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ウクライナ、EU諸国へのロシア産ガス供給を約束

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine promises Russian gas to EU country
ウクライナ当局はロシア側との通過契約なしでもオーストリアへの供給を継続する、と高官が主張
出典:RT 2023年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年11月19日



スプートニク/アレクセイ・ヴィトヴィツキー


 ウクライナのオルガ・ステファニシナ副首相は木曜日(11月9日)、オーストリアの放送局ORFの取材に対し、ロシアとウクライナ間の現在の中継契約が延長されなくても、ロシアのガスはウクライナを経由してオーストリアに供給される、と約束した。

 同放送局によれば、同副首相は、ウクライナは「信頼できる友好国」であり、現在の契約が終了した後も、ロシアからオーストリアへのガス輸送を継続する、とオーストリア政府に確約したという。ステファニシナ副大臣は、その見返りとして、EU加盟諸国がウクライナのEU加盟に関する協議の開始への同意を希望する、と表明した。

 ウクライナとロシアの現在のガス輸送協定は2024年まで有効であり、ウクライナ政府関係者によれば、新たな協定について交渉がおこなわれる可能性は低い、という。ウクライナの国営エネルギー会社ナフトガス社のアレクセイ・チェルヌィショフ代表は最近のインタビューで、「延長する意図も構想もない」と述べた。

 EUが仲介したロシアとウクライナの現在の5年契約は、旧契約が期限切れを迎えるわずか24時間前の2019年に締結された。この契約において、ロシアの巨大エネルギー企業ガスプロム社は、2020年にウクライナを経由して650億立方メートル、2021年から2024年にかけては毎年400億立方メートルのガスを輸送することに合意した。

READ MORE: Kiev won’t extend gas transit deal with Moscow – Naftogaz

 ステファニシナ副大臣によると、ウクライナ政府はEUの友好諸国と協力し、この先、法的・政治的に混乱が生じても、オーストリアにロシア産ガスを供給する解決策を模索する、という。

 現在、ウクライナを経由したロシアのガス供給は、ロシア側のヨーロッパ向けガス輸出の5%を占めている。しかし、オーストリアを含むいくつかのEU諸国は、いまだに制裁を受けた国であるロシアからの輸入に大きく依存している。

 特にオーストリアはロシアからのガスの約3分の2をウクライナ経由で得ているため、ウクライナの副首相の発言は波紋を呼んだ。ORFによれば、オーストリアのエネルギー大手OMVはモスクワと2040年までの長期供給契約を結んでいる。
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ロシアには500万人のウクライナ難民がおり、うち73万人以上は子ども – ロシア外交官の発表

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia has five million Ukrainian refugees – diplomat
到着者のうち73万人以上が子どもで、そのほとんどが親類とともにこの国に来た、とロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表は発言
出典:RT  2023年11月11日
<記事翻訳:寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月19日





ロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表©スプートニク / ヴァレリー・シャリフリン

 ロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表は、ウクライナとの紛争開始以来、ロシアはウクライナとドンバスの500万人以上の住民を歓迎してきたと述べ、その中のかなりの数が戦闘から逃れてきた子どもたちだ、と付け加えた。

 同代表は金曜日(11月10日)、子どもの強制隔離と不法搾取に関する国連安全保障理事会の会合で演説し、すべての難民が「自発的に」ロシアに向かったことを強調した。

 ネベンツィア代表は、ロシアは2014年以来、ウクライナ側の砲撃の標的となってきたウクライナとドンバスから73万人の子どもたちを受け入れてきたとし、ロシアが未成年者を「誘拐」したとする西側諸国とウクライナの主張を否定した。

 同代表は、「これらの子どもたちの圧倒的多数は、両親や他の親類とともにやって来た」と述べ、ロシアのドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国にある孤児院から、施設の教育者が同伴して連れてこられた子どもはわずか2000人だけだ、と付け加えた。

