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バイデンのアジア訪問の目的は米国の対中国代理戦争を日韓に戦わせること

<記事原文 寺島先生推薦>

Biden’s “Harakiri Diplomacy” in East Asia: War Drums Getting Louder. Threatening Korea and China with the Support of Japan
Diplomacy of a Falling Empire
(バイデンによる東アジア「ハラキリ外交」。軍靴の音が大きくなっている。日本からの支持を受けて、北朝鮮と中国への脅威が強められている。
これは堕落しつつある帝国の外交政策だ。)

著者:ジョセフ・H・チョン(Joseph H. Chung)教授

原典:Global Research

2022年6月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年7月8日

 
 
序論

 東アジアは米国で最も熟練した人物の外交手腕を目撃できる機会があった。その人物とは米国ジョー・バイデン大統領だ。バイデンは5月20日から24日までの5日間韓国と日本で過ごしていた。



 世界が目にすることを期待していたのは、米国の利益だけを追い求めることのない真に熟練した外交手腕だった。相手諸国の利益、特に日本と韓国の利益を促進するような外交手腕を見たがっていたのだ。しかし、多くの人を落胆させることになったのだが、バイデンは米国政府のおなじみの外交政策を繰り返すだけに終わっってしまった。具体的には戦争亡者であるCIAや国家安全保障会議や国務省が決める外交政策だ。

 実際バイデンが戦争に向かう寒い風と共に東アジアを訪問した理由は、米国政府のために戦ってくれる戦士たちを探しに来たのだった。

 この文書においては、バイデンの東アジア訪問の2つの展開を取り上げる。ひとつは東アジア地域間の安全保障面での緊張の高まりであり、もうひとつは中国との代理戦争を起こすという依頼を受け入れてくれる国々を募ることだ。


バイデンの対北朝鮮戦略と日米韓三国軍事同盟

 東アジア地域の安全保障面での緊張が高まった理由は、バイデンが以下の件に関わる決定をくだしたからだった。ひとつは米国による対北朝鮮戦略についてであり、もうひとつは日米韓の三国軍事同盟についてであり、さらには台湾・中国間で有事が起きた際の米軍の介入の宣告についてだ。

 バイデンの対北朝鮮政策には何の新味もなかった。たたこの先の南北間の緊張を高めることにしかならない2つの動きを見せただけだった。そして、その動きのせいで軍事衝突を引き起こすかもしれない。



 一つ目の動きは、バイデンが保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権の要求を受け、韓国軍の攻撃力の増強を受け入れ、戦略的軍事資産の配置を約束したことだ。戦略的軍事資産とは例えば戦略的核兵器のことだ。

 二つ目の動きは、バイデンが米国政府の口癖である核兵器についての発言を繰り返したことだ。 「金正恩
 総書記が北朝鮮を非核化するのであれば、米国は北朝鮮と平和的な関係を求める!」これは口先だけであって、本音は以下の通りだ。「我々は朝鮮半島に平和を打ち立てる気はない」

 バイデンによるこれら2つの宣告により、北朝鮮はさらに警戒心を強めることになった。北朝鮮は、尹錫悦が北朝鮮に先制攻撃を行う意図を宣告していたことに苦慮していたからだ。

 現在事実上の日米韓三国軍事同盟が成立しているということは、日韓間に軍事同盟が結ばれているということになる。韓米間の軍事関係はただの軍事同盟以上のものだ。というのも戦時には米国が韓国軍に命令を出せる立場にあるからだ。実際、韓国軍は米軍の一部に組み込まれている。それは米国がOPCON (作戦統制。韓国が関わる戦争においては米国が韓国軍に命令を出せる権利のこと)を有しているからだ。

 日韓間の軍事同盟について懸念されることは、日本軍が朝鮮半島に足を踏み入れる可能性が生まれることだ。両朝鮮人にとってそのような可能性が生じることは悪夢だからだ。というのも、日本には再度アジア、特に朝鮮半島を支配したいという野望が今でもあることを両朝鮮人は分かっているからだ。 特に北朝鮮にとっては、日韓の軍事同盟が、日本軍が北朝鮮への攻撃に参戦する可能性に繋がることを恐れているのだ。


