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マリウポリがユーラシア統合の重要拠点になる

マリウポリがユーラシア統合の重要拠点になる

――マリウポリがウクライナの右翼「アゾフ大隊」によって痛めつけられていたのは、モスクワの軍事作戦開始前から。ロシアの手にかかれば、この製鉄所の戦略的な港はユーラシア大陸とのつながりのハブに変貌できる

<記事原文 寺島先生推薦>

How Mariupol Will Become a Key Hub of Eurasian Integration

Mariupol was battered by Ukraine's right-wing Azov battalion well before Moscow launched its military ops. In Russian hands, this strategic steelworks port can transform into a hub of Eurasian connectivity.

Global Research 2022年3月31日

ペペ・エスコバール(Pepe Escobar)

  <記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年4月9日

 アゾフ海の戦略港であるマリウポリは、依然としてウクライナの台風の目となっている。

 NATOの話では、アゾフスタル製鉄所(ヨーロッパ最大の製鉄所の一つ)は、マリウポリを「包囲」したロシア軍とその同盟国ドネツク軍によってほぼ破壊されたということになっている。


 しかし真相は、ネオナチのアゾフ大隊(マリウポリ駐留)が、ロシアのウクライナ軍事作戦開始以来、マリウポリの市民数十人を人間の盾として奪い、最後の抵抗としてアゾフスタル製鉄所に退却した、ということである。先週言い渡された最後通告の後、彼らは今、ロシア軍とドネツク軍、そしてチェチェン戦争に投入されたスペツナズ(ロシア特殊任務部隊)によって完全に駆除されつつある。

 アゾブスタル製鉄所は、ウクライナで最も裕福なオリガルヒ、リナト・アフメトフが支配するメチンベストグループの一部であるが、まさにヨーロッパ最大の冶金(やきん)工場の一つであり、「コークス、焼結金属、鋼鉄、高品質の板・圧延棒鋼・圧延形鋼(かたこう)を生産する高性能総合冶金企業」と自称している。

 アゾフのネオナチがマリウポリの市民に与えた惨状を伝える証言が相次ぐ中、もっと縁起の良い、目に見えない物語が近い将来の良い兆しを見せている。

ロシアは世界第5位の鉄鋼生産国であり、巨大な鉄鉱石や石炭を保有している。マリウポリは、鉄鋼のメッカである。このマリウポリは、かつてはドンバスから石炭を調達していたが、2014年のマイダン事件以降、事実上のネオナチ支配下にあり、輸入に変貌した。例えば、鉄は200km以上離れたウクライナのクリブバスから供給されるようになった。

 ドネツクが独立共和国として体制を固めてしまえば、あるいは住民投票によってロシア連邦の一部となることを選択してしまえば、この状況は変化するはずだ。

 アゾフスタル社は、構造用鋼、鉄道用レール、チェーン用焼入れ鋼、鉱山機械、工場設備に使われる圧延鋼材、トラックや鉄道車両など、非常に有用な幅広い製品群に投資している。工場群の一部は非常に近代的であるが、一部は数十年前のものであり、アップグレードが必要であるため、ロシアの産業は確実にそれを提供することができる。

READ MORE: ロシアは米欧の経済制裁にどう対抗するのか?「脱ドル」である

 戦略的には、アゾフスタル製鉄所は巨大な複合施設で、アゾフ海に面していて、今や実際上、ドネツク人民共和国に編入されている。しかも黒海に近い。つまり、西アジアの潜在顧客を含む東地中海へ短距離輸送が可能なのだ。また、スエズを越えてインド洋に出れば、南アジアや東南アジアにも顧客がいる。

 つまり、ドネツク人民共和国は、おそらく将来のノボロシア人民共和国連邦の一部、さらにはロシアの一部となり、南ヨーロッパ、西アジア、そしてそれ以外の地域の多くの鉄鋼生産能力を掌握することになるのである。






 必然的な結果として、ロシア、中国、中央アジアの「スタン諸国(中央南アジアの国名、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンのスタン)」において、本格的な貨物鉄道建設ブームを供給することができるようになるだろう。鉄道建設は、北京の野心的な「一帯一路構想(BRI)」の特権的な接続モードであることがここで偶然にも判明した。また、国際北南輸送回廊(INSTC)は、ますます加速している。

 つまり、中期的にマリウポリは、北南ルート――ロシアを横断するINSTCと「スタン」を結ぶ――の急成長の主要拠点の1つになることが期待されるのである。同様に、より広範なBRIは東西回廊と副BRI回廊を整備するものである。

連動するユーラシア

 国際北南輸送回廊(INSTC)の主役はロシア、イラン、インドで、NATO制裁後の現在、米ドルを介さない貿易の仕組みを考案し、高度な相互接続モードに入っている。アゼルバイジャンもINSTCの重要なプレーヤーであるが、より不安定な存在であるのは、コーカサスにおけるトルコの接続構想を優先に考えているためである。

