<記事原文 寺島先生推薦>
The Weaponization of “Disinformation” Pseudo-experts and Bureaucrats: How the Federal Government Partnered with Universities to Censor Americans’ Political Speech米国下院司法委員会・特別小委員会報告書
筆者:Committee on the Judiciary and the Select Subcommittee on the Weaponization of the Federal Government
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年11月23日
要旨 2016年の大統領選挙後、外国の「偽情報」が選挙の完全性に影響を与えたという衝撃的な言説が登場した。このような主張は、トランプ大統領の勝利の正当性に関する左派の選挙否定論に煽られ、そのような情報の拡散におけるソーシャル・メディアの役割に新たな焦点が当てられるきっかけとなった[1]。
「偽情報」に対応するシンクタンクや「専門家」、政府の対策委員会、大学のセンターが結集され、その目的は、これらすべての機関が、偽情報や偽情報の疑惑の高まりについて研究し、それに対抗するためだとされた。連邦政府の兵器化に関する下院司法特別小委員会が以前に示したとおり、外国からの影響や誤情報と闘うためとされたこうした取り組みは、すぐに国内、つまり米国民の言論を対象に含むように変化した[2]。

下院司法特別小委員会の全文書は、
こちらから。
憲法修正第1条は、米国民の言論を監視し検閲する政府の役割を当然制限しているが、こうした偽情報の研究者(多くの場合、少なくとも一部は税金で賄われている)は、こうした憲法の規定に厳密に縛られていたわけではない。連邦政府が直接できないことは、新しく出現した検閲産複合体に事実上、外部委託したのである。
スタンフォード大学のスタンフォード・インターネット観測所(SIO)が率いる「偽情報」研究者組織である選挙公正団体(EIP)は、国土安全保障省および国務省内の複数省庁からなるグローバル・エンゲージメント・センターと直接協力し、2020年の大統領選挙に先駆けて米国民のオンライン言論を監視・検閲した。合衆国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)の「要請を受けて」2020年の夏に設立された[3]。
EIPは、連邦政府が憲法修正第1条と国民の監視の両方を回避することを期待して、検閲活動を外に出すことで見えなくする方法を提供した。
COVID-19が大流行するなか、2020年の選挙を前にして、米国民と議員たちは、選挙期間中に選挙手続きを変更するという、前例のない措置の是非を議論した。[4]
これらの問題は、政治的に重要な問題についての現代のあらゆる言説と同様に、現在版井戸端会議ともいえる、世界最大の各種ソーシャル・メディア上で広く議論された。
しかし、これらの選挙の候補者を含む米国市民がこれらのプラットフォーム上で憲法修正第1条の権利を行使しようとしたとき、連邦政府が第三者組織、特に大学やソーシャル・メディア・プラットフォームと直接連携した結果、憲法で保護された米国市民の言論の自由は意図的に抑圧された[5]。
選挙(つまり、米国民が自分たちの代表を選ぶ手続き)に関する言論は、もちろん憲法修正第1条の強固な保護を受ける権利がある[6]。
しかし、偽情報の「専門家」が認めるように、あらゆる種類の言論を悪であると決めつけることは「本質的に政治的」[8]であり、それ自体が「検閲」の一形態である[9]。
この中間報告で詳述されているのは、EIPの創設と運営に連邦政府が強引に関与し、2020年選挙までの数週間から数ヶ月間、米国民の政治的言論に対する検閲を助長した事実だった。
さらにこの報告書がはじめて明らかにしたのは、これまで連邦政府機関、大学、ビッグテックなど一部の関係者しか入手できなかった、EIPの集中報告体制からの極秘「誤報」報告書について、だった。
同特別小委員会がこのような非公開報告書をスタンフォード大学から入手できたのは、議会侮辱罪にあたるという脅しをかけたからだった。そして、誤報や偽情報に関するこれらの報告書は、2020年の選挙に向けて、政治的言論において中核的に携わる米国市民を検閲するために使われた。
この新情報が明らかにし、この報告書が概説しているように、連邦政府と大学はソーシャル・メディア企業に圧力をかけ、真実の情報、ジョーク、政治的意見を検閲した。
この圧力は、主に一方の政治的勢力に有利になる方向に向けられた:共和党や保守派が投稿した真の情報は「誤報」であると決めつけられ、民主党やリベラル派が投稿した偽情報はほとんど報道されず、検閲の手も入らなかった。
偽情報という疑似科学は、今も昔も、一般的な言説に反する見解を持つ組織や個人が最も狙われるという政治的策略にすぎない。
EIPのやり口は単純明快だった:
連邦政府機関や連邦政府から資金提供を受けている団体を含む「外部の利害関係者」が、EIPに直接誤報報告を提出
→EIPの誤報「専門家」は検閲のための追加事例をインターネットで探し回る
→例えば、提出された報告がフェイスブックでの投稿に目をつけた場合、EIPの専門家らはツイッター、ユーチューブ、TikTok、レディット、その他の主要なソーシャル・メディアで同様の投稿を検索
