告書さえ取り上げている。

 調査ジャーナリストのジェイソン・ベスト(Jason Vest)も同様に、冷戦時代、マーシャルが長い間ソ連の脅威を誇張し、新保守主義者の圧力団体「現在の危険に関する委員会」にCIAの機密情報データへの接続権を与え、「ソ連の軍事的意図に関する国家情報評価」を書き直す上で重要な役割を果たしたことを、ペンタゴンの情報源から突き止めた。これは9.11後、イラク侵攻と占領を正当化するための情報操作の先駆けであった。ONAの元職員は、マーシャルが「最後の最後まで」差し迫ったソ連の脅威について好戦的であったことを確認した。例えば、元CIAのソビエト学者メルヴィン・グッドマン(Melvin Goodman)は、マーシャルがアフガニスタンのムジャヒディーンにスティンガーミサイルを提供するよう働きかけたのもマーシャルだったと回想している。


エンロンやタリバン、そしてイラク

 冷戦後の1994年、ペンタゴンはウィリアム・ペリー(William Perry)元国防長官(元CIA長官で、予防戦争のようなネオコン思想を早くから提唱していた)の指揮の下、ハイランズ・フォーラムを創設した。意外なことに、政府と産業界の橋渡し役としての同フォーラムの怪しげな役割は、エンロンとアメリカ政府との関係を見れば一目瞭然である。フォーラムがペンタゴンの大規模な監視政策を強化するように仕組んだのと同時並行的に、フォーラムは、アフガニスタン戦争とイラク戦争に結実する戦略的思考に直接影響を与えた。

 2000年11月7日、ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領選挙に「勝利」した。エンロンとその社員たちは、ブッシュ陣営に合計100万ドル以上を寄付した。これには、ブッシュのフロリダ再集計委員会への1万500ドルの寄付と、その後の大統領就任祝賀会への30万ドルの寄付が含まれる。エンロンはまた、12月の再集計のためにブッシュに代わってフロリダとワシントンをロビー活動する共和党の弁護士を送迎するために、社用ジェット機を提供した。1989年以来、エンロンは合計580万ドルの選挙献金を行なっており、その73%は共和党に、27%は民主党に献金していることが後に連邦選挙文書で明らかになった。ブッシュ政権高官の15名もエンロン株を所有している。その中にはドナルド・ラムズフェルド国防長官、カール・ローブ上級顧問、トマス・ホワイト陸軍長官らがいる。

 しかし、ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムの創設者であるリチャード・オニール会長は、その論争の的となった選挙のわずか1日前に、エンロンのCEOであるケネス・レイに手紙を送り、ペンタゴンと陸軍の近代化に関してフォーラムで講演するよう招待した。オニールからレイへのEメールは、連邦エネルギー規制委員会が入手したEメール「エンロン・コーパス」の一部として公開されたが、これまで知られることはなかった。

 そのメールは「国防次官補(C3I)兼国防総省CIOのアーサー・マネーに代わって」と始まり、レイを「国防長官のハイランズ・フォーラムに参加しないか」と誘った。このフォーラムについてオニールは、「著名な学者や研究者、産業界のCEO/CIO/CTO、メディア、芸術、専門職のリーダーたちからなる分野横断的な団体で、私たち全員が新たに関心を持つ分野を検討するために、過去6年にわたって会合を開いてきた」と説明した。また、フォーラムの話し合いには、「ホワイトハウスや国防総省、その他の政府機関から上級官僚が参加している(政府からの参加は約25%に制限している)」と付言した。

 ここでオニールは、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムが、基本的には政府の目標だけでなく、エンロンのような参加業界のリーダーの関心事を探るものであったことを明らかにした。国防総省は、レイに「国防総省(および政府全般)のための情報/変革戦略の模索」、特に「ビジネスの視点(変革、生産性、競争優位性)」を求めていた。彼は、エンロンを「高度に硬直化した規制産業における変革の顕著な例であり、新しいモデルと新しい市場を創造した」と高く評価した。

 オニールは、ペンタゴンがエンロンに国防総省の将来において極めて重要な役割を担ってもらいたいと考えていることを明らかにした。それは、「情報の優位性を持つ作戦戦略」の構築だけでなく、「産業界からの成功事例や発想の多くから恩恵を受けることができる(国防総省の)巨大グローバル・ビジネス」との関連においても、である。

 「エンロンは私たちにとって大きな関心事です」と彼は再確認した。「皆さんから学ぶことは、国防総省が新たな戦略を構築する上で大いに役立つでしょう。お忙しいスケジュールの中、ハイランズ・フォーラムに参加できる限りご参加いただき、グループの皆さんとお話できることを願っています」。

 そのハイランズ・フォーラムの会合には、ホワイトハウスとアメリカの諜報機関幹部が出席した。その中には、CIAのジョーン・A・デンプシー(Joan A. Dempsey)副長官も含まれていた。デンプシー副長官は、以前は情報担当の国防次官補を務め、2003年にはブッシュによって大統領対外情報諮問委員会の専務理事に任命された。彼女はその後、イラクとアフガニスタンにおけるペンタゴンの主要請負業者であるブーズ・アレン・ハミルトン社の上級副社長に就任し、とりわけ、現在われわれが知っているように、イラクにおける非常に腐敗した復興計画を追跡するための連合国暫定当局のデータベースを作成した。

 エンロンとペンタゴンとの関係は、前年にすでに本格化していた。当時エンロンのエネルギー・サービス担当副会長だったトマス・ホワイトは、米軍との広範なコネを利用して、フォート・ハミルトンで陸軍基地の電力供給を民営化する試案の契約を取り付けた。エンロンはこの契約の唯一の入札者だった。翌年、エンロンのCEOがハイランズ・フォーラムに招かれた後、ホワイトは「陸軍長官に就任してわずか2週間後」の6月に最初の演説を行い、陸軍のエネルギー・サービスのさらなる「迅速な民営化」とともに、「このような契約の締結を加速させることを誓った」。USAトゥデイ紙は、「エンロンは、加速的な契約締結により恩恵を受ける可能性があり、また、このビジネスを求めている他の企業も恩恵を受ける可能性がある」と述べている。

 同月、ブッシュのペンタゴンはドナルド・ラムズフェルド国防長官(ラムズフェルド自身もエンロンの株を大量に保有していた)の権限で、別のエンロン幹部とエンロンの社外上級財務助言者の一人をハイランズ・フォーラムのさらなる極秘の話し合いに招待した。

 エンロン・コーパスを通じて入手した6月22日付けのリチャード・オニールからのメールによると、当時エンロンの取締役副社長兼職員代表であったスティーブン・キーンは、25日(月)にもハイランズのプレゼンテーションを行う予定であった。「国防長官主催のハイランズ・フォーラムが近づいており、あなたの参加を非常に楽しみにしています」とオニールは書き、キーンに「議論の中心になります。国防総省の変革を真剣に検討している私たちにとって、エンロンの経験は非常に重要です」と請け合った。

 スティーブン・キーンは現在、北米最大級のエネルギー会社であるキンダー・モルガンの社長兼COO(次期CEO)であり、物議を醸しているキーストーンXLパイプライン計画の重要な支持者である。

 キーンと同じハイランズ・フォーラムの話し合いに出席する予定だったのは、当時金融コンサルタント会社マッキンゼーの共同経営者だったリチャード・フォスター(Richard Foster)だった。「ディック・フォスター(Dick Foster)の新著『Creative Destruction(創造的破壊)』を、国防副長官と次官補に渡しました。彼が概説するエンロン事件は重要な議論の対象となります。私たちはフォーラムの参加者にも同書を配布する予定です」とオニールはメールで語った。

 フォスターの会社マッキンゼーは、1980年代半ばからエンロンに戦略的財務に関する助言を提供していた。2001年2月にエンロンのCEOに就任し、ケネス・レイが会長に転じたジョー・スキリング(Joe Skilling)は、1990年にエンロンに入社する前は、マッキンゼーのエネルギー・コンサルティング事業の責任者を務めていた。

 マッキンゼーと当時の協力関係にあったリチャード・フォスターは、エンロンの急速な、しかし不正な成長の原因となった中核的な財務管理戦略の策定に深く関わっていた。マッキンゼーは、エンロンを破滅に導いた不正会計の認識は否定してきたが、会社の内部文書によれば、フォスターはハイランズ・フォーラムの話し合いの1カ月前にエンロンの財務委員会に出席し、「会社の爆発的成長を促進するための外部の民間協力関係の必要性」について議論していた。

 マッキンゼーの文書によれば、同社は「エンロンがオフバランス(簿外の)資金を広範囲に使用していることを完全に認識していた」。インディペンデント紙の経済担当編集者ベン・チュー(Ben Chu)が指摘するように、「マッキンゼーは、怪しげな会計手法を全面的に支持した」。この手法がエンロンの市場評価のインフレを招き、「2001年に同社を崩壊させることになった」のである。

 実際、フォスター自身、2000年10月から2001年10月にかけてエンロンの取締役会に6回出席している。この時期は、エンロンがブッシュ政権のエネルギー政策やペンタゴンのアフガニスタンとイラクに対する計画への影響力を強めていた時期とほぼ一致する。

 フォスターはペンタゴンのハイランズ・フォーラムの常連でもあり、彼のLinkedInのプロフィールには、エンロンとの関係を強化した2000年以降、同フォーラムの構成員と記されている。また、2002年にシンガポールで開催された第1回アイランド・フォーラムでもプレゼンテーションをおこなった。

 チェイニー・エネルギー対策本部へのエンロンの関与は、2001年のブッシュ政権によるアフガニスタンとイラクの両侵略計画と関連しているようだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチの元理事で元国連調査官のリチャード・フォーク教授が指摘しているように、エンロンのケネス・レイは、「国家エネルギー政策を概説する報告書を起草する極秘の過程にいて、ディック・チェイニー副大統領が信頼した主要な秘密助言者であった。

 2000年11月から2001年6月にかけて、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムを通じて行われたエンロン幹部と米政府高官との親密な秘密会議は、エンロンとペンタゴンの計画との間にますます共生的な結びつきを確立し、強固なものにする上で中心的な役割を果たした。同フォーラムの役割は、オニールが常々言っているように、産業界と政府の相互の利害関係を探るためのアイデア研究所として機能することだった。


エンロンとペンタゴンの戦争計画

 2001年2月、ケネス・レイを含むエンロン幹部がチェイニー・エネルギー対策本部に積極的に参加し始めたとき、国家安全保障会議(NSC)の機密文書はNSC職員に、以前は別々だった問題を「融合」させるために対策本部と協力するよう指示している:「ならず者国家に対する作戦方針」と「新規および既存の油田・ガス田の獲得に関する行動」である。

 ロン・サスキンド『忠誠の代償 : ホワイトハウスの嘘と裏切り』(2004年)で引用されているように、ブッシュの財務長官ポール・オニールによれば、閣僚たちは最初のNSC会議でイラク侵攻について議論し、イラクの油田を切り分けた戦後の占領地図まで用意していたという。当時のブッシュ大統領からの伝言は、当局者は「これを実行する方法を見つけなければならない」というものだった。

 ジュディシャル・ウォッチ(Judicial Watch)が情報公開のもとで入手したチェイニー・エネルギー対策本部の文書によると、同調査班は3月までに湾岸諸国、特にイラクの油田、パイプライン、製油所の地図を作成し、「イラク油田契約の外国企業」と題するリストも作成していた。4月までに、チェイニーが依頼し、ジェームズ・ベーカー元国務長官が監督し、エネルギー業界と国家安全保障の専門家で構成された委員会がまとめたシンクタンクの報告書は、世界市場への石油の流れに対するイラクの「不安定化する影響力」に対処するため、「軍事、エネルギー、経済、政治/外交的評価を含む対イラク政策見直しを直ちに実施する」よう米国政府に促した。この報告書には、ハイランズ・フォーラムの代表でエンロン会長のケネス・レイの提言も含まれていた。

 しかし、チェイニーのエネルギー対策本部は、クリントン政権下で進められていたエンロン絡みのアフガニスタン計画も忙しく推進していた。1990年代後半まで、エンロンはカリフォルニアを拠点とするアメリカのエネルギー会社ユノカルと共同で、カスピ海流域の埋蔵量を掘り起こし、アフガニスタンを横断して石油とガスを運び、パキスタンやインド、その他の市場に供給する石油・ガスパイプラインを開発していた。この試みは、クリントン政権、後にはブッシュ政権も公式に承認しており、2001年を通じてパイプライン契約の条件交渉のため、タリバンの代表と何度も会合を持った。クリントン政権下でアフガニスタン征服を秘密裏に支援していたタリバンは、パイプラインの敷設を許可する見返りとして、アフガニスタンの合法政府として正式に承認されることになっていた。エンロンはパイプラインの実現可能性調査のために4億ドルを支払ったが、その大部分はタリバンの指導者への賄賂として吸い上げられ、さらにCIAの諜報員を雇ってその促進の補助をさせた。

 2001年夏、エンロンの幹部たちがハイランズ・フォーラムでペンタゴンの高官たちと連絡を取り合っていた頃、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSA)では、ラムズフェルドとチェイニーが率いる省庁横断的な「作業グループ」が、インドで進行中のエンロンのプロジェクト、ダボールの30億ドル規模の発電所の完成を支援するために運営されていた。この発電所は、アフガン横断パイプラインからエネルギーを供給する予定だった。ブッシュの国家安全保障顧問であるコンドリーザ・ライスが議長を務めるNSCの「ダボール作業部会」は、ダボール発電所を完成させるようインドに対するアメリカ政府の圧力を強化するため、さまざまな戦術を生み出した。ダボール・プロジェクトとアフガニスタン横断パイプラインは、エンロンにとって濡れ手に粟の海外取引だった。

 2001年を通じて、ケン・レイを含むエンロンの幹部は、米国のエネルギー業界全体の代表者と共に、チェイニーのエネルギー対策本部に参加した。ブッシュ政権が発足した直後の2月から、エンロンはエネルギー対策本部の約10回は開かれた会合の半分には参加した。このような秘密会議の後、エネルギー法案の草案が修正され、エンロンのダボール発電所だけに適用される形で、インドにおける石油と天然ガスの生産を劇的に促進することを提案する新たな条項が盛り込まれた。つまり、アフガニスタン横断パイプラインを通じてインドに安価なガスを供給することは、その時点で、アメリカの「国家安全保障」の問題になった。

 この1、2か月後、ブッシュ政権はタリバンに4300万ドルを提供した。これはアフガニスタン政府が麻薬生産に対する取り締まりを行なっていたことが理由だった。反面、タリバンがオサマ・ビン・ラディンを引き渡さなかったことにより、アメリカが強制したタリバンへの支援停止の国連制裁もあった。

 そして2001年6月、エンロンのスティーブ・キーン副社長がペンタゴン・ハイランズ・フォーラムに出席したのと同じ月、アフガニスタン横断パイプラインが実現しなかったため、同社のダボール・プロジェクトへの期待は打ち砕かれ、その結果、ダボール発電所の建設は中止された。この30億ドルのプロジェクトの失敗が、12月のエンロンの倒産につながった。同月、エンロンの幹部たちはブッシュ政権のドナルド・エバンス商務長官と発電所について会談し、チェイニーはインドの主要野党にダボール・プロジェクトについて働きかけた。また、ケン・レイもこの時期にブッシュ政権に接触し、同社の財務上の問題を伝えたと報道されている。

 8月になると、この取り引きを必死に成立させようとした米政府高官たちは、タリバンがアメリカの条件を受け入れなければ戦争になると脅した:すなわち、戦闘を停止し、反対勢力である北部同盟との連邦同盟に参加すること、ガスの地元消費に対する要求をあきらめることであった。同月15日、エンロンのロビイストであるパット・ショートリッジは、当時のホワイトハウスの経済顧問ロバート・マクナリーに、エンロンは国のエネルギー市場を麻痺させかねない金融破綻に向かっていると語った。

 ブッシュ政権は、タリバンがこの取り引きを拒否することを予期していたに違いない。というのも、彼らは早くも7月からアフガニスタンへの戦争を計画していたからだ。米国とタリバンの交渉に参加した当時のパキスタン外相ニアズ・ナイクによると、米国高官は2001年10月中旬にアフガニスタン侵攻を計画していると伝えていたという。パキスタンの英字紙フロンティア・ポストによれば、戦争が始まるやいなや、ブッシュのウェンディ・チェンバレン駐パキスタン大使はパキスタンのウスマン・アミヌディン石油相に電話をかけ、「提案されているトルクメニスタン-アフガニスタン-パキスタンのガス・パイプライン・プロジェクト」について話し合った。このプロジェクトは、「特にこの地域における最近の地政学的な動きを鑑み、多角的な地域協力の新たな道を開くものである」ことで合意したという。

 9/11の2日前、コンドリーザ・ライスは、大統領書名が緊急に必要とする正式な国家安全保障大統領指令の草案を受け取った。その指令には、タリバン打倒のためのアフガニスタンへの「差し迫った」侵攻を含む、アルカイダとの世界的な戦争を開始する包括的な計画が含まれていた。この指令は、ライスやラムズフェルドを含むホワイトハウスの最高段階、国家安全保障会議の幹部によって承認された。同じ国家安全保障会議関係者は同時に、エンロンのアフガン横断パイプライン・プロジェクトのためのインド発電所取引を確保するためのダボール作業部会を運営していた。翌日、9.11の1日前、ブッシュ政権はタリバン攻撃計画に正式に合意した。

 ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムの背景にあるこうした利害関係のつながりをよく見ると、それがブッシュ政権特有のものではないことがわかる。だからこそ、オバマ大統領がアフガニスタンからの撤兵を準備しているときに、彼はアフガニスタン横断パイプライン・プロジェクトに対する同国政府の支持を再確認し、それを建設する米国企業を希望したのだ。


ペンタゴンのプロパガンダ担当

 この時期を通じて、情報戦は戦争への世論の支持を喚起する上で中心的な役割を果たした。そしてハイランズ・フォーラムがその先鞭をつけたのだ。

 2000年12月、9.11の1年弱前、ジョージ・W・ブッシュが選挙で勝利した直後、フォーラムの主要構成員はカーネギー国際平和財団で開催された催しに参加し、「情報革命、グローバリゼーション、冷戦の終焉が米国の外交政策決定過程に与える影響」を探った。この会合では、「漸進的な改革」を提案するのではなく、参加者が「新しいグローバル環境の特性に最適化された新しいモデルをゼロから構築する」ことが求められた。

 会議で指摘された問題の中に、「グローバル・コントロール革命」がある。つまり情報革命の「分散的」性質は、国家と国家間関係の優位性に挑戦することによって、「世界政治の重要な力学」を変化させていたのだ。これは、「国家安全保障に新たな課題を生み出し、主要国がグローバルな政策論争を統制する能力を低下させ、国家経済政策の有効性に課題を投げかけている、等々だ」。

 言い換えれば、ペンタゴンは情報革命を利用して「世界的な政策論争を統制」する方法をどのように見つけることができるのだろうか?、ということになる。

 この会合は、当時ビル・クリントンの国家安全保障会議に所属していたジェイミー・メッツル(Jamie Metzl)が共同主催したもので、彼はクリントンの大統領令68号「国際広報(IPI)」の起草を主導したばかりだった。メツルはその後、国務省でIPIの調整を行った。

 その前年、クリントン政権のある上級高官がワシントン・タイムズ紙に明かしたところによると、メッツのIPIの真の目的は「米国民を欺くこと」であり、「米国民がクリントン大統領の外交政策を支持しないことへの懸念から生まれた」ものだという。IPIは、アメリカのメディアで取り上げられることを期待して、海外に拠点を置くテレビや新聞、ラジオ、そしてその他のメディアを通じて、アメリカの利益に有利なニュース記事を仕込んでいた。その口実は、「国内では報道が歪曲されており、ニュースを回転させることを目的とした情報源を使うことで、なんとしてもそれに対抗する必要がある」というものだった。メツルは、イラクとコソボでIPIの海外宣伝活動を指揮した。

 2000年12月のカーネギー会議には、ハイランズ・フォーラムの創設者の一人であるリチャード・オニールとSAICのジェフ・クーパー、そしてラムズフェルド国防副長官として次期ブッシュ政権に参加しようとしていた、同じくアンドリュー・マーシャルの崇拝者であるポール・ウォルフォウィッツも参加していた。また、2003年のアフガニスタンとイラク戦争をめぐるプロパガンダで、特に悪名高い人物も同席していた:レンドン・グループ(TRG)の創設者であり、ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムの長年の構成員でもあるジョン・W・レンドン・ジュニアである。

 TRGは、何十年もの間、アメリカ政府の請負業者として悪名高い通信会社である。レンドンは、クリントンとメツルの下で、イラクとコソボにおける国務省のプロパガンダ・キャンペーンの運営で極めて重要な役割を果たした。その中には、ペンタゴンの助成金を受けてニュースサイト「バルカン情報交換所(the Balkans Information Exchange)」を運営したり、米国際開発庁(USAID)と契約して 「民営化」を推進したりすることも含まれていた。

 アメリカの軍事侵攻を正当化するために、存在しない大量破壊兵器(WMD)の脅威を誇大宣伝するブッシュ政権を助けたレンドンの中心的な役割は、今では特によく知られている。ジェームズ・バンフォードがローリング・ストーン誌の重大な調査で暴露したように、レンドンはブッシュ政権に代わって、数百万ドル規模のCIAとペンタゴンとの契約のもと、「フセインを政権から排除する条件を作り出す」ための「認識管理」を展開する上で、重要な役割を果たした。

 レンドンの活動の中には、CIAに代わってアハメド・チャラビのイラク国民会議(INC)を創設したこともあった。この組織は、大量破壊兵器に関する偽情報の多くを含むプロパガンダを広めることを任務とするイラク亡命者の組織である。この過程は、ジョージ・W・H・ブッシュ・シニア政権下で協調的に開始され、クリントン政権下ではほとんど騒がれることなく進行し、ブッシュ政権下で9.11後に激化した。レンドンはこうして、CIAとペンタゴンの有利な契約のもとで、イラクに関連する不正確で虚偽のニュース記事を作成する上で大きな役割を果たした。彼は2003年の侵攻までの期間、ブッシュの国家安全保障会議の顧問としてその役割を果たした。

 しかし、それは氷山の一角である。機密解除された文書によれば、ハイランズ・フォーラムは、主要な政府高官たちが情報戦に基づくイラク戦争への道を画策する秘密の過程に深く関与していた。

 ペンタゴンの監察官が編集した2007年の報告書は、イラク戦争中および戦争後にペンタゴン・ハイランズ・フォーラムが多用した請負業者のひとつが、レンドン・グループであったことを明らかにしている。TRGは国防総省から、フォーラムの話し合いの企画、討論の主題の決定、フォーラム会議の招集と調整を請け負っていた。監察総監の調査は、2003年のイラク侵攻と占領を正当化するための情報操作におけるレンドンの役割について議会で提起された告発に端を発していた。監察総監の報告書によると:

「・・・国防次官補(ネットワーク・情報統合担当)/最高情報責任者(CIO)はTRGを起用し、全国的に評価の高いリーダーたちの学際的な一団に訴えかけるフォーラムを実施した。フォーラムは小集団で行われ、情報と技術、およびそれらが科学、組織、ビジネスの過程、国際関係、経済、国家安全保障に及ぼす影響について議論された。TRGはまた、ハイランド・フォーラムのフォーカス・グループの議題を策定・開発するための調査計画とインタビューも実施した。ネットワーク・情報統合担当国防次官補室が主題を承認し、TRGが会議を進行する」。



 ペンタゴンの民間宣伝部門であるTRGは、国防総省の情報戦争戦略を策定するために政府高官と業界幹部を集めたペンタゴン・ハイランズ・フォーラムの運営で、まさに中心的な役割を果たした。

 ペンタゴンの内部調査はレンドンの不正を放免した。しかし、これは利益相反が掛かっていることを考慮すれば、驚くべきことではない。当時の監察総監はクロード・M・キックライター(Claude M. Kicklighter)(ブッシュの推薦)で、ブッシュ政権の主要な軍事作戦を直接監督していた。2003年、彼は国防総省のイラク移行チームの責任者を務め、翌年には国務省のイラクとアフガニスタンにおける安定化・治安維持活動の特別顧問に任命された。


監視とプロパガンダとの結びつき

 さらに意味ありげなのは、バンフォードがローリング・ストーン誌の取材で入手したペンタゴンの文書は、レンドンが国防総省に代わって仕事を遂行するために、NSAの最高機密監視データへの接続権を与えられていたことを明らかにしたことだ。国防総省の文書によれば、TRGは 「最高機密/SCI/SI/TK/G/HCSに分類される情報を調査・分析する」権限を与えられている。

 「SCI」は機密情報(Sensitive Compartmented Information)を意味し、トップシークレット(Top Secret)より上位に分類されるデータであり、「SI」はスペシャルインテリジェンス(Special Intelligence)、つまりNSAが傍受した極秘通信を意味する。「TK」はタレント/キーホールを意味し、偵察機やスパイ衛星からの画像のコードネームである。「G」はガンマを意味し、極めて機密性の高い情報源からの通信傍受を包括し、「HCS」はヒューミント・コントロール・システムを意味する。バンフォードの言葉を借りれば

「この頭文字を合わせると、レンドンは、盗聴、画像衛星、人間スパイという3つの情報収集形態すべてから極秘情報へのアクセスを享受していることがわかる」。



それでペンタゴンは:

1. プロパンダ会社であるレンドンと契約していた;

2. レンドンに情報機関の最機密情報(NSA監視データも含む)に接続権を与えた;

3. レンドンにハイランズ・フォーラムを運営することで国防総省情報作戦促進の業務を与えた;

4. そしてさらには、レンドンの業務として、ハイランズ・フォーラムを通して開発されたこの戦略を具体的にイラクやアフガニスタン、そしてそれ以外の地域でも実際の情報作戦が実施されていることを監視させた。

 TRGのジョン・レンドン最高経営責任者(CEO)は、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムやイスラム圏で進行中の国防総省の情報活動に密接に関わり続けている。2014年11月、ハーバード・ケネディスクールの「エマージング・リーダーズ」コースに参加した彼の経歴には、「ハイランズ・フォーラムのような先進的な組織への参加者」、「リアルタイムの情報管理を支援する新興技術の力を活用する最初の思想的リーダーの一人」、「新興情報技術が人々の考え方や行動に与える影響」の専門家、と記されている。レンドンのハーバード大学での経歴には、「オデッセイ・ドーン(リビア)、ユニファイド・プロテクター(リビア)、世界対テロ戦争(GWOT)、イラクの自由、不朽の自由(アフガニスタン)、アライド・フォースとジョイント・ガーディアン(コソボ)、デザート・シールド、デザート・ストーム(クウェート)、デザート・フォックス(イラク)、ジャスト・コーズ(パナマ)などの作戦に関連した戦略的コミュニケーション・イニシアチブと情報計画」の設計と実行も特筆されている。

 レンドンの認識管理と情報作戦に関する仕事は、アルゼンチン、コロンビア、ハイチ、ジンバブエなど(実際には全部で99カ国)、他の場所でも「多くの米軍の介入を支援」してきた。民主党の元常務理事兼国政部長として、ジョン・レンドンはオバマ政権下のワシントンでも依然として有力者である。

 ペンタゴンの記録によれば、TRGは2000年以降、国防総省から1億ドル以上を受け取っている。2009年、アフガニスタンで米軍に否定的な記事を書く可能性のある記者を排除し、米国の政策に好意的なジャーナリストだけを宣伝するためにTRGが使われていたことが明らかになり、米政府はTRGとの「戦略的コミュニケーション」契約を解除した。しかし2010年、オバマ政権はレンドンと再契約を結び、イラクにおける「軍事的欺瞞」のためのサービスを提供した。

 それ以来、TRGは米陸軍の訓練教練司令部や特殊作戦司令部に助言を提供し、現在も国防長官室や米陸軍の通信電子司令部と契約しているほか、ペンタゴンや米大使館に麻薬対策に関する「通信支援」を提供している。

 TRGはまた、「作戦および計画支援」を含む「非正規戦支援」を提供し、「敵対勢力の力、影響力、意思に対抗し、侵食するための新たな方策を開発する上で、政府および軍の顧客を支援する」とウェブサイトで自負している。この支援の多くは、ペンタゴンのハイランズ・フォーラム内で過去10年以上にわたって微調整されてきた。


非正規戦争と疑似テロリズム

 ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムが、レンドンを介して、ブッシュとオバマの下で「長期戦争」を支援するために追求されたプロパガンダ作戦と密接に関係していることは、非正規戦と「戦略的コミュニケーション」の両方において、大規模監視が不可欠な役割を担っていることを示している。

 この両者の主要な支持者の一人が、海軍大学院のジョン・アルキラ教授である。彼は「ネット戦争」の概念を開発したことで知られる著名な米国防分析家であり、今日、テロ計画を阻止するための先制攻撃作戦を支援するための大規模監視とビッグデータ・マイニングの必要性を公然と提唱している。偶然にもアルキラは、ペンタゴンのハイランズ・フォーラムの「創設者のひとり」でもある。

 「ネットワーク化された戦争」や「ネットワーク化された抑止力」、「情報戦」、そして「群飛」という考え方に関する彼の研究の多くは、その大部分がペンタゴンとの契約に基づいてランドのために作成された。それは、その初期の時期にフォーラムによって生み出され、その結果、ペンタゴンの戦略に不可欠なものとなった。例えば、アルキラの1999年のランド研究所での研究『ヌーポリティックの出現:アメリカの情報戦略に向けて』(The Emergence of Noopolitik:Toward an American Information Strategy)において 彼と共著者のデイヴィッド・ロンフェルトは、リチャード・オニールに「彼の関心、支援、指導への感謝」と、「ハイランズ・フォーラムのメンバー」にはこの研究に対する事前のコメントを寄せている。ランド研究所での研究の大半は、ハイランズ・フォーラムとオニールの支援によるものである。

 アルキラの研究は、2006年にアメリカ陸軍から委託されたネットワーク科学の将来に関する全米科学アカデミーの研究で引用された:「コンピューター・ベースのテクノロジーとテレコミュニケーションの進歩が、テロリスト・ネットワークを含むグループとの関係を促進するソーシャル・ネットワークを可能にしている」。この研究は、テロ集団と活動家集団の危険性をごちゃまぜにしている:「この事実が犯罪、テロ、抗議、反乱のネットワークに与える影響については、アルキラとロンフェルト(2001)が調査しており、ハイランズ・フォーラムのようなグループがよく議論するテーマである。軍事史家ベンジャミン・シアラーの伝記辞典『銃後の英雄たち(Home Front Heroes)』(2007年)によれば、アルキラはその後も「コソボやアフガニスタン、そしてイラクでの軍事作戦のための」情報戦戦略の開発に貢献した。

 ピューリッツァー賞を受賞したシーモア・ハーシュは、2005年のニューヨーカー誌の調査の中で、擬似テロで「テロに対抗する」という新戦略を詳述したアルキラの一連の記事に言及した。「ネットワークと戦うにはネットワークが必要だ」とアルキラは言い、ハイランズ・フォーラム設立以来、彼がペンタゴンで推進してきたテーゼを引き合いに出した。

「通常の軍事作戦や爆撃では1950年代のケニアのマウ・マウ反乱を打ち負かすことができなかったとき、イギリスは友好的なキクユ族からなる一団を結成し、テロリストになりすました。これらの「擬似ギャング」と呼ばれる集団は、戦闘員の一団と親しくなって待ち伏せしたり、テロリストのキャンプに爆撃機を誘導したりして、マウ・マウをあっという間に守勢に立たせた」。



 アルキラはさらに、西側の諜報機関は、「本物」のテロ・ネットワークを弱体化させる方法として、新たな「擬似ギャング」テロ集団を作るための凡例としてイギリスの事例を利用すべきだと主張した。

「半世紀前にケニアで成功したことは、今日のテロ・ネットワークの信頼と勧誘を弱める素晴らしいチャンスである。新たな疑似ギャングの結成は難しくないはずだ」。



 基本的に、ネットワークと戦えるのはネットワークだけであり、非正規戦を展開する敵を打ち負かすには、非正規戦の技を使うしかない、というのがアルキラの主張である。結局のところ、勝利を決定する要因は、通常の軍事的敗北そのものではなく、紛争の方向性を調整し、国民に影響を与え、敵対勢力への反対を結集させることができるかどうかである。アルキラの「疑似ギャング」戦略は、すでにペンタゴンによって実行されていたとハーシュは報告している:

