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ビル・ゲイツ提唱「デジタル身分証」は、社会生活を送る際の必需品にされてしまうのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Will Bill Gates’s “Digital ID” Become Mandatory to Participate in Society?
筆者:パトリシア・ハリティ(Patricia Harrity)
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月30日





 2023年11月8日、いわゆる「50-in-5」計画のオンライン上の発表会が行われた。

 それによると、国連、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、ロックフェラー財団の提携諸業者は、2028年までにデジタル公共インフラ(DPI)の傘下にある50カ国でデジタルID、デジタル決済、データ共有の展開を加速させる取り組みを開始する、という。(情報源はこちら)

 国連開発計画(UNDP)は、2030年までに「デジタルID」を全世界に展開する計画を発表した。このIDは、社会参加を希望する人々に義務付けられることになる、とネット上での言論の自由と個人の自由を主張する団体である「リクレイム・ザ・ネット」は指摘している。

社会信用システム

 デジタル公共インフラ(DPI)の推進には、次のようなものが含まれる。それは、「デジタルID」、「ワクチン・パスポート」、「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」だ。これらは、グローバリストたちのWEF(世界経済フォーラム)によって支持されており、当然のことながら、ビル・ゲイツや国連、欧州連合(EU)にも支援されている。

 「ソーシャラブル」誌のティム・ヒンチリム編集者は以下のように述べている。「これらの考えを主張している者たちは、DPIは市場や社会への参加に不可欠であり、ワクチン・パスポートのように、より広い範囲に適応されるべきものである、としている。さらに、もしうまくいけば、DPIは政府や企業に社会信用システムを導入する権限を与えることになり、どこでどのように旅行できるか、何を消費できるか、プログラム上で抑制が可能となるお金でどのように取引できるかを決めることまで制御しようとしている」と。

 「個人のカーボン・フットプリント・トラッカー(炭素排出量計測)、超低排出ゾーン(ULEZ)、「あまり好ましくない」買い物に対する制限措置などのことをお考えいただきたい。これらはすべて、グレートリセットの支持者によって推し進められているのだ」。(出典はこちら



「50in5」計画

 「50 in 5」計画は、「各国が主導し提唱する取り組み」であると自称している。2028年までに、「50-in-5」計画は50カ国において、各国のデジタル公共基盤の要素を設計し、立ち上げ、拡張を支援する、と公式発表文書に書かれている。その50カ国は世界の実証基盤(つまりはモルモット)となり、DPIが最初に導入されるのはアフリカ諸国(特にサハラ以南諸国)やインドであるが、その計画は2030年までには世界規模でデジタルID体制を広げ、国連加盟諸国の市民にも適応されることになる、とプラネット・トゥディ誌が報じている。

 「50 in 5」計画は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、国連開発計画、デジタル公共財協会、Co-Developの協力によるものである。Co-Developとは、ロックフェラー財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ニレカニ・フィランソロピー、オミダイア・ネットワークによって設立された組織である。デジタル公共財協会は、「デジタル公共財を推進する活動」を紹介するロードマップ(目標達成までの道程図)の中で、ゲイツ財団とロックフェラー財団の両財団を、他の組織やいくつかの政府とともに紹介している。(出典はこちら)。





 DPIは、金融包摂、利便性、ヘルスケアの改善、グリーンな進歩のための枠組みとして推奨されているが、実の姿は、以下の三つの基本的要素をもとにした、デジタル技術体系により管理される社会が近づいていることを示すための言葉だ。その3要素とは、「①デジタルID②中央銀行デジタル通貨(CBDC)のようなデジタル決済③大規模なデータ共有」である。

世界経済フォーラム

 9月、世界経済フォーラムは一連の記事を発表したが、その中身はDPIの強制を推進するものであった。もちろん建前上、世界経済フォーラムは何よりも「子どもたちのことを考え」、「世界中の子どもたちの権利の向上につなげるため、デジタル公共インフラ(DPI)に投資する」と2023年9月18日に出した記事の中に記載し、「子ども関連のSDGsの3分の2は、目標に到達していない:だからこそ、いま、デジタル公共基盤に投資しなければならないのです」と宣言していた。



 「2023年は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)計画実現の中間地点に当たります」と世界経済フォーラムは我々に注意を促し、その中間地点とは、取り組みを「評価し再調整すべき」機会にする、としている。その取り組みとは、すべての子どもたちの権利をすべての場所で実現することだが、残された時間は、目標とされている2030年まであと7年間しかない、とユニセフからの新たな報告「全ての子どもたちに持続可能な未来を」に記載されている。

19億人の子どもたちが取り残されている―最近の進展が続けば、2030年までに目標を達成するのは、子どもの人口のわずか25%を抱える60カ国にとどまり、140カ国の約19億人の子どもたちが取り残されることになる。

・ 現在の世界は、2015年に子どもたちのために設定した野心的な目標を達成できそうにない。

飢餓―世界は2005年以来の飢餓の状態に戻っており、食料価格は2015年から2019年の期間よりも多くの国で高止まりしている。

子どもたちは基礎的な能力を欠いている―教育現場では、6億人の子どもたちや青少年が基礎的な読解力や算数力を身につけておらず、さらに1100万人の10歳児が基礎的な能力を欠いているというデータがある。

 「問題」に対する「解決策」? 世界経済フォーラムが言う「問題」とは、もちろんパンデミックが「状況を悪化させた」ことであり、デジタル公共インフラは、「2030年までにSDGsの行動と子どもたちの成果を加速させるために必要な重要な移行」として認識されているため、「解決策」である。

 「子どもたちの権利や安全」を守ることは、選挙で選ばれたわけでもないグローバリストたちが以前から使ってきた戦術であり、そのいっぽうで、子どもたちを含むすべての個人の権利を実際は奪うことになる科学技術に基づく支配体制を推進している。

 サイト「Reclaim the Net」によれば、事実上「DPIということばは、バズったことばであるが、そのことばを国連だけでなく、欧州連合(EU)やゲイツ財団が声をそろえて唱えている言葉だ。もちろん、世界経済フォーラム(WEF)もその例に漏れない。

 「DPIが果たすべき任務の理想としては、多くの点における援助開発をおこなうことである。しかし、これらの組織から発せられる、決まり文句や「企業的立場からの発言」を深く掘り下げてみると、このような理想は歪められており、取られている政策も、2030年という最終期限に向けて、デジタルIDやデジタル支払いの導入を促進させるための策略にされてしまっていることがわかる。」

 同サイトは以下のように結論づけている。「もしあなたが国連加盟国の国民で、かつ自国政府(つまり自分たち納税者たち)が国連の様々の取り組みに貢献しようしていているときに、それに不安を感じたり、あるいはこれらの動きについて十分な情報を得ていないと感じているなら、それは残念なことだ。ただ、そんな状況であっても、彼らはこのDPI(デジタル公共インフラ)をどんどん前へ進めているのだ。」(引用元はこちら
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国連憲章51条から見ると、ロシアとイスラエルの軍事行動はどう異なるのか(スコット・リッター)

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia, Israel, and the Law of War Regarding Civilians
著者:スコット・リッター(Scott Ritter)
出典:スプートニク  2023年11月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月29日





 10月7日にハマスがガザ周辺のイスラエル軍基地や入植地を攻撃した後、正当防衛の問題や、その攻撃に対するイスラエルの武力行使をめぐる合法性に関する議論が盛んに行われた。

 必然的にこの議論は、ロシアの特別軍事作戦における行動と、ガザに関するイスラエルのこれまでの行動を比較しようとする議論につながる。特にマリウポリの例は、現在進行中のイスラエルのガザ作戦との比較対象としてしばしば取り上げられる。この2つの戦闘を直接比較するのは時期尚早だが、ロシアとイスラエルがそれぞれの軍事作戦を正当化する際に拠り所とした国際法の基盤を検証することはできる。悲しいかな、イスラエルの場合、その基盤は不十分である。


関連記事:Israel's Gaza Land Op May Turn Into Urban 'Meat Grinder'

 ロシアは軍事行動開始の正当化理由として、憲章第51条に明記されている個別的・集団的自衛権を挙げている。

 憲章第51条の条文は以下のとおり:
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全を維持するために必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を損なうものではない。この自衛権の行使において加盟国がとる措置は、直ちに安全保障理事会に報告されるものとし、かつ、この憲章の下で、安全保障理事会が国際の平和及び安全を維持し又は回復するために必要と認める措置をいつでもとる権限及び責任に何ら影響を及ぼすものではない。

 ロシアのプーチン大統領は特別作戦の開始を発表する演説で、NATOの東方拡大がロシアにもたらす脅威と、ウクライナがドンバスのロシア語を話す人々に対して続けている軍事作戦について詳述し、先制攻撃の根拠を示した。

 NATOとウクライナは、「われわれ(ロシア)に、ロシアとわれわれの国民を守るために、今日われわれが使わざるを得ない以外の選択肢を残さなかった。このような状況では、大胆かつ迅速な行動を取らなければならない。ドンバスの両人民共和国はロシアに助けを求めている。この文脈において、国連憲章第51条に従い、ロシア連邦理事会の許可を得て、2月22日に連邦議会が批准したドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国との友好・相互援助条約を履行するため、私は特別軍事作戦の実施を決定した」とプーチンは宣言した。


関連記事:Putin Berates NATO Over Eastward Expansion as Alliance Launches Nuclear Drills in Europe

 ロシア大統領は、第51条に適用される予見可能な集団的自衛権の原則に基づき、ドンバスのロシア語を話す住民にとって、数千人が死亡した8年間にわたる残忍な砲撃による継続的で差し迫った脅威があるとして、認知可能な主張を示した。

 イスラエルは、ガザでの軍事行動を正当化する際、自衛権の存在を繰り返し強調してきた。しかし、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使はこの主張を否定し、「占領国であるイスラエルにはそのような権利はない」と断言した。

 ネベンジャの主張は、国際司法裁判所が2004年に発表した勧告的意見に基づくものである。「憲章第51条は、ある国が他の国に対して武力攻撃を行なった場合の固有の自衛権の存在を認めている。しかしイスラエルは、自国に対する攻撃が外国によるものだとは主張していない。

 ICJ(国際司法裁判所)は、「イスラエルは、その民間人に対する多数の無差別かつ致命的な暴力行為に直面しなければならない」とは述べず、イスラエルには「国民の生命を守るために対応する権利があり、実際にその義務がある」と付け加えた。しかし、国際司法裁判所は、イスラエルがとるいかなる措置も「適用される国際法に合致したもの」でなければならないと判断した。そのため、ガザや現在イスラエルの領土となっている土地の多くが国際法上「占領地」と見なされる限り、また、イスラエルが対応している脅威がこの占領地の外ではなく中から生じていることに注目する限り、イスラエルは国連憲章第51条に基づき、パレスチナ領土の占領の不当性を排除するために、「必要な状態」という主張に基づいて自衛権を発動することはできない。

 ネベンジャ大使は、イスラエルの安全保障に対する権利は、「よく知られているように、国連安全保障理事会の決議に基づいてパレスチナ問題が公正に解決された場合にのみ、完全に保証される。また、イスラエルがテロと戦うことを私たちは否定していない」とした。さらに同大使は、「しかし、戦うべき相手はテロリストであって、民間人ではない」とも述べた。

 ロシアはウクライナとの紛争において、国連憲章第51条に定められた自衛の要件を守ることで国際法に合致した行動をとっており、イスラエルは国際法に真っ向から反して活動する占領国であるため、その行動を正当化する理由として第51条の正当な自衛を挙げることができないことを確認した上で、問題は次に、ロシアとイスラエルがそれぞれの軍事任務を国際人道法に定められた基準に合致した方法で遂行しているかどうかという問題に移る。

 正当な戦争行為と戦争犯罪を区別する重要な考慮事項は、「軍事的必要性」の概念である。軍事的必要性の定義によれば、「正当な軍事目的を達成するために実際に必要であり、国際人道法で禁止されていない措置を認めるものである。武力紛争の場合、唯一の合法的な軍事目的は、紛争当事国の軍事力を弱めることである」となる。

 「軍事的必要性」の問題を論じる際には、「区別」の問題が最も重要になる。「区別」という概念は、武力紛争の当事国が「常に、文民と戦闘員、文民の所有物と軍事目標とを区別し、それに応じて軍事目標に対してのみ作戦を指揮しなければならない」ことを保証するものである。この区別は、絨毯爆撃や特定の軍事的目的を欠く砲撃のような「無差別攻撃や無差別な戦争手段・方法の使用」を禁止するものである。

 「軍事的必要性」と「区別」は、国際社会が戦争犯罪を構成する具体的な行為を国際刑事裁判所ローマ規程、特に第8条(戦争犯罪)という形で体系化する際の中核となる原則である。具体的には以下のような内容だ:

・民間人そのもの、または敵対行為に直接参加していない個々の民間人に対する意図的な攻撃の指示

・意図的に民間人の所有物、つまり軍事目標ではないものに攻撃を向けること

・武力紛争国際法の下で文民または文民の所有物に与えられる保護を受ける権利があるという条件のもとで、国際連合憲章に基づき、人道支援または平和維持活動に関与する要員、施設、物資、部隊または車両に対し意図的に攻撃を向けること。

・攻撃によって民間人の生命や負傷、または民間人の所有物への損害が偶発的に発生することを承知の上で、意図的に攻撃を仕掛けること。

 マリウポリとガザをめぐるそれぞれの戦いについて、ロシアとイスラエルはともに、上記のすべての行為に違反する行為を行なっている、と非難されている。しかし、この点でロシアとイスラエルを区別する主な点は、ロシアの原理が上記の行為を明確に禁じていることだ。イスラエルの原理は、文書でも口頭でも、それを受け入れている。

 2006年のレバノン戦争で、イスラエル国防軍北部司令官ガディ・アイゼンコットは、市民地域を占領するために必要な困難で危険な地上戦を行うよりも、市民地域全体を標的にして破壊しようとする軍事戦略を実施した。この戦略の目的は、単にイスラエルの死傷者を減らすこと以上に、ヒズボラ戦闘員の行動に対して民間人全体に責任を負わせることにあった。アイゼンコットは、軍事目標と民間目標を区別するという国際法上の要件を取り払った。この新しい考え方は、ベイルート西部のダヒヤ地区で初めて使用され、この考え方の名前はこの場所に由来する「ダヒヤ」ドクトリンとなった。

 マリウポリでの戦闘におけるロシア軍の行動に関する事実が明らかになるにつれ、ロシア軍兵士が模範的な行動をとり、自らを危険にさらして、国際法の精神と文言の範囲内で、区別と軍事的必要性の原則が自由に適用されるようにしたことが明らかになった。

 「ダヒヤ・ドクトリン」が執拗に実行されているイスラエル国防軍とガザについて、同じような主張をすることはできない。
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イスラエルが最も恐れるもの:「大イスラエル」への侵食?

<記事原文 寺島先生推薦>
What Israel Fears Most: An Encroachment to “Greater Israel”?
筆者:ステファン・レンドマン(Stephen Lendman)
出典:グローバル・リサーチ  2017年12月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月28日


 この鋭い分析記事の初出は、2016年12月27日

 イスラエルは米国主導の西側諸国から強い支持を受けている。安保理決議2334号は入植地の違法性を確認したが、現地では何も変わらなかったし、この先も、予測可能な限りはそうなることはないだろう。


 1967年6月以前の国境線に基づく最終的なパレスチナ人の自決は、まったく別の問題である。それがいつ実現するかは、イスラエルが最も懸念していることだ。

 長年の国家政策は、アラブ人を最小限に抑えて最大の土地を確保することを求めている。ユダヤ人による排他的な開発のために、超法規的に土地を取り上げ、ブルドーザーで一軒ずつパレスチナ人の家を破壊し、長期的にはコミュニティ全体を消滅させ、奪われた土地で入植地の拡大を止めずに続けることで目標を達成する。

 100年近く前、世界シオニスト機構が打ち出したこのユダヤ人国家の土地領有計画には、次のようなものがあった:

・パレスチナの歴史的な領地

・シドンとリタニ川までの南レバノン

・シリアのゴラン高原、ハウラン平原、デラア

・デラアからヨルダンのアンマンまでのヒジャーズ鉄道とアカバ湾の支配。

 シオニストの中にはもっと多くを求めている人々もいる。つまり、西のナイル川から東のユーフラテス川まで、パレスチナ、レバノン、シリア西部、トルコ南部の土地である。



 強硬派のゼエブ・ジャボチンスキーは、アラブ人との平和共存は実現不可能だと反対した。「(優れた)ユダヤ人の軍事力による鉄の壁」を主張する彼の考えは、イスラエルを破壊するというアラブの希望を阻止することであり、その後にイスラエルが指示した条件に基づく交渉による和解を行うことだった。

 イスラエルの元首相ベン・グリオンはジャボチンスキーと同意見だった。イスラエルの独立戦争は続き、パレスチナの歴史的領地の78%を手に入れた後、残りの領地は1967年6月に占領した。

 未解決の紛争は意図的に続いている。平和と安定は、イスラエルの長期的な目標を打ち砕く。中東専門家のジョセフ・マサドはかつてこう言った:
 その論理は次のようなものだ:イスラエルはパレスチナの土地を占領し、アパルトヘイトの壁に囲まれたバントゥスタンで(その)住民を包囲し、住民を飢餓に陥れ、燃料や電気を遮断し、樹木や作物を根こそぎにし、定期的な空襲や、彼らや彼らが選んだ指導者に対する標的を絞った暗殺を行う権利がある。そして、(もし抵抗があれば、イスラエルには)、彼らを大虐殺する権利がある。

 アラブ人は劣った存在であり、権利を有するに値しないと考えられており、イスラエルにはアラブ人を抑圧し、かつ自衛する権利があるが、イスラエルの抑圧に対して(アラブ人が)自衛するとしたら、そのアラブ人の正当な防衛に対しては、イスラエルは戦争法や人道的配慮を自制も配慮もせずに、自衛する権利がある、と考えられているのだ。

 イスラエルは交渉しない。要求し、力ずくで意思を押し付ける。何十年もの間、パレスチナ人は冷酷な占領の過酷さ、ゆっくりと進行する大量虐殺に耐え、救済の見通しが立たないまま、ひどい犠牲者を出してきた。米国の二大政党のどちらが政権を握ろうとも、変わりはなかった。

 ベン・ローズ副国家安全保障顧問は、ジョン・ケリー国務長官が20日に退任する前に、紛争解決のための「包括的な視座を示す」つもりだと述べた。

 1月15日には、数十カ国の外相が参加するフランスの和平会議が予定されている。予定どおり進めば、1月20日にオバマ大統領が退任する前に、紛争解決案が4カ国協議と安全保障理事会で採択されることになる。

 イスラエルは、抑圧的な現状を維持するために、他の国々が自分たちの独断で条件を決めることに冷静さを欠く様子を見せている。

 匿名のイスラエル政府高官によれば、「いまの努力は、パリ会議でこのような動きをいかに阻止するかということだ」とのことだ。

 超国家主義者のアビグドール・リーベルマン国防相は大げさに、計画されていることを「(19世紀の)ドレフュス裁判*の現代版であり、今回は全イスラエル国民とイスラエル国家丸ごとが被告席に座らせられることになる」と述べた。
*フランス第三共和政下での反ユダヤ主義による陰謀事件。1894年、ユダヤ系軍人がドイツのスパイとして告発されたが、無罪を主張。裁判で背後の軍部・教会の反ユダヤ主義が批判され、結局1906年に無罪となった。(サイト、「世界史の窓」より)

 フランスのジャン=マルク・エロー外相は、フランスは「イスラエルとパレスチナの2国家による解決の必要性を再確認するために(会議を)開催する決意だ」と述べた。

 数年前までならばこのような解決法も可能だった。しかし、イスラエルがヨルダン川西岸の土地の6割以上を支配し、エルサレムはイスラエルのためだけの首都であると主張し、盗んだパレスチナの土地に入植地の拡張を止めずに続けている現状では、もはや不可能だ。

 1月にパリで何が発表されようとも、現地では何も変わらないだろう。特に、間もなくオバマのあとを受けるトランプは、最も「親イスラエル的な大統領」になるつもりなのだから。


スティーブン・レンドマンはシカゴ在住。連絡先はlendmanstephen@sbcglobal.net。
編集者・寄稿者としての新著のタイトルは『Flashpoint in Ukraine: How the US Drive for Hegemony Risks WW III(ウクライナの一触即発:覇権を狙う米国はいかに第三次世界大戦のリスクを冒すか)』http://www.claritypress.com/LendmanIII.html。
彼のブログサイトはsjlendman.blogspot.com。
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ナクバ2.0がネオコン戦争を復活させる

<記事原文 寺島先生推薦>
Nakba 2.0 Revives the Neocon Wars
筆者:ぺぺ・エスコバール(Pepe Escobar)
出典:Strategic Culture Foundation  2023年10月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月27日


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© Photo: AP


イスラエル対アラブの子どもたちの戦争は完全に制御不能になりつつある、とペペ・エスコバルは書いている。

「イスラエル対アラブの子どもたち」の戦争は、「覇権国 対 抵抗勢力枢軸」の戦争として機能しており、「NATO対ロシア」、「NATO対中国」の戦争の一部となっている。状況は完全に制御不能になりつつある。

中国が西アジア全域の和平を仲介し、ロシアと中国がBRICS 11に全力で取り組み、米ドルを使わないエネルギー貿易の決済を促進することで、帝国の逆襲は完全に予測できる。

               西アジアに火をつけよう

シュトラウス派ネオコン精神病者とそのワシントンDCの当面の目標は、シリア、レバノン、そして最終的にはイランを狙うことだ。

そのため、中央・東地中海に少なくとも73隻の米/NATO軍の艦隊が存在する。その中には、2つの米空母群を含め、イタリア沖で開催中のダイナミック・マリナーの軍事演習に参加するNATO14加盟国の30隻以上の艦船が存在する。

これは、1970年代以来最大の米/NATO軍艦の結集である。

この艦隊が、ナクバ2.0をガザに押し付けるというイスラエルの最終解決計画を「支援」するために編成されていると信じる者は、ルイス・キャロルを読まなければならない。すでに行われている影の戦争は、シリア、レバノン、イラクにあるすべての抵抗枢軸の粉砕を目的としている。その頂点にあるのがイランだ。

通常以上のIQを持つ軍事アナリストなら誰でも、高価なアメリカの鉄製バスタブ(空母群)はすべて、海底のサンゴ礁のデザインになる運命にあることを知っている。特に超音速ミサイルに見舞われたときはそうである。

もちろん、これはすべてアメリカの戦力展開能力/抑止力ショーにすぎないかもしれない。主役であるイランとロシアは動じていない。偽のカラシニコフを持った山羊飼いの一団がアフガニスタンでNATOに何をしたかを、肩越しにチラリと見ているだけだ。

さらに、覇権国がイランに対して戦争を仕掛けようと考えるなら、地上の基地の本格的なネットワークに頼る必要がある。カタール、クウェート、イラク、さらにはヨルダンの基地をアメリカが使用することを、西アジアのどの国も許さないだろう。バグダッドはすでにかなり長い間、すべての米軍基地の撤去に取り組んでいる。

               私の新しい「真珠湾攻撃」はどこだ?

プランBは何かといえば、また新たな「真珠湾攻撃」を設定することだ(テルアビブによれば、最後の「真珠湾攻撃」はほんの数週間前のことだ)。結局のところ、内海での砲艦外交のような派手な演出は、格好のカモとなるだけだ。

数十億ドルもするバスタブ(空母)のひとつがイランのミサイルによって沈められるという、無限の屈辱を覇権国家に与える可能性を、国防総省長官ロイド・オースティンが考慮するのを期待することは無駄なことだ。そうなれば、彼らは文字どおり核に頼るだろう。

情報分析に精通するアラステア・クルークは、警告している。そうすれば、すべての紛争地域が一度に爆発し、米国の「同盟システム」全体が破壊される可能性がある、と。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ガザが破壊されれば、その結果生じる大惨事は「何世紀とは言わないまでも、何十年も続くだろう」と述べ、いつものように釘を刺した。

ガザで始まったサイコロの一振りは、今や西アジア全域に拡大し、その後、必然的にヨーロッパ、アフリカ、アジアへと広がっていく。

誰もが、現在の扇動的な戦争状況の前段階を覚えているだろう。ロシアの天然資源からヨーロッパを切り離すために、ウクライナで行われたブレジンスキーの策略のことだ。

これは1939年以来最大の世界危機へと悪化している。ワシントンのネオコンたちは、どう手を引けばいいのか見当もつかない。だから現状では、絡み合った両戦争の平和的解決の望みはゼロ以下だ。

以前にも強調したように、ロシア、サウジアラビア、イラン、イラク、クウェートといった主要産油国の指導者たちは、一挙に世界の石油生産のほぼ半分を断ち切ることができ、発砲することなくEUとアメリカの経済全体を崩壊させることができる。外交筋は、これが真剣に検討されていると断言している。

現在ヨーロッパにいる古参のディープ・ステート(闇の国家)筋が私に語ったところによれば、真剣なプレーヤーたちは、このメッセージをワシントン周辺に送って、「制御できない戦争に火をつけることを、米国に考え直させるために」、積極的に関与しているとのことだ。「彼らがウォール・ストリートへ行ってデリバティブ・イクスポージャー(リスク管理)をチェックするとき、資料は既にブラックロックのラリー・フィンクやマイケル・ブルームバーグのような連中に文書が送られているのだから、そのことを考え直す時間がすでにあったはずだ」、という。

これと並行して、「新たな悪の枢軸」(ロシア、中国、イラン)の情報機関では、イスラムの統一させる必要性について真剣な議論が展開されている。

ロシアや中国といった基軸国が、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティ全体の共通の敵を明確に認識したとしても、見通しはよくない。エルドアン政権下のトルコは、ポーズをとっているだけだ。サウジアラビアは、何があってもパレスチナの擁護/保護には乗り出さないだろう。西アジアにおけるアメリカの顧客/同盟国は、ただ怯えているだけだ。残るはイランと抵抗勢力だけだ。

               迷ったらヤハウェ(旧約聖書の神)を思い出せ

その一方で、復讐心に燃え、ナルシストで、政治的欺瞞と道徳的免罪符の達人である征服者たちは、ナクバ2.0を固めようとしている。ナクバ2.0は、ガザ沖のガスを違法に食い尽くすための完璧な解決策でもある。

230万人のパレスチナ人に影響を及ぼすイスラエル情報省の強制退去指令は、極めて明確だ。それは10月13日に同省によって公式に承認されている。

それは、ガザ北部からすべてのパレスチナ人を追放することから始まり、連続的な「陸上作戦」、ラファのエジプト国境を越えるルートを空けること、シナイ北部に「テント村」を設立すること、そしてその後エジプトに「パレスチナ人を再定住させる」ための新しい都市を設立することである。

人道法・政策コンサルタントのイタイ・エプシュテインは、「今のところ、同省の指令を支持する議題や政府決定を見つけることはできていない。もしそれが本当に発表され、承認されたとしても、公の場には出てこないだろう」と述べている。

テルアビブの過激派の何人かは、暴言の中でそのとおりのことを言っている。

より広範な戦争については、すでに書かれている。ずっと前にね。そして彼らは、アメリカのキリスト教シオコン(シオニスト+ネオコン)と連携して、それに忠実に従おうとしている。

ウェズリー・クラーク将軍が9.11の2ヵ月後に国防総省に行き、5年間で7カ国を破壊の対象とするネオコン/キリスト教シオコン計画を知ったことを誰もが覚えている:

イラク、リビア、レバノン、シリア、ソマリア、スーダン、そしてイランである。

それらすべてが不安定化され、破壊され、混乱に陥った。

リストの最後の1つはイランである。

さて、申命記7:1-2, 24に戻ってみよう:

「ヤハウェはイスラエルに、『あなたたちよりも大きく、強い七つの国』(強調は筆者)を特定し、『滅びの呪いをかけなければならない』と告げ、『憐れみを示してはならない』と告げた。彼らの王たちについては、『天からその名を消し去るのだ』。」
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漏洩したイスラエル情報省の文書、ガザの完全な民族浄化を提案

<記事原文 寺島先生推薦>
Leaked Israeli Intelligence Ministry Document Proposes Complete Ethnic Cleansing of Gaza
筆者:デイブ・ドゥキャンプ(Dave DeCamp)
出典:News From Antiwar.com  2023年10月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月26日

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 イスラエル情報省が起草した漏洩文書では、ハマスに対するイスラエルの戦争の潜在的解決策として、ガザ地区に住む約230万人のパレスチナ人の民族浄化を提案している。

 この文書は10月13日付で、ヘブライ語のウェブサイト『シチャ・メコミット』によって公開され、イスラエル政府はその信憑性を確認している。タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、イスラエル政府関係者はこの文書を軽視しており、「初期の考え」に過ぎず、現在は戦争に集中していると述べている。

 提案されている計画は、パレスチナ人をガザからエジプトのシナイ半島に押し出すというものだ。彼らはまず、恒久的な建造物が建設されるまでテント村で暮らすことになる。この計画には、パレスチナ人が国境で生活できないように、エジプト国内に数キロ幅の「不毛」緩衝地帯を設けることも含まれている。

 この文書では、ハマスが敗北したらガザをパレスチナ自治政府に引き渡すなど、他に2つの可能性のある計画が提案されている。もうひとつは、イスラエルがガザに新しいアラブ人政権を樹立するというものだ。しかし、この文書によれば、これら2つの案では将来の攻撃を十分に抑止することはできず、望ましい選択肢はガザからパレスチナ人を一掃することだという。

 この文書の執筆者たちは、PA(パレスチナ暫定自治行政府)にガザを管理させることは、パレスチナ国家の樹立につながりかねないため、3つの選択肢の中で「最も危険な選択肢」であると述べている。

