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国防総省とCIAがCovid-19の世界的流行の裏にいたのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>

Was the Pentagon and CIA Behind the COVID-19 Pandemic?

筆者:ジェレミー・クズマロフ(Jeremy Kuzmarov)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年2月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月11日



 生物テロの専門家と内部告発者によると、CIAは非倫理的な機能獲得研究の支援に密かに協力しており、その結果COVID-19ウイルスが製造され、そのウイルスが武漢ウイルス研究所から漏洩したとのことだ。

 アンドリューG.ハフ博士は、イラク戦争に参戦体験のある退役軍人であり、ミネソタ大学で感染症の疫学者としてミネソタ大学で博士号を取得している。この博士が2014年9月に、エコヘルス財団の事業の活動に加わった。この財団は、米連邦政府から1億1800万ドルを超える補助金を得ていたNGOだ。この財団の使命は、感染症から人々を守ることだった。

 ハフ博士の新著『武漢についての真実:いかにして私が歴史上最大の嘘を暴いたか(New York: Skyhorse Press, 2022)』において、同博士が明らかにしたのは、エコヘルス財団の上司であるピーター・ダスザック博士がCIAと協働していた事実と、ダスザック博士が2012年の初旬に、COVID-19という病気を引き起こすSARS-CoV-2という名で知られている生物兵器の開発を監督していたという事実だった。

 このウイルスの開発は、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)と国立衛生研究所(NIH)が資金援助していた機能獲得調査を通して行われた。(1)

 ハフ博士によると、ダスザック博士と1984年から2022年12月に辞職するまで国立アレルギー・感染研究所所長をつとめていたアンソニー・ファウチ博士は、他の同僚たちともに「医療・軍事産業複合体に取り込まれたエセ科学マフィアのような振る舞いを見せていた」とのことだった。(2)

 これらの人々はCOVID-19の世界的流行を操作しただけではなく、彼らの主張を支持しない人々を、「非難すべき犯罪者的な陰謀論者」である、ともしていた。ハフ博士自身も、FBIによる監視の対象とされ、死の淵に追い込まれるような迫害も受けた。


恐ろしいウイルス-そしてそのウイルスに対抗するとされているワクチンを操作

 エコヘルス財団で働いていた際にハフ博士が最初に取り組んだ仕事は、NIHが提唱した「コウモリのコロナウイルスの出現の危険の理解」という論文を査読することだった。この論文の筆者はダスザック博士と武漢疫学研究所(WIV)の石正麗および他の科学者たちだった。

 この論文は「機能獲得調査の祖父」から支援を得ていた。その祖父とはノースキャロライナ州のギリング公共医療大学の疫学者であるラルフ・バリック博士だ。そしてこの大学はNIHが資金を出している団体のなかで上から3番目の資金提供先だった。(ハフ博士によると、「何十年もの間、ファウチは[この大学の]事実上のドンだった」という)。(3)

 この論文が提案していたのは、コロナウイルスのヒトへの感染を広めるコウモリと接触した可能性のある中国の地方部に住む人々を研究することだった。そして、このウイルスを作る目的が、コロナウイルスの感染をよりよい形で予測することであることだった点については隠蔽されていた。さらにこの論文の目的は、新たなコロナウイルスの菌株の開発であり、目指された実験は、コウモリのコロナウイルスが人間の細胞や研究室内の動物の細胞に感染する能力を強化するためのものだった。そしてそのために遺伝子操作の技術が利用された。(4)

 この研究は、機能獲得研究の定義に則ったものであり、その目的は、「意図的に感染病原体の発病性、感染性、有毒性、生存性、伝染力を強化すること」だった。ハフ博士はこの状況の定義をより端的にこう表現している。 すなわち、「感染病原体をより危険なものにすること」だと。(5)

 2014年10月17日、オバマ政権は、インフルエンザや中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する機能獲得研究の一時停止を宣告した。それは、米国疾病予防センター(CDC)で起こった事故を受けてのことだった。

 これに応じてファウチ博士は中国の武漢研究所に機能獲得研究を外部委託し、その武漢研究所に米国政府からの資金提供を続けることを認可した。機能獲得研究の一時停止措置は、2017年12月にトランプ政権により取りやめられ、ファウチ博士は国立アレルギー・感染研究所を通じて3700万ドルを武漢疫学研究所に送り、コウモリのコロナウイルスの研究を継続させた。

 コウモリ由来のウイルスを人間の細胞に感染させる研究により、ハフ博士が考えるようになったのは、自分の雇い主が不道徳な機能獲得研究だけではなく生物兵器の開発に関わっているという事実だった。そしてその最終結果が、「SARS-CoV-2ウイルス」の創造であり、このウイルスが、「COVID-19という名で知られる病気の原因となった」という事実だ。(6)

 ハフ博士によると、SARS-CoV-2という感染病原体と、COVID-19のmRNAワクチン(ハフ博士は、このワクチンは 遺伝子操作治療であると捉えている)は、同じ研究計画の下でともに開発されたという。(7)

 ハフ博士の記載によれば、エコヘルス財団は新たに創作されたSARS-CoV-2のウイルス株に対する試用的なワクチンや一般的な治療や具体的な治療の検査に関するバリック博士の研究を利用していた。この研究はCOVID-19が世間に知られるようになるよりずっと前に、どんな対策がヒト化マウスの病気を弱化させるのに効果的かを見極める研究だった(8)


エコヘルス財団からの反論

 「武漢に関する真実」が出版されるや、エコヘルス財団は声明を出し、「アンドリュー・ハフ氏は持論を展開しているだけで、事実に基づいたものではない」としていた。エコヘルス財団による武漢に関する事実は以下の通りだ。:

1) ハフ氏がエコヘルス財団に雇われていたのは2014年から2016年までの間だ。しかし、自身が武漢疫学研究所で働いていた、あるいは協働していたとハフ氏が主張していた時期は真実ではない。同氏が課されていたのは、まったく異なる研究であり、コンピューターをもとにした計算演習を用いて、出現した病気を見定める研究だった。

2) ハフ氏の主張によれば、エコヘルス財団は機能獲得研究に取り組み、SARS-CoV-2を創作したとあるが、これは真実ではない。

3) ハフ氏は、エコヘルス財団と武漢疫学研究所の間の協力体制について多くの推測や主張を行っている。同氏には武漢疫学研究所での勤務体験がないのだから、両団体間の提携に関する同氏のこのような根拠のない断言は信頼できないものだ。