→問題のあるリンクがすべてまとまると、EIPは最も重要なものをビッグテック業者に直接送り、各ソーシャル・メディア会社がどのようにその投稿を検閲すべきかについて具体的に勧告、たとえば、その投稿が「発見される可能性」を減らす、「(アカウントの)ツイート継続能力を12時間停止する」、特定の利用者を「タグ付けされたインフルエンサー・アカウントのいずれかがリツイートするかどうかを監視する」
→そしてもちろん最終的には、何千もの米国市民の投稿を削除する、
といった手口を使っていた。[10]

検閲を受けていたのは、
・ドナルド・J・トランプ大統領
・トム・ティリス上院議員
・ニュート・ギングリッチ下院議長
・マイク・ハッカビー・アーカーソン州知事
・トーマス・マッシー下院議員
・マージョリー・テイラー・グリーン下院議員
・ニュースマックス社
・バビロンビー(サイト)
・ショーン・ハニティ(司会者)
・モリー・ヘミングウェイ(女優・コラムニスト)
・ハルミート・ディロン(共和党全国委員会議長)
・チャーリー・カーク(司会者)
・キャンディス・オーウェンズ(作家・政治評論家)
・ジャック・ポソビエック(政治活動家)
・トム・フィトン(政治活動家)
・ジェームズ・オキーフ(プロジェクト・べリタス元代表)
・ベニー・ジョンソン(解説者)
・ミシェル・マルキン(政治評論家)
・ショーン・デイビス(雑誌編集者)
・デーブ・ルービン(司会者)
・ポール・スペリー(作家)
・トレイシー・ビーンズ (雑誌編集者)
・シャネル・リオン(政治漫画家)
・あらゆる政治団体に所属する、数え切れないほどの米国民たち


検閲の対象になった内容は、
・真実の情報
・ジョークと風刺
・政治的な意見


この報告書の一部として、特別小委員会は、スタンフォード大学に出された召喚状に従って委員会が入手した、これまで秘密にされていた保存文書をすべて公開する。なお、同大学がその召喚状を出したのは、同委員会が議会侮辱罪に当たる、と警告したからだった。[11]
2020年の大統領選挙に先立ち、国土安全保障省局(DHS)には、米国民のどんな言論が検閲を受けたかを知る能力があった。
同委員会の特別調査委員会の調査の結果が明らかなになったいま、政治家候補者、ジャーナリスト、そしてすべての米国民は、自分たちが政府によって標的にされたかどうか、さらにはDHS、スタンフォード大学、そして他の人々がどのような視点で検閲をおこなったかを知る機会を手にした。
EIPは保守派を不釣り合いに標的にしたが、あらゆる政治的立場の米国民が検閲の犠牲となった。
憲法修正第1条は、政府が「言論の自由を奪う」ことを禁止し、「人民の......政府に請願する権利」[12]を保護している。米国民がもつ、政府とその政策を批判する権利は、我が立憲共和国の基本的かつ神聖な原則である。
最高裁は長年、「核心的な政治的言論」については「憲法修正第1条が何よりも保護すべき重要なものである」と認識してきた[13]:憲法修正第1条は言論の自由を「剥奪」することを禁じているため、[ソーシャル・メディア]プラットフォームにおける言論の自由を減少させる法律や政府の政策は、......憲法修正第1条に違反する」[14]。
政府は、政府を対象とする批判の種類や条件に口出しはできない。政府がその批判の是非に同意できない場合であっても、(そのような場合は特に)そうだ。立法化の可能性を検討するため、同特別委員会行政府は、行政機関の談合について、大学など第三者仲介機関と連携し、保護されたソーシャル・メディア上での言論の検閲について調査している。
特別小委員会は、「米国市民の市民的自由の侵害」[15]について調査する責任を負っている。この任務に従い、アメリカ合衆国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)の憲法修正第1条違反とその他の違憲行為に関するこの中間報告は、米国市民に対する連邦政府の武器化を特定し報告する義務を果たすものである。
同特別小委員会の調査は現在も進行中である。
CISAはいまだに関連文書の召喚に十分応じておらず、さらなる事実調査が必要である。
同委員会の立法化に向けた努力をよりよく伝えるため、同特別小委員会は、行政府がソーシャル・メディア業者やその他の仲介者とどのように連携し、自分たちにとって好ましくない視点を検閲するという合衆国憲法に違反する行為をおこなっていたかについて、引き続き調査する。
註1 See, e.g., Tim Starks, Russian trolls on Twitter had little influence on 2016 voters, WASH. POST (Jan. 9, 2023) (“The study, which the New York University Center for Social Media and Politics helmed, explores the limits of what Russian disinformation and misinformation was able to achieve on one major social media platform in the 2016 elections.”); id. (“There was no measurable impact on ‘political attitudes, polarization, and vote preferences and behavior’ from the Russian accounts and posts.”).