 イスラエル政府高官はこの文書を軽視しており、その存在がイスラエルが実行する政策であることを意味するものではないが、提案の一部は実行に移されつつある。文書によれば、計画の第一段階は、イスラエルが命じているガザ地区北部の避難と、地上侵攻の前に北部への空爆を集中させることだという。

 イスラエルがガザからパレスチナ人を一掃する最大の障害は、エジプトからの反対とアラブや国際的な圧力である。この文書によれば、計画の一環として、米国は「エジプト、トルコ、カタール、サウジアラビア、(アラブ首長国連邦)に対し、資源や避難民の受け入れの面でこの構想に貢献するよう圧力をかける」という。

 これまでのところ、米国はパレスチナ人をガザから追い出すという考えに反対を表明している。ホワイトハウスによると、バイデン大統領は日曜日(10月30日)にエジプトのシシ大統領と会談し、両首脳は「ガザのパレスチナ人がエジプトや他の国に追いやられないようにする」ことの重要性について話し合った、という。

 しかし、米国はガザからパレスチナ難民が流入する可能性に備えているかもしれない、との指摘もある。ガザ戦争、ウクライナ、台湾、その他の地域への支出として1050億ドル(約15兆7千万円)を議会に要求する書簡の中で、ホワイトハウスは、資金の一部は「近隣諸国に逃亡するガザの人々への潜在的な必要性」のために必要となるだろう、と述べている。
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サンフランシスコの黙示録的な地獄絵図がTikTokの動画で話題に―逼迫した国内問題を蔑(ないがし)ろにして、他国の戦争に金を出すバイデン政権

<記事原文 寺島先生推薦>San Francisco's Post-Apocalyptic Hellscape Is on Full Display in This Viral TikTok Video
筆者:ジョン・デル・アロズ(Jon Del Arroz)サイト vPJMedia.comより
出典:ゼロ・ヘッジ 2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年11月26日


サンフランシスコはかつては世界で最も美しい都市のひとつだった。

 フィッシャーマンズ・ウォーフからゴールデンゲート・ブリッジまで、この街には活気ある文化を含め、あらゆるものがあった。近年、この優雅な街は、犯罪、野宿生活者、薬物使用、路上での糞尿の横行など、黙示録後のような地獄絵図へと堕落した。



 最近バズったTikTokの動画は、世界中の視聴者を恐怖に陥れ、この街がいかにひどい状態になっているかを示している。

 950ドル以下の万引き事件には警察が対応しないというこの都市の不条理な政策により、犯罪がひどくなり、大手小売店は撤退し、小売店も閉店している。犯罪者はこの政策を上手く利用して、ほとんど手筈を整えることなしでおこなう、押し込み強盗が増えている。

 サンフランシスコ・クロニクル紙は、複数の地域における今年に閉鎖の波を受けた小売業店舗の地図を発表した。ターゲット社、CVS社、スターバックスなどだ。仕事場所についても同様のことが生じており、COVID後に在宅勤務環境が整ったこともあって、企業にとっては従業員を職場に来させる利点よりも、このようにサンフランシスコが荒れ果てた状況の中、従業員を職場に来させる危険性の方を重視しつつある。

 「以前は1平方フィート(約93平方センチメートル)あたり6ドル(約900円)の家賃をもらっていたのに、今はゼロだ」とサンフランシスコのあるビル所有者はPJメディアの取材に語った。

 アカウント名freqmeekという人が投稿した、バズったこのTikTokの動画は、危険なテンダーロイン地区の光景を映し出している。

 「カリフォルニア州サンフランシスコ市テンダローイン地区で、私たちは毎日仕事に行くだけでこんな不安に直面させられています。とんでもないことですし、精神的にやられます…こんな何が起こってもおかしくない危険にさらされている状況下なのですから」とfreqmeekは字幕に記している。

 警察の光が点滅し、路上にゴミが散乱し、出入り口には野宿生活者の野営地があり、怪しげな人々がそこらじゅうをうろついている様子が映像に映し出されている。

 この光景は、ガザのような紛争地帯で見られるものであり、カリフォルニアの最も裕福な地域の中心にあるリベラルな米国の砦で見られるものではない。

 このティックトッカーは、シャツが半分破れた猫背の男性や、おそらく薬漬けの人々の横を通り過ぎ、以下のような記述を残して、疑問を呈している。

@freqmeek

San Francisco Tenderloin Area Effects of The Fentanyl Crisis and The People Affected By This Epidemic. Where is our protection ? There are so many concerns and protections in place for drug users and homeless people but what about the working class that have to pray that they make it to and from work in this environment. These are real dangers faced every single day just to be able to provide for your family . They got money for war but can’t feed the poor. These elected officials both republican and democrats continue to fail the people. No humanity.. We have a crisis right here in our backyard and we’re funding wars in other countries .. #fyp #communityleader #dreamkeeper #sf #mayorlondonbreed #govgavinnewsom #fentanylkills #fentanylcrisis #opiobsessed #anxiety #relief #mentalhealth #mentalhealthawareness #homeless #community #change #addiction #protect #humanity #safety #cityofsf #49ers #gsw #gswarriors #tragedy #crisis #epidemic #warondrugsfailure #electedofficials #sfblogger #culture #lifeinsf #mentalhealthmatters #accesstohealthcare #shaderoom #hollywood #joebiden #kamalaharris #sfpd #help #humanity #failedgovernment #politics

♬ original sound - FreqMeek


 「私たちの生活を守ってくれる手立てはどこにあるのでしょう? 薬物依存者や野宿生活者たちを心配し、守ってくれるところはたくさんあるというのに。こんな環境の中、無事であるよう祈る気持ちで職場に行き来している、労働者階級の人々に対する配慮はどうなっているのでしょうか? 毎日毎日こんな危険な目にあいながらも、家族を養うために通勤し続けているのです。戦争に使うお金はあるのに、貧しき自国民を養うお金はないのでしょうか?

 選挙で選ばれた民主党や共和党の議員たちは、人々の暮らしにずっと応えられないままです。人間の心がないのでしょうか。自分の国の中で、国民が危機に瀕しているのに、複数の外国の戦争のために税金が使われているなんて」

 この動画が投稿されたのは、ジョー・バイデンがウクライナやイスラエルなどの外国に1050億ドル(約15兆7千億円)の軍事支援をおこなうことを国民に依頼した直後のことだった。米国大統領は、サンフランシスコなど米国諸都市で起こっている危機について触れることはなく、恐怖におののく米国市民にいたわりの言葉をかけ、何らかの解決策を提示することもなかった。小売業者だけがサンフランシスコを見捨てているわけではない。記録的な数の住民たちも、この都市から脱出している。

 カリフォルニア州ギャビン・ニューサ厶知事のような政治家たちが、こんな状況になっても目を覚まさないで、緊急事態宣言を発令しないのは理解できない。いまこそそんな状況にあるのは、この動画を見れば一目瞭然なのに。
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イスラエルの大量虐殺を支援するカナダとアメリカの動機の背後にあるベングリオン運河

<記事原文 寺島先生推薦>
Ben Gurion Canal Behind Canada-US Motive for Backing Israel’s Genocide
筆者:トゥルースボム・メディア(Truthbomb Media)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年11月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月25日





 米国、イスラエル、カナダ、そしてその同盟国は、利害の一致を考慮し、停戦を許さないという強い意志を持っている。ガザ地区での意図的な共同攻撃は、継続的な空爆と地上攻撃を特徴とする長期的な戦略計画の明確な表れである。悲惨なことに、多数の子どもを含む1万人以上のパレスチナ人の命を奪ったこの協力関係は、単なる偶然ではない。これらの国々が経済的、地政学的な目標を共有することによって、軍事戦略がうまく調整された結果なのだ。



 この暴力的な軍事作戦を支援することで、2つの動機が明らかになる。ひとつは、沖合の海洋LNG資源を利用すること、もうひとつは、占領下のパレスチナを通る重要な回廊を開拓することだ。パレスチナ人を追い出し、殺害することで、曲がりくねった迂回路のない直通路を実現し、通過期間を大幅に短縮し、何十億という大幅な財政節約につながる可能性がある。



どんな運河なのか?

 ベン・グリオン運河と呼ばれるこの運河の案は、イスラエル建国の父の一人であり、初代首相の名前にちなんで名付けられたもので、エジプトのスエズ運河の代替運河となる。この水路は約300km、スエズ運河の約3分の1の長さだ。イスラエルの運河建設の見積もりは、160億ドルから550億ドルに及ぶ。出発点は、イスラエルがヨルダンと共有する国境に近いアカバ湾の北端にあるエイラート近郊である。その後、アラバ渓谷を横断し、西のネゲブ山脈と東のヨルダン高地の間を約100キロ走る。その後、ルートは西に向きを変え、海抜マイナス1412フィート(約400メートル)の死海に到達する。死海からはネゲヴ山脈の谷を通り、ガザ地区をかすめながら北上し、最終的に地中海に接続する。



歴史

 1956年、スエズ危機の最中、イスラエル、イギリス、フランスは、ガマル・アブデル・ナセル大統領によって国有化されたスエズ運河の支配権を取り戻すため、エジプトへの侵攻を開始した。この出来事は、イスラエルとその同盟国が、重要な貿易・石油輸送経路であるスエズ運河に依存していることを浮き彫りにした。

 1960年代、イスラエルはスエズ運河を迂回するため、南部地域に独自の運河建設を提案した。当時、この計画は、ヨルダン川の迂回によって引き起こされた死海の減少と塩害に対処することを目的としていた。提案されている運河は、海水を死海に導き、大規模な貯水池を形成して水力発電を行い、灌漑や消費に淡水化した水を供給するものである。

 この計画は、イスラエルの政治家、科学者、技術者たちの熱意と支持を得て、運河の実現可能性と利益を研究する委員会が結成された。しかし、計画は多くの課題や論争にも直面した。最終的に計画の進行を妨げた主な検討事項は以下のとおりである:

 運河が環境に与える影響は甚大で、この地域の生態系、気候、地質学に影響を及ぼし、不可逆的なものになる可能性がある。運河は、多様で独特な動植物や考古学的・歴史的遺跡のあるネゲブ砂漠とアラバ渓谷を切り開く必要がある。運河はまた、地球上で最も低い地点にあり、世界の自然の驚異のひとつである死海の塩分濃度、温度、生物多様性を変化させる。海水と淡水の混合は、化学反応、爆発、有毒物質の排出を引き起こし、外来種や病気の蔓延を引き起こす可能性がある。運河は地震、地滑り、洪水を引き起こし、干ばつや砂漠化の危険度を高める危険性もある。

 運河の政治的・外交的影響は複雑で、この地域のいくつかの国や当事者の利益や権利に関わる論争になるだろう。運河はイスラエル、ヨルダン、エジプトの国境を越え、パレスチナ人が領有権を主張するガザ地区とヨルダン川西岸地区の紛争地域も通過する。運河はまた、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、パレスチナが共有するヨルダン川流域の水資源とその配分に影響を与えるだろう。運河建設には、欧米の影響を直接受けた結果、数十年にわたって対立と緊張関係にあるこれらの国や団体の同意と協力が必要となる。

 エジプトと国際社会にとって重要かつ戦略的な資産であるスエズ運河の地位と役割に挑戦することは、エジプトや他のアラブ諸国、イスラム諸国の敵意と憤りを引き起こす可能性がある。これらの国々は、自国の主権と安全保障を脅かしているとしてイスラエルを敵視している。運河はまた、越境水路や重要な大洋間運河の使用と管理を規制する国際法や条約に違反する可能性もある。

 この計画は、1960年代以降、イスラエルや世界のさまざまな機関や専門家によって何度も研究され、見直されてきた。彼らは運河のさまざまな経路、設計、方法を提案してきた。なかでも最も物議を醸し、衝撃的だったのは、1963年に米エネルギー省とローレンス・リバモア国立研究所が提案したもので、ネゲブ砂漠の丘陵地帯を掘削する際に、520発の埋設核爆発物を利用することを提案するものだった。



 この提案は「プラウシェア作戦」と呼ばれる大規模な計画の一環で、採掘、建設、工学などの「平和目的」に核兵器を使用することを目的としていた。

 この提案は1993年まで機密扱いだったが、機密扱いが解除され、一般に公開された。しかしイスラエル政府から待ったをかけられた。というのも、イスラエル政府は、この地域で核兵器を使用することによる環境的・政治的影響を恐れていたからだ。



米国

 イスラエルがおこなった環境への配慮は、米国にとって決して障害とは見なされなかった。中東、特にイスラエルのインフラ整備に関する米国の戦略的視座は、世界的に重要な意味を持つ、はるかに広範な地政学的目標を示している。米国は何十年もの間、イスラエル国内の戦略的運河構想にしっかりと参画する意志を示しており、中国の「一帯一路構想」の影響力に挑戦する貿易回廊の構築を目指している。このような開発は、欧米中心の経済回廊を強化し、急成長する中国の経済支配に対抗する役割を果たそうというものでもある。

 さらに、アダニ・グループの投資によって推進されるハイファ港の近代化は、世界の海上貿易の状況に変化をもたらす可能性を示している。その目的は、ハイファを貿易、特にインドとヨーロッパ間の貿易の中心地に変貌させ、従来のスエズ運河経路に代わる経路を提示することである。この戦略的な動きは、中国の海洋における優位性に挑戦すると同時に、現在スエズ運河を支配しているアラブ諸国の地政学的影響力を低下させることを意図している。

カナダ

 カナダが停戦要請に消極的なのは、いくつかの重要な要因から生じている可能性がある。第一に、中東・北アフリカ(MENA)地域の重要な友好国であるイスラエルに対するカナダの経済的利益と投資が重要な役割を果たしている。両国は多面的な関係を共有しており、カナダ・イスラエル自由貿易協定はカナダ企業のイスラエル市場参入を後押ししている。両国の協力関係は、産業研究、エネルギー、安全保障などの分野にも及んでいる。

 イスラエルの主要同盟国である米国とカナダが緊密に連携していることも要因のひとつだ。世界最大の貿易相手国であるカナダと米国の関係では、カナダは米国の外交政策、特に中東政策をしばしば反映している。カナダは一貫して、パレスチナ人が何人死のうと「平和と安全」を求めるイスラエルの権利を支持している。

 イスラエルのベン・グリオン運河計画からカナダが得る可能性のある利益は、この野蛮な大量虐殺を阻止する姿勢に影響を与える。運河は石油とガスの輸送に新たな経路を提供し、ホルムズ海峡のような地政学的に敏感な地域への依存を減らすだろう。主要なエネルギー生産国であり消費国でもあるカナダは、エネルギー取引経路の多様化と、イスラエルやこの地域との貿易機会の拡大から恩恵を受けるだろう。この計画を支援することは、米国/カナダ/より広い西側諸国が、特に中東や、米国が脅威とみなす「一帯一路構想」を通じて影響力を強める中国を押し返そうとする狙いに合致する。

 ベングリオン運河計画の恩恵を受けるカナダ企業には、以下のようなものがある:

SNCラバラン社:カルメル・トンネル、テルアビブ軽便鉄道、アシュドッド海水淡水化工場など、イスラエルのさまざまな生活基盤施設計画に携わってきた大手工学・建設会社。SNCラバラン社は、運河計画の設計、建設、運営に参加する可能性があるほか、業務に関する助言や管理事業も提供する。

ボンバルディア社:イスラエル鉄道に鉄道車両や信号体系を、イスラエルの顧客にビジネスジェット機やターボプロップ機を供給してきた世界的な運輸業者。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書によると、カナダは2014年から2018年にかけてイスラエルに武器を供給した上位10国のうちの1国にあたり、その総額は2800万米ドル(約42億円)だった。

 政府所有のイスラエル鉄道は2015年8月、ボンバルディア社に電気機関車62両の供給契約を発注した。この契約には、32両の機関車を追加購入する選択肢も含まれており、契約総額は10億シェケル(2億6000万米ド、約400億円以上)となった。この動きは、インドとサウジアラビア間の海上輸送から始まり、サウジアラビアとアラブ首長国連邦を経由する鉄道輸送、ヨルダンまで延びる可能性のある鉄道輸送、そしてトルコまでの海上輸送、それに続く鉄道接続という輸送網を構想する、より広範な西側戦略の一環であると思われる。

 エンブリッジ社をはじめとする大手石油・ガス会社:世界最長の原油・液体輸送システム、天然ガスパイプライン、処理工場、再生可能エネルギー発電施設を運営する大手エネルギー・インフラ企業。エンブリッジ社をはじめとする石油・ガス企業は、エネルギー輸出入の経路や選択肢が増えるだけでなく、沖合天然ガス田や再生可能エネルギー計画を開発するイスラエルのエネルギー企業への投資や提携によって、運河計画から利益を得る可能性がある。

経済上の機密計画

 検証されたイスラエル人の人質に対するイスラエル国防軍の配慮のなさにもかかわらず、表面的には、米国とその同盟国によるこの地域での軍事行動は、テロ対策あるいは「人質奪還」作戦として正当化されている。

 イスラエルが軍事的対応を正当化するために報告した犠牲者数については、政府による公式情報が不足しており、国葬をおこなうために正式な認定が期待される軍の犠牲者数も特に子どもの犠牲が多い民間人の犠牲者数も不明なままだ。さらに、捕虜となった人質の数が239人と発表されているが、これが正しいという主張を立証する証拠もない。このような主張は、「人質救出」作戦のためと称する「ハント&キル」リーパー無人偵察機の配備など、米軍の激しい行動とは不釣り合いに見える。

 毎日のドローンによる攻撃に加えて、ガザのノルデンドの建物の地下空間を狙った強力な弾薬による爆撃が頻繁に行われており、これは米国の支援によるものだと伝えられている。ジュネーブ条約によれば、これらの強力な弾薬は「自衛のための極端な状況」でしか使用できず、民間人の多い地域での使用は禁止されているにもかかわらず、継続的に使用されている。

 ガザの破壊と取り壊しの裏には、ガザの地形を改造しようという計画の初期段階が隠されている可能性が高く、今後、野心的な事業が始まることを暗示している。

 この地政学的計画があるからこそ、暴力的な攻撃を停止しようとすることに消極的なのだ。その計画が進めば進むほど、経済活動への影響が明らかになるだろう。だが、そのときまでには、取り返しのつかない甚大な被害が生み出され、無数の人命と家屋が破壊されていることだろう。


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ラス厶セン・レポート社の世論調査結果:米国民の42%もが、法が許せば、COVIDワクチン製造業者に対する集団訴訟に加わりたい、と答える。

<記事原文 寺島先生推薦>
Rasmussen Poll: A Stunning 42% of Americans Would Likely Join a Class Action Lawsuit Against COVID Vax Makers If It Were Permitted by Law
筆者:スティーブ・キルシュ(Steve Kirsch)
出典:グローバル・リサーチ   2023年11月4日
<記事翻訳:寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月25日




要旨

ラス厶セン・レポート社は、COVIDワクチンに関する新たな驚くべき調査結果を発表した。

 11月2日米東部標準時午前10時半に出された、最新の調査結果によると、(再度のことだが)、COVIDワクチンは大惨事の元凶になっていることがわかった。まさに現代における最大の医療惨事だといえる。

 主な結論は以下のとおり
1. 47%が、COVIDウイルスが死因で亡くなった人を個人的に知っている、と答えた
2. 24% が、COVIDワクチンが死因で亡くなった人を個人的に知っている、と答えた。
3. 42%が、ワクチンの副反応に関して、製薬諸会社に対する集団訴訟に何らかの形で参加したいと考えている、あるいは強く考えている、と答えた。まちがいなくその集団訴訟は、米国史上最大規模のものになるだろう。

 この結果から示唆されるものは以下のような驚くべき事実だ。
1. ワクチンを受けた56%が何らかの障害を負っている、あるいは負ったと考えられる。その理由は、ワクチン接種率が75%しかなかったのに、訴えを起こしたいと答えた人が42%もいたからだ。42を75で割ると56%になる。これはとてつもない数字だ。ワクチンが大惨事を引き起こした、ということだ。「安全で効果的だ」と宣伝されていた、あのワクチンが、だ。
2. COVIDが死因で亡くなった人が100万人いたという事実を信じるのなら、この調査結果から示唆されることは、COVIDワクチンが死因で亡くなった人は50万人いる、ということだ (調査の結果で得られた上記二つの数値である24%を47%で割ってそれに110万人をかけた数がそうだ)。

 911のテロリストたちの攻撃により3千人ほどが亡くなったときは、大ニュースになった。しかし、米政府が50万人の米国民を殺害した事実については、大きく報じられることも、捜査の対象になることもない。この事象こそ、現在の米国で最大の事件だ。

結論:さあ、真犯人をあげよう。責任者の糾弾を始めよう。

序文

 今年上旬、私がラスムセン社に提案したのは、COVIDワクチンによって生じた障害について再度調べるのは興味深いものになるだろう、という点だった。

同社はそれをおこなったのだ。

 理由は?ラス厶セン社が米国で最も真摯な態度を示している世論調査会社だからだ。ほかのどの会社もワクチンによる障害や死亡事例について知りたがっていない。その事実を確認しよう。

 そしてその調査結果は、以下に示すとおり驚くべきものだ。

調査結果

 調査結果の完全版(クロス集計を含むエクセルのスプレッドシート)はこちら

 注目いただきたいのは、どの層においても、回答者による答えが一貫している点だ。(Excelシートを横方向にスクロールしてご確認ください)。





調査に答えたほぼ半数がCOVIDウイルスが死因で亡くなった人を知っていた




24%が、ワクチンが死因で亡くなった人を知っていた。ワクチンが死因であった死亡事例については、ワクチン未接種の人からの報告のほうが多かった(ワクチン接種者のたったの3割だけが、ワクチンによる死亡事例を認識できていた)。つまり、すべての人々が平等にワクチンによる死亡に気づいていたのであれば、この数は5割を超え、COVIDウイルスが死因で亡くなった人を知っている人の割合と同じくらいになる、ということだ。




 驚くべき結果だ。42%が、集団訴訟に加わりたい、と答えた。この数はとんでもない大惨事があった証だ。米国史上最大規模の集団訴訟になるだろう。人々が安全で効果がある、と信じ込まされていたワクチンにより、こんなことが起こるなんて。

ファイザー社とモデルナ社の株価動向の見通し

 この状況により、最終的にモデルナ社の株価が急降下しないとは考えにくい。

理由①:42%が、可能であれば製薬諸会社を相手に訴訟を起こしたいと考えていること。そうなれば、米国史上最大規模の集団訴訟になるだろう。しかし議会は、製薬諸会社を守ろうとして、そのような訴訟を禁じるだろう。ただし、アーロン・シリー弁護士は議会によるこの保護を打ち破ることができると考え、それを目指す訴訟を起こした。シリーは勝てない裁判に時間を無駄にする弁護士ではない。

 以下に、モデルナ社の株価が急降下する理由になる証拠をまとめている。

信頼している人々の意見よりも集団訴訟を支持する人の方が多い

上の表の結果の方が真実に近い数値だろう

ワクチンを打った36%が障害を負った! この数は、ラスムセン社の世論調査が出した、集団訴訟を起こしたいと考えている人が42%いる、という数字と一致する。
さらに、私だけがモデルナ社の株価が降下しそうだと考えているわけではないことは明らかだ。

モデルナ社の株価動向をどう予測するか、私のXアカウントのフォロワーの意見。

 したがって、私はモデルナ社株は大きく売りに出した。というのも、私のモットーは有言実行だからだ。読み間違えば、負けにはなるが。

 今モデルナ社に大金を投資する勇気がある人などいるだろうか?顧客42%が製品に不満を抱いている現状で、誰がそんなことをするだろうか。

 金融市場は真実を暴くものだろう?ラスムセン世論調査が真実を反映しているかどうかは、モデルナ社の株価を見ればわかる。

 非常に悲しい現実は、ラスムセンの世論調査が示すよりもはるかに悪い。回答者の約半数が、たとえ自分の家族がワクチンによる傷害に見舞われたとしても、その傷害に気づくことができなかったからだ。ショーン・キャステン下院議員が17歳の娘グウェンを不慮の死で亡くした原因は、100%ワクチンによるものだとしか言えなかったのと同じように。こちらこちらの記事を参照!グウェンの死因がワクチンでないという可能性を排除できたというのか?いや。その検査さえしていない。知りたくなかったからだ。なぜ知りたくないのか?娘にワクチンを無理やり打たせてその結果死んだことになってしまうからだ。真実がはっきりすれば、そのまま生き続けることは出来なくなるだろうか。だからその事実に目を向けなかったのだ。

 さらに悪いことに、私はショーン・キャステン下院議員の事務所に電話して、グウェンが最後に予防接種を受けた日を聞き出し、真実を明らかにすることで、憶測を終わらせようとしたが、事務所の答えは、「それは機密事項」だった。え?どうして???グウェンがレストランに行きたいなら、ワクチン接種証明カードを見せなければならなかったはずなのに、なぜ秘密にするのか?

 死んだ後、なぜ突然ワクチンを接種した日付が秘密にされるのだろう?

最終調査

 これは1年近く前のラスムセン社の調査結果である。結果が一致しているのがわかるだろうか?

 優れた科学的研究は再現性のある結果を生む。そして、それこそがここにあるものなのだ。再現性のある結果だ。

 言うまでもなく、避けられない結論は、ワクチンはCOVIDの半分以上の人を殺したということだ。

 つまり、COVIDによる100万人の死亡を認めるなら、COVIDワクチンは少なくとも50万人の米国民を殺したことになる、ということだ。いっぽう、CDCはまだmRNAワクチンで死亡したのは9人程度だと考えている。

 しかし、別の計算では、半数以上が実際にワクチンで死亡した人を知っていることになるが、ワクチンによる死亡の見分け方を知っているのは約半数に過ぎない(死亡について記事を書いている報道関係者であれば、ほぼ0に近い)。つまり、ワクチンによる死亡は少なくともCOVIDによる死亡に匹敵するということだ。しかし、COVIDによる死亡事例数は少なくとも2倍に膨れ上がっていた(政府は病院が人を殺すことを奨励しようとしていたため、COVIDによる死亡を報告すると病院は報酬を受け、病院は収入を最大化するために、できる限りすべての死因をCOVIDによる死因にしてしまっていた)。つまり、きちんとした調査法で調べれば、ワクチンによる死亡者数は現実には50万人いた、ということになる。

 そのことが事実であれば、どうして全く別の層の人々に対しておこなった一年前の調査と、同じような結果が出たというのか?