2022年2月の韓国での選挙

 既に北朝鮮は暴力的な反応を見せている。最近北朝鮮は13発のミサイルを発射している。うち4発は同時にいくつかの標的を攻撃できる能力を示すものだった。これらのミサイルは、短距離及び中距離ミサイルで、日本と韓国に警告を発するための発射だった。

 尹が大統領に選ばれたということは、反北朝鮮で親日である韓国保守派が、戦争亡者である米国の支配者層や、明治時代の栄光を再興しようとしている日本の野望と結びついたことを明らかに示しており、このことは北朝鮮の警戒を強めさせるのに十分だった。

 そのような状況下において、北朝鮮は世界の「東西武力戦争」において露中側に与することを決めた可能性がある。そうなれば南北統一はもはやありえなくなる。韓国はなくなってしまうだろう。尹大統領は朝鮮民族にとって最悪の反逆者の汚名を受け続けるだろう。


バイデンによる無謀な台中外交

 さらに恐ろしいことは、バイデンが、台中間で戦争が生じれば米国が介入すると宣告したことだ。これはまさに中国に対する内政干渉だ。世界は、米国が1つの中国政策を三度の共同声明(1972年、1979年、1982年)と台湾関係法(1979年)で認めたことを知っている。実際バイデンもほんの数か月前には1つの中国政策を認めていた。



 しかし、米国政府はもう何十年間にもわたって、米国在台湾協会(AIT)を通じて、一つの中国政策に反する行為をとってきた。1982年に中国と結んだ合意(ドナルド・レーガンの6つの保証)に応じて、米国政府が台湾に供給できるのは、「防衛用の武器」のみとされてきた。しかし、今供給されている武器は本当に防衛用の武器なのだろうか?ここ何十年間も、米国政府は台湾に何十億ドル分もの武器をつぎ込んでいる。トランプは毎年台湾に40億米ドルを与えていた。そんな武器がすべて防衛のためだけだなどという話が信じられるだろうか?

 ある意味、米国政府による矛盾の多い台湾政策が台湾にとって理解できるものになっている理由は、米国が中国国境のすぐ近くに空母を配置し、中国の安全保障を脅かしていることにあると言える。

 米国が台湾を失えば、東アジア地域における米国の利得は深刻な損害を受けるだろうと言われている。こんな帝国の振る舞いは最低の振る舞いだ。主権国家である他国を軍備させて自国の利益を得ようと主張する国などありえるだろうか?

 ただし中国にとってみれば、米国が台湾を完全武装させているという状況は耐えられない脅威だ。つまり米国政府は中国との紛争を挑発しているのだ。

 中国の人民解放軍に台湾を攻撃するようけしかけることにより、米国政府は、中国がそのような攻撃を正当化できる条件のうちのひとつを意図的に破壊しているのだ。中国政府が台湾に出兵することが許される条件は以下の五項目だ。

 § 台湾が独立を宣言する
 § 台湾国内の内部騒乱が起こる
 § 台湾軍が他国と軍事同盟を結ぶ
 § 台湾が大量破壊兵器(WMD)を所持する。例えば戦略的核兵器など。
 § 1992年に中台間で確認された一つの中国(九二共識)を逸脱する

 米国政府は日本に依頼してこれらの5項目のうちのひとつを崩れさせることは可能だ。台湾の独立宣言をしなくても可能だ。最も容易な方法は、台湾に戦略的核兵器などの大量破壊兵器を送ることだ。あるいは台湾内部で騒乱を起こさせたり、日台間で軍事同盟を結ぶ手もある。



 日本は喜んで米国政府からのこのような要求に応じるだろう。というのも、中国打倒が安倍晋三元首相の率いる日本会議の夢だからだ。米国の支援を得て中国を倒し、再びアジアの支配者になることを夢見ているのだ。世界の支配者にはなれないとしても。

