今日核戦争の脅威は現実の問題である:「ソ連を地図から抹消しろ!」 204個の原爆を66の主要都市へ!米ソが同盟国であった第二次世界大戦中に計画された米国の対ソ核攻撃
204個の原爆を66の主要都市へ!米ソが同盟国であった第二次世界大戦中に計画された米国の対ソ核攻撃
<記事原文 寺島先生推薦>
Today the Threat of Nuclear War is Real: “Wipe the Soviet Union Off the Map”, 204 Atomic Bombs against 66 Major Cities, US Nuclear Attack against USSR Planned During World War II
When America and the Soviet Union Were Allies
2022年2月27日
Global Research
ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)教授
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年4月8日
初出:2017年11月4日

***
著者のメモ(と更新)
世界は危険な岐路に立っている。核戦争の危険は現実的だ。
最近の動きとしては、プーチン大統領が「NATO高官による "敵対的 "な暴言に対して、ロシアの核抑止力に最高レベルの警戒態勢をとるよう命じた」ことが挙げられる
核戦争は人類の未来を脅かしている。シナリオはもはや仮定ではない。第三次世界大戦の脅威は現実の問題になっている。

イラク、シリア、イエメンなど、現在の戦争による人命の損失と破壊は概念的に理解できても、「新しい技術」と高度な兵器を使った第三次世界大戦による惨状は、それが発生し現実となるまで完全に理解することは不可能であろう。米政権は、世界平和の名の下に先制的な核戦争を容認している。「世界をより安全にする」ことが、核兵器によるホロコーストを引き起こす可能性のある軍事作戦を開始する大義となっている。
小型核は「周囲の市民には無害」と言われている。ジョージ・W・ブッシュ政権以降、先制核戦争は「人道的事業」として描かれるようになった。
2017年に初出の以下の記事は、冷戦の歴史に疑問を投げかけるものだ。最近の動きとも関係がある。
米国のロシアに対する核の脅威作戦は、冷戦以前からあった。
(核の脅威作戦は)第二次世界大戦のさなか、米ソの同盟国であったマンハッタン計画のもとで初めて策定された。
ソ連の66都市を爆撃する秘密計画は、日本が正式に降伏した2週間後の1945年9月中旬に出された
もしアメリカが、ソ連に対抗するための核兵器を開発しないと決めていれば、核軍拡競争は起こらなかっただろう。
ソ連も中華人民共和国も、ソ連を消滅させることを目的としたマンハッタン計画がなければ、アメリカに対する「抑止力」として核戦力を開発することはなかっただろう。
2022年に早送り
ジョー・バイデン大統領は、核戦争がどのような結果をもたらすかについて、まったく理解していない。
バイデン政権は、オバマ政権下で最初に開始されたペンタゴンの1兆3000億ドルの核兵器計画を含め、兵器産業を大きくするために、巨額の資金を割り当てている。
人類は今、危険な岐路に立たされている。核戦争は数十億ドル規模の事業となり、米国の防衛請負業者の懐を潤している。問題になっているのは、まさに「核戦争の民営化」である。
ロシアに対する核兵器の使用は、現在ペンタゴンの計画策定中である。US-NATOの戦争ゲームはロシアの玄関先で行われている。ロシアへの先制核攻撃は排除されていない。
フィデル・カストロ(Fidel Castro)2010年10月15日の言葉:
「核戦争 の "付随損害 "は、全人類の死滅となるだろう。核兵器も通常兵器も、戦争に使われるものはすべて消滅させなければならないと宣言する勇気を持とう!」 (フィデル・カストロ・ルース(Fidel Castro Ruz)、2010年10月、筆者との対話)
最近の出来事との関連で、次のような所見を述べる。ロシアとソ連に対する核戦争の使用は、1945年9月以来、ペンタゴンの計画にあった。(以下の記事参照)
***
今日、軍事的エスカレーションの危険性は筆舌に尽くしがたいものがある。
今、ウクライナで起きていることは、地政学的に重大な意味を持つ。第三次世界大戦のシナリオにつながる可能性がある。
エスカレーションを防ぐという観点から、和平プロセスを開始することが重要である
グローバル・リサーチ社はロシアのウクライナ侵攻を非難する。
二国間の平和協定が必要だ。
ミシェル・チョスドフスキー、グローバル・リサーチ社、2022年2月27日
***
「ソ連を地図から抹消しろ!」204個の原爆を66の主要都市へ!米ソが同盟国であった第二次世界大戦中に計画された米国の対ソ連核攻撃
1945年9月15日付の秘密文書(機密解除済み)によると、「ペンタゴンは、ソ連を吹き飛ばすことを想定していた、主要都市部に対する核攻撃で。」
ソ連の主要都市はすべて、66の「戦略的」目標リストに含まれていた。下の表は、各都市の面積(平方マイル)と、その住民を全滅させるのに必要な原爆の数を分類したものである。
モスクワ、レニングラード、タシケント、キエフ、ハリコフ、オデッサといった大都市をそれぞれ破壊するために、6個の原爆が使われる予定であった。
国防総省は、「ソ連を地図から消す」ために必要な原爆を合計204個と見積もっていた。核攻撃の標的は66の主要都市であった。
この作戦を実行するために必要な「最適」な原爆の数は466個であった(下記資料参照)。
広島に投下された1発の原爆は、最初の7秒間で10万人を即死させた。想像してみてほしい、もし、第二次世界大戦中に米国が秘密裏に立てた計画に従って、204個の原子爆弾がソ連の主要都市に投下されていたらどうなっていたか。