 誰かが嘘をついている。しかし大手報道機関や医療界は誰が真実を語っているかについて関心がない。これらの人々は、CDCが言っていることならたいていなんでも聞くからだ。たとえその内容が真実とかけ離れていて、CDCがそのことに対して異論を唱えようとする人々を排除しようとしているにしても、だ。その一例がこの私だ。そうしようとしたら、即座に消されたのだから。



この結果はほぼ1年前のものだ。現在の結果と比べてみていただきたい。非常に近いものになっている。つまり約50万人がワクチンによって死亡したことになる。

この調査の限界

 国民の75%の人々がワクチンを接種済みだ。ワクチン接種者の中には、ワクチンによる死亡を認識する人が比較的少ない。そのため、25%という数字は過少報告であり、COVIDと同等かそれ以上の数の人々がワクチンによって死亡している可能性が高い。

当研究の信頼性

 大変高い。25%という数字は、ほぼ1年前の28%という数字と一致する。つまり、この結果は再現可能なのだ。

 この世論調査は、ワクチンによる傷害や死亡を評価する人々の能力に左右されるため、ワクチンによる傷害を過小評価していることになる。

 記事全文は、こちら

 ラスムセン・レポート社へのリンクはこちら
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イタリア、世界初の合成食品禁止法案を議会に提出

<記事原文 寺島先生推薦>
Italy Planning to Become First Country to Ban Synthetic Food
筆者:ポール・アンソニー・テイラー(Paul Anthony Taylor)
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年11月24日





 イタリアは、世界で初めて合成食品を禁止する国になろうとしている。実験室で製造された食品の製造、輸入、販売を禁止する法案が、同国の下院で審議されている。フランチェスコ・ロロブリジーダ・イタリア農相がアイルランドのキルケニーで開催された最近の催しで発表したこの動きは、予防原則に基づくもので、一部の特権階級だけでなく、すべての人に高品質の食品を確保することを目的としている。実験室生まれの食肉は環境に優しいと宣伝されているが、最近の調査によると、そのカーボン・フットプリント(生産に伴う炭素排出量)は従来の食肉よりも桁違いに高いようだ。

 イタリア政府は、合成食品をどのように規制するかについて模範を示したいと述べ、フランチェスコ・ロロブリジーダ農相は、すべての人がきちんとした食生活ができるべきであり、高品質の食品は裕福な特権階級のためだけに生産されるものではないと主張した。ロロブリジーダ農相は、実験室で生産される肉はイタリアのような国にとっては「自殺行為」であり、イタリア政府は自国の食をユネスコの無形文化遺産に登録するための取り組みをおこなっている、と語った。

 ロロブリジーダ農相は、実験室で生産される食品を承認することは、最終的に畑や農場を消滅させることになりかねず、環境破壊につながると考えている。生化学反応装置を使った食品生産は、環境に悪影響を与えるだけでなく、人間の健康にも危険をもたらすと同農相は主張している。

通常の牛肉より高いカーボン・フットプリント

 合成食肉は、牛を飼育するよりも土地、水、温室効果ガスが少なくてすむとして、環境にやさしいと宣伝されているが、最近の研究によれば、そのカーボン・フットプリントは、従来の牛肉よりも桁違いに高くなる可能性が高い。カリフォルニア大学デービス校で行われた研究で、研究者たちは、現在および近い将来の生産方法に基づき、実験室で栽培された食肉の製造を拡大すると、エネルギーを大量に消費し、地球温暖化係数は小売牛肉の平均の最大25倍になることを発見した。

 この発見を考えると、ビル・ゲイツが実験室生産食肉の最大の支持者の一人であることは皮肉なことかもしれない。気候変動の危険性に対する警告を支持するゲイツは、豊かな国々は合成牛肉に全面的に移行すべきだ、と主張している。ひねくれた見方をすれば、ゲイツがこのような製品を支持するのは、地球温暖化を回避するためというよりも、特許と利益を確保するためだと考えているからかもしれない。このように考えると、ゲイツが獲得した米国最大の個人農地所有者という新たな地位は、あらゆる疑問を投げかけることになる。

 これまでのところ、食用として実験室で作られた食肉を認可しているのは米国とシンガポールだけである。しかし、事情通の人々が指摘しているように、もしEUで認可が下りれば、EUの持つ商品と事業の自由な移動に関する法律により、イタリアがこれらの製品に対して国内禁止令を施行することは実質的に不可能となる。

地中海食に感化されて

 イタリア政府の閣僚の何人かは、新法案の着想として、自国の有名な地中海食を挙げている。過去70年間で最も研究された食事法であることは間違いないが、地中海食が歴史的に基盤としてきた主な構成要素は、大量の果物と野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ類、オリーブオイル、ヨーグルト、適量のチーズ、週に最大4個程度の卵、少量の肉、魚、ワインなどである。地中海食は、糖尿病、心血管疾患、がん、アルツハイマー病、その他の慢性疾患の予防だけでなく、健康増進と長寿につながるという研究結果が数多く発表されている。

 2014年10月、南イタリアの歴史的な町バルレッタで行われた基調講演で、マティアス・ラート博士は、新しい予防的な医療的対策の礎を説いた。微量栄養素の欠乏が慢性疾患の主な原因であることを説明し、私たちが毎日の食事から必要とする物質の大部分は、私たちの庭や農場で育つ果物、野菜、植物に含まれていることを指摘した。この理解は、今日の最も一般的な病気を自然に抑制する道を開くものである、と同博士は説明した。

 科学的な研究により、自然に生産されたオーガニック食品の健康効果がますます確認されつつある。同時に、超加工食品の寿命を縮める影響も急速に明らかになりつつある。実験室で育てられた肉やその他の超加工食品は、主に億万長者の支持者の利益のために設計されている。現代の多国籍食品産業が「病気ビジネス」の一部であることがますます明らかになる中、人類は危険と隣り合わせの危険な合成食品を消費している。

*
この記事の初出は、『Dr. Rath Health Foundation

Dr. Rath Health Foundationの事務局長であり、爆発的な反応を呼んだ著書『The Nazi Roots of the 'Brussels EU'』の共著者の一人であるポールは、コーデックス委員会の専門家でもあり、公式オブザーバー代表として、コーデックス委員会の会合を目撃した経験がある。ポールのツイッターは @paulanthtaylor
当サイト、グローバル・リサーチの常連寄稿者。
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習近平との首脳会談で証明してみせたバイデンの無能さ

<記事原文 寺島先生推薦>
How Biden proved his incompetence at Xi summit
米国務長官さえ、バイデンの発言に憤慨
筆者:ブラッドリー・ブランケンシップ(Bradley Blankenship)
米国のジャーナリスト・コラム二スト・政治専門家
出典:RT   2023年11月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月24日



2023年11月16日木曜日、サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力サミットの非公開対話とワーキング・ランチに出席したジョー・バイデン大統領。© AP Photo / Godofredo A. Vásquez


 最近、当時のアルカイダ指導者であったウサマ・ビン・ラディンが2002年に発表した「米国民への手紙」がTikTokで拡散された。若い米国民らが、この手紙を再発見したようだが、この手紙を見て、明らかに米国に幻滅したようだ。その理由は、ビン・ラディンが米国について、鋭い見解を持っていたからだと思われる。少なくとも一部の若者にはそう見えているようだ。
 
 もちろん、ビン・ラディンは非常に教養のある人物であっただけでなく、かなりの量の手紙を書いていたことが判明した。中国を拠点とするソーシャル・メディア上で大きな影響力をもつダニエル・ダンブリルは、X(旧ツイッター)の閲覧者にビン・ラディンの他の手紙のひとつを紹介した。そこには、ジョー・バイデン現米国大統領について具体的に触れており、米国転覆を狙うテロリスト集団の指導者であるラディンが、バラク・オバマ大統領よりもバイデン副大統領(当時)を好んだ理由が書かれていた。

 ビン・ラディンが記していた内容は以下のとおり。「私はシェイク・サイード(彼にアッラーの慈悲がありますように)に、ひとつはパキスタン、もうひとつはアフガニスタンのバグラム近辺で2つの軍事集団を組織するよう、イリヤス(カシミール)兄弟に依頼した。この2つの組織には、オバマやペトレイアス(元CIA長官)がアフガニスタンやパキスタンを訪問する際の偵察と、その後に彼らが乗る飛行機を標的にする任務が課せられていた」。


関連記事:China brands Biden ‘irresponsible’

 「ただし、ジョー・バイデン(副大統領)、ゲイツ(国防長官)、マレン(参謀総長)、ホルブルック(オバマのアフガニスタン・パキスタン特使)の到着の知らせを受けた場合は、この4人のいずれも標的にしてはならない。標的は、オバマとペトレイアスに絞らなければならない。特にオバマを標的にする理由は、オバマが誰よりも信じ難い人物であることと、オバマが暗殺されればバイデンが残りの大統領任期を任されることになるからである。バイデンにはこの役職を引き受けられるような能力がまったくなく、バイデンが権力を握れば、アメリカは深い危機に追い込まれることが予想されるからだ」とこの書簡は結んでいる(強調は筆者)。

 「アドルフ・ヒトラーが「空は青い」と言ったなら、私はヒトラーに同意するだろう」という古い格言を思い出す。ヒトラーに同意しようがしまいが、米国の死を願おうが願うまいが、ラディンがこの書簡で述べたことが真実であることは否定できない。最近アメリカで行われたバイデンと中国の習近平国家主席との会談は、実際にこのことを世界中の聴衆の前で実証した。

 記者会見でバイデンはまず、ガザでパレスチナの軍事組織ハマスが拘束しているイスラエル人人質に関する現在進行中の秘密交渉についてベラベラしゃべった。バイデンは、この交渉はカタールが仲介しているようだと述べたが、それ以上は踏み込まなかった。というのも、アントニー・ブリンケン国務長官が首を横に振って、バイデンにそれ以上話さないよう懇願したからだ。さらに、一人の記者がバイデンに「習近平は独裁者だ」という以前バイデンがおこなった発言をいまでも支持しているかと尋ね、それに対してバイデンは、そうだ、と答えた。この発言の後、ブリンケンはカメラの前で明らかに顔をゆがめた。



 アントニー・ブリンケンは並外れた外交官ではないし、大学時代に一度だけヨーロッパに海外旅行して「文化的」になって帰ってきた金持ちの子どものような雰囲気を持っているが、ブリンケンの憤慨は事実上、すべての外交政策の専門家やコメンテーターの憤慨を集めたようなものだったといえる。外国からの来賓、しかも、超大国として世界の先頭を走っている国であり、長くても10年以内には米国をはるかに凌駕するであろう国の国家主席を面と向かって侮辱するのは、まさに愚かな行為だ。このような振る舞いを表現する言葉は他にない。
 
 しかし、これは今回の会議のより本質的な成果を示すものでもある。中国の報道関係者のなかには楽観的な人もいるし、実際、中国の国営報道機関は明るく希望に満ちた論説で溢れているが、そのような見方は明らかに現実離れしている。米中はもっと慎重に関係を管理し、競争よりも協力を求めるべきだ。しかし、そのような希望的観測は現実には通用しない。現在、米中関係は非常に悪化しており、そうでないと考えるのは甘い考えだ。

 東アジア担当の元米国情報当局者ポール・ヒアは、『ナショナル・インタレスト』誌の最近の寄稿で、この会談の結果を完璧に表現している。基本的に、これは会談に関するそれぞれの報告書を読めば明らかだが、アメリカは習近平の「連帯と協力を強化し、手を携えて世界の課題に対処し、世界の安全と繁栄を促進する」(中国側の報告書からの引用)という非常に寛大な申し出を、「何よりもまず『米中は競争関係にある』ことを強調する」ことによって拒否したのだ。

 ヒア氏は、結束よりも分裂に焦点を当てたバイデンは「主に国内の政治的聴衆、特に議会での批判者たちに向けて、中国に厳しく臨む用意があることを示そうとした」と指摘した。いっぽう、習近平のサンフランシスコでの動きについては、「主に世界の人々に向けられているように見えた。習近平は人々に、米国側の対立的な立ち振る舞い対して、中国側は合理的で協力的に対応する用意があることを示そうとした」と評した。


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 ヒア氏はさらに、習近平は、「米中関係を主に競争的なものとすることに中国側が長年反対してきたことを繰り返し指摘し、それでは両国と世界が直面している問題を解決できないと主張した」と、非常に詳しい意見を述べている。ヒア氏の結論は、「緊張と不信の根底にある核心的な原因について対処がされず、和解を阻む根本的な政治的、構造的、歴史的障害はそのまま残っている......。双方が相互融和の危険性と責任を引き受けることを望まない、あるいは引き受ける用意がない限り、両国関係の進展は止まるだろう」というものだった。

 確かに、私はヒア氏の意見に概ね同意する。しかし、明らかな事実は、米国がドナルド・トランプとジョー・バイデンというまったく無能な国家元首を大統領としてほぼ2期も擁立してしまったことだ。この2人は自分が何をしているのか分かっておらず、外交における米国の国益にとって極めて危険だ。そして、このことはみなが承知している事実なのだ。しかし、それは政治家個人の性格の問題として片付けられるものではなく、むしろこの厳格さと才能の欠如は、世界の主要国としての米国の全般的、全体的な衰退を象徴している現象だと言える。

 一言で言えば、米国はおそらく本質的には、かつて偉大だった国家になりさがり、影響力と富を大量に残しているが、冷酷なまでに利己的な財閥らによって疲弊させられている、ということだ。国益のためであろうとなかろうと、実際に決断を下すのはこれらの財閥であり、誰が大統領になるかを事実上決定するのも彼らなのだ。当然のことながら、習主席がサンフランシスコで自分の周りに居させたのはこうした財閥たちであり、それは習主席が彼らが最も重要であることを知っているからだ。そしてこれらの財閥たちからスタンディング・オベーションを受けながら話している習主席の様子をジーナ・レモンド米商務長官は悔しがって見ていた。

 しかし、念頭に置くべきことは、これらの財閥たちが、トランプ(最初だけだが)やバイデンを支持した理由は、逆説的な言い方だが、2人の無能さのためである、という事実だ。減税以外何もせず、米国の影響力を効果的に海外に及ぼすような有能な政府こそ、これら既得権者らの利益にとって最も有害なものである。とはいえ、あまり能力のない者が指導者の座に就くようなこのような政治体制は、根本的に持続不可能である。このような体制のせいで、政治的指導者層の共食いを招き、この10年間でアメリカの力が急速に低下したのだ―だからこそ、バイデンのような大うつけものでさえ、大統領執務室の近くで働けているのだ。
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サンフランシスコは抱えている大問題を解決する準備をした―アメリカ人ではなく、習近平のために

<記事原文 寺島先生推薦>
San Francisco was ready to fix its main problem – not for Americans, but for Xi Jinping
主要な国際サミットを前に、ホームレスの人々がゴールデンシティの通りから突然に姿を消した
筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
アメリカの作家、ジャーナリスト。著書に『アメリカ帝国の真夜中―企業とそれに従属する政治的召使いはどのようにしてアメリカン・ドリームを破壊したか』がある。
出典:2023年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月24日


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2023年11月11日、カリフォルニア州サンフランシスコのダウンタウンにあるAPEC首脳会議本部近くのゴールデン・ゲート・ブリッジの壁画に向かって横たわるホームレス©ローレン・エリオット/AFP


今週、カリフォルニア州第4の大都市の住民は、路上にホームレスの野営地、麻薬中毒者、ポン引き、売人がいないことに驚いた。彼らが寝ている間に政治革命が起こったのか、それとも何か別のことが起こっているのか。

サンフランシスコの住民がようやく毎朝の人尿の悪臭に慣れてきた頃、現状をひっくり返そうとする清掃員が現れた。有権者の税金がようやく有効に使われ始めたということだろうか。はてさて、その真実はいかに? アジア太平洋経済協力会議 (APEC)首脳会議(11月14~16日)の開催地である民主党支持のこの都市は、世界の視線からその怪しげな側面を隠すために大きく前進した。この古いトリックは以前にも試されたことがある。

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関連記事:習近平、サンフランシスコのホームレス一掃に貢献


1787年、ロシアがオスマン帝国との戦争の危機に瀕していた頃のことだが、ロシア皇后エカテリーナ二世と各国の大使はノヴォロシーヤに長期の遠征を行なった。この旅の主な目的の一つは、戦闘が始まる前にロシアの同盟国に好印象を与えることだった。そのために、ロシアの軍事指導者で政治家のグリゴリー・ポチョムキンは、ドニエプル川のほとりに「移動村」を建設したという歴史的な逸話がある。皇后と宮廷を乗せた船が現れると、ポチョムキンの手下たちは、十分な食事をとっている幸福で農民になりすまして、即席の村に住んだ。船が通過した後、村のセットは全てすぐに解体され、さらに下流に再建された。ということでそこは「ポチョムキン村」と呼ばれるようになった。

この話は現在ではほぼフィクションとみなされていると言わざるをえない。ポチョムキンは荒廃した田舎をより見栄えよく見せようとしたようだが、どの程度までそれを行なったかについては議論が続いている。単に見栄を張ったり、進行中だった戦後復興の宣伝をしたりするのではなく、実際に皇后や大使を欺こうとしていたという主張は、法廷で彼を中傷する者が多かったことが原因であると考えられている。

サンフランシスコが直面している課題は、帝政ロシアが直面している課題よりも少し難しい。都市の社会から取り残された住民の多くは、国家の船がどんな難破船になったのか誰にも疑われないように、荷造させられて帝国の僻地に送られたが、アンクル・サムにはまだ空き店舗が全て残っているという問題が残されている。米中首脳会談の最主賓である中国の習近平国家主席が、サンフランシスコのダウンタウンの中心にある商業の中心地のユニオンスクエアで、アメリカのファストフードを食べるために車を停めるように指示したとしたら、どれだけ当惑するか、想像してほしい。もし習主席がこの空き店舗山積のニュースを聞いていなかったとしても、多くの有名小売チェーン店が消えてしまったことにすぐに気づいただろう。

かつて伝説となったシティ・バイ・ザ・ベイ(湾岸の都市)のビジネスの見通しは楽観的ではなく、その理由の多くは犯罪の横行に集約されているが、民主党信奉者の都市指導者たちはこの都市現象に満足しているようだ。米保健社会福祉省(HHS)は8月、サンフランシスコの連邦政府職員数百人に対し、安全上の懸念から「当面の間」在宅勤務をするように勧告した。

その勧告書には、「連邦ビルの状況を考慮して、従業員には当面の間、テレワークを最大限に活用することを推奨する」と書かれている。

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関連記事:なぜサンフランシスコは死につつあるのか、そしてそれはジョージ・ソロスとどんな関係があるのか


民主党―サンフランシスコとカリフォルニア州の主要不動産の大半を支配している―にとって二重に厄介なのは、問題のオフィス複合施設の公式の呼び名が「ナンシー・ペロシ議長連邦ビル」であることだ。

これら全てのことは、かつて伝説都市だった湾岸都市からの大規模な人口流出を意味する。2020年7月から2022年7月にかけて、人口の7%に相当する65,000人がいなくなっているのだ。

同じことは、何千人ものホームレスについても言える。多くが覚醒剤やヘロイン、その他のオピオイドなど、依存性の高い薬物にはまっているこれらのホームレスの人々はいま、一時的にサンフランシスコの街から追放されている。世界の指導者(習近平などのことだが、ジョー・バイデンは入るのか?)がゾンビがうろつくこの世の終わりを彷彿とさせるようなホームレスの群れに遭遇することなどあってはならないことなのだ。ただし残される大きな問いがひとつある。なぜ普通のアメリカ人はこのような悲惨な状況に日々耐えなければならないのか? 数年に一度、国際的な行事が開催される時にだけ、取り繕われた偽の街の姿が作られるのだから。

サンフランシスコの荒涼とした空気の中、バイデン米大統領と習主席はAPEC首脳会議で何を話し合うのか。民主党の米国指導者は、気候変動、永遠の戦争、地球の裏側での「民主主義」の促進など、お決まりの話題で盛り上がりたいのだろうが、習近平は無礼講の客を演じてかつての美しい湾岸の都市に何があったのかを尋ねることで、バイデンを針のむしろに座らせるかもしれない。はてさて、その顛末はいかに?
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地政学的に見て、サウジアラビア・イラン間の友好関係は実現する

<記事原文 寺島先生推薦>
Arab-Iran Amity is a Geopolitical Reality
筆者:M.K.バドラクマール(M. K. Bhadrakumar)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年11月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月23日



ガザ北部のジャバリア難民キャンプで、イスラエル軍の空爆の標的となった建物の残骸の中で作業するパレスチナ人(2023年11月1日)



 11月13日に予定されているイランのエブラーヒーム・ライースィー大統領のサウジアラビア初訪問は、3月に中国が仲介した両国間の和解の一里塚となる。両国関係は、パレスチナ・イスラエル紛争を背景に、急速に質的に新しい連帯の段階に入りつつある。

 このことは、この地域の政治に地盤が変化していることをあらわしている。これまでこの地域の政治は、長らく米国が支配してきたのだが、いまはそうはなっていない、ということだ。月曜日(11月6日)、ガザ停戦を推進するための中国とUAEが出した最新の提案が、ニューヨークの国連本部で、両国の特使が報道機関に向けて共同声明を読み上げるという、外交上異常な光景で締めくくられた。米国の姿はどこにもなかった。



 10月7日以降の出来事を見れば、イスラエルをイスラム近隣諸国に統合しようとする米国の試みが夢物語であることは明らかだ。イスラエルが剣を鍬に持ちかえないかぎりは。「人獣」であるガザの人々に対するイスラエルの復讐攻撃の獰猛さは、人種差別とジェノサイドの臭いがする。

 イランはシオニスト政権の獣性をずっと知っていた。サウジアラビアもまた、何よりもまずこの地域で生きることの意味を学ばなければならないという警鐘を受け、気を引き締めたに違いない。

 ライースィー大統領がサウジアラビアに近づこうとする背景には、勢力関係が歴史的に変化していることがある。サウジアラビアのサルマーン国王は、自身が主催したリヤドで開催されるアラブ諸国の特別首脳会議で、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの犯罪について話すようライースィー大統領を招待した。これは、サウジが米国の説得のもとでアブラハム合意*に関与しようとしたことでさえ、アラブの人々を疎外してきたことをサウジが深く認識したことを意味する。
*2020年8月13日にアラブ首長国連邦とイスラエルの間で締結された外交合意(Wikipediaより)

 西側諸国の言説における誤ちは、西アジアは、ロシア・中国・イランの枢軸関係で成り立っている、と認識している点だ。これは無意味な誤解だ。イランが1979年のイスラム革命以来一貫して追求してきた対外政策には3つの原則がある。①戦略的自主権は神聖なものであること、②この地域の国々は自分たちの手で運命を切り開き、域外の大国を巻き込むことなく地域の問題を自分たちで解決しなければならないこと、③その道のりがいかに長く曲がりくねったものであっても、イスラム教徒の団結を育むことである。

 この原則は、状況によって、つまり主として米国が追求した「分断して統治せよ」という植民地政策によってもたらされた状況によって、厳しい制約を受けることになった。例えばイラク・イラン戦争では、アメリカはイスラム革命の萌芽を阻止するため、イランへの侵略を開始するサダム・フセインと協力するよう地域諸国を奨励した。

 もうひとつの痛ましい歴史は、シリア紛争である。そこでもまた、米国はシリアの政権交代を地域諸国に対して積極的に働きかけ、その最終目的はイランを標的にすることであり、米国政府が占領下のイラクで育てたテロリスト集団を利用する、という手口だった。

 シリアでは、アメリカは見事に地域諸国を対立させることに成功し、その結果は、かつてイスラム文明の中心地であった場所の廃墟を見れば一目瞭然である。紛争の最盛期には、西側のいくつかの諜報機関がシリアで自由に活動し、テロ集団がシリアで暴虐の限りを尽くすのを支援したが、西側の最大の罪は、イランに対するのと同様に、自国の戦略的自律性と独立した外交政策を優先してきた点にある。これは冷戦時や冷戦後に取ってきた政策と似通ったものだった。

 敢えて言うなら、米国とイスラエルは、中東イスラム諸国を分断させることに大成功したのだ。その手口は、いくつかの湾岸諸国を怯えさせ、説得するというものだった。これらの諸国にイランの代理勢力から直接脅威を与えられる、あるいは攻撃されるという恐怖を感じさせたのだ。イランの息がかかったとされた反政府勢力も恐怖の対象とされることもあった。

 もちろん米国は資金を提供して、多数の武器を売ったのだが、さらに重要なことは、西側金融の柱としてペトロ・ダラーを上手く利用したことだった。イスラエルにとっては、イランを悪者扱いすることにより、直接に利をえることができた。というのも、パレスチナ問題からの目逸らしに使えたからだ。パレスチナ問題こそ、中東の中心課題であり続けていたからだ。

 敢えて言うなら、イラン・サウジ・中国間の合意は、サウジアラビア政府とイラン政府の間にここ数十年間存在した敵対関係を縮小させた、ということだ。両国は、不干渉の約束に関して、北京での秘密会談の成功によって生み出された勢いに乗ろうとした。しかし、湾岸アラブ諸国とイランの関係は、この2年間ですでに大きく改善していたことに留意しなければならない。

 欧米の専門家たちが見落としているのは、湾岸諸国の富裕層が、米国の片棒を担ぐような従属的な生活にうんざりしているということだ。これらの国がいま自国の国民生活において優先させたいことは、自分たちや自分たちに敬意を払ってくれる友好諸国とで方向性を決める、ということだ。双方の損得が相殺するというやり方は避けたいのだ。そんな冷戦時代のような、各国の政治色や力関係で決まるやり方は避けたいのだ。

 だからこそ、バイデン政権が受け入れようとしていないのは、サウジアラビアがOPECプラスの枠組みでロシアと協力し、自主的な原油供給削減の約束を交わすことなのだ。そのいっぽうで、サウジアラビアは米国と核技術について交渉し、同時に中国との外交関係を駆使して、1カ月前にレバント(東部地中海沿岸地域)で燃え上がった火を消し、他の西アジアの地域に戦火が拡大しないように手を打っている。

 明らかに、サウジはもはや米国とイランの対立を喜んだりはしていない。他方、サウジとイランは、地域の安定と安全が確保されない限り、開発優先の新しい考え方は消滅してしまうという共通の懸念を抱いている。

 したがって、米国側がヒズボラ・ハマス・イランを同一集団と捉えるのは児戯に等しい。ブリンケン国務長官は、月曜日(11月6日)にテルアビブに訪問した際、そのような発言をしたのだが・・・。 さらに、この地域の残りの国々を十把一絡げに捉えることも、そうだ。ヒズボラやハマスが「テロ」活動組織的であるという虚言は崩れつつある。真実があきらかにされれば、ハマスやヒズボラは、歴史的に見ればIRA(アイルランド共和軍)と関連のあるシン・フェイン党とそれほど変わらない組織であることが分かるだろう。

 このような子どもじみた考えのもとで創設された、米・イスラエル・インド(・UAE)連合による西アジアでのクアッド2(I2U2)など、いまでは笑止千万だし、先日のG20首脳会議においてニュー・デリーで発案された奇妙な取り決めによる、サウジアラビアをインド・中東・欧州回廊の中継地にしようという妄想もあり、その虫のいい見通しでは、イスラエルを「組み込ん」で、イスラエルのハイファ港での事業を生み出し、イランやトルコを孤立させ、ロシアが主導する国際南北輸送回廊を台無しにし、中国の一帯一路構想に挑戦状を送り付けるつもりだったようだが、現実は厳しい。

 すべてを考慮に入れれば、先週末にアントニー・ブリンケン米国務大臣がイスラエルを訪問し、アンマンでアラブ諸国の限られた首脳陣と話し合いをもったことは、今回のガザ危機における決定的瞬間になった、といえる。

 アラブ諸国の外相たちは、ユダヤ人の権益を守ろうとする悪意あるブリンケンの提案には一切耳を貸さなかった。その提案とは、①停戦ではなく「人道的休戦」、②イスラエルによる残忍で恐ろしい攻撃から逃れてきたガザの人々のための難民キャンプの費用はアラブ諸国が出すことになるが、その資金は最終的にはガザのユダヤ人居住者に回される、③戦後の取り決めの輪郭として、ガザの瓦礫はパレスチナ自治政府が処理し、再建費用はアラブ諸国が捻出するが、イスラエルは重要な安全保障分野で優位を保つ、④米国がきっかけを作ったイスラエル激戦区にいるヒズボラやハマスにイランが救いの手を差し伸べるのを阻止する、というものだった。

 偽善もいいところだ。アラブの外相たちは声をそろえて、ブリンケンの提案に対する対抗案、すなわち即時停戦を明言した。バイデン大統領は、ただならぬ前兆を理解したようだ。しかし、本質的には、かつて誰かが呼んだように、バイデン大統領は世界一のシオニストであり続けている。そして彼の動機は主に、2024年に迫った大統領選で自分が政治的に生き残れるかどうか、から来ている。

 それはともかく、国際社会がイスラエルのアパルトヘイト国家を阻止しようと主張するのは、もはや時間の問題だろう。イスラム諸国が団結すれば、多極化しつつある世界秩序の中で主導権を握ることができるからだ。パレスチナ問題の解決にこれ以上の遅れは許されないという彼らの要求は、西半球も含めて共鳴を得ている。
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似非専門家と官僚による「偽情報」の武器化:いかにして連邦政府は大学と提携し、米国民の政治的発言を検閲したか

<記事原文 寺島先生推薦>
The Weaponization of “Disinformation” Pseudo-experts and Bureaucrats: How the Federal Government Partnered with Universities to Censor Americans’ Political Speech
米国下院司法委員会・特別小委員会報告書
筆者:Committee on the Judiciary and the Select Subcommittee on the Weaponization of the Federal Government
出典:グローバル・リサーチ  2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月23日





要旨

 2016年の大統領選挙後、外国の「偽情報」が選挙の完全性に影響を与えたという衝撃的な言説が登場した。このような主張は、トランプ大統領の勝利の正当性に関する左派の選挙否定論に煽られ、そのような情報の拡散におけるソーシャル・メディアの役割に新たな焦点が当てられるきっかけとなった[1]。
 「偽情報」に対応するシンクタンクや「専門家」、政府の対策委員会、大学のセンターが結集され、その目的は、これらすべての機関が、偽情報や偽情報の疑惑の高まりについて研究し、それに対抗するためだとされた。連邦政府の兵器化に関する下院司法特別小委員会が以前に示したとおり、外国からの影響や誤情報と闘うためとされたこうした取り組みは、すぐに国内、つまり米国民の言論を対象に含むように変化した[2]。

 

下院司法特別小委員会の全文書は、こちらから。

 憲法修正第1条は、米国民の言論を監視し検閲する政府の役割を当然制限しているが、こうした偽情報の研究者(多くの場合、少なくとも一部は税金で賄われている)は、こうした憲法の規定に厳密に縛られていたわけではない。連邦政府が直接できないことは、新しく出現した検閲産複合体に事実上、外部委託したのである。

 スタンフォード大学のスタンフォード・インターネット観測所(SIO)が率いる「偽情報」研究者組織である選挙公正団体(EIP)は、国土安全保障省および国務省内の複数省庁からなるグローバル・エンゲージメント・センターと直接協力し、2020年の大統領選挙に先駆けて米国民のオンライン言論を監視・検閲した。合衆国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)の「要請を受けて」2020年の夏に設立された[3]。
 EIPは、連邦政府が憲法修正第1条と国民の監視の両方を回避することを期待して、検閲活動を外に出すことで見えなくする方法を提供した。

 COVID-19が大流行するなか、2020年の選挙を前にして、米国民と議員たちは、選挙期間中に選挙手続きを変更するという、前例のない措置の是非を議論した。[4]
 これらの問題は、政治的に重要な問題についての現代のあらゆる言説と同様に、現在版井戸端会議ともいえる、世界最大の各種ソーシャル・メディア上で広く議論された。
 しかし、これらの選挙の候補者を含む米国市民がこれらのプラットフォーム上で憲法修正第1条の権利を行使しようとしたとき、連邦政府が第三者組織、特に大学やソーシャル・メディア・プラットフォームと直接連携した結果、憲法で保護された米国市民の言論の自由は意図的に抑圧された[5]。
 選挙(つまり、米国民が自分たちの代表を選ぶ手続き)に関する言論は、もちろん憲法修正第1条の強固な保護を受ける権利がある[6]。
 しかし、偽情報の「専門家」が認めるように、あらゆる種類の言論を悪であると決めつけることは「本質的に政治的」[8]であり、それ自体が「検閲」の一形態である[9]。

 この中間報告で詳述されているのは、EIPの創設と運営に連邦政府が強引に関与し、2020年選挙までの数週間から数ヶ月間、米国民の政治的言論に対する検閲を助長した事実だった。
 さらにこの報告書がはじめて明らかにしたのは、これまで連邦政府機関、大学、ビッグテックなど一部の関係者しか入手できなかった、EIPの集中報告体制からの極秘「誤報」報告書について、だった。
 同特別小委員会がこのような非公開報告書をスタンフォード大学から入手できたのは、議会侮辱罪にあたるという脅しをかけたからだった。そして、誤報や偽情報に関するこれらの報告書は、2020年の選挙に向けて、政治的言論において中核的に携わる米国市民を検閲するために使われた。

