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ワグナー部隊の代表、「ロシアをさらに偉大にする」ための大規模行動を宣言

<記事原文 寺島先生推薦>
Wagner boss announces major move ‘to make Russia greater’
出典:RT  2023年8月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月31日


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© Social networks


(ワグナー)部隊はアフリカを「さらに自由に」するために取り組んでいる、とエフゲニー・プリゴジンは、アフリカで撮影された(おそらく)挨拶で述べた。

 ワグナー部隊(民間軍会社)は新しいビデオメッセージで、引き続き人材を募集し、「ロシアをさらに偉大にするために」努力している、と部隊の代表、エフゲニー・プリゴジンは述べた。さらに、ワグナー部隊はアフリカが「さらに自由になる」のを支援しようとしていると彼は付言した。

 この短い動画は月曜日(8月21日)にオンラインで公開され、おそらくアフリカで撮影されたものだ。民間軍会社の代表(プリゴジン)は武装して軍服に身を包み、サバンナのような風景の中に立っており、背後には武装した複数の人物と軍用トラックが見える。

 「ワグナー部隊は偵察および捜索活動をおこなっています。あらゆる大陸でロシアをさらに偉大に!そしてアフリカをさらに自由に。アフリカのすべての民族に正義と幸福を」とプリゴジンは述べ、さらに、(ワグナー)部隊は「ISIS、アルカイダ、および他の武装集団」を追跡していると付言した。

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READ MORE::Washington worried about Wagner in Africa – Blinken

 ワグナー部隊は「真の英雄」を募集しているとプリゴジンは述べ、続けて「私たちは、対処できると約束した課題を果たし続けている」と明言した。プリゴジンは、具体的な課題の性質や、それを設定した人々について詳しくは述べなかった。また、この挨拶がいつ、どこで収録されたものかについても、すぐには明らかにならなかった。

 この挨拶は、プリゴジンが約2か月間沈黙してからのものだ。彼は、6月末に発生したロシア国防省との諍いの真っただ中、ソーシャルメディアで活発に発言していた。ワグナー部隊が反乱に失敗したのはその後だ。民間軍事会社ワグナー部隊は、最終的に、アレクサンダー・ルカシェンコ大統領の仲介で、ロシアにとって最も近い同盟国であるベラルーシに再配置された。

 この数週間、ポーランドは繰り返し、ワグナーがベラルーシにいることに対して警告を発しており、その契約者たち(ワグナーなど)が国境を侵犯しようとした、とさえ主張した。ミンスク(ベラルーシ政府)は、ワグナーの活動とされていることに関する(ポーランドの)主張を断固として否定した。ルカシェンコは、ワルシャワ*がワグナー部隊についてさまざまな憶測をめぐらし「気が狂った」のだと述べた。
*ポーランド政権。ワルシャワは、ポーランドの首都名。
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気候変動の犯罪的狂気:指向性エネルギー兵器(DEW)は森林火災や叢林火災を引き起こし、都市全体を破壊し、海では船舶に火が付く。

<記事原文 寺島先生推薦>
The Criminal Insanity of Climate Change: Direct Energy Weapons (DEW) Create Forest and Bush Fires, Destroying Entire Cities and Igniting Boats in the Sea
筆者:ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)
出典:グローバルリサーチ  2023年8月20日
<記事飜訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月31日


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初出:2023年8月15日

 気候変動 - 気候変動 - 気候変動 - 世界は燃えている。CO2を排出する北半球が原因だ。南ヨーロッパとオーストラリアの天気図は真っ赤だ。気温が1~2度上がれば、黒くなる。

 ニュースでは、スペイン、南イタリア、シチリア、ギリシャで48度から50度以上の気温になると言っている。恐ろしい。気温がメディアによって誇張され、恐怖と罪悪感を煽っていることに気づく人はほとんどいない。熱中症対策の前兆かもしれない。

 気象予報士は嘘つきゲームの一員である。多くの場合、恐怖とショック効果のために、彼らは通常地上2メートルで測定される気温の代わりに、地上気温を報告している。地上気温は、通常10度以上高いのだ。

 MK-Ultra*は社会に適合しているようだ。 深紅に染まった天気図を見た人々は、気温が記録的な高さ、40度から50度に達していると聞かされると、焼け付くような暑さを感じ、他の年よりずっと暑いと感じるが、実際はそうではない。
*MKウルトラ計画とは、中央情報局 (CIA) 科学技術本部がタビストック人間関係研究所と極秘裏に実施していた洗脳実験のコードネーム。 米加両国の国民を被験者として、1950年代初頭から少なくとも1960年代末までおこなわれていたとされる。
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 これは気候研究者自身が使っている地図である。
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 1991年から2020年までの平均気温の平年値に対する、2023年4月の陸と海の気温の偏差。この地図では、科学者自身が使用している、明確に表示され、色分けされた気温尺度が使用されている。この数ヶ月の間に我々が報告した、北南米、中欧、東欧、中央アジア、そして被害の大きかったモンゴル、インド、オーストラリアの気温の偏差が確認されている。批評家たちは、測定データが典型的なものでなく、改ざんされたものであるため、一貫して高い気温を示していると主張しているにもかかわらず、である。出典と地図 NOAA*
*NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration) アメリカ海洋大気庁

ケーニッヒ

 1991年から2020年までの平均気温の平年値に対する、2023年4月の陸と海の気温の偏差。ベネルクス諸国では、4月のベルギーとオランダの気温が1991~2020年の平年よりそれぞれ1.4℃と1.1℃低く、4月の平均気温が「平年より高い」、または「平年よりかなり高い」と偽って表示されている。中・東欧は、4月の通常気温よりかない涼しかった。例えば、チェコ、スロバキア、セルビアは平年より 2.1℃~2.8℃低く、中程度の白色で「平均に近い」と誤表示されている。これは気候的に重要である。出典と地図: NOAA

 詳しくはGRの記事「国民を欺くために操作された気候マップ」を参照
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 これは500年前にさかのぼる熱波のリストで、世界の気温が大きく変動し、過去20~30年でも2023年よりはるかに「暑い」年があったことを示している。これを見てほしい。

 2020年以降、悪名高い国連アジェンダ2030が始まると、暑さに関するニュースやフェイクニュースが流れ、人為的なCO2が引き起こす「気候変動」は新たな高みに達する。さらに追い打ちをかけるように、森林火災はお金で雇われた放火魔によって引き起こされるだけでなく、軍用指向性エネルギー兵器(DEW)やその他の環境改変(ENMOD)技術*によって引き起こされている。
*ENMOD(Environmental Modifications technologies)。環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約(ENMOD))は、1976年12月10日、第31会期国際連合総会決議31/72号で採択され、1978年10月5日に発効した環境保全と軍縮に関する条約。

 これは、ジオエンジニアリング(地球工学)と呼ばれるもので、私たちが目撃しているのは、この3年間、そしてそれ以前から、高度に洗練された兵器化されたレーザー指向電磁エネルギーによる明白な戦争である。そのエネルギーは非常に強力で、衝撃で建物全体を吹き飛ばして炎の塔を作るが、樹木は免れ、自動車は吹き飛ばし燃やすが、タイヤは燃やさない。

 ハワイの美しい島、マウイ島とその主要都市ラハイナはこうして破壊された。これについては、さらに下をご覧ください。

 指向性エネルギー兵器とは、化学エネルギーや電気エネルギーを放射エネルギーに変換することができる電磁気システムと定義され、これらのエネルギーは光速のレーザービームで特定の標的に発射される。DEWは、抑止力から破壊力まで、さまざまな力を生み出すことができる。

 これらの恐ろしい熱波と並行して、台風、ハリケーン、津波のような洪水が、特に北半球を中心に世界中で発生している。これらのほとんどは、地球工学の結果でもある。スカンジナビアは大洪水のような雨に見舞われ、ノルウェーとデンマーク全土で洪水が発生した。

 日本や中国東北部でも大洪水が発生した。北京ではほぼ同時に記録的な熱波が発生し、台風による集中豪雨とそれに伴う洪水がそれに続いた。自然現象だって? そうだろうか。

 ちょっと考えてみた: 自称宇宙の支配者たちは直線的に考える。そのために訓練されてきたのだ。もし今、彼らが特定の(いつもはもっと多様な)対象に対しておこなっている気象や気候の修正が、独自の動的なものだとしたらどうだろう? それらは直線的なものではなく、そう、動的なものであり、グローバリスト・カルト(世界制覇宗派)が意図したものとは大きく異なる長期的な影響をもたらすからだ。そうでしょう。

 誰もが「気候変動、気候変動、気候変動」と叫び、常に人為的なCO2排出に言及している一方で、2023年7月6日、航空追跡システム「フライトレーダー24」は、過去最高の民間航空機数、約134,384機を記録した。これには軍用機やその他の民間機以外の飛行は含まれていない。

 こちらをご覧ください。

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 航空会社は航空券やフライト予約に、そのフライトが何キログラムのCO2を排出するかを記載している。このお金で何が起こるのか、誰も明確な答えを出していない。

 もしかしたら、そのお金はコロナ騒ぎデマに巻き込まれた航空会社の損失補填に使われるのかもしれないし、各国政府の予算として使われるのかもしれない。交通違反の罰金と同じだ。スピード違反が罰金で減るわけでもなく、CO2排出料で民間便の数が減るわけでもない。

 お気づきだろうか、メディアは戦争によるCO2排出はおろか、軍事的なCO2排出についても口外しないよう自粛命令を出しているのだ。想像してみてほしい。ウクライナ戦争をはじめ、世界中で起きている武力紛争によるCO2排出量は、世界中の民間の自動車や工業製品のCO2排出量を凌駕しているのだ。しかし、誰もそれについて語らない。とても不思議なことだ。

 DEWやその他のENMOD技術に話を戻そう。この科学は1940年代から開発され、この80年間で高度に洗練された。その結果、言いようのないほど酷い損害を引き起こし、生活基盤施設、住宅、森林を破壊し、動物や人間を含むすべての知覚ある生き物の生命を奪うことのできる無数の技術が生み出された。

 これらの科学技術は非常に多様で、DEWから、アメリカ空軍が計画するHAARP(High-frequency Active Auroral Research Program)や、DEWに似たスカラー電磁波兵器など、多岐にわたる。

 このテーマについては膨大な文献があるが、メディアはほとんど報道していない。

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HAARPアンテナの群。アラスカ州ガコナ

 HAARP計画が、1996年の時点でCBCの番組によって認められていたことは注目に値する。

ビデオ HAARP CBC. 気象コントロール





なぜこれほど大量に使われているのか?

 人々は、何が起こっているのか、なぜ起こっているのか、見当もつかない。彼らは、このような破壊的で殺戮的な災害が、「気候変動」を模擬実験を意図した技術によって、実際に人為的に引き起こされていることを理解できないのだ。悪魔に魂を売ったこれらの人々、グローバリスト(世界覇権主義)の陰謀団は、もはや人間とは呼べない。

 その答えのひとつは、国連アジェンダ2030に参加しているオーストラリアの事例だろう。オーストラリアは今後10年間で、土地所有と天然資源の中心的役割を根本的に変えることを支持している。

 このような背景から、オーストラリア当局は一連のスマートシティー構想*を打ち出しており、「持続可能な」事業計画が満載の場所を約束している。
*スマートシティは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決をおこない、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場と定義されている。

 現在オーストラリア全土で起きている森林火災は、そして世界各地で起きている森林火災は、この計画の一部なのだろうか? 隠された意図とは? 以下のリンクは、気象/気候ジオエンジニアリング(気候工学)や、提案されているクララ高速鉄道ネットワーク、そして完全に妥協した国連が主導するスマートシティ実行計画との関連性など、オーストラリアの山火事「危機」の詳細を提供している。こちらとこちらをご覧ください: オーストラリアは戦火にさらされている-環境戦争と気候変動の欺瞞。

 ジェフ・フィリップスによるこちらこちらも参照
 
 同じような疑問がある。マウイ島のラハイナ、そしてこの楽園のようなハワイの島の多くが、なぜ、そしてどのように破壊されたのか? 非公式だが、より真実に近い数字では、死者は1000人以上にもなる。そして、惨状と死者数はまだ続いている。

 マウイ島の破壊に関する噂話は多岐にわたる。より一貫した噂話のひとつは、ラハイナとマウイ島の火災はマウイ島を過疎化させ、複数の億万長者たちによる全土地所有者の買い占め(1ドル=1ペニー)に道を開くためのものだというものだ。クソの嵐に見舞われたとき、億万長者にとって、それは楽園に住んでいるようなものだ。

 「楽園」がいかにして地獄と化したか、その恐ろしい映像がここにある。



 楽園の島、マウイ島が1ドル数ペニーで買われるかもしれない...強力な金融利権者のために私物化された楽園。



 マウイ島については、こちら (this)もご覧いただきたい(1時間以上のビデオ)。

 どうやらマウイ島民の90%ほどは、何が起こっているのか、気候変動デマとは何の関係もなく、自分たちの楽園の島を直接攻撃していることを知っているようだ。これを見てほしい。

ビデオ



 指向性エネルギー兵器(DEW)はマウイ島で使われたのか?私たちが証明できることを見てみよう...

 DEW攻撃の背後には誰がいるのか? 米国政府や州政府は関与していたのか?

 推測の域を出ないが、国連アジェンダ2030とグレート・リセット、そしてクラウス・シュワブ(WEF)が夢見るデジタル化された第4次産業革命に多少なりとも詳しい人にとっては、考える材料になるだろう。

 ハワイ政府は、破壊のねらいを、マウイ島全体を最初のスマートアイランドにするために再建することとしている。2023年9月25日にマウイ島で開催される予定の2023年ハワイ・デジタル・ガバメント・サミットで説明されているように、島全体が人工知能(AI)によって統治されることを望んでいる。

ハワイにAIデジタル政府を導入する計画

 ハワイ州マウイ島の事例については、こちらこちらこちらをご覧ください。

 『惑星地球:戦争の最新兵器』の著者、ロザリー・バーテル博士は言う。

 「この65年間、地球人類の市民社会が核兵器を廃絶しようとしている一方で、経済的に発展した一部の国々は、静かに地球戦争の領域へと移行している。地球兵器は最近、「地球温暖化」の影響を緩和する「新しい」先端技術の方法として世間に紹介され、「地球工学」と呼ばれている...大気の惑星規模の環境工学と定義されている。つまり、気候や海洋、地球そのものを操作することである。

 「地震や火山、洪水や干ばつ、ハリケーンやモンスーン雨などがその役割を果たす」。これを見てください。

 これで母なる地球での生活が怖くなるのだろうか? アジェンダ2030を推進するための恐怖政治なのか?--- それとも現実なのだろうか?

 いずれにせよ、この非人間的な残虐行為に対して、私たち人民は、一致団結して、怒りでもなく、攻撃でもなく、平和の心で立ち向かおう。これが、奈落の底に突き落とされようとしている状況を打破し、新たなスタートを切る唯一の方法なのだ。しかし、時は今しかないのだ。

*

ピーター・ケーニッヒは地政学の分析家であり、世界銀行と世界保健機関(WHO)の元・上級経済学者として30年以上世界各地で活躍した。アメリカ、ヨーロッパ、南米の大学で講義をしている。オンライン雑誌に定期的に寄稿しており、著書に『Implosion - An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』、シンシア・マッキニーの著書『When China Sneezes』の共著者: 中国がくしゃみをするとき:コロナウィルスの封鎖から世界政治経済危機まで」(クラリティ・プレス、2020年11月1日)の共著者。

グローバル化研究センター(CRG)研究員。また、北京人民大学重陽研究所の非常駐上級特別研究員でもある。
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プリゴジン機の墜落事故:調査・発表・余波

<記事原文 寺島先生推薦>
Prigozhin plane crash: Investigation, versions, aftermath
出典:RT  2023年8月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月31日


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エフゲニー・プリゴジン(C)スプートニク/エレナ・コピロワ


死亡したワグナー部隊隊員を特定するためのDNA鑑定が進行中。墜落事故には犯罪性があるとする西側の主張をクレムリンは退けている

 ロシアの上級高官たちは、ロシアの私設軍事会社ワグナー部隊の実質的な指導者である実業家エフゲニー・プリゴジンの死に哀悼の意を表した。

 捜査当局は、プリゴジンが水曜日(8月23日)に自家用ジェットの墜落で亡くなったという事実を公式には確認していない。しかし、ウラジミール・プーチン大統領は木曜日(8月24日)、この死亡事故についてコメントする際、過去形で彼に言及した。


哀悼の意

 プーチン大統領は、ワグナー部隊がロシアに多くの利益をもたらした一方で、プリゴジンについては称賛と批判を交えた評価だった。彼は「複雑な人生の道を歩んだ人物」であり、「重大な過ちを犯した」一方で、自分のためだけでなく共通の大義のためにも「結果を生み出した」と、大統領は述べた。

 ロシア南部のチェチェン共和国の首長であるラムザン・カディロフは、軍司令官として同僚であったプリゴジンとの過去の友情を強調した。彼の業績は「否定できないもの」であるとラムザン・カディロフは語った。

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READ MORE:Putin comments on Prigozhin plane crash

 「最近の彼は、大局を見逃すか、あるいは見ようとしなかったようだ」とカディロフは述べた。「私は彼に個人の野心を捨てるように強く薦めた・・・(が、プリゴジンは)今ここで欲しいものを手に入れようとした」。

 ロシアの国粋主義者政党LDPRの党首であるレオニード・スルツキー議員は、プリゴジンについて「時折、私たちの立場は異なることもあった」が、彼とワグナーは「特殊軍事作戦の目標を達成するために多くを成し遂げた」と述べた。


墜落

 エンブラエル135BJレガシー600型機は、水曜日にモスクワからサンクトペテルブルクへ飛行中、トヴェリ州で墜落した。搭乗していた10人は全員死亡。

 同機には、プリゴジンとワグナー部隊の、彼と最も親しい仲間たちが搭乗していた。その中にデミトリ・「ワグナー」・ウトキン(彼の名から部隊の名前がつけられた)も含まれていたことが、乗員名簿によって判明した。

 主たる墜落地点から数キロ離れた場所で、残骸の一部が見つかった。これは、飛行機が高高度で破壊された可能性を示唆している。


調査

 プーチン大統領は、当局がプリゴジンのビジネスジェットに何が起こったのかを徹底的に調査することを約束したが、DNA検査などの必要な手続きには時間がかかると指摘した。

 ニュースメディアRBKによると、捜査はイヴァン・シブラに委託された。彼は以前、ロシアでの著名な航空事故の調査を指導した高級捜査官だ。

 彼のチームは、2014年にモスクワのヴヌーコヴォ空港で発生した自家用ジェット機の墜落事故調査に関与した。この事故で、フランスの石油大手トタルのCEOであるクリストフ・ド・マルジュリーが亡くなっている。シブラはまた、2019年に発生したアエロフロート1492便の火災と緊急着陸の調査もおこなった。この事故では41人が死亡。

 調査委員会は現在、この事件をロシアの刑法で犯罪とされる航空安全違反による死亡事故として扱っている。

 プリゴジンの飛行機の墜落現場周辺は、法執行機関によって封鎖されている。回復作業を報じるジャーナリストは、証拠の捜索が昼夜を問わず続いていると伝えている。


この墜落事故の背後にいるのはだれか?

 ロシア当局は、犯罪が絡んでいることは確認していないが、国内外で多くの憶測が広がっている。

 モスクワに批判的な人々は、モスクワが2か月前の短い反乱を主導したプリゴジンを復讐のために殺害したと非難した。ワグナー部隊がモスクワへ進軍する際、何人かのロシア軍兵士が殺害され、プーチンはそれを、ロシアの背中への一突きとして非難した。

 「ロシアで起こることのほとんどは、プーチンが背後にいます」とアメリカ大統領のジョー・バイデンはジャーナリストに語った。(しかし)彼は、過去起こったことについて確かなことを知らないと認めている。

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READ MORE:Wagner boss announces major move ‘to make Russia greater’

 ペンタゴンは、メディアが最初に提唱した、対空ミサイルがこの飛行機を撃墜したかもしれないという主張を退けた。報道官パトリック・ライダーによると、ペンタゴンはその理論を「不正確」と評価している。しかし、プリゴジンがその墜落で殺害された可能性が高いと米軍は考えている、と彼は付言した。

 クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフは金曜日(8月25日)に述べたところによれば、西側がロシア政府に罪ありとしようとするのは「絶対的な嘘」であり、どのような事実にも基づいていないと述べた。

 ロシアのメディアが引用した情報源によれば、そのジェット機はおそらく空中で仕掛けられた爆弾によって破壊された可能性があり、一部の情報源はプリゴジンの個人パイロットを指摘した。彼はこのジェット機内に乗っておらず、行方不明と言われている。犯人である可能性がある、というのがその情報源の考えだ。


(業績への)評価と反乱

 昨年、ワグナーの指導者(プリゴジン)はウクライナの戦役における役割に対してロシア政府から最高の国家勲章を授与された。彼の6月の蜂起はベラルーシが仲介した取引によって中止され、それによりプリゴジンと彼に忠実な部隊はロシアを離れることが許された。

 プリゴジンの死(推定)の直前、彼はアフリカでの活動に焦点を当てる意向を発表した。現在ワグナー部隊はこの地で強力な存在感を示している。
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漏洩文書は、ゼレンスキーの更迭が近いことを示している

<記事原文 寺島先生推薦>Leaked Documents Indicate Zelensky About to be Replaced
筆者:ルーカス・リロズ・ドゥ・アルメイダ(Lucas Leiroz de Almeida)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research) 2023年8月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月31日





 ますます明らかになっているのは、西側がゼレンスキーを排除しようとしたがっている事実だ。ウクライナ大統領が権力から疎外されるだろうという専門家らからの予想に加えて、さらに明らかになってきたことは、以前流出した国防総省の複数の文書から、キエフ市のビタリ・クリチコ市長を新しい国家元首にする計画が漏洩した、というものだ。

 これらの文書が流出したのは数ヶ月前のことで、米国務省のいくつかの機密文書がジャック・テスクエアラという21歳の兵士により漏洩したものだった。この 兵士は第102諜報マサチューセッツ航空団で勤務していた。諜報技術分野で雇用されていたテスクエアは、いくつかの政府機密文書を見ることができ、その多くを漏洩させた。4月、テスクエアは逮捕され、10年の禁固刑が言い渡される見通しだ。

 今になって初めてわかった事実は、これらの文書の中に、国防総省の役人が書いた書簡があったことだ。その手紙には、その役人がゼレンスキーよりも有能な人物にウクライナの大統領職につかせることに対する関心が記されていた。さらにビクトリア・ヌーランド国務次官も、この計画に明らかに関わっており、同国務次官が、ビタリ・クリチコ市長を大統領に据えたいという個人的な要望を持っていることが示されていた。この書簡内の文書の一部には、ビタリ市長を2024年に大統領に選出する「状況作り」が求められていると明言されている。

 「2023年2月22日の日付がついたその書簡には、米国国務省の指導者や国防省の指導者がウクライナのゼレンスキー大統領に不満がある旨が記されており、ウクライナ大統領職を、2024年にゼレンスキーから元ボクサーのビタリ・クリチコ市長に交代させる計画を立てている...この書簡によると、国防総省の指導者は、ビクトリア・ヌーランド国務次官の意見に賛同していることがわかった。同国務次官の意見は、ゼレンスキー大統領は『政治的能力を急速に使い果たしつつある』というものだった。この書簡の記載内容から判断すれば、国務省も国防省も元ボクサーで、2014年のマイダンでの武力政変に積極的に関わっていたピタリ・クリチコ現キエフ市長をウクライナの次期大統領に据える意向のようだ」とオランダのソーニャ・バン・デン・エンデ記者は書いた。

 元ボクサーであり、ネオ・ナチ政権の支持者としても有名なビタリ・クリチコ市長は、2014年の武力政変以来、キエフ市長の座についている。同市長が世界の報道機関から悪評を得ているのは、ロシアによる特別軍事作戦の開始以後、「愛国主義精神」を見せているからだ。同市長は当時、同胞であるウォロデミル(ゼレンスキー)とともに武器を取り、ウクライナの首都を守り、ロシアによる「侵略」を撃退する、と主張していた。西側の様々な新聞社から、「勇敢」で「英雄」 だと報じられたクリチコ市長は、西側の多くの人々から共感を受けており、そのことが同市長を新たな国家主席に推す声がいくつかあがっていることの説明になるだろう。

 ただしクリチコ市長だけが、ゼレンスキー大統領の代役候補一覧にあがっているわけではない。ウクライナ大統領候補になる可能性のある人々が他にもあることを指摘するいくつかの記事も出ている。例えば、オレクサンドル・シルスキー陸軍司令官やキリーロ・ブダノフ国防省情報総局長、ヴァレリー・ザルジニー総司令官が、ゼレンスキー後の大統領候補者になる可能性がある、と報じられてきた。もっと最近のことになるが、西側報道諸機関は、ウクライナの現大統領が排除されることを示唆する内容を報じたが、それによると、大統領に取って代わるのは個人の国家主席ではなく、ルスラン・ステファンチューク議長を長とする役員らからなる一団になる、という。

 明らかに、ウクライナの新大統領に誰がなるかについての共通理解はまだ得られていない。 ただしゼレンスキー大統領を排除することについては、西側での共通理解が確かに成立しているようだ。西側各国当局や報道諸機関にとっては、ゼレンスキーは既に問題の多い 好感が持てない人物という烙印が押されている。これらの文書に記載されているとおり、現ウクライナ大統領は、「政治的能力を急速に使い果たしつつある」のだ。そうなっているのは、ゼレンスキー大統領がNATO諸国に対して、常に不当な「物乞い」をしている姿を見せているからであり、さらには軍事作戦にも失敗し続け、領土も失ない続けているからだ。

 ゼレンスキーの行動を宣伝の力だけで正当化しようとする手口はもはや使い尽くされつつあり、だからこそゼレンスキー大統領は排除されようとしているのだ。この意味において、ビタリ・クリチコ市長が、世界のウクライナ支援諸国には興味深く捉えられているようなのだ。同市長のイメージの方が、ゼレンスキー大統領のイメージよりも世論の受けが良く、各国の市民たちがウクライナへの軍事支援の継続を正当化しやすくなっているようだ。言い換えれば、ロシアに対する代理戦争の遂行を継続するためには、西側にはゼレンスキー大統領よりも有能で、批判を受けることが少ない指導者が必要なのだ。

 ゼレンスキー大統領がどのように排除されるかについては、まだ見えない。戒厳令下の独裁政権であるため、選挙や民主主義に則った方法で変化を起こすのは困難だ。先日、ポリティコ紙が出した記事が示唆していたのは、ゼレンスキー大統領が暗殺された場合に従うべき「秘密計画」さえ何名かの高官が所有している、という内容だった。この動きは、偽旗作戦に対する世論作りを準備しようとするもののようにうつる。具体的には、ゼレンスキー大統領の暗殺についてロシアに濡れ衣を着せ、新たに戦況が激化することを正当化させようという偽旗作戦だ。

 ゼレンスキー大統領を排除しようとする計画が、漏洩した文書が明らかにしたように、少なくとも2月から始められていて、報道機関は既に暗殺が起こる可能性について報じていることを考えれば、そうとしか思えない。
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アフリカ:帝国主義と闘うための第二戦線

<記事原文 寺島先生推薦>
Africa: The Second Front in the Struggle Against Imperialism
筆者:モフセン・アブデルムーメン(Mohsen Abdelmoumen)
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年8月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月29日


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アフリカにおけるフランスの存在に反対するデモ。D.R.


 私たちは、帝国主義と新植民地主義に対するあふれる反乱の中で新しいアフリカの出現を目撃している。これは、中国とロシアの関与の必然的な結果であり、両国ともアフリカ諸国との商業および外交的な交流において対等の政策を追求している。

 7月27日から28日にサンクトペテルブルクで開催された直近のロシア・アフリカ・サミットは、49のアフリカ諸国からの代表団、その中には17人の国家元首も含まれ、ウラジミール・プーチンが明確に多極的な世界秩序の推進と新植民地主義への対抗意思を述べたことは、間違いなく大きなきっかけとなった。特に、賓客であるブルキナファソの若き大統領、イブラヒム・トラオレ大佐、エリトリア大統領のイサイアス・アフェウェルキによる力強い演説、そしてプーチン大統領の最貧国への数百万トンの小麦の無料提供の約束が記憶に残る。

 アルジェリアは、フランスにしっぽを振るだけの寡頭支配的第5列の手中にあった病弱の老大統領から解放され、慎重ではあるが揺るぎない立場を通じてアフリカの舞台での主導的な役割を取り戻し、問題解決のために、常に、外交手段を優先する姿勢を備え、次々と出現する出来事に揺るぎない役割を果たしている。

 ニジェールは、約千キロにわたる共通の国境を持つアルジェリアの直接の隣国である。ウランや石油など多くの豊かな地下資源を持ちながら、アフリカ最貧国の一つだ。しかし、フランスに雇われたさまざまな指導者たちが数十年にわたるずさんな国政運営をすることで、ニジェールの人々を極貧状態にしている。

 ニジェール軍は、国民の幸福を最優先に考えることを決定した。これにより、従来アフリカを自分の黄金鳥と見なし、植民地時代からその富を絶え間なく奪ってきたフランスはひどく落胆している。堆肥の山の上の傲慢なフランスおんどりは、今やその庭が塹壕のある基地に変わりつつあり、その中で「ブルカン」部隊は望ましくない存在とされている。彼らはマリから追放された後、今度はニジェールから出て行くよう要求されている。もちろん、ECOWAS*諸国などの一部のアフリカ諸国の首脳には、まだ鳴き声をあげる植民地化された何羽かの鳥のような輩がいるが、全体として、フランスの家父長的な鳥たちはアフリカでますます支持を失っている。実際、完全に逆転している。そして、マリ、ブルキナファソ、そしてニジェールの例に他の国々も続くというのは確かなことだろう。
*西アフリカ諸国経済共同体


フランスの手下、ECOWASの脅し

 ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)について話そう。これは完全にフランスによって支配されており、ナイジェリア大統領であるボラ・ティヌブは、まさにアメリカとフランスの傀儡であり、輪番制大統領職を務めている。

 この人物については後ほど触れる。彼はどこにでも顔を出す悪名高い危険人物だ。白人の主導により、ECOWASはニジェールに対して最終通告を出し、厳格な制裁を課し、もしニジェール軍がモハメド・バズムを権力に返さない場合、25,000人の兵士を結集して軍事作戦を開始する脅しをかけた。アメリカ、フランス、そして欧州連合は即座にこれらの決定を承認した。なぜならこれらの国々が資金援助をしているからだ。アラサン・ワタラというもう一人のフランスの傀儡も、武力介入はできるだけ早く実行されるべきだと感じ、彼はニジェールに対してコートジボワール大使を自国に呼び戻すよう促した。しかし、西側の指令とワタラの願いにもかかわらず、ECOWAS議会は8月12日にニジェールの人々に課された非人道的な制裁に反対する投票を行い、それらの制裁を即座に解除するよう求め、あらゆる武力介入に反対する立場を表明し、交渉による解決が望ましいと宣言した。また一方、ニジェールの新政府は、攻撃がおこなわれた場合、バズムは外国の工作員として直ちに処刑される可能性があることを警告した。

 西側とECOWASによってニジェールの人々に課された制裁が、食品や電力(その70%はナイジェリアからのもの。ただし供給停止状態)だけでなく、医薬品も含まれていることは注目に値する。これはまったく嫌悪感を抱かせるものだ。サヘル地域における欧州連合のイタリア代表であるエマヌエラ・デル・レは、8月9日、イタリアの新聞La Republicaに対して次のように述べている:
「制裁の影響が明白になってきている」。「薬や食料品の不足は深刻なレベルに達しており、停電は以前よりも頻繁に起こっている。軍政を弱体化させたいのなら、これらの制裁を続ける必要がある」と彼女はあけすけに宣言し、欧州連合のこの取り組みに対する全面的な支持はまちがいない、とECOWASに確信させた。この社会学者(エマヌエル・デル・レ)の言葉の真価値の評価は読者にお任せしたい。

 彼らの制裁はニジェールの人々から電力、医薬品、食料品を奪っている。そして西側の指導者たちはみんな、医療の不足を訴え、わずかな食事で暗闇の中で暮らさざるを得なくなっているモハメド・バズムを心配している。彼の娘であるザジア・バズムは、パリでのバカンス中、8月12日にThe Guardian紙で「感動的な」記事を寄稿した。これはすべての宣伝媒体に取り上げられた。彼女の親戚たちはぱさぱさの乾燥米とパスタで生き延びていると語った。「わかってもらえますか、いつもご飯とパスタだけを食べるわけにはいかないんです。昼も夜も、です」と彼女は言った。「それは健康にとって危険です。飲み水さえありません。暗闇の中にいること、家の温度が非常に高いことを考えると、とても悲しいです」。

 この発言ひとつだけでも、アフリカの買弁ブルジョアが何の気遣いもなく、何十年も惨めな状況で生活してきた人々の運命についてどれほど無関心であるかがわかる。ニジェールの人口の82%が電気を持たず、16%が食料不安である中で生きているのだ。バズムが同じ運命を仲間の市民と共に受けることは、完全に正当性がある。そのことは自分の管轄下の人々が何を経験しているかを理解する手助けになるかもしれないからだ。


アルジェリアの警告

 ECOWAS諸国間の合意不足で、この有名なニジェールに対する攻撃が実施できなくなっており、フランスにとって大きな悩みの種となっている。

いくつかの要因が影響する:
①自国へのいかなる安全保障上の脅威を許さないだろうというアルジェリア陸軍参謀総長サイド・チェングリハ陸軍大将による警告、
②サヘル地域での紛争拡大を警戒するロシアの声明、さらに、
③ワグナー部隊のニアメ到着

 これらの警告によって、西側の主導によって活性化されたアフリカの道化人形たちの戦争熱意が冷えこんだ。特に、8月11日に発表されたウォールストリートジャーナル紙の記事によれば、ECOWASのアフリカ部隊がニジェールで軍事攻撃を開始するまでに数ヶ月かかる可能性がある。実際に、ECOWASの上位高官の一人は、そのような作戦の準備には少なくとも6ヶ月かかるだろうと述べ、当面、迅速対応部隊の優越性は机上でのみ強力であり、実際の現場ではそうではないと語っている。

 そして、約十時間以上にわたる協議の末、アフリカ連合はニジェールでのECOWASによる軍事介入に強硬に反対する立場を表明した。アフリカ連合の紛争解決機関である平和と安全保障評議会(PSC)が軍事力の使用を断固拒否したことにより、この混沌は終息した。アルジェリアの影響力は、アフリカ連合の決定において決定的な役割を果たしたことは確かだ。


フランスは平手打ちを食らう

 この決定は、アフリカにおける影響力を失なうことを警告されているフランスにとって、本当の顔面平手打ちとなった。

 8月7日、Figaro Vox(フィガロ紙の意見・議論欄)は、以下の抜粋を含む、多くのフランス上院議員によって署名されたエマニュエル・マクロン宛の公開書簡を掲載した。「今日、かつてのフランサフリーク*は、軍事的なロシアフリーク、経済的な中国フリーク、外交的なアメリカフリークに取って代わられています」。アブデルマジッド・テブアン大統領は、ヒラク運動**の結果として困難な状況下で政権に就いた人物であり、ときおり和解や定期的に中止される公式訪問について語ったり、アルジェリア人民のすべての苦難の原因とされるフランスの偉大なる悪魔について語ったりする、二律背反な態度を見せている。
*国際関係では、サハラ以南のアフリカにあるフランスとベルギーの旧植民地に対するフランスの影響力の範囲。 (ウィキペディア)
**2019年から2021年にかけてのアルジェリア抗議運動。笑顔の革命(あるいはヒラク運動とも)は、アブデラジズ・ブテフリカが署名入りの声明で5選の大統領候補を発表した6日後の2019年2月16日に始まった。(ウィキペディア)


 この振り子の動きは、多くのフランス高官たちが1968年の合意を疑問視するきっかけとなった。これらの合意はもはや意味を持たなくなっている。「モロッコにおける、フランスのサハラ砂漠に関する先延ばし(スペインとドイツがモロッコの主権を認めているにもかかわらず)や、(フランス)外務省のアルジェリアとのバランス感覚から、王宮はパリの外に軍事的および経済的な同盟国を探し求めようとしている」と述べている。彼はつぎの、心からの叫びを結論としている:「私たちとしては、アフリカ全体から徐々に消えてなくなるつもりはありません」。実際、アフリカの富なしには、フランスは急速な貧困に追いやられる運命にあるのだ。

 この書簡の傑作は、94人の上院議員によって署名され、3人の共和党の上院議員によって起草された。①ロジェ・カルーシ、上院副議長であり、ボースビール生まれのシオニスト・ユダヤ人、②Puy du Fou(訳注:フランスにある、ヨーロッパの歴史を主題としたテーマパーク)の「勇敢な騎士」として知られる人物、フィリップ・ル・ジョリ・ド・ヴィリエ・ド・サンティニョンに近いブルーノ・ルタヨー、そして③上院の外交・国防・武装委員会の議長であり、情報機関に関する議会派遣団の第1副議長であるクリスチャン・カンボン。

 クリスチャン・カンボンは、フランス・モロッコ両院友好団体の議長でもあり、「西サハラのモロッコ的なもの」とボースビール王国の「統一」を強く主張し、ペガサス・スパイウェアの醜聞に関する「小児性愛、大麻、トマトの王国」への「陰謀」を断固として非難している。この件に関するウィキペディア(反帝国主義の主張で知られているわけではない)の特に啓発的な段落を見てみよう:ボースビールの小さな王のお仕え者であるこの人物は、マフゼン(モロッコ政府機構)の報道機関で、国は「明らかに報道や中傷キャンペーンの対象になっている」と宣言し、「仕組まれたもの」と表現した。これは、「いつものやり方で長い間、モロッコの敵対者を集めてきた手によって煽られた策略」であり、「モロッコの成功が嫉妬を生み出すために」「モロッコのイメージを損なう」のが目的だ、と述べた。どの手をこの上院議員が指しているのか、は読者にご推察願いたい。

 言うまでもなく、カンボンはオイサム・アラウィート勲章の最高位である、ボースビールの最高の栄誉であるオイサム・アラウィート勲章の司令官に任命された。これは提供された奉仕に対するものであり、もちろん、彼にはラ・マムーニア(モロッコの最高級ホテル)に彼の名前で予約されたスイートがあり、それに付随するあらゆる追加設備がついている。月々の収入をまとめ入れる封筒(複数)は言うまでもない。まだある!それほど無私で変わることのない忠誠心は適切に報いられなければならない!


「フランス打倒!」

 一方、ニアメのフランス軍基地の外で、何千人ものニジェール人がデモを行い、フランス軍の即時撤退を求め、ロシアの旗を掲げ、手作りの横断幕には「フランス打倒!ECOWAS打倒!」や「ワグナー、私たちを守って!」という文字が書かれている。

 ニジェールの全人民が国の防衛のために立ち上がり、もしフランスが介入しようとするなら、フランスはまず国民全体を殺さなければならないと宣言した。既にニジェールの人々によって大使館が襲撃されたマクロン大統領は、ニジェールにおけるフランスの利益への攻撃を許さないと述べ、武力で対応すると発表した。しかし、人々の支持を受けるニジェールの新しい指導部は脅威や制裁に動じず、フランスに対して9月までに軍を撤退させるよう命じた。「フランス軍の目」とされるドローン基地を持つアメリカもニジェールに駐留しており、ニジェールの方針の変化に懸念を抱いている。さらに、同じ領域でアメリカの基地とワグナーの兵士が共存できるかどうかははっきりしない。

 いずれにしても、決意を示すために、8月10日、国家保護評議会(CNSP)は、経済学者で元財務大臣のアリ・マハマン・ラミン・ゼインを民間人の首相とする政府の組織化を発表した。軍人と愛国的な市民とで構成される閣僚20人がいる。国防大臣と内務大臣はCNSPの将軍であるサリフゥ・モディ将軍とモハメッド・トゥンバ将軍だ。新政府は、モハメッド・バズムとその政権の高位メンバーを、重大な裏切り行為およびニジェール共和国の内外の安全を破壊する行為で告発する証拠が十分にあると宣言した。告発内容には公金の大規模な横領、フランスとの法外な防衛協定の締結、平和的なデモへの血なまぐさい弾圧も含まれている。当然ながら、この発表はECOWASから激しい抗議を受けた。ECOWASは即座にこの行動を挑発と評した。


リッサ・アグ=ブラ、「技術的には実行可能」

 帝国の小兵士たちはどれも似たり寄ったり:彼らはジャーナリスト、"人権" 活動家、反対派、知識人などだ。

 もちろん、8月7日にニアメを訪れたストラウス派のヴィクトリア・ヌーランドは、第5列に遭遇した。彼女はこの訪問中、ティアニ将軍に拒絶され、要求したモハメッド・バズムに会うことも許されなかった。日和見的裏切り者は、世界中のあらゆる国で見られる。帝国の小兵士たちはどれも似たり寄ったり:ジャーナリスト、"人権" 活動家、反対派、知識人、などだ。ここによく知られている人物がいる:トゥアレグの反乱指導者であり、バズム政権のニジェール大臣でもあるリッサ・アグ=ブラだ。彼はパリ(彼もここでバカンス中?)が、8月8日に発表したのは、① 共和国の立憲秩序を回復し、②「クーデター参加者」の首謀者であるティアニ将軍を逮捕し、③バズム大統領を解放することを目指す抵抗評議会の設立、だ。ル・モンド紙とのインタビューで、短期間での軍事介入の可能性について尋ねられた際、彼は「技術的には実行可能です」と答えた。

 最初の一歩は、バズム大統領が拘束されている宮殿への局部攻撃だ。2、3回の攻撃だけで十分。それだけだ。その後、大統領護衛隊内で騒ぎが起きるだろう。クーデターの背後にいる部隊だ。「その後は?」「その後は何もなく、完全な平穏が訪れ、秩序が回復されるでしょう」。

 このフランスの完全な代理人はかなり厚かましい。「ワグナー部隊として知られる傭兵や戦争犯罪者」と彼の呼ぶ人々がニアメの宮殿を守っていることを彼は知っているので、約束された騒ぎは確実ではないのだ。その意図や目的がどうであれ、我々は、モスクワで開催された国際フォーラム「Army23」の参加者宛のウラジミール・プーチンの電報に記載された内容を彼に伝える。以下はタス通信の引用:

「ロシアは、国家の利益と自立した発展の道を守ろうとする国々との間で、均等な技術同盟関係と防衛協力の拡大に対して開かれており、平等と不可分の安全に基づく体制を共同で築くことが重要であり、各国を確実に保護するものであると信じています」。

ロシアの国防相セルゲイ・ショイグは、自国が収集した情報を、友好国全てと共有する用意があると述べた。この情報は、アメリカとNATOの装備や戦闘方法の脆弱性に関するものだ。ウクライナでのNATOに対するロシアの圧倒的な勝利を考慮すると、軽率な発言は避けるべきだ。

(タス通信の引用、終わり)


ティヌブ:現代の十字軍

 次はアフリカの指導者たち。植民地支配下の操り人形である彼らは、権力と富を得るために、西側の主人へ、いつでも自国を売り渡すつもりだ。

 失礼ながら、彼はアメリカの後ろ盾でECOWAS議長になっている。ここで、漫画的愚か者であるナイジェリアの傀儡大統領、ボラ・ティヌブ(個人的に言わせてもらえば、こんな人間は自宅で雀を追い払う案山子(かかし)としても欲しくない)に言及しよう。FBIは彼についてすべて知っているのは、彼がアメリカに留学した頃からだ。汚職、資金洗浄、あらゆる種類の悪さで悪名高く、彼はエリゼ宮殿でフランスの主人たちの前で嬉々として道化役を演じている。彼のフランスとの近接性、そして何よりも、彼がアメリカに従属し、その手の平に載っていること、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の命令に従う彼の政策、およびシカゴ(彼が住んでいた都市)の地下世界との共謀、これらの要因により、彼はナイジェリアで最も裕福な人物の一人となった。大統領府で資金を運ぶ装甲車が目撃された時、ティヌブはこの件について問われ、自分のお金で好きなことをしていると答えた、言うほどだった。

 多年にわたり、アメリカでの勉強と多国籍企業での勤務中、この悪漢はシカゴの麻薬密売人から得た数百万ドルの資金洗浄をおこなった。その中には彼の従兄弟であるアデグボイエガ・ムエズ・アカンデも含まれている。記録によれば、1990年代末にはアメリカ政府がティヌブの様々な銀行口座から麻薬取引による百万ドル以上を押収している。ウィキリークスの電報は、彼の不正行為を詳細に説明しており、何よりこの悪党が16の銀行口座を保持していることなどをはっきりさせた。

 アメリカは、この精力的な人物からどれだけ利益を得ることができるかを理解しており、彼はナイジェリアのアメリカ大使館の忠実な顧客となり、長年にわたり有用な情報を提供してきた。その結果、アメリカ大使は会議後、彼について「いつものように、彼の国内政治情勢に対する洞察力に感銘を受けました」と述べるほどだった。ティヌブはまた、ウォロディミル・ゼレンスキーと共にパンドラ・ペーパーズに名が載るほどの人物となった。彼の息子オルワセイが所有する贅沢な別荘がロンドンの高級なウェストミンスター地区、グローブエンドロード32番地にある。この別荘は、英国領ヴァージン諸島に登録されたオフショア会社であるAranda Overseas Corp.の主要株主である息子のオルワセイによって取得された。ティヌブの息子は、2017年末にこの物件を購入するためにドイツ銀行に900万ポンド(1080万ドル)を支払った。そして、この腐敗したギャングの彼こそが、金(きん)の山の上に座る腐敗したアフリカの指導者の完璧な風刺であり、アフリカで最も貧しい国のひとつ、ニジェールに制裁を課し、戦争を宣言しようとしているのだ! しかし、アフリカの人々は目を覚まし始めており、一部の情報源によれば、ナイジェリア軍が軍事介入して選挙結果を詐称して選出されたこの腐敗した暴君を倒すよう求める多くの要請が寄せられている。この情報は、ナイジェリア国防大臣によって確認されており、「軍はボラ・アフメド・ティヌブ大統領政府を転覆させる計画がある」と述べている。私たちの問い①ティヌブはクーデターによって王座から追放されるまでどれくらいの間権力を握り続けるのだろうか? そして②彼が倒れるとき、それは容易なことではないだろうが、次に誰が続くのだろうか?


