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検閲されるマイダン虐殺(2014年キエフ政権転覆の要)の研究:隠される外部勢力の関与

<記事原文 寺島先生推薦記事>

The Maidan sniper killings were pivotal for the 2014 Kiev coup – why is research into the massacre being censored in the West?
Evidence that external forces were involved has been suppressed for ‘political reasons’

マイダン狙撃事件は、2014年のキエフ・クーデターにとって極めて重要なものだった―なぜ欧米では、この虐殺事件の研究が検閲されているのだろうか?
2023年2月27日マイダンに外部勢力が関与した証拠は、「政治的理由」で隠されている。

筆者:フェリックス・リブシッツ(Felix Livshitz)

出典:RT

2023年2月6日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳NEWSグループ>

2014年1月27日

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警察との衝突中に火炎瓶を投げる反政府デモ参加者。ウクライナのキエフで、ディナモスタジアム近くのフルシェフスコホ通りで。© Brendan Hoffman / Getty Images


 政治学者のイワン・カチャノフスキー(オタワ大学)は、2014年2月の狙撃によるウクライナのデモ隊の虐殺の証拠をまとめた論文を、「政治的理由」で学術誌に掲載されなかったことを明かにした。その虐殺が、欧米が支援するマイダンのクーデターの決定的瞬間であったからだ。


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関連記事:「ここに神はいない」:正教会とソ連の対立は、現代ロシアを定義する上でいかに役だったか


「証拠は確かなものだ」

 1月6日に投稿されたツイッターの長文スレッドで、カチャノフスキーはまず、自分の論文が却下された経緯と、その論文に含まれる爆弾のような証拠を明らかにした。この論文は当初、査読後に若干の修正を加えて受理され、同誌の編集者は彼の研究を高く評価し、こう書いている。

 「この論文が、多くの点で優れていることは疑う余地がない。2014年のウクライナにおける政権交代に関する主流の筋書きに反する証拠を提供しているからだ。... 2014年2月18日から20日にかけてウクライナで起きた”ユーロマイダン”の大規模抗議デモの際に、デモ隊と警察を虐殺したのは誰かという解釈に対して、この研究が生み出す証拠は確かなものだと思われる。これについては、2人の評者の間でも同意が得られている。」

 編集者が指摘するように、この虐殺は「政治的に決定的な進展」であり、自由選挙で選ばれたヴィクトル・ヤヌコーヴィチから、元保安庁(SBU)長官のアレクサンドル・トゥルチノフによる違法で狂信的な民族主義政権への「権力移行」につながったのである。この事件は、ウクライナ政府(ヤヌコービッチ政権)の残忍さの象徴として、西側メディアで延々と引用され続けている。それは、民主主義と自由しか求めておらず、無実の親西欧マイダン派抗議者に対する不当な攻撃として利用されているのだ。)

 この殺害は、偽旗作戦であるという噂が、すぐに流れ始めた。それは、マイダンを埋め尽くしている膨大な群衆の緊張を煽り、当局に対する暴力を誘発するためのものであった。

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2014年2月20日、ウクライナのキエフで、ウクライナ大統領と野党指導者の間で合意された停戦にもかかわらず、独立広場で警察と衝突を続ける反政府デモ参加者たち。© Jeff J Mitchell / Getty Images


 西側メディアでは、何が起きたのかの本格的な調査は行われず、狙撃が反政府側内部の犯行であるという主張は、すべてクレムリンの 「偽情報」 として退けられた。しかし、NATOの大西洋理事会付属機関でさえ、2020年にこの大虐殺が未解決であることを認め、これが 「ウクライナに暗い影を落としている」 と述べている。

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関連記事: 「この紛争はロシアを根本的に変えるだろう」。ウクライナとの戦いに志願した理由を説明する若きモスクワっ子


目撃者に聞け

 しかし、運命の日に現場にいた警官たちの裁判が進行中であるので、未解決のままではいられないかもしれない。この裁判は1年以上前から行われているが、ウクライナ国外では全くと言っていいほど報道されていない。カチャノフスキーは、掲載を阻止された論文の中で、裁判の過程で出てきた目撃者の証言や映像の証拠をたくさん出している。

 たとえば、事件で負傷した51人のデモ参加者は、裁判で、マイダン支配下の建物から狙撃された、また/あるいはそこで狙撃手を目撃したと証言している。多くは、マイダンの抗議者たちが支配する建物にいる狙撃手が警察を撃っていると話した。これは、カチャノフスキーが集めた他の証拠とも一致している。たとえば、デモ隊が管理する建物で狙撃手がいることを示す14の別々のビデオ、そのうちの10は、ホテル・ウクライナの極右武装集団が下の群衆を狙う様子をはっきりと映し出している。

 全部で300人の目撃者が、ほとんど同じことを語っている。同期化されたビデオによれば、警察が発砲した特定の時間と方向は、特定のマイダン抗議者の殺害と一致しないばかりか、当局は単に群衆を分散させるために、壁、木、街灯、そして地面さえも狙っていたのである。

 マイダン派と思われる狙撃手に狙われたのは、ドイツのARDのジャーナリストたちだった。ただ、当時、街にいた西側の報道局は彼らだけではなく、ベルギーの記者もいたのだが、彼らはマイダンのデモ参加者がホテル・ウクライナに向かって狙撃手に撃たないでくれと叫ぶ様子を撮影しただけでなく、参加者が積極的に殺害現場へ誘い込まれていく様子も撮影していた。しかし、この衝撃的な映像は放送されなかった。

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2014年2月19日、ウクライナのキエフにある独立広場で、反政府デモ隊に石を投げつけるベルクート機動隊員。デモ隊はその石を投げ返していた。© Brendan Hoffman / Getty Images


 CNNも同様に、極右勢力がマイダンのバリケードの後ろから警察に発砲し、その後、ホテル・ウクライナの11階から射撃する位置を探す様子を撮影した。その数分後に、BBCが極右議員の宿泊する部屋からデモ隊を撃つ狙撃手を撮影した。しかしそのとき、放送局はこのことを報道しなかった。 

 純粋にビデオ映像だけに頼る必要はない。カチャノフスキーは、裁判の過程で、14人以上のマイダン狙撃手集団の一員が、明確に虐殺の命令を受けたと証言したと主張している。一方、現場にいた警察官で、非武装のデモ参加者の殺害を指示されたと証言した者はおらず、そのような計画を内部告発した大臣もおらず、ヤヌコーヴィチが殺害を承認した証拠も出てきていない。

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関連記事:「ラストエンペラー」に最後のお辞儀を。ロシアMMAの巨人、最後の戦いに備える。


 裁判とは別に、極右政党スヴォボダの指導者たちは、西側政府の代表が虐殺の前に、デモ参加者の死傷者が一定数に達したらヤヌコーヴィチの退陣を求めると明確に伝えてきたと公言している。この数字は、5人で十分なのか、20人で十分なのか、100人で十分なのか、といった具合に、両者で活発に議論された。最終的に報告されたのは最後の数字で、実際にウクライナ政府の退陣を求める声が上がった。

***

 カチャノフスキーは2021年にマイダンの虐殺に関する画期的な研究を発表しており、その研究は学者や専門家によって100回以上参照され、Google Scholarによれば、すでにウクライナ専門の政治学者として最も引用されている一人となっている。

 この爆弾論文に加えられた政治的圧力は検閲に繋がったが、その政治的圧力の性質と源が何であれ、この動きは、ストライサンド効果*で、大きく裏目に出る可能性がある。実際、あの忌まわしい日に起こったことの真実が明らかになり、殺人の責任者が裁かれる一助となるかもしれない。
*ある情報を隠蔽したり除去しようとしたりする努力が、かえってその情報を広い範囲に拡散させてしまう結果をもたらす現象を意味する。

 また、マイダン広場の抗議行動の本質と、マイダンが生み出した政府について、広く再考を促すことにもなるはずだ。野党の禁止、正教会への攻撃、反体制的なメディアの閉鎖、ロシアの文化と言語に対する戦争は、すべてこの結果なのである。
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ホワイトハウス記者会見で予告されていた「ノルドストーム破壊工作」:独首相も事前承認

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Video: America is at War with Europe

ビデオ:米国はヨーロッパと戦争状態にある。

筆者:ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)

出典:Global Research 

2023年2月16日

記事翻訳 <寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月25日

チョフドフスキー



最新情報:「秘密作戦」は存在しなかった

 ノルドストリームの破壊行為が「米国につながることを追跡する」ことを防ぐための「秘密作戦」は存在しなかった。

 この[破壊工作の]事業は、シーモア・ハーシュが概説したように、2021年に密室で議論されていたが、このいわゆる「秘密作戦」の実際の計画は2021年12月に始まり、2022年6月には爆弾の仕込み、そして2023年9月26-27日には実際の破壊行為となった。(下の地図参照)。

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 2021年12月下旬、国家安全保障顧問のジェイク・サリバンは、ロシアの戦争準備に関わる「新たに結成された特別委員会」(統合参謀本部、CIA、国務省、財務省)と称される会議を開催した。

 その中で、ノルドストリームに関してどのような行動を取るべきか、議論が交わされた。「CIAは、何をするにしても、秘密裏に行わなければならないと主張した。特別委員会関係者は皆、危険の度合いを理解していた」。

 この「秘密作戦」とされる作戦の時系列を簡単に見てみよう。2021年12月下旬~2022年6月~2022年9月26日~27日:9ヶ月の期間。

2021年12月下旬:「(省庁間)特別委員会」が新たに発足 「新たに発足した(省庁間)特別委員会」がジェイク・サリバン国家安全保障顧問により招集された。

2022年初頭:秘密作戦が想定された。CIAは特別委員会に報告した。「パイプラインを爆破する方法がある」と。それは「追跡不可能な」爆破の方法だった。

その1ヵ月後。

2022年2月7日:ホワイトハウスでドイツのオラフ・ショルツ首相(米国を公式訪問中)と共に記者会見、バイデン大統領は次のように発言する:

ロシアが侵攻した場合、「ノルドストリーム2はなくなる」

2022年6月10日:(おおよその日付)
水中での爆弾の仕込み。バイデンは「いつでも爆発させられる権利、つまり私たちから遠隔操作でいつでも爆弾を作動させる権利が欲しかった」のです。

2022年9月26日~27日
バルト海のボーンホルム島近くで6個の爆弾が水中で爆発し、ノルドストリーム1、2の4本の主要パイプラインのうち3本を破壊(S・ハーシュ、上記地図参照)。


2022年2月7日のバイデン=ショルツ・ホワイトハウス記者会見
本記事にリンクされている記者会見のビデオをご覧ください。ホワイトハウスによる文字起こしもあります。

 「秘密」は何もなかった。 バイデン大統領とショルツ首相によるノルドストリームに関する公的な発言は、極めて明確である。

アンドレア(ロイター)質問:ありがとうございます、大統領。 そして、ショルツ首相、ありがとうございました。 大統領、私は、あなたが長い間反対してきたこのノルドストリーム事業についてお聞きしたかったのです。今、あなたはそのことに言及しませんでしたし、ショルツ首相も言及しませんでした。今日、ショルツ首相から、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ドイツは実際にこの事業から手を引くという確約を得たのですか? また、「侵略」の定義がどのようなものになりうるか議論したのでしょうか。

バイデン大統領:まず、最初の質問です。 もしドイツが--ロシアが―つまり戦車や軍隊が再びウクライナの国境を越えて―侵攻してきたら、私たちは―もはやノルドストリーム2は存在しないことになる。 私たちはそれに終止符を打つでしょう。

質問:しかし、事業)とその支配権はドイツの管理下にあるのですから、具体的にどのようにするのでしょうか?

バイデン大統領:私たちは、約束します、必ずできます。 (ホワイトハウス記者会見、強調は著者)



「その事業はドイツの支配権の範囲内」

 オラフ・ショルツ首相は、バイデン氏のノルドストリーム2から手を引く決定に関して、ロイター通信の記者に回答している。

アンドレア(ロイター) [シュルツに対する]質問:そして、あなたは今日 – ノルドストリーム2を止めて、その事業から手を引くことを今日明言しますか? あなたはそれに言及しませんでしたし、言及していませんね。

ショルツ首相:すでに申し上げたように、我々は共に行動しており、絶対に団結しており、異なる行動をすることはありません。私たちは同じ行動をとり、それらはロシアにとって非常に、非常に困難なものであり、彼らはそれを理解するはずです。(強調は著者)



 記者の質問をさりげなく無視する。ノルドストリームは、シュルツが政府の長であるドイツの「支配下」にある。ショルツ首相はワシントンの要求を完全に守り、政治的な代理人として行動している。「我々は異なる手段をとることはない」と彼は言う。

 上記のショルツ首相の回答をお読みください。ドイツは米国の「半植民地」になってしまったのでしょうか?


ホワイトハウスの記者会見で公表された「秘密作戦」

 バイデン氏の記者会見での発言は、ドイツのショルツ首相に支持され、いわゆる「秘密作戦」が展開され、米国の攻撃が「追跡不可能」であるという考え方を無効とするものです。

 「バイデンとヌーランドの軽率な行動は、それが何であれ、計画者の何人かをいらだたせたかもしれない。しかし、それはまた好機でもあった。情報筋によると、CIAの高官の何人かが判断したことは、パイプラインを爆破することはもはや秘密の選択肢とは見なされない、なぜなら大統領がその方法を知っていると発表したばかりだからということでした」。(シーモア・ハーシュ)

 これは、ジョー・バイデンの失態ではなかった。大統領とヌーランドを含む彼の政治的側近が、ノルドストリームに対する米国の破壊行為が(ドイツ政府の支持を得て)想定されていることを知らしめた政治的決断であったのだ。(下記記事の分析参照)

 バイデンの公式声明は、計画された破壊工作が「ホワイトハウスまで追跡可能」であることを事実上認めている。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。

 バイデンの声明は、2022年6月に実行されたいわゆる秘密破壊行為の数カ月前に、ドイツのショルツ首相のお墨付きを得て策定されたものである。

 何人かの分析家やジャーナリストは、「誰が破壊工作に責任があるのか」について熟考している。これはナンセンスな行為だ。答えは明らかだ。ドイツのオラフ・ショルツ首相と協議している米国大統領だ。

 バイデン大統領の2022年2月7日の宣告は、破壊行為の実行に「ゴーサイン」を出したのである。それはもはや「秘密作戦」ではなかった。破壊工作を行った者たちは、ドイツ連邦共和国政府のお墨付きで、ホワイトハウスから発せられた指示を実行に移したのだ。

 私の論文にあるように、ノルドストリームの破壊工作は、ドイツと欧州連合に対する米国の戦争行為であった。

 そして、ドイツの首相は、ノルドストリームに対する破壊行為が、4億人以上のヨーロッパの人々の不利益になるように、米国によって想定されていたことを十分に認識していたのである。(以下の分析参照)。この点で、オラフ・ショルツ首相が米国の戦略を受け入れたことは、反逆の行為であった。

2023年2月16日付


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「米国はヨーロッパと戦争状態にある」
   ミシェル・チョスドフスキー著
   グローバルリサーチ
   2023年2月12日
------------------------------------------------------------

 情報筋によれば「この画策をしていた間ずっと、CIAと国務省の一部の職員は、“こんなことはするな。バカバカしいし、表に出れば政治的な悪夢になる”と言っていた」という。

  「これは子供だましではない」と、その情報筋は言った。もしこの攻撃が米国に帰することが出来るのであれば、「それは戦争行為だ」と。

「どのようにして米国はノルドストリームのパイプラインを破壊したのかセイモア・ハーシュ2023年2月8日、強調は著者)


展開する「政治的悪夢」

 ノルドストリームはジョー・バイデン大統領が命じた破壊行為の対象であったことを、証拠が十分に裏付けている。

 ノルドストリームは、ロシアからEU加盟国4カ国の領海を通過している。国際法では、「領土保全」は、国家の領海内にある「財産」にも及ぶ。

 法的な観点(国際法:国連憲章、海洋法)から、これはEUに対する米国の戦争行為であった。

 外国人行為者によって、または外国人行為者のために、一国の領海内の当該「財産」を意図的に破壊することは、戦争行為に該当する。

 ドイツのピーター・フランク検事総長は、綿密な調査で、次のように確認した

  「ノルドストリームのガスパイプラインの破壊について、ロシアを非難する証拠はない」。


ロシアでないとすれば、誰が背後にいるのか?

  ピーター・フランク検事総長によると:
 「外国人による破壊行為があったという疑いは、今のところ立証されていない」。

 ピーター・フランクは、米国大統領の役割(十分に確認されている)をさりげなく打ち消している(後述)。


ノルドストリームの破壊工作は「追跡可能」。それはEUに対する経済的、社会的戦争行為である。

 米国の破壊行為と制裁体制は、EU全域に社会的大混乱と苦難を引き起こした。エネルギー価格の上昇に端を発したインフレは、高騰を続けている。人々は暖房費を払うことができず、凍えている。

 メディアの報道では、米国の妨害行為が社会的、経済的にどのような影響を及ぼしているのかを認めていないが、EUの公式情報筋は(その原因には触れずに)次のように確認している。

 「エネルギーに窮している国民の数は1億2500万人(全人口の28%)に達する可能性がある」。

 ヨーロッパは前例のない債務危機を経験している。福祉国家は解体されつつある。


EU経済の不安定化

 ロシアからの安価なエネルギーに依存してきたEU経済は、工業生産(製造業)、輸送、商品貿易の構造全体の崩壊が顕著で、混乱状態にある。

 解雇や失業をもたらす企業倒産がEU全域で相次いでいる。中小企業は地図から消え去る予定である。

 「エネルギー価格の高騰がドイツの産業を苦しめている」...

 「ドイツの製造業は、同国の経済生産の5分の1以上を占めているが、一部の企業が危機を乗り越えられないことを懸念している。...」

 「フォルクスワーゲン(VLKAF)シーメンス(SIEGY)といった業界の巨大企業も供給網の障害に悩まされているが、(エネルギー価格上昇の)衝撃に耐えられないのは、ドイツのおよそ20万社の中小製造業者である」。

 「これらの企業は、ドイツの経済生産の半分以上と雇用の3分の2近くを占める260万社の中小企業「ミッテルシュタンド」[中堅企業]の重要な構成要素である。その多くは家族経営で、農村地域に深く根ざしている」。


ジョー・バイデン氏に感謝

記者会見(2022年2月)で「バイデンが秘密を漏らした」。
「あなたたちに約束します。私たちはそれができます。」と、ジョー・バイデンが述べた。
ジョー・バイデン:「ノルドストリーム2は、なくなるだろう。」




「政治家集団」の大逆罪

 米国は、もはやEUの「同盟国」ではない。全く逆である。EUに対する破壊行為における米国の陰湿な役割は、十分に立証されている。疑う余地もない。

 一方、EUの腐敗した政治家たちは、ロシアを非難するだけでなく、米国と協力し、ワシントンの利益のためにEUの破壊のための舞台を整えているのである。

 彼らは、「敵と寝て」欧州の人々に害を与えているのである。

 反逆罪とは、外国の権力者のためにヨーロッパの高位にある政治家が行う裏切り行為であり、さまざまな手段でEU全域に経済的・社会的混乱を積極的かつ意図的に引き起こしている。米国はEUの同盟国ではない。全く逆である。ワシントンは、腐敗した政府高官の支援を受けて、ヨーロッパに対して戦争を仕掛けているのだ。それは反逆の行為だ。

 必要なのは、EU全体の「政権交代」であり、腐敗した政治家に対する刑事訴追である。


マスコミの反応

 英紙デイリー・メール(2023年2月9日付)によれば、次のようになる。

 ピューリッツァー賞受賞の調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュは、米海軍のダイバーがジョー・バイデン大統領の命令でパイプラインを爆発物で破壊したという未確認の情報源を引用している。

 ロイターは、この疑惑の裏付けを取ることができなかった。ホワイトハウスは、「全くの虚偽であり、完全なでっち上げである」と断じた。ノルウェー外務省は、この疑惑は「ナンセンス」であると述べた。

 メディアによれば、「フェイクニュース」ということだ。

 ホワイトハウスが「完全なでっち上げ」と言っているが…

 2022年2月のテレビニュースでのインタビューで、米国大統領は、必要であればノルドストリームに対して行動を起こすことを認めた。この発言は、ロシアの侵攻の3週間前になされたものである。

ジョー・バイデン大統領:「もしロシアが侵攻してきたら、それは戦車と軍隊が再びウクライナの国境を越えることを意味し、その時はもうノルドストリーム2は存在しないでしょう」。

記者:「しかし、このノルドストリームの事業はドイツの管理下にあるので、具体的にどのようにするのですか?」

バイデン: 「やります。約束します。私たちにはそれができます。」(強調は著者)



バイデン大統領の記者会見




動画:ミシェル・チョスドフスキーへのキャロライン・メイユーのインタビュー  *原サイトからご覧ください。(訳者)
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ジェフリー・サックス教授、「Covid 起源」の隠蔽を語る:仮説「自然ではなく実験室の産物」の信憑性ますます高まる。

<記事原文 寺島先生推薦>

Prof. Jeffrey Sachs on the Covid Origins Cover-Up

出典:RON UNZ

2022年8月29日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月23日

サックス
ジェフリー・サックス教授(コロンビア大学) 写真提供:Mahmoud/Wikimedia Commons


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 コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、アカデミズムの支柱的存在で、すでに30年前のニューヨーク・タイムズ紙で「世界で最も重要な人物の一人」と評されていた。現在、同大学の持続可能な開発センターの責任者を務めるほか、長年にわたり、公共政策のさまざまな問題について数多くの論文やコラムを発表している。

 このような背景を考えると、医学界のトップ雑誌であるランセット誌が彼を、2020年初頭から世界を荒廃させ、100万人をはるかに超えるアメリカ人の命を奪った大規模な疫病のあらゆる側面を調査するために設立されたコビット委員会の委員長に指名したことは驚くにはあたらないだろう。

 しかし、この数ヶ月、サックス教授は、アメリカの政治家やメディアを支配するエリートたちと決別し、勇気を持って、この感染症の起源について自分の考えを語り始めている。

 5月には、権威ある雑誌「PNAS」に主要な論文を共同執筆し、コビッドウイルスが生物工学的に処理されたものであり、自然ではなく実験室の産物であるという非常に強い証拠を指摘し、その真の出所を独自に調査するよう呼びかけた。

SARS-CoV-2の起源への独立した調査の呼びかけ
ニール・L・ハリソンとジェフリー・サックス・PNAS・2022年5月19日・2,800語

 翌月には、スペインで開かれた小さなシンクタンクの会合でさらに率直な発言をし、7月初めにはその短い映像が11,000回以上リツイートされ、100万回以上視聴された。

オー!ジェフリー・サックス教授:
「私はランセット誌で2年間、コビドに関する委員会の委員長を務めました。私は、それが米国の生物工学研究所から生まれたものであると確信しています。[しかし、アメリカでもどこでも調査されていないのです。」 pic.twitter.com/IYvSJnlv1q
— アルノー・バートランド (@RnaudBertrand) July 2, 2022


 コビッド委員会の委員長として、サックスはこの問題で最大の信頼を得ていた。しかし、彼の論争を呼ぶ主張は、ほとんどすべての西側メディアによって無視され、唯一、イギリスの醜聞告発を特色とするデーリー・メール紙が封鎖体制を破って彼の発言を報じたのである。

「コビッドはアメリカの実験室から漏れたもの。パンデミック隠蔽の中心にいるとさわがれている中国の施設からではない」とアメリカの頂点にいる教授が発言。彼は「習近平宣伝隊」との烙印を押されている。
コナー・ボイド • Daily Mail • 2022年7月4日• 1,500語

 各国もサックスの情報には注目している。最近のロシア国防省情報説明会で、サックスは権威者だとの認識が示された。

 しかし、欧米のジャーナリストのほとんどが目をそらし続けているにもかかわらず、サックスは、現在進行中のコビッド隠蔽工作を公にするために努力を重ね、ウェブマガジンCurrent Affairsに、驚くほど率直な、長時間のインタビューを提供したのだ。

なぜ、ランセット誌コビッド委員会会長は、アメリカはコビッド・パンデミックの本当の調査を妨害している、と考えているのか?
ジェフリー・サックス • Current Affairs •2022年8月2日 4,300語

 長年親交のある高名な学者にサックスのインタビューを見せたところ、言葉を失っていた:

素晴らしい記事だ。
サックスは驚くほど率直なだけでなく、この問題に関して驚くほど知識をもっている。


 別の優れた学者も同じ反応だった:

空前絶後のインタビューだ。間違いない。

 最近、サックスは、もう一人の著名な反対論者で、かつて体制の中枢に近かったロバート・F・ケネディ・Jr.のポッドキャストで、コビド問題について1時間にわたって議論している。サックスは、会長職で遭遇した膨大な不正を説明し、最終的にウイルスの正体とその起源は大規模な隠蔽工作の対象であると結論づけたのである。

Audio Player

 そのインタビューを聴いた人は皆、非常に強い印象を受けている。コビッドの起源をめぐる議論の第一人者(私がこのインタビューを送付した)からは、次のようなメモが送られてきた:

 サックスの役割についての、このインタビューは、非常に優れたものだ。明確で、力強く、ユーモアがある。そして何よりも、彼がこの問題について(批判陣営とは)反対の立場から出発したために、より説得力がある。ファウチが生物兵器防衛の役職を取得するまでの経緯をたどりながら、サックスは、今、いかに深い洞察力を身につけたか、興味深い。
 
 サックスは他の分野でも政治的勇気を発揮し、ウクライナ戦争や対中関係ではほぼ画一的な世論に強く異を唱えている。

ウクライナは最新のネオコン災害
ジェフリー・サックス • Consortium News • 2022年7月1日 • 1,300語
西側の、中露に関する危険なまでの単細胞的言説
ジェフリー・サックス • Common Dreams • 2022年8月23日 • 1,000語

 アメリカの支配者層でこれほど高い地位にある人物が、重要な問題に関して公式に支持された言説とこれほど鋭く対立することはめったにない。これまで述べてきたように、メディアの典型的な反応は、このような潜在的に危険な離脱者はブラックリストに載せて無視することであった。

アメリカ版プラウダ:小人に沈黙を強いられる巨人たち
Ron Unz • The Unz Review • 2021年11月22日・12,200語

 しかし、インターネットは、人々が(一般に流布される)話とは反対の意見を十分に強く求めれば、そうしたメディア門番たちの制止を回避することができるようになった。

 シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、わが国で最も著名な政治学者の一人であるが、彼の長年にわたるウクライナ紛争に関する見解は、これまで公の議論から完全に排除されていた。彼の過去の講演はYoutubeで見ることができるが、ほとんど注目されていなかった。

 しかし、(ウクライナ)戦争が始まってから、その中の1本のビデオが空前の世界的視聴者を集め始め、その視聴者数は2700万人を超え、インターネット史上、どの学術発表よりも多いのではないかと思われるほどになっている。また、他の講演でも1,000万回、1,500万回と再生回数を重ねている。



 このように世界的に大きな注目を集めた結果、選りすぐりのエリート・メディアも対応せざるを得なくなった。「エコノミスト」誌はすぐに彼をゲストコラムに招き、最近では最上支配層向け「フォーリン・アフェアーズ」誌がウクライナ戦争に関する、彼の長い異分子的なエッセイのためにページを割いた。

ウクライナでの火遊び
過小評価されている「壊滅的なエスカレーション」のリスク
ジョン・ミアシャイマー • Foreign Affairs • 2022年8月17日 • 3,200 語

 主流メディアはサックス教授のコビッド問題に対する重要な見解をほぼ完全に無視しているが、彼が他の場所で注目を集め続ければ、その無視もいずれは打ち破られるかもしれない。多くの代替ポッドキャスターやウェブサイトは、このような議論を呼ぶ考えを広めるための効果的なチャンネルを提供している。特に提唱者がそのテーマについて強い信頼性を持つ公人である場合は、そうだ。

 私が2年以上にわたって公に提案してきた意図的な生物兵器の攻撃という仮説を、彼は一度も示唆したことがない。しかし、非常に興味深く思うのは、彼の長文詳細な議論のどこにも、ウイルスを作り出した中国を非難するような記述がなく、コビド研究所が流出したとされる武漢の研究所についてさえ触れていないことだ。

 その代わりに、コビドに似た改良型コロナウイルスを製造することを目的としたアメリカの大規模な生物工学的取り組みと、コビドの明らかに人工的な特徴を隠すためのアメリカ政府周辺の科学者による集中的な取り組みにレーザーのように焦点をあてている。彼は、多額の資金が投入された生物兵器の研究、そしてこれらの事業計画が数十年前に軍の直接的な権限からアンソニー・ファウチのNIHに移されたことを論じている。そして、ペンタゴン出資によるピーター・ダスザックのエコヘルス同盟が、武漢の研究所や世界中の多くの生物研究所と協力して、明らかに情報収集の役割を担っていることに触れている。

本の表紙
EPub Format • Mobi/Kindle

 サックスは最高権威の公人であり、より確かな証拠が入手できない限り、また入手できるようになるまで、私のような爆弾仮説をほのめかすことさえ、彼ほどの人間であれば、極めて無責任ということになるだろう。さらに、彼は現在、その名声を利用して、コビッドウイルスの生物工学的性質と、その現実を隠そうとするメディアと科学界による大規模な進行中の試みに注目を集める上で、絶対的に重要な役割を担っている。したがって、さらに論争が引き起こされると、それは大筋とはまったくかけ離れたものになってしまうかもしれない。

 しかし、コビッド委員会の委員長として、彼はこれらすべての問題に関して極めつけの内部者であり、彼の重要な情報は、ここ数年の一連の記事で紹介した私自身の分析と完全に一致していることを私は知っている。これらの情報はすべて、このウェブサイトや電子書籍、あるいはAmazonで発売中のペーパーバックで簡単に入手することができる。また、私のインタビュービデオは、Rumbleで100万ビューを楽々突破している。

Covid/Biowarfare Series
Ron Unz • The Unz Review • 20204月-2021年12月・60,000語

VIDEO LINK  * 原サイトからご覧ください。(訳者)
Kevin Barrett, FFWN • February 16, 2022 • 15m
Geopolitics & Empire • February 1, 2022 • 75m
Red Ice TV • February 3, 2022 • 130m
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ノルドストーム破壊は米国が究極の戦争犯罪国家であることを示した。

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Nord Stream Sabotage Backfires With Historic Demolition of U.S. Image and Lies Over Ukraine War

ノルドストームの破壊工作は、米国のイメージの歴史的崩壊とウクライナ戦争をめぐる数々の嘘によって、思わぬ面倒を招いている。

出典:Strategic Culture Foundation  

2023年2月17日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月22日

ノルドストームの破壊工作


米国は究極の戦争犯罪国家であり、ヨーロッパの売国奴と共謀している

 ハーシュの報道は、米国とNATOの国際テロリズムと西側メディアの共謀を暴露するすばらしい記事だ。その報道が暴露しているのは、米国政府の無法ぶり、いわゆるヨーロッパの同盟国に対するワシントンの完全な無視、ヨーロッパ政府、特にドイツの腰抜けぶり、ウクライナ戦争の背後にある本当の地政学的理由、そしてそれに続いて、驚くべき犯罪行為を取り上げようとしない西側メディアの衝撃的な奴隷根性である。

 これは、いろいろな意味で、また、現段階ではおそらく計算できないほど多くの意味で、議論を紛糾させる記事である。発表からわずか1週間で、その反響はさらに大きくなり続けている。欧米のジャーナリズムは危うく情けないものなので、ハーシュは、主要メディアが触れないことを承知の上で、自分の情報発信源でこの記事を発表せざるを得なかった。組織的にメディアが検閲されていること、メディアがプロパガンダの機能を果たしていることが暴露されたことそのものが、巨大なスキャンダルであり、それはさらに拡大するだろう。ロシアのメディアはハーシュの暴露によって正当性を証明された一方で、西側メディアが面目を失った。それにもかかわらず、この間、欧州連合はロシアのメディアを制裁しアクセスを禁止していた。     

 2022年9月26日、ノルドストリーム・パイプラインが爆破された。その後、欧州各国は、控えめな報道ではあるが、そのことを認めている。ロシア側としては、当初から西側諸国をテロ行為で非難してきた。米国は当初、ロシアがヨーロッパへの復讐のためにテロを行ったという、とんでもない主張を展開した。そして、西側メディアはその馬鹿げた言い分に同調した。

 被害が意図的な破壊工作であることに異論はない。全長1,222キロの海底民間インフラは、ロシア、ドイツ、フランス、オランダの企業連合が参加した世界最大のものであった。建設には10年以上を要し、その費用は120億ユーロ以上と推定されている。この爆発による天然ガス量の膨大な損失も、数十億ユーロという単位で貨幣化することができる。


国家が仕組んだテロ

 つまり、この破壊工作は、具体的な責任を問うまでもなく、国際法に違反する言語道断の国家的なテロ行為である。しかし、欧米のメディアは、「見ざる、聞かざる、言わざる」の猿のように行動してきた。

 この壮大な事件が起こったとき、多くの批判的な観察者たちは直ちに不正行為を疑った。9月30日付の我々の「戦略文化財団(Strategic Culture Foundation)」の週一度の社説では、見出しにこうある。「ノルドストリームの破壊行為で誰が得をするかは明白である」と。

 我々は事件発生からわずか数日後に、その原因として米国とNATOの同盟国による「意図的な破壊工作」がもっともらしいと推測していた。

 「もしそうであれば、民間のインフラに対するテロ行為であり、ロシアの国益に対する痛烈な打撃となる。戦争犯罪行為と解釈される可能性もある」と書いた。

 この社説では、バイデン米大統領が2022年2月7日にホワイトハウスで行った記者会見で発した警告の言葉を引用している。バイデン氏は記者団に対して、ロシアがウクライナに軍事介入した場合、ノルドストリームは「終焉を迎えるだろう」と、用意された台本を逸脱して謎めかして主張したようだ。その2週間後の2月24日にロシアは軍事介入している(NATOの致命的な挑発の結果として、ということは付け加えるべきだが)。

 「彼(バイデン氏)の謎めいた主張は、欧州各国政府を差し置いて、ノルドストリームを破壊するための緊急時対策がすでに認可されていたことを示唆している。そして、どうやら今週、その極悪非道な行動が正式に実行されたようだ」と書いた。

 (私たちは、この客観的な見識の高さを誇りに思っている。それなのに、この我々のオンライン・ジャーナルは、ロシアのプロパガンダの道具として、米国やヨーロッパ政府から中傷され、アクセスを禁止されている。)

 先週発表されたシーモア・ハーシュの調査報道は、多くの観察者が早い段階で疑っていたことを裏付けている。反論の余地のない事実として、ノルドストリームのガスパイプラインは米軍によって爆破された。それだけでなく、米軍はNATO加盟国のノルウェー、そしておそらくポーランド、デンマーク、イギリスを含む他のNATO加盟国によって援助され、けしかけられたのである。

 これは世界を揺るがすスキャンダルである。波紋はどんどん広がっていくだろう。ハーシュは、次の記事でさらに詳細な情報を提供することを約束している。他のジャーナリストは、昨年6月にバルト海で行われたNATOの軍事訓練を隠れ蓑にして、米海軍のダイバーが爆発物を仕掛けたという彼の詳細な報道について、現在裏付けをとっている。ハーシュは、C4爆弾のいくつかは計画通りには爆発しなかったと主張している。つまり、海底にはまだ米国が関与した決定的な証拠が残っている可能性があるということである。

 そして、爆発直後の現場を視察したスウェーデン人ダイバーによる先行報告もあった。彼らは現場をきれいにしようとしたのだろうか? スウェーデン当局は、その報告書の内容を明らかにすることを拒んでいる。デンマーク、ノルウェー、英国、そして何より米国は、この問題に答えなければならない。

 ロシアは、シーモア・ハーシュの最新の調査報道に基づいて、この問題に関して国連安全保障理事会を来週招集するよう要求した。中国もまた、この問題を調査するための独立した国際委員会の設置を要求している。

 また、ドイツ政府がこの破壊工作について何を知っていたのか、早急に質疑が行われる必要がある。本誌コラムニストのマーティン・ジェイが今週指摘したように、バイデンがノルドストリームを破壊するという不器用な脅しをかけた昨年2月7日には、オラフ・ショルツ首相がホワイトハウスにいた。つまり、ショルツ首相は爆破計画を事前に知っていたということになる。


欧米のメディアは沈黙している

 私たちはここで、複数の不正行為と重大な犯罪について話している。テロリズム、国家財産の破壊、侵略と戦争の扇動、反逆罪、そして欧米のジャーナリズムの砦とされるメディアによる組織的な隠蔽工作である。ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは、今のところハーシュの報告書を無視している。欧米のメディアは、この緊急のニュースを調査することをかたくなに拒んでいるのだ。なんという邪なことだ。

 国際的に有名な法律専門家であるフランシス・ボイル教授は、国際刑事裁判所の支援のもとで、ノルドストリーム事件に関して米国を起訴することが可能だと評価している(我々「戦略文化財団(SCF)」との電子メールのやり取りで)。米国は必須のローマ規程*の締約国ではないが、事件は締約国である欧州諸国の領土で発生した。このような訴追が進められるかどうか、そして今週末に国連安全保障理事会が行動を起こすかどうかは、現実的には意味のないことであるが、少なくともこのスキャンダルは国際世論の審判に大きな衝撃を与えている。

* 国際刑事裁判所(International Criminal Court: ICC)(www.icc-cpi.int)は独立した、常設の裁判所で、国際社会全体の関心事であるもっとも重大な犯罪、すなわち集団殺害犯罪、人道に対する罪、戦争犯罪に問われる個人を訴追する。また、2017年に締約国が行う決定によっては、侵略犯罪に対しても管轄権を持つことになる。刑事裁判所は、1998年7月17日、ローマで開かれた全権大使会議で採択された「国際刑事裁判所ローマ規程」(https://www.icc-cpi.int/)によって設立された。ローマ規程は2002年7月1日に発効した。2016年11月現在、締約国は124カ国である。
(出典:国際刑事裁判所 | 国連広報センター)


 シーモア・ハーシュ氏(現在85歳)のジャーナリストとしての功績は称えられるべきだろう。彼のレポートの細部については、いささか異論があるかもしれない。彼は関係者全員の全容を把握したのだろうか? そうではないかもしれない。彼のレポートは地政学的な分析ではないし、彼の前提のいくつかは、ウクライナ戦争への米国やNATOの関与に批判的でないことを示唆している。このような留保は、実際に何が起こったのかを理解するという彼の主旨からすれば、比較的些細なことである。

  しかし、これらの注意点はさておき、ハーシュの報道は超大型爆弾であると言える。彼のライフワークは非の打ちどころがない。1968年にベトナムで起きたミライ虐殺事件では、米軍によって数百人の男女や子供が無差別に殺害されたことを明らかにした。また、2004年にはイラクの悪名高いアブグレイブ刑務所での米軍による拷問を暴露している。