 ネベンツィア代表によれば、一時的に家庭に預けられた子どもはわずか35人だった、という。同代表は「養子縁組の話は一切ない」と強調し、これらの子どもたちは要請があれば直ちに親族の元に返還されるというロシアの従前の立場を繰り返した。

 「それにもかかわらず、西側諸国はこの状況を意図的に誇張し、問題として提示しようとしています」と同外交官は指摘し、2万3000人以上のウクライナの子どもたちが同伴者なしで欧州諸国に移住しているという事実に西側諸国が対処できていないとして非難した。

 「このような子どもたちを登録し支援する体制は取られていません。それにもかかわらず、西側諸国におけるこのような子どもたちの受け入れが、親の同意なしで子どもを強制移住させたり国外追放させている行為ではなく、戦争の恐怖から子どもたちを救い出す行為としてとして捉えられているのです」とネベンツィア代表は語った。

READ MORE: Number of Ukrainian refugees in EU revealed

 ロシア当局者らはずっと、ロシア政府は子どもたちの命を救うために紛争地域から子どもたちを避難させていると主張してきた。しかし、国際刑事裁判所(ICC)は3月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とロシアのマリア・リボワ・ベロワ児童権利委員に対し、子どもの「不法国外追放」を理由に逮捕状を発行した。ロシア政府は、ICCの権限を認めていないため、令状は無効である、と宣告した。
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先住民による抵抗運動:ウンデット・ニーからスタンディング・ロックまで

<記事原文 寺島先生推薦>Indigenous Resistance: From Wounded Knee to Standing Rock
筆者:ディビッド・バラミアンとニック・エステス(David Baramian and Nick Estes)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年10月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年11月19日





 ニック・エステスはローワー・ブル・スー族の市民であり、ミネソタ大学でアメリカン・インディアン研究の助教授を務め、先住民の抵抗組織「レッド・ネーション」の共同設立者でもある。
 著書に『我々の歴史こそ未来だ:スタンディング・ロック対ダコタ・アクセス・パイプラインの戦いと先住民による抵抗運動の長い歴史』がある。このインタビューは5月にコロラド州ボルダーを拠点とするオルターナティブ・ラジオで放送されたもので、この文書はそのインタビューを長さとわかりやすさのために編集したもの。


ニック・エステス氏

質問者:今年はアメリカ先住民にとって歴史的な出来事であったウンデット・ニー占拠事件から50年たった記念すべき年です。この事件の何が重要だったのでしょうか?そしてこの事件は、今でも先住民の心に響いているのでしょうか?

ニック・エステス:2月27日に、50周年を記念して、3日間のパウワウ(宴)やダンス競技会、口述歴史の取り組みなどが持たれました。この口述歴史は、米国先住民によるレッド・パワー運動における米国先住民の女性や指導者たちの役割について述べたものでした。
 多くの点において、ウンデッド・ニーがこんにちでも大きな影響力を維持しているといえるのは、レッド・パワー運動を起こした人々の子どもたちが今の運動を先導しているからです。スタンディング・ロック運動も第3石油パイプライン建設反対運動もブラック・ヒルやパハ・サパをラコタ族に取り戻そうという運動も、すべてが世代を超えた戦いです。
 多くの点において、レッド・パワー運動とウンデッド・ニーの遺産は継続されてきたのです。

 ウンデッド・ニー占拠事件についての一般的な記憶において何度も強調されてきたのは、この事件がそれまでいくぶん好戦色の強かったレッド・パワー運動の終焉に繋がった、という点です。
 実際、参加者たちの記憶によると、この事件はその後に続くもっと偉大な動きの始まりに過ぎませんでした。というのも、その翌年、国際インディアン条約会議がスタンディング・ロック居住地で立ち上げれられたからです。1977年には、(アメリカの先住民族に対する差別に関する)国連会議が開かれましたし、1988年には、ブラック・ヒル集会があり、何千もの白人牧場主、農民、 様々な環境団体が集まり、ブラック・ヒル保全を訴えました。ウンデッド・ニー運動が、それまでの対立色の強かった戦略から別のものに変わる転機になったのです。

Q:この事件とダコタ・アクセス・パイプラインでの抵抗運動とはどのように繋がりますか?