フランスの「時計の維持者」だったアフリカよ、さらば

 アフリカがロシアの保護下に入ることを、アメリカは決して許さないことは明らかだ。

 ヌーランドのニジェール訪問は、CNSPに対してワグナー部隊を呼ぶことを控えるよう説得するためのものであり、その見返りとしてアメリカはおそらく新政権を認めるだろう。この際、フランスの同盟国(ナイジェリア)を完全に無視することになる。だれもが知っているのは、アメリカとクーデター政権には、アフリカがロシアの保護下に入ることをアメリカは決して許さないという信念が根本にあることだ。

 ボコ・ハラム、AQIM、および「反乱」グループはその活動活発化の指示を受けており、私たちの情報によれば、イギリスのMI-6(常にアンクル・サム(米国)を支援するために存在する)は、ウクライナのナチス約100人からなる部隊をサヘルに派遣する準備をしている。これらのナチスは既にウクライナで戦闘し、「破壊工作」の「技術」訓練を受けている。この部隊の任務は、生活基盤施設の破壊とロシアとの緊密な関係を促進するアフリカの指導者の排除だ。

 この部隊は、8月の後半にイズマイールから船でアフリカに派遣される予定で、指導者としてはGUR(ウクライナの軍事情報機関)中佐のヴィタリー・プラシュクが予定されている。彼は以前に「一掃作戦の成功」で活躍し、2014年から2016年にかけてドンバス地域、ドネツク、ルハンスクで非常に活発に動いていた。彼は特にジンバブエでのMI-6の作戦に関与していた。

 こうして、私たちはここにいる。リビアの不安定化だけでは十分ではなかった。サヘル地域全体が火に包まれる脅威が迫っている。

 セルゲイ・ラブロフは最近次のように述べた。「ウクライナの新ナチスを使ってロシアを分割しようとする試みは、アメリカの一極支配秩序を復活させる戦略の一部です。彼らは他の地域でも同じ目標を追求しており、異議を唱える人々が脅迫や恐喝の犠牲になっています。」アフリカにおけるロシアの影響力に対抗するため、帝国はサヘル地域を火に包むことをためらわない。そのために、あるいはどのような姿であれ、その協力者を利用する。髭をたくわえたり、坊主頭だったり、ターバンを巻いたりする人々も含まれる。しかし、アルジェリアが脅威を感じる場合、その憲法は今や国境外への介入を許可しており、自国の利益と安全を守るためにためらうことはない。私たちに残されたのは、アルジェリアの参謀総長であるサイド・シェングリハがモスクワで行った第11回国際安全保障会議のビデオ会議での理性への訴求が西側によって聞き入れられることを願うことだけだ。彼が国際社会に対し危機の原因を真剣に取り組むよう呼びかけたのだ。しかし、確かなものは何もない・・・ただし確実なことは、フランスの「時計の主」とも言えるエマニュエル・マクロンが、フランサフリークを一掃する可能性があるということだ。

翻訳(仏→英)は、Internationalist 360°
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ウクライナは「無条件降伏」する – スコット・リッター

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine will ‘capitulate unconditionally’ – Scott Ritter
出典:RT  2023年8月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月29日



キエフでのクリミア・プラットフォーム・サミットの開会後の記者会見でのウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領© AFP / オレグ・ペトラシュク


ウラジミール・ゼレンスキー大統領は日本にとって第二次世界大戦がどのように終わったかを思い返すべきだ、と元米国情報将校が語る

 元米国諜報員で国連兵器査察官のスコット・リッター氏によると、ロシアとウクライナの紛争はウクライナ側の無条件降伏で終結する、という。

 水曜日(8月23日)、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)への投稿で、「ウクライナは領土を取引には使いません。そんなことをすれは、国民を取引に使うことになりますから」と主張した。

 このことばは第3回クリミア・プラットフォーム・サミットに捧げられたもので、その会議ではウクライナがクリミア半島の「占領を解除」する方法について話し合われた。クリミア半島は、同年初めにキエフで発生した米国の支援を受けたマイダン・クーデターをきっかけとした住民投票を受けて2014年にロシアに再編入された。

 リッター氏はゼレンスキー大統領の投稿に、「取引を提案したのはNATOの方ですよ。ロシアは何の取引もしようとはていません」とのコメントを投稿した。

 元米国諜報員であるリッター氏は明らかに、NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグの首席補佐官スティアン・イェンセンの8月中旬の発言に言及している。同首席補佐官は、ウクライナは「(ロシアに)領土を放棄すれば、その見返りとしてNATO加盟を得ることができる」と述べた。イェンセン氏によると、この考え方は米国主導の軍事同盟であるNATO内で活発に議論されていたという。

 イェンセン氏は後に自身の発言について 「間違いだった」と謝罪した。


関連記事:Ukraine can’t defeat Russia – ex-NATO general

 この提案はウクライナ側で激怒を引き起こし、ミハイル・ポドリアク大統領補佐官は、「ばかばかしい」と非難した。そのような動きは「民主主義の敗北を意図的に選択し、戦争を次世代に引き継ぐことになります」と同補佐官は主張した。

 ウクライナ国家安全保障会議のアレクセイ・ダニロフ委員長は、ウクライナはロシアのウラジーミル・プーチン大統領とは決して交渉しないと繰り返し、「ロシアは現代のカルタゴのように破壊されなければなりません」と主張した。

 リッター氏は、「ウクライナが無条件降伏した場合、ロシア軍はどこで待機するのか」を含め、ウクライナとの紛争に関してロシアは「現実に対処している 」と主張した。

 「1945 年9月2日の東京湾のことを思い起こしてください。それがあなた方の未来です。せいぜい楽しんでください」とリッター氏はゼレンスキー大統領に宛てて投稿した。



 その日、大日本帝国の代表者らは戦艦ミズーリ上で連合国に対する無条件降伏に署名し、日本の第二次世界大戦への参戦が終了した。

 この協定に沿って、日本は本土以外のすべての領土の喪失、完全な武装解除、連合国による占領、戦争犯罪人を裁くための法廷の開廷に同意した。


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 ゼレンスキー大統領は水曜日(8月23日)、6月初旬に始まったロシア軍に対するウクライナの反撃は「非常に困難」であることが判明したと認めた。しかし、同大統領はまた、作戦は「ゆっくりではあるが、正しい方向に」進んでいる、とも主張した。

 今週初め、ワシントン・ポスト紙は、ウクライナの反撃が「失速の兆し」を見せていると報じた。同紙は、「(ウクライナ軍が)戦場で決定的な成功を収めることができないことで、紛争が膠着化し、国際的な支援が損なわれる可能性があるとの懸念が高まっている」と警告した。

 プーチン大統領は水曜日、キエフ当局がウクライナ兵士に対してどれほど無関心であるかを見るのは「驚くべきことです」と主張した。このロシアの指導者は「キエフ当局、まるで自国民ではないかのように、私たちの砲撃の下、(ウクライナ国民たちを)地雷原に投げ込んでいます」とも 語った。

 ロシア政府の推計によると、ウクライナは反撃開始以来目立った戦果を上げていないが、4万3000人以上の兵力と5000近い重装備を失った。ウクライナ側はこれまでにいくつかの村を占領したと主張しているが、これらはロシアの主要な防衛線からはある程度離れているようだ。
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ロシアからの報道が制限されて、ウクライナ紛争に関する情報が西側からのものばかりになっている―南アフリカ高官の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Banning Russian media created news gap on Ukraine conflict – South African official
出典:RT  2023年8月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月29日



南アフリカのウェリル・ヌラポ元駐米大使© RT



CNNやBBCなどの西側報道諸機関の記事は一方的である、とウェリル・ヌラポ氏はRTに答えた

 ウクライナ紛争への対応として、世界のいくつかの地域で、ロシアの報道に関して制限が課されていることにより、この危機の情報の普及が「一方的」になっている、と南アフリカの元駐米大使がRTに答えた。

 月曜日(8月21日)の独占取材で、ウェリル・ヌラポ元大使は、紛争に関するさまざまな視点の欠如によって、「人々は非常に混乱しやすくさせられ」、ロシア政府が誤解される原因を作った、と主張した。

 それはまさに、CNN、BBC、アルジャジーラなどの西側系列の放送局からの「一方的な爆撃のような報道である」と、南アフリカの紛争管理実務家である同元大使は、第15回BRICS首脳会議が現在進行中のヨハネスブルグでRTに語った。

 ヌラポ元大使は現在、アフリカ和平構想の上級政治顧問である。この構想のもと、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領が率いるアフリカ大陸各国の指導者からなる派遣団が、6月にロシアとウクライナの交渉相手と面会し、10項目の停戦提案が提示された。

 同元大使の説明によると、この構想の目標は、両当事国にアフリカの構想を受け入れさせることで、紛争の状況を伝える過程に耳を傾け、理解してもらうようにすることである、とのことだった。そしてその理由は、今回の危機に関してロシア側の言い分を耳にするのが困難であるため、だとした。

 ヌラポ元大使は、南アフリカがBRICSに加盟していることから、南アフリカはモスクワと連携しているという印象を与えている、と考えている。しかし同元大使は、南アフリカは「我が国に影響を与えるもの、我が国の利益になるもの、そしてこれらすべての進展にどのように対応するべきかに関してしっかりと情報に基づいた決定を下します」と述べた。

関連記事:Central African country seeks BRICS membership

 「そして我が国がひとたび決定を下せば、我が国は他の国々から独立した一国になることになります」と同元大使は付け加え、ロシアとウクライナの紛争においては、どちらかと同盟しているわけではない、という南アフリカ当局が繰り返している主張に言及した。

 「西側陣営は、冷戦が私たち全アフリカ諸国に課した痛みとすべての困難を経験したことを忘れています。私たちは何が起こっているのかを理解しているので、情報に基づいた決定を下すことができます。

 以下の対話動画を全編視聴すれば、西側によって取られている「異常な措置」と、NATOの拡大がロシアとウクライナの間の紛争にどのように影響を与えたかについての同元大使の考えについても聞くことができる。

(動画は原文サイトからご覧下さい。訳者)
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ゼレンスキーが権力の座に就いたのは、西側諜報諸機関により慎重に計画されたなかでのことだった、と元米国外交官は発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian President Volodymyr Zelensky Came to Power in Carefully Planned Operation Coordinated by Western Intelligence Services, Says Former U.S. Diplomat
Secret Meeting with British MI-6 Head Richard Moore Points to the Likelihood That Zelensky Is a British Intelligence Agent
英国リチャード・ムーアMI6長官との密会から、ゼレンスキーは英国諜報機関の工作員であることが伺える
筆者:ジェレミー・クズマロフ(Jeremy Kuzmarov)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年8月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月28日





 2020年8月、ロンドンを訪問中だったウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は、英国の諜報機関MI6の長官であるリチャード・ムーア卿と面会した。

 通常の外交儀礼にのっとれば、訪問先では当該国の首長、この場合はボリス・ジョンソン首相が面会相手になるはずだっただろう。

 ウクライナ外務省の元職員のアンドレー・ミシンによると、この二人の面会は、ゼレンスキーがプロの諜報員であり、ムーア長官が直接の操り手であったことを物語るものだった、という。

リチャード・ムーア卿(ウィキペディアより)


 ウクライナでの特殊軍事作戦開始以来、ゼレンスキーは英国(ウクライナではない)の警備員らに取り囲まれている。ウクライナ国旗が上下反対に縫い込まれた制服を着たこれらの警備員らの姿を映した写真があるが、普通ならばこのような警備員は射撃されるだろう。

 2023年5月にバチカンを訪問した際、ゼレンスキーは悪魔の絵のついた工芸品を渡すことでフランシス教皇を鼻であしらったいっぽうで、英国のポール・ギャラガー司教と最も長い時間を過ごした。その面会の際に同席していたいのが、リチャード・ムーア卿、ゼレンスキーの操り手だとされる人物だ。


工作員ゼレンスキー

 元国連武器捜査官のスコット・リッターは、「工作員ゼレンスキー」というドキュメント番組を制作したが、この番組ではゼレンスキーとムーア卿やMI6との関係が詳述されている。

 このドキュメンタリーの第1部には、サウジアラビアのリヤドの米国大使館で働いていた国務省の元職員J・マイケル・スプリングマンに対する聞き取り取材が含まれている。この人物によると、ゼレンスキーがウクライナで台頭して権力を握ったのは「西側諜報諸機関による慎重に計画された工作」の結果だ、という。

 2019年の大統領選での勝利の後、ゼレンスキーは西側の命令を効果的に実行した。具体的には、ロシアとの戦争を引き起こし、砲弾除けとしてウクライナを利用し、ベトナム戦争時のベトナムのような泥沼にのめりこませることで、ロシア経済とロシア政府の弱体化をねらうというものだった。

 ゼレンスキーは西側の工作員であるという自身の役割を以下のような行為によりさらに完遂した。あ)ロシア人を差別する法案を通過させた。い)外国人によるウクライナの土地の乗っ取りを可能にした。う)ウォール街の金融会社であるブラックロック社にウクライナの経済政策を決めさせることを許可した。

リッターによると、ゼレンスキーはウクライナを米国や西側の新兵器システム、ネオナチ傭兵、軍事関連の生物研究所などの「実験場」に変えてしまった、という。この生物研究所の存在については、国務省の最高位高官でビクトリア・ヌーランドが認めた。

 ニューズ・ウィーク誌の最近の記事の指摘によると、CIAがウクライナに武器を送り込む際は、商用機という「グレー・フリート*」を使って中欧や東欧をあちこち移動し、秘密の使命のために人員をウクライナに派遣し、新たな武器でウクライナを支援するいっぽうで、ポーランドを秘密の重点中継点にして、ウクライナ国内での作戦を練っているという。
*個人所有の交通手段を使って事業をおこなうこと

 さらにCIAは、ウクライナの諜報機関(SBU)とも密接に協力しているが、このSBUは、ゼレンスキーが12の野党を禁止したことに続き、かつてのベトナムでのフェニックス作戦さながらの作戦をロシア国内にまでまたがって実行し、その中でゼレンスキーの政敵らは、投獄され、虐待され、暗殺さえされる場合もあった。


分離主義を主張したとしてSBUにより逮捕されているオレグ・ノビコフ。ウクライナの多くの政治犯の一人だ。(写真は thegrayzone.comから)

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 ソ連崩壊以来の米英の目的は、両国が一体となってロシアを打ち負かして弱体化させることと、西側の権力を中央アジアにまで伸ばすことだった。中央アジアを抑えることが、世界支配にとって重要なカギであると長年考えられてきたからだ。

 ドンバス地方に特別な自治権を与えることで、ウクライナ・ロシア間の戦争の解決を模索するためのミンスク和平合意についての話し合いの際にゼレンスキーは、合意に賛同したウラジミール・プーチンの顔を嘲笑うような表情で見ていた。

 それ以来、ゼレンスキーは厚かましくも西側諸国の首都を歴訪し、ロシアとの戦争で使用する武器がもっともっと欲しい、と要求し続けている。この戦争のせいで自国民が非常な苦しみをうけ、何万もの人々が死んでいることなど、おかまいなしのように。


国民の僕(しもべ)

 リッターのドキュメンタリーが強調していたのは、ゼレンスキーは事実上、小説『影なき狙撃者*』の登場人物のように、ハリウッド映画を彷彿させるかのように、真に力をもつ人々が書いた筋書きに従って権力の座に就いた点であった。
*朝鮮戦争で捕虜となり、敵側に洗脳され、暗殺者として暗躍する米兵を取り上げた小説

 2015年から2019年まで、ゼレンスキーはウクライナのテレビドラマ『国民の僕(しもべ)』で主演していた。劇中、ゼレンスキーはヴァシリ・ペトロヴィッチ・ゴロボロジコという名の高校教師を演じ、その教師の汚職に対する独白が、ゼレンスキーを有名にし、その後ウクライナ大統領に押し上げる力となった。

 ゼレンスキーの中では、ウクライナ国民はゴロボロジコのクローンを大統領に選んだ、と考えていた。

 しかしながら、当時ウクライナ国民の多くは、ゼレンスキーがウクライナの新興財閥であるイーホル・コロモイスキーと密接につながっていたことを知らなかった。この人物は、ウクライナ最大の石油・ガス会社と銀行を所有し、ゼレンスキーが政治権力を得る見返りに、自身が刑務所に入らずに済むよう手を回した、ということだ。

 ゼレンスキーがコロモイスキーと共に詐欺的な金融計画に関わっていたことは、パンドラ文書により初めて明らかになった。 この文書により、ゼレンスキーは4100万ドル(約60億円)を所有する海外の2会社に送金していたことが、明らかになった。

 この海外の資産により、ゼレンスキーはマイアミの3400万ドル(約50億円)の邸宅、イスラエルの両親のための海辺の家、ロンドンのシャーロック・ホームズ記念館の向かいにある380万ドル(約5億5千万円)の家、更にはグルジアとクリミアの海辺のリゾート邸を購入できたとされる。

 2019年の大統領選挙運動中、ゼレンスキーは7万ドル(約1千万円)を支払い、米国の広報会社シグナル・グループ社に、自らが演じたドラマ「国民の僕」の役柄に自分を似せるよう磨きをかけさせた。

 ゼレンスキーの選挙運動を運営していたのは、米国の広報活動の3人の専門家、アンドリュー・マック、オバマ大統領の演説の脚本を書いていたステファン・クルピン、シャイ・フランクリンだった。

 ゼレンスキーの選挙運動と慎重に装飾された2008年のオバマの選挙運動には類似点があった。オバマも操り主の手により、オバマは既得権者からはみ出していて、政治を真っ当なものに戻してくれる候補者として売り出された。

 ゼレンスキー同様、オバマの実像は、自身の家族について詐称した、中身のない詐欺師であり、米国の諜報機関と深い繋がりがあり、選挙中に訴えていた公約を裏切った。具体的には、ブッシュによるテロとの戦いを拡大させたり、大手諸銀行や金融諸機関に対して忠誠を示すなどしたのだ。

 ゼレンスキーは選挙運動中、ウクライナの汚職と戦うと主張していたが、それが出まかせだとわかったのは、自身の政権がCovidの補助金やがん研究のための基金を無駄な大規模道路建築のために吸い取っていたときだ。

 ミコラ・アザロフ元ウクライナ首相はこう語った。「(ゼレンスキーの前任者)ポロシェンコ大統領下の汚職ほど酷いものはないと思っていましたが、ゼレンスキーはそれを超えてました。今はもう基準などあったものではなく、(さらに現政権には)原則なども皆無です」と。
 
 2019年の選挙運動期間中、ゼレンスキーはドンバスでの戦闘の休戦を求めていた。当時ドンバスは2014年のマイダンでの武力政変ののち、5年間砲撃をうけていた。しかしゼレンスキーはそのような誓約をも踏みにじり、ロシアとの戦争を引き起こし、ウクライナのNATO加入への熱望を表明した。

 リッターによると、ゼレンスキーか大統領職に就いたことは、米・英の何十年もの計画が頂点に達したと言える、とのことだ。その目的は、ウクライナを嫌ロシア社会に書き換え、ロシアを弱体化させ、破壊するための道具として利用することだという。

 リッターのドキュメンタリー「工作員ゼレンスキー」には、ビクトリア・ヌーランドが、米国はソ連崩壊以来、ウクライナに50億ドル(約7300億円)を投じてきたことを自慢する映像が出てくる。さらに、米国が支援したカラー革命の後に権力者の座に就いたヴィクトル・ユシチェンコ元大統領の話題も取り上げられており、同元大統領が、米国人女性のカテリナ(後に彼の妻となったのだが)に誑(たぶら)かされたことにも触れられている。

 ユシチェンコ大統領時代の主な特徴は、ウクライナ民族主義者組織(OUN)を再興させたことだった。この組織は、第二次世界大戦時、ナチスと共同してソ連に対抗し、CIAから支援されていた。

 ユシチェンコはステファン・バンデラやロマン・シュヘーヴィチといった国粋主義者たちを、英雄視した。なおゼレンスキーもこれらの国粋主義者たちを賞賛している。


ステファン・バンデラ(左)やロマン・シュヘーヴィチ(右)[写真はkresy.plから]

 2010年ユシチェンコはヴィクトル・ヤヌコーヴィチに選挙で敗れたが、ヤヌコーヴィチはロシアとウクライナを同盟させ、英雄とされていたバンデラやシュヘーヴィチの地位を剥奪した。

 そのためヤヌコーヴィチは米国による政権転覆工作の対象となり、その結果2014年のマイダンでの武力政変と、ドネツク・ルガンスク両州の人々が自治を求める住民投票をしたあとの東ウクライナでの戦争を引き起こすことになった。

 武力政変後政権の残忍さの一例となったのが、いかなる反抗も暴力的に踏み潰すという態度であり、オデッサでの労働組合員らの大虐殺であった。この件については、当時ゼレンスキーは沈黙を保っていた。

 リッターの指摘によると、2014年のマイダンでの武力政変のあと、ウクライナの政界と軍部の指導者層の中のかなりの割合の人々が、C. マーシャル欧州安全保障研究センターで訓練を受けたという。そしてこの訓練により、これらの支配者層は少しずつ嫌露的な視点を身につけるようになった、という。

 SBU(ウクライナ保安庁)はCIAの下部組織へと姿を変え、CIAはSBU本部のひとつの階をまるまる占めている。


キエフのSBU本部。CIAがそのひとつの階をまるま所有している 。[写真はsott.netから]

 CIAは英国のMI-6とともに、ゼレンスキーを英雄とする虚像を西側で作り上げる手助けをしてきた。その目的を強化するため、ゼレンスキーと妻のオレーナにヴォーグ誌の表紙を飾らせた。

 リッターによると、CIAとMI-6はさらに、ブチャの大虐殺のでっち上げ工作の際、ゼレンスキーの手助けをしたという。 この虐殺についてはロシアが非難されているが、どうやら主にこのような行為を実行したのは、ウクライナのネオナチのアゾフ大隊のようである。

 ブチャのことは、ゼレンスキーの政治支配の実情がただの幻想に過ぎないことを表すよい象徴だ。人々は、ゼレンスキーの全体像が、ドラマ「国民の僕」で培われた虚像と同じであると思わされていた。しかしゼレンスキーの実像は、名声を欲しがる野心家で、自国の人々を外国勢力に奉仕する地獄に陥れようとしてきた人物だ。



1. ゼレンスキーはウクライナ民族主義組織(OUN)の紋章のついたシャツも着ていた。この組織は、第二次世界大戦時、ナチスと共同してソ連と戦っていた組織だ。
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なぜ米国の「目覚めた左派」は、大当たりした児童性売春を主題とした映画に対してだんまりなのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Is America’s ‘Woke Left’ Silent Over Blockbuster Child Sex-Trafficking Film?
出典:SOTT 2023年8月7日
(初出はストラテジック・カルチャー・ファンデーション。2023年8月5日)
筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月27日

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 性的な児童売買に関する恐ろしい現実を取り上げた米国映画が、政治的左派から、非常に抑えた反応で迎えられている。それは次のような疑問を投げかける―この沈黙は、言葉に出すのも憚れる犯罪の共犯になる、ということなのか?

 ティム・バラードは、米国の反人身売買主義者であり、性的人身売買に反対する「地下鉄作戦(Operation Underground Railroad)」という名の非政府組織の創設者である。彼は米国国土安全保障局の元特別捜査官で、現在は政府から独立した活動をしているのだが、そのバラードが自分の人生を捧げた生きがいがハリウッド映画において不朽の名声を得ることになったのだ。その題名は、「自由の音(Sound of Freedom)」

 バラード役を演じるジム・カヴィーゼルが主役のこの映画では、バラードの実生活の、痛ましい体験に基づく筋書きが展開されている。実際にバラードは、性奴隷という悪夢から子どもたちを救出する活動をおこなっていた。映画評論家からは賛否両論が上がったが、1450万ドル(約21億円)の製作費がかかったこの映画は、1億4千ドル(約210億円)というとんでもない額の興行収入をあげ、観客からは高い好感を得た。またロッテン・トマトという映画評判サイトでは、99%という高い数値が出ているが、明らかにそれは、正当な理由があってのことだろう。

 国際労働機関の推定では、2016年に世界で人身売買の被害者が2490万人あったという。それなのに、左寄りのメディアやその他の機関は、彼らにしか分からない理由から、不思議なことにエンジェル・スタジオの製作に幕を引こうと躍起になっているように見える。




 「バラエティ誌」の記事で、オーウェン・グレイバーマンは以下のような見解を示した。「みなさんは、私もそうですが、右派の原理主義的陰謀論者ではないですよね。暗くって宗教的なサスペンス映画を見て、祭日の週末を過ごそうとは思っていないです。そうだとしても、『自由の音』という絶対に感動する映画を見るのに極端な信念は必要ありません。この映画は、私たちの時代の残酷な犯罪の一つに、本当の光を当てるものです。ハリウッドがたいがい避けてきた主題を取り上げた映画です」と。

 #MeToo運動により明らかにされた、芸能産業界内部での性的不祥事の問題が見出しを飾り続けている中で、ハリウッドが小児性愛や性的児童売買を主題にすることに対して無関心で嫌悪感さえ示しているという事実は、控えめに言っても奇妙だ。結局、この映画内で触れられているとおり、奴隷が法的に認められていた時代よりも、現在の方が性的人身売買により奴隷にされている人の数は多いのだ。そしてハリウッドの大物たちが犯した性的虐待(性行為が法的に認められている成人に対するもの)疑惑が厳しく嫌悪されているにも関わらず、米国を主導するハリウッドが性的児童売買を保護、さらにはそれに関わっている可能性があるなどというほのめかしでさえ、世間の道徳が受け入れる限界に大きく問題をなげかけることになろう。

 言うまでもないことだが、ハリウッド内部の聖地に関する無数の陰謀論には、際限がない。具体的には往年の映画監督キューブリックが見せたような秘密結社による支配や歯止めない性的不祥事などだ。ハリウッドは、カリフォルニアの太陽の下、おぞましい事件を起こしてきた。泥にまみれたその評判に付け加えるかのように、ますます多くの人々が、その多くがハリウッドに雇われた人たちなのだが、ハリウッドの高い地位にいる人々の小児性愛についての告発をおこなっている。さらには、これらの告発者の訴えが多くの報道機関や芸能界から真剣に受け止められていない事実からも、ますますその疑いが高まっている。

 ではなぜ進歩的左派が、ネットフリックスやフールー、アマゾンといった動画配信業者からペストのように避けられている『自由の音』に対して沈黙を保っているのだろうか?第1の悪役は、「人間の本性」だ。これこそが、リベラル派の哲学からするととんでもない告白なのだが、人間の全ての振る舞い、性的な本性はなおさら、進歩的な活動家たちが配置された法廷で、正当な審問のもとで裁判されることは当然である、とされている。実際、小児性愛を法的に認めたり、その罪で有罪となった人たちを恩赦すべきだという要求もあがっている。

 ステファン・カーシュナー博士は、ニューヨーク州立工科大学フレドニア校の哲学教授だが、この人物が子どもたちと大人の間の性的関係を良しとしている左派の多くの研究者(他にいるだろうか?)の中の一人だ。以下はカーシュナー博士の主張だ。「成年男性が12歳の少女と性行為を望んでいると考えてください。相手の少女もそれを望んでいるとしたらどうでしょう? 非常に標準的で広く受けいれられている視点からは、このような行為は深く誤った行為だとされています。お互いが了承している状況を無視して、このような行為を犯罪だと捉えるのは、間違っていると思います。このような行為が間違っていると考えることは、私にはよく分からないのです。間違っている考える方がおかしいと思います。この行為がなぜ間違いなのかを掘り下げて考えれば、大人と子どもの間の性行為と法で定められた強姦との違いでもありますし、道徳とは何かという基本的な原理を見つめ直すことにもなります」と。

 カーシュナー博士は、大人と子どもの間の性行為には、「進化上の利点」がある可能性があるとまで示唆し、以下のような驚愕的なことばで締めくくっている:「1歳児と性行為を持つことを間違っていると考えることさえ、私にはよく分かりません」と。

 学術界のオリンピックで負けてなるものかと、オールド・ドミニオン大学のアリン・ウォーカー助教授は、「未成年者に惹かれる人々」ということばを作って、「小児性愛」という言葉がもつ偏見を取り除こうとした。ウォーカー助教授は、 大人が子どもや幼児までをも性的欲求の対象にすることを精神錯乱の一形態であるとは捉えておらず、 自分が愛する対象を抑制できない人々に起こる事例であると捉えている。この考え方は、児童強姦を正当化する非常に病的な考え方だ。

 このような完全な狂気が漂うなか、カリフォルニア州のガビン・ニューサム知事が上院の145法案に署名したことも、もはや驚きではない。この法案は、同性の未成年と性行為をおこなった成人の罪を軽くするものだ。



 最後に述べたいことは、『自由の音』が粉砕しようとしている過激な文化的風潮のことを忘れてはならない、ということだ:LGBTQの行進、女装した男性たちが子どもたちに読み聞かせをするという ドラッグ・クイーン・ストーリー・アワー、小学校段階でのトランスジェンダーや非日常的性生活などの話し合いが全て、米国民の世論を支配するようになってきたいま、子どもたちを食い物にする人々を標的にするような映画は、大多数の人々からは嫌な映画に思われてしまっているようなのだ。この自由の国アメリカの地で、更なる出鱈目なことが起こることを想像するのは難しいが、このような狂気はまさに今、始まったばかりだ。
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日本による放射能汚染水の海洋投棄に対して韓国で抗議集会

<記事原文 寺島先生推薦>
South Koreans up in arms over Japan’s radioactive plans
出典:RT  2023年8月12日
<記事飜訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月26日


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2023年8月12日、日本の福島原発からの放射性廃水を太平洋に投棄する計画に反対する韓国の人々。© Getty Images / Chung Sung-Jun


数百人のデモ隊がソウルに集まり、福島原発の廃水が海洋投棄されることに抗議した。

 土曜日(8月12日)にソウル中心部で大規模な抗議デモがおこなわれ、韓国の活動家たちが、事故を起こした福島原子力発電所から「処理済み」とされる放射能汚染水を海に放出する日本の計画に反対する集会を開いた。地元メディアの報道によれば、環境への影響を懸念する日本の近隣諸国からの度重なる反対にもかかわらず、東京は早ければ8月末にもこの計画を進める見通しだという。

 何百人もの活動家が韓国の首都に集まり、日本政府の計画を非難し、中には原子力エネルギーの使用そのものに抗議する者さえいた。抗議者たちは、「原子力発電だって? 止めてくれ!」とか、「海に流すな!」、「太平洋を守れ!」といったプラカードを掲げていた。

 「廃棄されれば、汚染水に含まれる放射性物質は最終的に海洋生態系を破壊するだろう」と、抗議活動を組織した団体、コリア・ラジエーション・ウォッチ(韓国放射能監視グループ)の活動家、チェ・キョンスク氏は警告している。「海は日本政府だけのものではなく、私たち全員、そして人類のものだと信じている」と強調している。

 先月、日本の原子力規制委員会は、事故を起こした原発の運営会社である東京電力(TEPCO)が、蓄積された廃水を徐々に海に投棄するという物議を醸す計画を承認した。事故を起こした原発は毎日約100立方メートルの廃水を出し続け、廃棄物は敷地内の大きなタンクに貯蔵されている。

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READ MORE:'Drink Fukushima water,' China tells UN officials

 日本政府は、水は国際的な安全基準を満たすように「処理」されていると繰り返し主張してきた。物議をかもしているこの計画は、国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)からも支持を受けており、同機関のラファエル・グロッシ事務局長は最近、排水は飲料や水泳に十分安全だと主張した。

 この計画とIAEAの支持は、日本のすぐ隣国である中国を怒らせている。北京は、もし本当に宣伝されているように「安全」であるならば、廃水は日本政府が国内で保管すべきだと主張する。

 「もし福島原発の汚染水が飲んでも泳いでも安全だと考えている人がいるのなら、日本が汚染水を海に放出して国際的な懸念を招くのではなく、その人たちが飲んだり泳いだりできるように保存しておくことを提案する」と、中国外務省の王文斌報道官は先月述べた。

 福島原発は、2011年のマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに続く壊滅的な津波の後、致命的な損傷を受けた。原発は壊滅的なメルトダウン(核溶融)を経験し、1986年のチェルノブイリ事故以来最悪の原子力災害となった。



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プーチン大統領、プリゴジン機の墜落事故に論評

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin comments on Prigozhin plane crash
出典:RT  2023年8月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月26日


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ファイル写真:ロシアのプーチン首相(左)が、ヤニノ村のコンコード食品工場を訪問。右―コンコード社食品生産ラインの最高責任者エフゲニー・プリコジン. © Sputnik / Alexei Druzhinin


ロシア大統領はワグナー代表を「才能ある男」と評した

 エフゲニー・プリゴジンは、ウクライナのネオナチとの闘いに「多大な貢献」をした多才な人物であったと、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は木曜日(8月24日)に発言し、ワグナー・グループの代表が死亡したとされる飛行機事故について論評した。

 プーチン大統領はクレムリンで記者団と会見し、プリゴジン氏とは1990年代初頭からの知り合いであり、「複雑な運命を背負った人物」であると述べた。

 「彼は人生で重大な過ちを犯したが、結果も出した。自分のためだけでなく、私が頼んだ時には全員の共通の利益のために。ここ数カ月間もそうだった」とプーチンは付け加えた。プーチンは、プリゴジンを「才能ある実業家」であり、アフリカだけでなくロシアでも石油、ガス、貴金属、宝石の取引をしていたと述べた。プーチンによれば、どうやらプリゴジンはアフリカから戻ったばかりで、何人かのロシア政府関係者と会ったという。

 プリゴジンの名前が、水曜日(8月23日)にモスクワからサンクトペテルブルグに向かう途中、トヴェリ州で墜落したエンブラエル自家用ジェット機の乗客名簿に載っていた。乗客7名全員と乗員3名が死亡した。当局は遺体の身元確認作業を進めているが、プリゴジンは他のワグナー指導者6名とともにその中に含まれていると推定されている。

 プーチンは遺族に哀悼の意を表し、墜落事故の徹底的な調査を誓った。

 この事件は、ワグナーがロシア軍に対する反乱に失敗してからちょうど2カ月後に起きた。プリゴジンは、ロシア国防省がワグナーの基地を攻撃したと非難し、ロストフ・オン・ドンの軍司令部を乗っ取りながら、モスクワに向けて部隊を派遣した。

 プーチンはこの反乱を反逆罪に等しいと非難し、プリゴジンを刑事告訴した。しかし、告訴は数日で取り下げられた。というのは、プリゴジンは、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介した取引の一環として、ワグネルの大部分を解散させ、残りをベラルーシとアフリカに残すことに同意したためであった。
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ニジェールの軍指導者たちに人気がある理由-そして恐れられる理由

<記事原文 寺島先生推薦>
Why is Niger’s Military Leaders so Popular—and so Feared?
筆者:オーエン・シャルク(Owen Scalk)
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年8月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月26日


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ニジェールのニアメでアブドゥラハマン・チアニ将軍の写真を掲げるクーデター支持者たち。写真提供:サム・メドニック。


クーデターは、新植民地主義の被害を受けた弱者や貧困層に語りかけている

 ニジェールの動きは急激だ。軍事政府が、7月26日、モハメド・バズム大統領を政権から追い落とした後、アブドゥラハマネ・チアニ政府は独立した反西側勢力としてこの地域にその存在を確立し、ギニア、マリ、そしてブルキナファソと同列に加わった。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、バズム大統領の失脚を予測できなかったという認識から「激怒」していると報じられている。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、ナイジェリアを中心として、すぐにチアニ政府に対して強硬な姿勢を取り、8月6日までに、バズム大統領を復帰させるための軍事侵攻をすると脅した。マリとブルキナファソは、そのような侵攻に対してニジェールを守ると宣言した。

 クーデターを支持し、外国の介入に反対する人々の抗議デモの最中、チアニ政府はニジェールの上空を閉鎖して、ECOWASやフランスからの干渉を阻止した。期限とされた8月6日は何も起こらずに過ぎ去った。その一因は、ナイジェリアの上院がボラ・ティヌブ大統領のニジェールへの兵士派遣計画を拒否したためであり、この地域は公然の戦争を回避することになった。同じ日に、約3万人の支持者がニアメのスタジアムに集まり、軍事政権掌握を支持する熱い思いを表明した。

 8月7日、アメリカ合衆国国務次官補のビクトリア・ヌーランドがニジェールを訪れ、軍指導者たちにバズム大統領を復帰させるよう圧力をかけた。バズム大統領は2021年初からアメリカとフランスにとって西アフリカおける大事な人物だった。ヌーランドはクーデターについて「深刻な懸念」を表明し、「民主主義が回復されない場合、法的に断ち切らなければならない経済的な、あるいは他の支援もある」と強調した。しかし、ニジェールの新たな支配者たちは屈服しなかった。

 ECOWASや西側諸国からの制裁とさらなる脅しの中で、クーデター政権は、8月10日、首相をアリ・マハマン・ラミン・ゼインとする新しい内閣を発表した。この内閣にはゼインを含む多くの市民メンバーが含まれている。分析家のベバリー・オチェンによれば:

(これは、) 軍が暫定内閣のほとんどのポストを占めたマリやブルキナファソで起こったこととはまったく異なる。これは、悪意がないことを示す方法の一つであり、市民と協力し、移行政府を望んでいることを示す方法だ。しかし、同時に、「私たちと交渉する際には移行条件に基づいておこなうことになる。バズム政権を復帰させることは条件にならない」という意味も含まれている・・・バズムが復帰する可能性は非常に低く、正当性が認められる可能性もほとんどない。
(オチェンの引用終わり)

 外交的な行き詰まりの中で、ナイジェリアからのイスラム学者団が、8月13日、チアニ政府との会談を開いた。この会議で、チアニはナイジェリアとニジェールは「隣人というだけでなく、問題を友好的に解決すべき兄弟姉妹でもある」と述べた。「クーデターに悪意はなく」、地域への「迫り来る脅威を防ぐためのもの」だったと語った。また、ナイジェリアがバズム大統領を復帰させるための侵攻の脅しをかけたことについて「心が痛む」と述べ、隣国が「この問題に自分たちの立場になって関心を示していないように見えること」を残念に思っていることも明らかにした。


侵攻の脅しと権力の強化

 学者団が訪れた日に、チアニ政府はバズム大統領が「重大な反逆罪および内外の安全の破壊行為」で告訴されるだろう、と発表した。その一方で、ワシントンとECOWASはこの決定を非難した。ECOWASは、ニジェール政府への軍事介入について再度議論するために、8月17日と18日、会議を開催すると発表した。

 侵攻に関する話が再び持ち上がっていることは懸念されるが、実際の介入は起こらないだろう。ECOWASとその支援者たちが、クーデター直後の興奮冷めやらぬ日々において、公衆の支持が不確かで軍の安定性が未知数だったときでさえ、ニジェールの国境を越えることに消極的であった。今、公衆の支持は明らかであり、チアニと暫定政府の権威が固まっているときになぜその危険を冒すことがあろう?

 奇妙なことに、ECOWASとその西側支援者は、彼らの強硬なクーデター反対姿勢がニジェールの軍部指導者が権力を固めるのに役立っていることに気付いていないようだ。クーデターは国民の支持を得ており、権力掌握後の最初の世論調査によると、回答者の78%が支持している。ロイターの記者は、「(首都)ニアメの住民は・・・クーデターを強く支持し、マリとブルキナファソと連携することで、イスラム過激派との戦いにおいて、これらの3つの国を強化するだろう」と報じている。外国の侵略の脅威は、逆にクーデター支持者をさらに増やすことになるだろう。

 侵略の脅しは、ロシアが同地域のソフト・パワーを地域で増加させるのにも役立っており、これは西側諸国の政府が明らかに非常に懸念していることだ。米国、ヨーロッパ、ECOWASからの力任せの声明とは対照的に、クレムリンは「ニジェール共和国の状況を平和的な政治的および外交的手段だけで解決する重要性」を強調した。マリの指導者であるアシミ・ゴイタとウラジミール・プーチンの会談の後、ゴイタはX(以前はTwitter)に投稿し、ロシア大統領が「より安定したサヘル地域のための状況の平和な解決の重要性」を強調したと述べた。

プーチン大統領とは電話で会話しました。私たちはニジェールの状況について話し合いました。彼は、より安定したサヘル地域の平和な解決の重要性を強調しました。pic.twitter.com/po6U2meRw1
2023年8月15日、アシミ・ゴイタ大佐(@GoitaAssimi)

 それにもかかわらず、侵略に関する議論は続いている。そんなことをしてもニジェール軍の権力掌握を強化するだけだろう。例えば、ゼレンスキー政権はウクライナ侵攻の際に非常に不人気だったが、ウクライナ人は勇敢に戦い、巨大な犠牲を払った。ニジェール人も同様に行動する可能性があるのは理にかなっていないだろうか。特に、ニジェール政府は、実際、多くの人々から支持され、マリやブルキナファソなどの地域関係国によって支持されているのだ。

 さらに、反西側で親ロシア的な軍事政府が選挙の枠組みを超えて権力を握ったのに、なぜその軍事政府に人気があるのかという疑問は追求する価値がないだろうか? 西側諸国政府は、なぜチアニやマリのゴイタ、あるいはブルキナファソのイブラヒム・トラオレの言辞がこの地域の多くの人々の共感を呼ぶのか、興味を持たないのだろうか? 彼らは、NATOによるリビアの破壊がこれらの国々でジハード主義的な反乱に火をつけたことを知っているのだろうか? アメリカ、フランス、そしてカナダなどの国々は、植民地主義の歴史や政治的干渉の歴史、この地域での大規模な軍事力、多くの国民から嫌われている政府の支援、そして金やウランなどの資源を数十億ドル単位で私物化しており、普通のニジェール人、マリ人、ブルキナベ人が極度の貧困に苦しんでいる現実があるから、反西側的感情が高まっているのだという責任を感じないのだろうか? 答え:責任を感じていないことは明らか。


地域的な分裂と反帝国主義的な転回

 ニジェール、マリ、そしてブルキナファソと、一方でECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)と西側諸国との間の敵対関係は、数年にわたり醸成されてきた。マリとブルキナファソはクーデターの後、欧州とアメリカの影響力を排除していた。一方、ニジェールはアメリカやフランス、ドイツを含むヨーロッパからの兵士たちを歓迎した。ニジェールが西側の軍隊を受け入れる一方で、マリはヨーロッパ資金によるG5サヘル組織から離脱する決断をした。

 サヘルG5は、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、モーリタニア、そしてチャドの間で反ジハード主義軍事部隊の協調を図るために設立された。この組織は主に西側の計画であり、欧州連合(EU)の資金援助を受け、フランスの支援を受けて設立された。しかし、一部の西アフリカ諸国がより独立心を強めるにつれて、組織は綻び始めた。

 2021年にマリの軍隊が権力を握った後、フランスは、チャドが組織の議長職をバマコに譲るのを阻止するためにサヘルG5に干渉したとされている。たとえフランスがマリへの干渉に関与していなかったとしても、マリの指導者たちはこの出来事をそんな風に解釈しており、研究者のブバカル・ハイダラも同意している。「フランスの影響がこの議長職移譲の拒否の背後にあるのを見逃すのは難しいでしょう」と彼は述べた。

 これらの内部分裂と、それらを煽ったとされるフランスの影響で、サヘルG5は衰退することになった。2022年5月、西側の支援を受けていたバズム大統領ですら「G5は死んだ」と宣言した。

 フランスのバルカン作戦(2014年から2022年)は、反フランスの反乱の最中にその地域から撤退した。欧州連合のタクバ特別部隊(2020年から2022年)も同様の運命を辿った。そして、2014年に設立されたサヘルG5は実質的に消滅した。これらの西側支援の取り組みがもたらしたものは何か?危険性がさらに高まり、不安定さがさらに増幅したことだ、とマリック・ドゥクーレは説明している:

ワガドゥグ(ブルキナファソの首都)の出発前、私はこの首都が非常に安全な都市であると知っていました。ジハード主義的なテロのことは誰も心配しておらず、これはブルキナベ社会のあらゆる部分と階級に当てはまる事実でした。しかし、[前独裁者ブレーズ] コンパオレの失脚に続く不安定さの中で、ボコ・ハラム、ジャマアット・ナスル・アル・イスラム・ウァル・ムスリミン、アンサール・ディーン、アンサール・ウル・イスラム、そして大サハラのイスラム国などの過激派が、首都への攻撃や非武装の農村住民への見境ない虐殺を行いました。この紛争は2015年以来、1万人以上の命を奪い、140万人以上を避難させ、ホテルやカフェへの銃撃と車爆弾によって国中に衝撃を与えました。爆発物にぶつかり、学童を乗せたバスも爆破されました。外国の大使館やレストランも標的にされています。都市の外では、地元の市場や農村を標的にした襲撃で何百人もの男性、女性、子供が殺されています。

安全情勢は、実に壊滅的な段階まで悪化しました。貧困は過激主義を育む要因なので、数十年にわたりフランスによって維持されてきた新植民地主義的な超過剰経済体制は、確かにその責任の相当な部分を負っていると言えます。しかし、劣悪な指導体制も、既に深刻な状況を、さらに悪化させています。2021年11月、北部の町イナタ近くの治安拠点への大規模なジハード主義者の襲撃によって、49人の兵士が命を落としました。これらの兵士は、報道によれば極端に報酬が少なく、(選出されたロッホ・マルク・クリスチャン)カボレ政府からの適切な供給を受けていませんでした。西アフリカの市民の間での怒りや不人気は一つです。2010年以来20回以上のクーデター未遂がある地域で、軍隊に怒りや不人気を蓄積させることほど危険なことはありません。カボレ大統領は、わずか2か月後の2022年1月にダミバ中佐によって権力の座を追われました。
(ドゥクーレの引用終わり)

 ダミバは、悪化する安全保障と経済状況を食い止めることに失敗した。そのため、2022年9月に35歳の大尉イブラヒム・トラオレ率いるクーデターによって追放された。トラオレは西側諸国からの軍事援助を拒否し、反乱軍の手に落ちている国土の40%を取り戻すために総動員を命じた。また、トラオレは首相にアポリネール・ジョアシャン・キエレム・ド・タンベラを任命した。タンベラはマルクス主義者であり、汎アフリカ主義者であり、1980年代にトマス・サンカラが社会主義を築く取り組みを支持していた。タンベラは今でもサンカラの示した国の展望を支持し、「ブルキナファソはトマス・サンカラが築いた道を外れて発展することはできない」と宣言している。

 トラオレは反帝国主義的政策を推進した。反帝国主義的政策は「特に民衆に人気があり、彼らの間では元植民地支配国に対する反帝国主義的な感情が長らく存在していた」ことが証明されていたからだ。ドゥクーレは次のように書いている:「フランスは国を貧困に陥れ、ブルキナファソでは多くの人から『国の父』と見なされているトマス・サンカラを暗殺した」。

 この地域の歴史を理解している人ならば、なぜ西アフリカ諸国で反帝国主義的な見解が広く共有されているのかを理解できるだろう。反帝国主義の言葉を話す政府がなぜ多くの支持を集めるのかも理解しやすい。そして、西アフリカの軍事指導者が、本当に反帝国主義の主張に真摯であるかどうかは別にして、彼らが国民に非常に人気があることは明白だ。

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ニジェールのM62運動の支持者たちは、外国軍の国外撤退を求めるデモに参加。


ニジェールにおける大衆運動の役割

 ニジェールでは、アブドゥライ・セイドゥに率いられるM62運動を含むいくつかの大衆運動がクーデターを支持する意向を表明している。M62運動は、フランス軍の存在やフランスの新植民地主義に反対するだけでなく、ニジェールに課せられた厳しい社会経済状況にも反対している。そして、その状況は多くの読者が想像するよりも厳しいものだ。新植民地主義になって数十年後、ニジェール人の40%以上が1.90ドル未満の生活を送っている。フランスやカナダの企業は毎年数十億ドルの利益をこの国から搾り取っているのに、だ。

 M62のニアメの事務所は、1983年から1987年の社会主義時代の伝説的な革命指導者であるブルキナファソの指導者トマス・サンカラにちなんで名付けられている。セイドゥはサンカラを自分の「崇拝の対象」と表現している。

 アイリッシュ・タイムズ紙がセイドゥへのインタビューのためにニアメを訪れた際、M62の事務所にはサンカラ、フランツ・ファノン、そしてネルソン・マンデラの写真が飾られていると同紙は報じた。ファノンの写真には「各世代は相対的な闇から使命を見出し、それを果たすか、裏切るかをする必要がある」という彼の言葉が添えられている。また、マンデラの言葉:「自由は決して当然のものとして受け取ることはできない。各世代はそれを守り、拡大しなければならない」も添えられている。

 セイドゥのアイリッシュ・タイムズ紙へのインタビューは、一般的なニジェール市民の苦闘と意見についての重要な洞察を提供しており、彼らの大部分は7月26日のクーデターを支持していることを表明している:

セイドゥは何度も、フランス軍が「国内で混乱を引き起こそうとしている」と非難。また「長い間兄弟だった国」であるマリとの対立を「作り出そうとしている」とも述べている。

M62も生活費の高さに抗議していたと彼は述べている。「今やすべてが値上がりしています・・・生活費は非常に、非常に、非常に高くなってしまいました。燃料価格を上げ、それから油、野菜、米などすべての製品の価格も上げました・・・。だから私たちは政府に対してこれらの価格を引き下げるよう闘っているのです」。

彼は、ニジェール政府は物価を引き上げてより多くの税金を得ているが、「教育、健康など国を前進させることができる他の分野にはそれを使っていない」と非難した。

そして彼は、フランスも一部の責任があると述べた。「まるで(フランス軍)が保護者になって、政府が搾取したり、好き放題のことができるようになっているようです・・・現在でも国内に治安はまったくなく平和もまったくありません」。

彼はまた、2021年末にニジェール西部のテラで数人が死亡したことに言及した。これは、抗議者がマリに向かう途中のフランス軍の車列に立ち向かった際に起こった出来事だ。「(結果的に)何も起こらなかった。まるで彼らは人間でないかのよう、あるいはこの国の国民でないかのようです」とセイドゥは述べた。

セイドゥは、人々が抗議をおこなうことが許されていないのに驚いていると述べた。「この運動は平和的な運動です。(バズム)政府は非常に恐れています・・・ほとんどの人々、国民は私たちを支持しています。まるで大衆運動のようです」と彼は述べた。
(セイドゥの引用終わり)

 西側諸国がしばしばその地域における唯一の民主主義の拠り所と形容してきたモハメド・バズム政権下で、M62の抗議活動力は厳しく制限された。実際、アイリッシュ・タイムズ紙とのインタビューの翌日、セイドゥはバズム政府によって逮捕された。彼に対する最初の告発は「公共秩序を損なう可能性のある情報の発表」だった。その告発は取り下げられたが、彼が裁判所を出る際、再び逮捕され、「ニジェールのセイ地域における金鉱の小屋の焼失に加担したとして告発され」たのだった。

 セイドゥは、重警備刑務所に移送され、そこに拘留されたが、チアニ政権が8月15日に彼を解放した。M62もこの決定を歓迎した。M62の事務総長、サヌシ・マハマンは、セイドゥの釈放に対して次のような声明を出した:「ニアメ控訴裁判所は、我々の同志アブドゥライ・セイドゥに対し9ヶ月の懲役刑を宣告した高等裁判所の決定を取り消しました・・・私たちは常に、アブドゥライ・セイドゥの拘束は恣意的な決定であると述べてきました・・・始めから終わりまで計画的に仕組まれたものだったのです」。

 セイドゥが刑務所から解放されたその日、アメリカはクーデター政権によるバズムの起訴を声高に非難した。アメリカ政府の声明はこうだ:「(バズムの起訴)はまったく正当化されるものではなく、道理にかなっていません・・・これは、私たちの意見では民主主義と正義、法の支配への尊重に対する更なる侮辱です」。

 マリとブルキナファソでは、M62のような市民社会団体が、フランスの新帝国主義、西洋の帝国主義、国内の貧困といった問題に取り組んでおり、例えばマリのYerewoloや、ブルキナファソの全国市民社会機関連絡協議会などが挙げられる。これらの団体は、M62と同様に、自国の軍事政府の反帝国主義的な志向を支持している。


反帝国主義の亡霊

 ニジェールのクーデターは、ギニア、マリ、ブルキナファソのクーデターよりも西側諸国のメディアで遥かに注目されている。なぜか? 明白な答えは、バズムのニジェールがその地域における西側軍事的影響の最後の拠点であり、フランス、アメリカ、そしてカナダなどの大国が、制裁や侵攻の脅しでチアニ政権を転覆させる可能性に必死に固執しているからだ。しかし、考慮すべきは大陸的な文脈もある。

 最近のBreakThrough Newsというメディアのインタビューで、アメリカの活動家ユージン・ピアーより、アフリカの伝統的なエリート層は反西側クーデターの可能性に恐れを抱いていると語った。これらのエリートは、外国の資本とアフリカの労働力の「仲介役」としての地位を享受しており、特権的な立場から、自国民の困窮を背景に莫大な富を蓄えている。その上、彼らは西側の支援を受けた軍隊や警察が現状の変革を求める民衆蜂起を抑え込むことを約束している。

 ニジェールでのクーデターは、これらのエリート層の誤った安心感を打ち砕いた。まるでどこからともなく、ワシントンの西アフリカにおける有望な人物が打倒され、投獄された。同時に、ニジェールの新しい指導層は、自分たちに押し付けられた制度的貧困にうんざりしている幅広い市民の支持を歓迎したのだ。外国資本家や国内のエリートたちは、対照的に、ますます金持ちになっている。これは他のアフリカの指導者たちを揺さぶるに十分な出来事だっただろう。

 以上の分析のいずれも、西アフリカの軍事指導者の政治的性格について読者を誤解させることを狙っているわけではない。彼ら軍事指導者たちは、みんな、反植民地主義と反帝国主義の言葉を口にするが、社会主義的な方針に急激に経済を再編する計画を発表しているわけでない。ある意味では、これは理解できることだ:国土の広大な領域が反乱勢力に支配されている状況では、軍事的な問題が自然と他のすべての問題よりも優先されるからだ。しかし、別の角度から見ると、これは懸念される点でもある。反帝国主義への転換が、不満を抱える人々の支持を動員するため、主に修辞的なものである可能性があるからだ。

 これらのクーデター政権の政治的志向がどうであろうと、西側とアフリカ大陸内の同盟国が激怒していることは明らかだ。また、特にニジェールの場合、クーデターは新植民地主義の犠牲者である不遇で貧困な人々に言葉を投げかけている。先のことはわからない。しかし、現時点では、ワシントンとその同盟国は怒りと不安に震えている。


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オーウェン・シャルクはマニトバ州出身の作家です。カナダのアフガニスタン戦争における役割に関する彼の書籍が、9月にロリマーから発売される予定です。こちらから予約購入が可能です。彼の著作をもっとご覧になりたい方は、http://www.owenschalk.com
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工作員ゼレンスキー:ウクライナ・オン・セール

<記事原文 寺島先生推薦>
Agent Zelensky: Ukraine on Sale
筆者:マンリオ・ディヌッチ(Manlio Dinucci)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年8月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月25日





 「ゼレンスキーは汚職に対する戦争を再始動させている。汚職や戦争で富を成す人々は絶対に許さない」:この見出しは、イタリアの日刊紙ラベニール(L’Avvenire)が出した記事の題名だ。この題名からは、何の特権も受けず、汚職と戦う質素で正直な大統領であるという印象をもつ。

 この姿こそが、大手の政治関連報道機関全体が伝えている姿なのだが、それをスコット・リッターのドキュメンタリー「工作員ゼレンスキー」は打ち砕いている。


 諜報活動の専門家として米国海軍での従軍体験があるスコット・リッターは、1991年~1998年にイラクで国連の捜査官の主任を務めていた際、知的な誠実さと勇気の持ち主であることを証明した人物である。当時リッターは、イラクは大量破壊兵器を所有していない、と結論付け、2003年のイラク戦争に対する反対意見を公表した。

 リッターの調査ドキュメンタリー映像によると、ゼレンスキーと関係者らが海外のタックスヘブン(租税回避地)で複数の会社を設立したが、その費用は、「ゼレンスキーの操り主が提供した準備金を利用した」ものであり、その頭金は4100万ドル(約60億円)だった、という。



 このドキュメンタリー動画が示していた、ゼレンスキーが所有している贅沢な別荘があるのは、マイアミ(建物だけで3400万ドル(約50億円))、イスラエル、(イタリアの) フォルテ・デイ・マルミ、ロンドン、グルジア、ギリシャ、そしてクリミア(この別荘だけは正しくない投資だ。すでにゼレンスキーの所有物ではないので)だ。

 さらにスコット・リッターのこの調査により否定された偽情報は、ロシアがウクライナの穀物を破壊したため、アフリカ諸国が飢饉に苦しめられているというものだ。本当のところは、カーギル社などの農産業多国籍企業がウクライナのもっともよい土地を手に入れ、そこで生産された穀物を、商業戦略に利用しているのだ。米国の計画は、欧州の食の安定供給を減じることで同盟諸国をより強く管理し、これらの多国籍企業の枠組みの中にとりこもう、というものだ。



 このドキュメンタリーが明らかにしたことは、ウクライナは土地を奪われ、ゼレンスキーやゼレンスキーの多国籍の関係者らにより買い叩かれているだけではなく、借金がどんどん増えている、という現状だ。ウクライナが米国や主要欧州諸国から受け取っている膨大な軍事支援は贈り物ではなく、付け払いだ。したがってウクライナは、すでに多額の外国からの借金が積み重なっており、その支払いには何世紀もかかることになるだろう。この借金は、ゼレンスキーが世界最大の投資会社である米国のブラック・ロック社に任せた「再建」によりさらに膨らんでいくだろう。
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ウクライナ領内での米国による生物兵器開発

<記事原文 寺島先生推薦>
Military-Biological Activity of the United States on the Territory of Ukraine
出典:INTERNATIONALIST 360°   2023年8月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月25日





ロシア連邦放射線・化学・生物学的防衛部隊長イゴール・キリロフ中尉による米軍生物兵器開発に関する記者会見から(2023年8月16日)
 