歴史的な影響

 ハーシュの過去の報道は、歴史的な影響を与えた。東南アジアや中東での米国の戦争の悪質な本質について、人々の理解と世論を結集した。

 多くの分析家や我々の「戦略文化財団(SCF)」の週間社説が繰り返し指摘してきたように、ウクライナ戦争は、「ロシアの侵略からウクライナと西側の自由を守る」という西側政府やニュースメディアが出す不条理なストーリーよりも、大きな地政学的原因がある。私たちは一貫して、NATOの拡大、ウクライナを潜在的な武器にすること、そして現在の紛争は、すべてアメリカ帝国主義の覇権支配の野望であると分析してきた。ヨーロッパとロシアの正常な関係を破壊すること、とりわけ戦略的に重要なエネルギー貿易を破壊することは、すべてその目的の一部である。この目的を追求することによって、核爆発にエスカレートしかねない最も危険な戦争を引き起こすことになった。

 米国の著名な評論家、ジェフリー・サックスが指摘するように、ノルドストリームの爆破に関する米国の犯罪行為は、第二次世界大戦以来何十年にもわたって行われてきた米国の犯罪行為のまさに特徴である。今と違うことは、この犯罪行為がより多くの人々の生活に直接影響を及ぼしていることだ。それは、破滅的な戦争の危険性から、米国の無謀な侵略によって引き起こされる経済的な惨状にまで及ぶ。

 ハーシュの記事は、西側メディアが恥ずかしいほどそれを無視し、それによって米国のテロリズムに自分たちが犯罪的に加担していることを暴露したかどうかにかかわらず、米国というならず者国家とその資本主義、帝国主義の力学について、世界にこれまで以上に認識させることになった。

 米国は、ヨーロッパで戦争を引き起こし、前例のない攻撃で核保有国のロシアと敵対し、ヨーロッパの市民に大量の貧困と苦難を与え、プロパガンダ・メディアを通じて常に嘘をついている。米国は究極の戦争犯罪国家であり、ヨーロッパの売国奴と共謀している。

 ロシアのプーチン大統領が数週間前に発言したように、歴史的状況は革命的である。
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ラブロフ露外相インタビュー:地政学的戦い、ウクライナ、そしてアメリカ例外主義

<記事原文 寺島先生推薦>

Geopolitical battles, Ukraine, and US exceptionalism: Highlights from Lavrov’s big interview
The Russian foreign minister sat down for a discussion on a wide range of issues

露外相、広範囲にわたる問題についての議論のテーブルに。

出典:RT

2023年2月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月21日

ラブロフ

モスクワで、ロシヤ・セゴドニャ国際メディアグループのドミトリー・キセレフ事務局長とのインタビューで話すセルゲイ・ラブロフ外相。© Sputnik/Grigory Sysoev



 モスクワはワシントンとの地政学的闘争に巻き込まれており、ウクライナ危機がその最前線にあると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が述べた。同外相は、西側諸国は敵対関係の終結に乗り気ではないと付け加えた。

 ラブロフは、2月2日(木)日に行われたロシア国営メディアの多項目に亘るインタビューで、米国がEUの独立性の一切合切を奪っていると非難し、この発言を行った。

以下は、ラブロフ外相テレビインタビューでの主要な発言


1.ウクライナは地政学的戦いの震源地

 西側諸国は、制裁によってロシアを無力化し、「後退の10年」をもたらそうとしている、とラブロフは述べ、ウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の言葉を引用した。

 「我々は地政学的な戦いの中心にいる。それは間違いない」と外相が述べた。

 ウクライナで戦うロシア兵は「英雄」であり、「その行為は、米国の完全な覇権のための条件がまったく存在しなくなる人類の未来のためのものだ」とラブロフは付け加えた。


2.米国の例外主義的信念

 米国は欧州の政治家を「服従させ」、EUから「独立の最後の痕跡すら」奪った、とラブロフ外相は主張した。米国が主張する「民主主義」とは、「民主主義がどのようにあるべきかを他者に押し付ける権利」に他ならない、とラブロフは述べた。

 ロシア外相は、ワシントンが他国に圧力をかけて言いなりにさせ、順守しても何の利点もなく、反対者には罰を与えると脅していると主張した。彼は、このやりかたを「プラグマティズム*の頂点であると同時に、シニシズム**でもある」と呼んだ。
* ドイツ語の「pragmatisch」という言葉に由来する、実用主義、道具主義、実際主義とも訳される考え方。(ウィキペディア)
** 他人の動機に対する一般的な不信感を特徴とする態度。野心、欲望、貪欲、満足感、物質主義、目標、意見などの動機を持つ人々に対して一般的な信念や希望を抱かず、それらを虚しく、達成することのできない、究極的には無意味なものであると認識し、嘲笑や非難に値すると考える。(同上)



 ラブロフによれば、米国の外交政策の核心は、米国の例外主義とワシントンの「無謬性と優越性」に対する信念であるという。


3.ウクライナにおける西側の意図

 ウクライナ紛争が激化し続けているのは、米国を中心とする西側諸国が「自分たちの覇権に対する脅威を排除したと結論づけるまで」止めようとしないからだとラブロフは主張した。ロシアを代表する外交官であるラブロフによれば、キエフは西側諸国によって、モスクワとの和平を求めることを禁じられている。

 「ウクライナ大統領ウラジーミル・ゼレンスキーがロシアとの交渉を法律で禁止したとき、誰も異議を唱えなかった。彼が...ロシアで誰が決定し、誰と話すべきかがわからないと主張しても誰も彼を叱らなかった」。

 ゼレンスキーは、欧米に支配され、操られていることを恥ずかしく思い、心理学で言う「投影」*に陥っているのだろう、とラブロフは示唆した。
* 心理学で、考え方や行動に心の内面が表現されること。自分の性質を他人の性質にしてしまうこと。投射。(デジタル大辞泉)


4.次の「反ロシア」

 ラブロフは、次に「反ロシア」になりうる国はどこか、との質問を受けた(「反ロシア」はロシア指導部が現在のウクライナを表現するのに使っている言葉である)。モルドバは、マイア・サンドゥ大統領の性格から、その役割を担わされる可能性があると述べた。

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 サンドゥは「自由や民主主義とは程遠い特殊な方法で国の舵取りをさせられている」とラブロフは評した。「彼女はルーマニアの市民権を持ち、(モルドバを)ルーマニアと合併させる準備ができており、ほとんど何でもすることができる」。さらに、サンドゥは「駆け足でNATOに加入しようとしている」とラブロフは主張した。

 ジョージアは、サーカシビリ前大統領の時代には、この表現がぴったりだったが、トビリシ*の現政権は、まずは、国益を最優先していると、ラブロフは付け加えた。
* ジョージア(旧グルジア)の首都


5.ウクライナへの支援は必要ない

 ロシアが加盟する地域防衛グループである集団安全保障条約機構(CSTO)について、ラブロフは「ウクライナへの軍事支援を同盟国に求めるつもりはなかったし、今後も求めるつもりはない」と明言した。

 「我々は特別軍事作戦の目標を達成するため、西側が(2014年の)クーデター後にキエフ政権を通して始めたこの戦争を終わらせるために必要なものをすべて持っている 」と彼は強調した。

岸田

関連記事:中国とロシアの関係は脅威―NATO


6.米国が設計したグローバリズムに対する中国の見解

 ラブロフは、現在のロシアと中国の関係は過去最強であるとし、「制限も限界もなく、議論に禁止されている問題もない」と言い添えた。

 モスクワも北京も、「国際貿易の既存の規範の枠内で」国家の発展を追求したいだけなのだ。

 「中国は、自国のルールのもと、自国の領域でアメリカを打ち負かす」とラブロフは評価した。ラブロフによれば、これが、アメリカが過去に世界中に広め、利益を得た経済原則を反故にする理由である。

 モスクワの目には、現在のグローバリゼーションは「もはやプラスの特徴を持っていない」とラブロフは言い、「我々が最初にパンチを食らったので、他より早くそれに気づいた」と付け加えた。

 ロシアは、米国の影響を受けた世界金融システムや、米国が現在悪用しているその他のメカニズムへは中国よりその「没入度が低い」、とラブロフは説明した。

 中国がこうしたメカニズムへの関与を減らし、自国の利益を守るための代替手段を生み出すには時間がかかるだろうが、その方向に進んでいる、とラブロフは予測した。
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民間の戦争請負業者の競合:米国がロシアのワグネル社を気にする理由

<記事原文 寺島先生推薦>

Private military competition: Why the US is so worried about Russia’s Wagner
Having used private contractors like Blackwater for decades, Washington is now 'concerned' about the new household-name PMC

ワシントンは数十年にわたりブラックウォーター社のような民間の戦争請負業者を利用してきたが、今や、よく知られるようになった新しい名前の業者を「懸念」している。

筆者:レイチェル・マースデン(Rachel Marsden)
     コラムニスト、政治戦略家。フランス語と英語で独自に制作したトークショーの司会者でもある。

2023年1月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月20日

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ルガンスク人民共和国にて、ロシアの民間軍事会社ワグネル集団の軍人が撮影。© Viktor Antonyuk / Sputnik


 民間企業を通じて他国の問題に干渉することは、長い間、米国の影響力行使の定番となっている。今、ワシントンはロシアが同じことをしていると非難しようとしているが、それは突然に悪いことになったようだ。

 最初にスタートを切れば必ず勝てるというわけではない。例えば、BlackBerry の携帯端末がどこにでもあって、iPhoneなんてほとんど聞いたことがなかった頃を覚えている人はいるだろうか。アメリカは何十年にもわたり、さまざまな偽装企業を通じて軍事・諜報活動を外部委託してきた結果、民間軍事・警備請負業者の BlackBerry、つまり Blackwater を作り上げた。そして今や、彼らは新しいiPhoneに相当するロシアのワグネル集団に夢中で、POLITICOが入手した外電によれば、ワシントンはウクライナ、シリア、アフリカ全域、セルビアでの彼らの活動(未確認の作戦を含む)を追跡している。

 報告書に引用されている「政権高官」によると、「アメリカ政府は、ワグネルが主権国家の内政にどの程度まで干渉し、人権を侵害し、鉱物資源を奪っているのかを懸念している」のだという。ワシントンが鉱物資源(これは開発途上国がいくらかの自由と民主主義のために米国の標的にされる主な根本的理由であることが多いのだが)をめぐって開発途上国の主権に新たな懸念を抱いているということはさておくとしても、ワグネル集団の存在が米国と同盟国の秘密活動の標的として既に知られている場所に集中しているように見えることを、彼らは無視できないのだろう。

 例えば、昨年、マリは、ワグネル集団を新たな相棒として選んでいるが、それはフランス軍を追い出した後だった。フランス軍はその国の治安を確保するのに苦労し、数年のうちに2度の政権転覆工作が起こるほどだった。また、ワグネル集団がセルビアに進出する可能性は、現在広く議論されている。この民間軍事会社はベオグラードの「文化センター」に拠点を置いているとされているが、当初テレグラムの投稿を情報源としたこの主張は、ワグネルの代表エフゲニー・プリゴジンとセルビア大統領アレクサンダル・ヴチッチの両方によって否定されている。また、ヴチッチ大統領は、最近ソーシャルメディアに現れたセルビア語のワグネル募集広告を批判していた。


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関連記事:米国のブラックウォーター傭兵がバグダッドで民間人を大量殺戮してから15年、民間軍事請負業者にとって何か変化があったのだろうか?


 もしこれらの主張が将来的に真実であると判明したならば、セルビアは、モスクワとその第一の同盟国であるベオグラードを標的とした西側支援の政権交代の温床になるのを防ぐのを助けるために誰かを雇うことを考えていたように思える。そして、ウクライナにおける西側の民間軍事請負業者の存在は確立されており、紛争が始まった当初から仕事の依頼が舞い込んできたと伝えられている。「募集:多言語を操る元兵士で、ウクライナに潜入し、1日最大2,000ドルとボーナスという高額な報酬で、深刻化する紛争から家族を救う手助けをしてくれる人」と書かれている。このように秘密裏に安全保障の役割を果たすだけでなく、戦争の霧に覆われた中で、戦闘的作戦に向けたちょっとした「先の見えない使命」*が魅力的でないと考えるためには、人はかなり世間知らずでなくてはならないだろう。
* mission creep本来は米軍事用語で任務を遂行する上で目標設定が明確でなく当初対象としていた範囲を拡大したり、いつ終わるか見通しが立たないまま人や物の投入を続けていかなくてはならなくなった政策を意味し批判的に使われる言葉(英辞郎 on the web)


 現代の防衛請負の青写真を作ったのは米国政府である。自動車用ミラー発明者エドガー・プリンスの息子、エリック・プリンスがブラックウォーター社を設立した。彼の父は、当時、共和党の最高献金者の一人であり、元国防長官(後に副大統領)ディック・チェイニーの友人でもあった。この会社は後に米国政府の対テロ世界戦争中にイラクとアフガニスタンのために有利な無入札警備契約を獲得することになった。同社は、CIAや国防総省の高官や幹部のための老人ホームのような存在になり、彼らは同社に転職して、高額の報酬を手にするようになった。2007年にイラクのニスール広場でブラックウォーター社の社員が発砲して14人の市民を殺害する事件を起こしたりして、同社はカウボーイ的な評判を得ることとなったが、その後の米政権下では米国の民間警備モデルとして繁栄してきた。

 ブラックウォーター社は、米国政府がもっともらしい否認の理由をつけて長い間委託していた秘密工作を明るみに出した。ニューヨーク・タイムズ紙に訓練し、カナダの特殊部隊を2年間訓練し、ニューヨーク・タイムズ紙が「アルカイダ幹部の追跡と暗殺の秘密計画」と表現したように、CIAと直接に関わって仕事をしていた。紛争地域でアメリカ人を保護するための、どちらかといえば善良に見えるアメリカ政府の公式契約にもかかわらず、CIAによって援助プログラムを通して資金提供されている他の組織と同じように、ワシントンの防衛、情報、外交政策の利益の直接的延長として機能していたのである。

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関連記事:ロシア国防省、「無私の」ワグネル戦士を賞賛


 2010年に遡るこのようなプログラムでは、USAID(米国国際開発庁)の資金で民間請負業者が雇われ、スンスネオ(ZunZuneo)というTwitterのようなソーシャルメディアネットワークの構築を通じてキューバで影響力作戦を実行した。この計画は、「議論の余地のない内容」を通じて無防備なキューバ人を引き込み、最終的に暴徒を内乱に導くというものだった。

 冷戦の最中、CIAは報道家でフェミニスト活動家のグロリア・スタイネムの活動に資金を提供した。彼女が仕事をした「独立調査局」は、国際青年フェスティバルを組織する偽装団体で、その目的は、ソ連の革命主義に代わる魅力的な選択肢を提示し、世界中の若者に影響を与えることであった。

 航空会社のエア・アメリカは、世界各地でアメリカの軍事・情報活動に重要な支援を提供したことで悪名高い存在である。1974年に解散するまで、CIAと国防総省の秘密の隠れ蓑として、ベトナム戦争から失敗したピッグス湾のキューバ侵攻まで活動した。

 このように、世に出た例は氷山の一角に過ぎない。

 米国とその同盟国にとってワグネル集団の本当の問題は、欧米の同業者と競合し、欧米の行動計画から逸脱した顧客の利益を保護する役割を果たしかねないことである。もしアメリカ政府が今そのことを問題にしているなら、そもそもそのような事態を引き起こしたのは自分たちであることを思い出すとよいだろう。
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米国国防総省、ウクライナのクリミア奪還の可能性を評価する。(ポリティコによる報道)

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Pentagon assess Ukrainian chances of retaking Crimea – Politico
Defense Department officials reportedly believe that success cannot be guaranteed.

国防総省幹部は、成功は保証されない、との見方を示したという。

出典:RT

2023年2月2日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月20日

クリミア 1
ファイル写真。© STAFF / AFP


 ポリティコ(Politico)*によると、ウクライナがロシアからクリミアを奪取する計画は、近い将来に成功する可能性は低いと、米下院軍事委員会の議員らが国防総省との機密会合で語ったという。
*政治に特化したアメリカのニュースメディアである。テレビやインターネット、フリーペーパー、ラジオ、ポッドキャストなどの自社媒体を通じてコンテンツを配信している。

 ポリティコは、匿名を希望した4人の人物から会議の詳細を聞いたと報じている。その情報源によれば、国防当局はその評価に至った理由を説明しなかったが、主な主張は、ウクライナにはロシア軍を半島から追い出す能力がない、ということだった。また、そのような状況がすぐに変わるとも思っていない。もしキエフがそのような作戦を試みたとしても、その成功は保証できない、とも情報源の一人は指摘している。

 国防総省のサブリナ・シン報道官は、この機密の戦況説明に関する見解や、「将来の潜在的な作戦に関する仮説や推測」について言及することを避けた。しかし、シン報道官は、ウクライナの「戦闘能力や主権領土を取り戻す能力...それ自体が自ずと物語っている」と述べた。

 ポリティコの報道は、米国統合参謀本部議長のマーク・ミリー将軍が同様の評価を述べた数週間後に行われた。昨年ロシアへの併合を決めた旧ウクライナの4つの地域と、住民投票の結果2014年にロシアに復帰したクリミアについて、「今年中にロシア軍をロシア占領下のウクライナから軍事的に完全に追い出すことは非常に困難だと、私は依然として思っている」とミリー将軍は述べていた。

 ただ、ミリー将軍は、これらの地域を最終的にウクライナに取り込むことができないとは考えていないと指摘しつつ、それは、「非常に、非常に難しい」と強調した。


クリミア 2

関連記事:ロシアとの戦いはウクライナにとって「非常に、非常に難しい」―米軍最高位の将官は語る。


 ウラジミール・ゼレンスキー大統領を含むウクライナ当局は、キエフの旧領土をすべて奪還することが政府の最優先事項であり、クリミアもその一つだと繰り返し主張してきた。また、モスクワと敵対関係を解消するための交渉は、これらの土地からロシア軍が完全に撤退した後に行われるべきだとも主張している。

 そのために、キエフは西側諸国から、より高度で長距離の兵器の要求を強めている。その兵器には、前線のはるか後方にいるロシアの標的を攻撃するための、ロケット砲や戦闘機、ドローンから発射する誘導弾などが含まれている。

 一方クレムリンは、クリミアと新たに編入された4つの地域を含むロシアの領土に対する脅威があれば、ロシア軍による「より強力な武器」の使用につながると警告している。

 ロシア下院のヴャチェスラフ・ボロディン議長は、キエフが民間人を攻撃し、ロシア領土を奪取するために使用できる武器を西側諸国が提供し続ければ、「世界の悲劇」になりうると警告している。
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ロシア外務大臣、「次のウクライナ」を警告

<記事原文 寺島先生推薦>

Russian foreign minister warns about 'next Ukraine'
Sergey Lavrov says the West is pushing the ex-Soviet republic of Moldova to align with NATO.

セルゲイ・ラブロフの発言によると、「西側は旧ソビエト共和国モルドバにNATOと提携するよう後押ししている」。

出典:RT

2023年2月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月19日

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モスクワで、ロシヤ・セゴドニャ国際メディアグループのドミトリー・キセレフ事務局長とのインタビューで話すセルゲイ・ラブロフ外相。© Sputnik/Grigory Sysoev


 モスクワのセルゲイ・ラブロフ外相は、ロシアメディアのインタビューで、モルドバがウクライナの次に、新たな「反ロシア」国になる可能性があることを示唆した。同外相は、西側諸国がキシナウ(モルドバの首都)に大統領を就任させ、この旧ソビエト連邦共和国を米国主導の側に引き入れようと躍起になっていると主張した。

 ロシアのメディアRIA NovostiとRossiya 24は2日(木)、ラブロフのインタビューを掲載した。彼は、ウクライナと同じ道を歩み、「反ロシア」になる可能性のある国はどこだと思うか、という質問を受けた。

 これに対してラブロフ外相は、西側諸国は「現在、モルドバにこの役割を果たさせることを検討中だ」と主張した。モルドバが選ばれたのは、西側が「自由や民主主義とは程遠い、非常に特殊な方法」で、従順な大統領を据えることに成功したことが主な理由だという。

 (モルドバ大統領)マイア・サンドゥ(女性)は「駆け足でNATO陣営に入ろうとしている」そして(彼女は)「ルーマニアの市民権を持っている」とラブロフは指摘した。

 モルドバの国家元首(マイア・サンドゥ)は隣国のルーマニアと合併する準備ができており、「実質的に何でもする」ことができる、とラブロフ外相は結論づけた。


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関連記事:NATOの代理戦争で危機に瀕する欧州国家の中立性 (モルドバの元大統領)


 ラブロフによると、西側諸国とモルドバの指導者は、5+2方式によるトランスニストリア*離脱地域に関する正常化プロセスを事実上停止させたという。これは、米国とロシア、国連、欧州安全保障協力機構、モルドバとトランスニストリアが関与するものである。モルドバ新政権はこのプロセスにもはや関心がなく、武力による奪還とロシアの平和維持軍をトランスニストリアから追い出すことを検討していると主張した。
*沿ドニエストル、公式には沿ドニエストル・モルドバ共和国は、東ヨーロッパにある事実上の独立国家。モルドバ東部を流れるドニエストル川と、モルドバとウクライナの陸上国境とに挟まれた南北に細長い地域に位置する。首都はティラスポリ。ロシア連邦の支援を受けているものの、国際的にはほとんど承認されておらず、モルドバの一地域として広く認識されている。本記事では原則として、事実上の独立国家については「沿ドニエストル(共和国)」、地理的な範囲については「トランスニストリア」と呼ぶこととする。(ウィキペディ)

 先月末、サンドゥ大統領は、「自衛能力について、自分たちでできるのか、より大きな同盟の一部になるべきなのか、真剣な議論」がキシナウで進行中と語った。

 サンドゥ大統領は同盟の相手として直接NATOを特定することはしなかったが、2020年に就任して以来、彼女は一貫して親西側の政策を追求してきた。

 モルドバは昨年、EUの加盟候補国として承認された。また、近年はNATOとの協力も積極的に行っており、NATOのコソボ駐留軍に軍隊を派遣している。

 モルドバ大統領は2021年9月にニューヨークでNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談し、同国の外相は昨年12月にルーマニアで開催されたNATOの会合に出席している。

 しかし、トランスニストリアの未解決の問題は、モルドバが米国主導の機構の加盟国になることを妨げている。NATOが加入を希望するどの国にも、加入に先立ってその国の領土および民族紛争を全て解決することを要求しているからである。
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ペトロダラーに発せられた警告

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Warning issued for petrodollar

世界中の石油の支払いに米ドルを使用しないことは、米国経済を弱体化させる可能性があると、ホワイトハウスの元高官が指摘した。

出典:RT

2023年1月31日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月18日

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© Getty Images/Comstock

 元ホワイトハウス高官ポール・クレイグ・ロバーツ氏によると、エネルギー取引において世界各国がドル離れを起こしているため、米国は深刻な経済リスクに直面しているという。

 レーガン政権下で経済政策担当の財務次官補を務めたロバーツ氏は、月曜日(1月30日 )に発表した論文で、ペトロダラーの終焉は、ドルの価値、そして米国のインフレと金利に深刻な悪影響を及ぼすと警告している。

 ロバーツ氏は、サウジアラビアが最近、石油の代金をドル以外の通貨で受け取ることに前向きであると発表したことを指摘した。ロバーツ氏によれば、そうなれば、ドルの需要も通貨価値も低下する。サウジは石油の代金をドルで請求することで、世界中の米ドルの需要を保証しているのだ、とロバーツ氏は説明する。「これはワシントン権力にとっても、米銀行の財政権力にとっても大きな脅威である」、と経済学者であるロバーツ氏は付け加えた。

 ロバーツ氏は、半世紀にわたってペトロダラーがドルの価値を支え、アメリカの大幅な財政赤字と貿易赤字の資金を確保してきたと指摘する。「1971年にニクソン大統領が金への兌換(だかん)を停止し、第二次世界大戦後のブレトンウッズ体制を事実上終了させた後も、米ドルが基軸通貨としての役割を果たし、ペトロダラーが世界通貨としてのドルの役割を支え続けてきたのだ」。

 しかし、ロバーツ氏によると、近年、米国は制裁や資産差し押さえによってドルの基軸通貨としての役割を乱用しているので、多くの国が貿易不均衡を自国通貨で解決したいと望んでいるという。「自国の利益になるように、彼らを脅し、罰することができる米国から逃れるため」 である。

関連記事: サウジアラビア、貿易でドル離れの用意(サウジ財務相)

 この記事では、もしサウジアラビアがペトロダラーを捨てれば、アメリカ人は厳しいインフレとアメリカの財政赤字を埋め合わせるために高金利に直面することになると述べている。その場合、通貨インフレに加え、外国からのドル需要の減少によるドルの為替価値の下落によるインフレが発生する。「このような事態になれば、米国は大幅な緊縮財政に陥ることになる」とロバーツ氏は警告した。
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プーチン、スターリングラード戦勝式典で西側に警告

<記事原文 寺島先生推薦>

Putin issues warning to West at Stalingrad event
The Russian president has condemned Western tank deliveries to Ukraine, promising a response that goes beyond armored vehicles.

ロシア大統領、西側のウクライナへのタンク納入を非難し、それへの対応は装甲車両にとどまらないだろう、と述べる。

出典:RT

2023年2月2日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月17日


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ロシア大統領ウラジミール・プーチン© RT


 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの欧米製戦車の納入が迫っていることに反発し、この脅威に対するモスクワの対応は、装甲部隊の使用にとどまらないだろうと警告した。プーチン大統領は、スターリングラードの戦いの勝利から80周年を記念する式典で、このようなコメントを発表した。

 「信じられないが、事実だ。我々は再び、車輛に鉤十字をつけたドイツのレオパルト戦車に脅かされている。そして、ヒトラーの信奉者であるバンデラ派の助けを借りて、再びウクライナでロシアと戦おうとしているのだ」とプーチンは言った。

 「戦場でロシアを打ち負かそうとする輩は、ロシアとの近代戦争が彼らにとって全く異なるものになることを理解していないようだ。我々は、彼らの国境に戦車を送り込むわけではない。しかし、われわれには対応するものがあり、それは装甲車の使用のみに限定されないだろう、誰もがそれを認識しなければならない」とも述べた。

 先週、ベルリンはキエフに近代的な装甲車を供給する姿勢を変え、レオパルト2戦車14両の納入を約束し、欧州各国が自国の在庫からドイツ製車両を再輸出できるようにした。ウクライナに提供される予定のレオパルトは約112両にのぼる。また、米国はエイブラムス戦車31両の供与を約束したが、供与は早くても2023年後半になる見込みである。

 モスクワは、西側諸国に対して、ウクライナに近代的な兵器を「供給」するのをやめるよう繰り返し要求しており、現在行われている軍事支援は、紛争の最終的な結果を変えるどころか、敵対関係を長引かせ、一般のウクライナ人にさらなる苦しみを与えるだけだと警告している。
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タッカー・カールソン(Fox Newsのホスト)、ケネディ暗殺とニクソン大統領の辞任について語る。

<記事原文 寺島先生推薦>

Tucker Carlson: The Deep State Removed Nixon, The Most Popular President Ever, To Cover Up CIA's Murder Of JFK

タッカー・カールソン:闇の政府が史上最も人気の高かった大統領であるニクソンを排除し、CIAによるJFK暗殺を隠蔽

筆者:ティム・ヘインズ(Tim Hains)

出典:RealClear Politics

2023年1月20日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月17日


(映像は原文で見られます。)

Fox Newsホストのタッカー・カールソンがケネディの暗殺とリチャード・ニクソンの辞任について語ります。


 タッカー・カールソン: この犯罪はジョー・バイデン一人の責任です。彼は一人で機密文書を自宅に持ち帰ったのです。彼はそれをするのに人の助けは借りませんでした。アメリカが侵略されるのを許したのです。そんなことは、一人で出来る事ではありません。だから、もしバイデンが南国境を開いたことで取り押さえられたら、他の多くの人たちも一緒に取り押さえられるでしょう。彼には多くの共犯者がいたのです。恒久ワシントンはそれを望んでおらず、結局のところ、ここがポイントなのです。恒久ワシントンが支配しているのです。あなたが想像していたような民主主義ではないのです。私たちは今、それを目の当たりにしています。

 もしあなたが理解したいのなら、アメリカ政府が実際に最高レベルでどのように機能しているのかを本当に理解したいのなら、そしてなぜいま歴史を教えないのかを知りたいのなら、一つ知っておくべきことは、アメリカ史上最も人気のある大統領はリチャード・ニクソンだったということです。リチャード・ニクソンです。しかしどういうわけか アメリカの有権者が一票も投じないまま リチャード・ニクソンは大統領職を追われ アメリカ史上唯一選挙で選ばれなかった大統領に取って代わられたのです。つまり、私たちは最も人気のある大統領から、誰も投票しなかった大統領になったのです。ちょっと待って。なんで私がそんなこと知らなかったのか、と皆さんは質問するかもしれません。リチャード・ニクソンは犯罪者じゃなかったのか?

 まともな人間からは軽蔑されていたのでは? いや、そんなことはありません。実際、国民に選ばれたと言える大統領がいるとすれば、それはリチャード・ニクソンです。リチャード・ニクソンは1972年、後にも先にも記録されたことのない大差の票数を得て再選されました。ニクソンは対抗馬よりも1700万票多くの票を獲得しました。それから2年も経たないうちに、彼は姿を消したのです。彼は辞任に追い込まれ、代わりにジェラルド・フォードという連邦政府機関の従順な下僕がホワイトハウスを引き継ぎました。

 なぜ、そうなったのか? まあ、長い話になりますが、次のことがそのハイライトになる部分です。たくさんのことがわかります。リチャード・ニクソンが信じていたことですが、連邦政府の官僚機構のいろいろな集団がアメリカの政府システムを弱体化させるために働いており、かなり以前からその動きはありました。そのことを彼はよく口にしていました。彼の考えは100%正解だったのです。1972年6月23日、ニクソンは当時のCIA長官リチャード・ヘルムスとホワイトハウスで面会しました。幸いにもテープに録音されていますが、その会話の中でニクソンは、「誰がジョンを撃ったのか」を知っていると示唆したのです。ジョンとはJFKのことです。さらにニクソンは、CIAがケネディ暗殺に直接関与しているとほのめかしました。もっとも、そんなことは今では周知のことですが。ヘルムスの反応は? 完全な沈黙でした。しかし、ニクソンにとっては、それはどうでもいいことでした。もう終わったことだからです。その4日前の6月19日、ワシントン・ポスト紙がウォーターゲート・オフィス・ビルへの不法侵入に関する最初の記事を掲載していました。

 ニクソンは知らなかったし、ワシントン・ポスト紙も報じなかったのですが、5人の侵入犯うち4人はCIAに勤めていました。ウォーターゲート事件に関する、多くのいいかげんな記事の最初のものは、ボブ・ウッドワードという29歳の都市部担当記者が書いたものです。ボブ・ウッドワードとは誰なのか? 彼はジャーナリストではありませんでした。ボブ・ウッドワードは報道関係の経歴をまったく持っていません。ボブ・ウッドワードは連邦政府の機密部門から直接来たのです。ウォーターゲート事件の少し前、ウッドワードはペンタゴンの海軍士官でした。

 彼は最高機密を目にすることを許される立場にいました。情報機関とも定期的に仕事をしていました。時には、ニクソン・ホワイトハウスにも派遣され、リチャード・ニクソンの首席補佐官と交流しています。海軍を退役して間もなく、理由は定かではありませんが、ウッドワードはワシントンで最も強力な報道機関(ワシントン・ポスト)に雇われ、この国で最大の記事を任されることになりました。実際に何が起こっていたのかを明確にするために、ウッドワードがウォーターゲート事件シリーズのために得た主な情報源は、FBIの副長官であるマーク・フェルトでした。マーク・フェルトは、FBIのCOINTELPROプログラムを運営しており、これは連邦機関が潰したい政治家、リチャード・ニクソンなどの人物の信用を秘密裏に落とすためのプログラムでした。同時に、同じ機関が、ニクソンが選出した副大統領スピロ・アグニューの失脚も狙っていました。1973年秋、アグニューは脱税で起訴され、辞任を余儀なくされました。後任は、ジェラルド・フォードというグランドラピッズ出身の無色透明の下院議員でした。

 フォードが副大統領なるための資格は何だったのでしょうか? 彼は、ケネディ大統領殺害事件でCIAの責任を免責したウォーレン委員会の委員を務めていたのです。ニクソンは、議会の民主党議員からジェラルド・フォードを受け入れるように強く説得されました。「我々はニクソンにフォード以外の選択肢を与えなかった」とカール・アルバート下院議長は後に自慢げに語っています。8ヵ月後、ウォーレン委員会のジェラルド・フォードがアメリカ大統領になりました。どうですか? これが事実であり、憶測ではありません。すべて実際に起こったことなのです。どれも秘密ではありません。そのほとんどは実際にウィキペディアに載っているのですが、主流の報道機関はその話をしたことがありません。とても明白なのに、意図的に無視され、その結果、恒久ワシントンが政治を支配したままなのです。

 選挙で選ばれたわけでもない連邦機関の終身雇用者がアメリカ政府で最大の決定を下し、彼らを抑制しようとする者を潰し、その過程で我々の民主主義はジョークと化すのです。さて、トランプ政権時、各省庁が、その後を追ったのが、マイケル・フリン将軍だったことにお気づきだったかもしれません。なぜフリンなのか? なぜなら、マイク・フリンは国防情報局を運営する陸軍情報将校のキャリアだったからです。つまり、マイク・フリンはこのシステムの仕組みを熟知しており、その結果、反撃することが可能だったのです。ドナルド・トランプの就任式から4日後、FBIはマイク・フリンを弁護士抜きで会議に誘い出し、一連の偽の犯罪をでっち上げ、辞任に追い込みました。

 つまり、これがワシントンで実際に行われていることなのです。もう嘘はおしまいにしましょう。一方、ジョー・バイデンは、司法省がマイク・フリンを潰したとき、ハイエナのように(獲物捕獲の喜びを)大声で吠え立てました。だから、6年後にジョー・バイデン自身に非常に似たことが起こるのを見るのは、ある種の倒錯した正義と言わざるを得ません。ジョー・バイデンは私たちの同情に値しません。彼はいま嵌められていますが、彼のために泣くことはないのです。でも、私たちは、より良いシステム、つまり機能する民主主義に値するのです。誰も投票しなかった人間たちがすべてを動かしているとき、私たちは自由な国に住んでいるとは言えないからです。
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元ゼレンスキー補佐官、ウクライナ軍の命運に疑問を投げかける。

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Ex-Zelensky aide casts doubt on Ukraine’s military fortunes
There is no guarantee that Kiev will be able to defeat Moscow’s forces, Aleksey Arestovich has said.