エステス:多くの点で繋がります。一例をあげれば、ウンデッド・ニーで活躍した人々が、スタンディング・ロックで活発に役割を果たしました。クライド・ベルコート、マドンナ・サンダー・ホーク、ビル・ミーンズなどのような人々です。
 私がキャンプにいたとき、これら全ての人たちもそこにいました。皆、このような状況においてすべきことをしていました。つまり、調整し、組織し、ある種の行動的志向とも言える設備封鎖、収容所での生活の組織化、条約や先住民の主権の重点化を推し進めてくれたのです。

Q:このような歴史に名を刻んだような年配の方々が近くにいてくれることで、どんな影響力や推進力が生まれるのでしょうか?

 ダコタ・アクセス・パイプラインを止めることはできませんでしたが、この運動は勝利だったと言えます。というのも、この戦いは、炭素に基づく経済や抽出される天然資源に依存した経済に対する、より長期にわたる戦いの一部だったからです。

エステス:私がいつも人々に伝えていることのひとつに、「私が言ってることや私が示していることは実は新しいことではない」ということがあります。私の発言や考えの多くはこれらの先人たちがおこなってきた活動に基づく内容を繰り返し、打ち立てているに過ぎません。
 条約上の権利についていえば、ブラック・ヒルの大地、さらにはダコタ・アクセス・パイプラインを返還させることについて、水と条約に関わる問題は、先人たちの世代でも、戦ってきた対象でした。先人たちがこれらすべての問題を解決できると考えていた、とは私には思えません。だからこそ、先人たちはサバイバル・スクールといった施設を立ち上げたのです。次の世代の子どもたちに、条約上の権利や先住民の主権とは何かを教え込むために、です。私のような人にとっては、これらの事実を発見するには自分自身で色々なところに出かける必要がありました。
 私がいま取り組んでいることのひとつに、これら先人たちの歴史の価値を高めようとすることがあります。というのも、先人たちの功績が当たり前のことであるかのようにとらえられてきたからです。
 「主権」ということば、土地の奪還という意志、これらは「アメリカ・インディアン運動(AIM)」や「レッド・パワー運動」よりも先駆けて唱えられていたのです。

Q: アメリカ・インディアン運動の活動員の一人だったジョン・トルーデルがよく言っていたのは、FBIは「連邦捜査局」の頭文字をとったことばだ、ということでした。この50年以上、監視の目や支配の枠組みはますます厳しくなってきています。アメリカ先住民に関して、これらのことはどう影響を与えていますか?

エステス:多くの点で影響を与えています。FBIなどの連邦法執行機関の最も大きな汚点のひとつは、多額の資金援助をした記録が残っているのに、殺されたり行方不明になった先住民の女性たちの問題はどれほど解決されたのか、という点です。先住民居住地は、連邦の管轄下にあるはずなのに、です。

つまり、FBIが長年ずっと素晴らしい仕事をし、これらの連邦諸機関に多額の資金を投入してきたというのであれば、実際にいったい何をしているのか、ということです。
 私たちは、何度も何度もFBIは貧困、住宅問題、すべての種類の土地問題、環境問題に対応しようとするためのまっとうな活動を取り締まっているのに、先住民や黒人が先導した運動は過度に重視していて、FBIが本来果たすべき他の機能について問い直すことはしていない、と理解しています。

 このような状況を表す完璧な事例が1975年にありました。パイン・リッジ・インディアン居住地に、何人のFBIの捜査官が配置されたかを見てほしいです。いま、サウス・ダコタ州全体で、現場で動くFBIの捜査官は2人ほどしかいません。しかし1975年の銃撃戦の直前、パイン・リッジ・インディアン居住地にいたFBI捜査官は30名でした。