 ロシア連邦国防省は、米国とその同盟諸国によるウクライナやその他の国々での軍事生物研究の分析を継続しています。

 以前の報告のとおり、米国の軍事生物研究は、世界中の多くの国々にとっての脅威となっています。



 米国のこの研究計画の表向きに伝えられる目的は、疫病の発生を監視し、発展途上諸国に支援を提供するためだ、とされていますが、実際のところは、国防総省が BTWC(生物兵器禁止条約)のもとで国際的に従わなければならない規制から回避する形で、軍民両用の研究を際限なくおこなっている状況があります。



 米国軍部の計画の主要目的は、生物兵器になりうる病原体の研究です。具体的には、炭疽菌、野兎病、種々コロナウイルス、さらには経済的に重大な感染を起こす病原体である病原性鳥インフルエンザやアフリカ豚熱です。

 明白な流れがあります。それは、Covid-19や鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱など国防総省が関心を示していた病原体が、その後に界的流行を引き起こし、米国の製薬諸業者がその恩恵を受ける、という流れです。

 以前、米国国際開発局(USAID) が新型コロナウイルスの発生に関わっている可能性がある、と報告しました。

 エコヘルス財団という仲介組織がこの病原体の研究計画導入における主要な役割を負っています。2015年以来、この財団の専門家らがコウモリの生息数の多様性について研究し続けており、コロナウイルスの新しい菌株や動物からヒトへの感染の仕組みを調査してきました。総計2500を超える病原体が調査されてきました。

 新型コロナウイルスの感染が中国で報告される2ヶ月前の2019年10月18日に、ジョン・ホプキンス大学がニューヨークでイベント201という演習をおこなった、と記憶しています。

 この演習は、これまで知られていなかったコロナウイルスの流行を想定していて、その筋書きによると、豚を媒介にして、コウモリからヒトにウイルスが感染した、というものでした。

 この筋書きでパンデミックが進展するという想定は、エコヘルス財団による計画の導入という点も含めて、Covid-19が意図的に放出されたかもしれない、そしてこの件に関して米国の関与があるのでは、との疑問を引き起こします。

 世界規模での生物研究の統率(とうそつ)権を打ち立てる戦略的計画実現のための米国による次の一手が、「疫病の世界的流行の準備及び対策局」の創設でした。



 同局の創設が正式に発表されたのは、2023年7月21日、大統領官邸のサイト上でした。

 この新しい組織が責任を持つのは、既知あるいは未知の生物学的脅威に対して対処法を定め対策を打ち出すことだとされました。その脅威の中には、世界規模で緊急事態を引き起こすような新たな病原体も含まれます。

 同局が優先的に取り組む課題には、ウイルスやその変異体を緩和するワクチンや薬品の研究及び生物生産における最新技術の導入も含まれます。

 大統領補佐官及び国家安全保障会議の世界健康安全保障・生物防御部の上席課長である米国のポール・A・フリードリヒス退役空軍少将が、この局の長をつとめることになるそうです。したがって、2019年と同様に、米国はウイルスの変異を探すことにより、新たな世界的流行の準備を既に始めているのです。米国がいわゆる防衛のための技術を攻撃する目的で使用しない、とは言いきれません。さらには、世界を統治するという目的で、生物学上危険な状況を作り出すこともないとは言えません。

 そのような意味合いで、大統領官邸は新たな政府機関を立ち上げ、同時に米国の不法な生物学研究についての世界各国からの懸念をしずめようともしているのです。



 米軍感染症研究所の所長は、現在コンスタンス・ジェンキンス大尉がつとめていますが、この研究所が、軍部の生物兵器計画において主要な役割を担うことになるでしょう。

 気をつけておくべきことは、この研究所は、生物兵器関連施設があるフォート・デトリック基地で設立され 、生物学上の安全基準段階が最大の4段階(BSL-4)研究室があることです。

 この研究所は、国防総省が設立した電子による疾病監視総合体系(EIDSS)の主要部になります。

 特殊軍事作戦中に入手した文書からわかったことは、この研究所が、世界の様々な地域での危険な病原体の収集や未登録の種々の薬品や軍民両用の計画の導入に直接関わってきたことです。そしてそれらの行動を命じていたのは米国防省国防脅威削減局(DTRA)でした。

 米陸軍感染症研究所は、ウクライナでの米国の生物学研究に関わってきました。したがって、この研究所の代表者たちは、積極的にUP-1やUP-8という暗号名で呼ばれていた作戦を積極的に行ってきました。これらの計画においては、節足動物を媒介に使い、リケッチアやダニ媒介性脳炎ウイルス、コンゴ・クリミア出血熱、ハンタウイルスを広める可能性についての研究をおこなっていました。

 この研究所の代表者たちは、南アフリカ、アフリカ、トランスコーカシア、東南アジアで積極的に活動しています。海軍の医療研究施設やウォルター・リード陸軍研究施設が、この研究に試用されています。

 2014年から2016年のウガンダ、ケニア、ギニア、リベリアでのエボラ熱の流行により、アフリカ諸国での米陸軍の感染症研究所の駐在人員数が大幅に拡大され、恐ろしい病気の生きているウイルス標本を手に入れました。

 したがって、この研究所の生産および実験基地が各地にできたことで、生物学的な現状を世界規模で監視することが可能になり、恐ろしい病原体を使った軍が取り組む研究を最大限に実行できるようになったのです。具体的には、生物兵器の研究であり、その中には人や動物の危険な病気の病原体の病原特性を強化する研究も含まれていました。

 ロシア連邦の国防省は、ウクライナ軍による生物研究の拡大を許可する書類を認可する文書を入手しています。



 今日、ウクライナ国家機関や複数の私企業の代表者らが載せられた一覧表について追加補足を行います。これらの人々は、米国の軍による生物研究計画の導入に関わっていました:具体的には、

ナターリア・デュードゥコ。STCU(ウクライナ化学技術センター)の管理・運営係で主任技術官。25年間、様々な科学分野における250件以上のSTCUの計画を管理してきた。

 リュードミラ・チェルネンコ。ウクライナ保健省の公共保健センター長。米国が資金提供した研究計画に参加したウクライナ側の専門家一覧の中に名を連ねています。

 アレクサンドル・マツコフ。ウクライナ保健省公共保健センター副センター長。米国が資金を出したCovid-19に関する軍民両用研究計画の導入全般を監督しました。

 ロシア国防省は、生物工学関連企業の重役らや国防総省と契約していた人々の名前を今後も公表し続けます。これらの人々が、ウクライナ領内で米国の軍事・生物研究計画の導入に関わっていました。


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ロバート・F・ケネディ・Jr が、ウクライナの米国生物研究所を問題視

<記事原文 寺島先生推薦>
Kennedy comments on US biolabs in Ukraine
出典:RT  2023年8月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月24日



スクリーンショットによる © Twitter / @TuckerCarlson


国防総省は生物兵器研究のために他の国々を利用していたとロバート・F・ケネディ・Jr.がタッカー・カールソンに語る

 米軍は、2014年のキエフ・クーデター後のウクライナ政府に、生物兵器研究の一部を外部委託していた、と民主党大統領候補への出馬を宣言しているロバート・F・ケネディ・Jr.が、取材で答えた。

 「我が国がウクライナに生物研究所を保有しているのは、生物兵器開発のためです」とロバート・F・ケネディ・Jr.は、X社(前身は「ツイッター社」)上で投稿された月曜日(8月15日)の夜の番組での長時間の対談の中で、独立系ジャーナリストのタッカー・カールソンに語った。同氏の説明によると、1970年代に米国は生物兵器禁止条約に署名しているが、9/11のテロ攻撃後に採択された愛国者法により、国防総省はそのような研究の再開が許された、という。

 ケネディ・Jr.によると、生物兵器計画は、「生命科学」研究という隠れ蓑のもとに実行されてきた、という。一例をあげると、ウイルスやそれ以外の病原体に関する機能獲得実験が、アンソニー・ファウチ博士が最終監督者として実施されてきた。同博士は1984年から2022年まで国立アレルギー感染症研究所の所長を務めた人物だ。

 近代の生物兵器は、「恐ろしいもの」であり、CRISPR*のような遺伝子組み換え作業により作られている、とケネディ・Jrは述べた。さらに同氏は、2014年にこれらの「虫(bug)」が米国の複数の研究所から漏洩した際、オバマ政権は機能獲得研究を禁止したため、ファウチ博士がその研究を海外に移転させた、とも付け加えた。
*CRISPRとは「Clustered regularly interspaced short palindromic repeats」の略で、細菌のDNAにある繰り返し配列のこと。CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)とは、DNAの二本鎖切断を原理とする遺伝子改変の道具です。部位特異的ヌクレアーゼを利用するゲノム編集方法の中でも、簡便で安価という特長がある。

 「その多くがウクライナに移転されました」とケネディ・Jr.はカールソンに語った。また、その研究の一部が中国武漢に移転された、という。武漢は、Covid-19の世界的流行の発生地と考えられている地域である。これらの研究の大部分は、国防総省やUSAID(合衆国国際開発庁)により資金提供されていたが、同氏はこの研究を「CIAの代理業」だ、とした。



 米国は、ウクライナの生物研究施設についての主張を「ロシアによる宣伝行為である」としてずっと否定してきたが、2022年の上院公聴会で国務省高官であるビクトリア・ヌーランドがその存在を明言した。国防総省は、この研究は不法でもなく、軍事目的の意図はない、と主張し続けている。

 ロシア軍は、米国がウクライナの諸施設で「生物兵器の原料」を作っていた証拠を発見した、とイゴール・キリロフ中尉が今年の上旬、モスクワで国会議員たちに証言した。


Read More: Kennedy shares opinion on key US mistake with Russia

 さらにケネディ氏がカールソンに語ったのは、米国民がウクライナでの戦争に関して「嘘をつかれて」おり、2014年のキエフでの武力政変におけるヌーランドの役割や「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」がNATO拡大を目指していたことを指摘し、ロシアとの戦争は、米国側がずっと計画してきたことだ、と主張した。

 ウクライナでは、「代理戦争がおこなわれていますが、その真の戦争は2つの超大国であるロシアと米国間の戦争です」とケネディは述べた。ケネディは、2022年4月に和平交渉を妨害したとして米国を非難した。米国は、当時の英国のボリス・ジョンソン首相にキエフを訪問させ、ウラジミール・ゼレンスキー政権に、和平交渉には応じないよう伝えさせていた、という。

 ケネディ氏は、その結果「35万人のウクライナ国民と4~5万人のロシア国民が亡くなりました」と述べた。

 ロバート・F・ケネディ・Jr.はジョン・F・ケネディ第35代大統領の甥であり、ロバート・ケネディの息子だ。ロバート・ケネディはJFK政権下の司法長官であり、後に上院議員となった。両兄弟とも暗殺によりこの世を去った。JFKは1963年、RFKは1968年、大統領の予備選挙中に暗殺された。ロバート・F・ケネディ・Jr.は、 民主党内の候補予定者や現職のジョー・バイデン大統領と、大統領指名候補の座をかけて争っている。
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MI-6、テロ行為を起こすために「ウクライナ・ナチ・グラディオ死の部隊」をアフリカに派遣

<記事原文 寺島先生推薦>
MI6 to Send Ukraine-Nazi Gladio Death Squads on Terrorist Missions to Africa
出典: INTERNATIONALIST 360°  2023年8月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月24日




(訳者から:本文中の斜字体は、引用箇所)

 「英国の特別機関により形成されたウクライナの部隊が、アフリカの生活基盤施設に対する妨害攻撃を実行し、ロシアとの協力体制を目指すアフリカ諸国の指導者らを暗殺することになるだろう」とその情報筋は答えた。

 英国の諜報機関MI-6は、ウクライナの国粋主義勢力の100人の民兵からなる妨害部隊を、アフリカでの工作のために準備した、と軍・外交関係の情報筋がタス通信に語った。

 「数名の情報源から確認を取った情報によると、英国の特殊機関MI-6 が、アフリカ大陸で動くための妨害および暗殺部隊を立ち上げ、準備したという。この部隊は、ウクライナの国粋主義者およびネオナチ勢力の構成員からなり、アフリカ諸国とロシア間の協力体制を阻害しようとするものだ」とその情報筋は述べた。

 この情報筋によると、ウクライナ政権は7月、同国の国家保安庁であるSBU、軍の諜報機関であるGURと国防省に、MI-6と英国の特殊部隊であるSASを支援する使命を課し、「東の前線」の戦闘体験を幅広く持つウクライナの国粋主義勢力から100人の民兵を選ばせた。そしてこの指令は、英国政府からの要求によりなされた、という。

 「英国の特殊機関により立ち上げられたウクライナの部隊の使命は、アフリカの生活基盤施設に対する妨害攻撃や、ロシアと協力体制を目指すアフリカ諸国の指導者らの暗殺になるだろう」とこの情報筋は語った。

 「ウクライナ国防省のGUR(ウクライナの諜報総局)のV.プラシュチュク中佐が、ウクライナの殺人部隊の司令官に任命された」とこの情報筋は付け加えた。

 ビタリー・プラシュチュク中佐は1980年にウクライナのヴィーンヌィツャ州で生まれた。同中佐は2014年から2016年まで、妨害および偵察部隊の司令官として、ドネツク州とルガンスク州の戦闘に参戦した。

 2015年、プラシュチュク中佐は海上作戦第73センターに配属され、2017年までウクライナ国防省諜報総局(GUR)の局員をつとめた。同中佐はジンバブエでのGURおよび英国諜報機関合同作戦にも参加した。

 プラシュチュク中佐は2019年に現役軍人を引退した。その後、ウクライナの国会であるヴェルホーヴナ・ラーダの議員に選出された。ウクライナでのロシアの特殊作戦が始まった際、同中佐はGURの予備役将校となった。

(以下はタス通信社の記事からの引用)

MI-6はウクライナの妨害部隊をアフリカに派遣する準備

MI-6という名で通っている英国の機密情報機関が、100人のウクライナ民兵からなる妨害部隊を準備し、ロシア・アフリカ間の協力体制に対抗すべく、アフリカに派遣予定だ、と軍・外交の情報筋が述べた。

 この情報源はさらに、2023年7月に英国政府から指示を受けたウクライナ政権が、ウクライナの国家安全保障機関とウクライナ国防省諜報総局(GUR)に命じ、「英国の諜報機関MI-6とSAS特殊部隊の代表者らに対して最大限かつ迅速な支援をおこなうため、ウクライナ国家軍から『東部戦線』において豊富な戦闘体験をもつ100名の兵を選出」させた、ことを伝えた。

 アフリカに配属されるこの部隊の主要な使命の一つは、「アフリカ諸国の生活基盤施設の妨害、ロシアとの協力を求めようとするアフリカ諸国の指導者の暗殺」がある、とその情報筋は付け加えた。

 この部隊がアフリカに派遣される際は、「一般船舶を借り上げ(ウクライナの)イズマイール港から(スーダンの)オムドゥルマン市に8月の後半に派遣となる予定だ」と同情報筋は述べた。

 GURのビタリー・プラシュチュク中佐は、「敵の一掃に成功した」体験をもち、ジンバブエでのMI-6による工作活動に参加した経歴を持つが、この中佐が、この部隊の長をつとめることになる、とこの情報筋は語った。

 ヴィーンヌィツャ州出身者であるプラシュチュク中佐は、2014年から2016年まで、妨害および偵察部隊の司令官として、ドネツク州とルガンスク州の戦闘に参戦した経歴を持ち、その際「敵の掃討に成功した」体験が何度かある、という。2015年、同中佐は海上作戦第73センターに配属され、2017年まで諜報活動に携わった。総局(GUR)の局員をつとめた。同中佐はジンバブエでのGURおよび英国諜報機関合同作戦にも参加した。

 プラシュチュク中佐は2019年に現役軍人を引退した後、ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナの国会のこと)の議員に、ウラジーミル・ゼレンスキーの「国民の僕(しもべ)」党から選出された。ウクライナでのロシアの特殊作戦が始まった際、同中佐はGURの予備役将校となった。

 昨年11月、独立系通信社であるグレー・ゾーンがいくつかの文書や通信を引用して、英国の諜報員らがウクライナの国家保安庁と合意文書を交わし、ウクライナの「ゲリラ・テロ部隊」に訓練を施し、クリミアでの妨害活動を組織した、と報じた。

 「ゲリラ」部隊の創設を提唱していたその人々が、クリミア橋攻撃の計画を練った責任者だった:具体的には、NATOのクリス・ドネリー事務総長特別顧問、英国対外諜報機関 (MI6)のガイ・スピンドラー、リトアニアのアウドリウス・ブトケヴィチュス元国防相だ。
 
 当初、これらのウクライナ国民は西ウクライナのリヴィウ州ヤヴォリウ訓練場で訓練がおこなわれるとされていた。その後、これらの戦闘員たちはギリシャとポーランドで訓練されることが決まった。

 2011年以降、英国の特殊部隊はウクライナとロシアを含めて、少なくとも19カ国での秘密作戦に関わっている、という研究結果が5月にロンドンを拠点とした非営利組織である「軍による暴力行為に対する行動(AOAV)」という組織から出された。

 ウクライナにおいて、英国の工作員らは偵察活動や、ウクライナ軍の戦士たちの訓練を、米国の諜報諸機関とともにおこなってきた、とこの文書の書き手たちは記した。英国の特殊機関による機密作戦に関するこの基礎資料から浮かび上がる疑問は、これらの活動に透明性や法的正当性があるのかという問題である、とこの組織は記した。

 AOAVによると、英国の特殊部隊が秘密裏に動いている国々には、エストニア、イラン、リビア、パキスタン、ロシア、ウクライナがある。さらに、英国の特殊部隊が訓練を施しているのは、オマーン、トルコ、サウジアラビアだという。英国の特殊部隊が動いている国々を完全に網羅した一覧表は、もっと長いものになるだろう、とこの非営利組織は付け加えた。
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「科学界は腐敗している。気候変動などない」:ノーベル受賞者ジョン・F・クラウザー博士が「世界気候宣言」に賛同

<記事原文 寺島先生推薦>
“Dangerous Corruption of Science. There is No Climate Crisis”: Nobel Prize Winner Dr. John F. Clauser Endorses “World Climate Declaration”
出典:クリンテル(Clintel:Climate intelligence Foundation:気候考察協会)  2023年8月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月24日





 2022年に量子力学での研究によりノーベル物理学賞を受賞したジョン・F・クラウザー博士が、クリンテルが出した世界気候宣言に署名した。この宣言の主眼は「気候変動は存在しない」というものだ。クラウザーはこの宣言に署名した二人目のノーベル賞受賞者だ。一人目は、アイヴァー・ジェーバー博士だ。世界気候宣言に署名する多くの科学者や専門家が急激に増えており、現在1600名に達している。

 クラウザーは気候変動警告主義からは距離をとっていることを公言しており、さらに今年、同博士は二酸化炭素連盟の重役会議にも加わった。二酸化炭素連盟による声明のなかで、クラウザー博士からの以下のような引用がなされた。「気候変動に関する広く流布している説明は、科学界の危険な腐敗を反映しており、世界経済や何十億もの人々の幸福に脅威を与えるものです。間違った方向を向いている気候科学が大規模な報道に煽られ、似非(えせ)科学におちいってしまいました。そうして似非科学が、この現象とは無関係な様々な悪い兆候の理由の逃げ道にされてしまったのです。この似非科学が推進され、拡大されてきたのは、同じように人々を間違った方向に導こうという事業市場関連の人々や政治家、記者、政府機関、環境活動家たちです。私の意見を言わせてもらえば、気候危機など存在しません。世界の多くの人口に真っ当な暮らしを提供することに関する問題やそれに関連するエネルギー危機問題は確かに存在します。私が思うに、このエネルギー危機が、間違った気候科学により必要以上に誇張されているのです。」

 7月、クラウザー博士は2023韓国量子力学という催しで講演をおこなった。 同博士が聴衆に警告したのは、似非科学と偽情報の広がりが拡大している現状についてだった。

 「いま、私だけが似非科学が蔓延している状況を見ているわけではありません。先日、ノーベル財団が、この問題を話し合う、情報環境に関する国家間協議会という新しい協議会を立ち上げました。国連の気候変動に関する国家間協議会(IPCC)を手本にする計画のようです。」

 「私の個人的な思いですが、このような取り組みをおこなうことは大きな誤りです。というのも私の意見では、IPCCは危険な偽情報に関する最悪の情報源のひとつだからです。私がお勧めするのは、この協議会への助成金の出どころは何処かということと、この協議会の目的を把握することです...」

 「先日、気候変動に関わる、誰もが把握しているが敢えて無視している2つ目の大きな問題に気づきました。気候変動は危機ではないと思います …」

 「お気をつけください。優れた科学研究をおこなっているのであれば、政治的に間違った分野に導かれてしまう可能性があるのです。優れた科学者であれば、そういう方向を後追いするでしょう。時間の関係でいまお話できないこともいくつかありますが、自信を持って言えることは、真の気候危機など存在しませんし、気候変動が、異常気象の原因になっているわけではないのです」

 クリンテルの最新の著書『IPCCの気候に関する凍結した視点』で明らかになっているように、最新の報告において、IPCCは本当に重大な誤ちを犯している。クラウザー博士の韓国での演説の直後、国際通貨基金(IMF)は、気候モデルについてのクラウザー博士の講演を取りやめた。エポック・タイムズ紙の取材で、クラウザー博士は気候科学について以下のように語った:「私たちは似非科学に完全に浸らされています」と。

 デルフト工科大学の客員教授であり、クリンテルの代表でもあるフース・ベルクハウト氏は、クラウザー教授がクリンテルの仲間に加わったことを大歓迎した。

 「クラウザー博士のような著名な科学者が、気候に関する既得権力が引き起こしている科学界で怪しく光る腐敗について喜んで発信をしてくれることは、非常に勇気が出ます。私たちの団体の目的は、クリンテルをIPCCと同等に渡り合える勢力にすることです。クリンテルのつながりに優れた科学者が入ってくれればくれるほど、IPCCや超国家的政治諸機関との議論において、私たちは強い立場をとれます。」

 クリンテルの世界気候宣言が出されたのは2019年であるが、それはクリンテルが設立されたのと同年のことだった。この宣言の強みは、近づきやすいことと伝えたい内容が力強いことにある:気候危機など存在しない。この150年間ずっと警告されてきた二酸化炭素の影響力が大きいと考えるか小さいと考えるかに関係なく、この事実は揺るがない。この宣言に署名したいと考えている科学者や専門家たちは、以下で申し込みできる。

 クラウザー博士の経歴や研究について、さらにお知りになりたいのであれば、同博士のノーベル賞受賞時の発言の以下の動画をどうぞ。

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Covidの世界的流行:お金が誠実さに打ち勝つ事例研究―イベルメクチンが処方禁止になった裏にある恐るべき陰謀とは?

<記事原文 寺島先生推薦>
The Covid Pandemic: A Case Study of Money Trumping Integrity
出典:サイト「Paul Craig Roberts」  2023年8月16日
著者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月24日


 いわゆる「Covidの世界的流行(今では、この流行は利益や他の種々の目論見を達成するための操作だったと見る向きがあるが)」のあいだ、医師たちは、イベルメクチンを処方することが禁じられた。この薬品は、FDA(食品医薬品局)が1966年にヒトへの使用を認可していたが、NIH(国立衛生研究所)のトニー・ファウチもCDC(疾病管理予防センター)もFDAも売女報道機関も、すべてイベルメクチンの使用に反対の立場を取った。巨大製薬業界の「医療当局」や無知な売女報道機関は、イベルメクチンに関する冗談を流していた。この薬は世界中で半世紀以上も安全に使用されてきたのに、「馬用の薬」であり、人間が使えば危険で死ぬ可能性がある、と騒ぎ立てた。巨大製薬業界に所有されたFDAが言った冗談の一例は以下の通り。「お前らは馬じゃない。牛でもない。マジだ。やめときな。」

 企業に勤める医師たちがイベルメクチンを処方すると雇い主から警告を受け、巨大製薬業界の利益追求ではなく、患者らを守ることに固執したらクビになった。個人病院の医師たちは、医療当局から攻撃を受け、医師免許を一時停止されたり剥奪されたりした。

 迫害され、地位を失った世界で最も有名で著名な医師や研究者も相当数いる。薬局はイベルメクチンを処方した医師の処方箋の受け取りを拒否した。報道による強力な運動により、イベルメクチンを推薦したり、処方したりする人は全て攻撃された。

 ところが、イベルメクチンに反対する運動には科学的、医学的根拠は全くなかった。ではなぜイベルメクチンに反対する運動が起こったのだろう?

 その答えは、巨大製薬業界がすでに「ワクチン」を準備していた(このことのほうが、「世界的流行」のでっちあげが起こった証拠になる)からだ。しかし、この「ワクチン」は治験もされず、承認もされていなかった。この「ワクチン」が使えるのは、「緊急使用許可」のもとでのみであり、緊急使用許可が出されるのは、他に治療法がない場合に限られていた。したがって、治療法があるという事実は抑え込まれなければならなかった。イベルメクチンが使用されて、患者が治療されれば、mRNA「ワクチン」をもとにした巨大製薬業界の利益がおじゃんになるからだ。

 巨大製薬業界は医療界において巨大な金づるだ。医学研究者らには助成金を出し、医科大学にも助成金を出し、医療関連委員会所属議員の上院・下院選挙への選挙資金の献金をし、報道機関には広告費を出し、NIHのファウチとは特許権を共有し、FDAなど規制当局との間には回転ドアがあり、さらには巨大製薬業界とともに利益をむさぼろうという金の亡者たちも控えている。

 全ての死の原因を「Covidが死因である」と分類した病院には報酬金が用意されたが、その目的は高い致死率を生み出すことで、人々が「ワクチン」を求めようとする潮流を作るためだった。PCR検査がCovidの診断に使われた理由は、高い確率で疑陽性を出すからだった。不適切なPCR検査を使うことが、「世界的流行」をでっちあげる基本だった。

 すべてのことが、世界全体から「ワクチン」で大もうけするために実行された。その前に立ちはだかったのが、廉価で予防力もある治療法だった。この治療法が、製薬業界による大もうけや市民が持つべき自由権を完全に無視するような政府の権力を止めようとしたのだ。mRNA「ワクチン」が死や不妊を引き起こすことで、人口削減などのたくらみに貢献しているのでは、と考える人々も少なくなかった。

 イベルメクチンに疑問をもつことはありえないため、この治療法を貶(おとし)めるための嘘が使われた。

 腐敗した米国政府と腐敗した巨大製薬業界、報道機関、医療機関がよってたかって、全力で内部告発者たちを脅し、他に治療法があることを一般市民たちに知られないようにし、試用もされていない注射を打つという行為を馬鹿げた行為だと思わせないようにしていた。

 巨大製薬業界とトニー・ファウチは、医科大学の多数の教授らに頼ることができた。というのも、これらの教授らは、巨大製薬業界やNIHからの多額の研究補助金で生活できていたからだ。さらには、巨大製薬業界の選挙運動資金のもとで議員に選ばれた下院・上院議員たち、巨大製薬業界が広告費を出している報道諸機関、巨大製薬業界との間に回転ドアが存在し、Covidの公式見解を打ち立て統制する力をもつFDAの高官たちにも依存していた。真摯で高潔な専門家たちや真実を報道した代替報道機関は起訴された。

 お金が誠実さに打ち勝つ国に住むとはどういうことか、お考えいただきたい。誠実さがなければ、信頼もありえない。Covidワクチンや都市封鎖措置で自分の健康が害された人々や、親戚や友人が健康を害された人々、また、試用もされていないワクチンにより家族を亡くした人々などは、医師や病院や報道機関や政治家たちをもう一度信頼するだろうか? 連れ合いや子どもの命を救ったであろう処方箋の受け取りを断った薬剤師のことを再び信頼するだろうか?イベルメクチンで患者たちの命を救った医師の医師免許を剥奪した医療当局に誰が再び敬意を払うだろうか?

 なぜCovidの世界的流行がでっちあげられたのだろうか? 金のためだけだったのだろうか? 一般市民が市民の自由権を差し出すかどうかの試験だったのだろうか? 本当の怖ろしい疫病を世界中に流行させ、人口を減らすための実地試験だったのだろうか? ビル・ゲイツやクラウス・シュワブのような人たちが人口削減についてこんなにも多く語っている理由は、彼らがそうしたいという意図がある以外考えられるだろうか?

 悪は常に人類の最大の敵だ。しかし西側のリベラル派は100年かけて、悪を軽くみてきた。そんなものは迷信で、教育や行動矯正で善に変えることができるものだ、と。その結果、西側のリベラル派は悪を解き放ってしまった。もはや宗教は人間の魂を救済しない。宗教は社会の再建に使われている。いま私たちの生きている世界に悪が存在することを人々に理解させることさえ可能かどうか…

 おそらく、それは可能だ。ときには真実が頭をもちあげる。イベルメクチンにより患者たちの命を救ったことで迫害された3名の医師たちからの訴訟を受けた腐敗したFDAは、巨大製薬業界からのお小遣いで賄われている「規制」当局だが、このFDAが言い方を変えたのだ。

 FDAの弁護士が、医師たちが、イベルメクチンを含めて、FDAが承認したいかなる薬も処方する権利を有していることは当然だ、としたのだ。FDAが医師の処方を妨げたことはなかった。医師たちにはそうする法的根拠がある。

 ではなぜ、医師たちの医師免許が奪われたのか?なぜ薬剤師たちは処方箋の受け取りを拒否したのか? FDAは、イベルメクチンを使うなというのは、ただの推奨だった、と嘘をついている。ではいったいどんな根拠に基づいて、FDAはそんな推奨をおこなったのか? それが医学的知識に基づくものでないことはあきらかだった。

 イベルメクチンやイベルメクチンを処方した医師たちを貶めるたくらみがおこなわれた理由は、治療法があるという事実を隠し、試用されていない恐ろしい「ワクチン」の「緊急使用許可」の発行が認められなくなることを妨げるためだった。医療界全体が、巨大製薬業界の利益や、それ以外の実行中だった工作のために、大量の障害者や死人を生むことに手を貸してきたのだ。

 以下の10分の動画で、エポックテレビのロマン・バルマコフが、腐敗したFDAに対して訴訟を起こした三人の迫害された医師の裁判について報じている。見れば、有意義な10分間を過ごせるだろう: https://www.theepochtimes.com/mkt_app/epochtv/fda-drops-ivermectin-truth-that-we-knew-all-along-facts-matter-5460635?utm_source=News&src_src=News&utm_campaign=breaking-2023-08-15-2&src_cmp=breaking-2023-08-15-2&utm_medium=email&est=7EeWk%2BXwIscEeBRa%2FVpfn6qgDeIZsdV9nUj5qmdfdIM4K0nsPxtIbg%3D%3D

 若年層で前代未聞の数の突然死が起こっていることが「ただの偶然」だという医療当局を、どうやって信じろというのか?

 腐敗した医療当局は、Covidワクチンは恐ろしいものであるという事実を未だに隠そうとし続けている。https://www.globalresearch.ca/teenagers-dying-suddenly-australia-uk-ireland/5828985
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米国、ニジェールで板挟み

<記事原文 寺島先生推薦>
The US is caught in a dilemma with Niger
筆者:スコット・リッター(Scott Ritter)
出典:RT  2023年8月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月22日

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スコット・リッターは元アメリカ海兵隊の情報将校であり、『ペレストロイカ時代の軍縮:軍備管理とソビエト連邦の崩壊』という著書がある。彼はソビエト連邦でINF条約を実施する検査官として勤務し、湾岸戦争中にシュワルツコフ将軍の下で働き、1991年から1998年まで国連の兵器検査官として勤務した。
@RealScottRitter@ScottRitter


先週、アメリカ合衆国の臨時副国務長官ビクトリア・ヌーランドは、過去2年間で3回目となるニジェール訪問をおこなった。

 今回、ヌーランドはアフリカの国に滞在したのは、7月26日の軍事クーデターに対応するためだった。このクーデターにより、憲法に基づいて選出された大統領モハメド・バズムは、新たに形成された「国土保護のための国民評議会」傘下で活動する一団の軍の将校たちによって追放された。この評議会は、大統領護衛の指揮官であるアブドゥラフマン・チアニ将軍が率いている。彼は、その後、自らを新たな国家元首である宣言した。

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 ヌーランドは、追放された大統領バズムと新政権の指導者であるチアニ将軍との会談を求めた。しかし、両者から(会談を)拒否された。代わりにチアニ将軍の軍最高司令官であるムーサ・サラウ・バルム将軍と緊迫した対話をおこなった。彼女はバルムとの会話を「率直」で「困難」だったと評した。しかし、ヌーランドはニジェールのクーデターを率直にクーデターとは呼ばず、それを国内政治の一時的な問題と見なし、アメリカから適切な圧力をかけることで克服できるものとして扱った。

 このアメリカなりの言い方の裏には、法律的な理由がある。法的に、アメリカがニジェールのクーデターをクーデターと認識すれば、現在ニジェールに駐留する約1,100人のアメリカ軍人とニジェール軍の対等な関係にあるすべての軍事的相互作用、およびその他のアメリカ資金援助は全て中止されなければならないのだ。問題の法律(公法117-328の第K部門の第7008条として知られる)は、国、国外の作戦、そして関連する計画(SFOPS)を支えるために議会が充当する資金について、「正当に選出された政府の首脳が軍事クーデターまたは布告によって失脚した国の政府に直接的財政援助を義務づけ、あるいは消費することは一切できない」と明確に規定している。

 ヌーランドは、チアニ政府代表団との2時間にわたる議論の中で、現在アメリカとの関係が中断されているものの、それが永久的に停止されているわけではないことを明確にした。会議後の映像記者会見で、ヌーランドは大統領バズムを大統領に復帰させられなかった場合の影響を強調した。ニジェールの特殊部隊将校であるバルムは、米国の軍事学校で訓練を受け、ニジェールでの米軍訓練担当者たちと広く交流していた。バルムの個人的な経験は、今日の米国の西アフリカにおける軍事的存在と使命の基盤として機能している。

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READ MORE:Victoria Nuland, Washington’s ‘regime change Karen’, wants to speak to the manager in Niger

 アメリカ、フランス、および他のヨーロッパの同盟国は、西アフリカのサヘル地域におけるイスラム過激主義との長年にわたる戦いを展開してきた。ニジェールは、2つの主要なアメリカの基地を受け入れており、1つはニジェールの首都ニアメの外にある「101基地」として知られるもので、もう1つはアガデズ(サハラ砂漠の南端に位置する都市)に位置する「201空軍基地」だ。両基地は、MQ-9 リーパー ドローンや固定翼機による米国の情報収集、監視、偵察(ISR)作戦、および共同特殊作戦航空部隊による飛行などを支援しており、また他の米国の軍事作戦、軍事空輸、特殊部隊の訓練部隊も支援している(フランスもニジェールにおいて1,000人以上の軍事拠点を維持しており、さまざまな欧州連合(EU)諸国から数百人の軍事人員も存在している)。

 隣国のマリでアメリカ、フランス、EU、そして国連の軍事力が崩壊し、チャドでの軍事クーデターの影響もあり、ニジェールはサヘル地域におけるアメリカ主導の対テロ対策の最後の拠り所として浮上している。もしアメリカがクーデターのためにニジェールとの関係を断つことになれば、この地域でのアルカイダとイスラム国によるテロの脅威に対抗するための西側の対テロ対策は一切なくなるだろう。

 ワシントンの観点からすると、アメリカとニジェールの軍事間支援の途絶によって生じる最大の脅威は、イスラム原理主義に触発されたテロの潜在的な拡散ではなく、むしろロシアの影響力だ。特に、ロシアの外交政策目標と同調する形で行動すると思われる私設軍事会社であるワグナー部隊による軍事安全保障支援が懸念されている(クレムリンもチアニ政府も、ニジェールでのワグナー活動報告について何も語っていない)。

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READ MORE:Washington worried about Wagner in Africa-Blinken

 先月のロシア・アフリカサミット前、プリゴジンは、6月23日から24日の未遂に終わった反乱事件(この事件によりドンバスでのワグナーの活動が停止)の後にベラルーシに移動したワグナー部隊と会っている。その際、彼はアフリカが将来のワグナーの活動において果たす重要性を強調している。ワグナー部隊は、その存在が中央アフリカ共和国、リビア、マリを含むいくつかのアフリカ諸国で報告されている。ニジェールのクーデターを指導した上位軍人たちは、マリでワグナーの関係者と会い、ワグナーとニジェールの間の安全保障協力について協議したと言われている。ニジェールのクーデター政府との会議中、ビクトリア・ヌーランドは、ワグナーがニジェールで展開する可能性を懸念すべき材料として取り上げ、ワグナーはアフリカの安全保障に有害な役割を果たしている、とニジェールの関係者に伝えたことが報告されている。ワグナーとニジェール代表者間の会議が報告されたことは、ヌーランドのメッセージが彼女の招待主(ニジェール政府)に届かなかったことを示している。

 アメリカ合衆国は、米国援助を法的に受け取ることができない国の政府との関係を維持したいという願望と、第7008条によって米国とニジェールの関係を断絶する必要がある場合に生じる結果との間で板挟みになっているようだ。ヌーランドも彼女の上司である国務長官のアントニー・ブリンケンもまだ口にしていない選択肢がある。2003年初頭、米国議会は第7008条を改正し、国務長官が「米国国家安全保障上の利益」を理由に権利放棄を求めることができるようにしたのだ。

 こうした権利放棄に関して、アメリカには2つの大きな障壁がある。第一に、バズム大統領を再び政権に返すためにアメリカが費やした多大な政治的資本だ。これを今ひっくり返すことは、バイデン政権がやりたがらない現実政治へ同意するようなものだろう。第二に、ニジェールは今後の選択肢を評価した結果、以前にアメリカと享受していた緊密な関係を維持する興味をもはや持っていない可能性がある。ニジェールは、マリ、ブルキナファソ、そしてギニアと同様に、フランスとの植民地主義後の関係の衣を脱ぎ捨てた。この関係は、西アフリカとサヘル地域における米国の国家安全保障政策と密接に関連していた。米国とニジェールの関係の運命の時は刻まれている。ビクトリア・ヌーランドや他のアメリカの高官たちがこの結果を変えるためにできることはほとんどないようだ。
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キエフには、ゼレンスキーが暗殺された場合の秘密計画がある―Politico

<記事原文 寺島先生推薦>
Kiev has secret plan if Zelensky is killed – Politico
出典:RT  2023年8月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月22日


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NATOサミットのビリニュスで、ドイツの首相との会談中に文書を読むウクライナ大統領ウラジミール・ゼレンスキー© Odd ANDERSEN / AFP


ウクライナはおそらく各省の影響下、統治評議会によって運営されるだろう、と通信社Politicoは伝えている。

 ウクライナ大統領ウラジミール・ゼレンスキーが暗殺された場合、彼の後任は政府高官から選ばれた集団によって選ばれ、法的後継者が名目的な存在として行動する可能性がある、とPoliticoは、月曜日(7月31日)、情報筋の話として報じた。

 ウクライナ憲法は明確だ。もし大統領が職務を果たせない場合、ウクライナ議会の議長―現在の場合はルスラン・ステファンチュク ―が引き継ぐことになる。しかし、Politicoによると、ルスラン・ステファンチュクはウクライナの一般市民にはあまり人気がない。彼の支持率は約40%程度だ。

 Politicoがインタビューしたウクライナ高官と分析家たちによれば、このことはゼレンスキーに不測の事態が起きた場合、国は統治評議会によって指導されることを意味する。ステファンチュクはその形式的な最高責任者となるが、他の成員も含まれる。これには大統領府長官のアンドレイ・エルマク、外相のドミトリー・クレバ、そして国防相のアレクセイ・レズニコフが含まれる、とPoliticoは述べている。

 現在ウクライナの軍を率いているヴァレリー・ザルーシュニイは、引き続きその職に留まることが予想される、とPoliticoは報じている。

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READ MORE:Zelensky explains why he carries a gun


 大西洋評議会の非常駐上級特別研究員であるアドリアン・カラトニュキは、Politicoに対して、キエフには「強力な指導集団」があり、「政府は集団指導体制となるだろう」と述べた。彼はまた、「何か恐ろしいことがゼレンスキーに起こったとしても、それほど決定的なことではないだろう」と付言した。

 しかしながら、また、(ゼレンスキー暗殺という)結果は、ウクライナ大統領と国民の強い一体感についてはいろいろな意見があるため、国内での影響は限られる可能性があるのだが、西側ではゼレンスキーは広く抵抗の象徴と見なされているため、ゼレンスキーが暗殺されることにでもなれば、彼ら支援者たちに衝撃を与えることになるだろう、とPoliticoは警告している。

 2022年5月、ウクライナ大統領自身がキエフにおいて自身の死亡の可能性を考慮した「Plan B」を持っていると述べ、最悪の事態が起こった場合にウクライナが無防備にならないよう、国の内閣を2つに分割していると付言した。

 2022年3月、ゼレンスキーの上級補佐官であるミハイル・ポドリアクは、ゼレンスキー大統領が数十の暗殺未遂生き延びてきたし、いくつかの西側メディアもモスクワがウクライナ大統領を暗殺する意図があると推測していた、と述べた。

 しかしながら、同じ年の4月に、クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフは、ロシアがそのような計画を持っていたことは一度もない、との考えを示した。
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CIA がウィキペディアを管理 – 元編集者の告発

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA moderating Wikipedia – former editor
出典:RT  2023年8月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月22日



© AFP / キリル・クドリャフツェフ


同諜報機関は10年以上にわたってオンライン百科事典を操作してきた、とラリー・サンガーは主張

 ウィキペディアは、米国のリベラル派支配層とその同盟者である諜報機関が「情報戦」を繰り広げるために使用する多くの手段のうちのひとつである、と同サイトの共同創設者ラリー・サンガーは報道関係者のグレン・グリーンウォルドに語った。

 ラリー・サンガーは、2001年に自身が創設に協力したサイト(ウィキペディア)が、左派リベラル勢力の手による「支配」の手段となっていることを嘆いたが、その中にはCIA、FBI、その他の米国諜報機関の工作員らが含まれているとした。

 「その証拠はあります。早くも2008年から、CIAとFBIのコンピューターが、ウィキペディアの編集作業に使われていたのです。これらの機関がそんな行為をその後やめた、などと思いますか?」とサンガーは述べた。

 ウィキペディアに対する CIA と FBI の活動は、2007 年にヴァージル・グリフィスというプログラミングを学んでいる学生によって初めて明らかにされた。グリフィスは、ウィキペディアの記事の編集に使用されたコンピューターの位置を追跡できるウィキスキャナーと呼ばれるプログラムを開発し、CIA、FBI、および多くの大企業や政府機関が、自分たちにとって不利な情報が掲載されたこのオンライン上の百科事典に手を加えていることを突き止めた。


READ MORE:The word for it is ‘propaganda’: Wikipedia co-founder says website has morphed into playground for rich and powerful manipulators

 
 CIAのコンピューターはイラク戦争の死傷者数を削除するために使用され、FBIのコンピューターはキューバのグアンタナモ湾にある米国刑務所の航空写真と衛星画像を削除するのに使用された。CIAのコンピューターは、当時のイランのマフムード・アフマディネジャド大統領、中国の核開発計画、アルゼンチン海軍に関する項目を含む数百件の記事の編集に使用された。
 
 一方で、より些細(ささい)な編集もおこなわれたようで、元CIA長官ウィリアム・コルビーの欄は、同元長官の経歴を書き加えるために手を加えられたようだ。

 「(これらの諜報機関は)自分たちの政策を推進するために、自分たちの政策に既に同調してくれている最も影響力のある人々に恩を売るつもりなのでしょう。あるいは自分たちの才能を(諜報)組織内で伸ばし、ウィキペディアを使った遊びを覚えた上で、自分たちがやりたいことを組織内の人々に伝えようとしているだけなのかもしれません」とサンガーはグリーンウォルドに語った。

 「諜報活動と情報戦の大部分は、ウィキペディアのようなウェブサイトを戦場にオンラインで行われているのです」とサンガーは続けた。

 今年初め、X(元ツイッター)の所有者、イーロン・マスク氏は、このプラットフォームの元幹部らがおこなっていた手口を示す大量の文書を公開した。これらの文書により明らかになったのは、彼らがFBIと結託して、FBIの隠したいコンテンツを削除したり、米軍のオンラインでの影響力行使を支援したり、複数の米情報機関に代わって 「反ウクライナの物語」 を検閲したりしていたことだった。

 メタ社(旧名フェイスブック社)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も、地球上最大のソーシャルメディア・プラットフォームであるフェイスブックが、FBIの直接の要請に応じて、ジョー・バイデン大統領の2020年の選挙運動に損害を与える正確な情報を検閲したことを認めている。
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日本、反ロシア制裁の拡大へ

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan to expand anti-Russia sanctions
出典:RT    2023年8月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月20日


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© Getty Images / Michael H


新しい制裁措置は、金属、化学物質、そして産業用機器を含む幅広い商品に適用される。

 日本政府は、ロシアへの制裁措置を拡大した。経産省は水曜日(8月2日)に、供給が禁止される商品一覧に758の新項目が含まれると発表した。

 経産省は先週、今後の措置を初めて明らかにし、「ウクライナをめぐる現在の国際的な状況を考慮して」、東京が8月9日からロシア連邦への禁輸品一覧を拡大することを明示した。

 経産省の最新の声明によれば、修正された輸出禁止措置は、鉄、鋼、ニッケル、銅、アルミニウム、産業用化学物質、プラスチック、木材、繊維、電子製品、機械、そして科学機器など幅広い製品を対象とする。日本はすでに輸出禁止を実施している47の商品カテゴリーのうち、さらに45の商品が追加された。

 この措置は特に、1.9リットル以上のエンジンを搭載した自動車、ハイブリッドおよび電気自動車、ヨット、ボート、光学および計測機器、家具、およびプレハブ住宅の輸出に関して影響を及ぼす。

 禁止措置は、印刷インクなどの塗料、顔料、染料、繊維、革、毛皮の処理に使用する潤滑剤、および変性デンプンや接着剤も含まれる。

 写真撮影やフィルム関連の商品に加えて、化学工業、プラスチックおよびプラスチック製品(アクリルポリマーなど)、ゴムおよびゴム製品(大型車のタイヤなど)といった製品の輸出も違法となる。

 その一覧には、木材およびその製品、木材パルプ、パルプおよび廃紙、クラフト紙などの紙および段ボール、図面および図表、羊毛および動物毛およびそれらから作られた製品、綿およびそれから作られた製品、植物繊維と紙糸から作られた糸、人工繊維およびそれから作られた製品、また使用済みの衣類と織物も含まれる。

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 石材、石膏、セメント、陶磁製品、ガラスおよびガラス製品、それに加えて鋼材、その製品および部品も禁止対象となる。また、銅線などの銅製品、ニッケル、アルミニウム、鉛、亜鉛、スズおよびそれらから作られた製品、および基本金属製品、電気製品、機関車、鉄道車両も一覧に含まれる。

 新しいブラックリストは、モスクワがウクライナへの軍事作戦を開始して以来、日本がロシア経済に対して課してきた一連の制裁措置に続くもの。これには資産凍結、輸出禁止、およびモスクワの「最恵国待遇」特権の剥奪が含まれる。日本はまた、重機を製造する企業を含むロシアの軍関連企業と組織80社をブラックリストに登録した。

 モスクワは最近、東京に対して「報復措置を検討している」と述べ、ロシア外務省は日本の制裁を「非常に否定的に」評価していると述べた。クレムリンは以前、先行する制裁およびウクライナに関する国の「敵対的で反ロシア的な立場」に対する応答として、約400人の日本の議員をブラックリストに登録し、首相の岸田文雄を含む数十人の高官の入国を禁止した。
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戦争の混乱のさなか、ウクライナの赤ちゃん工場が記録的な大もうけ

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine’s baby factories rake in record profits amid chaos of war
筆者:ジャレミー・ロッフレード(Jeremy Loffredo)
出典:グレー・ゾーン(The GRAYZONE) 2023年7月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月20日





 一般のウクライナ国民が、NATOによる対露代理戦争に苦しめられているいっぽうで、代理母出産事業が大盛況になっている。この事業に必要なのは、健康的であるが金銭面で困っている女性が安定して存在している状況だ。これらの女性たちが、裕福な外国人たちのために子宮を貸しているのだ。代理母らは、「顧客よりも貧困な階級出身者であるにちがいない」とキエフ最大の「赤ちゃん工場」の医療部長は説明した。


2022年のバイオ・テックス・コム社(Bio TexCom)のサイト上の紹介動画に映っている同社の空爆避難所のウクライナの代理母たち

 スイスに拠点を置くバイオ・テックス・コム社のイホール・ペコノハ氏によると、同氏はこの事業戦略の助けを借り、世界で最も利益の上がる代理母業社のひとつを立ち上げることができたのは、搾取でしかなかった、という。「我が社は元ソ連共和諸国から女性たちを探しています。というのも、論理的に考えて、(そのような女性たちは)我が社の顧客層よりも貧困な階級出身であるにちがいないからです。」

 となれば驚くことではないが、バイオ・テックス・コム社は、若い女性たちをほぼ際限なく手に入れることができるウクライナに目を向けているのだ。彼女たちは喜んで自分の子宮を売ることで、金銭的苦境を和らげようとしている。NATO諸国とロシアの間の代理戦争勃発後の8年間、ウクライナは経済的苦境に追いやられてきた。ウクライナの市民たちが貧困に沈む中、ウクライナは急速に、代理出産業社にとっての世界的な中心地となり、現在のところ世界市場の少なくとも4分の1を占めている。 急激に発展しているこの産業の台頭に伴い、患者いじめと腐敗でまみれた医療界の醜い裏の姿も根を張りつつある。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とその一団は、戦争で疲弊した自国から略奪するよう西側を積極的に励ましており、国際的な資産運用会社であるブラックロック社と投資友好関係を結び、労働者から労働保護権を奪い、国有会社を私企業に売り渡した。

 しかし、ウクライナの代理出産業にはあまり注意が払われてこなかった。この業界は2018年だけでも、ウクライナに150億ドル(約2兆2千億円)をもたらした。それ以来、代理出産の世界市場は2倍以上に膨れ上がっている。この業界は昨年140億ドル(約2兆円)以上の規模があり、毎年順調に約25%成長し続けている、と世界市場眼(Global Market Insights)社は分析している。

 代理出産業から撤退する国が増えている中、西側各国政府は、虐待をもとにしたこの事業が、規制が緩和され政治的に不安定なウクライナで繁盛していることに目をつぶっているようだ。

 エマ・ランバートンは、ピッツバーグ大学国際発展学部の主席教員で、プリンストン大学の「公共および国際関係学部」紀要に論文を発表し、ウクライナの女性が同国の代理出産業社に参加する際に直面する危険性を詳述した。

 「ウクライナ領内で声を上げている人々の主要な心配の種は、法律制定組織や複数の通信社がこの件を人権侵害だと考えていない点です」とランバートン氏は当グレー・ゾーンに語った。

 「政府はこの件を児童虐待のように規制すればいいだけのものであるとは考えていません。政府は『子どもたちを打ちのめしていいのは水曜日だけです』などとは決して言いません。そんなことは信じられないくらい馬鹿げているからです。しかも、ウクライナで声を上げている人々の目からすれば、これは虐待問題であるため、規制されるべきではなく、法律により禁じられるべきだ、ということです」と同氏は説明した。

 2022年上旬に戦争が激化するずっと前から、怪しげな人々や業社にとってウクライナは絶望したウクライナ女性たちを対象にしたおいしい狩り場であることは知られていた。

 この件に関して規制が緩く、貧困層が多い、インドやタイ、ネパールなどのアジア諸国も、代理出産市場の供給源となっている。しかし、これらの国々の政府は、このような人権侵害行為が業界大手の業者の手により積み重ねられることに黙っておらず、最終的には代理母を探している裕福な外国人に対する門戸を閉じた。

 これらの国々が代理出産市場に制限を加えるなかで、世界はウクライナにその市場を求めるようになり、代理出産業界の中で競争が始まった。代理出産で利益を得る業社は、貧しい国々から別の貧しい国への事業の移行を効果的におこなってきた。その国は、近隣国との通常戦で苦しんでいるさなかにある国だ。

 「この戦争のために、代理出産問題について統一した国際的な規制が必要である状況が生まれました。というのも、代理出産は戦争地域に留まるべきなのか、あるいは代理出産を法的に認めていない近隣諸国にも移行すべきなのかを決めざるを得なくなっているからです」とランバートン氏は当グレー・ゾーンに語った。同氏は、「いかなる人道的危機と同じですが、臓器移植のほうがずっと危険度は高いですし、代理出産と人権侵害に関する国際的な同意が、ウクライナの脆弱な女性たちや子どもたちを守るために必要なのです」と述べた。