 従って明らかに、バイデンは東アジアで軍靴の足音を高めることに成功したのだ。


代理戦争の戦士募集

 日韓二国間軍事同盟が目指すものは代理戦争の戦士を集めることだ。先に指摘した通り、米国政府が北朝鮮への攻撃を決意したなら、米国政府の覇権のためと、日本による再度の朝鮮併合のために、日韓両国軍が参戦する可能性は高い。 バイデンにとってより重要なことは、米国が支援する台湾・中国間の戦争に加わる戦士たちを募集することだ。韓国軍も日本軍も米国政府のために射撃を行なうことが期待されている。しかし米国政府がその戦いに参戦しないことはありえる。ただ武器の供給を増やすだけで。そう今のウクライナ・ロシア戦争と同じ構図だ。

 東アジアにおいて米国政府が主導するこの危険な安全保障条件での動きには、ひとつの難しい側面がある。それは「ハラキリ」政策だ。この政策は、尹大統領が率いる親日保守派の韓国政府が安全保障戦略として採用しているものだ。韓国が対北朝鮮戦争に参戦しても、韓国側はなんの利点も得られない。ただ韓国人が何百万人も亡くなったり、韓国経済が崩壊する可能性が生まれるだけだ。さらに北朝鮮とのこの戦争に日本が参戦すれば、朝鮮半島の地に日本軍が永久に駐留することになりかねない。これにより1910年の日本による韓国併合という惨劇が再び繰り返されないとも限らないのだ。

 親日保守派の韓国人はこの歴史を支持するだろう。彼らの先祖か1910年にそうしたように。このことは奇妙に聞こえるかもしれない。しかし忘れてはいけない事実がある。親日韓国人の中枢は、韓国を植民地支配していた日本政府に協力していた韓国側の支配者層の子孫なのだ。加えて、自分の富を守るため日本には帰らず、名前を韓国名に変えて自分たちの出生を隠した人々の子孫もいる。はっきり言えば、この親日派は韓国人と言うよりも日本人と言った方が正しいのだ

 さらに韓国軍が台中戦争に参戦となれば、中国からの貿易による報復に苦しまなければならない状況を作り出しかねないし、中国軍から直接韓国の地に軍事攻撃を受ける可能性まで出てくる。

 韓国製品の輸出先の4分の1は中国である。ソウル近郊にたった一機のTHAADミサイルを配置したというだけで、韓国は高い賠償を支払う羽目になった。中国からの観光客収入を失い、中国で「韓国製品不買」運動が起こり、中国国内の韓国企業が閉鎖されるなどの報復措置を受けたのだ。そんな損失に対して米国が補償してくれる訳がない。

 韓国にとって米中覇権争いの中を生き残る唯一の賢明な選択は中立を保ち、米中両国と良好な関係を維持することだ。これが文在寅(ムン・ジェイン)の取った手法だった。だが尹大統領はムン・ジェインの功績をふいにしてしまった。これは悲劇だ。本当に。
 
 文在寅下のリベラル政権は両超大国と良好な関係をうまく維持することができていた。経済力で世界10位、軍事力で世界6位の力を持つ韓国なら中国政府や米国政府に対して韓国が優位となる取引が可能なのに。

 さて日本の方だが、安倍晋三元首相が率いる帝国主義的保守派は、中台戦争において日本が外国人軍として参戦することは大歓迎だろう。安倍晋三や仲間たちにとっては、中台戦争は神からの授かりものになりうる。安倍勢力が1945年以前の大日本帝国の力と栄光を取り戻そうという野望を持っていることを思い出して欲しい。安倍らの勢力は1945年の日本の無条件降伏を受け入れていない。つまり東京裁判の判決を受け入れていない。安倍らの勢力には日本が世界支配者であるという幻想がある。この野望の実現のためには中国を打倒しなければならない。中国を打倒するためにはいわゆる自衛隊ではない、正規軍を持つことが必要だ。そのためには1948年施行の平和憲法を改憲しなければならない。特にその中の議論のタネになることの多い9条を、だ。

 しかし安倍の野望の実現には、バイデンの支援がいる。

 バイデンは日本がヒロシマ・ナガサキへの原爆投下のことを忘れていないという危険に気づいている。米国民は、真珠湾での大虐殺の記憶を有している。バイデンは力を持ちすぎている日本の姿を見たくないと思うのは十分想定内のことだ。