 この新情報が明らかにし、この報告書が概説しているように、連邦政府と大学はソーシャル・メディア企業に圧力をかけ、真実の情報、ジョーク、政治的意見を検閲した。
 この圧力は、主に一方の政治的勢力に有利になる方向に向けられた:共和党や保守派が投稿した真の情報は「誤報」であると決めつけられ、民主党やリベラル派が投稿した偽情報はほとんど報道されず、検閲の手も入らなかった。
 偽情報という疑似科学は、今も昔も、一般的な言説に反する見解を持つ組織や個人が最も狙われるという政治的策略にすぎない。

 EIPのやり口は単純明快だった:
 連邦政府機関や連邦政府から資金提供を受けている団体を含む「外部の利害関係者」が、EIPに直接誤報報告を提出
 →EIPの誤報「専門家」は検閲のための追加事例をインターネットで探し回る
 →例えば、提出された報告がフェイスブックでの投稿に目をつけた場合、EIPの専門家らはツイッター、ユーチューブ、TikTok、レディット、その他の主要なソーシャル・メディアで同様の投稿を検索
 →問題のあるリンクがすべてまとまると、EIPは最も重要なものをビッグテック業者に直接送り、各ソーシャル・メディア会社がどのようにその投稿を検閲すべきかについて具体的に勧告、たとえば、その投稿が「発見される可能性」を減らす、「(アカウントの)ツイート継続能力を12時間停止する」、特定の利用者を「タグ付けされたインフルエンサー・アカウントのいずれかがリツイートするかどうかを監視する」
 →そしてもちろん最終的には、何千もの米国市民の投稿を削除する、
といった手口を使っていた。[10]



検閲を受けていたのは、

・ドナルド・J・トランプ大統領
・トム・ティリス上院議員
・ニュート・ギングリッチ下院議長
・マイク・ハッカビー・アーカーソン州知事
・トーマス・マッシー下院議員
・マージョリー・テイラー・グリーン下院議員
・ニュースマックス社
・バビロンビー(サイト)
・ショーン・ハニティ(司会者)
・モリー・ヘミングウェイ(女優・コラムニスト)
・ハルミート・ディロン(共和党全国委員会議長)
・チャーリー・カーク(司会者)
・キャンディス・オーウェンズ(作家・政治評論家)
・ジャック・ポソビエック(政治活動家)
・トム・フィトン(政治活動家)
・ジェームズ・オキーフ(プロジェクト・べリタス元代表)
・ベニー・ジョンソン(解説者)
・ミシェル・マルキン(政治評論家)
・ショーン・デイビス(雑誌編集者)
・デーブ・ルービン(司会者)
・ポール・スペリー(作家)
・トレイシー・ビーンズ (雑誌編集者)
・シャネル・リオン(政治漫画家)
・あらゆる政治団体に所属する、数え切れないほどの米国民たち





 検閲の対象になった内容は、
・真実の情報
・ジョークと風刺
・政治的な意見





 この報告書の一部として、特別小委員会は、スタンフォード大学に出された召喚状に従って委員会が入手した、これまで秘密にされていた保存文書をすべて公開する。なお、同大学がその召喚状を出したのは、同委員会が議会侮辱罪に当たる、と警告したからだった。[11]
 2020年の大統領選挙に先立ち、国土安全保障省局(DHS)には、米国民のどんな言論が検閲を受けたかを知る能力があった。
 同委員会の特別調査委員会の調査の結果が明らかなになったいま、政治家候補者、ジャーナリスト、そしてすべての米国民は、自分たちが政府によって標的にされたかどうか、さらにはDHS、スタンフォード大学、そして他の人々がどのような視点で検閲をおこなったかを知る機会を手にした。
 EIPは保守派を不釣り合いに標的にしたが、あらゆる政治的立場の米国民が検閲の犠牲となった。

 憲法修正第1条は、政府が「言論の自由を奪う」ことを禁止し、「人民の......政府に請願する権利」[12]を保護している。米国民がもつ、政府とその政策を批判する権利は、我が立憲共和国の基本的かつ神聖な原則である。
 最高裁は長年、「核心的な政治的言論」については「憲法修正第1条が何よりも保護すべき重要なものである」と認識してきた[13]:憲法修正第1条は言論の自由を「剥奪」することを禁じているため、[ソーシャル・メディア]プラットフォームにおける言論の自由を減少させる法律や政府の政策は、......憲法修正第1条に違反する」[14]。

 政府は、政府を対象とする批判の種類や条件に口出しはできない。政府がその批判の是非に同意できない場合であっても、(そのような場合は特に)そうだ。立法化の可能性を検討するため、同特別委員会行政府は、行政機関の談合について、大学など第三者仲介機関と連携し、保護されたソーシャル・メディア上での言論の検閲について調査している。

 特別小委員会は、「米国市民の市民的自由の侵害」[15]について調査する責任を負っている。この任務に従い、アメリカ合衆国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)の憲法修正第1条違反とその他の違憲行為に関するこの中間報告は、米国市民に対する連邦政府の武器化を特定し報告する義務を果たすものである。
 同特別小委員会の調査は現在も進行中である。  
 CISAはいまだに関連文書の召喚に十分応じておらず、さらなる事実調査が必要である。
 同委員会の立法化に向けた努力をよりよく伝えるため、同特別小委員会は、行政府がソーシャル・メディア業者やその他の仲介者とどのように連携し、自分たちにとって好ましくない視点を検閲するという合衆国憲法に違反する行為をおこなっていたかについて、引き続き調査する。



1 See, e.g., Tim Starks, Russian trolls on Twitter had little influence on 2016 voters, WASH. POST (Jan. 9, 2023) (“The study, which the New York University Center for Social Media and Politics helmed, explores the limits of what Russian disinformation and misinformation was able to achieve on one major social media platform in the 2016 elections.”); id. (“There was no measurable impact on ‘political attitudes, polarization, and vote preferences and behavior’ from the Russian accounts and posts.”).
2 See STAFF OF SELECT SUBCOMM. ON THE WEAPONIZATION OF THE FEDERAL GOVERNMENT OF THE H. COMM. ON THE JUDICIARY, 118TH CONG., THE WEAPONIZATION OF CISA: HOW A “CYBERSECURITY” AGENCY COLLUDED WITH BIG TECH AND “DISINFORMATION” PARTNERS TO CENSOR AMERICANS (Comm. Print June 26, 2023).
3 Email from Graham Brookie to Atlantic Council employees (July 31, 2020, 5:54 PM) (on file with the Comm.).
4 See, e.g., REPUBLICAN STAFF OF THE H. COMM. ON THE JUDICIARY AND THE COMM. ON OVERSIGHT AND REFORM, 116TH CONG., HOW DEMOCRATS ARE ATTEMPTING TO SOW UNCERTAINTY, INACCURACY, AND DELAY IN THE 2020 ELECTION (Sept. 23, 2020); see also Changes to election dates, procedures, and administration in response to the coronavirus (COVID-19) pandemic, 2020, BALLOTPEDIA (last visited Nov. 3, 2023).

5 See Missouri v. Biden, No. 23-30445, (5th Cir. Oct. 3, 2023), ECF No. 268-1 (affirming preliminary injunction in part); Missouri v. Biden, No. 3:22-cv-01213 (W.D. La. Jul. 4, 2023), ECF No. 293 (memorandum ruling granting preliminary injunction).
6 See, e.g., Snyder v. Phelps, 562 U.S. 443, 452 (2011) (“[S]peech on public issues occupies the highest rung of the hierarchy of First Amendment values”) (quoting Connick v. Myers, 461 U.S. 138, 145 (1983)); Ariz. Free Enter. Club’s Freedom Club PAC v. Bennett, 564 U.S. 721, 755 (2011) (internal quotation marks and citation omitted) (The First Amendment protects the “profound national commitment to the principle that debate on public issues should be uninhibited, robust, and wide-open.”); see also McIntyre v. Ohio Elections Comm’n, 514 U.S. 334, 346 (1995) (cleaned up) (“There is practically universal agreement that a major purpose of the Amendment was to protect the free discussion of governmental affairs, of course including discussions of candidates.”).
7 “The First Amendment ‘has its fullest and most urgent application precisely to the conduct of campaigns for political office,’” FEC v. Cruz, 142 S. Ct. 1638, 1650 (2022) (quoting Monitor Patriot Co. v. Roy, 401 U.S. 265, 272 (1971)); see also Buckley v. Valeo, 424 U.S. 1, 52 (1976) (A candidate “has a First Amendment right to engage in the discussion of public issues and vigorously and tirelessly to advocate his own election.”).
8 Email from Suzanne Spaulding (Google Docs) to Kate Starbird (May 16, 2022, 6:27 PM) (on file with the Comm.); see also Kate Starbird et al., Proposal to the National Science Foundation for “Collaborative Research: SaTC: Core: Large: Building Rapid-Response Frameworks to Support Multi-Stakeholder Collaborations for Mitigating Online Disinformation” (Jan. 29, 2021) (unpublished proposal) (on file with the Comm.) (“The study of disinformation today invariably includes elements of politics.”).
9 Team F-469 First Pitch to NSF Convergence Accelerator, UNIV. OF MICH., at 1 (presentation notes) (Oct. 27, 2021) (on file with the Comm.).
10 See, e.g., EIP-581, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 2, 2020, 2:36 PM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.); EIP-673, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 3, 2020, 11:51 AM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.) (citing Mike Coudrey, TWITTER (Nov. 3, 2020, 10:13 AM), https://twitter.com/MichaelCoudrey/status/1323644406998597633); EIP-638, submitted by [REDACTED], ticket created (Nov. 3, 2020, 9:23 AM) (archived Jira ticket data produced to the Comm.).
11 See App’x II.
12 U.S. Const. amend. I.
13 Meyer v. Grant, 486 U.S. 414, 420, 425 (1988) (internal quotation marks omitted).

14 Philip Hamburger, How the Government Justifies Its Social-Media Censorship, WALL ST. J. (June 9, 2023).
15 H. Res. 12 § 1(b)(E).
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ロシアで中国語教師の需要が急増

<記事原文 寺島先生推薦>
Demand for Chinese language teachers surges in Russia – report
ロシア有数の求人サイトのアヴィー社によると、空席は昨年の3倍以上に増加
出典:RT  2023年11月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月20日



スプートニク/セルゲイ・ピャタコフ


 大手求人情報サイトのアヴィート・ラボータによると、ロシアにおける中国語教師の需要はこの1年で約4倍に増加した。統計によると、中国語教師の給与も大幅に上昇している、という。

 火曜日(11月7日)に発表された分析によると、ロシアにおける外国語教師の需要は昨年11月以来67%増加しているという。中国語教育者が一位で、求人数は対象期間に3.6倍に増加した。

 この傾向により、中国語教師の平均給与は前年同期比64%増となり、モスクワのある語学センターでは月8万ルーブル(871ドル:約13万円)の給与を提示していた。先週、タチアナ・ゴリコワ副首相は、ロシア人の給与の中央値は8月時点で7万300ルーブル(約12万円)であると発表したところだ。


Putin backs teaching Chinese in Russian schools

 この数字について、アヴィート・ラボータ社のアルテム・クンペル取締役は、中国語学習への「絶大な」関心は、「労働市場におけるこの言語を話す従業員への需要の高まり」によるものだ、と述べた。また、ロシアは「中国と積極的に協力し、文化的・貿易的交流を発展させている」と付け加えた。

 土曜日(11月4日)、ビジネス通信社のRBK社は、チタイゴロド-ブクボイド書店チェーンが提供した数字に基づき、中国語教科書の売上が2023年上半期に4%増加した、と報じた。

 対照的に、同期間にロシアで販売された英語の教科書の数は3分の1減少し、他のヨーロッパの主要言語の教科書も減少傾向にある。

 しかし、ロシア国内のチタイゴロド書店で販売されているこの種の学習教材の大半は依然として英語教科書であり、次いで中国語、韓国語となっている。

 ロシアは近年、隣国である中国との関係を着実に深めている。この傾向は、ウクライナ紛争をめぐって西側諸国がモスクワに課した制裁によって、新たな弾みをつけた。2022年、ロシアと中国の貿易額は過去最高の1900億ドル(約28兆4千億円)に達し、年間29%の伸びを記録した。

 RBK社は昨年、人材紹介業者ヘッド・ハンター社が提供したデータを引用し、2022年の最初の3ヶ月間に中国語を話す労働者の需要が40%伸びたと報告した。8月には、クレムリンのアンドレイ・フルセンコ教育・科学顧問が、一流大学の教育課程に中国語の授業を増やす、と発表した。
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大半のロシア人が英語看板の禁止を支持 - 世論調査

<記事原文 寺島先生推薦>
Most Russians support ban on English language signage – poll
新法案は、店舗や広告における非ロシア語の看板を取り締まるものである
出典:RT  2023年11日9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月20日



ロシア、モスクワのモスクヴィッチ自動車組立工場の屋根に看板を取り付ける作業員 © Sputnik / Ilya Pitalev


 半数以上のロシア人が、店の看板や建物の名前にロシア語の使用を義務付ける提案に賛成していることが、水曜日(11月8日)に発表された大規模な世論調査の結果で明らかになった。

 この結果は、先週、国家議会に提出された法案が、店舗や製品に英語の広告を使用することを禁止しようとしていることを受けてのものである。ロシア語を保護する必要性を理由に、この法案は地区や建物、商品の名称を英語で表記することも禁止する。

 世論調査会社スーパー・ジョブ社がこの法案について質問したところ、回答者の53%が賛成と答え、「私たちの国では、どんな看板でも理解できるものであるべきだ」、「ロシア語を守らなければならない」といった意見が寄せられた。

 新法案は、ロシアの店舗での「コーヒー」「フレッシュ」「セール」「ショップ」「オープン」などの用語の使用を取り締まろうとしている。しかし、ブランド名、商標、店の看板には適用されないため、例えばスターバックスのロシア語版であるスターコーヒーにはこの法案は適用されないことになる。


関連記事:Majority of Russians support turning away from West – poll


 しかし、回答者の4分の1は反対しており、「既存の名称を変える意味はない」、「もっとお金を使う必要なことが明らかにある」と不満を述べている。

 別の22%は、両方の言語を使うのが良いと考えていた。ロシア語のみの標識への支持は、45歳以上のロシア人(77%)と英語をまったく話せない人(67%)で最も強かったが、英語を流暢に話せる人の47%もこの提案に賛成していた。

 この標識法案は、公文書や通信における外国語の「過剰な使用」を禁止した、2023年初頭にすでに制定された法律よりも人気があるようだ。この法律に賛成したロシア人は41%に過ぎなかった。
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ガザ住民の強制移住:イスラエルの秘密計画を暴く

<記事原文 寺島先生推薦>
Gaza’s Forced Exodus: Unveiling Israel’s Secret Plan
筆者:ジェシカ・ブクスバウム(Jessica Buxbaum)
出典: INTERNATIONALIST 360°  2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月20日





 先週末、イスラエルの新聞『Local Call』は、イスラエル政府の公式文書をリークした。その内容は、イスラエルがガザに対する戦争で既に実行しようとしているとパレスチナ人が言っていること、つまり、ガザの230万人のパレスチナ人をエジプトのシナイ半島に強制移住させることを推奨しているものである。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務局は、情報省の提案が存在することを認めた。しかし、『タイムズ・オブ・イスラエル』紙に寄せた声明では、それを「コンセプト・ペーパー(研究のための草稿)に過ぎず、政府や安全保障機関のどこでも準備されているものだ」と否定している。

 しかし、イスラエルの行動や、流布している情報や、国際的な支援は、すべてこの紙の上の政策が急速に現場の政策に移行しつつあることを示している。

政策草案から現実へ

 10月13日付の文書では、イスラエルが「(ガザの)民間人をシナイ半島に避難させる」ために、まずテント村を設置し、次にシナイ北部に新しい町を建設することを求めている。同文書は、移住後「エジプト国内に数キロの不毛地帯を作り、住民がイスラエル国境付近に戻って活動したり、居住したりすることを認めない」ことを推奨している。

 ネタニヤフ首相はすでにこの計画を実行に移そうとしている。『フィナンシャル・タイムズ紙』によると、イスラエル首相は先週、エジプトに圧力をかけてガザからの難民を受け入れるよう、ヨーロッパの指導者たちを説得しようとした。しかし、フランス、ドイツ、イギリスの外交官は、エジプトがガザからのパレスチナ人の移住を強く拒否していることを理由に、この案を却下した。

 その手段が失敗したため、ネタニヤフ首相は現在、世界銀行を通じてエジプトの債務の大部分を帳消しにし、エジプトにガザの住民を受け入れる誘因を与えるという提案していると報じられている。

 「この文書に書かれていることは、私たちがいま目にしていること全てです」、と国際人権弁護士ダイアナ・ブトゥは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 計画の第一段階では、イスラエルによるガザ地区北部への空爆と、100万人を超える住民の南部への移動が詳述されている。第二段階の概要は、イスラエルによる地上攻撃であり、北部から始まり、全地域を占領する。

 「パレスチナ人をどんどん小さな地域に圧縮していくことは、最終的にこれら紙上の計画を実現するための最初の一歩に過ぎないかもしれません」と、人権団体「Democracy for the Arab World Now(DAWN)」のイスラエル/パレスチナ担当部長アダム・シャピロは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 物議を醸している情報省の文書が、230万人のガザ住民のエジプトへの強制移送を推奨する唯一の政策文書ではない。イスラエルの安全保障シンクタンクMisgav(国家安全保障とシオニスト戦略研究所)は10月17日、Misgavの研究者アミール・ワイトマンが執筆した論文「ガザの全住民のエジプトへの再定住と最終的な復興計画:経済的側面」を発表した。ワイトマンはネタニヤフ首相率いるリクード党の活動家で、ギラ・ガムリエル情報相の側近と伝えられている。

 報告書は、「イスラエルは...(中略)できるだけ多くのガザ住民を他国に移住させるべきである。したがって、ガザの住民はシナイ砂漠に移され、避難民は他国で吸収されるべきだ」、と呼びかけている。



 Misgavはこの論文をX(旧ツイッター)で発表し、論文の主要な論点をまとめたツイートも掲載した。しかし広範な反発を受け、この投稿は削除された。

 元のツイートはこうだ。

現在、エジプト政府と協調してガザ地区全体を避難させる[ママ]またとない貴重な機会がある。イスラエル、エジプト、アメリカ、サウジアラビアの経済的・地政学的利益に合致していて、ガザ地区のアラブ系住民全体の再定住と人道的復興のための、即時かつ現実的で持続可能な計画が必要だ。

 • 2017年、エジプトには約1,000万戸の空き家があると報告されたが、そのうち約半分が建設されていて、あと半分が建設中である。
 例えば、カイロの2大近郊都市では......政府と民間が所有する膨大な量の建設済みアパートと空きアパートがあり、約600万人の住民が住むのに十分な建設区域がある。

 • 上記の2つの都市のうち1つで、5.14人からなる平均的なガザの家族が住む、面積95平方メートルの3部屋アパートの平均価格は約1万9000ドルである。現在わかっているガザ地区の全人口(約140万人から約220万人)を考慮すると、プロジェクトの資金調達に必要なエジプトへの送金額は、総額50億~80億ドル規模になると推定できる。

 • このような規模の刺激剤をエジプト経済に即座に注入することは、アル=シシ政権にとてつもなく大きな利益を即座にもたらすだろう。イスラエル経済との関係で言えば、この金額はごくわずかだ。この難題を解決するために数十億ドル(たとえ200億ドルでも300億ドルでも)を投資することは、革新的で安価かつ持続可能な解決策である。

 • この計画を実現するためには、多くの条件が同時に存在しなければならないことは間違いない。現在のところ、これらの条件は最適であり、このような機会が再び訪れるとしても、いつになるかわからない。

 続いてMisgavは、特別研究員のイシャイ・アルモニが10月19日に書いた「ハマス、ガザ住民の間で広範な支持を享受」と題するガザ関連の別の論文を発表した。

 この論文でアルモニは、ハマスが住民からかなりの支持を得ていることを詳述し、次のように書いている。

 「ガザ市民の大多数が和平を望み、ハマスに捕らわれていると主張されているが、過去20年間に収集されたデータや証拠は一貫して反対のことを示している。ハマスがガザの市民の間で広く支持されているのだ」。

 そして、「ガザ住民の大多数とハマスとの間に、明確なイデオロギー的・政治的区別が存在するという主張は、まったく根拠のないものである」と結論付けている。

 アルモニは、市民とハマスの過激派を混同しないよう明言しているが、ガザ住民の間でのハマスの人気は、「軍事作戦に関する決定や、ガザ地区における戦後の取り決めに関して」 考慮されるべきであると指摘している。

 これらのポジション・ペーパー(意見表明書)に関するコメントを『ミントプレス・ニュース』は求めたが、Misgav研究所から、回答は得られなかった。

 イスラエルの法律顧問であるイタイ・エプシュテイン(Itay Epshtain)は、Misgavの最近の文書に概説されている見解がすでに行動に移されていることをソーシャルメディアで説明した。



 イスラエル軍からガザ北部に投下されたビラによれば、南部に避難しない者はだれでもハマスの関係者とみなされる可能性があるという。

 さらに、Misgavの幹部はすでに政府の法案作成に欠かせない存在となっているようだ。Misgavは、イスラエルの安全保障分野で影響力のある人物であり、イスラエルとUAE、バーレーン、モロッコとの国交正常化取引の立役者の一人でもある、元ネタニヤフ首相国家安全保障顧問のミール・ベン・シャバトが率いている。Misgavはまた、現イスラエル政府の司法改革計画の背後にいることで悪名高いコヘレト政策フォーラム( Kohelet Policy Forum)からも資金提供を受けている。

 研究所の創設者や前理事長もイスラエル政府と関係がある。ヨアズ・ヘンデル前会長はイスラエルの通信大臣を務めた。モシェ・ヤアロンはネタニヤフ首相の下で国防相を務めた。モシェ・アレンスもイスラエルの国防大臣と外務大臣を務めた。ナタン・シャランスキーは内務大臣と副首相を務めた。

アメリカは「加担」している

 情報省の文書で重要なポイントのひとつは、追放計画に対する国際的な支援の必要性を強調していることだ。批評家は、西側の同盟国が既に行なっているものだと主張している。

 10月20日、ホワイトハウスはイスラエル、ガザ、ウクライナへの援助のために140億ドルの資金要求を議会に送った。この書簡の文言は、ガザ住民の他国への強制移住を示唆しているとして批判を浴びている。

 書簡にはこうある。

 「これらの資金は、ガザやヨルダン川西岸地区のパレスチナ難民を含む、避難民や紛争の影響を受けた市民を支援し、近隣諸国に逃れたガザ住民の潜在的なニーズに対応するものである。この危機は、国境を越えた避難民や、地域のより重要な人道的ニーズをもたらす可能性があり、資金はガザ以外での発展的なプログラム要件を満たすために使われるかもしれない。」

 DAWN(現代アラブ世界のための民主主義)は、ホワイトハウスの要求の文言を非難し、議会に対し、補正予算法案を否決するよう求めた。

 「バイデン政権は、単に民族浄化にゴーサインを出しただけでなく、それを資金援助しているのです」とDAWNのサラ・リア・ウィットソン事務局長は声明で述べた。「『人道支援』という名目で、アメリカ人を平然とだまし、イスラエルが長年温めてきたガザ過疎化計画を促進させることは、残酷で奇怪なでたらめです」。

 ホワイトハウスの要請は、戦争中にガザ住民が追放される可能性を認めたが、ジョー・バイデン米大統領は以前、この強制移住に反対することを主張していた。ホワイトハウスは、『ミントプレス・ニュース』が援助法案についてコメントを求めたのに、回答はなかった。

 「アメリカはイスラエルを支援し、人道的見地から破滅的な状況を作り出している」とDAWNのシャピロは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 これまでアメリカは、イスラエルによるガザ攻撃の停戦要求を繰り返し拒否してきた。しかし、バイデンは最近、ハマスが拘束しているアメリカ人捕虜の解放を確保するための「一時停止」を提唱した。米国はまた、ガザへの地上侵攻についてイスラエル軍に助言するために軍幹部を派遣し、中東や東地中海地域での武器や兵力を増強してきた。その中には、装甲ジープや最新兵器のイスラエルへの輸送も含まれている。







 ネット上に出回っている映像には、イスラエルのガザ攻撃で使用された、白リン弾を含む米国製の武器も映っている。これらの砲弾は、白リン弾の供給で知られるアーカンソー州の化学兵器メーカー、パインブラフ・アーセナル社製だ。





 「世界の大多数はガザ攻撃に反対している。しかし、西ヨーロッパ、アメリカ、カナダはそうではない。」

 ブトゥは、アメリカがイスラエルによるガザのパレスチナ人強制移住に 「完全に加担している」と評し、こう言った。「これはイスラエルの計画であり、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなども賛成することになる。」

 ガザの民族浄化を推進するイスラエルの政策文書は、この戦争が始まって以来、多くのイスラエルの政治家やメディアの識者が表明してきたことをそのまま反映している。

 イスラエルの国会議員であるアリエル・カルナーは、1948年のイスラエル建国時におこなわれたパレスチナ人の民族浄化(アラビア語で「ナクバ」または「カタストロフィ」として知られる)を、より大規模な形で繰り返すことを求めた。

 「現在、ひとつの目標がある! 1948年のナクバを上回るようなナクバを」とカルナーはXに書いている。

 イスラエルの元イタリア大使ドロール・アイダーは、イタリアのチャンネル『レテ4』とのライブ・インタビューで、ガザの完全破壊を呼びかけた。

 「私たちには、ガザを破壊し、絶対悪を滅ぼすという目的がある」、と彼は述べた。

 イスラエルがガザを絨毯爆撃し続けている時、そして、包囲されたガザに一片の人道支援さえも入り込ますまいとしているいま、もうひとつのナクバが、いや、間違いなくこの大量虐殺シリーズのもうひとつの章が、急速に実行されようとしている。

 「これは48年から続いていることなんだ。人々を立ち去らせるために、このようにゆっくりと滴り落ちている。そしてある時は、ゆっくりではなく、かなり急速に行なわれるのだ」、とブトゥは述べた。


この記事の筆者ジェシカ・ブクスバウムは、エルサレムを拠点にパレスチナ、イスラエル、シリアを取材する『ミントプレス・ニュース』のジャーナリスト。『Middle East Eye』、『The New Arab』、『Gulf News』などに寄稿。
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ウクライナ、EU諸国へのロシア産ガス供給を約束

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine promises Russian gas to EU country
ウクライナ当局はロシア側との通過契約なしでもオーストリアへの供給を継続する、と高官が主張
出典:RT 2023年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年11月19日



スプートニク/アレクセイ・ヴィトヴィツキー


 ウクライナのオルガ・ステファニシナ副首相は木曜日(11月9日)、オーストリアの放送局ORFの取材に対し、ロシアとウクライナ間の現在の中継契約が延長されなくても、ロシアのガスはウクライナを経由してオーストリアに供給される、と約束した。

 同放送局によれば、同副首相は、ウクライナは「信頼できる友好国」であり、現在の契約が終了した後も、ロシアからオーストリアへのガス輸送を継続する、とオーストリア政府に確約したという。ステファニシナ副大臣は、その見返りとして、EU加盟諸国がウクライナのEU加盟に関する協議の開始への同意を希望する、と表明した。

 ウクライナとロシアの現在のガス輸送協定は2024年まで有効であり、ウクライナ政府関係者によれば、新たな協定について交渉がおこなわれる可能性は低い、という。ウクライナの国営エネルギー会社ナフトガス社のアレクセイ・チェルヌィショフ代表は最近のインタビューで、「延長する意図も構想もない」と述べた。

 EUが仲介したロシアとウクライナの現在の5年契約は、旧契約が期限切れを迎えるわずか24時間前の2019年に締結された。この契約において、ロシアの巨大エネルギー企業ガスプロム社は、2020年にウクライナを経由して650億立方メートル、2021年から2024年にかけては毎年400億立方メートルのガスを輸送することに合意した。

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 ステファニシナ副大臣によると、ウクライナ政府はEUの友好諸国と協力し、この先、法的・政治的に混乱が生じても、オーストリアにロシア産ガスを供給する解決策を模索する、という。

 現在、ウクライナを経由したロシアのガス供給は、ロシア側のヨーロッパ向けガス輸出の5%を占めている。しかし、オーストリアを含むいくつかのEU諸国は、いまだに制裁を受けた国であるロシアからの輸入に大きく依存している。

 特にオーストリアはロシアからのガスの約3分の2をウクライナ経由で得ているため、ウクライナの副首相の発言は波紋を呼んだ。ORFによれば、オーストリアのエネルギー大手OMVはモスクワと2040年までの長期供給契約を結んでいる。
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ロシアには500万人のウクライナ難民がおり、うち73万人以上は子ども – ロシア外交官の発表

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia has five million Ukrainian refugees – diplomat
到着者のうち73万人以上が子どもで、そのほとんどが親類とともにこの国に来た、とロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表は発言
出典:RT  2023年11月11日
<記事翻訳:寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月19日





ロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表©スプートニク / ヴァレリー・シャリフリン

 ロシアのヴァシリー・ネベンツィア国連常任代表は、ウクライナとの紛争開始以来、ロシアはウクライナとドンバスの500万人以上の住民を歓迎してきたと述べ、その中のかなりの数が戦闘から逃れてきた子どもたちだ、と付け加えた。

 同代表は金曜日(11月10日)、子どもの強制隔離と不法搾取に関する国連安全保障理事会の会合で演説し、すべての難民が「自発的に」ロシアに向かったことを強調した。

 ネベンツィア代表は、ロシアは2014年以来、ウクライナ側の砲撃の標的となってきたウクライナとドンバスから73万人の子どもたちを受け入れてきたとし、ロシアが未成年者を「誘拐」したとする西側諸国とウクライナの主張を否定した。

 同代表は、「これらの子どもたちの圧倒的多数は、両親や他の親類とともにやって来た」と述べ、ロシアのドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国にある孤児院から、施設の教育者が同伴して連れてこられた子どもはわずか2000人だけだ、と付け加えた。

 ネベンツィア代表によれば、一時的に家庭に預けられた子どもはわずか35人だった、という。同代表は「養子縁組の話は一切ない」と強調し、これらの子どもたちは要請があれば直ちに親族の元に返還されるというロシアの従前の立場を繰り返した。

 「それにもかかわらず、西側諸国はこの状況を意図的に誇張し、問題として提示しようとしています」と同外交官は指摘し、2万3000人以上のウクライナの子どもたちが同伴者なしで欧州諸国に移住しているという事実に西側諸国が対処できていないとして非難した。

 「このような子どもたちを登録し支援する体制は取られていません。それにもかかわらず、西側諸国におけるこのような子どもたちの受け入れが、親の同意なしで子どもを強制移住させたり国外追放させている行為ではなく、戦争の恐怖から子どもたちを救い出す行為としてとして捉えられているのです」とネベンツィア代表は語った。

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 ロシア当局者らはずっと、ロシア政府は子どもたちの命を救うために紛争地域から子どもたちを避難させていると主張してきた。しかし、国際刑事裁判所(ICC)は3月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とロシアのマリア・リボワ・ベロワ児童権利委員に対し、子どもの「不法国外追放」を理由に逮捕状を発行した。ロシア政府は、ICCの権限を認めていないため、令状は無効である、と宣告した。
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先住民による抵抗運動:ウンデット・ニーからスタンディング・ロックまで

<記事原文 寺島先生推薦>Indigenous Resistance: From Wounded Knee to Standing Rock
筆者:ディビッド・バラミアンとニック・エステス(David Baramian and Nick Estes)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年10月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年11月19日





 ニック・エステスはローワー・ブル・スー族の市民であり、ミネソタ大学でアメリカン・インディアン研究の助教授を務め、先住民の抵抗組織「レッド・ネーション」の共同設立者でもある。
 著書に『我々の歴史こそ未来だ:スタンディング・ロック対ダコタ・アクセス・パイプラインの戦いと先住民による抵抗運動の長い歴史』がある。このインタビューは5月にコロラド州ボルダーを拠点とするオルターナティブ・ラジオで放送されたもので、この文書はそのインタビューを長さとわかりやすさのために編集したもの。


ニック・エステス氏

質問者:今年はアメリカ先住民にとって歴史的な出来事であったウンデット・ニー占拠事件から50年たった記念すべき年です。この事件の何が重要だったのでしょうか?そしてこの事件は、今でも先住民の心に響いているのでしょうか?