アレクセイ・アレストビッチ氏は、キエフがモスクワ軍を撃退できる保証はないと発言している。

出典:RT

2023年1月22日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月17日

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ウラジーミル・ゼレンスキー大統領の元顧問、アレクセイ・アレストビッチ氏。© Wikipedia


 ウラジーミル・ゼレンスキー大統領の元顧問であるアレクセイ・アレストビッチ氏は、金曜日(1月20日)に、ウクライナはロシアとの紛争で勝利する機会を無駄にしてしまったと語った。

 政治評論家ユーリ・ロマネンコ氏とのインタビューで、アレストビッチ氏は、「誰もが戦争に勝つことが保証されていると考えているなら、その可能性は少ないようだ」 と述べた。

 アレストビッチ氏は質問した。「ポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領の評価、つまり、ウクライナが生き残れるかどうかは基本的に確実ではないと言ったことを、あなたはどう思うだろうか? 彼は特別な理由もなくそう言ったのか、それとも何らかの情報をもとにそう言ったのか 」と。

 ドゥダ大統領は数日前、紛争における「決定的な瞬間」が、数週間から数カ月以内に訪れる可能性があると述べた。「そしてこの瞬間が、ウクライナが生き残れるかどうかの答えになる」と説明し、欧米製の武器でキエフを支援する必要性を強調した。

 また、アレストビッチ氏は、ウクライナは無敵だと考えてはいけないと警告した。「無敵でいられるのは、双方が激しく戦う状況になるまでのことだ。そのような状況になってしまえば、我が国はあっという間に打ち負かされてしまうだろう。」


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関連記事:ロシアとの戦いはウクライナにとって「非常に、非常に難しい」:米軍最上位の将官


 この元政府高官は、ウクライナは 「軍事的好機を逃しただけでなく、貴重な時間も失い、そのせいでロシアは動員を始め、前線の状況を回復し、いくつかの場所で優位性さえ作り出すことができた」 と述べている。さらに、「こうなってしまったのは、西側が(ウクライナに)武器を与えなかったことだけが理由ではなく、国内や国家(政策)面において、我が国は絶好の機会を逃してしまったからだ」と付け加えた。

 火曜日(1月17日)、アレストビッチ氏は、南東部の都市ドニエプルにおいて、住宅街に落下し数十人が死亡させたロシアのミサイルは、ウクライナの防空隊によって撃墜されたと発言したことにより、職を辞した。その後、この元補佐官は自分の発言について「重大な誤りだった」と謝罪した。

 ロシア国防省によると、悲劇が起きた当日、ロシアは「ウクライナの軍事指揮統制システムと関連するエネルギー施設に」ミサイル攻撃を行ったという。ドニエプルの事故について、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は「ロシア軍は住宅や社会インフラ施設を標的にすることはない」と述べた。攻撃はあくまで軍事目標が目的だ」 と述べた。

 モスクワは昨年10月初旬に、キエフのインフラに対する攻撃を強化した。戦略的に重要なクリミア橋への致命的な爆撃や、ロシア国内でのウクライナによる度重なる破壊工作を理由とするものである。
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セルゲイ・ラブロフ露外相の記者会見:2022年ロシア外交の成果

<記事原文 寺島先生推薦>

News Conference by Foreign Minister Sergey Lavrov on the 2022 Russian Diplomacy Outcomes

出典:INTERNATIONALIST 360°

2023年1月18日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月17日

ラブロフ

2022年のロシア外交成果に関する記者会見でのセルゲイ・ラブロフ外相の発言とメディアの質問に対する回答(2023年1月18日、モスクワ)。


記者のみなさん、こんにちは。

 この記者会見は、新年の初めに集まり、昨年の成果と起きた出来事について話し合うことになっています。2022年は困難な年であり、まあ、今までにないような年でもありました。それは、10年以上にわたって醸成されてきた地政学の根深い動向と、主要国の国際的な願望を反映したものでした。

 西側諸国は、ウクライナとその周辺の情勢を主要なメディア、政治、経済の話題にすり替え、ロシア連邦がウクライナに対する「侵略」のために世界経済が混乱していると非難しようとしました。こうした主張に対し、いつまでも反論するつもりはありません。世界銀行、国際通貨基金、国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関の統計は、特別軍事作戦の開始よりずっと前から危機が進行していたことを、説得力を持って示しています。プーチン大統領は、主に米国とその同盟国の自己中心的な立ち位置のせいで、世界経済に否定的な現象が出現していることを示す資料を繰り返し引用しました。

 今ウクライナで起きていることは、米国とその同盟国が、ロシア連邦に対する全世界的なハイブリッド戦争*の開始を準備した結果です。誰もこの事実を隠してはいません。これは、公平な西側の政治家、科学者、政治家の発言から明らかです。コロンビア大学の政治学教授であるイアン・ブレマーは、最近の論文で、「われわれはロシアと冷戦状態にあるのではない。我々はロシアと熱い戦争をしている。今は代理戦争だ。そして、NATOはロシアと直接戦っていない。ウクライナを通して戦っている」と書いています。 この事実認定は率直で、この結論は見たとおりのものです。それに反論しようとする人がいるのは不思議です。最近、クロアチアのゾラン・ミラノビッチ大統領が「これはNATOの戦争だ」と発言しました。率直で正直な発言です。数週間前、ヘンリー・キッシンジャーは(最近の論文でNATOにウクライナを受け入れるよう促す前に)、ウクライナでの出来事は衝突であり、あの領土の支配をめぐる二つの核保有国の対抗関係だとはっきり書いています。彼が言わんとしたことははっきりしています。
*正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせる戦争の形態(ウィキペディア)

 西側諸国のやり方は狡猾です。自分たちがロシアと戦っているわけではなく、「侵略」に対応し、領土の一体性を回復しようとするウクライナの手助けをしているだけ、ということを躍起になって証明しようとしているからです。彼らの支援の規模を見れば、西側諸国は対ロシア戦争に大きな賭けをしています。これは明らかです。

 ウクライナをめぐる一連の出来事は、米国が正当な手段で世界的地位を強化する試みをやめ、非合法な方法で支配力を確保しようとする暗黙の動きを浮き彫りにしています。何でもあり、です。かつてアメリカ主導の西側諸国によって作られた、尊敬されていた機構や制度は捨て去られました(私たちがウクライナで見ていることを理由にしているわけではありません)。自由市場、公正な競争、自由企業、財産の不可侵性、推定無罪、一言で言えば、西側の世界的な規範準が依拠していたものすべてが一夜にして崩壊したのです。これらの教義や仕組みに従わないロシアや、その他の異議を唱える国々に、制裁が課されました。制裁は、アメリカの命令に、自分の心を放棄して従うことを拒否するいかなる国に対して、いつでも、課すことができることは明らかです。

 欧州連合は、このアメリカの独裁体制に完全に飲み込ました(このことを長々と議論しても仕方ありません)。1月10日の「EU-NATO協力に関する共同宣言」の署名は、数年前から進められてきたこの変更過程の頂点に立つものでした。この宣言では、同盟とEUの目標は、黄金の10億人の利益のためにあらゆる政治的、経済的、軍事的手段を用いることであると明確に述べられています。これはまさに、NATOとEU諸国の住民10億人の利益のために、と言っているのです。ジョゼップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表の言葉を借りれば、それ以外の世界は「庭」の発展を阻害する「ジャングル」であり、したがって、自分たちの必要性に合わせて再形成し、新しい形態の植民地にして、新しい方法で彼らから冷酷に資源を吸い上げなければならないのです。これらの方法は、悪魔化、恐喝、制裁、武力による威嚇、などなど、あまりにもよく知られたものです。西側は、さまざまな地域の歴史的な友好関係国の間の伝統的な結びつきを破壊し、それらをバラバラにし、不安定化させるという方針をとっています。バルカン半島やソビエト崩壊後にできた「余白」的な国々、特に米国とその「子分」、「調停人」が中央アジアや南コーカサスで行っていることをよく見てみると、このことがよくわかります。

 ウクライナの周りで起こっていることはすべて、長い間に、作り続けられてきたものです。最初のマイダン抗議デモは2004年に行われ、そのとき初めてヨーロッパの当局者が、ウクライナは西側かロシアか、どちら側につくか決めなければならないと宣言しました。それ以来、このどちらか一方を選ばせるという手口は、この地域における西側の政策において一貫して推進されてきました。間違った側を選んだ者、あるいは歴史的、家族的なつながり、伝統や宗教的な信念によって(ウクライナに住んでいても)ロシア連邦と結びついていると信じていた者は、最初は多少穏やかに、そしてその後は情け容赦なくに、虐待され、政治場面から排除され、そして刑事的に告発されたのです。彼らは妥協しない報道家や政治家を殺害し、政府見解を報道しないメディアを閉鎖しました。ナチス警察国家づくりが本格化したのです。実際、それは、西側の祝福を受けて行われました。彼らは「西側につくのか、ロシアにつくのか」という選択肢を使って、西側に反対する人々を特定し、厳しく罰してゆきました。

 NATO-EU宣言に話を戻します。これは興味深い文書です。NATOとEUは、世界的な対立構造の中で、独裁国家に反対す民主主義国家として提示されます。専売特許である対立課題が、世界の耳に入るよう宣言されてきたのです。欧州はその独立性を放棄しています。共同宣言は、欧州をNATOに直接従属させるものです。また、ロシアと中国を地政学的に封じ込めるという問題において、米国の利益に貢献するという約束が含まれています。彼らの宣言した目標は、以前から誰もが知っていたことですが、今では白黒をつけ、米国主導の同盟が世界的な優位性を達成できるようにすることなのです。

 NATOは、欧州大陸の生活を組織することにとどまりません。2022年6月、NATOのマドリード・サミットは、軍事的勢力圏であるNATOが世界規模の取り組みを行う、特にインド太平洋地域と呼ぶアジア太平洋地域との関係で、その取り組みを進めることを宣言しました。 インドとの関係でさらなる問題を引き起こすために、インドを説得しようとしていることは明らかです。彼らの鬨(とき)の声は、「大西洋とインド太平洋地域の安全保障は切り離せない!」です。単なる言葉遊びでしかありません。1990年代以降、安全保障の不可分性という原則に対する同じ取り組みが、欧州安全保障会議(OSCE)とロシア・NATO理事会によって宣言されました。この言葉は、すべての国家にとって平等な安全保障であり、他国を犠牲にして自国の安全保障を強化しない義務という意味で使われていました。今、この言葉はその文脈から切り離され、NATOとインド太平洋地域の利害の不可分性という新たな意味を与えられています。その差は歴然としています。

 いわゆる「インド太平洋地域」において、欧米はロシアや中国に対抗するための勢力圏を作ろうとしています。この目的のために、彼らは、平等、合意、利害の均衡に基づいてASEANを中心に作られた数十年にわたる協力の仕組みと形式を着実に破壊してきました(このことについては黙っていたいのでしょうが)。その代わりとなる軍事的勢力圏を形成しているのです。その典型的な例が、米国、英国、オーストラリアを含むアジアにおけるアングロサクソン勢力圏、AUKUSです。日本もこれに参加するよう圧力を受けています。岸田文雄首相の最近のワシントン訪問で、この方針を確認することになりました。日本は再び軍国主義に走っています。私の理解では、日本は前のめりになって、この動きの邪魔になる憲法の条文を変えようとしています。その過程は進行中です。

 他の地政学的な領域における西側の行動については、今は話しません。米国と西側諸国全体の政策が、今日あらゆる領域で困難を生み出している主要な問題であると私たちはみなしています。要するにこういうことです。ワシントンの国際問題における独裁政策とは、まさに、アメリカ人が地球の反対側であろうと、どこでも好きなことができるということです。自分たちが必要だと思うことをする。他のすべての国は、アメリカの承認なしには何もできない。たとえ、自国の国境でアメリカが作り出す直接的な安全保障上の脅威に対応するためであっても、です。

 ロシア帝国に対して欧州のほぼ全土を動員したナポレオンや、欧州諸国の大半を占領してそれをソ連に振り向けたヒトラーのように、アメリカはNATOとEUのほぼすべての欧州加盟国による連合体を作り、「ユダヤ人問題」の最終的解決を目指したヒトラーのように、「ロシア問題 」を解決するという昔からの目的のためにウクライナを使ってロシアとの代理戦争を行っているのです。

 西側の政治家たちは、――バルト三国やポーランドだけでなく、もっと理性的な国々からも――ロシアに戦略的敗北を与えなければならないと言っています。政治評論家の中には、ロシアの脱植民地化について、ロシアは大きすぎて「邪魔 」になると書いている人もいます。先日読んだザ・テレグラフ紙は、アブハジア、南オセチア、トランスニストリアを解放し、カレリア、ケーニヒスベルク、千島列島は交渉にまわそうというものでした。もちろん、ザ・テレグラフ紙はタブロイド紙ではありますが、三流紙も、時には、第一面の見出しになるような記事を報道するので読まなければなりません。

 このような発言は、我が国の、組織に属さない反対派を含めて、かなりの数にのぼります。西側の政治家は誰もそれらに反論していません。フランスのマクロン大統領は、ロシアとベラルーシを除くすべての欧州諸国を招待する形で、欧州政治共同体の創設を提案しましたが、欧州諸国会議の開催も提案しています。EU加盟国、東方の友好的諸国(グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン)に加え、モルドバ、ウクライナにも門戸を開くべきだと提案したのです。ベラルーシが招待されることはないでしょう。EU諸国と東方の友好的諸国、それにロシアからの政治的に活発な移住者が参加する可能性があります。欧州との関係を維持しようとするロシア地域も招待される可能性があると言われています(マクロン大統領の発表ではなく、その後に出された意見においてです)。私は、すべてがはっきりしていると思います。これは白か黒かの問題ではありません。西側が主張するのとは反対です。これは彼らの世界支配と、処罰を伴う無条件の国家弾圧の戦略なのです。

 西側の政治家たちは、制裁のことばかり言っています。ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は最近ダボス会議で、ロシアとベラルーシに新たな制裁を科すと発言しました。これが彼らの狙いです。彼らは自分たちの本性を現しました。国連安全保障理事会の国々が、国際法やその義務に違反した国に対する制裁について議論してきたのは今に始まったことではありません。そして、そのような措置を取った西側諸国は、毎回、制裁は国民を傷つけるものではなく、「政権」を対象とするものであると約束しました。その約束はどうなったのでしょうか。

 彼らは、対ロシア制裁は国民を煽り立て、現在の指導者たちを打倒するための革命を起こさせるためのものだ、と公然と言っています。もはや礼儀もへったくれもありません、礼儀を守ろうともしません。西側は、何としてでも、どんな不正な手段を使ってでも、米国と米国政府がすでに屈服させた西側諸国の支配を、なりふり構わず確保しようします。彼らのいろいろなやり口から分かるのは、歴史的に見ても、多極化する世界の台頭を阻止しようとすることによって、客観的な出来事の流れに抗して行動していることです。このような変化は、米国政府や他の国の政府高官からの命令で起こるのではありません。当然な理由があります。

 各国は経済的に発展しています。中国やインド(私たちの戦略的相棒です)、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、エジプト、そして多くのアフリカ諸国を見てください。その膨大な天然資源を考えれば、発展可能性は計り知れません。経済成長の新たな中心が生まれつつあるのです。西側は、自らが作り上げた全世界的統合の枠組みの中で、自らの利益を図るために作られた仕組みを利用し、その発展の邪魔をしようとしています。この点で、基軸通貨としてのドルの役割は決して無視できません。だからこそ、SCO(上海協力機構)、BRICS、CIS(独立国家共同体)、EAEU(ユーラシア経済連合)を通じた接触や、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの提携国との協力において、私たちは西側とその新植民地主義的手法(これは今や隠しようもなくなっている)への依存を避けるために、新しい交流形態を作り出すためにできる限りのことをしているのです。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、このことについて率直かつ明確に語っています。新植民地主義的手法は、昨今の新しい状況において、世界の他の国々から富を奪うというあからさまな目的のために用いられています。信頼できる友人や友好国との取引において、私たち全員に利益をもたらす協力の形態を私たちは発展させているのです。全世界を服従させようとする者たちに発言権はありません、と。

 以上はこの1年を振り返っての感想です。要は、昨日今日始まったことではなく、何年も前から起きていることなのです。このプロセスはまだ続くでしょう。多極化した世界を作り、民主主義と正義の勝利のために、そしてすべての国家の主権的平等の尊重という国連憲章の原則を遵守するために必要な関係を完成させるには、時間がかかるのです。国連憲章は良い基礎となるものです。採択された当時、それは革命的な文書でした。残念ながら、西側はその正しい原則をすべて歪めてしまいました。国家主権の平等性、内政不干渉、紛争の平和的解決という原則を尊重しなかったのです。米国は国連設立以来、何百回となく海外で軍隊を使用しました。その大半は、国連憲章を粗暴に踏みにじったものです。

 多極化した世界秩序を作るには、長い時間がかかるでしょう。これは、歴史的な一時代をまるまる必要とします。私たちは今、この進行過程の真只中にいます。このような大きな出来事に直接参加している人は、すぐにはその全体像を見ることができないことがあります。だからこそ、私たちは常に連絡を取り合い、お互いの意見や感想を共有することを非常に大切にしています。私は、海外の友人だけでなく、ここにいらっしゃるメディアの皆さんのことも念頭に置いています。皆さんからいただくご意見やご質問は、私たちにとって有益なものです。

質問:ロシアと米国を中心とする西側主要国との間で、今年中にウクライナに関する協議が行われる可能性について、あなたはどのように考えていますか? ウクライナ問題解決の文脈で、ロシアはどのような安全保障問題をテーブルに乗せたいのでしょうか? 活発な敵対行動を今年中に止める可能性はあると思いますか?

セルゲイ・ラブロフ:活発な敵対行動に関して、ロシアの軍部は複数回、説明しています。プーチン大統領が再度個人的に確認したのは、特別軍事作戦の目標は現実的なものであり、藪から棒に出したものではない、ロシア連邦の基本的かつ正当な利益、そして主には我が国と国境を直に接している国々との国際的位置関係から決定した、という2点です。

 ロシア連邦に隣接する他の領土と同様、我が国に直接的な脅威を与える軍事施設は一切あってはなりませんし、ウクライナの同胞に対する差別、迫害もあってはなりません。運命のいたずらか、彼らはウクライナ国家の市民となりました。しかし、彼らはウクライナ憲法に完全に則って、自分たちの言語、文化、伝統を守り、その伝統の中で子供たちを育てたいと願っています。その憲法は、他の少数民族の言語の自由な使用と保護を保証しるのです。そこではロシア語が強調されています。この憲法は現在も有効なのです。

 私たちはメディア各社に資料を送付しましたが、それには、憲法の条文と国際条約に基づきウクライナが守るべき具体的な義務、そして憲法やウクライナ国家が守るべき国際的義務に違反して採択された法律の拡大リストが掲載されています。2022年10月のゼレンスキー大統領のZDFとのインタビューには驚きました。彼は、もしロシアの勝利が許されるなら、他の大国も「勝てる」と判断するだろう、と主張したのです。 そして、そのような国はユーラシア以外の大陸にもしっかり存在しています。したがって、彼の言い方では大国は小国を「絞め殺し」、他はみんな自分たちで分割することになります。ウラジミール・ゼレンスキーが協調したのは、彼は異なる筋書きで動くということです。つまり地球上のすべての人は、どこに住んでいようと、世界の他の人と同じように同じ権利を持ち、保護されていることを知るだろうが、それとは異なるシナリオということです。これは、2021年11月(1年前)に、ウクライナ東部には人ではなく「種」が住んでいると発言した人物が述べたものです。さらに前の2021年8月、ゼレンスキーは、ウクライナの市民のうち、ロシア的な感じ方をし、ロシア的な考え方し、ロシア人であり続けたいと思う人がいるならば、自分の子や孫の未来のために、ロシアに向けてさっさと退去すべきだと言っています。この同一人物が、今「すべての人が平等で、思い通りに生きられる日を私は夢見ている」と宣言しているのです。この「美しい」言葉は、西側の利益のために発せられていることは明らかです。だが、こういった発言はすべて現政権の本質を鮮やかに描きだしています。私たちが特別軍事作戦の中核となる目標を手放せない理由は明らかです。

 会談の見通しについては、何十回となく議論され、検討されてきたことです。明白な事実を繰り返すつもりはありません。2021年3月から、私たちはウクライナの協議要請を支持しました。しかも、ウクライナが提案した和解協定案をまとめ上げました。しかし、ウクライナは誰かに叱られて、時期尚早だと言いました。その後、2022年の春以降、夏の間、そして秋口まで、西側の高官たちは、いろいろな言い方で「交渉開始は早すぎる」と繰り返し言ってきました。より強い姿勢で交渉を始められるよう、ウクライナにはもっと武器を持たせる必要があるのです。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は先日、「ウクライナを武装させることが平和への道だ」とあからさまに発言しています。ゼレンスキー自身は、食料、エネルギー、生物の安全保障、ロシア軍の撤退、ロシア連邦の懺悔、法廷での有罪判決など、すべてをごちゃまぜにしたまったく馬鹿げた10項目の計画を打ち出しました。

 ゼレンスキーとの交渉は問題外です。彼はロシア政府との会談を禁止する法律を採択しているからです。西側が言う「西側は話し合う用意があるが、ロシアはそうではない」というのは、言い逃れ以外の何物でもありません。

 ウクライナに関するロシアと西側との協議の見通しについてお尋ねがありました。私たちは、真剣な提案であれば検討し、次にどうするかを決める用意があります。今のところ、そのような提案はありません。西側諸国政府からは、「ウクライナ抜きでウクライナの話はするな」というマントラ*のような主張が聞こえてきます。それはナンセンスです。実際のところ、西側がウクライナに代わってこの間いろいろな決断をしているのです。西側は、2022年3月下旬、合意が完全に正式決定された時点で、ゼレンスキーにロシアと何も合意するな、とも言いました。つまり、西側が電話をかけてウクライナに指図しているのです。西側はウクライナ抜きで、ウクライナのために、今は時期が悪いと判断したのです。今、彼らが口を揃えて言っているのは、「ウクライナに更なる武器を!そして、ロシア連邦に恥辱を!」です。
*サンスクリット語で、本来的には「文字」「言葉」を意味する。真言と漢訳され、大乗仏教、特に密教では仏に対する讃歌や祈りを象徴的に表現した短い言葉を指す。(ウィキペディア)

彼らの中で誰が軍事計画を立てているのかはわかりません。CIAのウィリアム・バーンズ長官は、対外情報機関のセルゲイ・ナリシキン長官と会談しました。バイデン大統領がこの会談の開催を提案し、プーチン大統領も同意しました。会談は行われましたが、何の打開策もありませんでした。

 散発的に、それも稀ですが、西側との接触は行われています。ですが西側は公の声明で述べている以上のことは何も言いません。真相について私たちがどういう立ち位置を取っているかは、周知の通りです。ウクライナについて、西側とだけ話すのは無意味です。西側はウクライナを利用して、これまで長年にわたって欧州大西洋地域に存在していた安全保障制度を破壊しようとしています。この安全保障制度は、不可分の安全保障と対話と協力を通じて問題に対処するという原則に依存してきたものです。OSCE(欧州安全保障協力機構)は、西側が現在せっせと葬り去ろうとしている理想を体現していました。(同じ理想を持った)欧州評議会については事実上葬り去ってしまいました。対話と合意と妥協の探求のために設立されたこれらの組織は、今や、すべての点で、あらゆる場所で、米国(とその金魚の糞となっている他の西側諸国)の完全支配という同じ政策を推進するために利用されています。ウクライナについて「何か考えよう」と言えば、他はすべて彼らの思い通りになるのでしょうか? いや、それはありません。腰を据えて率直な議論が必要となるでしょう。

 西側が自ら閉ざした領域で私たちが主導権をとる必要は今の段階ではないと思うのです。それにはみんなが誇りに思っていた欧州評議会で行われていたことも含まれます。さらに、欧州評議会には、欧州評議会に加盟していなくても参加できる協議会が数十もあります。西側は、ここでもロシアを排除し、欧州評議会の非加盟国にも開かれているこれらの協議会の関連団体の業務に、私たちの代表が参加することに差別的な障害を築くことを決めました。このような状況において、彼らは私たちの代表が報告会に参加することに対して、受け入れがたい条件を提示しているのです。このような状況下に置かれれば、私たちの忍耐は限度を超えるでしょう。最近、私たちは、まさにこういった理由で、汚職防止協議会から脱退しました。これは、私たちがもう汚職と戦わないという意味ではありません。手続き上の権利さえ制限されている状況で、関係機関の会議の際にひじ掛けのない粗末な椅子に座らされ、西側の講義を聞くようなことはしたくないということです。その種の例を挙げればきりがありません。

質問:ロシアが敵対行為を開始したとき、ロシアは自分をよく見せようとしなかった、アメリカなど他の帝国主義諸国と同じことをしている、と多くのヨーロッパ人は考えています。アメリカは地球の半分近くを爆撃し、国際法を犯して領土を奪っているのです。こうした批判的な発言は、この政策の犠牲となったギリシャ、キプロス、バルカン半島で出ています。この問題については、おそらくあなたがだれよりも一番よくご存じでしょう。エーゲ海でトルコがギリシャに脅威を与えているという噂があります。この見方に対して、あなたはどのような反論をしますか?

セルゲイ・ラブロフ:私は議論するのではなく、単に私の見解を述べるだけです。あなたは、ロシアが特別軍事作戦を開始したとき、自分をよく見せようとはしなかった、と言いました。これは興味深い表現です。

 プーチン大統領が何度も指摘したように、私たちはソ連が解体した後、「自分をよく」を見せました。2001年、大統領に就任して最初に行った外遊のひとつがドイツです。ドイツ連邦議会においてドイツ語であいさつをしました。そうすることで、プーチン大統領はドイツとロシアの歴史的和解に率先して関わったのです。この和解は、ベルリンの壁が崩壊し、ドイツが再統一された1980年代後半から1990年代前半に行われました。国家の段階、官僚の段階で行われました。その露独間の歴史的な和解に、プーチンは個人的に貢献したのです。ドイツ統一が実現したのは、まずソ連のおかげであることを忘れてはなりません。他の戦勝国は、控えめに言っても、ドイツ統一に乗り気ではなかったからです。

 国際法を尊重し、欧州と人類全体に利益をもたらすような解決策を模索するという点で、私たちは自分をよく見せることをいとわず、それを繰り返し行ってきました。欧州当局が「ウクライナは欧州とロシアのどちらかを選ばなければならない」と発言した、ウクライナの最初のマイダン抗議デモ(2004年)の例を私は挙げました。プーチンのミュンヘン演説の3年前の出来事です。その時、私たちが期待したのは、①理性が勝利を収めること、②嘘ばかりついて、約束に反してNATOをさらに東に移動させ続けるべきでないこと欧州が理解するようになること、この2点でした。こんなことが許されないのは、そういう口頭の約束があったからというだけではありません。誰も他国を犠牲にして自国の安全を強化してはならず、OSCE加盟国のいかなる組織も支配を主張してはならないことがOSCEの文書にも義務条項としてきちんと書かれているからです。その約束は文書化され、ギリシャ、米国、そしてロシアの指導者が部分的に署名しています。また、最高指導者が署名したロシア・NATO協議会の文書にも、欧州における支配を主張する者があってはならないという規定が盛り込まれています。

 私たちが公式に抗議しているのに、NATOが無謀な前進をしたことを、義務の遵守と解釈できるのであれば、私たちと西側の間に理解は絶対生まれないでしょう。質問されたあなたはそう考えず、この問題を明確に理解していると確信しています。質問されたあなたは、私たちが他の帝国諸国と同じように行動していると言いましたね。そうです、私たちは再び帝国と評されるようになりました。この問題については有識者や専門家にお任せしたいと思います。

 ロシアは膨大な数の民族、300近くの言語、世界のほぼすべての宗教を網羅し、これらすべての民族の民族的伝統が尊重されている国です。ロシアは何百年もの間、多民族・多宗教国家として発展してきました。西側の植民地主義とは異なり、ロシア帝国に参加した国々を弾圧したり、破壊したり、アメリカ人のように自己や統合性を失って皆同じになってしまうような溶鉱炉(メルティングポット)に放り込むようなことは決してしなかったのです。今やアメリカ人の失敗は一目瞭然です。ロシア帝国に参加したすべての国々は、自分たちの価値観、伝統、独自性、習慣、言語を捨てませんでした。

 領土を奪うことに関して、そして私たちも西側帝国と同じ「本能」を持っているのですが、米国は約300回、他国の領土に侵攻しています。ほとんどの場合、中米やカリブ海で常に起こっているように、誰かがアメリカを怒らせたから、あるいは平和と安全に対する脅威を排除するために行ったのです。例えば、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有しているとされましたが、これは後に嘘であることが判明しています。リビアでは、ムアンマル・カダフィを民主主義者ではなく、独裁者だと考えて排除しようとしました。彼らは、イラク、リビアなど、社会的・経済的生活水準がかなり高かった豊かな国々をめちゃめちゃにしました。ユーゴスラビアでは、彼らはバルカン半島を壊滅させようとしました。ドイツの利益のためというのが一因でした。ドイツはEUが共通の路線を調整するのを待たず、クロアチアとスロベニア(の独立)を承認したのです。このため、この動きは後戻りができなくなり、バルカン半島諸国が連合体や他の形で統一される可能性が封じられました。セルビアはバルカン半島の西側への従属に反対して立ち上がりました。西側はそれに対して何をしたのか? ジョー・バイデン上院議員は、NATOのセルビア侵略の1年前の1998年に、ベオグラードを爆撃することに賛成だと述べ、アメリカの飛行士を派遣してドリナ川にかかるすべての橋を爆撃し、セルビアに埋蔵する石油を没収することを提案しました。ご記憶の通り、バイデン上院議員の要求は1年後の1999年に実行されました。 その時の『タイム』誌の表紙にはこう書かれています:    「セルビア人を屈服させる。大規模な爆撃が平和への扉を開く 」 誰もそれに反応しませんでした。法廷も提案されませんでした。誰もそれについて考えることさえしなかったのです。

 同様に、アメリカが正当な理由もなくシリアに侵攻し、シリアの都市を破壊し始めたときも、誰ひとり法廷設置を提案しませんでした。例えば、ラッカは瓦礫と化したのです。何十、何百もの死体が何カ月も放置されたままでした。そう、国際社会、国境なき医師団、そして国境なき記者団は声を上げましたが、誰も法廷設置には言及しませんでした。国際刑事裁判所(ICC)が、アフガニスタンでアメリカ人が犯した戦争犯罪を調査すると決めたとき、アメリカはICCに複数の制裁措置を叩きつけ、アメリカの銀行に保管されている裁判所の資金を差し押さえると脅したのです。そして、この国際的に高い権威を持つ国際刑事裁判所(ICC)は口を閉ざしました。もちろん、いろいろ比較することは可能です。

 しかし、私たちはロシアの安全保障を守りました。ウクライナはロシアを攻撃するための橋頭堡にされ、私たちの利益を棄損しようとしました。何よりも、アゾフ海にはアングロサクソン系の海軍基地が建設される予定でした。これは深刻な問題です。

 第二に、ウクライナ憲法で権利が保証されているロシア人を屈辱的に扱うことは、彼らが私たちの同胞であるため、容認できません。彼らは、ウクライナ憲法で保証されている自分たちの正当な利益を守るために、私たちに期待しているのです。2014年の政権転覆は西側が火付け役だったのですが、そのあとウクライナで国民対話を開始する動きは一切ありませんでした。西側は明確に政権の側に立ち、ドネツクとルガンスクを爆撃して反ロシアの目標とナチスの理論と実践に取り組むことを即座に宣言しました。誰もこれらの犯罪を調査していません。法廷も設置されず、それを検討することすらしませんでした。政権転覆を認めない人々に対して開始された戦争の動きが止められたとき、ミンスク協定が結ばれました。ご存知のように、これらの協定に署名したドイツ、フランス、そしてポロシェンコ(プーチン大統領は入っていません)は、最近、ウクライナに多くの武器を送り、戦争の次の段階への準備を整える時間を得るために行ったと述べています。これはどういうことなのでしょうか?

 この件に関しても、私たちは自分をよく見せなかったとお考えですか? ロシアだけがミンスク協定の履行を迫りました。他はすべて、アメリカの助言に従って行動したペテン師だったのです。

 ギリシャとキプロスの苦しみについてです。彼らの更なる苦しみが何であるのか、私にはわかりません。私たちは、ギリシャ人、キプロス人と常に良い友人であり続けてきました。私たちは、両国の指導者に起こった変化に注目しています。

 私たちに対してハイブリッド戦争を仕掛けるために、どのように軍が構築されたかは誰もが知っています。ロシアと何世紀にもわたる歴史的な関係を持つ国は言わずもがなですが、ヨーロッパ諸国の首相や大統領が事実を知らない、あるいは分析できないとは考えられません。ギリシャやキプロスを含むヨーロッパ諸国の立場から私が導き出した結論は、彼らはアメリカの独断に服従することを強いられたか、自発的に同意したということです。アメリカはヨーロッパを屈服させたのです。ヨーロッパは、もはや 「戦略的自治」を考えることは許されないでしょう。1年前にヨーロッパへの米軍増派が議論されたとき、ロイド・オースティン米国防長官は、この部隊は暫定的に配備されるのか、それとも恒久的に配備されるのか、との質問がありました。彼は、この問題はワシントンで決定されると答えました。誰もヨーロッパの意見を聞くことはないでしょう。

 私たちは、このことから結論を導き出しました。そして、ロシアに対する侵略を、押っ取り刀で、従順に支持した人々に関しても、結論を導き出すことになるでしょう。

 この戦争はいずれ終わります。私たちは、いずれにせよ、自分たちの真実を守り抜くでしょう。しかし、その後、私たちがどのように生きていくかはわかりません。すべてはヨーロッパで出される結論にかかっています。

質問:ウクライナでの特別軍事作戦の開始後、実はこれはロシア+ロシア以外の一部の国に対する欧米の集団的な対立であることを、私たち全員が注目しています。ジョージアを含むこの地域の小国は、困難な状況に置かれています。アメリカが支配する政治団体やメディアによる過激な攻撃が絶えません。その所有者であるアメリカ人は、不道徳で倒錯した価値観や、西洋の行動規範を押し付けようとしているのです。これは、私たちの文化や独自性とは相容れないものです。したがって、西側は小国の文化的主権を破壊し、支配権を得ようとしていることになります。世界一体化主義者(グローバリスト)が追求するこの冷笑的な政策の最終的な目標は、これらの小国を自分たちの政治的利益のために犠牲にすることです。ウクライナは、遺憾ながら、その悲しい事例です。ジョージアやその他の地域の小国も同じ脅威にさらされています。このような状況下で、ロシアは西側の破壊的な文化的拡張に対して明確な戦略を持っているのか、それは保守的な価値を守る問題において自然な同盟者となりうる国々との協力を意味するのか、それを私たちは知りたいと思っています。

セルゲイ・ラブロフ:これは途轍もなく大きな問題です。今、ウクライナについて話をしました。昨日、国連安全保障理事会はロシアの主導で特別会合を開き、キエフ政権の宗教的権利や少数民族を含む人権に関する政策がもたらす国際平和と安全への脅威について議論しました。

 文化的な存在感や、伝統的な価値を守ることを通し、否定的な傾向に対抗することは、宗教とロシア正教会やジョージア正教会による活動に直接関係しています。ウクライナでは、(ロシア正教会は)ロシアの影響を与える道具ではありません。むしろ、伝統と歴史を守り、それを世代から世代へと受け継いでいくための機関なのです。 しかし、教会は破壊され、禁止され、司祭は逮捕され、市民権を剥奪されています。こんなやり方で、西側は自らの価値を主張するために戦争を仕掛けているのです。

 海外の聴衆に真実を伝えることのできるロシアで人気のある記者や、政治家、政治学者が制裁に直面した場合、私たちは同じやり方で報復しなければなりません。私たちは報復しなければなりません。しかし、報復は私たちの選択ではありません。冷戦時代においてすら、ソ連とアメリカの研究者たちは定期的に集まり、その時の最新の諸問題を議論していました。 今は、そのような機会はほとんどありません。時折、西側の政治思想のある代表者が、全く非公式な伝達経路で、「あなた方」と「われわれ」の側の人間が参加するかもしれない体験型講座(ワークショップ)を中立の場で共同開催できないか、とおずおずと声をかけてきました。ちょっと前までは、誰もそんなことを尋ねませんでした。昔はある研究所同士で合意していたものです。しかし、このような交流に参加していた西側の研究所は、今ではすっかり怯えています。彼らはかなり強い嫌がらせを受けているのです。

 この価値観を守るジョージア正教の姿勢には、大いに敬意を表します。一般的に、私たちはジョージアの人々と何の問題も起こしたことがありません。

 2008年の時の話です。4月にブカレストで開催された首脳会議で、ジョージアとウクライナがNATOに加盟するとの宣言が承認されたのですが、そこでNATOが一役買っています。アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官も、ミヘイル・サアカシビリ(ウクライナ改革執行委員会議長)がツヒンバルと平和維持軍の陣地に砲撃を命ずる1ヶ月前にジョージアに来ています。証拠は出揃っていますが、サアカシビリは興奮のあまり、やることなすこと、みんな自分へのご機嫌取りだと結論づけています。

 ブカレストに発した動きがウクライナの人々の心に届くには、少し時間がかかりました。しかし、結局彼らは、自分たちの土地からすべてのロシア的なものを追い払うようになりました。私たちは、アブハジアと南オセチアがジョージアと関係を結ぶことに賛成です。そこには対話の仕組みがあり、私たちも参加しています。ジョージアが信頼を築くために、共同経済事業を実施することを提案して以来、かなり長い時間が経過しています。 これらはすべて有益なものです。しかし、現在、ジョージア、アブハジア、南オセチアの間のジュネーブ協議の西側参加者(EU、国連、OSCE、米国)は、この形式さえもウクライナ周辺で起こっていることの人質にしようとしています。 こんなことは上品なやり方ではありませんし、専門家らしくもありません。そして、それは、この特定の地域における彼らの目的を、彼ら自身の政治的不満と気まぐれに依存させることを意味します。

 ジョージアとの人的交流が進展していることをうれしく思います。2022年、ジョージアのGDPは10%成長しました。これは、ロシア連邦との観光と貿易関係によるところが大きいです。近いうちに直行便の運航を再開できることを期待しています。

 ジョージアをはじめとするすべての国が、対ロシア制裁に参加するよう公然と促す西側の圧力にさらされているのを私たちは目の当たりにしています。小国とその政府が、自分たちの国益と経済の利益が大事だ、と言う勇気を持っているという事実は尊敬に値します。

質問:先ほど、西側は仮面を脱ぎ捨てたとおっしゃいました。フィンランドのニーニスト大統領が新年のスピーチで、ロシア連邦はナチスのように残忍であるとかなり率直に述べました。それについてどのように思われますか。

 ソ連時代には、「帝国主義」や「植民地主義」という言葉は政治的な表現技法の一部でしたが、今日もまた頻繁に耳にするようになりました。新自由主義、グローバリズムという新しい言葉も出てきました。ゲンナジー・ジュガーノフやロシア共産党が過去30年間使ってきた言葉です。今や、あなたやロシア大統領も使っていますね。今日、ロシアに反対している人たちをあなたはどのように理解しているのでしょうか? これらの思考概念は今日的なものなのでしょうか、それとも過去のものなのでしょうか?

セルゲイ・ラブロフ:ニーニスト大統領の新年の声明と最近の別の会見についてですが、ギリシャやキプロスと同様に、我々はフィンランドを国家間の友好関係の典型例として見てきました。「異なる社会政治機構を持つ国々の共存」という言葉を使ったときからずっと、です。そのフィンランドが(スウェーデンもですが)、これほど早く言い方を逆転させたことにびっくりしています。どうやら、その背景には実行手法の変化があったのでしょう。あるいは、こういった反ロシア的なものはずっとありました。ヨーロッパ共通の家の必要性やヘルシンキ宣言の原則尊重といった美しい言葉でうまく偽装してきたのです。2025年にヘルシンキでOSCE75周年記念サミットを開催する可能性まで言及しています。わかりません。そういった発言に、はっきり言って、私は度肝を抜かされています。

 サーリ・ニーニストは、ヨシフ・スターリンのフィンランド攻撃とウラジーミル・プーチンのウクライナでの行動を直接比較し、プーチンはフィンランドでのスターリンのように負けるだろうと述べました。正直言って、かなり粗野な物言いでした。しかし、ナチス・ドイツへの言及は、果たして彼の本心を反映しているのかどうか、疑問を抱かざるを得ません。フィンランド人は、第二次世界大戦の前後で起こった経緯の中で、(実は)罪のない犠牲者ではなかったという事実を含め、自分たちの歴史についてもっと認識してほしいと思います。フィンランドが主導的な役割を果たしながら、多くの点で)ヨーロッパが以前に作り上げたものを、(主にフィンランドの奮闘で)いま解体しつつあることは残念なことです。しかし、私たちはまだ隣人です。これは変えようがありません。フィンランドは、NATOへの加盟が自国の安全を保証してくれると信じ、喜び勇んで(そして必死になって)加盟を望んでいます。しかし、私たちが述べたように、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟(もし実現すれば、ですが)すれば、私たち自身の結論を出さなければなりません。私たちの国境で適切な軍事技術的措置を講じることになるでしょう。

 私は「新帝国主義 」とは言いませんでした。質問者のあなたの隣に座っている人が、ロシアは他の帝国主義国と同じように振舞っていると言ったのでした。それは好みの問題です。植民地時代の慣習については、プーチン大統領が言及しました。西側がやろうとしていることの事実に即した評価です。植民地主義とは、ある国を掌握し、その犠牲の上に生活することを指します。しかし、それにはさまざまな方法があります。17世紀には、奴隷を船で連れ去りました。もう一つの方法は、国や組織を、その計画や事業も含めて、植民者の意のままに従わせることです。それは、今、アメリカがEUに対して行っていることです。アイスランドはEUに加盟していません。幸運でしたね。EUは今や完全に独立性を失い、本質的にNATOの付属品となっています。EUでは、時折、差別されているという公式声明が出ます。フランスのブルーノ・ル・メール経済大臣は、欧州の産業界にガスを国内企業への4倍の価格で販売するのではなく、欧州の利益に配慮するよう同盟国であるアメリカを説得する必要性に言及しました。

 一般に、液化天然ガスへの長期移行は、現在のような価格変動があるにせよ、欧州の生産コストの深刻な上昇を意味します。面白いことに、何年も前に欧州はロシアに長期契約からスポット価格への移行を主張しました。今、ウクライナの事件を背景に、ヨーロッパはカタールと交渉し、新しいエネルギー源を見つけようとしています。カタールは、「喜んで」と、最低でも15年契約を提示しました。欧州は米国との交渉に戻りました。昨日読んだ記事によると、アメリカはよりさらに手頃な価格を提示することに同意しましたが、それは長期契約の場合に限られるとのことです。信頼性と持続可能な展望を持つことは、証券取引所の日々の値動きを追うことよりも重要です。しかし、ヨーロッパの産業はすでに米国に移転し始めています。欧米を含むある政治学者は、ウクライナ周辺で起きている一連の出来事の目的の一つは、欧州の競争力を低下させることだと言っています。これは、中国やその他の競争相手を世界市場において同様に競争力を低下させるための一歩です。

 植民地主義は、発展途上国との関係において顕著に表れています。アメリカの投資がどこに向かっているか見てください。そして、それぞれの投資取引には、必ず何らかの政治的要求か米軍の配備が含まれています。私は(その2つに)大きな違いを感じません。多くの学者が、この現象、つまり新条件における植民地主義をすでに研究していることは知っています。それは最も純粋な形の植民地主義であり、その目標と目的を考えると、それは征服し、その資源を自分たち(植民地主義者)に有利に利用することなのです。

質問:外交には、多くの実行方法があります。主なものが言葉です。2022年の外交界で最も悲劇的だった言葉は何だと思いますか? この1年で希望を与えた言葉、そしていま世界中が必要としている言葉は何でしょうか?