 「人間扱いではない」:貧しい母親たちが赤ちゃん農場で人質に取られている

 バイオ・テックス・コム社の出産センターは、国際的な代理出産業界で他を遙かにしのぐ最大手だ。この「出産技術事業」の所有者が2018年に主張したところによると、同社はウクライナ国内の代理出産業の7割という大きな割合を占め、世界市場でも25%を占めている、という。

 バイオ・テックス・コム社のサイトには自慢げに、同社が「親になる喜び」を世界中の何千組もの夫婦に与えてきたとあるが、実際のところ、この会社が実践してきた歴史を振り返れば、虐待行為、秘密の行為、違法行為、さらには臓器売買の疑いのある行為にまで手を染めていたことがわかる。

 2018年にアルジャジーラ通信社から取材を受けたアリーナという女性は、バイオ・テックス・コム社と妊娠契約同意に至った状況を説明してくれた。

 「ウクライナで収入のいい仕事を見つけるのは難しいです…私は息子の大学の学費のための蓄えがほしかったんです。大学の学費はとても高いので」とアリーナさんは答えた。

 バイオ・テックス・コム社から代理母になることを委託され、米国夫婦の子どもを代理した別の女性がスペインのエル・パイス紙の取材に答えたところによると、この女性が自分の子宮を売ったのは、金銭状況のためだった、という。「私は家なしで育ちました。私にとっては、自分のアパートを持つことが大事なんです。(代理母になることが)私がアパートを持てる唯一の方法なのです」。

 バイオ・テックス・コム社のイホール・ペチェノハ医療部長は、スペインの調査誌ラ・マレーアの取材で公式に認めたのは、同部長の会社が貧しい地域の女性たちを狙っている事実と、「代理母の仕事をする人々がそうするのは、金銭的に困難な状況にあるから」という事実だった。

 「我が社は旧ソ連共和諸国の女性たちを探しています。というのも、論理的に考えて、(これらの女性たちは)我が社の顧客層よりも貧しい階級出身であるにちがいないからです」とペチェノハ医療部長は説明した。

 最後に同部長はこう付け加えた、「私は良い経済状況にあり、自分には子どもが十分いるし、子どもをほしがっている誰かを助けたいからという親切心から代理母になろうと決めた女性に会ったことは一度もありません」と。

 「代理母になるのは、家を買うお金や、子どもたちの教育費がほしいからです。欧州でいい暮らしができているなら、そんなことはしないでしょうから」とペチェノハ医療部長は最後に付言した。

 自分の子宮を外国人に売った一人のウクライナ女性はバイオ・テックス・コム社の部長の発言を裏付けるような内容をガーディアン紙に語った。「私が代理母になることに同意した唯一の理由は、金銭的な利益のためだけです」と。

 「それと、夫が前線に出ていますので、4人の子どもを支える術(すべ)が必要なのです」とこの女性は付け加えた。

 バイオ・テックス・コム社から代理母の委託を受けたもう一人の女性が2019年、こう語った。「代理母はいわば歩く保育器です。人間扱いはされていません」と。

 2020年にプリンストン大学の公共・国際関係学部紀要に掲載された論文には、外国人による搾取がウクライナの代理出産業界の繁盛の原動力になっている、とある。

 「代理出産の支持者たちは、女性たちには代理母になることを自由に選んでいる、と主張しているが、脆弱な女性たちは選択肢をわざと間違って提示されることがよくある。代理母になる可能性のある女性たちは、自分の家族に対する道徳心に背くかもしれない行為をおこなうのか、あるいはその行為により自分の家族にお金が入る行為をおこなうのかという二択を選ばされている。

 ウクライナのオクサナ・ビロジル国会議員は、外国人がウクライナ女性の子宮を借りる行為を禁じる法案を提出したが、同議員が豪州放送会社(ABC)にこう語った。「ウクライナの代理母は二種類に分けられます。お金のために代理母になる人たちと、すでにお金を持っているのに代理母になる人たちです」と。同議員がABCに主張したところによると、代理出産業によりウクライナは非常に多額の経済価値を手にしているため、この行為を法律で禁止するのは不可能だろう、という。

 ビロジル議員が嘆いたのは、腐敗した財閥勢力がウクライナ政府に強い影響力をもっているため、代理出産業界との法的な闘いが効果的に妨害されている点についてだった。

 「本当に、業界と残念にも議会に出席しているその圧力団体と大闘争をしているところです。代理出産業は、我が国の法律ではただの事業としてしか書かれませんでした」と同議員は述べた。

 ウクライナの代理出産業界についての論文執筆者であるエマ・ランバートン氏の記載によると、バイオ・テックス・コム社は、実はウクライナ国内で事業を行っている外国の会社である、という。同社のサイト上の文書からわかることは、この会社はスイスで登録された会社のようだ。

 裕福な銀行がひしめくスイスとバイオ・テックス・コム社が繋がっており、同社の紹介動画が代理母たちに対して最先端の施設や贅沢な住居空間を用意している様子を示しているにもかかわらず、多くの報告からは、代理母たちの居住地区の住居環境が、四つ星ホテルというよりは、刑務所にずっと近いことがわかる。

 一人の代理母の説明によるとバイオ・テックス・コム社の依頼により妊娠していた間、確かに同社は約束どおりアパートに入れてくれたが、4人の別の妊婦と同室させられ、妊娠期間中の32週間ずっと寝床も共有だった、という。

 内部から同社のやり口を目にした人々の証言によると、同社は代理母の経済的苦境を利用して、居住地から抜け出させないようにしているという。

「4時までに帰宅しないと、100ユーロ(約1万六千円)の罰金が課される可能性があります」とバイオ・テックス・コム社の元代理母がロンドンを拠点とした無所属の記者であるマデリン・ロッシュ氏に答えた。

 代理母への月ごとの報酬は、平均200~350ユーロ(約3万2千円~5万6千円)だ。言い換えれば、バイオ・テックス・コム社の代理母が居住地から離れれば、月ごとの報酬が半額になる、ということだ。

 「さらに私たちは会社を大っぴらに批判したり、赤ちゃんの本当の親と直接に連絡を取れば、罰金を取る、と脅されていました。私たちは家畜のような扱いを受けていましたし、医師たちからもあざ笑われていました」とこの代理母経験者は語った。

 この人によると、この程度の金銭的な補償では、自分の決心にまったく割が合わなかった、という:「二度と代理母になる気はありません。酷い経験でした。」

 出産後、多くの赤ちゃんは、引取人が到着するまで、防空施設で守られたホテルで厳重に守られている。以下はガーディアン紙の2020年の記事だ:「これらの生まれたばかりの赤ちゃんたちは産婦人科病院の育児室ではなく、キーウ郊外にあるホテル・ベニスという相応しくない名前のホテルの大きな応接室二室に一列に並べられ、外壁と有刺鉄線で保護されている。」

 現在、ウクライナの高官らの話によると、この虐待的企業には、米国政府内に強力な保護者たちがいる、とのことだ。


西側報道機関がビオン・テックス・コム社の宣伝を展開する中、米国は同社を守っていると非難される

 ユーリイ・ルツェンコ氏はウクライナの元州検察官だったが、不正や臓器売買の疑いがあるとされたバイオ・テックス・コム社に対する一連の犯罪捜査を監督した。2018年、同検察官は、バイオ・テックス・コム社の創設者のドイツ国籍を持つアルバート・トチロフスキーという名の人物に2カ月間の自宅軟禁処分を課した。

 しかし、ルツェンコ州検察官は2020年にその職を解かれた。解任後、同氏はザ・ヒル紙の取材において、自分は駐キエフ大使のマリア・ヨヴァノヴィッチから「手を出してはいけない人物一覧」を手渡されていた、と述べた。これは、米国政府が、検察官が捜査や起訴をおこなうことを禁じている人々の一覧だった。一覧に掲載された正確な名前は不明だが、ルツェンコ氏は後にガーディアン紙に対し、解任の「結果としてバイオ・テックス・テックス社の捜査が行き詰まったと思っています」と語っている。

 ウクライナの元検察官が、ビオン・テックス・コム社の創設者を保護したことで米国を非難するいっぽうで、西側の主要な通信諸社は、この会社について、宣伝をするかのような好意的な報じ方をし、産科病棟のカーテン裏に潜んでいる虐待行為や搾取行為については、目隠しをした。

 2022年10月、ニューヨーク・タイムズ紙は1本の記事を出したが、その記事はバイオ・テックス・コム社の宣伝資料からそのまま持ってきたかのような記事だった。ニューヨーク・タイムズ紙は、ロシアとの戦争のさなかに、バイオ・テックス・コム社が代理出産業を再開したことを、愛国的な反抗精神のもとでの勇敢な行為であり、この出産業は「子どもがいないたくさんの人々のための拠り所」であると報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、バイオ・テックス・コム社の医療部長の事業形態が経済的理由でそうせざるを得ない貧しい女性たちに依存していることや、これらの女性たちが酷い扱いを受けている報告があがっていることを批判するのではなく、ペチェノハ医療部長に、代理出産市場の現状についてのどうでもいい質問をするにとどまっている。

 「この戦争によって、心の底から赤ちゃんが欲しいと思っている夫婦たちのための代理出産を求める声がなくなったわけではありません」というのも、同社の顧客たちは「急いでいるからです」と同医療部長は説明した。

 「我社は全ての代理母を占領や爆撃の発生から守られたところに搬送しています」と最後にペチェノハ医療部長は自慢げに話した。


防空施設内にある赤ちゃん農場

 ウクライナでの代理戦争が始まるなか、貧しいウクライナの女性たちの犠牲にして外国の女性たちに赤ちゃんを与える収益性の高い事業は軍事的な体制を敷いた。

 アトランティック誌によると、同社は敷地内に防空施設を確保し、爆撃があっても、新生児たちの出産が妨げられることなく継続できるようにしている、という。 2022年上旬に、バイオ・テックス・コム社が発表した動画には、寝床や赤ちゃん用寝床や寝袋だけではなく、ガスマスクまで装備された典型的な防空施設の様子が映っている。

 一日のうちで最も視聴者数が多い時間帯を狙ってABC放送局が出した宣伝報道では、ロシアからの爆撃にも耐えうる同社の赤ちゃん工場のことを褒めちぎっていた。「患者たちの安全を守るためには何でもするウクライナの代理出産業者」というのが、その特集報道の題名だった。この報道特集は、ABCのデイビッド・ミュアー司会者からの以下のような褒め言葉で幕を開けていた。すなわち、「ウクライナ最大の代理出産業者」は、「患者や赤ちゃんたちの安全を確保するために取れる措置は全て取っています」と。

 さらにこの特集では、バイオ・テックス・コム社の医療部長に対する取るに足らない取材の中で、同部長は、ためらうことなく、同社の医療環境の質は「とても高い」と主張していた。 その後、ミューア司会者は、この部長のことを、「勇気があって勇敢」で、このような「素晴らしい」会社で働いていることを褒め讃えた。

 バイオ・テックス・コム社が、人間として最も恐るべき挑戦を金儲けの好機として捉えようとしていることは明らかだ。戦争もそうだし、迫り来る人口減少についてもそうだ。


代理出産の次の展開:胎児の体外人工保育

 同社による自社推進記事に付けられた文書の中でビオン・テックス・コム社が強調していたのは、発展途上国における出生率が低下している危機についてであり、同社の「人工授精技術」が「人類存続の好機になる」の主張していることだ。

 「この先50年で、世界のほとんどの国の人口は半分に減るでしょう」とこの文書にはある。

 ビオン・テックス・コム社の所有者であるドイツ国民のトチロフスキー氏の主張によると、自社がより広い生物技術産業の最先端の地位を維持できるのであれば、この先の生殖工学において革命を成し遂げることを約束する、とのことだ。その生殖工学においては、赤ちゃんたちが人工子宮内で生まれ、遺伝子はコンピューター編集されるという。

 ウクライナの新聞社であるデロ紙の取材において、トチロフスキー氏は「生殖工学業界」におけるデジタル化について話した。

 同氏は、不妊率の増加や、技術業界の億万長者イーロン・マスク氏や中国の実業家であるジャック・マー氏が普及させた「人口崩壊論」を引き合いに出して、人類全体が生物工学により救われるだろう、と主張した。

 「生殖医療は人類の希望です」とトチロフスキー氏は述べた。

 「最も重要なことは、体外出産、つまり胎児を人体外の人口子宮内で育てる技術です。私たちが映画『マトリックス』で見た工場のようなものです。あと5~7年で、対外出産が可能になると思います」。トチロフスキー氏によると、バイオ・テックス・コム社は「その方向に向けて取り組んでいる」という。

 ウクライナの記者から、バイオ・テックス・コム社は赤ちゃん工場という技術と組織に関わる法的な問題や倫理面についてどう解決する計画なのか、と問われた同最高責任者は、その答えは簡単だ、と述べた:外からの監視を排除することだ、と。

 「最も重要なことは、法執行機関に我が社の研究の邪魔をさせないことです」とトチロフスキー氏は主張した。
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「デカップリング(分離)」:中国経済の足を引っ張るためのワシントンの計画

<記事原文 寺島先生推薦>
"Decoupling": Washington's Plan to Kneecap China's Economy
筆者:マイク・ホイットニー(Mike Whitney)
出典:UNZ     2023年7月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月20日


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 アメリカ合衆国は、中国の発展を阻止し、アメリカの国際秩序における主要な地位を維持するために多角的な戦略を採用している。この計画の経済部分は「デカップリング」と呼ばれ、重要な技術(特に先端的な半導体技術)へ中国が手を伸ばすことを選択的に遮断することを指す。この戦略は、中国の急速な技術的発展を制限するために即座に行動を起こす必要があると考えるアメリカの外交政策の指導者層ほぼ全員の支持を集めている。ただし、中国と世界の他の地域との間に「デジタル鉄のカーテン」を実質的に築くこの計画を実行することには、かなりの危険性がある。もし中国がワシントンの攻撃に対して報復するなら、供給導線は深刻に乱れ、別の世界的な景気後退の確率が高まる可能性がある。

 指摘しておきたいのは、「デカップリング」という用語が、その政策でやろうとしていることを曖昧にしている、ということだ。ケンブリッジ辞書によると、この言葉の意味は「2つ以上の活動が分離される状況」とある。残念ながら、ワシントンのデカップリング戦略は、単なる対立を良好に分離する試みではなく、中国の主要な技術的脆弱性を特定し、中国経済に最大限の損害を与えることを意図している。言い換えれば、メディアやシンクタンクの分析で提示されているようなデカップリングは、主にワシントンの中国への経済戦争を隠すためのPR戦略の産物だ。次に引用するのはデカップリングに関する背景を少し紹介した、外交問題評議会のマイケル・スペンスの記事:

過去1年間、中米関係の軌跡は議論の余地がないものになっている:アメリカと中国は、完璧とは言えないにしても、実質的なデカップリングを目指している。この結果に抵抗するどころか、双方ともに、これを大枠として非協力的なやりとりと受け入れているようで、それを政策的枠組みに組み込もうとしている。だが、具体的にデカップリングはどのような内容を含み、その結果はどうなるのだろうか?

アメリカ側は、国家安全保障上の懸念から、中国への技術輸出や投資を制限する長大な(今でも増えている)一覧表を作った。技術が世界中を動き回る他の経路についても同じように制限される。この戦略の影響を高めるために、アメリカは、制裁の脅威も含め、アメリカ以外の国々もその取り組みに確実に参加するようにしている・・・

この「相互不信の方程式」とでも呼べるものについて、米国、中国双方において、デカップリングが明らかに、最善ではなく危険な進路であることを知っている人が多数いる。しかし、米国と中国の両国で、異議を唱える声は政治的に圧力をかけるか、 事実上弾圧し無視するかして、息の根を止められている。

多くの新興および発展途上国は、分断された世界経済・・・は自分たちの利益にはならないことを認識している。しかし、彼らは、現在の状況の中心にいる大国(米国と中国)の誘因を変える力を持っていない。・・・それによって、現在の軌道からの明確な脱出口はまったくない。未来は部分的なデカップリング(分離)と分断だ。 出典:「破壊をもたらす分離」, 外交問題評議会

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中国を取り囲むアメリカの基地

 この筆者の言葉の多くに私は異論を持っているが、彼の運命論には賛成している。実際、現在、この方向に進んでいるだけでなく、今後数ヶ月間でそれはさらに悪化する可能性が高い。共和党と民主党の指導者たちや、舞台裏で動いている外交政策の支配者層も、完全にデカップリングの動きの中にいる。私たちが見ているのは、中国を西側の「法に基づく秩序」に統合しようとする子どもじみた努力が完全に失敗したという広範な認識であり、これが政策の劇的な逆転を引き起こし、着実に猛々しい勢いを得ている。中国は、肥大化するアメリカ帝国の属国にはならないとの態度を明確にしている。中国人は一貫して独立心を持ち続けており、自らの政治的志向に合った改革のみを進めており、党の指導に挑戦する可能性がある変革は拒否している。中国では今もなお、中国共産党が議題を設定し、国家の舵取りを行っており、ワシントンやダボスのエリートたちが出る幕はない。この認識は、米中関係の完全な再評価を促し、避けられないほど中国を孤立させ、包囲し、最終的には封じ込める戦略につながっている。以下はカーネギー基金のマット・シーハンによる背景情報:

10月初旬、アメリカ政府は中国が先進半導体や、それらを製造するための装置へ接近することの制限を大幅に強化した。これらの制限により、中国内の機関への先進半導体の販売には入手困難な許可証が必要とされ、国内は主に人工知能(AI)を大規模に展開するために必要な演算能力が事実上奪われることとなった。また、これらの規則は半導体供給網を支える産業に対しても、さらにチップ製造用の手段に対する制約を拡大し、チップを製造するための手段を構成する部品やアメリカの有能人材への接近を断ち切る影響をもたらす。これらの制約は、今日のアメリカ政府が中国の技術力を弱体化させるための追求の中で、これまでで最も実を伴う一手となる。

新たな制限は、アメリカの技術政策内で長らく続いていた論争の解決も目指している。この論争の眼目は、競合する二つの目標(①今日の中国の技術能力を低下させること、②アメリカの影響力を将来にわたっても維持すること)の着地点を見えるようにすることにあった。最新の規則により、アメリカ政府は、中国の半導体製造能力を根底から低下させることができるし、中国が自国の半導体産業を作り上げるための動機や資源がどれほどあるにせよ、中国は追いつけないという賭けに出ている。

アメリカ政府がその賭けに勝つかどうか(分かるまでに)は、世界の経済力と技術力の将来の均衡を決定する方向に向かって長い道のりを歩むことになるだろう。 出典:「バイデン政権、半導体について前例のない賭けへ」、カーネギー国際平和研究所

 これは、この新しい政策の内容に関する優れた「全体像」だ。シーハンは、アメリカの意図を明確にし、同時に潜在的な危険を説明している。彼はまた、商務省の新しい制限を次の主要な見出しにして説明している:

1. (商務省)は個々の中国企業を対象とするのをやめ、代わりに国全体を対象とするようになった。現在、中国のどの企業にも高度なチップを販売するには許可証が必要であり、議会はそれらのほとんどの要求を却下すると述べている。

2. 商務省は、米国市民、米国に居住する者、または米国企業は、高度なチップを製造している中国企業との取引を行うことを禁止する。

3. この政策は、さらに半導体供給網に深く入り込み、半導体製造装置に使用される部品を制限した。以前は、半導体チップとチップを製造するための手段だけが制限されていた。しかし、今では半導体チップ、チップを製造するための手段、およびその手段に使用される部品も制限されている。当面、これは中国の技術産業にとって壊滅的な影響を与えており、AI企業やスーパーコンピューティングセンターが窮地に追い込まれ、チップを必要とする状況に立たされている」。マット・シーハン(動画4分37秒)



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 ワシントンの「デカップリング」政策は、トランプ政権の荒っぽい関税政策やバイデン政権の中国企業への一方的な制裁をはるかに超えている。これは、重要な技術への接近を遮断することで中国経済を妨害する露骨な試みだ。これは、非常に明らかに、戦争行為であり、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)における政権の同盟者でさえ大っぴらに認めている。World Socialist Web Site のニック・ビームズがNYTの記事を引用した次の文章を確認してほしい:

 先週末、ニューヨーク・タイムズ紙でジャーナリストのアレックス・W・パーマーによって発表された長編の記事は、アメリカが中国に対しておこなっているハイテク戦争の広がりを明らかにした・・・この戦争は、今後さらに激化する見通しであり、アメリカは近々、米国の資金が中国のハイテク分野に投資される額を削減するための投資審査のあり方を発表する予定であり、また10月の発表以降に浮上した抜け道を封じるために輸出規制を更新することが予想されている。

(主要な段落は以下:)

「2022年10月7日の輸出規制により、アメリカ政府は中国の最高水準のチップの製造能力、さらには購入能力までを妨害する意向を発表した。この措置の論理は単純明快だった:高度なチップとそれらが駆動するスーパーコンピュータやAIは、新たな兵器や監視装置の製造を可能にするから、というもの。しかし、その影響と意味において、これらの措置の意図ははるかに徹底したものだった。その目標とするのは中国の安全状態をはるかに上回る広範な対象を標的としている。ワシントンの戦略国際研究センターにあるワドワニ・AIと先端技術センターの所長であるグレゴリー・C・アレンは、『ここで重要なのは、アメリカが中国のAI産業に衝撃を与えたかったということです。半導体関連の事はその手段に過ぎません』と述べている」。・・・

パーマーは10月の規制は、「事実上、中国の先進技術のすべての生態系を抹消し、根絶やしにし、枝分けしようとするものだ」と書いている・・・

今回の米国の措置がどの程度のものかは、エバーコアISOのシニア半導体分析家であるC・J・ミューズの発言でもわかる。「もし5年前にこれらの規則を耳にすれば、それは戦争行為だと私は言っていたでしょう — どう考えても戦争状態です」


ニューヨーク・タイムズ紙が公開する米国の中国とのハイテク戦争の詳細なグラフ、ニック・ビームズ、 World Socialist Web Site

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 何が進行しているかお分かりだろうか? バイデン政権は、人工知能とスーパーコンピュータを開発するために必要な先進的な半導体を、中国が入手することを不可能にしようとしているのだ。このような封鎖は、明らかに現行のWTO規則に違反している。が、繰り返しになるが、米国が無作為に1,300以上の中国企業に課した一方的な制裁も許されているわけではない。要するに、米国は自身の地政学的利益に最も適した行動を追求する際に、規則だからということで二の足を踏むことはない。Foreign Policy誌の記事で筆者ジョン・ベイトマンが要約したとおり:

「産業安全保障局(BIS)は、中国への先進半導体、チップ製造装置、およびスーパーコンピューター部品の輸出に関する新たな制限を発表した。これらの規制は・・・広範で基本的な段階で中国の能力を阻止しようとすることにひたすら焦点が当てられていることを示している・・・中国への主な影響は、ワシントンが指摘している軍事および情報に関する懸念よりもはるかに大きな経済的なものになるだろう・・・この移行は、先進演算だけでなく、他の部門(生物工学、製造業、そして金融)でも、今後より厳格な米国の措置の前触れとなるだろう。その速度や詳細は不確定だが、戦略的目標と政治的な取り組みは今まで以上に明確となっている。どんな犠牲を払おうとも、中国の技術的台頭の速度は落とされるだろう。」(ジョン・ベイトマン、『Foreign Policy 』誌「バイデンは今や中国排除に全力を挙げている」より)

重要なのは、この主に「レーダーに察知されない」形での技術戦争が進行中であることを認識することだ。同時に、米国は台湾に政治的代表団を派遣し続けている(「一つの中国」政策に挑戦するため)、アジア太平洋地域で反中国連合を強化し続け、台湾海峡や南シナ海で北京を挑発し続け、台湾に殺傷力のある兵器を売り続け、地域内での軍事存在感を増強し続け、NATOの「東方拡大」をアジア太平洋地域に拡大し続け、西オーストラリアで史上最大の「タリスマン・サーベル(Talisman Sabre)」と呼ばれる「実弾射撃」軍事演習を行い続けている。

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中国の「一帯一路」構想:主権国家の世界的な経済統合

 それはつまり、「デカップリング」は中国に対して行われている大きな戦争の一部にすぎないのであり、その目的は中国の防衛力を弱体化させ、同盟国から孤立させ、中国の敵国を強化し、ワシントンの絶対命令に従わせることだ。アメリカ合衆国は、急速に力伸ばしている競合相手(中国)に中央アジア大陸での支配拡大を阻止するため、核武装した中国との直接対決を冒す覚悟があるという信号を送っている。おそらく、非常に近い将来、敵対行動が勃発するということだろう。
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中国を標的にする米国:ウクライナ紛争前と同じ事がいま台湾で起きている

<記事原文 寺島先生推薦>
Target China
米国は、台湾分離主義勢力に武器と訓練と支援を提供し、米国代理戦争の先鋒にさせようとしている
筆者:マイク・ホイットニー(Mike Whitney)
出典:グローバル・リサーチ   2023年8月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月17日





 バイデン政権は、台湾を中華人民共和国との直接の軍事対立に引きずり込む計画を立てている。この計画は、ウクライナで取られた戦略と多くの点で類似している。ウクライナでロシアがウクライナ侵攻に踏み切らされたのは、ロシアの国家安全保障が危機的な状況に置かれたことに対する対応を迫られたからだった。 台湾の場合、中国政府は、米国の代理勢力や米国の同盟諸国が台湾で仕掛ける行為により、中国の領土保全上の問題が積み重なることへの対応を取ると考えられる。これらの挑発行為により、裏で(および報道機関も使って)こっそりと動いている米国からの物資面の支援がより増すことは避けられなくなるだろう。これらの陰謀の最終目的は、台湾の分離主義者らに軍備させ、訓練を施し、兵站の支援を供給することで、中国に対する米国政府の代理戦争の先鋒を担わせることだ。多くの独立系報道機関の記事によると、台湾軍と米軍の間の協力関係は既にできあがりつつある、という。今後戦闘行為が発生し、台湾が戦争に巻き込まれることになれば、両国間の協力関係が深まることは疑いないだろう。


 中国軍と対決しようという計画の輪郭が描かれたのは、2022年の国家安全保障戦略(NSS)においてだった。その中で、中華人民共和国は「米国の地政学上の最重要課題」であり、中国は「国際秩序を再形成する意思を明らかにしている」とされた。 NSSによるこの分析を受けて、「インド・太平洋」地域を支配しようとする戦いに勝つための体制が明確に取られることになった。この地域は、「世界の経済発展の源の大部分を占めており、21世紀の地政学上の震源地である」とされた。 (「米国民の日常にとって、インド・太平洋地域ほど重要な地域は他には存在しない。」)バイデン政権下のNSSは、差し迫る中国との戦争において、軍が果たす決定的な役割を強調した。「我が国は、我が軍の近代化と強化をはかり、複数の強国との戦略的な競争の時代に備えるべきだ」。「米国は我が国の利益を守るために躊躇なく軍事力を行使する」と。

 中国を台湾という沼地に引き摺りこむことが、世界秩序のなかでの米国の覇権を維持する目的のためのより広い封じ込め作戦の最初の一手だ。 同時に、中国がインド太平洋地域で支配的な経済大国になることを防ぐ意味もある。さらにこの計画には、経済的、電脳敵兵、情報的要素も含まれており、これらの要素を軍事面と絡めながら進めていこうという計画だ。全体として、この戦略が表しているのは、米国政府が最大限の努力を払って、時計の針を戻し、単極的世界秩序の全盛期に時代を復元することだ。その当時、米国は世界戦略を巡らし、米国は無敵だった。


台湾での問題



 台湾は国ではない。台湾は中国沖にある島だ。それはサンタ・カタリーナ島がカリフォルニア州の沖にあるのと同じことだ。サンタ・カタリーナ島が米国の一部であることに疑念を挟む人はいないだろう。それと同じで、台湾が中国の一部であることに疑念を挟む人もいないだろう。この問題は随分前に解決済みであり、米国はその合意の結果に同意している。全ての実用的目的から、この問題はとうに解決済みだ。

 国連は台湾の独立を承認していないし、中国と国交を結んでいる181ヶ国もそうだ。実際、1971年の国連 総会決議で採択されたのは、「中華人民共和国のみが、中国全土を代表する唯一の法的に認められた政府だ」というものだった。

 「ひとつの中国」政策が、明確に台湾の立ち位置を規定している。台湾は中国の一部であり、それこそが「ひとつの中国」政策が表す意味だ。中国と関係を持ちたい国々は台湾の立ち位置に同意しなければならない。それが、中国との全ての関係の基礎となる根本的な考え方だ。この問題で論議することはできない。「台湾は中国領土の切り離せない一部だ」ということを認めれば、どこでも事業ができるということだ。それ以外の選択肢はない。

 米国は「ひとつの中国」政策を受け入れていると主張している。先日の北京訪問においても、 バイデン政権の3人の高官(アンソニー・ブリンケン、ジャネット・イェレン、ジョン・ケリー)は公的にひとつの中国政策を揺るぎなく支持する、と表明した。以下はフォーブス誌の記事からの引用だ:

アントニー・ブリンケン国務大臣は、中国の習近平国家主席と月曜日(7月31日)に面会した際、ひとつの中国政策に対する米国の立場を繰り返し、米国は台湾の独立を支持せず、中国経済を封じ込めることは米国の目的ではない、と語った。….ブリンケン国務大臣は、米国は「ひとつの中国」政策を支持し、台湾の独立は支持しないが、台湾海峡での中国による「挑発行為」には懸念している、と述べた。(フォーブス誌の記事「ブリンケン国務大臣は、緊張関係を緩和するための面会後、習近平国家主席に台湾の独立は支持しないと表明」からの引用はここまで)

ジョー・バイデン大統領もひとつの中国政策への支持を、ことあるごとに表明していることから、この立場が米国政府の正式見解であると考えてよいだろう。以下は、この問題に関する中国外務省の短い要約だ:米国は3度の中米共同コミュニケ(公式声明)において、ひとつの中国政策について、以下のように表明している。

1972年発表の上海共同コミュニケでは、米国は明確にこう表明した。「米国は台湾海峡の両側にある中国全土に関してひとつの中国政策しか存在しないこと、台湾は中国の一部であるという中国の立場を認識している。米国政府はその立場に疑問を挟まない」と。

1978年発表の中米国交正常化の共同コミュニケにおいては、米国ははっきりとこう表明した。「アメリカ合衆国政府は、ひとつの中国しか存在せず、台湾は中国の一部であるという中国の立場を認識している」と。

1982年発表の8月17日コミュニケにおいて、米国は間違いなく以下のように表明した。「1979年1月1日の中米国交正常化に関する、アメリカ合衆国政府と中華人民共和国政府が発表した共同コミュニケにおいて、アメリカ合衆国政府は中華人民共和国政府を唯一の法的に認められた中国政府と認識し、さらに米国は、中国はひとつであり、台湾は中国の一部であるという中国の立場を理解して」おり、「米国は、中国の国家主権と領土保全に介入する意図を持っておらず、中国の内政に干渉する意図も、『ふたつの中国』や『ひとつの中国とひとつの台湾』という政策を追求する意思もない」とした。(中国外務省による要約はここまで)


 西側報道機関は読者にこの件に関して「灰色の部分」があり、中国の領域主権は確定していない、と思ってもらいたがっている。しかし、前述の通り、領域主権は確定している。台湾は中国だ。そうなれば十分考えられることは、報道機関が意図的に世論を間違った方向に導き、「独立」運動への支持を広げようとしている、ということだ。 そしてその目的はひとつしかない。米国にとって役立つ人材と反乱軍を軍備させ、訓練を施し、この先の中国との血みどろの戦争で働いてもらうことだ。確かに米国は、中国での代理戦争の下地を準備中であり、台湾はその戦争の前線に据えられようとしてきた。独立運動は、米国政府の真の目論見を覆うまやかしにすぎない。



 だからこそ台湾が中米関係炎上の引火点になっているのだ。だからこそ米国が主導する各国の代表団が台湾入りし、 台湾の独立に暗黙の支持を表明しているのだ。だからこそ米国議会が台湾軍に殺傷兵器を提供するための何百万ドルもの予算案を承認しているのだ。だからこそ米海軍は、台湾海峡経由で戦艦を派遣し、 中国周辺で大規模な軍事演習をおこなっているのだ。だからこそ米国政府は、最も微妙な問題に関して中国政府を挑発し続けているのだ。これら全ての挑発行為は、ただ一つの目論見に集約されている。それが、中国との戦争だ。以下はポリティコ通信社の記事から: バイデン政権は金曜日(7月28日)、3億4500万ドル(約495億円)相当の武器を台湾に供給すると発表した。これは今年国防総省の在庫武器から直接台湾に送られる予定の総額10億ドル相当分の第1陣だ。

 この動きが中国を怒らせることになるのは確実だ。というのも、米国政府は中国政府との関係改善をはかってきたからだ。アントニー・ブリンケン国務長官やジャネット・イエレン財務大臣などの政府高官が先日中国を訪問したが、成果はほとんどなく、米国による台湾支援や中国政府による諜報気球問題などの幅広い問題に関する緊張関係の緩和には至らなかった。

 「我が国には台湾に対する責任があり、台湾の自衛力を高めることを真剣に、本当に真剣に考えています」と国家安全保障委員会のジョン・カービー報道官が、金曜日(7月28日)の発表に先立ち、記者団に述べた。(「米国は、台湾への3億4500万ドルの武器予算案を発表」ポリティコ通信社の記事からの引用はここまで)

 繰り返す:「この動きが中国を怒らせることになるのは確実だ。」

 実際、この動きは中国を怒らせるために仕掛けられたのだ。その点はハッキリしていた。しかし、なぜ?なぜ、米国政府は事実上、世界的に認められた同意事項に関わる問題で中国を挑発するようなことをしているのだろうか?

 思い浮かぶ理由はふたつ:

  ① 中国の過剰反応を誘発し、同盟諸国や周辺の貿易相手諸国から疎外させること。

  ② 中国を近隣諸国に脅威を与えるような暴力的侵略者のように描くことで、中国に対する世論を変えること。

 以下は、「世界社会主義ウェブサイト(WSWS)」の記事だ:

先週の金曜日(7月28日)の米国からの発表によると、米国は台湾に3億4500万ドル相当の武器を送る、という。これは台湾の軍備増強に充てる年間10億ドル予算の第1弾だ、という。この動きは、台湾を完全武装させる第一歩であり、米国政府が中国との挑発的対立をさらに煽るつもりである、といえる...

バイデン政権は同じような方針のもと、ウクライナに何十億ドル相当もの米軍武器を供給し、ロシアとの戦争を深化させようとしている。ロシアをウクライナとの戦争に引き摺り込んだのと全く同じように、米国は意図的に中国の対台湾戦争をおこさせようとしている。

....ワシントン在留の中国の刘鹏宇(りゅう・ほうう)大使館報道官は以下のように述べた:「中国は米軍が台湾と繋がり、武器売買をおこなうことには強く反対します」と。同報道官は米国に対し、「台湾に武器を売るのをやめ、台湾海峡の緊張を高めるような新たな要因を作り出すことをやめ、台湾海峡の平和と安定に危機をもたらすような行為をやめる」よう、警告した

米国は意図的に「ひとつの中国」政策を軽視している。この政策は北京の中国政府を事実上中国全土の正当な政権と認識するものだ。 台湾も含めて、だ。さらに1979年の中米国交正常化の際の基本方針となったものだ。 米国政府が心底から認識しているのは、中国が長年台湾政府による独立宣言に対しては軍事力をもって対応すると警告してきたことだ。 (「対中戦の準備として、米国は台湾に3億4500万ドルの軍事費を支給」世界社会主義ウェブサイトからの引用はここまで)




 中国が何百万ドルもする殺傷兵器をテキサス州での進歩的分離主義勢力に送ったとしたらどうだろう?中国がそのテキサスの分離主義勢力に、反乱を鎮圧しよとする戦争に備えて武器を与え、訓練を施し、可能な限り多数の米国民を殺そうとしたとしたらどうだろう? 中国が代表団を次から次へとオースティン(テキサス州の都市)に派遣し、 反乱軍を鼓舞し、 戦意を高揚させ、物資支援をおこなったとしたらどうだろう?中国が、艦隊や空軍の一部をテキサス州近郊の港や基地に配置させ、互いの衝突が生じ、戦闘行為が勃発した際に参軍できる準備をしたとしたらどうだろう?

 そのような動きに、米国政府ならどう対応するだろうか? ドンと腰を据えて、米国による恐れ知らずの干渉や挑発に対応する中国の指導者層のようにドンと腰を据えて応対するだろうか?

 さらに以下のことを自問していただきたい:こんな手口を前にも目にしたことがなかったろうか?2014年にCIAが糸を引いた武力政変の後にウクライナで展開されている筋書きと同じではないのか? その武力政変後に、米国はウクライナ軍に軍備と訓練を施し、ロシアとの戦争に踏み込ませたのと同じではないのか? 米国政府は意図的にロシアにとって非常に微妙な問題を選んで、 ロシア政府の方から、「外に出させる」よう仕向けたではなかったか?

 もちろん、そのとおりだった。在職22年間、プーチン大統領は戦争を始めたことはない。逆に米国は247年の歴史の中で、戦争をしなかった年はたったの16年しかない。こんな驚くべき暴力的な記録に匹敵する記録をもつ国は存在しない。 ジミー・カーター元大統領の言のとおり、「米国は地球上で最も戦争が好きな国」なのだ。

 中米間の動きをずっと注視してきた人々ならお分かりだろうが、バイデン政権は、「良い子悪い子」のおふざけの連続だ。そのおふざけの中で、米国の外交官らは尽力して中国の指導者層に媚びを売ろうとしてきた (同盟諸国をなだめるためだ)。そのいっぽうで、同時に台湾を完全武装させ、中国政府を煽ってきた。 こんな茶番の目的は、他方でいわゆる「戦略的曖昧さ」 を示しながら、もう片方で凶暴性を高めていくことだ。残念なことに、この戦略が功を奏しているようなのだ。中国の指導者層はますます苛立ちを高め、私たちに以下のように考えさせる状況が生じている。すなわち、最終的には、アメリカさんがやりたがっている戦争がおっぱじまってしまうのじゃないか、と。少なくとも、ウクライナではそんな状況になってしまっている。以下にWSWSの記事をもうひとつ示す。

先週、台湾軍は毎年恒例の複数日にわたる軍事演習を実施した。この演習は漢光演習という名で知られており、中国による台湾侵攻に対する反撃に焦点を当てたものだ。今年の演習では、以前のものより、主要な生活基盤施設や桃園国際空港を含む交通機関の要所への攻撃の対応に重きが置かれた...

報道機関の取材に応じた台湾の陳建仁行政院長は、この演習を正当化するため、以下のように述べた。「台湾でおこなわれた本日の演習の実施理由は、戦時状況の演習も含めてロシアによるウクライナ侵攻により世界的な緊迫関係が高まっていることだけではありません。それよりも中国が我が国に対して常に脅威を与え、挑発していることへの反応という意味合いの方が強いです」と。

本当のところは、中国ではなく米国が北東アジアの現状を揺さぶり、インド・太平洋地域における核保有国間の衝突事故という舞台を作り上げているのだ。ウクライナでのロシアとの戦争を焚きつけているなかで、さらにそんなことをしているのだ。無数のウクライナ兵や市民が犠牲になってきたのと同じように、米国は台湾でも同じようなことを起こす準備をしており、日本や韓国、オーストラリアなどこの地域の同盟諸国この戦争のために集結させている。(世界社会主義ウェブサイトWSWSの記事からの引用はここまで)




 これら全ての動きから推測されることは、中国と軍事衝突を起こそうという米国の計画が、非常に進んだ段階に差し掛かっていて、台湾での火種がいつ引火してもおかしくない、ということだ。

 最近の多くの世論調査の結果によると、米国民(彼らは、ここで述べたような事情を全く聞かされいないままだ)は、中国は悪どい競争相手で国家の安全をますます脅かす存在である、と思わされる状況に置かれてきた。ギャロップ社が実施した最近の調査によると、中国に対する世論の評価は下降している。以下はその報告からの抜粋だ:中国に好意を持つ米国民の割合は15%という史上最低値となった...米国民の10人中8人以上の成年が中国に対して否定的な意見を持っており、うち45%が中国に対して厳しい反感を持ち、39%がかなりの反感を持っている...

 多くの人々が中国に反感を持っているだけではなく、ますます多くの米国民が、中国は米国にとって最大の敵であると考えている人々が高い割合を占めている。この観点はこの世論調査で問われた他の二項目と密接に関わっている。それによると多くの米国民は、中国の軍事力と経済力が、この先10年の米国益にとって「深刻な驚異」になると考えていることがわかった。(「中国に好意を持っている米国民が15%しかないという記録的な調査結果」ギャロップ社の報告からの抜粋はここまで)


 さらにピュー研究所も、同じような暗い調査結果を示している:



 当然のことだが、中国に対する敵意がこのように大きくなっている原因には、報道機関が容赦なく扇動宣伝を繰り出し、米国にとって最も恐るべき経済上の競争相手の悪魔化を目指してきたからだ。お考えいただきたい。一例を挙げれば、米国民が中国の気球騒ぎで狂乱させられた事件だ。この気球は軌道を外れて漂流しただけで、米国の誰一人にも脅威を与えなかった。 報道機関はこんなどうでもいい話を、国際的諜報行為だという馬鹿げた話にすり替え、航路を誤った一般人の飛行船を「中国の諜報気球」とし、その気球の悪しき目的を「機密度の高い米国のいくつかの軍事施設の情報を得ること」だと報じた。こんな取るに足らない出来事が、米国政府にとっての敵国を嘲笑するために利用され、中国と戦争しようという米国民世論を育てようとしている意図が見える。


中国との戦争は避けられないのか?

 米中両側の外交政策関係者らは、繰り返し米国が中央アジアに関わろうとしている点を強調している。 その道の第一人者であるズビグネフ・ブレジンスキーが古典的著書『壮大なチェス盤』でこの件について初めて主張した。以下のとおりだ:「米国がユーラシアをどう『扱うか』は決定的に大事だ。ユーラシアを支配する勢力は、世界で最も発展していて経済生産力のある3大地域のうちふたつを抑えることになる。ユーラシアの地勢を一目見るだけで分かることは、ユーラシアを抑えれば、アフリカも自動的に従属させることになり、地政学上世界の中心に位置するユーラシアに近接する西半球とオセアニア(オーストラリア)も手にすることになる。ユーラシアには世界人口の約75%が住んでおり、世界の大半の物質的富もほとんどそこにある。企業が手にしている富においても、地面の下にある富においても、だ。ユーラシアは世界で知られているエネルギー資源のうちの4分の3を占めている」と。 (ズビグネフ・ブレジンスキー『偉大なチェス盤』、ウィキクォートよりの抜粋はここまで)


 ブレジンスキーの見方は米国政府の専門家階級やその人々を支持する人々の中で広く受け入れられてきた。例えば、ヒラリー・クリントン元国務長官はこう述べている。「ますます明らかになっていることは、21世紀における世界の戦略や経済の重点となる地域はアジア・太平洋地域になる、ということです。それはインド亜大陸から米国の西海岸までを網羅する地域のことです...」

 「アジアの成長と活力を活用することが、米国の経済と戦略に利益をもたらす中心となります...アジアにおける自由市場が、合衆国に投資と貿易と最先端の技術を得る道筋を与える前代未聞の好機になるでしょう...米国の諸企業は、アジアを基盤にした広大でますます拡大する消費者層に参入する必要があります」。(ヒラリー・クリントン国務長官「米国の太平洋世紀」、外交政策誌の記事からの引用はここまで)


 以下はアッシュ・カーター元国防長官がアリゾナ州立大学マケイン協会での演説からの抜粋だ:「アジア・太平洋地域は我が国の未来にとって決定的な地域だ...」「2050年までには、人類の半数がこの地域で暮らすことにな」り、「世界の中流階級の半数以上とそれに伴う消費量がその地域から生み出されることになる...」「既にアジアには、5億2500万の中流階級が存在し、2030年までにはその数が32億になるだろう..オバマ大統領と私が確認したいことは、この先に生まれるであろうこれらの消費者層を奪いあう競争に勝てる事業を起こすことです...次世紀になれば、この地域ほど米国の繁栄にとって大事になる地域はなくなるでしょう」(アッシュ・カーター元国防長官の演説からの抜粋はここまで)


 上記の二つの引用を読めば、米国がこの地域に重きを置く戦略を取っていることがよく分かるだろう。中国が中央アジアに歩を進めるための唯一の入口であるだけではなく米国がこの地域で覇権を確立する際の主要な障害になっているのだ。 だからこそ、中国と取引をする戦略が必要不可欠になるのだ。その戦略とは、中国を孤立させ、制裁をかけ、封じ込め、最終的にはこの米国最大の好敵手を征服させるためのものだ。驚くことではないが、バイデン政権の2022年の国家安全保障戦略にはその計画が、明確な、まったく曖昧でないことばで記載されており、米国が戦争に向かっていることは疑いない。以下は、その48頁からなる文書からの抜粋だ:

冷戦後の時代は完全に終わり、次に世界がどうなるかに向けての強国間の競争が進行中だ...我が国はお互い協力し合う国々とはより強くより幅広い連携を可能な限り深めていく所存だ。いっぽう、暗黒な展望を持ち我が国の国益を妨害しようと努力している勢力とは闘う...我が国は軍を近代化し強化することで、強い国々との戦略的競争時代に備える...

インド・太平洋地域は世界の経済成長源のほとんどを有し、21世紀の地政学上の中心地となろう...世界全体にとっても一般の米国民にとっても、インド・太平洋地域ほど重要な地域はなくなるだろう...我が国はインド・太平洋地域の同盟諸国との鉄のように固い関係を再確認し...米国は我が国の国益を守るためには躊躇なく軍事力を行使する... 米軍は、中華人民共和国が挑発行為を示す中で、抑止力を維持し、強化するよう緊急発動する..

中華人民共和国が米国にとって地政学上最大の脅威だ。中国が唯一の競争相手なのだ。国際秩序を再編する意図を持ち、それを成し遂げるための経済力、外交力、軍事力、技術力を増大させているのだから.…. 米軍は世界がこれまで目にしてきた中で最強の軍だ……米国は我が国の国益を守る必要がある時には、躊躇なくこの軍事力を用いる….