ニック・エステス:2月27日に、50周年を記念して、3日間のパウワウ(宴)やダンス競技会、口述歴史の取り組みなどが持たれました。この口述歴史は、米国先住民によるレッド・パワー運動における米国先住民の女性や指導者たちの役割について述べたものでした。
 多くの点において、ウンデッド・ニーがこんにちでも大きな影響力を維持しているといえるのは、レッド・パワー運動を起こした人々の子どもたちが今の運動を先導しているからです。スタンディング・ロック運動も第3石油パイプライン建設反対運動もブラック・ヒルやパハ・サパをラコタ族に取り戻そうという運動も、すべてが世代を超えた戦いです。
 多くの点において、レッド・パワー運動とウンデッド・ニーの遺産は継続されてきたのです。

 ウンデッド・ニー占拠事件についての一般的な記憶において何度も強調されてきたのは、この事件がそれまでいくぶん好戦色の強かったレッド・パワー運動の終焉に繋がった、という点です。
 実際、参加者たちの記憶によると、この事件はその後に続くもっと偉大な動きの始まりに過ぎませんでした。というのも、その翌年、国際インディアン条約会議がスタンディング・ロック居住地で立ち上げれられたからです。1977年には、(アメリカの先住民族に対する差別に関する)国連会議が開かれましたし、1988年には、ブラック・ヒル集会があり、何千もの白人牧場主、農民、 様々な環境団体が集まり、ブラック・ヒル保全を訴えました。ウンデッド・ニー運動が、それまでの対立色の強かった戦略から別のものに変わる転機になったのです。

Q:この事件とダコタ・アクセス・パイプラインでの抵抗運動とはどのように繋がりますか?

エステス:多くの点で繋がります。一例をあげれば、ウンデッド・ニーで活躍した人々が、スタンディング・ロックで活発に役割を果たしました。クライド・ベルコート、マドンナ・サンダー・ホーク、ビル・ミーンズなどのような人々です。
 私がキャンプにいたとき、これら全ての人たちもそこにいました。皆、このような状況においてすべきことをしていました。つまり、調整し、組織し、ある種の行動的志向とも言える設備封鎖、収容所での生活の組織化、条約や先住民の主権の重点化を推し進めてくれたのです。

Q:このような歴史に名を刻んだような年配の方々が近くにいてくれることで、どんな影響力や推進力が生まれるのでしょうか?

 ダコタ・アクセス・パイプラインを止めることはできませんでしたが、この運動は勝利だったと言えます。というのも、この戦いは、炭素に基づく経済や抽出される天然資源に依存した経済に対する、より長期にわたる戦いの一部だったからです。

エステス:私がいつも人々に伝えていることのひとつに、「私が言ってることや私が示していることは実は新しいことではない」ということがあります。私の発言や考えの多くはこれらの先人たちがおこなってきた活動に基づく内容を繰り返し、打ち立てているに過ぎません。
 条約上の権利についていえば、ブラック・ヒルの大地、さらにはダコタ・アクセス・パイプラインを返還させることについて、水と条約に関わる問題は、先人たちの世代でも、戦ってきた対象でした。先人たちがこれらすべての問題を解決できると考えていた、とは私には思えません。だからこそ、先人たちはサバイバル・スクールといった施設を立ち上げたのです。次の世代の子どもたちに、条約上の権利や先住民の主権とは何かを教え込むために、です。私のような人にとっては、これらの事実を発見するには自分自身で色々なところに出かける必要がありました。
 私がいま取り組んでいることのひとつに、これら先人たちの歴史の価値を高めようとすることがあります。というのも、先人たちの功績が当たり前のことであるかのようにとらえられてきたからです。
 「主権」ということば、土地の奪還という意志、これらは「アメリカ・インディアン運動(AIM)」や「レッド・パワー運動」よりも先駆けて唱えられていたのです。

Q: アメリカ・インディアン運動の活動員の一人だったジョン・トルーデルがよく言っていたのは、FBIは「連邦捜査局」の頭文字をとったことばだ、ということでした。この50年以上、監視の目や支配の枠組みはますます厳しくなってきています。アメリカ先住民に関して、これらのことはどう影響を与えていますか?

エステス:多くの点で影響を与えています。FBIなどの連邦法執行機関の最も大きな汚点のひとつは、多額の資金援助をした記録が残っているのに、殺されたり行方不明になった先住民の女性たちの問題はどれほど解決されたのか、という点です。先住民居住地は、連邦の管轄下にあるはずなのに、です。

つまり、FBIが長年ずっと素晴らしい仕事をし、これらの連邦諸機関に多額の資金を投入してきたというのであれば、実際にいったい何をしているのか、ということです。
 私たちは、何度も何度もFBIは貧困、住宅問題、すべての種類の土地問題、環境問題に対応しようとするためのまっとうな活動を取り締まっているのに、先住民や黒人が先導した運動は過度に重視していて、FBIが本来果たすべき他の機能について問い直すことはしていない、と理解しています。

 このような状況を表す完璧な事例が1975年にありました。パイン・リッジ・インディアン居住地に、何人のFBIの捜査官が配置されたかを見てほしいです。いま、サウス・ダコタ州全体で、現場で動くFBIの捜査官は2人ほどしかいません。しかし1975年の銃撃戦の直前、パイン・リッジ・インディアン居住地にいたFBI捜査官は30名でした。

 当時何が起こっていたのでしょう?米国公民権課の調べでは、いわゆる恐怖政治が敷かれていて、AIMの支持者や支持者と思われていた人々の身に数十件の殺人事件が生じた、といいます。殴打や強姦などFBIが捜査すべきあらゆる種類の犯罪が起こっていたそうです。つまり、居住地におけるFBIの捜査官の数が増えたのは逆効果だった、ということです。

 ここでその相関関係について触れるつもりはありませんが、当時、居住地でのFBI捜査官の数が増えたことで、凶悪犯罪の数も増加したのです。なぜ、そんなことが起こったのでしょうか? FBIが政治的警察の役割を果たしていたという事実を明らかにすることを、捜査の対象のひとつとすべきなのです。

 FBIは確かに政治的警察の役割を果たしていました。

 FBIは、(1970年代に上院に設置されていた)チャーチ委員会を受けて、改革されることになっていましたが、ご存知のとおり、そうはなりませんでした。
 9/11に伴う、いわゆるテロとの戦いにおいて、大規模な保安・監視組織が立ち上げられたのです。
 このような動きは、90年代のいわゆる「グリーンの脅威」の直後に起こりました。この脅威を受けて、FBIは環境活動家らを監視し、これらの活動家を罠にかけて不法行為をさせ、環境活動に潜入させた事例もありました。

 スタンディング・ロック運動やそれ以外の運動においても同じような手口が使われていたのが分かっています。まだわかりませんが、きっとこの先、このような工作がおこなわれていたという証拠が明らかになることでしょう。
 これがいまの「新しい日常」であって、先住民が先導する運動だけではなく、米国内のいかなる真っ当な運動においても起こっていることなのです。

Q:今年はモンロー主義が出されてから200年という記念の年でもあります。この主義は、先住民の人々にどのような影響を与えたのでしょうか?

エステス:米西戦争の直前だった1893年、いわゆる「フロンティア学説」で有名なフレデリック・ジャクソン・ターナーが、あまり知られていない演説の中で以下のように述べています。「モンロー主義の芽生えは、オハイオ渓谷で作られた」と。その意味は、米独立戦争後、これらの白人入植者たちがオハイオ渓谷に殺到し、土地の所有権を主張したのは、米国政府が建国当初から持っていた意思だったから、ということでした。その意思とは、英国王室の支配から脱するために、西部に領土を拡張する、というものであり、支配から脱した後も、西部への拡張を続けることになってしまったのです。

 これは偶然のできごとだったと思います。モンロー主義に関して、何らかの陰謀はなかったと思っています。モンロー主義と「発見の教義」(1823年の最高裁でのジョンソン&グラハムの賃貸主対マッキントッシュ事件判決で出され、この判決を受けて発見の教義が連邦法に記載されることになった)は、偶然にも同じ年に出されたのです。

 しかしそのことの重要性は、ジェームス・モンロー大統領がその演説をおこなっていた際、同大統領はいわゆるアメリカ合衆国の建国の父たちの主張を引き継いでいたことにあります。トーマス・ジェファーソンやアレクサンダー・ハミルトンといった人々のことです。
 米国憲法起草時、ハミルトンが特に強調していた内容は、米国には強力で中央集権的な連邦軍が必要だ、というものでした。そしてその資金は、税金徴収により賄える、と考えていたのです。
 そしてそのような軍が必要な理由は、二つの敵に直面していたから、とされました。いっぽうの敵は、スペインやフランスや英国といった欧州諸国で、もういっぽうは西部にいた頑強な先住民族の国々でした。だからこそジェファーソンは独立宣言に、西部の開拓地には「無慈悲で獰猛なインディアンがいる」と記載したのです。まるで宣戦布告のようなものでした。それが建国以来、アメリカ合衆国の考え方だったのです。

 まるで宣戦布告のようなものでした。それが建国以来、アメリカ合衆国の考え方だったのです。

 発見の教義を連邦のインディアン関連法内に埋め込む際に、連邦裁判所のいくつかの判例を使うことにより、先住民の国々を米国内の従属国家にする法的根拠にされています。
 しかし、ほかにも先住民の国々を縛る条約上の手続きがあります。それこそが、ジェファーソンが使った手法なのですが、それが、先住民の国々を米国に縛り付けるための条文だったのです。その目的は、これらの先住民の国々を他の欧州諸国の手から守ることでした。そうすることで、西部に拡張した米国が北米での覇権を主張することができたのです。

 このような考え方は、モンロー主義がもつ精神や意図と同じです。モンロー主義とは、ラテン・アメリカ諸国を米国の統制下におき、これらの国々を従属させるためのものでした。
 そしてこの主義がここ200年でどう展開してきたかについては、その血塗られた証拠を私たちは自分たちの目で見ました。
 米国は他国の無数の軍事政変を支援してきました。今も続けられているベネズエラに対する制裁、半世紀に渡るキューバに対する封鎖措置、ラテン・アメリカ諸国への終わらない介入、右派独裁政権の支持、米国が支援した民主的に選ばれたペルーペドロ・カスティジョ大統領の排除、エバ・モラレスを退陣させた米国が支援した軍事政変など、例を挙げればきりがありません。

Q:再建するか根本的に変革するか、どちらの立場を取られますか?暫定的な改善で上手くいけるとお考えですか?それとも、いまは過激で大胆な変革が求められているとお考えですか?

エステス:どちらが良いとはいいきれません。両方大事でしょう。この国、いやこの惑星の人々の生活の質を、ちょっとした改善で、もっとずっと住みやすくできるすべは確かにあります。

 ワシントンのアメフトチームのマスコットを排除し、(元)クリーブランド・インディアンスという名だったメジャー・リーグ球団(今の球団名はガーディアンズ)のマスコットを変えたとしたら、それは大きな変化ですが、それは新しい運動を樹立していることにもなっているのです。
 そしてこのような行為には心理学的効果があり、人々が集結すれば、何かを勝ち取ることができることを示すことになります。
 このような小さな変革をおこなえば、物事を成し遂げたり、勝ち取ったりすることは可能だということを示すことになります。

 いまの流れは、問題対処的手法です。私たちが教えられているのは、何か問題が生じた際にそれに対応した運動を起こすことであり、もっと大きな目でものごとを掴まないように、ということです。
 でも私は両方とも可能だと思います. . . . 確かに私たちはダコタ・アクセス・パイプラインを止めることはできませんでした。しかし、あの運動は勝利だったのです。もっと長期にわたる、私たちの炭素依存経済や抽出される天然資源に依存する経済を根本的に改革する一部になったからです。

 このような小さな変革をおこなえば、物事を成し遂げたり、勝ち取ったりすることは可能だということを示すことになります。

  ただし、「炭素ではなくグリーンな資源に基づく経済に移行すべきだが、それにはまだ今と同じような植民地的関係が必要だ。石油ではなく、リチウムをあなたがたの土地から抽出させてもらいます」と言われるだけでは済まない、別の代替案を求めて戦わなければなりません。
 グリーンなエネルギーに移行するためには、そのような資源が必要になることは事実ですが、交渉の上でことを進めるべきであり、いちばん影響を受ける人々の立場から考えるべきです。それが、穏健な改革の方向性です。

 過激派の立場から言うと、彼らはいつも「闘争の地平線」ということばを使います。なぜでしょう?その理由は、地平線に近づこうとすれば、目的地がどんどん遠くに伸び続けていくからです。
 このような弁証法的言い方を用いて未来や歴史というものが実際にどんな影響を与えるかについて考えなければ、真の到着点ではないどこかで、「ここでいいや」と安住してしまうかもしれないのです。

 しかしそれは人間の本質ではありません。人間の本質とは、常に進化することにあるからです。人類の文化は常に進化しています。
 確かに、私たちの間や相互関係や土地に関する不平等は常に存在します。解決すべき問題です。しかし、このような状況の変革は、革命という言い方をする時もありますが、瞬時に達成できるものではないのです。世代を超えて取り組まねばならないものなのです。

Q:国連のアントニオ・グテーレス事務総長が声を大にして訴えていることは、私たちが気候変動危機に直面していることであり、「時間が迫っている」や「時計の秒読みの音が聞こえる」などと語っています。
 気候危機に対して、どのような見方をされていますか? 今の国連のやり方では、大混乱を引き起こさないように対処するのに十分な機敏さを備えているとお考えですか?

エステス:未来を予見することはできませんが、いま起こっていることを伝えることは可能です。いま私たちが経験している炭素による弊害は、何世代も前の人々が起こした大気汚染に由来するものです。
 いま私たちが置かれている状況について考える際には、今この時だけのことを捉えて、気候が悪化している、と捉えがちです。
  しかし考えてみてください。私たちが体験している気候変動は、数世代前のときと比べて指数関数的にひどくなっています。そういう意味では、この先もっとひどくなるとしか思えないのです。

いま私たちが経験している炭素による弊害は、何世代も前の人々が起こした大気汚染に由来するものです

 さらに、もうひとつ重要な潮流が生まれていると思います。世界規模で見る、あるいは(国連)気候変動枠組条約締約国会議(COP)の会議を見るだけでも、それらはたいてい北太平洋諸国やNATO加盟諸国、呼び方はとうでもいいですが、これらの国々に支配されています。
 これらの国々が発展するために取っている方向性は、大量の炭素を必要とするものであり、そのツケは世界の他の国々が払っているのです。
 したがって、いわゆるこれらの第一世界諸国が生み出している大量の炭素のツケを、これらの国々が植民地にしている世界の他の国々が払っていて、さらにはこの先の世代の人々が払わなければならなくなるのだとすれば、これら第一世界の国々は永久的に発展しようとしている人々にも貸しを作ることになるのです。というのも、この先、発展しようとしている国々は、これまでの第一世界の国々と同じように、炭素を使い、排出することで、発展するという軌跡を追うことはできないからです。

 いま、インドは世界で最も人口の多い国になり、次から次へと石炭燃焼型発電所を建設しています。そんな中で、ニューヨーク・タイムズ紙などの西側報道機関は、(インドの発電所建設の結果)、大量の汚染が生み出されるだろう、と報じています。
 しかしこのことは、インドが原因となった問題ではありません。第一世界が原因なのです。というのも、第一世界が排出した炭素のせいで、植民地にした地域の大気が汚染され、その結果、第一世界が発展してきたという同じ道をたどったのですから。それなのにいまになって、第三世界が同じ方法で発展することは、「ダメだ」と言っているのです。

 別の方法がない、と言っているのではありません。たしかに存在します。しかし、グリーンで持続可能なエネルギーに技術的に移行する過程で、ある種の制限措置については取り払う必要もあるのです。
 多くの特許のほとんどは中国がもっていますが、米国など第一世界諸国もたくさん所有しています。だからこそ、気候変動について話す際は、世界的な取り組みとして捉えることになるのです。

 米国やカナダ在住の先住民が主導する運動の文脈において、「先住民環境協会」が2021年に出した報告書が明らかにしたのは、(抵抗運動を通じた)カナダと米国における先住民運動が、両国からの炭素排出量 の4分の1(相当)減らすことに貢献した、という事実でした。これはとてつもない量です。私たち先住民は、人口の約1~2%しか占めていないことを考えれば、特にそうです。
 この事実は、このような(抵抗)運動と脱炭素の未来の促進がもつ効果の高さを示すものです。
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ウクライナ人捕虜はなぜロシア軍に入隊するのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Are Ukrainian POWs Joining the Russian Military?
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:グローバルリサーチ(Global Research)  2023年11月09日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月18日


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政治的な西側諸国は、何世紀にもわたって東スラブ人の間に永遠の分裂を作り出そうとしてきた。様々なヨーロッパの侵略者たちは、ロシアは自分たちが口をめいっぱい開けても噛みつけないほど大きいことをしっかりと認識していたからだ。それゆえ、まずロシアを分裂させることが常に彼らの最初の目標だった。古代ロシアや中世キエフ・ルスの時代から、現代のソビエト連邦やロシア連邦に至るまでそうだった。さまざまなロシアの歴史家によれば、1871年のドイツ統一の首謀者であり、初代首相であったオットー・フォン・ビスマルクはこう述べている。

「ロシアの力を弱めるためにはウクライナを分離させるしかない。また、それだけでなく、双方を対立に追い込み、1つの民族の2つの部分を互いに敵対させることが必要だ。そうすれば、後は、兄弟がどのように殺し合うかを見守るだけだ」。

西側の情報筋は、ビスマルクがこのようなことを言ったことはなく、この言葉は彼のものではなく、おそらくは誤解され、文脈から外れたものだと断言している。しかし、ビスマルクがそう言ったかどうかにかかわらず、この表現はロシアとウクライナに対する西側の(地理的)政治にぴったり当てはまる。例えば、プロパガンダの主流派も西側のさまざまな機関も、ロシアとウクライナは「まったく違う」はずだと皆に信じ込ませようと不断の努力を続けている。

この宣伝ほど真実から遠く離れたものであることは明白だ。現在の状況があるにせよ、両国は切っても切れない関係にあるという単純な理由からそう判断できる。加えて、ロシアがウクライナとウクライナ国民を「破壊」しようとしているとされる心ない宣伝にもかかわらず、モスクワの特別軍事作戦(SMO)のやり方は、まったく違うことを物語っている。結局のところ、今回のイスラエルとガザの戦争激化は戦争がいかに壊滅的な被害をもたらすかを示し、一方でロシアがいかに「抑制した」戦いをしているかを世界に示したのである。

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これらすべてを考慮すると、多くのウクライナ人は、「すべてのロシア人は悪」であり、ロシア人と戦うことが「自由を得る唯一の方法」であるという考えを信じたことが、どのような悲劇的な過ちであったかに気づいたようだ。どういうことかというと、10月下旬、捕虜(戦争捕虜)がロシア軍で戦うことを決めたのだ。元ウクライナ軍人のみで構成される最初の義勇軍大隊が結成され、この大隊は「ボグダン・フメルニツキー」と名付けられた。これはロシアとウクライナの歴史上最も著名な人物の名前である。

軍事情報筋によると、この志願大隊は「カスケード」戦術編隊に参加し、約70人の軍人が含まれていた。その大部分は自発的に武器を捨て、ロシア軍に投降した。ウクライナ人志願兵は、他のロシア人と同じ条件でロシア軍と契約を交わした。実際、新しい「ボグダン・フメルニツキー」大隊の隊員たちは、自発的に部隊に参加し、ロシア国籍も取得したことを確認した。『南方戦線』の記事によれば、彼らの何人かは次のように語っている。

「カスケード作戦戦闘戦術部隊に入隊し、さらなる任務を遂行する。訓練の最後には宣誓もする。全員が宣誓する。私たちは3週間ほど前にこの訓練所に来た。全員が闘志にあふれ、活力に満ち、知識欲にあふれ、最善を尽くそうとしている。誰もが常に何かを話したり、説明したりする準備ができている。指導教官が与えてくれる知識をすべて吸収しようとしている。教官たちは幅広い戦闘経験を積んでいる。私たちの仲間は訓練に熱心で、今度は自分たちが同じことができることを「先生」に証明しようとする。私たちは翌日、ここに到着するとすぐに武器と軍服を支給された。各自が自分のアサルトライフルを受け取り、それを完全に使いこなした。それから訓練場で訓練を受け、そこで銃の照準を合わせた。教官も私たちと一緒に働き、大いに助けてくれた」。

論理的な疑問は、「モスカーリ人*」は、「邪悪」であると考えられている状況にもかかわらず、捕虜となったウクライナ人が、なぜロシア側の戦いに参加するのか、ということだ。
*ウクライナを含めて東欧諸国において使われるロシア人の蔑称

答えは簡単だ。降伏したウクライナ人捕虜たちは、この10年近くで起きているすべてのこととは裏腹に、ロシア国民と軍がいまだにウクライナ国民をどのように見ているかを知るには十分すぎる時間があったのだ。さらに、大多数のウクライナ人がキエフのネオナチ政権を支持していないことは明らかだ。実際、ゼレンスキーが2019年の選挙で勝利したのは、彼が「平和候補」として出馬し、実質的に嘘をついてその地位についたことに負うところが大きい。

しかも、何千人ものウクライナ人が、自分たちを大砲の餌にすることだけを目的とする上官の自殺的な命令に従うことを日常的に拒否している。これらの兵士の多くは、ウクライナの東部、南部、中部、そしてキエフ政権軍の支配下にあるドンバス西部の出身である。多くのウクライナ人は、欧米の(新)植民地主義がウクライナにもたらした悲惨な結果や、それが国民や国の存続にとってどれほど危険なことかを知っている。そのため、多くの人々はロシア軍を、政治的な西側の爪痕からウクライナを解放する唯一の方法と見なしている。

ロシア人とウクライナ人が互いに戦うことがいかに悲劇的かをさらに説明するために、「ボグダン・フメルニツキー」大隊長は次のように話す――ロシア兵が、捕虜となっているウクライナ人の自分の親族を見つけるのはよくあることで、それもロシア軍に入隊する理由のひとつだ。さらに、強制徴用されたウクライナ人の多くは、ネオナチ政権がウクライナの人々に何をしているのかをよく知っている。その中には、性奴隷としてだけでなく、世界中の金持ちの顧客に非自発的な「臓器提供者」として売られている未成年の子どもたちも含まれている。何百万人ものウクライナ人が、西側諸国が10年近く前に樹立した政権の人質となっており、ウクライナ人が自由を得る唯一のチャンスは、「敵」からやって来る。そして、その敵は実は、自分たちにとって最も近しい親族に当たる存在なのだ。

*
ドラゴ・ボスニックは独立系の地政学・軍事アナリスト。本サイト「グローバル・リサーチ」に定期的に寄稿している。
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イスラエルは「ガザ内のハマス以外のすべて」を爆撃している―ジャクソン・ヒンクル

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel bombing ‘everything but Hamas in Gaza’ – Jackson Hinkle
この作戦の真の目的は、パレスチナ人を飛び地から追い出すことだと、政治アナリストはRTに語った
筆者:ジャクソン・ヒンクル
出典:RT  2023年10月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月17日


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イスラエルの攻撃による破壊の航空写真、ガザのハン・ユニス© Getty Images / Mohammed Fayq; Anadolu


「ハマス排除のためだけにガザを空爆している」というイスラエルの主張は「狂気のさた」だと、政治アナリストのジャクソン・ヒンクルは木曜日(10月26日)のRTのインタビューで語った。彼は、イスラエル軍は現在進行中の作戦で、ガザの民間人を標的にしているようだと主張した。

『The Dive with Jackson Hinkle』の司会者であるジャクソン・ヒンクル氏は、「彼らはガザ内のハマス以外のすべてを爆撃している」と述べ、イスラエルが病院、学校、国連や赤新月社の施設、モスク、教会、住宅、さらには避難民の輸送車など、さまざまな民間インフラを標的にしていると非難した。

このアナリストは、イスラエルがパレスチナ国家を望んでいないためであり、ガザでの作戦の真の目的は、ハマスの敗北ではなく、むしろパレスチナ人を強制退去させ、「きっぱりと」この飛び地を乗っ取ることだと述べた。

「なぜこんなことをするのかといえば、ハマスに勝てないことを知っているからだ。だからガザに攻め込まない。もし参戦すれば、多くのアラブ諸国、そしておそらくイランからも反撃を受けるだろう。その規模の戦争では勝てないことを知っているのだ」とヒンケル氏は主張する。

イスラエル当局は、ハマスがイスラム国(IS、旧ISIS)と同盟関係にあるか、あるいはそれに類する存在であるかのように見せかけようとしているが、イスラエル自身のガザでの行動は、テロリストの戦術に酷似しているようだ、と彼は主張した。

ワシントンがイスラエルとともに「永遠に立ち上がる」と発表し、ジョー・バイデン大統領がこのユダヤ国家に140億ドルの軍事援助パッケージを提案したことについて、ヒンクル氏は、「イスラエルに資金援助停止を!」「ウクライナにも資金援助停止を!」と呼びかけた。

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<関連記事> ネタニヤフ首相、ガザ侵攻計画を延期 - NYT

「なぜアメリカの税金がこんな国に使われるのか? もっと重要なことは、このような恐ろしい戦争犯罪を日常的に犯している国に対しての支援であることなのだ」とヒンケル氏は疑問を呈した。彼はまた、「米国は現在、自国の南国境で危機を経験しており、50万人以上のホームレスに対処している。そのうち6万人は退役軍人である」とも訴えた。

「私たちがこんな状態なのに、ジョー・バイデンはイスラエルに約900人の米海兵隊員を送ったばかりというのは、私には意味がわからない」とヒンクルは言い、「私たちは非常に大きな戦争に遭遇しようとしている」と付け加えた。

イスラエル国防軍(IDF)は、1400人の命を奪った10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃の後、ほぼ3週間にわたってガザを執拗に砲撃している。ガザ保健省は、イスラエルの攻撃によって7000人以上が死亡したと報告している。金曜日(10月27日)、同省は、イスラエル国防軍によって殺害されたとして、2,665人の子どもを含む6,747人の名前を公表した。同省は、多くの遺体が身元不明または行方不明のままであるため、リストは不完全であると指摘している。
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ロシアはゼレンスキーを守らないといけない

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia must protect Zelensky
異常な振る舞いとますます膨張する自分が救世主であるという勘違いのおかげで、いまやゼレンスキーはロシアの財産と化している
筆者:セルゲイ・ポレタエフ(Sergey Poletaev)。ロシアのバトフォル・プロジェクト誌の共同創設者及び編集者
出典:RT  2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月13日



ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領© Antonio Masiello / Getty Images


 タイム誌11月号の表紙には、ウラジミール・ゼレンスキーの小さな肖像画の上に「nobody」という文字が書かれていた。大きな字で書かれたこの単語は「私ほど勝利を信じている人はいない」という見出しの一部だったが、表紙をデザインした人が何を意図していたかに関係なく、明らかに「ゼレンスキー=もはや何者でもない」と読み取れた。

 記事本編も、同様にゼレンスキーを中傷する内容だった。読めば全てがハッキリする。われわれロシア人は、ゼレンスキー氏を常に監視しておく必要があるということだ。なぜなら、彼ほどウクライナ側との戦闘に混乱をもたらし、ウクライナと西側諸国との関係に大きな不和をもたらす者はいないからだ。