 INSTCのネットワークは、パキスタンとの相互接続も進んでいる。つまり、BRIの重要な拠点である中国=パキスタン経済回廊(CPEC)が、ゆっくりとだが確実にアフガニスタンまで拡大しているのである。王毅外相が先週末にカブールを事前準備なしで訪問したのは、アフガニスタンを「新シルクロード」へ編入することを進めるためだった。

 こうしたことのすべてが起きている最中、モスクワ(ロシア)は、ニューデリー(インド)と極めて親しい関係にあるのだが、同時にイスラマバード(パキスタン)との貿易関係を拡大している。この3国は、いずれも上海協力機構(SCO)のメンバーであることが重要だ。

 つまり、ロシア本土からコーカサス(アゼルバイジャン)、西アジア(イラン)、南アジア(インド、パキスタン)へと流れるようにつながる南北のグランドデザインが描かれているのである。これらの主要なプレーヤーは、米国からの圧力にもかかわらず、ロシアを悪者扱いしたり、制裁を加えたりしていない。

 戦略的には、これはロシアの多極化コンセプトである大ユーラシア・パートナーシップを貿易と接続性の面で実現したものであり、BRIと並行して補完するものである。なぜなら、インドは、エネルギーを購入するためのルピー・ルーブル・メカニズムを導入しようとすることを熱望しており、この場合、ロシアのパートナーは絶対不可欠なものだからである。これは、中国がイランと結んだ4000億ドルとされる戦略的取引に匹敵する。実際、大ユーラシア・パートナーシップは、ロシア、イラン、パキスタン、インド間の接続をより円滑にするものである。

 一方、NATOの世界では、この提携の複雑さを認識することさえ頭が変だから不可能である。その意味合いの分析は言うまでもなくできないことだ。BRI、INTSC、大ユーラシア・パートナーシップの連動は、ワシントン・ベルトウェイ(ワシントンのお歴々)には忌み嫌われている概念である。

 もちろん、これらすべては、地政学的な変化をもたらす時点、つまりロシアが今週木曜日(4月1日)から「非友好的」な国からのガス代金をルーブル建てでしか受け付けないという時点で計画されたものである。

 大ユーラシア・パートナーシップと並行して、BRIは2013年に発足して以来、金融・経済、接続性、物理的インフラ構築、経済・貿易回廊など、複雑で統合されたユーラシアのパートナーシップのネットワークを徐々に構築している。BRIは、グローバル・ガバナンスの規範的基盤を含む制度の共同形成者としての役割も重要であり、NATO同盟の落胆は大きい。

脱西欧の時

 しかし今こそ、特にグローバルサウスは、ユーラシア圏における中露の全領域を視野に入れ始めるだろう。モスクワと北京は、グローバリズムのガバナンスを完全に打ち砕くまではいかないまでも、脱西欧化の共同推進に深く関与している。

 ロシアは今後さらに入念な制度構築を進めるであろう。つまり、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海協力機構(SCO)、ポスト(旧)ソ連諸国によるユーラシア軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)を統合するのだ。ロシアと西側諸国との制度的・規範的分裂が不可逆的に進行している地政学的背景の中にあるからだ。

 同時に、大ユーラシア・パートナーシップは、ロシアを究極のユーラシアの架け橋として確固たるものにし、属国化したヨーロッパさえ無視しかねないユーラシア全域の共通空間を作り出すだろう。

 一方、現実の世界では、INSTCと同様に、BRIも黒海にますます接続されることになるだろう(マリウポリよ、こんにちは)。また、BRI自体も再評価される可能性すらある。中国西部を、西ヨーロッパの縮小する産業基盤へと結びつけることを重視するからである。

 北のBRI回廊、つまりシベリア鉄道を経由した中国=モンゴル=ロシア、およびカザフスタン経由のユーラシア大陸架橋、この二つだけを優遇する意味はないだろう。ヨーロッパが中世的な認知症に陥っているときに。

 BRIの新たな焦点は、かけがえのない商品、つまりロシアへのアクセスを獲得することと、中国の生産に不可欠な物資を確保することである。カザフスタンやアフリカの多くの国々のような一次産品の豊かな国々は、中国にとって将来の最重要市場となるであろう。

 コロナ以前の中央アジアを巡る旅では、「中国は工場や高速鉄道を建設し、ヨーロッパはせいぜい白書を書くだけだ」という話を常に耳にした。ヨーロッパは白書を書くのがせいぜいで、もっと悪くなることもある。

 アメリカの領土として占領されたEUは、今や世界の権力の中心から、取るに足らない周辺プレイヤー、つまり、中国の「運命共同体」のはるか周辺にある単なる苦闘する市場の地位にまで、急速に下降しているのである。

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