だが、バイデンが「中国をたおす」には日本の軍事力が必要

 バイデンが中台戦争が発生した場合には軍事介入を行うと宣告した意図には、米国の代理戦争を戦ってくれる日本の軍隊を召集することにあった。韓国軍についても同じことだ。

 バイデンにとっては、日本の軍隊は中国と戦う外国軍として最善の軍隊だ。中国に尖閣(釣魚)諸島や台湾に出兵させるのに、日本は戦争に繋がる偽旗事件を起こしてくれそうだからだ。実際、偽旗事件を起こすのは日本のお手のものだ。

 1931年に満州で起こった満鉄事変は日本の満州侵略の先駆けとなったし、1937年の北京の盧溝橋事件が日中戦争の本格的な全面戦争の火花になったのだ。これらは日本軍の手による偽旗事件だった。

 端的に言えば、バイデンは東アジア地域の2カ国の軍隊を中台戦争という米国の代理戦争が勃発した際の外国軍として召集することに成功したのだ。


バイデンとインド太平洋経済枠組み(IPEF)

 日韓二国の軍事力召集に加えて、バイデンはもうひとつの中国封じ込め機関の創造に成功した。それは13カ国からなるインド太平洋経済枠組み(IPEF)だ。
 加盟国はASEANの7カ国(シンガポール・インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ブルネイ)と米、印、日、韓、豪、ニュージーランドだ。



2022年5月23日、繁栄に向けたインド太平洋経済枠組み会議での、日本の岸田文雄首相(左)、ジョー・バイデン大統領、インドのナレンドラ・モディ首相(写真を提供してくれたAP通信のエバン・ヴッチ氏に感謝)


 この新しい機関の目的は中国の封じ込めだ。IPEFは当該地域における四分野に力を入れることになる。それは、供給網の再編成、再生可能エネルギー、不正取引の禁止、不正との戦いだ。しかしこの機関の究極的役割は中国の封じ込めであり、中国との商品や知識や業務などの交換の制限を強めるためのものだ。その中でも特に、技術の交換の制限が求められている。  

 韓国の貿易や国際政治の専門家たちのほとんどの主張では、IPEFは韓国に惨事をもたらすだろうとのことだ。それは中国側から報復を受ける可能性があるからだ。

 日本はIPEFの一員に加わることができて喜んでいるようだ。というのも、この機関において、韓国の応援を得ることができて、主導的役割を担える機会を得ることになるからだ。サムスンとビュンデ自動車から米国に270米国ドルの投資の確約が取れたことはバイデンにとっては大きな土産になった。さらにこの投資により電気自動車業界と半導体業界での米国の競争力は強化されるだろう。これらの動きも米国による中国封じ込め政策の一端となろう。

  インド太平洋経済枠組み会議(IPEF)は実際のところ付加的な中国封じ込め政策であり、反中国戦略の効果を高めるためのものだ。というのもこれまでのところ、今まで繰り出してきた封じ込め政策は効果 が出ていないからだ。

 オバマ政権時代から、米国政府はいくつかの戦略を繰り出して、中国の封じ込めをはかってきた。しかしどの戦略も期待されていたような結果を得ることはできなかった。南シナ海での米海軍の軍事演習は中国沿岸部の軍事強化を引き起こしただけに終わった。


環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)

 TPPが行き詰まったのは、TPPには2つの相容れない目的があったからだ。ひとつは、その名の通りの貿易の促進で、もうひとつは中国の封じ込めだった。
目的が当該地域間の貿易の促進であるならば、中国が入っていないとおかしい。目的が中国封じ込めなら、中国は報復し、加盟諸国の中国との貿易は減少するだろう。


 その結果生じる中国との貿易がなくなる損失は、TPP加盟諸国との貿易の促進で得られる利益よりも大きくなるだろう。従って加盟諸国にとってはこれは負け試合なのだ。米国政府がその赤字を補填してくれるのならば話は別だが。

 問われるべきことは、米国政府がそんな損失補填できる余裕があるかどうかだ。だからこそトランプはTPPから手を引いたのだ。

 TPPは、今はCPTPPやTPP-11 (11カ国が加盟する環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、加盟国は豪、ブルネイ、加、チリ、日、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)という名前に変わったが、この協定はただの貿易協定以上のもののようだ。日本が主導しているのだから、この貿易協定は中国封じ込めの武器となりうる。というのも日本にはアジアの支配者になりたいという野望が残存しているのだから。


