プーチンを「厄介者のウラジーミル」にしておけば 、「悪質な外敵」を求める米国軍産共同体にはおあつらえ向き
<記事原文 寺島先生推薦>
“Vladimir the Terrible” Fits the Needs of the U.S. Military-Industrial Complex for an “Evil Foreign Enemy”But the Real Putin Is Well-Regarded by Many Russians for Standing Up to U.S. Imperialism and Reviving the Russian Economy
Global Research 2021年11月29日
ダニー・ショー(Danny Shaw)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月20日

プーチンが脅威であると考えている理由は、プーチンがロシアの主権を取り戻し、ボリス・エリツィン時代の屈辱を消し去り、ロシアの国家利益を擁護したからだ。しかしそのような行為は、米国の支配者層には耐え難いことだった。
米国の軍産複合体が敵を欲するのは、肺が酸素を欲するのと同じことだ。敵がなければ、作り出さずにはおれないのだ。
ソ連が崩壊した際、国防総省の政策立案者たちは新しい悪の標的を見つけ出さなければならなくなった。そうしないと7780億ドルというとんでもない額の軍事予算を正当化できなくなったからだ。もちろんその軍事予算は、米国経済に壊滅的な悪影響を及ぼすことになっているのだが。パナマのマニュエル・ノリエガ(長年CIAに利用されてきた人物だったのだが)を「米国に脅威をもたらすであろう」狂犬扱いにするようなプロパガンダを広めることで、1989年のパナマ侵攻を正当化しようとしたことも、その一例だ。
あるいはCIAに利用されていた他の人物たち、例えばサダム・フセインや、ウサーマ・ビン・ラーディンも、米国民主主義の脅威であるように描かれ、アフガニスタン侵攻や、イラク侵攻を正当化するために利用され、数え切れないくらいのアフガニスタンやイラク国民の命を奪った。さらに言うまでもないことだが、何千もの無垢な米国軍人たちが、弾除けにされ、命を奪われてしまった。これもその一例だ。
しかしそのような敵がいなくなれば、すぐに新たな敵が必要となった。その時タイミングよく、1999年に強い主権国家としてのロシアが再興し、敵にとって新たなまたとない候補が登場したのだ。そしてその新生ロシアが、新しい冷戦の火蓋を切る完全な口実になった。その新冷戦が、新型兵器導入の口実に使われて、かつてないほど大規模な軍事支出が正当化された。それは軍産複合体がホワイトハウスの政治家たちや、国会議員を買収して要求し続けてきたことだった。
壊滅国家から主権国家に再生したことにより、ロシアは最も新しい「米国民主主義の敵」となった 1990年代というのは、ロシアにとって屈辱の時代だった。西側からのいいなりで、堕落し、アル中だったボリス・エリツィン大統領のもと、ロシアは事実上西側帝国主義勢力の新たな植民地と化していた。しかし
1999年にエリツィンが退陣し、後継者であるウラジーミル・プーチン副大統領が後を継いだ(翌年2000年に正式に大統領に選出された)とき、新時代の幕開けの兆候が見えたのだ。それはロシアと西側諸国との関係において、新時代の幕開けでもあった。
メディアの見出しや印象操作的な報道では常にロシア(中国、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなど米国帝国主義による権力統制の外側にあえて存在している国々も同様だが)は、「我々の」国家安全保障上危険な外敵というように描かれてきた。しかし、米国民たちはロシアという国の社会や外交政策について、真に理解しているのだろうか?