セルゲイ・ラブロフ :非常に詩的な質問ですね。私たちの思考は、ほとんどの場合、具体的な事柄を巡ってです。私たちが何をやっているか、を語っていただいたほうがいいのではないですか。

 でも、1番目のご質問にお答えします。それは「戦争」です。今の進行している事態は私たちの対応です。(プーチン)大統領も言っているように、もう少し早く対応すべきでした。これは、私たちに対して仕掛けられたハイブリッド戦争に対する対応です(対応が遅れたということはありません)。西側は今日、手を変え、品を変え、その行動計画を推し進めています。希望を与える言葉は「勝利」です。そして、あなたが質問された3つ目の(私たちが必要としている)言葉が 「勝利」 だと思います。残念ながら、「交渉」 という言葉を聞きたがる人たちは、自分たちではそれを望んでいるわけではありません。彼らは、対ロシア戦争をできるだけ長く引き延ばすために、この言葉をさまざまに操作しているのです。

質問:ロシアの外交政策において、アラブ諸国はどのような位置を占めているのでしょうか。この分野の優先順位は2022年に改定されたのでしょうか?

セルゲイ・ラブロフ:アラブ人は私たちの長年の忠実な友人です。私たちは、アラブ連盟や湾岸協力会議を通じて、二国間チャンネルで定期的に連絡を取り合っています。昨日、私はアラブ連盟加盟国の全大使と定例会議を行いました。2022年5月、私はカイロにあるアラブ連盟本部を訪問しました。その全加盟国の前で発言しました。

 私たちの立場を理解してくれたようです。これはウクライナの問題ではまったくありません。新しい世界秩序を作り出すことを巡っての問題なのです。それは、アメリカとその同盟国の、支配を意味する彼らの「規則」に完全に従属させるべきだと考える人々と、世界秩序を民主化することを望む人々との間の戦いなのです。

 私はこのことを何度も言ってきました。西側は常に誰に対しても民主主義を要求していますが、彼らが口にするのは、この国家、あの国家、(つまり自国以外の国家)の内部制度のことだけです。それでいて、誰もアメリカの民主主義について質問する権利さえないのです。最新の(アメリカの)選挙に関する研究があります:死んだ人が当選した、ある下院議員は選挙区の登録有権者の2倍の票を得た、郵便による投票があった、その他いろいろ、です。こんなことは許されません。国際関係における民主主義について話し始めると、すぐに彼らは席を立ちます。彼らは民主主義を望んでいません。彼らが必要としているのは世界における「規則」です。ただし、すべての国に民主主義と主権の平等を保証する国際法ではなく、彼らがすべてを決定することを可能にする「規則」を必要としているのです。NATO-EU宣言にはこうあります。「10億人の市民の利益のために」、このジャングルは保護され、植民地的に利用されなければならない、というのです。

 西側からの、前例のない、極めて厳しい、無慈悲で、そして卑屈さを強いる圧力にもかかわらず、アラブ諸国は一国として制裁に加わらなかったのです。私がアラブ連盟を訪問した際、同連盟事務総長が私の演説の前に話してくれたのは、私の到着3日前に西側の大使団が訪れ、私の演説を中止させるように要求した、とのことです。

 アラブ連盟はロシアと友好関係にあるのですから、そんなことはできません、という丁重な返事を西側にしました。その後、西側が要求したのは、私が発言したら、すべてのアラブ連盟加盟国はロシアの侵略を非難する発言をするように、ということでした。ここでも、各国にはそれぞれの立場があり、それをどのように定義するかは自由であるとの丁重な返事を西側は与えられました。3つ目は、西側にすれば、こんな卑屈なことも言わなければいけないのか!という要求だったと思います。その要求とは「ラブロフと一緒の写真に納まってはいけない!」。冗談を言っているわけではありません。

 その後、事務局の人がこれらを紙面化し、各大使館に、この措置について知らせました。別に自慢して言うわけではありませんが、1時間以上にわたる発表の後、大使のみなさんから一緒の写真を撮らせてほしい、との要請がありました。記録として残しておくことは重要でしょう。些細なことかもしれませんが、他の多くの国、特にヨーロッパでは、こんなことでも政治的な勇気が必要とするでしょう。

 アラブ世界との関係には、前向きな勢いがあります。もちろん、違法な制裁があります。国際通貨・金融制度を管理する国々の苦悩が現前の事実としてあります。それらは私たちの貿易・経済関係に織り込まれなければなりません。私たちは、植民地主義者からは隔絶された新しい供給網を構築しています。また、自国通貨での決済に切り替えることも増えています。私たちは多くの世界規模の事業を抱えています。エジプトでは、ロシアは原子力発電所を建設し、工業地帯の建設に参画しています。アルジェリアでも多くの事業があります。モロッコでも有望な計画があります。実際、こういった事業はほとんどすべてのアフリカ諸国にあります。アラブ諸国との貿易・経済協力のための政府間委員会は懸命な取り組みを行っています。また、外務省段階で運営されているロシア・アラブ協力フォーラム(公開討論会)もあります。パンデミックにより、ここ2、3年はひざを突き合わせて会うことができませんでした。現在、この地域のいずれかの国で、定期的な閣僚会議を開催することを、アラブ連盟本部と話し合っています。どこでやるかは友好国の裁量で決められます。一つの選択肢として、ロシア連邦はいつでも会議を主催する用意があります。

 アラブ世界といえば、欧米がパレスチナ問題で何もせずに、毎日ウクライナについて何かを要求しているという事実に対して、私たちの仲間たちが明らかに不満を持っていることに触れないわけにはゆきません。私たちが深く失望しているのは、西側がその国土を破壊した後のパレスチナやリビアの問題解決について、ほとんど進展が見られない事実です。イラクに関する問題もまだ残っています。ロシアを疲弊させ、戦略的に打ち負かすことに比べれば、これらの問題やその他の地域的課題は、西側にとって二次的、時には三次的問題なのです。

 私たちの同胞国は、私たちが異なる立場を持っていることを理解しており、私たちはこれを高く評価しています。私たちは、パレスチナ問題、シリア問題、そしてリビア問題の解決について、絶え間ない努力を続けてきました。イラクに関しては、イラクの同僚と緊密な連携を取るつもりです。これらの紛争について忘れてはいけません。特に、パレスチナ問題は、世界で最も古い未解決の紛争です。国連事務総長は、国際調停機関である「カルテット(国連、米、EU、ロシア)」構成国の一員として、この課題をより積極的に推進することができた可能性があります。

質問:あなたは、ラッカと、この都市を廃墟にした米国による略奪的で攻撃的な政策について言及しました。シリア国民に対する違法、不公正、一方的な制裁、そしてシリアの土地の一部が占領下にあるという事実、これらすべてがシリアの危機を長引かせ、シリア国民の生活状況を悪化させる結果になっています。米国とその同盟国によるシリア・アラブ共和国に対する国際法・人道法の違反や、難民が歴史的な土地に戻ることを禁止しようとする取り組みについて、どのような意見をお持ちですか?

セルゲイ・ラブロフ:この件に関しては、多くのことが言えます。制裁は容認できません。これは、西側による彼らの制裁は一般市民に影響を与えないという言い方が嘘であることを示す、もう一つの例です。制裁の目的は、人々の生活を悪化させ、自国政府に対して反旗を翻させることなのです。こう言ったほうがはっきりしているし、むしろ分かりやすい。

 人道的な分野ではいろいろな批判があります。シリアに届く人道支援物資の量を見てください。シリアが受け取っているのは、国連が必要だと考えている量の約半分です。これは、すべての人道支援事業にとって最悪の数値のひとつです。

 西側は、難民がシリアに戻ることをほんとうは望んでいません。国連難民高等弁務官事務所が、レバノンのシリア難民キャンプで特別調査用紙を配布したのですが、あろうことか、それには、シリアは難民にとって良くない、レバノンにいた方が良い、ということがあけすけに書かれていました。私たちはこの問題に黙ってはいませんでした。彼らは私たちに謝罪し、この質問調査を取り下げました。こういったことを見てもわかるように、いわゆる国際社会が難民をどのように扱っているか、です。

 これはすべて政治的な理由によるものです。実際、国連安保理決議2254号は、シリア国民全体の参加による選挙を行うことなどを定めています。ところが、いざこの選挙になると、シリア・アラブ共和国はすでに欧米の干渉を受けずに独自に選挙を行ったにもかかわらず、西側はどうしても難民も投票できるようなある種の総括的な選挙を押し付けたいのです。西側は難民キャンプにいる人たちを、西側が育成した野党に投票させる方法を知っているのです。これは隠しようもありません。相当な恥知らずです。

 アメリカは、ベネズエラのためにフアン・グアイド*を育て上げることは無意味であり、国民によって力を与えられた人々と協力することが必要であると悟ったのです。同様の傾向は、現在、バッシャール・アル・アサドに関しても表面化しています。アメリカとシリアは、戦争捕虜について水面下で連絡を取り合っています。トルコを含む他の国々は、ダマスカスとの関係を正常化することを提案しています。トルコのエルドアン大統領は、シリアのアサド大統領と会談する用意があると述べました。彼らは私たちに支援を求めてきました。トルコとシリアの国防相がロシアの協力を得て会談し、外相同士の会談も実現しつつあります。一部のアラブ諸国はシリアを離れず、そこに大使館を置いたままです。他のアラブ諸国は、大使館を再開しました。例えば、アラブ首長国連邦は仲介の経験が豊富な国ですが、大使館を前向きに利用することが多くなっています。私たちはこれを高く評価しています。生命力が、現実としっかり手を取り合って、こういった問題をすべて見直すよう双方に迫ることになるでしょう。どこかの国が描いた地政学的な概念の完璧な絵などは論外です。
*大統領ウゴ・チャベスやニコラス・マドゥロの反米左翼政権に対峙させるために、アメリカが育て上げたアメリカの傀儡政治家。

 しかし、イドリブ*は主要な問題の1つです。そこにテロリストの派遣を認めないという合意事項を完璧に守る必要があります。また、シリア北東部のクルド人と政府との連絡も必要です。私たちと意を同じくするトルコの人々がこの問題に懸念を抱いていること、そして米国がクルド人を利用してシリア東部に準国家を作り、クルド人にワシントンの指示に従って行動することを強制し、常にある種の地域不安定要素を作ろうとしていることに苛立ちを覚えていることを、私たちは認識しています。
*シリア北西部のイドリブ県の県都。トルコ国境の南にあり、60km東にある大都市アレッポの経済的影響下にある。人口はおよそ55,000人。スンナ派アラブ人が多数を占めるが、キリスト教徒やクルド人も多く住む。(ウィキペディア)

 私と意を同じくするトルコのメヴルト・カヴソグル外相は、2019年にロシアとトルコが覚書に調印したことを思い起こしました。その文書において、クルド人の協力を確実に得ること、クルド人にはトルコの国境から一定の距離を置いて確実に撤退してもらうこと、この2つを私たちは誓約しました。この選択は、1998年のトルコとシリアの安全保障に関するアダナ協定に近いものでしょう。私のよき友であるメヴルト・カヴソグルは、ロシアは、これまでのところ、その義務を完全には果たしていない、と述べています。彼の言うとおりで、これは複雑な問題です。しかし、ロシアとトルコは、北東部以外にも合意に達しています。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イドリブに関する議定書に署名したのです。この文書のもと、トルコ共和国に協力する反対派をジャバト・アル・ヌスラやそのほかの同種のテロ組織から切り離し、テロリストが自由を感じないようにすることを誓約しました。2020年には、ロシアとトルコの部隊がアレッポへのM4道路を共同で警備することに合意しました。これまでのところ、この課題を達成することはできていません。したがって、これらの課題を達成するために粘り強く取り組むことが必要です。これらの重要性は依然変わっていません。

 シリアの経済復興に関する問題が重要な役割を果たしています。西側は、トルコ国境を経由し、ダマスカス(シリア政府)の支配下にないイドリブに人道支援を供給する経路を、有無を言わさず保持しようとしています。私たちが、現在、保有している地点は1つしかありません。それも、国際法に基づいて人道支援を届けるための具体的な合法的方法(つまり、シリア・アラブ共和国政府経由)が拡大する、早期復興プロジェクトに融資する機会が開かれている、この2つの条件下においてのみです。食糧や医薬品以外にも、病院や学校の改修、水や電気の供給が必要です。単に約束しただけでなく、国連安全保障理事会に属する国々も関連決議を行いました。米国も積極的に支援しました。過去1年以上、進展はほとんど見られていません。国連はもっと積極的にこの課題にも取り組むべきでしょう。

質問:現在、ロシアとアメリカの関係は最良の状態とは言えません。ロシアは、事態の改善のためにワシントンが取るべき手段は何だと考えていますか。イエメン、シリア、リビア、そしてイランなど、他の危機に対処する際、この緊迫した米ロ関係はどの程度の弊害があるのでしょうか。

セルゲイ・ラブロフ:強力な2つの国が協力せず、まず、お互いに話すことさえしない場合、この状態は常に、共同の努力を必要とする国際問題の解決に協力する能力に影響を与えます。これは客観的にそうです。この関係を正常化するために必要なことは何でしょうか。規範はひとつのヒントになります。ただ、過去の規範が将来の規範なることは絶対にないでしょう。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は最近、ロシアはNATOや西側諸国と過去と同じ関係を持つことは絶対ないだろう、と述べています。

 ずいぶん前に、相手が嘘をつき、文書に署名しても、それを遵守しようとしない状況はもう許さない、と私たちは言いました。次のような文書です。ロシア・NATO理事会の宣言、のイスタンブール宣言、2010年のアスタナ・サミットで採択されたOSCE(欧州安全保障協力機構)の宣言、2014年2月のウクライナ危機解決協定(ドイツ、 フランス、ポーランドが署名しただけではなく国連安保理の全会一致で承認したミンスク協定)、といったものです。西側は、それらの合意を履行するつもりはありませんでした。大統領や首相の段階でこれらの義務が厳粛に署名されたのに、私たちは単に嘘をつかれただけなのです。だから、私たちはずいぶん前に、言葉を額面通りに受け取ることをやめました。

 なぜ、私たちは言葉を軽く見てしまうのでしょう? ロシアでは、商人が契約を交わすとき、書類に署名せず、ただ握手をする習慣でした。そうだったのです。もし、約束を守らなかったら、誰もあなたを尊敬しないでしょう。NATOを拡大しないと約束した後、私たちはこの習慣に囚われなくてもよくなりました。それから、政治的な文書、さらには法的拘束力のある文書に署名するようになったのです。ミンスク合意に関する安全保障理事会の決議は、法的拘束力のある文書です。ところで、国連憲章には、すべての国連加盟国は安全保障理事会の決議に従わなければならないと記されているのですが、今、私たちはウクライナから引き上げ、国連憲章に完全に従えと言われています。国連安保理のウクライナに関する決議は妨害され、紛争解決の努力は失敗に終わりました。もし妨害工作がなければ、現在の状況におけるさらなる苦しみは防ぐことができたはずです。そのことは私にとっては明々白々のことです。

 しばらく前、西側の「友人」たちは、国連安全保障理事会で拒否権が発動されるたびに、総会を10日以内に招集し、拒否権の発動動機を聴取することを国連総会で決定するよう働きかけました。私たちは同意しました。私たちは何も隠すことはないのです。私たちはすでにすべての投票と決定について説明しています。

 しかし、私は別の問題を提起したい。拒否権を行使せずに採択された決議について、国連総会はなぜ熟議せず、それ以降の遵守が一切行われていないことを見ないのでしょうか? パレスチナ入植に関する決議がその一例です。それらは確かに国連安全保障理事会で採択され、中には全会一致で採択されたものもありました。ところが、それらは忘れ去られてしまいました。パレスチナのことが話題になると、総会は決議が履行されていないことを嘆きます。しかし、ウクライナに関するミンスク合意を採択した決議がなぜ履行されなかったのかを議論するために特別総会を召集することは、誰も思いつかなかったのです。つまり、一部の人には思い当たる節があっても、誰も関心を示さないのです。その代わりに、法廷やロシア連邦が賠償金を支払うという空想的な考えを議論しているのです。まあ、彼らにとっては何でもいいのでしょう。ウクライナ人とその管理者が法廷を必要とするのは、彼らが拳を突き上げる特別席を必要とするのと同じようなものです。ことはそれくらい単純です。

 私たちが米国との関係を破壊したわけではありません。2021年6月にジュネーブで行われたジョー・バイデン米大統領とプーチン露大統領の会談で、「核戦争に勝者はない。決して戦ってはならない」とするゴルバチョフ=レーガン公式を再確認した後、その流れを積極的に推進しました。アメリカも同意しました。公平な言い方をすれば、トランプ政権と違ってバイデン政権はその考えをすぐに支持しました。その結果、2022年1月にロシアが主導する形で、核保有5カ国の首脳が「核戦争は容認できない」と同様の声明を出したのです。彼らとの2つ目の合意は、2026年初めに失効する戦略的攻撃兵器に関する新START条約に代わるものについて、戦略的対話を開始したことです。私たちは、外交官、軍関係者、そして安全保障担当を通じて、対話を開始しました。2021年7月と9月の2回、会談が行われました。私たちは、どのように前進するかについて多かれ少なかれ明確な考えを持ち、さらなる会談の形式について議論していましたが、これも重要なことです。ところが突然、2021年9月以降、アメリカは戦略的対話を打ち切りました。今ごろになって、彼らは対話を再開すべきだと言っています。私たちが対話を打ち切ったのではありません。私たちは、双方の接触や協力の一つの分野でも、私たちの方からそれを終わらせたことはありません。米国がやったのです。私たちは、米国の尻を追いかけて、再び友人になることを申し出るつもりはありません。ロシア国民は真面目であり、真面目な動きには真面目な対応があることを彼らは知っています。ジョー・バイデン米大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、セルゲイ・ナリシキン対外情報庁長官がウィリアム・J・バーンズCIA長官と必ず会談するように要請しました。会談は行われました。打開策はありませんでしたが、真剣で有益な会談でした。ああもされた、こうもされたと非難するのではなく、真剣で相互に尊重し合う対話は常に有益です。ですから、対話のテニスボールは、今は、私たちのコートにはないということです。

質問:対米関係の質問の続きですが、新しい米国大使がいつロシアに来るかご存知でしょうか。ロシア人へのビザ発給に関する大使館業務の再開の見込みはありますか。外務省はこの件に関して米国との対話を促進する用意がありますか?

セルゲイ・ラブロフ:リン・トレーシー新大使がいつ来るかはわかりません。すでに聴聞会は開かれ、手続きは終わっています。米国側が決定することです。彼女は着任同意書を受け取っています。私たちの側には、彼女の到着を妨げるものは何もありません。

 大使館が機能する状況についてですが、先ほどの質問と同様に、外交官の仕事を妨害するような行動は一切とっていません。今、私たちが目にしているのは、ノーベル平和賞受賞者のバラク・オバマが2016年12月、ドナルド・トランプ就任の3週間前に始めたことです。バラク・オバマはホワイトハウスを去る際、後継者にひどい仕打ちをしようとでも思ったのでしょうか、私たちの財産を持ち出し、外交官を追放しました。アメリカ大統領と呼ばれた人物らしからぬ、小心者の行為でした。

 ドナルド・トランプの代理人が後で電話をかけてきて、トランプはまだ大統領ではないが、(アメリカの行為は)間違っていると考えていると言いました。アメリカ側は、私たちが報復することを確信し、ドナルド・トランプが大統領になるのを待ってくれと言い、問題が解決するよう努力すると言ったのです。私たちは一旦、動きを止めました。半年が経過し、トランプは解決したくても、解決策は何ひとつ許可されませんでした。私たちは、外交官を解任し、アメリカ人がモスクワに所有する数件の不動産に特別体制を敷くことで対応せざるを得なくなりました。アメリカは、私たちが何の理由もなく外交官を解任したと腹を立てました。理由はありました。バラク・オバマがその手始めでした。これは単なる連鎖反応です。

 今のところ、その数が同じということはありません。米国の外交官の方が数は多いです。外交官の総数は両国とも同じですが、その中にはロシア国連代表部の職員も含まれていますが、彼らはロシアとアメリカの二国間関係とは何の関係もありません。彼らは米露関係とは無関係です。他の場合であれば、アメリカは外交官同数という数に国連代表部職員を入れることはしないでしょう。しかし、アメリカは今回はその数に入れました。140人です。ですから、アメリカのやり方は私たちよりずっとしたたかです。ビザを発給する人員が足りないと文句を言っても、信じてはいけません。私たちは140人足りないが、ビザの発行を止めたことはありません。アメリカ人に、ベネズエラ、キューバ、あるいはニカラグアでロシアのビザを申請させたことはありません。しかし、(その気になれば)私たちはそうすることはできました。しかし、私たちはそこまで心が狭くはありません。私たちは真面目な人間であろうとしているのです。

質問:中国は最近、平和についてよく話しています。私たちの世界には平和が必要であり、非対立、非同盟の政策も必要であると。それなのに、西側はロシアと中国の同盟について話し続け、時にはそれで世界を脅かそうとさえしている、と。自分たちの気に入らないことは何でも破壊する、いかにも西側らしいやり方です。西側は今日、例えばサイバー攻撃や機密情報の公開など、アメリカ人が得意とすることを通して、ロシアと中国の間に揉めごとを起こそうとしているとロシアは見ていますか?

セルゲイ・ラブロフ:中華人民共和国との関係は、史上最高水準にあります。これは、露中の指導者である、ウラジーミル・プーチン大統領と習近平国家主席が言ったことです。これは共同文書にも記されており、最新のものは2022年2月4日 、ロシア大統領が中国を訪問した際に採択されたものです。それは「新時代に入った国際関係と世界の持続可能な発展に関するロシア連邦と中華人民共和国の共同声明」と題されたものです。なんと力強い文書でしょう。両国の連帯の観点から、今日の世界の重要な事柄がすべて網羅されています。かつて、中国の友人たちは、私たちの関係は同盟関係以上のものであり、より強いものであると言っていました。私たちは、双方の利害関係の根本を見据え、現実的で、信頼に基づいた、相互に尊重し合う関係を共有しています。これは、国連憲章に定められた原則に根ざした、いかなる国との関係をも推進するための理想的な設定です。

 ロシアと中国の貿易統計が過去最高を記録しました。2022年には、ほぼ2000億ドルに到達しました。あ、そう、私は米ドルで数え続けていますが、そろそろルーブルと人民元に切り替えてもいい頃です。おそらく近々、この移行が行われるでしょう。

 モスクワは国連を含む国際舞台で北京と緊密に協力し、両国はSCO(上海協力機構)やBRICSの中で新たな挑戦や脅威との戦いに協力しています。EAEU(ユーラシア経済連合)は、ユーラシア統合を中国の「一帯一路構想」と調和させるために中国と協力しています。軍事、軍事技術協力、そして合同演習もあります。これらすべてが私たちの戦略的友好関係を強化し、西側もそのことを視野に入れています。

 あなたは、日米関係に不和をもたらそうとする西側の企てについて、何か情報を持っているかどうか、と尋ねました。この情報は目に見える形で、すぐそこにあります。米国は国家安全保障ドクトリンなどの戦略やNATO・EU協力宣言を起草し、その中にロシアや中国を記載しています。しかし、そこにはちょっとした差異があります:彼らはロシアを今すぐ対処しなければならない脅威と見なし、一方で中国を、主要で、長期的、深刻な、体制全体に関わる課題と捉えています。西側は、中国の脅威への対処には時間がかかると考えているのです。

 多くの独立した観察者たちは、アメリカとヨーロッパがロシアと中国の両方を同時に封じ込めようとしているのは間違いであると書きました。米欧はおそらく、米欧が組めばそれが可能だと考えているのでしょう。(しかし)米国が単独でこれを行うことはなかったでしょう。それに疑問の余地はないはずです。

 彼らが欧州を奴隷にし、支配の戦略に奉仕させたのは偶然ではなく、その目的以外の何ものでもありません。彼らは今、日本に対して同じことをしています。彼らはおそらく、アングロサクソン5カ国をすべて囲い込むために、ニュージーランドとカナダをAUKUSのような同盟に引き込もうとすることでしょう。また、韓国に手を伸ばそうとする動きもあります。

 アメリカは、ロシアと中国を抑圧することを主眼とした支配政策を、自分たちだけでは実行できません。そのために、西側陣営の総動員を必要としているのです。部分的な動員では、もはや十分ではありません。そして、これが今、彼らが行っていることなのです。このことは、多極化する世界秩序の出現という客観的な歴史的趨勢に対抗しようとするアメリカの試みが、ほとんど息切れ状態であることを改めて示しています。

 西側がモスクワと北京に対する二重の封じ込め戦略に固執しつつ、私たちの関係に不和をもたらそうとしていることを、ロシアも中国も見抜いています。彼らは、我々を敗北させ、その後、ロシアを説得して西側の友好国にさせ、西側が慈悲を示し、制裁を解除できるようにしたいのです。そうすれば、ロシアは欧米の友好国となり、少なくとも中国を封じ込めようとする欧米の努力の邪魔をしなくなるし、理想的にはそうした試みに貢献することさえできるだろう、と。西側のどんな批評家がこの種の理論を考案しているのかわかりませんが、これは明らかに現実離れしています。

 中国とロシアは、このようなゲームについて明確な認識を持っています。中国が現在進行中の世界一体化への進行過程に、より大きく組み込まれていることは理解しています。中国の経済規模や西側通貨建ての外貨準備高は、(ロシアのそれより)はるかに大きいのです。欧米への依存を解消することは、中国にとって、ロシアよりもはるかに複雑です。一定程度ですが、ロシアに対してなされている雪崩を打ったような制裁措置は、この点で私たちの手助けになっています。一定程度ですが、私たちを彼らの経済体制に誘い込もうとする人々を信用することはできない、という結論に達することができました。まして彼らに依存することなど論外です。

 昨日、プーチン大統領は政府関係者と会談し、私たちの政策の優先順位を改めて確認しました。中国もこの脅威を感じていることは間違いないでしょう。西側はすでに中国に対する制裁を開始しました。中国の極小電子回路(マイクロプロセッサー)や半導体の製造能力に関連するあらゆるものが制裁の対象となっています。また、何事も中国に依存してはいけないと、誰の耳にも入るように語られています。何でも自国内で生産する必要があり、米国はその生産能力を自国に戻そうとしています。今後、北京に対してこのような制裁がさらに行われるでしょう。

 実務的な関係を損ねたり、経済運営担当者を困らせるような行動は慎みつつ、中国とともに、西側が使っている方法や信頼できない相手への依存を減らす方向に徐々に進んでいます。人民元とルーブルは、私たちの貿易のほぼ2分の1を占めています。この割合は増え続けており、今後さらに増えるでしょう。

 中国は、「ロシアから始めて中国を後にする」という西側の原則がまったく冗談ではないこと、そして西側が、歌の歌詞にもあるように、「歩ける限りずっと」、この未来像の実現に固執することを十分理解しています。西側はすでに台湾に対する立場を表明していますが、これは中国にとっても、国際法の観点からも、全く受け入れがたいものです。チベット、新疆ウイグル自治区、そして香港について、中国を刺激する新たな機会をうかがっているのです。

 北京は、西側体制の中にとどまり、西側に全面的に依存することの危険性をよく理解しています。これは、中国の重要な国益の観点から、深刻な危険をはらんでいるからです。

質問:昨年12月に、今年の重要な外交成果として、「交渉できる相手と信用できない相手がようやく明確になった」とおっしゃっていました。「西側集団」が何であるかが明らかになった一方で、アジア全体には何を期待できるのでしょうか。 外務省のアジア部門おける優先順位は?

セルゲイ・ラブロフ:このテーマについては、私も取り上げたことがあります。西側は、世界の他の地域に(自分たちの)陣営として動くことを押し付けようとしており、アジアに白羽の矢が立ちました。「インド・太平洋戦略」は、インドと中国の関係にできるだけ楔を打ち込み、インドを欧米の策略に巻き込もうとするもので、その手法は明白です。

 西側は、オーストラリアへの潜水艦の供給計画に関してAUKUS*という枠組みを作りましたが、それはフランスに屈辱を与えることになりました。その潜水艦製造を自分たちでやると発表したのです。彼らの現在の方針は、この「枠組み」の形式を拡大することなのです。数日前、日米首脳会談が行われました。日本がより軍国主義化し、軍事費を増強することが明らかになりました。ニュージーランドと韓国は、この過程におけるアメリカの予備部品です。
*「豪(A)英(UK)米(US)」という安全保障協力の枠組み。

これがどうなるかは誰にもわかりません。これらの国の政府の判断次第です。この計画は、何十年もかけてアジアの安全保障構造を構築してきた組織を崩壊させるものです。この構造とは主にASEAN(東南アジア諸国連合)を指しており、ASEANは経済、安全保障、政治対話、そして人道的協力における協調の核であると一般に認識されていました。その結果、さまざまな仕組みが生まれました。具体的に挙げると、ASEANと一部の友好国との対話形式、東アジアサミット(ASEAN10カ国と9つの対話友好国(露、中、豪、印、加、NZ、韓国、米、日)が参加)、ASEANの友好国とその他多くの招待者による安全保障を議論するASEAN地域フォーラム、対話友好国の防衛大臣を含むASEAN防衛大臣会議、さらに経済問題や災害管理、人道的協力などを検討できる多くの機構、などです。できる多くの機構、などです。学識経験者も会合を行いました。形式的には、まだすべてが机上のものです。しかし、この地域の発展の方向性を決めるのは、関係諸国すべてが合意することを基本にするのではなく、AUKUSのような狭いブロックの組織に権限を与える方針が打ち出されました。将来、この組織は、新しい参加国を加えて、あらゆる面で強化されることになるでしょう。

 アメリカ人は、ASEAN10カ国のうち5カ国は「自分たち」に続く資格があり、残りの国はまだ十分に「成熟」していないと口にして恥じることはありません。これは、ASEANを分裂させようというあからさまなやり口にほかなりません。そして、これは一定の成功を収めつつあります。ASEANの内部では、摩擦や軋轢が大きくなっています。ミャンマーはASEANの歴史上初めて、加盟国としての資格が停止され、首脳会議への出席を禁止されました。

 私たちは、友人たちと一緒に行動しています。インドネシアは現在、ASEANの議長国です。私は、カンボジアでの東アジアサミット(2022年11月13日)とバリでのG20サミット(2022年11月15日~16日)に出席しました。この地域の仲間たちは、現在の情勢に懸念を抱いています。彼らの中国との関係には問題がなかったわけではありませんが、互いに受け入れ可能な解決策を見出すための対話に長い間取り組んできました。今、西側がやっていることは、とりわけ、この対話を破壊することを目的としています。かつてはOSCE(欧州安全保障協力機構)も合意に基づき、承諾や利害の均衡を求めていました。西側は、この原則をほとんどつぶしてしまったのです。2022年、議長国ポーランドはこの点で特に前のめりでした。

 アジア太平洋地域では、合意、調和、そして妥協の探求に基づく基本的な構造の「アンサンブル(合奏)」を弱め、明らかに軍事的な枠組みに基づく原則に基づいて作られた組織を前面に押し出そうとする試みが進行中です。

質問:中央アジアについて質問です。ウズベキスタンに1カ月ほど出張しました。タシケントを歩きましたが、ロシア企業のウズベキスタンへの関心が高まっているのがわかりました。そこをパッケージツアーではなく、個人で旅行する人も多いです。欧州の産業が良くも悪くも逃げ出した中央アジアの旧ソ連諸国とロシアの関係は、制裁の中でどのように展開されているのでしょうか? また、ロシアとEAEU(ユーラシア経済連合)諸国との協力関係について、欧州はどのような姿勢で臨んでいるのでしょうか。

セルゲイ・ラブロフ:中央アジア諸国との関係は活発に発展しています。二国間関係だけでなく、経済、軍事技術、人道などに関する政府間委員会など、法的枠組みや多くの手段に基づいて、いくつかの集団形式があります。私たちはこれらの形式を利用して、中央アジアの近隣諸国と緊密に連携しています。最も重要なものは、CIS(独立国家共同体*)、SCO(上海協力機構)、そしてカザフスタンとキルギスについて言えば、EAEU(ユーラシア経済連合)とCSTO(集団安全保障条約機構**)であり、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの中央アジア3カ国が正会員となっています。
*ソビエト連邦の崩壊時に、ソビエト連邦構成共和国が独立した15か国のうちバルト三国を除く12か国(発足当初は10か国)によって結成された国家連合体。(ウィキペディア)
** 1992年5月15日に旧ソビエト連邦の構成共和国6か国が調印した集団安全保障および集団的自衛権に関する軍事同盟。2022年時点でロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6か国が加盟している。(同上)


 ここ数年、私たちはさらに「5プラス1(中央アジア5カ国+ロシア)」の協力形態を発展させてきました。過去2年間、我々の外相間で数回の会合が開かれました。すべての友好国がこの形式を支持しています。2022年秋、アスタナ(カザフスタン首都)イベントの傍ら、大統領級の初のロシア・中央アジア首脳会議が開催されました。この地域の主な開発分野でその形式の協力を推進するための文書を採択しました。今後もこの協力関係を発展させていきます。

 中央アジアの他の友好国については、その数は増え続けています。EU、米国、日本、インド、中国、トルコ、イラン、韓国など、主要な国々がこの地域に関心を示していました。中央アジアは、ほぼすべての国と5プラス1方式で協力関係を維持しています。中央アジアの友好国との接触や報道から得られる情報によると、中央アジアにおける私たちの仲間の仕事には、差別がないとは言い切れないものがあります。例えば、CIS、EAEU、CSTO、SCO、あるいは中央アジアの仲間との会合で、「ある国とは協力しない方がいい、なぜなら "私たちは力を合わせ彼らに敵対しなければならない "からだ」と私たちが言うことはありません。私たちは決してそんな言い方はしません。米国、EU、そして日本は、そんな言い方をします。彼らは中央アジアの仲間との会談で、西側との戦争に負けるロシアに頼るべきではない(彼らは我々が戦っているのはウクライナではなく西側だということを隠していない)、勝ち組に賭けるべきだと公然と言うのです。これがまさに西側の言い方なのです。西側の礼儀や精神構造を改めて見せつけられた思いです。その言葉の意味を広くとらえれば、ですが。

 彼らは口先だけの議論ではなく、本気で圧力をかけ、私たちの友好国に市場の喪失や経済への潜在的な投資を引き上げると脅します。脅された側は、ロシアが制裁を逃れるための手助けはしないと強く主張します。中央アジアやその他の友好国は、世界中に事業計画を持つ一部の企業の中には、制裁の完全な遵守を拒否する可能性がある企業も存在することを念頭に置く必要があります。その準備態勢に入っている企業もあります。

 私たちは、友好国の経済運営担当者に、反ロシア制裁に反対する!と言って朝の仕事を始めよ、などとは言いません。どの国も制裁に参加せず、他の地域の友好国と同じように彼らと緊密に協力し、西側の気まぐれや空想に左右されない新しい仕組みや協力手段を模索しています。私たちにとってはそれだけで十分なのです。

質問:ゼレンスキー大統領は、イタリアのジョルジア・メローニ首相が間もなくキエフを訪問すること、そしてイタリアの立ち位置、ウクライナへの支持を高く評価していること、この2点を語りました。同時に、イタリアのアントニオ・タヤーニ外相は、イタリアは外交的解決と国連と中国の仲介を強く支持していると述べています。イタリアの立場を一般的に、そしてもちろんその結果、ロシアとイタリアの関係をどのように評価することになりますか?

セルゲイ・ラブロフ:私たちにとって、イタリアは、すでにお話したギリシャやキプロスの立場に近いものです。

過去数年間、これらの国々は我々にとって最も友好的な国の一つでした。文化的、教育的な共同イベントを数多く開催しました。また、経済面でも、私たちの共通の利益に貢献しました。私たちがちょっとびっくりしたのは、あれよ、あれよという間にイタリアが制裁に署名した国のひとつとなり、(少なくとも前政権下では)反ロシアの行動や発言の指導者にさえなったことです。

 私はイタリアの人々が大好きです。彼らの伝統や人生観は、たとえばロシア連邦のコーカサス地方の多くの民族のそれと非常によく似ているのです。モスクワやサンクトペテルブルクでは、イタリア人の人生観を心から愛している人たちがいます。

 今回の事態に対するイタリアの対応は、イタリア国民の利益というよりも、ヨーロッパに指示された攻撃的な対立の道筋を反映していると、私はあえて言いたいのです。イタリア国民が、新たな障壁を作り、双方のつながりや交通網を遮断し、全般的に自らを囲い込み、新たな壁を作ることに関心を持つとは思えません。

 そこには連帯があるのです。最近、シルヴィオ・ベルルスコーニが何度か講演し、ロシアとNATOの関係構築への貢献度を評価したと聞いています。1997年のロシア・NATO設立法に基づいて開催された2002年のプラティカ・ディ・マーレでの首脳会談を主導したのは彼でした。そこでは、ロシアとNATOの約束に関して以下2つ希望がありました(文書にそう書かれていることを再度強調したい)。他者の安全保障を犠牲にして自国の安全保障を強化せず、ヨーロッパの安全保障の分野でいかなる組織にも支配されない、この2つです。誰がこの約束に違反したのか、説明する必要はないと思います。

 会談の呼びかけについて。最近は結構みんな、会談を呼びかけています。そして、米国のジェイク・サリバン大統領国家安全保障顧問はと言えば、記者会見で(時折するように)、今は会談の時ではない、ウクライナの戦場での地位向上を助ける必要がある、と言うのです。西側には、平和的解決策を見出すための共通の接近法がありません。彼らが、自分たちは和平調停に賛成であると言うのは、すべてテレビや新聞向けです。一方、プーチン大統領は和平調停を望んでいないとされます。彼らがなぜこのようなことをするのか、私たちには分かっています。

質問:現在のロシアと中南米諸国の関係について、どのようにお考えですか?