 「ラムズフェルドの新しい方策では、米軍の工作員が海外で、核兵器システムに使われる可能性のある密輸品を買おうとする腐敗した外国人ビジネスマンを装うことが許可される、と私は聞いた。ペンタゴンの顧問たちによれば、場合によっては、現地の市民を勧誘し、ゲリラやテロリストに加わるよう要請することも可能だという・・・

 この新しいルールによって、特殊部隊は海外の対象国に「行動チーム」と呼ぶものを設置し、テロ組織の発見と排除に利用できるようになる。「エルサルバドルの右翼処刑部隊を覚えていますか」と元情報高官は私に尋ねた。「我々が創設し、資金を提供したのです。今の目的は、私たちが望む地域で地元の人間を勧誘することです。そして、そのことを議会に話すつもりはありません」。ペンタゴンのコマンド部隊の能力を知る元軍人は、「我々は悪党たち行動を共にするつもりです」と言った」。

 この戦略が現在運用されているという公式の裏付けは、2008年の米陸軍特殊作戦実戦手引書漏洩によってもたらされた。同手引書によれば、米軍は「準軍事組織や個人、企業、外国の政治組織、抵抗勢力や反乱組織、国外居住者、多国籍テロ敵対勢力、幻滅した多国籍テロメンバー、闇商人、その他の社会的・政治的『好ましくない者』」などの非国家集団を代理として利用することで、非正規・非従来型戦争を行うことができるという。衝撃的なことに、このマニュアルは、米国の特殊作戦がテロ対策と「テロリズム」の両方に関与する可能性があることを明確に認めている:「麻薬密売や不正武器取引、違法金融取引などの国際犯罪活動」である。このような秘密作戦の目的は、本質的には国民統制である。「特に、先住民の一部を活用して現状を受け入れさせること」、あるいは「どのような政治的結果であれ」押しつけられたり交渉されたりしているものを受け入れさせることに重点を置いている。

 このねじ曲がった論理により、テロリズムは場合によっては、特定の「政治的結果」を受け入れるよう国民に影響を与えるための、アメリカの国家戦略の正当な手段と定義することができる。すべて「テロとの戦い」という名目の下で。

 ペンタゴンは、湾岸諸国から反アサド反政府勢力への10億ドル近い資金提供を調整することで、このようなことをしていたのだろうか?CIA自身の機密査定によれば、そのほとんどはアルカイダにつながる暴力的なイスラム過激派の資金源となり、「イスラム国」を生み出すことになった。

 新戦略の根拠は、2002年8月にペンタゴンの国防科学委員会が行なった説明会で初めて公式に示されたもので、国家安全保障会議内に「積極的先制作戦グループ」(P2OG)の創設を提唱した。P2OGは、テロリストのネットワークに潜入して「反応を刺激」し、彼らの行動を誘発することで、彼らを標的にしやすくするための秘密作戦を実施しなければならない、と国防科学委員会は提案した。

 国防科学委員会は、ペンタゴンの他の機関と同様、ハイランズ・フォーラムと密接な関係にあり、その研究は国防科学委員会の研究に反映され、フォーラムで定期的に発表される。

 ハーシュに語ったアメリカの情報筋によれば、ラムズフェルドは、この新しい闇作戦を完全に国防総省の管轄下に置き、CIAや地域の米軍司令官から遮断し、独自の秘密特殊作戦司令部によって実行することを保証したという。その指揮系統には、ラムズフェルド国防長官自身のほかに、国防次官(情報担当)を含む2人の副官が含まれる。


戦略的コミュニケーション:国内外の戦争プロパガンダ

ハイランズ・フォーラム内では、アルキラが探求した特殊作戦の技は、プロパガンダにますます焦点を当てた方向で、他の何人かの人々によって取り上げられている。そのうちの一人が、先に見たようにロシャール博士であり、またエイミー・ザルマン博士である。ザルマン博士は特に世論に影響を与え、戦争に勝利することを目的とした「戦略的言説」を用いる米軍のアイデアに焦点を当てている。

 同僚のハイランズ・フォーラム創設者のひとり、ジェフ・クーパーと同様、ザルマンはSAIC/Leidosの下部組織で教育を受けた。2007年から2012年までSAICの上級戦略官を務めた後、米陸軍士官学校(National War College)で国防総省の情報統合講座に就任。そこでは基本的に、ターゲット組織を完全に理解した上で、その組織から望む的確な反応を引き出すためにプロパガンダを微調整する方法に焦点を当てていた。昨年夏からは、世界未来学会のCEOに就任した。

 2005年、ハーシュがテロリストを挑発することで「反応を刺激する」というペンタゴンの戦略が進行中であると報じたのと同じ年に、ザルマンはペンタゴンのハイランズ・フォーラムで「米国の戦略的コミュニケーションに対する言説理論的方策の支持」と題する説明をおこなった。それ以来、ザルマンはハイランズ・フォーラムの代表を長く務め、戦略的コミュニケーションに関する自身の研究を、さまざまな米政府機関やNATOのフォーラムで発表してきたほか、米統合特殊作戦大学で兵士に非正規戦のコースを教えている。

 彼女の2005年のハイランズ・フォーラムでの説明は公開されていないが、ペンタゴンの特殊作戦戦略の情報要素に対するザルマンのインプットの要点は、彼女の出版物のいくつかから読み取ることができる。彼女がまだSAICに所属していた2010年、彼女のNATO論文は、非正規戦争の重要な要素は「住民の主観的認識に影響を与えることによって、住民からある程度の感情的支持を勝ち取ること」だと指摘した。彼女は、そのような影響力を獲得する最善の方法は、従来のプロパガンダやメッセージング技術よりもはるかに進んだものであると提唱した。むしろ、アナリストは「観察下にある人々の皮膚に身を置く」必要がある。

 ザルマンは同じ年、自らをAssociation of Old Crows*の「特別利益団体」と称するInformation Operations Institute(情報作戦機関)が発行するIO Journalを通じて、別の論文を発表した。Association of Old Crowsは電子戦や情報作戦についての理論家や実践者たちのプロ集団であり、ロッキード・マーチン社のケネス・イスラエル副社長が会長を務め、昨年、米空軍研究所の電子戦上級顧問を退いたデービッド・ハイムズが副会長を務めている。
Association of Old Crows*・・・バージニア州アレクサンドリアに本部を置く、電子戦、戦術情報運用、および関連分野を専門とする国際的な非営利の専門組織。 その使命は、「政府、産業界、学界、および一般市民に対して、電子戦と情報運用を強調する強力な防衛能力の必要性を提唱すること」。
 
 『情報作戦における影響要因としての言説』と題されたこの論文で、ザルマンは米軍が「戦略的な目的を表現するためにも、民間人の死亡のような個別的な状況でコミュニケーションをとるためにも、説得力のあるナラティブ(言説)を創り出すことが難しいことに気づいた」と嘆いている。最後に彼女は、「民間人の死という複雑な問題」には、「謝罪と補償」(それはいずれにせよほとんど起こらない)だけでなく、聴衆が心を通わせる人物(この場合、「聴衆」とは「紛争地域の住民」である)を描く言説を広めることによってアプローチすべきだと結論づける。これは聴衆が「肯定的な方法」で戦闘を解消するよう促すことだ。もちろんそれはアメリカの軍事的利益に沿ったものだ。米国の軍事行動によって「亡くなった人々の生存者」とこのように感情的に関わることは、「共感的な影響力の一形態であることを証明する」かもしれない。ザルマンは終始、アメリカの戦略的目的の正当性を疑うことも、民間人の死の蓄積におけるその目的の影響こそ変える必要があることを認めることもできない。それは、軍事行動に晒される人々の思想的な枠組みのあり方とは対照的だからだ。

 ここで言う「共感」とは単に操作の手段に過ぎない

 2012年、ザルマンはグローバリスト誌に寄稿し、「ハードパワー」と「ソフトパワー」の厳格な区分けをいかに克服し、武力行使を成功に導くには適切な象徴的・文化的効果が必要であることを認識する必要があるかを示した:

「国防や経済外交が「ハードパワー」と書かれた箱に収められたままである限り、その成功が物質的な効果だけでなく、象徴的な効果にどれほど依存しているかがわからない。外交的・文化的努力が「ソフトパワー」と書かれた箱に収納されている限り、それらが強制的に使用されたり、暴力によって生み出されるような効果を生み出すことができる方法は私たちには見えない」。

 SAICがペンタゴン・ハイランズ・フォーラムに深く関与し、それを通じて監視や非正規戦、そしてプロパガンダに関する情報戦略を策定していることを考えれば、SAICがTRGと並んで、2003年のイラク戦争に向けたプロパガンダの作成を請け負ったもう一つの重要な民間防衛企業であったことは驚くにはあたらない。

 「SAICの幹部は、イラク戦争のあらゆる段階で・・・関与してきた」とヴァニティ・フェア誌は報じているが、皮肉なことに、大量破壊兵器に関する偽りの主張を意図的に流布し、その後、偽りの大量破壊兵器に関する主張にまつわる「情報の失敗」を調査したという観点から、である。たとえば、2003年にイラク調査団の団長としてサダムの大量破壊兵器を捜すためにCIAに雇われたデビッド・ケイは、2002年10月まではSAICの上級副社長として、国防総省との契約に基づいて「イラクの脅威」を調査していた。大量破壊兵器が発見されなかったとき、ブッシュ大統領がこのアメリカの「情報の失敗」を調査する委員会には、SAICの幹部3人が含まれており、その中にはハイランズ・フォーラム創設メンバーのジェフリー・クーパーも含まれていた。ケイがイラク調査団に任命されたまさにその年、クリントンのウィリアム・ペリー国防長官(ペンタゴンのハイランズ・フォーラムがその設立を命じた人物)がSAICの役員に加わった。クーパーとその関係者による調査は、ブッシュ政権が戦争を正当化するためにプロパガンダを捏造していたことを見逃すものであり、クーパーがそのプロパガンダを捏造したペンタゴンのネットワークで重要な役割を担っていたことを考えれば、当然のことである。

 SAICもまた、イラク復興案件で大儲けした数多くの請負業者のひとつであり、戦後も親米的な言説を海外に広める再契約を結んでいた。レンドンの仕事と同じ流れで、海外で植え付けられた言説がアメリカのメディアに取り上げられ、国内で消費されることになった。

 しかし、ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムが高度なプロパガンダ技術を推進するのは、レンドンやザルマンのような中核的で長年の代表者たちだけではない。2011年、同フォーラムはDARPA(国防高等研究計画局)の資金提供を受けた2人の科学者、アントニオ・ダマシオ(Antonio Damasio)とハンナ・ダマシオ(Hanna Damasio)を招いた。彼らは南カリフォルニア大学の「言説枠組み(フレーミング)の神経生物学」プロジェクトの主任研究者である。ペンタゴンの心理作戦が「共感的影響力」を行使する必要性を強調したザルマンの言葉を想起させるように、DARPAが支援するこの新しい計画は、言説がしばしば「感情的反応を呼び起こすために、強く神聖な価値観」に訴えかけるが、その方法が文化によって異なることを調査することを目的としている。この研究で最も懸念されるのは、道徳的に疑問のある行動の文脈において、従来の理屈を覆すような形で聞き手に影響を与える言説を展開するペンタゴンの能力を、どのように向上させることができるかを理解しようとすることに焦点が当てられていることだ。

 記述計画は、言説化された出来事に対する心理的反応は、「語り手が出来事をどのように誘導し、聞き手のさまざまな価値観や知識、そして経験に訴えかけるかによって影響を受ける」と説明する。「核となる個人的価値観や民族的価値観、ならびに宗教的価値観など、聞き手の神聖な価値観を標的にした」言説的誘導は、「言説化された出来事を聞き手がどう解釈するかに特に効果的な影響を与える」。なぜなら、そのような「神聖な価値観」は、「アイデンティティ(自分がだれであるかを知ること)や感情、道徳的意思決定、そして社会的認知の心理学」と密接に結びついているからである。神聖な誘導を日常的な問題にも適用することで、そのような問題は「神聖な価値の特性を獲得し、従来の推論を使って解釈することを強く嫌うようになる」。アントニオ&ハンナ・ダマシオとそのチームは、「神聖な価値を用いた言説誘導が、聞き手の出来事に関する解釈に影響を与える有効性」を決定する際に、「言語学的・神経心理学的機構」がどのような役割を果たすかを探っている。

 この研究は、何百万ものアメリカやイラン、そして中国のウェブログから言説を抽出し、それを自動談話分析にかけて、3つの言語間で定量的に比較することに基づいている。そして、研究者たちは異なる文化圏の読み手/聞き手を対象とした行動実験を行い、「それぞれの言説が、(言説の)作者の道徳的に疑問のある行動を説明したり正当化したりするために、神聖な価値観に訴えかけるものである」という異なる言説の反応を測定する。最後に、科学者たちは神経生物学的fMRIスキャンを適用し、被験者の反応や個人的特徴と脳の反応との相関を調べる。

 なぜペンタゴンは、人々の「神聖な価値観」を利用し、論理的な推論の能力を失わせ、「道徳的に疑問のある行動」に対する感情的な開放性を高める方法を調査する研究に資金を提供しているのか?

 英語やペルシャ語、そして中国語に重点を置いていることは、ペンタゴンの現在の関心が、イランと中国という2つの重要な敵対国に対する情報作戦の展開に圧倒的に集中していることも明らかにしているのかもしれない。同様に、英語、特にアメリカのウェブログに重点を置いていることは、ペンタゴンが自国の世論に影響を与えるプロパガンダの展開に関心を抱いていることを示唆している。

 DARPAが「言説誘導の神経生物学」研究の一環として何百万ものアメリカ人のウェブログを調査しようとするのは、単なる無作為抽出に過ぎないと思われないように、近年のペンタゴン・ハイランズ・フォーラムの共同議長には、国防長官府のサイバー能力・作戦支援担当部長だったローズマリー・ウェンチェル(Rosemary Wenchel)が加わった。2012年以降、ウェンチェルは国土安全保障省の戦略・政策担当副次官補を務めている。

 ペンタゴンがイラクとアフガニスタンに関するプロパガンダに巨額の資金を提供していることが示すように、住民の影響力とプロパガンダは、戦略的地域の遠く離れた海外だけでなく、国内においても、ペンタゴンの政策の正当性を損なう国内世論の危険性を鎮めるために極めて重要である。上の写真でウェンチェルが話しているのは、長年の米国防・情報相談役、ジェフ・バクスター(Jeff Baxter)である。2005年9月、バクスターは国土安全保障省が委託した「独立」とされる研究グループ(座長はNSAの請負業者であるブーズ・アレン・ハミルトン社)の一員であり、国内住民を監視する上でアメリカのスパイ衛星の役割を大きくするよう提言した。

 一方、ザルマンとレンドンは、ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムに密接に関わりながら、情報作戦に関する専門知識で米軍から相変わらず熱い視線を送られている。2014年10月、二人は米国防総省と統合参謀本部が主催する『遺伝子から「ビッグデータ」、インスタグラムから永続的監視へ・・・国家安全保障への影響』と題された大規模な戦略的多層評価会議に参加した。他の参加者としては、米軍高官や防衛産業幹部、情報機関関係者、ワシントンのシンクタンク、そして大学関係者などがいた。

 レンドンとSAIC/Leidosは、ハイランズ・フォーラムへの極めて重要な関与を通じて、ペンタゴンの情報作戦戦略のまさに進化の中心的役割を担ってきた2社であり、オバマ政権下でも引き続き重要な業務を請け負っている。たとえば、米国一般調達庁の文書によれば、レンドンは2010年から2015年にかけて、連邦政府機関全体にメディアとコミュニケーション支援サービス全般を提供する大型契約を結んでいる。同様に、SAIC/Leidosは米陸軍研究所と「遠征戦や非正規戦、特殊作戦、安定化と復興作戦」に関して2010年から2015年にかけて4億ドルの契約を結んでいる。ただしこの契約は「現在見直し作業中」だ。


帝国の逆襲

 オバマの下で、ペンタゴン・ハイランズ・フォーラムに参加する利害関係者に代表される企業や産業、そして金融権力の結びつきは、かつてないほど強固なものとなった。

 奇しくも、オバマ大統領がヘーゲル長官の辞任を発表したまさにその日、国防総省は、2013年にオバマ大統領によって任命されたヘーゲル国防副長官ロバート・O・ワークが、その1週間前にヘーゲル長官が発表したばかりの国防革新構想をどのように進めるつもりなのかを強調するメディア情報を発表した。この新たな構想は、ペンタゴンが長期的な変革を遂げ、情報活動全般にわたって最先端の破壊的技術に遅れを取らないようにすることに焦点を当てたものだった。

 ヘーゲルが排除された本当の理由が何であれ、これはマーシャルとハイランズ・フォーラムのビジョンにとって象徴的かつ具体的な勝利であった。ハイランズ・フォーラム共同議長のアンドリュー・マーシャルONA代表は、実際、引退するかもしれない。しかし、ヘーゲル後のペンタゴンは、彼の信奉者で占められている。

 現在、国防総省の新たな変革計画を指揮しているロバート・ワークは、マーシャルの忠実な従者であり、以前はネットアセスメント局(ONA)で戦争ゲームの指揮と分析を行なっていた。マーシャルやウェルズ、オニール、その他のハイランズ・フォーラムの構成員と同様、ワークもまたロボット空想家であり、『ロボット時代の戦争準備』(新アメリカ安全保障センターCNASが昨年初めに発表した研究)の主筆である。

 また、ONAの将来を決定するための作業も進められており、彼の戦略家トム・エラード(Tom Ehrhard)と、現在ハイランズ・フォーラムがその権限で運営されているマイケル・G・ヴィッカーズ(Michael G. Vickers)国防総省情報次官が補佐している。破壊的技術の国防総省への統合」を提唱するエラードは、以前はONAでマーシャルの軍事補佐官を務めていた。NSAのような監視機関を監督するマイク・ヴィッカーズもまた、以前はペンタゴンのコンサルタントとしてマーシャルに雇われていた。

 ヴィッカーズはまた、非正規戦の主要な推進者でもある。ブッシュ、オバマの両政権において、ロバート・ゲイツ前国防長官のもとで特殊作戦と低強度紛争を担当する国防次官補を務めたヴィッカーズは、「ネットワークと戦うためのネットワーク」を利用した「対ネットワーク戦争」プログラムの一環として、「米国が戦争状態にない数多くの国々」を含む「世界中での分散作戦」を推進した。ヴィッカーズはゲイツの部下として、心理作戦やステルス輸送、無人偵察機プレデターの配備、そして「テロリストや反乱軍を追跡し標的にするためのハイテク監視と偵察」を含む特殊作戦の予算を増やした。

 オバマ大統領はヘーゲルの後任として、2009年から2013年まで国防副長官を務めたアシュトン・カーターを指名した。彼は予算と調達の専門家であり、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、「戦場におけるアメリカの優位性を維持するための新たな戦略と技術を開発する努力など、現在のペンタゴン副長官であるロバート・ワークが提唱する構想のいくつかを後押しすると期待されている」。

 1999年、クリントンの国防次官補を3年間務めたカーターは、ウィリアム・J・ペリー元国防長官と共著で、「デジタル技術と絶え間ない情報の流れ」によって促進される新しい形の「遠隔操作による戦争」を提唱した。ペンタゴン在任中のカーターの同僚にハイランズ・フォーラム共同議長のリントン・ウェルズがおり、1994年に当時の国防長官としてリチャード・オニールをペンタゴンのIOシンクタンクとしてハイランズ・フォーラムの設立に任命したのも、もちろんペリーであった。

 ハイランズ・フォーラムの重鎮であるペリーは、SAICの役員に就任した後、最終的にはもうひとつの巨大防衛請負企業、グローバル・テクノロジー・パートナーズ(GTP)の会長に就任した。そしてアシュトン・カーターは、オバマによって国防長官に指名される前は、ペリーの下でGTPの役員を務めていた。カーターはオバマ政権下で国防総省に勤務していたとき、ワークやフランク・ケンドール現国防次官と密接に仕事をしていた。国防業界の情報筋は、ペンタゴンの新しい一団は、この好機を「劇的に向上させ」、ペンタゴンの「主要改革計画」に関して「一気にゴールラインを突破させた」と喜んでいる。

 実際、国防長官候補としてのカーターの優先事項は、米国の軍事戦略を強化するための新しい商業的「破壊的技術」を特定し、獲得することである。言い換えれば国防総省スカイネット計画を達成することである。

 このように、ペンタゴンの新たな革新構想の起源は、数十年前にペンタゴン内部で広く流布されながら、現在まで十分に根付かなかった構想にまで遡ることができる。2006年から2010年にかけて、ロシャールやザルマン、そしてレンドンといったハイランズ・フォーラムの専門家たちによってこのような構想が練られていたのと同じ時期に、ネットアセスメント局は、4年ごとの国防レビューを通じて、これらの構想を具体的な戦略や政策開発に反映させる直接的なメカニズムを提供した。ここで「特殊作戦」や「電子戦」、そして「情報作戦」といった「黒」の世界を拡大させたのは、主にマーシャルの助言があったからだ。

 完全にネットワーク化され自動化された軍事システムというマーシャルの9.11以前の視座は、2014年9月に国防大学が発表したペンタゴンのスカイネット研究において結実した。ウェルズの提言の多くは現在、ONAとハイランズ・フォーラムの退役軍人や関連団体による新しい国防革新構想を通じて実行に移されている。

 ウェルズの白書が、自律型ネットワークロボット戦争を独占するためにAI研究を独占しようとするペンタゴンの強い関心を浮き彫りにしたことを考えれば、フォーラムの出資先であるSAIC/Leidosという提携先が「スカイネット」という言葉を公に使うことに異様な敏感さを示すのも、まったく不思議なことではない。

 「スカイネット(架空)」と題されたウィキペディアの項目で、SAICのコンピュータを使用している人々は、「豆知識」の分野で、イギリスの軍事衛星システムやさまざまな情報技術計画など、現実世界の「スカイネット」を指摘するいくつか段落を削除した。

ヘーゲルが去ったことで、ハイランズ・フォーラムの影の連携網につながるペンタゴンの高官たちが政府の影響力を強化する道が開かれた。これらの高官たちは、政界や産業界、メディア、そして企業関係者からなる長年の影の連携網に組み込まれており、政府の背後で、その姿が見えないように座っているが、政権が民主党であろうと共和党であろうと、文字通り外交と国内の国家安全保障政策を決定している。

 この連携網こそが、アメリカの投票を無意味なものにしているのだ。電子通信の包括的な監視は、公共の利益を守ったり、テロとの闘いに役立ったりするどころか、エネルギーや防衛、そしてIT業界の強力な既得権益を強化するために組織的に悪用されてきた。

 その結果もたらされた永続的な世界規模の戦争状態は、誰の安全も確保することなく、いわゆる『イスラム国』の新世代のテロリストを生み出した。これ自体アサドの残虐行為と長期にわたる中東でのアメリカの秘密作戦の腐臭を放つ組み合わせから生まれた副産物としてのフランケンシュタインだ。このフランケンシュタインの存在は、現在、経済の不安定さが政府に対して国防予算を削減するよう圧力をかけている時期に、国家安全保障機構を拡大し巨額の利益を得ようとする私設軍事請負業者によって冷酷に悪用されている。

 証券取引委員会によると、2008年から2013年にかけて、アメリカの5大防衛関連企業は、イラクとアフガニスタンでの戦争が終結したことで事業が立ち行かなくなり、収益が圧迫されたため、従業員の14%を失った。ISISが引き起こした「長期戦争」の継続は、今のところ、彼らの運命を逆転させている。新たな戦争から利益を得ている企業には、レイドス社やロッキード・マーチン社、ノースラップ・グラマン社、そしてボーイング社など、ハイランズ・フォーラムと関係のある企業が多い。戦争は、まさに「金のなる木」だ。


陰の存在はなくなる

 しかし、結局、情報帝国主義者たちは既に破綻している。この調査は完全にオープンソース*の手法に基づいており、主にグーグルを可能にした同じ情報革命の文脈で実現できた。この調査は完全に一般の人々によってクラウドファンディングを通じて資金提供されている。そして、この調査は従来のメディア回路の外で公開および配布されており、まさにこの新しいデジタル時代において、中央集権的な上意下達の権力が人々の真実と正義への愛、そして共有の欲望には勝てないことを示している。
オープンソース*・・・ソフトウェアのソフトコードを公開することにより、ソフトウェアの改良や機能追加などを誰もが自由におこなえる体系のこと

 この皮肉な事態の教訓は何か:非常に単純明快だ。「情報革命は本質的に分散化され、分権化されている。それをビッグ・ブラザーが制御および利用することはできない。そうした試みは最終的に自己破壊的な方法で必ず失敗する」。

 ペンタゴンの、情報と情報技術の制御を通じて世界を支配しようとする最新の狂気じみた試みは陰の連携網が無敵の力を持つ兆候ではなく、むしろその覇権の衰退の加速を阻止しようとしても、それが裏切られる絶望の兆候になっている。

 しかし、覇権の衰退はすでに止めようもない。そして、今回の話は、以前の多くの言説と同様、権力が影に隠れようとも、情報革命をすべての人々の利益のために動員する機会がこれまで以上に強力であることを示すひとつの小さな兆候になっている。


Dr Nafeez Ahmed
調査報道ジャーナリスト、ベストセラー作家、国際安全保障学者。元ガーディアンのライターで、VICEの『マザーボード』で「システム・シフト」コラムを執筆するほか、『ミドルイースト・アイ』のコラムニストも務める。Guardian』での執筆で、2015年Project Censored Award for Outstanding Investigative Journalismを受賞。
インディペンデント紙、シドニー・モーニング・ヘラルド紙、エイジ紙、スコットランド紙、フォーリン・ポリシー紙、アトランティック紙、クオーツ紙、プロスペクト紙、ニュー・ステーツマン紙、ル・モンド・ディプロマティーク紙、ニュー・インターナショナリスト紙、カウンターパンチ紙、トゥルースアウト紙などにも寄稿。著書に『A User's Guide to the Crisis of Civilization:And How to Save It』(2010年)、SFスリラー小説『ZERO POINT』などの著書がある。国際テロの根本原因や秘密工作に関する彼の研究は、9.11委員会や7.7検視にも公式に貢献した。
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ガンで亡くなる若者の数が爆発的に増加していることが、英国政府の統計から明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
Young People Dying of Cancer at ‘Explosive’ Rates, UK Government Data Show
筆者:マイク・カプッツオ(Mike Capuzzo)、エド・ダウド(Ed Dowd)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年12月2日
この記事の初出は、2023年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月11日





 英国の10代や20代、30代、40代の青年層が、COVID-19の集団予防接種が始まって以来、前例のない速さで、急速に転移する末期ガンで死亡していることが、エドワード・ダウド氏による新しい分析で明らかになった。

 元ウォール街のヘッジファンド運用業者で、『「原因不明」2021年と2022年の突然死の流行』の著者であるダウド氏による45ページの報告書は、数十年にわたる死亡率の数値を大きく覆すものであるとして、一部の腫瘍学者を憂慮させている。

 エドワード・ダウド氏は、英国国家統計局の入手しやすい政府統計に基づいて分析を行なった。

 ディフェンダー紙のインタビューによると、ダウド氏は、高水準の科学者、データ分析家、財務専門家を含む数名の共同研究者とともに、悪性の腫瘍(C00からC99コード)の傾向を調査するため、2010年から2022年の調査期間において、英国における死因の国際疾病分類第10版(ICD-10)コードをすべて調査したという。

 ダウド氏の研究団は、以下のような、ある顕著な兆候に気づいたという。すなわち、ウェールズとイングランドにおける2021年と2022年の高齢者の死亡はほとんどすべて死因がコードにより分類されていたが、2021年の15歳から44歳の死亡の8%、2022年の同年齢層の死亡の30%は死因がまだコードによる分類がなされていなかった、というのだ。

 「病院で死ぬと、生と死の痕跡が残り、何が死につながったのかがわかります。 ただし、若い人が車の運転中に死んだり、道を歩いていたり、寝ている間に死んだりすると、死因を特定するのに時間がかかります」とダウド氏は述べている。

 ダウド氏は、このコードによる死因の特定が欠落している状況から、若年層において過剰死亡が起こっているという「問題を示しています」と述べた。

 ダウド氏によると、このような死因が特定されない事例はあるにせよ、2021年のコードにより死因が特定された死亡の92%、2022年の死亡の70%は、「若年層におけるがん死亡の強い兆候」を示している、という。つまり、2021年に始まった悪性腫瘍による死亡率の大幅な増加は、2022年に大幅に加速した、ということだ。

 「2022年の過剰死亡の増加は統計的に見て非常に重要(極端な事象)である。この結果は、2021年後半から、悪性腫瘍による死亡の増加につながる新たな現象が、英国の15歳から44歳の個人に見られることを示している」とダウド氏は記している。

英国における15~44歳の2022年のがん死亡率が例年の基準を上回るという調査結果には、以下のものが含まれる:

・女性の乳ガン死亡率が28%上昇。

・女性では膵臓ガン死亡率が80%増加、男性では60%増加。

・結腸ガンによる死亡が男性で55%増加、女性で41%増加。

・致死的メラノーマ皮膚ガンが男性で120%増加、女性で35%増加。

・脳腫瘍による死亡が男性で35%増加、女性で12%増加。

・「部位の特定がない」ガンによる死亡率が男性で60%増加、女性で55%増加。





「臨床的証拠の積み重ね」が研究につながった

 ダウド氏が作成した報告書は、ダウド氏の研究仲間の一人であるカルロス・アレグリア氏がまとめたもので、政府と保険業界の数値を用いて英国と米国における超過死亡を調査した『Humanity Projects』というサイトに掲載されている。

 ダウド氏は、COVID-19のパンデミック政策が、社会の専門家に対する信頼をいかに破壊しているかを目の当たりにしたとき、公共政策の指針となるべく、数値に基づくこの無料の計画を始めたという。

 大手製薬会社やその他の世界規模の利害関係者が国や州の政府規制機関や企業報道機関を掌握していることを調査したダウド氏は以下の2点を実感し、記載した。

・「公益の門番として機能する独立した機関が必要なのです」
・「我々がそのような機関となり、同様の結果を求める他の個人や機関のための質の高い研究を提供するつもりです。」


 この新しい報告は、「英国における死因調査計画」の3番目の報告であり、「英国における15-44歳の心血管系疾患の死亡と障害の傾向」、「英国における15-44歳の心血管系疾患の死亡傾向と個々の原因の分析」というふたつの研究に続くものだった。

 COVID-19ワクチンと若年層で急増しているガンとの関連性を示す臨床的証拠の積み重ねが、自分を最新の研究に導いたのだ、とダウド氏は言う。

 「我々が15歳から44歳の若年層に焦点を当てて研究を行なっているのは、現在、説明のつかない攻撃的で異常な癌(ターボ癌など)が集団、特に若年層に多く発生しているという体験談が増加しているためである。」

 「この研究の焦点は、個々の主張や体験談を検証することではなく、集団規模での統計的分析を行い、体験談的な証拠が異常であるか否かを明らかにすることである。」

とダウド氏は自身の論文に書いた。

 ダウド氏は、「我々の分析で明らかになった関係」が、「個人の健康状態の根本的な傾向を理解するために、医療専門家が現実をチェックするための基礎となる」ことを望んでいる、と語った。

 ダウド氏の手法は、英国国家統計局の数値から、2010年から2022年までのイングランドとウェールズにおけるガンに起因する死亡者数を分析することであった。

 同氏は、COVID-19パンデミックの前後で、超過死亡率(観察された死亡数と予想死亡数の基準値との差)を比較した。

 ダウド氏は、2010年から2020年までの正常ながん死亡率の基準値を設定したが、その基準値は驚くほど一貫しており、乖離はほとんどなかったという。

 この報告書の主な調査結果は以下のとおりである:

・女性では乳ガンが圧倒的に多い。15~44歳の女性における致死的ガンの最も一般的な原因は乳ガンであり、2022年における女性の悪性腫瘍による過剰死亡率全体の約25%を占める。超過死亡率に基づくと、女性にとって次に危険ながんは、結腸ガンと子宮頸ガンである。

・2022年、若い男女のガンによる死亡事例は劇的に増加した。ただ、若い男性のガンによる死亡には不釣り合いな増加はあるが、女性の乳ガンに匹敵するような支配的なガンはなかった。脳腫瘍、結腸ガン、胃ガンは、2022年における男性のガンによる死亡事例増加の30.9%を占めた。

・他の臓器への急速な転移を示し、一般に「ターボガン」と呼ばれる「部位の特定ができない」ガンは、2022年に「爆発的に増加した」とダウド氏は述べた。さらに、「これらのガンは、女性(2021年と2022年)と男性(2022年)の両方で非常に大きく増加しており、発見された時点ですでに転移していた可能性が高い。若年層は早期検診を必要としないため、これらのガンが、急速に増加した可能性が高い」とも述べた。