世界中で、米国の指導的役割の必要性が、いまだかってないほど高まっている...我が国は規則に基づく秩序こそが世界平和と繁栄を間違いなく維持するという信念を共有するいかなる国とも友好関係を結ぶ... 我が国にできないことはない。我が国がこれを成し遂げるのは。我が国の未来と世界のためだ。(大統領官邸の国家安全保障戦略からの抜粋はここまで)


 まとめよう:

 ① インド・太平洋地域は、いまや米国の外政上もっとも優先される地域だ。というのも、この先世界で最も成長が見込まれる地域だからだ。

 ② 米国は自軍と米国と利益を共有する同盟諸国を導くだろう

 ③ 「我が国は軍を近代化し強化し...」、「複数の強国との戦略的競争に」勝利する。

 ④ 米国の第一の敵国は中国だ。「中華人民共和国が米国にとって地政学上最大の脅威だ...中国が唯一の競争相手なのだ。国際秩序を再編する意図を持ち、それを成し遂げるための経済力、外交力、軍事力、技術力を増大させているのだから...」

 ⑤ 「冷戦期は終わった」が、米国は「規則に基づく秩序」を維持しようと準備中だ。どれだけ血を流しても、どれだけ金がかかっても。

 一言で言うと、これが米国の外交政策なのだ。米国の指導者層と世界の米国同盟諸国は、ロシアと中国に対するこんにちの勢力闘争に勝とうと全力を尽くしている。これらの国々は自分たちが果たしたい目的をはっきりと見据えており、どんな危険もおかす用意がある。核戦争も含めて、だ。なんとしてでもその目的を達成しようとしている。台湾での動きは、米国政府の視点から見なければならない。そしてこの先、確実に有事が発生するだろう。

*
マイケル・ホイットニー(Michael Whitney)はワシントン州を拠点にした地政学及び社会学の専門家。2002年に独立系市民記者としての経歴を始め、真摯な報道や社会正義や世界平和に関わる仕事をしている。 「世界の一体化についての研究所(CRG)」の客員研究員。
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米帝国に対する地政学的なチェス盤の変遷

<記事原文 寺島先生推薦>
Geopolitical Chessboard Shifts Against US Empire
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:Unz      2023年7月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月16日


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 地政学のチェス盤は永続的に移り変わっており、特に現在の白熱した局面においてはそれが顕著だ。

 中国の学者たち(アジアやアメリカの華僑を含む)の議論における魅力的な一致点は、ドイツやEUが、おそらく取り戻すことの難しいほどにロシアに敗北した一方で、中国がロシアを獲得したということだ。それは中国の経済と非常に相補的であり、またグローバルサウス/世界人口多数派(グローバル・マジョリティ)との強固な結びつきを持ち、北京に利益をもたらし支援する可能性がある。

 一方で、一部の大西洋主義者外交政策分析家たちの井戸端会議では、NATO対ロシアの物語を変えようとの話でかまびすしい。現実政治の初歩を適用しようとしているのだ。

 新しい言い回しは、ワシントンがモスクワを打倒しようと期待することは「戦略的狂気」であり、NATOがキエフのスウェットシャツを着た戦争主義者(ゼレンスキー)が「信用を失う」中で「援助疲れ」が出ている、というものだ。

 言い換えればこうなる:「ウクライナ戦場での屈辱が、今やすべての世界人口多数派にとって痛烈な映像として明らかになっているため、NATO全体が完全に信用を失っている」。

 (言い換えの)追加:さらに、「援助疲れ」とは、大規模な戦争に敗北することを指す。軍事分析家のアンドレイ・マルチャノフが情け容赦なく強調している。「NATO『計画』などは冗談話だ。NATOは妬んでいる、ひりひりするほど妬んで、羨ましいのだ」。

 確かな前進の道は、モスクワがNATO(単なるペンタゴンの付属物)と交渉するのではなく、個々のヨーロッパ諸国に対してロシアとの安全保障協定を提供し、彼らがNATOに所属する必要性を無意味にすることだ。これにより、参加国すべての安全が確保され、ワシントンからの圧力は軽減されることだろう。

 まず間違いないのは、このことを決して他人事と考えないヨーロッパの大国がそれを受け入れるだろう、ということ。しかし、ポーランド(ヨーロッパのハイエナ)とバルトのチワワ犬たちが受け入れないことは確実。

 同時に、中国は日本、韓国、フィリピンに平和条約を提案し、その後、米国の基地帝国の大部分が消失する可能性がある。

 繰り返しになるが、問題は、臣下国は平和へのいかなる合意にも応じる権限や力を持っていないことだ。非公式には、ドイツの実業家たちは、ゆくゆくはベルリンがワシントンに逆らい、ロシア・中国と戦略的同盟関係で取引を行う可能性があると確信している。それがドイツに利益をもたらすからだ。

 しかし、次の黄金律はまだ満たされていない:臣下国が主権国として扱われたいのであれば、まず最初に帝国基地の主要な拠点を閉鎖し、アメリカ軍を追放すること。

 イラクは何年も前からそれを試みているが、成功していない。シリアの三分の一は依然としてアメリカの占拠下にある。アメリカのダマスカスへの代理戦争はロシアの介入により敗北しているにもかかわらず、だ。


国の存亡がかかったウクライナ問題

 ロシアは、決して負けるわけにはゆかない隣国や同胞国との戦いを強いられてきた。そして、核と超音速技術の力を持つ国として、負けることはないだろう。

 たとえモスクワが戦略的に何らかの弱点を持ったとしても、結果がどうであれ、中国の学者たちの視点からは、アメリカが帝国成立以来の最大の戦略的な誤りを犯した可能性がある。①ウクライナ問題を(ロシアの)国の存亡をかけた紛争にしたこと、②帝国全体とその臣下国すべてをロシアに対する全面戦争に巻き込んだこと、だ。

 そのため、私たちには平和交渉の余地もなく、停戦すら拒否されている。アメリカの外交政策を主導するストラウス派ネオコンの、精神異常者たちが考案した唯一の可能な結末は、ロシアの無条件降伏だ。

 直近では、ワシントンはベトナムやアフガニスタンに対する、自ら選択した戦争に負けてもよかった。しかし、ロシアに対する戦争には負けるわけにはゆかない。負ければ、すでに地平線に見えている臣下国の反乱は、はるかかなたにまで広がるだろう。

 明々白々なことは、今後、中国とBRICS+(来月8月に始まる南アフリカのサミットから参加国は増える)が、アメリカドル基盤の崩壊を加速させることだ。インドの参加、不参加は関係ない。

 BRICS通貨はすぐには出てこないだろう。この議論でいくつかの優れた論点が指摘されている。その範囲は広大で、裏方たちはまだ初期の議論段階にあり、広い輪郭はまだ定義されていない。

 BRICS+としては、改善された国境を越えた決済機構から進化することになろう。これは、プーチンから同国中央銀行総裁エルビラ・ナビウリナまで、誰もが力説しているものだ。結局、新しい通貨が出てくるのはこの非常に長い道のりを辿った先ということになるだろう。

 これはおそらく、ユーロのような主権通貨ではなく、貿易の手段となるだろう。それは、米ドルとの貿易競争(最初はBRICS+諸国間)をするために設計されるだろう。それから覇権的な米ドル生態系を迂回することができるだろう。

 重要な問題は、(米)帝国の偽物経済が、マイケル・ハドソン(Michael Hudson)によって臨床的に解体されたにもかかわらず、この地政学的経済戦争の広範な見通しの中で、どれだけ持ちこたえることができるかだ。


あらゆるものが「国の安全にとって脅威」

 電子技術の一線では、(米)帝国は何の制約もなく、世界的な経済的依存を強制し、知的財産権を独占し、Michael Hudsonが指摘するように、「高技術コンピュータチップ、通信、兵器生産に高価格を請求することで賃貸料を手にしている」。

 実際には、台湾が貴重なチップを中国に供給することを禁止され、TSMC(台湾半導体会社)に対してアリゾナ州にできるだけ早くチップ製造施設を建設するよう要請するということ以外は、ほとんど何も進展していない。

 しかし、TSMCの会長であるMark Liuは、その工場が「半導体級の施設設置に必要な専門的知識を持つ労働者の不足に直面している」と述べ、評判の高いアリゾナ州TSMCチップ工場は2025年以前に生産を開始することはないだろうと述べた。

 帝国/その臣下NATOの一番の要求は、ドイツとEUがロシア・中国の戦略的連携とそれらの同盟国に対して貿易の鉄のカーテンを課さなければならない(そうすれば、「危険のない」貿易が確保される)ということだ。

 予想どおり、アメリカの頭脳集団界隈は狂気に陥り、アメリカン・エンタープライズ・インスティチュートの専門家たちは、経済的な危機軽減だけでは十分ではないと熱弁している。アメリカが必要とするのは中国との徹底的な断絶だ、と主張している。

 実際、これはワシントンが国際自由貿易規則や国際法を無視し、あらゆる形態の貿易やSWIFT、金融取引を米国の経済と軍事の支配に対する「国家安全保障上の脅威」として扱うことと寸部違わない。

 したがって、今後は、中国が依然として北京にとって主要な貿易相手国であるEU(欧州連合)に対して貿易制裁を課すのではなく、アメリカが自国が主導する貿易禁止破りをする国々に対して制裁の津波を課す、という展開になる。


ロシア‐北朝鮮関係は、ロシア‐アフリカ関係と対応

 今週のことだが、チェス盤上で対戦の流れを変える2つの動きがあった:ロシアの国防大臣セルゲイ・ショイグの北朝鮮訪問と、サンクトペテルブルクで行われたロシア・アフリカサミットだ。

 ショイグはロックスターのようにピョンヤンで歓迎された。彼は金正恩との個人的な会談を持った。相互親善から始まり、北朝鮮が多極性への道を切り開く多国間の組織の一つに最終的に参加する可能性が高まっている。

 それは、ほぼ間違いなく、広範なユーラシア経済連合(EAEU)になるだろう。これは、ベトナムやキューバと結ばれたようなEAEUと北朝鮮の自由貿易協定から始まる可能性がある。

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 ロシアはEAEUで最大の力を持ち、北朝鮮に対しておこなわれているいろいろな制裁を無視することがでる。一方、BRICS+、SCO、またはASEANは有り余るほどの選択肢がある。モスクワの主要な優先事項は極東の開発、両朝鮮とのさらなる統合、そして北極海回廊(つまり北極シルクロード)の展開だ。そのため、北朝鮮は、自然の地形から見ても、連携することになる。

 北朝鮮をユーラシア経済連合(EAEU)に加えることは、一帯一路(BRI)への投資に素晴らしい効果をもたらすだろう。北京が北朝鮮への投資をおこなう際、当面そのような効果はもたらさない。これは、もっと深いBRI-EAEU統合の古典的な事例となる可能性がある。

 ロシアの最高位外交は、北朝鮮に対する圧力を軽減するために全力を尽くしている。戦略的には、それは本当に対戦の流れを変える動きだ。ロシア・中国の戦略的連携に巨大でかなり洗練された北朝鮮の産業軍事複合体が加わり、アジア太平洋の枠組みを逆転させることを想像してほしい。

 サンクトペテルブルクでのロシア・アフリカサミット自体が、また別の対戦の流れを変える動きで、西側主要報道機関はそれに怒り心頭だった。それはまさにロシアがアフリカ全体と包括的な戦略的連携を公言し、敵対的な西側諸国がアフロユーラシアに対して非正規戦争と正規戦争を組みあわせた戦争やその他を展開している中でのことだった。

 プーチンは、ロシアが世界の小麦市場で20%の割り当てを持っていることを示した。2023年の最初の6ヶ月間で、既にアフリカへ1000万トンの穀物を輸出している。今後3〜4ヶ月間で、ロシアはジンバブエ、ブルキナファソ、ソマリア、そしてエリトリアにそれぞれ2.5〜5万トンの穀物を無償で提供する。

 プーチンは、アフリカ全域にわたる約30のエネルギー計画から、石油およびガスの輸出の拡大、そして「医療を含む核技術の独自の非エネルギー応用」に至るまで、すべての詳細を説明した。スエズ運河近くにロシアの産業地帯を設立し、アフリカ全域に輸出する商品を生産する計画や、アフリカの金融基盤の開発、ロシアの支払い体系との連携も含まれている。

 決定的に重要なのは、彼はまた、EAEUとアフリカとのより緊密な関係を称賛したことだ。サンクトペテルブルクサミットの小委員会「EAEU-Africa: 協力の展望」では、BRICSとアジアとのより緊密な大陸的な接続を含む可能性が検討された。自由貿易協定の洪水が進行中かもしれない。

 この小委員会が提出した見通しは非常に印象的だった。「新植民地主義からの脱却」を掲げる(複数の)小委員会があった。具体的には、「産業協力を通じた技術的主権の達成」、あるいは「新しい世界秩序:植民地主義の遺産から主権と発展へ」などだ。

 もちろん、国際的な北南輸送回廊(INSTC)も議論された。その主要な担当国であるロシア、イラン、インドは、NATO沿岸国を回避し、アフリカへの重要な延伸を推進することになっている。

 非常に急速な出来事がサンクトペテルブルクで起こっている一方で、ニジェールでも軍事クーデターが発生した。結果はまだ見えていないが、ニジェールはおそらく隣国のマリとともに、パリからの外交政策の独立を再確認する道を選ぶだろう。フランスの影響力は、中央アフリカ共和国(CAR)とブルキナファソでも少なくとも「再設定」されつつある。要するに、フランスと西側諸国はサヘル地域全体で段階的に立ち退きつつあり、逆転できない形で非植民地化の過程が進行しているのだ。


破壊の「蒼ざめた馬」に注意せよ

 チェス盤上のこれらの動き(北朝鮮からアフリカへの動き、中国へのチップ戦争)は、ウクライナでNATOの前に訪れるであろう破壊的な屈辱と同様に重要だ。しかし、ロシアと中国の戦略的連携だけでなく、グローバルサウス/世界人口多数派の主要な国々も、ワシントンがロシアを戦術的な敵と見なして、中国に対する全面戦争で優位に立つ準備をしていることを十分に認識している。

 現状では、未だ解決されていないドンバス地域の悲劇が(米)帝国を忙しくさせ、アジア太平洋から遠ざけている。しかし、ストラウス派の新保守派の精神異常者の指導下でのワシントンはますます「絶望の行列」に足を囚われ、ますます危険な状況になっている。

 その一方で、BRICS+「ジャングル諸国」は必要な機能を活性化させており、一極的な西側の「庭」を脇に追いやる能力を強化している。無力なヨーロッパは深淵に追い込まれつつあり、中国、BRICS+、そして事実上の世界多数派から自らを分断せざるを得なくなっている。

 経験豊富な気象予報士でなくても、どの方向にステップ地帯の風が吹いているかは分かる。「破壊の蒼ざめた馬たち」はチェス盤を踏みにじるための陰謀を巡らし、風がうなり声を上げ始めている。
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ワシントン・ポスト紙は未だに米国の戦争犯罪と生物兵器の使用を隠している

<記事原文 寺島先生推薦>
Washington Post Still Covers Up U.S. War Crimes And Use Of Biological Weapons
出典:Moon of Alabama   2023年7月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月15日


ワシントン・ポスト紙(下のURL)は未だに米国の戦争犯罪を隠している。(本文中の青字はWP紙の記事の引用箇所)

Seiichi Morimura, who exposed Japanese atrocities in WWII, dies at 90

森村誠一

彼の731部隊(帝国軍の秘密の生物戦部門)についての本は、日本に過去の戦争をしっかり直視させるのに役立った。

彼のお悔み欄:

日本の作家である森村誠一は、1981年の731部隊(帝国軍の秘密生物戦部門)を暴く著書によって、731部隊が第二次世界大戦中に中国占領地で数千人にわたる非道な医学実験を行った事実を日本に直視させる役割を果たした。森村誠一は90歳。7月24日、東京の病院で死亡。

 森村の本は、日本の帝国的犯罪に日本人が面と向き合わせられることが稀だった時代にもかかわらず、驚くほどほどよく売れた。

 731部隊は、当時、人間に広範な実験を行った一部のナチ医師にのみ比肩される存在だった。

日本の教科書がしばしば戦争中の日本の犯罪行為を小さく扱っていた時代に、森村氏は731部隊の数十人の元兵士に取材し、1938年に日本の医官石井四郎によって中国のハルピン市近くで遂行された作戦の詳細を、恐るべき詳細さで記録した。

表向きは防疫および浄水部門を名乗っていた731部隊は、生物戦の試験場として戦争終結まで機能した。森村氏の作品のお陰で、1980年代と1990年代に調査がさらに進展し、裁判へとつながり、その結果、その残虐行為がさらに明らかになった。

加害者には多くの立派な日本人医師が含まれていた。数千人の人々(主に中国人だが、韓国人、ロシア人、8つの異なる国籍の囚人も含まれている)は、森村氏によれば、ナチ医師ヨーゼフ・メンゲレの実験と比較される医学実験に晒されることになった。

「丸太」と呼ばれる被害者は、伝染病菌(チフス、腸チフス、コレラ、炭疽、ペスト)に感染させられた。目的は生物兵器の完成だった。一部の囚人は麻酔なしで生体解剖され、病気の効果を人体上で観察するために使用された。

「私は彼を胸から腹部まで切り裂き、彼はひどく叫び、顔は苦痛に歪みました。信じられないような音を出し、恐ろしい叫び声をあげていました。しかし、やっとそれが止まったのです」と部隊の匿名の一員が1995年にニューヨーク・タイムズ紙に語っている。彼の念頭にはペストに感染した被害者があった。「外科医たちにとっては日常の仕事でしたが、私にとっては初めてのことだったので、本当に忘れられない出来事でした」。


 何千人もの人々、おそらくそれ以上も、その部隊によって実験の末に死亡させられた。

 第二次世界大戦が終わった際、731部隊の隊員たちは彼らが犯した戦争犯罪のために裁判にかけられる予定だった。しかし、アメリカ軍は731部隊の学習成果を自身の戦争に利用する計画をしていたため、その裁判を中止した:

森村氏の本が発売された同じ年、アメリカのジャーナリスト、ジョン・W・パウエルは、「原子科学者の会報」において、アメリカ政府が731部隊の隊員たちに対して研究の記録を提供する代わりに免責を与えたことを報じた。森村氏も同様のことを述べている。長年、アメリカはその部隊の実験に関する報告を(ソ連側からの)冷戦の宣伝であるとして表に出さなかった。

 ワシントン・ポスト紙の訃報記事には、これに関して、これ以上何も書かれていない。

 読者は、その「冷戦の宣伝」というアメリカ政府の主張が真実かどうかを知らされることもなく、宙ぶらりんの状態に置かれている。

 アメリカは、もちろん、いろいろ申し立てられていたことはちゃんとやっていた。そのことを証明する文書が公開された。アメリカがやったことはそれにとどまらない。

 ワシントンポスト紙は、また、日本政府が部隊隊員たちに対する戦争犯罪裁判を妨害したとするアメリカの誤った主張を繰り返している。

しかし、アメリカの高官によると、日本政府は、加害者のアメリカ入国を禁止する戦犯者一覧に登録するというアメリカの取り組みを支えることはずっと拒んでいた。石井は1959年に喉頭がんで亡くなるまで自由の身で暮らした。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、他の731部隊の元兵士は東京都知事、日本医師会会長、そして日本オリンピック委員会委員長になったと報じている。

 731部隊の隊員たちに免責を与えたのはアメリカ政府であって、日本政府ではない。さらに、アメリカ政府は、彼らの知識を得るために、高額の報酬すら与えている。

アメリカ政府は、人道に対する犯罪を行った高官に対して政治的免責を提供し、その実験に関する基礎資料と引き換えにした。その中には731部隊の指揮官である石井四郎も含まれていた。隠蔽作戦の間、アメリカ政府は中国で実施された人体実験の基礎資料を入手するために金銭を支払ったことが、2つの解除されたアメリカ政府の文書によって明らかにされている。

この悪名高い部隊の元隊員(匿名)に支払われた合計金額は、15万円から20万円の間だった。当時の20万円は、現在で2千万円から4千万円に相当する。


 現在の4千万円は、28万4千ドルに相当する。ないよりはあったほうがいい金額・・・

 アメリカ軍は、731部隊から得た知識を活用してさまざまな生物兵器を開発し、それらを試験するために、一説によると、人間も被験体として使用した。また、アメリカ軍は、731部隊と同様、北朝鮮および中国に対する戦争(朝鮮戦争)中にこれらの兵器を使用することもした。

 この事例を長年研究しているジェフリー・ケイは書いている:

過去数年にわたる膨大な証拠は、アメリカが1950年代初頭に北朝鮮および中国との戦争で生物兵器を使用したことを明らかにした。これは、CIA、国防省、その他の政府文書、および25人のアメリカの航空兵の告白の詳細な分析に基づいている。これからは、アメリカがどのようにしてこの作戦を遂行したのかについての検討に移る時だ。

続く物語は、空軍の操縦士が、当時朝鮮半島と東北中国で進行中のアメリカの秘密の細菌戦争作戦について、報道機関や政府関係者に知らせようと試みたが、失敗に終わったような出来事を文書化している。この軍の内部告発の試みによって、細菌戦争の告発に関する証拠が広く検討されることとなる。特に、生物兵器攻撃がどのように組織されたかについてだ。


 アメリカ政府の「冷戦の宣伝」という誤った主張を繰り返し、それを訂正せず、また日本政府が戦犯裁判を妨害したとする誤ったアメリカの発言を繰り返すことによって、ワシントン・ポスト紙は、731部隊の実験に基づくアメリカの戦争犯罪を隠している。
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Strategic Culture 論説:米国が主導するNATOはウクライナを血の海に沈める

<記事原文 寺島先生推薦>
EDITORIAL
U.S.-Led NATO Drowns Ukraine in a Bloodbath

出典:Strategic Culture  2023年8月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月14日


最新記事


この血の海はわいせつであり、とてつもない帝国の犯罪だ。アメリカとヨーロッパの指導者たちは和平を求めようとする努力を一切していない。

 新たな数字が示すところによれば、ウクライナ軍の死者数は紛争が始まってから500日後で、少なくとも40万人に達している。実際の数字は50万人を超える可能性がある。これは以前の推定よりもはるかに大きい数字だ。その数字すら身の毛もよだつものだった。それなのに、ワシントンは、前後の脈絡もないまま、失敗した反転攻勢を「(たとえ)ウクライナ人が最後のひとりとなろうとも!」へと追いやっている。

 この血の海はわいせつであり、とてつもない帝国の犯罪だ。アメリカとヨーロッパの指導者たちは和平を求めようとする努力は一切していない。荒っぽい言い方をすれば、戦争は商売であり、戦争屋たちは大儲けをしている。

 驚くには値しないが、キエフ政権の軍隊が実際に被った死傷者数は、厳重に秘密にされている。NATO支援国も、この恐ろしい損失に関しては口を固く閉ざしている。なぜなら、口を開けばロシアに対する彼らの代理戦争が深刻な失敗であることを認めることになり、それによって西側の一般大衆から強力な政治的反発を招くことになるからだ。ここに悪魔的な八方塞がりが存在している。

 しかし、この大虐殺をなんとか隠そうとしても、一部の独立した観察者は、2022年2月24日に紛争が勃発して以来最近まで、ウクライナ軍の死者数を約25万人から30万人と推定していた。ロシア軍の死傷者数は、ウクライナ側のそれの約10%とされている。

 だが、今週の新しい基礎資料によると、NATOが支援するキエフ政権の損失規模ははるかに大きい。

 インテル・リパブリックのテレグラムチャンネルが引用した衛星画像によると、ウクライナの領土内に新しく掘られた墓地は、少なくとも40万人の軍人がロシア軍との戦闘で死亡したことを示している。これらの墓は個々の遺体が埋葬されたものと思われる。さらに、戦場でその存在を抹殺されたり、キエフ政権司令官たちによって腐敗させられた無数の死者は記録されていない。

 別の指標は、今週のアメリカの通信社で報じられた陰鬱な報告から集められている。それによると、ドイツの製造業者から供給された義肢の数に基づいて、ウクライナ兵の中には5万人の四肢喪失者がいるとされる。この死傷者数から推測すると、戦死者数ははるかに多くなる。

 その結果、四肢喪失者数の観点から、アメリカの通信社さえも第一次世界大戦中の消耗戦のレベルと比較している。第一次世界大戦は、恐ろしいほど無意味な大量死者数で知られている。この比較は正しいが、アメリカの通信社はそれについて深く考察せず、本来あるべきはずの暴力に対する強烈な嫌悪感を、不思議なことに素通りしている。

 もしウクライナにおける戦闘が以前「肉粉砕機」と呼ばれていたなら、同国は「血の海」と呼ばれるのがより正確だろう。

 これをますます犯罪的で卑劣にするのは、この紛争と死者は回避可能であったということだ。ワシントンとそのヨーロッパNATO同盟国は、ロシアからの政治的解決への交渉要請をすべて無視し、NATOの東方拡大とキエフ政権の武装化に関するモスクワの長年の戦略的安全上の懸念を無視した。モスクワの外交努力は、敵対行動が激化する前の2021年12月に拒絶された。

 それ以前、ウクライナ政権の武装化は、CIAが2014年に民主的に選出された大統領に対するクーデターを支援した後、8年間続いた。(ちなみに、この事実を踏まえると、今週、西アフリカのニジェールでの軍事クーデターに対するアメリカとヨーロッパの非難は何なの?ということになる。「合法性」は自分の都合のいいようにコロコロ変わる!)

 ウクライナでの紛争が昨年2月に勃発して以来、ロシアが死活的な利益を守るために介入した際、NATO連合は執拗な武器供給によって故意に暴力を拡大させてきた。ワシントンはキエフ政権への軍事支援として500億ドル(7兆円)も送った。イギリス、ドイツ、フランス、その他のNATO加盟国も同様に、戦車から巡航ミサイルまでさまざまな種類の武器を絶え間なく供給してきた。

 さらに、ジョー・バイデン大統領のアメリカ政権は、ロシアとの紛争の終結に向けた交渉の提案をはねつけている。ヨーロッパの指導者たちは、ワシントンの狂気と犯罪性に盲従し、外交的な解決策を頓挫させている。

 世論調査で多くのアメリカ人やヨーロッパ市民がキエフ政権への武器供給の継続に反対していることを示しているにもかかわらず、こういった流れは続いている。西側や世界中の多くの人々は、この虐殺と流血の事態が、核大国間の全面戦争にまで拡大する危険について恐れているのは真っ当だ。世界規模での壊滅的な事態となるだろうことは疑いないからだ。

 アメリカとヨーロッパの通信社は、ウクライナの戦争を体系的な嘘と誤情報で誇張している。いわゆるニュース情報は、自称ピューリッツァー賞受賞機関による露骨な戦争宣伝活動になっている。紛争の起源は歪曲され、キエフ政権のナチス的性格を隠すことは、根気強く続いている。

 ウクライナは、はるかに優勢なロシア軍に対して勝利の可能性は皆無だった。しかし、最初から、西側通信社はNATOが「ロシアの侵略から民主主義を守っている」という妄想にふけり(恥ずかしげもなく現実を逆転させて)、NATO側が最終的に勝利するだろうと主張した。そして、その後、西側通信社は「潮流を変える反転攻勢」という次の幻想を宣伝した。

 明らかなことは、NATOが、6月初旬、戦争を煽るように説いた反転攻勢が、完全で全く無意味な失敗に終わったことだ。新たに獲得したドンバス地域とザポリージャ地域周辺のロシアの防御は、攻撃の波が次から次へと押し寄せても無敵だった。過去2か月間だけでも、ウクライナ軍の戦死者は約43,000人に上ると推定されている。

 アメリカとNATO同盟国は、キエフ政権に対して自殺的な反撃を開始させるよう圧力をかけている。空中支援もなく、びっしりと地雷で埋められた地形に対して歩兵の攻撃に頼る中、ウクライナ軍は砲弾のように戦闘に投げ込まれている。

 さらに許しがたいのは、アメリカとヨーロッパの指導者たちは、ウクライナの反撃が成功しないことを知っていた。ニューヨーク・タイムズ紙や他の通信社の報道では、口ごもりながら、そのことを認めていた。

 NATOに迫っている惨事は途轍もないものだ。この災厄は、ちょうど2年前の8月、NATOがアフガニスタンでの敗北で経験した惨敗を振り返れば、ピクニックのように思えるほどだ。

 バイデン大統領は来年の再選を目指しているが、目をそむけられない事実は、ウクライナでの野蛮行為で彼の手が血まみれであるということだ。この圧倒的な恐怖(ロシアとの核戦争の危険を、何も考えず、冒している)は、とんでもない機密情報として存在し、ワシントンとそのヨーロッパ従属国にとって、政治、軍事、そして道徳面で唾棄すべきものとして存在する。

 今週、ハンガリーの外務大臣ピーター・シージャルトは、欧州連合国が冷酷にも、ウクライナの戦争がさらに4年続く可能性を計算していることを明らかにした。さらに4年!そして、これらのヨーロッパの指導者たちは、ワシントンの帝国主義的な目標に対するおべっか使いから、キエフ政権を最大200億ユーロ(3兆2000億円)の追加資金で支援し続ける意志を示している。これらの目標は、モスクワと対峙し、衰退しつつあるアメリカの覇権を支えることに関するものだ。彼らの非合理的なロシア恐怖症も質の悪い役割を果たしている。

 自国民に責任を問われることのない西側の政権は、ウクライナでの歴史的な犯罪的戦争の責任を負っている。バイデンと彼のヨーロッパの共犯者たちは、自作の悪魔的板挟みに嵌っている。彼らは破壊と死の敗北を認めることができず、前後の脈絡もないまま、血の海により深く入るようウクライナにけしかけ続けているのだ。

 もし正義があるならば、バイデンは、直近の選挙に臨むべきではない。彼と彼の西側の手下たち(おなじみの通信社を含む)は、戦争犯罪訴追に直面することになるだろう。
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オーストラリア首相、米国のアサンジ訴追を非難

<記事原文 寺島先生推薦>
Australian PM condemns US prosecution of Assange
出典:RT 2023年8月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月14日


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アンソニー・アルバニージ―(右)がアントニー・ブリンケンと対話。2023年7月28日、オーストラリア・ブリスベン撮影 © AFP / パット・ヘルシャー


アンソニー・アルバニージーの発言:彼の政府は、ワシントンがウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジに対する訴訟を取り下げる要求を「堅持」している

 オーストラリアの首相アンソニー・アルバニージ―は、火曜日(8月1日)に、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジの起訴を中止するよう求める姿勢を続けると述べた。米国国務長官アンソニー・ブリンケンは自国民の幸福のためにオーストラリア政府がおこなった以前のすべての要望を拒否している。

 「いくら何でも長すぎます。もう十分です。私たちの見解は揺らいでいません。アメリカ政府への抗議の姿勢も変わりません。引き続きその姿勢を保ちます」とアルバニージ―は記者団に語った。

 アルバニージ―以前にも同様の発言をしている。彼は今年5月にオーストラリアのABC放送局に対して、アサンジの事例は「終結させる」必要があると述べ、政府がワシントンとの間で状況を解決するために「外交チャンネルを通じて取り組んでいる」と語った。彼は、アメリカにこの事例を完全に取り下げることを望むのか、元WikiLeaksの最高責任者(アサンジ)との取引を模索するのか、具体的には述べていない。

 ブリンケンは、アルバニージ―が週末にアサンジを擁護する発言をしたことに冷水を浴びせた。アサンジは4年間、イギリスのベルマーシュ刑務所に収監されている。土曜日(7月29日)にブリスベンでオーストラリア外相ペニー・ウォンと共に演説した際、ブリンケンは、報道されたアサンジの行動が「わが国の国家安全保障に非常に深刻な危害をもたらし、われわれの敵対者に利益をもたらし、情報源として名指しされた人物を重大な危険にさらした。具体的には、物理的な危険および拘束されるかもしれない重大な危険にさらした」と述べた。

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Read MORE:US rejects Australian plea to drop Assange case

 アサンジは、「非常に深刻な犯罪行為で起訴されており」、彼が「わが国の歴史上最大の機密情報漏洩の一つに」手を染めたと言われている、とブリンケンは主張した。

 ブリンケンの声明は「アメリカのこれまでの立場と変わらない」とアルバニージ―は火曜日(8月1日)に述べた。それにもかかわらず、彼はブリンケンに対してこの問題を取り下げるつもりはないと述べた。

 アサンジは現在、アメリカへの引渡しに抵抗している。アメリカに引き渡されれば、諜報活動法に基づく17の罪状と最大175年の懲役刑が彼を待っている。

 彼に対する告発は、ペンタゴンの文書を含む、イラクとアフガニスタンでのアメリカの戦争犯罪を告発するものや、25万以上の外交公電を通じてアメリカが同盟国をスパイし、外国の選挙に影響を与えるなどの取り組みを暴露した告発者から得た機密資料の公表に起因している。

 諜報活動取締法は、機密資料を公開した(盗んではいない)者を起訴するために使用されたことはない。アサンジとその支持者は、WikiLeaksがこの資料を公表したことは、アメリカ合衆国憲法の第一修正条項によって保護されていると主張している。この見解は、元アメリカ大統領バラク・オバマも共有しており、彼の政権下の司法省は、法的根拠がないと結論づけ、オーストラリア人であるアサンジへの訴追を見送った。

 READ MORE:Lula calls for ‘mobilization’ to defend Assange

 アサンジのアメリカへの引き渡しは、当時のイギリス内務大臣プリティ・パテルによって2020年に承認された。彼は以前の控訴のすべての理由が高等裁判所の判事によって却下された後、今年6月にその決定に対する最終的な控訴を申し立てた。
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帝国日本の恐るべき Dr. 死神、そして歴史上最も恥ずべき戦争犯罪『健忘症』

<記事原文 寺島先生推薦>
Imperial Japan's Abominable Dr. Death, And The Most Disgraceful War Crime "Amnesia" In History
筆者:イーモン・フィングルトン(Eamonn Fingleton)
出典:Forbes 2014年3月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月14日


 先週のこの欄で、私は第二次世界大戦直後の日本医師会の会長になり、民間医療界における最高峰に登り詰めた田宮猛雄の奇妙な話を取り上げた*。 (* 訳註:2023年8月9日付けの本サイトに掲載してあります。)

 最も控えめな言い方をしても、これは勝利に値しない勝利だった。ナチス・ドイツの悪魔的なヨーゼフ・メンゲレ博士を除けば、田宮は史上最も悪名高い医師の一人として考えてまちがいない。実際のところ、彼は日本の戦争取り組みにおいて特に重要な役割を果たし、731部隊の主要な勧誘担当として、日本帝国陸軍の悪名高い生物戦研究組織に関与していた。すべての証拠が示すところによれば、彼は、若い医学部最優秀卒業生たちが、その邪悪な取り組みに参加するように実に巧みに説得勧誘したのだ。

 シェルドン・ハリス(『死の工場』)やピーター・ウィリアムズ、デイビッド・ウォレス(『731部隊: 日本陸軍の最も秘密の秘密』)などの著者によって記録されたように、731部隊は歴史上でもっとも憎むべき戦争犯罪の一角を構成している。医学において、昔から、普遍的に守られてきた規則の一つを衝撃的に破り、731部隊は無数の極端に残忍な実験で人間を実験台として使用した。

 被害者は、ほとんどが中国人で、その数は12,000人にもなるかもしれないとハリスは述べている。彼らの中には馬の血液を注射されたものもいた。他の者は逆さに吊るされて苦痛な死を遂げた。ある不運な人物は、血液を体から抽出するために遠心分離機に入れられた。そして、麻酔を使用せずに行われた解剖実験もあった。1945年8月に戦争が終了すると、まだ生存していたこれらの人間実験台は、731部隊の活動を秘密に保つために即座に処刑された。

1403 メンゲレ
ヨーゼフ・メンゲレ博士の警察写真:日本のメンゲレ(田宮猛雄)は幸運だった。(写真提供:ウィキペディア)

 どうやって田宮は、戦後、そんな特権的地位に就いたのか?ぺ
 先週のこの欄への反応が示すように、弁明者たちは、戦後日本が、なぜか、田宮のことを知らなかったと主張し続けている。日本を知る人であれば、これはにわかには信じがたいことだ。

 故シェルドン・ハリス、カリフォルニア州立大学の歴史学者が記録したように、最も悪名高い実験が行われた満州の731部隊の「浄水場」の真の意義は、日本社会の上層部でも戦争中に広く理解されていた。1930年から1945年までの15年間、731部隊の軍指導者たちは、しばしば陸軍医学校や一般の大学、科学会議で大勢の聴衆に向けて演説し、人間を実験台に使った事実をあまり秘密にしなかった。時折、彼らは人間実験の映画を使用し、さらには自分たちの論点を通すために保存された人体の一部を呈示することすらしたのだ。

 1994年の著作でハリスは説明している:

「生物戦(BW)に関する知識、人体実験を含む知識は、特定の社会層に属する多くの日本人と共有されていた。軍、科学学会、国会の重要部署、そして皇族の一部がその秘密に通じていた・・・数千、おそらく数万人の陸軍医師、獣医師、生物学者、化学者、微生物学者、技術担当者などが、定期的に満州や占領下の中国に派遣されていた。これらの多くの人々は人体実験施設で働き、実験に直接参加したり、人間を実験台にした他の人々から実験について聞かされたりした。少なくとも、彼らは人間を実験台にするBW作業に関する噂を、自分たちの職場で、聞いたことだろう」。

 戦争が終わるとすぐに、731部隊の指導者たちは米陸軍との取引を進め、(人体実験の)知識を共有する代わりに戦争犯罪の訴追免除を得た。これはアメリカ人が日本との交渉において出し抜かれる典型的な例だが、この取引は若き医官であるマレー・サンダース大佐によっておこなわれた。しかし、彼は、この実験に人間が使われていたことを、その時、知らなかった。

 すぐに真実が漏れ始めた。1946年1月、日本の報道機関は、日本陸軍医務隊の隊員たちが中国人とアメリカ人の戦争捕虜にペストを感染させたとする日本共産党の指導者たちの告発を報じた。これらは、米軍の新聞Pacific Stars and Stripesやニューヨーク・タイムズ紙でも報道された。

 そして、1949年にソビエト連邦で行われた戦争犯罪裁判において、731部隊の身の毛もよだつ詳細が初めて明らかになった。捕虜となった日本陸軍将校12人が裁判にかけられた。この裁判は日本の権力者によって「見世物裁判」として無視されたが、その後、ソビエト連邦は日本語や英語を含む複数の言語で大量の資料を提供することで、彼らの告発が合理的な疑いの余地なく有効であることを示した。

 こういった事情にもかかわらず、田宮は1950年に日本医師会の会長に任命された。彼の任期はアメリカ占領当局の役員によって短縮されたが、占領が1952年に終了すると、彼は元の地位に戻った。したがって、彼は医師会の歴史で会長職を2度(会期は連続していない)務めた唯一の人物となった。

 たとえ田宮が正義の追及の手のはるかに及ばない場所にいるとしても(彼は1963年に死亡)、これで事件が終結したことを意味するものではない。特に驚くべきことがすべての局面でおこなわれる戦争において、日本の医療界が731部隊で果たした役割は他に例をみないものだった。アメリカ人が広島に贖罪することも見えている(ジミー・カーターやナンシー・ペロシは広島平和記念資料館を訪れ、駐日米国大使ジョン・ルースも2010年と2012年に追悼式典に出席した)ならば、日本の指導層も731部隊に関する「健忘症」を乗り越える時が既に来ている。

 東京大学医学部(田宮が教授であり、彼が多くの成功した勧誘活動を行った場所)および日本医師会からの謝罪の機は熟している。

筆者紹介 イーモン・フィングルトン
フォーブス誌やフィナンシャル・タイムズ紙の元編集者であり、東京を拠点として27年間にわたり東アジア経済を監視してきたイーモン・フィングルトンは、1987年9月に東京の銀行危機に関する最初の予測を発表し、その後も1995年の論争を呼ぶ分析「盲点」で、ジョン・ケネス・ギャルブレイスやビル・クリントンから称賛されました。この分析では、無思慮なアメリカがかつての高い評価を受けていた先進製造業、特にいわゆる生産者向け財の分野の主導権を、日本に急速に奪われたことを示しています。彼の1999年の著書『ハード産業賛歌:未来の繁栄の鍵は情報経済ではなく製造業にある』という本は、2000年のアメリカのインターネット株の暴落を予測し、新しい金融商品の乱用についての早期警告を提供しました。彼の2008年の著書『竜の顎にて:中国覇権の到来する時代におけるアメリカの運命』では、中国が西洋の経済や政治的価値に収束しているという従来の見方に疑問を投げかけました。彼の著書はフランス語、ロシア語、韓国語、日本語、中国語に翻訳されています。これらの著書は米国上院の記録にも掲載され、Business WeekやAmazon.comによって年間ベストビジネス書トップ10に選ばれました。
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アジア太平洋NATO:戦火をあおる

<記事原文 寺島先生推薦>
An Asia-Pacific NATO: fanning the flames of war
出典:Pearls and Irritations  2023年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月14日
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「私の国アメリカは理解不能だ。誰が国を動かしているのかよくわからない。大統領だとは思いません」と、ジェフリー・サックスはオーストラリアのメルボルンで開催されたSHAPE(「人類と地球を救う」)のセミナーでの講演で述べている。「米国の行動は、我々を中国との戦争への道へと導いている。ウクライナにおける米国の行動と同じである」。

ジェフリ-・サックス
SHAPEでの講演
2023年7月5日

 皆さん、こんにちは。私をお招きいただいたことに感謝し、併せてSHAPEの統率力に感謝します。さきほど幸運にもアリソン・ブロイノウスキーとチュンイン・ムン両氏の話を聴くことができました。洞察力に富んだすばらしい発言でした。私はおっしゃったことすべてに完全に同意します。世界は狂ってしまいましたが、とりわけアングロ・サクソンの世界は恐ろしい状況です。世界の中にある私たちの英語圏という小さな片隅に、分別というものが少しでもあるのかどうかわかりません。もちろんアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのことです。

 今、私たちの国の政治には非常に悔やまれることがあります。深刻な狂気です。それは、残念ながら、アメリカに引き継がれた大英帝国主義の思考なのです。私の祖国アメリカは今、20年前、30年前と比べてみても、理解不能になっています。本当のことを言うと、いま誰が国を動かしているのかよくわかりません。アメリカの大統領ではないと思います。我々は将軍、つまり、安全保障体制によって運営されています。大衆は何も知らされていません。主流メディアでは外交政策について語られる嘘が日常的に溢れています。私はそれを聞いたり読んだりすることに耐えられません。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙や主要なテレビ局が報じることは、来る日も来る日も、その100%が政府の偽情報扇動の繰り返しであり、これを打ち破ることはほぼ不可能となっています。

 いったいどうなっているのでしょうか。これは、いま先に話されたお二人からお聞きになったようにアメリカの狂気の問題なのです。自国の覇権を維持しようとする狂気です。軍事化された外交政策は、凡庸な知識人のように見えて、実は貪欲な将軍たちによる思考に支配されています。わずかの分別もありません。なぜなら、彼らの唯一の手口は戦争を起こすことだからです。

 そして彼らはイギリスに応援されていますが、残念なことに、私が大人になってからは、アメリカの覇権と戦争のためのアメリカ応援団として、ますます哀れな姿をさらしています。アメリカが何を言っても、イギリスはそれを10倍にして繰り返すでしょう。イギリス指導部は、これ以上ないほどウクライナ戦争を楽しんでいます。イギリスのメディアとイギリスの政治指導者にとって、それは大規模な第二次クリミア戦争*なのです。
*1853~56年、ロシアが南下政策を積極化させ、オスマン帝国に宣戦したことに対し、イギリスとフランス及びサルデーニャがオスマン帝国を支援して列強間の戦争となった。ロシアが敗北し、パリ条約で講和、オスマン帝国の領土は保全され、ロシアのバルカン方面での南下はいったん抑えられた。(世界史の窓)


 さて、オーストラリアとニュージーランドがどうやってこの愚かさに陥っているのかは、私にとってもあなたにとっても非常に奥深い疑問です。そんな馬鹿げたことは止めるべきです。しかし、政治家たちに指示したのはファイブ・アイズと治安当局だったのではないかと思います。彼らは、政治家たちがこれに関与している範囲において『まあ、このようにしなければならない』と言ったのでしょう。オーストラリアは私たち米国の安全保障国家ですが、私たちの政治家が必ずしもこれに大きな役割を果たしているとは思いません。ところで、米国の外交政策には当の国民の役割は全くありません。私たちは議論も討論もせず、1000億、いまや1130億ドルにもなる支出を認める法案への投票についても討論はありませんでした。それにもかかわらず、実際にはウクライナ戦争にはるかに多くのお金が費やされています。

 これまでのところ、この件については議会でさえ1時間も組織的な議論が行われておらず、ましてや公の場でもその議論はおこなわれていません。ただ私の推測では、あなた方の安全保障体制こそがオーストラリアにおけるこの動きの推進力であり、彼らは首相やその他の人々にこう言っているのでしょう。「これが最高の国家安全保障なのです。これはアメリカが私たちに言ったことです。あなた方の安全保障装置について、私たちが見ているものを説明しましょう。もちろん、このことを広く一般に漏らすことはできませんが、これは本質的には世界での生き残りをかけた闘いなのです」。

 現在世界中で経済顧問としてこの活動に 43 年携わっている私自身が目にするものすべてが、この彼らの発言がバカげたものであることを示唆しています。 こうした動きを理解するために人々が注目するのに興味深いと思うのは、ハーバード大学での私の元同僚であるロバート・ブラックウェル大使とアシュリー・テリスが2015年3月に外交問題評議会のために書いた非常に説得力がある記事です。現在起こっていることの計画がかなり直接的に述べられているので、そこからいくつかの抜粋を読みたいと思います。これが米国での物事の仕組みであり、その中に将来の計画が示されています。

 米中関係がどうなるかは基本的には2015年に知らされています。関係悪化は計画されたものであり、その場しのぎではありません。そこで、2015年にブラックウェルとテリスが書いたものを紹介しましょう。まず、「建国以来、米国は一貫して、さまざまな競争相手に対して優位な力を獲得し、それを維持することに重点を置いた壮大な戦略を追求してきた。最初は北米大陸、次に西半球、そして最後に世界的に」。そして、「世界全体における米国の優位性を維持することは、21世紀の米国の大戦略の中心的な目的であり続けるべきである」と主張しています。

 では、米国の目標は何か。目標は非常に単純で、世界における米国の優位性です。ブラックウェルとテリスは中国に対する目標達成計画を提示しました。彼らは私たちに何をすべきか教えてくれます。

 その計画項目をご紹介しますが、かいつまんでの紹介です。「中国を意識的に排除する手段によって、米国の友好国と同盟国の間で相互利益を増大させる新たな特恵貿易協定を作成する」。オバマ大統領はTPPで既にこの計画を始めていました。国内の政治的反対を押し切ることはできませんでしたが。第二は、中国の戦略能力を阻止するために「米国の同盟国と協力して、中国に対する技術管理体制を構築する」ことです。第三は、「中国の周辺にいる米国の友好国や同盟国の権力政治能力」と「中国の反対を無視して、アジアの周辺地域に沿って効果的に戦力を発揮するように米軍の能力を向上させる」ことです。

 この計画項目で特に注目に値するのは、それが2015年に作られたものだということです。実際に実行されている段階的な行動計画なのです。このような外交問題評議会(CFR)による米国の政策の伏線は、最近の歴史でもよく知られています。1997年、CFRの機関誌『フォーリン・アフェアーズ』において、ズビグニュー・ブレジンスキーはNATO拡大の時系列を正確に示し、特にそのNATO拡大にはウクライナを含める意向が書かれていました。もちろん、このNATO拡大計画はウクライナ戦争に直結しており、まさにNATO拡大をめぐるロシアとアメリカの代理戦争となるものです。

 さて、あなた方にウクライナ戦争をもたらした友人や天才たちは、今度はあなたの隣国で新たな戦争を起こそうとしています。ムン教授が指摘したように、北大西洋条約機構は、東アジアにも事務所を開き始めています。ここは厳密には北大西洋ではありませんね。

 これが私たちの現状です。ひとつの主な理由を見つけることはとても簡単とは言えません。少なくともアメリカでは、オーストラリアがどのような国なのかはよくわかりませんが、アメリカとほぼ同じであると予想されます。そこでは、この問題について誠実に向き合って、国民的な議論がなされていないからです。政策は、安全保障機構、軍産複合体、「頭脳集団」の連携網によって完全に所有されています。これらは実際にはワシントンの頭脳集団では決してありません。ほとんどすべての資金が軍産複合体から出ているのです。

 軍産複合体とその傘下にある政治に圧力を加える企業は、私が教えている東海岸の大学を乗っ取っています。私はハーバード大学で20年以上教え、現在はコロンビア大学で教えていますが、大学における情報機関の影響力は、私の経験ではかつてないほど大きくなっています。これらはすべて、あまり世間に知られることなく、ほとんど静かな政権転覆のように起こっています。議論もなく、公の政治もなく、正直さもなく、文書も公開されていません。すべてが秘密であり、機密であり、少し不可解でもあります。私はたまたま世界中の国家元首や閣僚と関わる経済学者であるため、公式の「物語」や蔓延する嘘を見破るのに役立つ多くのことを聞き、多くのことを目にしています。

 私が経験したようなことは、公の場では一切お目にかかれません。そこで、ウクライナ戦争についてひとこと述べますと、戦争は完全に予測可能であり、1990年初頭に遡るNATO拡大に基づく米国の覇権計画の結果でした。米国の戦略は、ウクライナを米国の軍事軌道に乗せることでした。ブレジンスキーは、1997年に著書『世界チェスボード(The Global Chess Board』の中で再び戦略を示しました。ウクライナなしのロシアは重要ではないと彼は主張しました。ウクライナはユーラシアの地理的要であると彼は書いているのです。興味深いことに、ブレジンスキーはアメリカの政策立案者に対して、ロシアと中国を同盟関係に追い込むことがないように注意を促しました。実際、それは米国の利益に反するものであり、ブレジンスキーはそれが決して起こらないとはっきり信じていた。しかし、実際はそうなっています。米国の外交政策は無能であるだけでなく、非常に危険で誤った考えを持っているからです。

 1990年から91年の間、私はたまたまゴルバチョフの顧問であり、1991年から94年の間は、ボリス・エリツィンとレオニード・クチマの顧問でしたので、その期間は、ペレストロイカの末期からソビエト連邦解体後のロシアとウクライナの独立の初期に及んでいます。私は何が起きているのかを注意深く見ていました。そこで私が見たのは、アメリカがロシアの安定化を支援することには全く無関心であることでした。

 1990年初頭からの米国の安全保障体制の構想は、米国主導の一極化、すなわち米国の覇権主義でした。1990年初頭、米国はソ連経済、次いでロシア経済の安定化を目的とした支援策を拒否する一方で、NATOの拡大を計画し始めましたが、これは米独がゴルバチョフとエリツィンに約束したこととは正反対でした。したがって、ウクライナを含むNATO拡大問題は、1990年初頭に始まった米国の行動計画の一部であり、最終的にはウクライナ戦争につながりました。

 ところで、アメリカは、2014年のウクライナの親ロシア派大統領の失脚に深く関与していました。そう、これはクーデターであり、アメリカにとって重要な政権交代作戦だったのです。私はたまたまその一部を見たことがあり、アメリカのお金がマイダンの支援に注ぎ込んだことを知っています。このような米国の干渉は不快で不安定なものであり、NATOをウクライナとジョージアに拡大するという行動計画のすべての部分でした。

 プーチン大統領は外交的対応を進めましたが、米国やNATO同盟国は何度も拒否しました。国連安全保障理事会で承認されたミンスク2協定も同様の対応をしましたが、ウクライナに無視されています。

 2021年12月17日、プーチンは交渉の基礎となる完全に合理的な文書「米ロ安全保障協定草案」を交渉のテーブルに置きました。核となったのはロシアのNATO拡大停止要求だったのですが、悲劇的なことに、アメリカはそれを無視したのです。2021年12月の終わりにホワイトハウスに電話して、安全保障担当の高官と話し、「交渉する。NATOの拡大を止める。戦争を避ける好機がある」と訴えました。もちろん、無駄です。米国のプーチンへの正式な回答は、NATO拡大はロシアと交渉の余地がないというものであり、ロシアの発言権はまったくありませんでした。

 これは信じられないやり方です。なぜなら、それは戦争への直接の道になるからです。皆さんに理解してほしいのは、2月24日にロシアが侵攻したわずか一ヶ月後の2022年3月には、ウクライナにおけるこの戦争は交渉による合意によって早くも終結に近づいていたことです。ところが、この合意は、米国によって中止されました。というのも、この合意はウクライナの中立性に基づいていたからです。米国はウクライナに対し、戦い続け、交渉を打ち切り、中立を拒否するように命じていました。

 そして、私たちは核戦争の可能性に向けて激化し続ける戦争の中にいます。もしロシアが戦場で大敗を喫したら、それが起こるでしょう。ロシアは今のところ戦場で負けてはいませんが、もし負ければ核戦争に発展する可能性が高くなります。ロシアはドンバスとクリミアから追い出されて、おとなしく謝罪して帰国するつもりはないでしょう。ロシアは戦いを激化する必要があれば、そうするでしょう。つまり、私たちは今、非常に危険な連鎖的悪循環の中にいるのです。

 日本はこの連鎖の中に完全に飲み込まれています。そしてオーストラリアも同様です。オーストラリアがこの無謀な方法で利用されることを受け入れているのを見るのはとても悲しいことです。無謀で挑発的、そして費用のかかる方法で新たな軍事基地に巨額の費用を投じることは、オーストラリアに大きな負担を与えながら、米国の軍産複合体を養うことになるだけです。

 このような米国の行動は、ウクライナにおける米国の行動と同じように、我々を中国との戦争への道に向かわせています。アジア太平洋戦争になれば、さらに悲惨なことが起きるだけです。米国とその同盟国が中国と戦うという考えは、その意味、その愚かさ、そして無謀さにおいて、唖然とさせられます。これらはすべて、オーストラリアの安全保障上の真の利益とは完全に乖離しています。中国はオーストラリアにとって脅威ではありません。世界に対する脅威でもありません。

 私は、中国の歴史の中で中国が海外の国を侵略した例をひとつも知りません。ただ、モンゴル人が中国を一時的に統治し、日本を侵略しようとしたときを除いてですが。モンゴルによる侵攻は台風に負けましたが、それを除けば、中国は海外で戦争を始めたことはありません。それは中国の国策の一部ではないし、そのような戦争は中国の国益にもならないからです。
世界について私が心配しているのは、世界最強になることを目指している、極度に神経質になった米国の(安全保障上の)指導者たちだが、それは彼らが信じているやり方ではそうはなれないことです。これは情けないことですが、遠い昔の世界帝国の栄光を今も夢見るロンドンでは毎日称賛の声が上がっているのです。

 結論として、私が何をすべきかを言うのに1分かかることをご了解ください。

 第一に、ウクライナでの戦争は、バイデンが決断して、NATOがウクライナに拡大しないと発言する日には、終わる可能性がある。なぜなら、交渉による安全保障協定の基礎は30年前からあったが、これまでのところ米国によって拒否されていたからだ。

 第二に、アジアにNATO事務所を開設するという考えは、その愚かさゆえ唖然とさせられる。日本人にこの無謀な行動を止めるように言ってほしい。

 第三に、米国が台湾を武装させようと行動することは非常に危険であり、挑発的であり、意図的である。

 第四に、アジア太平洋地域で最も必要なのは、アジア太平洋諸国間の地域対話である。

 第五に、アジア太平洋地域はRCEP (東アジア地域包括的経済連携協定) を基礎とすべきである。RCEPは、特に気候変動問題、エネルギー政策、貿易政策、生活基盤施設への投資政策を中心に、中国、韓国、日本、ASEAN 10カ国、オーストラリア、ニュージーランドを一貫した枠組みでまとめるための正しい概念である。RCEPがうまく機能すれば、RCEPに参加する15カ国だけでなく、世界全体に利益をもたらすだろう。

 話が長くなって申し訳なかったですが、SHAPEがやっていることはとても重要です。あなた方は完全に正しい道を進んでいます。みなさんの努力が叶うことを願っています。
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英国の科学者が謎の「某病」のためのワクチンを準備中

<記事原文 寺島先生推薦>
UK scientists preparing vaccines for mystery ‘Disease X’
出典:RT  2023年8月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月12日



資料写真:フランスのトゥール大学の研究室でタンパク質を操作する研究者、2021年9月9日© AFP / Guillaume Souvant


この病気はまだ存在していないが、人体での治験はすでに始まっている、とスカイニュースが報じる

 英国の科学者らはすでに将来の「某病」の大流行に備えたワクチンを開発している、とスカイニュースが月曜日(8月7日)に報じた。研究者らは、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の後、鳥インフルエンザ、サル痘、ハンタウイルスなどの致死性の動物由来の病原体が進化して人間に感染する可能性がある、と考えている。

 この研究は、英国保健安全保障庁(UKHSA)によって、ウィルトシャー州の安全が高度に守られているポートンダウン研究所複合施設で実施されている。ポートンダウンのワクチン開発評価所はCovid-19大流行以来拡張されており、現在200人の科学者がまだ人間に感染していない動物ウイルスのワクチンを開発している。

 「私たちがここでやろうとしているのは、新たな某病、新たな病原体が発生した場合に備えて、できる限り事前にその作業をおこなっておくことです」とUKHSAのデイム・ジェニー・ハリーズ首席教授はスカイニュースに語った。「(大流行を)防ぐことができれば幸いです。しかし、それができず、対応しなければならない場合に備えて、それを解決するためのワクチンと治療法の開発をすでに開始しています。


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 ポートンダウンの研究班はすでにクリミア・コンゴ出血熱に対するワクチンを開発している。クリミア・コンゴ出血熱はマダニによって広がり、感染者30%が死亡する病気である。初期段階の臨床試験が開始され、近い将来24人の志願者による接種治験を実施する予定である、と英国の放送局スカイニュースが報じた。

 研究されている他の病原体には、鳥インフルエンザ、サル痘、齧歯動物によって広がるウイルスの一種であるハンタウイルスなどがある。

 スカイニュースは、科学者らがこれらの病原体についていわゆる「機能獲得」研究をおこなっていたかどうかについては明らかにしなかった。機能獲得研究には、ウイルスを兵器化したりワクチンを開発したりするために、ウイルスを改変して人間に感染しやすくすることが含まれる。米国は、中国の武漢ウイルス研究所におけるコウモリ媒介コロナウイルスの機能獲得研究に資金を提供したが、これがCovid-19大流行の原因になった、と考える人も多い。ただし、この実験室漏洩理論は決定的に証明されているわけではない。