1945年8月6日原爆攻撃された広島
広島と長崎への原爆投下(1945年8月6日と9日)からわずか1ヵ月後、冷戦勃発(1947年)の2年前の1945年9月に、この極悪非道な軍事計画をまとめた文書が出されたのである
動画
本記事が初めて発表されたのは2017年。YouTubeは最近、South Front*が制作した短編動画の削除を決定した。この動画は本記事で引用された機密解除文書を大きな拠り所としている。これは検閲行為であり、冷戦史の理解にいろいろな影響を与えるものだ。
South Front*・・・モスクワで登録された多言語情報サイト。「すべてがロシア寄り」だと、西側の評判は悪い。
しかし、1945年9月15日の日付があるこの秘密計画(9月2日、USSミズーリ号-下の写真-上での日本降伏の2週間後)は、それ以前、つまり第二次世界大戦の真っ只中、米ソが親密な同盟関係にあった時期に策定されたものであった。

スターリンが、1945年7月24日のポツダム会談で、悪名高いマンハッタン計画についてハリー・トルーマン(Harry Truman)から公式ルートで初めて知らされたことは、注目に値する。広島が攻撃されるまで2週間もなかった。
マンハッタン計画は、アメリカが第二次世界大戦に参戦する1941年12月の2年前、1939年に開始された。クレムリンは、1942年にはすでにマンハッタン極秘プロジェクトの存在を完全に把握していた
1945年8月の広島と長崎の攻撃は、ペンタゴンが204個以上の原爆からなるはるかに大規模なソ連への攻撃の実行可能性を評価するために利用されたのだろうか?ソ連の66都市を爆撃(1945年9月15日)するための重要な文書は、広島と長崎の爆撃(1945年8月6、9日)の5-6週間後に最終決定された。
「1945年9月15日、つまり日本が正式に降伏し、第二次世界大戦が終結してから2週間も経っていない日に、ノースタッド*はこの見積書のコピーを、レスリー・グローブス(Leslie Groves)将軍に送付した。将軍はまだマンハッタン計画の責任者であり、任期はもう長くはないが、アメリカ空軍が欲しがればどんな爆弾でも製造する立場にいた。言うまでもないが、この文書の機密度は高く、「最高機密限定」であり、これは第二次世界大戦中の最高機密とほぼ同じであった。(アレックス・ウェラースタインAlex Wellerstein、最初の原子爆弾の備蓄要件(1945年9月)
ノースタッド*・・・Lauris Norstad。 広島、長崎への原爆投下作戦の中心にいた空軍少将。
クレムリンは、1945年のソ連66都市への空爆計画を知っていた。
これらの文書を見れば、米国がソ連に対する「大量虐殺の計画」に関与していたことがわかる。
「本題に入ろう。手持ちの核分裂性物質が1個か2個分しかないのに、米空軍は原爆将軍であるレスリー・グローブスに何個の爆弾を要求したのだろうか。最低でも123個は必要であった。理想を言えば466個だ。こんなやりとりがあったが、広島・長崎への原爆投下から1カ月ちょっとしか時が経過していない時のことだ。
もちろん、そこは官僚、便利な表を用意してくれている(Alex Wellerstein, 前掲文書)。」

http://blog.nuclearsecrecy.com/wp-content/uploads/2012/05/1945-Atomic-Bomb-Production.pdf