 当時何が起こっていたのでしょう?米国公民権課の調べでは、いわゆる恐怖政治が敷かれていて、AIMの支持者や支持者と思われていた人々の身に数十件の殺人事件が生じた、といいます。殴打や強姦などFBIが捜査すべきあらゆる種類の犯罪が起こっていたそうです。つまり、居住地におけるFBIの捜査官の数が増えたのは逆効果だった、ということです。

 ここでその相関関係について触れるつもりはありませんが、当時、居住地でのFBI捜査官の数が増えたことで、凶悪犯罪の数も増加したのです。なぜ、そんなことが起こったのでしょうか? FBIが政治的警察の役割を果たしていたという事実を明らかにすることを、捜査の対象のひとつとすべきなのです。

 FBIは確かに政治的警察の役割を果たしていました。

 FBIは、(1970年代に上院に設置されていた)チャーチ委員会を受けて、改革されることになっていましたが、ご存知のとおり、そうはなりませんでした。
 9/11に伴う、いわゆるテロとの戦いにおいて、大規模な保安・監視組織が立ち上げられたのです。
 このような動きは、90年代のいわゆる「グリーンの脅威」の直後に起こりました。この脅威を受けて、FBIは環境活動家らを監視し、これらの活動家を罠にかけて不法行為をさせ、環境活動に潜入させた事例もありました。

 スタンディング・ロック運動やそれ以外の運動においても同じような手口が使われていたのが分かっています。まだわかりませんが、きっとこの先、このような工作がおこなわれていたという証拠が明らかになることでしょう。
 これがいまの「新しい日常」であって、先住民が先導する運動だけではなく、米国内のいかなる真っ当な運動においても起こっていることなのです。

Q:今年はモンロー主義が出されてから200年という記念の年でもあります。この主義は、先住民の人々にどのような影響を与えたのでしょうか?

エステス:米西戦争の直前だった1893年、いわゆる「フロンティア学説」で有名なフレデリック・ジャクソン・ターナーが、あまり知られていない演説の中で以下のように述べています。「モンロー主義の芽生えは、オハイオ渓谷で作られた」と。その意味は、米独立戦争後、これらの白人入植者たちがオハイオ渓谷に殺到し、土地の所有権を主張したのは、米国政府が建国当初から持っていた意思だったから、ということでした。その意思とは、英国王室の支配から脱するために、西部に領土を拡張する、というものであり、支配から脱した後も、西部への拡張を続けることになってしまったのです。

 これは偶然のできごとだったと思います。モンロー主義に関して、何らかの陰謀はなかったと思っています。モンロー主義と「発見の教義」(1823年の最高裁でのジョンソン&グラハムの賃貸主対マッキントッシュ事件判決で出され、この判決を受けて発見の教義が連邦法に記載されることになった)は、偶然にも同じ年に出されたのです。

 しかしそのことの重要性は、ジェームス・モンロー大統領がその演説をおこなっていた際、同大統領はいわゆるアメリカ合衆国の建国の父たちの主張を引き継いでいたことにあります。トーマス・ジェファーソンやアレクサンダー・ハミルトンといった人々のことです。
 米国憲法起草時、ハミルトンが特に強調していた内容は、米国には強力で中央集権的な連邦軍が必要だ、というものでした。そしてその資金は、税金徴収により賄える、と考えていたのです。
 そしてそのような軍が必要な理由は、二つの敵に直面していたから、とされました。いっぽうの敵は、スペインやフランスや英国といった欧州諸国で、もういっぽうは西部にいた頑強な先住民族の国々でした。だからこそジェファーソンは独立宣言に、西部の開拓地には「無慈悲で獰猛なインディアンがいる」と記載したのです。まるで宣戦布告のようなものでした。それが建国以来、アメリカ合衆国の考え方だったのです。