4) ハフ氏の主張では、SARS-CoV-2 ウイルスは武漢疫学研究所からの漏洩で発生したとされていたが、それは同研究所でコウモリ由来のコロナウイルスの研究が行われていたからで、さらにこの研究は米国の諜報機関からの情報収集の努力も関係していたとしているが、これは真実ではない。

 エコヘルス財団のこの声明は、当時NIHの所長だったフランシス・コリンズ博士の発言にも触れていた。同博士は2021年12月にこう語っていた。「公表された遺伝子情報などの文書の分析からわかることは、NIHの資金提供のもと研究されていた自然発生したコウモリ由来のコロナウイルスは、SARS-CoV-2ウイルスとは遺伝子的にかなりちがっていて、このウイルスがCOVID-19の世界的流行を引き起こしたという可能性は考えられないことがわかる。この結論と相容れない主張は、間違いであると論証できる」と。

 エコヘルス財団からの声明はさらに以下のように続いている。「こんにちまでに示されている科学的な根拠からすれば、このウイルスが自然でのウイルスの変異の結果であると考えられ、コウモリから直接あるいは特定されていない動物を介して人間に感染したと考えられる。歴史的に見て、多くのウイルスは動物から発生して、流行や世界的流行をひきおこしている。例えば、インフルエンザ、エボラ熱、ジカ熱、西ナイル熱、SARSなどがそうだ。重要なことは、綿密な調査のあとで、米国の諜報機関の関係者たちが同意した事実は、このウイルスは生物兵器として開発されたものではないということであり、ほとんどの関係者たちは、SARS-CoV-2ウイルスが遺伝子操作されたものではないようであると考えている。」


より大きな勢力の息がかかっていた?

 この後者の声明における重要な点は、「ほとんどの」という用語を使っていたことだ。つまり、それ以外の可能性を考えていた人もいたことを示唆させるものだ。1ページにまとめられた要旨によると、バイデン政権によりCOVID-19の起源を調べるよう依頼された諜報機関が明らかにした内容によれば、 SARS-CoV-2 (COVID-19を引き起こすウイルス)が研究施設から発生した可能性を否定していない。

 中国の当局者が武漢海鮮市場内や野生にいた動物たちからとった標本からわかった重大な事実は、SARS-CoV-2ウイルスを抱えていた野生動物を一匹もみつけられなかったことだ。武漢は、今回の世界的流行を引き起こしたSARS関連のコロナウイルスを運搬する野生のコウモリがすむ一番近い生息地から1000マイル離れている。

 NIHから質問をうけた疫学者の小集団が2022年12月にNIHの上層部にSARS-CoV-2 ウイルスは研究施設で生じた可能性があり、さらにこのウイルスは「異常な特徴を有しており、米国の疫学者たちが、NIHの支援のもと何年もの間実験として使用してきたウイルスの特徴を示している」と述べていた。

 これらの異常な特徴としてあげられるものには、8種類のアミノ酸の配列が、ヒトの気道に並んでいる細胞内で見つかるものと同じである点があることを、コロンビア大学のジェフリー・サックスおよびネイル・ハリソン両教授が指摘しており、このウイルスが研究室で人間の手により遺伝子操作されたものであることを示唆している。

 怪しいことは、ハフ博士が発見したのは、あるものの手によりNIHの論文が書き換えられた後、2014年4月15日に提出された事実があったことだ。さらに同博士が目にしたのは、USAIDの職員や米国大使館職員や国務省の職員たちがこの研究に大きく干渉していた事実だ。(9)

 この研究の下請けを行っていた主要会社のメタバイオタ社の所有社の中に、ローズメント・セネカ社があるが、この会社は投機会社であり、ハンター・バイデンとCIAの投機会社であるインクテル(In-Q-Tel)社が、このローズメント・セネカ社の所有者のひとりとなっていた。このインクテル社は国家安全保障に関わる技術を作る会社に投資している企業だ。(10)

 ハフ博士の結論によると、エコヘルス財団は海外の研究施設や人員たちの情報を収集する事業に携わっており、一方ではコロナウイルスの開発に関わってきたとのことだった。ダスザック博士は、ハフ博士に、CIAが自分の所に手を伸ばし、CIAが「私たちが勤務している場所やともに研究に関わっている人々や私たちが収集している数値に」関心を示しているとさえ語っていた。(11)

 過去にCIAはメリーランド州のフォート・デトリックにある米軍の秘密施設で生物兵器としての恐ろしいウイルスの培養に携わっていたことがあり、その歴史が繰り返されていたようである。


世界的クーデターとしてのCOVID

 以下は、ミシェル・チョスフドスキーが、『世界規模のコロナ危機:人類に対する世界的クーデター:文明社会の破壊と経済不況の操作( (Montreal, Canada: Global Research Publishers, 2022)』という新著内で展開している論説である。

 オタワ大学の経済学者であるチョスフドスキーは、グローバル化についての研究センター(Center for Research on Globalization :CRG)所長をつとめており、このセンターはグローバル・リサーチというウエブサイトを展開しているが、このサイトは重要で斬新な記事を出し、COVID-19に関する公式説明に異を唱えている。

 チョスフドスキーによると、COVID-19の世界的流行は億万長者階級による事実上のクーデターであり、そのせいで世界規模での混乱状況が巻き起こされ、正常な判断力が阻害され、市民の自由が医学的に見て必要のないロックダウン措置により阻害され、社会的距離の確保やマスク着用やワクチンパスポートなどの措置がとられたという。

 チョスフドスキーは以下のように記載している。「このコロナウイルスが利用されて、強力な金融勢力や腐敗した政治家たちに言い訳と正当性を与えることになったのだ。そのおかげで、世界全体が大規模な失業や倒産、極貧、絶望に落とし込まれたのだ…各国の経済が完全な混乱状態に追い込まれ、戒厳令が宣告されることも生じ、愛と生命のすべてが禁じられたのだ。」

 チョスフドスキーによれば、この仕組まれた恐怖作戦から想起されることは、海外への不当な軍事介入の際に支配者層が弄する手口と非常に似通っているということだ。

 戦争反対者に対する対応と同様に、ロックダウン措置に反対する人々は、村八分扱いを受け、仕事を追われ、ソーシャルメディア上から排除され、精神病患者であると決めつけられた。

 フランスでは医師であり引退した大学教授であるジャン-ベルナルド・フォルティラン氏は、ワクチンに反対したために逮捕され、刑務所独房やユゼフにある精神病院に装置された。
また、メイン州では、メリル・ナス医師は40年間保持していた医師免許を虚偽の理由で剥奪されたことに対して異議申し立てを行って州の医療委員会での審理を許されたが、その前に心理検査を受けなくてはならなかった。(13)