ロシア連邦の特性は、正しくはどこにあるのだろうか?なぜバイデン政権は、ロシアに対して新しい制裁措置を取り続けたり、外交官を
追放したりし続けているのだろうか?「ロシア嫌い」という国家宗教を新たにしつらえ直した背後に何があるのか?これらの疑問に対する言及から、この記事を書き始めよう。
誇り高く、力強いロシアの再興 現在、ロシアは資本主義社会において中庸の地位を占めている。GDP順でいえば11位で、10位の韓国と、12位のブラジルの間に位置している。一方
米国は、ロシアの20倍の生産能力を有している。これが、西欧諸国の力に屈してきた屈辱の4分の1世紀を耐えた後で、自国の利益を主張しようとしているロシアの現実だ。
オリガルヒ(新興財閥)と資本家が、今日のロシア
経済1兆4600億ドルの中心にいる。ロシアとロシアの複数の小隣国との関係を悪化させてきた社会主義体制は、資本家たちの利益に取って代わられた。そしてロシアの国家的な排外主義がいま広まっている。
ウラジミール・プーチンは、ロシアのブルジョアの国家主義的な部分の代表となっている。
ボリス・エリツィンや、その仲間たちとのプーチンの大きな違いは、プーチンの主目的は、国際社会において、強く、誇り高きロシアを再興させることにある。元KGBの工作員であり、敵を暗殺し、ソ連時代をほうふつとさせる強硬な手法をとることで、批判を受けてきたプーチンだが、それでも自身の出身地での評判は、前任者と比してすこぶる良い。
2000年の就任式でのプーチンとエリツィン この20年間、プーチン政権が外交政策の主目的に置いてきたのは、地政学上、息継ぎ的な時期を作り出すことによって、ロシアが以前の国力を挽回し、国際政治における主要な地位を取り戻し、西側諸国に追いつけることができるようにすることだった。
ジョージ・ワシントン大学の欧州・ロシア・ユーラシア研究所長
マレーネ・ラリュエル(Marlene Laruelle)の説明によれば、プーチンやロシアに、「ファシスト」や、「専制政治」というレッテルを貼ることは、学術的理由ではなく、ロシアに対する信頼を失墜させようという政治的な意図にある、とのことだ。そうすることにより人口1億4400万人のロシアという国を、国際社会において一目置かれる存在にしなくてすむからだ。
ニコライ・N・ペトロ教授(米国ロードアイランド大学の平和と非暴力学の代表であるシルビア・チャンドリー教授)も同様の
見解を示し、プーチンの指揮のもと、多くの良い改革が進んでいると指摘し、ロシアの犯罪者に対する裁判制度を劇的に変えたこともその一例だとしている。
これらの研究者たちからは、プーチンは好評だ。それはプーチンが支配者層や、オリガルヒや、公務員たちなどロシア社会の強力な勢力にある程度の安定を保証したからだ。さらに多くの一般のロシア国民たちも、エリツィン時代の経済崩壊を覚えていて、それ以降起こった経済の好転をプーチンと結びつけて考えている。もちろんある程度の困難はまだ残存してはいるのだが。
1992年ロストフ・ナ・ドンの蚤の市で ラリュエルの論文の結論によれば、ロシア国家は無数のイデオロギーの吹き溜まりになっている、とのことだ。具体的には、社会保守主義や、ソ連時代への郷愁、リベラル、ロシア正教会、ロシア国家主義だ。ラリュエルは自身の著書『ロシアはファシストか?西側や、東側諸国のプロパガンダの謎解き』において、以下のように説明している。「包括的なイデオロギーの流れをひとつあげるとすれば、それは脱リベラル主義でしょう。リベラル主義 [資本主義、帝国主義、西側覇権主義といった言葉をラリュエルは著書の中で決して使用していないが]は今や「時代遅れ」で、「本来の目的から外れている」と否定されています。そのことについては2019年にプーチンが宣言していました。国家主権を取り戻そうというイデオロギーへの回帰が今の潮流です。つまり国家や、経済や、文化・道徳に関する主権を取り戻そうという流れです」。[1]
プーチン勝利による揺り戻し ソ連の平等主義や社会や経済において保障されていた国民の権利、さらには歴史上最も強力な米国という帝国と地政学上で対等に渡り合ってきたことに長年慣れ親しんできた人々にとっては、ロシアが西側諸国の従属国に戻ってしまった1990年代という時代には、ショックを受けたであろう。
フランスの経済学者トーマス・ピケティ(Thomas Piketty)の
研究が示したところによると、所得の不平等や、ロシアが「オリガルヒが公共資産を大量に横領するような社会」にまで落ち込んでしまっていたことがわかる。[2]。国の資産が最高値で売りさばかれる中、1991年~1995年に実施された民営化バウチャー方式(訳注:国営企業が株式会社に変異するに伴って、政府は国民に民営化された企業の株式と交換できるバウチャー(民営化証券)を配布した方式のこと)を実施したため、富が億万長者たちの手に集中した。IMFや世界銀行の西側の助言者達は金融体制を監視し、相続税や累進税を導入することには完全に反対していた。