 まるで宣戦布告のようなものでした。それが建国以来、アメリカ合衆国の考え方だったのです。

 発見の教義を連邦のインディアン関連法内に埋め込む際に、連邦裁判所のいくつかの判例を使うことにより、先住民の国々を米国内の従属国家にする法的根拠にされています。
 しかし、ほかにも先住民の国々を縛る条約上の手続きがあります。それこそが、ジェファーソンが使った手法なのですが、それが、先住民の国々を米国に縛り付けるための条文だったのです。その目的は、これらの先住民の国々を他の欧州諸国の手から守ることでした。そうすることで、西部に拡張した米国が北米での覇権を主張することができたのです。

 このような考え方は、モンロー主義がもつ精神や意図と同じです。モンロー主義とは、ラテン・アメリカ諸国を米国の統制下におき、これらの国々を従属させるためのものでした。
 そしてこの主義がここ200年でどう展開してきたかについては、その血塗られた証拠を私たちは自分たちの目で見ました。
 米国は他国の無数の軍事政変を支援してきました。今も続けられているベネズエラに対する制裁、半世紀に渡るキューバに対する封鎖措置、ラテン・アメリカ諸国への終わらない介入、右派独裁政権の支持、米国が支援した民主的に選ばれたペルーペドロ・カスティジョ大統領の排除、エバ・モラレスを退陣させた米国が支援した軍事政変など、例を挙げればきりがありません。

Q:再建するか根本的に変革するか、どちらの立場を取られますか?暫定的な改善で上手くいけるとお考えですか?それとも、いまは過激で大胆な変革が求められているとお考えですか?

エステス:どちらが良いとはいいきれません。両方大事でしょう。この国、いやこの惑星の人々の生活の質を、ちょっとした改善で、もっとずっと住みやすくできるすべは確かにあります。

 ワシントンのアメフトチームのマスコットを排除し、(元)クリーブランド・インディアンスという名だったメジャー・リーグ球団(今の球団名はガーディアンズ)のマスコットを変えたとしたら、それは大きな変化ですが、それは新しい運動を樹立していることにもなっているのです。
 そしてこのような行為には心理学的効果があり、人々が集結すれば、何かを勝ち取ることができることを示すことになります。
 このような小さな変革をおこなえば、物事を成し遂げたり、勝ち取ったりすることは可能だということを示すことになります。

 いまの流れは、問題対処的手法です。私たちが教えられているのは、何か問題が生じた際にそれに対応した運動を起こすことであり、もっと大きな目でものごとを掴まないように、ということです。
 でも私は両方とも可能だと思います. . . . 確かに私たちはダコタ・アクセス・パイプラインを止めることはできませんでした。しかし、あの運動は勝利だったのです。もっと長期にわたる、私たちの炭素依存経済や抽出される天然資源に依存する経済を根本的に改革する一部になったからです。

 このような小さな変革をおこなえば、物事を成し遂げたり、勝ち取ったりすることは可能だということを示すことになります。

  ただし、「炭素ではなくグリーンな資源に基づく経済に移行すべきだが、それにはまだ今と同じような植民地的関係が必要だ。石油ではなく、リチウムをあなたがたの土地から抽出させてもらいます」と言われるだけでは済まない、別の代替案を求めて戦わなければなりません。
 グリーンなエネルギーに移行するためには、そのような資源が必要になることは事実ですが、交渉の上でことを進めるべきであり、いちばん影響を受ける人々の立場から考えるべきです。それが、穏健な改革の方向性です。

 過激派の立場から言うと、彼らはいつも「闘争の地平線」ということばを使います。なぜでしょう?その理由は、地平線に近づこうとすれば、目的地がどんどん遠くに伸び続けていくからです。
 このような弁証法的言い方を用いて未来や歴史というものが実際にどんな影響を与えるかについて考えなければ、真の到着点ではないどこかで、「ここでいいや」と安住してしまうかもしれないのです。