セルゲイ・ラブロフ:世界のほぼすべての発展途上地域と同様に、私たちとラテンアメリカとの関係も向上していると思います。私たちは、ロシア連邦とラテンアメリカーカリブ海諸国共同体(CELAC)間の対話方法を調和させるための閣僚機構を作りました。ロシアとCELACの4カ国が参加する形式で、何度か召集されました。COVID-19関連の制約で中断せざるを得ませんでしたが、近いうちに協力を再開する予定です。

 もちろん、主にキューバ、ベネズエラ、そしてニカラグアなど、この地域の他の国々と比べて、より長く、より深く、より集中的に協力している国もあります。私たちは、ほとんどの国際政治問題において、私たちの関係の歴史と連帯を高く評価しています。私たちは、国連総会での投票の際、常にお互いを支え合っています。

 ご存知のように、キューバはキューバ革命以来、米国の違法かつ一方的な制裁下にあります。この制裁を維持することに賛成しているのはアメリカだけです。時には、他の島国(複数)もそれに同調します。しかし、国連加盟国全体の圧倒的多数が、この違法な封鎖を直ちに解除することに票を投じているのです。

 先ほど申し上げた長年の友好国との関係を前進させるとともに、他のラテンアメリカ諸国も私たちの優先事項に入れたいと思います。私たちは、モンロー主義*を追求しているのではありません。私たちがある地域に足を運ぶのは、特定の国を私たちの軌道の中に入れ、特定の政治勢力を権力の座に就かせるためではありません。そんな危険や脅威を持ち込むことはありません。
*アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱したことを指す。(ウィキペディア)

 この20年間、直近の選挙で左傾化した国、右傾化した国にかかわらず、この地域のすべての国と良好な関係を築いてきました。私たちは、これからも関係を広げていきます。

 つい先日、ブラジルの新大統領、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバが就任しました。プーチン大統領は彼と電話会談を行い、またジャイル・ボルソナロ前大統領とも話し、協力に感謝しました。私は、在露ブラジル大使館関係者と連絡を取りました。昨日、モスクワのブラジル大使館に行き、偉大なサッカー選手でブラジル国籍のペレへの哀悼の意を込めて記帳しました。ロドリゴ・バエナ・ソアレス駐ロシアブラジル大使と現在のいろいろな計画について話をしました。

 アルゼンチン、メキシコ、ボリビア ペルー 。これで抜け落ちた国はないと思います。私たちは、これらすべての国との互恵的な協力に関心があります。また、ラテンアメリカが「ラテンアメリカーカリブ」諸国連合の結束を強めることを望んでいます。

 ブラジルがCELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)に再加盟するとのことで、この汎地域連合がまもなく活動を再開することになると思います。私たちは、CELACが、私たちの言う多極化した世界が形成される過程で生じる重要な問題に対処する過程で、その声を上げることを期待しています。

 ブラジルはBRICSの構成員です。アルゼンチンも加盟を表明しています。私の知る限り、他の中南米諸国もいくつか加盟を予定しているようです。
 
 現時点で私たちは、BRICS+の形態で協力する用意があります。この点では、5つのBRICSメンバー国は私たちと意見が一致しています。私たちは中国と協力して、他の国がBRICSに参加を希望する場合の基準を承認しました。おそらく、ラテンアメリカ地域の利益を考えれば、CELACがBRICSの課題について熟慮するのは理にかなっています。また、BRICSの活動に参加しているラテンアメリカ諸国がBRICSに自分たちの利益を代弁することで、他のCELAC諸国も利益を得ることができるのでしょう。ロシアは中米統合機構(CAIS)の傍聴者資格を持っています。また、中米議会とも連絡を取り合っています。また、カリブ海諸国連合の傍聴者資格も有しています。南米南部共同市場(メルコスール)、アンデス共同体、ALBA(アルバ)とも定期的に連絡を取り合っています。こういったことは、私の理解では第二の風を探す途上にいるということで、とても歓迎すべき進展です。

 バハマを除く中南米・カリブ海諸国が一国も反ロシア制裁に参加しなかったことを評価します。

 その結果、ロシアのラテンアメリカ向け輸出は昨年、ほぼ10%増加しました。私たちの文化的、人道的な結びつきはますます強くなっています。少し前に、モスクワ、サンクトペテルブルグなどロシアのいくつかの都市で、マヤ文字を解読したことで知られる優れた科学者ユーリー・クノロゾフの生誕100周年が行われました。マヤ文字の解読で彼はメキシコやその他の地域の国々から高く評価されています。数千人のラテンアメリカの学生(主にキューバ人)がロシアの大学で学んでいます。キューバやベネズエラなど、リゾート地として人気の高い国への小旅行が人気を集めています。ラテンアメリカそしてカリブ海諸国33カ国のうち27カ国がビザなし渡航が可能で、このことが様々なレベルでの人々の交流や交際に拍車をかけています。

質問:国連憲章の尊重についてお話になりました。2月24日にウクライナに軍隊を派遣したとき、国際法にどんな敬意を払われたのですか。

セルゲイ・ラブロフ:国連憲章の尊重という問題は、あなたの単純な質問が示すよりもはるかに広い範囲にわたります。米国の一般人には安売りされるのかもしれませんが、真剣な聴衆の前では、説明方法は多少違ってくるはずです。

 この記者会見の冒頭で、私は国連憲章の重要な原則である国家の主権的平等について言及しました。これは国連という組織の核心にあるものです。よくよく調べてみれば、米国がいかに主権的平等の原則を毎日、毎時間、踏みにじっているか、本やインターネットで証拠を見つけるのに、それほど時間はかからないでしょう。

 ロシアはこの事態が始まったとき、ウクライナでの行動の背景を説明しました。米国とその同盟国はロシアを非難しました。国家の主権的平等を尊重し、この平等を尊重することが義務であるならば、ロシアを理解するかしないか、ロシアを支持するか米国を支持するか、他の人々に自分自身で判断させることによって、民主主義の原則に従うことになります。しかし、誰もこのような進め方を許しません。大勢の大使や特殊部隊を持つ米国は、毎日世界中を走り回り、誰もがロシアを非難するよう要求することで、自らを貶めているのです。これが国家の主権的平等なのでしょうか。彼らは脅迫します。アメリカ人は、もしこれらの国々がロシアを非難しないなら、チェース・マンハッタン銀行の口座に金があるし、彼らの子供たちはスタンフォード大に通っていることを忘れるな、と言います。こんな言い方をアメリカはするのです。大国として、なんと似つかわしくない、恥ずべき言動でしょう。

 国連憲章はそんなに長文ではありません。興味のある方は読んでみてください。国家の主権的平等と国家の自決を掲げており、文中ではそれが国家の領土保全と並んで大原則として最初に出てきます。この自決と国家の領土保全という2つの原則を、憲章は同じ重要性があるものとして言及しています。国連創設当初から、憲章が承認され、批准され、発効すると同時に、どちらが先か、優先されるかという問題はありました。特別な手順が設けられ、すべての国連加盟国は、憲章の解釈に関する他の事項とともに、この問題を数年間かけて議論しました。

 そして、1970年に「国際連合憲章に基づく国家間の友好関係及び協力に関する国際法の原則に関する宣言」が採択され、現在も効力を持ち続けています。つまり、領土の保全は、政府が自決の原則を遵守し、当該領土に居住するすべての人民の利益を代表する国と取引をする際に、誰もが尊重しなければならない原則なのです。この憲章のもとで、私たちは自国民全体を代表する国家の領土保全を尊重しなければならないのです。

 2014年にウクライナでビクトリア・ヌーランド国務次官がテロリストにクッキーを配ったあと、政府に対するクーデターが起こり、アメリカはその政権転覆を組織した側を瞬時に承認しました。しかし、ヨーロッパはどうでしょう?アメリカは、ヨーロッパへの配慮は爪の垢ほどもありませんでした。ウクライナ大統領との合意で保証人として行動したのがヨーロッパであったことなど完全無視です。ビクトリア・ヌーランドが駐ウクライナ米国大使ジェフリー・パイアットに、EUとの接し方について何を言ったか覚えていますか?彼女は、彼らがEUをどう考えているかを表現するために、英語で4文字の単語(F***)を使ったのです。

 政権を握ったクーデター支持者たちは、クリミアからロシア人を追い出すと言いました。クリミアとウクライナ東部が、血なまぐさいクーデターを起こして違法に権力を握った人々に従うことを拒否したとき、クーデター組織者たちは彼らに対して宣戦布告をしました。彼らは自国民に対して戦争を仕掛けたのです。彼らはオデッサの労働組合会館で48人を生きたまま焼き殺しました。誰でも見られる証拠映像があります。裁判を起こす必要さえありません。映像を見て、有罪の評決を下すだけでいいのです。窓から飛び降り自殺を図ろうとした市民に銃を発砲した人たちの姓名があります。全部揃っています。あろうことか、ウクライナ当局は火事で死んだ人たちを刑事事件として立件しました。そして、国際社会のすべての進歩的な人々は、この状況全体から目をそらすことによって、アメリカの規則に従っています。そこでの出来事の多くは、りっぱな戦争犯罪です。

 (クーデターで)政権を握った者たちを、国境内にいるウクライナ人全体の利益を代表する政府だと、どうして言えるのでしょうか。ポロシェンコ政権は、ドンバスで1週間以内に和平を実現するという約束して大統領になったのに、その舌の根もかわかぬうちに、ドンバスの人々を殺す、自分たちの子どもは学校や幼稚園に行くがドンバスの子どもたちは地下室に引きこもらせる、と主張し始めました。これはドンバスが属している国の大統領が言ったことです。彼は、彼が侮辱した人々の利益を代表していたのでしょう?

 ウラジミール・ゼレンスキーがいれば、すべてが変わると期待する人もいました。また、彼は「平和の大統領」として政権に就き、オリガルヒを追放して一般人のために行動するテレビシリーズ「人民の奉仕者」が、大統領の鞭を渡されたら実践する自分の理想を反映していると、あらゆる方法でほのめかしていました。しかし、2021年11月の会見(すでに引用しました)では、ドンバスに住む人々について問われ、「人と動物がいる」と答えています。それ以前の2021年8月には、ウクライナに住んでいて自分をロシア人だと考える人たちは、子や孫のために全員ロシアに行くべきだと提案しています。

 もしあなたが今、こうした見解と彼の行動全般をもって、ウラジミール・ゼレンスキーが1991年に設定された国境内に望むウクライナの全人口の利益を代表していると言うなら、おそらくこの話を続けることにあまり意味はないでしょう。しかし、自決権と領土保全の尊重の関係について、国際法廷が認めた解釈はたったひとつです。

 ユーゴスラビアへの侵略について、アメリカの報道家はどう考えているのか、聞きたいものです。当時、タイム誌は「セルビア人を屈服させる。大規模な爆撃が平和への扉を開く」と表紙に書きました。イラク戦争、リビア戦争、シリアやアフガニスタンへの侵攻に関するアメリカのメディアの報道をアーカイブで見ることができるでしょう。アメリカが侵攻した国では、誰かがちょっとでも動けば、クラスター爆弾で攻撃されました。どれだけの結婚式が消されたのでしょうか? 比較すると面白いでしょう。

 私は、国際法の観点から、私たちの行動を正当化する理由を述べました。ドネツクとルガンスクの人民共和国は、自分たちを公然とテロリスト、野蛮人、人間以下と宣言し、自分たちの幼稚園や学校を毎日爆撃する政府の下では存続することは不可能でしょう。

 つい最近、ドニエプロペトロフスクで事件がありました。あるウクライナの「専門家」は、そのときの様子をこう語っています。誰しも気づいていたことですが、ウクライナの対空防衛は、住宅地に設置されていました。それはあらゆる戦争規則や国際人道法が禁じているにもかかわらず、です、と。そのような対空装置の1つが作動した結果、ミサイルが住宅地の建物に落下したのです。キエフがドンバスで自国民を侵略した8年間、同じような事件が大量に発生しました。ロシアの記者や軍事通信員たちは現地で即時に真実を伝えました。ミンスク合意以前ですら同じことをしていました。そして特にミンスク合意後は、ドネツク共和国とルガンスク共和国側に身を置き、接触線で毎日活動し、ウクライナのネオナチの爆弾が住宅地を破壊し、人々を殺し、幼稚園やカフェテリア、学校を破壊する様を紹介したのです。しかし、西側からは定期的な取材はありませんでした。BBCが時々やってきては、かなり真実味のある報道撮影をしていました。しかし、彼らはすぐに、自分たちの撮影したものが、最終的どう報道されたかに気づきました:ウクライナ側では民間の生活基盤施設への被害がはるかに少なかったのです。DPR(ドネツク人民共和国)とLPR(ルガンスク人民共和国)は砲撃に対応しただけでした。OSCEはこれを事実として記録しました。時間はかかったのですが。私たちは1年以上前から、OSCEの報告書に、破壊された民間インフラ施設や死亡した民間人の数を記載するだけでなく、接触線のどちらがどの程度の被害と犠牲者を出したのかを明記するよう求めてきました。

 報告書の公開に成功した途端、ドネツクやルガンスク側の被害が、攻撃に応じて砲撃を受けただけのキエフ政権側の5倍もあることが明らかになったのです。

 彼らは、ウクライナ政権に生じたいかなる損害の写真を見ても、激怒します。しかし同じ市民が、ウクライナのネオナチが民間人、子ども、高齢者、女性にした痛ましい写真については、ただ黙っているのです。

 もちろん、正義が果たされることは歴史が証明してくれるでしょうが、国際法を無視することは許されません。

マリア・ザハロワ(司会者):大言壮語について言えば、もしクリミアやドンバスの報道家のみなさんが、この8年間、今ここでアングロサクソンのメディアのみなさんがしているような質問をすることができたなら、同じように感情的になられるだろうと思います。しかしクリミアやドンバスの報道家のみなさんは、8年間それを許されませんでした。西側で行われた今回と同じような記者会見に参加するためのビザや認証評価は発行されなかったのです。ちなみに、ロシアの公認記者もまた、質問することも、そのような記者会見に参加することさえ拒否されました。

質問:明日、ミンスクを訪問されるとのことですが、どのようなことを期待しますか? この訪問で何を期待しますか? 国際的な舞台におけるロシアとベラルーシの協力の度合いをどのように評価しますか? なぜ、CIS、EAEU、CSTOの友好国は、国際組織での投票において、常にベラルーシとロシアを支持するわけではないのですか?

セルゲイ・ラブロフ:私の期待についてですが、私はいつもミンスクを訪問するのを楽しみにしています。このような訪問は私の仕事柄有益ですし、いつも楽しんでいます。私はミンスクが大好きで、どこへ行っても伝統的なもてなしをしていただけます。

 ロシアとベラルーシの外務省合議体は、大臣間の訪問交流に加え、毎年2回合同で開催しています。

 2022年12月に予定されていた次の合議体が明日開催されます。ベラルーシのウラジミール・マケイ外相の早すぎる死去のために延期されていました。

 その議題には、私たちが今まさに議論している問題、すなわち新しい世界秩序とNATO、EU、欧州評議会、OSCEとの関係も含まれています。これらの組織は急速に統合され、主人である米国の命令に従って行動する単一の組織となりつつあります。OSCEにもその兆候が見られます。

 国連の各機関で投票に移された決議案など、私たちの外交努力の具体的な分野や、外交政策の調整について、信頼に基づいた議論を行います。CISとCSTOでの共同外交活動、例えばCSTOで起草される共同声明や、程度の差はあれCISで起草される共同声明などが予定されています。合意形成が困難な場合もあります。CSTOの友好国は、西側との関係や西側の圧力によって生じる問題を抱えているのです。また、経済的な問題も抱えています。私たちは、ベラルーシの友人たちと共同で、非常に分かりやすい路線を推進しています。誰も友人との関係が人為的に制限されることを望んでいません。主従関係ではなく、利害の均衡に基づいた対等な2国間の関係を望んでいるのです。事業計画の話し合いは、二国間以上であれば、双方または複数の友好国に利益をもたらすものでなければなりません。CSTO加盟国間の貿易、投資、文化・教育関係の取り組みの規模については、西側諸国がポスト・ソビエトの国々で行っているよりはるかに大きいものです。

 ロシア、ベラルーシなど数カ国が一致して投票し、他の国は棄権する場合もあります。NATOとは異なり、「鞭の規律」は用いません。NATOでは、承認された範囲からの逸脱はタブー視されます。ウクライナ危機におけるNATOの攻撃的な路線には、柔軟性に欠け、創造性に欠けるとして、反対を表明する国もあります。批判はそれほど多くありませんが、あることはあります。それでも、彼らは言われるままに投票しています。私は、このような強引な規律は有害だと考えています。

 私たちは、同盟組織の枠組みの中で絶対的な連帯を実現したいと思います。私たちはそれに取り組んでいます。そのためには、説明と、個々の具体的な状況に応じた実行方法が必要です。

 アルメニア情勢に関連した問題を抱えていることは秘密でも何でもありません。アルメニアの友人たちは、アゼルバイジャンとの国境における安定を確保するために、CSTO(集団安全保障条約機構)の代表団を派遣するという考えを推進しています。私たちは、エレバンでの首脳会議において、そのような代表団の規定条件に関する文書を調整しました。しかし、アルメニア代表がアゼルバイジャンを非難する条項を追加するよう主張したため、採択に至りませんでした。私たちは、誰でも非難し、美辞麗句を並べ、そして自分の立場を前面に押し出すことはできると説明しました。しかし、もし私たちがCSTO代表団を派遣したいのであれば、この決定は「外部指標」や棘のある表現を基礎におくことはないでしょう。

 私たちが、アルメニアとアゼルバイジャンの国境にCSTOの交渉団を派遣する用意があることに変わりはありません。しかし、私たちは同盟国であり、交渉団も創設されたものの、アルメニア側は、そこに長期的に文民監視団を派遣することについてEUと交渉することを選んだのです。

 アルメニアにはその権利があります。しかし、この問題はアゼルバイジャンとの国境に関わるものであることを忘れてはなりません。その承認なしに交渉団がそこに配置されれば、逆効果になります。国境での信頼が強まるどころか、さらなる苛立ちを生むかもしれません。これが客観的な状況なのです。

 CSTOのすべての地域、つまり中央アジアと南コーカサスに対して創造的な対処方法をとり、各加盟国の開発の枠組みの中で発生する問題の複雑さを徹底的に理解する必要があります。彼らは圧力をかけられています。 多くの外部友好国が中央アジアと特別な関係を築きたいと考えていることを私たちは指摘しました。彼らの中には、協力計画に安全保障の問題を加えることに関心を持つ人もいます。私たちの友好国はすべて、CSTOの中で自分たちの義務に矛盾があってはならないことをよく理解しています。アルメニアの友人たちも、このことを認識していると断言しています。

 エレバンで行われたCSTO首脳会議のように、大統領同士の自由で正直な対話が必要です。それに先立って、外相・有識者段階での話し合いが行われました。私たちは、すべての立場の人々の懸念や問題について、心を開いて話をしなければなりません。遠慮無く話せば、必ず共同の解決策を見出すことができます。

質問:日本の軍国主義化について、何度も言及されていますね。軍事力の増強は日露交流にどのような影響を与えるのでしょうか。日露間の交流や協力のチャンネルについて話すことは今でも可能でしょうか?

 ミハイル・ガルージンは、2022年11月で駐日ロシア大使を退任しました。後任人事はありますか?

 アルメニア人として、ラチン回廊*の問題を飛ばすことはできません。私たちはどのような立場で解決に臨むのでしょうか。
*アルメニアとナゴルノ・カラバフを結ぶ回廊地帯。法的にはアゼルバイジャン領内であるが、ナゴルノ・カラバフ戦争の結果、現在はアルツァフ共和国が実効支配している。 (ウィキペディア)

セルゲイ・ラブロフ:日本については、3番目の質問が最も重要です。

 私たちの関係は続いています。私たちは日本に大使館を持っています。日本もロシアに大使館があります。ミハイル・ガルージンの後任がまもなく東京に向かいます。私たちはこの進行を中断させるつもりはありません。私たちは、常に相手の言い分を聞き、私たちの懸念を伝える機会を持つことが重要だと考えています。東京とモスクワのそれぞれの大使館間の接触以外には、思いつきません。制裁に積極的に参加した他の国々と同じように、日本はすべての接触を凍結し、かなり傲慢で好戦的な口調に先祖返りしました。私たちは、彼らの話に耳を傾けています。北欧におけるNATOの強化への対応と同様に、日本列島付近の安全保障上の利益をそれに応じて確保するよう努力します。

質問:日本の軍備増強についてもお聞きしました。それについてどうお考えですか?

セルゲイ・ラブロフ:先ほど、日本が軍事力を増強していることは、肯定的な展開とは言い難いと申し上げました。日本は北朝鮮を意識していると言っています。しかし、彼らがロシアや中華人民共和国を念頭に置いていることは、誰もが知っていることです。アメリカは公然と日本に軍事的な設備と能力を強化するよう勧めています。憲法を改正し、日本の軍隊が平和主義者の面影を失い、海外で軍事作戦を行えるようにするという案が浮上しています。

 これが、ロシア連邦との関係を正常化させるに際しての日本の利害と一致することはまずありません。

 数年前、日露の平和条約締結に向けた作業が行われていたとき、わが国の大統領と日本の首相が定期会合で文言や草案を検討し、その合間に大臣、副大臣、有識者が作業を進めました。ある時、日本側は、私たちが提示する「大きな」平和条約は必要ない、と言い出しました。ロシアの立場は、戦後の慣例として行われる平和条約を結ぶというものでした。おそらく、これは降伏文書ということになるのでしょう。ここに国境があります。これからは平和に暮らしましょう。しかし、それから数十年が経過しました。そのような紙切れに署名することは、現在の日露関係の到達点を軽視することになります。そこで私たちは、相互尊重、相互利益、隣人愛に基づいた協力の原則を示す拡大平和条約に署名することを提案しました。この平和条約には、経済、投資、人道的な協力の分野も含まれるはずでした。そうすれば、上記のような国境線が引けるはずだったのです。しかし、日本側は「冗長で高邁な言葉で書かれた条約ではなく、具体的な文書が必要だ」と言って、私たちの提案を断りました。

 日本国内での話し合いは、非常に簡潔でわかりやすいものでした。日本は、まず2島を手に入れ、それから平和条約を締結することを望みました。わが国の大統領と日本の首相は、1956年のモスクワ協定で規定されたように、逆の順序で進め、まず平和条約を締結することで合意していたにもかかわらず、です。

 しかし、私が言いたいのは、それとは別のことです。私が今言ったことはすべて昔のことです。日本人は、まず2つの島を返してもらい、そこから始めることを頑なに主張したのです。余談になりますが、私は大臣として日本との付き合いが長いのですが、日本研究家ではありません。私は、この国の古参の専門家に、今の状況について考えを聞いてみました。彼は、首相はロシアとの関係促進に関心があり、定期的な接触もあり、文化的行事も続いているが、ある日突然、日本人がこの4島は取り戻さないと決めたら、ロシア連邦を最も過激に中傷する者の仲間入りをすることになるだろう、と言いました。私は彼の言ったことを引用しただけです。それについては何も付け加えることはありません。

 2022年、国連総会では例年通り、ロシアの決議案 「ナチズム、ネオナチズム、および現代的な形態の人種主義、人種差別、外国人排斥および関連する不寛容をあおる一因となるその他の慣習の美化と闘う」 について投票が行われていました。日本、ドイツ、イタリアは史上初めて反対票を投じました。以前は、棄権でした。理論上ではなく、現実の生活のあらゆる領域に入り込んでいるナチズムを賛美するウクライナを見るにつけ、旧枢軸国の3カ国によるこの投票は象徴的な響きをもちました。

 ラチン回廊といえば、昨日、アゼルバイジャンの外務大臣と話をしました。2020年11月9日に3カ国の首脳が合意した内容では、ラチン回廊は双方向で自由に物資、市民、車両の通行ができるようにすること、となっています。もちろん、このルートは軍事貨物の輸送に使ってはいけないという趣旨のことが別途述べられています。アゼルバイジャン側は、アルメニア側がこの回廊経由で地雷を運搬し、三者間協定に反してアゼルバイジャンの陣地付近の地雷に使用したという資料を提供しました(わが国の軍事専門家が調査中)。相互非難がさかんに行われています。

 私たちは単刀直入な提案をしました。三者間協定に基づき、ロシア平和維持隊には交通規制を行い、禁止貨物、非人道的貨物、非民間的貨物の車両を点検する権限が付与されているのです。

 先日、アゼルバイジャン代表とナゴルノ・カラバフ代表が、シア派遣軍司令官の参加の下で会談を行いました。

 この問題はじきに解決すると思います。

質問:アフリカのことは一言も語られていません。本日未明、南アフリカ外相はRIAノーボスチ*との会見で、米国議会が検討を予定していた反ロシア法案を取り下げるよう呼びかけました。この法案は、ロシアに協力し続けるアフリカ諸国を米国が罰することを定めたものです。南アフリカ外相(女性)は、西側の植民地政策は容認できないこと、わが国に対する一方的な制裁はありえないこと、について、詳細に語ってくれました。今回のアメリカのアフリカでのロシアの活動に反対する法案について、モスクワはどのように考えているのでしょうか。その地域の国々とのロシアの協力関係にどのような影響を与えるのでしょうか?
*かつて存在したロシアの国有通信社で、現在はRussiaTodayのロシア国内向けのブランド。ソビエト連邦時代のソビエト情報局をルーツとし、1961年に「ノーボスチ」の名称を使用するようになった。( ウィキペディア)

セルゲイ・ラブロフ:この法案に対する私の見解は、南アフリカのナレディ・パンドール外務大臣と同じです。アフリカとの関係にどのような影響を与えるかについては、彼女の発言にすでに答えがあるように思います。

 すべてのアフリカの国が、南アフリカのように公式代表を通して自分の立場を明確に表現できるわけではないでしょう。場合によっては、個人の資質による主観的な要素が影響するでしょう。アフリカの仲間たちの中には、あまり原則的でない立場を打ち出す人もいるかもしれません。

 しかし、このようなアメリカの挑発に発言しない人たちも、心の中では、この法案が、主にアフリカ人にとって有害だと考えていることは間違いないでしょう。

 第一に、アフリカは対等だと見なされていません。これは明らかに新次元の植民地精神です。第二に、マイク・ポンペオがトランプ政権の国務長官だったとき、彼はアフリカを訪れ、公的な行事や記者会見で、ロシアや中国との貿易を中止するように皆に促しました。ロシアや中国は、アフリカの利益を犠牲に利益を得ようとしているらしいが、アメリカはもっぱらアフリカ諸国が発展し民主化を築くために貿易をしているのですから、と。へそで茶を沸かすような話です! このような主張は、アフリカを含め、世界のどこでも当然のように受け入れられています。

 ロシアとアフリカは、2023年7月23日から26日にかけて、サンクトペテルブルクで第2回ロシア・アフリカ首脳会議(サミット)を開催することを計画しています。私たちはこの首脳会議のために、ビジネスフォーラムを含む一連の行事を準備中です。私たちは、あなたが今回の米国の法案に関連して言及した制裁と脅威の環境下で、協力体制を作り変えるための文書を起草しています。新しい貿易・投資協力の方法、物流網、決済の取り決めなどが行われる予定です。自国通貨での取引への変更も進んでいます。この実行過程は急速なものではありませんが、進行中であり、勢いを増しています。

Video with English Translation: ロシア連邦外務省



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Covid言説の崩壊 (ポール・クレイグ・ロバーツのブログより)

<記事原文 寺島先生推薦>

The Collapse of the Covid Narrative

出典:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)のブログ

PCR.jpg

2023年1月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月14日


 真実を伝える媒体として、現在最も偉大な告発団体である「プロジェクト・ベリタス」は、ファイザー社の幹部ジョーダン・トリシュトン・ウォーカー(Jordon Trishton Walker)の姿を動画に収めることに成功した。

 ウォーカーはファイザーの研究開発部長であり、戦略的作戦「mRNA科学」の立案者である。動画では、その彼が、「ファイザー社が政府の規制機関を完全に取り込んで同社がワクチン販売から無限の利益を得られるよう、ウイルスを変異させる」という計画について説明している。

 この告白は衝撃的だが、娼婦メディアからこの報道が出ることを期待してはいけない。巨大製薬業者から選挙資金を得ている議会が、この件に関して調査を行うという危険を犯すことも、期待してはいけない。 巨大製薬業者とその手中にある連邦政府の規制当局が人類に対して犯した罪は、おさまることなくこの先も継続されるだろう。この告発動画については、こちらを参照。
https://rwmalonemd.substack.com/p/project-veritas-has-broken-pfizers?utm_source=substack&utm_medium=email#play

 ロバート・マローン博士は、米国の製薬業界を以下のように評している。

 「人に対する情けは欠如。自分の目的を果たすことには貪欲。人類を深い悲劇に追いやる力を持っていることに喜色満面であり、人類や国家体制に仕掛けた工作により生じた被害に歓喜している。自分たちが発する言葉や、使用している言語構造により恐怖が引き起こされていることなどはお構いなしだ。自分たちの権利に対する深い信念に取り憑かれている。目眩を起こすくらいの自己陶酔に浸りきっている。腐敗を祝福。知恵や内省などは完全に存在せず、自分たちの魂が基本的にどうあるべきなのかという自問自答も全くない。」

 「道徳心のない企業からの上級使者に対して、法廷は、一般市民であれば制限されていたような権利を付与し、これらの企業は慢性的に人々の苦しみを食い物にしてきたのだ。不法行為として請求される大規模な罰金を、不都合であるとして支払いから逃れてきた。会社の経費として支払うのがいやだという理由だけで。」

 「異世界からやってきたこれらの外交官たちの顔をじっくり見、これらの異世界のものたちが発する言葉をしっかり聞こう。そうすれば、私たちが、どうやってこんな現状に向き合わされているのかの仕組みがわかるはずだ。このような仕組みのせいで、世界中の人々がこんな悲劇に直面させられているのだ」

 「全く反省の色を見せない、あの邪悪なものたちの醜い顔から目をそらしてはいけない」

 これが、米国の製薬産業の姿だ。

 米国の巨大製薬企業の配下にあり、その販売行為の代理人である米国食料・医薬品局(FDA)は、赤ちゃん向けのCovid予防接種を承認し、市場に売り出すことを認可した。しかしそのせいで、歴史上初めて、心臓麻痺を起こした赤ちゃんが発生した。そして英国政府は、50歳以下の人々に対するワクチンの追加接種を終了した。

 英国政府は、ワクチン・予防接種合同委員会からの提言を拒絶できず、大多数の年齢層に対する追加接種の中止には踏み切った。その理由として推測される(公にはされていないが)ものは、理性のある人ならだれでも、追加接種などを受けたいとは思っていないため、このような計画は経済効果が見込めないという事実だろう。ただし、ワクチン追加接種計画は、「危険度が高い人々」や「国民医療サービス」を保護するためという理由で継続されている。 https://www.theepochtimes.com/mkt_app/uk-government-ending-covid-19-vaccine-boosters-for-healthy-people-under-50_5010804.html?utm_source=Morningbrief&src_src=Morningbrief&utm_campaign=mb-2023-01-26&src_cmp=mb-2023-01-26&utm_medium=email&est=5zrVyXt2LBCNa1KcIx3ufWAkbDzloXVjg39gWXEOWGVijkXCCXv0ow%3D%3D

 最近の米国の世論調査の結果によると、過剰死や突然死はCovidワクチンで説明がつくと考えている人々が48%、そうではないと考えている人が35%いることがわかった。さらにワクチン接種後に亡くなった人を知っていると答えた人は28%だった。

 「ワクチン」の真実について誰よりも深く追求しているスティーブ・キルシュの結論はこうだ。「死亡者の数値からわかることは、Covidワクチンは世界じゅうで寿命を短くしていることだ。」 https://stevekirsch.substack.com/p/the-death-records-show-the-covid?utm_source=substack&utm_medium=email

 したがって、親愛なる読者の皆さん。米国の製薬産業、ジョー・バイデンや貴殿が支持している米国の政治家たち、とんでもなく腐敗したトニー・ファウチのような医療の特権階級にいる人々、娼婦メディア、医療業社、腐りきった貴殿の雇い主や学校や大学、航空会社、軍、病院。これらの勢力がよってたかって貴殿に恐ろしい内包物をもったワクチンを無理矢理注射させてきたのだ。「ワクチン接種計画」の後に起こった過剰死はとてつもない数になっている。出生率は急降下している。そしてこの「ワクチン」に効果があるという証拠は、全く見つかっていない。

 「ワクチン接種に利点がある証拠はない」。Covidワクチンは、「事態を悪化させている」。https://www.globalresearch.ca/professor-byram-bridle-no-evidence-any-vax-benefit/5806102

 以下はフレミング博士が、宣誓のもとでの証言において、Covidは米国政府が作り出した生物兵器であると語った映像だ。
https://odysee.com/@Video_di_KasperCarlo:d/COVID-CRIMES-Dr.-Richard-M.Fleming-MD-sworn-testimony-that-C-(sub-ita-COMPLETO):a

 このような状況に際して、貴殿は何かするおつもりだろうか?

 それとも指をくわえてただ次の欺瞞に引っかかるのを待っているだけのおつもりだろうか? そんな欺瞞は次から次へと永遠に襲ってくるだろうに。
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「ノルド・ストリーム」破壊工作の影に米国あり (伝説のNYT紙記者シーモア・ハーシュ)

<記事原文 寺島先生推薦記事>

US behind Nord Stream sabotage – legendary NYT journalist
Washington “took out” the Russian gas pipelines, Seymour Hersh has claimed

ワシントンがロシアのガスパイプラインを「破壊した」と、シーモア・ハーシュは主張している。

出典:RT

2023年2月8日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月13日

海面

2022年9月28日、バルト海のアットシーで発生したガスパイプライン「ノルドストリーム2」の漏泄によるガスの噴出。© Swedish Coast Guard via Getty Images


 ノルドストリームのパイプラインは昨年9月、米国による秘密作戦で破壊されたと、ピューリッツァー賞受賞の調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュが主張している。この伝説的な記者は、水曜日(2月8日)にパーソナル・メディア「サブスタック」に新しく開設したブログに投稿した記事で、この爆弾発言をした。

 ハーシュ氏は、2022年6月、NATOの演習BALTOPS 22(バルト海作戦2022)を口実として、米海軍のダイバーがパイプラインに爆発物を設置したと、作戦計画を直接知る関係者を引用して報告した。

 同記者は、ホワイトハウスとCIAにコメントを求めたが、米国がパイプラインを「破壊した」という主張は「全くの虚偽だ」と断固拒否されたと述べている。

 報告書によれば、爆弾は3カ月後の9月26日、ソナーブイ*から送られた遠隔信号で爆発させられた。このブイはノルウェー海軍のP8偵察機によってノルドストリーム・パイプラインの近くに投下されたという。
*水中音響信号を受信して電波で送信する航空機投下式のブイ

 この作戦は、ホワイトハウス、CIA、軍部の間で数カ月に及ぶやりとりを経て実現したもので、当局者はいかにして米国の攻撃への関与の痕跡を残さないかに注力していた。この計画は2021年12月に始まり、ジェイク・サリバン米国国家安全保障顧問の直接参加により特別任務部隊が創設された。

 「海軍は、新たに就役した潜水艦を使ってパイプラインを直接に襲撃することを提案した。空軍は、遠隔操作で起動できる遅延信管付きの爆弾の投下を検討した。CIAは、何をするにしても、秘密裏に行わなければならないと主張した。関係者はみな、それが危険性をともなう賭けであることを理解していた」と報告書には書かれている。


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関連記事:ロシアがノルドストリーム破壊工作に関係している証拠はない。(ドイツの検察官)


 この情報源はハーシュに、関係者の誰もが、この作戦が「子供だまし」ではなく、実際に「戦争行為」であることを理解していたと語った。この「すべての計画」の間、ある当局者はホワイトハウスにこの考えを完全にやめるように促した。CIAや国務省のある職員たちは、「こんなことはするな。バカバカしいし、表に出れば政治的な悪夢になる、と言っていた」という。

 当初、爆発物は48時間のタイマー付きで、BALTOPS22の終了までに仕掛ける予定であったと、ハーシュは同じ情報筋を引用して報じた。しかし、ホワイトハウスは、この2日間では訓練終了に近すぎると判断し、特別部隊にオンデマンド(要求があり次第の方式)で爆発させる方法を考え出すよう命じたという。これが最終的にソナーブイを利用するという形になった。

 バイデン政権は、ノルドストリーム・パイプラインを危険にさらすことにその力を「集中」させてきた。最初は制裁措置で、最終的には直接破壊工作で、当時迫りつつあったウクライナ紛争の中で、ヨーロッパを米国の狙いの方向に動かす鍵になると考えていた、とハーシュは指摘する。

 「ワシントンが恐れていたのは、ヨーロッパが安価な天然ガスのパイプラインに依存している限り、ドイツのような国がウクライナにロシアを打ち負かすために必要な資金や武器を供給することを躊躇することだった」とハーシュは書いている。

 モスクワは、爆発事件の直後、同様の見解を示して「テロ攻撃」と断定し、ヨーロッパがロシアのガスから離脱する試みを加速させることによって、最も恩恵を受けたのはアメリカであると述べた。

 ハーシュはその職歴を通じて、米軍による戦争犯罪や注目される政治スキャンダルなど、数々の爆弾記事を報道してきた。ベトナムで起きた米軍によるミライ(ソンミ村)虐殺事件を暴き、1970年にピューリッツァー賞を受賞した。その他、ウォーターゲート事件、CIAの違法な国内スパイ行為、イラクのアブグレイブ刑務所での米軍による拷問や被拘束者への虐待などについても報道している。

(原文にはニュースビデオの動画があります。)
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ウクライナで起きていることを無視するわけにはいかなかった。(プーチン)

<記事原文 寺島先生推薦>

We couldn’t ignore what was happening in Ukraine – Putin
The Russian president explained what led to the ongoing military conflict.