共産主義後のロシアでは、国民全員に対して同じ税率が課された。果物の売り子であろうが、ガス会社の大物であろうが関係なく、一律13%だったのだ。タックスヘイブン下での企業の横行のため、必要な多くの社会資本が奪われることも普通だった。ピケッティの著書『資本とイデオロギー』の結論によると、ロシアの経済の枠組みは、レーガンやサッチャーの手中におかれ、西側が超資本主義を試す実験台にされていた。
だからこそエリツィン大統領が、西側諸国から寵愛されていたのだ。エリツィンはタイム誌の表紙を何回も飾ったが、型にはまらず、革命的で、ビル・クリントンの同士という描かれ方だった。
ロシアの専門家ジェレミー・クズマロフ(Jeremy Kuzmarov)は、エリツィンとプーチンの指導力の決定的な違いについて
こう記している。
「プーチンが誹謗中傷を受けている主な原因は、プーチンが前任のボリス・エリツィンと比べてより国家的な政策を推進しているからだ。エリツィンは、ショック療法士たち(ハーバード大学の助言者たち)にロシアを明け渡していた。そして、その助言者たちはよく練られていないままで民営化を進めようとしていたのだ。その結果記録的な貧困と崩壊を1990年代のロシアにもたらすことになったのだ。1500億ドル以上の資産がたった6年でロシアからなくなってしまった。その大部分は西側や外国の銀行に貯蓄された。飢えを凌ぐためになすすべもなく、ロシアは民営化バウチャーを売りさばいた。ロシアが借金のせいで破産し、ルーブルが価値を失ったとき、何百万人もの人が貯金を失い、男性の平均寿命は7歳縮まった。」[3]
民営化バウチャーなぜプーチンは人気があるのか? ドイツの世論調査会社によると、プーチンに対する支持率はずっと
75%以上を維持しているとのことだ。その理由は、その調査結果にも書かれているのだが、ロシア経済が1990年代の低迷を乗り越え、プーチン政権下において劇的に改善したことだ。そしてロシアが世界の地政学における存在価値を取り戻したことだ。

西側の支配者層が、プーチンに対して持っている怒りを理解するには、ロシアの昨今の歴史を振り返る必要がある。「帝国のファイル」という番組の「ソ連後のロシア。米国の植民地から第一敵国への変遷」というタイトルの長編のインタビューにおいて、マーク・エーメズ(Mark Ames)記者がその基盤を
提示してくれている。具体的には、なぜプーチンの指導力が或る勢力にとって、耐えられなくなっているかだ。その勢力とは、世界で最も戦略的に重要で、裕福な地域にあるロシアの支配者になるつもりにしていた勢力のことだ。
エーメズは、エリツィン時代にも、プーチン時代にもロシアで暮らしていた。エーメズが語ったのは、ロシア社会が感じている心の傷についてだった。地球上で最も平等だった国が、ほぼ一夜にして世界で最も金権に支配される国になってしまったのだから。世界で最も豊富な天然ガス資源を持つ国の一つであり、世界の四分の一のニッケル埋蔵量を持つ国が、オークションにかけられ、売りさばかれたのだから。
1998年に、ロシアの株式市場は95%下落し、ルーブルが貨幣価値を失い、食糧不足が発生し、国は崩壊し、教員には給料が支払われず、ロシアの3分の1が自給自足農民に戻ってしまった。1990年代の終盤には、西側メディアが西側諸国の新植民地であるロシアを褒めちぎる中、ロシア国民は実験台にされることにあきあきしていた。エーメズの視点では、1999年に起こったユーゴスラビア/セルビア軍を標的にした米国のコソボ単独爆撃にロシアが同盟国として関わったことが、ロシア人の堪忍袋の最後の緒だった、とのことだ。この事件が国家主義的な感傷につながったのだ。「共産主義は正しかった。(次にまな板にのせられるのは)俺たちの番だ」という感傷だ。
クズマロフの著書『米国にとっての新しい戦場:ロシア制裁と新しい冷戦』を
読めば、プーチンの指導力が一般のロシア国民にとってどんな意味があるのかがよく分かる。
「有名なロシアの作家であるアレクサンダー・ソルジェニーツィン(Александр Солженицын)はこう語っている。「プーチンが引き継いだのは、ぐちゃぐちゃにされ、混乱した状態のロシアだった。プーチンはできることからまず手をつけた。それは緩慢で、段階的な復興という方法だった。」
「プーチンがこの目的を成し遂げられた理由のひとつは、オリガルヒに税金を支払うことを命じたことだ。その方法は、エリツィン政権時に、エクソン社などの西側石油会社に買い取られていた天然ガス産業や石油資金に対して以前のように国が圧力をかけられるようにしたことだ。さらに、インフラや、生活水準を改善するような政策を採ったことにより、汚職や犯罪の減少につながったことだ。それに伴い、インフレや失業率や貧困率が低下し、給料は改善し、10倍の経済発展を成し遂げた。プーチンは、ロシア国家が抱えていた借金を減らし、ロシアの富の海外への流出を止め、年給制度の改善にも成功した。」[4]
1世紀前のボルシェビキと同様に、世界の巨人に対して、負け犬が立ち上がったのだ。
追い詰められたロシア国民たちは別の方法を模索していた。このことがプーチンの台頭の原動力となった。プーチンは酒飲みではなかった。プーチンはまじめだった。さらに、元KGBの諜報員だった。