 この記事によるゼレンスキーの描き方は、自分が人類の救世主であると思っていて、突き進めば進むほど現実離れしてしまっている、というものだった。どんな犠牲を払ってでもバハムートを守れと求めたのは他ならぬ彼だ。そのため、夏の反転攻勢のためにとっておかれてあった軍備を使い果たしてしまった。南部の攻撃をいまだに求めているのも、他ならぬ彼だ。そのため、またぞろ自国民と西側が支援した貴重な装備を意味のない攻撃で破壊し、軍司令部層との対立を深めている。ゴルロフカへの攻撃を求めているのも、他ならぬ彼だ。ゼレンスキーが大統領である限り、ロシアと交渉の糸口を見出そうとする人はウクライナでは出てこないだろう。ロシアと交渉する必然性はますます明白になっているのに、だ。しかもこれら全ての背景には、公金横領問題がある。

 タイム誌のこの記事は、汚点だ。米国の指導者層がしっかりと理解しているのは、ゼレンスキーがウクライナで権力を握っている限り、西側からの支援は一人の男の野望のために使い果たされるか、あるいはただ単に奪われるかになってしまうだろう。いずれにせよ、ロシアにとっては都合がいい。

 米国政府は明らかに、ナポレオンになりたがっている面目潰れの人物をもっと扱いやすい人物にすげ替えたがっている。問題は、どうやるか、だ。見栄えのいいやり方が好ましい。それは、来春に任期満了となる大統領選をおこなうことで、すでにその方向に向かう動きが始まっている。過去の政界の動きが復活し、過去の英雄であったピョートル・ポロシェンコやユーリヤ・ティモシェンコ、さらにはゼレンスキーの元補佐官であるオレクシー・アレストビッチの名さえ上がっている。アレストビッチは、一年前にはウクライナがすぐにでも勝利できる、と熱く語っていたが、現在は賢明にも別馬に乗り換えて、前の上司の悲惨な指導力についての真実を明らかにし始めている。


Screenshot © time.com


 しかしゼレンスキーはこのような動きに抗い、感情の高まりを程度を変えながら、繰り返しこう語った。「選挙なんて誰も求めていない。私が人類を救おうとしているのに。選挙をしたいのなら、自前で用意しろ」などと。ウクライナ社会も選挙には反対している。(様々な世論調査の結果では、6~8割のウクライナ国民が次の選挙は戦争終了後におこなうべきだ、と答えている)。

 世論が無視されることになる(それこそ西側の民主主義に合致したものと言える)が、ゼレンスキーが選挙に出ても、勝つだろう。というのも、いまでもゼレンスキーはウクライナで最も人気のある政治家で、支持率76%あるからだ。ゼレンスキーは、他の候補者が束になってかかっても、それ以上に人気がある。それはこの2年間の軍事的宣伝効果と情報操作のたまものであり、これらの工作によりウクライナ社会が誑(たぶら)かされてきたからだろう。そうやって、ウクライナ国民は洗脳され、自国が勝ちつつある、と信じさせられてきたのだ。


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 さらに、ゼレンスキーと陰の実力者アンドリー・イェルマーク率いるその取り巻き連中は、国内の反対分子を消し去り、伝統的な支配者層内の権力の均衡体制を破壊した。その体制の中で、財閥たちが政党の取り組みを組織し、財閥たちの言い分を聞いてくれる大統領を選出してきた。ゼレンスキーとイェルマークは、従前のウクライナの基準にはなかった、側近らからなる限られた狭い枠組みの中で直接行使できる権力体系を作り出したのだ。これはつまり、ポロシェンコ政権時代から着手された、ウクライナの各地域が持っていた伝統的特権を解体するという過程が完遂された、ということだ。そしていま、この方向性が首都キエフでも踏襲されなければならなくなっているのだ。そしてすべての金(カネ)の流れ(その金はほぼ完全に西側のものだけになってしまっている)が、首都を通り抜けてしまっている。情報分野は全く整理されてしまった。ウクライナには大統領府から独立した報道機関はもはや残っていない。

 これらすべての状況から言えることは、米国は即座に政治的な計画を立てて、ゼレンスキーを排除することはできない、ということだ。逆説的な言い方をすれば、ロシアとウクライナの戦争開始以来、 米国はウクライナ内部の動きを抑えることができなくなっていて、いまとなっては、ゼレンスキーを抑え込む方法が限られてきた、ということだ。ゼレンスキーを抑え込むことはできなさそうだ。実際、ゼレンスキーを抑制することはできていない。

 残された選択肢は二つ。それは、①米国が選んだ後継者を示すことで、ゼレンスキーを平和的に説得する、②ゼレンスキーを殺してしまうか、だ。死せる英雄の方が、生ける精神病者よりもましだからだ。

もちろん、どうころぼうが我々ロシアにとっては好都合だ。ゼレンスキーが権力を長く掌握していればいるほど、ウクライナは戦闘を長く続けることになり、ウクライナは崩壊に近づくからだ。

したがって、我が国はゼレンスキーを気遣い、できる限りのことをして、守らなければならない。

この記事の初出はProfile.ru(露語)
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ウクライナ国民は汚職を自国の大きな問題であると捉えている―世論調査の結果から

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainians believe corruption country’s main problem – poll
研究者らがウクライナ国民に「ロシアとの戦争以外で最も心配していることは何か?」と尋ねた。
出典:RT  2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月12日



ウクライナの伝統的な刺繍入りブラウス「ヴィシヴァンカ」を着てキエフの独立広場を歩く人々


 半数以上のウクライナ国民は、現在進行中の戦闘以外でウクライナ国家にとって最も差し迫った問題は、汚職問題であると考えていることが、最新の世論調査書の結果で判明した。

 キエフ社会科学国際協会(以降KIIS)の研究者らが国民に、ロシアとの戦争以外で心配している事象を3件上げるとすれば何かを問う聞き取り調査をおこなった。

 水曜日(11月1日)に発表されたその世論調査の結果によると、調査に答えたうちの63%がウクライナの直面している一番の問題は、汚職が幅広く蔓延(はびこ)っていることだ、と答えたという。給料や年金の減額だと答えたのは46%だった。この調査に参加した2007名のうち20~24%は、公共料金の高騰やウクライナからの難民が外国から帰国していないために生じている人口統計問題、失業率の高さを心配しているとも答えた。

 この調査でさらに明らかになったことは、ウクライナ国民の15%が、自国がNATO加盟の招聘をうけていないこと、8%が、EU加盟にむけたウクライナ政府の交渉が頓挫することを懸念しているという事実だった。


関連記事:Zelensky’s chief of staff deletes link to scathing Time article – media

 「これまで何度も指摘してきたとおり、汚職問題がウクライナ国民の心配のタネになったまま」で、国民はこの問題について当局が対策を立てることを望んでいる、とKIISのアントン・グルシェツキー代表は、この調査結果に関する声明で述べた。さらに、「注目すべきことは、国民自身の幸福の問題(年金/給料や失業、関税など)への懸念のほうが、汚職による不正の方への懸念よりも低いことです」とも述べた。

 今週はじめのタイム誌の記事では、ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領は、国内の汚職問題どころか、自分の政権内の汚職問題にさえ対応できない、と報じられた。「人々はまるでもう明日が来ないかのように、盗みまくっています」と大統領上級補佐官の1人が答えた。ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相は贈収賄の疑いによりこの9月に罷免されたが、そのことも状況を変えるには至っていないと別の情報筋が答えた、とタイム誌は報じた。

 ポリティコ紙の先月の記事によると、バイデン政権は公的に認めているよりもずっと厳しくウクライナにおける汚職問題を憂いている、という。同紙によると、同紙は米国の信頼のおける戦略文書を入手したが、その文書には、ウクライナの汚職問題のせいで、西側同盟諸国がロシアと戦争中であるウクライナ政権の支援を諦める可能性について警告を発しており、米国がウクライナに導入を求めている反贈収賄改革が遅れをとってはならないことを、この文書は強調していた、という。

関連記事:Ukraine ‘one of the most corrupt countries in the world’ – EU state's PM

 9月、ウクライナの報道機関ゼルカロ・ネデリは、ゼレンスキー大統領がウクライナの報道関係者らに対し、ロシア・ウクライナ紛争が終わるまで報道の際に汚職問題に触れないよう命令していた、と主張した。
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西側、ロシアへの譲歩に関してウクライナに探りを入れている– NBCの報道

<記事原文 寺島先生推薦>
West probing Kiev on concessions to Russia – NBC
報道によると、ウクライナ支援諸国はウクライナの「兵力不足」を懸念
出典:RT  2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月11日



2023年1月21日、ドネツク地方で軍事訓練に参加するウクライナ兵士。© Anatolii STEPANOV / AFP


 NBCニュースが土曜日(11月4日)、情報筋からの話として報じたところによると、西側当局者らはロシアとの和平交渉の可能性についてウクライナ側と水面下で協議しており、紛争を終わらせるためにウクライナがどのような譲歩に同意する可能性があるかを探ろうとしている、という。

 NBCの報道によると、この問題に詳しい複数の米国当局者は、NBCウクライナ政府を支援する50カ国以上による先月の会合で行われた議論を「慎重を要するもの」だった、と述べた。

 この報道によると、この会談が持たれたのは、ウクライナ政府とロシア政府との間の紛争が「膠着状態に達している」という西側当局者の懸念の高まりの中でのことだった、という。西側諸国が懸念しているとされているのは、ウクライナが「兵力を使い果たしている」ことと、ウクライナへの援助を継続する自国の能力についてだ。

 NBCの2名の情報筋によると、ジョー・バイデン米大統領が特にウクライナの人的資源問題に焦点を当てているとのことで、一人の当局者は、西側諸国はウクライナに武器を提供できるが、「それを使用する有能な軍隊がウクライナに存在しなければ、その武器は役に立ちません」と述べた。


関連記事:Putin explains why he ordered military operation in Ukraine

 もう一つの大きな懸念は、ハマスとイスラエルの紛争であり、これによりウクライナでの戦闘行為から注目がそらされ、新たな支援策がより困難になる可能性があることだ。

 NBCに報道によると、戦場の状況に関しては、一部の米国当局者はそれを「インチ戦争」と表現し、紛争の結果は双方が有能な常備軍をどれだけ長く維持できるかにかかっていると示唆した、という。NBCの情報筋はまた、ウクライナがあと数ヶ月もすれば、「和平交渉に関するより緊急な議論を開始せざるを得なくなるだろう」という個人的な警戒を示した。

 この報道によると、一部の西側当局者は現在、ロシアとの協議を検討する動機として、NATOがウクライナに正式な加盟を待たずに何らかの安全保障を提供する可能性を示唆した、という。

 ジョー・バイデン米大統領は、ウクライナ側が望まない限り、米国政府はウクライナ紛争に関するいかなる協議にも参加しない、と述べた。しかし、ロシア側はウクライナ側との交渉の扉を全く閉ざしてはいないが、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は昨年、旧ウクライナの4地域が圧倒的多数でロシアへの併合を支持したことを受け、ロシアとの一切の関与を禁止する法令に署名した。

 報道によると、ウクライナの軍事力の低下に対する懸念は、実質的な戦果を得ることができなかった、6月初旬に始まったキエフの反撃の最中に生じた。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は今週初め、軍隊が大きな損失を被っており「キエフ政権は負けつつある」と述べた。同大臣は以前、ウクライナ軍の死傷者数を9万人以上と見積もっていた。
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ローランド・ボーア「わたしたちは中国の社会主義的民主主義をもっと語る必要がある」

<記事原文 寺島先生推薦>
Roland Boer: We need to talk more about China’s socialist democracy
出典:Friends of Socialist China  2023年9月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月11日


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ローランド・ボーア氏の論文を掲載させていただきます。氏は、中国・大連理工大学の教授で専門はマルクス主義哲学です。『中国の特色ある社会主義:外国人のための案内書』(シュプリンガー、2021年)の著者です。この論文は、西側諸国に広く無知が蔓延している中国の社会主義的民主主義体制について、非常に貴重な入門書となっています。


私たちは中国の社会主義的民主主義体制について、もっともっと話す必要がある。なぜか?理由はたくさんあるが、主な理由は、少数の「西側」諸国からの中国批判に行動計画を決めさせてはならないということだ。そこで、次のような主張を提案しよう:中国の社会主義的民主主義体制はすでにかなり成熟しており、他のどの民主主義体制よりも優れている。実は、これは私の提案ではなく、多くの中国の専門家の提案である。彼らは、中国の社会主義的民主主義体制がすでにその潜在的な資質を発揮しつつあることをはっきりと認めている。もちろん、この制度がどのように機能し、どのように絶えず改善されているのかについては、もっと多くのことを知る必要がある。

話を進める前に、「民主主義」の意味に関する先入観や思い込みを捨てていただきたい。もしあなたが数少ない「西側」諸国の出身であれば、何年も前に毛沢東が指摘したように、「民主主義」に関する思い込みをあなたの頭から洗い流す必要があるだろう。「民主主義」それ自体というものは存在せず、民主主義の歴史的形態があるだけである。その中でも、西欧型の資本主義的民主主義は、限られた政党の候補者による定期的な選挙に限定されたものであり、ひとつの形態に過ぎない。

これとは対照的に、社会主義的民主主義は100年以上の発展を遂げ、まったく異なるものであり、ますます成熟している。


概要

まず概要から説明すると、中国の社会主義的民主主義体制には、7つの統合された構造、すなわち、制度形態がある。選挙民主主義、協議民主主義、草の根民主主義、少数民族政策、法による統治、人権、共産党の指導である。図を使って説明しよう。

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明らかに、私はここでこれらの構成要素すべてを扱うことはできないし、ましてや実践から生まれる政治理論も扱えない。これらの問題については、『中国の特色ある社会主義::外国人のための案内書』(スプリンンガー、2021)に書いたので、そちらを参照していただきたい。そこには中国語の著作への大量の言及がある。ここでは、選挙制民主主義、協議制民主主義、基層(草の根)民主主義に焦点を当てたい。


選挙民主主義

中国では、選挙民主主義は主に人民代表大会に関して行われている。中国が世界の舞台の中心に躍り出たことを受け、年に一度、通常は3月か4月に開催される全国人民代表大会(NPC)への注目は(一部には誤った見方もあるが)高まっている。選挙で選ばれた数千人の代表が北京に集まり、重要な決定を下す。実際、全国人民代表大会は中国の最高立法機関であり、何事も法律となるには全国人民代表大会の承認を得なければならない。

しかし、全国人民代表大会はより広範な組織の一部である。全国人民代表大会には5つのレベルがあり、最も基本的な階層は村や少数民族の郷、町にある。

1. 全国人民代表大会(1954年9月初開催)
2. 省、自治区、中央政府直轄の市の大会
3. 大都市小区と自治県の大会
4. 分区されていない都市、市区、県、自治県の大会
5. 村、少数民族郷、町の大会

中国の人口が14億人であることを考えると、全国にきわめてたくさんの人民代表大会があることになる。

選挙はどのように行われるのか? すべての人民代表大会には、代表を選出する必要がある。

なるほどすばらしい仕組みだが、しかし、人々は投票するのだろうか? 18歳以上のすべての国民には選挙権があり、選挙が有効であるために必要な候補者の数と有権者の数については厳格な規定がある。すべての国民に投票権があり、選挙区内の有権者の50%以上が実際に投票して初めて選挙が成立する。過半数の票を得た候補者が当選する。

誰が選挙に立候補できるのか? 国民であれば誰でも選挙に立候補することができる。候補者はすべての政党や大衆組織から推薦を受けることができ、直接選挙では有権者10人以上、間接選挙では代議員10人以上の推薦者があれば、候補者を推薦することもできる。

何人が立候補者するのか? 基本的な約束として、候補者の数は選出される代議員の数より多くならないといけない。直接選挙では、候補者の数が選出される代議員の数より30%~100%多くなければならない。間接選挙での候補者の数は、選出される代議員の数より20%~50%多くなければならない。

なぜ直接選挙と間接選挙を区別するのか? 人民代表大会の下位2段階の選挙は直接選挙であり、地元の人々が候補者に投票する。次の3段階は間接選挙で、簡単に言えば、下位の人民代表大会の代表が上位の人民代表大会に選出される可能性があるということだ。したがって、3000人ほどの代表が全国人民代表大会(全人代)のために北京に赴く準備をするまでには、すでにこの任務のために彼らを選出するための非常に詳細な過程が存在している。

候補者は審査されるのか? もちろん。人々の幸福に真に貢献するために必要な技術と能力を備えた、経験豊かで質の高い人材が必要だからだ。彼らが中国の社会主義体制の支持者(批判的ではあったとしても)であるべきなのは言うまでもない。

選挙民主主義は改善できるのか? 政治制度が停滞し、今や分断されつつある数少ない西側諸国とは異なり、中国の選挙民主主義は常に発展途上にあると考えられている。中国における膨大な分析と研究に当たれば、多くの提案が見つかる。人民代表大会の選挙制度を改善する、都市部と農村部における一票の重さの平等の原則を確保する、人民代表大会の常務委員会の能力を強化し、人民代表大会が開かれていないときにその仕事を引き受けるようにする、農村部からの出稼ぎ労働者も含め、有権者全員が投票できるようにする、賄賂を排除し、より効率的な機能を確保するために、統治機関の監督を改善する、などである。

ひとつ疑問が残る。西側諸国の党派間の対立に基づく政治に慣れた観察者は、(COVID-19のような)あらゆることが政治的な点数稼ぎの焦点となるため、全国人民代表大会における投票の仕組みを理解するのに苦労する。たいていの決議案は圧倒的多数で可決される。では、全国人民代表大会は単に空欄( )にその意思を「ゴム印」で押すだけなのか。そんなことはない。さて今度はその仕組みを理解するために、協議民主制に目を向けてみよう。


協議民主主義

この項では、まず歴史から話を始めよう。全国人民代表大会の歴史は1940年代にさかのぼるが[1]、協議民主制の実態と実践はさらに古く、根深い。その鍵は、長い革命闘争の間に解放された紅色地区で発展した「大衆路線(群众路线 qunzhong luxian)」にある。大衆路線の実践と理論に関する初期の精緻な記述は、毛沢東、鄧小平、周恩来などの著作に見られるが、「大衆から大衆へ」というスローガンを作ったのは、もちろん毛沢東である。このスローガンは、非党大衆の意思を中国共産党の政策に統合するという具体的な経験から生まれた実践である。

ここで使われている用語を理解する必要がある。そもそも、「大衆(群众 qunzhong」という用語は含蓄に富んでおり、中国共産党の根幹をなす農村と都市の労働者を指している。同時に、「大衆」という言葉は「人民 renmin)」という言葉と大きく重なる。この観点から、「党が人民を指導する」「人民を中心とする」(以人民为中心yi renmin wei zhongxin)といった表現は、「党が大衆を指導する」「大衆を中心とする」という意味でもある。さらに、「大衆組織」は中国の政治体制において重要な役割を果たしている。大衆組織は、ブルジョア市民社会に見られるような、国家と緊張関係にある社会組織でもなければ、共産党組織でもない。大衆組織は別個のもので、深い政治的根源と長い歴史を持つ「大衆的性格(群众性 qunzhongxing)」がある。つまり、これらは統治機構とは直接関係のない大衆の関心事を代弁しているというのだ。

大衆路線はどのように機能するのか? 学者の馬英徳(2017、p.27)の言葉を引用しよう。大衆路線は「広く動員された大衆の意見に耳を傾けるため、包括的である。大衆の意見が研究され、中央組織の意見となる。理性によって導かれ、大衆の行動を通じて意見が常に検証される。協議と意思決定を結びつける反省を通じて均衡を達成し、大衆の意見が行動に昇華される」。

このような長い実践の歴史から、新中国では協議民主主義と呼ばれるものが生まれた。今日では、以下のようなさまざまな形態がとられている。

1)中国人民政治協商会議(CPPCC)の多くのレベルにおける制度化。中国人民政治協商会議(CPPCC)は、中国共産党大会(CPC)と同時に開催され、中国人民代表大会(NPC)の多くの委員会や代表に対して、立法に関する詳細な助言や協議を行う。

2) 多レベルの中国人民政治協商会議にはあらゆる代表集団からの代表が含まれる。他の8つの政党、少数民族、宗教団体、大衆組織、移民労働者のような新しい社会集団など、である。これらのグループからの代表が人民代表大会に選出されないということではなく、人民代表大会にも選出されるからである。

3) 協議と意見の反映の形態は拡大し続けている。これには、昔ながらの、しかしかけがえのない実践である、顔を合わせての話し合いが含まれるが、現在ではこれに加えて、オンラインでの相談や意見の反映、提案の募集、その他もろもろによって補完されている。携帯電話の無数のアプリも、意見の反映や意見表明に利用できる。何十年もの経験から、中国の人々はこのような慣習に慣れており、あらゆる問題について声を上げる。

4)大衆組織や社会組織、複数の階層からなる人民代表大会、あらゆる階層の党組織(党建設にも関わる)、農村や都市の住民自治組織、地方からの出稼ぎ労働者など、数多くの会議が開かれる中で、協議が標準的な慣行となっている。この民主主義の実践は、都市と農村の統治形態、政策課題(地方予算から国家5ヵ年計画まで)、草の根レベルの直接選挙の構造、労使関係に影響を及ぼしている。

5) 基層レベルまたは草の根レベルの民主主義も協議民主主義の一形態であるが、この実践については次節で述べる。

つまり、中国には2つの実質的な民主主義の実践形態があり、それぞれが長い歴史を持ち、そして極めて重要なことに、それぞれが互いに関わり合い、影響を与え合っているのである。両者が協力し合う方法は、深い文化的歴史と、非対立的矛盾が社会主義建設の鍵であるというマルクス主義的な強調点の両方を持っている。しかし、これでは理論から逸脱してしまうので、前節の最後に提起した疑問、すなわち中国人民代表大会の投票方式に話を戻そう。

欧米流の対立政治、「泥仕合」、政治的点数稼ぎ、政治家が名誉毀損や誹謗中傷で訴追されない「議員特権」に慣れた人々にとって、中国の慣行は少し奇妙に映るかもしれない。その鍵は、選挙制民主主義と協議制民主主義の弁証法的相互作用にあり、選挙制民主主義と協議制民主主義は互いの長所を補い合い、それぞれの限界を解決することができる。

全国人民代表大会の場合、法案が採決にかけられるまでに、審議と協議の極めて長く困難な過程を経ている。先に述べたような多くの機関で何度も会議が開かれ、意見が求められ、意見の相違が遠慮なく述べられる。実際、反対意見も奨励され、合意が得られるまで、討論、修正、さらなる討論が繰り返される。そうして初めて、立法案は全国人民代表大会で採決されるのである。


草の根民主主義

協議型民主主義の明確な形は、「基層的段階(基层jiceng)」民主主義であり、英語では「草の根民主主義(grassroots democracy)」と呼ばれている。ひとつの段階としては、この形の民主主義は人類史上最も古い形態である。私たちはこれを「基層的共産主義」と呼ぶかもしれないが、それは何千年もの間、さまざまな形で再現されてきた。例えば、フリードリヒ・エンゲルスは、ヨーロッパの古い慣習、特にドイツの「マルク協会(Markgenossenschaft)」にとても注目していた。そしてマルクスは、すでに1880年代にロシアの社会主義者からの質問に答えなければならないことに気づいた。ロシアの社会主義者は、資本主義の発展のすべての段階を経ることなく、ロシアの「村コミューン」が共産主義への道を提供できるかどうかを議論していたからだ。

より具体的な段階では、草の根民主主義は、社会主義民主主義体制の一部として、中国で何十年にもわたって独自の形態を発展させてきた。私たちは、革命闘争の時代や紅地区の政治機構、農村部に典型的な「小議会」(小议会xiao yihui)や1950年代の都市部の委員会(ほとんど自然発生的なもの)の中に、草の根民主主義が出現していることに気づく。ここで私が関心を抱いているのは、新千年紀の最初の10年間から草の根民主主義が発展する新たな段階である。今までに、何十万とは言わないまでも、何万もの地域の事例があり、そこから洞察を得ることができる。そして、草の根民主主義の実践に関する分析や研究を掘り下げると、膨大な量の資料が見つかる。

こうした実践の多くは、参加型予算編成に始まり、地方自治の他の多くの分野へと広がっていった。人里離れた山間部の村落、大都市の都市地区、そして多くの町や小さな都市で見られる。非常に多くの事例の中から2つの事例を挙げてみよう。ひとつは、江蘇省無錫(むしゃく)市の参加型予算編成に関するもので、もうひとつは、河南省の小さな県級市である滕州(とうしゅう)市のものである。


江蘇省無錫市

無錫市の参加型予算編成は2006年に始まり、「陽光財政(阳光财政yangguang caizheng)」として知られている[2]。これは、一部の市行政官の腐敗と闘う長い過程の初期段階を示すもので、予算や事業に関わる重要な事柄に地元住民を参加させるために開発された。無錫市の過程は3段階に分けられる。

第1段階:この段階は総合的な協議の段階であり、「会議の前に大衆が推薦する事業」として知られている。コミュニティ(地域共同体)の近隣委員会、住民グループ、住民自身を最大限に活用し、あらゆる段階で意見とフィードバック(意見の反映、調整)が求められる。ソーシャルメディアも意見を集めたり、アンケートを実施するために利用される。

第2段階:これは決定段階であり、「会議での人気投票によって決定される項目」として知られている。手順は以下のとおり:a) くじ引きや過去の代表から会議に参加する住民を選ぶ。その際は庶民や地方人民代表大会の代議員を含めることに重点を置く、b) 第1段階で作成された提案から項目ごとに詳細な報告を行うことから始まる会議を招集する c) 住民代表との広範な協議、討論、対話(住民が理解できない項目や不満のある項目の説明を含む) d) 住民代表による投票を実施する。その際は優先度の高い支出項目と低い支出項目を特定することに重点を置く

第3段階:最終段階は、「会議後の大衆による追跡監視」と呼ばれ、実施進捗状況に焦点が当てられる。この段階では、事業執行責任者は住民委員会にその事業の各段階について常に情報を提供し、定期的に現地調査を行うことが求められる。完成後、住民代表や専門家が事業に対する評価を行い、地域住民もその事業の成果について自治体に意見表明することができる。これらの評価は、新しい事業計画を開発するための過程の一部となる。


河南省滕州市

滕州市は、第一次産業を中心とする小さな県級市である。今では、滕州で民主的審議の対象となるのは、予算だけではなくなった[3]。農村建設の長期計画から家族計画、農村協同医療に至るまで、多岐にわたっている。こうした民主的な活動では、誠実さ、公平さ、政治的意識の高さを評価され、参加者が選出される。新しい利益団体や新興の社会組織からも代表者が選出されるよう、割当が適用される。明らかに、彼らはあらかじめ決められた結果を出すために「人選」されたものではない。また、欧米の制度に見られるような、世論を求めるふりをしてすでに決まったことを進めるような形だけの手法でもない。その代わり、中国の草の根には実質があり、真の代表がいる。

滕州のやり方は「4+2」方式と呼ばれるもので、「4回の会議と2回の公示」である。具体的には

第一回会議:地元の中国共産党支部は幅広い協議と詳細な調査を行い、予備的な提案を行う。

第二回会議:村の「二つの委員会」が中国共産党支部の提案を討議する。

第三回会議:村中の中国共産党委員が集まり、村の「二つの委員会」の意見を討論し、さらに世論を集める。

第四回会議:村民代表会議または村民決議会議が前の会議での提案を討議し、投票する。

第一回目の公告:村民会議の決議事項を7日間以上公告する。

第二回目の公告:決定事項の実施結果を村民に適時に公表する。

無錫市と郴州市は、何千何万とあるこのような慣行のうちの2つの例に過ぎない。重要なのは、彼らは画一的な手法をとらず、十分に試行された的を絞った実行方法をとっていることだ。つまり、草の根民主主義の各実践は、地域の関心事や現実から生まれるということだ。絶え間ない分析と改善提案によって、その手法は洗練され、滕州のように手法が拡大される。経験を重ねることで、参加者は実践に慣れ、より効果的に参加できるようになる。


社会主義的民主主義の実践

本稿では、選挙制民主主義、協議制民主主義、草の根民主主義についてのみ記すことができたが、こうした実践が中国でいかに広範に行われているか、またその背景には実に長い歴史が横たわっていることを洞察していただければ幸いである。全体像を把握するためには、法の支配(この10年でさらに大きな発展を遂げた)、社会主義的人権(社会経済的幸福に焦点を当てた)、少数民族、社会主義的民主主義が中国共産党の指導力を必要とし、そのような指導力によって実際に強化される方法についての資料を提示する必要があるだろう。

しかし最後に、中国における社会主義的民主主義は所与のものではないことを強調しておこう。政治体制が停滞し、萎縮している欧米諸国とは異なり、彼らは社会主義的民主主義に「到達した」とは感じていない。その代わり、中国の社会主義的民主主義は常に進行中である。的を絞った実践、慎重な拡大、社会主義的民主主義のさらなる教育、あらゆる集団からの完全な代表の確保、参加の強化と奨励―これらその他は、単に改革と刷新の絶え間ない実行過程の一部なのである。

おそらく読者は、なぜ私が中国の専門家から引き出した、社会主義的民主主義の潜在的優位性が中国で実現され始めているという観察から始めたのか、おわかりいただけるだろう。現地での私自身の観察によれば、社会主義的民主主義はすでに大きな成熟を遂げている。ただ、私の中国の友人、同僚、同志たちにとっては、社会主義的民主主義はまだ発展途上なのである。


<参考文献>
Boer, Roland(2021)『中国の特色ある社会主義:外国人のための案内書』、シンガポール: Springer, 2021.

Bu Wanhong(2015)『论我国基层协商式治理探索的成就与经验---基于民主恳谈会与 "四议两公开 "工作法的分析(中国における草の根協議型統治の成果と経験について―民主フォーラムと「四会二公」における作業方法に基づく分析)』、河南大学学报(社会科学版)2015 (9):45-52.