ロシア大統領は、現在進行中の軍事衝突に至った原因を説明した。

出典:RT

2023年1月18日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月13日


プーチン

ロシアのプーチン大統領は、ロシアのサンクトペテルブルクにあるレニングラード防衛・包囲の国立記念博物館で、第二次世界大戦の退役軍人、包囲されたレニングラードの住民、そして愛国的市民団体の代表と会談した。© Sputnik / Ilya Pitalev



 ウラジーミル・プーチン大統領は水曜日(1月18日)、ウクライナで行われているモスクワの軍事作戦の理由の説明として、キエフがロシアの文化、言語、そして伝統と切り離せない人々を排除し始めたとき、ロシアは黙って見ているわけにはいかなかった、と述べた。

 プーチン大統領は、レニングラード封鎖解除80周年記念行事で、ドネツク、ルガンスク両地域はロシアの「歴史的領土」であり、8年にわたるドンバスでの戦争を終わらせ、ドンバスの人々を守るために、最終的に軍事作戦を開始する決断をしたと述べた。

 「我々は長期間耐え、長い時間をかけて合意達成を目指しました。しかし、現状はどうなっていますか、我々はいいようにあしらわれ、だまされたのです」と大統領はさらに言葉を続けた。これは、明らかにドイツのアンゲラ・メルケル元首相とウクライナのピョートル・ポロシェンコ元大統領の発言をさしている。この二人は、ドンバスに平和をもたらすために作られた2014年と2015年のミンスク協定は、キエフが軍備増強のための時間稼ぎであった、と認めている。

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 「こんなことは今回が初めてではありません」とプーチンは認め、ロシアは平和的手段で事態を解決しようと最善を尽くしてきた、と述べた。「しかし、はっきり言って、それが不可能であったことは、今や、火を見るよりも明らかです。敵は、今回の紛争を重大な熱い戦争に転移させる準備をしていたのです。我々としては今やっていること以外の選択肢はありませんでした」とプーチンは説明した。

 これに先立ち、ロシアのラブロフ外相は、モスクワに直接の脅威となる軍事インフラが残っていない場合、ロシアはウクライナにおける目的を果たしたとみなすと述べた。また、紛争を終結させるためには、キエフがロシア語話者に対する嫌がらせや差別を止める必要があるとも述べた。

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百聞は一見にしかず。世界中で展開されたCOVIDワクチン接種後の死亡について、データから明らかになること

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Seeing Is Believing: What the Data Reveal About Deaths Following COVID Vaccine Rollouts Around the World

筆者:ギャヴィン・デ・ベッカー(Gavin de Becker)

出典:Children’s Health Defense

2023年1月9日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月12日


 なぜ、すべての国で集団接種後にCOVID-19による死亡が増加するのか?
 大小さまざまな国で、豊かな国や貧しい国でも、世界のさまざまな地域、混雑した都市や人口の少ない国でも、そして、寒い国や暑い国、熱帯、砂漠、高地、低地、小さな島、内陸国でも。


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編集部注:この資料は、エドワード・ダウド氏の新著『「原因不明」:2021年、2022年の突然死の流行』に収録されている。これを書いたのはギャヴィン・デ・ベッカーで、彼はこの本の後書きも書いている。


 私は、エド・ダウドに、彼の著書『「原因不明」:2021年、2022年の突然死の流行』の中に、集団予防接種が開始されたときに世界中で見たことを書いた記事を載せるスペースを確保してもらえないかと頼んだ。

 ダウド氏の見事な分析に照らせば、大量接種前にCOVID-19による死亡者数が多くなかった国々のデータを見ることは、最も単純な比較対象として特に有益である。

  1. 彼らはCOVID-19に起因する死亡率が非常に低かった。

  2. その後ワクチンの大量接種が始まった。

  3. そして、COVID-19に起因する死亡が大幅に増加した。

 韓国は多くの例の中で最も早い例を示している。mRNAワクチンを広く普及させる前、韓国ではCOVID-19による死亡はほとんどなかった。彼らのCOVID-19による死亡のほぼすべてが、大規模なワクチン接種後に発生していることがおわかりいただけると思う。

韓国での集団予防接種前後のCovid-19死亡者数

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 供給不足が頻発したため、韓国の大量接種計画は2021年第3四半期以降にイスラエルからファイザー社製を数十万回分借用し、本格的に始動した。そしてCOVID-19の死亡がすぐに起きた。そんなことは起こるはずもなかったのに。

 2021年11月、文大統領は追加接種を進める大規模な促進活動を開始した。「ワクチン接種は3回目の接種を受けて初めて完了する」。 国民はこれに応じ、成人の90%以上がワクチン接種を完了した。グラフは、その後に発生したCOVID-19の死亡例を示している。

 同じパターンが世界中で繰り返されている。百聞は一見にしかずということで、ここで一旦中断し、いくつかの簡単な典型的グラフの後に、より詳細に再開することにする・・・。


タイでの集団予防接種前後のCovid-19死亡者数

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マレーシアでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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ウガンダでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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ネパールでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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ポルトガルでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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モンゴルでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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ザンビアでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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パラグアイでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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バーレーンでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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ウルグアイでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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チェニジアでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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スリランカでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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アフガニスタンでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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台湾でのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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 イスラエルは、ファイザー社製ワクチンの世界の申し子であった。これらの国々と同様に、イスラエルでもCOVID-19による死亡者の大半は集団予防接種後に発生している。

イスラエルでのCovid-19による集団予防接種前後の死亡者数

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 そして最後にベトナム。彼らは2021年3月に大量接種を開始し、世界中から5種類のワクチン製品を購入した。そして、COVID-19による死亡者数が急増することはなかった。

 しかし、2021年7月初旬、米国政府がファイザーとモデナのmRNAワクチンを数百万本寄贈し始めた、そしてまさにその時、ベトナムはグラフにあるようなCOVID-19 による死亡者の急激な上昇を経験した。

Covid-19による集団予防接種前後の死亡例、 ベトナム

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 どのように考えても、ワクチン接種が効果的であれば、このようなグラフになるはずはない。

 なぜ集団予防接種後にCOVID19死亡が増加するのだろうか? 大小さまざまな国で、豊かな国や貧しい国でも、世界のさまざまな地域で、密集した都市でも人口の少ない国でも、寒い国、暑い国、熱帯、砂漠、高地、低地、小さな島、内陸国でも。

 この疑問は、公衆衛生関係者やメディアが慎重に分析して答えようとする動機付けになると考えられる。しかし、彼らは、そのような事実を公の場から排除することで一致団結している。

 あなたが見たグラフに示された現実は否定できないし、見ないわけにはいかないし、メディアや政府以上に興味を持ち、労を惜しまない人なら誰でも見ることができるものである。



 好奇心の強い方なら、COVID-19以前の広範な研究によって、人々の免疫体系がいくつかのワクチンによって弱められることが明らかになっていることを考慮すべきです。以下に示すのは、多くの例の中のほんの一部である。

 ・2011年の研究。インフルエンザの年1回のワクチン接種により、「これまでインフルエンザに感染していなかった幼児が、新しい亜種の世界的流行の(パンデミック)インフルエンザ・ウイルスに感染しやすくなる可能性がある。」

 ・2013年の研究。ワクチン接種は、2番目の変異種にさらされた場合、インフルエンザを悪化させる可能性がある(COVID-19で何十億人もの人がそうであったように)。

 ・2018年の研究。ワクチン接種後、急性呼吸器感染症が増加する。この研究は、ワクチン接種者とワクチン未接種者を比較したものである。

 さらに最近では、医療従事者を対象としたデンマークの研究で、最初の予防接種後の2週間にCOVID-19の感染が大量に増加することが示されました。

 このデンマークの研究を知って、BMJ*は緊急調査を求める書簡を発表した
* British Medical Journal

 「COVIDワクチン接種後の白血球減少の証拠と、ワクチン接種直後にCOVID感染率が上昇した証拠を考えると、この2つが因果関係にある可能性を、緊急に調査する必要がある。」

 デンマークの研究では、「最近の感染拡大時に家庭内で、ワクチン接種をしていなかったが、ファイザー・ビオンテックのワクチン接種後、最初の2週間で感染率が40%上昇した」ことが分かっており、ワクチン接種時に、たまたま既に感染していた人がいたからではないことが分かったということである。

 40%という数字は、 BMJの書簡の中で再び出てくる。

 「ファイザー社の最初の試験では、COVIDの疑いがある人が統計的に有意に40%増加することが示された。」

 この悲しい謎解きに対するより都合のよい答えを探すと、これらのグラフに見られるような死は、ワクチン接種後に人々が用心しなくなったために起こったと推測する人もいるかもしれない。

 BMJはその説を検討し、信憑性に欠けると判断した。その理由は、ワクチン接種後の数週間で感染症が増加したことを示すいくつかの研究の中に、ワクチン接種後に実際にそれまでよりもさらに遮蔽したケアホームの入居者の例があったからだ。

 「ケアホーム内での行動に変化があったとは誰も言っていない。しかし、全国各地のケアホームでは12月から感染拡大が見られた。それでは、どこが違うのか?」

 素晴らしい質問だ。答えは明白だ。

 もし、これらの新しい製薬会社製品が他の製薬会社と同じ法律で縛られているとするなら、テレビのコマーシャルはおなじみのアナウンサーが急いで副作用を説明して終わらなければならないだろう。たとえば、こんなふうに。

 COVID-19ワクチンを接種すると、感染症や病気にかかりやすくなる人がいます。Covid-19ワクチンを接種すると、感染症や病気にかかりやすくなる人がいます。心停止、血栓、脳卒中、突然死などの副作用を経験する人もいます。

 しかし、これでは、あまり良い売り込みにはならないだろう。

 もちろん、ファイザー社とモデルナ社はこれらのワクチンについて売り込みをする必要はなかった。なぜなら、この製品は私たち自身の政府によって開発、注文、購入、宣伝、弁護、補償、さらには義務づけられたものだからだ。
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エフゲニー・プリゴージン:アメリカは私のワグネル組織を恐れている。私たちが彼らをこてんぱんに痛めつけることを知っているからだ。

<記事原文 寺島先生推薦>

Yevgeny Prigozhin: The Americans fear my Wagner organization, because they know we can kick their asses
The founder of the Russian PMC replies to a US decision to include his company in a list of transnational criminal organizations

ロシアの民間軍事会社の創設者が、国際犯罪組織のリストに自分の会社を含めるという米国の決定に対して返答している。

筆者:エフゲニー・プリゴージン(Yevgeny Prigozhin)
    ワグネルPMC(軍事会社)の創設者

出典:RT

2023年1月23日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月11日


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実業家エフゲニー・プリゴージン。© AP Photo/Alexander Zemlianichenko


 米国政府がワグネルPMCを国際犯罪組織のリストに正式に加えたのは、同組織がソレダルの戦場で成功を収めたわずか数日後のことだった。これは、米国が数年前からワグネル社に対して様々な非難を浴びせてきた内容とは相容れない。RTは、民間軍事会社の創設者であるエフゲニー・プリゴージンに、米国のこうした最新の動きについてどう考えるか尋ねた。以下が彼の答えである。

 この世界では、善は常に悪と戦っています。ワグネルPMCは力です。それはロシアの軍事力の一部です。そして、この力は常に善の側にある。

 もちろん、哲学的に考えれば、ワグネルPMCは善であるという人もいれば、悪であるという人もいるわけです。しかし、敵にとっては悪なのです。アメリカとロシアは不倶戴天の敵であり、これはあなたの見解がどうであれ、確立された事実です。

 アメリカは、ロシアを細かく分割したのち、中国やその他のライバルと争おうとしています。自国が地球上で最も大きく強力な国であり続けるためにです。これはすべて、多極化する世界か一極化する世界かをめぐる議論の一部である。そして、これまでのところ、米国は非常にうまくやっています。旧ソ連を例にとってみればおわかりでしょう。

 ワグネルPMCは何も犯罪を犯していません。ところが、世界の様々な場所で様々な犯罪を我々になすりつけようと日々を過ごしている人たちがいます。しかし、アメリカの準軍事組織とは異なり、ワグネルPMCは平和の敵だけを排除し、犯罪は犯していません。もちろん、二重基準を採用すれば、誰にでも汚点を掘り起こすことができますが。


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関連記事:「町中が死体だらけ」:ロシアの執拗な攻撃で、ウクライナはどのようにしてソレダルで屈辱的な敗北を喫したか。


 しかし、それならこんな質問をしてみるのもいいでしょう。自分たちには正当な理由がないのに広島と長崎に原爆を投下したのは誰なのか? 韓国、ベトナム、アフガニスタン、リビア、シリア、モザンビーク、中央アフリカなどでの戦争や革命を手配したのは誰なのだろうか? これらの国のいくつかは、後にワグネルPMCを頼り、鉄拳でこれらの戦争に終止符を打っています。つまり、ワグネルPMCを犯罪組織と言うならば、アメリカは全世界の金で生きている強力な犯罪組織結合(シンジケート)なのです。したがって、この犯罪組織に比べれば、ワグネルPMCは警察の代理組織のようなものです。

 私は、アメリカ人にとって非常に腹立たしい秘密をたくさん知っています。CIA職員がオサマ・ビン・ラディンを訓練し、シリアや他の国のISISに金や武器の入ったバッグを持ち込んだことを覚えている目撃者がいます。彼らは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米など、どこでも紛争が起こるように、世界中で無法者やテロリストを準備していたのです。そしてアメリカという夢のような青い島だけは平和が保たれる算段でした。

 ほとんどの世界の大国は、アメリカと衝突しないように努めています。反撃に出た政権は、たいてい反民主主義、次に犯罪者、そしてテロリストと断定されます。PMCワグネルは国でも政権でもなく、むしろ若く奔放な力であり、それゆえにアメリカから恐れられているのです。彼らは2018年のデイル・エズゾール(シリア東部の最大都市)でこの力を破壊しようとしました。しかし、PMCワグネルはその精神を取り戻し、世界悪の体現者の目を恐れることなく見ることができるようになったのです。

 非常に重要なことは、わたしたちがアメリカ人に対して攻撃的に振る舞ったことは一度もないが、それにもかかわらず、彼らからの無礼を受け入れたことはない、ということです。わたしたちは、ワグネルPMCに危害を加えたり、暗殺を企てようとした武装集団やアメリカの諜報部員を捕まえたことが何度もあります。そのたびに、私たちは彼らを罰した後は 、穏やかに帰国させ(映像はたくさんある)、帰す前には昼食と夕食までふるまっています。

 だからアメリカ人は当惑するのです。我々は彼らに手を出さないが、彼らに振り回されることもないのです。だから、アメリカ人は怒っているのです。彼らのものはいらないが、我々のものは譲らない。いやはや、こんなことを言うと、彼らは本当に神経を逆なでされるでしょうね。まあこれで、質問にはすべて答えたと思います。
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グーグル社が情報操作:英国の50歳未満へのブースター接種中止の速報を隠蔽

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Google hides breaking story about UK pausing boosters for under-50s
Similar searches on alternative search engines yield relevant results

他の検索エンジンで類似の検索をした場合は、関連する結果が得られる。

筆者:ユーディ・シャーマン(Yudi Sherman)

出典:Frontline News 

2023年1月27日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月9日

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 英国が50歳未満への新型コロナウイルス感染症のブースター接種を段階的に中止するという速報は、世界最大の検索エンジン(Google)で見つけることができません。

 英国の国民保健サービス(NHS)は水曜日(1月25日)、新型コロナウイルス感染症のリスクがない50歳未満の人は、2月12日以降、新型コロナウイルス感染症のブースター接種を受けることができなくなると発表しました。

 「NHSは2月中旬以降も、小規模なワクチン提供を継続し、1回目と2回目の接種対象者が確実に接種できるようにする」と、マリア・コーフィールド保健相は述べています。

 エポック・タイムズ紙によると、若年層に対するブースター接種の終了勧告は、「予防接種と免疫に関する合同委員会(JCVI)」から出されたもので、リスクのない人には一次接種(初回接種)を段階的に終了することも勧告しています。JCVIは今年末までに終了することを推奨していますが、より健康な集団に対する一次接種の終了日は設定されていません。

 「現在のデータによれば、これらのグループに対してブースター接種(3回目)の提供を続けることは、継続する価値が限られていて、ワクチン接種への全体的な影響は無視できると考えられている」と委員会は述べています。

 ハフィントン・ポスト紙*ザ・ミラー紙ザ・サン紙などの主要メディアもこの話を報じていますが、グーグルで「英国が50代以下の人のワクチンを中止」または「英国が50代以下のブースター接種を中止」で検索しても、この記事の公開時点では関連する結果は出てきません。しかし、ダック・ダック・ゴーで同様の検索をすると、関連する結果がいくつか表示されます
* 2005年設立のアメリカの独立系インターネット新聞

 グーグル社は、グローバリストの工作員のための政治的な拡声器であることと、新型コロナウイルス感染症のワクチンに対しては肯定的な扱いだけを行うことを公にしています。

 昨年、グーグル社は、人権団体『アメリカズ・フロントライン・ドクターズ』のウェブサイト『AFLDS.org』の検索順位を下げると通告しましたが、その理由は、メンバーの専門的医学意見が新型コロナウイルス感染症に関する連邦政府が決めた科学の意見と衝突していたためでした。

 10月、グーグル社は、メディアの報道管制に 関与して、「巨大製薬会社は、ワクチンが市場に出たとき、感染を止めるかどうかわからない」というファイザー社の幹部による爆弾証言の掲載を拒否しました。この記事を書いた時点でも、グーグルが最初のページに表示するのは、この記事の中身を薄めようとする事実確認だけです。

 このハイテク企業は、連邦政府が決めた科学に異議を唱える他のウェブサイトに対しても、ユーチューブからの停止、検索順位降下、広告の非掲載など、同じことを行ってきました

 9月、グーグル社は、ティム・ライアン下院議員(民主党)が、トランプの支持者に言及して「あの運動に大きなダメージを与えて、やっつけたい」と発言したことを検索結果から隠しました。代わりにグーグルは、民主党を怒らせた共和党議員に関する古いメディアの記事や、ジョー・バイデンの分断的な話を載せました。

 同じ月、国連職員は、グローバリストの組織がグーグルと提携して、国民に「気候変動」の物語を聞かせたことを自慢しています

 しかし、グーグル社の新型コロナウイルス感染症の活動は、同社の検索エンジンだけに留まりません。マサチューセッツ州に対して起こされた集団訴訟によると、この大企業はマサチューセッツ州保健局(DPH)とも協力し、100万台以上のアンドロイド・スマートフォンに侵入して連絡先を追跡しています。

 グーグル社の検閲は、グーグルマップなど、他の製品にも及んでいます。

 8月、アメリカのフロントライン・ニュースが報じたのは、民主党議員の協力のもと、ユーザーが自分のいる場所で中絶関連サービスを検索しても、グーグルマップに「危機妊娠センター*」が表示されなくなるということでした。「危機妊娠センター」は、母親が妊娠を完遂できるよう金銭的・医療的支援を提供しています。
* 妊婦に人工妊娠中絶の手術を受けないよう説得するために設立された非営利団体の一種。

 グーグル社は、どのコンテンツを検閲するかについて、政府高官と定期的に会合していることを認めています。
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ツイッター文書で明らかになった政府言論統制の拡大 (調査報道記者マット・タイビ)

<記事原文寺島先生推薦>

Twitter Files revealed growing government control – Matt Taibbi
US federal agencies' influence over the platform grew before the 2020 election, the journalist outlined

2020年の選挙を前に、ツイッター社への米連邦政府機関の影響力が拡大したと、ジャーナリストが指摘した。

出典:RT

2023年1月21日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月9日

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カリフォルニア州サンフランシスコにあるツイッター本社の看板(2022年12月8日) © AP / Jeff Chiu


 調査報道記者のマット・タイビは、ツイッターファイルの調査中に、ソーシャルメディアのプラットフォームであるツイッター社に対する政府の支配が強められた過程を発見したと、土曜日(1月21日)の「The Whistleblowers(内部告発者)」という番組内で、RTのジョン・キリアコウに語った。

 イーロン・マスクは10月にツイッター社を440億ドルで買収して以来、これまで不透明だった同プラットフォームの検閲政策に光を当てる文書を次々と発表し、それぞれの文書の山を解読するために独立系ジャーナリストを起用してきた。独立系ジャーナリストのマット・タイビが最初に選ばれ、ハンター・バイデンのラップトップに関する報道を抑えるための全社的な取り組みを明らかにする通信を公開した。 その内容は、多くの外国の汚職計画にバイデン一族が関与していることを示していた。

 「私はその話自体にはあまり興味がなかったのです」とタイビはキリアコウに語った。「私が本当に関心があったのは、ツイッターと連邦法執行機関、そしておそらくFBIや国土安全保障省、ホワイトハウスの背後にいる機関との間に、どの程度の連携や共同作業が存在しているのかという疑問でした。」


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関連記事::大手製薬会社は、Covid-19ワクチンの値段を安くする呼びかけを検閲するよう働きかけた。(Twitter文書)


 2021年の始めにドナルド・トランプ大統領(当時)のアカウントを禁止したツイッター社の決定を調査している間に、タイビはツイッター社の幹部間のインスタントメッセージ*に気付き始めたという。「メッセージの上部に「これはDHS(国土安全保障省)による警告です、これはFBIによる警告です」という小さな但し書きが書かれていたのです。」
*インスタント・メッセージ(IM)は、リアルタイムにちょっとしたメッセージをやりとりできるコミュニケーション・ツールである。電子メールと異なり、会話をするような感覚で利用できる。メモ代わりに利用でき、相手が開封したかどうかがわかるのが特徴である。

 「そのことからすぐにわかったことは、ツイッター社が連邦法執行機関から来た要求を処理する仕事をしていたという重要な事実です」と、彼は述べた。

 タイビは、2020年の選挙に向けて、Twitterが停止すべき数千のアカウントのリストを受け取っていたことを発見した。これらのリストはFBI、CIA、NSA、ペンタゴン、国務省、財務省などから同社に渡され、時にはエクセルの表計算ソフトの形で届き、従業員は問答無用でアカウントを禁止することが求められていた。

 「あまりに多くの依頼があり、一日ごとに一まとめずつ受け取っていたが、その処理が完了するとチャットで拍手が起こっていた」とタイビはキリアコウに語っている。

 あるとき、国務省から、いわゆるロシアの「偽情報」を流したとして禁止すべきアカウントのリストを受け取ったとき、国務省は何の証拠も示していないのだから、何も行動を起こすべきではないとツイッター社の社員が主張したことがあった。しかし、以前CIAで働いていたツイッター社の幹部は、同サイトの「政府要員からの検閲要求がより攻撃的になっている」ので、とにかくアカウントにフラグ(警告)を立てるよう指示したのである。

関連記事:「ロシアのボット」という主要な主張は虚偽だった。(Twitter文書)

 「この時の決定が、ツイッター社が基本的に『これ以上ノーと言えない』と悟った瞬間の一つであり、重要でした」とタイビは説明している。

 タイビがハンター・バイデンのラップトップに関する最初の記事を発表して以来、さらなる報道により、ツイッター社が米軍による「オンライン上での影響力向上キャンペーン」を支援し、複数の米情報機関に代わって「反ウクライナ言説」を検閲し、ホワイトハウスに代わってCovid-19の「正当な内容の文書」を抑制し、「ロシアゲート」のデマに加担していたことが明らかになっている。


関連記事

COVID-19の起源は米国だ。第2部:米軍の研究施設フォート・デトリックでのワクチン治験から流出との証拠 (初出:2020/3/11)

<記事原文 寺島先生推薦>

Did COVID-19 escape Fort Detrick vaccine trial? Evidence that virus originated in US bioweapons lab
Fort Detrick, Maryland, actual source of the 'Wuhan' Flu?

メリーランド州のフォート・デトリックが、「武漢インフルエンザ」の実際の発生源だったのだろうか?

筆者:ラリー・ロマノフ(Larry Romanof)



出典:グローバル・リサーチ

2020年3月11 日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月8日


 この記事を読む前に、背景知識として、以下の記事を読むと役立つだろう。

中国のコロナウイルス:衝撃的な最新情報。ウイルスはアメリカで発生したのか-日本・中国・台湾が、ウイルスの起源を報告。China's Coronavirus: A Shocking Update. Did The Virus Originate in the US?

(邦訳はこちら

 先行記事(上記)をお読みの方々はご存じだろうが、日本と台湾の疫学者や薬理学者たちの結論では、この新型コロナウイルスの起源は米国に由来する可能性があるとのことだった。そしてその理由は、このウイルスの5種類の菌株のすべてを保持しているのが米国しかないという周知の事実があることだった。そして、ほかのすべてのコロナウイルスの菌株は、この5種類の菌株から生まれたことは間違いのない事実だからだ。中国の武漢には、これらの菌株のうちの一種類しか存在せず、この菌株は「枝株」であると考えられる。このような「枝株」が、何もないところから発生することは不可能であり、発生するためには「枝」ではなく、「木」となる株の存在が不可欠である。

 台湾の医師の記載によると、2019年8月に、米国で肺炎や肺炎のような症状のある病気が流行したが、米国当局はこれは電子たばこから出される「水蒸気」のせいだとしていた。しかしこの台湾の科学者によれば、実際のところ、この病気の症状や病状からみれば、電子たばこが原因であるとは言いがたいという。そして、この台湾の科学者は米国当局に書簡を送り、この病気による死者の原因はコロナウイルスであるようだという主張をしていたという。しかしこの医師によると、この警告は無視されたとのことだ。

 この事件が起こった直後、米国CDC(疾病管理予防センター)は、メリーランド州のフォート・デトリックにあった米軍の主要生物研究所を閉鎖したが、その理由は、病原体の漏出に対する安全性の確保ができていないことだとされ、軍に対して完全な「中止と中断」を命じた。この閉鎖があった直後に、「電子たばこによる流行」説が浮上したのだ。



ニューヨーク・タイムズ紙、2019年8月8日の記事からのスクリーンショット


 さらに、日本の複数の市民が2019年9月にハワイで感染したこともわかっている。これらの人々は中国を訪問したことはなく、これらの感染事例は武漢で発生するずっと前に、米国領内で起こっていた。そしてそれは、フォート・デトリックが閉鎖された直後のことだった。

 それから中国国内のソーシャルメディア上で、別の記事が出現した。その記事は、上記の事例をおさえていただけではなく、さらに詳しい内容も伝えていた。その内容の一部に書かれていたのは、世界軍人大会(2019年10月18日~27日に開催)に参加するため、武漢を訪れていた5名の「外国人」運動選手やそれ以外の関係者が、特定できない感染症に罹患し、武漢市内の病院に入院していた、という事実だった。

 この記事がより詳しく報じていたのは、このウイルスの武漢型の出自は米国以外は考えられないという点だった。その理由は、このウイルスは、何もないところからは発生できない、いわゆる「枝」的なウイルスだとされたからだった。武漢にはその「種」が存在しなかったと考えられたのだ。そしてこのウイルスが発生するためには、もとの「幹」から生み出された新種が必要であり、その幹は米国にしか存在していなかったためだ。(1)


 このコロナウイルスが意図的に中国に放出されたという推測が人々の間で広まっていたが、中国のこの記事によれば、より悪意のない別の仮説を立てられるとのことだった。

 世界軍人大会(10月18日~27日に開催)に参加した米国選手団の何名かが、フォート・デトリックから事故的に流出したウイルスに感染していたと考えれば、このウイルスの潜伏期間が長いせいで、症状が軽かった可能性があり、これらの感染者たちは滞在中に武漢市内を気楽に「周遊」できていたかもしれない。とすれば、様々な地域で何千人もの地元の人々が感染し、その感染した人々の多くが、その後に海鮮市場を訪れ、そこから野火のように感染が広まった(実際そうなったのだが)という可能性も考えられる

 この捉え方をすれば、「ペイシャント・ゼロ(一番はじめの感染源のこと)」が話だけの存在になってしまっていて、実体が見つからないことの説明もつく。今回の武漢での感染では、この「ペイシャント・ゼロ」がこんなにもたくさんの感染者が出始めて以来、まだ見つかっていないのだ。

 次に紹介したいのは、ワシントンのジョージタウン大学の感染症の専門家であるダニエル・ルーセイ氏の主張だ。ルーセイ氏が、サイエンス誌に書いた記事によると、最初のヒトへの感染が確認されたのは、2019年11月のこと(しかも武漢市内ではない)だという。 この事実から推測されるのは、このウイルスの出処は別にあり、そこから海鮮市場に広がったのでは、ということだ。「この病気の感染開始を2019年9月18日という早い時期だと考えている研究団もある。」(2) (3)

 武漢の海鮮市場は、世界中に広がったこの新型ウイルスの発祥地ではない可能性がある。

 最初の感染の状況からは、このウイルスの発生は、どこか別の場所であると推測される。

 以下は報告書からの抜粋だ:

 「新型ウイルスの感染事例が悩ましいほどの速さで世界中で広がる中、中国の武漢市内の海鮮市場が発生源であるとして、現在すべての人々が注目している。しかし金曜日のランセット誌上に書かれていた最初の臨床事例の状況を考えれば、武漢海鮮市場発祥説には疑問が生じる。」(4) (5)

 いくつかの研究施設から集まった研究者からなる中国の研究団がまとめたこの報告書には、2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)と称された病気への感染が確認された最初の41名の入院患者についての詳細が書かれていた。

 最初の事例において、患者が病気になったのは、2019年12月1日のことで、この患者と海鮮市場の間には接点があったという報告はなかったと報告書にはある。「最初の患者とそれ以降の複数の患者の間には、疫学的な接点はなかった」と報告書にはある。この報告書で示された数値によると41の症例のうち13件は、海鮮市場と接点がなかったという。「接点がなかった症例が13件あったというのは、大きな数字だ」とダニエル・ルーセイ氏は書いている。(6)

 本記事掲載者によるコメント:そこから考えると、どこか別の場所から来たことになる。

 中国の医療当局と世界保健機関がこの報告書よりも前に出していた複数の報告書によると、最初の患者に症状が見られたのは、2019年12月8日だとされ、これらの報告書には、「ほとんどの」症例は海鮮市場と接点があるとだけ書かれていた。なおこの海鮮市場は1月1日に閉鎖されている。(7)

 ルーセイ氏によると、新しい数値が正しいのであれば、最初のヒトへの感染は、遅くとも2019年11月であったことは間違いないという。 というのも、感染してかは症状が出るまでの間には潜伏期間があるからだ。そうだとすれば、このウイルスは武漢市の市民たちの間で密かに広がったということになる。恐らく武漢市外でも広がっていただろう。その後で今の武漢市内での爆発的流行が起こったのだ。悪名高い武漢の華南海鮮卸売市場が発祥地とされたのは12月下旬になってからだった。「このウイルスは、この市場から外に出る前に、先にこの市場に入り込んでいたのだ」とルーセイ氏は推測している。

 「中国は、この流行の起源が武漢の華南海鮮卸売市場ではないことをきっと知っていた」とルーセイ氏はサイエンス・インサイダー誌に答えている。(8)

 クリスチャン・アンダーソン氏はスクリプス研究協会所属の進歩的な生物学者であり、2019-nCoV の遺伝子配列を分析し、その起源をつきとめようとしてきた人物である。同氏によると、感染した人々が、外部から海鮮市場にウイルスを持ち込んだという筋書きは、「完全に想定内である」とのことだった。以下は、サイエンス誌に掲載された記事だ。

 「アンダーソン氏は2019-nCoV の27個のゲノムについての分析を1月25日にあるウイルス研究のウエブサイト上で発表した。それによると、これらのゲノムが持つ「直近の共通の先祖」、つまり共通の起源は2019年10月1日にまで遡る」ことを示唆する内容だった。

 ルーセイ氏が以下の事実に触れていたことも興味深い。それは、MERS(マーズ:中東呼吸器症候群)の起源は、2012年6月に、サウジアラビアの患者であると考えられてきたが、後のより綿密な研究の結果、 その起源は同年4月にヨルダンの病院で発生した正体不明の肺炎にまでさかのぼれることが判明したという事実だ。ルーセイ氏によると、ヨルダンでなくなった患者から検出された保存されていた標本から、医療当局は、これらの患者がMERSに感染していたことを確認している。 (10)

 この事象から類推されることは、人々が「標準的な公的説明」を受け入れる際には注意が必要であるという点だ。そして、このような公的説明を西側の報道機関は常に必死で報じようとしている。SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)やMERSやジカ熱の時がそうだった。しかしこれらすべてのウイルスについての「公式説明」は、後から間違いであったことが証明されている。

 今回の場合、西側の報道機関は、何ヶ月もの間ずっと、大きく紙面を割いて、COVID-19ウイルスは、武漢の海鮮市場が起源であり、コウモリや野生動物を食べている人々が発生源であると報じてきた。これらすべての情報は間違いだったことが証明されたのだ。

 ウイルスの起源が海鮮市場ではなかっただけではなく、武漢が発祥地だったわけでも全くなく、中国は起源ではなく、他国から中国に持ち込まれたものだったことも今は証明されている。この推測の証拠の一つに、イランやイタリアで見られた変種ゲノムの遺伝子配列から、中国で感染が発生した菌株と同じものがなかった点がある。となれば、このウイルスの起源はどこか別であるとしか考えられない。

 発生地であると考えられるのは、米国だけだ。というのも、すべての変異種の「木の幹」を有しているのは米国だけだからだ。従って、真実であると考えられる事実は、COVID-19ウイルスの起源は、フォート・デトリックにあった米軍の生物兵器研究所であったということだ。そう考えても別におかしくはない理由は、CDCがフォート・デトリックを完全に閉鎖した点だけではなく、先出の記事での私の主張の通り、2005年から2012年の間に、米国の生物研究所からの盗難やウイルスの流出事例が1059件起こっていることも挙げられる。


<筆者について>

 ラリー・ロマノフ氏は、元経営士で事業家。国際的な経営会社の重役をつとめており、国際的な輸出入関連事業を所有している。上海の復旦大学の客員教授であり、経営学の上級修士課程で国際関係についての事例研究について教鞭をとっている。上海在住で、現在、主に中国と西側の関係に関する10巻シリーズを執筆中。連絡先はこちら。 2186604556@qq.com. 当グローバル・リサーチに寄稿すること多数。

<引用・参考文献>

(1) mp.weixin.qq.com [編集者注:このサイトは現在閲覧不可]

(2)「科学界に衝撃を与えている新型コロナウイルスの脅威」 『サイエンス誌』、2020年1月31日:6477号367巻 pp.492-493

(3)ジョン・コーヘン「武漢海鮮市場が、世界に新型ウイルスを拡散した発生源ではない可能性がある」 『サイエンス誌』、2020年1月26日、

(4)チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506

(5) チャオリン・フアング教授および医学博士他「中国武漢の2019年新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴」 『ランセット誌』、10223号 395巻 pp.497-506

(6)武漢市衛生健康委員会「ウイルス性肺炎の未知の原因に関する最新情報についての専門家による説明」(中国語)

(7) 武漢市衛生健康委員会「新型コロナウイルス感染による肺炎の流行に関する質疑応答」(中国語) 

(8) 「続報 武漢コロナウイルス-2019-nCovに関するQ&A その6 証拠に基づいた仮説

(9) 27種類のゲノムをもとにした時計とTNRCA(祖先ウイルスの存在時期)の研究

(10) B.ヒジャウィ他「2012年4月、ヨルダンでの新型コロナウイルス感染状況:遡及的な調査からの疫学的発見」 『EMJH(東地中海医療誌)』[編集者注:アラビア語で書かれたPDF]
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グローバリゼーションは終焉し、2023年のダボス会議はその葬儀となる、と有識者たちは見ている。

<記事原文 寺島先生推薦>

Globalization Has Died and Davos 2023 Was Its Funeral Ceremony, Scholars Sum Up

筆者:エカテリーナ・ブリノバ(Ecaterina Blinova)

出典:スプートニク

2023年1月21日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月8日


© AFP 2023 / FABRICE COFFRINI


 世界経済フォーラムの2023年の年次総会が、2023年1月16日~23日にダボスで開催された。国際社会に詳しい2名の専門家が、スプートニクの取材に応じ、この会合の主題について簡単に説明してれくれた。

 「今年の年次総会の主題は、世界の新しい状況についてでした。すなわち、分断され、不満に満ちている険しい状況についてです」とワシントンに拠点を置く「世界安全保障分析協会」のギャル・ラフト会長が、当スプートニクの取材に答えた。「ダボス会議は西側の楽屋のような存在になってしまっていて、西側以外の国々からかつてないほど遠のいています。この会議で、世界のほとんどの人々が本当に懸念していることが話し合われることはもはやなくなりました。またこの会議は、気候変動や社会正義や性差別などへの高い人権意識にとらわれているので、世界のほとんどの人々から笑いもの扱いされ、侮蔑の対象にさえなっています。」

 世界経済フォーラム(WEF)は、国際的な非政府組織であり、ロビー団体であるが、創設されたのは1971年1月のことで、創設者はドイツの経済学者のクラウス・シュワブである。当初この組織の名称は、「欧州運営フォーラム」であったが、1987年に世界経済フォーラムという名称に変わった。

 企業の重役や思想的指導者や著名な政治家たちが一堂に会するこの会議は、グローバリゼーション(世界の一体化)の先頭に立ち、経済における課題や政策上の難問を解決するための世界的な組織になることを目的としている。しかしこの会議は、急速にテクノクラート*のグローバリストから構成されるエリート集団へと姿を変え、世界の残りの人々を支配することが目的となってしまったと指摘する西側の専門家もいる。
* 高度な技術的専門知識を持つ少数の人々からなる階級のこと。

 「グローバリゼーションが成り立つには、国際的な機関や基準や規則を受諾することが前提となっていました。それと、モノ、金、情報がある程度自由に行き来できることも、です」とルフト氏は語っている。「これらの点が、ここ数年であやうくなっているのです。その原因の一つ目は米中関係の悪化で、二つ目は欧州での戦争でした。いま世界は二極化する分岐点を迎えています。一つは西側連合とその連合に名ばかりで入っている国々で、もうひとつはそれ以外のすべての国々です。そしてそんな中で、新しい組織や同盟関係、金融手法、通商圏、優先順位が生まれつつあります。」

 「第2次世界大戦後の世界に戻ることはできません。さらに今は、グローバリゼーションに深く関わってきた組織や人々を否定する声が大きく上がりつつあります。具体的には、報道機関やダボス会議や娯楽産業などです。脱グローバリゼーションの流れは、文化において亀裂が生じていることからも確認できます。西側の考え方や倫理や「価値観」は、危険で破壊的であるとされ、何十億もの人々から拒絶されつつあります」と米国在住の研究者であるルフト氏は付け加えた。


自立したロシアは、ダボス会議が言う「理想の世界」とは相容れない

 ロシアを「敗北」させなければならない、というのがこの会議の中心課題であるようで、ドイツのオラフ・シュルツ首相は、ウクライナで現在進行中の紛争を終わらせるためには、ロシアによる特別軍事作戦が「失敗しなければならない」と言明した。同首相はウクライナに対する軍事支援の規模拡大を求めたが、ベルリンがレオパルド2主力戦車をウクライナに送付することについては言葉を濁していた。 これは、ウクライナ政権やポーランドやフィンランドや英国が同首相に求めていることである。

 ハーバード大学教授で、国際通貨基金(IMF)の首席経済学者であったケネス・ロゴフ氏は、自身の発言において、西側は対露経済制裁の規模を拡大するだけではなく、ロシア国内で「政権交代」をおこすような状況を作りだすことをも求めていた。

 一方で、サグロマシュ協会代表で、モスクワ経済フォーラム(MEF)の共同議長の1人でありコンスタンチン・バブキン氏がスプートニクの取材に答えている。「このダボス会議の人々は、グローバル諸企業が支配し、各国政府さえその支配下にあるという体制のもとでの世界の一体化を望んでいます。今ウクライナで起こっていることは、ダボス会議の人々が言う理想の世界とは相容れません。多くの多国籍企業がロシアから出ていかなければならなくなったからです。そのため、[ロシアは]これらの西側の企業の支配から脱することになりました。この状況は、ダボス会議の人々が理想の世界だとする状況とは食い違っています。」

 ダボス会議に参加者している人々の主張では、ウクライナを支援し、ロシアが確実に西側が設定した規則に従うことが必要であるとしているが、多くの国々はこのような好戦的な主張にウンザリしているとバブキン氏は語った。


世界の一体化ではなく、経済と政治における「生物的多様性」へ

 またバブキン氏は、世界が一体化した西側を中心とした世界秩序は、崩壊しつつあり、西側以外の国々は、非同盟体制をとり、自国が考える金融政策、他国との通商、税制度のもとでの発展の筋道を付けつつあるとも述べた。ロシア出身の教授である同氏は、再工業化や自国経済の強化を行えば、世界情勢は安定し、各国による様々な手法での国家運営が可能になるだろうと主張した。