米国単極支配への挑戦 オバマ政権の財務長官であったジャック・ルー(Jack Lew)は経済制裁についてこう語っていた。「米国にとっての新しい戦場であり、私たちを害しようとしているもの達に対して、軍を送らずに害を与えられる方法です。」
『制裁に対するロシアの反応。西側経済の国政術によりロシアの政治と経済の再構築が進んでいる』という著書において、バーミンガム大学のリチャード・コノリー(Richard Connolly)教授が評価していたのは、ロシア政府は、米国が敵対している中国や、イランや、ベネズエラとの交易を増やすことで、世界の多極化を構築しようとしている点についてだった。
10月15日、ロシアとベネズエラの代表者が「第15回政府間会議及び第2回ビジネスフォーラム」
に集まり、そこで各戦略部門における協力を維持することに同意した。具体的には農業や、漁業や、文化部門などだ。米国がイランに対して軍・経済両面から攻撃を
加えたため、イランは、上海協力機構を通して中露両国に近づくことになった。このことは米国や、イスラエルや、アラブ首長国連邦のシンクタンクにとって警告となっている。
イランが見せたこのような新しい同盟を
作る動きにより、世界の独裁者たる米国の行為が狂気じみてきており、他国の外交官や貿易大使を投獄することまでしている。有名な例をあげると、米国からの支配を逃れ、迂回しようとしたアレックス・サーブ(Alex Saab、ベネズエラのマドゥロ大統領の同士であるコロンビアの商人)が逮捕された事件だ。米国が世界人口の4分の1の人々に対して越権的な行為を行い、
制裁を課すことにより、逆に対象国同士が貿易によりつながりを深めている現象が起きている。
ロシア左翼からの批判 プーチンがこれまでの経歴に闇の部分があることは間違いがない。そのため、ロシア国内の政敵から正当な批判を浴びている。
ロシア共産党のゲンナディー・アンドレエービッチ(Геннадий Андреевич)党首が批判しているのは、力によって反対意見を抑えようというやり方や、国家所有の企業を敵対的買収(買収対象となる企業の経営陣や筆頭株主の合意を事前に得ることなく、株式公開買付を実施すること)していることや、「非情で激しい年金制度の再建」の手法をとっていることだ。ロシア共産党は、アレクセイ・ナワリヌイのサイトを封じ、ナワリヌイからの反論を制限したことを
批判している。
このような見方からすれば、ロシア議会内の他の主要4政党は、政権与党である統一ロシア党に忠実であり、その党が反対の姿勢を見せたとしても、それは統制されたものに過ぎず、ロシアの民主主義は見掛け倒しでしかない、ということになる。
「立場を維持する」というユーチューブチャンネルは、ロシアの共産主義者バシリー・エレメイェフ(Васи́лий Еремейев )が運営している。エレメイェフはソ連時代には議会議員を選ぶ際には、民主主義に則り正当な手続がとられていたのに、今は国会議員の席は資本主義のもとお金で買えることになったことを
対照的に指摘している。 さらにこのユーチューブチャンネルでは、医療や教育の民営化や、オリガルヒに対する課税の少なさを批判している。 今日のロシア国内の不平等の状況は、米国よりもひどい。
Russia Today (RT)について 以前Russia Todayという名前だったRTは、ロシア政府と民間メディア会社の合弁巨大メディアだ。スプートニク・ラジオ局や、いくつかの多言語版RTニュースや、メディアである「レッドフィッシュ・ドキュメンタリー」などのメディアや企画を傘下に収めている。RTのプロデューサーたちは、番組の司会者を選び、記事を編集し、ゲストを招く仕事を行っているが、イデオロギーをきちんと整理していなければ、様々なイデオロギーがごちゃ混ぜになり、混乱をきたすところだろう。
ロシアの若い革命家たちの指摘によれば、RT (Russia Today)と下部のメディア組織が帝国主義を批判する左翼のゲストや、左翼の取り組みを紹介することがあるのは、ロシア政府の本当のイデオロギーを隠すためだ、とのことだ。ロシア国家と民間企業の合弁会社であるRTが右翼のゲストを呼ぶことがあるのも、左翼のゲストを招くのと同じ意図があり、西側社会の矛盾を深く取り上げるためだ、とのことだ。リベラル系メディアや、主流メディアには呼ばれることのない左翼や右翼にも発言の機会を与えることによって、RTは西側社会の社会矛盾を強調しようという意図がある。RTが意識しているのは、いわゆる「二色同盟」であろう。つまり左翼と右翼が、グローバリズムの動きに反対するため手を取り合っている状況だ。
RT は移民問題や、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル(Viktor Orbán )首相や、フランスの右翼を支持する記事を頻繁に取り上げている。プーチンは自身が反進歩主義者であり、反ウォーク主義者(訳注:ウォーク主義とは、様々な差別の撤廃を強く求めている考え方を持つ人々)であることを自負している。プーチンは最近ソチで演説を行ったが、その演説の内容からは、プーチンは米国の白人至上主義や、女性蔑視や、同性愛者に対する差別の歴史については冷ややかに捉えていて、誤解していることが窺えた。プーチンの言動とトランプの言動に類似性があることがここでも分かる。