 チョスフドスキーによると、しっかりと文書化された証拠から、mRNAワクチンはCOVID-19の流行を抑えることはないことがわかっているとのことだ。そのことは、2022年8月と9月に68カ国と米国内の2947郡を対象にしたCOVID-19に関するハーバード大学の論文が示している。その論文によると、ワクチン接種率が高い国や郡が、100万人あたりのCOVID-19の新規感染者数において最も高い数値を示しているという。(14)

 mRNAワクチンが致死率や罹患率を向上させていることを詳細に示すほかの研究も複数あり、その研究によれば10代の人々の間に見られる過剰死が最も高いことを示している。欧州の致死率追跡調査機関の報告によると、ワクチン接種開始後に14歳以下の子どもたちの死亡件数が驚くほど増加しているとのことだ。(調査会社である)EuroMOMOが示した数値によると、欧州の子どもの過剰死亡件数が2021年に554%急上昇しているが、これは欧州医薬品庁が子ども向けのファイザーのCOVID-19ワクチンを承認したあとのことだ。(15)

 もっと安価で効果的なCOVID-19の治療法はある。それはヒドロキシクロロキンを使った治療法だが、この薬品はファウチ博士が決して広く普及させないよう手を打っていた。

 2020年7月、マーカス・ゼルボス博士は、ヘンリーフォード医療病院の疫学部長で感染病の認定専門医であるが、同博士が行った研究によりわかったことは、ヒドロキシクロロキンを処方された入院後24時間以内のCOVID-19患者たちが死亡する危険度が半分に減じたという事実だった。(16)

 さらにナス博士はイベルメクチンの効用についても指摘している。これは特許が切れた薬品で、巨大製薬業界が利益を得られない薬品だ。ファウチ博士はこのイベルメクチンを「馬用の薬」と評していた。ただしこの薬を開発した2名の科学者である、ウイリアムC.・キャンプベル氏と大村智氏は2015年にノーベル医学賞を受賞している。受賞理由は、寄生性線虫が引き起こす感染症の治療薬を開発したことであった。(17)


恐怖を煽る作戦と嘘

 米国の科学者界が行った欺瞞が明らかになっている事実は、チョスフドスキーによると、ファイザー社が出した秘密の報告に詳しく書かれているのだが、ファイザー社は以前「不正売買」のかどで有罪になったことがある。また同社は2020年12月から2021年2月の間に、ワクチン接種により1200件以上の死亡件数があったという報告を受けていたとされている。さらに1万件以上の「副反応」の報告があり、その中には270名の妊婦における23件の流産と2000件以上の心機能障害が発生したとの報告もあった。

 チョスフドスキーによると、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査を使った欺瞞が各国政府により行われたことには、その検査により出されたまちがった数値を利用して、社会を抑圧するようなやり過ぎの政策をとることが正当化されるという視点を生み出そうという魂胆があったとのことだ。

 RT-PCR検査を使えば、偽陽性がたくさん生み出される。というのも、この検査では核酸の小さなかけらでさえ検出できるようになっているからだ。さらにこの核酸がCOVID-19のウイルス由来でない、あるいは別の特定のウイルス由来のものでも検出されてしまうことを、キャリー・マリス博士が指摘している。同博士はPCR検査の技術の発明者であり、この検査が信頼できないことについては同博士が2019年8月に亡くなってしまう前から指摘していた。

 疾病管理予防センター(CDC)の報告によると、COVID-19が死因とされた死亡者のうち94%は、併存疾患を持っていたか、本当の死因は別にあった人々であったという。そして、COVID-19だけが死因となっていた死亡例はたったの6%にすぎなかったという。

 チョスフドスキーによると、CDCが 出している「死亡届と死産に関する検死官と監察医のための指南書」に従っていれば、COVID-19による志望者数は、実際に当局が報告した総数から90.2%減じていただろうとのことだった。(18)

 2020年3月11日、世界保健機関(WHO)が公式に世界規模での流行を宣言した際、中国以外のCOVID-19の感染事例は4万4279件で、死者数は1440件だった。

 恐怖を煽るという手口には前例がある。それは、2009年から2010年にかけて行われた「豚インフル」を使った恐怖作戦だ。この作戦は、「今世紀最大の医療醜聞だ」と、当時欧州理事会の医療部長をつとめていたドイツのヴォルフガング・ヴォダルグ氏は述べていた。欧州では当時各国政府により何十億ものワクチンが注文されたが、無駄となり廃棄されていた。

 現在ヴォダルグ氏は、元ファイザー社の副社長マイケル・イードン氏と連携して、COVID-19ワクチンに反対する取り組みに参加している。両者は、このワクチン接種は、適切な検査を経ずに導入されたもので、犯罪的な怠慢行為であると見ている。(19)

 各国の政府を動かしていた主要勢力には、ロックフェラーやソロス、フォード、ゲイツ財団などの企業財団がいた。(20)

 これらの財団の目的は、a) 自分たちが投資している製薬業者に大きな利益をもたらすこと、 b) 世界政府やデジタルを利用した圧政のもとでの権威的な政治体制をより堅固にすること、 c) 世界経済フォーラム(WEF)が推奨しているグレート・リセットを前進させることであり、そしてそのグレート・リセットの目的は、世界経済を再構築し、一部の独占企業の利益のためにCOVID前に繁栄していた巨大経済分野を効果的に封鎖し、特定の昔からある諸企業を倒産に追い込むことだった。(21)


これは戦争であって、医療対策ではない—いつもの連中の腐敗と嘘

 かつて製薬業者の重役をつとめていたサーシャ・ラティポワ氏が暴露した内容によると、国防総省は当初からCOVID-19作戦を取り仕切っていて、怪しげな契約を結び、巨大製薬業界が責任を追求されないよう盾の役割を果たしていた。

 製薬業者はオバマ政権がこれまでの規制を変えることにより利益を得ていて、非倫理的な人体実験を実行し、適切な検査や規制を経ていないワクチンを導入させていた。ラティポワ氏は、このワクチンを生物兵器だと捉えており、「体内爆弾のような働きがあり、接種者の細胞を自壊させる原因となる」とも語っていた。

 ラティポワ氏の説明によると、米国国家安全保障会議はCOVID-19に関わる政策に責任があるという。この会議は国防と諜報活動を代表する組織であり、医療を司る組織ではない。米国保健福祉省は、情報を取り扱うだけで、政策を決定する機関にはなっておらず、ラティポワ氏の結論は、これまでの米国政府によるCOVID-19に対する対応は、戦時対応であって、医療的な対策ではなく、いわば意図的に国民を欺瞞してきたというものだった。