「オーストラリア、イギリス、アメリカ」という特別な構成者からなるAUKUS(オーカス)軍事同盟

 オーカスが軍事同盟として効果があるのかについてはまだ見極められていない。豪州の新首相は豪中関係について同盟国と異なる見解を持っている可能性がある。豪州のペニー・ウォン(Penny Wong)新外相は親中派として知られているし、ウォン外相の上司のアンソニー・アルバニーズ(Anthony Albanese)豪州新首相は、対中政策は穏健な立場を取ることを提案している。


Source: Financial Express


日米豪印戦略対話(Quad)

 Quadに効果が持てるかどうかは対中戦争が起きた際インドがどんな対応を見せるかにかかっている。インドはいくつかの多国間協定に加わっている。具体的にはBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国)、SOC(上海協力機構)、RCEP(地域的な包括的経済連携協定) だ。これらの協定においてインドは中国との良好な関係を維持している。



5月24日に東京で開催されたQuadの会合でのインドのナレンドラ・モディ首相、米国のジョー・バイデン大統領・日本の岸田文雄首相、豪州のアンソニー・アルバニーズ首相


 インドは米国政府が長期間においてインドの安全を保障してくれるとは思っていない。インドはオーカスの加入からはじかれたことに落胆している。インドは中国からの報復を恐れている。これら全ての理由から、インドがQUADに加入していることの強みは、日本が加入していることの強みほどはないようである。
IPEFはバイデンが考えた中国封じ込め作戦だ。IPEFはTPPの代わりになるのであり、貿易志向の協定と見せかけて実はその隠れた目的には中国の破壊がある。従って、TPPの時の矛盾と同じ矛盾が生じている。貿易が目的であれ、中国の封じ込めが目的であれ、成功の可能性は薄い。念頭においていただきたいことは、IPEFの全ての加盟国は貿易や投資において中国に深く依存しているという事実だ。


全速力で加速するインフレ。米国における経済と社会の危機

 しかし実は世界覇権を目指す米国にとって最も深刻な躓きは米国国内の問題が悪化していることだ。インフレが全速力で拡大している。そのため路上での殺人事件、社会基盤の崩壊、飢えに苦しむ人々の増加、野宿者や仕事がない人々でごった返す街中、ふくれあがる医療費のせいで何百万もの人々が治療を受けられなくなっている状況、収入格差の激しい不平等のせいで飢えに苦しむ児童・生徒数の増大。これらすべては、パクス・アメリカーナ(米国による平和な世界)が没落している兆候だ。




米国が優先的に取り組むべきことは、内政問題の解決のようだ。

 優れた外交手腕を持つバイデンが今回のアジア訪問で大きな収穫を得たと評価する人々もいるかもしれないが、私はそんな賞賛には同調しない。

 私の考えでは、バイデンが示した外交政策というのは、「没落しつつある帝国による外交政策」だ。

 世界を支配するには3つの方法がある。経済による支配、考え方による支配、軍事力による支配だ。ただし、軍事力による支配は経済力による支配や、考え方による支配の支えなしでは無力だ。



米国の世界的「ハラキリ」政策は、没落しつつある帝国の外交政策だ


 米国の経済力による世界支配は弱化している、それは敵諸国に終わることのない経済戦争をしかけているからだ。さらに、米国による考え方をもとにした支配も、米国が真意を履き違えた民主主義を展開しているため、影をひそめつつある。残されているのは軍事力による支配だけだ。

 バイデンは強力な経済力による支配と、考え方による支配による支えなしで軍事力による支配を再興しようとしている。これは没落しつつある帝国が見せる症状だ。

 おそらくバイデンが示している外交政策は、崩壊しつつある帝国を軍事力でなんとか再建しようとしている努力をさしているのだろう。しかしバイデンが軍事力による支配を追い求めようとしても、結局は世界の人類の自殺を招き、帝国は恥ずべき終焉を迎えるだけだろう。
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