  「各国の政治運営や人々や文化に多様性があるというのは好ましいことです」と同教授は国の形を自然界の生物的多様性になぞらえれて述べた。「イランのやり方、インドのやり方、中国のやり方、西側のやり方、それぞれのやり方が生まれ、世界の一体化は拒絶されることになるでしょう。これはいいことだと思います。ロシアは自国経済を発展させる必要があるのですから。イランや中国などの他の大国や国家間組織などに対しても、同じことが言えます。ダボス会議が進めているような世界体制は、不安定だと思います。」

 注目すべきことだが、中露を含む主要な発展途上国は、「このダボス会議から距離を取っており、他の国々にも同じように振る舞うことを勧めています」とルフト氏は述べ、これらの国々が、「抵抗勢力」になっているとした。

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2022年2月4日、北京での会合でポーズを取るロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席(右) © ALEXEI DRUZHININ


  「ここ数年で、クラウス・シュワブが表舞台から去ることになることは避けられず、このダボス会議の重要性は損なわれ、スイスに存在する閉鎖的で高額な入会費を取られる集まりのひとつに過ぎなくなるでしょう。実際、この会議への参加費は25万ドルもします」とルフト氏は述べた。「この会議はエリート主義や傲慢さを象徴するものとなっていて、ジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表が前日述べた言い方を借りれば、ジャングル(西側以外の国々のこと)に反対する庭(西側のこと)の代表でしかなく、西側の優先事項を推し進めるだけの組織になってしまっています。」

 バブキン氏は、ルフト氏の主張に共鳴するかのように、ダボス会議が今後、西側の企業の重役や政治家たちの集まりであり続けたとしても、真の国際機関としての役割は終焉し、一部の人々が言っているような「世界政府」などになれることはない、と述べている。

 「我々が知っているようなグローバリゼーションは終焉しました。2023年のダボス会議はその葬礼でした」とラフト氏は自分の話を結んだ。
関連記事

イーロン・マスク、誘拐の恐怖から父親の家を保安強化

<記事原文 寺島先生推薦記事>

Elon Musk fortifies father’s house over kidnap fears
The billionaire spent big to keep his family safe after multiple break-ins

イーロン・マスクは、度重なる家宅侵入から家族の安全を守るために大金を投じた。

出典:RT

2023年1月21日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月7日

マスクの父親
© AFP / Gianlugi Guercia


 南アフリカ共和国の西ケープ州にある引退したエンジニア、エロール・マスクの自宅が、億万長者の息子イーロンの好意により、高価な保安システムがある状態に改修された。76歳の家長は土曜日(1月21日)、The Sun紙にこの「第一級の」保安システムとその設置の根拠を説明した。

 彼の息子マスクは、「最近、自身に対する脅迫があったので、自分の父親も防護が必要だと決めたようだ」と、エロールはイギリスの報道機関に語った。そして、「もし、私たちの誰かが拉致されたとしたら、その犯人は、これまで誰も成し遂げたことのない速さで2000万ドルを手にすることになるだろう」と言った。

 「私はイーロンの周りに約100人の警備員がいるにもかかわらず、何かが起こるかもしれないと本当に恐れている」 とエロールは打ち明け、彼の息子について 「彼は特にTwitterのファイルの件で、敵を作っていることについて少し無神経である」と述べた。

マスクの顔

関連記事:マスクによる買収劇以来、Twitter者は職員の80%を失った。(CNBCの報道)


 エロールは先月、「イーロンの部下」が高級警備会社を派遣して、家を「完全に安全」にしたことを説明した。1万5,000ドルかけて、マスク氏の屋敷には電気フェンスが設置され、マスク氏の携帯電話から監視できる9台のカメラが24時間稼働し、「完全武装した警備員が24時間監視」しているという。

 父マスクは、セキュリティの高い生活をあまり楽しんでいないことを認めながらも、その必要性は理解しており、昨年だけでも自宅に4回侵入されたことを明かした。侵入者はテレビだけが目当てだったが、「何か悪いことが起きたり、実際に撃たれたりする危険はかなり大きい」と彼は言った。

 「誰かがその気になれば、私を殺すのはそれほど難しいことではありませんから、そうならないことを願っています」。エロールは、イーロンがまだ子供だった1998年に、武装した3人の家宅侵入者を撃ち殺したことがあるそうだ。

 イーロン・マスクがTwitterのCEOに就任して以来、同社の従業員の約8割が解雇されるか、退職している。彼はまた、何千もの社内メッセージを暴露している。それらは、ハンター・バイデンの「地獄からのラップトップ」事象から、Covid-19ワクチンの安全性と有効性に対する懐疑論まで、複数の米国政府機関と共謀して、彼らにとって望ましくない言説を同社が検閲してきた詳細を明らかにしている。

 自分が作っている敵に危惧を抱いたマスク氏は、マスク氏の自家用機を追跡していたTwitterアカウントを停止した。そして、そのユーザーが「暗殺座標*」を投稿していると非難した。
* その人がいまどこにいるかの居場所のこと。この情報が絶えずアップされることで、その本人が暗殺の危険にさらされるとイーロン・マスク氏は主張している。

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写真で見るマリウポリ:ロシアの支配下に置かれ、8ヶ月が経過した戦禍の街はどう変わったか。

<記事原文 寺島先生推薦>

MARIUPOL IN PHOTOS: How the battle-scarred city has changed after eight months under Russian control
These images were taken half a year apart, in summer and in winter, and show efforts to restore the Azov sea pearl

これらの画像は、夏と、それから、半年空けて冬に撮影したもので、アゾフの海の真珠を復元するための努力の様子が映し出されている。

筆者:アルセーニ・コトフ(Arseniy Kotov)
独立系の写真報道家

出典:RT

2023年1月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月6日


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マリウポリのアゾフスタル製鉄所の工場風景 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 ドネツク人民共和国第2の都市マリウポリが、ネオナチのアゾフ連隊を含むウクライナ軍から解放されてから、8カ月以上が経過した。この街はロシアの軍事作戦の象徴のひとつであり、ここでの勝利がこれまでの主な勝利であったことは間違いないだろう。

 戦闘終了後、地元の人々は、今やロシアの街で平和な生活を取り戻そうとしている。写真報道家のアルセーニ・コトフは、2022年の夏と冬の2回、この地を訪れた。彼の写真には、この街の直近の歴史と現在進行中の復興が映し出されている。その復興はモスクワの最優先課題のひとつである、

 関連記事:ウクライナ語がわからないから撃たれそうになった」マリウポリ住民、戦争の恐怖と街の復興を語る。




 私が初めてマリウポリを訪れたのは夏だった。ヒッチハイクで行った。ウクライナを代表する詩人、シェフチェンコにちなんで名付けられた街の中心街、シェフチェンコ大通りで運転手に降ろしてもらった。丘の上にあるその建物は、周囲を見下ろすようにそびえ立っていた。もっとよく見ようと、2階に上がり、ドアがなく、壁も傷んでいるアパートのバルコニーに出た。そこからは、戦闘のために世界中に知られるようになったアゾフスタル製鉄所の工場がよく見えた。


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シェフチェンコ大通りにある16階建てのビルから見たアゾフスタル工場 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 街の西側まで歩いていくと、倒壊した9階建てのアパートの周りを歩き回っている30代の男女に会った。彼らは流行の先端を行く格好をしていたが、廃墟でゴミを集めていた。彼らは自分たちの写真を撮らないよう私に頼んだ。

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クプリナ通りのアパート跡 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 街には、ロシア軍到着後に書き込まれた落書きがたくさんあった。キエフ当局に対する地元の人々の態度などを示すものもあれば、生存に直接関わるようなものも書かれていた。特に多かったのは「ここには人が住んでいます」である。掃討の際に軍が投げる手榴弾から住民の命を守るためのものだった。

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写真の説明:(左)地元の車庫に刻まれた碑文「ウクライナよ、恥を知れ」。(中)家の門に刻まれた碑文「人と子供がここに住んでいる」、(右)メタウルゴフ通りの家屋に刻まれた碑文「戦争は終わった」「アリーナとレラはセクシー」© RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 6月頃には、ほとんどの通りからゴミがなくなっていた。しかし、焼け落ちた車がまだ庭に積まれ、かつての戦いの痕跡が街のあちこちに残っていた。

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ミラ通り123番地にあるアパートの庭にある燃えた車 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 これらの廃墟から少し歩いたところに、街の中央広場がある。かつてはレーニン広場と呼ばれ、中央にはソ連建国者の記念碑があった。2014年のウクライナでのクーデター後、記念碑は撤去され、自由広場と呼ばれるようになった。2022年6月、元の名称に戻されたが、記念碑はまだ取り替えられていなかった。

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レーニン広場(旧自由の広場)の鳩の彫刻 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 レーニン広場の近くには地元の演劇用劇場がある。市内で激化する戦闘の最中、ネオナチのアゾフ連隊は地元住民をこの劇場に「避難」させることを約束した。この建物は防空壕としても使用されていた。3月16日、中に多くの人がいるのに、ウクライナの民族主義者によって爆破されたと言われている。正確な犠牲者数は現在も不明だ。


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破壊された演劇用劇場 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 郊外では、アゾフ海最大の港町の日常生活を見ることができる。昨年4月13日、ロシア軍とドネツク人民共和国の合同軍がマリウポリの港を解放した。施設内と船内にいた人質全員が解放された。港自体には大きな被害はなく、現在は貨物輸送に使われている。

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マリウポリ港 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 この鉄道駅には、過去8年間、廃車になった電気列車が置かれている。マリウポリと地域の中心地ドネツクを結ぶために使われていた。2022年の激しい戦闘で客車は破壊された。

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「マリウポリ」鉄道駅 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 昨年の6月、街はまだ廃墟のようだったが、人々はすでに浜辺に集まり始めていた。左岸のビーチでは地雷の爆発がまだ起きていたが、それでも地元の人たちは海辺で楽しむことを止めなかった。

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マリウポリ市内の浜辺 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 マリウポリ入り口の路面電車No.2は、戦闘で大破した。2022年3月2日、車両の運行を停止した。現在、一部の市内路線の再建が検討されている。

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マリウポリの路面電車車両基地 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 左岸地区の大部分と同様に、ビクトリー通りも戦闘の影響を大きく受けた。夏には、この地区からほとんど生命が失われたように見えた。

ドネツク 1
ヴィクトリー通りの家々 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 アゾフスタルに近づくにつれ、被害は大きくなっている。この家は工場の敷地からほんの数区画のところに建っている。この辺りの建物は損傷しているが、まだ修理が可能である。北側のブロックはすでに取り壊された。

ドネツク 2
ヴォイノフ・オスヴォボディテリ通りのアパート © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 この建物は、砲撃や空爆により全壊し、上部に残った小さなパネルがアーチのような形をしている。11月までに撤去された。

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「アーチ」のある家 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 この写真は夏に撮影されたもので、アゾフスタル工場に近い左岸地区の被害状況を示している。私がここに戻ってきた秋には、廃墟と化した建物のほとんどが取り壊されていた。跡地には新しい住宅地が建設される予定だ。


夕焼け
マリウポリ左岸地区の夕焼け © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 6月、爆発音があちこちで聞こえるようになった。戦闘は収まったが、工場跡地や市内のあちこちで採掘が行われていた。土木作業員が街のいたるところで働いていた。


地雷除去
アゾフスタル製鉄所の工場跡で行われている地雷除去作業 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 アゾフスタル製鉄所は、1933年から稼働している巨大な冶金工場である。その敷地は11平方キロメートル(4平方マイル)に及ぶ。41の工場、80の大型施設、6つの巨大な溶鉱炉がある。工場は包囲戦で大きな被害を受けた。2022年春、アゾフスタルはアゾフ・ネオナチを含むウクライナ軍によって占拠された。戦闘は3月18日から5月17日まで続いた。

 同様の被害は、この地域の至る所で見られる。現在の都市開発計画によると、工場は取り壊され、跡地には公園が建設される予定である。しかし、取り壊し作業はまだ始まっていない。


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アゾフスタル鉄鋼所の工場 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 市内の屋根付き市場は、戦闘中に大きな被害を受けた。ドームは数発の砲弾にやられ、作業場は榴散弾にまみれた。夏にこの建造物を通過する際には、野良犬の大群を追い払わなければならない。かつては商人たちが餌を与えていたが、今は痩せて飢えた様子だ。


ドーム
マリウポリの市場のドーム © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 夏になっても、街の大部分には水もガスも電気もなかった。滞在を決めた地元住民は、ロシア軍やボランティア、人道支援団体から支援を受けた。


朝食
砲弾が直撃した建物のバルコニーで朝食を作る地元住民 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT




 2022年12月、マリウポリは巨大な建設現場のようだった。ロシア全土、さらには他の旧ソビエト共和国からも建設労働者が集まり、街を再建している。


アパート建設
シェフチェンコ大通りのアパートでの建設作業 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 シェフチェンコ大通りの大部分は被害をうけなかった。その結果、今では街の中で最も賑やかな場所となっている。ここの市場は活況を呈している。スーパーマーケットや主要な店舗がすべて略奪され、破壊されたため、地元の人々は、技術製品から近隣の村の果物や野菜まで、あらゆる種類の商品を買うためにここに集まってくる。


市場
シェフチェンコ大通りの市場 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 メタウルゴフ通りの奥にある多くの建物は大きな被害を免れた。被害を受けたいくつかの建物は、ロシアからの建設労働者によって修復されている。


メタウルゴ
メタウルゴフ通りで修理されている建物 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 専門家はマリウポリのすべての建物を評価し、再建可能かどうかを判断している。可能であれば、損傷は修復される。残りの建造物*は取り壊されている。
* 原文はstrictures となっているが、structures の誤植だと思われる。


アーキップ 工事
アーキップ・クインジ通りの住宅用建物の建設現場での工事 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 レンガ造りの建物は、コンクリートブロックでできたいわゆるパネルビルに比べて、修理が簡単だ。パネルが破損した場合、それを取り外してレンガか新しいパネルに交換しなければならない。しかし、レンガ造りの建物の場合は、砲撃による穴はレンガですぐに補修することができるからだ。


ミラ通り
ミラ通りにある建物の再建 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 完全に無傷の建物でも、基幹的設備の修理が必要である。屋根、配管、空冷式熱交換器、窓は、そのほとんどを交換することになる。費用はロシア政府によって負担される。


新しい屋根
市内17番目の小地区に設置された新しい屋根 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 中央区では、教会や礼拝堂など、行政や住居の建物のほぼすべてが戦闘で被害を受けた。


チャペル
マリウポリのプリアゾフスク国立工科大学の礼拝堂©RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 解体作業のほとんどは、掘削機や遠隔操作機などの建設機械で行われる。パネルの建物はすぐに取り壊される。9階建ての建物を取り壊すのに約1週間かかる。


クレーン
アーキップ・クインジ通りの廃墟となった複数階建てのアパートの解体 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 ボイラー室(手前にパイプが見える)は、暖房の季節に間に合うように、秋に着手された。12月上旬には、近隣の建物の屋根の取り替えも行われた。


アパート 煙
バフチバンジ通りの5階建ての住宅 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 マリウポリのこれらの家屋は、最初に再建された家屋の一つである。12月までに内装の大部分を終え、窓を交換し、外装の改修もほぼ完了した。


アパート 明かり
模範的な24番目の小地区 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


 「マリウポリはロシア、それでいい」という名前の移動カフェチェーンが昨年秋、街の通りに出現した。(ロシアのファストフードチェーン「美味しい、それでいい」の名前をもじっている。)私はまだ試していないが、このカフェは地元の人々や労働者に人気があるという。

美味しい
移動カフェ「マリウポリはロシア、それでいい」©RT / Arseniy Kotov, special report for RT


写真および文章は、独立系の写真報道家アルセーニ・コトフ(Arseniy Kotov)によるもの。
関連記事

COVID-19の起源は米国だ。第1部:日本・中国・台湾で「ウイルスは米国で発生した」との報道 (初出:2020/3/4)

<記事原文 寺島先生推薦>

China's coronavirus: A shocking update. Did the virus originate in the US?
Japan, China and Taiwan Reports on the Origin of the Virus

筆者:ラリー・ロマノフ(Larry Romanoff)

出典:グローバル・リサーチ(Global Research)

2020年3月4日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月6日

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 西側のメディアはすぐに舞台に上がり、中国で始まったと思われる新型コロナウイルスの発生について公式見解を発表し、それは武漢の生鮮市場の動物に由来すると主張した。

 実際には、その起源は長いあいだ不明であったが、中国と日本の報道によると、ウイルスは複数の場所から発生したが、生鮮市場にウイルスが取り込まれて初めて広がり始めたようだ。

 さらに重要なことは、このウイルスは中国で発生したものではなく、日本や他のメディアの報道によると、アメリカで発生した可能性があるということだ。


中国以外で発生したウイルスである、と中国の研究者らが断定

 中国でゲノムのサンプルを採取した後、医学研究者たちはまず、このウイルスが海産物市場で発生したものではなく、複数の未確認の感染源を持っていることを決定的に証明した。その後、ウイルスは海産物市場にさらされ、そこから世界中に広がった。(1)(2)(3)

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Global Times(『人民日報』の国際版)は次のように伝えている。

 中国の研究者らの新たな研究によると、この新型コロナウイルスは、武漢の華南海鮮市場以外の場所から、11月下旬にヒトからヒトへの感染を開始した可能性があるという。

 ChinaXiv(中国科学研究者のための公開リポジトリ)に掲載された研究によると、新型コロナウイルスは別の場所から海鮮市場に持ち込まれ、その後、多人数の人の密接な接触があったために市場から急速に広まった。これらの知見は、ゲノムデータ、感染源、および中国で収集された新規コロナウイルスの変異の伝播経路の解析の結果であった。

 この研究では、患者が華南海鮮市場で労働者や販売者にウイルスを感染させたと考えられている。この市場は混み合っており、海産物購入者へのさらなる感染を容易にしており、2019年12月初旬にはより広範な感染を引き起こした。(Global Times、2020年2月22日、強調は筆者)。(2)

 中国の医療当局および種々の「情報機関」は、ウイルスの起源について迅速かつ広範な調査を実施し、4大陸12か国から約100のゲノムサンプルを収集し、すべての変種と変異を同定した。この調査では、ウイルスの流行は2019年12月初旬よりももっと早く、おそらく武漢軍事オリンピックの直後の11月に始まっていたことが判明した。

本記事掲載者によるコメント:この研究―すなわち、筆者ロマノフ氏が「情報機関」によって意味するもの―は、私たちには理解できない。残念なことに、筆者は記事中にそのリンクを載せていない。

 そして、ウイルスは中国で発生したのではなく、国外から中国に持ち込まれたという、日本の研究者らと同じ独自の結論に達した。

 中国の呼吸器専門家である鍾南山氏は1月27日、次のように述べた。

 「COVID-19は中国で初めて発見されたが、中国起源というわけではない」

 「しかし、『中国で初めて発見された』という言い方は、中国語では『その起源は、どこか他の国である』ということを意味する」(4)
 これはもちろん、起源の実際の位置がどこなのかという疑問を提起する。当局が12か国から集めた100個のゲノムを分析したとすれば、元の遺伝子を中国以外の国で探そうとするという止むを得ない事情があったはずだ。このことは、「患者第1号」の位置を特定し識別することが困難であった理由を説明するものだ。


日本のメディア 「コロナウイルスはアメリカ起源か?」

 2020年2月、日本の朝日新聞(テレビ)は、コロナウイルスは中国ではなくアメリカで発生したものであると報じた。また、インフルエンザによる1万4000人のアメリカ人死亡者の一部(または多数)は実際にはコロナウイルスが原因である可能性があると。(5)


日本


 アメリカ人の一部が知らず知らずのうちにコロナウイルスに感染した可能性がある、との疑惑を明らかにした日本のテレビ局の報道が、中国のソーシャルメディアで広まっており、中国では新型コロナウイルスがアメリカで発生したのではないかという不安と推測が高まっている。

 テレビ朝日の報道によると、アメリカ政府はウイルスがアメリカ内でどれだけ蔓延しているか把握していなかった可能性があるという。

 しかし、すでにインフルエンザで死亡したアメリカ人がコロナウイルスに感染したかどうかは、テレビ朝日の報道では不明だ。(People's Daily『人民日報』英語版、2020年2月23日、強調は筆者)

 アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は2月14日、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ニューヨーク市の公衆衛生研究所で、新型コロナウイルスに対するインフルエンザ様疾患の検査を開始すると発表した。

 テレビ朝日ネットワークは科学的根拠を提示し、アメリカが検査を怠ったり、結果を発表しなかったりしたため、誰も死因を知らないのではないかという問題を提起した。日本は、ウイルスが自然発生なのか人為的なものか、すなわち偶発的なものか計画的なものかという質問を避け、単に、ウイルスの発生が最初に起こったのはアメリカである可能性がある、と述べただけであった。西側のインターネットではこの情報は削除されたようであるが、中国のメディアは依然としてこの情報を参照できる。

 これらの主張は、日本だけでなく中国でも騒動を巻き起こし、とくに10月に武漢で開催された軍事世界オリンピック以来、中国のソーシャルメディア上で瞬く間に広まった。

 「おそらくアメリカの代表団がこのコロナウイルスを武漢に持ち込んだのだろう」(『人民日報』英語版、2020年2月23日)(1)

 上海の復旦大学国際関係学科のシェンイ(沈益?)教授は、世界のウイルス学者たち(情報機関を含めて)がウイルスの起源を追跡していると述べた。さらに興味深いことに、中国政府はこの件に関して門戸を閉ざしていない。報道によると、こうだ。

「ネット市民は積極的に議論に参加するよう奨励されているが、できれば理性的なやり方で参加することが望ましい」

 中国では、これは「意味深長」「意味ありげな」表現である。でたらめな報道であれば、政府はすぐにそれを明確にするし、デマを流さないよう国民に伝えるはずだからだ。


台湾のウイルス学者は示唆している。コロナウイルスはアメリカ産だ。

 その後、台湾では2月27日にテレビのニュース番組が放映され(クリックするとビデオ(中国語))、コロナウイルスがアメリカで発生したことを示唆する図表やフローチャートが紹介された。(6)

 以下は、そのニュースキャストによる紹介内容の大まかな翻訳、要約、分析である。(下のマップを参照)

 ビデオに映っている男性は、台湾最高のウイルス学者であり薬理学者で、ウイルスの感染源を長年にわたって詳細に調査した人物だ。彼はビデオの最初の部分を使って、さまざまなハプロタイプ(片親に由来する遺伝的な構成)について説明し、それらがどのように相互に関連しているのか、どのようにして他のハプロタイプの前に現れたのか、またどのようにして、あるハプロタイプが他のハプロタイプから派生したのかを説明している。彼は、これは単なる基礎的科学の問題であり地政学的な問題とは無関係であると説明し、数字が順番に並んでいるように、三は常に二の後に続かなければならないと述べている。


台湾


 彼の主張のひとつは、台湾に感染しているウイルス・タイプはオーストラリアとアメリカにしか存在しないこと、しかも台湾はオーストラリア人から感染したわけではないので、台湾の感染はアメリカからの感染しか可能性がない、ということだ。

 基本的な論理はこうだ。ウイルス株の多様性が最も高い地理的な位置こそ、元のウイルス株の起源でなければならないというものである。なぜなら単一のウイルス株は何もないところから出現することはありえないからだ、と。彼は、アメリカだけがこのウイルスの既知の五つの株をすべて持っていること(武漢や中国の大部分はひとつしか持っておらず、台湾や韓国、タイやベトナム、シンガポール、イギリス、ベルギー、ドイツも同様である)を証明し、他の国のハプロタイプはアメリカに由来するかもしれないという仮説を立てた。

 韓国と台湾は、中国とは異なるハプロタイプを持ち、感染力は強いが致死率は低く、死亡率は中国の三分の一に過ぎない。

 イランもイタリアも上記の分析には含まれていなかったが、両国は、現在では中国国内に広く存在するゲノムを解読し、中国とは品種が異なることことを明らかにしている。すなわち、イランのものもイタリアのものも中国起源ではなく、必然的に他の起源から導入されたものである、ということだ。イタリアの品種は中国とほぼ同じ致死率を持ち、他の国の三倍であるが、イランのハプロタイプが致死率10%~25%と最も致死率が高いことは注目に値する。(7) (8) (9)

 中国に焦点を当てた西側メディアの膨大な報道により、世界中の多くの人がコロナウイルスは中国から他のすべての国に広がったと信じているが、今ではこれは間違っていることが証明されたようだ。本論考の執筆時点で、世界での感染国は約50だが、少なくともひとつの症例でそのことが確認されている。各国のウイルスサンプルを調査して、ウイルスの発生源と世界的な広がりの原因とパターンを明らかにすることは非常に興味深い。

 さらに、このウイルス学者は、アメリカでは最近200例以上「肺線維症」の患者が呼吸困難により死亡したが、その状態や症状は肺線維症では説明できないと述べた。これらの死がコロナウイルスによるものだと真剣に考えるようアメリカ保健当局に通知する論説を彼は書いたが、アメリカ保健当局はその死因を電子タバコのせいにすることで対応し、その後の議論を黙らせた、と述べた。(後略)

 この台湾人医師は、「私たちは2019年の9月に注目しなければならない」と話している。

 彼は、2019年の9月にハワイに旅行して帰国した日本人の中に感染者がいた事例を明らかにした。その日本人は中国に行ったことがなかった。これは中国における感染発生の二か月前であり、かつ、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が「病原体の損失を防ぐには施設が不十分である」と主張してフォート・デトリック生物兵器研究所を突然、完全に閉鎖した直後のことだった。(10)(11)

 彼は、個人的にこれらの事件を非常に慎重に調査したと述べた。(日本のウイルス学者たちも、これと同じ結論に達している)。このことは、コロナウイルスがアメリカですでに広がっていたが、症状が公式には他の疾患に起因していたことを示している可能性があり、したがっておそらく隠されていたのである。表記

 著名な中国のニュースサイト「環球」は、米国で女性の親族が医師からインフルエンザで死亡したと告げられたが、死亡診断書にはコロナウイルスが死因と記載されていた事例を紹介している。2月26日、ABCニュース系列KJCT8ニュースネットワークは、ある女性が最近、自分の妹がコロナウイルス感染症で死亡したとメディアに語ったと報じた。コロラド州モントローズ在住のアルメタ・ストーンさんは、「彼ら(医療スタッフ)はインフルエンザだと私たちに知らせ続けてくれたのに、死亡診断書を手にしたら死因にコロナウイルスがあった」と話している。(12)

米国内のこのような事例の数は把握できないが、CDCは信頼できる検査キットを持たず、ウイルスの検査もほとんど行っていないようなので、他の事例があるかもしれない。

参考までに。

 過去二年間(のアメリカと中国の貿易戦争中に)、中国はいくつかの大流行(パンデミック)に見舞われている。

●2018年2月15日:H7N4型鳥インフルエンザ。中国では少なくとも1600人が病気になり、600人以上が死んだ。多くの鶏が死んだ。中国はアメリカの家禽製品を購入する必要に迫られた。
●2018年6月:H7N9型鳥インフルエンザ。たくさんの鶏が死んだ。中国はアメリカの家禽製品を購入する必要に迫られた。
●2018年8月:アフリカ豚インフルエンザ。ジョージアとロシアは同じウイルス株。何百万頭もの豚が死んだ。中国はアメリカの豚肉製品を購入する必要に迫られた。
●2019年5月24日:中国の14省で大量のヨトウムシ(夜盗虫)が発生。大部分の食用作物が破壊された。中国の穀物生産地8500ヘクタール以上に急速に拡大。ヨトウムシは驚くほど多くの卵を産む。中国はアメリカの農産物(トウモロコシ、大豆)を購入する必要に迫られた。
●2019年12月:中国の湖北省で新型コロナウイルスが発生。中国経済は停滞。
●2020年1月:中国の湖南省で「高病原性の」鳥インフルエンザが発生。多くの鶏が死に、多くの鶏が死んだ。中国はアメリカの家禽製品を購入する必要に迫られた。

 よく言われる格言にこんなものがある―「不運なことは三回続けて起こることがあるが、六回も続くことはない」


Larry Romanoff(ラリー・ロマノフ):経営コンサルタント&ビジネスマンを退職。国際コンサルティング会社で上級管理職を務め、国際輸出入ビジネス会社を所有していた。上海の復旦大学の客員教授を務め、EMBAの上級クラスで国際問題の事例研究をおこなっている。上海に住んでおり、現在、中国と西側に関連する10冊シリーズの本を執筆中。連絡先は2186604556@qq.com。Global Researchに頻繁に寄稿している。


(1) https://www.globaltimes.cn/content/1180429.shtml
(2)https://news.cgtn.com/news/2020-02-23/New-study-shows-Wuhan-seafood-market-not-the-source-of-COVID-19-OjhaHnwdnG/index.html
(3) https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2820%2930183-5
(4) http://www.xinhuanet.com/english/2020-02/27/c_138824145.htm
(5) http://en.people.cn/n3/2020/0223/c90000-9661026.html
(6) https://m.weibo.cn/status/4477008216030027#&video
(7) http://en.people.cn/n3/2020/0301/c90000-9663473.html
(8)http://www.ansa.it/english/news/2020/02/27/coronavirus-italian-strain-isolated-at-sacco-hospital_986ff0c2-7bd6-49fe-bbef-b3a0c1ebd6f4.html
(9) コロナウイルスは「突然変異」を起こし、イランは「武漢とは異なるウイルス株」に攻撃された。
(10)https://www.fredericknewspost.com/news/health/fort-detrick-lab-shut-down-after-failed-safety-inspection-all/article_767f3459-59c2-510f-9067-bb215db4396d.html
(11)https://www.unz.com/wwebb/bats-gene-editing-and-bioweapons-recent-darpa-experiments-raise-concerns-amid-coronavirus-outbreak/
関連記事

ちょっとしたいい知らせ(ポール・クレイグ・ロバーツのブログより)

<記事原文 寺島先生推薦>

A Bit of Good News

出典:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)のブログ

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2023年1月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月5日

 エカテリーナ・ブリノバの筆による記事「グローバリゼーション(世界の一体化)は死に絶えた。2023年のダボス会議はその葬儀だった」 からの引用。
https://sputniknews.com/20230121/globalization-has-died-and-davos-2023-was-its-funeral-ceremony-scholars-sum-up-1106556837.html  

 ロシアと中国に対するネオコンの攻撃は良い兆しになった。そのおかげでグローバリズムは葬られたからだ。ロシアと中国、それにロシアのエネルギーや中国の商品と金融に依存している国々は、世界を米国の覇権のもとに一体化しようという世界経済フォーラム(WEF)の努力の手から逃れたのだ。グローバリズムは、ワシントンが他の残りの国々から搾取する手段にすぎなかった。ブリノバ女史が書いているように、世界経済フォーラムというのは、ワシントンの規則のもとで世界の残りの諸国を独裁しようというエリートのための集まりだ、つまり、「グローバリズム」という仮面をかぶって、ワシントンが世界支配を行おうとしているということだ。
 
 クラウス・シュワブはもう80代なので、もうすぐいなくなってしまい、それとともにWEFも終焉するだろう。ビル・ゲイツが、自身の病的な目論見のもと、WEFを維持しようとするかもしれないが、現在の米国はレーガン大統領時代と比べて本当に小さな力しか持てていない。
 
 ワシントンは、非常に閉じた社会体制であるので、その社会は愚かな結果しか生み出せていない。公式説明にとらわれずに物事を考えられる人々は、ただただ受け入れられない。指導者が、客観的な真実に基づいて行動を起こし、ワシントン内に影響を与えることはもはやありえないことになった。
 
 米国においては、自由な社会の建設に必要な要素はすべて瓦解させられている。立法権は、議会から行政の規制機関に移行されてしまった。この規制機関が、法律施行上の規制を決めているのだ。裁判官が選ばれる理由は、裁判官のもつ信念、例えば中絶推進派なのか、生存権を重んじるのかなど、により決められ、その裁判官の法律や憲法上の規定についての知識などは考慮されない。治安当局は政治的色彩を持たされ、我が国を守るのではなく、既得権力者に奉仕している。学校で教えられている教育内容は、反白人、半米国民主義の刷り込みである。 例をあげれば、1619プロジェクト*や批判的人種理論**だ。大学も含めた米国の学校制度で子どもや若者たちに教えられていることは、白人は人種差別主義者であり、「肌の色が有色な人々」を抑圧してきた罪を背負っている、というものだ。
* 米国の真の歴史は黒人奴隷が米国に連れてこられた1619年を起点とするとして、400周年を記念して2019年8月に1619プロジェクトが発足した。1619プロジェクトは、「奴隷制の結果と黒人アメリカ人の貢献を私たちの国の物語の中心に置くことによって、国の歴史を再構成する」として、米国の歴史の見直しを迫った。
** 1970代初め、法学者が考案した学問的概念。この理論は、白人至上主義の遺産が、米社会形成の根幹をなす法律や制度を通じて現代社会になお組み込まれていると主張している。


 この支配的な教義が前面に出されているので、ネオコン勢力による、「米国は、イスラエル同様、選ばれた国家であり、例外的かつ唯一無二の国家であり、米国民は神に選ばれた民である」という主張は、洗脳された若者たちからの十分な支持を得ることができなくなっている。明らかにネオコン勢力によるこの主張は、若年層が受けている教育内容とは相容れない。

 こんな国がどうやって戦争という道に邁進することができようか? ネオコン勢力は戦争を望んでいるようだが。こんな国が、ロシアや中国という強力な国々と戦える訳がない。この国の教育制度において若年層に教えられている内容は、自分たちの国は、邪悪とさえ呼べるくらいに人種差別主義者であるというものなのだから。人種差別主義や搾取主義を取っている自国の米国の為に戦おうという国民などいるだろうか? しかも国家予算がジリ貧の中でも、軍産複合体からは搾取しない国なのだから。国民が軍に強制招集される可能性はあるが、自国を思う気持ちのない国民に、どれだけの戦いを期待できるというのか? 

