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(2015年の記事)米国議会、ウクライナにおけるナチの役割を認める

米国議会、ウクライナにおけるナチの役割を認める
<記事原文 寺島先生推薦>
U.S. Congress Admits Nazi Role in Ukraine
Global Research


2022年3月17日

ロバート・パリー(Robert Parry)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年5月10日


 2015年6月にGRに初投稿された故ロバート・パリー氏による詳細なドキュメント記事。
**

 しっかりお読みください。現在進行中のウクライナ危機に関連しています。

 「米露間の核対決になるかもしれない危機について、(NY)タイムズは読者に十分な情報を提供するよりも、国務省プロパガンダの発信源となることを選んだ。キエフのナチの突撃隊員のことを話題にする場合も「ロシアのプロパガンダ」という言い方を多くする。

 ところが今、よりによって米国下院が、全会一致でこの不快な真実を認めたのだ。」 (ロバート・パリー、2015年6月、強調はGR)

***
 先月2月[2014年]、ロシア民族の反政府勢力がウクライナのマリウポリ港に迫っていたとき、ニューヨーク・タイムズ紙は、この都市と、そして実際に、西側文明を守る英雄たち――門前に押し寄せる野蛮人に立ち向かう勇気あるアゾフ大隊――を熱狂的に描写した。ニューヨーク・タイムズ紙が読者に伝えなかったのは、この「英雄」たちがナチであり、そのうちの何人かは卍とSSのシンボルマークを身につけていた、ということだ。

 リック・ライマン(Rick Lyman)によるニューヨーク・タイムズの長い記事は、アメリカの「記録紙面」としても残念ながら出来が悪い。完全なプロパガンダに成り下がっており、キエフにおけるクーデター後の政権の暗い側面を表に出さない。しかし、このライマンの悲しくなるほど判で押したような記事がいま注目されるのは、共和党が支配するアメリカ下院が、ナチスとの結びつきを理由にアゾフ大隊に行くアメリカの援助を禁止することを全会一致で決めたからである。

 タカ派の下院でさえ、ウクライナ東部のロシア系住民を攻撃するウクライナ政府の武器の一番槍として奉仕するナチスの突撃隊員に我慢ならないのに、この同じナチスを立派だと見るニューヨーク・タイムズの真っ正直さと品位について、タカ派下院はどんな言葉を出すのだろう。

 さらにニューヨーク・タイムズはナチスの汚点に言及するスペースがなかったというわけでもない。この記事は、アゾフの指導者を大きく表に押し出し、多くのカラー写真を載せ、内容も詳しかった。ただこれらのナチス部隊がアメリカ側に立って現在、進行中の内戦でいかに重要な役割を果たしたかという不都合な真実に言及する余地がなかったというだけだ。ニューヨーク・タイムズは、アゾフを単に 「志願兵部隊」と呼んだ。

 しかし、6月10日、米下院はミシガン州選出のジョン・コニャーズ・ジュニア(John Conyers Jr.)議員、フロリダ州選出のテッド・ヨーホー(Ted Yoho)議員の超党派による国防歳出法修正案を承認した。この修正案は、米国によるアゾフ大隊の訓練を停止し、イラクとウクライナへの対戦闘機肩撃ち式対空ミサイルの移送を阻止するものであった。

 「昨夜、下院が私の修正案を全会一致で可決し、我が軍が、虫唾が走るようなネオナチ・アゾフ大隊のメンバーを訓練しないことを保証してくれたことに感謝しています。と同時に、危険なのに易々と取引されるMANPAD*をこれらの不安定な地域から排除するための私の法案も通していただきました。」とコニヤースは木曜日(2015年6月11日)に語った。
MANPAD*・・・携帯式防空ミサイルシステム(英語: man-portable air-defense systems, MANPADS/MPADS、携帯式地対空ミサイルシステムとも)は、1人で携行可能(man-portable)な地対空ミサイル・システムのこと。 通常、肩に乗せて射撃する。(ウイキペディア)

 彼は、ウクライナのアゾフ大隊について、ウクライナ国家警備隊の1000人規模の志願民兵組織であると説明した。Foreign Policy Magazineはアゾフ大隊を「公然たるネオナチ」「ファシスト」と見なした。そして、アゾフは何か正体の分からない部隊ではない。ウクライナの武装民兵を監督するアルセン・アヴァコフ(Arsen Avakov)内相は、「恐れ知らずの守備隊(Fearless Guardian)」のコードネームで呼ばれる訓練ミッションでウクライナに派遣されている300人の米軍顧問の訓練を受ける最初の部隊に、アゾフの部隊が含まれると発表している。