・2022年、男性の皮膚ガン死亡率は118%と大幅に上昇した。ダウド氏によると、「これらのガンがガン全体に占める割合は大きくないのだが」とのことだ。

・消化器官のガンは、「2010年から2019年の傾向と比較して、2021年と2022年に爆発的な変化が見られた。特に注目すべきは、結腸ガン(国際コードC18)、胃ガン(C16)、食道ガン(C15)である。消化管に関連するこれらのガンは、その重要性が大幅に上昇しているようであり、また、男性に不釣り合いな影響を及ぼしているようである」とのことだ。

・膵臓ガンは「女性(2022年)と男性(2021年と2022年の両方)の両方で非常に大きく増加した。なぜこれらのガンがこれほど劇的に増加したのか、なぜ男性で最初に増加し、次に女性で増加したのかは、調査が必要な疑問のひとつである」とのことだ。

 ダウド氏は、自身の研究が2020年以降のガンの「傾向に見られるいくつかの傾向を明らかにする最初の試み」であることを強調した。

 「医師や専門研究者が、私たちのデータ分析が提供するこれらの(そして他の)洞察に基づいて、さらなる調査を行うことを願っている」とダウド氏は書いている。


COVIDワクチン注射とガン増加の関連は「見る価値がある」問題

 退職後、オンライン・サイトの「ウォー・ルーム/デイクラウト・ファイザー文書分析計画」のボランティア科学部長になった英国の学術医師、放射線科医、乳ガン専門医のクリス・フラワーズ博士は、英国のこのデータは 「非常に、非常に、非常に気になる」とディフェンダー紙に語った。

 フラワーズ氏によれば、ダウド氏の研究は、ファイザー社とモデナ社の実験的mRNAワクチンの世界的な展開以来、米国、英国、そして西側先進国の研究者、臨床医、ガン専門家によって報告されたガンによる死亡の急激な増加に関する同様のデータを裏付けるものであるという。なお、推定55.5億人以上、世界人口の約72.3%がこのワクチン予防接種を受けている。

 フラワーズ氏は、米国と英国の病理学者、放射線科医、腫瘍内科医、内科医、重症治療医、研究者を含む同氏の仕事仲間たちは、若年層の致命的な乳ガンやその他のガンが2022年に爆発的に増加したが、こんな深刻な状況は見たことがないと語った、という。

 ダウド氏の報告は、フラワーズ氏と彼の仕事仲間たちが1年以上前から気づいていたことを裏付けるものだ:

・「ガンの発生率が通常の2~3倍だ」

・「若年層の女性、20代から30代の若い女性のことですが、通常は月経が始まれば、何らかの成長促進物質が分泌されているものなのだが、それにもかかわらず、治療が困難な進行した腫瘍を発症している。こんなことはこれまで稀な現象だったが、今では比較的一般的な現象になっている」

 おそらく最も憂慮すべきは、一部の腫瘍医が現在「ターボガン」という新しい用語で呼ぶ、若年層のガンの増加である、とフラワーズ氏は言う。

 「ターボガンは、いくつかの症状を見せるガンのことを表す造語としてよく使われています。最近若年層に現れたばかりのガンで、前日は、まったく元気だったのに、次の日に末期ガンだと宣告され、1週間以内に死んでしまうのです。主流報道機関でさえ、そのような報道を多く報じています」

 「腫瘍の成長が速いだけではなく、同じ人にいくつものガンが発生しています。こんなことは、以前は非常にまれでした。たまに、若い人に非常に攻撃的な炎症性がんを見かけるくらいでした。しかし、今では誰もが経験するようになってしまっています」とフラワーズ博士は語った。

 COVID-19救命治療最前線同盟(FLCCC)の会長兼医療部長を務め、診療所では数百人のワクチン傷害患者を治療している呼吸器専門医で緊急治療医のピエール・コリー博士は、仕事仲間や患者からガンの増加に関する「報告や助けを求める相談が殺到している」と語った。

 実験病理学の博士号を持つ薬剤師であり、かつてジョンソン・エンド・ジョンソン社で術後の内臓損傷を予防する製品の開拓者であったデイビッド・ワイズマン博士は、彼とMITヒトゲノム計画の元研究開発責任者ケビン・マッカーナン氏がおこなった、mRNA注射にDNA断片が混入していることを示す研究を政府や主要報道機関が取りあげないことに、驚きと憤りの気持ちを持っている、と語った。

 ワイズマン博士によれば、これらのDNA断片はワクチンがヒトゲノムに与える可能性のある損害に加え、ガンを含む様々な問題への新たな扉を開くことになる、という。

 ワイズマン博士はディフェンダー紙に対し、疾病対策予防センター(CDC)自身のデータが、COVID-19ワクチンに関連した発ガン性の懸念を示している、とも語った。

 「ガンが増加していることは、米国食品医薬品局(FDA)とCDCが公式に運営するワクチン被害報告サイトであるVAERSで確認できます。CDCはPRR分析*(シグナル分析)を行い、このワクチンにガンのシグナルがあることを発見しています。証明されているわけではありませんが、検討する価値はあります」とフラワーズ博士は述べた。
*医薬品の有害事象データベースから重大な健康被害を引き起こす恐れのある医薬品と有害事象の組み合わせを探す手段のひとつこちらのサイトを参照
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戦争犯罪の罪に問われていた元セルビア大統領ミロシェビッは無罪だった!

<記事原文 寺島先生推薦>
Serbian leader Slobodan Milosevic Found Not Guilty of War Crimes
筆者:ジャン・ソビエスキー3世(Jan Sobieski III)
出典:コンサーバティブ・ペイパーズ(Conservative Papers) 2016年8月6日
ベルグラードから。
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月10日


ミロシェビイチ
無実のまま獄中死した、元ユーゴスラビア連邦共和国大統領ミロシェビッチ


 ハーグの旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)は、セルビアの故スロボダン・ミロシェビッチ大統領が1992年から95年にかけてのボスニア紛争で犯した戦争犯罪の責任はないと判断した。

 ボスニア・セルビア人ラドバン・カラジッチ元大統領に戦争犯罪の有罪判決を下し、禁固40年を言い渡した裁判部は、ボスニア紛争中、スロボダン・ミロシェビッチはイスラム教徒とクロアチア人を犠牲にする「共同犯罪組織」の一員ではなかったという驚くべき判決を全会一致で下した。

 また、セルビアの民族主義指導者であるヴォイスラヴ・シェシェリも、1990年代のユーゴスラビア紛争後の戦争犯罪と人道に対する罪の容疑に関しては無罪であるという驚くべき判決が出された。

 この評決は、3人の裁判官のうち過半数の2人の裁判官により出されたもので、検察側にとっても、紛争に巻き込まれた何千人ものイスラム教徒にとっても打撃となる判決となった。

 「ヴォイスラヴ・シェシェリは今や自由の身です」と、2014年に癌治療のためセルビアへの帰国を許可されたこのセルビア人政治家の逮捕状を無効とした後、裁判長のジャン=クロード・アントネッティは語った。

 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所より最初の起訴者となったシェシェリ氏(61歳)は、裁判の評決に出廷しなかったが、その後の記者会見で、この決定は「法的側面から見て唯一ありえる判決結果」だったと語った。

 「無実のセルビア人が非人道的な処罰を受けた多くの訴訟の後、今回は2人の誠実な裁判官が、政治的圧力よりも名誉を重んじたことを示す判決だった」とシェシェリ氏は述べた。

 この判決により、2年前の選挙で残っていた議席をすべて失ったシェシェリ氏の急進党が、4月24日の選挙でセルビア議会に再び議員を送り込む可能性を高めるきっかけとなる可能性がある。

 強硬派の政治家であるシェシェリ氏は、セルビアに戻ってから健康状態が改善し、民族主義的なスローガンを唱えながら政治集会を開き、セルビアがEU加盟を目指すのをやめてロシアとの関係を強化するよう呼びかけている。

 この判決は、多くのセルビア人が抱いている、自分たちは国連法廷によって不当に標的にされているという印象を払拭する助けになるかもしれない。

 ハーグで、アントネッティ裁判官は評決を読み上げる際、検察側を痛烈に批判し、検察側は過剰で複雑な裁判を起こし、合理的な疑いの余地のないことを支持するような重要な点を立証できなかったと述べた。さらに同裁判官は、シェシェリ氏に28年の量刑を要求した検察側は、確たる証拠を提示することなく、大袈裟に話を広げた、と述べた。

 裁判官たちはまた、シェシェリ氏とその同盟者たちがクロアチア、ボスニア、セルビアの一部からイスラム教徒とクロアチア人の強制移送を組織したこと、そしてそれらの人々が単に紛争からの避難を求めていたのではないことを検察側が立証できなかったと判断した。

 シェシェリ氏らの逮捕は、国際司法の腐敗を露呈した茶番であった、ということだ。

 スロボダン・ミロシェビッチは、全ての西側諸国の報道陣と、事実上すべてのNATO諸国の政治家から中傷された。ミロシェビッチは、「バルカンの虐殺者」呼ばわりされ、ヒトラーと比較され、大量虐殺を起こしたとして非難された。さらに、その虚像を利用して、セルビアに対する経済制裁だけでなく、1999年のNATOによるセルビア空爆とコソボ戦争を正当化した。

 スロボダン・ミロシェビッチが、人生の最後の5年間を刑務所で過ごさなければならなくなったのは、このでたらめな戦争犯罪疑惑から自身とセルビアを守るためだった。それが今になって、その戦争は、ミロシェビィッチが止めようとしていたことが認められたのだ。戦争をめぐるミロシェビッチが直面した大虐殺を含む最も深刻な容疑は、すべてボスニアに関するものだった。ミロシェビッチの死後10年経った今、ICTYは彼が結局有罪ではなかったことを認めたのだ。

 ICTYは、ミロシェビッチの共同犯罪組織への関与を潔白とした事実を全く公表しなかった。ICTYは、2590ページからなるカラジッチ評決文の中の1303ページを使って、その事実をひっそりと記載していたのだ。こんな長文の判決文をおそらくほとんどの人が読む気にならないであろうことを十分わかった上でのことだ。

 スロボダン・ミロシェビッチが非常に疑わしい状況で死亡したことを思い出す価値がある。ミロシェビッチが心臓発作で死んだのは、ロシアでの心臓手術の要請を法廷が却下したわずか2週間後のことだった。彼が独房で死んでいるのを発見されたのは、彼の弁護士がロシア外務省に「毒殺される恐れがある」と書いた手紙を届けてから72時間も経たたないうちのことだった。

 彼の死に関する審判所の公式調査報告書で確認された事実は、「2006年1月12日にミロシェビッチ氏から採取された血液サンプルからはリファンピシンが検出された」というものだった。さらに、「ミロシェビッチ氏は2006年3月3日までその結果を知らされなかった。というのも、ファルケ医師(審判所の主任医務官)は、医療上の守秘義務に関するオランダの法的規定により、困難な法的立場に置かれていたからである」というものだった。

 ミロシェビッチの血液中にリファマイシン(処方箋なして買える薬品)が含まれていれば、彼が服用していた高血圧治療薬が効かなくなり、最終的に彼を死に至らしめた心臓発作になる危険性が高まる。法廷が、数カ月前からリファンピシンのことを知っていたのに、死の数日前までミロシェビッチに血液検査の結果を伝えなかった理由が、「オランダの医療機密に関する法的規定」にあるというのは、信じられないほどいい加減で、卑怯な言い訳だ。オランダの法律には、医師が自分の血液検査の結果を患者に伝えることを禁止する規定はない。それどころか、そのような情報を患者に伝えないことは、医療過誤とみなされる可能性さえある。

 このことから、地政学的に強力な権益を持つ者たちは、ミロシェビッチが無罪になり、自分たちの悪質な嘘が暴かれるのを見るよりは、裁判が終わる前に死んだ方がましだと考えているのではないか、という十分な根拠のある疑念が生まれる。ウィキリークスに流出した米国務省の公文書は、法廷がミロシェビッチの病状や医療記録について、本人の同意なしにハーグの米大使館員と話し合ったことを裏付けている。米大使館にミロシェビッチの医療カルテのことを話したとき、法廷は明らかに医療機密保護法を気にしていなかった。

 ミロシェビッチの死後約10年経って、彼が告発された最も重大な犯罪がこっそりとお咎なしだったと判断されたというのは、納得のいかない結果だ。ミロシェビッチの未亡人と遺児たちには最低でも金銭的な補償がなされるべきであり、セルビアに対しては、ミロシェビッチの犯罪「責任」を問うためにセルビアを処罰しようとした西側諸国政府が賠償金を支払うべきである。いまや法廷が、ミロシェビッチにはその戦争の責任はなく、実際は止めようとしていた、と判断したのだから。


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イスラエルは戦争でハマスには勝てない。ではこの先どうなる?

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel can’t defeat Hamas in battle, so what’s next?
ガザの戦争が引き起こすことは、民間人の惨状だけ。その状況を米国はいつでも止めることが可能なのに・・・
筆者:ロバート・インラケシュ(Robert Inlakesh)
政治分析家、ジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督。パレスチナ自治区での取材・滞在経験を持ち、現在はクッズ・ニュースに所属。YouTube上のドキュメンタリー番組「Steal of the Century:Trump's Palestine-Israel Catastrophe」の監督。ツイッターは @falasteen47
出典:RT  2023年12月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月10日



2023年11月16日、イスラエル軍が公開した資料写真。イスラエルとパレスチナの過激派組織ハマスとの戦闘が続く中、ガザ地区での軍事作戦中の部隊の様子。@イスラエル軍 / AFP


 イスラエルとガザのパレスチナ武装勢力との間の戦争が7日間小康状態を保った後、敵対行為の再開が米国政府から再び許可された。同盟国のイスラエルを軍事的勝利に導けなかった米国は、戦況の危険な激化を容認し、これ以上の市民の被害を防ぐ平和的解決策を拒否している。

 アントニー・ブリンケン米国務長官がパレスチナ/イスラエルから去ったわずか数分後、ガザでの戦争が再開され、パレスチナの民間生活基盤施設に対する大規模な空爆が行われ、200人近い民間人が死亡した。ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は、イスラエルの「ハマスの後を追う権利と責任」を引き続き支持すると発表したが、その目的は不明だ。エフード・バラック元イスラエル首相も、ハマスの崩壊は程遠いことを認めている。ではいったい、この戦争をおこなう意味はどこにあるというのだろうか?

 パレスチナ人2万人以上が死亡したと思われる6週間の戦争の後、イスラエル軍は、包囲された沿岸の飛び地にいるハマスと他のパレスチナ武装集団の軍事力に大きな打撃を与えたという証拠を何一つ提示できていない。イスラエルは、ハマスがガザ北部の主要な病院を基地や指揮統制センターとして使用していると主張し、その病院への侵入を強行したが、イスラエル国防軍(IDF)が提出した証拠は、こうした主張を裏付けるものではなかった。米国政府は、シファ病院に司令塔が存在するという考えを支持し、イスラエル軍が病院敷地内に入った際には、そこで発見したとする武器と空洞のトンネルを提示した。一般に公開されたこのような画像はイスラエル軍によって管理・編集されたものだが、もし独自に検証されれば、武装勢力の存在を示す証拠となりうる。が、指揮統制センターや指令拠点があったという証拠はまだ示されていない。他の病院でも気をつけるべきものはほとんど発見されておらず、イスラエルの主張を裏付ける確かな情報を持っているというアメリカの主張は、ジョー・バイデン米大統領が「テロリストが子どもの首をはねている写真を確認した」と発言し、ホワイトハウスが後に撤回したことを考えれば、疑わしいものである。


関連記事:Tara Reade: How long will Western warmongers keep feeding human lives to their narrative?

 この戦争が始まったとき、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ハマス粉砕」を宣言したし、米国も公式にその目的を支持した。しかし、ハマスがイスラエルに対して史上最大の打撃を与えただけでなく、イスラエル軍の攻撃からガザを防衛した無数の成功事例が文書として残っている。いまや全世界でパレスチナ国家の樹立について語られている。パレスチナ国家の樹立に関しては、アラブ諸国とイスラエルとの間の無条件の国交正常化協定が優先され、戦前は完全に放棄されていた構想だ。これに加えて、イスラエルによるガザ侵攻戦争の結果生じた状況のひとつとして考えられることは、占領地全域でハマスへの支持が飛躍的に高まったことだ。さらに、中東やイスラム世界では、ハマスの過激派は英雄視されていて、今回の行動は、勇敢な民族的抵抗として広く見られている。

 バイデン政権が中東政策の柱としていたサウジとイスラエルの国交正常化交渉は、サウジアラビア政府がイラン政府に接近している現在、水泡に帰している。イスラエルの世論調査の数値によれば、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエル国民の4%からしか信頼されておらず、最も信頼されている人物はイスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官である、という。しかし、イスラエル国民から信頼されているハガリ報道官は、「リストの男」と揶揄され、ネットをざわつかせる人物に成り下がってしまった。それは同報道官が示した動画の中で、(病院の壁に貼られてあった)アラビア語で書かれたありふれたカレンダーを「テロリストのリスト」だと主張したからだ。同報道官が「リスト」だと言い張ったカレンダーを映した動画は、ハマスがランティシ小児病院で人質をとっている証拠を示すものになるはずだった。

 少なくとも10カ国がイスラエルから大使を引き揚げるか、イスラエルとの関係を停止した。ロンドンやワシントンDCのような首都では、これまで欧米で起きたことのない大規模な親パレスチナデモが続いている。このような状況は、ジョー・バイデンへの支持率の大幅な低下と相まって、米国が支援するガザでの戦争に災いをもたらすものだ。

 ホワイトハウスは、ガザ南部への侵攻を計画するイスラエル軍に一定の制限を加えていると主張するが、同時にイスラエルの行動を無条件で支持している。米国政府は、10月7日以降に起こったことに対していかなる責任も取らず、自分たちがついた嘘に対する謝罪もなく、戦略の変更もなく、ハマスの攻撃を容易にしたガザの状況を作り上げた米国側の責任も認めていない。

 今、本当に問われているのは以下のことだ。これから私たちはどこへ向かうのか?イスラエルはガザで無目的に戦い、何千人ものパレスチナ市民を殺し続け、ハマス敗北の兆しは見えず、国連のマーティン・グリフィス救援総長が「過去最悪」と評する人道状況はさらに悪化している。これらの要素をすべて深刻に受け止める一方で、イスラエルによるガザ攻撃が激化した場合、地域戦争が勃発する恐れもある。レバノンのヒズボラは現在、レバノン国境沿いで頻繁に戦闘を繰り広げており、イスラエルの軍事目標への攻撃範囲を拡大している。


関連記事:The Gaza truce is a sign that Hamas can’t be defeated

 イスラエルとハマスの間で行われた捕虜交換は、このパレスチナ組織と外交的な話し合いができる証となった。この交換はまた、イスラエルが何の罪もない女性や子どもたちを拘束していることを世界に知らしめることにもなった。解放されたイスラエルの民間人捕虜の大半は、解放時にハマスの戦闘員と笑顔で握手し、感謝の言葉を述べているところを撮影されているが、その体験について報道機関に直接語ることは封じられている。一方、パレスチナの女性や子どもたちは、イスラエルの獄吏の手によって受けた虐待、拷問、屈辱を語った。このような状況はイスラエル政府にとって、自国がハマスよりも罪が重く見せてしまうという、新たな広報上の大失敗となった。

 米国政府は戦争の運転席に座っている。いつでも紛争を終結させる力を持ちながら、この惨事を長引かせ続けている。戦闘行為の7日間の一時停止中、イスラエルの勝利を可能にするような有利な変化は何もなかった。ガザでの戦争に軍事的解決はあり得ない。米国は、パレスチナの人々に正義と自由が与えられるまで、この紛争は決して終わらないことを認識しなければならない。75年間、西側諸国の政府はパレスチナ人の苦しみを無視してきた。西側諸国は決して客観的な平和の仲介者ではなかった。暴力は暴力を生み、憎しみは憎しみを生む。パレスチナ人を単に殺害して服従させることは不可能だ。仮にハマスが敗北したとしても、彼らの仇を討ち、国家樹立のために戦う組織が今後さらに現れるだろう。国際社会が団結すれば、この連鎖を断ち切ることは可能だが、それには勇気が必要だ。
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私はイスラエル・ガザ間の戦争を2度体験したが、今回の戦争は最悪だ

<記事原文 寺島先生推薦>
“I Lived Through Two Israel-Gaza Wars. This One is the Worst.”
筆者:エバ・バートレット(Eva Bartlett)
出典:INTERNATIONALIST 360°   2023年12月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月10日




 
 イスラエルによるガザ全域への執拗な空爆が7週間続いた結果、11月23日時点(人道的停戦が発効する直前)の国連の控えめな推計によれば、ガザの飛び地で1万4800人以上が死亡し、その中には約6000人の子どもと4000人の女性が含まれていた、といいます。

 今回のイスラエルによるガザ攻撃は、イスラエルが2カ月足らずの間に4万トンもの爆薬を投下したという報告もあり、これまでで断トツにひどいものですが、イスラエルが過去15年にわたって、ガザのパレスチナ人に対して繰り返し攻撃を加えてきたことを今一度思い起こすことには価値があると言えます。

 2008年末から2013年3月までの数年間、ガザに住んでいた私は、イスラエルによる2度の大規模な攻撃(そして数年にわたる無数の小規模な攻撃)を目撃してきました。この記事において、私が目にし、記録したことを紹介し、ガザで起きているイスラエルによる恐ろしい戦争犯罪は、今に始まったことではないことを示したいと思います。

 2008年12月27日、イスラエルは「キャスト・リード」作戦の最初の数分間で、ガザに100発の爆弾を投下しました。シファ病院(ガザの中核病院)は、死者と負傷者を止むことなく受け入れていました。集中治療室の病床は埋め尽くされ、医師たちは、一人の患者が死ぬとすぐに、次の患者が空いた病床に入るという状況が続いている、と私に話してくれました。

 私は、ガザにいた国際的に活動する何人かの人々とともに、パレスチナの衛生兵と一緒に救急車に乗り、負傷者を探して病院に運ぶ活動への参加を決めました。私たちはそうしました。イスラエルがガザへのジャーナリストの立ち入りを禁止していることをよく知っていましたし、過去には、衛生兵や救急車がイスラエル軍の標的になったこともわかっていました。

 そのような光景は乗車直後に現れました。私が乗っていた救急車がイスラエル軍の狙撃兵に狙われ、少なくとも14発の銃弾のうちの1発が車の後部に命中して、1人の衛生兵が脚を負傷しました。



 この事件が起こったのは、2009年1月7日の「人道的停戦」の時間帯のことでした。ジュネーブ条約には、「負傷者を捜索、収容、搬送、治療する医療関係者は、いかなる状況においても保護され、尊重されるべきである」と明記されています。

 その数日前、イスラエル軍の砲撃で、私の知り合いで同行していた衛生兵のアラファ・アブド・アルダイムが亡くなりました。アラファは負傷したパレスチナ人を救助中で、救急車の後部に立っていましたが、フレシェット弾を含んだ砲弾を受けたのです。フレシェット弾は、何千もの小さな金属矢を広い弧を描くように噴射するように設計されており、負傷したり死亡したりする可能性が高くなる武器です。金属矢の鋭利な頭部は離脱するように設計されており、その矢を受けた人の体の内部の損傷が大きくなります。ボランティアの21歳の衛生兵も負傷し、足を裂傷しました。

 アラファが殺害された翌日、イスラエル軍は、家族や近隣住民が弔問に集まっていたこの地域に、2分以内に3回の砲撃をおこないました。この砲撃はまたもやフレシェット弾によるもので、妊娠中の若い母親を含むさらに6人の市民が死亡し、25人が負傷しました。

 イスラエル軍の地上侵攻が始まった1月3日の夜、当時私が拠点としていたジャバリヤの東にある赤新月社の派遣所に、砲弾が危険なほど近くまで飛んできました。そのとき私はその派遣所にいました。救急車の中ではありませんでした。翌朝まで危険すぎて立ち寄れなかったのですが、攻撃が終わる前に、戻って確認すると、救急車は機関銃の弾痕だらけで、砲撃で吹き飛ばされていました。

 救急車とその医療機器は、私が見た中でも最も貧弱なもので、供給されるものもイスラエルによる長期のガザ包囲と封鎖によって枯渇していました。衛生兵たちは、でこぼこ道を素早く走り、困っている人たちのところへ行き、ほとんど時間をかけずに人々を車に乗せ、イスラエル軍の標的にされるのを避けるために、逃げるように病院に向かいました。

 イスラエル軍はガザ侵攻第3週目にテル・アル・ハワ地区に侵攻した後、クッズ病院を繰り返し爆撃し、イスラエル軍の狙撃兵らは住宅地から逃げ惑うパレスチナ人を狙いました。私は、病院から市民を避難させ、シファ病院(空きはなかったのですが)に運ぶ救急車に同乗し、パレスチナ市民を救うために何度も行き来し、そのたびにイスラエル兵らに撃たれる危険にさらされました。

 2009年の戦争が終わるまでに、イスラエル軍は23人の衛生兵を殺害し、57人を負傷させ、少なくとも9台の救急車を破壊し、16台を損壊させました。私が知っているジャーナリストや衛生兵は、私を含めて誰も防護服を持っていませんでした。でも、イスラエルが私たちに投下していた大量の爆弾を考えれば、防護服があってもなくてもほとんど違いはなかったでしょう。

 ある晩、それまで目にしてきたことについてRTのインタビューに答えた直後のことでした。そのとき私はガザ北部の非常に危険な地域を走る救急車に乗っていました。救急車を降りて、ある建物に入った時、イスラエルが少なくとも7回、その建物を砲撃しました。私たちは、10段の階段を駆け降りて、ありがたいことに無傷ですみました。ちなみに、2021年には、イスラエルの空爆によって、同じ建物と別の建物が破壊されたのですが、その時は合わせて20の報道機関がその建物に入っていました。

 2008年から2009年にかけての戦争中、そして戦後、私は、自分の子どもたちがイスラエル兵に故意に殺されたというパレスチナ人の親たちの証言を数え切れないほど集めました。至近距離から撃たれた子どもたち、停戦期間中なのにドローンによる爆撃を受けた子どもたち、狙撃兵に撃たれた子どもたち。また、シファ病院では、切断された生存者の方々に会いましたが、この人たちは、自宅が白リン弾の砲撃を受け、家族6人が殺され、その中には生きたまま焼かれた乳児もいたそうです。私はその後も、この方々の話を追いかけ、さらに冷酷な詳細を知り、爆撃で破壊されたこの方々の家もこの目で見ました。イスラエル兵が壁に残したと思われる落書きには、憎悪あふれることばや、「次はもっと痛めつけるぞ」といった脅迫のことばも書かれていました。(その閲覧注意の画像はこちら

 この2ヶ月間、イスラエルは、安全な避難場所を求める避難民パレスチナ人を収容する国連が運営する学校を含む複数の学校を繰り返し空爆してきました。イスラエルは2009年1月にも同じことを繰り返しており、今回の戦争でも被害を受けたファフーラ学校を含む多くの国連が運営する学校を空爆しました。

 この3週間のイスラエル軍の空爆、そして2012年11月のイスラエル軍の作戦(私はガザ中心部のデイル・アル・バラの病院を拠点にしていた)で私が見聞きしたことについては、残念ながら何ページでも書き足すことができますが、少しでも簡潔にするためにここで止めますが、止まらなかったのは、2009年も2012年も、停戦直後のイスラエルによる爆撃と銃撃でした。

 しかし、イスラエルによる空爆作戦と同じくらい残酷なのが、16年以上にわたるガザ包囲網です。このことについてはこれまで長年、書いてきましたが、要約すると、貧困、食糧難、栄養失調、貧血、発育不良、糖尿病、治療可能な病気が治療されないまま放置され、95%が飲めない水(すでに2014年当時からそうでした)といった問題が生じてきました。

 今年11月24日、4日間の停戦が実施されました。この停戦は、イスラエルに収監されているパレスチナ人とハマスの人質との交換を可能にするためであり、また、ガザの人口240万人が数週間にわたって奪われていた食糧、水、燃料、医療援助の配送が切実に必要とされていたためです。しかし、当然のことですが、停戦が破られ、狙撃手らがパレスチナ市民に発砲したとの報告もありました。

 ガザ保健省によれば、停戦終了後の最初の1日で、100人以上のパレスチナ人が死亡したそうです。イスラエルが、約束どおりの「最強の一撃」を加え始めたからです。そして表向きは、その対象はハマスの民兵隊だとされていました。

 この2週間でガザに加えられた恐怖の全てのことの概要をここで全て述べることは不可能ですし、その必要もないでしょう。というのも、ソーシャルメディアやテレグラム・チャンネルには、そんなおぞましい光景で埋め尽くされているのですから。避難民が暮らす学校が再び爆撃を受け、難民キャンプの全区画が爆撃を受け、何万人もの避難民が暮らす病院や教会が爆撃を受け、住宅密集地に再び白リン弾が降り注がれている様子など、枚挙にきりがありません。

 私が強調したいのは、イスラエルがガザで戦争犯罪を犯していることは、私の心の中にも、また現地の状況を直接見てきた他の多くの国際的な記者やオブザーバーたちの心の中にも間違いないひとつの答えしかない、ということです。それはイスラエルがガザで戦争犯罪をおかしているということ、そしてその意図は、現実にはそうなっていないにせよ、大虐殺を起こすことにある、ということです。

 イスラエルがジェノサイドの定義を犯すのを、私たちは世界中で見守ってきました。「国家、民族、人種、宗教などの集団の全部または一部を破壊する意図がある」。大虐殺の専門家であるラズ・シーガルさんは、イスラエルの砲撃が始まってからわずか1週間後にこう書きました。イスラエルは無数の凶行を犯してきたのですから、そう取られても当然です。

 10月下旬、国連ニューヨーク事務所の国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)のクレイグ・モヒバー前事務局長が辞任したのは、抗議と嫌悪の意をあらわすためでした。モヒバーさんはこう語りました。「再びこのような虐殺行為が私たちの目の前で展開されることになるとは。そしてそのような行為を私たちが勤めている組織は止める力を持っていないようなのです。1980年代からパレスチナの人権を調査し、1990年代には国連人権助言者としてガザに滞在し、それ以前にもそれ以降にもガザへの人権改善を目指して活動してきたのですから、私個人にとってこの問題は、とても深い問題なのです。」

 モヒバーさんは、イスラエルによる「パレスチナ人民の大規模な虐殺......イスラエル政府および軍の指導者たちによる明確な意思表明と相まって、今回の件はまさに大虐殺の事例であることに疑いの余地はありません」と明言しました。
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イスラエルによる「10月7日」侵攻の口実に使われた子どもはイスラエル軍の戦車に殺されたと、目撃者が明かす

<記事原文 寺島先生推薦>
Israeli October 7 posterchild was killed by Israeli tank, eyewitnesses reveal
筆者:マックス・ブルメンタール(Max Blumentahl)
出典:GRAYZONE 2023年11月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月9日


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キブツ・ベエリで10月7日に起きた人質立てこもり事件の目撃者が、イスラエルが12歳のリエル・ヘッツローニとその家族、そして隣人の殺害について世界を欺いていることを暴露した。

更新:エレクトロニック・インディファーダ(Electronic Intifada)のためにデービッド・シーンが翻訳したヤスミン・ポラトの証言ビデオは、この記事の後に続く。

イスラエル政府は、国際的な同情を得ようと必死で、10月7日にハマスが主導したイスラエル南部への攻撃で、12歳の少女が殺害されたことへの怒りを煽ろうとしている。

「この少女の遺体はひどく焼かれ、法医学考古学者が身元を確認するのに6週間以上かかった」と、イスラエル外務省は公式Twitter/Xアカウントで発表した。「12歳のリエル・ヘッツローニちゃんの遺体は灰と骨片だけです。彼女の思い出に祝福がありますように。」

イスラエル国連代表部の元スピーチライターで、イスラエルでトップクラスの英語ソーシャルメディア宣伝担当者であるアビバ・クロンパスは、Twitter/Xで、「テロリストは(ヘッツローニ家を)全員虐殺し、その後ビルに放火した」と主張した。

ナフタリ・ベネット前イスラエル首相は、「キブツ・ベエリのリエル・ヘッツローニがハマスの怪物によって自宅で殺害された......我々は最も公正な戦争を戦っている。このことが再び起こらないようにするために。」