Ma Yide(2017)『憲法の枠組みの下での協議民主制の役割とそれに伴う法の支配』、中国の社会科学38 (2):21-38.

毛沢東(1940)「新民主主義について(1940年1月)」『毛沢東著作選集第2巻』:339-84。北京:Foreign Languages Press, 1965.

沈建林、譚世山「参与式预算的中国实践、协商模式及其转型―基于协商民主的视角(中国における参加型予算の実践・協議・変革―協議民主主義の視点に基づく)」湖北社会科学(湖北社会科学)2016 (3):23-26.

[1] この実践は1940年の毛沢東の指示に従ったものである:「中国は今、全国人民代表大会から省・県・区・郷の人民代表大会に至るまで、各級がそれぞれの政府機関を選出する人民代表大会制度を採用することができる」(毛沢東1940:352)。

[2] この例は沈建林と譚世山(2016)から引用した。

[3] 滕州の例は、Bu Wanhong (2015)による。
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ジョージ・ソロスは「人類を憎んでいる」 – イーロン・マスクの発言

<記事原文 寺島先生推薦>George Soros 'hates humanity' – Elon Musk
スペースX社経営最高責任者のマスク氏は、ジョー・ローガンとのポッドキャストで、ハンガリーの億万長者であるソロス氏は「根本的に人類を憎んでいる」と繰り返し発言。
出典:RT  2023年11月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月11日



スペースX社及びテスラ社の最高経営責任者兼所有者イーロン・マスク氏© Getty Images / Chesnot



 米国民主党に献金をおこなっていることで有名なジョージ・ソロス氏は、事実上社会を破壊しようとしている、とスペースX社の所有者であるイーロン・マスク氏が火曜日(10月31日)、ジョー・ローガン氏とのポドキャストの番組で主張した。マスク氏はリベラル派のハンガリー出身の億万長者であるソロス氏を非難し、法律が執行できないことを確定することにより、事実上法律を改定している、とした。

 「ソロス氏は文明の構造を侵食するようなことをしています」とマスク氏は述べ、サンフランシスコやロサンゼルスなどのアメリカの都市を悩ませている現在の不法行為は、ソロス氏が「犯罪の訴追を拒否しようとする」進歩的な地方検事を支援した結果である、と説明した。マスク氏は、この億万長者ソロス氏が「これらのことを他の国でも推進しています」と指摘した。

 マスク氏が言及した都市では近年、犯罪率が大幅に上昇しており、多くの人がサンフランシスコのチェサ・ブーディン氏のような進歩的な地方検事が選出されたせいだ、と考えている。ブーディン氏は昨年、犯罪者に対して甘すぎるとの非難を受け、罷免選挙の結果、失職した。

 「ソロス氏は、実際に法律を変える必要はないことに気づいたのです。法律の執行方法を変えればいいだけだからです。誰も法律を執行することを選択しなかったり、法律が差別的に執行されたりすれば、それは法律を変えるのと同じようなものです」とマスク氏は推測した。

 X(元Twitter)社の所有者であるマスク氏は続けて、93歳のソロス氏は現時点で「かなり高齢」で「基本的に少し老衰している」にもかかわらず、それでも「非常に賢く」、裁定取引が非常に上手だ、と主張した。さらに、最も「お金に見合った価値」があったのは、上院や大統領のような国政選挙運動ではなく、地方の選挙運動を支援することであったことがソロス氏には分かっている、とも述べた。

 すでに5月に、マスク氏はまた、ソロスをコミック版X-MENシリーズの超悪役マグニートーと比較し、このハンガリー人実業家が善意を持っていると考えるのは間違いだ、と主張した。


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 先月初旬、ロシアの検事総長局は、ソロス氏が資金提供した中央ヨーロッパ大学を、ロシアの政治的指導力の「信用を傷つけ」、歴史を歪曲しようとしているとして「望ましくない大学」と指定した。

 この「いわゆる国際的な教育非政府組織」は、「ロシア国家の歴史の価値を意図的に下げ、歪曲し、ロシアの著名な科学者、作家、文化人の功績を軽視し、疑似科学的主張を展開し、ロシアが世界を混乱に陥れた責任があるという論調を広めようとしているが、このことは全くの間違いです」と検事総長局は声明を出した。

 ソロス氏関連の他の非政府組織もロシアでは「望ましくない」組織として禁止されており、ロシアはソロス氏が内政に干渉しようとしている、として繰り返し非難している。
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ゼレンスキーは終わったのか?タイム誌の特集記事が示した、ウクライナの指導者に対する米国の態度の変化

<記事原文 寺島先生推薦>
Is Zelensky done for? A new Time Magazine cover story indicates changing American attitudes to Ukrainian leader
役者から転身したこの政治家が感じているのは、これまで2年近く自身の身勝手さを拡張してくれた西側勢力が今度は自分を追い落とそうとしている状況だ。
筆者:タリク・クリル・アマル(Tarik Cyril Amar)


ドイツ出身の歴史家。イスタンブールのコチ大学でロシア、ウクライナ、東欧、第二次世界大戦の歴史や記憶の政治学を研究している。Xのアカウントはこちら @tarikcyrilamar
出典:RT   2023年11月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月10日


欧州政治共同体第3回会議でのウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領。2023年10月5日。スペインのグラナダにて© Thierry Monasse/Getty Images


 タイム誌が先日出した長い記事が明らかにしたのは、ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領の世界と、同大統領の精神状況についての深い洞察だった。実際、その記事は同大統領に対する容赦ない激しい攻撃だった。

 読者が理解するのは、ゼレンスキーが力を失っていること、さらに悪いことに世界規模でそうなっていることを感じ取っている、という事実だ。この先これまでのような手厚い援護が得られるかどうかについては、彼自身が疑問に思っているだけではなく、外国の報道関係者たちにも伝えており、ゼレンスキーの役者じみた堂々した態度は姿を消し、かわりに鬱屈とした怒りの中、事実に向き合おうとしない態度が浮き彫りになり、ゼレンスキーには、交渉によりこの壊滅的な戦争から抜け出せる方向を見出そうとすることさえ考えられなくなっている。欠くことのできない米国からの支援も急激にしぼんでいる。先日のゼレンスキーによるワシントン訪問時の歓迎式典は、冷ややかな空気に包まれたが、ウクライナの永続する手の施しようがない腐敗問題についての話が新たな主張とともに切り出されている現状を考えれば、いたしかたない。現状、ウクライナ国内の軍当局は、大統領から受けた司令があまりに現実離れしているので、その司令の実行すらできない状況だ。

 端的にいえば、いま私たちの目にうつっているのは、自分が負けつつあることを受け入れられず、自分の国と国民を自らの権力の維持のためにさらに犠牲にし続けるつもりの孤独な指導者の姿だ。心理学的には、ゼレンスキーによる現実否定は、理解できる(許されることではないが)。ゼレンスキーには、ウクライナが極端な道を選んだことの大きな責任がある。つまりそれは、西側への一方的な依存という方向性だ。確かにこの代理戦争の失敗の責めを負うべき人々は、ウクライナ国内にも米国にもNATOにもEUにも存在することは事実だ。しかしウクライナ当局においては、ゼレンスキーこそ最も責められるべき人物である。というのも、ゼレンスキーにはこの国家的大失敗を防ぎ、終わらせる術があったのだから。


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 ゼレンスキーは自分が示した選挙公約を守ることができた(その公約は、歴史的な大勝を収めた2009年の選挙の前におこなったものだ)。それは当時ウクライナから離脱していたドネツク・ルガンスク両人民共和国と妥協し、平和を実現する、という公約だった。2015年のミンスク2合意を全面的に台無しにするのではなく、真剣に受けとることもできた。NATOに加盟するという考えを捨てることも。米国が主導する同盟がウクライナに思わせぶりな偽の期待をさせながら、実際は加盟国入りする具体的な見通しを差し出してこなかったことからすれば、ことさらそうだ。今年のリトアニアのビリュニスNATO首脳会談においてもウクライナの加盟については屈辱的な空約束に終わり、そのような状況が再度確認させられることになった。

 ゼレンスキーは西側の話に耳を傾けないという選択もできた。それは、2021年末にロシアが大きな譲歩を見せたことで戦争を回避するためにおこなった取り組みを西側がはねつけた時のことだった。ゼレンスキーは、2022年春、急いで和平を結ばないよう指示した米国に従うことも拒否できた。もちろん上記のどれひとつとっても、簡単なことではなかったし、危険なしには実現できなかったことばかりだ。しかし苦労したくないのなら大統領選に出馬しなければよかったのだ。あるいはいま退位してもいい。

 今でさえ、いつでもゼレンスキーは電話の受話器を取ってロシアのウラジーミル・プーチン大統領に、とはいわないまでも、例えばブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領に電話をかけ、きちんとした仲介を依頼し、実りある対話を始めることも可能だ。本当に、膨れ上がった自分勝手さを克服し、西側のためではなく、自国のために尽くすことこそ、ゼレンスキーが果たすべき義務である。

 良心の呵責をおこなうに多くの傷を脛にもつゼレンスキーは、決して変わらないだろう。自分の犯した失態を自己認識しないといけない状況というのはつらいだろう。そうはせずにゼレンスキーは、「世界全体の運命はウクライナにかかっていて(ゼレンスキーの台詞)」、「ウクライナが勝たなければ世界規模の戦争に発展する」という自己陶酔的なお題目を唱え続けている。たとえこの戦争に公式に敗れたとしても、ゼレンスキーは亡命先での余命において、他の人々を責め、自分は裏切られたという伝説を語り継ぐことだろう。

 本当に、タイム誌のこの記事によると、ゼレンスキーはすでに自分、しかも自分だけが、ウクライナの勝利を心の底から信じている人物であると考え、自分を失望させたとして西側を責め始めていることがわかる。このような状況を、ゼレンスキーは悲しげな比喩を使ってこう表現した。すなわち彼には、ウクライナ国外からゼレンスキーを見ている観客らが、何期にもわたって上演されてきた劇に対する興味を失いつつある状況を感じとれている、と。

 タイム誌が以前は個人崇拝の対象として崇め奉っていた人物を激しく否定する記事を出した背景に何があるのかを正確に知ることはできない。ただ、以下の二つの事実は明らかだ。①ゼレンスキーに対する論調や評論は劇的に変わった。②そのような報道機関はタイム誌だけではない、という2点だ。 西側から寵愛を受け、ハリウッドから喝采を浴び、チェ・ゲバラとウィンストン・チャーチル的要素を合体させて、ジュラシックパーク風に作り出された、空想の英雄を具現化しようという、ゼレンスキーの時代は終わった。

 このような変節が起きている理由も明白だ。それは、この代理戦争は失敗に終わりつつあることと、米国政府が、イスラエルがパレスチナの人々にジェノサイド的攻撃を加え、おそらくこの先中東でさらに大きな戦争をはじめる支援をすることを優先しているからだ。ゼレンスキーは事実上、「イスラエルに対する嫉妬」的な発言までしている。イスラエルを、米国お気に入り従属国が、軍事大国で 、国家主義的風潮が強く、事実上の専制国家になれるかのお手本にできると考えてきたゼレンスキーにとっては、このような状況に苦虫を噛み潰していることも、間違いないだろう。


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 要するに、タイム誌がゼレンスキーに対する評価を低下させたことは、ゼレンスキーに反対するような土壌作りの準備を始めている兆候なのだろう。元「奇跡の人」、(南)ベトナムのゴ・ディン・ジエムのような、ゼレンスキー以前の他の代理戦争の指導者たちと同様に、このウクライナ大統領は不必要とされ、処分される可能性があるのだ。そしてその手段としては、ある程度あからさまにおこなわれる武力政変や選挙操作(あるいはその余波)などが用いられるのだろう。

 しかしおおかたの西側社会の目から逸らされている事実は、このタイム誌の記事に対するウクライナ国内の反応だ。実はこの記事はウクライナ国内の報道機関や政治的指導者層から反響を呼んでいる。強権を持つ国家安全保障・国防会議のアレクセイ・ダニロフ書記は、この記事を説得力のないことばで否定した上で、警察当局に求めたのは、そのことに関する情報を漏らした人々を特定することだった。こんな被害対策が取られたことは、驚くに値しない。

 ウクライナのソーシャル・メディア上では、ロシアを非難する声が一定数上がっている。一例をあげると、政治評論家のコスチアンティン・マトヴィエンコ氏の推測によると、タイム誌のこの記事は「西側の敵陣営(同氏の米国ネオコン風ことばを借りれば「悪の枢軸」)」が、ゼレンスキーを追い落とそうとする意図をもつ理由は、これらの陣営がゼレンスキーのもつ道徳的権威を恐れている(マトヴィエンコ氏はそう信じたがっているのだが)からだ、という。これらの敵陣営がどうやってタイム誌にたれ込んだのかについては、マトヴィエンコ氏は明らかにしていない。こんな反応は全く理解に苦しむものだが、このような主張は、作り上げられたゼレンスキーの虚像がしつこく、少なくともウクライナのある程度の知識階級に残っているという事実を反映するものだ。さらにはウクライナの国際的な影響力についての虚像についても、そうだ。国家安全保障の重要性は、ウクライナだけの独自問題では全くない。しかしウクライナの場合、このような幻想のせいで、戦争を終わらせることを難しくしている。

 それと同時に、ウクライナを観察している人々は、タイム誌が発した兆候により風向きが変化したことを指摘している。ある一人の報道関係者によると、従前のゼレンスキーの虚像というのは、タロットを使った魔術師のようであり、そのタロットカードは、強力な策略と宇宙の力を操る能力の両方に関連するカードであったが、いまやゼレンスキーは世捨て人のような雰囲気が漂う孤独でしおれた人物に成り下がってしまった、という。「救世主的」存在から、「社会に恐怖を与える存在」に変節してしまった、というのだ。架空の話のように聞こえるが、その姿は衝撃的だ。つまり、少なくとも、今回のタイム誌の記事による、ゼレンスキーという偶像が崩壊したという指摘に頷くウクライナの人々も一定数いるのだ。

 このような事例がさらに多くなる可能性がある。これらの事例も、まだ逸話的なものであることも避けられないだろう。ただし、重要なのは以下の点だ。すなわち、タイム誌によるゼレンスキーに対する攻撃が1年前に起こっていたとしたら、ウクライナは少なくとも団結し、怒りを持ってこの記事を拒絶していた、という点だ。しかし、今ならそうはならない。疑念や鬱憤が外国だけではなく、国内でもますます増大しているからだ。


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 すぐに結論に飛びついてはいけない。米国が本当にいま、ゼレンスキーの勢力を弱めようとしているのなら、その策略の目的は何だろう?ゼレンスキーを脅すことで柔軟な姿勢を取らせようとするためなのか?ゼレンスキーから、妥協的な和平を受け入れる指導者に取り替えることで、米政府が中東とアジアに集中できるようにするため(そうすればウクライナとEUは放ったらかしになるが)か?それとも、この戦争を別の運営方針でさらに遂行し続けるためなのか?

 ゼレンスキーが、自分が窮地に立たされた怒りを感じているのなら、それは一人の政治家が自らの失政の結果を恐れて鬱屈した気持ちや妄想に苦しめられていることの反映であると言ってしまっていい、ということなのだろうか?それともゼレンスキーは国内からや国外の「同盟者たち」から得た十分な証拠に基づく真の危険を察知した上での振る舞いを見せているのだろうか?

 確かなことがひとつある。それは、これまで「西側の価値観」のために奮闘する広告塔だった人物が、霊気をなくしてしまったことだ。このことは、ゼレンスキーにとっては本質的に悪いニュースである。なぜなら、彼の台頭と支配においては、イメージの管理が現代の基準から見ても大きな役割を果たしてきたからだ。
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レタスでワクチンを培養?- 米議員、FDAとUSDAに食用GMOワクチンへの資金提供禁止を議会に要請

<記事原文 寺島先生推薦>
Vaccines Grown in Lettuce? Rep. Massie Asks House to Bar FDA, USDA From Funding Transgenic Edible Vaccines
筆者:マイケル・ネヴラダキス(Michael Nevradakis)
出典:Global Research  2023年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月10日


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米国下院は、火曜日(9月26日)、遺伝子組み換えされた植物で育てられた、人間や動物が摂取するための遺伝子組換え食品ワクチンへの資金提供を禁止する修正案を可決した。

農業予算法案H.R. 4368への提案として、トーマス・マッシー議員(共和党、ケンタッキー州選出)が提案したこの改正案は、2024会計年度において、米国農務省(USDA)と米国食品医薬品局(FDA)がワクチンに資金提供を行わないよう規定している。

この記事執筆時点では、下院での完全な法案の投票はまだ行われていない。

The Defender(Children’s Health Defenseの広報サイト)とのインタビューで、マッシーが修正案を提出したのは、最近カリフォルニアであるプロジェクトのことを知ってからだったと語った。この事業は、国立科学財団から50万ドルの助成金を受け、レタスを育て、それを人間が消費することを意図したmRNAワクチンを作るレタスを獲得しようとするものだ。

マッシーは懸念していると語った。

「植物は交雑し、これらの改変された食用植物からの花粉が風に運ばれ、他の畑に飛び移り、それらを汚染する可能性があります。そして、どれだけ処方されるかわからない、どれだけの量かわからないワクチンで、私たちの食品供給を大幅に汚染する可能性があります」。

「植物は花粉を放出し、風や昆虫と一緒にどこへでも行ってしまう可能性があります。ちょっと考えただけでもとんでもないことです」と彼は付言した。




 「マッシー議員が懸念を持つのは正しいことです」とGMWatchの編集長であるクレア・ロビンソンはThe Defenderに語った。「食用植物に強力な免疫原を遺伝子工学的に導入することは、極めて無責任です」と彼女は付言した。

 「遺伝子組み換え(GM)植物— GM変換過程におけるDNAへの損傷効果が、遺伝子発現と植物の生化学に変化をもたらし、それには毒物やアレルゲン(アレルギー誘発物質)の生成も含まれる可能性があります—通常の危険性すべてがこれらのワクチン生産植物にも生じ、さらに追加のリスクが存在します。」

「ワクチンを製造する植物の場合、植物を免疫反応が起こるように意図的に設計します。これにより危険段階が指数関数的に増加します。」

「それらは、機能しないか、安全ではないか、あるいはその両方の問題があるのですよ」


2013年の科学論文によれば、遺伝子組み換え食用ワクチンは「暗号化されたタンパク質を製造するため、選択された望ましい遺伝子を植物に導入し、これらの遺伝子組み換え植物を誘発させることによって準備される」。

この論文によれば、このようなワクチンには、従来のワクチン製造技術に比べて「いくつかの潜在的な利点」がある。たとえば、開発途上国に合った製品の生産コストが潜在的に低くなるなど、だ。

遺伝子組み換えの食用ワクチンの開発に向けた取り組みは昨日今日始まったものではない。このテーマに関する科学文献は少なくとも1999年まで遡る。

現在の遺伝子組み換えの食用ワクチンの試みの中で新しいのは、mRNAワクチンを経口で処方しようとすることだ。

「これらはすべて遺伝子組み換え作物です」とマッシーは語った。「それらはmRNAで注入されたか、DNAと結合され、そのRNAまたはDNAのコピーを作成する意図で行なわれています。これらの植物はその点において非常に効果的です」。

ロビンソンが言うには、このやり方は昨日今日に始まったものではない。

 「科学者たちは多年にわたり、植物で摂取可能なワクチンを製造しようと試みており、動物および人間での一部のテストが行なわれています」。

しかし、彼女は付言した。「これまでのところ、私の知る限り、植物で生産されたワクチンはどこでも承認されていません。これは何を示しているのでしょうか?それらは効果がないか、安全ではないか、またはその両方ではないか」とロビンソンは述べた。



カリフォルニア・プロジェクトは「完全な狂気」

カリフォルニア大学(UC)、リバーサイド校の科学者たちによって実施された、マッシーの注意を引いたカリフォルニアのレタス・プロジェクトは、「ワクチンの未来」を開発しようとする試みとされており、これにより「接種ではなく、サラダを食べるようなものになるかもしれない」と説明されている。これは、「食用のレタスなどの植物をmRNAワクチンの工場に変える」ことを通じて行なわれる。

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「このプロジェクトの目標は…三つあります」とカリフォルニア大学リバーサイドは言っている。「①mRNAワクチンを含むDNAを複製する植物細胞の適切な部分に成功裏に送れることを示し、②従来の注射に匹敵するほど十分なmRNAを植物が生成できることを実証し、③最適な投与量を決定することです」。

これは、mRNAワクチン技術に現在直面している課題、すなわち「輸送および保管中に安定性を維持するために冷蔵が必要である」という課題を克服するのに役立つかもしれない。

植物由来のmRNAワクチンは、「室温で保存できる能力を持つ」と、大学の研究者たちは述べた。

Juan Pablo Giraldo博士は、カリフォルニア大学リバーサイド校の植物学と植物科学の学部で准教授を務め、カリフォルニア大学サンディエゴ校とカーネギィー・メロン大学の科学者と共同でこの研究プロジェクトを指導している。彼は「理想的には、1つの植物が1人分のmRNAワクチンを生産するだけの量を産み出すでしょう」と述べた。

「私たちはこの手法をほうれん草とレタスでテストしており、長期的な目標は人々が自分の庭でそれを育てることです」と彼は付言した。「農家は最終的にはそれを栽培することができるかもしれません」。

ロビンソンはそのような試みを「完全な狂気」と呼び、The Defenderに次のように語った:

 「科学者たちは、人々がワクチンを含む植物を自分の庭で育て、農家がそれらを自分の畑で育てることについて話しています。このように、未制御の状況でそうした植物を放出する提案は、まったくの狂気だと言えます。

ワクチンは薬剤であり、その使用と用量は注意深く管理されなければなりません。どんな薬剤でも、対象の患者だけが、インフォームド・コンセントを得た上で治療されるべきです。人々が庭や野外で食用作物にワクチンを育てている場合、これらの保護策はどのように確保されるでしょうか?」

フランシス・ボイル法務博士、医学博士(Francis Boyle, J.D., Ph.D.,) (バイオウェポンの専門家であり、1989年に制定された生物兵器対テロ法案を起草したイリノイ大学の国際法教授)は、こうした研究が国際法や国際的に認識されている倫理基準に違反する可能性があると述べた。

彼は、「これらの遺伝子組み換え食品ワクチンを配置することは、医学的実験に関するニュルンベルク法の厳重な違反になります。したがって人道に対する犯罪となるでしょう」と述べた。「それらを環境に放出することは、国際環境法の通例における慎重主義の原則に違反するでしょう。また、これらは遺伝子組み換え食品(その数は膨大で、すべて一覧にしろと言われても私には無理です)に、人間の健康の観点から反対する声に、同様、晒されるでしょう」。

「交雑受粉や交差汚染についてはどうなのか?” ロビンソンは尋ねた。「人々は、自分の同意や知識なしに免疫原を摂取することになるでしょう」。


プリオン病のリスク、「危険な免疫反応」

ロビンソンは、遺伝子組み換え食用ワクチンの使用から人間の健康に対してもいくつかの予期せぬ影響があるかもしれないと述べた。

彼女は語った:

「植物によって生産されるワクチンには、その意図したタンパク質製品に翻訳語修飾(post-translational modifications)として知られるものが含まれます。病原体の本来の形態で存在するような、望ましいタンパク質製品だけでは終わりません。これらの翻訳語修飾は植物固有であり、ヒトや他の動物では危険な免疫反応を引き起こす可能性があります。

求めていたタンパク質製品(「ワクチン」)への応答さえも、人によって異なります。なぜなら、人々は異なるタンパク質に異なる反応を示すからです。また、毒性のあるタンパク質や適切に折りたたまれていないタンパク質ができる可能性もあり、後者の性質はプリオン病を引き起こす可能性があることを意味します」。

米国疾病対策予防センター(CDC)によれば、プリオン病は「進行性の神経変性疾患であり、人間と動物の両方に影響を与える」とされ、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトラウスラー・シンカー病、致命的な家族性不眠症、クル病、および動物では慢性消耗症という疾患もそうだ。

「加えて、新しいタンパク質が人々を他のものに過敏にさせる可能性があるかもしれません。食品アレルギーが急速に増加している今日、この傾向を悪化させる危険性はあってもいいと言うのでしょうか?」とロビンソンは述べた。

マッシーは、植物ベースのワクチンによって人間の食料供給が汚染される可能性が他にもあると述べた。動物が植物を食べることで、「最終的には人間が食べる食品を汚染する可能性がある」と指摘したのだ。

「食べ物に入ったワクチンの投与量はどのように制御するのですか?」とマッシーは尋ねた。「ワクチン全般に反対していなくても、こんな風に人や動物にワクチンを与えるというのは考えただけでもぞっとします」と彼は述べた。

彼は付言した:

「私たちが手にした教訓を学ぶべきだったのだと私は思います。COVID-19が実験室から漏れたものであり、その結果人体実験になった(私も、大半のアメリカ人もそう考えている)のなら、屋外の実験施設について心配すべきだと思います・・・ここで言っているのは、温室や野外の実験施設のことです」。

同じ趣旨の内容をボイルも言っている。

「COVID-19 mRNAワクチンが多くの死亡者と有害事象を引き起こしたことが、専門文献で詳細に文書化されていることはわかっています」。

「これらの遺伝子組み換えの食品ワクチンは、無駄どころか危険である可能性が高いため、私はマッシーの修正案を全面的に支持しています」と彼は付言した。


「COVID-19」とのさらなる類似点を描く中で、マッシーはUCリバーサイドの研究を「SF小説のようだ」と例えた。

「他の動物用ワクチンのための植物で育てる研究とは異なり、カリフォルニアのこのプロジェクトは、人間用のワクチンを開発することを意図しています・・・ この材料をどのように使用しているのか全くわかりません。まるでSF映画のようなものです」と彼は言った。

彼は付言した:

「COVIDウイルスから学んだことは、この種のことには慎重であるべきだということです。神のように振る舞い、遺伝子を修正し、これまでに結びついたことのないDNAを組み合わせ始めると、予期しない結果が生じる可能性がありえます。そして、それらが漏れ出すと、非常に悪い影響や結果が生じる可能性があるということです」。

同様の実験が失敗した

マッシーによれば、過去には政府の資金と支援を受けながら、遺伝子組み換えの食用ワクチンを用いた類似の実験が行われたことがあった。例えば、食用ワクチンの生産のために遺伝子組み換えのアルファルファ植物を開発するプロジェクトだ。

この2016年にジョージアのフォートバレー州立大学によって開始された5年間のプロジェクトは、「植物ベースの食用ワクチンシステムで使用できるCTB遺伝子を発現する遺伝子組み換えアルファルファの開発」を目指していた。

このプロジェクトは、国立食品農業研究所(NIFA)からの不特定の資金支援を受けており、少なくとも1本の科学論文が発表された。

「それから、もう一つの事例があって、非常に悪い結果に終わっています」とマッシーは言った。「約20年前、彼らは豚の下痢を防ぐワクチンを育てようとして、このワクチンを育てるためにトウモロコシを使用していました。翌年、その畑は大豆を育てるために使用されましたが、トウモロコシが再び発芽したのです」。

マッシーによれば、

「余っていたとうもろこしの粒がありました・・・とうもろこしが大豆と混ざり、それが500ブッシェル(1ブッシェルは約27.2キログラム)の大豆を汚染し、それがさらに50万ブッシェルの大豆を汚染したのです。それによって、それらの大豆はすべて廃棄されなければなりませんでした」。

ニューヨークタイムズ紙は2002年12月に、遺伝子組み換えのトウモロコシを開発したバイオテクノロジー企業であるProdiGene社が、薬物を生産するために遺伝子組み換えされたとうもろこしが食品供給に入り込まないような適切な手順を踏んでいなかったとして、米国政府に300万ドルの罰金を支払うことに同意したと報じた。

この特定のプロジェクトがアメリカ政府から資金提供されたかどうかは不明だが、この研究を主催したテキサスA&M大学の食品タンパク質研究開発センターの2007年ウェブサイトのアーカイブ版によれば、このセンターは「州および連邦研究機関と・・・契約協力関係にあり」、また「テキサス食品および繊維委員会から一部の資金を提供されていた」となっている。

2000年11月、ProdiGene社は、「エイズワクチンの経口投与システムとして機能する遺伝子組み換えの食用ワクチンの開発」のために、国立衛生研究所からの不特定助成金を受けた。

2000年10月、ProdiGene社は、人間および動物の摂取用の植物で製薬製品を開発するための米国政府特許(特許番号6,136,320)を取得した。この企業は、2000年代中盤以降活動停止したようで、2004年以降は記者発表もなく、ウェブサイトも2006年2月に更新されなくなった。

政府の資金供与を止めるために更なる行動を

マッシーはThe Defenderに対して、私的団体がこの研究を行うのを防ぐ法律を提案しているわけではない、「ただ、今週の予算プロセスを利用して、納税者のお金を使ってこれらのものを開発することに予算を割り当てないようにしているのです」と述べた。

彼は、修正案は制限協定の形をとっていると述べ。「法律を制定するものではありません」と彼は言った。「政府の資金がこんなことに使われるのを禁止するだけです。したがって、成功しても、それは予算法の期間である1年間だけ有効です」。

「予算手続きを通じてこれを止めることに成功した場合、毎年これを行わなければならなくなります」とマッシーは述べ、さらに「この修正はFDA(米国食品医薬品局)とUSDA(米国農務省)にのみ制約をかけるもので、実際にはNSF(国立科学財団)には制約をかけません」と付言した。



マッシーは、「それが実現するためには、別の予算法案に別の修正を加えて、NSFがこの研究を資金提供しないようにしなければならないでしょう」と述べた。

もしそんなことが起きれば、同じような修正案を提出するとマッシーは誓った。

「もしその予算案が議会に提出されるなら、私はそれに修正案を提案し、この種の研究への資金を制限するつもりです。もしNSF(国立科学財団)への資金を提供する予算案が議会に上程されるなら、私は同じ修正案を提出し、それらへの資金提供を阻止します」と彼は言った。

*
マイケル・ネヴラダキス博士は、ギリシャのアテネを拠点とするThe Defenderの上級記者であり、CHD.TVの「Good Morning CHD」のホストを担当している。
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マイダンの狙撃者の真実:ウクライナが「新生した」という主張は偽りであると証明された。なぜ西側はだんまりを決め込んでいる?