核軍拡競争
1947年に公式に始まった冷戦を理解する上で、1945年9月にワシントンが策定した66都市殲滅空爆計画は、核軍拡競争の引き金となる重要な役割を担っている
ソ連は、1942年のソ連情報部によるマンハッタン計画の報告を受けて、脅威を感じ、1949年に独自の原子爆弾を開発した。
クレムリンは、ソ連を「一掃」するこれらの計画について知っていたが、1945年9月の文書はもちろん機密であったため、広く一般には知らされていなかった。
今日、1945年9月のソ連邦爆破計画も、核軍拡競争の根本原因も、認識されていない。欧米のメディアは、冷戦時代の米ソ対立に焦点を大きく当てている。第二次世界大戦にさかのぼるソ連邦消滅計画や悪名高いマンハッタン計画には触れない。
ワシントンの冷戦期の核計画は、常にいわゆるソ連の脅威に対応するために提示されているが、実際には、1945年9月に発表された米国のソ連一掃計画(第二次世界大戦の真っ只中に策定)が、モスクワに核兵器能力を開発させる動機となったのである。
原子力科学者会報の評価は、1945年9月、ソ連の主要66都市を204発の核爆弾で狙うという米国の秘密計画が発出されてから4年後の1949年に核軍拡競争を開始したソ連を非難したが、それは誤りだ。その誤った非難は今も続いている。
「1949年: ソ連は否定しているが、秋にトルーマン大統領は、ソ連が最初の核実験を行い、軍拡競争が正式に始まったとアメリカ国民に伝えている。私たちは、アメリカ人に「終末の日が近い」「今から1ヶ月後、1年後に原爆が頭上に落ちてくる」と忠告しているわけではない。しかし、我々はアメリカ人が深く憂慮し、重大な決断をする理由があると考える。」(終末時計の年表、Bulletin of Atomic Scientists、2017年)
重要:もしアメリカが、ソ連に対抗するための核兵器を開発しないと決めていれば、核軍拡競争は起こらなかっただろう。
ソ連も中華人民共和国も、ソ連を消滅させる計画をすでに立てていたアメリカに対する「抑止力」の手段として、核戦力を開発することはなかっただろう。
第二次世界大戦でソ連は2600万人の犠牲者を出した。
冷戦時代の標的1200都市リスト:
この1945年当初の66都市のリストは、冷戦の過程(1956年)で更新され、ソ連と東欧のソ連圏諸国の約1200都市が含まれている(下記の機密解除文書を参照)。使用予定の爆弾は、広島・長崎に投下されたものよりも爆発力が強力であった。

出典:アメリカ国家安全保障アーカイブ
「1956年の計画では、水爆はソ連、中国、東欧の優先的な「航空戦力」目標に対して使用されることになっていた。東ベルリンを含むソ連圏の主要都市は、原爆投下による「組織的破壊」の最優先事項であった。 (ウィリアム・バー『米冷戦期の核攻撃目標リスト ソ連圏1200都市「東ドイツから中国まで」』ナショナル・セキュリティ・アーカイブ電子ブリーフィング・ブックNo.538、2015年12月号

出典:アメリカ国家安全保障アーカイブ
ワシントンD.C.、2015年12月22日 - 1956年6月に作成され、今日初めて国家安全保障アーカイブ www.nsarchive.org によって公開されたSAC [Strategic Air Command] Atomic Weapons Requirements Study for 1959は、これまでに機密解除された核標的および標的システムの最も包括的かつ詳細なリストである。知る得る限り、冷戦の歴史のどの時代においても、同等の文書が機密解除されたことはない。
SACの調査には、恐ろしい内容が含まれている。その著者(複数)によると、目標の優先順位と核爆弾の戦術は、近くの民間人と「友好的な軍隊と人々」を高レベルの致命的な放射性降下物にさらすものであった。 さらに、著者(複数)はソ連圏の都市・産業目標を「組織的に破壊」する計画を立て、北京、モスクワ、レニングラード、東ベルリン、ワルシャワなどすべての都市で「住民」を具体的かつ明確にターゲットにしている。 このように意図的に民間人を標的にすることは、人そのものへの攻撃(近くに民間人がいる軍事施設とは異なる)を禁止する当時の国際規範に直接抵触する。国家安全保障アーカイブ電子ブリーフィングブック第538号、2015年12月。
標的にされた都市一覧