リエル・ヘッツローニは、キブツ・ベエリで殺害された非戦闘員の一人である。イスラエル南部の小さなコミュニティが、捕虜交換を進めるために捕虜を探していたハマスの過激派に一時的に占領されたときのことだった。膠着状態が続く中、彼女は双子の兄、大叔母、ベエリの他の住民数人とともに即死した。

しかし、12歳のヘッツローニはハマスに殺されたのではなかった。少女の死を目撃したイスラエル人による新たな証言によれば、彼女は近隣住民数人とともにイスラエル軍の戦車砲弾によって殺されたという。

ヘッツローニが友軍射撃によって死亡したことが明らかになったのは、イスラエル紙『ハーレツ』の報道が、急速に拡散した『Grayzone』による調査を裏付けるものだったからだ。その調査は、イスラエルのヘリコプター・パイロットや治安当局者が、運命の日の間、友軍の砲撃を指示したこと明らかにした重大ニュースだった。

そのひとつは、キブツ・ベエリの警備チームのメンバーからのもので、彼はハーレツ紙に、「現場の指揮官たちは、人質とともにテロリストを排除するために、居住している家屋に砲撃を加えるなど、難しい決断を下した」と語った。

ある戦車大隊の司令官は、現場に到着したときにも同じ命令を受けたと回想しており、「私はバラク・ヒラム准将に会うためにベエリに到着したが、彼が最初に私に求めたことは、(ハマスのメンバーが避難している)民家に砲弾を撃ち込むことだった」とビデオ・インタビューで答えている。

ベエリの小さな家に重火器を使うという決断は、結果的に多くのイスラエル人の命を奪った。その中には、イスラエルのガザに対する残忍な攻撃を正当化するために、その死が攻撃の口実とされた少女も含まれている。そして初めて、この攻撃の目撃者が、殺害についてのおぞましい真実を語った。

「2発の砲弾が命中したとき、(リエルは)叫ぶのをやめた」

ヤスミン・ポラトは、10月7日にベエリでハマスの武装勢力に人質に取られたイスラエル人の一人だった。過激派が到着したとき、彼女はノヴァ電子音楽祭から逃げ出し、コミュニティに避難していた。11月15日のイスラエル国営放送『Kan News』とのインタビューで、ポラトは膠着状態の詳細を語った。それは政府の公式説明を切り崩すものだった。

イスラエル軍に包囲されていると勘違いしたハマスの武装集団は、その時イスラエル軍は実際にはあまり居なかったのに、人質を家の外に出し、イスラエル警察に電話をかけ、自分たちの退去を交渉しようとした。

「誘拐はほとんど午前中、10時、11時、12時に起きている。「(午後の)3時までには、(イスラエルの)市民は皆、軍隊はもう至る所にいると思っていた。(ハマスの武装勢力は)私たちを10回、(ガザに)連れ出して戻ることができた。しかし、彼らはそのような状況だとは思っていなかったので、警察を要請したのです」と、ポラトは言った。

イスラエルの特殊部隊がようやく現場に到着したとき、ハマスとイスラエル軍の間で「停戦」が起こり、彼女を捕まえた人は投降を決めた、とポラトは語った。自分の安全を確保するため、彼は裸になり、彼女を人間の盾にしてイスラエル兵に向かっていった。

ポラトが解放され、彼女を捕まえた人が投降した後も、39人のハマス戦闘員に警備されて、14人のイスラエル人が人質として残された、と彼女は言った。その中には双子のリエルとヤナイ・ヘッツローニ、そして大叔母で保護者のアヤラ・ヘッツローニも含まれていたという。

「私は部隊の指揮官と一緒にそこに座り、家の形、テロリストのいる場所、人質のいる場所を説明した。見てください、芝生の上に4人の人質がこのように横たわっています。芝生の上に4人の人質がいて、テラスの下に2人倒れている。そしてリビングには、このように横たわっている1人の女性と、このように横たわっているもう1人の女性がいます」とポラトは語った。

ポラトは「双子(ヤナイとリエル・ヘッツローニ)と大叔母(アヤラ)のことを(イスラエル軍司令官に)話したのですが、私は彼女らを見ていませんでした」と説明した。いいですか、私が去るとき、彼女らを私は見ていなかったが、リエルの声はずっと聞こえていたから、彼らがそこにいたことは確かです。(司令官)には、台所の近くから悲鳴が聞こえたと説明したんです。私は人質全員の居場所を説明しようとしました。」

ポラトは、10月7日のハマスの作戦を可能にしたイスラエルの諜報活動の粗雑さを強調し、兵士たちは、これほど多くの武装勢力が一つの家の中にいることも、これほど大規模な部隊が、イスラエルがガザの周囲に築いたハイテク包囲壁を突破することも信じられなかったと語った。「最初に(イスラエルの特殊部隊に)40人ほどのテロリストがいると話したとき、彼らは『そんなはずはない』『大げさに言っているんだろう』と言われました。彼らは信じませんでした! 我が軍もまだ未熟だと思いました。」

午後4時には、家の中にいた武装勢力と、通りの向かいに駐留していたイスラエルの特殊部隊との間で銃撃戦が始まった。ハマスの戦闘員を追い払うことができなかったため、イスラエル軍は午後7時半に戦車を要請した。

ポラトは、戦車が小さなコミュニティに入ってくるのを見て、パニックに陥ったと語った。 「なぜ戦車の砲弾を家の中に撃ち込むのだろう?」そして私は私のそばにいた人に「なぜ戦車の砲弾を家の中に撃ち込んでいるのですか?」と聞いた。すると彼らは、「家を浄化するために壁を壊すのだ」と説明した。

通りの向こうから、ポラトは大きな爆発音を2回聞いた。戦車が家に砲弾を数発撃ち込んだのだ。家の外に横たわっていたのは、彼女の夫のタル、もう一人同じ名前のタルという男、そしてこの家の持ち主であるアディとハダス・ダガン夫妻だった。12歳の双子のリエルとヤナイ・ヘッツローニ、そして大叔母もいた。

粉塵が晴れたとき、ハダス・ダガンだけが生きて家から出てきた。

ヤスミン・ポラトによると、ダガンは後にこう言ったという。「ヤスミン、大きな音が2回鳴ったとき、私は宙を舞ったような気がした。完全に麻痺していた。目を開けると、私のアディ(・ダガン)が死んでいるのが見えた......あなたのタルもその時点で動かなくなった」。

ダガンは、戦車の砲弾がリエル・ヘッツローニを殺したことを確認した。彼女はポラトにリエルのことを言った。「彼女は叫び声を止めなかった......しかし、2発の砲弾が命中したとき、(リエルは)叫び声を止めた。静寂が訪れたのです」。

ポラトはこう締めくくった。「非常に大規模な事件、つまり2発の砲弾で幕を閉じた銃撃戦の後、ほとんどの人が死んだのです」。

ダガンはポラトに、人質の誰もハマスの戦闘員によって故意に殺されたのではないと強調した。「処刑も何もなかった。少なくとも、彼女と一緒にいた人たちがやったのではありません。」

10月15日の別のインタビューで、ポラトはパレスチナの武装勢力は「私たちを虐待していない。彼らは私たちをとても人道的に扱いました」、と断言した。

ダガン宅でのイスラエル軍とハマス軍のにらみ合いが、流血なしに解決できたかどうかはわからない。しかし、戦車で砲撃するというイスラエルの決断が、イスラエルの国際的な反ハマス・プロパガンダ・キャンペーンの目玉となった子供を含め、家の中にいたほとんど全員を殺す結果となったことは明らかである。イスラエル人が残したものは、「死体だらけの家」だけだった、とポラトは語った。


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ウクライナ、米国の「反攻」戦略を無視(ワシントンポスト紙)

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine ignored US ‘counteroffensive’ strategy – WaPo
米政府は早期の一点集中型の前進を望んでいたと報じられたが、キエフは同意しなかった
出典:RT 2023年12月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月9日


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ファイル写真:2023年6月、ロボティノ近郊でロシア軍によって破壊されたレオパード2戦車と数台のブラッドリー戦闘車両。©テレグラム/ロシア国防省


米国と英国の将校はキエフの春夏作戦の計画を支援し、要求されたすべての車両を提供したが、ウクライナは部隊を3つの方向に分割することを決定したと、月曜日(12月4日)に掲載されたワシントン・ポスト紙の特集記事は伝えている。

同紙の十数人の記者がウクライナ、米国、EUの「30人以上の高官」にインタビューしたが、名前を明かしたのはほんの一握りだった。同紙の結論は「楽観主義に生まれた反攻は、期待された攻撃を出すことができず、ワシントンとキエフの間に摩擦と後悔を引き起こした」というものだった。

報道によると、ドイツのヴィースバーデンにある米軍基地では、8種類の仮想演習が行われ、攻撃用の「実行可能で詳細な行動計画」が開発されたという。国防総省は4月中旬に攻撃を開始し、メリトポルまで車で移動してクリミアへの「陸橋」を切断することに集中することを望んでいた。

ある当局者によると、当時統合参謀本部議長を務めていたマーク・ミリー将軍は、「夜中に喉を切られるのではないかと考えずに眠りにつくロシア人はいないはずだ」と述べ、ロシアの後方にも破壊活動グループを送り込むようウクライナ側に助言したという。

NATO軍で武装した第47旅団は新設されたばかりで、隊員の70%が戦闘経験がなかったが、その先頭に立つことになった。

何事も計画どおりには進まなかった。

ワシントン・ポスト紙によると、ワシントンとキエフは「戦略、戦術、戦闘開始時期について、ときおり激しく意見が対立した。」という。ウクライナ指導部は、メリトポリへの集中攻撃の代わりに、ベルディャンスクとバクムート/アルチョモフスクの方向への攻撃を主張した。

キエフは当初、1,000台以上の装甲車を要求したが、ロイド・オースティン米国防長官はこれを「ほぼ不可能」と考えていた。最終的に彼らは1,500台を受け取った。しかし、一部の車両は「戦闘に適さない」と批判され、キャタピラーの欠落や整備不備などがウクライナ軍の責任とされた。

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関連記事:最終局面:ウクライナは敗北後、どのような表情を見せるのか。

米国は155ミリ砲弾を自前で生産できず、韓国から調達した。F-16戦闘機の要請は、費用の問題とロシアの防空に対する脆弱性のために拒否された。

米国はまた、ウクライナの9個旅団にNATOの戦闘方法を訓練し、装備させた。ウクライナと西側の情報に基づく模擬演習では、ウクライナの旅団は60~90日でアゾフ海に到達し、最大30~40%の死傷者が出ると予測された。

米軍高官は同紙に対し、「彼らが実行した計画は、私たちが計画した予定表で、彼らが持っていた力で完全に実現可能でした。」と語った。米政府高官は「彼らは約束されたものをすべて時間どおりに手に入れていた」と述べた。

4月中旬に予定されていた攻撃は、6月上旬にようやく「動き出した」。ウクライナ軍はすぐに地雷原で身動きが取れなくなり、ロシア軍の砲兵に襲われた。

「アメリカ軍のブラッドレー、ドイツ軍のレオパード戦車、地雷掃討車など、西側軍の燃え尽きた兵器が戦場に散乱していた。死傷者の数は士気を低下させた。」と同紙は指摘した。わずか4日後、ヴァレリー・ザルジニー将軍はアメリカの教義と計画を「捨て」、小規模な歩兵攻撃に切り替えた。

同紙によると、6月15日にブリュッセルのNATO本部で行われた会合は「苛立ちを伴った重いものだった」という。9月に解雇されるウクライナのアレクセイ・レズニコフ国防相は、米国が供給した地雷除去装置の50%以上がすでに破壊されたとオースティンに伝えた。

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関連記事:ウクライナ 「悪いニュースに備える」 =NATO事務総長

西側諸国は機甲機動が突破口を開くとことに頼っていたが、それは「うまくいかなかった」とウクライナの国防高官は述べた。もう1人の高官は、作戦計画の戦争執行手法を軽蔑し、ドローンやその他の技術を考慮していないことを指摘した。

「これらの方法はすべて...捨ててもいい」とこの高官は言った。「今はそうはいかないからです」 。

NATO軍で武装した第47旅団は2日以内にロボティノ村を占領する予定だった。しかし、それは8月28日までには達成されておらず、それ以来、前線のその部分から引き離され、東のアヴデーエフカの崩れつつある防衛を補強するためにそこに急行している。

「前線に沿ったほぼすべての攻撃目標地点で、期待と結果が分かれています。」と同紙は指摘し、ウクライナの士気は「低下」し、その原因は「状況の不安定さ」にあると述べた。ある英国当局者は、キエフが1991年の国境を取り戻すという目標を達成するには、それが可能だとしても「数年と多くの血が必要だ」と述べた。
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西側、代理戦争でウクライナが敗北状況にあることを認める

<記事原文 寺島先生推薦>
West Admits Ukraine is Losing Proxy War
筆者:ブライアン・バーレティック(Brian Berletic)
出典:New Eastern Outlook(NEO)  2023年11月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月9日


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ウクライナで進行中の紛争は、キエフと欧米に有利に展開していると2年近く描かれてきた。その後ウクライナは負けているだけでなく、この事実を変えるために西側の支援者にできることはほとんど何もないことを認める話が、突然、洪水のように西側の見出しを満たし始めた。

ウクライナの着実な勝利と不屈の闘志だと言われてきたものが、今やウクライナの壊滅的な損失(と実質的領土損失)、さらには部隊の士気の着実な崩壊に取って代わっている。ロシア軍は訓練も統率も不十分で、時代遅れの武器すら十分には装備しておらず、弾薬の備蓄量も減少していると言われてきたものが、今や、ロシアの軍需産業基盤がアメリカとヨーロッパを合わせた生産量を上回る一方で、西側諸国と同等の、あるいは西側諸国の能力を完全に凌駕する兵器システムを配備していることを認める話に取って代わっている。


ウクライナの破局的な損失

ウクライナの損失は、特に5カ月に及ぶ反転攻勢の失敗の今となっては、ほとんど隠しようがない。

ロンドン・テレグラフ紙は、今年8月に掲載した記事「ウクライナの軍隊は採用する人員も、勝利するための時間も不足している」で以下のことを認めている。

ウクライナでの戦争は今や消耗戦の様相を呈しており、モスクワにますます有利な条件で戦われている。キエフはこれまで、西側諸国の装備不足に見事に対処してきたが、人手不足-すでに直面しつつある―は致命的となるかもしれない。


同記事は次のようにも述べている。

あからさまだが単純な計算だ: キエフは人手不足なのだ。米国の情報筋によれば、ウクライナ軍は7万人もの戦死者を出し、さらに10万人が負傷したという。ロシアの死傷者の方が多いとはいえ、その比率はモスクワに有利である。兵の供給は一見無限にあるように見えながら、ウクライナは兵士の補充に苦労しているからだ。


この記事は、ウクライナの軍事作戦が継続不可能であることがほぼ確実であるという暗いイメージを描いている。

ウクライナ軍の戦死者7万人という主張は過小評価であり、「ロシア軍の死傷者はもっと多い」という主張は根拠がないだけでなく、西側諸国の他の情報源でも矛盾した報道がある。

米国政府に支援されたロシアの野党関係者が管理するメディアであるメディアゾナ(Mediazona)は、2022年2月以降、ロシア兵の死に関する公開情報を追跡していると言われている。

その数字を完全に検証することはできないが、ロシア国防省の数少ない発表では、ロシアの死傷者数は、メディアゾナの主張に比較的近いものだった。これに対して、ウクライナの総参謀本部が行う漫画のような荒唐無稽な主張は、しばしば西側の政府やメディアによって何の疑問も呈さず繰り返されている。

10月下旬、Business Insiderが掲載した最新の記事「ウクライナ政府高官、残存兵士が少ないため西側兵器を適切に使用できないと報告」は、ウクライナの損失とその結果生じる人員危機が悪化の一途をたどっていることを裏付けている。
記事はこう伝えている。

あるウクライナ政府関係者は、ウクライナ軍は人手不足に悩まされており、それで西側から供与された兵器が使用できなくなっていると語った、と『タイム』誌は報じている。戦争が始まって以来、何人かのウクライナ政府関係者は、ロシアの侵攻を撃退するのが難しいのは、同盟国からの供与ペースが遅いからだと非難している。
しかし、『タイム』誌の報道では、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近とされる無名の情報筋が、別の問題を強調している。「我々には供給された兵器を使う兵士がいない」、その側近は、西側の兵器についてこう語った。ウクライナは公的な数字を公表していないが、西側の推定では10万人以上の死傷者を出している。


兵員の不可逆的な損失に加えウクライナは、5カ月にわたる集中的な攻撃作戦にもかかわらず、また、ロシア軍指導部がロシアの目標はウクライナの軍隊を排除することであり、領土を奪うことではないと繰り返し述べているにもかかわらず、領土も失っている。

ニューヨーク・タイムズ紙は9月の記事「ウクライナで地歩を固めているのは誰か?今年はだれもいない」で以下のように述べている。

ウクライナの反転攻勢は、南部の広々とした野原を前進するのに苦労している。ロシアが昨冬、ウクライナの車両を減速させ、標的にされやすい位置に追い込むために築いた、広範囲に及ぶ地雷原と、何百マイルにも及ぶ要塞(塹壕、対戦車溝、コンクリート製の障害物)にウクライナ軍は直面しているのだ。両陣営の戦利を合計すると、ロシアがウクライナで支配している領土は、今年の初めと比べて200平方マイル近く増えたことになる。


ウクライナは、人員の急減と領土の実質的損失に加え、装備品の損失にも苦しんでいる。西側の軍需産業がこれらの損失を補うことができないという事実が、資材の損失をさらに大きくしている。


軍需産業生産:西側は枯渇、ロシアは拡大

昨年、西側の政治家や西側のメディアは、西側の優れた軍備が、時代遅れと思われ、その数も減少しているロシアの兵器システムを簡単に一掃するだろうという考えを宣伝した。今年6月上旬にロンドン・テレグラフ紙が掲載したひとつ記事のタイトルは、「英国製戦車がプーチンの徴兵された兵士を一掃しようとしている」であった。

これほど事実からかけ離れたものはない。

それどころか、ロシアの軍事装備は、西側の兵器システムより優れているとは言わないまでも、その能力が証明されており、ロシアの巨大な軍需産業基盤とともに、西側が訓練し装備したウクライナ軍を数でも戦闘能力でも勝っている。

このことは、ニューヨーク・タイムズ紙が9月に報じた記事「ロシア、制裁を乗り越えてミサイル生産を拡大、政府関係者が語る」でも認められている。

ロシアは現在、アメリカやヨーロッパよりも多くの弾薬を生産している。エス トニア国防省の高官であるクスティ・サルム(Kusti Salm)は、ロシアの現在の弾薬生産量は西側諸国の7倍に上ると推定している。


この記事は、ロシアが戦車生産を倍増させ、ミサイル生産を増加させ、少なくとも年間200万発もの砲弾を生産していることを認めている。これは欧米が現在生産している量を上回っている。これは、もし欧米が2025年から2027年にかけての増産目標を達成した時の生産量を上回る量だ。

エコノミスト誌が最近掲載した「ロシアは電子戦における優位性を数え上げ始めている」と題する記事では、ロシアが「NATOの高度にネットワーク化されたシステムに対抗するための、広範囲にわたるEW(電子戦)の素晴らしい能力を開発した」と認めている。ロシアのEW能力が、GPS誘導エクスカリバー155mm砲弾やJDAM誘導爆弾、HIMARS発射GPS誘導ロケットなど、NATOがウクライナに提供した精密誘導兵器をいかに無力化したかを説明している。

この記事はまた、ロシアのEW能力がウクライナの無人機(週ごとに数千の無人機が失われている)に与える影響についても論じている。ロシアのEW能力は、ウクライナが戦場で誘導兵器やドローンを使用する能力を混乱させるが、ロシアはウクライナの少なくとも2倍のドローンを生産することができ、ロシアに量的・質的優位性を与えていることを同記事は認めている。

ウクライナにNATOが提供するF-16戦闘機を装備するという話には誇大広告が多いが、より冷静な西側のアナリストたちは、ロシアの広大で成長しつつある航空宇宙戦力と優れた統合防空システムとの間にあって、NATOが提供するF-16は、ウクライナが特別軍事作戦の期間中に保有し、失ったソ連時代の航空機よりも良い結果をもたらすことはないだろう、と徐々に認めている。

ウクライナに何年も送られた「ゲームチェンジャー」たちは、ロシアの軍事力を上回ることはおろか、それに匹敵することもできないと証明されただけで、実際にゲームは変更されたことが明らかになった―ロシアにとって有利になるように。つまり、ロシアの膨大な軍事産業生産、安価で効果的な兵器システムに基づいた軍事原則、そして最も重要なことは、同等またはそれに近い敵対国と戦い勝利するために構築された軍事原則が有利になるようにゲームは変わったのである。

これは、何十年もの間、世界中の発展途上国や破綻国家を不釣り合いな軍事力で押し倒すために軍備を整えてきた西側諸国とは対照的で、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争に「勝利」するために米国とその同盟国が何年も前から整えておく必要があったはずの技術的、産業的、戦略的能力を、彼らは萎縮させていたのだ。

戦場における質と量の面でロシアが優位に立っていることを認めるに至った上での「解決策」は、「生産量を増やし」、ロシアの能力に関する「データを収集」して、「それに対する対抗策を開発する」ことである。しかし、こんなことは結果を得るまでに何年もかかる。その間にもロシアはこの質的・量的優位を維持するために能力を拡大し続ける。

そして、このプロセスが展開され続ける一方で、アメリカはロシアよりもさらに大きな産業基盤を持つ中国との同様の対立を同時に模索し続ける。

西側メディアが最近、ロシアの実際の軍事力について認めているように、ワシントンとブリュッセルの長年にわたるロシア国境侵犯政策によってロシアとの紛争を引き起こすずっと前に、ロシアとの実際の軍事力が示されていれば、どれだけの命が救われたことだろう。同じように、もし西側諸国が、中国を侵略し挑発しようとして引き起こされている無意味な紛争で再び過ちを繰り返す前に、現在の過ちから学べば、まだどれだけの命が救われるのだろうか。


ブライアン・バーレティックはバンコクを拠点とする地政学研究者で、特にオンラインマガジン「New Eastern Outlook」の筆者である。
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ウクライナ、子どもたちを戦場に送る

<記事原文 寺島先生推薦>
Video: Kiev Sends Children to the Battlefield
既にウクライナの17歳の少年たちが前線で死亡。最初の犠牲者は孤児たちだった。
筆者:サウス・フロント(South Front)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年12月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月8日





 街頭で新たな兵士を探す軍事委員会の努力にもかかわらず、ウクライナでの動員活動は失敗に終わった。ウクライナ軍は人員不足に苦しんでいる。動員数はもはや前線での損失を補填できていない。

 ウクライナの塹壕にいる女性の数はすでに減少しているが、ウクライナ当局は子どもたちを戦場に送り込んでいる。

 ロシア対外情報庁の長官はすでに、英国政府と米国政府がウクライナ当局に徴兵年齢を17歳に引き下げ、70歳に引き上げるよう『勧告』した、と警告している。

 ウクライナ側はすでに西側からの命令に従って法律を改正している。

 兵役年齢を70歳まで引き上げる法律案は、すでにウクライナ議会に登録されている。

 5月には徴兵年齢が25歳に引き下げられたが、西側の利益のために戦い続けるには十分ではなかった。

 ウクライナの新国防大臣は、兵役年齢のさらなる引き下げを提案した。教育機関は16歳以上の生徒の名簿を転送する義務を負った。



 純朴なウクライナ人は、10代の若者が前線に招集されることなく、後方でより安全な仕事に従事することを望んでいる。しかし、NATOの後援者たちが「忠告」したように、17歳のウクライナの少年たちはすでに前線で命を落としている。最初の犠牲者たちは孤児だった。

 ウクライナ西部では、すでに未成年者の戦闘予備役が編成されており、孤児たちは教育キャンプ「ハイダマツカヤ・シチ」に集められ、軍事訓練を受けている。未成年の徴集兵はその後、第103領土防衛旅団に送られる。この部隊はリヴィウ地方で結成された。

 当初は、ハリコフ地方の後方地域にいる未成年の兵士が参加するはずだったが、司令官は彼らを前線に送り込み、「子ども分遣隊」は突撃部隊として使われた。

 その結果、犠牲者が出るのに時間はかからなかった。ルガンスク人民共和国のノヴォセロフスコエ村で死亡した17歳の孤児ウラジーミル・サチャルは、公式に確認された最初の犠牲者となった。

 一方、ロシアの捕虜となっているウクライナの10代の若者の数は急増している。若い捕虜の一人は、自分は大学から前線に連れて行かれたのだ、と語った。父親は動員を避けて森に隠れ、母親はより良い生活を求めてポーランドに行ったそうだ。まともな訓練も施されないまま、激戦地の突撃戦に駆り出され、そこでロシア軍に捕らえられたため、幸いにも彼の命は助かった。

 ドイツが1944年に子どもたちで構成される「ヒトラー・ユーゲント」分遣隊を創設したように、ウクライナもすでに若者を死の道に送り込んでいる。

 キエフ政権は自国民の将来など心配していない。外国の資金援助者に言われるとおりの任務として、ウクライナの土地を空にすることで、「繁栄する西側」の餌食に、自国をおいやろうとしている。
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環境にこだわれば破産する: 「クリーン・エネルギー」は経済学の基礎テストで不合格

<記事原文 寺島先生推薦>
Go green, go broke: ‘Clean energy’ fails a basic economics test
クリーン・エネルギー関連業社の株価が急落しているのは、再生可能エネルギー計画にかかる費用が高すぎることが判明し、環境に対する米国の情熱が脅かされているなかでのことだ。
筆者:Russian Market。
チューリヒを拠点とする金融ブロガー、スイス人ジャーナリスト、政治評論家によるプロジェクト名。 X @runewsでフォローしてください。
出典:RT  2023年11月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月6日





 かつて栄華を誇ったクリーン・エネルギー関連業社の株価は現在、最悪の状況に直面しており、業界は財政危機の底に陥り、米国の環境への野心的な願望が脅かされている。大々的に宣伝されている緑の革命に赤信号がともっているように映っているのは、この分野が数百億ドルの市場価値を大流出させているためだ。

 確かに、私たちが聞かされる話によると、株式市場がこれらの事業に対して大々的に「遠慮しておきます」と宣言しているように見えるにもかかわらず、依然として数千億ドルが再生可能エネルギー市場に投資されているようだ。この業界の申し子であるiシェアーズ・グローバル・クリーン・エネルギーETF(上場投資信託)は、今年30%以上急落し、2021年初頭から比べると、なんと50%も急落した。

 それに負けず劣らず、特定の分野も相応の懲罰を受けている。インベスコ・ソーラーETFは2023年に40%以上下落し、ファースト・トラスト・グローバル風力エネルギーETFは今年約20%、2021年1月と比べると40%という厳しい損失を記録している。まるで帆に当たっていた風がはぎ取られたようなものだ。
 
 この業界の新たな宿敵である金利上昇をその原因にしていいだろう。こうした金利の上昇は費用を増加させるだけでなく、消費者の熱意を弱めることにもなっている。それに伴い、かつては緑の理想郷を約束していたが、現在は利益を上げるのに苦戦している企業の株価の急落が生じている。


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 ソーラー・エッジ社やエンフェーズ・エナジー社などの太陽光発電会社は、自社製品の需要が減少するにつれ、文字どおり「焼け付いて」いる。一方、風力エネルギー業界大手オルステッド社は、米国の洋上風力発電計画において数十億ドル規模の評価損を計上する可能性があることが明らかになり、株価が急落するという、ブルースが流れるかのごとく厳しい状況に追いやられている。

 ドイツでは、ノルド・ストリームの破壊行為の後、ご存じのとおり、エネルギー地政学と単純な計画は常に密接に関連しているため、なんと77%もの懐疑論者が首を振り、2030年までにドイツが電力の80%を再生エネルギー源から賄えるという魔法のような計画は考えられない、と答えた。エネルギーならぬ懐疑論を太陽光発電に変えるというグリーンな考え方は、まだ主流にはなっていないようだ。

 脱原発推進の代表格であるスイスは、現在、「緑の筋肉」を見せびらかすために、原発の稼働期間を延長するという考えを維持するという矛盾を見せている。誰が明確な出口戦略を必要とするだろうか? 2040年まで原子力容認を続ければすむだけなのに。

 バイデンが追い求める「緑の夢」は、太陽を浴びて、お気に入りのアイスクリームよりも溶けるのが速い

 米国では、ニュージャージー州の風力発電プロジェクト2件の破たんは氷山の一角に過ぎず、インフレ、高金利、供給網の混乱が、ジョー(バイデン)の気候変動への野望の歯車を狂わせている。バイデンの気候変動法から3690億ドル(約54兆)という途方もない額の連邦支援があるにもかかわらず、クリーン・エネルギー・計画は大量に減少している。フォード社によるケンタッキー州のEVバッテリー工場の建設延期や、ゼネラルモーターズ社によるEV計画の縮小などの取り組みでも、経済界に吹く大嵐を逃れることはできなかった。クリーン・エネルギー革命への期待よりも早く上昇しているのは、費用面だけのようだ。 しかしまあ、壮大な気候変動目標があれば、手頃な価格で信頼できるエネルギーなど必要ないだろう? バイデンの環境保護計画には冷ややかな現実が突きつけられつつあり、暑さを感じているのは極地の氷冠だけではない。


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 皮肉なものだ。少し前まで、クリーン・エネルギーは地球の救世主としてもてはやされていたが、今やグリーン・アジェンダは赤字の海に溺れているようだ。かつて輝けるスターだったS&Pグローバル・エネルギー・インデックス社は、2020年以降その価値が半減している。まさに華麗なる転落だ。

 現在に至っては、グリーン株は大打撃を受けている。EUと米国政府が、ロシアの石油とガスからのいわゆるグリーンなエネルギーへの移行を支援するために、何十億もの税控除と補助金を提供しているにもかかわらず、投資家が自信をなくす速度ははやく、「再生不可能」だ。

 S&Pグローバル・クリーン・エネルギー・インデックス社は、2023年に30%もの大暴落を経験し、四半期規模で最大の14億ドル(約20兆円)の資金流出を記録した。かつて活況を呈していたこの分野の運用資産総額は現在23%減少しており、ほんの数ヶ月前の全盛期とは大違いだ。

 現在の経済状況に原因がある、具体的には高金利、高騰する費用、供給網の問題がこのメロドラマの悪役なのだ、と言われている。さらには、中国も忘れてはならない悪役のひとりだ。中国は、ソーラー関連供給網をうまく操り、安価な代替品で市場を氾濫させ、地域でグリーン市場を回そうというEUの夢を台無しにしているからだ。

 公益事業関連株がグリーンエネルギーへの転換に苦戦するなか、同分野の営業利益率は圧迫されている。

 棺桶に最後の釘を打つ気なのだろうか? ネクステラ・エナジー・パートナーズ社は成長目標を半減させ、再生可能エネルギー業界に衝撃を与えた。私はこの売りを大げさなものだと考えているが、その痛手は大きく、再生可能エネルギーへの信頼はどん底に落ちている。


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 では、このグリーン話の教訓は何だろうか? 結局のところ、グリーン化とは単に地球を救うことではなく、お金がかかることなのだ、ということだろう。再生可能エネルギー関連銘柄の株価が底を打つ中、分析家たちが首を捻っているのは、「今が買い時なのか、それともグリーン・ドリームは本当に終わったのか?」という点だ。

 皮肉な展開だが、グレタ・トゥンバーグは現在、ガザ支持を表明したことで批判にさらされている。我々の気候聖戦士がいまや、キャンセル・カルチャーの大きな矛先にされているのだ。さらには、グレタがすぐに削除したツイートも、批判を浴びている。そのツイートは、ハルマゲドンを予言し、2023年という壮大な期限までに化石燃料の使用を止めない限り、気候変動は「人類を絶滅させる」かもしれないと警告するものだった。この皮肉な状況は北京のスモッグよりも濃い。

 緑の戦士でも市場の容赦ない現実から逃れることはできないようだ。
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WSJ(ウォールストリートジャーナル紙)でさえ伝える欧州各国が恐れるウクライナ軍の惨状

<記事原文 寺島先生推薦>
EU officials fear Ukrainian military collapse – WSJ
報道によると、その懸念は、反転攻勢におけるウクライ側の大きな損失に起因する、という
出典:RT   2023年11月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12日6日



前線に立つウクライナ兵。© Mustafa Ciftci / Anadolu Agency via Getty Images


 EU当局者らは、ロシアとの紛争におけるウクライナの立場がこの冬に「崩れる」可能性があると懸念している、とウォール・ストリート・ジャーナルが月曜日(11月27日)に報じた。