RTには、世界の諸勢力の力の均衡を保ち、権威が偏らないような働きがある。
タイム誌が出したRTの暴露記事がある。タイトルは、「プーチンの息のかかったメディアの内側で」だ。この記事で明らかにされている事実は、RTの読者数が何百万人という記録的な数字に上っており、BBCやVICEやABCなど、西側のグローバリストの代弁者である世界の主流メディアと肩を並べつつあるという事実だ。自誌や、西側メディアを投影するような形で、タイム誌はRTを「クレムリンの代弁者」だと報じている。
このようなタイム誌の報道は、CNNやニューヨーク・タイムズが激しく、しかもかなり大げさにロシアのことを悪く取り上げてきたことに続く一つの反応だと言える。CNNやニューヨーク・タイムズは、「ロシアが2016年の大統領選挙に介入し、トランプを大統領にする手助けをした」と主張してきた。このような批判から見れば、RTは外国の搾取に対して左派に反論の機会を提供しているふりをして、実のところは反リベラル体制を支え、ロシア国内の真の左翼に狙いを定め、破壊する意図があると言える。これはイラン国家が取っている立場と似ている。イラン国家は基本的には社会主義ではないのに、世界の反帝国主義勢力の主張と共鳴している。
さらにロシア国家の支配者層は、「白人至上主義」を再生させようとしている。さらには、ツァーリ制や君主制を信奉し、ボリシェビキや赤軍には反感を持つという動きも出ている。先述のラリュエルは、プーチンが(帝政ロシア時代の)白人将校たちや、亡命者たちに敬意を表していることを記述している。プーチンは(ナチス占領下で)敵国に協力したとされてきた人々の名誉回復に関して、映画や記念碑などの費用を出しているが、レーニンの遺体が眠る霊廟は2005年から「建築中」のまま置かれている。
2021年5月9日の第二次世界大戦戦勝記念行進で、これまで使われていたソ連旗がロシア旗に置き換えられた。さらにこれまではナチスを打ち破った英雄として「赤軍」や「ソ連国民」という言葉が使われてきたが、その表現が「私たちの先人たち」という曖昧な表現に変わった。ウクライナにおける右翼主導のクーデター先導者達との情報戦においては、ロシアの指導者たるプーチンは、その右翼のファシスト的要素を常に指摘してきた。目撃者が恐れているのは、反ウクライナ感情が、(ウクライナから分離独立した親露派の)ドネツク人民共和国や、ルハンスク人民共和国における、国を超えた動きと同調するのではないか、ということだ。
米国の支配者層の間にはロシアに対する見方に決定的な違いがある。プーチンは左翼ではなく、保守的な国家主義者であるので、メディアのフォックス社や、ブライトバート社や、ニュースマックス社は、プーチンを好意的に報じる傾向がある。
代替メディアは至る所に存在している。例えば「デモクラシー・ナウ」のようなメディアは大手メディアと呼応して、マーシャ・ゲッセン(Masha Gessen)のような反プーチン派のゲストを呼んでいる。バーニー・サンダース(Bernie Sanders)や、アレクサンドリア・オカシオーコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)や、マキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)などは、「進歩的な民主党員」とされているが、彼らもロシア嫌いを広めることに一役買っている。トランプも当初は、ロシアとの関係を深めようとしていたが、最終的にはロシアとの対抗的な姿勢を維持し、制裁を拡大し、中距離核戦略(INF)のような軍縮交渉は決裂に終わっている。トランプの当初の政策は、米国の真の支配者層からは受け入れがたいものであり、とうの前に、トランプは「大統領にふさわしくない」という烙印を押されていた。
RTに対してこのような真っ当な批判をもつことにより、ある重要な疑問が浮かび上がる。それは、「反帝国主義者であるなら、RTや、プレスTVやヒスパンTV(両者とも、RTにあたるイランのTV局)の報道をもとに、世界を正しく捉え、分析してもいいのだろうか?」という問いだ。さらに、「反帝国主義者であろうとするならば、これらのメディアを活用して、米国がホンジュラスや、ウクライナや、ハイチで犯している罪を暴露していいのだろうか?」という問いだ。この問いは、世界の帝国主義の中心地である米国における、急進的な世界改革を希求している勢力や、マルクス・レーニン主義を信奉する政党にとって、自身の立ち位置を確認するために、本当に興味深い問いだ。組織化は、純粋に同質な環境で発生するというよりは、常に矛盾や挫折を抱えながら前に進むものだ。 社会的・経済的矛盾を抱えてはいるが、ロシアを資本主義や、白人至上主義と闘う同士として見ることは可能なのだろうか?
