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マイダンの狙撃者の真実:ウクライナが「新生した」という主張は偽りであると証明された。なぜ西側はだんまりを決め込んでいる?

<記事原文 寺島先生推薦>
Maidan snipers: The founding myth of ‘new’ Ukraine has been proven to be a lie. Why is the West silent?
先日出された長期間開かれた裁判の判決の内容は、いまのウクライナ危機の根本に疑問をなげかけるものだった
筆者:タリク・クリル・アマル(Tarik Cyril Amar)


ドイツ出身の歴史家。イスタンブールのコチ大学でロシアやウクライナ、東欧、第二次世界大戦の歴史や記憶の政治学を研究する。Xのアカウントはこちら @tarikcyrilamar

出典:RT  2023年10月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月8日



画像:2014年2月20日、ウクライナのキエフで、ウクライナ大統領と野党指導者の間で停戦が合意されたにもかかわらず、独立広場で警察と衝突を続けている反政府デモ隊© Jeff J Mitchell/Getty Images


 今月(2023年10月)初め、キエフの地方裁判所は2015年以来長引いていた事件の調査結果を発表し、かなり以前に解散していた警察組織「ベルクート」の元幹部5人に判決を下した。この元警察組織は、暴力的な「マイダン」で頂点に達した2013年から14年にかけての抗議行動で国際的に知られるようになった。

 2014年2月20日、ウクライナの首都中心部で反政府デモ隊が複数の狙撃者に銃撃された事件への関与で起訴された4人の被告人(うち3人は欠席)は有罪となり、5年から終身刑の判決を受けた。1人は無罪となった。

 政治的には、この裁判は1991年の独立以来、ウクライナで最も重要、あるいは最も重要とされるべき裁判だった。裁判所はウクライナ国家の思惑を成就させた形になった。(ただ現時点ではいくつかの控訴がおこなわれているが)。その思惑とは、「革命」とも「クーデター」とも呼ばれるウクライナの最も暗黒の瞬間を、法廷の場で折り合いを着けさせる、というものだった。そしてその瞬間とは、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元大統領政権を転覆させた瞬間のことだ。この転覆劇は、当初は平和裏におこなわれていた抗議活動が後に暴力的なものになり、それが西側の介入を呼んだことが圧力となっておこったものだった。政権交代と地政学的な方向転換をもたらしたこの暴動は3カ月にわたって展開されたが、2月に50人近いデモ参加者が殺害されたことが決定的な転機となった。

 この件はすぐに「狙撃者による大虐殺」や「マイダン大虐殺」という名で知られるようになった。この銃撃戦の責めをヤヌコーヴィチとその政権は真正面から受けることになり、国内での妥協的解決の道は断たれ、西側やウクライナの反政府派の言い分が通り、この危機はロシア政府に取り込まれた腐敗した抑圧的な政権に対する、民主主義と自由の戦いであるとされてしまったようだ。実力以上に大きな役割を果たしていた好戦的で世論操作に長けているウクライナの極右勢力も、西側の冷酷な地政学もこのような状況を生み出した責任を問われなかった。この虐殺がおこなわれた数日後、国際的な調停の合意により、この混乱の激化の悪循環を止めようという最後の取り組みは失敗に終わり、ヤヌコーヴィチはロシアに亡命し、ロシア軍はクリミアに移動した。


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 その後、さらに事態は悪化した。ウクライナの新政府とドンバスの反抗勢力の間で紛争が勃発したのだ。当初は激しいものだったが、次第にじわじわと続く地域規模の内戦のようになり、ロシア側の干渉も限られた範囲に留まっていた。和平に至る最高の好機は2015年2月のミンスク2合意だったのだが、ウクライナ側と西側の支援諸国が全面的に妨害し、2022年2月以降、ウクライナは西側連合体によるロシアに対する代理戦争の場となってしまった。現在、ウクライナと西側はこの紛争に負けつつあり、人命と富の面で大きな犠牲を強いられることになってしまったが、その損害を受けたのはほとんどウクライナだ。国際間の緊張は極端に高まり、信頼関係は消え去り、意味のある双方のやり取りはほとんど不可能になってしまった。

 2014年2月の下旬の数日間がまったく違う方向に進んでいたなら、ウクライナも世界ももっとずっと良い場所になっていただろう。そうなれば、ウクライナ政府と反政府側との間ですでに交わされていた妥協案が取り入れられていただろう。マイダン大虐殺ほど、いつまでも広がり続ける紛争を推し進める重要なきっかけはなかった。特に、西側が圧倒的に報じていたこの殺戮に対する言説の内容が同じままで、これまでの政権だけを非難する論調ばかりで、しかもその言説に対する異論は、親ロシア派による「情報戦争だ」と非難されていたのだから。要するに完璧な筋書きがあったのだ。つまり、感情に訴えることで、ウクライナ新政府を支援させるだけではなく、無批判に支持させ、ウクライナ東部での反政府活動を否定し、妨害する行為を正当化させ、ロシア側との効果的ないかなる協力をも中傷した、ということだ。

 しかし、もしこの殺戮についての真実が私たちに伝わってなかったとしたら、どうだろう?このような重要な主張を展開したのは、ウクライナ系カナダ国民の政治学者であるイワン・カチャノフスキー氏だ。カチャノーフスキー氏(先日、元ナチス武装親衛隊員にカナダ議会が敬意を表したことに関する醜聞を暴露した人物でもある)が、長年主張し続けているのは、「マイダン大虐殺は偽旗工作であった。多くの(中略)抗議活動者と(中略)警官が殺害されたこの工作の目的は、ウクライナの国家権力を掌握するためだった。この工作には、マイダンの反政府派の財閥と極右勢力が関わっており、マイダン派の管理下にあった建物にいたマイダン派の秘密狙撃団を使っておこなわれたものだった」というものだ。