 記事によると、この懸念は、6月初旬に開始された反転攻勢でウクライナ軍が被った多大な損害と、「汚職にまみれ」で「機能不全に陥った」徴兵制度に起因する、という。

 2022年2月にウクライナとの紛争が激化して以来、西側諸国は軍事援助を送ることでウクライナ政府を積極的に支援している。紛争が激化してから1カ月後、NATO加盟諸国は共同声明を発表し、「大規模な制裁と多大な政治的不利益がロシアに課せられた…ロシアに対する国際的かつ協調的な圧力を維持する我々の決意は変わらない」と述べた。

 9月下旬、ジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表は、EUは「必要な限りウクライナを支持する」と述べた。


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 しかし、11月中旬、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は、西側諸国からの援助物資が「減少した」と不満を述べた。ゼレンスキー大統領は先週、FOXニュースとのインタビューで、反転攻勢が計画どおりに進まなかったことを認めた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道は、ウクライナ軍の補充要員の多くは「40代の男性で、ほとんど訓練を受けずに塹壕に送り込まれることが多い」と指摘した。

 金曜日(11月24日)、国防・国家安全保障・情報に関する議会委員会のロマン・コステンコ書記はウクライナのラジオNVに対し、「現在、動員に問題があることは誰もが知っており、動員は失敗したと言えるだろう」と語り、状況が変わらなければ「非常に大きな問題」が起こるだろう、とも述べた。

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 今月初め、BBCは、内戦開始時に発令された戒厳令中の出国禁止にもかかわらず、徴兵対象となる約2万人の男性がウクライナから逃亡した、と報じた。さらに2万1000人が逃亡を図ったが当局に捕まった、という。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣によると、10月下旬の時点で、ウクライナは反撃開始以来9万人以上の死傷者を出した、とのことだ。先週の火曜日(11月21日)、ショイグ国防大臣はウクライナ軍が11月だけでさらに1万3700人以上の兵力を失ったことを示す新たな数字を発表した。
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ウクライナ「最大武器商人」が2014年のマイダン大虐殺を仕組んだ、という目撃者の証言

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine’s ‘biggest arms supplier’ orchestrated 2014 Maidan massacre, witnesses say
筆者:キット・クラレンバーグ(Kit Klarenberg)
出典:The Gray Zone   2023年9月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月6日





 かつてゼレンスキーに「犯罪者」と糾弾された銃の運び屋セルヒイ・パシンスキーは、ウクライナへの武器供給で最大の民間業者となった。目撃者の証言によれば、パシンスキーは2014年のマイダン・クーデターを引き起こし、国を内戦に陥れた血なまぐさい偽旗作戦の立案者である、という。

 元議員のセルヒイ・パシンスキーは、キエフでトップの私的武器密売人として頭角を現す数年前、2014年に米国が支援したクーデターで重要な役割を果たし、民主的に選出されたウクライナの大統領を失脚させ、壊滅的な内戦の舞台を整えた。この悪名高い腐敗した元ウクライナ国会議員は、つい最近の2019年、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領によって「犯罪者」として非難されたが、ニューヨーク・タイムズ紙による長文の暴露記事によって、パシンスキーは現在、ウクライナ政府の「最大の民間武器供給者」であることが明らかになった。

 おそらく予想できたことだが、この記事が触れなかったのは、パシンスキーは、2014年にキエフのマイダン広場で70人の反政府デモ隊が虐殺された事件に関わっていたことに関する証拠だった。この事件は、親欧米勢力が当時のヤヌコビッチ大統領に対するクーデターを完遂するために利用したものだ。

 8月12日付のニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナの新たな武器調達戦略について、「絶望的状況」のせいで、ウクライナ当局はますます非道徳的な戦術を採用するしかなかった、と主張している。その報道によると、このような移行措置により、武器の輸入価格は指数関数的な割合で上昇し、パニンスキーのような非良心的な投資家らの利益にとって、「幾層にも重なる儲け口」を提供することになった、という。

 ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、その手口は単純だ、という。パシンスキーが、「手榴弾、砲弾、ロケット弾を仲介業者のヨーロッパ横断経路を通じて売買」し、「それを売ってはまた買い、また売る」というのだ。

 「取引のたびに価格は上昇し、パシンスキー氏の仲間たちが手にする利益も上昇する。その最終購買者がウクライナ軍であり、そのウクライナ軍が最も高額のお金を支払うことになる」とタイムズ紙は報じ、多くの仲介業者を挟むことは法的に問題のないやり方かもしれないが、「このやり方は、利益を膨らませるために昔からよく使われてきた方法だ」とも付け加えた。

 レイセオン社やノースロップ・グラマン社のような兵器製造業者にとって、欧米の納税者から無限に供給されるように見える現金で大儲けしているのと同様に、パシンスキーのような戦争で儲ける人々にも利益がもたらされている。パシンスキーの会社であるウクライナ・アームド・テクノロジー社は、「昨年は過去最高である3億5000万ドル(約510億円)以上の売上を計上した」という。これは、戦争の前年の売上の280万ドル(約4億円)から12500%という激上がりだ。

 戦時下のウクライナで腐敗防止措置が撤廃され、利益を得ているのはパシンスキーだけではない。ニューヨーク・タイムズ紙の調査によれば、以前「軍から金をむしり取った」ために公式ブラックリストに掲載されたいくつかの供給業者が、現在は再び自由に販売できるようになっている、という。同紙はこのような現状を、残念ではあるが究極的には必要な措置だ、と軽く捉えている。

 最前線に武器を運ぶという名目で、指導者たちはウクライナの荒れた過去の人物を復活させ、元の職に戻したが、これは、これまで長年の汚職防止(原文ママ)政策のなかでの一時的な措置に過ぎない」とタイムズ紙は報じ、「パシンスキー氏のような人物を再起用した理由」のひとつには、「米・英政府が、ただ単にお金を渡すのではなく、ウクライナのために弾薬を購入することにある」とした。さらに、「欧州各国政府や米国政府が、パシンスキー氏のことを話したがらないのは、ロシア政府が流している、『ウクライナ政府は絶望的に腐敗しているので、政権交代させなければならない』という言説に乗ってしまうことを恐れてのことだ」とも報じた。

 しかし、一見批判的に見えるニューヨーク・タイムズ紙の報道でさえ、パシンスキーの不名誉な経歴の重要な側面を見落としているようだ。この報道から明らかに省かれていたのは、2014年2月下旬、キエフのマイダン広場で反政府活動家と警察官を虐殺した悪名高い事件の実行犯においてパシンスキーが果たしていた役割についての説明だった。

 米国が仕掛けた、選挙で選ばれたウクライナ政府の転覆事件における決定的瞬間は、謎の狙撃者らの手により70人が殺害され、世界中からの激しい怒りが雪崩のように生じたことが、ビクトル・ヤヌコーヴィチの追放に直接つながったときだった。こんにちでさえ、この殺害事件は未解決のままだ。

 しかし、偽旗攻撃の実行を手伝ったと主張する人物による直接の証言は、キエフで最も多量の銃を所持するこの人物が、この悲惨な事件に深く関与していたことを示唆している。

マイダン虐殺の組織者は囚人にならない

 2017年11月、イタリアの『マトリックス』というTVチャンネルが、マムカ・マムラシヴィリに抗議者の殺害を命じられたというグルジア人3人の目撃証言を報じた。その後、グルジアのミハエル・サアカシュヴィリ大統領の最高軍事補佐官だったマムラシヴィリは、後にグルジア軍団として知られる悪名高い傭兵旅団を創設し、その戦闘員たちは2022年4月、丸腰で拘束されたロシア兵を嬉々として処刑するぞっとするような動画を公開した後、広く非難された。

 ドキュメンタリー『ウクライナ:隠された真実』では、イタリア人ジャーナリストが、クーデターを指揮するために送り込まれたとされる3人のグルジア人戦闘員にインタビューしている。全員が、パシンスキーはマイダンの虐殺の主要な組織者であり実行者であったと述べ、この悪徳武器商人が武器を提供し、特定の標的を選んだとさえ主張している。また、このドキュメンタリーでは、ライフルと望遠鏡を持った銃撃犯らがデモ隊に捕まり、取り囲まれた後、パシンスキーが自ら広場から銃撃犯を避難させる映像も紹介された。

 グルジア人戦闘員の一人は、パシンスキーとその仲間2人が1月にキエフに到着したときのことを振り返り、その目的は、「警察が群衆に突撃するような挑発を仕組むため」だったと述べた。しかし、ほぼ1カ月間、「周囲には武器があまりなく」、「火炎瓶、盾、棒が最大限に使われていた」そうだ。

 これらの戦闘員らの話によると、この状況が変わったのは2月半ばのことで、マムラシヴィリが、ブライアン・クリストファー・ボイエンジャーという名の米兵を伴い、個人的にこれらの戦闘員のもとを訪れた時だった、という。第101空挺師団に所属していた元将校で狙撃手だったこの米兵が、「従わなければならない」命令を自ら下したそうだ。


イタリアの『マトリックス』チャンネルによるドキュメンタリーには、2014年のウクライナのマイダン大虐殺に米国人軍事教官が関与しているという目撃証言が含まれている。

 これらの戦闘員らによると、その後、パシンスキーは狙撃銃と弾薬とともに、マイダン広場を見下ろす建物に彼らを移動させた。という。このとき、マムアラシヴィリは、「混乱を引き起こすために、銃を撃ち始める必要がある」と主張した、という。

 つまり、これらのグルジア戦闘員たちこそが、階下の群衆に向かって、「一度に2、3発撃ち始めた」犯人だったのだ。そしてそれは、「何があっても、ベルクト(特殊警察)と警官、さらには抗議活動者ら。撃て」という命令が、降りていたからだった。殺戮行為が終わるやいなや、ボイエンジャーはドンバス前線に移動し、グルジア軍団の隊列に加わって戦った。この軍団はいまに至ってもマムアラシヴィリが指揮している軍団だ。

 一方、マイダン後にウクライナ検察総局の市民評議会を率いたウクライナのジャーナリスト、ヴォロディミル・ボイコの主張によれば、自身の役割を曖昧にするために、パシンスキーが虐殺事件の公式捜査を指揮する人物を自ら指名し、その責任者である検察官に賄賂を贈ることさえした、という。

 こうした衝撃的な主張にもかかわらず、マイダンの虐殺へのパシンスキーの関与は、処罰されることはおろか、公式に調査されたこともなく、ウクライナの司法制度に関するパシンスキーの直近の件案からも、キエフの当局者によって厳しく調査されることはなさそうだ。その件案とは、ウクライナの国会であるヴェルホヴナ・ラーダの議員だったとき、パシンスキーは交通関連の紛争で歩行者を射撃し負傷させた容疑で逮捕されたが、最終的に2021年に無罪となった件だ。

 イスラエルの複数のジャーナリストがマイダンの大虐殺における彼の役割についてパシンスキーに問いただしたとき、この武器商人は、これらのジャーナリストはイスラエルで追跡され、パシンスキーの仲間により「引き裂かれることになるだろう」と警告した。これがただの脅しでないと考えない限り、これらのジャーナリストたちが許されることはないだろう。パシンスキーの論敵が路上で悪意を持って殴られたり射殺されたりすることがあれば、それは厄介な傾向である。
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米国がガザでのこの戦争を必要としている理由とは?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why the US needs this war in Gaza
米国政府がガザでのこの戦争でイランに勝たねばならぬのは、ウクライナでロシアに勝てなかったからだ
筆者:ぺぺ・エスコバル
出典:The Cradle  2023年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月5日





 グローバル・サウスは、新たなアラブの真実の夜明けを期待していた。

 結局のところ、アラブ社会は、たとえ自国で抑圧を受けていたとしても、ガザ地区におけるイスラエルによる大規模な虐殺に対するやるせない怒りで、抗議したい気持ちでいっぱいなのだ。

 アラブの指導者たちはイスラエルとの外交関係を一時停止する以上の措置をとらざるをえなくなり、イスラム協力機構(OIC)の特別首脳会談の開催を求め、現在進行中のイスラエルによるパレスチナの子どもたちに対する戦争について話し合うことになった。

 57カ国のイスラム教国家の代表らが、11月11日、リヤドに集まり、この大虐殺の実行者やその虐殺を可能にしている支援国に対して、決定的かつ実用的な打撃を与えた。しかし最終的には、何の提案もなされず、癒やしさえも提供できなかった。

 OICによる最終報告は「臆病者の金ピカ城」にずっと祀られることになるような代物だった。安物の口先だけの見世物の見せ場は以下のとおり。「イスラエルの『自衛行為』には反対する。ガザに対する攻撃を厳しく非難する。イスラエルに武器を売らないことを依頼する(え、誰に?)。イカサマ師のようなICC(国際刑事裁判所)に戦争犯罪を『捜査』するよう求める。イスラエルを非難する国連決議を求める」だ。

 言っておくが、この21世紀の大虐殺に対して、イスラム教徒が多数を占める57カ国が打ち出した最善策がこれだ。

 たとえ勝者により記された歴史であっても、歴史は、臆病者を許さない、という傾向がある。

 今回の臆病者代表四人衆は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦、バーレーンとモロッコだ。後者3カ国は、米国の手引きにより、2020年にイスラエルとの関係を正常化していた。これらの国々こそ、OICの首脳会談で、厳しい措置の採択を常に妨害してきた国々だ。例えばアルジェリアは、その措置として、イスラエルへの石油供給を止め、加えてアラブ諸国の飛行場を使った、この占領国への武器の輸送を禁じる措置を提案していた。

 長年米帝国に従属してきたエジプトとヨルダンも、見て見ぬふりだったし、内戦の真っ只中のスーダンもだ。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン皇帝も、再び「口だけで動かない」姿を見せた。この新オスマン皇帝は、カーボーイの帽子だけ被って、牛の扱いもできないテキサスっ子になったようだ。

BRICSかIMEC(インド・中東回廊)か?

 この代表四人衆に、もう少し吟味を加えよう。バーレーンは、米国の基地を有する帝国の下っ端従属国だ。モロッコはイスラエル政府と緊密な関係を持っている。イスラエルが西サハラ問題に関して、モロッコの主権を認めたとき、モロッコは簡単にイスラエルの手に落ちたのだ。さらにモロッコは、観光業に大きく依存しているが、その主な顧客は西側連合だ。

 続いて2匹の大型犬、サウジアラビアとアラブ首長国連邦に目を向けよう。両国とも、米国の兵器でがんじがらめにされていて、バーレーン同様、米軍基地を有している。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)王子と彼の昔からの仲間であるアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザーイド (MbZ)王子は、王としての支配力をカラー革命を起こしてズタズタにする、と帝国に脅され、帝国に言われたことからかけ離れた行為をしすぎないよう自重している。

 しかし2024年1月1日からの数週間で、ロシア主導のもと、サウジアラビアもアラブ首長国連邦も、それぞれの限界を拡げることになる。そう、BRICS 11に正式加盟するのだ。

 サウジアラビアとアラブ首長国連邦が拡大されたBRICSの加盟を認めた唯一の理由は、露中の戦略的友好関係による地政学上及び地経学上の慎重な計算があったからだ。

 露中両国と戦略的友好関係を築いているイランとともに、サウジアラビアもアラブ首長国連邦もBRICS圏内のエネルギー面での影響力を強化する役目を果たす重要な国になり、脱ドルの動きにさらなる拍車がかかることが期待されている。そして脱ドルの最終目標は、ペトロ・ダラーの迂回だ。

 ただし同時に気をつけるべきことは、サウジアラビアもアラブ首長国連邦も、1963年に立てられたある計画からも大きな利益を得られる、という点だ。その計画とは、別に秘密にされているわけではない、ベン・グリオン運河建設計画のことだ。この運河は、アカバ湾から東地中海を結ぶもので、その到着点は、なんという偶然か、現在激しい攻撃が加えられている北ガザ地区の近くになる。

 この運河ができれば、イスラエルはエネルギー輸送上の重要な中継地点となり、エジプトのスエズ運河の代替となる。そうなれば、イスラエルが果たすべき役割は、経済回廊を巡る戦争の最新章の事実上重要な中継ぎとなることになる。その回廊とは、米国発案の「インド・中東回廊(IMEC)」だ。

 IMECとは、かなりひねくれた略語だ。というのも、この素敵な名前の回廊の裏に潜む論理というのは、国際法破りのイスラエルを、ヨーロッパ、アラブ世界の一部、そしてインドを結ぶ重要な貿易中継地点、さらにはエネルギー供給源として位置づけることにあるからである。

 それは、9月にイスラエルのネタニヤフ首相が国連で見せた茶番劇の背後にある論理でもあった。同首相は「国際社会」全体に、パレスチナが完全に消去された「新しい中東」の地図をちらつかせたのだ。

 上記のすべては、IMECとベングリオン運河が建設されることを前提としている。だがこんなことは、現実的な標準からすれば当たり前のことではない。

 OICでの投票に話を戻すと、米国の手先であるエジプトとヨルダン(それぞれイスラエルの西と東の国境に位置する2カ国)は、最も厳しい立場に立たされた。占領国イスラエルは、約450万人のパレスチナ人を永久に自国の国境外に追いやりたがっていた。しかし、エジプト政府やヨルダン政府もまた、米国からの武器に溢れ、これらのパレスチナ人を引き受ければ財政的に破綻するし、容認されない程度までに親パレスチナの方向に傾けば課されるであろう米国の制裁に耐えることはできないだろう。

 結局のところ、自国の国益を考えるという非常に狭く、現実的な方向に進み、正義よりも屈辱を選ぶイスラム諸国が多くなりすぎてしまった、ということだ。

 地政学は情け容赦ない。各国の資源と市場が全てなのだ。片方がなければ、もう片方が必要で、両方ともなければ、米国という覇権国家が、何を持てばいいかを命じるのだ。

 アラブ界隈やイスラム教徒界隈、さらにはグローバル・マジョリティ(世界情勢の大多数)がガッカリしているのも当然だ。これらアラブ諸国の「指導者たち」が、迫り来る多極化世界において、イスラム世界を真に力を持つ一極にする心づもりを見せないのだから。

 それ以外のことは起こりえない。主要アラブ諸国の多くは、自国の主権を失ってしまったのだ。みな身動きできなくされて、従属国的な考え方にとらわれてしまっている。この先迫り来る歴史の転換点に対する心づもりができていないのだ。悲しいことに、これらの国々は、いまだに、自身の「屈辱の世紀」から抜け出せずにいる。

 屈辱的な一撃を喰らわしたのは、他でもないイスラエル政府の狂信的な大虐殺欲によるものだった。イスラエルは、すべてのアラブ諸国に対して、黙らなければ何をするか分からない、と脅したのだ。その脅しは、もう既に実行されているのだ。

 もちろん、主要アラブ諸国の中にも、勇敢な心を持った国々は存在する。イラン、シリア、パレスチナ、イラク、レバノン、イエメンだ。これらの国々はまったく主流派ではないが、これらの抵抗勢力ほど、アラブ界隈の人々の感情を忠実に再現している勢力はない。日に日にイスラエルによる攻撃が激しさを増すなか、これらの抵抗勢力の宗教上の影響力や世界的な影響力は計り知れないほど、増大しつつある。そう、米帝国による他の地域でのすべての戦争に対する反応とまったく同じことが起こっているのだ

ゆりかごの中で息吹を上げつつある新世紀の到来を封じること

 ウクライナ作戦の壊滅的な失敗と手に余る西アジアでの戦争の再来は深く繋がりあっている。

 米国政府が見せる、イスラエルによる大虐殺という凶行に対する見せかけの「心配」という煙の裏にある残酷な事実は、我々はいま、BRICS11との戦争の真っ只中にある、という事実だ。

 米帝国は何ら戦略を講じていない。やっていることといえば、せいぜい戦略的事業計画を思いつきで繰り出している程度だ。現在取り掛かっているその場しのぎ的な対策は2つ。①東地中海への米軍の配置。ただしこれは、抵抗勢力の二大枢軸であるイランとヒズボラを脅迫することにはなっていない無駄な努力だ、②アルゼンチンの大統領選でミレイ候補が勝つ可能性があり、同候補が掲げているブラジル・アルゼンチン間の関係断絶という公約をしていること、だ。

 つまりこの2つは、BRICS11に対する2つの同時戦争の前線だ、ということになる。西アジアと南米での、だ。BRICS11がOPECプラスに近づけないようにする努力を米国は惜しまないだろう。大事な目的は、サウジアラビア政府とアラブ首長国連邦政府に恐怖を注入することにある。ペルシャ湾の複数の情報源がそのことを確認している。

 OICの見世物に参加した米国従属諸国の指導者たちでさえ、我々が今、『帝国の逆襲』の奥深くにいることを認識していただろう。だからこそ、これらの国々の指導者たちは臆病さを見せているのだ。

 これらの国々の指導者たちは、覇権国家である米帝国にとって多極化は「混沌」、一極化は「秩序」、悪意ある主体は「独裁者」であることを理解している。そしてその悪意のある主体とは、ロシア・中国・イランという新たな「悪の枢軸」や「ルールに基づく国際秩序」に反対する国々のことであり、これまで米国の属国だった国々が裏切った場合は、特にそう捉えられることが分かっている。

 そういう状況下で、2つの戦争の停戦の話が出てきているのだ。何千万人ものグローバル・マジョリティが疑問に思っているのは、なぜ覇権国家米帝国が、ウクライナでは停戦を熱望しているのに、パレスチナでの停戦は頑として受け付けようとしていないのか、という点だ。

 ウクライナ計画を凍結すれば、亡霊のような覇権国家も少しは生き長らえられる。ロシア政府がこの餌に飛びつく(そうなることは考えにくいが)としよう。ただし、欧州でのウクライナ作戦を凍結するのであれば、米帝国はガザでイスラエルが勝つ必要が生じるのだ。おそらくどんな代価を払っても、だ。そうしないと、この覇権国家の過去の栄光の面影さえ消し去られかねないからだ。

 だが、イスラエルは、ウクライナよりもましな戦果を得られるだろうか?イスラエル政府は10月7日の時点で既に敗戦したと言えるかもしれない。無敵を誇ったイスラエル軍の強さを取り戻すことができなさそうだからだ。さらにこの戦争が地域戦争に発展して、それにイスラエルが敗れるとなれば、米国は一夜にしてアラブ従属諸国を失うことになろう。そしてこれらの国々の前には、中露という選択肢が翼を拡げて待っているのだから。

 アラブ界隈からの叫び声はどんどん大きくなっている。その声が求めているのは、いまやイスラエル当局と共謀しているバイデン政権に、世界戦争に繋がるようなイスラエルによる大虐殺を止めさせることだ。だが、米国政府はその声には応じないだろう。欧州と西アジアでの戦争は米国にとって妨害できる最後の好機かもしれない。つまり繁栄し、互いにつながり合う、平和なユーラシアの世紀の到来を妨害する好機だということだ(ただしおそらく上手くはいかないだろうが)。
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イスラエル、経済崩壊の危機

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel is in danger of economic collapse
著者:ビクトル・ミクヒン(Viktor Mikhin)
出典:New Eastern Outlook   2023年11月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月4日





 10月7日にハマスが行なったアル・アクサ・フラッド作戦の余波により、イスラエル企業は壊滅的な打撃を受け、入植者たちは、政府からの資金注入や彼らへの援助がないという前例のない、不慣れな状況に直面している。ハマスの作戦が始まって1カ月以上が経過し、ガザでの戦争はイスラエルの企業活動に壊滅的な影響を及ぼし、何百もの企業が倒産の危機に瀕している。経済学者や金融関係者は、テルアビブにとってガザ戦争の初期費用は510億ドル(約7兆5千億円)、イスラエルのGDPの約10%に相当すると見積もっている。

 イスラエル労働省の報告によると、イスラエル人約76万5000人(労働人口の18%)が仕事をやめ、ガザ地区でパレスチナの抵抗勢力と戦うために予備役として徴兵されている、という。フィナンシャル・タイムズ紙によれば、この戦争がイスラエル政権の経済活動に壊滅的な影響を及ぼしている証拠がすでに積み重なっているという。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とベザレル・スモトリッチ財務相が発表した財政措置は、経済界から非難を浴びている。高まる経済不安を和らげようと、イスラエル軍事政権は新たな規制を発表したが、専門家たちは、その規制はこの国の経済状況を悪化させるだけだ、と考えている。

 これに関連して、イスラエルの著名な経済学者300人からなる一団が、ネタニヤフ首相とスモトリッチ首相に「正気に戻る」よう求めた。「イスラエルに与えられた深刻な打撃は、国家の優先順位の根本的な転換と、戦争による被害を修復し、犠牲者を支援し、経済を再建するための資金の大規模な再配分を必要としている」とこの公開書簡にはある。フィナンシャル・タイムズ紙は、シンクタンク「スタートアップ・ネイション・ポリシー・インスティテュート」の会長で、書簡に署名した経済学者の一人であるユージン・カンデル氏の、イスラエル政府は「まだ事態の深刻さを理解していることを示していない」という発言を報じた。

 これらの経済の専門家たちは、ネタニヤフ首相が約束した倒産する危険度の高い企業への金融支援策も、政権の経済見通しが悪化し続ければ、十分なものにはならないだろうという深刻な懸念を表明した。どう考えても、イスラエル経済は最終的に崩壊するまで悪化するだろう、とのことだ。フィナンシャル・タイムズ紙は、支援策には公共支出の優先順位の全面的な見直しが伴わなければならないという意見もある、と報じた。

 ネタニヤフ政権と連立を組んでいる超正統派政党や入植者政党は、学生の宗教的遵守を奨励する計画など、戦時経済にはふさわしくないと批判されている取り組みに巨額の資金を投入し続けている。その結果、何百もの企業が首相の約束した財政支援を受けられていない。フォーリン・ポリシー誌によれば、イスラエルの戦時経済はいつまでも持ちこたえることはできず、間もなく不況に陥る可能性があるとし、その理由は、イスラエル政権による大規模な軍事動員によって深刻な景気後退が起こる可能性があるからだ、と報じた。

 ガザ地区での戦争が長期化した場合に打撃を受ける部門の筆頭は、石油・ガス、観光、医療、小売、そして近代的な技術の開発部門である。イスラエル経済は、2000億ドル(約32兆円)の予備資金と140億ドル(約290兆円)の米国からの軍事援助資金をもとに戦争に突入した、と推定されている。しかし専門家によれば、現在も続くガザでの戦争はイスラエル経済に数十億ドル以上の損害を与え、回復にはこれまでの実績よりもはるかに長い時間がかかるという。実際、経済学者や分析家らによれば、ガザでの戦争は短期的にも長期的にも政権経済に深刻な損害を与えると予想されている。

 フィッチ・レーティングス社、S&P社、ムーディーズ・インベスターズ・サービシズ社といった世界的な格付け会社は、戦争がさらに激化すれば、イスラエル政権の国債格付けの引き下げにつながる、と警告している。S&P社はすでに、イスラエルの信用格付けの見通しは低下傾向にあるとしており、その理由としてガザでの戦争が拡大し、経済への悪影響がより顕著になる危険性がある点を挙げている。同格付け会社は、「信用格付けの見通しが低下しているのは、......戦争がより広範囲に拡大したり、我々が予想するよりもイスラエルの信用度の指標に負の影響を与えたりする危険性を反映している」と指摘した。

 フォーリン・ポリシー誌は政治分析家らの話として、過去2回の戦争(2006年夏のイスラエルによる対レバノン戦争と2014年の対ガザ地区戦争)の費用はGDPの0.5%にも上ったが、そのほとんどの影響を受けたのが観光業だった、と報じた。しかし今回は、今年の最終四半期に「年間規模で15%」まで落ち込むと推定されている。それは、航空会社の多くがイスラエルと占領下のパレスチナ自治区の両方への飛行を中止しているからだ。飛行の取りやめは、イスラエルの経済、特に政権がその収入に大きく依存している観光産業にさらなる損害を与えるだろう。この飛行中止は、戦争や、連日包囲されたガザ地区からパレスチナ抵抗勢力が打ち込むロケット発射から逃れようと、国外に出ようとする何十万人もの不安なイスラエル人にとっても問題になっている。

 このロケット攻撃は終わるようには見えない。ハマスの作戦が始まってから30日間で、何十万人ものイスラエル人が避難したり、ガザ地区周辺の入植地から逃げ出したりしている。イスラエル観光省によると、ホテルの部屋は外国人観光客ではなく、亡命を求め、パレスチナ占領地を離れる計画を立てているイスラエル人入植者がほとんどを占めているという。すでに多くの人が海路でイスラエルを離れ、少なくとも一隻の米国船がハイファ港からイスラエル人を避難させたという。出国を計画するイスラエル人はますます増えており、すべてのイスラエル人がガザ近郊の入植地やその他の地域から永久に出国する意向であることを強調するオンライン・キャンペーンも現れ始めている。

 ネタニヤフ首相が1月上旬に政権に復帰して以来、すでに不満を抱いていたイスラエル国民の間では知識人の移住が当たり前となり、その多くは新政権にただただ激怒していた。ロケット弾が連日のように飛び交い、ネタニヤフ首相とその内閣に対する怒りが高まっている今、優秀なイスラエル人の移住はさらに増えている。

 政権が最も困難な時期を迎えている今、ある住民はイスラエルの報道機関にこう語った。「土曜日にサイレンがなった直後に、私たちはキプロスに逃げました。私たちの家族には、両親と4人の子どもがいます。私は直感で、これはただの攻撃ではないと分かりましたし、ここ10ヶ月間、私の神経はピリピリしていました。この国が気の狂ったようになっていたからです。午前10時にチケットを買い、午後5時にはキプロスのパフォスに着いていました。ここキプロスで、落ち着いた新しい生活を始めようとしています」と。

 ガザでの戦争が長引くなか、多くのイスラエル人が、その家族とともに、占領下のパレスチナ全域から、さらにはイスラエル本土から、すでに海外に渡航しているか、あるいはその意思を表明している。人々の最大の懸念は、ガザ地区に対する近代史上最大規模の戦争が国境を越えて拡大する危険性があるため、もはや安全が確保されていないことだ。人々は命の危険を感じ、イスラエルに来たことを後悔している。
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ガザ:嵐の前の一時休止

<記事原文 寺島先生推薦>
Gaza: a pause before the storm
米国とその同盟国は、イスラエルによるガザへの戦争を、一時停戦後も支援し続けるだろう。しかし、「大量虐殺」だという非難が強まるにつれ、新たな多極化勢力は、旧来の覇権国家とその「ルールに基づく混乱」に立ち向かわなければならなくなるだろう。
筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:The Cradle   2023年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月4日





 世界中が「イスラエルによる大虐殺」と叫ぶ一方で、バイデンのホワイトハウスは、自らが仲介したガザ停戦について、あたかも「最大の外交的勝利」を「目前に控えている」かのように大喜びしている。

 自画自賛的な言説の裏で、米政権は「ネタニヤフ首相の終末策を警戒している」どころではなく、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ大統領とジョー・「ミイラ」・バイデンを操るものたちとの9月20日の会談で、「アル=アクサ・フラッド」の攻撃が起こる3週間弱前にホワイトハウスで合意されたとおり、大量虐殺を含め、イスラエルを全面的に支持しているのだ。

 米国とカタールの仲介で今週発効することになっている「停戦」は、停戦ではない。 数十人の捕虜の解放を確保することで、イスラエルの大量虐殺を和らげ、士気を高めるためのPRである。さらに、イスラエルが決して停戦を尊重しないことは、これまでの記録からも明らかだ。

 実際、米政権が本当に心配しているのは、停戦による「予期せぬ結果」である。「ジャーナリストがガザに広く近づくことができるようになり、ガザの惨状をさらに明らかにし、世論の矛先がイスラエルに向かう機会が増える」からだ。

 10月7日以来、ガザでは24時間体制で本物のジャーナリストたちが活動している。「国境なき 記者団」が「過去100年で最悪の犠牲者数」と言っているように、イスラエル軍によって何十人ものジャーナリストが殺されている。

 これらのジャーナリストたちは、「惨状を明らかにする」ために努力を惜しまない。「惨状」とは、現在進行中の大量虐殺の婉曲表現であり、全世界の人々が見ることができるように、その陰惨な詳細をすべて示している。

 国連パレスチナ救済事業機関(UNRWA)も、イスラエルから執拗に攻撃されている中でも、やや大人しい口調ではあるが、今回の攻撃は「1948年以来最大の追放劇」であり、パレスチナ人の「流出」であり、若い世代は「先祖や両親のトラウマを引きずって生きることを余儀なくされている」としている。

 グローバル・サウス/グローバル・マジョリティ全体の世論としては、シオニストの過激主義にはとっくの昔に「背を向け」ている。そして今、グローバル・マイノリティ(西側の集団の住民)も、たった6週間のうちにソーシャルメディアが何十年も主流報道機関が隠してきたことを暴露してしまった事実に愕然とし、苦々しく思っている。もう後戻りはできない。

旧アパルトヘイト国家が先頭を行く

 南アフリカ共和国が道を築き、おこなわれている大量虐殺(ジェノサイド)に対する適切な対応を見せた。議会がイスラエル大使館の閉鎖、イスラエル大使の追放、イスラエル政府との国交断絶を決議したのだ。アパルトヘイトについてなら、南アフリカはある程度は知っている。

 イスラエルを批判する他の人々と同様、南アフリカ共和国の人々も今後の展開には特に用心した方がいい。あらゆることが予想される。外国情報機関による「テロだ、テロだ、テロだ」という偽旗工作、人為的に引き起こされる気象災害、偽の「人権侵害」容疑、南アフリカの通貨であるランドの崩壊、法律を悪用した武力を使わない戦争、大西洋主義者が繰り出す無理難題の詰め合わせ、エネルギー基盤組織破壊工作など、枚挙にいとまがない。

 現時点で既に「ジェノサイド条約」に訴える国がいくつかあってもおかしくはない。というのも、イスラエルの政治家や政府高官らが、ガザを破壊し、パレスチナ人を包囲し、飢餓に陥れ、殺し、大量移送することを公然と自慢しているのだから。それなのにこれまでのところ、地政学的上、力を持つ国々は、どこもその勇気を見せていない。

 南アフリカ共和国は、ほとんどのイスラム諸国やアラブ諸国が踏み込まないところに勇気をもって踏み込んだ。現状では、アラブ世界の多く、特に米国の従属諸国は、まだ口先だけの綺麗ごとを並べるに留まっている。

 カタールの仲介による「停戦」は、米国政府にとってまさに絶好の時機で実現した。ガザでの完全停戦に加え、パレスチナの独立国家樹立に向けた交渉も推進するため、イスラム・アラブ諸国の外相代表団が特定の国々の首都を視察しているところに当たっていた脚光を奪う形になったのだ。

 サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、ナイジェリア、パレスチナで構成されるこの「ガザ・コンタクトグループ」は、最初に北京に立ち寄り、中国の王毅外相と会談した後、モスクワに移動し、セルゲイ・ラブロフ外相と会談した。このことは、2024年1月1日にロシアが議長国となってBRICS11が始動する以前から、BRICS11が行動を起こした実例となった。

 モスクワでのラブロフ大統領との会談は、南アフリカの現議長が招集したパレスチナに関するBRICS臨時オンライン会合と同時に行われた。イランのエブラーヒーム・ライースィー大統領は、この地域の抵抗枢軸を率い、イスラエルとのいかなる関係も拒否しているが、南アフリカ主導の取り組みを支持し、BRICS加盟国に対し、あらゆる政治的・経済的手段を用いてイスラエル政府に圧力をかけるよう呼びかけた。

 中国の習近平国家首席自ら、「パレスチナ問題の正当な解決なくして中東の安全保障はありえない」と語ったことも重要だった。

 習近平は、「2国家解決」、「パレスチナの正当な民族的権利の回復」、「パレスチナの独立国家の樹立」の必要性を改めて強調した。これらはすべて、国際会議を介して開始されるべき取り組みである。

 今回の一時的停戦も、将来の交渉の約束も、現段階ではどれも十分ではない。米政権自身、世界からの予期せぬ反発に苦しんでおり、イスラエル政府と腕相撲をして大量虐殺に短い「一時停止」を与えることで精一杯だ。結局、短い停戦の数日後には、虐殺が継続される、ということだ。

 もしこの停戦が実際の「停戦」であり、すべての敵対行為が停止し、イスラエルの軍事機構がガザ地区から完全に撤退していたとしても、その先の選択肢はかなり悲惨なものになるだろう。「レアル・ポリティーク(現実政治派)」を地で行くジョン・ミアシャイマーも、一言でこう言ってる。「イスラエルとパレスチナ間の交渉は不可能だ」と。

 現在の世界情勢をざっと見ただけでも、中・露からアラブ世界の多くまでが提唱している2国家間解決策がいかに破綻しているかがよくわかる。孤立したバントゥースタン*の集まりが国家としてまとまることはありえない。
*かつて南アフリカ共和国に存在した自治区

ガザのガスを丸ごと掴んでしまおう

 各方面で雷鳴のごとく鳴り響いている話は、ペトロ・人民元の出現がますます近づいているいま、米国が心底求めているのは、ドル建てで売買される東地中海のエネルギーだ、というものだ。その中に、ガザ沖に埋蔵されている莫大な天然ガスも含まれている。

 米政権のエネルギー安全保障顧問らがイスラエルに派遣され、「未開発の海底天然ガス田を中心としたガザの経済活性化計画について話し合う」という。なんて素敵な遠回しの表現なのだろう!