白人至上主義

 金曜日(2015年6月12日)、レオニド・ベルシズキー(Leonid Bershidsky)によるBloomberg Newsの記事は、コニャーズが「なぜ」ウクライナの議員アンドリー・ビレツキー(Andriy Biletsky)が指揮する軍隊を問題視するのかは簡単にわかると指摘した。コニャーズはCongressional Black Caucus(アメリカ議会黒人幹部会)の創設メンバーであり、ビレツキーは白人至上主義者である。

 「ビレツキーは2005年からPatriot of Ukraine(ウクライナの愛国者)(アゾフ大隊の前身)を管理していた。2010年のインタビューで彼は、この組織を民族主義の「突撃隊」であると述べた...この集団のイデオロギーは「社会民族主義」であり、歴史家であるビレツキーはこの用語が何を意味するかが分からない人間はひとりもいないことを知っていた。...

 (以下は引用)
 2007年、ビレツキーは、人種差別発言に対する罰金を導入するという政府の決定に対して、「では、立法府レベルでの "黒人愛 "はなぜなのか?」と強い調子で抗議した。政府のやりたいのは、自分たちや家族、自分たちの土地の主人である権利を守るために立ち上がったすべての人々を破滅させることだ。政府は、ウクライナ国民があらゆる異質なものに対して生物学的に抵抗しようとするのを粉砕したいのだ。旧ヨーロッパに起こったことを私たちにも起こそうとしている。そこでは、移民の大群がフランス人、ドイツ人、そしてベルギー人にとって悪夢となり、都市は急速に「黒化」し、犯罪や麻薬取引は国の隅々にまで侵入している。」
 (引用はここまで)

 The Bloombergの記事は、さらに続く:
「ビレツキーは、彼の組織が一連の銃撃戦や戦闘に参加した後、2011年に刑務所に収監された。昨年のウクライナのいわゆる尊厳革命の後、彼は政治犯として解放された。準軍事的な訓練を受けた右翼組織は、ヴィクトール・ヤヌコヴィッチ(Viktor Yanukovych)前大統領に対する蜂起の暴力的な局面で重要な役割を演じた。超民族主義政党スヴォボダを含む新当局は、感謝の意を示したかったのだ。

 (以下は引用)
 東部における戦争はビレツキー率いる突撃隊に、かつて望んだ以上の地位を与えることになった。彼らは激しく戦い、昨年秋には400人規模のアゾフ大隊が国家警備隊の一部となり、2000人への増員許可を得て、重火器へのアクセスも可能になった。では、隊員の何人かがナチスのシンボル(卍)を体に刺青し、部隊のに第二次世界大戦中にナチスが広く使用した「ウルフスアンゲル(SS)」を掲げていたとしたらどうだろう。

 昨年9月、ウクライナの雑誌『Focus』のインタビューで、国家警備隊の責任者であるアヴァコフは、ヒーローと崇める自分の部下を守るように語っている。彼はウルフスアンゲル(SS)について、つぎのように語っている:
 「ヨーロッパの多くの都市では、市の紋章の一部になっている。確かに、アゾフに集まった連中の多くは特殊な世界観を持っている。しかし、それで彼らを判断することは誰にもできない。アゾフ大隊がこの国のために何をしたかを忘れてはいけない。マリウポリ(Mariupol)の解放、イロベイスク(Ilovaysk)での戦闘、アゾフ海付近での最新の攻撃を忘れてはならない。彼らを批判する者が、彼らが行ったことの10パーセントでもできるならやってみたらいい。そして、彼らがナチスの考えを説き広め、鉤十字をつけている、などと言ってくる者は、素っ頓狂な嘘つきでばか者だ。」

 6月10日の下院の投票は、米国が支持するキエフ政権のこの暗い一角にスポットライトを当てたかもしれないが、その現実は何ヶ月も前からよく知られていた。しかし、西側のほとんどのニュースメディアは、これを真っ当に取り上げず、「ロシアのプロパガンダ」としてはねつけた。

 (引用はここまで)

 ニューヨーク・タイムズでさえ、この現実について少なくとも1回は、さらっとではあれ、書いている。ただ、それは記事をよく読まなければわからない。2014年8月10日、ニューヨーク・タイムズの記事。アゾフ大隊のナチスの汚点に触れているのは最後の3段落。それも別のトピックに移る長い文章の中でだ。