 過去2年間で新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の大流行は落ち着きを見せたが、西側諸国政府が整備した疾病対策とワクチン研究の基盤組織は拡大した。米国では先月、大統領官邸が常設の大流行対応機関の創設を発表している。UKHSAと同様、この機関もまだ人間を脅かしていない動物由来の病気に対する「次世代の医療対策」を開発する任務を負っている。
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ヒロシマ、ナガサキ、ロシアンルーレット

<記事原文 寺島先生推薦>
Hiroshima, Nagasaki, Russian Roulette
筆者:デクラン・ヘイズ(Declan Hayes)
出典:ストラテジック・カルチャー・ファンデーション(Strategic Culture Foundation) 2023年8月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月12日



訳註:『ヒロシマ・ナガサキ・ロシアンルーレット』は、アイルランドの音楽バンド「ムービング・ハーツ」の1982年のアルバム収録曲。歌詞は大国の勝手な都合で投下された原爆を批判するもの。「ロシアンルーレット」は、回転式拳銃に1発だけ実包を装填し、適当にシリンダーを回転させてから自分の頭に向け引き金を引くゲーム。(ウィキペディア)
動画は(クリスティ・ムーアによるカバー)こちら
歌詞はこちら



「米国による太平洋戦争は、日本降伏前も降伏後も、人種差別的な殲滅戦争だった。」―デクラン・ヘイズ

 1945年3月9日と10日の、米国による東京大空襲は軍事史における唯一無二の最も破壊的な空襲だった。10万人以上が亡くなり、100万人以上が家を失った。北ベトナムやラオスやカンボジアでの米国による絨毯爆撃計画と並び、東京大空襲は人類史上最も凄惨な戦争犯罪のひとつであり続けている。大日本帝国が当時すでに死に体であったという理由も含めて。

 神風特攻隊の最後の隊員らが、米軍が日本本土に攻め込むのを撃退しようと準備をしていた1945年8月初旬、日本政府は必死に泥沼から這い出す道筋を模索していた。ソ連赤軍が満州に間もなく南下することが分かっていた日本政府は、当時が非常に重要な時期であると承知していた。 米国が無防備な女性や子どもたちたちを強姦し屠殺することを止めさせる方策を考えないといけなかったからだ。米軍はグアムやサイパンや沖縄で同じようなことをしてきたのだ。

 日本人は、米国が日本の降伏を受け入れてくれない理由が分からず途方に暮れていたのだが、その答えはすぐに明らかになった。その答えは、2つのキノコ雲として示された。そのキノコ雲のひとつは広島、もうひとつは日いづる国のキリスト教の中心地、長崎で浮かんだ。これらの2つの戦争犯罪に続いて、かつては強力だったが大きく力を失っていた日本の関東軍の元占領地を、赤軍が蹂躙した。

 マッカーサー元帥が戦艦ミズーリ号で日本の敗北をほくそ笑む中、米国人は日本や環太平洋地域だけではなく、韓国やフィリピン、台湾も植民地化し、その後東南アジアに目を向け、そこからオランダと特にフランスを追い出そうとしていた。ナガサキとヒロシマでのふたつの戦争犯罪を実行した目的は、ソ連にアジア全域は米国の軍靴のもとに下ったことを伝えるためだった。それはヤルタ条約などの取り決めに反することであった。その取り決めでは、米国だけがアジア全域を支配することにはなっていなかったからだ。

 米国による太平洋戦争は、日本降伏前も降伏後も、人種差別的な殲滅戦争だった。 米英の報道機関、著名なところでいうと、ロサンゼルス・タイムズ紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーカー紙、リーダーズ・ダイジェスト誌、タイム誌、ライフ誌などの報道機関が、敵国日本を劣等人間として報じ、根絶するしかない猿人として書き立てた。そのような宣伝行動を背に受けて、米国海兵隊 (USMC)が、猿狩りに繰り出したのだ。米国海兵隊は、たいてい捕虜を拿捕しなかった。英国のパーシバル中将がシンガポールで覇気のない降伏を見せた時も、その行為は武装した猿の仕業とされ、絶望的に数が劣る敵国兵士(日本軍)が、なんとか生き残ろうとして最も実用的な作戦を取った尊敬に値する行為だったとは報じなかった。

 米国の「最も偉大な世代*」の一片にあたる海兵隊が、日本人戦死者の死体を記念品にしたり、病院船を攻撃して沈めたり、捕虜を撃ち、虐待し、処刑したのだ。海兵隊員らは、死人からも生きた人間からも金歯を集め、捕虜にも、自分たちが殺した死体にも、放尿した。手持ち無沙汰なときには、日本人捕虜たちの骨で小さな記念品を彫って、自宅や愛するものたちに送った。ルーズベルト大統領は、日本人軍人の骨で作った手紙切りナイフをもらったが、それを送り主に送り返した。もちろんその骨の正当な所有者に送り返したのではない。大統領のただの自分の都合のためだけだった。
*第二次世界時に、中心となって米国を支えていた世代の尊称

 第二次世界大戦時、太平洋戦線で分別のある行動がとられることは稀だったが、皮肉にも、人種差別的者として名高いチャールズ・A・リンドバーグ・ジュニア大佐がその惨状に一家言を発した。同大佐は、米国で最も偉大な軍が恒常的に犯していた残虐行為に警鐘を鳴らした。米国が太平洋戦線で日本人に対して見せた扱いについて目にしたり、聞いたりした話に押されて、この飛行士は苦言を呈した。同大佐の感情は、以下の日記の記述に集約されている。「我が軍の兵たちがジャップの捕虜を虐待することは自由に認められていた。しかもその虐待の仕方は、当時ジャップが見せていたのと同じくらい残忍で野蛮なものだった。我が軍の兵たちは日本人捕虜や降伏しようとしている兵を射殺することを何とも思っていない。兵たちはジャップを動物に対するよりも軽く考えた扱いをし、そんな行為は、ほぼ皆から大目に見られている。我が国は文明化のために戦っていると主張しているが、太平洋戦線で私が多くのことを目にすればするほど、我が国が文明化のために戦っているという主張が、正当なものに思えなくなってくる」。リンドバーグが太平洋戦線を後にしハワイの税関に到着した際に尋ねられたのは、荷物の中に日本人の骨がないのか、ということだった。当時その質問は、決まり文句のようになっていた。

 『ペリリュー・沖縄戦記』の著者であるユージーン・B・スレッジは、従軍仲間らが敵兵の死体から金歯を集めていたことについて記していた。沖縄でスレッジが目撃したのは、 米国で「最も偉大で気のいい世代」に属していたひとりである海兵隊士官が、日本人の死体の上に立って、その口に向かって放尿したことだった。

 太平洋戦争時に従軍記者だったエドガー・L・ジョーンズが、1946年2月の月刊アトランティク誌の取材で語ってくれた内容が、おそらくもっとも分かりやすいものだろう。「一般市民からみて、我が国の戦争はどんな種類のものだったと考えられるでしょうか?冷酷にも捕虜を射殺し、病院船を破壊し、救助船を機銃掃射し、敵の市民を殺し酷く扱い、敵の負傷兵を殺し、瀕死の兵士を穴に投げ込んで殺し、太平洋で敵兵の頭蓋骨についた肉を焼き払い、その骨で愛するものたちのための食卓の飾りを作ったり、日本兵の骨を彫って手紙切りナイフを作ったりした。」

 チャーチル首相とマッカーサー元帥は、配下の兵たちに、降伏しようとしている日本兵を即座に処刑するよう命じた。さらに2人は、京都の耳塚の噂話を広めた。この耳塚は、1598年の朝鮮出兵の後で、現地で切り落として回収した4万の耳や鼻を祀ったとされているものだ。京都は、日本の宮廷文化を保存したいという米軍の指導者らの人道主義的な欲望が幾分かあったため、東京や名古屋や大阪で行われたような絨毯攻撃から逃れていた。 京都は、善良で人間らしい長崎や東京の人々とは違い、文化的に重要であったので、京都の建築物も耳塚も保存されることになった。当時、海軍は自前の非人道的な塚を作っていた。海軍は敵捕虜の耳や鼻を削ぎ落とし、大規模なちょろまかしもやっていた。沖縄では、米国の「最も偉大な世代」の人々は、世界で最も連続強姦を犯した犯罪者という姿を晒した。

 ジョン・ピルジャーの優れた記録記事を読めば、米軍の第4心理作戦団や第101空挺師団(虎班)がベトナムで自前の耳飾りを作っていたことが分かる。ベトナムでこれらの師団は、 ベトナム人の赤ちゃんの首を切ることで、地元の人たちに誰が村の支配者なのかを知らしめるような行為をおこなうことが常態化していた。この記録をピルジャーが記してからもう半世紀経つが、その間ずっとピルジャーは悪者扱いされてきた。それは、ピルジャーはNATOが奏でる賛美歌を歌おうとはしないからだ。

 ピルジャーは灰色の影を探す記者だ。ピルジャーは自身の分析の中に、米国のエドワード・バーニーズのような社会病質者たちに対する心理的な洞察も含めた。このバーニーズとは、米国民に、ゲッベルスやゲッベルスの真似事をした少し見劣りのする日本人たち以上に、効果的に利己的な戦争を国民に支持させる方法を伝授した心理学者だ。ピルジャーは、イラクのファルージャ、ベトナム、ナガサキ、ヒロシマなどで米国が犯した戦争犯罪により生じた巻き込み被害についても常に言及を忘れない。しかも、米国が殺害した死亡者の9割を大きく超える数が、一般市民であったという事実の言及にも、だ。さらにピルジャーは、報道機関が繰り出す偽善に簡単に乗ったりしない。だからこそ、繰り返しになるが、ピルジャーは悪人扱いなのだ。

 どのくらい連中が悪者なのかを知りたければ、FBIに鼓舞されたEUによるロシア・トゥデイやスプートニクをこき下ろしているこの報告書を読めば十分だ。EUはその理由を、これらの通信社は、「事実を大きく歪め、操作し、繰り返し恒常的に、欧州各国の政党を、特に選挙期間中に標的にしてきた。さらには、市民社会や亡命を求める人々やロシアの少数民族、性的少数派、民主主義団体が機能することや[欧州]連合やその加盟諸国をも標的にしてきた」からだとしていた。米国海兵隊が滅ぼそうとしていた「猿のような」日本人やベトナム人を人間扱いするこれらの通信社が私たちにとって害のある通信社とされているからこそ、私たちはグーグルの検索機能で守られないとダメなのだ。その検索機能を操っているのは現在のエドワード・バーニーズだ。そのバーニーズが、選挙で選ばれたわけではないウルズラ・フォン・デア・ライエンやその道徳的に問題のある手下どものような戦争亡者たちだけが真実、全くの真実、真実だけを話している、と我々に告げる。

 ジョン・ピルジャーはもう80代なので、お目こぼしされている。ただし、残りカスのようなゼレンスキー帝国に迷い込んだり、シリアの反政府勢力のところに迷い込むことになれば、ピルジャーもすぐに潰されるだろう。しかしゴンザーロ・リラ、ジュリアン・アサンジ、ゲイリー・ウェッブ、アリーナ・リップらもっと若い人々はタダでは済まない。ジェフリー・エプシュタインやMI6の工作員ゼレンスキー、オバマ一族、クリントン一族など米国の組織的犯罪を犯してきた一族の罪についての真実を暴けば、ロシアの宣伝行為を反復した罪になる。無数の死体が示すように、NATOに包囲された真実の告白者たちが良い未来で終わることは決してない。彼らはヒロシマ、ナガサキ、ロシアンルーレットをしているのだ。
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ワグナー代表が、ヴィクトリア・ヌーランドに「喜び」を表明

<記事原文 寺島先生推薦>
Wagner boss expresses 'joy' over Victoria Nuland
出典:RT 2023年8月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月12日



ワーグナー民間軍事会社の創設者エフゲニー・プリゴジン代表、撮影はエレナ・コピロワ


 エフゲニー・プリゴジン代表は、米国政府がワグナーについて言及するだけでも、同政府がニジェールにおける新政府の承認を検討するようになったと表明

 ワグナーのエフゲニー・プリゴジン代表は、配下のワグナー民間軍事会社の構成員を誇りに思う、と述べた。それは、その民間軍事会社の名を口にするだけでも、米国政府は自らの立場の再検討を強いられる可能性が出てくるためだ、という。米国のビクトリア・ヌーランド国務次官は先日、ニジェールの新軍事政権に対し、ロシアの請負業者である同民間軍事会社の協力を求めないよう要請した。

 プリゴジン代表は火曜日(8月8日)に電話で記者団から、ヌーランド国務次官のニジェールを個人的に訪問する予定があることと、ワグナー民間軍事会社といかなる取引も結ばないようニジェール新政府に助言したことについて発言を求められた。

 「ワグナーの子ども達を誇りに思います」とプリゴジン代表は答えた。「あの子たちのことを考えただけで、ISISとアルカイダでさえ、小さく、従順で、軟弱な少年のように思えるのですから。そして米国は、ワグナー民間軍事会社の構成員と会うことを避けさせるためだけに、昨日は承認していなかった新政府を承認したのです。」

 「これは嬉しいですね、ヌーランドさん」と同代表は冗談めかして言った。

 報道によると、ニジェールの新しい軍事政権の構成員の一人であるサリフー・ムーディ将軍は、権力を守るためにワグナーに援助を求めたという。武力政変による政権指導者らは現在、追放されたモハメド・バズム大統領を政権の座に復帰させるか、近隣諸国による軍事介入の可能性に直面するかの選択を迫られている。

 月曜日(8月7日)、2014年にウクライナで起こった西側諸国が支援する武力政変劇に関与したヌーランド国務次官は、ニジェールのムサ・バルモウ現国防総司令官および他の3人の上級司令官と以前に個人的に会い、ニジェール国内で憲法秩序を回復するよう促したことを明らかにした。


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 ヌーランド国務次官はまた、バルモウ氏に対しロシアの民間軍事会社の協力を求めないよう警告したと主張し、プリゴジン代表配下のワグナーが「存在する国々に対する脅威」であることを示唆した。

 しかし、ニジェールの新しい指導者らは、明らかにこの問題に関していかなる確約も控えているようだ。

 一方、ロシア政府は、ニジェール情勢に対する外国の介入には反対しており、状況を好転させることはできない可能性が高い、と主張している。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、混乱したニジェールがすぐに「憲法上正常な状態」に戻ることへの期待を表明した。
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日本はアフリカへの影響力競争では勝てないとの専門家による分析

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan cannot compete for influence in Africa, analyst tells RT
出典:RT 2023年8月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月10日



2023年8月1日、プレトリアでの国際関係協力局での会議に到着時、南アフリカ共和国のナレディ・パンドール外務大臣(右)と握手を交わす日本の林芳正外務大臣(左)© PHILL MAGAKOE / AFP


日本は「アジアの米国」であり、「人民の自由という点においては歴史上ずっと間違った立場に」立ち続けてきた、とジャッキー・シャンドゥ氏はRTの取材に応答

 日本や西側諸国は、アフリカ諸国の中国に対する感情を動揺させようとしているが、アフリカに対する影響力競走に「勝機はない」と独立系の分析家であるジャッキー・ジャンドゥ氏がRTの取材に答えた。

 シャンドゥ氏のこの発言は、日本の林芳正外務大臣と英国のジェームズ・クレバリー外務大臣による今週のアフリカ訪問について述べたものであったが、これらの外務大臣のアフリカ訪問は、サンクトペテルブルクでのロシア・アフリカ首脳会議を受けてのものだった。

 英国の外務大臣はアフリカ3カ国訪問を、月曜日(7月31日)のガーナとナイジェリア訪問から開始し、火曜日のザンビア訪問で幕を閉じることになっている。

 英国によると、クレバリー外務大臣の訪問の目的は、「将来を焦点に置いた双方向で利益が得られる」アフリカ諸国との友好関係の強化のためだというが、国営放送であるBBCは、この訪問は、ロシアと中国の影響力の増大に対抗するためだ、と報じた。

 ナイジェリア最大の都市ラゴスでの火曜日(8月1日)の演説において、クレバリー外務大臣は、世界中で何百万もの人々が食べ物を得ようと苦しんでいる中で、「食糧をわざと燃やす」という「新たな体たらく」を見せたとして、ロシアを非難した。

 同外務大臣によると、英国はアフリカ諸国が「この先の国際社会上の秩序」を決める際に、決定的な役割を担っていることを認識しているとし、そのことこそが英国が、「以前からの古い友情を再確認して、新たな友情を築く」理由だ、とした。

 いっぽう、クレバリー外務大臣と歩を同じくしている日本の外務大臣がアフリカ諸国訪問を始めたのは、火曜日のことで、訪問国はロシアにとっての主要な友好諸国である、南アフリカ共和国、ウガンダ、エチオピアで、その目的は、貿易、投資、エネルギー面での双方向の協力体制の強化のためだった。

  アフリカ開発銀行のウェブサイトに最近載った報告書によると、日本が外国諸国に対して直接投資している2兆ドル(約287兆円)のうち、アフリカ諸国への投資はたったの0.003%にすぎない、という。さらにその報告書によると、アフリカ諸国と日本の輸出入は、総輸出入の2%にも満たないままだ、という。

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  水曜日(8月2日)のRTの取材に対し、シャンドゥ氏は、アフリカ諸国への投資という点において、日本が中国と競争するのは不可能だ、と主張した。

 「中国は長年アフリカ諸国と行き来し」、多額の出資をしてきた、と同氏は述べ、アフリカにおける中国の経済上の影響力や中国に対する各国の捉え方を変換させる件に関して、日本に「勝機はない」とも付け加えた。

 「概して日本が同盟関係を結んできたのは、アフリカの敵勢力やアフリカを抑圧しようとしてきた勢力です。日本は、アフリカを貧困で搾取され発展途上のままの状態に留めようと必死につとめている人々や国々と繋がってきたのです」

 シャンドゥ氏は日本を「アジアの米国」と評し、日本は「人民の自由という点においては、歴史上ずっと間違った立場に立ち続けてきた」と述べた。
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ヒロシマ原爆の日に、原爆を投下した米国の責任を問わない日本

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan ignores US role on Hiroshima bombing anniversary
出典:RT   2023年8月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月10日



2023年8月6日、広島市の平和記念公園で原爆死没者名簿を安置する松井一實広島市長(右)と遺族代表ら ©AFP / 時事通信


日本政府は「ロシアによる核の脅威」を強調し、1945年にヒロシマを破壊した責任のある国を非難しない方向を選択


 日本当局は、78年目のヒロシマ原爆の日での声明で、その悲劇の責任者である米国を名指しで非難しなかった。米国政府が歴史上唯一、2度の核兵器使用を実行国であるにもかかわらず、日本政府が槍玉にあげたのは、「核の脅威」をもたらすとされるロシアだった。

 岸田文雄首相は日曜日(8月6日)の演説で、「日本は唯一の戦争被爆国として、核のない世界に向けた努力を続けます」と述べた。そして、そのような世界への道は「核軍縮をめぐる国際社会での深まる亀裂とロシアの核の脅威により、ますます困難になっています」と付け加えた。

 「核兵器によりヒロシマとナガサキにもたらされた悲劇は二度と繰り返されるべきではありません」としながらも、同首相はこの攻撃に責任のある張本人を名指しすることは避けた。

 米海軍の爆撃機がヒロシマ上空に原爆を投下したのは、1945年8月6日のことで、12万6千人もの人々が亡くなったが、そのほとんどは一般市民だった。もうひとつの原爆が長崎上空に落とされたのは8月9日のことで、8万人もの人々が亡くなり、そのほとんど全てが一般市民だった。日本が連合国に降伏したのはその1週間後で、それにより第二次世界大戦は終結を迎えた。


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 日曜日の演説において、広島の松井一實市長も、爆撃の実行者を名指しすることは避けた。松井市長が世界各国の指導者たちに呼びかけたのは、「一部の為政者らが主張している核の脅威」の「現実と向き合う」ことだった。これもまた、明らかにロシアを指した発言だった。

 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「一発の原爆がヒロシマを焼き尽くしました」という声明を出したが、誰がその爆弾を落としたかについては触れなかった。「そして見境なく再び核兵器で威嚇し、核兵器により敵を全滅させる、と脅している国々があります」とも付け加えたが、それ以上は踏み込まなかった。

 日本は米国から原爆を落とされた後に、米軍に領土を占領されて以来ずっと、米国の同盟国である。その後米国は日本の憲法も起草した。岸田首相はロシア政府に対して制裁を課し、他のG7諸国とともに「無責任に核兵器使用をほのめか」し、「軍縮体制を弱体化している」として、ロシア政府を非難してきた。

 「米国やその同盟諸国や友好諸国の極めて重要な利益を守るために」、核による先制攻撃を容認している米国の核戦略とは異なり、ロシアの核戦略において、原子力兵器の使用が容認されるのは、ロシア領内が核による先制攻撃を受けた場合や、ロシア国家が核兵器または通常兵器により存亡の危機に置かれた場合に制限されている。

 ウクライナによるロシア領内にある原子力発電所への度重なる攻撃を引き合いに出し、ロシア政府は先月、「核テロ」の実行を可能にしているとして、西側諸国を非難した。
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英国の子どものほぼ半数が、都市封鎖措置下で発達が退行-研究結果から

<記事原文 寺島先生推薦>
Nearly half of UK children regressed developmentally under lockdown – study
大流行中に両親の雇用状況の変化があった場合、被害はさらに悪化
出典:RT 2023年8月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月10日



資料写真© Getty Images / Keep It 100


 火曜日(8月1日)に財政問題研究所が発表した調査結果によると、調査対象となった英国の親のほぼ半数(47%)が、COVID-19 による都市封鎖措置中に子どもの社会的・感情的発達の低下を経験した、と回答した。

 4~7歳の子どもを持つ親の半数以上(52%)が、子どもの発達が退行していると回答し、12~15歳の子どもを持つ親の42%も同様に回答した。女子の親は男子の親よりも退行を報告する割合が高かった。

 報告書によると、都市封鎖措置前よりも子どもたちが経験する困難が減ったと感じた親は6人に1人だけだった。


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 雇用状況が変化した親は、たとえ自宅待機の状態で経済的支援が完全に打ち切られていなかったとしても、子どもの社会的・感情的退行を報告する率がはるかに高かった。この研究によると、親が自宅待機措置にされた子どもたちは、「親が自宅待機措置にされなかった子どもたちに比べて、社会的感情的の悪化を経験する可能性が著しく高い(51%対45%)」ことがわかった。

 この研究班は、4歳から16歳までの子どもをもつ6095人の親を対象に、大流行初年時に体験したことについて調査したが、質問内容は、子どもたちがどのくらいの頻度で心配そうな様子を見せたり、ちょっとしたことで怖がったり、自信をなくしたりしたか、常に落ち着かなかったり、ガサガサすることはなかったか、不機嫌になったり、その他の良くない振る舞いが無かったについてであり、英国が都市封鎖措置を導入する以前の2020年2月と2021年2月の調査を比較するものだった。

 この研究結果によると、学業機会を失ったことに限定して調査した他の都市封鎖措置についての研究とは異なり、恵まれない家庭の子どもたちが、富裕層の子どもたちと比べて、大流行期に学力が落ちたという証拠は見つからなかったことが指摘され、単に貧困であるというよりは、「親の就業状態の不安定さ」が、都市封鎖置により子どもたちの発達に良くない影響を与えた主要因になっている点が示唆された。

  「COVID-19大流行期に、全ての階層に属する子どもたちは、社会面や感情面の能力において明らかな低下が見られました」と IFS(問題研究所)の経済学者アンドリュー・マッケンドリク氏が、調査結果を伝える記者会見において述べ、さらに「子どもたちの能力獲得の低下の要因については、学校の休校や友人たちや家族との関わり不足、さらには愛する人々の中で重症者や死者が出たこともあげられるでしょうが、もうひとつ重要な要因として、親の経済力に混乱が生じたことがありました。その混乱により、大幅な収入減になったか否かに関わらず、です」と述べた。

  この研究は、英国教育水準監査局のアマンダ・スピールマン調査部長が昨年示した、人の顔の表情を読めなかったり、便所で自分で用がたせない子どもたちが大流行以前と比べて増えている、という研究結果をはっきりと裏打ちするものとなった。
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アフリカの人々はロシアの兵器が西側と比較して優れていることを知っている―ロシアの外交官の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Africans know Russian weapons are better than Western rivals – diplomat
出典:RT  2023年8月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月10日



資料写真© ロシア国防省、スプートニク経由


ウクライナ紛争は、ロシアと西側を比較するきっかけとなった、とロシア・アフリカ友好会議特使は発言

 オレグ・オゼロフ大使は火曜日(8月1日)、アフリカの指導者らはウクライナとの紛争中にロシア製の兵器と西側の兵器の性能を比較することができた、と述べた。

 ロシア・アフリカ友好会議の事務局長であるオゼロフ氏は、アフリカ諸国との関係におけるモスクワの代表者である。同氏は火曜日夕方、チャンネル1のニュース番組「グレートゲーム」で、ロシア政府と大陸間の軍事技術協力が急速に拡大している、と述べた。

 オゼロフ事務局長は、「アフリカ諸国は戦闘作戦の経緯を注意深く研究しており、大々的に宣伝されている西側の兵器よりもロシアの兵器のほうが、品質がはるかに優れているという事実に注目しています」と述べ、これが武器売却への関心に拍車をかけている、と付け加えた。


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 先週、サンクトペテルブルクで開催された第2回ロシア・アフリカ首脳会議には、アフリカ48カ国の代表が出席した。なお、2019年のソチでの第1回会合には43カ国の代表が出席していた。今回の会議には17カ国の首脳陣の出席に留まったが、その理由のひとつに、西側諸国政府からの激しい圧力により、一部の国は首脳を派遣することをとりやめ、議員や大臣や大使の派遣にとどめたことがある。

 ロシア政府はサミットが大成功だったと評価し、その結果、4つの重要な宣言、2つの覚書、そしてロシアとアフリカ諸国および地域連合との間の161の公的協定が結ばれた。9千人近くの参加者が出席し、合計59 の分科会に457人の講演者が参加した。


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 アフリカの指導者たちが関心を示したのは武器だけではなかった。主催者によると、来場者は人道問題や技術問題、農業、エネルギーなどについて多くの議論を交わしたという。

 ウラジーミル・プーチン大統領は閉会の辞で、ロシアはアフリカ大陸で増大するエネルギー需要を満たす支援をおこなう、と述べた。その直後、ロスアトム社はエチオピアでの原子力発電所建設の可能性を検討するため、エチオピア政府との計画に署名した、と発表した。ロシアの原子力複合企業のロスアトム社は、すでにエジプトに4基の原子炉を建設しており、2030年までに全容量の4800メガワットで運転を開始する予定だ。
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米国が疫病大流行対策のための常設機関を創設

<記事原文 寺島先生推薦>
US creates permanent pandemic agency
出典:RT   2023年7月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月10日



資料写真© AP / アレックス・ブランドン


その機関は米大統領官邸のCovid-19対策委員会の任務を引き継ぐ

 米政府はパンデミックやその他の「生物学的脅威」に備えるための新機関を立ち上げ、ジョー・バイデン大統領は退役空軍大将をその計画の陣頭指揮に抜擢した。

 ホワイトハウスは金曜日(7月21日)、疫病大流行準備・対応政策局(OPPR)の創設を発表した。同局は公衆衛生危機への対応策を考案し、大流行に対する科学研究と医療活動を調整し、議会に定期的に報告する任務を負う。

 米大統領官邸は記者会見で、「これは、既知および未知の生物学的脅威や病原体への備えと対応に関する行動を主導し、調整し、実施する任務を負う大統領行政府の常設事務所となる」と述べた。


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 新事務所の長には、現在ジョー・バイデン大統領の特別補佐官および米大統領官邸国家安全保障会議の世界保健安全保障・生物防衛担当上級局長を務める退役空軍少将ポール・フリードリッヒ氏が就任する。フリードリッヒ氏は以前、国防総省で統合参謀外科医として勤務しており、軍のCOVID-19 対策委員会の顧問も務めていた。

 OPPRは8月7日に正式に発足し、その後フリードリッヒ氏は局の結成を開始する。ニューヨーク・タイムズ紙によると、同氏の責務には、国家戦略備蓄品に医療物資が十分に備えられていることを確認することや、議会と協力して米国の準備活動のための資金を調達することが含まれるという。


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 今後の大流行に対する政府の対応策を策定することに加え、同局は産業界、科学界、保健福祉省と協議し、ワクチンを含む「次世代の医療対策」を開発する予定だ。その研究は、他の病原体の中でも特に、Covid-19、サル痘、ポリオ、鳥およびヒトのインフルエンザ、RSウイルスに焦点を当てる。

 同局は、5月に閉鎖された大統領官邸のCOVID-19 対策委員会の役割を引き継ぎ、2022年後半に制定された抜本的な政府支出案に基づいて設置された。2年ごとに議員に「準備状況の報告」を提出し、またそれとは別に、5 年ごとに「展望報告」を出すことが義務付けられている。
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ロシアとグローバル・サウス(新興・発展途上諸国)との繋がり:戦略的友好国としてのアフリカ諸国

<記事原文 寺島先生推薦>
The Russia-Global South Connection: Africa as Strategic Partner
出典:ストラテジック・ファンデーション・カルチャー(Strategic Culture Foundation)
2023年7月26日
筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月10日



 いまロシア政府は、全力を尽くして、実り多き、世界の大多数の国々が中心となる戦略的友好関係を打ち立てようとしているようだ。

 第2回ロシア・アフリカ諸国首脳会議が、今週サンクトペテルブルクで開催されたが、この首脳会議は、グローバル・サウスの統合への一里塚として見るべきであり、さらには世界の大多数の国々がより平等で、より公正な世界の多極的枠組み作りに向けての動きであるとも目すべきだ。

 この首脳会議には49ものアフリカの国々の代表団が出迎えられた。この会議に先立ちプーチン大統領は、この首脳会議により包括的宣言と2026年までも続くロシア・アフリカ友好会議の行動計画が採択される予定だ、としていた。

 タンザニアの伝説的な反植民地主義活動家であり、初代大統領でもあるジュリウス・ニエレレの息子のマダラカ・ニエレレ氏がRTの取材に対し、アフリカが発展できる唯一の「現実的な」方向性は、連帯することにより、搾取しようとする外国勢力の代理人になることをやめることしかない、と述べた。

 さらに、その協力体制は、BRICSを通じて道が開かれるとし、間もなく南アフリカで開かれるBRICSの重要な会議がその道の始点となり、ますます多くのアフリカ諸国がBRICS+に加入することになるだろう、とも述べた。

 ニエレレ氏の父は、アフリカ統一機構を推し進める重要な力となった。なおこの機構はのちに、アフリカ連合に昇華した。

 南アフリカ共和国のジュリアス・マレマ氏は、統一されたアフリカという地政学的な概念を以下のように端的に拡大解釈している。「彼ら(新植民地主義者)が広めようとしているのは、アフリカの分断です。天然資源に基づく新たな貨幣制度もとで、コンゴ民主共和国が持つ天然資源と南アフリカ共和国が持つ天然資源が組み合わさるという状況を想像してみてください。アフリカ合衆国という国を立ち上げることができれば、ドルに勝てますよ」。

人道主義がなければ取引はできない

 ヴァルダイ・クラブでのロシア・アフリカ会議は、来たるべくサンクトペテルブルクでのロシア・アフリカ首脳会議に向けて、専門家らが視座を合わせる一種の最終調整のような機能を果たした。特にこの会議の、第一部がそうだった。

 この第一部は、プーチン大統領がロシア・アフリカ間の関係について包括的分析を披露したあとに開かれた。その中でプーチン大統領が特に強調したのは、国連、トルコ、ロシア、ウクライナが参加した穀物協定の腐敗さについて、だった。

 ロシア連邦院のワレンチナ・マトヴィエンコ報道官が語気を強めたのは、「ウクライナと米国とNATOが穀物回廊を妨害しようとした」手口について、だった。

 自身の論説により、プーチン大統領は以下のように説明した。「ほぼ1年間、合計3280万トンの積荷が、ウクライナから『協定』に基づき輸出されました。そのうち7割以上が、高収入あるいは中間層以上の収入を得ている国々に送られました。その中には欧州連合加盟諸国も含まれていました。いっぽう、エチオピア、スーザン、ソマリア、さらにはイエメンやアフガニスタンといった国々には総輸出量の3%も満たない量である100万トン未満しか輸出されていません」と。

 つまりこのことこそが、ロシアが穀物協定から離脱した主要因なのだ。ロシア政府はロシアがこの状況を回復させるために必要となる要求一覧書を提示した。

 その要求の中にあるものといえば、世界市場に向けて輸出されるロシアの穀物と肥料に対する制裁を真に実用的に終わらせること、銀行や金融機関に妨害させないこと、船舶の貸切や保険に制限をかけないこと、などだ。そして全ての食料供給を健全な物流にすること、トリアッティ-オデッサ間のアンモニアのパイプラインを復旧することだ。

 中でも特に重要なことは、「穀物協定が本来有している人道主義」を復活させること、だ。米国の外交政策を牛耳っているシュトラウス派のネオコンの陽動作戦に取り込まれている西側勢力には、これらの要求の全て、いやそのうちのいくつかさえ、満たす力はない。だからこそロシアは独力で、穀物や肥料を無料で最貧諸国に提供し、他の国々に対しても通常の商業条件下での穀物提供の契約を結ぼうとしているのだ。供給が保障されるということだ。ロシアが今期、これまでで最大の収穫をしたその穀物を供給できるのだ。

 これらは全て国家主権の問題だ。バイダンでの話し合いにおける主要議題は、新植民地主義に対する戦いにおける国家主権の重要性について、だった。それは世界における平等主義と正義の実現に繋がるからだ。

 ロシア外務省特使でロシア・アフリカ友好会議の事務局長でもあるオレグ・オゼロフ氏が強調したのは、 アフリカの「元」友好諸国であった欧州諸国が一方的にロシアを非難する際に、アフリカは「主権を獲得して」おり、「新植民地主義を否定している」という口実に固執している点について、だった。

 オゼロフ氏は、「仏-アフリカ関係は破綻していますが、その裏にロシアがいる訳ではありません。ロシアはアフリカが多極化世界における勢力のひとつであることを確認しています」とし、「ロシアはG20加盟国であり、国連安全保障理事国でもあるのですから」と述べた。さらにロシア政府は、ユーラシア経済連合 (EAEU)のもとでの自由貿易協定をアフリカ諸国に拡大することに関心を示している。

グローバル・サウスの「多方面」協力体制へようこそ

 この様な方向性はすべて、ロシア・アフリカ首脳会議の共通主題である「多方面協力体制」を詳しく説明するものだ。南アフリカ共和国代表は、 プーチン大統領は、BRICS首脳会議に対面参加しないことに対する激しい議論について特に触れ、こう述べた。「アフリカ諸国はどちらかの側につくつもりはありません。求めているのは、平和です」と。

 大事なのは、アフリカ諸国がBRICSにもたらすものだ。それは、「市場と、教育を受けた若年世代」なのだ。

 アフリカに向けたロシアのかけ橋の上で必要とされることは、例えば、「海外線沿いの鉄路」である。それはロシアの援助により開発できるものであるし、もちろん中国がすでに一帯一路構想のもと、アフリカ各地に幅広く投資しているのではあるが。結局ロシアがやってきたことは、「アフリカ各地での多くの専門家の訓練」だった。

 広く共通理解されていることであり、今回の首脳会議で反映されるであろうことは、アフリカ諸国がグローバル・サウスにおける経済成長の柱となりつつある、ということだ。そのことは、アフリカ専門家らはだれも承知していることだ。アフリカ諸国の国家機関は安定しつつある。ロシアと西側間の底知れぬ危機が、最終的にはアフリカへの大きな関心を引き起こすことになったのだ。いまやアフリカがロシアの国家戦略にとって最優先事項になっていることには何の不思議もない。

 では、ロシアが提供できるものとは何だろう?本質的には資産目録であり、重要なことは国家主権という考え方だ。見返りを何も求めない、ということだ。

 マリの事例が素晴らしい事例となる。マリとロシアの関係は、ソビエト社会主義連邦共和国が投資して労働力を訓練していたところにまで遡る。少なくとも1万人のマリ国民が第1級の教育を施されたが、マリの大学教授の8割がその教育を受けていた。

 そのような状況が、サラフィー・ジハード主義連合によるテロの脅威によりさえぎられている。この勢力は9-11以前から、おなじみのあの勢力から援助を受けていた。マリは少なくとも35万人の難民を抱えているが、これらの難民はみな失業者だ。フランスがこの状況に「対策」を講じてきたが、「完全な失敗」に終わっている。

 マリに必要なのは、「より幅広い措置」だ。その中には、新たな貿易体制の立ち上げも含まれる。ロシアがマリに伝授したのは、新しい仕事を創設する基盤組織の立ち上げ方である。今こそ、ソビエト社会主義者連邦共和国で訓練を受けた人々の知識を完全に活かすべき時だ。さらに、2023年においても、マリから100人を超える留学生が、国による奨学金制度を使ってロシアに学びに来ている。

 ロシアがアフリカの仏語圏に割り込もうとする中、以前の「友好諸国」が、予想どおり、マリとロシア間の協力関係にイチャモンをつけに来ている。詮無いことだ。マリは仏語を公用語から除外したところだ。(仏語は1960年以来公用語だった)。

 新憲法のもとでの6月15日の国民投票において、96.9%という圧倒的多数で、仏語は、ただの使用言語扱いになるいっぽうで、13の国語が公用語に格上になる。

 本質的な話をすれば、これは国家主権の問題なのだ。並行して起こっているのは、マリやエチオピアといったこれまで一度も植民地になったことのないアフリカでたった二つの国から見れば、西側がアフリカ大陸各地において驚くべき速度で道徳的権威を失いつつあるという現象だ。

 アフリカ内の多くの国々は、ロシアが新植民地主義から脱する道に積極的に誘ってくれていることを理解している。地政学的資本という観点からすれば、ロシア政府は今、全力を尽くして、世界の大多数の国々との実り多き戦略的有効関係を享受しようとしているように見える。
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「慰安婦問題」どころではない:戦後日本最大の悪行で、今も解決されていない問題とは?

<記事原文 寺島先生推薦>
Forget The 'Comfort Women' Row: Here's Postwar Japan's Biggest Abomination And It Is Still Unresolved
筆者:イーモン・フィングルトン (Eamonn Fingleton)
出典:Forbes     2014年3月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月9日


 ニューヨーク・タイムズ紙は先日、日本が第二次世界大戦中に日本軍が利用したいわゆる慰安婦、性奴隷への謝罪を取り消す可能性があると示唆した。詳細について、タイムズ紙は曖昧であった - おそらくその先の情報がほとんどないためだろう。東京(日本政府)を知る誰にとってもこの話は「空騒ぎ」だ。安倍晋三首相の取り巻きの中にはジョージ・オーウェルの小説ばりの悪党がいて、しばしば馬鹿げたことをつぶやく。そうだとしても、日本国全体が謝罪を取り消すことはないだろう。そんなことをすれば、経済制裁の憂き目に逢うだろうから。

 残念なことに、ニューヨーク・タイムズ紙の報道は長年にわたり慰安婦問題に多くの紙面を割いてきたが、戦後の日本の冷淡さについてはほとんど無視してきた。例として、虐待された戦争捕虜の問題がある。日本の戦争捕虜収容所や強制労働工場の状況は非常にひどく、復員軍人援護局の元職員であるチャールズ・A・ステンガーがまとめた統計によれば、収容所で40%以上の捕虜が死亡している(他の情報源ではこの数字はかなり高く、特に著者のリンダ・ゲッツ・ホームズは死亡率が90%に近かったと示唆)。ドイツの戦争捕虜収容所の死亡率は1%をわずかに超える程度であったことは議論されていない。日本の収容所を生き延びた者たちは、後に収監日1日あたり1ドルの補償を受けた。3~4百ドルを超える額を受け取った人はほとんどいない - 死者は補償を請求しないのだ。したがって、一文も補償しない日本の通常の基準と比較すれば、慰安婦は「寛大に」扱われたと言えるだろう。そして、たとえ安倍首相のような爬虫類的に変幻自在の人物であっても、補償金を取り戻すことはできない。

 ニューヨーク・タイムズ紙の報道は、東京(日本政府)の「戸棚の骸骨(隠しておきたい秘密)」を扱うことにはさらに腑抜けになっている。:「731部隊の悪行」とその信じがたい戦後へのつながりのことだ。


日本医師会の本部:ヒポクラテスはどう思うだろうか?

 日本陸軍のふんだんな資金援助を受けた731部隊は、中国北部のハルビン近くに拠点を置く秘密の細菌戦研究組織だった。この組織は主に日本の2つの最高学府の首席卒業生たちによって運 営され、捕虜を対象とした医学実験は、歴史上でもっとも恐ろしい残虐行為のひとつとされている。被害者は主に中国人だった。しかし、1980年に学術雑誌で初めてこの醜聞を暴露した上海出身のアメリカ人ジャーナリスト、ジョン・W・パウエルによれば、アメリカ人も含まれていた。無国籍の白系ロシア人やハルビンのユダヤ系住人も標的にされた可能性がある。

 一部の被害者は馬の血液を注射された。逆さ吊りにされて苦痛な死を遂げたものもいた(研究者たちはそのような体勢でどれくらいの時間生存できるかを知りたがっていたのだ)。ひとりの不運な被害者は遠心分離機に入れられ、体内の血液を絞り出された。

 次に、壊疽に関する研究があった。被害者は、まず四肢が凍りつくまで戸外の寒さに晒された。変形実験としては、被害者の尻を榴散弾*に被弾させるものもあった。どちらの場合でも、壊疽が進行するにつれて被害者はゆっくりと死ぬがままにされた。一方で、生体解剖の実験もおこなわれた。被害者は麻酔なしで生きたまま解剖された(麻酔は実験の「純粋さ」を損なう可能性があったため)。
*榴散弾は、イギリスの軍人Henry Shrapnel(1761~1842年)が発明したもので、着弾すると小さな鉛玉が砲弾の破片と共に飛び散り、敵の兵士に大きな損害を与えた。1803年にイギリス軍に採用され、第1次大戦まで使用された。(英辞郎)

 『死の工場:日本の生物戦 1932-45とアメリカの隠蔽』の著者である歴史家シェルドン・ハリスによると、おそらく最大で1万2000人もの人々が実験室で抹殺された。ほとんどの被害者は感染症により4週間から6週間で死亡したが、場合によっては死ぬまで6か月かかることもあった。

 たとえこの実験が、戦争というのはどこをとっても本当に恐ろしい(広島を忘れるな!)という基準を当てはめても恐ろしいとしても、実際に驚くべきことはそれが戦後にどうつながったか、にある。アメリカ政府関係者は、一般的に東京と協力してこの醜聞を隠蔽しようとしてきた。満足のいく説明がされない理由(そしてニューヨーク・タイムズ紙による調査も行われない理由)により、1958年にアメリカ陸軍によって没収された大量の大日本帝国の記録が、未読のまま日本に返還された。その後、日本政府はアメリカの研究者からこれらの記録をみせてほしいというすべての要求に対して何の回答もしていない。一方、日本の研究者は、整理や再編成の目的という名目で、アメリカに残っている記録を特権的に見られることになった。もうひとつの壁は、一部の重要な記録は1973年のセントルイス火災で失われてしまったことだ。

 パウエルが情報公開法(Freedom of Information Act)を使用してこの醜聞の実態を明らかにしたにも関わらず、その記事はこの主流のアメリカの報道機関(ニューヨーク・タイムズ)からほとんど無視された。ニューヨーク・タイムズは1982年6月にもう一度好機を得た。元捕虜のウォーレン・W・ウェルチェルが証拠を提供し、日本の医学者たちが行った行為の重大さを議会委員会に知らせたのだ。彼の証言もその当時ほとんど報道されなかったようだ。

 これら日本の加害者たちは、アメリカ合衆国の恩赦を受け、その取引の中でアメリカの細菌戦科学者と知見を共有することを約束した。彼らはただ普通の家庭生活を送るだけでなく、多くの者が戦後の日本医学界で非常に高い地位についた。ジョン・W・パウエルによれば、その中で9人が医学部の教授として勤務し、4人が最高位の医学研究者として、そして23人が医師であった。一方、26人が高地位政府官僚として勤務し、そのうち最も悪名高い者2人が日本の血液銀行を設立、2人が日本社会へ奉仕したとして最高の賞を受賞した。

 最も驚くべきことは、東京大学の医学教授であり、731部隊の主要な勧誘担当でもあった田宮猛雄は、日本医師会の会長を2度務めた事実だ。彼の最初の任期は1950年にアメリカの高官たちによって打ち切られたが、アメリカの占領が1952年に終了すると、再任された(二度会長を務めたのは彼のみ)。また、1948年から彼の1963年の死まで、彼は日本医学会の会長も務めた。この不名誉さは、ヨーゼフ・メンゲレが戦後のドイツで医学指導者として祝福されるようなものだろう。しかし、日本医師会のウェブサイトでは、その使命を「医師たちに指導的役割を提供し、最高水準の医療倫理と教育を促進し、日本国民の健康を保護すること」と臆面もなく述べている。

 最も控えめに言っても、これらすべてのことは、戦後の日本におけるヒポクラテスの誓いの地位について疑問を引き起こす。これが、冷戦時代のアメリカの宣伝活動を間に受ければ、戦後わずか数週間しかたっていない1945年秋に、西洋の価値観に奇跡的に転換したとされる国、日本の姿なのだ。

 もちろん、被害者の家族は決して補償を受けることはなかったし、今日に至るまで、日本政府や日本の医療界は謝罪を行っていない。

 もしも731部隊の隠蔽についてもっと読みたい場合は、議会調査局のゲーリー・K・レイノルズによる重要な研究がこちらで入手可能だ。



イーモン・フィングルトン
 フォーブスとフィナンシャル・タイムズの元編集者であるイーモン・フィングルトンは、27年にわたり東アジア経済を、東京を拠点に監視してきました。1987年9月、彼は東京の銀行崩壊に関する最初の予測を発表し、その後、物議を醸した1995年の分析「Blindside」では、ジョン・ケネス・ギャルブレイスとビル・クリントンに賞賛されながら、無頓着なアメリカがかつて誇った先進製造業、特にいわゆる生産者向けの商品分野で急速に指導者的地位を失い、日本に取って代わられつつあることを示しました。彼の1999年の著書「In Praise of Hard Industries: Why Manufacturing, Not the Information Economy, Is the Key to Future Prosperity」は、2000年のアメリカのインターネット株価暴落を予見し、新しい金融商品の乱用についての早期警告を提供しました。彼の2008年の著書「In the Jaws of the Dragon: America’s Fate in the Coming Era of Chinese Hegemony」では、中国が西洋の経済や政治価値に収束しているという従来の見解に疑問を投げかけました。彼の著作はフランス語、ロシア語、韓国語、日本語、中国語に翻訳されており、アメリカ合衆国上院の記録にも取り上げられ、Business WeekやAmazon.comによって仕事関連書籍年間最良本の10冊に選ばれました。
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米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ2016年-2022年(第6回:最終回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月8日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(推奨できる対策)

* 今回は、「6 Recommendations(推奨できる対策)」です。連載の最終回です。


検閲産業複合体へ推奨できるの対策

1. 検閲産業複合体の資金供給を打ち切る

 検閲は助成金を受けている産業です。もしその資金を取り去れば、代わりに私設の寄付者、例えばOpen Society Instituteなどが空白を埋めるでしょうが、完全には補完できません。171

2. 政府高官とソーシャル・メディアの幹部との間の内容管理に関するすべてのやりとりを即時に報告することを義務付ける

 両当事者は会話を報告する法的な義務を負うべきであり、秘密の検閲を減少させる囚人のジレンマ*を作り出すべきです。
*ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである。各個人が合理的に選択した結果が社会全体にとって望ましい結果にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれる。( ウィキペディア)

3. 通信品位法230条の範囲を狭める

 通信品位法230条は、ソーシャル・メディアに与えられた特別で過激な法的責任免除です。ニュースメディア機関に与えられていないのは両者に違いがあることが認識されているからです。市民は、通信品位法230条の特権には特定の責任が伴うことを要求する権利を持っています。

 特にソーシャル・メディアが合法的な独占企業であるため、これは特に当てはまります。 1996年以降、多くのことが変わりました。当時はGoogle、Facebook、Twitterのいずれも存在しませんでした。当時政府高官がソーシャル・メディア各社に対して、運営できなくなるぞ、という脅しをかけて、事実情報を秘密裏に検閲し、個人を自社のサイトから排除するよう求めることなど、だれ一人想像しませんでした。

 現行の形態での通信品位法230条は、市民の言論の自由と損害補償の権利を脅かしています。2022年のローガン・オハンドリー判決では、サンフランシスコ第9巡回裁判所が、通信品位法230条によりソーシャル・メディア企業は、「シェレンバーガー証言書、2022年3月9日、p.53過失責任」の例外事例となっているとして、ソーシャル・メディア企業に関連する通常の不法行為、契約理論を認めませんでした。2018年には、Twitterの利用規約に違反していなかったにもかかわらず、メーガン・マーフィーがトランスジェンダー活動家を生まれた性別で呼んだことにより、Twitter上から排除されました。172彼女がしたことは、Twitter社の利用規定によれば、禁止できるような違反ではありませんでした。Twitter社はその後、利用規約を変更し、遡及的に適用しました。これにより、裁判所は事実上、Twitter社が自らの契約規定に従う必要がないと判断したことになります。世界のどの企業も、アメリカ市民の言論の自由権利や、企業が引き起こす損害に対する訴訟権利を否定するような特権を持つべきではありません。

 かくして、私たちには2つの主要な改革が必要です:真の透明性と私的訴訟権。議会は、通信品位法230条があっても、極めて具体的な基準を欠いた州の不法行為法を破棄することにはならないことを明確にする必要があります。現行の通信品位法230条は、ソーシャル・メディアを、提供業者または利用者が「卑猥、猥褻、淫ら、過度に暴力的、嫌がらせ、またはその他人を不快にさせるような資料に触れたり、利用したりする善意で自主的に行った行動」に対する法的責任は問わないことになっています。「その他人を不快にさせるような」という文言は削除されるべきです。これにより、ソーシャル・メディア各社の検閲する能力があまりに広範囲に及ぶことになります。私たちが人気のない意見を表現する自由があるように、互いに侮辱する自由も持つ必要があります。それには、一部の人々が「感情を害する」と主張するあり方も含まれます。


<原註>
171 “Information Program,” Open Society Foundations, accessed Mar 8, 2023, https://www.opensocietyfoundations.org/who-we-are/programs/information-program. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 68
172 Joseph Brean, “'Yeeeah it's him': Vancouver writer sues Twitter over its rule against misgendering trans people,” National Post, Feb 12, 2019, https://nationalpost.com/news/yeeeah-its-him-vancouver-writer-sues-twitter-over-its-ruleagainst-misgend
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米国はクリミア橋テロ攻撃で「決定的な役割」を演じた(シーモア・ハーシュ)

<記事原文 寺島先生推薦>
US played ‘critical role’ in Crimean Bridge terror attacks – Seymour Hersh
出典:RT 2023年7月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月8日


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資料写真:ケルチ海峡(ロシア)に架かるクリミア橋の損傷箇所。2023年7月© スプートニク/コンスタンティン・ミハルチェフスキー


ウクライナは第二の攻撃にアメリカの技術を使用したと、ある情報源が有名なジャーナリストに語る。

 ワシントンがウクライナによるケルチ橋2ヵ所への攻撃を可能にした、と木曜日(7月27日)、ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストのシーモア・ハーシュが主張した。彼は自身のSubstack上で、「バイデン政権の役割は両方の攻撃において重要だった」と断言した。

 「もちろんそれは我が国の技術だ。そのドローンは遠隔操作されており、半分水中に潜っていた—まるで魚雷のようだ」とあるアメリカの高官は、7月17日に橋を損傷させたドローンに言及してハーシュに語った。

 ハーシュは情報源を明かしていないが、彼の最新の投稿では、最近の出来事(クリミア橋爆破)を「ジョー・バイデン大統領には耳を傾けてもらっていないが、そうしてもらうべきだと感じているアメリカの情報機関の立場にいる人」から見た声だ、と書かれている。