 しかし、ガザのガスは確かに重要な目的ではあるが、ガザという領土は迷惑な存在だ。イスラエル政府にとって本当に重要なのは、パレスチナのガス埋蔵量をすべて没収し、今後、優遇顧客になるであろうEUに割り当てることだ。

 インド・中東回廊(IMEC)--具体的にはEU・イスラエル・サウジアラビア・アラブ首長国連邦・インド回廊--は、米国政府が構想したものであるが、その構想においては、イスラエルがエネルギー経路の交差点の役割を果たすことになる。IMECは、米国とイスラエルが友好関係のもと、米ドルでエネルギー取引をおこない、同時にこれまでロシアからEUの送られてきたエネルギーの代替ともなり、考えられていたイランからヨーロッパへのエネルギー輸出の増加を食い止めることを狙っている。

 さあ、ここでも21世紀の二大勢力の戦いが繰り広げられる。覇権主義とBRICSの対決だ。

 中国政府はこれまでイスラエルのハイテク産業やインフラに多額の投資を行い、イスラエル政府とは安定した関係を築いてきた。しかし、イスラエルによるガザ侵攻は、その構図を変えるかもしれない。真の主権国家であれば、真の大虐殺を許す訳にはいかないからだ。

 これと並行して、覇権国(米国)がBRICS、中国、そしてその数兆ドル規模の「一帯一路構想(BRI)」に対する、さまざまなハイブリッド戦争や熱戦に向かう筋書きを打ち出そうとも、中国政府の合理的かつ戦略的に策定された軌道が変わることはない。

 エリック・リーによるこの分析は、この先に何が待ち受けているのかを知るために必要なものばかりだ。中国政府は2035年までの5カ年計画で、関連するすべての技術的な道筋を描いている。この枠組みのもとでは、一帯一路構想はG7抜きの地理経済学上の国際連合の一種と考えるべきだろう。一帯一路構想外にいるということは、旧来の企業体系や指導者層に関わることであり、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティから孤立している、ということになる。

 では、このガザでの「一時停止」のあと、何が残るのだろうか? 来週までには、西側諸国の支援を受けた臆病者たちは、女性や子どもたちに対する大量虐殺を再開するだろうし、その虐殺行為は、今回はずっと長い期間になりそうだ。しかし、パレスチナの抵抗者と、ガザ北部に住む80万人のパレスチナ市民は、イスラエル軍と装甲車に四方を囲まれているが、パレスチナのためだけでなく、良心を持つすべての人のために、イスラエルの抑圧者と戦う重荷を背負う意思と能力があることを証明することになるだろう。

 どれほどひどい代償を血で払っても、最終的には報われることになろう。その報いとは、ゆっくりではあるが、確実に西アジアに置ける帝国支配体制が崩壊することだ。

 大手報道機関が繰り出すどんな言説も、虐殺を和らげようとするPR活動も、「イスラエルに反旗を翻す世論」を封じ込めようとすることも、イスラエルとその同盟諸国がガザで犯した連続的な戦争犯罪を覆い隠すことはできない。おそらくこれは、the Doctor*(形而上学的であれ何であれ)が人類に命じたことなのだろう。つまり、避けられない悲劇を全人類に目撃させることで、世界を変える、という命だ。
*英国放送協会 (BBC) のテレビドラマ『ドクター・フー』の登場人物であり、同作の主人公。(ウィキペディア)
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気候変動宗教により、人身御供がおこなわれるのはいつからだろう?

<記事原文 寺島先生推薦>
The climate-change religion: How long before human sacrifices?
出産を諦め、同じ人類の命を破壊し、膨大な死亡者数を望むという環境保護主義は、カルト的な傾向を示している
筆者:オーガスト・ジマーマン(Augusto Zimmermann)
オーストラリアのシェリダン高等教育大学の教授兼法学長、WALTA(西豪州法理論協会)会長、西オーストラリア州元法改革委員
出典:RT  2023年11月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月4日



ニューヨーク市の金融街で行われた気候変動に対する行動を求める集会で、模擬死抗議活動に参加する環境活動家© ドリュー・アンジェラー/ゲッティイメージズ

 歴史を紐解けば、天候を変えるために子どもたちを生贄に殺したという古代文明がいくつか存在したことが確認できる。古代の人々は子どもたちを犠牲にすることで、神をなだめ、神の恵みを受けようとしていたのだ。これらの古代の人々は、人間を犠牲にすることで自然の力を自分たちに有利に働かせることができると信じていた。たとえばアステカ人は、自分たちの神を敬う方法のひとつとして、野原で人々を矢で殺し、その血により土地を肥やそう、という儀式をおこなっていた。

 現代の環境保護運動は、しばしば宗教に例えられる。確かにこれらの運動に参加している人々は、気候を変えることは可能であると考え、罪と悔い改め、つまり天罰と救済のというものの見方をしている。環境保護主義運動の仲間にネオ・ペイガン(復興異教主義)やガイア理論*崇拝者がいることはもちろんだが、それ以上に、環境保護主義運動そのものが自然崇拝カルトの特徴を示している。支持者の多くは、事実上、世界にはガンがあり、そのガンは人類のことであると信じている。
*生物は地球と相互に関係し合い、自身の生存に適した環境を維持するための自己制御システムを作り上げているとする仮説(Wikipediaより)

 「ジャスト・ストップ・オイル」運動は、現代の環境保護主義がいかに原始的で野蛮な宗教と化しているかを示す、説得力のある例を示している。2022年10月、因習打破を目指すこられの運動の活動家たちは、ロンドンのナショナル・ギャラリーにあるフィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」(1888年)を「気候変動緊急事態」の抗議活動の標的にした。美術館の美術品を損壊し、道路を封鎖し、スポーツの試合を中止させるなど、これらの環境活動ファシストたちは、環境保護主義が終末論的なニュアンスを帯びているだけでなく、同胞の生活を悲惨なものにし、人類の歴史的偉業の最も素晴らしい例のいくつかを破壊しようとする意図があることを明らかにしている。

 もちろん、汚染を避け、責任ある方法で天然資源を保護しようとする合理的な配慮は、称賛に値する倫理的立場である。私たちは常に環境に配慮し、その保護に責任を持ち、同時に貧しい人々を助けるべきである。

 しかし、二酸化炭素排出量を削減しようとする「環境保護主義者」の努力は、エネルギーの価格と入手しやすさを低下させ、消費者製品の費用を押し上げ、経済成長を阻害し、雇用を犠牲にし、地球上で最も貧しい人々に有害な影響を与える。それとは対照的に、貧しい人々のために下水処理場を建設し、衛生環境を向上させ、きれいな水を提供するために金銭的資源を配分することは、「地球温暖化」という曖昧な概念をめぐる争いよりも、彼らの苦境により大きな直接的影響を与えるだろう。


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 気候変動過激派の信念の核心は、主に2つの信条である:それは、人間は天候を統制できるということと、人間が自然を軽んじれば世界の終末を招くということである。これはまるで宗教の経典のようであり、環境保護主義者たちは自分たちの発言を裏付ける科学的研究は気軽に提供する一方で、反論を容認することはほとんどない。例えば、自分たちの黙示録的予測がこれまで何一つ的中していないことを誰かが指摘することなどは許さない。

 オーストラリアのジェームズ・パタースン上院議員によれば、「気候変動の正統性から外れた科学者に対する公的な恥辱といじめは、公衆の面前で被疑者らが鞭打たれた(もちろん現在の場合は実際にそうされることはないが)、かつてのセイラムの魔女裁判*やスペインの異端審問を彷彿とさせる。実際、『異論者』と呼ばれる人々は、同僚やメディアの手によって儀式的な屈辱を受け、そのあらゆる動機を疑われ、意見を非難される」とのことだ。
*17世紀末の米国でおこなわれた魔女裁判のこと

 気温が上昇すると、「すごい、気候変動の明らかな証拠だ」という声が聞こえてくる。そして気温が急激に低下すれば、「ほら、もっと明らかな気候変動が起こっている証拠だ」という声になる。ナショナル・レビュー・オンラインの創刊編集者であるヨナ・ゴールドバーグによれば、「地球温暖化の素晴らしさは、私たちが食べるもの、着るもの、出かける場所など、私たちの行動すべてに関わることです。 私たち一人一人の『炭素排出量』はその人間の程度を示す尺度なのです」だそうだ。

 言い換えれば、「気候変動」という考え方は、本質的に反論の余地のないものである。というのも、気候というものは変動するものだからだ。この反論の余地のなさが、宗教的信念の完璧な根拠となる。そしてこの信仰が、今度は人々を「何かに欠乏した」男女にしてしまうのだ。1933年3月から1945年4月までアメリカ大統領を務めたフランクリン・デラノ・ルーズベルトは、かつて、何かが欠乏している人間は、彼が『必要』と呼んだものに迫られる、と主張した。生活には衣食住のような必需品の充足が必要である。それゆえ、ルーズベルトは「何かに欠乏した人間は自由になれない」と主張し、国家は人々を『恐怖から自由にする』ことができるはずだと主張した。

 ワシントンDCにある宗教と民主主義研究所のジェームス・トンコウィッチは、環境保護主義者の考え方には、人間を主として消費者や汚染者とみなす長い歴史があると説明する。「このような考え方が、中絶の権利が環境保護に不可欠である、と主張する人々を生み出しているのです。いわゆる『西側民主主義国』の『環境保護活動の先進者』たちは、子どもを産まないこと、さらには中絶することを環境に優しいこととして推進し、子どものいない女性は文明の二酸化炭素排出量を減らすために役割を果たしている、と賞賛しているのです」。


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 悲劇的なことに、若い世代の人々の中には、地球を危険にさらすという恐怖に惑わされて出産を見送るだけでなく、健康な妊娠を打ち切るのは、気候変動を食い止めるという目標のためだ、と公然と主張する者もでてきた。ある既婚女性が、「子どもを産まないことが、自分にできる最も環境に優しいことだ」と新聞社に語ったこともある。それと同じ記事には、別の女性が、妊娠を中断したのは、以下のような確信があったからだ、と語っていた。

 「子どもをもつことは自分勝手な行為です...子どもが一人生まれるごとに、より多くの食料と水、土地、化石燃料、木を使うことになり、ゴミや汚染物、温室ガスを出すことになるのですから。さらには人口過剰の問題の原因にもなるのです」と。

 もちろん、人口過剰に対する懸念は今に始まったことではない。1968年、生態学者のパウル・エールリヒは、18世紀の経済学者トーマス・マルサスと同じように、人口過剰による世界的な飢饉を予測し、人口増加を抑えるための早急な対策を提唱した。エールリヒの『人口爆弾』は前世紀で最も影響力のある本のひとつである。彼は50年以上前、「今後15年のうちに、いつか終わりが来る」と予言するような口調で語っていた。

 言うまでもなく、その予言が的中することはなかった。心配をよそに、世界人口の増加とともに食料と資源の入手方法は増加した。

 だからといって、一部の環境活動家たちが人類と地球の未来について同じような奇妙な発言を続けるのを止めることはできていない。エジンバラ公だったフィリップ王子は1986年、人類の人口過剰を何とかする方法として、「正直なところ、自分が致死性の高いウイルスに生まれ変わることを願いたくなる」と書いている。

 私たちは、人間を「侵略的なウイルス」「疫病」、あるいは解決すべき「問題」と呼ぶような言い方をする議論を深く疑うべきである。そして、少数の生存者のみが持続可能な桃源郷を求めて、多くの人間を間引きし、大規模な死をもたらそうとする欲望を裏切る議論をすべきなのだ。

 それにもかかわらず、一部の環境保護主義者は、戦争も飢饉も人口を十分に減らすことができなかったので、罪のない人々を食い物にする致命的なウイルスが出現すればいいのに、とさえ嘆いている。私たちは、新しい人間が生まれることさえも環境にとっての脅威とみなすところまで来ている。新しい赤ん坊は温室効果ガスの排出源であり、天然資源の消費源である、とあからさまに主張する者もいる。

 だからこそ、環境保護カルトのこうした陰湿な側面を暴露し、異議を唱えなければならないのだ。
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ビデオ: 日本人は新型コロナウイルス感染症 mRNA ワクチンによる突然死に抗議している

<記事原文 寺島先生推薦>
Video: Japanese Are Protesting Sudden Deaths From COVID-19 mRNA Vaccines.
日本からの14本の映像!
日本の医師がDNA汚染、ナノ粒子、過剰死亡、ワクチン被害などについて語る。
筆者:ウィリアム・マキス博士 (Dr. William Makis)
出典:グローバルリサーチ 2023年11月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年12月4日


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ビデオ#1(上): 2023年10月27日 - 中部日本放送 - 京都市 COVID-19ワクチン被害者家族230人によるデモ(8分33秒)。

ビデオ#2:(2023年10月28日)村上康文東京理科大学名誉教授がCOVID-19 mRNAワクチンのDNA汚染と「ターボがん(進行癌)」について語る(6分34秒)

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ビデオ#3:(2022年11月8日)ナノ粒子 -- 大阪市立大学医学部名誉教授の井上雅康教授:
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「ワクチンのナノ粒子は数ヶ月間、血中を循環することがわかっています。ラットでは半減期は1週間、ヒトでは10週間です。筋肉に当たっても、99%は筋肉を超えていきます。約1時間で全身に回ります。」

「これはワクチン接種部位で患者に起こり、患者はアナフィラキシー・ショック*を起こします。そのため、通常は注射した当日に起こり、血液中を長時間循環し続けるナノ粒子(スパイク)が生成されます。」
*過敏症の激しい症状:血液急降下・じんましん・呼吸困難を伴い死に至ることがある。

「メッセンジャー(RNA)とスパイクタンパク質は、数カ月後にワクチン接種者の血液から 検出できたという論文もあります。つまり、あらゆる臓器の細胞を循環して入り込むということです。」

「肝臓と脾臓が最も多いが、3番目は骨髄である。血液細胞を作る細胞分裂は極めて激しい。4番目は卵巣に集まり、5番目と6番目は精巣腫瘍になります。女性も男性も、次の世代をつくる臓器にワクチンが集中しています。」

VIDEO 04 -- (2023年11月16日)東京・銀座のクリニック院長が、ワクチン接種患者(ターボがん)の観察結果を語る。

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「ワクチンを接種し始めた頃、例えば膵臓がんなどのがんをずっとコントロールできていた患者さんが、2回目、3回目のワクチンで急に重篤化し、今年の5月、6月頃に、一番多いときは月に5人くらい亡くなる時期がありました。」

「それから、巨細胞性糖尿病や軽細胞白血病といった、臨床の現場ではあまり遭遇しないような非常に珍しい病気の患者さんも診ています。循環器専門医は、そのような病気について本で読んだことはあるが、見たことはないと話していた。なぜこんな人がたくさんいるのか、今でも不思議です。」

VIDEO 05 -- (2023年11月12日)日本の産婦人科医から妊婦さん、妊娠を希望される方へのコロナウイルスワクチンについてのお知らせ

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「妊娠中または妊娠前に新型コロナウイルスワクチンを接種した妊婦に、これまでになかった大きな病気や異常が見つかっています。妊婦は出産時の出血から身を守るため、血液凝固作用が通常より強くなっている。その場合は、新型コロナウイルスワクチンを投与すると血栓症が起こりやすくなり、必要以上に血栓症のリスクが高くなります。血栓症は妊婦さんだけでなく、お腹の赤ちゃんにも起こる可能性があり、赤ちゃんに血液が流れにくくなったり、胎盤に血栓が詰まるなどの危険な状態になります。コロナウイルス・ワクチンは現在研究中であり、安全性は保証されていません。慎重に判断してください!」

VIDEO 06 -- (2023年11月6日)日本最大の全国ニュース放送局NHKがCOVID-19ワクチンによる死亡事故について言及した!

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新型コロナウイルスワクチンを接種した翌日に死亡した県内の50代女性に4400万円(約30万米ドル)が支払われた件について。全国では、2000人以上のワクチン死亡申請がまだ進行中である。

VIDEO 07 --- コロナ・ワクチンの害を一般の人々に知ってもらうため、日本の人々が街頭に立つ(2023年10月30日)。
記事全文はこちら

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ウィリアム・マキス博士は、放射線学、腫瘍学、免疫学を専門とするカナダ人医師。トロント大学の学者。100以上の査読付き医学論文の著者。

画像はHal Turner Radio Showより

(画像が出ない場合は、下記Youtubeをクリックして参考に)
(29) 「評価不能 新型コロナワクチンの光と影」ワクチン接種後に死亡した人の家族や“ワクチン後遺症”患者への密着取材 約2年の事実の記録 - YouTube
http://https://www.youtube.com/watch?v=cH-esrtDV_U
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この記事の最後に載っていたミシェル・チョスドフスキー『仕組まれたコロナ危機』です。翻訳は「寺島メソッド翻訳グループ」の岩間龍男です。

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The 2020-22 Worldwide Corona Crisis: Destroying Civil Society, Engineered Economic Depression, Global Coup d’État and the “Great Reset”
仕組まれたコロナ危機:「世界の初期化」を目論む者たち
16-Year Old High School Boy Had a Sudden Cardiac Arrest. COVID-19 mRNA Vaccine-Induced Subclinical (Silent) Myocarditis Is Extremely Dangerous to Kids
仕組まれたコロナ危機:「世界の初期化」を目論む者たち Tankobon Softcover
by ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky) (著), 岩間 龍男 (翻訳)

My thanks to the Publisher and to the translator Tatsuo Iwana.

序文

 「地獄は空っぽで、悪魔は皆ここにいる」(『テンペスト』ウィリアム・シェイクスピア)

 私たちは、非常に複雑なプロセスを扱っています。この2年間、私はほぼ毎日、新型コロナウイルス感染症の危機の時系列と展開を分析してきました。

 2020年1月の当初から、世界の人々は、急速に進行する危険な伝染病の存在を信じるように、そして受け入れるように仕向けられました。メディアの偽情報は、新型コロナウイルス感染症のシナリオを維持するために役立ちました。

 この文章を書いている時点でも、多くの国で抗議運動が勃発しています。2020年1月の当初から、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)対策としてロックダウン(都市封鎖)、マスク着用、社会的距離政策(ソーシャルディスタンス)、基本的人権の抑圧を含む政策命令の正当性を維持するために、科学を装った嘘と虚偽が使用されてきました。

 財界が支配する意思決定プロセスは極めて複雑です。民主主義を蝕む「全世界統治」の構図が展開されています。同様の指示は、多くの国の腐敗した政治家にも同時に伝わっています。国連システム全体が、この極悪非道な試みの実行に加担しているのです。

 パンデミックは2020年3月11日に発表されました。同日、国連の193の加盟国にロックダウン(都市封鎖)の指示が送信され、基本的に「ウイルス対策」の手段として国家経済の(一部)閉鎖を要求しました。

 世界中の70億人以上の人々が、コロナ危機と、道徳的に堕落した各国政府が実施する破壊的な指令によって、直接的または間接的に影響を受けています。

 世界中で、恐怖をあおる政策が蔓延しています。

 2020年後半からは、世界中の人々は巨大製薬会社の新型コロナウイルス感染症ワクチン注射が「解決策」であると信じ込まされました。そして、地球上の全人類が数回の接種を完全に受ければ、「正常」が回復すると信じ込まされました。

 通常であれば開発に何年もかかるはずの新型ウイルスSARS-CoV-2のワクチンが、2020年11月初旬に速やかに発売されたのはなぜでしょうか。 ファイザーを筆頭に巨大製薬会社が発表したmRNAワクチンは、ヒトゲノムに関わる遺伝子編集mRNAの実験技術に基づくものです。1

 マウスやフェレットを使った標準的な動物実験は行われたのでしょうか?それともファイザーは、「そのまま人間の “モルモット “を使ったのでしょうか?ヒトでの試験は、2020年7月下旬から8月上旬にかけて開始されました。2 「新しいワクチンのテストに3カ月というのは前代未聞です。数年が普通です。」3

 新型コロナウイルス感染症ワクチン・プロジェクトは利益追求型です。巨大製薬会社の利益に奉仕する腐敗した政治家たちによって支えられています。これは、世界史上最大のワクチン接種プログラムであり、地球上の全人口(79億人)に(数回に分けて)注射することを目的としています。

 mRNAワクチンを打ったことで、結果的に死亡率と疾病率は世界的に上昇しています。その証拠は文書としても十分整っています

本書の概要説明

第1章では、恐怖をあおる政策、市民社会の意図的な不安定化、メディアの宣伝活動の陰湿な役割に焦点を当てます。

第2章では、新型コロナウイルス感染症の危機の歴史を詳細に振り返り、主な出来事を時系列で検証します。

第3章では、SARS-CoV-2ウイルスの性質と、欠陥のある逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査に焦点を当てます。このPCR検査は、当初から各国政府が社会的に抑圧的な政策命令を正当化する目的で「偽データ」を作るために、行われた検査です。

第4章と第5章では、世界的な貧困化と、大富豪の億万長者に有利な富の再分配を含む、この危機の経済的・社会的影響を幅広く検証しています。経済的混乱は、世界史上最も深刻な世界的債務危機の引き金となりました。

第6章では、自殺や薬物乱用の増加など、精神衛生に対するロックダウン政策の破壊的な影響について、検討します。

第7章で検証する巨大製薬会社のワクチン接種プログラムは、2019年末に武漢で新型コロナウイルスが発生したとされる数カ月前にすでに考えられていました。この章では、「殺人ワクチン」(ぴったりの表現)を再調査します。 この章の後半では、ID2020デジタル・アイデンティティ・プロジェクトと、いわゆるワクチン・パスポートの押し付けに焦点を当てます。

第8章では、詐欺と判明した2009年のH1N1豚インフルエンザのパンデミックの状況を振り返ります。これは、本番前の「舞台稽古」だったのでしょうか。

第9章では、「表現の自由の剥奪」と、抗議運動を抑圧し、社会的体制服従(コンプライアンス)を確保するために用いられた権威主義的な政策に焦点を当てます。

第10章は、「人道に対する罪」と「ニュルンベルク綱領」に焦点を当てます。

第11章は、世界経済フォーラムが提案する「世界全体の初期化」を分析します。この提案は、もし採択されれば、全世界統治のシステムを確立し、福祉国家を廃止し、貧困に苦しむ国民に大規模な緊縮財政を課すというものです。世界経済フォーラムの「世界全体の初期化」の公式の標章は、「何も持たず、幸せになろう」です。

第12章は「これからの道」と題されています。「『コロナを利用した専制政治』に反対する世界的な運動の構築」と題したこの章では、金融エリート、巨大製薬会社などの正当性、および国家レベルの腐敗した政治権力に強力に挑戦する世界的な運動の輪郭を描いています。

本書の方法論について一言述べます。私たちの目的は、以下のような慎重な分析を通じて「大きな嘘」を反証することです。

 正確なデータ、概念、定義を用いて新型コロナウイルス感染症の危機を歴史的に概観する。
 公式文書や査読付き報告書から引用します。多数の出典と参考文献を提示する。
 「公式」データ、「公式」推定値、「公式」定義を科学的に分析し、詳細な再調査を行う。
 WHOの「ガイドライン」や政府の政策が経済、社会、公衆衛生に与える影響を分析する。

 私の著者としての目的は、世界中の人々に情報を提供し、通説に反論することです。その通説は、国全体の経済・社会構造を不安定にする口実や正当化の手段として使われ、「命取りの」コロナ「ワクチン」の押し付けがそれに続きました。

 この危機は、79億人の人類全体に影響を及ぼしています。私たちは、世界中の同胞と連帯しています。真実は強力な道具です。

ミシェル・チョスドフスキー
グローバルリサーチ、2022年2月
The original source of this article is COVID Intel
Copyright © Dr. William Makis, COVID Intel, 2023


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EUのRT(ロシア国営報道機関)への制裁措置は失敗に終わっている

<記事原文 寺島先生推薦>
We ‘spit on sanctions’ – RT editor-in-chief
ロシア国営メディアへのアクセスを阻止するEUの取り組みはほぼ失敗した、とブルームバーグ紙が認めた
出典:RT  2023年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月3日


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 ブルームバーグ紙の木曜日(11月22日)の記事は、ロシア国営報道機関への接続制限を目的とした欧州連合の制裁はあまり効果がなかったことを認めるものだった。

 その記事によると、「最後に勝つのはクレムリンのようだ」とされ、RTやスプートニクを含むこうした報道機関は、ミラーサイト*を利用して、欧州内で引き続き容易に利用できている、という。
*ミラーサイトとは、元となるウェブサイトの全部、または一部分と同一の内容を持つウェブサイトのこと(Wikipediaより)

 「私たちはあなた方の制裁に唾を吐きます」とRTのマルガリータ・シモニャン編集長は、自身の報道局からブルームバーグに伝えられた発言の中でこの件について述べた。

 ブルームバーグ紙の推定によると、RTはEUの視聴者に報道内容への接続を提供するために少なくとも19のミラーサイトを利用している、という。そのメイン・ドメインであるRT.comは、2022年2月にロシアとウクライナの間で紛争が勃発した直後に接続が封鎖された。


関連記事:EU ban on RT and Sputnik has failed – media

 ブルームバーグ紙は、ミラー・サイトのひとつであるswentr.site(つまりRTニュースのミラー・サイト)には、10月だけで300万件近くのアクセスがあった、というデータ通信量調査会社のセムラッシュ(Semrush)の調査結果を引用して報じた。さらにメイン・ドメインであるRT.comは、多くの市場で接続が封鎖されているにもかかわらず、同期間で依然として1億4100万件という膨大なアクセスがあった、とも付け加えた。

 この記事は、ルクセンブルクのターゲブラット紙のトビアス・センツィヒ編集長が今月初めに書いた記事を受けたものであった。センツィヒ編集長は、スプートニクとRTへの接続を制限しなかったEUの失敗を嘆き、EU内で「親ロシア的な言説」がますます人気を集めている一方で、ロシア国営報道機関に対する弾圧は、「多くのことを取り決めたが、ほとんど成果を上げなかった」ことを認めた。

 ロシア政府は、特に西側諸国とEU諸国がロシアの報道機関に対してとった敵対的な行動を繰り返し非難してきた。外務省のマリア・ザハロワ報道官は、欧州のやり方を「リベラルな独裁の現れ」である、と述べた。さらに、西側諸国の取り組みは「あらゆる手段を使って自国の国民を代替の視点から切り離し、究極の真実として米国当局とEU当局が発した情報だけを真実として受け止めさせること」に焦点を当てている、と同報道官は今年初めに述べた。
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ネタニヤフ首相はハマスを守っていた―ワシントン・ポスト紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
Netanyahu was protecting Hamas – WaPo
イスラエル首相は、このパレスチナ武装勢力をガザから排除するあらゆる試みを中止してきた、と歴史家が新聞に語った
出典:RT  2023年11月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月2日



イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフ© Global Look Press / Chris Kleponis


 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル首相を務めた数十年間、ガザを統治してきたパレスチナ過激派組織ハマスと「奇妙な共生関係」を築いてきた、とワシントン・ポスト紙が日曜(11月25日)、多数のイスラエル専門家の話として報じた。

 同紙は、同首相はハマスがイスラエル・パレスチナ和平過程を遅らせ、パレスチナ国家の樹立を妨害するのに役立つと考えた、と報じている。

 2009年から2020年まで途切れることなくイスラエル政府を率い、2022年12月に政権に復帰したネタニヤフ首相は、在任中ハマスを壊滅させると繰り返し公約してきたが、実際はハマスのガザ地区での支配力を維持するのに役立つ政策を追求していた、と同米メディアは報じた。

 ワシントン・ポスト紙の報道によると、同首相内閣は、カタールからの現金輸送を承認したが、この資金は、ガザ地区での公務員給与の支払いや同地区の生活基盤施設の改善、さらにはハマスの活動資金にも使用されていた、という。さらに、ネタニヤフ政権下のイスラエル政府は、定期的に捕虜釈放を承認していたが、この措置によりハマスは恩恵を受けてきた、とも報じた。


関連記事:Netanyahu must go – Israeli opposition leader

 「過去10年間、ネタニヤフ首相はガザ地区のハマスを壊滅させようとするいかなる試みも阻止しようと努めてきた」と同首相とこの過激派組織との関係を研究してきたイスラエルの歴史家アダム・ラズ氏はワシントン・ポスト紙に語り、これは「奇妙な同盟」であり、そのような関係が、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃とそれに続くイスラエルのガザ軍事作戦で終結したのかもしれない、とも述べた。

 ネタニヤフ首相の政策目標は、パレスチナ人を分断し、ハマスにガザ支配を任せ、パレスチナ自治政府内の敵対勢力にヨルダン川西岸を支配させることであった、と言われている。両勢力間の紛争のために、「2国家解決」の交渉を不可能にした、とワシントン・ポスト紙は報じ、同首相がパレスチナ問題を完全に放棄することも可能になった、と付け加えた。


関連記事:Short ceasefire, long fight – Israel

 イスラエルの世論調査員で政治分析家のダリア・シャインドリン氏は、「パレスチナに統一された指導者層が存在しなくなったおかげで、(ネタニヤフ首相が)『和平交渉を進めることはできない』と言えるようになった」と述べた。また同紙は、ネタニヤフ首相の伝記作家アンシェル・フェファー氏の言葉を引用し、「そのおかげで彼は『話す相手がいない』と言えるようになった」と述べ、その代わりに同首相はイスラエルとイランの対立と自国の経済発展に焦点を当てることが可能になった、と付け加えた。

 「ネタニヤフ首相は、パレスチナ紛争がイスラエル国内で意見が分かれている問題からの目逸らしとして利用できる、と常々感じていた」とフェファー氏は同紙に語った。同紙は、同首相が2018年にハマスとパレスチナ自治政府が和解する傾向が見られた際、両勢力の和解を阻止しようとした、と報じたが、この問題の詳細については触れていない。

 首相官邸は同米紙に対し声明を出すことを拒否したが、あるイスラエル当局者は匿名を条件にネタニヤフ首相が「史上どの首相よりもハマスを厳しく攻撃した」と語った。首相はこれまではこの組織を壊滅させはしなかったが、10月7日以降の首相の「戦時内閣」がやっていることはそのこと(ハマスを壊滅させること)だと当局者は付け加えた。

 イスラエルはネタニヤフ首相の指導の下、2012年、2014年、2021年の3回にわたってガザで大規模な軍事作戦を行なった。いずれも最終的には交渉による停戦に終わり、この飛び地の支配権はこの組織ハマスに残された。
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COVID-19ワクチンを使った人口削減計画が、政府からの発表とファイザー社の文書から明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
Agenda to Depopulate the Planet Through COVID Vaccination. Revealed by Government Reports and Pfizer Documents
筆者:The Expose(サイト)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年11月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月2日




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この記事の初出は、2023年10月5日

 あの実験用ワクチンが、接種を受けたかなりの数の人の心臓や免疫系に損害を与えたとすれば、地球全体の人口規模の減少につながる可能性がある。

以下のような理由があげられるだろう。

・ まず、心臓への損傷は心血管疾患の増加につながる可能性があり、心血管疾患は世界中で死亡の主な原因となっている。これにより、ワクチン接種を受けた人の死亡者数が増加する可能性がある。

・ 第二に、免疫系が損傷すると、他の感染症や病気にかかりやすくなり、これも死亡率の増加につながる可能性がある。

・ 最後ではあるが、見落とせない重要なことは、ワクチンが生殖能力と生殖に関する健康に悪影響を与えると、出生数の減少につながり、世界全体の人口の減少につながる可能性がある。

 そのようなワクチンが開発され、配布された場合、死亡率の増加と出生率の低下により人口減少につながる可能性がある。

 残念なことに、世界は、強力な機関や政府が何百万人もの人々に、上記のすべての不運な影響を引き起こす実験的な新型コロナウイルスワクチンの接種を強制している状況に陥っている。

 政府の公式報告書とファイザーの機密文書がそれを証明している。

 つまり、皆さんは目の前で人口が大幅に削減される状況を目撃しているのだ。

 COVID-19のワクチン接種の大規模な推進は、決してウイルスと闘うためのものではなかった。その狙いは、世界人口を削減することにあった。

 この目標は、ある特定の強力な企業や個人の利益にかなったものだ。これらの人々にとっては、人口が小規模なほうが、管理しやすいからだ。いまや、AIが数億人の労働者に取って代わるほどに進歩したなかでのことだ。

 これら特定の原因に関係なく、現実世界で現在起こっていることの影響は重大だ。


何百万人もの人が「突然死」

 世界の15%の国における超過死亡に関するデータが、経済協力開発機構 (OECD)の Webサイトで見つかることをご存知だろうか?