<記事原文 寺島先生推薦>
Maidan snipers: The founding myth of ‘new’ Ukraine has been proven to be a lie. Why is the West silent?
先日出された長期間開かれた裁判の判決の内容は、いまのウクライナ危機の根本に疑問をなげかけるものだった
筆者:タリク・クリル・アマル(Tarik Cyril Amar)


ドイツ出身の歴史家。イスタンブールのコチ大学でロシアやウクライナ、東欧、第二次世界大戦の歴史や記憶の政治学を研究する。Xのアカウントはこちら @tarikcyrilamar

出典:RT  2023年10月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月8日



画像:2014年2月20日、ウクライナのキエフで、ウクライナ大統領と野党指導者の間で停戦が合意されたにもかかわらず、独立広場で警察と衝突を続けている反政府デモ隊© Jeff J Mitchell/Getty Images


 今月(2023年10月)初め、キエフの地方裁判所は2015年以来長引いていた事件の調査結果を発表し、かなり以前に解散していた警察組織「ベルクート」の元幹部5人に判決を下した。この元警察組織は、暴力的な「マイダン」で頂点に達した2013年から14年にかけての抗議行動で国際的に知られるようになった。

 2014年2月20日、ウクライナの首都中心部で反政府デモ隊が複数の狙撃者に銃撃された事件への関与で起訴された4人の被告人(うち3人は欠席)は有罪となり、5年から終身刑の判決を受けた。1人は無罪となった。

 政治的には、この裁判は1991年の独立以来、ウクライナで最も重要、あるいは最も重要とされるべき裁判だった。裁判所はウクライナ国家の思惑を成就させた形になった。(ただ現時点ではいくつかの控訴がおこなわれているが)。その思惑とは、「革命」とも「クーデター」とも呼ばれるウクライナの最も暗黒の瞬間を、法廷の場で折り合いを着けさせる、というものだった。そしてその瞬間とは、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元大統領政権を転覆させた瞬間のことだ。この転覆劇は、当初は平和裏におこなわれていた抗議活動が後に暴力的なものになり、それが西側の介入を呼んだことが圧力となっておこったものだった。政権交代と地政学的な方向転換をもたらしたこの暴動は3カ月にわたって展開されたが、2月に50人近いデモ参加者が殺害されたことが決定的な転機となった。

 この件はすぐに「狙撃者による大虐殺」や「マイダン大虐殺」という名で知られるようになった。この銃撃戦の責めをヤヌコーヴィチとその政権は真正面から受けることになり、国内での妥協的解決の道は断たれ、西側やウクライナの反政府派の言い分が通り、この危機はロシア政府に取り込まれた腐敗した抑圧的な政権に対する、民主主義と自由の戦いであるとされてしまったようだ。実力以上に大きな役割を果たしていた好戦的で世論操作に長けているウクライナの極右勢力も、西側の冷酷な地政学もこのような状況を生み出した責任を問われなかった。この虐殺がおこなわれた数日後、国際的な調停の合意により、この混乱の激化の悪循環を止めようという最後の取り組みは失敗に終わり、ヤヌコーヴィチはロシアに亡命し、ロシア軍はクリミアに移動した。


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 その後、さらに事態は悪化した。ウクライナの新政府とドンバスの反抗勢力の間で紛争が勃発したのだ。当初は激しいものだったが、次第にじわじわと続く地域規模の内戦のようになり、ロシア側の干渉も限られた範囲に留まっていた。和平に至る最高の好機は2015年2月のミンスク2合意だったのだが、ウクライナ側と西側の支援諸国が全面的に妨害し、2022年2月以降、ウクライナは西側連合体によるロシアに対する代理戦争の場となってしまった。現在、ウクライナと西側はこの紛争に負けつつあり、人命と富の面で大きな犠牲を強いられることになってしまったが、その損害を受けたのはほとんどウクライナだ。国際間の緊張は極端に高まり、信頼関係は消え去り、意味のある双方のやり取りはほとんど不可能になってしまった。

 2014年2月の下旬の数日間がまったく違う方向に進んでいたなら、ウクライナも世界ももっとずっと良い場所になっていただろう。そうなれば、ウクライナ政府と反政府側との間ですでに交わされていた妥協案が取り入れられていただろう。マイダン大虐殺ほど、いつまでも広がり続ける紛争を推し進める重要なきっかけはなかった。特に、西側が圧倒的に報じていたこの殺戮に対する言説の内容が同じままで、これまでの政権だけを非難する論調ばかりで、しかもその言説に対する異論は、親ロシア派による「情報戦争だ」と非難されていたのだから。要するに完璧な筋書きがあったのだ。つまり、感情に訴えることで、ウクライナ新政府を支援させるだけではなく、無批判に支持させ、ウクライナ東部での反政府活動を否定し、妨害する行為を正当化させ、ロシア側との効果的ないかなる協力をも中傷した、ということだ。

 しかし、もしこの殺戮についての真実が私たちに伝わってなかったとしたら、どうだろう?このような重要な主張を展開したのは、ウクライナ系カナダ国民の政治学者であるイワン・カチャノフスキー氏だ。カチャノーフスキー氏(先日、元ナチス武装親衛隊員にカナダ議会が敬意を表したことに関する醜聞を暴露した人物でもある)が、長年主張し続けているのは、「マイダン大虐殺は偽旗工作であった。多くの(中略)抗議活動者と(中略)警官が殺害されたこの工作の目的は、ウクライナの国家権力を掌握するためだった。この工作には、マイダンの反政府派の財閥と極右勢力が関わっており、マイダン派の管理下にあった建物にいたマイダン派の秘密狙撃団を使っておこなわれたものだった」というものだ。

 カチャノーフスキー氏の調査が示した非常に詳細な資料についてここで再度紹介することはできないが、以下の3点のみ記載しておく:①反政府派に属していた狙撃団が警官らを標的に射撃を始めたのは、2月20日の朝のことだった。②警官、そして後にマイダン派の抗議活動者らを狙った発砲現場であったホテル・ウクライナや温室などの主要箇所は、反政府派(警察ではない)の管理下であり続けていた。③午前9時以降、抗議活動者らも反政府派狙撃団(これも警察側ではない)から射撃されていた。


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 まとめると、カチャノーフスキー氏の調査結果からは2つの出来事が発生したということがわかった。①反政府派の狙撃団ははじめに警官らに向けて発砲することで、事態の激化をねらっていた。②さらにその後、抗議活動者ら(つまりは味方側)さえも殺害した、のだ。それと同時に、カチャノーフスキー氏が排除しなかったのは、警官側も抗議活動者側を射撃した可能性だ。しかし、同氏による動画などの証拠品の綿密な分析からは、被害者の大多数は、反政府側狙撃団から標的にされていた、という事実が判明している。

 カチャノーフスキー氏がこのような結論に達したのは、長年にわたる厳格で徹底的な法的研究を通してだ。その結論は、テイラー&フランシス社が出版する学術誌「説得力のある社会科学」誌に掲載された彼の査読済み論文「ウクライナのマイダンに関する『狙撃団による大虐殺』」に要約されている。同氏のみが、このような、あるいは類似した結論に達しているわけではないが、同氏の研究が最も完璧かつ重要な外から影響を受けていない調査であるといえる。だからこそ、カチャノーフスキー氏の論文がもつ政治的影響力のせいで、同氏が「陰謀論者」であり、親クレムリン派の情報戦の戦士だという中傷を受け止めざるを得なくなった理由は明らかだ。同氏の研究は検閲を受けてきたし、同氏も激しい報復を受けてきた。その報復とは、具体的には、同氏の学界や社会的地位が疎外され、同氏の家族がウクライナで所有していた財産が擬似合法的に没収されたことだ。

 ウクライナの司法は政治から独立していない。裁判官らは、自身の観点や職業上の倫理とは関係なく、(少なくとも)ウクライナの極右勢力から、追放や暴力で脅されている中で仕事をしている。しかしそれでも、カチャノーフスキー氏の指摘どおり、先日の判決で示された100万語にわたる判決文の中に埋もれている形で、この裁判所はマイダン大虐殺に関するカチャノーフスキー氏の解釈を支持する以下のようないくつかの要素を認めた。①反政府派の狙撃団により、4名の警官が亡くなり、39名が負傷した。②狙撃団は反政府派管理下の建物から発砲した。③8人が殺害され、20人が負傷したが、それをおこなったのは警察側ではない「未知の」加害者らの手によるものである、という可能性は排除されなかった。という3点だ。



 カチャノーフスキー氏の研究や断固とした立場は尊敬に値するものだが、ここで特に重要視すべきことは、同氏の研究に対する長期にわたる反動はウクライナでも西側でも両方においてひどく悪いことが起こっている兆候である点だ。例えばウクライナ側の情報戦担当報道機関のユーロマイダン・プレス紙はいまになってもまだ、カチャノーフスキー氏に対する個人攻撃のために、読者向けに偽情報を流し、今回の判決はカチャノーフスキー氏の調査結果と食い違っている(もちろんこれはひどい誤解釈なのだが)と主張している。

 実のところは、その真逆だ。

 この件は、西側に深く根ざした偽情報および自己偽情報という文化の最新の一例にすぎない。西側の指導者層がたいてい意図的に嘘を流すいっぽうで、西側の多くの報道機関は、西側の指導者層の(あるいは西側指導者層のお気に入りや顧客や同盟者らの)嘘を信じるだけではなく、心理的な投資を裏切るほどの勢いでこれらの嘘を守ろうとさえしている。

 2016年の大統領選挙において、ヒラリー・クリントンが大敗を喫したという事実を感情的に否定した件(ロシア・ゲート)も、西側連合(及びあるいはウクライナ)がノルド・ストリームを爆破した(すなわち、「同盟諸国」と戦争行為や自然環境に対するテロ行為に加担した)件に関わる奇妙な二重思考も、イスラエルには「自衛権」があり、西側の支援のもと人道的に許されない罪を犯すことが許されている件もすべて、西側諸国が集団でわがままに振る舞っていることを示す事例だ。西側のあまりに多くの人々は、いまだに自分たちは世界の「価値」の保護者であると主張し、自らを騙し続けている。まるでそれが自分たちの生来の権利であるかのように。

 それでも、これらの嘘や堅く守られた幻想が、個人や政治を腐敗させ、社会を単極化し、国際関係をこじらせ、何よりも重要な問題であるが、人々の命を犠牲にしているのだ。何千、何万もの人々、ウクライナの場合、何十万もの人々の命が犠牲にされている。紛争というものは人間生活では日常茶飯事に起こるできことであり、ある程度は避けることができない。

 しかし、不誠実さで自らを狂気においやることは、避けられないことではない。さらにそのような行為が平和を維持する助けにならないことは明々白々だ。
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億万長者が世界人口を圧縮しようとしている:ビル・ゲイツ主催、2009年の「the Good Club」秘密会議

<記事原文 寺島先生推薦>
“Billionaires Try to Shrink World’s Population”: Secret Gathering Sponsored by Bill Gates, 2009 Meeting of “The Good Club”
世界的な人口削減は億万長者の「グレート・リセット」の一部なのか
筆者:ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)
出典:Global Research  2023年10月1日(初出:2021年9月29日)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月3日


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10年以上にわたり、博愛主義者と称される億万長者たちによって、世界人口の削減を目的とした会議が行われ、それは2020年から2022年の新型コロナウイルスの危機で頂点に達した。

最近の動きを見ると、「人口削減」が、ロックダウン政策やmRNA「ワクチン」を含むいわゆるCovid強制措置の不可欠な要素をなしていることがわかる。

2009年まで遡ってみる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によれば「億万長者は世界人口を圧縮しようとしている」。

2009年5月、億万長者の博愛主義者たちは、マンハッタンのロックフェラー大学長の自宅で非公開の会合を開いた。

この秘密の集まりはビル・ゲイツが後援した。彼らは自らを「The Good Club」と名乗った。

参加者は、故デビッド・ロックフェラーやウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、マイケル・ブルームバーグ、テッド・ターナー、そしてオプラ・ウィンフリーなど他多数だった。


2009年5月、WSJおよびサンデー・タイムズ紙(Sunday Times)の報道:(ジョン・ハーロウ、ロサンゼルス)

「アメリカの指導的億万長者の一部が秘密裏に会合し、自分たちの富を世界人口の増加を遅らせ、健康と教育の向上を加速するためにどのように活用できるかを検討した」。



強調されたのは、人口増加(つまり家族計画)ではなく、「人口削減」、つまり世界人口の絶対的な規模の減少だったのだ。

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全文はこちら

サンデー・タイムズ紙の記事

ビル・ゲイツ(マイクロソフトの共同創業者)が主導したサミットに出席した博愛主義者たちは、変化に立ちはだかる政治や宗教上の障害を乗り越える勢力に参加することについて議論した。
・・・

「クロニクル・オブ・フィルアンソロピーthe Chronicle of Philanthropy Chronicle」の編集長であるステイシー・パーマーは、このサミットは前代未聞のものだと述べた。「私たちは後から偶然知ったばかりです。通常、こういった人々は正しい理想にいて喜んで話すのですが、これはそうではありません。おそらく、彼らは国際的な陰謀団と見られたくないから、というのが理由です」と彼は述べた。
クロニクル・オブ・フィルアンソロピー*・・・-The Chronicle of Philanthropy は、非営利の慈善活動の世界をカバーする雑誌。ワシントン DC に拠点を置き、慈善団体のリーダー、財団幹部、募金活動者、その他慈善活動に携わる人々を対象としている。(ウィキペディア)

あるゲストは「投票ほど粗雑なものはない」と述べた。そして人口増加を環境や社会、そして産業などへの潜在的な脅威として取り組む戦略を支持するという参会者全員一致した意見が浮上した。

「これは何か悪夢のようなものだから、ここにいらっしゃる方々全員が大いなる頭脳が出す答えを必要とする、ということに同意されたのです」とこのゲストは述べた。・・・

なぜそんなに秘密主義になるのか?「自分たちの言ったことが、代替の世界政府として新聞に掲載される心配なしに、彼らは金持ち同士で話したかったのです」と彼は言った(サンデータイムズ紙)。



世界の人口を圧縮する

秘密の集まり(2009年5月5日)についてのサンデー・タイムズ紙の報道は、「The Good Club」のメンバーが世界人口の増加を「遅らせる」ことに焦点を当てている。

「世界人口を圧縮せよ」(WSJの見出し)は、「世界人口の増加を減少させる」という計画出産を超えており、「人口削減」、つまり世界人口の絶対的な規模を縮小させることを意味する。これは、死亡率の大幅な増加と対になった出生率の低下(妊娠率の低下を含む)とを最終的に必要とする。


秘密会合:H1N1パンデミックの最高潮期に

2009年4月25日、マーガレット・チャンが率いる世界保健機関(WHO)は「国際的な懸念のある公衆衛生緊急事態(PHEIC)」を宣言した。そして数週間後、H1N1豚インフルエンザパンデミック(後に詐欺であることが判明)の最高潮期に、「Good Club」 がニューヨークで会合を持った。

また、2009年4月のH1N1危機の最初に、ロンドンのインペリアル・カレッジのニール・ファーガソン教授は、ビル・ゲイツと世界保健機関(WHO)に助言していたことも注目に値する:「もし英国がパンデミックに襲われた場合、英国民の40%が次の6ヶ月以内に[H1N1に]感染する可能性があるでしょう」。

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どこかで聞き覚えはないだろうか?それは、新型コロナウイルスのロックダウンモデル(2020年3月11日に開始)を設計したあの同じニール・ファーガソン(ゲイツ財団が大盤振る舞いの支援をしている)だ。記憶にあるように、その2020年3月の数学モデルは、英国で60万人の死亡予測に基づいていた。

そして今(2021年夏から秋)、同じ「科学者」であるファーガソンが策定した第三の権威ある「数学モデル」が、「第四波のロックダウン」を正当化するために作成された。


「人口削減」実現を目指した命の救済

2009年5月の秘密の会議で、世界人口の絶対的な「削減」が検討されたのだろうか?

数か月後、ビル・ゲイツはワクチンに関するTEDプレゼンテーション(2010年2月)で、次のことをはっきりと語った;

「そして、新型ワクチンや医療、そして生殖保健サービスなどで本当に優れた仕事をすると、それ[世界人口]を10%または15%削減することができるかもしれません」。


ゲイツの発言によれば、これは2010年の世界人口の約6億8000万から10億2000万人の絶対的な削減となるだろう。

(映像は4分21秒から。字幕も参照のこと)
TED Talk a04:21から

The COVID-19 Endgame: Global Governance, “Digital Tyranny” and the Depopulation Agenda


「The Good Club」昨今

2009年5月にマンハッタンのロックフェラー大学で秘密の会場で会合を持った同じ億万長者グループは、新型コロナウイルスの危機の初めから、世界中で適用されているロックダウン政策やmRNAワクチン、そして世界経済フォーラム(WEF)の「グレート・リセット」などの計画に積極的に関与している。

mRNAワクチンは国連加盟国を代表して行われている国際連合の政府間機関(WHO)の取り組みではない。これは民間が主導したものだ。全世界の新型コロナワクチン計画に資金提供し推進している億万長者エリートたちは、人口削減に関わりを持つ優生学信奉者たちだ。
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気候問題が秒読み段階にあるという妄想―真の気候変動を全体的に見直そう

<記事原文 寺島先生推薦>
The Delusional Climate Countdown – A Holistic Appraisal of Real Climate Change
筆者:ジュリアン・ローズ(Julian Rose)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023 年10月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月2日





この小論を問答形式で書くことにしたのは、いま私たちの世界を分断している誤謬に対する明確な答えを提示したかったからだ。

Q。気候は変わっているのでしょうか?

A。はい。

Q。どういった点で?

A。多くの点において、です。存在するすべてのものについて絶え間ない変化が進行中です。

Q。ご説明くださいますか?

A。命が奏でる演劇が展開されている生物圏や宇宙は互いに関連づけられていて切り離せないものです。
すべての部分が全体を変える役割を負っています。だからこそ、二酸化炭素など何か一つの要因だけを気候変動の原因要素と考えることはありえないことなのです。

Q。でも、気温を上昇させて気候変動を引き起こしている原因となるものは存在するでしょう?

A。気候変動に関する政府間パネル(以降IPCC)といった国際的な気候問題対策組織は、炭化水素の燃焼に偏った重点をおいて、地球温暖化(気候変動)の主要な原因である、と主張していますが、これは還元主義者が真実を大きく誤認する行為です。 これらの「科学者」は、この気候変動の本質に関する実証的証拠を提供することができていません。あるいは、世界の平均気温が実際に上昇しているのか、下降しているのか、ほぼ変わらない状況を維持しているのかさえ、実証的証拠を示せていないのです。

Q。つまり、科学に期待はできない、ということですね。科学は学術研究諸機関で公式に教えられているのですが、その科学から何か答えを得ることを期待できない、ということですね。

A。まさにそうです。さらには責任を取る気のない政治家たちを信頼すべきではありません。連中といえば、二酸化炭素が悪であるという話を否定する主張には、機械的に「科学に従え」としか言わないのですから。量子物理学の基礎的な知識を起点にしない限り、原因と結果が多面的に何度も繰り返されるという現象が理解できませんし、その知識があってはじめて気候における変化の過程の裏にある要因を特定し始めることができるのです。ましてや「人の手による」変化と思われるよう要因が存在することを認識することも、その基礎的な知識を起点にしない限りは不可能でしょう。

Q。しかし、観察が可能で、もっと激しい気候現象がいまたしかに起こっていると言って間違いはない、と思うのですが。

A。たしかにもっと激しい現象が起こっているようです。ただしその理由にはたくさんあると考えられますので、たった一つの特定の要因に絞ることは不可能です。例えば、①オゾン層が継続して薄くなっていること、②太陽のある特定活動、③磁気圏の弱化及びあるいは磁極の絶えざる移動です。これら3要素のどれか、あるいはすべてがあなたの仰る気候変動の原因になっているのでしょう。

Q。どうして世界の政策立案者らのほぼ100%が、無批判にこのコンピューター演算(IPCCの気候学者たちが利用したもの)の結果の真実性を受け入れているのでしょうか? その演算結果によると、二酸化炭素が地球温暖化の主要な要因であるという「決定的な証拠」を示した、ということなのですが。

A。この質問に答えるためには、心理学的な説得力というものを認識する必要があります。この説得力は、「科学が答えを示してくれる」という非合理的な信念を支えるものです。認知されたいかなる問題に対しても「固定された対処法」を求める大きな声があげられるのです。そしてそのような対処法が思い浮かばなかった際には、何かしらの対処法があてがわれて、同じような考え方をする人々のあいだでの共通理解を得て、今の政治権力から受け入れられるような対処法が選ばれるのです。

 言い換えれば、どんなことをしてでも、グローバリストたちが有している専制的な権力構造を維持する、ということです。

Q.でっち上げられた言説が、世論形成者たちに十分に与えられ、その言説を受け入れるよう説得されることが、「地球温暖化を止める」ために取られているすべての活動の基盤になっている、ということでしょうか?

A。そのような可能性は十分あると思います。そのようなでっち上げが、ずいぶん前のことですが、ビルダーバーグ会議や1972年のローマ・クラブの会議などが起点となっていることを実証できる証拠は存在します。支配者的立場にある銀行家や実業家たちが権力を手放さないですむ様々な方法を主旨とする計画が持たれ、その手段として気候を使った恐怖言説がでっち上げられ、人々を恐怖に陥れることで、権威があると思わされた間違ったコンピューター演算の結果を受け入れるように仕組まれていたのです。

Q。天気と気候を同じように考えるのは間違いでしょうか? それともこの両者は本質的には同じなのでしょうか?

A。いいえ、同じではありません。気候は天気よりも広い範囲を指すことばです。気候は太陽系の活動と直接関係があるものです。宇宙に起源をもつものなのです。そういう意味では、我らが惑星である地球の活動による影響は二次的なものにすぎません。

 地球上の天気の動きは、地質活動が人間による粗雑な介入と相伴って影響を受けます。地質活動とは、具体的には火山の噴火やエルニーニョ海流の変化、磁極の移動などのことです。

 いっぽう人為的な動きとは以下のようなものです。広範囲にわたる大気に対する地球工学(ケムトレイル)、電離層の加熱(HAARP)、指向性エネルギー兵器、戦争、電磁放射線(EMF)、自然環境のコンクリート化と砂漠化、化学肥料を用いた単一作物農業とその農法が原因となる生物の多様性の深刻な損失などです。

Q。では、「天気の変化」と「気候の変化」が意図的に紛らわしくされているということなのでしょうか?

A。適切な区別がなされていないことは極めて明白です。そうすることで、大多数の世論を取り込む窓口になります。このような曖昧化が30年以上もおこなわれてきた形跡があります。このような現象を表すことばがどんどん変化している事実を思い起こしてください。「温室ガス効果」、「地球温暖化」と来て、今は「気候変動」です。

Q。一般世論が信じ込まされているのは、このような急激な気象変化には、気候変動・地球温暖化の要因として、人為的な行為がある、という言説です。となればこのような言説はますます真実を曖昧にする意図があるように思えるのですが。

A。まさにそうです。ただし、天気と気候を完全に区別することは不可能です。すべての惑星、星、流星、箒星を含む宇宙の基盤的なエネルギーは、互いにはっきりと分けることができません。いま話しているのは、常に変化し続け、進化し続ける存在のことです。私たちの創造主の意思(創造)による何十億もの要素からなる精力的な表現物のことです。これが全体像です。

Q。その全体像について、もっと詳しく話してくれませんか?

A。「大宇宙」と「小宇宙」の違いをしっかりと認識する必要があります。 普通に見えるものの中から、強調や行動形式や微細な違いを見い出せる、感じ取れるのは、小宇宙の段階においてです。大宇宙の段階においては、出来事が壮大すぎて近くで確認できません。その代わりこれらの出来事は、感覚や直感、長期間にわたる観察で捉えるしかないのです。

 ですので、例えば、私たちは火山活動の原因が地球のプレート構造にある、と推測することはできます。
しかし構造プレートの動きの原因が宇宙におけるエネルギーの磁気移転である可能性があるのです。そして宇宙におけるエネルギーの移転の原因が、ブラックホールの爆発や新星の誕生にあるかもしれないのです。

 存在というのは、単的なものではなく、全体的な量子力学的なできごとだといえます。ですので、天候と気候を完全に二分することは不可能でしょう。ただ、その2つの言葉を、前者は「主に」地上の狭い気象活動を表し、後者は「主に」天上の広い気象活動を表す、と言うことは可能です。

Q。「ネット・ゼロ」という考えに基づいて世界の人々を強引に管理しようとする人々には、このようなことが分かっていないのでしょうか? それとも分かった上で、影で動いているのでしょうか?

A。このことを分かっているとすれば、暗黒で悪魔のような戦略をもっているからだと言えます。その目的は、世界を自分たちの思うがままにしたいからでしょう。ある特定の知識階級は、宇宙の秩序を理解した上で、その秩序に手を加える方法を熟知しています。

 人類の強制的支配の企みの最終段階において、これらの行為の実行者たちは、情け容赦のない精神異常者であり、彼らの欲望は、視野が狭く、自己陶酔的で生命への敬意を欠くものです。これらの人々は、独裁的で抑圧的で嘘の「気候変動を止めよ」という政策をこの地球という惑星の住民たちに押し付ける道を選んだ人です。

Q。つまり、いま何がおこっているかについての信頼のおける指針を主流「科学界」に頼ってはいけない、ということですね。主流「科学界」の人々はこのような視野の狭い人々の命令を受けて動いているのならば・・・

A。まさにそのとおりです。量子力学を基にした直感や経験に基づく良心に従う科学者だけが、適切にこの複雑さを解釈できるのです。その対象は気候変動だけではなく、宇宙の進化的な活動の中で生命体の振る舞いに影響を与えるすべての主要な相互作用についても、です。

Q。そうですか・・・そのようなまったく新しいものの見方を人類が理解できるでしょうか・・・

A。確かに難しいですが。いきなりは無理でしょうが、段階をおって理解しなければなりません。そうでないと、私たちの地球を、この視野の狭い、自殺的な企みから守れないし、この先も無理でしょう。そのような企みを守るよう強制されている中でのことですから。

Q。人を愛するということが、冷酷に計算されたこんな搾取を終わらせる助けとして何か役に立つのでしょうか?

A。愛することこそもっとも役に立つことだと考えられます。心が導く見方をしてみましょう。そのまず第一の手始めは、一つの重要な点に集約されます。それが「生命を愛すること」です。生命への愛が恐怖や皮肉、絶望よりも強いのならば、私たちを突き動かす触媒的な感情が直接、進化しようとする宇宙の動きと軌を一にすることになるでしょう。つまり我らが創造主と臍(へそ)の緒で繋がっている様な状況です。

 何がもっとも大切なのかの基礎を忘れることなく、その考え方を基盤におくことで、私たちは団結する力を得て、創造主から贈られたかけがえのない生命の輝かしい多様性を守る戦いができるのです。その戦いには、間違った科学の恐ろしい教義に抗(あらが)う事も含まれています。

 その間違った科学とは、大胆にも私たちの日々の生活の基盤となっている教義を根絶やしにする必要があると主張し、中央集権的独裁政治の規則を受け入れ、二酸化炭素を遮断することに同意するような科学です。二酸化炭素というのは安全な気体で、酸素を生み出すためにすべての植物が必要とし、その酸素がなければ、私たちや動物王国の動物たちが生きていくことはできません。私たちは自分たちの内部を見つめ直して、こんな大量虐殺を止める決断をしなければなりません。

Q。答えを見つけるには、私たち自身の内部にも目を向けないといけない、ということですか?

A。私たち一人一人のすべての生命の動的な核心に存在するのは、宇宙を形作ったものと同じ「誕生石」です。そして私たちは、その宇宙の欠けてはならない一部であり、宇宙の出現形態です。芸術家や哲学者、伝統的農家、精神面を重視する人々は、この危機の中で、大学・研究所の科学者や政治家、「専門家」という名の意思決定者たちよりも、はるかにしっかりとした心構えをもって地球を導く先導者となるでしょう。

 知恵、真実、正義は、「生命に対する愛」がこの偉大な天空の全知全能の創造者が与えたもうた祝福すべき条件であるという理解を深めていることの表出なのです。こんなにも恵まれた私たちには責任があります。その責任とは、舵を取り、私たちの魂の最も奥深くからの呼び声が照らす光に従って羅針盤を定めることです。

 自身の命が放つ点光源に従わず、敵対する姿勢を見せる詐欺師らの指示に従うことを決めたすべての「権威的存在」は、犯罪者であると認識され、犯罪者として扱われなければなりません。人類に対して、世界経済フォーラムのグリーン・ディール政策による「ネット・ゼロ」や「気候変動を止めること」という妄想を押し付けようとしている人々が、このような勢力に所属しています。

 私たちの使命は、私たちこそがこの目まぐるしい変化の動的な過程の旗手であるという認識をつねに深めながら敢然と前に進むことです。意図的に作り出された闇を真逆の存在に完全に変えてしまうことです。覚醒した人類の創造と情熱が花開くそんな世界を作ることなのです。


この記事の筆者ジュリアンは英国の有機農業の初期の開拓者であり、作家、放送関係者、国際的な活動家。著書は、『機械的心の克服』、『生命の防衛』、『危機にある世界に対する効果的な解決法』。ジュリアンに関する更なる情報はこちらのサイトを参照。www.julianrose.info。当サイトグローバル・リサーチに定期的に執筆している。
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