ロシアは帝国主義なのか? ロシアは、非難を受けるべき多くのひどい行為を行ってきたかもしれないが、ロシアを帝国主義呼ばわりするのは、明らかにやり過ぎで、科学的ではない。
実は、ソ連崩壊以降25年間、ロシアが、米国が次々に引き起こした各国に対する戦争を止めようと動いたことはほとんどなかった。エリツィン政権下では、ロシア政府は完全に米国の従属国だった。2013年に新自由主義者によるウクライナ危機が起こるまでは、ロシア政府の願いは、ラテンアメリカや、中東や、アジアや、ロシア国境でロシアがアメリカを刺激しないことだった。その代わり米国に、ロシアが強国になることを許容してもらうことだった。実際、ロシアという戦略的敵国が不在だったため、米国主導の単極的世界秩序が幅をきかし、多くの死や破壊を生んできたのだ。
ロシアは2011年のリビアでのNATO/米国同盟軍の戦争においてどちらかといえば、受動的な態度を示したことで、西側の帝国主義者たちの手によって、それまで深い関係を結んできたリビアが空爆を受けることになった。そのことは批判されて当然だ。ロシアが国連のインチキ決議から距離を取ったことで、西側の同盟国は力を得て、リビアの政権転覆につながったのだ。その際ロシアは拒否権を発動しなかった。さらに決定的な行為として、ロシアはリビア政府に対する武器販売を全面禁止するという決議も飲んだのだ。
2015年に、ロシアは初めて一線を画し、軍事同盟を結んでいた中東の或る国を支えようとした。それがシリアだ。ロシアが介入したのは、ロシアが中東において大きな勢力を得ようとしていたためではない。ロシアにはシリア近辺に軍や経済拠点をもっていなかったのに、このような介入に踏み切ったのだ。ロシアが直接戦争に介入したのは、4年間だった。そして介入した理由は、オバマ政権内部に矛盾が生じ、介入する機会が生まれたので、リビアでの失敗を繰り返したくないという思いがあったからだ。米国が関わったこれまでの内戦とはちがい、シリア政府は、ISISやISISを外から支援する勢力に対して、ロシア軍が軍事支援することをあからさまに歓迎していた。
シリア国民や、世界中の反帝国主義者たちの立場からすると、ロシア政府がシリア政府に強力な軍事支援の手をさしのべたことと、反空爆装置を配置したことは、米国がシリア政府を直接爆撃することを未然に防ぐ行為に映った。
西側を最も怒らせたロシアの二つの行為(シリアとクリミア)は、いずれも全く正当な行為だ。それはロシアが所持している不凍港を守るためだけに取られた行為だからだ。
その港とは、クリミアのセヴァストポリ港と、シリアのタルトゥース港だ。両港ともがロシアにとって重要なのは、ロシアが国内に持っている主要7港(ノヴォローシースク港、サンクトペテルブルク港、ウラジオストック港など)は、冬になると凍結し、冬期の貿易量が深刻に減少するからだ。
ロシアの援軍を得たという戦況の変化のため、シリア政府は奇跡的に持ちこたえ、米国の単極支配の時代において、ロシアは米国にこれまでにない煮え湯を飲ませることになった。
つまり、シリアや東ウクライナで、ロシアが米国帝国主義による侵略を回避させたことは、国家の利益に基づく慎重な行為だったのだ。ロシアは侵略者ではなかった。
米国の
軍事費は7780億ドルにのぼり、ロシアの年間軍事予算617億ドルのはるか上を行く。米国の軍事費は、米国の次に軍事費が高い下位11カ国の総額を合わせた額より
も多い。こんなにも社会は金を必要としている中、米国国防総省が7780億ドルの予算をどうやって正当化できるというのだろう?この金額は、バイデン政権が掲げる「よりよき復興」法案が
社会投資費として要求している年間3500億ドルの二倍以上の額だ。

旧約聖書でダビデ王が圧倒的な力を持っていた巨人ゴリアテを恐れなかったのと同様に、米はロシアの国境付近でNATO同盟国に行動を起こさせている。ロシアが抵抗し、国境を守ろうとすれば、NATO加盟国は、
条約第5条に則って行動することになる。その条項にはこうある。「一つの加盟国に対する攻撃は、全加盟国に対する攻撃と捉える。」
今年(2021年)6月、NATOと、米第6艦隊と、黒海周辺国は「
シーブリーズ21」という軍事演習を、「加盟国間の相互運用性を強化するため」という名目のもとロシア国境付近で行った。参加したのは、32カ国ほど(ほとんどのNATO加盟国及びエジプト、韓国、アラブ首長国連邦など米国の従属国)だった。
もちろん、単極的ではなく多極的な世界であったとしても、それが帝国主義であるなら、その先にあるのは同じような未来だ。だからこそそのような相手とも真剣に闘っていかなければならない。貧しい人々や、労働者階級が求めている世界は、資本主義や帝国主義とは全く相容れないものだ。しかしだからといって、ロシアを米国と同一視してしまうことは、歴史からみれば根拠のないことであり、ロシアの外交政策を見誤っていることになるだろう。
ロシアを帝国主義国家であると見做してしまえば、国際政治における力関係や、ロシアによるクリミアとシリアへの介入の本質を見誤ってしまう。中立的な立場から見れば、ロシアの介入により、かつて植民地だった主権国家であるシリアが—これはベトナム戦争以降ではじめてのことになるが—米帝国の侵略にすんでの所で耐えることができたのだ