2 See STAFF OF SELECT SUBCOMM. ON THE WEAPONIZATION OF THE FEDERAL GOVERNMENT OF THE H. COMM. ON THE JUDICIARY, 118TH CONG., THE WEAPONIZATION OF CISA: HOW A “CYBERSECURITY” AGENCY COLLUDED WITH BIG TECH AND “DISINFORMATION” PARTNERS TO CENSOR AMERICANS (Comm. Print June 26, 2023).
3 Email from Graham Brookie to Atlantic Council employees (July 31, 2020, 5:54 PM) (on file with the Comm.).
4 See, e.g., REPUBLICAN STAFF OF THE H. COMM. ON THE JUDICIARY AND THE COMM. ON OVERSIGHT AND REFORM, 116TH CONG., HOW DEMOCRATS ARE ATTEMPTING TO SOW UNCERTAINTY, INACCURACY, AND DELAY IN THE 2020 ELECTION (Sept. 23, 2020); see also Changes to election dates, procedures, and administration in response to the coronavirus (COVID-19) pandemic, 2020, BALLOTPEDIA (last visited Nov. 3, 2023).
5 See Missouri v. Biden, No. 23-30445, (5th Cir. Oct. 3, 2023), ECF No. 268-1 (affirming preliminary injunction in part); Missouri v. Biden, No. 3:22-cv-01213 (W.D. La. Jul. 4, 2023), ECF No. 293 (memorandum ruling granting preliminary injunction).
6 See, e.g., Snyder v. Phelps, 562 U.S. 443, 452 (2011) (“[S]peech on public issues occupies the highest rung of the hierarchy of First Amendment values”) (quoting Connick v. Myers, 461 U.S. 138, 145 (1983)); Ariz. Free Enter. Club’s Freedom Club PAC v. Bennett, 564 U.S. 721, 755 (2011) (internal quotation marks and citation omitted) (The First Amendment protects the “profound national commitment to the principle that debate on public issues should be uninhibited, robust, and wide-open.”); see also McIntyre v. Ohio Elections Comm’n, 514 U.S. 334, 346 (1995) (cleaned up) (“There is practically universal agreement that a major purpose of the Amendment was to protect the free discussion of governmental affairs, of course including discussions of candidates.”).
7 “The First Amendment ‘has its fullest and most urgent application precisely to the conduct of campaigns for political office,’” FEC v. Cruz, 142 S. Ct. 1638, 1650 (2022) (quoting Monitor Patriot Co. v. Roy, 401 U.S. 265, 272 (1971)); see also Buckley v. Valeo, 424 U.S. 1, 52 (1976) (A candidate “has a First Amendment right to engage in the discussion of public issues and vigorously and tirelessly to advocate his own election.”).
8 Email from Suzanne Spaulding (Google Docs) to Kate Starbird (May 16, 2022, 6:27 PM) (on file with the Comm.); see also Kate Starbird et al., Proposal to the National Science Foundation for “Collaborative Research: SaTC: Core: Large: Building Rapid-Response Frameworks to Support Multi-Stakeholder Collaborations for Mitigating Online Disinformation” (Jan. 29, 2021) (unpublished proposal) (on file with the Comm.) (“The study of disinformation today invariably includes elements of politics.”).
9 Team F-469 First Pitch to NSF Convergence Accelerator, UNIV. OF MICH., at 1 (presentation notes) (Oct. 27, 2021) (on file with the Comm.).
10 See, e.g., EIP-581, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 2, 2020, 2:36 PM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.); EIP-673, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 3, 2020, 11:51 AM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.) (citing Mike Coudrey, TWITTER (Nov. 3, 2020, 10:13 AM), https://twitter.com/MichaelCoudrey/status/1323644406998597633); EIP-638, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 3, 2020, 9:23 AM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.).
11 See App’x II.
12 U.S. Const. amend. I.
13 Meyer v. Grant, 486 U.S. 414, 420, 425 (1988) (internal quotation marks omitted).
14 Philip Hamburger, How the Government Justifies Its Social-Media Censorship, WALL ST. J. (June 9, 2023).
15 H. Res. 12 § 1(b)(E).
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