ラティポワ氏が入手した文書の一例 [情報源: substackcdn.com]

 この計画が早くも2012年に開始されていたことは、「世界的流行関連事業」ということばから裏付けられる。ラティポワ氏は、このことばを、連邦政府機関の10組織の長が関わった公民の提携関係を表すものとして使用していた。これらの指導者間での秘密会議が持たれ、世界的流行への対策や、この会議の討議内容や計画が極秘扱いで守られる方法について話し合われてきた。ラティポワ氏が疑問を呈したのは、医療事象とされている件に関する話し合いがなぜ人々の目に届かないようにされていたかについてだった。

 ラティポワ氏によると、製薬業界や「投資業界」は、国防総省や軍事諜報機関の指揮下に置かれているという。同紙はまた「ベンチャーファンド(証券投資法人)からの支援であるように見せかけて、実際の投資元はCIAである」と語っている。


政府が事前に知っていたと思われるさらなる推測

 米国国防総省は2019年11月に「COVID-19研究」という名目でラビリンス・グローバル・ヘルス社と契約を結んでいるが、その事実からも政府がこの新型コロナウイルスについて事前に知っていた疑惑が生じている。

 この契約は、「ウクライナにおける生物的脅威削減計画」という、より上位の計画の一部であり、このことから示唆されることは、米国政府が、2019年12月に中国の武漢で感染が広がる以前に、少なくともこのウイルスの存在に気づいていたという事実だ。あるいはアンドリュー・G.ハフ博士の指摘の通り、米国政府は研究室における機能獲得研究に手を貸していた可能性もある。

 そうでなければ、米国政府が、2020年2月にWHOが公式に「COVID-19」という名称を定める3ヶ月前から、この新型コロナウイルスの病気の名を知っていたとは考えられない。さらにこの事実から説明がつくであろうことは、なぜモデルナ社とファウチ配下のNIAIDが2019年12月上旬の時点で、コロナウイルスのmRNAワクチンの候補になるワクチンについて内密に同意していた理由についてだ。このワクチンはモデルナ社とファウチ配下のNIAIDが共同開発し、共同所有していたものだった。


巧みな喧伝努力

 生物兵器対策とワクチン工学の専門家であるロバート・W.マローン博士によると、ゲイツ財団はモデルナ社のmRNACOVID-19注射の通常実施権(発明の実施を独占するものではなく、単にその特許発明を実施することができる権利)を所有していて、そのワクチンが使用されれば利益を得ることになるゲイツ財団は3億1900万ドルを投じてCOVID-19に関する大手報道機関による公式見解を抑えていたという。

 米国保健福祉省と疾病管理予防センター(CDC)は10億ドル以上を投じて、報道機関の見解を抑制していた。(22)

 深夜番組に出演しているお笑い芸人でさえ、この喧伝作戦にかり出されてきた。ジミー・キンメルはABCの番組で、ワクチン未接種の人々がICU(集中治療室)の病床を利用しないように呼びかけていた。(23) 2021年、フェイスブックのある内部告発者が明らかにした内容によると、フェイスブックはワクチン関連の投稿に検閲をかけていたという。検閲の基準は秘密の「ワクチン(接種)躊躇」アルゴリズムである。このアルゴリズム(演算方法)を使って、その投稿内容(たとえそれが完全に正しい情報であったとしても)が、フェイスブック閲覧者に「ワクチン(接種)躊躇」を誘発する可能性があるかのかどうか、あるいはどの程度までそう可能性があるのかを決定していたという。(24)

 マローン博士の考えでは、英国の諜報機関が同博士のようにウィキペディアに記載されているCOVID-19に関する公式説明に疑問の声を発している医療専門家を誹謗中傷する取り組みに関わっていたという。さらに、「ファイブ・アイズ」スパイ同盟国(豪、加、NZ、英、米)がCOVID-19危機中に利用されて、この5カ国同士で相互に他国民に対する喧伝活動ができるよう仕向けられていたという。各国の諜報機関が自国民に喧伝工作をすることはできないこととされているからだ。(25)

 現在の巧みな喧伝努力や抑圧的な政治風潮は、第一次世界大戦時を彷彿とさせるものだ。当時ウィルソン政権は広報委員会 (CPI) という組織を立ち上げ、当時の欧州に米国が介入する世論を広めようとしていた。そして異論を唱える反戦論者たちは、監視され、悪者扱いされ、投獄された。(26)

 著書『我が国の政府が私についた嘘』において、マローン博士が強調していたのは、「キャンセル文化」が検閲を誘発しているという点だった。さらに、人種間の差別に対する高すぎる配慮や認知的不協和が蔓延し、人々が自分たちの固定観念とは食い違う観点を受け入れることに問題が生じたり、不都合な真実を口にしようとする人々を排除しようとする時代風潮もある。

 このような異論を唱える人々は、現代版魔女狩りにさらされ、科学的知識や医療知識が展開できなくなるよう脅され、罪深い支配者層が、勝手気ままに統治する自由を得、極悪非道な社会実験を行い、いま私たちが目撃しているように人間の生活を変えてしまったのだ。


お雇い科学

 マローン博士やミシェル・チョスフドスキー博士による分析を裏付けている「お雇い科学」という新しい文書が、(ニューヨークの)WBAIラジオの司会者であるゲリー・ナル氏により書かれている。この文書は、米国の科学界の腐敗ぶりを明らかにしている。

 ナル氏は、ハフ博士の見解と共鳴して、機能獲得研究を支援していたファウチ博士や同博士の同僚たちは、「母なる自然をもてあそんでいる」と主張している。それは具体的には、超強力なウイルスを作り出し、ファイザー社のような巨大製薬業社をワクチン開発者として英雄のように登場させ、自分たちに巨額の利益が入る手口のことを指している。

 ただしCOVID-19は、季節性インフルエンザとそんなに変わらない病気なので、病院関係者たちは数値を操作して、大規模な流行が発生しているという印象づけを行うことで、人々にワクチンの必要性を実感させていたのだ。末期腎疾患や心不全などの末期的症状を持つ死の淵に瀕している患者たちが、死因がCOVIDである人々の中に加えられ、死者数が水増しされていた。(27)

 それと時を一にしてCOVID-19患者たちが治療をされないまま家に帰される状況も生じていたが、その理由は、ワクチンへの信頼からだった。しかしそのワクチンは、報告されない副反応を生み出すものだった。例えば、心筋炎や血栓や不妊症や心臓麻痺が若い世代で発生している。