核攻撃のターゲットとされた1200都市の抜粋(アルファベット順)・・・前掲アメリカ国家安全保障アーカイブ
冷戦から今日まで
冷戦時代以降、ロシア、中国、北朝鮮、イランに向けた核戦争は「検討中」である。
1962年10月の「キューバ危機」と今日の現実の違いは何か?:
1. 今日の大統領ジョー・バイデンは、核戦争がもたらす結果について、まったく理解していない。
2、今日、ホワイトハウスとクレムリン間の意思疎通の回路はかつてないほど細い。対照的に、1962年10月、ジョン・F・ケネディとニキータ・S・フルシチョフという双方の指導者は、核兵器による全滅の危険性をはっきりと承知していた。彼らは、考えられないことを避けるために協力したのだ。
3. 冷戦時代の核ドクトリンは(今日とは)全く異なるものであった。ワシントンもモスクワも、相互確証破壊の現実を理解していた。今日、広島原爆の3分の1から6倍の爆発(威力)を持つ戦術核兵器は、国防総省によって「爆発は地下で起きるので民間人には無害」と分類されている。
4. オバマ政権下で打ち出された1兆ドルを超える核兵器計画が進行中である。
5. 今日の熱核爆弾は、広島の原爆の100倍以上の威力と破壊力を持っている。アメリカもロシアも数千発の核兵器を配備している
さらに、中国との全面戦争は、米国防総省が現在策定中で、米陸軍の委託を受けたランド社の報告書に概要が示されている。


狂気の米国外交政策
米国の政治的狂気には、長い歴史がある。それは米国の人道に対する犯罪に人間的な顔の仮面を被らせるものだ。

1945年8月9日、長崎に2発目の原爆が投下された日、トルーマン大統領(画像上)は、アメリカ国民に向けたラジオ演説で、核兵器の使用に関して、神はアメリカの味方であると結論づけ、次のようにも語った:
「神の方法と目的のために、それ(原爆)を使うよう、私たちを導いてくださいますように。」
トルーマンによれば、神は我々と共におられる。原爆を使うかどうか、いつ使うかは神がお決めになる:
[私たちは]、この爆弾を将来コントロールするための計画を準備しなければなりません。私は、この爆弾の製造と使用が管理され、その力が世界平和に向けた圧倒的な影響力となるよう、議会に対し最後まで協力されんことを要請します。
私たちは、この新しい力の管理人となり、その悪用を防ぎ、人類への奉仕の道筋をつけなければならないのです。
それは、私たちに課せられた途方もなく大きな責任です。
私たちは、それ(核兵器)が敵ではなく、私たちのもとに来たことを神に感謝し、神の方法と目的のためにそれ(核兵器)を使うように、神が私たちを導かれんことを祈ります」(強調は筆者)
The original source of this article is Global Research
Copyright © Prof Michel Chossudovsky, Global Research, 2022
- 関連記事
-
- 英国諜報員のウクライナ危機への関与:偽旗攻撃の前兆 (2022/04/05)
- インドはロシアや西側との関係からウクライナ危機をどうとらえているか? (2022/04/01)
- プーチンはロシアを救うために目を覚ますことができるか? そうでなければ、壊滅的な戦争を意味する (2022/04/01)
- まともな米国外交を復活させるには遅すぎるのか?――モンロー・ドクトリンのルーツに迫る (2022/04/01)
- ウクライナは1999年のNATOによるユーゴスラビア攻撃の第二幕である-クストリッツァ監督 (2022/04/01)
- ロシアは一流の軍隊を持つが、他のあらゆる面で無能である (2022/04/01)
- ビガノ大司教が語るゼレンスキー政権の正体:ユダヤ人大統領がネオナチと手を組む不思議 (2022/04/01)
- 今日核戦争の脅威は現実の問題である:「ソ連を地図から抹消しろ!」 204個の原爆を66の主要都市へ!米ソが同盟国であった第二次世界大戦中に計画された米国の対ソ核攻撃 (2022/03/31)
- オレナ・セメニャカとは何者か?:アゾフ大隊を操り、欧州を牛耳る女 (2022/03/30)
- これは危険だ。ウクライナ大統領は親露メディアを禁止 (2022/03/30)
- 動画。「マリウポリの現状を語るニコライさん」。市民たちがネオナチのアゾフ連隊が犯した罪を告発 (2022/03/28)
- マリウポリの劇場爆破は、ウクライナのアゾフ過激派がNATOの介入誘導のために仕組んだのか? (2022/03/28)
- いま何が起きているのか―ドルを破壊する経済制裁、女装して逃げるウクライナ軍 (2022/03/27)
- 西側諸国がプーチンを嫌う理由 (2022/03/27)
- 「突然の、コロナ危機終結」VS「突然の、ウクライナ戦争勃発」 (2022/03/26)