 米国の情報機関がケルチ橋攻撃に対するロシアの報復の可能性を考慮しているかと尋ねられると、ハーシュの情報源は「そこまでは考えていない」と答えた。

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READ MORE::Ukaraine officially claims responsibility of terror attack on Europe’s longest bridge


 「我が国の戦略は、[ウクライナの大統領ウォロディミル] ゼレンスキーが自分のやりたいことを何でもやれるということだ。大人の監視はない」とその情報源は付言した。

 2022年10月初旬、クリミア橋でトラック爆弾が爆発し、3人の市民が死亡した。橋は深刻な損傷を受け、数か月にわたる修復が必要だった。この7月のドローン攻撃では2人が死亡し、14歳の少女は両親を亡くしながらも、かろうじて生き延びた。

 キエフは両方の攻撃を祝福したが、公式には一切の責任を否定していた。しかし、アメリカの情報機関は10月のトラック爆破事件をウクライナの情報機関のやったこと、とすぐに認めた。ウクライナの主要な情報機関であるSBUの長は、先週初めにその爆発を最終的に自分らの手柄としていた。

 ワシントンは、ウクライナに対し、アメリカ供与の兵器をロシア領土に対して使用しないよう求めているとされているが、クリミアだけでなく、ヘルソン、ザポリージャ、ドネツク、そしてルハンシクは実際にはウクライナの領土であり、したがって合法的な攻撃対象であると主張している。ロシアの駐米大使は1月に警告し、これはキエフに対する「完璧な自由放任」であり、紛争拡大の危険性をはらんでいると述べた。

 ロシアは7月の橋攻撃への報復として、オデッサの港施設を標的にした。この攻撃の後、ウクライナが主にEUにトウモロコシとひまわりの種を輸出できるようにしていた、いわゆる黒海「穀物取引」も打ち切った。

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READ MORE:US behind Nord Stream sabotage – legendary NYT journalist


 オデッサの輸出には「麻薬などの違法な物品やウクライナがロシアから入手していた石油」も含まれていたとのことだ。これはハーシュに語った米国高官の話だ。

 ハーシュの情報源はまた、ワシントンがキエフへの支援を強化していると不満を述べた。最近では、パキスタンから10年分の155mm砲弾を購入しようとしているとのこと。ウクライナは「その弾薬が底をついており、不足している」とバイデンはCNNに語り、キエフへのクラスター爆弾提供を一時的な対策として正当化しようとした。

 米国は、「ウクライナのゼレンスキー大統領と彼の仲間が何を考えているのか、まったくわかっていない」とこの高官は付言し、ウクライナの指導者たちは「しがみつく以外に何の計画もない」と断言した。また、彼が推測したのは、アメリカのウクライナ支援は、「ゼレンスキーがバイデンを知っているからであって、バイデンの息子(ハンター)の世話をしていたから、という理由だけではない」という点だ。
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米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年-2022年(第5回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月8日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「5 Key Events(鍵となる出来事)」です。

鍵となる出来事

2017年

国土安全保障省(DHS)が「誤情報」と戦う任務を拡大

 2017年1月、国土安全保障省は、その使命をサイバー安全確保からサイバー検閲へと静かに拡大し、「誤情報(misinformation)がアメリカの存立にかかわる国の基盤に対する「サイバー攻撃」であるとしました。2017年1月6日、ジェー・ジョンソンは国土安全保障省(DHS)の長としての最後の行動として、選挙を「国の存立にかかわる基盤」と宣言しました。「国の存立にかかわる基盤」という考えは、人工衛星やダム、連邦建物などの物理的なものから、選挙や公衆衛生宣伝活動といった取り組みにも拡張されました。これにより、DHSはワクチンの安全性についてのツィートやDHSが「misinformation(誤情報)」または単に「misleading(誤導的)」とみなす郵送投票を、検閲を正当化できるものと考えることが可能になりました。具体的には、ソーシャル・メディア各社に対して利用者の排除、投稿の削除、または拡散の防止を求めるのです。DHSは「misinformation(誤情報)」を選挙の公正な運営を危うくするもの、国家安全保障上の脅威、そして民主主義への攻撃と定義しました。

New Knowledge社がアラバマ州の共和党上院候補者に対して偽情報宣伝活動を展開

 この偽情報作戦では、アラバマ州のロイ・ムーアの偽のFacebookページが立ち上げられ、ムーアがアルコールを禁止すると主張しているかのように見せかけました。さらに、偽のロシア人トロール(ネット荒らし投稿者)をTwitterに作成し、ムーアがロシアの支持を受けているように見せようとしました。そしてジャーナリストたちはそれを真実であると報じたのです。

 ディレスタ*は、偽情報作戦を展開するアメリカン・エンタープライズ・テクノロジーズ(AET)社の取締役会に籍を置いていました。そして、その1か月後に助言を行っていたNew Knowledge社に研究主任として入社しました。
*Renée DiResta スタンフォード インターネット天文台のライター兼研究マネージャー。ディレスタは疑似科学、陰謀、テロリズム、国家主導の情報戦についての著作がある。彼女はまた、オンラインおよびソーシャル・メディアの偽情報を防ぐための継続的な取り組みについて米国議会の顧問も務めてきた。 (ウィキペディア)

 ディレスタはAET社に技術的な指導を提供し、創業者たちに財政支援者になりそうな人を紹介しました。ディレスタはワシントン・ポスト紙に対して、「AET社の事業計画の不透明さに懸念を抱き、同社との関係を断絶した」と語りました。108

 ディレスタの同僚たちがAET社やNew Knowledge社で展開していた偽情報作戦が明るみに出たのは、「プロジェクト・バーミンガム(Project Birmingham)」と呼ばれる取り組みについての自慢たらたらの12ページの報告書が、2017年12月12日の選挙3日後、ワシントン・ポスト紙によって公表された時です。その内容は以下:109「私たちは連携をとりながら巧妙な「偽旗」作戦を実行した。ムーアの宣伝活動はソーシャル・メディア上で、ロシアのボットネット*が盛り上げたものだという考えを植え付ける作戦だった。その目標は、民主党員を過激化させ、言ってもダメな共和党員(“hard Rs”)と中道派の共和党員を、「記入候補者**に投票しましょう!」と呼びかけて抑制することの2つだった」。
*悪意を持って作られ、インターネットを経由した命令によって遠隔操作されるコンピューター群をいう。(英辞郎)
**候補者名簿にないため、投票用紙に名前を記入する必要がある人(英辞郎)


 New Knowledge社はこの競争に勝利したと主張しています。それは証明しようもありませんが、投票結果は接戦であり、たった2万2000人の差でムーアが落選しました。New Knowledge社は「ダグ・ジョーンズの勝利を確保するために十分な票を動かした」と述べています。

 この動きの中に「回転ドア」があることは明白です。次はワシントン・ポスト紙の記事:「お金はマイキー・ディッカーソン(Mikey Dickerson)が運営するAET社を経由して流れた。彼はオバマ政権時に創設され、連邦政府の技術利用を向上させることが目的の米国デジタルサービス(United States Digital Service)の創設を担当した。また、元司法省特別研究員で現在は[ライド]・ホフマン( [Reid] Hoffman)氏が一部資金提供をしている技術金融会社であるInvesting in Usに所属するサラ・ハドソン(Sara K. Hudson)もこの計画に取り組んでおり、[ジョナソン]・モルガン( [Jonathon] Morgan)氏も同様だ」。110

 「12ページの報告書」は、こういった一連の動きで「モーア陣営の宣伝活動がロシアのボットネットによってソーシャル・メディア上で拡散されているという考えを植え付けた。そして、我々はそのボットネットをモーア陣営のデジタル責任者と結びつけ、彼がそのアカウントを購入したかのように見せかけたのだ」と記述している。

 この戦術には注目すべき点がたくさんあります。第一に、それは当時、トランプ大統領に対して使われていた同じ物語を誘い出したのです。ロシアが彼を支援しているというものです。すなわち、「(相手の)威信失墜」が狙いでした。それはディレスタが他の文脈では非難していたやり口です。第二に、この戦術では、実際、ディレスタが上院証言で「情報戦争」と述べることになるボットの戦術を使用していました。

 ジャーナリストたちはディレスタの関与を軽視し、冗談めかすような対応すらしました。2018年のアスペン研究所での次のやり取りをご一考ください。111

ディレスタ: 私は反ワクチンに注目しているアカウントを山ほど持っています・・・ 私の反ワクチンのアカウント、つまり、反ワクチン集団内で積極的に動くアカウントですが、(私は)それらのアカウントでただ聴いているだけ、ただ座っているだけです・・・

ニコラス・トンプソン、アトランティック紙:どれくらいのボット・アカウントを運営されているのですか?

ルネ・ディレスタ:ノー・コメント

トンプソン: この話し合いの終わりまでに、レネ・ディレスタの偽名のアカウントの完全な合計を知りたいです!

[笑い]

普通のTwitter利用者をロシアのボットであると偽りの告発をしている元FBI職員のウェブサイト

 元FBI職員のクリント・ワッツは、アメリカ政府からの資金提供を受けて、保守派をロシアのボットだと偽りの告発をするウェブサイトを作成しました。112ワッツはNew Knowledge社からも支援を受けました。113

 Twitter社のヨエル・ロス(Yoel Roth)は調査を行い、分かったのはその一覧が「合法的な右派志向のアカウントでいっぱいだということ・・・ [このダッシュボード]から導かれるほぼどんな結論も、Twitter上の保守派の会話を取り上げ、それらはロシアのものだと非難することになるでしょう」。ロスはTwitter社に対して「こんなものは認められないと宣言すべきだ」と推奨しました。しかし、ロスの上司たちは政治的にいろいろまずいことになることを恐れ、代わりに「長期的な戦略」を採ることにしました。114

2018年

ロシアの干渉についての上院情報委員会報告

 2018年、ディレスタは2016年の選挙中のロシアの影響操作に関する上院情報委員会の主任研究員でした。2018年の上院証言で、彼女はアメリカが「いちかばちかの情報戦争」に巻き込まれており、アメリカ政府と「社会全体」が外国または国内の「悪意のある物語」に対して「戦争」を仕掛けなければならないと主張しました。115

 ディレスタの2018年上院証言の芝居がかった言い方は典型的でした。検閲を!と声高に言う人たちが、証拠もなしに、繰り返し口にするのは、①偽情報の方が真実の情報よりも速く伝わる、そしてそれは、②アメリカ政府や社会全体が好ましくない意見や声を、時を移さず、広範囲に検閲することを正当化している、です。

2020年

「Election Integrity Partnership(EPI)(選挙品位協力)」

 EIPは、検閲産業複合体の芽であり、次のような2つの大学、1つの頭脳集団、そして1つのソーシャル・メディア分析会社によって設立されました。具体的には、

① スタンフォード大学インターネットオブザーバトリー、
② ワシントン大学の「Center for an Informed Public(情報に通じた大衆向けセンター)
③ アトランティック・カウンシル*法科学調査研究所
*国際関係の分野におけるアメリカのアトランティシズム思想を持つシンクタンク。1961年に設立され、国際的な政治、ビジネス、知識のリーダーたちに対するフォーラムを提供している。国際的な安全保障と世界経済の繁栄に関連する10の地域センターと機能的なプログラムを運営している。本部はワシントンD.C.にあり、アトランティック・トリーティ協会のメンバー。(ウィキペディア)
そして、
④ Graphika

 EIPは、2020年8月15日から2020年12月12日までの間に、8億5900万を超えるツイートから「誤情報の物語」に関連する2189万7364の個々の投稿を含む「誤情報の物語」を分類したと主張しています。116

 2020年6月23日に、CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)の間で正式な会議が行われ、選挙の安全を守るために誤情報を防止するEIPの主導権が正式に立ち上げられました。「DHS(米国国土安全保障省)と特にCISAが管轄権を持つ法的枠組みは、DHSがオンライン上で「誤情報」と見なすものを米国市民が投稿した時はいつでも、それは米国の、国としての存立に関わる基盤構造への「サイバー攻撃」と見なされる」というものでした。117

 EIPの指導者であるアレックス・スタモスは、EIPの目的は「政府自体乗り越えられなかった溝を埋めるため」と述べています。政府は「資金的なものとか法的権限の両方が不足していた」というのがその理由です。118EIPは、ソーシャル・メディア各社に対して検閲を求める警告を出していました。また、公には政策変更を呼び掛けていました。スタモスは、技術系諸企業がEIPの検閲協定参加に同意したことを、2020年8月26日、ニューヨーク・タイムズ紙に語りました。119。それはDHSが法的にはできないことをEIPにさせる調停ができあがったEIPとDHSの計画会議の直後のことでした。120

 スタモスは「私たちは主要ソーシャル・メディアと連絡を取り合い、双方向の対話を行っています。私たちは主要ソーシャル・メディアすべてと非常に有益な会話をしています。Facebook、Twitter、Google、Reddit・・・私たちの目標は、もし偽情報を見つけることができれば、迅速に報告し、それを削除するために彼らと協力することです。これには良い前例があります。これらの4つのソーシャル・メディアは、技術分野と足並みをそろえて研究事業を共同で進めてきました」と述べています。121

 EIP関連のすべての組織の指導者たちは、2017年から2020年の間に、ロシアによる偽物ボットや荒らしアカウントによるソーシャル・メディアでの介入が、2016年にドナルド・トランプを大統領に選出するのに役立ったという根拠のない主張をおこないました。2020年までに、上記①~④の機関は、主要なソーシャル・メディアの内容管理担当最高責任者との深く、かつ長年にわたる関係を築いていました。彼らは2017年以来、検閲に関して共同の取り組みをしてきました。122

 ソーシャル・メディア企業、DHS、そしてEIPの諸組織は、検閲の共同作業用の同時会話アプリであるJira Service Deskに取り組みました。EIPの報告によると、

① 「誤情報」の印が付いたツイートを2200万件検閲、
② 分析のために収集された8億5900万件のツイートをデータベースに収集、
③ 120人の分析者が最大20時間の交代制でソーシャル・メディアの「誤情報」を監視、
④ 15の技術部門が「誤情報」を頻繁に同時監視、
⑤ 政府と技術部門の間の平均応答時間は1時間未満、
⑥ 何十という「誤情報の物語」がソーシャル・メディア全体で規制される対象に、
そして
⑦ 数億にも上るFacebook投稿、YouTube動画、TikTok、およびツイートがひとつひとつ「誤情報」として検閲されました。123

 EIPの代表者は、自国内の検閲活動は投票の「時間、場所、そして方法」と関連するため狭い範囲で調整されていると主張し、視聴者をしばしば誤導しています。しかしこのまやかしは、EIP自体の検閲基礎資料について視聴者が何もわかっていないことに依存しています。実際、EIPの検閲の圧倒的大多数は、「非合法化」に関連しています。これは、EIP関係者が技術部門に採用させるよう圧力をかけた新しい検閲範疇であり、EIPの検閲切符の72%を占め、2千2百万件の「誤情報事件」の総容量によって測定される投稿の99%以上に相当するものです。124EIPは「非合法化」の間口を広げて定義しており、選挙の過程、結果、あるいは品位に対して「疑念を投げかける」とされる任意の発言も含んでいます。結果として、利用者が選挙の問題を単に「事件(incidents)」として投稿するだけでも、たとえ事実の報道であっても、利用規約違反になってしまうということで、事実の報道そのものが完全に禁止されていたのです。

 EIPは、政治的な物語全体を誤情報として分類し、禁止された投稿を支持する個々の米国市民の投稿を事実上誤情報として自動的に警告することで、2020年6月から11月までの5ヶ月間(そしてその後COVIDでも同様)に、全体で何億ものソーシャル・メディア(15のソーシャル・メディアに及ぶ)の投稿を分類することができました。これは、EIPが選挙統合・情報共有・分析センター(Election Integrity and Intelligence Sharing and Analysis Center:EI-ISAC)に裏から繋がる権力を持っていたためです。EI-ISACは、DHSが検閲の意思決定者に直接連絡が取れるように創られた国内偽情報の交換盤です。

アスペン研究所の研修会において先端ジャーナリストに対する「ハッキングと漏洩」を先制撃退する訓練を実施

 2020年3月31日、スタンフォード大学のサイバー政策センター(同大学のインターネット観測所を傘下に収める組織)は、オバマ政権の政治活動担当だったアンドリュー・グロットと元ジャーナリストのジャニーン・ザカリアによる報告書を公表しました。この報告書では、編集者やジャーナリストに対して「ペンタゴン文書の原則を破ること」を強く薦めているのです。この2人は何を言おうとしたのか?漏出した情報は、たとえそれが真実であっても報道すべきではない、というのが彼らの考えでした。(もし報道すれば)「ディスインフォメーション(偽情報)」に与する可能性が出てくるから、というのです。125

 ダニエル・エルスバーグによる1971年のペンタゴン文書の漏洩以来、ジャーナリストたちは一般的にひとつの規則の下で活動してきました:情報が確認されたら、それにニュース価値があると判断されれば、それを公表すること・・・しかし、今の新しい時代では、ロシアなどの外国の敵対者が政治的宣伝活動へとハッキング、情報を漏出させ、我々の民主主義を混乱させ、そして特定の候補を支持するようなことが起きています。ジャーナリストたちはこの原則を捨てなければなりません」と2人の筆者は書いています。

 スタンフォード大学サイバー政策センターの目標は明白で、ジャーナリストたちが1971年のペンタゴン文書で行ったようなことをしないようにすることでした。「新しい一連の慣行を受け入れるニュース・メディアの数が増えれば、悪意のある行為者による利用に対してアメリカの報道機関はより強靭になるでしょう」とこの報告書の筆者たちは書いています。

 筆者のグロットとザカリアは、さらに一歩先に進み、国家安全保障機関が報道を望まない事柄について報道機関が報道しないことを祝福しています。「ジャーナリストが報道を控えることは長い歴史があるが、特に国家安全保障の領域では、1958年、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の軍事問題担当記者ハンソン・ボールドウィンが、ドイツの基地で異常な飛行機を見つけ、後にそれが秘密の米国U-2スパイ機だと判明したが、明らかなニュース価値があるにもかかわらず、NYTはその記事を発表しなかった」とこの二人の筆者は書いています。

 二人の筆者は、実際の現実の中で、ニュース・メディアが2020年10月にハンター・バイデンのラップトップを報道する方法について説明しています。「何が起きたか? だけでなく、なぜそれが起きたのか?に焦点を当てること。クズのような電子メールやハッキングされた情報と同じくらいの量の偽情報宣伝活動を作り上げること。現在の脅威に合わせてニュース価値を変えること」。

 アスペン研究所は、記者たちのためにこれらと同じような意図を伝える不気味な研修を行いました。2020年6月25日、アスペン研究所は、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、そしてCNNのジャーナリスト、およびTwitter社とFacebook社の検閲担当者を対象に、「卓上演習」という形で会議を開催しました。この演習では、漏洩した情報がどれほど正確であっても、それがロシアのハッキングの結果であるとみなし、そのハッキングについて記事を書くことが強調されました。ハッキングの内容ではなく、ハッキング自体に焦点を当てるように指導されたとのことです。126

 主催者はビビアン・シラー(Vivian Schiller)で、元NPRの最高責任者、元Twitter社のニュース部門の責任者、元ニューヨーク・タイムズ紙の総支配人、そして元NBC News社のデジタル部門最高責任者です。出席者にはアンドリュー・グロットとジャニーン・ザカリアもいました。彼らはジャーナリストたちに「ペンタゴン文書の原則を破るよう」訴えるスタンフォード報告書の筆者です。以下は出席者の完全な一覧です:

● ジェシカ・アシュー(Jessica Ashooh) - Redditの方針部部長
● オルガ・ベロゴロヴァ(Olga Belogolova) - Facebookの方針部管理人
● ジョン・ベネット(John Bennett) - Wikimedia Foundationの安全部部長
● ケビン・コリアー(Kevin Collier) - NBC Newsの記者
● リック・デイビス(Rick Davis) - CNNのEVP、ニュース標準と実践担当
● ナサニエル・グレイチャー(Nathaniel Gleicher) - Facebookのサイバー安全方針部責任者
● ギャレット・グラフ(Garrett Graff) - Aspen Instituteのサイバー取組部部長 ● アンディ・グロット(Andy Grotto) - スタンフォードサイバー方針センター長
● スティーブ・ヘイズ(Steve Hayes) - The Dispatchの共同創設者兼編集長
● スーザン・ヘネシー(Susan Hennessey) - Lawfareの上級編集者
● ケリー・マクブライド(Kelly McBride) - Poynter協会の副代表者
● デビッド・マクロー(David McCraw) - ニューヨーク・タイムズの副代表者兼副主任弁護士
● エレン・ナカシマ(Ellen Nakashima) - ワシントン・ポストの国家安全保障記者
● エヴァン・オスノス(Evan Osnos) - The New Yorkerの常勤記者
● ドニー・オサリバン(Donie O'Sullivan) - CNNの記者
● ディーナ・テンプル・ラストン(Dina Temple Raston) - NPRの捜査記者
● ヨエル・ロス(Yoel Roth) - Twitterのサイト品位部責任者
● アラン・ラスブリッジャー(Alan Rusbridger) - ガーディアン紙の元編集長、Facebookの監督委員会の委員
● デビッド・サンガー(David Sanger) - ニューヨーク・タイムズのチーフワシントン特派員
● ノア・シャクトマン(Noah Shachtman) - The Daily Beastの編集長
● ヴィヴィアン・シラー(Vivian Schiller) - アスペン協会の業務執行取締役
● クレア・ウォードル(Claire Wardle) - First Draft Newsの共同創設者兼管理者
● クレメント・ウルフ(Clement Wolf) - Googleの情報統合に向けた世界公共政策推進委員
● ジャニーン・ザカリア(Janine Zacharia) - スタンフォード大学客員講師

Covid検閲

実験室漏洩理論

 今回のパンデミックの大半を通して、COVID-19の拡散は中国・武漢市の武漢ウイルス研究所からの漏洩によるものという考えは退けられていました。2020年2月、ワシントン・ポスト紙の見出しです:「トム・コットンがコロナウイルスに関する誤った陰謀論を繰り返す」という見出しの記事を掲載しました。共和党の上院議員であるトム・コットンがこの考えを提起した後のことです。128 2日後、英国の医学雑誌ランセットは27人の科学者による「COVID-19が自然発生ではないとする陰謀論を強く非難する」という内容の記事を発表しました。129

 2020年9月、Facebook社は「タッカー・カールソン・トゥナイト」の番組を検閲しました。この番組では、中国人医師がCOVIDパンデミックは中国の研究所からウイルスが漏れ出た結果であると述べていました。Facebookはこの動画を「誤った情報」として決めつけ、Instagramの投稿にも同様に印を立てました。130

 今日、主流報道機関は、大流行の原因としてウイルスが動物から人間への感染(スピルオーバー)による可能性と、研究所からの漏洩による可能性が同じくらいあり得ると見なしています。

 2021年2月26日にウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アメリカエネルギー省(DOE)が連邦捜査局(FBI)に加わり、新型コロナウイルス大流行の原因として自然な要因よりも研究所からの漏洩がより可能性が高いと結論づけたと報じました。131 そして、2021年11月には、大流行へのアメリカの対応を監督する代表的な政府公職者であるアンソニー・ファウチが、COVIDの起源について「私は完全にどんな考えも受け入れる用意ができています」と述べました。132

 実際、2015年までに、研究所からの漏洩がコロナウイルス大流行の可能な原因であるという十分な証拠がありました。133 しかし、将来において同様の間違いを回避し、公の信頼を回復するための新しい体系や保護策を誰一人発表していません。

マスク懐疑論

 2020年、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策団員のマスク有効性を疑問視するツイートをTwitterは削除しました。134 2021年中頃、ホワイトハウス報道官のジェン・サキの発言:バイデン政権は検閲すべき「問題のある」COVID関連のFacebookへの投稿を特定している。135 YouTubeは、ハーバード大学とスタンフォード大学の科学者がフロリダ州知事に対して子どもたちにマスク着用の義務を課すべきでないという意見を表明した動画を削除しました。136 また、Facebookは元ニューヨーク・タイムズ紙のジャーナリストであるジョン・ティアニーを、子供たちのマスク着用による害の証拠を正確に報じたことを理由に検閲しました。137

2021年

DHSはその検閲権限を拡大

 ソーシャル・メディア各社に対する「内容を検閲するように」、という政府からの要求はジョー・バイデン大統領政権下で増加しています。2021年1月、選挙に対する偽情報への対応を目的として2018年に設立された「サイバー安全保障および基盤構造安全保障機関」(CISA)は、その範囲を拡大して、誤情報、偽情報、そして悪意ある情報(全般)に「柔軟に焦点を当てるようにする」としています。誤情報は意図しないものである可能性がありますが、偽情報は計画的なものと定義され、悪意ある情報は「誤導する」正確な情報も含まれることがあります。

 2021年1月、CISAは「Countering Foreign Influence Task Force(外国の影響に対抗する作業部会)」を「MDM全般に柔軟に焦点を当てようとする」「MDM」班と入れ替えました。138 この変更により、MDMの情報源はさらに国内へと向かうことになりました。監察官報告に引用された一人のCISA高官の話によると、「MDM」班は「全ての種類の誤情報に対抗し、現在の出来事に対応するようにしている」とのことです。139

 CISAの選挙安全保障構想の部長であるジェフ・ヘイルは、「政府の宣伝活動と見られないように、情報集積地」として、請負非営利団体の利用を推奨しました。140

ホワイトハウスの圧力により、FacebookとTwitterが正確なワクチン情報を検閲

 TwitterとFacebookは、ワクチン接種へのためらいを減らすためもあり、正確なCOVID情報を検閲しました。これにより、「意見の相違がある医師や他の専門家の信頼性を失わせることになりました」。この取り組みには、EIPの4人の委員が関わっており、現在は「ウィルス的拡散計画Virality Project(VP)」となっています。「2021年の春と夏に、VPは連邦、州、地方の利害関係者、市民社会の組織、および医療専門家の連合と協力して、ワクチン接種へのためらいを理解する取り組みを支援しました」とディレスタは2021年に説明している。141

 バイデン政権の高官たちは、Twitter社とFacebook社の幹部に対して、より積極的な検閲をおこなかったことを叱責しました。Twitter社は真実であるか、あるいは単に議論を呼ぶだけの「誤解を招く」と決めつけられたアカウントを多く禁止したり制限したりしました。Twitter社は、mRNAワクチンに関する査読済みの研究結果を正確に説明した医師のアカウントを一時的に停止しました。

 Facebook社は、ドナルド・トランプ大統領のCOVIDワクチンが配布されるのはすぐだ、との発言を検閲しましたが、実際にはそのとおりになりました。142これは、検閲が正確な情報の信頼を貶め、当局への不信を高める取り組みの一環として使用される例であり、検閲産業複合体が大切にしていると主張している2つの要素です。Facebook社はホワイトハウスの圧力があったため、「真実であることが多い内容」を検閲しました。2021年春、ある企業幹部が言っていますが、これは「告発すべき誤情報を含まない」が「ワクチン接種の足を引っ張る内容」でした。143ミズーリ州の州司法長官は、バイデン政権を第一修正案違反で訴えており、その電子メールを公開しました。144「ご存知のとおり、私たちはワクチン誤情報を削除することに加えて、告発すべき誤情報を含まないワクチン接種の足を引っ張る内容の爆発的拡散を減らすことに焦点を当ててきました」とFacebookの幹部(名前は伏せられています)は、書いています。145

 ミズーリ州の州司法長官のメールを読むと、当時のホワイトハウスCOVID相談役であるアンディ・スラビットに対してFacebook社が防御的な対応をしていることがはっきりわかります。「このような真実であることの多い内容は投稿の段階では許可されます。専門家から、個人の経験やワクチンに関する懸念を人々が議論できることが重要だ、との助言があるからです。しかし、それが煽情的、人騒がせ、あるいは衝撃的という枠づけをされることもあります」と、司法長官は書いています。

 Facebook社の幹部は、「これらのグループ、ページ、およびアカウントがこの感情を煽るような内容を過度に促進している場合、私たちは削除します。(この流れの)実施が進めば、この動きはさらに加速されることになります」と述べています。146

 別のホワイトハウス高官がメールでFacebook社員を厳しく叱責しました:「私たちは深刻な懸念を抱いている。Facebookでのやりとりがワクチン接種へのためらいを生み出す最大要因の一つになっている。以上」と。「ボールを隠している」という件名の攻撃的な一連のメールやり取りの中で、この高官は、Facebookが、米国議会議事堂暴動(2021年1月6日)前と「同じこと」をしている危険性があると信じていると述べています。「反乱は・・・大部分、Facebook上でその陰謀が企てられた」。147

 これらの検閲要求は、ホワイトハウスと議会が継続的に通信品位法230条を撤廃するという脅しを背景としておこなわれていました。230条は、利用者が投稿した内容に対するソーシャル・メディアの責任を免除するものです。ソーシャル・メディアは、もし230条が撤廃されれば自らの存立にとって実存的な脅威になると見なしています。この法律がなければ、ソーシャル・メディアは現在の形で存在することはできないでしょう。

 2020年以降、EIPの4人の共同創設者は、COVID関連問題に対する検閲を求めるために「ウイルス的拡散計画The Virality Project(VP)」を立ち上げました。彼らはEIPと同じくJira Service Desk検閲切符アプリを使用しました。VPはCOVID-19に関する情報に焦点を当て、EIPとまったく同じような種類の検閲をおこないました。VPは、2021年に政府担当者との連携の下、66のソーシャル・メディア上の、ウイルス的(爆発的)に拡散しているとされる「物語」を検閲したと語っています。148

アスペン研究所情報障害報告書

 2021年のアスペン研究所の報告書において、検閲産業複合体の全般的な展望を見ることができます。この報告書は、MDM(誤情報、偽情報、そして悪意ある情報)がアメリカの直面する最も深刻な危機であると実質的に主張しています。なぜなら、HDMが「他のすべての危機を悪化させているからです。この報告書は、「偽情報」から「誤情報」、「悪意ある情報」(「誤導的な物語」を防ぐという名目の下、正確な情報を検閲することを可能にする範疇)、そして「情報障害」まで継続的に拡大する枠組みの上に成り立っています。149アスペン研究所報告書は、ソーシャル・メディアの大幅に拡大された情報検閲とホワイトハウス、ソーシャル・メディアが一体となって進めている宣伝活動を呼びかけています。

気候変動とエネルギー

 検閲産業複合体は、気候変動とエネルギーに関連する内容をソーシャル・メディアが検閲するよう圧力をかけています。

 私がこんなことを言うのは、私には検閲と名誉失墜宣伝活動による攻撃が続いているという経験があるからです。この攻撃は拙著『Apocalypse Never(終末は決してない)』の上梓を告げるウイルス的(爆発的)に広まった記事を書いてから仕掛けられました。私の記事に対して、複数の頭脳集団がすぐに虚偽の「論破」を主張しました。それらの偽の論破が、Facebook社が私の投稿を今日に至るまで(気候変動に関係ない投稿も含めて)検閲する根拠となりました。Facebook社は私の申し立てを一切許しませんでした。ジャーナリストのジョン・ストッセルによる訴訟に対応して、Facebook社は彼と私に対するいわゆる「事実確認」が「意見」に過ぎず、中傷とはみなされないと告白しました。150それでも、検閲は続いています。151

 2021年、英国の医学雑誌『ランセット』が、温暖な気候は命を救うと結論した、とビョルン・ロンボーグが正確に報告したことに対して、Facebook社は検閲をおこないました。152

 Facebook社や他のソーシャル・メディア各社は、検閲対象となった人々に対して申し立て手続きを何も提供していません。ジャーナリストのジョン・ストッセルがFacebook社を訴えた後、親会社であるメタ(Meta)社は、訴訟に対する回答として、Facebook社の「事実確認」は単なる「意見」であり、中傷の告発から免責されると述べました。153


 更なる検閲の要求は続いています。バイデン政権の気候助言者であるジーナ・マッカーシーは、2022年にAxios*との取材で、「技術部門企業は特定の個人が何度も何度も偽情報を拡散することを止めなければなりません」と述べました。Axiosの記者が「気候に関する誤情報や偽情報は、公共の健康にとって脅威ではありませんか?」と尋ねると、マッカーシーは「まったくそのとおり・・・まさしく私たちが話しているのは、いろいろな危機についてであって、それは私たちの社会が、もはや大目に見る必要のないものになっています」と答えました。154
*「私たちは2017年1月にAxiosを立ち上げた際に、次の共通の信念を基礎にしました:世界は急速に変化するテーマに関するより賢明で効率的な報道が必要であるという信念です。常に私たちの視聴者を最優先に考えることを誓いました」と謳うサイト。https://www.axios.com/about

 マッカーシーは、2021年2月のテキサス州の停電の際に、天候依存型の再生可能エネルギーの不備を批判した人々を特にとりあげました。しかし、それらの批判の多くは事実でした。過去10年間、テキサス州では投資家が830億ドル以上を天候依存型のエネルギー源、主に風力タービンに注ぎ込んでいました。2月の寒波の際に、それは凍結した化石燃料工場と共に、大部分が利用できなくなりました。155その理由の一部は寒さであり、大半は風速が足りなかったというのが理由です。

 マッカーシーは、再生可能エネルギーの批判者たちは「闇の資金」を提供している化石燃料系諸会社(これは巨大タバコ産業と同じと彼女は言う)によって資金提供されていると主張しました。彼女は、批判者たちが「綺麗なエネルギーの利点」について一般市民を「欺く」ために報酬を受け取っていると主張しました。「私たちは技術部門企業に本当に参加してもらう必要があります」と彼女は述べました。再生可能エネルギーを批判することは「拒否することと同じくらいに危険です。なぜなら、私たちは急いで動かなければならないからです」。156

 しかし、テキサス州で使われている再生可能エネルギーを含め、それに対する主な批判者たちは、化石燃料産業からの資金提供を受けていません。さらに、マッカーシー自身のAxiosとのインタビューは、太陽エネルギー産業への主要な供給者である3Mがスポンサーとなっていました。3Mは、3Mの利益となるような気候とエネルギーに関する立法推進のために直接政治的圧力をかける活動をしています。157

 したがって、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、マッカーシー、米国発展センター、そしてソーシャル・メディア諸企業が提案している広範な検閲枠の下では「リチウムイオン電源の技術的な限界を指摘するだけでも、『偽情報』に該当する可能性がある」と指摘されています。158

 さて、米国政府によって資金提供された組織が、私や他の人々を中傷する報告書を作成し、ソーシャル・メディアにおける私や他の人々の投稿をもっと検閲するように、と要求しました。イギリスの頭脳集団である戦略対話研究所(ISD)は、アメリカの納税者のお金を使って事実情報の検閲を求めています。国務省は2021年9月にISDに助成金を与え、「偽情報と宣伝活動に対抗する有望で革新的な技術の開発を進める」ことを推進しました。159 2022年の「気候偽情報」に関する報告書では、ISDは私や他の人々を、気候対策の「遅延」を推進している輩、と中傷しています。160これは嘘であり、原子力発電所を守る私の仕事を知るすべての人が分かっているとおり、私は「ゆっくり進む」やり方を一度も提唱したことはありません。

 戦略対話研究所(Institute for Strategic Dialogue)は、北大西洋条約機構(NATO)、パリのアメリカ大使館、大西洋評議会のデジタル操作研究室(DFRLab)、およびサイバー安全保障及び基盤構造安全保障庁(CISA)が後援したある催し物に参加した後、資金援助を受けました。

2022年

米国政府は「Disinformation Index」と「News Guard」という組織に資金提供して、好ましくないニュース・メディアから広告主を遠ざけるための活動を行っている

 政府が資金提供する検閲組織は、広告主がそれを要望するから、と検閲を正当化しています。「内容管理規制と内容政策は事業の動機にも関連しています。ソーシャル・メディアは『肥溜め』を作りたくないのです。Twitter社は4チャンネルのような場所になることを今も昔も望んでいません。なぜなら、大半の人々はそのような環境を楽しんでいないからです。だから、第一修正条項に準拠した内容あっても、ソーシャル・メディアによっては多かれ少なかれ内容管理を選択します。それは自分たちが作り上げたいと思っている類の環境と緊密に連動しています。すべての人が自由な経験を持つという考え方とは一線を画します。161

 他方、米国政府は好ましくないニュース・メディアから好ましいニュース・メディアへの広告費の流れを促進する団体に資金を提供しています。2021年に国民の税金3億ドルの予算を受け取った「全米民主主義基金National Endowment for Democracy」は、2020年に「Global Disinformation Index」という組織に23万ドルを助成しました。この組織は、ワシントン・エグザミナー、Reason、およびニューヨーク・ポスト紙を含む保守派やリバタリアン系主要メディアとの広告掲載を企業に呼びかけないよう働きかけています。162

 2021年9月、国防総省は75万ドル相当の政府契約をNewsguard*に与えました。Newsguardもまた、好ましくない出版物に対して広告主が資金提供を打ち切るよう主張している団体の一つです。163
*ニュースと情報のウェブサイトの信頼性を評価し、オンラインの誤情報を追跡するためのジャーナリズム関係サイト。(ウィキペディア)

国土安全保障省の「Desinformation Governance Board(DGB偽情報管理委員会)」の設立

 2022年4月、国土安全保障省はソーシャル・メディア上の偽情報と戦うために「DGB」を設立すると発表しました。2022年3月には、ソーシャル・メディアの幹部や他の政府機関の代表との会議で、「外国からの影響に対処する機動部隊(Foreign Influence Task Force)」を率いるFBIの職員、ローラ・デムロウは、「我々は責任を持つ報道機関の基礎構造が必要だ」と述べました。164

 「DGB」設立の発表は、一般市民から強い広範な反発を引き起こし、数週間後にバイデン政権はその計画を取り下げました。しかし、計画を完全に放棄する代わりに、国土安全保障省の各機関は独自にソーシャル・メディアを監視しています。国土安全保障省の2022年度四半期国土安全保障総括の草案によると、同省は「不正確な情報」を対象にする予定であり、それには「COVID-19大流行の起源とCOVID-19ワクチンの有効性、人種的正義、アフガニスタンからの米国の撤退、およびウクライナへの支援の本質」が含まれていました。165

2023年

Twitter文書

 アメリカ人は、新しいTwitter社主であるイーロン・マスクがTwitter 文書を提供してくれたことに感謝すべきです。予測されたことかもしれませんが、検閲産業複合体は重大な悪意ある情報、誤情報、そしておそらく偽情報を広めました。このTwitter 文書やそれを報道することに関係したジャーナリストたちについてです。マスクが私をTwitter 文書の報道担当者として直接選んだと広く報じられています。が、それは真実ではありません。バリ・ワイスが私を彼女の報道班に誘ったのです。私たちが初めて会ったとき、マスクは私が誰なのか知らないと話しました。

 私たちは(Twitter社内の)内部メールや直接の伝達文書を幅広く目を通す権限を与えられましたが、何も隠されている形跡は見つかりませんでした。私の報道の独立性については、Mother Jones誌や私の2020年の著書『終末は決してない(Apocalypse Never)』でマスクのエネルギーに関する発言を批判した数少ないジャーナリストの一人であることを指摘しておきます。マスクの他の点について何を考えようとも、彼が世界でもっとも重要なソーシャル・メディア(Twitter)の内部の仕組みを透明にしようと決断したことは前例のないことであり、公衆に検閲産業複合体のやり口を理解する機会を提供してくれました。

ディレスタとスタモスは、「外国からの偽情報」の脅威を誇張している

 2月下旬、Meta(Facebook)が第4四半期の「Adversarial Threat Report(敵からの脅威報告)」を公開した後、ディレスタは次のようにツイートしました。「興味深いFacebookの対立的な脅威レポート:4つの偽情報連携組織・・・そのいくつかはかなり大規模で、国に関連していますが、傭兵関係者(有給の運営者)もいました。大金を使って広告を出しています」。166 スタモスも同意し、「深刻な外国からの影響宣伝活動がオンライン上に続いています」と述べています。167

 以下は、Metaが記述した内容です:「ロシアによるウクライナ戦に関連したロシア起源の隠蔽活動(CIB)は急激に増加している一方で、ロシア国家が管理する報道機関によるFacebook上での公然の試みは、報告によれば、過去12ヶ月間減少している。国家が管理する報道機関は、新しい登録名を使用して他のソーシャル・メディアに移行し、自分たちのサイトへのリンクがますます丸裸になる(そして「格下げ」になる)ことを回避しようとしている。同じ期間に、隠れた影響力をもつ勢力は、インターネット全体で、大量かつ非常に低品質の宣伝活動を採用する「強引で手荒な」やり方を取り入れた」。168


 言い換えれば、ロシアは隠蔽活動を試み、大部分は失敗しており、その結果、他のソーシャル・メディアに移行し、「低品質な宣伝活動」に頼ることを余儀なくされているということです。これは、ロシア勢力について、ディレスタは「相当大規模」な取り組みであると主張し、スタモスは「深刻な」作戦と言っているのとは、全く異なる状況だと捉えられているのです。

 『Revolt of the Public(大衆の反乱)』の著者であるグリは反論しました。「『影響力』を証明せよ。基礎資料はどこにあるのか?純粋なアメリカ人の心にどのような汚染があるのか?そして、もし基礎資料がないのなら、これは『ベッドの下には共産主義者がいる』のよりもさらにばかげた言い方ではないのか?」と彼はツィートしました。169

 これに対して、スタモスは「私はあなたの本の熱狂的支持者です。あなたがこうなるのは残念です、先生・・・私は何度も何年も前から述べてきましたが、これらの宣伝活動の影響はしばしば誇張されていると思っています。特に2016年の選挙に関してはそうでした。しかし、権威主義者を自由に走らせ、彼らが印を付けた対象を人々に信じさせることは信頼性のあるソーシャル・メディアを運営する賢明な方法ではありません」と書いています。170


<原註>
108 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
109 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
110 Craig Timberg et al., “Secret campaign to use Russian-inspired tactics in 2017 Ala. election stirs anxiety for Democrats,” Washington Post, Jan 6, 2019, https://www.washingtonpost.com/business/technology/secret-campaign-to-use-russianinspired-tactics-in-2017-alabama-election-stirs-anxiety-for-democrats/2019/01/06/58803f26- 0400-11e9-8186-4ec26a485713_story.html.
111 Nicholas Thompson et al., “Anti-Social Media and The Menace of Disinformation” (panel, Aspen Institute, June 29, 2018), 6:15-6:51, https://www.youtube.com/watch?v=wpksY8w9JwI.
112 Matt Taibbi (@mtaibbi), “1.THREAD: Twitter Files #15, MOVE OVER, JAYSON BLAIR: TWITTER FILES EXPOSE NEXT GREAT MEDIA FRAUD,” Twitter post, Jan 27, 2023, 11:49 am, https://twitter.com/mtaibbi/status/1619029772977455105.
113 Sebastian Herrera, “Austin researcher makes a name – and finds controversy – in cybersecurity world, Austin American-Statesman, Feb. 15, 2019, https://www.statesman.com/story/business/technology/2019/02/15/who-is-jonathon-morganaustin-researcher-makes-name-and-finds-controversy-in-cybersecurity-world/5974403007.
114 Matt Taibbi (@mtaibbi), “1.THREAD: Twitter Files #15, MOVE OVER, JAYSON BLAIR: TWITTER FILES EXPOSE NEXT GREAT MEDIA FRAUD,” Twitter thread, Jan 27, 2023, 11:49 am, https://twitter.com/mtaibbi/status/1619029772977455105.
115 Hearing before the Select Committee on Intelligence of the United States Senate: Open Hearing on Foreign Influence Operations' Use of Social Media Platforms (Third Party Expert Witnesses), 115th Cong. 19 (2018) (statement of Renee DiResta, Director of Research, New Knowledge), https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/osrdiresta080118.pdf?utm_campaign=The%20Interface&utm_medium=email&utm_source=Revue%20n ewsletter. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 63
116 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://stacks.stanford.edu/file/druid:tr171zs0069/EIP-Final-Report.pdf#page=201 “Alex Stamos - Goal Is To Turn Social Media Companies Into Cable News Gatekeepers,” FFOSourceClips accessed through Rumble, November 10, 2020 https://rumble.com/v1lwvfealex-stamos-goal-is-to-turn-social-media-companies-into-cable-news-gatekeep.html
117 Mike Benz, “DHS Censorship Agency Had Strange First Mission: Banning Speech That Casts Doubt On ‘Red Mirage, Blue Shift’ Election Events,” Foundation for Freedom Online, Nov 9, 2022, https://report.foundationforfreedomonline.com/11-9-22.html.
118 FFOSourceClips, “EIP and CISA - Unclear Legal Authorities,” Rumble video, accessed Ma 6, 2023, https://rumble.com/v1kp8r9-eip-and-cisa-unclear-legal-authorities.html.
119 “Alex Stamos: Social Media and Digital Democracy,” Commonwealth Club of California, 2021, YouTube video, 1:02:58, https://www.youtube.com/watch?v=2kMYzqfkXaM&t=361s
120 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://stacks.stanford.edu/file/druid:tr171zs0069/EIP-Final-Report.pdf#page=21 121 “Alex Stamos: Social Media and Digital Democracy,” Commonwealth Club of California, 2021, YouTube video, 1:02:58, https://www.youtube.com/watch?v=2kMYzqfkXaM&t=361s
122 FFOSourceClips, “Alex Stamos - EIP Contacted Tech Companies After DHS Censorship Pitch,” Rumble video, Jan. 2023, https://rumble.com/v1sc6zi-alex-stamos-eipcontacted-tech-companies-after-govt-censorship-pitch.html
123 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://stacks.stanford.edu/file/druid:tr171zs0069/EIP-Final-Report.pdf#page=201
124 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069.
125 Janine Zacharia and Andrew Grotto, “How to Report Responsibly on Hacks and Disinformation: 10 Guidelines and a Template for Every Newsroom,” Stanford Geopolitics, Technology, and Governance, Cyber Policy Center, accessed Mar 6, 2023, https://cyber.fsi.stanford.edu/content/how-responsibly-report-hacks-and-disinformation. Original publication March 31, 2023 https://web.archive.org/web/20200331050536/https://cyber.fsi.stanford.edu/content/ how-responsibly-report-hacks-and-disinformation
126 “Aspen Digital Hack-and-Dump Working Group” (event agenda), Sept 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “30. Efforts continued to influence Twitter's Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 64 Yoel Roth,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:47 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604896328453980160?s=20. Note: my original tweet misstated the date.
127 “Hack and Leak Roundtable Participant List,” The Aspen Institute, June 25, 2020, cited by Michael Shellenberger, “Correction: This event occurred on June 25, 2020, not in September,” Twitter post, Mar 7, 2023, 10:03 pm, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1633317442368815104?s=20.
128 Pauline Firozi, “Tom Cotton keeps repeating a coronavirus fringe theory that scientists have disputed,” Washington Post, Feb 17, 2020, https://www.washingtonpost.com/politics/2020/02/16/tom-cotton-coronavirus-conspiracy. 129 Charles Calisher et al., “Statement in support of the scientists, public health professionals, and medical professionals of China combatting COVID-19,” Lancet 395, no. 10226 (Feb 19, 2020), doi:10.1016/S0140-6736(20)30418-9.
130 Tucker Carlson (@tuckercarlsontonight), screenshot of Instagram post, Archive.org, accessed Mar 6, 2023, https://archive.vn/S9DSo.
131 Michael R. Gordon and Warren P. Strobel, “Lab Leak Most Likely Origin of Covid19 Pandemic, Energy Department Now Says,” Wall Street Journal, Feb 26, 2023, https://www.wsj.com/articles/covid-origin-china-lab-leak-807b7b0a.
132 Olivia Olander, “Fauci on Covid lab leak theory: ‘I have a completely open mind,’” Politico, Nov 27, 2022, https://www.politico.com/news/2022/11/27/fauci-china-covid-lab-leaktheory-00070867.
133 Guy Rosen, “An Update on Our Work to Keep People Informed and Limit Misinformation About COVID-19,” Meta, Apr 16, 2020, https://about.fb.com/news/2020/04/covid-19-misinfo-update.
134 John Tierney, “This Article Is ‘Partly False,’” City Journal, May 17, 2021, https://www.city-journal.org/facebook-and-its-fact-checkers-spread-misinformation.
135 Steven Nelson, “White House ‘flagging’ posts for Facebook to censor over COVID ‘misinformation,’” New York Post, July 15, 2021, https://nypost.com/2021/07/15/white-houseflagging-posts-for-facebook-to-censor-due-to-covid-19-misinformation.
136 Kirby Wilson and Allison Ross, “YouTube removes video of DeSantis pandemic roundtable with Atlas, other panelists,” Miami Herald, Apr 12, 2021, https://www.miamiherald.com/news/politics-government/state-politics/article250611599.html.
137 John Tierney, “This Article Is ‘Partly False,’” City Journal, May 17, 2021, https://www.city-journal.org/facebook-and-its-fact-checkers-spread-misinformation.
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161 Renee DiResta, interview by Michael Shellenberger, transcript here: https://docs.google.com/document/d/1J8bvylZwT1zAa7iE1D3NeeudgByCHTXkeJg4bwIn8aA /edit
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164Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs.
165 Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs.
166 Renee DiResta (@noUpside), “Interesting Facebook’s adversarial threat report today,” Twitter post, Feb 23, 2023, 8:22 am, https://twitter.com/noUpside/status/1628762155888648193?s=20.
167 Alex Stamos (@alexstamos), “1) Serious foreign influence campaigns continue online,” Twitter post, Feb 25, 2023, 4:37 pm, https://twitter.com/alexstamos/status/1629611621005033472?s=20.
168 Ben Nimmo, “Meta’s Adversarial Threat Report, Fourth Quarter 2022,” Meta, Feb 23, 2023, https://about.fb.com/news/2023/02/metas-adversarial-threat-report-q4-2022. 169 Martin Gurri (@mgurri), “Prove "influence". Where's the data? What pure American minds are polluted?” Twitter post, Feb 26, 2023, 11:29 am, https://twitter.com/mgurri/status/1629896414083059712?s=20.
170 Alex Stamos (@alexstamos), “I have stated multiple times, over years, that I thought the impact of these campaigns is often overstated,” Twitter post, Feb 26, 2023, 1:59 pm, https://twitter.com/alexstamos/status/1629934186089029632.

関連記事

ツインタワーでの爆発(2001/9/11)の目撃証拠

<記事原文 寺島先生推薦>
Eyewitness Evidence of Explosions in the Twin Towers
筆者:グレーム・マックイーン(Graeme MacQueen)
出典:グローバル・リサーチ 2023年6月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月7日

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編集者ノート

グレーム・マックイーン教授は、9.11の事件を正しく調査しようとする多くの学者やジャーナリストにとっての第一人者であった。彼は厳密な分析と、学問の正統性やタブーに挑戦する勇気と献身を兼ね備えた、最高の学者であった。グレーム教授が亡くなる前の最後の1年間、重病にもかかわらず、9.11とその他のディープ・ステート(深層国家)の犯罪を探求する重要な貢献をまとめ、『The Pentagon’s B-Movie: looking closely at the September 2011 Attacks.(ペンタゴンのB級映画:2011年9月の攻撃を詳しく見る)』として出版した。この本には、公式の9.11の言説やその他の関連事件の核心に横たわる複数の矛盾を記録し、分析する16年にわたる研究がまとめられている。グレームが亡くなる直前、研究者のエリザベス・ウッドワースElizabeth Woodworthは『プロパガンダ・イン・フォーカス Propaganda in Focus』にグレームの新著の一部を掲載するよう提案し、グレーム教授は快諾した。

第17章「ツインタワーでの爆発の目撃証拠 Chapter 17 ‘Eyewitness Evidence of Explosions in the Twin Towers」をここに再公開できることを光栄に思う。この章は、2011年にトロントで開催された画期的な公聴会でのグレーム教授の力強い発表に基づいている。本書の全文はこちらで入手可能であり、無料でPDFをダウンロードすることもできる。



「ツインタワーでの爆発の目撃証拠」
グレーム・マックイーン著


 私たちの多くは、2001年9月11日に世界貿易センターのツインタワーが制御解体によって倒壊したと確信している。しかし、もしそうだとしたら、誰かが気づかなかったのだろうか?