 ナル氏によると、ファウチ博士は1980年代のHIV-AIDS の世界的流行時の手法に則っていたという。当時ファウチ博士の手により恐怖作戦が展開されていて、それに伴いAZTのような未検査の薬品が導入されたのだ。その薬品のせいで何万もの健康な人々の命が奪われることになったのだ。

 支配的な説明に異論を唱えていた科学者たちは、ファウチ指揮下のNIHから資金援助されなくなり、「医療界の赤狩り」の出現により軽視された。この結果我々の社会が、企業界による独裁が闊歩する社会になり下がってしまったのだ。

 このような状況を乗り越える唯一の方法は、コロナによる圧政に抗う世界規模の運動を打ち立てることしかない。そして機能獲得研究を不法行為とし、科学の整合性を再構築し、社会主義に移行することで、真の民主主義を実現することだ。


引用文献:

1. アンドリュー・G.ハフ、『武漢についての真実:私が史上最大の嘘を明らかにした手法』(New York: Skyhorse Publishing, 2022)、190頁
2. ハフ、『武漢についての真実』、191頁
3. ハフ、『武漢についての真実』、137頁
4. ハフ、『武漢についての真実』、177頁; フレッド・グテル『ファウチ博士が危険なコロナウイルスの研究を行っていた問題の多い武漢研究所に米ドルを送り込んでいた』、Newsweek、2020年4月28日。ヒトに感染する前に、未知のウイルスを特定することや「ヒトへの感染がわかる前にウイルスを検出する」ために、石正麗が主張していたのは、「研究者たちが早期に警告を発することができる体制を見つけ出せればいいと考えている」ということだった。コロンビア大学のジェフリー・サックス教授とネイル・ハリソン教授はこう指摘している。「[武漢で]行われていた研究の本当の目的は不明のままである。具体的には、自然からの全配列のウイルス収集や、それらのウイルスの遺伝子配列の決定や操作が含まれる」と。 シャロン・ラーナー記者著「ジェフリー・サックスが提示したCOVID-19の研究施設由来説」インターセプト紙、2022年5月19日。
5. ハフ、『武漢についての真実』、94頁。 ラドガーズ大学の感染症の専門家であるリチャード・エブライト博士は、この件に関するニューズ・ウィーク誌で、他の多くの科学者とともに専門家として取り上げられていた。同博士が機能獲得研究に明確に反対している理由は、この研究が、研究室からの偶発的な漏洩により世界的流行を作り出してしまう危険を有しているからだとしていた。しかしファウチ博士は「これらのウイルスの分子におけるアキレス腱を見極めることができれば、科学者たちが新しい抗ウイルス薬剤標的を特定できる。この薬剤標的があれば、ウイルスに感染すれば危険な状態に置かれる人々への感染を防いだり、感染者たちによりよい治療を行うことができるだろう」という考えを示し、さらに「何十年もの体験からわかることは、生物医療研究から得られる情報を適切な科学者たちや医療当局者たちに広めることで、適切な治療法を生み出す重要な機会になるだろうし、最終的には公共医療を守ることにもなる」とも述べた。
6. ハフ、『武漢についての真実』、95頁、178頁、179頁; クリスチーナ・リン著『なぜ米国はコウモリのウイルス研究を武漢に外部委託したのか?』2020年4月22日 ↑
7. ハフ、『武漢についての真実』、178頁、185頁。 遺伝子治療という技術は、医師が誰かの遺伝子に手を加え、病気に対する治療の助けにする技術だ。
8. ハフ、『武漢についての真実』、182頁、185頁 ↑
9. ハフ、『武漢についての真実』、183頁. ハフ博士の考えでは、エコヘルス財団は非正規の金融取引に関わっていて、米国政府からの助成金、とくにタイムカードの不正に関わっていたとのことだ。同博士は、公的機関と民間寄付金の間における契約や物質的支援に関して二重受け取り不正が行われていたと見ている。 (例えばスコル財団、グーグル財団、ロックフェラー財団、ウェルカムトラスト財団などだ)。
10. ハフ、『武漢についての真実』、183頁
11. ハフ、『武漢についての真実』、142頁
12. ハフ、『武漢についての真実』、187頁
13. 後半の件に関しては、ロバート・マローン博士著『政府が私についた嘘』の70頁、「命を救う治療法を推進し、治療を行った、真実を求める兵士についての異常な物語」も参照。さらに『よりよい未来が到来しつつある』 (New York: Skyhorse, 2022)の第3章も参照のこと。ナス博士はCovertAction Information 紀要[CovertAction誌の前身]への論文寄稿者であり、その論文においてローデシア政府が内戦時に現ジンバブエ在住の黒人たちに対して生物兵器を使用したことを記していた。
14. マローン、『政府が私についた嘘』、116頁 ↑
15. ロバート・ケネディ.Jrが前書きを書いているエド・ダウド著『未知の原因:2021年と2022年に起こった突然死の流行』(New York: Skyhorse, 2023)も参照。この著書の指摘によると、2021年の第3四半期と第4四半期に、大規模なワクチン接種計画が行われたのだが、その際に労働年齢層(18歳–64歳)の志望者数が世界的流行前と比べて4割増しになっているという。そしてその主要な死因はCOVIDではないとのことだ。
16. ハフ、『武漢についての真実』、152頁。マローン、『政府が私についた嘘』の70頁、「命を救う治療法を推進し、治療を行った、真実を求める兵士についての異常な物語」も参照
17. マローン、『我が国が私についた嘘』、 117頁。この薬品は、1錠数ペンスで世界中の貧しい人々に行き渡ってきた。
18. マローン著『我が国の政府が私についた嘘』も参照。この著書でも同じような数値が示されていて、その中に記載された論文で明らかにされたことによれば、入院していた90歳以上のCOVID-19患者たちのなかでさえ、ほぼ9割が死なずにすんだという。COVIDが死因とされた死亡のほとんどは超高齢層のものだった。カナダでは、その総数は全体の7割ほどだった。イタリアではCOVIDが死因であった死の100%は、別の致死的な理由が併存しており、韓国ではCOVID-19が死因とされた一般市民の患者のうち99%もの人々が、医療的な治療を受けていなかった。米国の3300人の囚人について調べた研究によりわかったことは、COVID-19陽性と診断された人のうち96%は無症状だったことだ。ジョセフ・メルコラ博士とロニー。カミンズ博士共著の『COVID-19についての真実:グレート・リセット、ロックダウン、ワクチンパスポート、新たなる通常』(White River Junction Vermont: Chelsea Green Publishing, 2021)の56頁も参照。この著書には、ロバート・ケネディ.Jrが前書きを書いている。この著書で強調されているのは、COVIDが死因とされた死の多くは、実際の所は医療ミスが死因であるという点だ。COVID-19の大流行地域と目されていたニューヨークの一部でも同様のことが起こっていたという。
19. 当初イードン博士が懸念していたのは、COVID-19ワクチンが若い女性の受胎能力に影響を及ぼすのでは、という点だった。
20. ロックフェラー財団とフォード財団は、これまで長年にわたりCIAとの関係を維持してきている。
21. この計画は仕事がない人々に最低限の収入を保証するというものだ。ただしこの計画の目的には、人口削減もあると指摘する人々もいる。人口が過剰に増えすぎることへの懸念と、社会ダーウィニズム(適者生存)の考え方やゲイツなどが唱えている優生主義がもととなっている。
22. マローン、「我が国が私についた嘘」、42頁
23. マローン、「我が国が私についた嘘」、113頁
24. マローン、「我が国が私についた嘘」、170頁. フェイスブックは、「公共医療の専門家たちが人々にCOVID-19のワクチン接種を拒むよう助言している内容」については排除す方針を公に表明している。
25. マローン、「我が国が私についた嘘」、279頁
26. マローン、「我が国が私についた嘘」、53頁
27. 2020年、CDCのロバート・レッドフィールド所長は、米国の病院は入院率や総死亡件数を高くすることに力をいれていたようであることを認めた。 メルコラ、カミンズ著、「COVID-19についての真実」、57頁