 この資料には、米国、カナダ、英国などの主要国のものが含まれる。
 
 さらに、 EuroMOMOというサイトから、ヨーロッパ28か国に関するさらに最新のデータを抽出することができる。

 これらの情報はすべて、米国疾病予防管理センターや英国国家統計局などの各国政府機関からOECDおよびEuroMOMOに提供されている。

 以下のグラフは、「ファイブ・アイズ」諸国(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国)および他の欧州27か国における超過死亡の不穏な傾向を示している。



 近年、米国とヨーロッパで驚くべき数の超過死亡が発生していることをご存知だろうか?

 2021年、米国の超過死亡者数は約70万人となり、2022年11月11日までにさらに36万人が超過死亡者となっている。

 欧州でも同様に憂慮すべき状況が進んでおり、2021年の超過死亡者数は38万2000人で、2022年11月までに超過死亡者数は30万9000人に達している。 

 そして、これらの数字にはウクライナの超過死亡者数は含まれていない。

 驚くべきことに、ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどの国でも、COVID-19ワクチンが普及されてからも、超過死亡が減少していない。

 以下のグラフは、2020年、2021年、および2022年第30週までのオーストラリア全体の超過死亡の不穏な傾向を示している。



 オーストラリアでのCOVID-19ワクチン接種の取り組みにより、超過死亡が2020年の1303人から2021年には11042人へと747%という衝撃的な増加につながったことをご存知だろうか?

 そしてそれ以来、状況は悪化するばかりだ。

2022年7月末までに、オーストラリアの超過死亡者数は18973人という驚くべき数に達し、2020年から1356% 増加している。

 これは、7か月間の超過死亡数が過去2年間の合計よりも多いことになる。

 米国の状況も同様に憂慮すべきものだ。



 COVID-19ワクチンの普及後に米国で超過死亡が増加するという憂慮すべき傾向をご存知だろうか?

 2022年の第38週までに、2020年の同時期と比べて死亡数は1700件増え、2021年の第38週までの死亡数は、2020年の同時期と比べて10万9000人も増えた!

 これらの数字は、ワクチンの普及後に死亡者数が減少するどころか、実際には増加していることを示している。

 以下の2つのグラフは、COVID-19 ワクチンが導入された2021年初頭以降の「ファイブ・アイズ」とヨーロッパの超過死亡の合計を示している。




 COVID-19ワクチンの普及以来、「ファイブ・アイズ」とヨーロッパのほとんどの地域で180万人以上の超過死亡が発生していることをご存知だろうか?

 この衝撃的な数字には、疾病管理センター(CDC)と経済協力開発機構(OECD)によると、米国の100万人以上の超過死亡、ヨーロッパの69万人以上の超過死亡、さらにオーストラリアやカナダ、そしてニュージーランドでの多くの超過死亡が含まれている、という。

 ワクチンは安全で効果的であり、死亡者数を減らすだろうという公式説明は、COVID-19ワクチンが超過死亡の主な原因である可能性を示唆するこれらの数字とは完全に矛盾している。


子どもや十代、若者の「突然死」

 公式データによると、ヨーロッパの0歳から14歳までの子どもの超過死亡が、2022年1月から9月の間に755%という驚異的な割合で急増したことをご存知だろうか?

 この憂慮すべき増加は、欧州連合が調査を開始するきっかけとなったが、EuroMOMOが数字を軽視しようとしたにもかかわらず、発生したものである。

 ファイザーの新型コロナウイルス感染症ワクチンが、2021年5月28日(2021年の第21週)に欧州医薬品庁によって小児での使用が承認されたことは注目に値する。


出典

 そして、この緊急使用許可が与えられてから、「偶然に」22週目から超過死亡が記録され始めた。



 全体として、2022年9月までにワクチンの小児への使用が承認されて以来、超過死亡は630%増加した。



 悲しい現実だが、子どもに対する新型コロナウイルスワクチン接種の明らかな危険性を示す証拠が増えているにもかかわらず、当局がこの危険を認める可能性は非常に低い。

 悲劇的なことに、欧州医薬品庁がこの年齢層に対するワクチンの使用を緊急承認して以来、欧州の子どもたちの超過死亡が大幅に増加したことは、パンデミックが始まって以来、このような出来事が起きた多くの事例の中の単なる「偶然」として無視される可能性が高い。

 子どもたちの健康と幸福を確実に守るためには、データの調査と精査を継続することが重要である。

 また、米国疾病管理センター(CDC)が密かに発表した公式統計によると、食品医薬品局がCOVID-19ワクチンの緊急使用を初めて許可して以来、米国では2022年10月9日までに50万人近くの子供と若者が死亡したこともご存知だったろうか?



 この悲痛な展開により、2015~2019年の平均と比較して約11万8000人の超過死亡が発生した。

 この数字はまた、COVID-19のパンデミックが最高潮に達したとされる2020年の同時期と比較して、2022年のこれまでの子どもと若者の超過死亡が7680人増加していることも明らかにしている。

 しかし、0歳から44歳までの死亡者数が最も多かったのは2021年で、超過死亡者数は合計29万1461人で、2020年より6万人近く増加した。

 CDCの公式統計によると、この増加は主に、2021年第31週頃から始まった子どもと若者の死亡数が不思議なことに突然増加したことによるものだ。

 2020年の第51週以降、0歳から44歳までの50万人近くが死亡し、その結果、2015年から2019年の5年間の平均と比較して11万7719人という驚異的な超過死亡となっているのは、悲痛な現実である。



 公式データによると、2020年の時点で米国の平均寿命は77.28歳だった。

 COVID-19は致死性の病気であるという公式説明を信じるのであれば、2020年に子どもと44歳までの若者23万1987人が死亡し、うち4万365人の超過死亡が発生した原因がこの病気にあった、ということはおそらく納得できる答えである。

 しかし、COVID-19ワクチンは安全で効果的であるという公式説明を受け入れるのであれば、2021年と2022年の両方で子どもと若者の死亡がさらに増加したことをどう説明すればよいのだろうか?

 注目すべきことは、何百万人もの米国民がワクチン接種を受けるよう圧力をかけられ、何百万人もの親も同様に子どもたちにワクチン接種を強制するよう強いられた事実だ。

 その答えは明らかだ。公式の説明は真っ赤な嘘だ。COVID-19ワクチンは安全でも効果的でもない。

 CDCが出した見つけにくいデータは、米国民の若者の死亡に関するこの憂慮すべき傾向を示唆するだけのものだったが、英国政府が公表したさらなるデータはその傾向をしっかりと裏付けている。

 たとえば、政府機関である英国国家統計局(ONS)が2022年7月6日に発表した報告書は、これらのワクチンの危険性を示すさらなる証拠を提供している。

 この報告書は「英国、2021年1月1日から2022年5月31日までのワクチン接種状況別死亡数」というタイトルで、ONSサイトのこちらからアクセス、ダウンロードもこちらからできる。

 表2の英国国家統計局の報告書をご覧になったことがあるだろうか?この報告書には、2022年5月までの、英国における月ごとの年齢層別の死亡率が示されている。これは、ワクチン接種状況及び年齢層による10万人当たりの死亡率を示している。

 まだご覧になっていないのであれば、ご自分の目でご覧いただきたい。示されている数字を見れば本当に不安な気持ちにさせられるだろう。

 ONSから提供された2022年1月から5月のデータを使い、大規模なCOVID-19ワクチン接種推進運動による壊滅的な影響を示す以下のグラフを作成した。

 このグラフは、2022年1月から5月までの英国におけるCOVID-19によらない死亡について、18歳から39歳までのワクチン接種状況別の月ごとの死亡率を示している。

 このデータから、このワクチンに関連する危険性が無視できないことは明らかだ。


出典

 これは気がかりな傾向だ。2022年に入ってから毎月、ワクチンを1度接種した人やワクチンを2度接種した18~39歳の死亡率が、ワクチン接種を受けていない18~39歳の死亡率よりも高くなっている。
 
 2021年12月に英国で行われた大規模な追加接種推進活動以来、死亡率は月を追うごとに悪化しており、3回ワクチン接種を受けた18~39歳の若者にとって状況は特に悲惨だ。

 1月時点では、3回ワクチン接種を受けた18~39歳は、この年齢層のワクチン接種を受けていない人より死亡する可能性がわずかに低く、ワクチン接種を受けていない人の死亡率は10万人あたり29.8人、3回ワクチン接種を受けている人の死亡率は10万人あたり28.1人であった。

 しかし、2月以降、3回ワクチン接種を受けた18~39歳の死亡率は非ワクチン接種者より27%高く、死亡率は3回ワクチン接種者では10万人あたり26.7人、ワクチン接種を受けていない人では10万人あたり21人となった。

 状況は2022年5月までにさらに悪化し、3回ワクチン接種を受けた18~39歳は、この年齢層のワクチン未接種者より死亡する可能性が52%高く、死亡率は3回ワクチン接種者では10万人あたり21.4人、ワクチン未接種者では14.1人であった。

 1回ワクチン接種者の結果も悪く、5月には1回ワクチン接種を受けた18~39歳の死亡率が、この年齢層の非ワクチン接種者より202%高かった。

 英国国家統計局の報告書には子どもの死亡率も含まれているが、英国政府はこのデータを隠蔽しようとした。

 以下のグラフは、2021年1月1日から2022年5月31日までの英国における10歳から14歳の子どもの10万人当たりのワクチン接種状況別死亡率を示している。


出典

 英国国家統計局によると、ワクチン接種を受けていない10歳から14歳の子どものCOVID-19による死亡率は10万人年当たり0.31人だった。

 しかし、1回ワクチン接種を受けた小児の死亡率は10万人中3.24人で、3回ワクチン接種を受けた小児の死亡率は10万人中41.29人という驚くべき数字だった。

 COVID-19以外の死亡に関しては状況は改善されていない。全死因死亡率は、ワクチン接種を受けていない小児では10万人年当たり6.39人であり、1回ワクチン接種を受けた小児では6.48人とわずかに高い。

 しかし、注射を追加するたびにその率は悪化している。全死因死亡率は、2回ワクチン接種を受けた小児では10万人中97.28人、3回ワクチン接種を受けた小児では289.02人という驚くべき数字が出ている。

 つまり、英国政府自身の公式データによると、2回ワクチン接種を受けた子どもは、ワクチン接種を受けていない子どもに比べて、何らかの原因で死亡する可能性が1422%または15.22倍高く、一方、3回ワクチン接種を受けた子供は、何らかの原因で死亡する可能性が4423%または45.23倍高いことになる。

 国家統計局が提供する特定年齢層の人口10万人当たりのデータは、COVID-19ワクチンが死亡する危険性を高めることを示す決定的な証拠である。

 したがって、CDCの機密報告書が示している、COVID-19ワクチンの普及後に50万人近くの米国の子どもや若者が死亡し、その結果、2015年から2019年の5年間の平均と比較して11万8000人近くが超過死亡した事実を知っても驚かない。




心臓は1つしかなく、再生されない

 心臓に害を及ぼすCOVID-19ワクチンの潜在的な影響は悲惨なものだ。このようなワクチンが広く配布され、人口のかなりの部分に投与された場合、数百万人もの突然死を引き起こす可能性がある。

 心臓は体の適切な機能を維持する上で重要な役割を果たす重要な臓器であるため、心臓に悪影響が及ぶと悲惨な結果が生じる可能性がある。

 残念ながら、ファイザー社とモデルナ者が製造した少なくとも2つのCOVID-19ワクチンは、まさにこれに該当し、現在何百万人もの人々に複数回投与されており、これらのワクチンが、ワクチン接種が推進されて以来、世界中で記録された何百万人もの超過死亡の原因となっている可能性が高い。


出典

 COVID-19ワクチンに関しては、治療しなければ突然死につながる可能性がある心筋の炎症である心筋炎になる危険度が高まるという深刻な懸念となっている。この危険は、若くて健康な成人や子どもに特に当てはまる。というのも、これらの人々は、状態が重度の段階に進行するまで心筋炎の症状を発症しない可能性があるからだ。

 心筋炎の症状には、胸痛、息切れ、疲労、心拍数の異常などが含まれ、治療せずに放置すると、心不全、心停止、心臓突然死を引き起こす可能性がある。

 スコットランド公衆衛生局が2022年4月に発表した公式統計の調査で、この心臓発作、心停止、心筋炎、脳卒中を発症した15歳から44歳の人の数が、COVID-19ワクチンが提供されて以来、過去の平均と比べて67%増加していることが判明したのは、おそらくこのワクチンが理由だろう。


出典


出典

 残念ながら、米国疾病管理センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)が実施した研究では、mRNA COVI-19ワクチン接種後に心筋炎を発症する危険性は、接種していない場合の危険度よりも約133倍高いことが示されている。


出典

 これは、COVID-19ワクチン接種により、心臓の炎症を引き起こす自己免疫疾患である心筋炎にかかる危険性が13200%増加することを意味する。

 ファイザー社とモデルナ社が製造したCOVID-19ワクチンが世界中の何百万人もの人々の健康に大きな影響を与えていることは、提示されたデータから明らかだ。

 これらのワクチンが広く配布され、人口のかなりの部分に投与された場合、心筋炎や心臓発作、心停止、その他の心血管疾患にかかる危険度増加など、心臓に対する潜在的な悪影響により、多数の突然死が発生する可能性がある。

 さらに、COVID-19ワクチンの導入以来、超過死亡が多数発生していることは、これらのワクチンがより大きな人口減少傾向に寄与している可能性があることを示唆している。

 超過死亡とは、特定の人口において通常予想される死亡数を超える死亡者数を指し、COVID-19ワクチンの普及以来、「ファイブ・アイズ」諸国とヨーロッパで数百万人の超過死亡が発生しているという事実は、懸念の原因となっている。

 人口減少の潜在的な影響は広範囲に及び、経済の混乱や全体の人口規模の減少など、社会に重大な影響を与える可能性がある。COVID-19ワクチンが国民の健康に及ぼす影響の本当の範囲を理解し、将来のワクチンが配布される前に徹底的に検査され、安全であると判断されることを確実にするために、さらなる研究を実施することが不可欠である。

 明らかに、人口減少が起こるためには、生まれる人よりも多くの人が死ぬ必要があるのは当然だ。そして残念なことに、ファイザー社の機密文書は、これが今の私たちの現実であることを裏付けている。


ファイザー社の機密文書

 この文書に含まれるデータは憂慮すべきものであり、妊娠中および授乳中の女性へのファイザー社COVID-19ワクチンの安全性について深刻な懸念を引き起こしている。データによると、妊婦が流産、死産、その他の重篤な合併症を含む副反応を経験した事例が多数報告されている。

 さらに、このデータは、ワクチンが授乳中の乳児にも危険をもたらす可能性があることを示唆している。ワクチンが母乳を通じて乳児に感染した場合、乳児が副反応を経験したという報告が多数ある。

 これらの発見は非常に憂慮すべきことであり、妊娠中および授乳中の女性へのCOVID-19ワクチンの安全性についてさらなる研究の必要性を浮き彫りにしている。これらのワクチンに関連する危険性が適切に対処されない場合、出生率と総人口数に重大な影響を与える可能性がある。

 当局がこれらの懸念を真剣に受け止め、妊娠中および授乳中のCOVID-19ワクチンの安全性について徹底的な調査を実施することが不可欠である。母親と子供の両方の健康と幸福は最優先事項でなければならない。

 ファイザー社のCOVID-19ワクチンは、妊婦における多数の副反応と関連している。同社独自のデータによると、妊娠中にワクチンに曝露された既知の270例のうち、母親の46%(124人)が副反応を経験した。

 このうち75件は子宮収縮や胎児死亡など重篤とみなされた。

 これは、副作用を報告した母親の58%が重篤な事象に見舞われたことを意味する。これらの憂慮すべき発見は、妊婦に対するワクチンの安全性について懸念を引き起こし、さらなる研究の必要性を浮き彫りにしている。


出典 - ページ 12


 ファイザー社独自のデータによると、ファイザー製COVID-19ワクチンに曝露された妊婦270人中124人が副反応を経験したことは憂慮すべきことだ。そのうち75人は胎児死亡を含む重篤な副反応を示していた。

 また、ファイザー社が妊娠270件中238件の結果に関する情報を持っていないことも懸念される。これらの数字は、妊婦とその胎児に対するファイザー製COVID-19ワクチンの安全性について深刻な疑問を引き起こしている。

 ウィスターハン・ラットという実験用ネズミを対象としたファイザー社の別の研究結果は、ファイザー社のCOVID-19ワクチンが時間の経過とともに卵巣に蓄積することを示している。

 卵巣は、卵子と女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを生成する一対の女性腺である。

 この研究は、裁判所命令に基づいて米国食品医薬品局(FDA)が公開したファイザー社の機密文書一覧に記載されており、雌ラット21匹と雄ラット21匹にファイザー製ワクチンを単回投与したものだ。

 研究者らは、注射後のさまざまな時点でラットの血液、血漿、組織中の総放射能濃度を測定した。ワクチンが卵巣に蓄積すると、生殖能力と生殖に関する健康への潜在的な影響に関する懸念が生じる。



 ファイザー社COVID-19ワクチンに関する研究で得られた最も懸念すべき発見の一つは、ワクチンが時間の経過とともに卵巣に蓄積するという事実である。

 注射後の最初の15分間では、卵巣内の総脂質濃度は 0.104mlと測定されたが、わずか1時間後には 1.34ml、4時間後には 2.34ml、48時間後には12.3mlに増加した。

 研究をおこなった科学者らは48時間を超えて研究を継続しなかったため、このような蓄積が継続したかどうかは不明である。

 これらの調査結果は、ファイザー製ワクチンの生殖能力と生殖に関する健康に対する長期的な影響の可能性について深刻な疑問を引き起こしている。

 そして、スコットランド公衆衛生局が発表したデータによると、2021年の卵巣がん患者数は前年および2017~2019年の平均と比べて大幅に増加した。

 これは、ラットを使った研究で判明したように、ファイザー製COVID-19ワクチンの卵巣への蓄積に関連している可能性がある。


卵巣がん –出典

 公式統計によると、スコットランドの新生児死亡数も、この7カ月間で2度目となる危機的な水準に達した。

 2022 年 3 月の新生児死亡率は出生1000人あたり4.6人で、予想死亡率より119%増加した。


出典

 これは、女性/妊婦へのCOVID-19ワクチンの接種導入後、新生児死亡率が「管理限界」として知られる上限警告閾値を2度超えたことを意味する。

 最後にこの閾値を超えたのは2021年9月で、その時は出生1000人当たりの新生児死亡者数が5.1人に達した。これは、1980年代後半に典型的に見られたのと同程度だ。

 当時、PHS(公衆衛生局)は、管理閾値を超えたという事実は、「無作為変動よりも、死亡者数に寄与する要因が存在する可能性が高いことを示している」と述べた。

 このニュースは衝撃的であり、COVID-19感染症ワクチンの安全性について深刻な懸念を引き起こしている。


死亡率の増加

 英国政府が発行した「英国、2021年1月1日から2022年5月31日までのワクチン接種状況による死亡数」というタイトルの報告書で見つかった数字は憂慮すべきものである。この報告書は、ここのONSサイトからアクセスでき、ここからダウンロードできる。 2022年1月から5月までの毎月、部分的または完全にワクチン接種を受けた18歳から39歳の人は、ワクチン接種を受けていない人に比べて、新型コロナウイルス以外の原因で死亡する可能性が高かった。



 2021年12月に大規模な追加接種推進計画が実施されて以来、死亡率は月を追うごとに悪化するばかりで、3回ワクチン接種を受けた人にとって状況は特に悲惨だ。

 英国国家統計局が提供したこれらの衝撃的な数字は、COVID-19ワクチンが人の死亡危険度を大幅に高めることを裏付けている。

 ワクチンが個人を保護できないだけでなく、積極的に害を及ぼしていることは明らかだ。それらの配布を停止し、それらがもたらす真の危険性を調査するための措置を講じることが重要である。

 しかし、この状況は18~39歳という年齢層に限ったものではなく、あらゆる年齢層に共通している。

 以下の2つのグラフは、2022 年1月から5月までの英国におけるすべての年齢層のCOVID-19によらない死亡者に対するワクチン接種状況別の月別の年齢層別死亡率を示している。


出典

出典

 上記の数字を年齢層別に分類した詳しい調査結果は、ここで読むことができる。


COVID-19ワクチン接種による人口減少

 COVID-19ワクチン接種推進計画の潜在的な影響は憂慮すべきものであり、世界規模での人口減少につながる可能性がある。

 心臓は重要な臓器であり、心臓に悪影響を及ぼすと、壊滅的な結果を招く可能性がある。これは特に若くて健康な成人と子どもに当てはまる。というのも、これらの人々においては、心筋炎は症状が重篤な段階に進行するまで症状を引き起こさない可能性があるからだ。

 ファイザー社のデータによると、ワクチンを接種した妊婦の46%が副反応を経験し、そのうち58%が子宮収縮から胎児死亡に至るまでの重篤な有害事象を経験したことが明らかになった。

 さらに、ワクチンが時間の経過とともに卵巣に蓄積することが研究で示されており、生殖能力への潜在的な影響についての懸念が生じている。

 公式統計では、どの年齢層においても、ワクチン接種者で死亡率が最も高く、ワクチン接種を受けていない人で死亡率が最も低くなっていることも明らかになっている。

 これらすべての証拠から、COVID-19ワクチン接種推進計画が人類の将来に深刻な結果をもたらす可能性があることは明らかだ。


しかし、なぜ?

 一部の人々が地球の人口を削減したいと考える理由はさまざまだ。

 人口増加により地球資源が持続不可能な速度で枯渇しており、その理由の1つに人口過剰がある、と考えている人々もいる。

 また、人類が環境に悪影響を与えているため人口削減が必要であり、人口を減らすことでこれらの問題の一部を軽減できる可能性があると主張する人もいるかもしれない。

 人口が減れば温室効果ガスの排出量も減る可能性が高いため、気候変動の影響を懸念して人口削減を主張する人もいるかもしれない。

 人口が少ないほうが管理しやすく、制御しやすいと単純に信じており、この理由から人口削減を主張する人もいるかもしれない。

 クラウス・シュワブとビル・ゲイツは、ワクチン接種を含むさまざまな手段を通じて人口削減の考えへの支持を表明した2人の有力人物である。

 世界経済フォーラムの創設者であるシュワブは、世界人口の削減は環境と経済にとって有益であると主張し、人工知能などの先端技術がこの目標の達成に役割を果たす可能性があると示唆した。

 同様に、ビル・ゲイツはワクチン接種推進計画を人口削減に利用できると述べ、人口増加を抑制する手段としてワクチン接種を促進する数多くの取り組みに資金を提供した。

 したがって、ビル・ゲイツやクラウス・シュワブのような有力な人物がなぜ広範なワクチン接種推進計画を主張してきたのかが今なら理解できるはずだ。

 COVID-19ワクチンの大量接種の推進は、ウイルスと戦うためではなく、世界人口を減らすためなのである。

 この目標は、特定の企業や個人の利益に当てはまる。これらの人々は、世界人口がより少なくなり、より世界を管理しやすくなることで恩恵を受けるからだ。
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ウクライナが「化学兵器を使用した」とロシアの将軍が発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine has used chemical weapons – Russian general
ウクライナは「生物兵器」も使い始める可能性がある、とイーゴリ・キリロフ将軍は発言
出典:RT  2023年11月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月2日



2023月11月28日、ロシア軍の核・化学・生物防護部隊を率いるイーゴリ・キリロフ中将。 © スプートニク/マクシム・ボゴドヴィッド


 ロシアのイーゴリ・キリロフ中将は火曜日(11月28日)、ウクライナ軍が2022年2月の紛争激化以来、17回にわたり化学物質を使って食べ物を汚染させ、少なくとも15人を殺害した、と述べた。

 キリロフ中将はロシア軍の核・化学・生物防護部隊の代表である。同中将は、現在ソチで開催中の第3回若手科学者会議での演説において、このことを明らかにした。

 「我が国は、ロシア連邦に新たに加わった地域の行政機関の複数の職員が毒殺されたことを確認しました。さらに、多くの化合物が使用されており、ほとんどの事例においてその化合物は、1国でのみ製造されていることがわかりました」と述べた。ただし、同中将はそれがどの国であるかについては特定しなかった。

 キリロフ中将の演説がおこなわれたのは、ロシアがハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)にウクライナが毒殺に関わった証拠を提出した翌日だった。

 「我が国は、米国と欧州大西洋同盟諸国がウクライナに有毒化学物質とその運搬手段を供給しているという反論の余地のない証拠を持っています」と通商産業省のキリル・リソゴルスキー副大臣は月曜日(11月27日)にOPCWに語った。

 
関連記事: Ukraine tried to poison Russian officials – Moscow

 キリロフ中将はまた、米国がウクライナで実施した生物学的研究に触れ、ロシア軍がこれらの施設のいくつかで病原体や「米国が収集した」ウイルス株を発見した、とも述べた。

 キリロフ中将によると、ウクライナ軍は今年の100日間の反撃攻勢で「めざましい成果を上げられなかった」ため、生物兵器の使用を開始する危険性もある、とした。

 「国防省は、生物兵器の使用を含む非標準的な形態の戦争への対応に移行することを考えています」と同中将は述べた。

 今月初めの記者会見でキリロフ中将は、現在の紛争の前に、米国が資金提供する46の生物学研究所がウクライナにあったことを明らかにした。ロシア政府はこれらの活動を暴露し、閉鎖することに成功したが、米国側はそれ以来、研究の一部をアフリカに移したようだ、と同中将は述べた。

 米国とウクライナの主張によると、この研究は、完全に正当で平和的なものであり、米国が資金提供しているこの取り組みの一部は、「生物学上の危険を抑える研究の発展を通じて」、脅威を軽減するためのものであり、旧ソ連内共和国であるウクライナの核兵器や化学兵器、生物兵器を廃絶するためのものである、としている。
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ファイザー社、新型コロナウイルスワクチンの件でポーランドを訴える

<記事原文 寺島先生推薦>
Pfizer sues Poland over Covid-19 vaccine
この米国大手製薬会社は、ワクチン供給を望まなかったポーランド政府との間の確執を激化させている
出典:RT  2023年11月23日
<記事翻訳:寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月2日



写真アルトゥール・ウィダック/NurPhoto(ゲッティイメージズ経由)


 米国の製薬大手ファイザー社は、欧州連合(EU)との巨額契約に基づいて発注された新型コロナウイルスワクチンの過剰投与を巡り、ポーランドとの確執を激化させた。同社は新型コロナウイルスワクチンの契約が履行されていないとして同国を訴えている。

 ポーランド政府は、欧州委員会がEU諸国を代表して2021年にファイザーと結んだ物議を醸す契約に基づき、数千万回分のワクチンの購入に拘束されていた。ファイザーは、ポーランド政府が2022年4月に注射剤の供給を停止した後、拒否した6000万回分に対する補償として60億ズロチ(約2200億円)を要求している。

 最終的にEU全体は契約に基づいて11億回分のワクチンを発注していたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが沈静化する中、ワクチン供給過剰がEU諸国を悩ませていた。EU検察庁はすでに汚職や秘密裏取引の疑惑が浮上する中、調達過程に対する捜査を発表している一方、ポーランドのカタルジナ・ソイカ保健大臣は次に他のEU諸国も訴追に直面する可能性がある、と警告している。

 ポーランド当局は、ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が同社との取り引きに関して果たした役割について疑問の声をあげている。同委員長は、契約交渉中に同社の最高経営責任者(CEO)アルバート・ブーラ氏と数週間にわたって個人的にやりとりしていたことが明らかになっている。しかし欧州委員会は昨年、数十億ドル相当の取引に関する大手製薬会社幹部との同委員長とのやり取りのメールは見つからなかった、と主張した。