 感受性訓練*が施されているため、白人の異性愛者の昇進が否定され、性別や人種間の「平等」が成し遂げられる中で、白人男性の異性愛者は、黒人やトランスジェンダー、ホモセクシャル、女性の軍人よりも下に見られる傾向のせいで、米軍から魂が抜かれてしまった。米軍がアイデンティティー政策**により分断され、まとまりがなくなった中で、台頭しつつある2大強国と相対している。しかも、この2大国の軍は、米軍とは違い、ウォーク政策***による士気喪失に苦しめられてはいない。
* ディスカッションのテーマや話の内容よりも、自分や他者の反応を通して感情の違いや変化を理解し、受講者自身の成長を促すためのもの
** 人種、民族、性的指向、ジェンダーなどの特定のアイデンティティーを持つ集団が社会的に不当な扱いを受けている場合に、社会的地位の向上を目指して行う政策のこと
*** 人種や性的志向などの差別に対して高い(しばしば高すぎる)意識をもとうとする姿勢のこと。

 ロシアと中国が勢力を伸ばしている中で、西側のあちこちで破滅の兆候が頭をもたげているのが見える。ワシントンによる「強要外交」を支持する基盤は崩れつつある。 西側による世界支配が崩壊の兆候を見せていることは、核戦争によるアルマゲドンから私たちが逃れるよい兆しかもしれない。
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中国の「第三次アヘン戦争」 第2部:グローバル金融とIT専制

<記事原文 寺島先生推薦記事>

China’s “Third Opium War”. Covid-19 and the Opium Wars. The Alliance of Global Finance and IT Tyranny
Part II: The True Threat Posed by China

中国の「第三次アヘン戦争」 。Covid-19とアヘン戦争。グローバル金融とIT専制の同盟国
第二部:中国がもたらす真の脅威

筆者:エマニュエル・パストライヒ(Emanuel Pastreich)

出典:グローバル・リサーチ

2022年12月08日

<翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月3日

アヘン戦争


Covid-19とアヘン戦争の類似性

 COVID-19は、中国そして世界市民の生活と心を破壊することを目的とした、超富裕層の利益のために展開されている世界規模の作戦である。現在の中国での作戦は、アメリカ、イスラエル、イギリス、そして中国に拠点を置く民間情報会社によって指図されている可能性が高い。このような民間情報会社は、金持ちのために働きながら、政府の一員であるかのように装っている。彼らは、最初の2回のアヘン戦争を計画したイギリス東インド会社の「直系の子孫」と考えられるかもしれない。

 イギリス東インド会社は1840年に中国を滅ぼす必要があった。なぜなら、中国は帝国主義者が支配する世界貿易システムへの統合に抵抗する唯一の大国であり、西洋の伝統に対抗できる高度な文明を持つ唯一の大国であったからである。

 COVID19戦略とアヘン戦争との間には、主に次の3つの類似点がある。


政治的支配のための医学の乱用

 1840年、イギリスが中国を支配するための戦略の大きな部分を占めたのが医学であった。イギリスは、「先進的な」西洋医学を中国人に紹介し、西洋の科学がどんな病気も治すことができる奇跡の薬を作り出したと提示した。しかし、こうした奇跡の薬は、科学的な進歩に基づいた薬もあったが、ほとんどは、中毒性のあるアヘンを原材料とするものだった。

 アヘン(ヘロイン)入りの「西洋」医薬品の販売は儲かるだけでなく、中国人の意思を弱め、儒教などの伝統的な思想(ホメオパシー医学*を含む)を弱め、中国人を市民ではなく、消費者として扱ったのである。最終的な目標は、中国人を健康にすることではなく、無関心で、ナルシストで、享楽的な支配階級を作り出すことであった。
* 私たちが本来持っている自然治癒力、自己治癒過程に働きかけ病気からの回復を手助けする医学。現代医療の薬のように症状を抑えこんだり(抗うつ薬、抗アレルギー薬など“抗”という名の薬)、取り除いたりする治療ではない。

 この計画はほぼ成功した。

 中国政府内の意思決定プロセスにイギリスの代理人(多くは改革派と自負する中国人知識人)が入り込み、中国の経済的自立性は数十年かけて徐々に損なわれていった。また、書籍や雑誌でイギリスをより文明的な国として見るように洗脳された、新しい世代の中国人知識人が権力を握るようになった。

 中国の若者たちは、ロンドンに留学した中国人から、イギリスが豊かで強力なのは、国民の道徳心が高いからであり、教育制度が発達し、科学的手法が用いられているからであり、中国が達成できなかった啓蒙的文明から生まれた目覚しい技術があるからだと、教えられた。そしてそれに比べれば、中国文化は後進的で愚かなものであると教えられたのだ。

 西洋の近代に救いを求める中国人に隠されていた真実は、イギリスの進歩を支えている富は、プロテスタントの労働倫理や上流階級の洗練された文明によって生み出されたものではない、ということだった。そう、その富は、何百万人ものアフリカ人が「新世界」に農場を作るために売られた冷酷な奴隷貿易の産物であり、国内の一般農家を廃業させ、ロンドンの銀行家に巨額の富をもたらした。その富は、インド、バングラデシュ、アラビアを買収し、イギリスがそれらの国の資産を押収したことによっても生み出された。

 今日、西洋の製薬会社は、疑わしいアロパシー薬*を中国で販売し、そのような製品を「先進的な」西洋医学として中国人に宣伝するために、膨大な予算を投じている。これらの医薬品の多くは、19世紀に中国人に対して使用されたアヘンと同様の機能を持つアヘン製品、または人工アヘンを含んでいる。これらの西洋医薬の多くは、中毒性、気分転換性、あるいはその両方がある。
* アロパシーとは、ホメオパシーと反対で、「逆症療法」である。たとえば「発熱は解熱させる」「下痢は止痢をはかる」というように,生体内に症状と逆向きの力を誘導励起することによって病気を治そうとする考え方である。

 現在、退廃的な資本主義社会の残酷な矛盾のためにうつ病に苦しむ中国人は、医師からその問題は病気であると言われ、アヘンを含む「西洋」医薬品を処方されるが、この過程は、19世紀に中国で行われた欧米企業によるアヘンの乱用と酷似している。

 19世紀に強制されたアヘンへの依存は、中国で普通の生活を送るために国家が要求するワクチンへの強制的な依存とも類似している。

 世界保健機関のような世界的な犯罪組織は、中国人の健康を損ない、ワクチンへの人工的な依存を強制するために、偽りの科学を使っているのである。

 また、中国人の依存症の助長は、医薬品に限った話ではない。中国社会では、スマートフォン、ソーシャルメディア、ゲーム、ポルノが常に推進され、文字どおりすべての国民がスマートフォンを携帯し、その要求に応えるしかない環境を作り出している。こうした行為は、中国人の中に人工的な新しい習慣や危険な中毒・依存を生み出し、さらなる搾取を可能にする。

 メディアの内容は、情報や知恵を伝えるものではなく、伝統的な意味での娯楽でもなく、短期的な刺激への依存(ドーパミン放出)を誘発し、集中力を阻害することによって、脳の機能をゆっくりと変化させるものである。

 このような依存症は、複雑で多元的な思考を阻害し、市民の長期的な計画能力を低下させる。Wechat(ウィーチャット)やToutiao(トウティアオ)*などのソーシャルメディア大手を数ヶ月間定期的にチェックすれば、もはや自分の頭で考えることはできなくなるだろう。
* WeChat (微信)やToutiao(今日头条)は、中国のSNS・動画・EC・検索プラットフォーム。

 多国籍投資家に支えられた中国の新しいメディアの目的は、中国人をより独立心旺盛で新しい考え方に開かれた存在にすることではなく、仮想監禁状態を受け入れるほど従順な存在にすることなのである。

 第二の戦略は、西洋が魅力的で権威があり、充実していて物質的に豊かであることを示唆するイメージや文書を通じて、人工的な西洋文化を優れたものとして宣伝し、中国文化の権威と正統性を破壊することである。

 この戦略は、アヘン戦争後、イギリスをはじめとする帝国主義勢力が中国で成功するために不可欠なものだった。西洋人は、中国の文明はその性質上、後進的で限界があると断じた。英国の学者や宣教師は、中国が近代化し、それによって救われるためには、漢字、中国の家庭習慣、地方の風習、さらには中国哲学の中核となる教義さえも捨てなければならないと主張した。

 今日、中国の若者たちは、スターバックス、アディダス、シャネル、ルイ・ヴィトンなどのイメージで溢れている。これらのイメージは、あたかも西洋人(アメリカ人)が金持ちで自信があり、食べ物や飲み物に浪費することで正当に喜びを得ているかのように見えるように設計されている。

 大きな家に住み、高級車に乗り、かっこよくお高くとまった特権階級の人々の生活は、羨望の的であり、若者のモデルとして提示される。この破壊的なイデオロギーキャンペーンは、単に市場シェアを拡大するための努力ではない。中国の文化的権威を失墜させ、堕落した退廃的な消費文化(企業の資金援助によりハリウッドで作られた)を直接民衆に供給するための作戦なのだ。


アヘン 2 女性

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特権階級の自己中心主義文化を奨励する青島の企業広告

 19世紀の中国でも、帝国主義勢力は同じような戦略をとっていた。1840年当時の中国文明は、芸術、文学、学問、行政において、地球上のどの国よりも洗練されており、複雑かつ持続可能であった。出版される本の数、教育を受ける人の数、どれをとっても世界一であった。

アヘン戦争 1


 皮肉なことに、イギリスは1870年代に中国の公務員制度を真似て、帝国を管理するための独自の公務員制度を作ったが、それは中国政府を内部から崩壊させた後に行われたのだ。

 19世紀の鉄道、電信線、郵便制度、電灯の普及は、中国の主権を弱体化させ、中国人の統治能力を破壊することにつながった。従来の慣行を時代遅れで後進的と思わせ、政府の意思決定プロセスの大部分を外国の専門家(または海外で訓練を受けた中国人)が担うことを要求したのだ。中国はアヘン戦争の屈辱から50年の間に、文化、教育システム、そして最終的には政府の統制力も失ってしまった。

 現在の生態系の危機と人類の文明の衰退を見れば、近代化イデオロギーのどれもが科学的真実に基づいていたのかどうか、疑問を抱かずにはいられない。

 オンライン購入、ジオフェンシング*、QRコードの使用、5Gの推進、目に見えない企業権力によってコントロールされた様々なアプリケーションなどのテクノロジーが、近代化の名の下に至る所で実施されているのである。中国では、どのように政策が決定されるのか、透明性がない。
* 地図上にバーチャルなフェンスを設置する技術のこと。特定のフェンスの中に特定のユーザーや特定のモノが出入りした時に、システムからメッセージを送るなど、「モバイル端末のGPS機能」を活用し、予め決めた処理を自動的に行うシステム。

 問題は権威主義の中国共産党に起因するのではなく、シスコ*、SAP**、アマゾンなどの多国籍企業が推進する自動化・デジタル化の推進による地方政府の民営化に起因しているのである。
* シスコ・システムズ。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社。
** ドイツのヨーロッパ最大級のソフトウェア会社。そのシステムは企業における会計システム、物流システム、販売システム、人事システムなどからなり、それぞれがデータ的に一元化されているためにリアルタイムな分析が可能となる。


アヘン 2 ポスター


 長沙で店舗が閉鎖されたのは、施設利用のためのCOVID-19に対する不明瞭な指令とQRコードの要求によるものだった。

 中国は、世界征服をたくらむ謎めいた 「フー・マンチュー博士*」ではなく、中国における新自由主義的コンセンサスに対するあらゆる抵抗勢力を壊滅させようとする多国籍企業の犠牲者なのである。
* 傅満洲博士。イギリスの作家サックス・ローマーが創造した架空の中国人。西欧による支配体制の破壊を目指して陰謀をめぐらす悪人であり、東洋人による世界征服の野望を持つ怪人である。

 清朝が、イギリス東インド会社や、王朝をほぼ崩壊させたおぞましい秘密キリスト教徒の太平天国の乱(1850-1864)などを秘密攻撃したことで非難されたように、今度は中国共産党が、外国の多国籍企業によって開発された全体主義の悪夢を作り出したことで非難を受けているのである。

 中国社会が組織的にコントロールされて解体されたことを中国人のせいにするというこの悪巧みは、まさにアヘン戦争で大英帝国が採用した戦略そのものである。

 もちろん、この犯罪的買収から利益を得ている中国共産党の腐敗した議員はたくさんいるが、最終的な権力者は中国政府ではない。

 多くの教養ある中国人が海外移住を希望しているのは、イスラエルの下請け会社のノウハウを利用して、上海と成都をガザ地区にしている、抑圧的な「ゼロ・コロナ」ジオフェンスと接触者追跡が実施されているためである。 中国の変貌の本質を把握できている人は、実に少ない。

 19世紀における英国の中国攻撃の第3段階は、ロンドンが少数者の利益のために支配する世界的な貿易・金融システムに、中国を統合することであった。

 中国は明・清時代、食糧安全保障、経済的自立、地域経済を維持しようとする真っ当な懸念から、賢明にも大規模な外国貿易を避けていた。ところが、イギリスはアヘン戦争後、他の植民地主義勢力と同様に、中国に貿易協定で「不平等条約」を強要しただけでなく、上海などの都市で中国の知識人を新たに育成し、中国人が世界貿易と金融に参加することが「先進国」になる唯一の方法であると説いた。

 中国の主要都市に住む富裕層は、自分たちの階級的利益をグローバル主義者と一体のものと考えている。彼らは心を鈍らせるAI教育を推進し、監獄社会文化を強制するスマートシティを主張し、中国人を外国のIT業者に依存させるオンライン環境を受け入れ、中国の「ガザ地区化」を意図するドローンやロボットの外国メーカーに広く門戸を開いているのである。

 ウォーレン・バフェットのような寄生虫のような人物が、グローバリストに占領された中国のメディアに登場し、国民に経済の天才として紹介されている。中国の大学は、「近代化」を要求する企業からの圧力で、かつて標準的だった階級闘争と寄生的なグローバル金融に関する経済分析を放棄し、誤解を招くようなグローバリストの成長教義を支持している。

 ジム・ロジャースやジョン・ソーントンのような億万長者階級や、ハーバードやスタンフォードの教授が意図的に中国人に媚を売ることが、この攻撃のカギを握っているのである。中国人は、国内外の企業メディアから、自分たちはすぐに欧米を追い越すだろう、中国は技術でリードしている、と言われている。Huawei*やXiaomi**は、欧米のえり抜きの専門家によって賞賛され、中国が将来の発展への希望を世界に与えていることを暗に示している。
* ファーウェイ。中華人民共和国 広東省深圳市に本社を置く通信機器大手メーカー。
** シャオミ。家電やスマホ、IoT プラットフォームを提供する世界的な中国の総合家電メーカー。


 これらのお世辞の中には真実も混じっているが、その狙いは狡猾である。中国人は、21世紀の大国になりたいのであれば、国民を受動的で贅沢にし、高レベルのエネルギー消費を要求し、グローバリストが管理する貿易・物流システムへの依存度を高める、欧米の成功基準(成長、消費、輸出、デジタル化)を受け入れなければならないというプロパガンダ・キャンペーンにさらされているのである。

 経済の究極の目標としての無限の成長の促進は、科学的根拠を欠いた政策であり、化石燃料の使用を増加させ、中国に有害な過剰生産を要求するだけである。捨てられたプラスチックは地面と海を汚染し、何千台もの不要な自動車とコンピュータが、欧米人が設定した成長目標を達成するために生産されているのである。


マルクス主義的経済分析

 10月23日に開催された中国共産党第20期中央委員会全体会議は、中華人民共和国にとってマルクス主義経済理論が中心であることを明確に確認した点で特徴的であった。マスコミはすぐさま習近平主席を「歴史の流れに逆行する後進的な社会主義者」と攻撃した。中国が、ソ連が崩壊して、破綻したイデオロギーである共産主義を受け入れるとは、どういうことだろうか、と。

 最近、ウィンストン・スミスは、そのエッセイ 「The Left's Grasp(左翼の掌握)」 の中で、世界経済の支配権を握ろうとする世界経済フォーラム全体の企ては、「共産主義」という製品であると論じた。グローバリストの支配に代わる実行可能な選択肢が、なぜかグローバリストの操り人形として信用されていない。

 しかし、多国籍銀行のコンサルタントは、中国が「マルクス経済学」に戻ろうとするこの動きの脅威を評価するのに苦労はしなかった。

 もし中国が、研究、メディア分析、経済政策において、マルクス主義の経済分析を適用し始め、階級闘争、イデオロギー操作、資本の誤用、過剰生産の乱用を強調することに成功すれば、まさにそうした手法が切実に求められている歴史的瞬間に、世界で唯一それが可能な国家となるだろう。

 しかし、グローバリストは、中国がマルクス主義を分析に用いることを許さない。なぜなら、そうすれば、中国は経済的な意味だけでなく、知的な意味でも強国となりうるからである。

 もう一つの危険は、マルクス主義の思想において、科学の重要性と、厳格な分析という科学的方法である。それは、カントとヘーゲルの認識論における近代科学の基礎に基づいている。

 COVID-19の宣伝活動は、中国であれ米国であれ、科学を劣化させ、病院と医療専門家をグローバル金融の操り人形にし、医師を買収して非科学的な政策を支持させることによって可能になった。多くの場合、科学的手法に訴えることは犯罪と化している。

 COVID-19は科学ではなく、支配階級の権威を「科学」と偽った「科学主義」である。市民が独自の行動によって科学的真実を確認する能力は禁止されている。

 億万長者たちは、第20回総会で解き放たれた可能性に怯えている。グローバリストが中国人を支配するために用いるグローバル化、消費への自己陶酔、技術への崇拝は依然として残っているが、近代化の相対的価値は弱まっている。さらに、グローバリストを長年支持してきた李克強が中央委員会から排除されたことは、グローバリズムの見地から離れ、マルクス主義の伝統を回復しようとする中国共産党の闘いを示すものであった。

 マルクス主義には明らかな弱点がある。しかし、億万長者がハーバード・ビジネス・スクールの教授に金を払って学生に教えているたわごとと比べれば、マルクス主義経済学は高度な科学である。もし中国が、経済とイデオロギーの矛盾の科学的分析に基づく世界的なマルクス主義運動を主導すれば、それは世界のあらゆる国で大衆に訴えることができるだろう。


真の解決策を見出す

 現在の第三次アヘン戦争の背後にいる億万長者たちの究極の計画は、中国を始めとする世界の全ての市民を、お金の面ではグローバル銀行に、食料と雇用の面では多国籍企業に、他人との交流ではIT企業に依存させ、自動化によって雇用者として用なしにさせ、自宅に閉じ込めることである。

アヘン戦争 1 3枚目


 この人類に対する戦争の唯一の解決策は、第二次世界大戦後、新帝国主義者によって推進されてきた危険な開発成長モデルをすべて放棄し、農業と生産のための地域協同組合を創設し、行動の価値をお金ではなく、知恵、美徳、持続可能性で評価する文化を創造することである。

 真に持続可能な文明への回帰は、今後千年間、全人類にとって最良のものを推進し、バイオファシズム、技術権威主義、あるいは大量虐殺による奴隷社会の創造を拒否することにより成し遂げられるものである。 中国の儒教や道教の思想、あるいは毛沢東のようなマルクスの中国的解釈は、真の意味での代替案を提供することができるだろう。

 この攻撃に対する解決策は、アメリカ人と中国人の同盟である。それは、このふたつの国が感染したテクノ・ファシズム*に、つまり、アメリカ人が思想と金融を、中国人が製造と流通を支配することによって全世界に輸出されているものに、対抗できるのだ。
* ICT(情報通信技術)を使って、国民の個人の銀行口座や行動や居場所や思考などの個人情報を政府が一元管理し、統治の道具に使う政治的手法。

 しかし、テクノ・ファシズムに対抗する中国とアメリカの強力な同盟は、現在の「新冷戦」工作によって、両国の間のいかなる交流も疑わしいものとなっているため、不可能である。

 グローバル金融とIT専制の暗黒同盟が、両国を恐ろしい死の協定である「フランケンシュタイン同盟*」に組み込んでいるが、もし、良心のあるアメリカ人と中国人が、それに反対するために結集すれば、現在の第三次アヘン戦争をたちどころに阻止することができるだろう。まさにそのような運動を始める時が来たのだ。
* 自ら作りだした怪物に、自らが滅ぼされる米中の同盟、というほどの意味か。


筆者のエマニュエル・パストライヒは、ワシントンDC、ソウル、東京、ハノイにオフィスを持つシンクタンク、アジア・インスティテュートの代表を務めた。また、未来都市環境研究所の事務局長も務めている。2020年2月、無所属で米国大統領選への出馬を表明。

本記事の画像はすべてFear No Evilから引用している。
関連記事

売春斡旋業者はダボス会議に向けた予約であふれている。(オーストリアでの報道)

<記事原文 寺島先生推薦>

Escort agencies booked solid for Davos forum – media
Sexual harassment by wealthy men at WEF is “so common” that female guests are advised not to attend events alone, an Austrian outlet has reported

世界経済フォーラムに集まる富裕層の男性たちによる性的搾取は「ごく当たり前のこと」であり、女性たちは、このイベントに一人で参加すべきではないと助言されている、とオーストリアの報道機関は報じている。

出典:RT

2023年1月19日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年2月3日

ダボス会議 1


 オーストリア・エクスプレス(Exxpress)誌は、1月15日(日)、ある売春斡旋業者から送られてきたという文書を引用して、ダボス近郊にあるスイスの売春斡旋業者は、今年の世界経済フォーラムに先駆けて既に予約が満杯であると報じた。このフォーラムは、毎回、各国の首脳や、企業幹部、影響力のある非営利団体が一堂に会するエリートの集まりである。

 名を明かされていない接待職員への伝言として エクスプレス誌が報じた内容によると、売春斡旋業者であるセンシュアル・ラウンジ・エスコート社は、その伝言を読んだ人々に、「ご一緒できる素敵な淑女や紳士」の予約を急ぎ、「世界経済フォーラム開催中に、最良のサービスとお相手」が確約できるよう促していた。

 センシュアル・ラウンジ社は、「どのような性的嗜好にも対応したサービス」を提供していると報じられており、エクスプレス誌によれば、一晩2350ユーロ(33万円強)で相手をする従業員もいるという。現金での支払いは受け付けておらず、利用者は、大手クレジット会社のクレジットカードかペイパルのどちらかの支払い方法を選ぶ方式になっているようだ。

 エクスプレス誌の記事は、世界経済フォーラムの年次総会開催中は、スイスの売春婦たちにとって最大の稼ぎ時であり、斡旋業社たちはこの会議の参加者専用のウェブサイトを用意していることを明らかにした。なおこの特設サイトはすでに予約が満杯となり、1月16日(月)の時点で、閉鎖されていた。


ダボス会議 2
関連記事:ポン引きがウクライナ出身の女性を売春婦に引き込んでいる(チェコでの報道)


 今年度の世界経済フォーラムの年次総会には公式代表として2500人が招待されているが、スキーリゾート地であるダボスには、3万人以上の人々が集まり、豪華な食事を楽しみ、多くのパーティが開かれることが予想される。さらに、「ダボスの暗い一面」として報じる報道機関がどんどん増えているのが、この会議の外で行われている売春行為である。

 訪問客がよく訪れるホテルやバーの前で待ち構える性産業従事者たちもいることを、英国のタイムズ紙が2020年に報じている。さらに、女性たち、世界経済フォーラムの参加者として公式に認められた女性たちであっても、この密会を支配している男性たちから「性的いやがらせ」を受けることが頻発しているとのことだ。実際、この年の年次総会においては、女性たちに、暗くなった後に一人で外出しないようにという警告が初めて出されていた。「もし巨大企業の代表取締役との間で何かが起こってしまったとしたら、言っていることを信じてもらえるのはあなたですか? それとも企業の代表取締役たちですか?」

 ダボスにおける売買春については、何年も前から問題視されているが、より大きな心配事は、労働者階級の運動を押さえ込むことのようだ。当地のスイス軍は5千人規模の軍隊の派遣し、必要な際は、億万長者たちの安全確保につとめることを許可されている。

 1月16日から20日にかけて開催される、2023年の年次総会の主題は、「瓦解した世界における協力」だ。この年次総会が公式に開会される1月16日(月)を前にして、すでに抗議者たちの姿が散見されており、年次総会への出席者たちが自家用機で乗り付けていることや、お決まりの気候変動説を唱えていること、持続可能性の意識を高める意図があるはずのこの会議に化石燃料業界の重役たちが出席していることに対する非難の声を上げている。
関連記事

中国の「第三次アヘン戦争」 第1部:COVID-19に関する対中攻撃の背後にある計画

<記事原文 寺島先生推薦記事>

The Third Opium War: The Agenda Behind the COVID-19 Assault on China

筆者:エマニュエル・パストライヒ(Emanuel Pastreich)
      
出典:グローバル・リサーチ

2022年12月09日

<記事翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>

2023年2月3日


 企業メディアでは、圧政的な共産党政権に対して、中国市民が自然発生的な蜂起をしたという報道で溢れている。つまり、都市全体を封鎖し、公衆トイレを含むすべての公共施設の使用にQRコードのスキャンを要求する非人間的なゼロ・コロナ政策を施行している圧政的な共産党政権に対する蜂起であるという報道である。

 メディアは、中国における真の搾取勢力であるウォルマート、アマゾン、フォックスコン*などの多国籍企業に対する中国人による抗議行動、ストライキ、オンラインキャンペーンを組織する努力をまったく無視している。そのことを考えると、この新しい大きな政治的な抗議活動が、中国における経済格差の是正を目指すような真剣な活動であるかどうかは疑問である。
*フォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海科技集団、ホンハイかぎしゅうだん)は、電子機器の生産を請け負う電子機器受託生産では世界最大の企業グループである。台湾に本社を構え、生産拠点は主に中華人民共和国にある。

 むしろ私たちが見せられている今回の抗議活動は、新種のカラー革命の香りがする。そしてこのカラー革命は、米国における人々のものの捉え方が自己陶酔的な衰退に陥っているという状況に合わせて用意されたものであり、それは米国当局が、米国内部の全体主義的な傾向の隆起を「他国」である中国内部に促そうとしているものである、といえる。

 米国の病的に青ざめた知識階級の人々の話の中では、敵と目されていて、自国内で行えば政治的に不利な状況に立たされるであろう「テクノ・ファシズム*」の姿をはっきりと捉えられる唯一の場所が、中国なのである。
*ITを駆使し、個人の主張や銀行口座などを政府が一元的に管理することで、国民を統制しようとする政治体制のこと。

 同時に、統治機構を破壊し、顔の見えない権力者たちの気まぐれに従う、従順な国民を作り出すという大規模な組織的活動に、中国がさらされていることに疑いの余地はないだろう。その権力者たちは、「政府」を装ってオンライン・システムの背後に潜んでいる。

 しかし、その「共産主義政府」は、表面を剥がせば、民間契約者や、イスラエルや日本やアメリカなどのIT・情報企業であることがわかる。彼らは、中国全土にわたって地方段階で店を構え、政府のあらゆる機能を民営化することで政府の支配権を握り、COVID-19を楔としてすべてをオンラインに強制的に移行させようとしているのである。

 この戦略は、中国共産党の政策にも、陳独秀や毛沢東の共産主義的伝統にも前例がない。むしろ、情報産業基盤の支配を利用して地方政府を掌握しようとする民間業者の戦略を利用したものである。この戦略は、オクラホマ州(ジュリアン・ロマネロJulianne Romanelloの報告を参照)やルイジアナ州で実施された、請負業者による地方政府の乗っ取りと共通するところが多い。

 契約の追跡のためのノウハウ、顔認識技術。ジオフェンシング*や、毎日のPCR検査の義務化は、ヨルダン川西岸のパレスチナ人支配のための技術と政策、そしてDARPA、RAND、その他の国防総省やCIAの請負業者が行った社会操作に関するアメリカの研究へと起源をさかのぼることができる。
*位置情報を使った仕組みの一つである。GPSやWi-Fiなどを使用し、特定の場所やその周辺に仮想的な境界(ジオフェンス)を設け、対象がその境界内に入ったとき、又は境界から出たときに、アプリやソフトウェアで所定のアクションを実行する。

 報道機関が報じる記事を読んでいる人々は、中国で起きていることについて、2つの欠陥のある解釈のどちらかを選択させられている。一方には、中国で見られるテクノ・ファシスト政策は、西洋の自由とその輝かしい憲法の伝統を脅かす、異質で危険な中国文化の産物であると指摘する人々がいる。そしてこの脅威は、共産主義と、中国文明が古代からずっと権力に従順であった事実に起因しているとされる。

 もう一方では、中国を、これまでにない新しい形の文明を発展させているとして擁護する人々も存在する。彼らによると中国は、その新しい技術力と経済力を理由に、嫉妬深く、衰退しつつある欧米諸国から悪評を買っているという。しかし、こうした批評家は、COVID-19の下で中国の労働者が直面している全体主義的な統治に関しては、目をそむけることを選んでいる。

 この2つの視点について、私が過去に親しく交流した2人の同業者の発言から説明しよう。

 まず、中国脅威論の一例として、『グローバル・リサーチ』に寄稿しているジョン・ホワイトヘッド氏の文章を紹介しよう。

 「アメリカの運命は中国に握られつつある。中国こそ、あらゆるディストピア(暗黒郷)のお手本だ。経済的、政治的大国である中国は、アメリカの債務を他のどの国よりも多く所有し、アメリカのあらゆる分野の企業を買収している。中国は、国民を威嚇し、権力を維持し、諸企業の幹部の富を拡大するために、検閲、監視、残忍な警察国家の戦術を日常的に用いる悪質な全体主義体制である。」

 ホワイトヘッドが「中国はディストピア世界である」としていることについては、議論の余地がない。しかし、それは「メイド・イン・チャイナ」ではないことは確かだ。中国の地方行政の大部分(COVID体制の施行は地域によって大きく異なる)は、ブラックロックやゴールドマン・サックスなどの投資銀行と結びついた民間業者や、IT関連の民間業者によって乗っ取られているからだ。

 ホワイトヘッドの言い分を要約して捉えれば、最も明白な以下の結論が排除されていることがわかる。つまりそれは、中国とアメリカの労働者たちは、多国籍企業によって生活、自由、健康を破壊されており、この世界的な買収に対抗するために協力すべきだという結論である。

 アメリカの知識人の多くは、19世紀に提唱された「黄禍論」を温め直し、中国文化は、本質的に抑圧的で堕落したもの、何としてもアメリカへの流入を阻止しなければならないものであるとして提示している。異質な文化を悪魔化するこのような努力は、階級闘争や生産手段の支配に関する真剣な議論の方向を変え、怒りの矛先を外国人が悪いことに集約してしまうために富裕層が用いる古典的な戦略である。

 メディアで提示されたもうひとつの見解は、中国の台頭に関する思慮深い研究書 『When China Rules the World (中国が世界を統治するとき)』の著者であるマーティン・ジャックのような知識人が提示している。ジャックは中国について、「黄禍」論者たちよりも均衡のとれた公正な視点を提供しているが、中国とその文明を、腐敗し退廃した西洋に代わるものとして提示するという彼の判断は、COVID 19が過激な社会統制を実施するための口実にいかに利用されているかについて一言も言及しておらず、彼の議論を深く損ねるものであった。

 ジャックは最近、「中国が、各国が共に繁栄することを受け入れ、より公正で公平な社会を確立しようとしていることは、中国だけでなく世界にとっても非常に重要なメッセージだ」と述べながら、COVID政策については沈黙を守っている。このような議論の進め方は知識人として不誠実であり、中国社会を根本的に改造しようとしている中国、イスラエル、アメリカなどの投資銀行やコンサルティング会社(企業に助言を与える会社)などの勢力と深く妥協して協力することにジャックが同意したことを示唆するものである。

 中国は、欧米経済を動かしている資源採掘型の帝国主義に代わるものを提供している。特筆されることは、中国が、最近の歴史において海外で戦争をしたことがなく、海外にほとんど軍を置いていない国であることだ。それにもかかわらず、①中国国民に購入してもらうように多国籍企業が用意した、有名なデザイナーがデザインした衣服の広告②ホテルやその他の公共スペースに本や新聞をおくのをやめようとする動き、③ジャーナリズムの質の急激な低下(5年前までは、米国より優れていた)、④力を持つことや富豪であることが生活の理想であるとする若年層に対する宣伝という4点から示唆されることは、多国籍利益団体による中国国民に対する秘密戦争が既に開始されたという事実だ。そしてこの秘密戦争は、少なくとも米国やヨーロッパに対して多国籍利益団体が行っている宣伝活動と少なくとも同等の規模で行われているのだ。

 中国に同情的な人々がこの残酷な現実を直視せず、むしろ中国のより合理的な外交、鉄道技術や太陽エネルギーの進歩、アフリカへの投資に対する帝国主義的でない方策に対する賞賛に分析を限定していることは、受け入れがたいものである。


なぜ "第三次アヘン戦争 "と呼ばなければならないのか?

 COVID-19の中国に対する攻撃の本質を理解しようと苦心している人は、かつて西洋列強、特にロンドンの金融権力が、中国の政治体制を乗っ取り、中国経済を支配し、中国文化の権威を低下させ衰退させようと乗り出した事変[アヘン戦争]のことを考えるのが最善である。

 中国に対するこのような政治的、思想的、軍事的な攻撃の過程は、2度のアヘン戦争で開始された。ロンドンの金融権力は、清朝の腐敗した支配階級と手を結んで、西洋文明が中国よりも本質的に進んでいるというイギリスの宣伝活動を進めながら、個人的利益を得る好機と考えたのである。

 1840年の第一次アヘン戦争は、イギリスが東アジアに絶対的な権威を確立し、政治的・文化的攻撃によって中国の自治権を奪うために始まったもので、中国経済を困窮させただけでなく、中国人が自分で考える能力をも低下させた。

アヘン戦争 1 2枚目

 イギリスはインドと同じ戦略で、中央政府を弱体化させるために地方の貴族と腐敗した関係を築き、中国文明を後進国として攻撃し、イギリス帝国の貿易システムと金融システムに経済的に依存させるように仕向けた。

 当時、中国は世界で最も強力な経済力を持ち、高度な教育を受け、安定した農業生産と長期的な持続可能な発展を目指す立派な国であった。他の国々と違って、中国はイギリスが支配する貿易と金融が絡まった蜘蛛の巣に簡単に引き込まれるわけにはいかなかった。

 中国が対英貿易で黒字を出し、対外貿易で英国製品を必要とせず、英国の物流を利用せず、英国に大量の茶や磁器などを自国の条件で売りつけることに、英国の支配層は我慢ならなかった。

 イギリス人は、腐敗した地方の貴族と関係を持ち、汽車による輸送、郵便、金融、銀行、医学など、中国にすでに存在していたものとは根本的に異なる考え方を導入した。イギリス人は、自分たちが作った出版物や、後に設立したキリスト教を教える学校の中で、中国が近代化に向けて前進するためには、中国で大規模な変化が必要であることを示した。これらの提案の中には、正確なものもあったが、ほとんどは帝国主義を正当化するためにねじ曲げられたものであった。

 第一次アヘン戦争と第二次アヘン戦争(後者の戦争については1856年から1860年にかけてフランスと共同で行った)でのイギリスの勝利は、イギリスの優れた軍事技術の結果であるが、イギリスが優位に立ったのは、彼らがより賢かったからではなく、18世紀と19世紀に絶え間ない戦争を行い、これらの特定の技術の発展を推し進めていたからである。

 同時に指摘しておきたいのは、慣習や制度に則って「ブリテン」とか「イギリス」という言葉を使ってしまうと誤解を招くことだ。なぜなら、そう言ってしまうとつい、紛争を国単位でしか認識できず、また企業利益間の戦いを中国、アメリカ、ロシアの大統領間の争いであると取り違える可能性があるからだ。

 1839年、林則徐総督はヴィクトリア女王に公開書簡を送って、不道徳なアヘン貿易の廃止を求めた。そして政府が押収した違法なアヘンを燃やした。しかし、1840年に中国を攻撃したのは「イギリス」ではない。それは中国を半植民地化するために、インドやバングラデシュなどを買収して得たノウハウで、中国を解体する計画を立て、実行したのはむしろロンドンのイギリス銀行家たちであった。

 アヘン戦争の中心的な組織は、イギリス東インド会社である。イギリス国民の富裕層に属する私企業で、政府の権威を利用して、その活動を正当化し、推進することが可能であった。

 イギリス東インド会社は、19世紀初頭、他国の弱点を分析し、経済的利益を得る機会を見極めるための高度なシステムを開発した。銀行の利益のために軍事行動も辞さない専門家チームを持ち、自国の政治家に働きかけて、顧客の利益になるような軍事行動を助長した。

 英国東インド会社は、1909年に設立された情報機関MI6(軍事情報部6課)の父であり、さらに重要なことは、1947年に設立されたCIA(米国中央情報局)の祖父であることだ。これらの組織はいずれも政府機関を装っているが、大部分は私的利益のために働いている。


COVID-19作戦

 2019年12月に中国、そして世界に対して発動され、現在も続いているパンデミックを装った世界的クーデター、COVID-19作戦に話を進めよう。この作戦は、中国だけに向けられたものではないが、方法と目的において、過去2回のアヘン戦争に似ている。

 筆者は、COVID-19作戦がどのように計画され、開始されたかについて正確な内部知識を持っておらず、おそらく誰も全貌を把握していない。しかし、ジャーナリズムとして流布される偽情報の繰り返しとは対照的に、情報に基づいた評価を可能にするのに十分な情報が入手可能である。

 COVID戦争の始まりである2019年の武漢発生の背後にある戦略は、DARPA*やRAND**などアメリカの機関で行われていた、バイオテクノロジーやナノテクノロジー、サイバー戦争を使った戦争遂行方法に関する機密研究に端を発していた。
*アメリカ国防高等研究計画局、**米国のシンクタンク

 安全保障の世界で考えられるサイバー戦争は、コンピュータをハッキングすることよりも、市民の心をハッキングして、自主的な思考を不能にし、ナルシズム(自己陶酔)に基づく消費文化への心理的・思想的依存を助長することが重要視されている。政治における知識階級の知的機能を破壊する平凡な消費文化の促進は、COVID戦争の下地作りの重要な部分であった。

 この新しい戦争形態は、1986年に発見された1950年代の(おそらく)機密マニュアルに採用されている用語を使えば、「静かな戦争のための静かな武器」と表現するのが最も適切であり、このマニュアルには、支配戦略としての社会工学と自動化の利用が記述されている。ブラックロック、バンガード、ゴールドマン・サックスなどの民間金融・情報産業複合体、戦略的に結びついた億万長者の一団が、この取り組みの主要な顧客である。

 AIやスマートフォンの普及によって国民の思考を根本的に劣化させ、消費文化や目先の刺激への依存を生み出し、テクノロジーへの依存を強いるために、中国が主要な標的として選ばれた(ただし、この戦略は世界中で実行されている)。

 中国が格好の標的となったのは、近代化を推進するという基底概念が中国社会の中心にあり、西洋を追い抜くことが喫緊の課題とされているからだ。それは、19世紀に中国は西側から屈辱的な扱いを受けていたからだ。そのような思いが中国の知識人の間で非常に強く残っているため、自動化やジオフェンスを推進するという危ない橋をわたることが、中国が西洋を超え、真の近代化を実現するための手段として容易に正当化されるからである。さらに、中国の儒教思想は(民衆に)政府の役割を信頼することを促す考え方であるため、企業が政府における政策や行政を掌握していることを市民が把握するのは困難である。

 公衆トイレを含むすべての公共空間でのQRコードの使用、予防接種の義務付け、過去48時間以内(場合によっては過去24時間以内)のPCR検査が当初から市民に受け入れられたのは、そのような措置が、「西洋」より進んでいると正当化されたためだった。
このCovidを利用したテクノ・ファシズム導入作戦は、米国と中国双方の情報機関の腐敗した分子によって開始された可能性が高い。両国のこの分子たちが、奴隷社会を作る計画を進めている。つまり、億万長者たちが社会全体の思想や行政の規則を設定できるような社会だ。

 地方段階でCOVID-19の政策に関与している中国人と外国の代理人たちは、民間情報企業が出した指令に従っている。これらの情報企業は、世界経済フォーラムや、ゲイツ財団に支配されている世界保健機関などの政府間機関、そしてグローバル金融と結びついたその他の多国籍機関と連携している。

 企業メディアによる米国と中国の間の「新冷戦」の宣伝は、この作戦にとって極めて重要である。米中双方の地方政府関係者や市民は、中国と米国の関係が悪化しているため、両国の協力や交流はありえないという言説を聞かされている。この言説の信憑性は、政府高官、学者、文化人などの交流を禁止したり、困難にしたりする指令によって高められている。

 米国と中国の超富裕層を代表するごく少数の主要人物が密接に連携し、中国でのCOVID-19封鎖を推進している、というのが真の姿である。

 QRコードや接触相手の追跡を支える、中国のこうした政策は誰が作っているのか、誰がデータを扱っているのか、誰がプログラムを管理しているのかと問われれば、必然的に中国政府という答えになる。しかし、実際には、これらの政策のうち、中国政府自身が立案・実施したものはほとんどない。むしろ、中国政府は、億万長者(多くはイスラエルや米国を通じて)の支配下にあるIT企業に占領されていて、これらのIT企業は、中国政府を完全に軽視しているというのが実情だ。

 2019年の武漢発COVID-19作戦に関わった人々は、自分たちに反対する中国政府の人々を無慈悲に攻撃し、民間のコンサルティング会社や諜報機関と協力して自分たちが構成員である影の政府を立ち上げようとしていたのだ。

 その中国の影の政府(この件に関しては米国の影の政府も絡んでいる)は、政府が依存するIT処理過程を支配することにより力を引き出している。民間のIT企業(事実上、最高責任者にデータを売り渡す役割しか持たない民間情報企業であることが多い)によって、政府内の情報の転送、保存、処理、およびすべての内部通信が制御される体制により、億万長者の利益のために運営される影の帝国の構築が可能になった。そして、慎重に調整された方策を用いて、数ヶ月や数年という単位の中で、市民の思考を低下させ、移動と行動の自由を減少させるのだ。社会に大規模な変化をもたらそうとするこの計画は、市民(特にスマートフォン中毒者)が気づかないほど遅く、効果的な抵抗の組織を作るのが困難なほど速いという絶妙な速度で行われている。

 皮肉なことに、欧米のマスコミが世界で唯一の全体主義の源と評する中国共産党は、しばしばテクノ・ファシズムの行進に抵抗することができる唯一の勢力であるとされている。欧米企業が組織から人間を排除し、AIによる自動化を実施し、政党を投資銀行の付属物に変えることに躍起になっているのに対し、中国共産党は大勢の人を集めた対面の会議を開き、具体的な検討を伴う政策論争を行っている。

 中国のどの都市を歩いても、水面下でどのような戦争が行われているかは一目瞭然である。

 iPhone、イタリアのデザイナーがデザインした服、砂糖たっぷりの加工食品など、多国籍企業が生産する消費財の広告が、消費者に変えられてしまった市民に向けて、いたるところで叫ばれているのである。

 このような取り組みにより、グローバル金融の蜘蛛の巣と連動した強固な貨幣経済が生み出されている。若者たちは、iPhone内のネット空間に集まり、ありきたりな話題でうわさ話やメッセージを交わし、おしゃれなレストランで食事をしている。これらの若者たちにとれば、労働者が直面している現実を意識することは、遙かかけ離れたところに遠のいてしまう。

アヘン戦争 1 3枚目

 同時に、街角には市民に倫理観を持ち、他人を尊重し、街を清潔に保ち、家族を大切にするよう呼びかけるポスターが貼られている。これらの倫理的行動を促すポスターは、私が幼少期に見たが、アメリカではその後消えてしまったものを思い起こさせる。

 社会の倫理を保とうというこのような政府の取り組みは、中国共産党が行っていることであり、外国は中国社会の倫理のことなど、気にもしていない。
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