 ジェレミー・クズマロフはCovertAction誌の編集長。米国の外交政策に関する4本の著書がある。著名は、『オバマによる終わらない戦争』 (Clarity Press, 2019)、 『ロシアが来る、再度』(ジョン・マルシアノ氏との共著)(Monthly Review Press, 2018)。連絡先は: jkuzmarov2@gmail.com.
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分離独立の問題を抱えている国は、ドンバスだけではなく、よく知られたコソボ、カタルーニャを含めて世界にはいくつもある。

<記事原文 寺島先生推薦>

Kosovo, Donbass and Catalonia are famous examples, but do you realize how many countries have problems with separatism?
More than 100 governments recognized Kosovo’s self-proclaimed independence 15 years ago, but most of them have their own issues of this kind

コソボ、ドンバス、カタルーニャは有名な例だが、分離独立の問題を抱えている国がどれだけあるかご存知か? 15年前にコソボの独立を承認したのは100カ国以上の政府だが、そのほとんどがこの種の問題を抱え込んでいる。

筆者:ゲオルギイ・ベレゾフスキー(Georgiy Berezovsky)
* ウラジカフカズ在住のジャーナリスト。ウラジカフカズは、ロシア連邦の北カフカス地方に位置する北オセチア共和国の首都。

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年3月10日


コソボ・アルバニア人の「自己決定」運動の支持者数百人が、プリシュティナ中心部で抗議デモを行いながら行進している。© Dimitar DILKOFF / AFP Japan


 2008年2月、アルバニア系分離主義者が多数を占めるコソボ議会は、同州のセルビアからの独立を宣言した。ベオグラード*はこれに反対したが、翌日にはアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、アルバニアがこの新しい「国家」を承認した。その年の暮れには、50カ国以上が続いた。
*セルビアの首都。かつてのユーゴスラビアの首都。

 現在、コソボの主権を承認している国連加盟国は、ほぼ100カ国。しかし、ベオグラードの外交努力により支持を撤回した国もあり、この数字は常に流動的である。それにもかかわらず、プリシュティナは117カ国が「独立」を支持していると主張し続ける。

 実際には、国連に属する国の半数以上がコソボの独立を承認していない。その中には、中国、インド、旧ソビエト諸国のほとんど、そしてEU加盟国であるギリシャ、スペイン、キプロス、ルーマニア、スロバキアが含まれている。




関連記事:カーテンの向こうにいる男。ジョージ・ソロスのプロパガンダ実行機関がいかにメディアを堕落させたかを暴露する新報告書


 ロシアはコソボの独立宣言に反対する主要な国のひとつであり、世界秩序に及ぼす影響について一貫して述べてきた。しかし、よくよく考えてみると、世界の大半の国家が、重大なものからごく小さなものまで、何らかの形で分離独立の問題に取り組んでいることがわかる。


バルカンのパッチワークキルト*
*布を接ぎ合わせて一枚の布にしたもの。

 コソボの地位問題は、バルカン半島で新たな国家的存在の出現をもたらした分離主義の最新の事例に過ぎない。この地域の崩壊は「バルカン化」と呼ばれているが、それは当然である。

 前世紀末、バルカン半島の大部分はユーゴスラビアという統一国家に編入された。現在では、その代わりに7つの独立国が存在するが、これで終わるとは決して言えない。

 セルビアが最初に直面したのはアルバニア人の分離主義だったが、モンテネグロ、ギリシャ、北マケドニアなど、この地域の他の国々にもアルバニア人の共同社会(コミュニティ)が存在する。特に北マケドニアでは、コソボに隣接する同国西部に、全人口の25%を占めるアルバニア人が住んでいるため、その脅威は深刻だ。


スコピエのダウンタウンで反政府デモが行われるなか、マケドニアとアルバニアの国旗を振る人々を見守る男性。© Dimitar DILKOFF / AFP Japan


 セルビアはコソボ問題に加え、セルビア人だけでなくハンガリー人も住む自治区であるヴォイヴォディナにも潜在的な問題を抱えている。

 コソボもまた、独自の内部課題を抱えている。コソボの北部には、セルビア人を中心とした飛び地があり、彼らは祖国から孤立することを好まない。同様に、ボスニア・ヘルツェゴビナでも分離主義の問題は避けられない。その一部であるスルプスカ共和国は、独立またはセルビアとの統一を志向し、将来について中央政府と矛盾する見解を示すことが増えてきた。



関連記事:欧米の外交は未熟で対話ができない(駐インド・ロシア大使)


 ボスニアのクロアチア人の飛び地や、クロアチア自体にもセルビア人の飛び地があり、深刻度は低いものの、同じ問題が見られることがある。


イベリア半島。2カ国では足りない

 もし、マドリードに半島の大部分を束ねる王様がいなかったら、「バルカン化」は「イベリ化」と呼ばれていたかもしれない。スペインでは、他のどの西ヨーロッパ諸国よりも多くの分離主義運動が行われている。