 「ドネツクへ向けた戦闘は、多大な死傷者を生み出す様相を示し始めた。(つまり)正規軍が分離主義者の拠点を遠くから爆撃し、その後、ドネツクを囲む半ダースほどの準軍事的な組織が市街戦に突入することを望んで、無秩序な激しい攻撃を行う」と、ニューヨーク・タイムズタイムズ紙は報じている。

 (以下は引用) 

 「キエフの当局者によれば、民兵と軍は行動を調整しているが、約7000人の戦闘員から成る民兵は怒っており、時には制御不能に陥ることもある。そのひとつ、マリンカ村を占拠したアゾフとして知られる民兵組織は、鉤十字に似たネオナチのシンボルを旗として掲げている。」 [Consortiumnews.comの「ニューヨーク・タイムズはウクライナのネオナチが参戦していることを発見」参照]。

 (引用はここまで)

背筋が寒くなる

 保守的なロンドン・テレグラフ紙は、特派員トム・パーフィット(Tom Parfitt)の記事でアゾフ大隊の詳細を紹介し、「ウクライナ政府は、ロシアが支援するドネツクとルハンスクの『人民共和国』を制圧するためにボランティアの準軍事組織を使っているのは...ヨーロッパの背筋を震え上がらせるだろう」と書いている

 (以下は引用)

 「ドンバス、ドニプロ、そしてアゾフといった最近になって結成された大隊は、数千人の隊員から成り、公式には内務省の管理下にあるが、その資金調達は不透明で、訓練は不十分、その思想はしばしば憂慮すべきものである。アゾフの隊員たちは、ネオナチの「ウルフスアンゲル」のシンボルを旗に使い、隊員たちは白人至上主義者、あるいは反ユダヤ主義者であることを隠しもしない。」

 (引用はここまで)

 民兵のメンバーへのインタビューを基礎に、テレグラフ紙は、戦闘員の中にはホロコーストなんて本当にあったのかと疑う者、アドルフ・ヒトラーへの賞賛を表明し、自分たちがまさにナチスであることを認めている者がいると報じた。

 アゾフ司令官であるビレツキーは、「社会国民会議と呼ばれるウクライナの過激派グループの長でもある」としたテレグラフ紙の記事では、ビレツキーによる次のような宣言を引用している。「この重大な瞬間におけるわが国の歴史的使命は、世界の白人種の生存のための最後の十字軍を率いることである。セム人率いる劣等人種に対する十字軍だ」。

 言い換えれば、第二次世界大戦後はじめて、ひとつの政府がナチスの突撃隊をヨーロッパの住民を攻撃するために派遣したのである-そしてキエフの当局者は自分たちが何をしているのか知っていた。テレグラフ紙はキエフのウクライナ当局に質問した。キエフ当局は、一部の民兵の過激なイデオロギーについて認識していたことを認めたが、より優先すべきは、戦う意欲を強く持った軍隊を持つことであると主張した。[Consortiumnews.comの「ウクライナのネオナチ突撃隊を無視する」参照]。

 しかし、昨年8月のロシア系民族が率いる反乱軍の反攻は、キエフが得た多くの利益を覆し、アゾフ軍と他の政府軍を港町マリウポリに追い返した。Foreign Policyの記者アレック・ルーン(Alec Luhn)もナチスに遭遇している。彼はこう書いている:

  (以下は引用)
 「黒と黄色のウクライナの旗が、完全に焼け落ちた市庁舎の建物とマリウポリ市周辺の軍事検問所周辺にはためいている。しかし、巨大な冶金工場に近いスポーツ学校では、別のシンボルが目を引く。第三帝国で広く使われ、ネオナチグループが採用しているウルフスアンゲル(「狼の罠」「SS」)のシンボルである。...

 「親ロシア勢力は、紛争においてウクライナの民族主義者や「ファシスト」と戦っていると言っているが、アゾフや他の大隊について言えば、これらの主張は基本的に真実である。」

 (引用はここまで)

SSヘルメット

 ウクライナ政府の戦闘員の中にナチスが存在するという証拠が続々と出てきた。ドイツ人は、アゾフ民兵の兵士が自分たちの装備を鉤十字(卍)と 「ルーン文字で書かれたSS」で飾っているビデオを見て、ショックを受けた。NBCニュースが報じている

 (以下は引用)

 「ドイツ人が自国の暗い過去を突きつけられたのは・・・ドイツの公共放送局ZDFが、夕方のニュース番組で、ヘルメットにナチスのシンボルをつけたウクライナ兵のビデオを見せた時だった。