 カチャノーフスキー氏の調査が示した非常に詳細な資料についてここで再度紹介することはできないが、以下の3点のみ記載しておく:①反政府派に属していた狙撃団が警官らを標的に射撃を始めたのは、2月20日の朝のことだった。②警官、そして後にマイダン派の抗議活動者らを狙った発砲現場であったホテル・ウクライナや温室などの主要箇所は、反政府派(警察ではない)の管理下であり続けていた。③午前9時以降、抗議活動者らも反政府派狙撃団(これも警察側ではない)から射撃されていた。


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 まとめると、カチャノーフスキー氏の調査結果からは2つの出来事が発生したということがわかった。①反政府派の狙撃団ははじめに警官らに向けて発砲することで、事態の激化をねらっていた。②さらにその後、抗議活動者ら(つまりは味方側)さえも殺害した、のだ。それと同時に、カチャノーフスキー氏が排除しなかったのは、警官側も抗議活動者側を射撃した可能性だ。しかし、同氏による動画などの証拠品の綿密な分析からは、被害者の大多数は、反政府側狙撃団から標的にされていた、という事実が判明している。

 カチャノーフスキー氏がこのような結論に達したのは、長年にわたる厳格で徹底的な法的研究を通してだ。その結論は、テイラー&フランシス社が出版する学術誌「説得力のある社会科学」誌に掲載された彼の査読済み論文「ウクライナのマイダンに関する『狙撃団による大虐殺』」に要約されている。同氏のみが、このような、あるいは類似した結論に達しているわけではないが、同氏の研究が最も完璧かつ重要な外から影響を受けていない調査であるといえる。だからこそ、カチャノーフスキー氏の論文がもつ政治的影響力のせいで、同氏が「陰謀論者」であり、親クレムリン派の情報戦の戦士だという中傷を受け止めざるを得なくなった理由は明らかだ。同氏の研究は検閲を受けてきたし、同氏も激しい報復を受けてきた。その報復とは、具体的には、同氏の学界や社会的地位が疎外され、同氏の家族がウクライナで所有していた財産が擬似合法的に没収されたことだ。

 ウクライナの司法は政治から独立していない。裁判官らは、自身の観点や職業上の倫理とは関係なく、(少なくとも)ウクライナの極右勢力から、追放や暴力で脅されている中で仕事をしている。しかしそれでも、カチャノーフスキー氏の指摘どおり、先日の判決で示された100万語にわたる判決文の中に埋もれている形で、この裁判所はマイダン大虐殺に関するカチャノーフスキー氏の解釈を支持する以下のようないくつかの要素を認めた。①反政府派の狙撃団により、4名の警官が亡くなり、39名が負傷した。②狙撃団は反政府派管理下の建物から発砲した。③8人が殺害され、20人が負傷したが、それをおこなったのは警察側ではない「未知の」加害者らの手によるものである、という可能性は排除されなかった。という3点だ。



 カチャノーフスキー氏の研究や断固とした立場は尊敬に値するものだが、ここで特に重要視すべきことは、同氏の研究に対する長期にわたる反動はウクライナでも西側でも両方においてひどく悪いことが起こっている兆候である点だ。例えばウクライナ側の情報戦担当報道機関のユーロマイダン・プレス紙はいまになってもまだ、カチャノーフスキー氏に対する個人攻撃のために、読者向けに偽情報を流し、今回の判決はカチャノーフスキー氏の調査結果と食い違っている(もちろんこれはひどい誤解釈なのだが)と主張している。

 実のところは、その真逆だ。

 この件は、西側に深く根ざした偽情報および自己偽情報という文化の最新の一例にすぎない。西側の指導者層がたいてい意図的に嘘を流すいっぽうで、西側の多くの報道機関は、西側の指導者層の(あるいは西側指導者層のお気に入りや顧客や同盟者らの)嘘を信じるだけではなく、心理的な投資を裏切るほどの勢いでこれらの嘘を守ろうとさえしている。

 2016年の大統領選挙において、ヒラリー・クリントンが大敗を喫したという事実を感情的に否定した件(ロシア・ゲート)も、西側連合(及びあるいはウクライナ)がノルド・ストリームを爆破した(すなわち、「同盟諸国」と戦争行為や自然環境に対するテロ行為に加担した)件に関わる奇妙な二重思考も、イスラエルには「自衛権」があり、西側の支援のもと人道的に許されない罪を犯すことが許されている件もすべて、西側諸国が集団でわがままに振る舞っていることを示す事例だ。西側のあまりに多くの人々は、いまだに自分たちは世界の「価値」の保護者であると主張し、自らを騙し続けている。まるでそれが自分たちの生来の権利であるかのように。

 それでも、これらの嘘や堅く守られた幻想が、個人や政治を腐敗させ、社会を単極化し、国際関係をこじらせ、何よりも重要な問題であるが、人々の命を犠牲にしているのだ。何千、何万もの人々、ウクライナの場合、何十万もの人々の命が犠牲にされている。紛争というものは人間生活では日常茶飯事に起こるできことであり、ある程度は避けることができない。

 しかし、不誠実さで自らを狂気においやることは、避けられないことではない。さらにそのような行為が平和を維持する助けにならないことは明々白々だ。
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