ロシアの地政学上における利益 ロシアがどんな意図をもち、どんな役割を果たすつもりでシリアに介入したかをはっきりさせることは重要なことだ。
ロシアがアサド政権を支援したのは、イデオロギーの問題ではなかった。実用的な理由があったからだった。その一例をあげれば、西側諸国や、湾岸の君主制諸国の代理人たちによってアサド政権が転覆させられれば、シリアはそれらの国々の従属国になってしまい、ロシアによる不凍港タルトゥース港の使用を阻害されることになりそうだという理由だ。さらにアサド政権が転覆させられれば、中国の一帯一路構想の重要な部分が封鎖されることにもなるからだ。シリアは地中海と繋がっているので、米国が支配しているスエズ運河の代替通商路になるからだ。
シリアにおける政権交代が成功すれば、米国防総省は同地域の次の標的にたやすく手が出せることになっていただろう。それはおそらくイランだ。そうなれば米国はもっと本気で、ロシア本国を包囲していただろう。ロシアがどのような外交政策を取るかの理由のほとんどは米国への恐怖心からだ。米国は他国の主権などはほとんど尊重せず、最終的にはロシア本国での政権転覆を狙うことになるのは避けられないという恐怖心だ。ある意味でこのような取り組みは既に始まっている。西側は、自身のイデオロギーなど放り投げて、新リベラル主義で反プーチンの旗頭であるアレクセイ・ナバリヌイを
支援している。
10月20日、EUはサハロフ賞の「良心と思想の自由部門」にナバリヌイを選出した。この賞は、人権を尊重した人に与えられる最大の賞である。これは西側帝国主義国家が転覆したいと思っている国の政府に異論を唱えている人々に毎年授与されることになっている。
シリアにおいてロシアは、自国の利益を守ると同時に、シリアの独立を帝国主義者たちによる政権転覆の働きかけから守ろうとしていた。さらにこの働きかけには、サウジアラビアや米国の支援を受けたサラフィー主義者たちによる社会的・文化的な反革命運動も加わっていた。
ロシアは確実に、シリアのタルトゥースにある不凍港への経路を守りきった。ロシアはタルトゥース港をロシア海軍の軍施設として借りている。ロシアが、シリアに介入したことで得られる経済的利益はほとんどなかったのだが。

ロシアが世界規模の闘争の舞台に再登場したことは、単極支配を続けてきた支配者たちにとっては大きな警告となった。
トルコや
米国が警告しているのは、ロシア政府の管理下にあるロシアの民間軍事会社ワグナー・グループがリビアやシリアや中央アフリカ共和国や東ウクライナの戦闘に加わっていることだ。
戦略国際問題研究所のような米国のシンクタンクは「ロシアの黒海沿岸地域」を、帝国主義に敵対する社会的勢力に力を与え、地域抗争のバランスを崩す可能性のある地域だと考えている。CIAは何十億ドルもの
資金を使って、新植民地主義に甘んじたくない国々を弱体化させようとしているのだが、米国の支配者層は米国による秩序から逃れようとしている世界の他の勢力とのやりとりには慣れていない。ジェレミー・クズモロフの『
ロシアの再来』という著書を読めば、今の新冷戦におけるプロパガンダ抗争の重要な
振り返りができるだろう。 [5]
しかし本当のところは、ロシアがソ連の元領土の外に有している軍事基地はたった一つしかない。それはシリア北部のラタキア市(ロシアの南の国境から約500マイル離れたところ)近郊にある。米国が知られているだけでも800以上の
軍事基地や施設と、何十万人もの米兵を世界140の「主権」国家に派遣している状況とを比べていただきたい。
いじめられ、制裁を受け、経済封鎖され、包囲されているロシア 2013年、EUと米国政府はウクライナのメイデンでの反革命運動画策に手を貸した。この反革命運動は、元ソ連共和国であったウクライナでの右翼によるクーデターだった。NATO勢力が軍事演習を行うのは、たいていロシアを牽制するためだ。例えば、
英国は800人の兵をエストニアのロシア国境に送った。NATOは帝国主義を推進する最も戦略的な機能を持っているだけではなく、反ロシア同盟形成にも効果的な役割を果たしている。
米国はロシアをNATOには招聘しなかった。米露の協力関係が最も近接していたエリツィン時代でもそうはしなかった。米国の政策考案者たちは、「いつかはロシアが勢力を回復し、フランスやドイツと協力することにより、NATOを米国が主導することができなくなる可能性がある」と考えていたようだ。NATOには招聘しない代わりに、米国はNATOをこれ以上東進させて、ソ連の元領土内には入り込まないことを約束していた。しかし米国は何度も何度もこの約束を破ってきた。
逆の立場で考えてみて欲しい。ロシアが米国のすぐ近くに軍を配置して、戦闘を始めたとしたらどうなるだろう?ロシアがメキシコ(シリアのこと)の代理戦争に資金を出し、カナダ(ウクライナのこと)でのクーデターを画策しプエルトリコ(エストニアのこと)の兵を招集したとしても、米国が黙っていると考える人がいるだろうか?