 カタルーニャの問題は、全世界がよく知っている。ちょうど5年前の2017年10月、そこの自治体は独立を問う住民投票を行い、投票者の9割以上がスペインからの分離を支持したにもかかわらず、失敗に終わった。マドリードはこの民意の表明を認めようとしなかった。その結果、カタルーニャ分離独立運動の指導者の何人かが逮捕され、他の指導者は国外に逃亡した。しかし、それでも地元住民の思いは消えない。

 カタルーニャの問題に加えて、バスクの分離主義もある。これはカタルーニャとは異なり、より過激な形態をとることが多い。ETA(エウスカディ・タ・アスカタスナ=バスクと自由)の過激な民族主義者は、40年以上にわたってスペインとスペイン王室からの独立を求めて戦い、800人を殺害した。2018年、同団体は自己解散を発表したが、だからといって問題がなくなったわけではない。この地域の最大政党のひとつであるバスク民族主義党は、いまだにマドリードからの独立という考えを支持している。


スペイン北部のバスク地方都市ドノスティア(サンセバスチャン)で、10月1日に実施予定のマドリードからの独立を問う住民投票とカタルーニャを支持するデモで、バスクとカタルーニャの旗を掲げるデモ隊。© Gari Garaialde / AFP


 スペインは、17の自治体(地域)に分かれている。分離主義まではいかないが、それぞれの自治体で、ある程度、地域自治の考え方が盛んである。地方選挙では、アラゴン、アンダルシア、カスティーリャ、アストゥリアス、カンタブリア、ガリシアなどの自治州で、独立と自治の強化を訴える候補者が定期的に大きな得票率を獲得している。

 イベリア半島のもう一つの国、ポルトガルでも、すべてが甘美で明るいわけではない...リスボンの権力から自由になろうとする地域が、大西洋の海を隔てて存在するからだ。大都市から離れているのは事実だが。マデイラ諸島やアゾレス諸島のことである。



関連記事:ハリウッドは1年前にロシアを見捨てたが、この国の興行収入は史上最高記録を打ち立てたばかりだ。なぜこのようなことが起こったのか?


イギリス。バラバラになった王国

 スコットランドの分離主義は、ここ数年、ロンドンを悩ませている。前回の地方選挙で独立支持派が勝利した後、彼らはイギリスからの分離独立を問う2度目の住民投票を実施する意向を表明した。1回目は2014年に行われ、55%が離脱に反対し、45%が離脱を支持した。投票結果に自信を持ったロンドンは、その時はスコットランド人の意思に干渉しなかった。

 しかし、その2年後、英国はEU離脱を決議し、エジンバラは、スコットランド人が明らかにEU残留を望み、62%の圧倒的な反対票を投じたことから、新たな住民投票を要求した。スコットランド当局は2023年10月に新たな住民投票を実施することを望んでいたが、昨年11月、英国の最高裁判所は、独立に関する国民投票はロンドンの同意がなければ実施できないとの判断を下した。今回、トーリー(保守党)政権下の議会は、それを認めるつもりはない。エジンバラは諦めるつもりはなく、前スコットランド政府のトップであるニコラ・スタージョンは、「スコットランドの民主主義は否定されない」と約束した。

 先週、スタージョンはスコットランドの第一大臣としての辞任を発表したが、それでも後継者について、その人が「スコットランドを独立へと導いてくれる」と自信を見せた。


スコットランド・エディンバラで行われたAUOB(All Under One Banner)の行進のため、スコットランド独立派の支持者がホリールード公園から市街地を抜けてメドウズに向かう。© Ewan Bootman/NurPhoto via Getty Images


 北アイルランドとの関係も、ロンドンにとっては小さくない問題である。2022年春の地方選挙では、アイルランド共和国との統一とUKからの分離独立を主張するシン・フェイン党が第一党となった。ブレグジットの際にロンドンとEUの間で結ばれた「北アイルランド議定書」が、分離派の人気上昇に貢献したと思われる。この議定書では、(EU加盟国の)ダブリンとベルファストの間の単一の関税空間を維持することを求めているが、そのかわりブリテン島と北アイルランドの間に関税が課されることになるからだ。

 ロンドンの問題はこれにとどまらず、コーンウォール、メルキア(ウェストミッドランドとイーストミッドランド地域)、ノーサンバーランド、ヨークシャー、ジャージー、ウェールズでも程度の差こそあれ分離主義者の活動があり、さらにはイングランド自体の英国離脱の話もある。しかし、これらはスコットランドやアイルランドの問題に比べれば、陳腐なものに見える。



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西ヨーロッパ。国の中にさらに国がある国々

 西ヨーロッパの国々は、そのほとんどが模範的な単一国家であり、一般的にはそうであるように思われる。しかし、地域における帰属意識(アイデンティティ)が強く、自治の拡大が望まれ、分離主義的な傾向があるのも事実である。

 例えば、フランスでは、南部に7地域にも及ぶ広大な面積を占めるオクシタン族という問題がある。積極的なフランス語化政策も、この問題を決定的に解決するには十分ではなかった。この地域のすべての標識は、オクシタニア語でも記載されているのが常である。

 北西部に位置するブルターニュ地方もまた、強い地域性を持っている。その住民は独自のケルト語を持ち、自分たちをフランス人ではなく、ブルトン人と呼ぶことを好む。20世紀後半には、ブルトン革命軍の武装組織であるブルトン解放戦線が、祖国の独立を主張するスローガンを掲げながら、テロを起こしたこともある。コルシカ島では、今世紀に入っても、独立のために暴力的な手段をとることを辞さない過激派がいる。

 オクシタン党、ブルトン党、自由コルシカ党など、各分立派は、自治権の拡大から完全な独立まで、さまざまな政策を掲げている。コルシカ民族解放戦線(FLNC)は昨年夏、16件の放火を行い、非コルシカ人が所有する夏の住宅や建設会社、パトカーを爆破したと主張している。


フランス、バスティアでのコルシカ民族主義グループ「F.L.N.C」の記者会見。© LEGRAND/Gamma-Rapho via Getty Images


 EUの経済機関車であるドイツが、チェコやオーストリアと国境を接し、国土の約2割を占める豊かな地域、バイエルンで問題を起こしている。バイエルン人は、他のドイツ人とは大きく異なる。その方言は、公式には認められていないものの、実は別の言語と考えられている。地域の独自性は極めて強いものの、バイエルンは少なくとも公には分離主義を口にすることはほとんどない。しかし、紛争がないときでも、ベルリンはミュンヘンを注視している。



関連記事:東部戦線異状なし:ロシアと日本が第二次世界大戦に正式な終止符を打つのを阻止するために、米国はどのように動いたか?