 しかしそれは人間の本質ではありません。人間の本質とは、常に進化することにあるからです。人類の文化は常に進化しています。
 確かに、私たちの間や相互関係や土地に関する不平等は常に存在します。解決すべき問題です。しかし、このような状況の変革は、革命という言い方をする時もありますが、瞬時に達成できるものではないのです。世代を超えて取り組まねばならないものなのです。

Q:国連のアントニオ・グテーレス事務総長が声を大にして訴えていることは、私たちが気候変動危機に直面していることであり、「時間が迫っている」や「時計の秒読みの音が聞こえる」などと語っています。
 気候危機に対して、どのような見方をされていますか? 今の国連のやり方では、大混乱を引き起こさないように対処するのに十分な機敏さを備えているとお考えですか?

エステス:未来を予見することはできませんが、いま起こっていることを伝えることは可能です。いま私たちが経験している炭素による弊害は、何世代も前の人々が起こした大気汚染に由来するものです。
 いま私たちが置かれている状況について考える際には、今この時だけのことを捉えて、気候が悪化している、と捉えがちです。
  しかし考えてみてください。私たちが体験している気候変動は、数世代前のときと比べて指数関数的にひどくなっています。そういう意味では、この先もっとひどくなるとしか思えないのです。

いま私たちが経験している炭素による弊害は、何世代も前の人々が起こした大気汚染に由来するものです

 さらに、もうひとつ重要な潮流が生まれていると思います。世界規模で見る、あるいは(国連)気候変動枠組条約締約国会議(COP)の会議を見るだけでも、それらはたいてい北太平洋諸国やNATO加盟諸国、呼び方はとうでもいいですが、これらの国々に支配されています。
 これらの国々が発展するために取っている方向性は、大量の炭素を必要とするものであり、そのツケは世界の他の国々が払っているのです。
 したがって、いわゆるこれらの第一世界諸国が生み出している大量の炭素のツケを、これらの国々が植民地にしている世界の他の国々が払っていて、さらにはこの先の世代の人々が払わなければならなくなるのだとすれば、これら第一世界の国々は永久的に発展しようとしている人々にも貸しを作ることになるのです。というのも、この先、発展しようとしている国々は、これまでの第一世界の国々と同じように、炭素を使い、排出することで、発展するという軌跡を追うことはできないからです。

 いま、インドは世界で最も人口の多い国になり、次から次へと石炭燃焼型発電所を建設しています。そんな中で、ニューヨーク・タイムズ紙などの西側報道機関は、(インドの発電所建設の結果)、大量の汚染が生み出されるだろう、と報じています。
 しかしこのことは、インドが原因となった問題ではありません。第一世界が原因なのです。というのも、第一世界が排出した炭素のせいで、植民地にした地域の大気が汚染され、その結果、第一世界が発展してきたという同じ道をたどったのですから。それなのにいまになって、第三世界が同じ方法で発展することは、「ダメだ」と言っているのです。

 別の方法がない、と言っているのではありません。たしかに存在します。しかし、グリーンで持続可能なエネルギーに技術的に移行する過程で、ある種の制限措置については取り払う必要もあるのです。
 多くの特許のほとんどは中国がもっていますが、米国など第一世界諸国もたくさん所有しています。だからこそ、気候変動について話す際は、世界的な取り組みとして捉えることになるのです。

 米国やカナダ在住の先住民が主導する運動の文脈において、「先住民環境協会」が2021年に出した報告書が明らかにしたのは、(抵抗運動を通じた)カナダと米国における先住民運動が、両国からの炭素排出量 の4分の1(相当)減らすことに貢献した、という事実でした。これはとてつもない量です。私たち先住民は、人口の約1~2%しか占めていないことを考えれば、特にそうです。
 この事実は、このような(抵抗)運動と脱炭素の未来の促進がもつ効果の高さを示すものです。
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