 答えは、多くの人が気づいていたということだ。第1ビルと第2ビルの崩壊については、かなりの目撃証拠がある。本稿ではこの証拠を簡単に概観する。

 証拠を見る前に、まず、証拠に対する最も一般的な反論のひとつに立ち向かわなければならない。異論を唱える人々は、目撃証拠は「軟弱」であり、信用できず、信頼できないと言う。このような批評家によれば、ある出来事の目撃者が何人いようが、その目撃者が誰であろうが、彼らの証言が互いにどのように関連していようが関係ない。これは奇妙な見解だ。目撃証言に関する社会科学的研究でも、犯罪捜査に関する学術文献でも、これは支持されるものではない(255)。

 目撃証拠には確かに脆弱性がある。私たちは、目撃者が誤認したり、記憶違いやごまかしをしたりすることがあることを知っている。しかし、他の種類の証拠と同様、私たちは目撃者の報告が正確かどうかを確認する方法を開発してきた。例えば、私たちは裏付けとなる証拠、つまり目撃者のさらなる証拠や、まったく別の種類の証拠を探す。

 さらに、目撃証拠は爆発事故の捜査に大きく関係している。「全米防火協会」の火災・爆発調査手引書には、爆発調査においては「調査官は目撃者の供述を含め、利用可能なすべての情報を考慮すべきである」と明記されている(256)。

 本稿は、爆発に関する目撃証拠の概要だけでなく、「9/11委員会」と「米国標準技術研究所(NIST*)」によるこの証拠の取り扱いに対する批判も提示している。しかし、これら両機関は目撃証拠を広範に利用しており、明らかに有効かつ重要であると考えている。したがって、目撃証言の正当性に関する「NIST」や「9/11委員会」との意見の相違は、原則段階ではなく、適用段階にある。
*NIST=(the National Institute of Standards and Technology)

 目撃証言の特に重要な情報源のひとつは、ニューヨーク市が2005年に発表したニューヨーク市消防局の口述記録(厳密には、ワールド・トレード・センター・タスクフォース・インタビュー)である(257)。ニューヨーク・タイムズ紙は、この文書の公開を求めるためにニューヨーク市を裁判所に提訴していたが、文書が公開されると、同紙は口述記録を一連の個別のPDFファイルとしてウェブサイトに掲載した。

 口述記録は、ニューヨーク市消防総監のトーマス・フォン・エッセン氏が、FDNY(ニューヨーク市消防局)の隊員があの日経験したことを記録することが重要であると判断した後、FDNYの世界貿易センター対策本部が収集したものである。調査委員会のインタビューは、2001年10月初旬から2002年1月下旬にかけて収集された、約500人の「FDNYの消防士、救急医療技術者、救急隊員」による10〜12,000ページに及ぶ証言から構成されている(258)。

 デイヴィッド・レイ・グリフィン教授は、有能な研究者の協力を得て、この資料から爆発に関する非常に貴重な記述を探し出した最初の学者である(259)。本論文の著者は、口述記録を読んだ後、「118人の目撃者: ツインタワーでの爆発に対する消防士の証言」(260)という論文を発表した。

 以下の発表と分析は、この先行研究を基礎としている。証拠が提示されるにつれ、三つの重要な点が浮かび上がってくる。第一に、タワーの倒壊は爆発によるものだという確信が9.11では一般的であったこと。第二に、この確信を裏付けるかなりの目撃証拠がある。第三に、この証拠は「9.11委員会」と「NIST」の双方によって無視されるか、隠されてきたことである。


爆発仮説は、9.11当時では一般的だった。

 9.11事件の議論では、ツインタワーの破壊に関する元来の、明らかで、当然の仮説は、何らかの重力による崩壊であるとしばしばほのめかされている。9.11当時、タワーの倒壊は誰の目にも明らかであり、それはビルが単に飛行機の衝突とその後の火災に耐えられず、崩壊したからだと我々は信じ込まされている。ビルが倒壊したのは爆発のせいだと言う人たちは、つまり広義の「爆発仮説」を支持する人たちは、この見方によれば後発組である。彼らは「9.11の後に登場し、陰謀論的な思考によって当初は単純だった状況を考えすぎた人々だ」と主張されている。

 実際、これが歴史の捏造であることを証明するのは簡単だ。爆発仮説の支持者は9.11当時、特に事件現場では極めて多かった。多くの人々は、ビルの近くで直接知覚したことを根拠に判断し、他の人々は、この巨大なビルが完全かつ強力に粉砕されるには爆発を伴うに違いないと当たり前のように受け入れていた。以下は、これらの見解を支持する多くの例のうちの5つである。

1.9.11を記録した動画では、ABCテレビのレポーター、N・J・バーケットがツインタワーの近くに立っている。彼は、現場の消防士たちや、燃えているビルそのものに注意を向けている。突然、サウスタワーが彼の背後で崩壊し始める。粉々になった瓦礫が空中に飛び散る中、バーケットは言う。「今、大爆発が起こり、瓦礫が私たち全員に降り注いでいる。逃げた方がいい!」 バーケットの発言には、状況を考えすぎていた証拠も、陰謀論的な考え方の証拠もない。彼は9.11の後にやってきたわけではない。ビルの破片が地面に到達する前に自分の判断を表明したのだ。その後、彼は命からがら逃げ出した。30分後、ノースタワーが倒壊すると、彼はまた命からがら逃げ出した(261)。

2.CNNの9.11当日の報道で、ジュリアーニ市長はツインタワーでの爆発について2回にわたって質問された。二回目は午後2時39分ごろの記者会見で、女性記者(画面外)が市長にこう質問している。「あなたは倒壊した二つのビルの爆発の原因について何か分かっていますか。飛行機によるものですか、それとも他の何かによるものですか?」(262)。彼女は爆発があったかどうかを尋ねていない。つまり、彼女は爆発があったと思っている。彼女は爆発がタワーを崩壊させたかどうかを尋ねていない。つまり、彼女はあったと思っている。彼女はただ、何が爆発を引き起こしたのか、飛行機なのか、それとも 「他の何か」 なのかを知りたいだけなのだ。

3.情報公開法の要請によってNISTから入手した 「マシュー・シャポフ・ビデオ」 として知られる映像では、数人の人々(画面外)が世界貿易センタービルで起きた出来事を遠巻きに見ながら談笑し、それをビデオカメラで撮影している。突然、彼らのカメラを通して、ノースタワーが崩壊するにつれて粉々になった瓦礫が巨大な噴煙となって四方八方に投げ出され始めるのが見える。ああ、大変だ!」という恐怖の声の後、シャポフと思われる男性の声が次のように叫ぶのが聞こえる。 「あれは爆弾がやったんだ!くそ、あれは爆弾がやったんだ!あんなことが起こるはずがない!」(263)。これもまた、シャポフが見ていたことに対して自然に起こった反応である。

4.ニューヨークの消防士クリストファー・フェニョは、『世界貿易センタービル対策本部』のインタビューの一節で、現場にいた消防士の間で始まった議論について語っている。議論が始まったのは、サウスタワーが破壊された後、ノースタワーが破壊される前、つまり午前10時から10時半ごろのことである。シャポフと同様、この発言は一般的な爆発ではなく、爆発物による意図的なビルの破壊に関するものである。つまり、9.11の朝10時30分以前から、人々は爆発仮説の下位範疇である制御解体仮説について議論していたのである。

5.9.11事件に関するFBIの捜査名はPENTTBOMで、「Pentagon/Twin Towers Bombing Investigation(ペンタゴン、ツインタワー爆破事件捜査)」の略である。この名前が付けられたとき、FBIの誰かが爆破事件が起こったと考えた可能性はないだろうか?(現在の公式発表によれば、どの被災地でも爆破事件は起きていないことになっている。) 9.11当日、『USAトゥデイ』紙の外国特派員ジャック・ケリーが、当時のFBIの 「作業仮説 」は「2機の飛行機がビルに衝突したのと同時に......ビルの下に爆薬を詰めた車かトラックがあり、それが同時に爆発して両方の塔が崩壊した」(264)、とテレビ視聴者に語っているのが目撃されている。ケリーが『USAトゥデイ』紙のために日常的に記事を捏造していたことが後に明らかになったことを考えれば、FBIに関する彼の主張には裏付けが必要だろう。しかし、ここでFBIに当てられている一般的な仮説、つまり爆発物を使用してビルを崩壊させたという仮説は、9.11では一般的であった。たとえば、FDNY(ニューヨーク市消防局)安全主任のアルバート・トゥリは、タワーの破壊から間もなく、NBCのパット・ドーソンに次のように語っている。ドーソンの言葉を借りれば、「彼(トゥリ)の理論によれば、実際にビルに仕掛けられた装置があったと考えている」(265)と。

 これら5つの例は、爆発説が最も強固な形(爆発物による意図的破壊)であったとしても、9.11当日の目撃者にとっては身近なものであったという主張を支持するものである。それは合理的な理論として広く受け入れられていた。多くの人々がこの説を支持したからといって、それが正しいということにはならないが、もしこの説が否定されるのであれば、それは証拠に基づいて否定されなければならないことを示唆している。


爆発仮説を支持する強力な目撃証拠がある。

 目撃証拠は内容的にも・量的にもともに強力である。証拠の質は、目撃されたものについての詳細で、相互に裏づけのある証言に考えられる。同時に、証拠の量は、証言の中で爆発について論じている目撃者の数と種類の両方において強い印象を与える。



 ノースタワーの破壊についてのデニス・タルディオとパット・ゾーダの会話は、9/11当日にナウデ兄弟によってフィルムに収められている(266)。

 タルディオとゾーダは、言葉と手振りの両方で、互いの証言を繰り返し肯定している。その手振りは、空手チョップのように、高いところから始まり、素早く下に向かっていく。目撃者たちは、自分たちが観察した多くの個別的で精力的な出来事があり、それが高いところから始まり、一定の間隔でビルの下へ急速に移動したことを示唆したいようだ。



 ゾーダは手を動かしながら言う。 「階から階へと、はじけ始めた」。 タルディオも同じように手を動かす。 「まるで起爆したかのように、起爆したかのように(ゾーダ:「そう、起爆した、そう」)、まるでビルを破壊するために仕掛けられたかのように、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーンと」。 ゾーダはこう付け加えた。 「ずっと見ていた。私はそれを見ながら走っていました」。

 彼らは消防士であり、ビル火災で起こる標準的な種類の爆発に遭遇することに慣れている。しかし、彼らは煙爆発や 「沸騰-液体-膨張-蒸気」(BLEVE)爆発*など、予想されるような爆発については語らない。その代わりに、彼らは全く異なるものについて話し、劇的な身振りで演じている。彼らが見たものは、制御された解体に似ていると言うのだ。
*BLEVE爆発---「ブレービー」又は「ブリーブ」と読み、「沸騰液膨張蒸気(拡散)爆発」と訳される。液体の急激な相変化による爆発現象。

 次の例はポール・レモスである。彼は9.11の日、CM撮影に参加するために世界貿易センタービルの近くにいた。レモスは9.11の日、まだWTC-7が遠くに立っている世界貿易センターの近くで、ビデオテープにインタビューされている(267)。彼は、先ほどの消防士たちとは別の場所で、別の映画製作者によって撮影された。この映像は、先ほどのタルディオ/ゾーダの映像とはまったく無関係に見える。しかし、レモスがノース・タワーの崩壊を描写し始めたとき、彼はタルディオやゾーダと同じ手の身振りを使っている。



 身振りをしながら彼が言ったことは次のようなものだ:

「突然、私は見上げると、約20階の下から…火事があり…私は曲がり角角から、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン、ドーン…ちょうど20回の連続ヒットのように、ただ消えていったのが見えました。 建物全体が「プシューッ(?)」と爆発したのが見えました…そして爆弾が爆発するにつれて人々が走り始めました、そして私はそこに座ってそれらのいくつかが爆発するのを眺めました。そして私はただ踵を返し、命からがら走り始めました。その時、世界貿易センターがまさに崩壊するところでしたから…」

 レモスは、タルディオやゾーダよりもさらに大胆で、「爆発したかのように」 と自分の発言を飾っていない。彼は公然と 「爆弾」 と言い、「爆発するのを見た」 と言っている。いずれにせよ、タルディオとゾダの映像とレモスの映像はどちらも詳細が豊富で、相互に裏付けが取れている。細部の豊富さは記録から明らかであり、裏付けは使用された言語だけでなく、手振りからも得られる。この男たちは明らかに同じ出来事を認識し、同じ考えに到達している。

 レモスはまた、建築家として紹介された人物との会話について興味深い逸話を語っているが、これは目撃証拠の改ざんや隠蔽に関連している。レモスは次のように語っている。「・・・ところで、あれは爆発ではないと彼らは後で語った。私は、彼らが連れてきた建築家の一人と話していました」。この発言で 「彼ら」 が誰を指しているのかは不明だが、「彼ら」 とは現場にいた当局を指していると考えるのが妥当だろう。したがって、当局は9.11の現場に建築家を配置し、ポール・レモスのような人々に、彼らが何を気づき、何に気づいていなかったかを伝えていたようだ。

 この 「建築家」に卑劣な目的があったかどうかは別として、この建築家について以下の事実は確かである。 (1)レモスとは異なり、彼自身は目撃者ではなかった(彼は現場に「引き入れられた」のだ)、(2)目撃者の徹底的な聞き込み調査をする時間はなかっただろう、(3)崩壊の写真や動画を総合的に検討する時間はなかったはずだ、(4)彼がビルの残骸(鉄骨も粉塵も)を詳細に調査できた可能性はほとんどない。にもかかわらず、彼は目撃者に、その目撃者が知覚できなかったことを伝えることができると考えている。この建築家は不当な判断を下しているだけでなく、偏りのない調査を行うことを難しくしている点で、彼の行動は極めて正確ではない。殺人捜査、火災捜査、爆発捜査には厳格な原則があり、いずれの場合も、目撃者の邪魔をして犯行現場に立ち入り、証拠を汚すことは前代未聞である。

 この建築家についての議論は、より広い意味でも重要である。9.11の数ヵ月後、多くの目撃者は、当局が爆発の余地のない構造欠陥仮説を採用したと聞いて、自らの最初の判断に沈黙し、修正し、さらには否定した。その時期に最も一般的で、正しいものとして広く流布した構造破壊仮説は、床が順次破損していく「パンケーキ」仮説*であった。パンケーキ仮説はその後、信用を失い放棄されたが(NISTによって明確に否定された)、初期のころは、爆発を感知したと思っていた目撃者の確信を弱めるのに効果的だった。
* 「パンケーキ」仮説----これは、ビルの各階の層が下の階へ落下することで、各階が順に押し潰されるようにして崩壊したとする。 しかし、この説に基づけば各階の落下速度が自由落下の速度を越えないはずだとの反論がある。Rick Segalは、崩壊時の映像記録によれば第1ビル、第2ビル、第7ビルの崩壊速度は真空での自由落下速度に匹敵すると述べた。ただし、実際に自由落下だった場合、第1および第2ビルの高さだと9秒、第7ビルだと3秒強で崩壊することになるが、ツインタワーの倒壊には15-20秒、第7ビルは陰謀論者の主張でも6秒かかっているため、とうてい自由落下に「匹敵」とはいえない。
ワールドトレードセンターのツインタワー両棟崩壊についての論争とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書

 消防士たちが、当時の当局の発表に基づいて、自分たちが何を感知したかの判断を修正した例は、世界貿易センタービル事件対策委員会のインタビューによく見られる。

 ドミニク・デッルビオは、サウスタワーの破壊について次のように語っている。「時限爆破のように見えたが、各階がパンケーキのように重なっていったのだろう」。

 ジェームズ・ドゥルーリーはノースタワーについてこう語っている:

「第二の轟音が聞こえ始めた。それは北側のタワーが倒壊してくる音でした。道行く人々や私も含めて、その轟音はとても大きく、ビルの中で爆弾が爆発しているのだと思った。明らかに、私たちが間違っていたことが後に証明されましたが......」。

 ジョン・コイルは、サウスタワーについての重要な発言を、非常に不確かな形で始めている。

「タワーは......私には爆発しているように見えた。その時点では、誰もがまだ爆破されたと考えていたと思います」。

 これらの目撃者はみな、自分が見て考えたことについての最初の印象(ドーリーとコイルの場合は、同じく現場にいた友人や同僚の最初の印象)を思い起こし、それからその印象から離れようとしている。このように、9.11当時、爆発物解体説がいかに一般的であったか、そして、その後、それがいかに周辺に押しやられたかを示す明確な証拠がある。

 裏づけの問題に戻ると、ゾーダ、タルディオ、レモスによる規則的な下降エネルギー現象の記述を裏付ける証拠資料がさらにある。まず、裏付けとなる目撃証言の例を3つ挙げる。

 近くのチェース・マンハッタン銀行の行員ロス・ミラニッチは、サウスタワーについて次のように語っている。1秒ごとに別の階が8階分ほど爆発し、雲に覆われて見えなくなりました」。

 ウォールストリート・ジャーナル』紙の記者、ジョン・バッシーはサウスタワーについてこう語っている:

「電話を切り、次の記事のために考えをまとめているとき、金属音が聞こえ、会社の窓から外を見上げると、各階から完璧に同期した爆発のようなものが起こり、ガラスや金属が外に向かって噴出しているのが見えた。次から次へと、上から下へと、ほんの一瞬の間に、床が粉々に吹き飛んだ。(268)

 ニューヨーク市消防局のケネス・ロジャーズは、サウスタワーでの経験についてこう語っている:

「...私たちは5個分隊くらいでそこに立っていて、任務を待っていたんですが、南タワーで爆発が起きました。...多くの隊員がその時点で立ち去りました。私はずっと見ていた。次から次へと階が崩壊していった。そして5階ぐらいで爆発が起こったとき、爆弾だと思ったんだ。それは同一速度で進行する計画的なものに思われたからだ。」

 裏付けは、まったく別の形の証拠を考慮すると、さらに見事なものになる。ポール・レモスは、爆発を見たとき、ノースタワー、より具体的にはノースタワーの一角を見ていたと明言している。ノースタワーの一角で爆発が起こったという彼の判断を裏付ける証拠は、ノースタワーが破壊された際に撮影された高画質の映像にある(269)。この映像には、明らかに爆発的と思われる力強く集中的な噴出物がビルから落ちていく様子がはっきりと映っている。これらの噴出物の大きさと速度は測定可能であり、その存在と基本的特性は疑問の余地がない。

 したがって、さまざまな目撃証言の間には、また目撃証拠と他の証拠との間には、高い確証性がある。

 このような目撃証言の集大成に異論を唱える人々の中には、目撃者たちが体験したのは爆発ではないかもしれない、と言う人もいる。死体の落下、エレベーターの衝突、柱の折れ、さらには衝撃波音さえも、すべて別の説明として提案されている。これらの主張は、別の目撃者の発言を詳細に分析することで解決できる。

 その目撃者とは、スー・キーンである。彼女は9.11当時、8年間勤務していた港湾局警察(PAPD)の警官だった。それ以前、彼女は米陸軍に13年間在籍し、爆発への対応訓練を受けた。
 
 以下に示すのは、爆発の6つの特徴であるが、それが記されていたのは元FBIの爆発の専門家であるジェームズ・サーマンが『実際の爆発現場での調査(270)』という著書の中である。 これらの特徴は、スー・キーンが『グラウンド・ゼロの女たち』(271)の著者に語った言葉の抜粋と一致している。これらの供述は、9.11事件から数カ月以内になされたもので、港湾局警察署に提出した手書きの別個の書類によって裏付けられている。

キーン:「数分後、爆弾が爆発するような音がしました。爆発が起こったのはその時です。」
「窓が吹き飛んで...みんな投げ飛ばされた。」 「それぞれの爆発が、私をすくい上げ、投げ飛ばした。」
「信じられないような空気の奔流があり、まさに肺から息を吸い取られた。」
「巨大な風とともに、すべてが私の中から消えていった。その後、風は止み、本当に静かになった。この時点では呼吸はできたが、今度はすべてのものを吸い込んでいた。ほとんど逆気流みたいだった。竜巻のような音だった。」

 以下に挙げるのは、元FBIの爆発物専門家ジェームズ・サーマンがその著書『実践爆弾現場捜査』(270)の中で述べている、爆発に共通する6つの特徴である。これらの特徴は、スー・キーンが『グラウンド・ゼロの女たち』(271)の著者に語った言葉の抜粋と一致している。これらの供述は、9.11事件から数カ月以内になされたもので、港湾局警察署に提出した手書きの別個の書類によって裏付けられている。

1. 音

キーン:「数分後、爆弾が爆発するような音がしました。爆発が起こったのはその時です。」

2. 確かな爆圧の局面

「窓が吹き飛んで...みんな投げ飛ばされた。」 「それぞれの爆発が、私をすくい上げ、投げ飛ばした。」

3. 爆風正圧時の部分真空

「信じられないような空気の奔流があり、まさに肺から息を吸い取られた。」

4. 負の爆風圧の段階

「巨大な風とともに、すべてが私の中から消えていった。その後、風は止み、本当に静かになった。この時点では呼吸はできたが、今度はすべてのものを吸い込んでいた。ほとんど逆気流みたいだった。竜巻のような音だった。」

5.火災または熱効果

「...彼は私をホースの下に放り込んだ。ある意味とても気分が良かった。その時まで皮膚にやけどをしていたことに気づかなかった。火傷の痕はあったけど、火事の痕とは違って、顔も胸も真っ赤だった。

6. 崩壊と榴散弾

「信じられないようなものが体から出てきた。まるで榴散弾のようだった。まだ出ている。」

 この勇敢で明らかに心的外傷を負った人物の手書きのPAPD報告書は、いくつかの重要な点で上記の説明を裏付けており、2003年に公開されたPAPD文書(272)で直接入手できる。その報告書の1ページを以下に引用する。

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 ツインタワーの破壊の原因を究明しようとするとき、どのような合理的な根拠に基づいてスー・キーンの証言を除外できるのであろうか?

 まとめると、タルディオ/ゾーダ、レモス、キーンの目撃証言は、「質」、つまり細部に富んだ証拠の例である。以下では、目撃証拠の「量」の問題を検討する。



 ツインタワーが破壊された時刻付近の爆発について、明示的または暗示的に記述している目撃証言の完全な説明を作成するのは難しい。FBIも、9/11委員会も、国立標準技術研究所も、その数を公表していない。私は、ツインタワーでの爆発に関する目撃者の最も完全な一覧を作成した。156件の目撃証言がある。以下に示す2つのグラフは、この一覧のある側面を要約したものである。

図8-1:職業・機関別の目撃者

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 156人の目撃証言のうち、121人はニューヨーク消防局(FDNY)のものである。港湾局警察(PAPD)の目撃者も14人いる。13人はレポーターで、そのほとんどが大手テレビ局に勤務している。8人は 「その他」として記載されており、たいていはタワーの近辺で働いていた人たちである。

 FDNYとPAPDの構成者は通常 「第一応答者」と呼ばれる。つまり、156人の目撃者のうち135人、つまり全体の87%が第一応答者なのである。なぜなら、これらの人々は普通の人々よりも爆発についてはるかに多くの経験を持っているからである。しかも、彼らの供述は職務の一環として上官に提出されたものであり、供述が収集された状況からも、この目撃証拠は非常に強力なものとなっている。

 また、ほとんどの場合、彼らの証言は直接ビデオテープに収められているため、レポーターも一覧の中で重要な位置を占めている。彼らの声の抑揚や、しばしば身振り手振りを詳細に調べることができる。記者の証言はまた、ほとんどの場合、目撃した出来事の数分後、あるいは数秒後に、ほとんど再考することなく、無意識になされるものであることも重要である。無意識の目撃者の証言は、内的あるいは外的なふるいにかけられる時間がほとんどないため、信憑性が高いと広くみなされている。実際、米国連邦証拠規則では、通常、法廷外で証人が行った陳述は法廷に認めないことになっており、これは伝聞と呼ばれている。しかし、伝聞に対する規則の例外として、「興奮した発言」という例外がある。この例外は、伝聞が「驚くべき出来事や状態に関連する供述であって、その出来事や状態による興奮した混乱状況に供述者がいたときになされたもの」である場合に認められるというものである(Federal Rules Evid. (Fed. Rules Evid. 803(2))。予想されたように、9.11に関しては、記憶に対する歪曲傾向が爆発仮説に不利に働いた。

 次のグラフを論じる前に、爆発の目撃者一覧がどのように作成されたかを説明するのが適切であろう。目撃者は、証言の中で少なくとも次の用語の一つを使っていれば、一覧に含まれている。 「爆発」(または 「爆発する」 に対応する言い換え)、「爆風」、「爆破」(または 「吹き飛ばす」)、「爆弾」(または 「それに類する装置」)、「内破」。また、「その他のCD(current density電流密度)」と呼ばれる分類もあり、これには、これらの用語は使われていないが、ある点では制御解体を強く示唆する事例が含まれている。この方法の要点は、単に爆発報告を定量化できるようにすることではなく、解釈経過における一覧作成者の役割を減らすことにある。目撃者が一覧に含まれるのは、彼らが目撃したものを外部の観察者が爆発と解釈するからではなく、目撃者自身が目撃したものを爆発と解釈するからである。

 さらに、捜査当局には証拠の質を点検するのに役立つ方法がある。目撃者を精査し(名前、職業、信頼性、経験)、欺瞞の動機を調べ、情報源の質を調べ、すべての目撃証言の保管過程を検証し、そしてもちろん、類似したものや類似していない他の証拠による裏付けを確認することができる。今回の事例では、裏付けが非常に大規模であるため、他の検証過程はあまり注目されていない。

 「爆発」の分野が圧倒的に多く、112人の目撃証言がある。しかし、32人の目撃者がいる「爆弾」の分野もきわめて重要である。この一覧で爆弾について話している人のほとんどは消防士であり、彼らが「爆弾」という言葉を使うことから、高層ビル火災で遭遇するような爆発について話しているのではないことは明らかである。

 さて、目撃証拠に基づく解体論には3つの一般的な反論がある。ひとつは、目撃証拠は 「薄弱」 であり、無視できること、もう1つは、実際には爆発的でない事象(エレベーターの落下など)が問題であったにもかかわらず、目撃者が誤って爆発を報告した可能性があることである。三つ目の反論は、唯一まともに受け止められるものである。それは、大火災には多くの自然な爆発形態があり、爆発があったという事実だけでは火薬が使用されたことにはならない、というものである。爆発に関する目撃証言から制御解体仮説に至るのは不当な飛躍である、と反対論者は主張する。

図8-2:使用された用語別の目撃証言

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 典型的な火災に伴う爆発の種類は、さまざまな出版物に詳しく記述されているが、おそらく最も権威があるのは、全米防火協会の『火災・爆発調査の手引き』であろう。そこでは、ツインタワーの火災に伴うと予想される爆発について、4つの型が記述されている。

  1.BLEVE(「沸騰-液体-膨張-蒸気-爆発」、爆発するボイラーと同様)

  2.電気爆発

  3.煙爆発(爆発の逆気流)

  4.燃焼爆発(天然ガス、ジェット燃料の蒸気など)

 目撃証言には、4種類の爆発をすべて否定する3つの特徴がある。つまり、これら4種類の爆発が起こった可能性は十分にあるが、目撃者が知覚したという主な爆発を説明するものではないということである。以下は、説明すべき3つの特徴である。

識別

 もしその爆発が一般的な火災の爆発であったなら、消防士はその爆発を識別し、名前をつけるはずである。しかし、そのような例はほとんどない。それどころか、例えば爆弾に関する言及の多さからもわかるように、消防士たちは明らかに自分たちが遭遇し慣れている爆発とは異なる型の爆発だと感じている。

力強さ

 多くの目撃者は、ツインタワーが爆発で破壊されるのを見ていると思っていた(「見上げるとビルが爆発していた......頂上全体が火山のように落ちた」)。しかし、一般的な4種類の火災関連爆発は、どれもこのようにはならない。NISTによれば、ツインタワーは飛行機が衝突した地点から下は基本的に無傷であった。BLEVE(沸騰-液体-膨張-蒸気-爆発)や燃焼爆発が木造家屋のような構造物を破壊することはあるが、今回問題となっているような頑丈な鉄骨構造物を破壊した例はない。また、このような爆発に適した条件(たとえば、必要な量の天然ガスやジェット燃料)が、劇的な破壊が始まった時点でツインタワーに存在したという証拠もない。

定型化

 上述したように、多くの目撃者が、4つの一般的な爆発型のいずれでも説明できない、規則的で急速なエネルギー的現象がビルの下方で連続して起こったと報告している。これらの定型化された噴出が爆発の結果であるとすれば、それは爆薬による爆発としか考えられない。


目撃証拠は9.11委員会とNISTによって無視・抑圧された。

 以上の考察は、捜査当局が入手可能な目撃証言の概略を示している。最後の要点は、この証拠が9.11委員会とNISTの双方によって無視され、あるいは抑圧されてきたということである。

 585ページに及ぶ9.11委員会報告書には、崩壊時の爆発に関する目撃証言に言及した一文がある。その文脈は、サウスタワーが倒壊した時、ノースタワーの上層階にいた消防士についての議論である。文章は以下の通りである。 「南向きの窓の近くに立っていなかった消防士たちは、サウスタワーが倒壊したことを知る由もなかった。言い換えれば、9.11委員会によれば、消防士の一部、つまり視界が遮られたノースタワーの上層階にいた消防士は、サウスタワーの倒壊を爆弾の爆発と見間違えたということである。ここで意味されているのは、おそらく少数の爆発目撃者が間違えたということである。」

 もちろん、入手可能な目撃証言を注意深く検証すれば、上記のように、爆発目撃者の全員または大半がノースタワーの上層階にいたというのはまったくの誤りであり、視界を遮られた目撃者だけが爆弾が爆発したと思ったというのはまったくの誤りであることがわかるだろう。真実は、目撃者は実にさまざまな場所にいて、その多くがタワーを非常に明確に見ていたということである。

 アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は、目撃証言に対してさらにひどい扱いをした。NISTの目的のひとつは、「航空機の初期衝突後、WTC1とWTC2がなぜ、どのように崩壊したかを明らかにする」ことである(275)。しかし、この報告書の295ページには、ツインタワーで爆発を感じた目撃者についての言及は一つもない。

 NISTはソフト(薄弱な)な証拠ではなく、ハード(確固とした)な証拠を扱っているのだから、これは驚くべきことではないという意見もあるだろう。NISTが扱うのは、柱の大きさ、到達温度、鋼鉄の降伏強度のようなもので、目撃者の証言は扱わない。これは間違っている。真実は、NISTは目撃者に注目し、それを公然と論じることで証明される。

 ツインタワーの調査のごく初期に、NISTは目撃証拠を収集する洗練された方法を採用し、その結果はNIST最終報告書の第7章(「人間活動の再構築」)に見ることができる。電話インタビュー、対面インタビュー、焦点集団討議のすべてが用いられた(276)。例えば、以下の記述に注目してほしい: 「1回平均2時間の225件の対面インタビューによって、9月11日朝のビル内での活動や出来事に関する詳細な生の証言や観察が集められた」(277)。第7章はタワーの破壊に関するものではないが、NISTは他の箇所で、ビルがどのように倒壊したかを理解する上で目撃証拠が重要であることを明確に認めている(278)。しかし、NISTはなぜか、インタビュー対象者だけでなく、文献の中にも、爆発や爆弾に関する目撃証言が一つもない。たとえば、この論文の根拠となった156人の目撃証言は、その一覧を作成するために使われたすべての情報源に近づけたにもかかわらず、すべて見逃している。

 9.11委員会と国立標準技術研究所(NIST)は、明らかにFBIに倣い、標準的な調査の原則に違反している。これが無能の証拠であろうと、意図的な隠蔽の証拠であろうと、私の現在の議論とは無関係である。いずれにせよ、ここまでに行われた公式調査が著しく不十分であり、新たな徹底的調査が不可欠であることは明らかである。


第8章 巻末の注

 255)犯罪捜査における目撃者の重要性は、以下のような出版物で確認されている: チャールズ・レジニ「未解決事件の概念」『FBI Law Enforcement Bulletin』1997年8月号、チャールズ・ウェルフォードとジェームズ・クローニン「殺人事件のクリアランス率を明らかにする」『National Institute of Justice Journal』2000年4月号、ヴィヴィアン・ロード「未解決事件殺人捜査班の導入: ヴィヴィアン・ロード「未解決事件殺人課の設置:困難な課題」『FBI Law Enforcement Bulletin』2005年2月号。社会科学者の間では、目撃証拠の素朴な受け入れに対する攻撃(特に人間の記憶に対する素朴な見方に対する攻撃)が、ハーバード大学のエリザベス・ロフタスによって少し前に先導された。例えば、彼女の『目撃証言』(マサチューセッツ州ケンブリッジ:ハーバード大学出版、1979年)を参照されたい。しかし、ロフタスは目撃者を不要だとは主張していない。彼女は1997年にジェームズ・ドイルと共著した本の中で、「目撃証言の不正確さや陪審員の誤解にもかかわらず、法制度は目撃証言を法的に排除する余裕も無視する余裕もない。時にはそれが唯一の証拠であり、正しいことも多いのである。」 目撃証言: 民事と刑事。Lexis Law Publishing, Charlottesville, 3rd ed., p. 7.

256) NFPA 921: 火災・爆発調査の手引き。NFPA 出版。米国マサチューセッツ州、2004 年。セクション 21.16.

257) 「爆発的証言: 9.11オーラル・ヒストリーにおけるツインタワーについての暴露". 2006年1月26日。http://www.911truth.org/article.php?story=20060118104223192h

258) Graeme MacQueen, "118 Witnesses: The Firefighters' Testimony to Explosions in the Twin Towers.". Journal of 9/11 Studies, 2006, p. 47. オンラインで入手可能:http://www.journalof911studies.com/articles/Article_5_118Witnesses_WorldTradeCenter.pdf

259) 「爆発的証言: 9.11オーラル・ヒストリーにおけるツインタワーについての暴露". 2006年1月26日。オンラインで入手可能:http://www.911truth.org/article.php?story=20060118104223192

260) Graeme MacQueen, "118 Witnesses: the Firefighters' Testimony to Explosions in the Twin Towers.". Journal of 9/11 Studies, 2006, p. 47. オンラインで入手可能:http://www.journalof911studies.com/articles/Article_5_118Witnesses_WorldTradeCenter.pdf

261) バーケットが両塔の崩壊から逃走する様子を映した長くて重要なビデオクリップは、ここで見ることができる: https://www.youtube.com/watch?v=IE7fWV2qUVU

262) http://www.archive.org/details/cnn200109111421-1503

263) https://www.dropbox.com/s/w3n7qgb9u4b0rfs/NIST 14 Matthew Shapoff.mp4?dl=0

264) https://www.youtube.com/watch?v=-npAbNl2ihY. ジャック・ケリーは結局、不名誉にもUSAトゥデイを辞職せざるを得なかった。 http://www.usatoday.com/news/2004-04-22-report- one_x.htm

265) https://www.youtube.com/watch?v=ft1a2kyGYMg

266) ナウデット映画のクリップはオンラインで入手可能: [http://www.youtube.com/watch?v=jODfN8oZWe0.](http://www.youtube.com/watch?v=jODfN8oZWe0)

267) レモスのインタビューはhttps://www.youtube.com/watch?v=vJ6cJ_jGqLo。

268) ブッシーには構造破壊仮説が与えられており、その仮説の中で自分の経験を位置づけているのだが、彼が実際に見たことの記述がその仮説と矛盾していることに気づいていないようである。

269) 9.11のネットワークテレビで放映され、さまざまに拡大・分析された有名なビデオクリップは、https://www.youtube.com/watch?v=fV0m7ZpK57g

270) Taylor & Francis. ボカラトン、2006年。本書はシリーズ「犯罪捜査と法医学捜査の実際」の一部である。

271) Susan Hagen and Mary Caroub, Women at Ground Zero: Stories of Courage and Compassion. Alpha, 2002.

272) PAPDの警官が提出した報告書は、ニューヨーク・タイムズ紙がニューヨーク市を提訴して公開された後、2003年8月に他の資料とともに公開された。Kevin Flynn and Jim Dwyer, "The Port Authority Files: 声;警官たちの9月11日の証言: 詳細は大惨事". ニューヨーク・タイムズ』2003年8月30日。PAPDの報告書全文は2003年にThe Memory Holeによって掲載され、このサイトは2009年にハッキングされたが、文書はオンラインで入手可能である: http://adam.pra.to/public/mir/www.thememoryhole.org/911/pa-transcripts/。

273) これは予想通りである。このように人々が記憶を修正する傾向は、目撃者の記憶を研究している社会科学者たちによって指摘されている。LoftusとDoyle, p.54参照:「記憶の "汚染 "は、目撃者が他の目撃者と話したり、当局に質問されたり、メディアの証言によって起こりうる」。また、同巻(98頁)にはこうある: 「信憑性の高い人物は、他人を容易に操ることができる。彼らは他人を説得し、態度を変え、無数の方法で他人の行動に影響を与えることができる。」

274) 9.11委員会報告書 The 9/11 Commission Report: National Commission of the Terrorist Attacks Upon the United States (New York: W. W. Norton, 2004), p. 306.

275) NIST NCSTAR 1: 世界貿易センタービルの崩壊に関する最終報告書。National Institute of Standards and Technology. Sept. 2005, p. xxix.

276) NIST タワーに関する最終報告書、第 7 章、p. 155 ff.

277) タワーに関するNIST最終報告書、157頁。

278 NISTタワーズ最終報告書、xxxviiおよび143頁。

(掲載画像: "9/11" by slagheap is licensed under CC BY-SA 2.0.)

(Featured Image: "9/11" by slagheap is licensed under CC BY-SA 2.0.)

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モスクワ、反攻作戦中のウクライナ軍犠牲者数について最新情報を発表

<記事原文 寺島先生推薦>
Moscow issues update on estimated Ukrainian casualties during counteroffensive
出典:RT 2023年8月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月5日


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ドネツク地方の前線近くの道路で戦車を運転するウクライナ軍兵士。Anatolii STEPANOV / AFPBB News


ロシア国防省は、ウクライナが6月から7月にかけてロシア軍への反攻を試みた結果、4万3,000人以上の兵士を失ったと推定している。

 国防省は、キエフが6月にロシア軍陣地への攻撃を開始して以来、43,000人以上の兵士を失ったと報告した。

 金曜日(8月4日)に発表された概要によると、死傷数は、ウクライナの兵器が大量に破壊されたことにも反映されている。

 同時期に破壊された重火器は4900両を超え、ドイツ製レオパルド主力戦車25両、フランス製AMX-10RC「装輪戦車」7両、米国製ブラッドレー歩兵戦闘車21両が破壊されたとしている。

 ウクライナの損失には747門の大砲と迫撃砲が含まれ、その中にはアメリカ、ポーランド、フランス、ドイツから供与された数十門も含まれている、と同省は付け加えた。この最新情報は、モスクワによる前線状況に関する定期的な概要報告の一部である。

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 関連記事:ウクライナ反攻を阻む「雑草」―英軍

 キエフの外国の支援者は、ロシアに奪われた領土を取り戻す好機だとマスコミに宣伝された夏の反攻に、戦車を含む装甲車数十台を提供した。2ヵ月後、欧米の政府高官やメディアは、ウクライナがわずかな戦利しか得られず、そのために大きな代償を払ったことを認めた。

 ウクライナの指導部は、欧米の支援国が必要な軍事支援を十分に迅速に送れなかったことが、期待外れの結果につながったと非難している。もっと迅速に武器を供給していれば、ロシア軍が布陣する前にキエフが作戦を開始できたはずだと主張する政府関係者もいる。

 モスクワは、アメリカとその同盟国はウクライナ兵の命など気にしておらず、キエフを「最後のウクライナ人まで」ロシアとの戦いに駆り立てるつもりだったと主張している。ロシア政府は、ウクライナ紛争は、米国が世界の大国として有していた覇権が衰退しつつある現状を守るために始めた、より大きな代理戦争の一部だと考えている。
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ウクライナから地雷を撤去するには757年かかる―ワシントン・ポスト紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
Demining Ukraine will take 757 years-WaPo
出典:RT 2023年7月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月5日



資料写真 © Global Look Press / Nina Liashonok


米国製クラスター弾を使っても、状況を悪化させることにしかならない、との同紙の報道

 ロシアとの紛争により、ウクライナは世界で「最も設置されている地雷が多い国」になってしまった、とワシントン・ポスト紙は日曜日(7月23日)、ウクライナ政府といくつかの非政府の人道的地雷除去組織が調べた数値を引用して報じた。

 ウクライナ領内のほぼ3分の1が、激しい戦闘の影響を受けてきたため、大規模な地雷除去作業必要となるだろう、と同紙は報じ、さらに、6万7千平方マイル(17万3529平方キロメートル)が、不発弾におかされている、というスロバキアを本拠地とする頭脳集団GLOBSECの報告を報じている。この面積は、フロリダ州よりも広く、ウルグアイとほぼ同じだ。

 「ウクライナに設置されている地雷の数は、この30年間でまったく前例のないものです。こんな例はありません」と英国の非政府組織である「地雷助言団(Mines Advisory Group)」のグレッグ・クラウザーがワシントン・ポスト紙に語った。



 関連記事:ウクライナの広大な牧草地が地雷とクラスター弾で覆われているー国連の報告

 国連が出した数値によると、2022年2月から2023年7月のあいだに22人の子どもを含むほぼ300人の市民が、不発弾に関わる事故により、ウクライナで亡くなっている、とワシントン・ポスト紙は報じた。さらに、地雷や不発弾のせいで、同時期に632人の市民が負傷した、とも同紙は報じている。

 紛争の両側が作戦において積極的に地雷を使用している、と同紙は報じた。さらに同紙は、米国がウクライナ政府に供給している155mm砲弾は技術的に子弾が自爆する砲弾であるため一時的な地雷原を作り出すことになり、ウクライナ領土を地雷まみれにすることに貢献している、とも報じた。ウクライナに運ばれた米国製のもうひとつの軍備品は、M21対戦車地雷であり、こちらは自爆しない、とも同紙は報じた。



 関連記事:ロシアは黒海の「地雷危機」を警告

 ウクライナ側に米国製「クラスター弾」を供給するという米国政府の決定は、危険をふやすだけだ、というのも、このクラスター弾は、爆発しそこなった不発弾をまき散らすことで知られているからだ、と同紙は報じた。

 いくつかの推定によれば、500の除去団が取りかかっても、ウクライナじゅうに撒かれた不発弾を全て除去するには757年かかる可能性がある、とワシントン・ポスト紙は報じた。世界銀行の推定によると、これらの作業に必要なのは、次の十年間だけでも、374億ドル(約5兆3千億円)に達する、という。

 米国政府はこれまで、約9500万ドル(約135億円)をかけて、ウクライナでの地雷除去を行っている、と2023年の国務省報告にはある。

 金曜日(7月21日)、ローズマリー・ディカルロ 国連政治平和構築事務次長は、国連安全保障委員会に対して、ウクライナ領内の広大な牧草地が地雷やクラスター弾に覆われてしまっており、このような状況は、「この先何年も、市民に危険を与え続けるでしょう」と警告した。

 今週初め、ロシアのアナトリー・アントノフ駐米大使は、ウクライナを使用済み武器の「埋葬地」にしている、と米国政府を激しく非難した。
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ドンバスに対するウクライナの攻撃により数名が死亡―当局の発表

<記事原文 寺島先生推薦>
Several dead in Ukrainian attack on Donbass – authorities
出典:RT 2023年7月31日
<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年8月5日


写真提供: Telegram / kulemzin_donetsk

この砲撃により、ドンバスのバスや車の火事も発生した、とドンバス当局が発表

 ドネツク市へのウクライナの攻撃により少なくとも3名が亡くなり、10名が負傷した、と停戦管理調整合同センター(JCCC)が月曜日(7月31日)に発表し、近隣の町でもう1名が亡くなったと付け加えた。

 ウクライナ側によるドンバスへの度重なる砲撃を追跡しているJCCCの声明が出されたのは、ロシア連邦内ドネツク人民共和国(DPR)デニス・プシーリン首長代行が、市の中心に位置する2地区全体が砲撃を受けた、と述べたことを受けてのことで、首長代行によると、数名が死亡し、バスが破壊された、とのことだった。さらに同首長代行は、二人が怪我をし、現在治療を受けている、とも付言した。

 このDPR首長代行はさらに、ウクライナ軍はドローン機による攻撃をしかけ、ドネツク州ヤシノバタヤ町の水処理施設を破壊した、とも述べた。

 JCCCによると、ウクライナ軍はさらに、ドネツク市の北にあるホルリウカを砲撃し、さらに1名の市民を殺害した、という。

 ドネツクのアレクセイ・クレムジン市長は、同市の中心地のヴォロシロフスキー地区でも自動車2台が火事になった述べ、砲弾が着弾したのは、結婚届提出場近くだった、とも付け加えた。後に同市長は、この砲撃により建物数軒が被害を受け、電力供給線が遮断された、と語った。



 同市長は、現場で数台の車両が灰となった様子を写し出す写真をネット上にあげたが、その写真には消火活動に当たっている消防士らや割れた窓のある複数の建物も写っていた。

 その日の午前中、JCCCは少なくとも6回、同市をめがけた大砲やミサイルによる攻撃があったと認定したが、その攻撃のほとんどは155m弾や152m弾が使われていた。



 クレムジン市長によると、この攻撃はウクライナ側が、日曜日夕方から月曜日朝にかけて行った72発の砲撃に続くものであり、砲撃の標的は、ドネツクとその周辺地域を狙ったものだった、という。同市長は、これらの攻撃により31歳の男性1名が亡くなり、もう1名が負傷、さらには同地域の建物数軒が被害を受けた、と述べた。

 ドネツクなどドンバス内の都市は、ウクライナからの攻撃に常にさらされており、2014年以来多くの市民が亡くなってきたとされている。2014年というのは、西側諸国が支援する非合法手段による政権転覆工作がウクライナの首都で起こったことを受けて、同地域がウクライナ政権からの分離を主張した年である。 

 3月上旬のJCCCの推定によると、ロシア政府とウクライナ政府の間で紛争が勃発した、2022年2月以降、ウクライナの攻撃によりロシア連邦ドネツク人民共和国で合計4453名の市民が亡くなっている、という。同局の別の推定では、同時期、ロシア連邦内ルガンスク人民共和国では900名以上が亡くなっている、という。
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核戦争は気候変動よりも悪くない – ブリンケン国務長官の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Nuclear war no worse than climate change – Blinken
出典:RT  2023年7月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月5日



2023年7月17日、ワシントンDCの国務省で記者団に話すアントニー・ブリンケン国務長官© AP / Manuel Balce Ceneta


気温上昇が世界に対する最大の「存亡の脅威」であると米国の外交官の長が主張

 アントニー・ブリンケン米国務長官は、核による絶滅の脅威は気候変動の脅威ほど深刻ではないと主張した。ブリンケン氏の批判者らは、米国政府がウクライナに武器を供与することで核戦争の危険を冒していると主張している。

 ブリンケン国務長官は日曜日(7月30日)に放送された「60ミニッツ・オーストラリア」という番組に出演し、核戦争と気候変動のどちらが「人類にとってより大きな脅威」なのかと質問された。

 「どちらかを選ぶというのはできないことだと思いますが…。いま前面に出ていて、世間の懸念の中心となっている事象は確かにありますが、気候問題ほど、私たちすべてにとって存在の危機となっている問題がないことは疑いのない事実です」と同国務長官は答えた。

 さらに同国務長官は、「我々にとっては、気候問題こそが、今の時代、存続の危機となる問題なのです」と話し、さらに、「とはいえ、ロシアによるウクライナ侵攻のような国際秩序にとって深刻な問題が、現在存在しないと言っているわけではありません」とも付言した。

 7月が史上最も暑い月となる見通しであることから、国連は2040年までに石炭使用を世界で皆無にすることを含め、炭素排出削減に向けた「行動の加速」を求めている。この夏の初め、ジョン・ケリー米国大統領気候担当特使は、世界の農業形態を全面的に見直し、農業からの炭素排出を削減することを求めたが、その目的は、「今世紀中旬までに、地球の温暖化が0.5度進む」ことを回避するため、とされた。



 関連記事:ロシアの専門家は、先制核攻撃を行うという主張を集団で非難

 しかし、ウクライナではジョー・バイデン大統領政権がウクライナ軍に対する無制限の支援政策を継続している。米国とNATO同盟国はウクライナに長距離ミサイルを装備しており、現在、ウクライナ側への米国製戦闘機の供給について協議している。これは、そのような兵器はロシアと西側の間の全面戦争の可能性を劇的に高める、とロシア側が何度も警告を繰り返しているにもかかわらず、おこなわれているものだ。

 ロシア当局は今月初め、ウクライナ軍もロシアの原子力発電所を標的にする試みを繰り返しており、ウクライナとその支援諸国は「核テロ」をおこなっていると非難し、警告した。

 米国では、核紛争の差し迫った脅威についての警告は主に共和党の孤立主義派から出ている。元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏とドナルド・トランプ元大統領の2人は、ウクライナ政権に対する米国の支援の停止を最も声高に訴えており、トランプ大統領は4月に、世界が歴史上「最も危険な時期」に直面しているのは、核兵器の存在と米国側の「無能な」指導者たちのせいだ、と述べた。

 トランプ大統領は3月、「この代理戦争が毎日続く中、我々は世界戦争の危険にさらされている」と述べ、この危機を回避するために「米国の政権交代を支持すべきだ」と主張した。
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ロシアとウクライナの紛争は「膠着状態にある」 – 国防総省当局者

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia-Ukraine conflict ‘at a stalemate’ – Pentagon official
出典:RT  2023年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月5日



2023年7月4日、ロシア、ドネツク地方、バフムート/アルチョモフスク近くの前線の塹壕に座るウクライナ兵士。© AP


西側兵器はウクライナ側に決定的な優位性を与えるには十分ではない、と米国防情報局のジョン・キルヒホーファー首席補佐官が警告

 米国防情報局のジョン・キルヒホーファー首席補佐官は木曜日(7月20日)、ワシントンでの会見で、ウクライナでの戦闘は「やや膠着状態」に達していると語った。ウクライナの可能性についての同氏の評価は、他のバイデン政権当局者の評価に比べてかなり暗い。

 ブルームバーグ紙の報道によると、キルヒホーファー補佐官は、「確かに我々はやや膠着状態にある、と感じています。ロシアの指導部の考えのひとつには、自国が西側諸国の支援を上回ることができるということです」と述べた、という。

 ウクライナ軍は6月初旬以来、ヘルソンからドネツクに至るロシアの防衛に対する反撃で泥沼にはまり、ロシア軍に対して目立った領土獲得を達成できていない。ロシア国防省の最新の統計によると、この攻撃によりウクライナは兵力2万6000名と軍事兵器類3000点以上を失った、という。

 ウクライナのゼレンスキー大統領とその政権の高官らは、西側諸国が長距離ミサイルや戦闘機など、攻撃の成功を保証するのに十分な兵器を提供できなかったことを公に非難している。



 関連記事:ウクライナの武器の20%がわずか2週間で破壊 – ニューヨーク・タイムズ紙

 しかし、キルヒホーファー補佐官は、いかなる兵器体系もウクライナ側の運命を変えることはできない、と警告した。米国が供給したHIMARSロケット砲やクラスター爆弾も、英国の巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」も、これまでのところ戦場の状況をウクライナに有利に傾けていない、と同補佐官は指摘した。

 「残念ながら、これらはどれも、ウクライナ人が求めている突破を可能にする切り札にはなっていません」と同報道官は語った。

 最近の報道によると、ウクライナ政権の後援者である米国と欧州諸国がウクライナの反撃の速度に不満を抱いていることが示唆されているが、ワシントン当局者は公式には、すべて順調だと主張している。マーク・ミリー統合参謀本部議長は先月、ウクライナ軍は「着実に前進」しているが、その前進は遅く、 「非常に血なまぐさい」ものになるだろうと述べた。

 ホワイトハウス国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は先月、CNNに対し、ウクライナ人の多大な死傷者は「予想される」が、ゼレンスキー大統領は「米国だけでなく他の50カ国から必要な支援」を受け続けるだろう、と述べた。

 ジョー・バイデン米国大統領とアントニー・ブリンケン国務長官は、ウクライナがロシアと和平交渉に入るという考えを繰り返し拒否してきた。両者とも、いつ交渉に臨むかはウクライナが決めると主張しているが、ウクライナ側の反撃が失敗し続けた場合にこの立場が変わるかどうかについてはどちらも触れていない。

 ロシアは、西側の武器供与は最終的な結果を変えることなく、紛争を長引かせるだけだ、と主張している。
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