ウクライナのアゾフ大隊の隊員が着用するヘルメットにはナチスのシンボルが描かれている。(ノルウェーの撮影隊が撮影し、ドイツのテレビで放映されたもの)。

 「このビデオは、ノルウェーの放送局TV2のカメラチームによって、ウクライナで撮影されたものだ。「私たちは東部の都市ウルズフ(Urzuf)でウクライナのアゾフ大隊についての映像レポートを撮影していたとき、これらの兵士に遭遇した」と、民間テレビ局の特派員であるオイステン・ボーゲン(Oysten Bogen)はNBCニュースに語った。「映像が録画される数分前に、ボーゲンは、大隊がファシスト的な傾向を持つかどうかを広報担当者に尋ねたという。「絶対にない、我々は単なるウクライナの民族主義者」と答えた、とボーゲンは語っている。」

 (引用はここまで)

 米国が支援する政府がナチスの突撃隊を派遣してウクライナの都市を攻撃するというのはニュース価値があるにもかかわらず、米国の主要な報道機関はこの行動を許すために異常なまでに力を尽くし、ワシントンポスト紙などはアゾフの鉤十字の使用は単に「ロマンを求めたもの」だったと、憚ることなく、それを正当化することまでしてみせた。

 ホロコーストや第二次世界大戦の荒廃を貶めたりすることに最も関連するシンボルに対してこんな風に奇妙に説明するのは、2014年9月に出版されたワシントンポスト紙のリード記事の最後の3段落に見ることができる。ポスト紙の特派員アンソニー・ファイオラ(Anthony Faiola)は、アゾフの戦士たちを、「ロシアの侵略」に気高く抵抗し、必要なら「ゲリラ戦」に訴えることもいとわない「戦いに傷ついた愛国者」であると描いているのだ。

 この記事では、アゾフのロシア人に対する「破壊工作、標的型暗殺、その他の反乱戦術」の計画について、他の文脈ではそのような行為がテロとみなされるにもかかわらず、何の不都合もないとしている。過激派は、もしウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領が民兵の意にそぐわないロシア東部との和平協定に合意すれば、彼の政府にも脅しをかけるとまで言っている。

 「もしキエフが自分たちの支持しない反政府勢力と取引したら、準軍事的な戦闘員が自分たちで親ロシア派のターゲットを攻撃する可能性がある、あるいは政府そのものを攻撃する可能性もあると言っている」と記事は述べている。

 ポスト紙の記事は、ウクライナに関するほぼすべての報道と同様に、東部でロシア民族と戦うキエフ軍を賞賛するものであったが、アゾフ大隊の兵舎を飾る鉤十字の写真を説明するために、ワシントンポストは思考を素早く切り替える必要がどうしてもあった。そこで、記事の最後の3段落でファイオラはこう報じた:
「キルト(Kirt)と名乗るある小隊のリーダーは、このグループの極右的な考え方がヨーロッパ中から約二十人の外国人戦闘員を引き寄せていることを認めている。

「ある部屋では、新兵がベッドの上に鉤十字を飾っている。しかしキルトは...イデオロギーの問題を退け、志願兵たち(その多くはまだ10代)はある種の「ロマン」の一環としていろいろなシンボルを受け入れ、過激な観念を信奉しているのだと言った。」


 これら十分に実証された事実があるにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズは昨年2月のアゾフ大隊のマリウポリ防衛に関する記事からこの現実を削除した。しかし、ナチスの役割はニュースにする価値があるのではないだろうか?他の文脈では、タイムズ紙はヨーロッパにおけるナチスの復活の兆候を素早く指摘し非難する。しかし、ウクライナでは、アンドレイ・パルビイ(Andriy Parubiy)のようなネオナチがクーデター政権の最初の国家安全保障責任者を務め、ナチの民兵が政権の軍事作戦の中心となっているが、タイムズはこの件に関して沈黙を守っている。

 タイムズ紙は、米露間の核対決に発展する可能性のある危機について読者に十分な情報を提供するよりも、単に国務省のプロパガンダの源泉となることを選んだのである。キエフのナチス突撃隊への言及を「ロシアのプロパガンダ」と呼ぶことが多い。しかし今回、米国下院は、あろうことか、全会一致で、この不快な事実を認知した。

Investigative reporter Robert Parry broke many of the Iran-Contra stories for The Associated Press and Newsweek in the 1980s. You can buy his latest book, America’s Stolen Narrative, either in print here or as an e-book (from Amazon andbarnesandnoble.com). You also can order Robert Parry’s trilogy on the Bush Family and its connections to various right-wing operatives for only $34. The trilogy includesAmerica’s Stolen Narrative. For details on this offer, click here.
The original source of this article is Consortiumnews



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