現状を表す以下の
図を見れば、米国とNATOがロシアを包囲しているさまがよく分かるだろう。

トランプ政権が、ロシアと何らかの取引を行うのでは?という見方もあった。それは二国間の関係の緩和についての取引だ。その条件は、ロシアがシリアから手を引き、イランを孤立させることに同意することだった。さらに「トランプの目的は中国を犠牲にしてロシアと協調することだ」とういう憶測が企業メディアで報じられたこともあった。
米国が起こしたシリアでの代理戦争というのは、正しくは、抑圧された国々が自国の権利を守る自己防衛のための戦争であり、帝国主義者たちによる政権転覆工作を完全に拒絶しようとした戦争であった。シリア内戦というのは、シリアのブルジョア階級に属する国家主義者たちの非宗教政権を転覆させようというサーフィー主義者達による動きだ。もちろん、現政権が多くの問題や矛盾を抱えていることは事実だが、この転覆作戦がうまくいったとしてもシリア国民や、中東にとっては大きな後退にしかならないだろう。社会的にみればこの反革命運動は、シリア国家を破壊することにしかならないだろう。
だからといって、今のアサド政権のもとでのシリアの政治体制を歓迎したり、支持しているとは思わないでいただきたい。今の政権は、アサドというバアシズム(訳注:アラブの統一と自由・社会主義を掲げる思想)を奉じる個人に指導力が集中した政体だ。それよりも現状の戦争の危険性を認識する方が肝要だ。残念ながら、ここ10年間、生死をかけた戦闘が繰り広げられているシリアで、社会主義に基づく左翼的な方向に進もうという議論は全く見られていない。
最後に ここまで深い分析を行えば、米国の軍産複合体や、外交政策立案者たちが人々に知られたくない一つの決定的な問いが浮かび上がる。米国支配層の代弁者たる企業メディアは既得権を行使して、ロシアは悪者で、米国「民主主義」はその被害者だという報道をしている。それに伴って、「ロシア嫌悪」という米国の国家的なイデオロギーの植え付けが、ニューヨーク・タイムズ紙の記事の全文や、TV番組の司会者レイチェル・マドーが読み上げるプロンプターの文章に刷り込まれことにより、この巨大で複雑な国ロシアに対する何百万もの米国民の世論が形成されている。
予想通りの結果だが、ロシアに好意を持っている米国民はたったの
22%だ。ロシアが米国の大統領選挙に介入したことや、ハッキングに関わっていることを批判する報道が常に報じられ、感情が煽られ、政治問題化され、反ロシア感情が激しさを増している。全く検証されることもないまま、仮説だけが流されている。しかし考えて欲しいのは、米国がどれだけ他国の選挙に干渉してきたか、第二次世界大戦後どれだけ他国の軍事クーデターに関与してきたか、米国の諜報機関が東南アジア、中東、南アメリカ、そして
ロシア本国で、どれだけ画策をおこなってきたのか?ということだ。
絶体絶命の危機にある革命家であるなら、今のロシア国家を労働者国家ソビエトの再来であるなどと考えるべきではない。以前のソビエトは
、世界における階級闘争における、世界各国の自由を求める闘いとしばしば共闘していた。この闘争を西側は婉曲的に「冷戦」と呼んでいたのだが。
しかし真の進歩主義者であるなら、以下のようなことも考慮に入れるべきだ。すなわち、経済封鎖を受け、包囲されているベネズエラや、シリアや、ジンバブエや、キューバや、イランの人々や、抑圧されている世界中の人々が、プーチンを恐れ知らずのすごい奴だと考え、抑圧された国々の主権を守ってくれる国として、ロシアを米帝国に立ち向かう同士だと考えている理由についてだ。
引用文献
1
Marlene Laruelle, Is Russia Fascist? Unraveling Propaganda East and West (Ithaca, N.Y.: Cornell University Press, 2021).
2
Thomas Piketty, Capital and Ideology (Cambridge, Mass.: Harvard University Press 2020).
3
Jeremy Kuzmarov, “A New Battlefield for the United States: Russia Sanctions and the New Cold War,” Socialism and Democracy, August, 2020.
4
Kuzmarov, “A New Battlefield for the United States.”
5
Jeremy Kuzmarov and John Marciano, The Russians are Coming, Again: The First Cold War as Tragedy, the Second as Farce (New York: Monthly Review Press, 2018).
- 関連記事
-