関連記事:EU chief can’t find Pfizer CEO texts

 ファイザー社による訴訟の第1回公聴会は12月6日にブリュッセルで行われる予定だ。今年初め、この製薬大手会社はEUに対し、拘束力のある契約で決められた最低量のワクチン購入を終了するまでもう少し時間を与えること提案したが、同時に、EUは契約で決められたそのワクチン料金を全額支払う必要がある、とも主張した。それ以来、ポーランドは同製薬会社とEU間の改正された協定への署名を拒否している。

 ソイカ保健大臣は水曜日(11月22日)、放送局TVN24に対し、ファイザー社による訴訟を「前向きな方法で」解決できる希望がある、と語った。


関連記事: Pfizer wants EU to keep paying for unused Covid jabs – FT

 しかしファイザー社の広報担当者はポリティコ誌に対し、同社は「長期間にわたる契約違反と、当事者間の誠実な協議期間を経て」訴訟を進めることを決定した、と語った。

 数百万人のポーランド人が新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否したことと、2022年初頭のウクライナ難民の流入で政府財政が圧迫されたことがあり、ポーランド政府はワクチンの供給を停止していた。
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議員に成り立てのJ.D.バンス上院議員がウクライナ支援とイスラエル支援についての「痛ましい真実」を議会で訴えた

<記事原文 寺島先生推薦>
US senator speaks painful truth on Ukraine and Israel aid
J.D.バンス議員、米国の他国の戦争への介入にかけられたカーテンを引き上げ、何百万もの人々を犠牲にし、米国を弱らせることにしかなっていない、と批判
筆者:トニー・コックス(Tony Cox) 
米国のジャーナリストであり、ブルームバーグ紙など、いくつかの主要日刊紙での執筆や編集の経歴あり。
出典:RT 2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年12月2日



ワシントンで今月初旬、記者らに話をしているJ.D.バンス米上院議員© Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images


 オハイオ州選出の議員なりたての米国上院議員が、これまで米国議会で発言された中でもっとも強力な演説のひとつをおこなった。その内容は、米国政府の対ウクライナ政策の不誠実さと米国が世界中でおこなった何十年にもわたる軍事介入がもたらした悲惨な結果について曝露するものだった。

 それゆえに、J.D.バンスの発言が他の国会議員たちからは総じて非難され、無視されたのは何の不思議もない。その中には、同じ共和党員たちや伝統ある各報道機関も含まれていた。バンス議員が演説の最後で認めたとおり、米国政府には、米国の海外政策の失政を真摯に受け止めようという気持ちなど存在しないのだ。「本当の討論をしましょう。そんな討論はここ30年間まったくなかったのですから」とバンス議員は述べた。

 火曜日(11月7日)の上院において、バンス議員は、イスラエルに対する106億ドル(約1兆6千億円)の軍事支援を認める法律を支持する、と主張した。これは、ジョー・バイデン大統領が先月発表した緊急歳出法案で、614億ドルのウクライナ追加資金にイスラエルの支援を組み合わせるという提案に反対するものだった。民主党員及び共和党の新保守主義者たちは、バイデン大統領の1060億ドル(約16兆円)の予算案では、ロシアと戦うためのウクライナ支援とハマスと戦うためのイスラエル支援を、別々に採決するのではなく、一括して行わなければならないと主張している。


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 バンス議員が正しく指摘したとおり、明らかなことは、バイデンの無原則なウクライナ政策を支援する人々は、広く支持されているイスラエルへの支援にかこつけて、どんどん人気がなくなっているウクライナへの資金援助を推し進めようとしている。「私と同じあまりにも多くの数の議員がこの予算案を撤回させたいと考えています。というのも、この予算案はイスラエルを大統領のウクライナ政策の隠れ蓑にしようというものだからです。しかし、大統領のウクライナ政策は、イスラエル政策もまったくそうなのですが、討議すべき問題なのです。話をすべきなのです。損失と利益を分けて考え、それぞれ別々の政策として分析すべきです。そうすることが米国民に対して果たすべき義務なのですから」とバンス議員は述べた。

 バイデンの対ウクライナ政策に関する根本的な疑問は、旧ソ連圏のこの共和国における米国政府の本質的な戦略も含めて、これまで言及されてこなかった、とバンス議員は主張した。同議員によると、米国民が総じて伝えられてきたのは、その目的はロシアをすべてのウクライナ領内から追い出すことだ、とのことだったが、それには住民投票の結果、圧倒的多数でウクライナからの分離独立を決め、ロシアへの編入をきめた地域までもが含まれている、とした。

 「しかし、個人的に大統領自身の政権内の人々と話をすれば、それは戦略的に不可能であることを認めます。大統領の政権内の合理的に考えられる人の中で、ロシアをウクライナ領地から数インチでも追い出すことが可能だと考えている人はいません。だからこそ、ウクライナに対して、永久に無限に支援を続けるべきだとの多くの主張を、人々は正当化できないのです。というのも、このことに関する議論が誠実ではないからです」とバンス議員は述べた。

議会が米国民に真実を伝えない理由は、もしそうすれば、ウクライナへの終わることのない資金援助をもはや国民が支持しなくなることを分かっているからです。

 同上院議員はさらに、米国民はいまだに、ウクライナにいつまで資金援助し、米国政府が、いかに援助した資金が盗まれていないことを確証するかについての答えをもらっていない、とも指摘した。「2000億ドル(約32兆円)近いお金を費やしているという事実をきちんと監視しているでしょうか?さらにこの補正予算案が通れば、2000億ドルが世界で最も政府が腐敗している国のひとつに使われることになるのですよ」と同議員は問いかけた。「私たちが用途をきめたお金がすべてきちんとそのとおりに使われているか、適切に確認できているでしょうか?もちろんその答えは、バツです。というのも、これまで本当の意味での議論がこの議会の場で持たれて来なかったからです。私が思うに、米国民から、我々議員は恥ずかしく思われてしかるべきです。」


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 もちろんバンス議員の訴えは、聞く耳を持たない人々には届かなかった。火曜日(11月7日)、イスラエルだけに対する支援法案を棄却し、ウクライナと併せた支援計画の方向性を追求する審議の継続を決めた。現在私たちに伝えられている話は、ウクライナが米国民の血税による支援を受けなければ、とんでもないことになる、というものだ。米国国際開発庁 (USAID) が水曜日(11月6日)に議会に対して警告を発したが、その内容は、ウクライナに対する資金提供を国会が承認しなければ、ウクライナの経済は崩壊する、というものだった。

 ところで、USAIDという米国組織は、米国政府が、人道的支援という影に隠れて、他国の政権転覆工作を援助するために利用している組織だ。代表はサマンサ・パワーだが、この人物こそ2014年の国連米国大使時代に、ウクライナ政府による分離主義者に対する厳しい取り締まりを擁護した人物だ。これらの分離主義者は、選挙で選ばれた政府を転覆させた、米国が支援した政変に反対していた人々だった。

 言い換えれば、米国のこれまでの介入戦略が、こんにちのウクライナ危機の呼び水になっている、ということだ。ただし、このウクライナの事例は、米国政府が世界中で意図的に紛争の引き金をひく支援をしていた事例のひとつに過ぎない。一例をあげれば、ウクライナをNATOに加盟させようという米国の目論見は、明らかに超えてはならない一線に踏み込むものだった。ロシア政府が、ウクライナが西側の軍事機構に加盟することを戦争を起こすことなしに許さないことは、承知していたはずだった。


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 バイデンとNATOの従属諸国は、ロシア軍が国境を越えて侵攻するのを阻止できただろう。また、紛争開始後の数週間で、戦争を終わらせることもできただろう。ウクライナをNATOに加盟させないことにすれば、そうできたのだ。 そうならなかったのは、西側連合が紛争の激化をあからさまに望んでいたからだ。

 ミット・ロムニー共和党上院議員やダン・クレンショー共和党上院議員など、この代理戦争を支持している人々は、ウクライナでの紛争が、米国に被害を与えない形で、ロシア軍を弱体化させるという、米国にとっての好機になるという事実をあからさまに歓迎していた。

 この紛争が実際はロシアを弱くするのではなく、強くしてしまった事実があるなかで、こんな吸血鬼のような考え方には憤りを感じる。ウクライナとともにあり、自由と民主主義をまもるべきだ(実のところ、ウクライナには自由も民主主義も存在しないのだが)、と人々を説き伏せてきたのと同じ人々が、何十万人ものウクライナ国民を殺すことで、自分たちの地政学的利益を得ているのだ。

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 昨年までは一度も選挙に出馬した体験のなかった39歳の投機資本家であるバンス議員が指摘したのは、ウクライナでの大失敗は、これまで米国の長年の対外政策の大失敗の最新例の一つに過ぎない、という点だった。しかもこれらの政策は民主党も共和党も支持してきたのだ。「この30年間、米国政府は2大政党制のもとで培ってきた知恵のもとで、対外政策をとってきましたが、その対外政策の結果、我が国は1兆7千億ドル(約250兆円)の赤字を抱え、戦争に次ぐ戦争にさいなまれ、何千もの米国民を亡くし、何百万もの他国民を殺してきましたが、結局我が国が戦略的に強くなることにはつながっていません」。

 さらにバンス議員は、「私たちは、この30年における我が国の二大政党下の外交政策の常識が大きな間違いであったことを認めるべきなのです。ほんとうに我が国にとっての大惨事でした。亡くなった我が国の海兵隊や陸軍兵、海軍乗組員、空軍兵らにとっての大惨事でした。さらに我が国の財政にとっても大惨事でした。それだけではなく、全世界にとっても大惨事でした」と述べた。

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 バンス議員や私たちにとって残念なことに、このような教訓は米国政府のお品書きには記載されていない。

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ガザの逆襲。それは、もうひとつの9.11か真珠湾攻撃だが、実際には誰が誰に何をしたのか? 「これは偽旗作戦の可能性がある」

<記事原文 寺島先生推薦>
Gaza Strikes Back. It’s Another 9/11 or Pearl Harbor but Who Actually Did What to Whom? “This Was More Likely a False Flag Operation”
「元現場諜報員の私は、今回の反撃がおこなわれた原因は、イスラエル側の組織的な失敗というよりは、偽旗作戦に近いものであった、と確信している」
筆者:フィリップ・ジラルディ(Philip Giraldi)
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月1日





この記事の初出は2023年10月16日

 米国の思想統制された報道機関は、複数の解釈が可能な国際的事件が起きると、ほとんど即座にぴったりの言説を思いつくことができるのは驚くべきことだ。

 1948年以来、イスラエルは何十万人ものパレスチナ人を故郷から追放してきた、

 パレスチナが歴史的に領有してきた地域のほぼ全域を占領し、自軍に何千人もの地元住民を殺害する権限を与えてきた。

 さらに最近では、パレスチナ・アラブ人がユダヤ人と同じ人間であることさえ否定するアパルトヘイト体制を確立した。

 ネタニヤフ政権の大臣の一人であるアイェレット・シャクドが、彼らが「小さな蛇」と呼んだパレスチナの子どもたちだけでなく、その子どもたちを産んだ母親もすべて抹殺すよう要求したことは記憶に新しい。

 しかし、アラブ人が、限られた軍備で、自分たちに向けられた憎悪に対して反撃すれば、イスラエル側は被害者として描かれるが、パレスチナ人は人間扱いされず、「テロリスト」として描かれる。

 米国や欧州の報道機関は、手ごわいイスラエル国境防衛線を突破したハマスの攻撃を「イスラエルの9.11」、あるいは「イスラエルの真珠湾攻撃」とも表現し、イスラエルが残酷で無慈悲な敵による「いわれのない」攻撃を受けたという文脈を定着させようとした。

 イスラエルはこの攻撃に対し、ガザへの激しい砲撃で病院や学校などの生活基盤施設を破壊し、食料供給や水、電気を遮断した。

 ガザ北部の住民110万人全員に対し、地上攻撃に備えて避難するよう要求しているが、すべての国境が閉鎖されているため行き場がなく、国連は「壊滅的な人道的結果」をもたらす要求だと指摘している。ジャーナリストのピーター・ベイナートは「これはとんでもない犯罪だ。しかもこの行為は、アメリカの支援を得て、平然と行われている」と述べた。

 そして、米国政府は実に典型的にイスラエルと同じ立場にある。ジョー・バイデン大統領は、ユダヤ人の赤ん坊が死んだという捏造された話を引き合いに出し、イスラエルには自国を守る「義務」がある一方、パレスチナ人には自国を守る権利などまったくなく、ましてや自由を求めて迫害者に立ち向かう権利などない、と語っている。

さらに米国政府は、この紛争に直接関与することを躊躇なく選択し、完全にこのユダヤ人国家の側に立ち、「イスラエルには自衛権がある」と繰り返し主張し、イスラエルに「われわれはあなた方の味方だ」と伝える一方で、空母2隻を戦闘現場に派遣し、第101空挺団をヨルダンに派遣し、クウェートに駐留する海兵隊の即応態勢を強化した。

 ホワイトハウスは、停戦と協議を促すためにもっと積極的な措置を取ることもできたはずだが、その代わりに、包囲されたパレスチナ市民を脱出させるという口先だけの呼びかけを行う一方で、イスラエル軍の壊滅的な対応を支持することを選んだ。


イスラエルのネタニヤフ首相と会談するアントニー・ブリンケン米国務長官(2023年10月12日、テルアビブにて)。画像は、アントニー・ブリンケン国務長官のX投稿記事から。

 イスラエルはまた、役立たずで、まるで脳死状態にあるかのようなロイド・オースティン国防長官を出迎える。この国防長官は、ハマスは「邪悪」で「ISISよりたちが悪い」という捉え方で、ネタニヤフに助言しようとしているのだ。いっぽう、アントニー・ブリンケン国務長官はすでにエルサレムに滞在しており、「米国が存在する限り」、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の統一政権を支持すると発表したが、その前に、「私があなた方のところに馳せ参じたのは、米国国務長官としてだけではなく、一介のユダヤ人として、です」とも語っていた。

 ブリンケンが、自身の個人的な宗教と米国の役人としての公的な役目を明らかに一緒くたにしたことから分かることは、なぜブリンケンがイスラエル入りしたのかの一番の理由が、彼自身がユダヤ人であることにあった、ということだ。おそらく彼は、イスラエルを含む政策決定から身を退くべきだ。彼が「ユダヤ人」であることはアメリカの国益にそぐわないし、現在の進行状況に対して、不合理な反応を生じがちになるからである。 

 これらのことすべてがウクライナでの状況とよく似ている、とお感じになるのももっともだ。ただし、ウクライナで、米国が欧州諸国と共に戦っている相手のロシアは、ウクライナの正当な領地とされる地域を占領したと言われ、悪者にされているが、パレスチナでは、まがうことなき真の占領者であるイスラエルが支持されている、という点が相違点なのだが。

 おかしなことだが、「偽善」ということばが、即座に頭に浮かぶ。ただし結果的には、私は各種報道機関が報じている、ハマスによる攻撃は、9-11に何となく似ている、というのと同意見だ。ただし、私の捉え方が、CNNのジェイク・タッパーが捉えている世界からは受け入れられない異質なものでいることは間違いない。

 私の考えは、イスラエルはその広範なスパイ網によって、米国の9-11を事前に知っていた、というものだ。知っていた上で、その情報を米国に伝えなかった。その方が自分たちに利がある、と考えていたからだ。

 実際、ご満悦のネタニヤフ首相は数年後、「9-11は、米国を我々の戦いに参加させたのだから、いいことだった」とさえ述べている。

 9-11の攻撃により3000人ほどの米国民が亡くなったが、そんなことはイスラエル政府には重要なことではなかったのだ。というのも、1967年、米海軍の情報収集船USSリバティ号への攻撃で34人の船員が犠牲になったのを皮切りに、イスラエルは米国民を殺すことで利益を得てきた長い歴史があるからだ。

 今回のガザの件でも、ネタニヤフ首相は予期せぬ展開を奨励し、9-11のような事態を引き起こして、イスラエル人が言うところの「草刈り」をアラブ・パレスチナの残りの地域でおこなおうと考えたのかもしれない。

 そして、念頭に置いていただきたいことは、蜂起の引き金となった実際の事件は、イスラム教で3番目に神聖な場所であるアル・アクサ・モスクとその周辺で、少なくとも800人のイスラエル人入植者が暴れまわり、巡礼者を殴打し、パレスチナ人の商店を破壊したことだった。暴動は明らかに政府によって許可され、奨励さえされていた。

 元現場諜報員としての経験から、イスラエル側の組織的な失敗というよりは、偽旗作戦に近いものであった可能性が高いと私は確信している。

 イスラエルは、兵士と兵器に支えられた大規模な電子的・物理的な壁で、陸側のガザを完全に取り囲んでいた。あまりに強固な守りだったため、ネズミ一匹でも入り込めない、と考えられていた。

 ガザの地中海側もイスラエル海軍によって厳重に管理され、ガザを行き来する船は完全に封鎖された。


 エジプトはシナイ半島と国境を接するガザ南部を厳重に管理していた。つまり、ガザは24時間365日、常に完全な監視と統制下にあったのだ。イスラエル軍情報部もまた、ガザ内部で訓練や動きを報告する情報提供者の情報網を持っていたのは確かだ。飢えに苦しむ人々に近づき、彼らが見聞きした情報を提供するためだけで、断れないような申し出をさせることができるのであれば、それは簡単なことだ。

 ハマスの攻撃の10日前には、エジプト政府からイスラエルへの警告があった。エジプトの情報大臣アッバス・カメル将軍が自らネタニヤフ首相に電話をかけ、ガザの人々が、「異常で、恐ろしい作戦」を行う可能性があることを示唆する情報を共有していた。他の報道機関の証言によれば、ハマスがどのように訓練し、公に作戦を練っていたかが明らかになっている。また、米国の情報機関による評価もあり、それはイスラエルと共有されており、何かが起こる前触れがあることが共有されていた。つまり、すべての証拠を踏まえると、ハマスの攻撃を予測し、それに対抗するための諜報活動の失敗はなかった可能性が高い。むしろ、何が起こるかを知っていた。イスラエル政府が政治的決断を下し、「ハマスの全構成員を死人にする」と誓い、ガザを破壊する口実を得るために攻撃を続行させることを選んだのだろう。そして「その先」にあるのは、レバノン、シリア、イランかもしれない。特にイランは、今のところ何の証拠もないまま、ハマスの攻撃に関与した当事者として、いつもの容疑者たちからすでに非難されている。このような言説が流布されるときにはよくあるいつもの手なのだが。


今年1月3日、アル=アクサー・モスクを訪問中のイスラエルのイタマル・ベン-グヴィル国家安全保障大臣(画像はソーシャル・メディアから)

 イスラエルは政治的に右傾化しており、その本気度を示すために、小規模の民族浄化はありがたがるかもしれない。ネタニヤフ首相をはじめとする政府高官たちは最近、パレスチナの町や難民キャンプに対する軍の襲撃強化を正当化するために、国内の「治安情勢が悪化している」という言葉を口にしている。イスラエルの新政権はまた、国家安全保障大臣として、超国家主義者のユダヤ勢力党イタマル・ベン・グヴィル党首の管理下に警察を置いた。同大臣はその立場を利用して、特にガザのハマス壊滅のための戦争を呼びかけ、実際に戦争が勃発している。ガザはハマスという武装した組織的抵抗勢力の本拠地であり、ベン=グヴィルや他の人々にとって特に興味深い場所であるが、奇妙にも、このハマスはイスラエル側の支援により創設されたものだ。その意図は、パレスチナの政治運動を、ヨルダン川西岸のファタハとガザのハマスという2つに分断することにあった。

 今回の戦闘に関して、答えが知りたくなるもうひとつの疑問点は、いったいハマスがどうやって武器を手に入れたのか、という点だ。

 明らかにほかの部品やくずから製造されたものもあるが、洗練されたものもある。しかしガザは四方を封鎖されているため、密輸入は普通にはできない。イランなどから供給されてトンネル経由で持ち込まれたという説もあるが、トンネルの2本はイスラエルに、3本目はエジプトにつながっているものだ。4本目のトンネルは地中海とつながっている。とすれば、これらの武器はどのようにして到着したのだろうか?三重、あるいは四重に経路が用意されていて、そのあいだで、さまざまな関係者が互いに嘘をつきあっている、ということはありえないだろうか?そして、米国の艦隊がガザ沖に到着した後、ネタニヤフ首相が仕組んだ何らかの偽旗事件が起こり、米国が直接戦闘に巻き込まれるのではないかという心配をしても、心配のし過ぎでないのではないかもしれない。

 さらに、少なくとも名目上は人権が尊重されている米国、そして一般的な言い方をすれば「西側世界」のすべての人々にとって懸念すべき問題も存在する。

 ほとんどすべての西側諸国政府から伝わってくることは、イスラエルは、それが大規模な強制移住や大量虐殺を含む戦争犯罪を伴う場合であっても、好きなことをする白紙委任状を持っているというものである。この場合、イスラエルをあらゆる批判から守ることを目的とした政府と報道機関の協調的な対応が、ほとんど即座に残虐行為の捏造話を流し始め、同時に言論と結社の自由にも打撃を与えた。危機を和らげようとするはずのバイデン大統領は、ハマスについて「純粋に、混ぜ物のない悪が、地球上に解き放たれた!」と発言し、かえって火に油を注いでいる。

 フロリダ州では、シオニストの手先であるロン・デサンティス知事がユダヤ教指導者たちとシナゴーグ(ユダヤ教の教会)で会談し、イランと何らかの関係を持つ企業への制裁を含む、イランに対する強硬措置を発表した。デサンティス知事はまた、「ハマス撲滅」を訴えた。同知事の執念深さは、同時に、ガザの難民は「反ユダヤ主義者」であるため、米国は難民を受け入れるべきではないと述べるほどであることが明らかになった。

 リンゼー・グラム上院議員(男性と呼ぶべきか、女性と呼ぶべきかは置いておく)が、米国のイラン攻撃を呼びかけるとともに、ハマスに対する「宗教戦争」を宣告し、イスラエル軍がガザを攻めるようけしかけ、「その土地を更地にするくらい」、「しなければならないことはすべてやり尽くさなければならない」とも語った。

 そしてヨーロッパ諸国も同様に、イスラエルに対する忠誠心で腰が砕けている。イスラエル大統領は「ガザに罪のない市民はいない」と宣言し、それから間もなく欧州連合(EU)の代表が大統領と会談し、無条件の支持を表明した。一方フランスでは、エマニュエル・マクロン政権が、パレスチナの権利を支持する集会を非合法化しようとしている。

 英国では、スエラ・ブラヴァマン内務大臣が、イスラエルの行動に対する抗議やパレスチナを支持するあらゆるものを犯罪とし、パレスチナの国旗を公に掲げることを禁止することまで提案している。同内務大臣は、そのような行為を「英国内に住むユダヤの人々に対する犯罪行為である」としていた。

 さらに同内務大臣は、「私は警察にこの歌を検討するように働きかけたい。『川から海まで、パレスチナは自由だ』といった歌を合唱することが、イスラエルが世界から抹殺されることを望む暴力的な願望の表現と理解されるべきかどうかについて、また、ある特定の状況で、そのような歌を歌うことが、人種差別として公序良俗法第5節の違反にあたるかどうかについてである」、とも述べた。ドイツ検察庁も、このような歌を歌うことを「犯罪行為」と分類している。西側の政治的指導者層のほとんどが、イスラエルとその卑劣な指導者たちの血なまぐさい復讐への願望に何の疑問も挟まないどころか、熱狂的に賛同までしている様子は、実に衝撃的だが、驚くにはあたらない。

 国家統一政権の結成に伴う不安定要素を抱えていたネタニヤフには、ガザの問題だけでなく、別の利点があることを指摘するイスラエル国内の声もある。今回の騒ぎにより、ネタニヤフが提案していた法改正に対する大きな抗議運動を止めることになったからだ。今後数週間のうちに、このすべてが政治的にまとまれば、「ユダヤ民族はイスラエルの土地のすべてに対して排他的かつ不可分の権利を有する」というネタニヤフ首相の主張に沿った、かつて見られたようなパレスチナの完全な民族浄化へと発展する第一歩を見ることになるかもしれない。つまり、かつてのパレスチナの地はすべてユダヤ人の土地として定義されることになるのだ。ユダヤ人が完全な支配権を持ち、何ら異議を唱えることなく自由に好きなことができる土地となり、イスラエル政府が「完全に自治権を有する」土地になるのだ。そしてこれら全てのことは、現在、ガザで展開されている状況によって実現されたのである。
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気候変動危機説を覆す17件の質問

<記事原文 寺島先生推薦>
17 Questions to Challenge the Climate Change Crisis
筆者:ポール・A.フィリップス(Paul A. Philips)
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月1日





この先大規模な気候変動が待ち受けている、と私たちはずっといい続けられてきた。しかし、破壊的な飢饉や洪水、熱線に対する賢くない対応をとることで、母なる地球は崩壊の危機に瀕している。それは気候変動に対する考え方が間違っているせいだ。

多くの人々がこの気候変動危機の主張に異議を唱えている。欺瞞に満ちたディープ・ステート(影の政府)の道具だ。眠っている大衆を統制し、世界を救うという口実のもと、人工的に作られたディストピア(暗黒社会)に盲目的に足を踏み入れるよう、人々の従属を得るために使われるPSYOP(陽動作戦)だ。

このことを踏まえ、気候変動危機の主張と、それに関連する、いわゆる予測される破滅的な出来事を防ぐために何かをする必要があるという意味合いに疑問を呈するための、真実を追求する17の質問を紹介する。

Q1. もし気候変動が本当だとしたら、どうして関連する災害が起こる予測が当たらなかったのですか?

以下にその予測を示す。

・始まりは自称気候変動専門家のジェームズ・ハンセンだ。この人物が1988年に予測したのは、ニューヨークのハドソン川に並行する西側の高速道路が20数年後には水に浸かるだろう、ということだった。しかし、グーグル画像で見ると、まだその高速道路は乾いたままだ。

・インディペンデント紙(一体どこが「インディペンデント:独立」しているのか聞きたくなるが)は、2000年以降、雪が降らなくなる、と予測していた。

別の主流紙は2004年、勇ましいファンファーレを鳴らすかのごとく、恐怖を煽る記事を出し、ヨーロッパの諸都市は2020年までに海面上昇で水没し、消滅する、と主張していた。

気候変動の第一人者と呼ばれるアル・ゴアは2006年、ドキュメンタリー映画『不都合な真実』の中で次のように主張した:

・10年後(2016年。つまりこのドキュメンタリー映画の2006年から10年後)にはキリマンジャロの雪はなくなっている。← いいえ、まだある。

・ゴアは、2013年には北極の氷がすべて溶ける、としていた。

・その氷が溶けることで、海水面が20フィート(約6メートル)上昇する、としていた。

・2008年のNASAの科学者の予測では、地球上から氷が消え失せる、としていた。

・以下は、グレタ・トゥーンベリが1度投稿して、のちに削除したツイートだ。



気候変動危機―人騒がせな報告

Q2. 長年にわたって、気候変動が原因であると私たちを怖がらせるような警鐘的な報告や話がかなり多くありましたが、後に、上記の誤った予測と同様に、これらの話が真実でないことが証明されたことを考えると、これらもまた、暗黒世界への移行を押し付けるための世界経済フォーラムの管理手段として、偽の気候変動を利用した事例なのでしょうか?

以下に、人騒がせだが真実ではないこのような気候変動の例を記す。

・BBCは、南極の氷が急速に溶けて海流の速度が劇的に低下し、「気候に悲惨な影響を与える可能性がある」 と報じた。おとぎ話のような恐ろしい話を支持する、ネット・ゼロ計画の隠れた報道の中で、あえて触れられなかった事実は、NASAの研究がこの主張とは正反対のことを発見した、ということだった。南極の氷は実際には均衡を保っており、溶けてはいなかったのだ。

・大手報道機関が大きく取り上げている事象のひとつに、気候変動のせいで、ホッキョクグマが絶滅の危機にある、というものがある。しかし、動物学者のスーザン・クロックフォードは、この作り話を完全に否定し、ホッキョクグマの数は実は増えている、という自身の研究を提示している。

・そして、デイビッド・アッテンボローが、氷不足と気候変動のためにセイウチが減少しているというインチキを主張した、誤解を招くネットフリックスの映画があった......。

・真実でない話と同様、気候変動に関しても、空想的なまでに誇張された話が数多くある。 これは、その主張が本当であると私たちを説得しようと必死になっているためである。例えば、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、「地球の気温は過去12万5千年間で最も高い」と伝えている。

科学的な結論は出ていない。しかし、この、豊富な資金を受けている人たちはいつから、この言説にのっとって行動するようになったのでしょうか。



Q3. 間違った気候変動の危機や緊急事態が存在しないことを示す真の科学は、グローバリストの億万長者の政治的意図に反するため、無視されたり、検閲されたり、あるいは悪者扱いされたりしているのではないですか?

Q4. 「15分都市」や滑稽なネット・ゼロ炭素計画、「スマート」都市などの政策を非民主的に受け入れることや、そのような考え方自体を受け入れることは、自分で自分を投獄することに同意したことになるのではないのでしょうか?

Q5. 上記のようなことと同様、英国が2050年までに全ての空港の閉鎖を求めていることや、他の国々がこれらの政策の根本的な動機や考え方を取り入れようと検討していることについて、どうお考えですか?

Q6. なぜ炭素(二酸化炭素)を悪者扱いするのですか?二酸化炭素は生命に必要な大気であり、すべての生命は、炭素循環に依存しているというのに。二酸化炭素量を減らそうという政治的な意図に引きずられた計画は、私たちにとっていいことにはなりません。実際、国連の目標は平均気温を10℃下げることになっていますが。

Q7. 他の官僚らが「危機的状況にある」と宣告するなか、この対応法では、いい方向ではなく悪い方向に向かうのではないのでしょうか? 目を覚まさせられるような以下の動画をご覧ください。



気候変動活動家たち

 最近、気候変動活動家の数、さらにはこれらの活動家の過剰な行動が懸念されるほどに増加している。さらにこれらの活動家は、人々からの支援をますます受けており、資金提供を受けている人々も存在する。そのことを念頭におき、これらの気候変動活動家やその活動に焦点を置いた疑問点を以下に示す。

Q8. 石油やガスの使用を止め、代替のエネルギーへの移行さえ考慮に入れられていますが、化石燃料によるエンジンは、病院や食糧需要といった生活必需品の輸送には、まだまだ必要なのではないのでしょうか?

Q9. さらに、代替エネルギー、例えば、風力タービン、鉄鋼、電力用電源などは、化石燃料を使用した作業なしで動かすことができるのでしょうか?

Q10. 上記のことを念頭に置けば、これらの活動家が提唱する、石油やガスを止めたり封鎖したりする取り組みは、あきらかに自分で自分の首をしめる行為にならないでしょうか?

Q11. 絶滅を食い止める活動に関して、これらの活動に関わる警察による取り締まりや器物破損罪、混乱の抑制などにかかる費用はどうなるのでしょうか?

Q12. 気候変動の主張を覆すような食い違う証拠に対して、これらの活動家はどう対処するのでしょうか??

Q13. 二酸化炭素やメタンが気候変動の要因としてどれほどの割合がある、とお考えですか?

Q14. もっと長期的な視点で見た、太陽活動の変化や10年あるいは1000年単位で見た太陽極小期が、気候変動にどれほど影響を与えている、とお考えですか?

Q15. Q7に関して、化石燃料が存在しなかったころの、気候変動の変移について考えてみてはいかがでしょうか?

Q16. 企業が所有し、統制しているMSM(主流報道機関ならぬ気が狂った報道機関「mad stream media」)が気候変動について取り上げ、嘘を流し、隠蔽し、真実をゆがめていることについては、どうお考えですか?これらの報道機関は、「きちんとした科学」ではなく、「きちんとした資金源」 の考えをもとに、会社の偉いさんやご主人様に言われたとおりの報道を人々に流しています。つまり、いいお金をもらうために、真実を棚にあげた報道をしているのです。

Q17.これらの活動家たちは資金をもらっているようですが、だれが得をするのでしょうか?

気候変動危機のまとめ

 多くの人々は目を覚ましつつあるが、まだ、「無関心という疫病」にかかったままの人々もいる。いまでも人々は盲目的に権威者のことばを受け入れ、世間で通用していると思われている常識に疑問を挟むことなく同意している。その「常識」こそ、影の政府とその関係者たちがよりどころとし、とらわれた計画を前進させようとしているものだ。そしてその計画はPSYOPS(陽動作戦)と間違った証拠で固められている。

 以下のことばを念頭に置いてほしい。「すべてのことに疑問を持とう。大手報道機関がまきちらす呪文のような偽情報を打ち破れ。多くの人が、「気候変動など起こっていない」と主張している。実際は、世界をのっとろうという暗黒な企みなのだ」
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