 ドイツの主要政党の一つであるキリスト教民主同盟は、その代表が繰り返しドイツの首相に選ばれているが、バイエルン州では選挙に参加していない。バイエルン州のキリスト教社会同盟は、バイエルン州の分離主義者や急進的な民族主義者の政党を吸収し、純粋なバイエルン州のキリスト教社会同盟と同盟を結んでいる。

 イタリアでは、ロンバルディア州とヴェネト州の北部地域で独立の問題が議論されている。そして、これらの議論はローマにとってむしろ不愉快なものである。たとえば、ヴェネトの政治家たちは、ヴェネト語をイタリア語と並ぶ地域の公用語として認めさせることに成功した。2014年3月、この地域で行われたオンライン投票では、回答者の89%が主権を持つヴェネト連邦共和国の創設を支持した。しかし、まだ住民投票には進んでいない。これらの地域でより大きな独立を望むのは、主に経済的な要因からだが、南チロルでは、国家的な問題も一役買っている。第一次世界大戦後にイタリアの一部となったこの豊かなドイツ語圏の地域は、100年以上前からオーストリアとの統一を望んでいる。

 西ヨーロッパで最も崩壊の可能性が高いのは、間違いなくベルギーである。ベルギーは、全く異なる民族が住む2つの地域から構成されている。オランダ語を話すフラマン人が人口の約6割を占め、フランス語を話すワロン人が4割を占める。フラマン人は、失業率が2倍、1人当たりGDPが3分の1という南隣のワロン人が、自分たちを犠牲にして生活していると考えるのは当然である。30年前、フランドル(フラマン人が住む地域のこと)はこの状況に不満を抱き、統一ベルギーを連邦制に移行させることに貢献した。今、フランドルは自治権をさらに拡大しようと闘い、ワロン人はその努力をはねのけようとしている。

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ブリュッセル近郊のウェゼンベーク・オッペム市で、フラマン民族主義グループ「Voorpost(アウトポスト)」のメンバーが、フラマン民族の独自性を支持するデモの際に、フラマンの旗を振り回している。© Dominique Faget / AFP


まだまだ、ある...。

 分離主義の問題は、東欧、特にソビエト後の空間ではさらに深刻で、中央と地域の当局が合意に至らないために、しばしば戦争が勃発している。トランスニストリア、アブハジア、南オセチア、ナゴルノ・カラバフ、ウクライナ東部などである。



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 しかし、分離主義的な願望は、ヨーロッパに限ったことではない。アジア、アフリカ、そしてオセアニアでも見られる。特に植民地支配を経験した国々では、外圧によって国境線が引かれることが多く、地域の要因や部族や民族の伝統的な母国を無視した国境線が引かれてきた。

 今日、最も強力な非ヨーロッパ諸国も、この問題と無縁ではない。たとえば、中国が直面している分離主義の脅威は、世界中がよく知るところである。米国は最近、台湾、チベット、新疆ウイグル自治区、香港、マカオの独立を主張することが多くなっている。半世紀余り前、北京は内モンゴル自治区の分離独立と戦っていたが、人口動態の変化により、この問題はあまり意味を持たなくなった。

 とはいえ、外から見ると一枚岩のように見えるアメリカでさえ、11の小国に分けることは容易である。カリフォルニア州やテキサス州など、個々の州の独立を主張するアメリカ人の話は時々メディアに登場するし、カスケーディアやニューアフリカ共和国など、地域全体の独立を主張する興味を引く運動も存在する。

 いずれにせよ、世界中の分離独立運動を網羅したリストは、図書館の別室を占領してしまうだろう。

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© independent.co.jp


解決策はあるのだろうか?

 モスクワにあるバルダイ国際討論クラブ*の企画担当責任者ティモフェイ・ボルダチェフは、「世界的に見て、分離主義は、解離、新しい壁の建設、民族主義の台頭に対する反応である」と考えている。
*専門家の分析センターで、2004年にロシアの大ノヴゴロドで設立された。(ウィキペディア)

 「もし本当の全世界一体化(グローバリゼーション)があれば、分離主義は存在しない。国境は透明化され、人々はどこに住もうが構わなくなるからだ。」

 分離主義とは、名ばかりの国の国粋主義に対する闘争である。

 ドンバスや東ウクライナの住民は、なぜキエフの権力から抜け出したいと思うのか。その理由は、ウクライナの国粋主義である。南オセチアやアブハジアでグルジアとの決別を望む分離主義者が現れたのはなぜか? トビリシがこれらの地域にグルジアの国粋主義を押し付けようとしたからだ。それだけである。分離主義の背景には、常に大きな国の国粋主義がある」とこの専門家はRTに語っている。



関連記事:マイダンの狙撃事件は2014年のキエフ・クーデターにとって極めて重要だった ―なぜ西側諸国では虐殺に関する研究が検閲されているのか?


 モスクワ国立国際関係研究所欧州法学部の准教授であるニコライ・トポルニンは、少し違った見解を持っている。彼によれば、「分離主義的傾向とグローバルな統合過程との間に明確な関係はない」という。

 「それぞれのケースには、それぞれの歴史、特徴、ルーツがあります。しかし、多くの場合、分離主義の背景には、歴史的、文化的、宗教的、言語的、教育的、経済的な理由が複雑に絡み合っています」とトポルニンは指摘した。

 ある意味、グローバリゼイション(世界統一化)は分離主義を助長している。その結果のひとつが、グローカリゼーション(世界地域化)の出現であり、消滅すると思われていた地域差は、むしろ強まっている。「合併や統一が進む代わりに、分離主義的な傾向、地域差への関心の高まり、古い伝統への関心の高まり、方言の復活など、逆の傾向が生まれ、強くなっている」と彼は述べている。

 このような状況下で、分離主義に対抗するには、弾圧と譲歩の2つの方法しかない。各国はこの2つの方法を同時に採用し、分離主義を志向する活動家を迫害すると同時に、分離主義地域にさらなる自治権を与えることが多い。しかし、ティモフェイ・ボルダチェフによれば、より普遍的な処方箋があるという。

 「分離主義の問題に理論的な解決策はあるのだろうか? ある。それは帝国主義だ。分離主義に対する唯一の処方箋は帝国主義である。つまりロシア、中国、そしてある程度は米国のような、多国籍、多会派の大国のことである。」
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