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ウクライナ情勢 続報その2

ウクライナ情勢  続報その2

 <記事原文>

Ukraine Update #2

ブログ  Paul Craig  Roberts

 2022年2月25日

 <記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月27日 

 西側メディアが果たしている機能は、作り話を事実に、嘘を真実に変えることだ。そして言説が作り出された後は、際限なくそれを繰り返し報じる。私は昨日(2月24日)必死に情報を集め、読者の皆さんに今の正しい状況を伝えようとした。今日(2月25日)は、軍の現状の続報をお伝えし、ロシア政府が見落としている危機的状況について指摘したい。

 高性能ミサイルを使って、ロシアはウクライナの軍事基盤を破壊した。攻撃対象は軍用飛行場、航空機、軍需品や燃料格納所や、軍事通信施設に限られている。これまでも、今も、一般市民を攻撃対象にはしていない。ロシア政府のやり方は、米国・NATOとは全く違う。米国・NATO軍はセルビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、パキスタンで一般市民に対する無差別爆撃を行ってきた。 偽善者である西側の「指導者」たちは、ウクライナのごく少数の犠牲者たちに見かけだけの涙を流してみせたが、自分たちが「サダム・フセインが大量破壊兵器を所持している」などという嘘に基づいた不当な戦争で何万人もの市民を殺害したことに対しての良心の咎めがある振りさえもしていない。CNNなど西側の御用メディアは、ロシア軍が一般市民を攻撃しているという印象を与えるために、  遠くから街に煙が立ち上る風景を映している。 実際はその煙が上がっているのは軍の通信施設や武器格納庫からだ。ロシア軍の兵器は非常に精密なので、ロシア軍は視界に入っている全てのものを爆破する必要はなく、軍事目的を達成する全ての建物を狙い撃ちできる。 しかしロシアがこのような人道的な配慮を行って得られるものは何もないので、いずれはこの配慮を放棄せざるを得なくなる可能性がある。その件については、この記事内で後述する。  

 私が言える範囲内の事だが、今回のロシアの一発目の攻撃に対してウクライナ軍は何の軍事的対応もできていない。全く断固とした対応が見えてこないのだ。ウクライナ兵の中には、武器を捨てたものたちもいる。記事によると、原子力発電所をCIAの工作員たちから守るため、ロシア軍部隊の補助をしている人たちもいるとのことだ。ウクライナ国境警備兵の多くはロシアへの亡命を求めているという。そしてロシア軍はウクライナ兵たちを殺さないよう最善の注意を払っているようだ。 

 しかしCIAの助言者たちを伴っているネオナチ民兵たちは、そうはいかないようだ。彼らはドンバスにも、ウクライナの首都キエフにも存在していて、間違いなくウクライナ国内の他の都市や町にもいる。このネオナチ勢力が、わざと人口の多いところに拠点を置き、一般市民を盾にしているのだ。 キエフでは、ネオナチ民兵たちは、ロケット発射機を準備しており、それらを使ってキエフ空港を占拠しているロシア軍を攻撃する構えだ。 軍からの命令で、ロシア兵は一般市民の居住地区を直接攻撃できない。そこに残存しているネオナチ勢力が潜めるということだ。  https://sputniknews.com/20220225/moscow-ukrainian-troops-deploy-mrls-grad-in-kiev-to-provoke-casualties-among-civilians-1093369676.html 

https://sputniknews.com/20220225/russian-mod-kiev-uses-same-methods-as-terrorists-uses-civilians-as-human-shields-1093367914.html 

  ここにロシア政府の戦略上の問題が浮かび上がる。ロシアはウクライナのナチ化に手を出さず、ずっと放置していたため、 米国が支援する反乱勢力を温存する余地を残してしまったのだ。ナチ民兵たちを壊滅させることは、一方では、市街戦で多くのロシア兵の命を奪うことになってしまう。そしてもう一方では、米国やイスラエルが行っている大砲や爆弾の雨のせいで、多くのウクライナ市民たちの命を奪ってしまう可能性があるのだ。

 私はロシア政府が自分たちが相手にしているのは兵士たちではなく、精神異常者であるという事実を分かっているのか疑問だ。 ロシア政府はことを迅速に終わらせる必要があるが、ナチ民兵たちは紛争を長引かせて、ロシア政府がウクライナの一般市民を1人でも殺害してしまう状況に引きずり込もうとするだろう。その難問を理解した上で、プーチンは、ウクライナ兵士たちは自国政府が「子どもたちや、女性たちや、愛するものたちを」盾に利用することを許すな、と語っていたのだ。プーチンがウクライナ兵たちに伝えたのは、「自分たちの手で権力を掌握しろ」ということだったのだ。 プーチンによると、ウクライナ兵士たちはずっと良い交渉相手だとのことだ。それは「麻薬依存症のネオナチたちと比べて」という意味だ。この連中が「キエフ市内で砦を作り」、一般市民たちを人質にとっているとプーチンは言ったのだ。 

https://www.rt.com/russia/550628-putin-address-ukraine-military-power/

 ロシアの戦略上の弱点は軍にはない。それは戦時国際法を尊重しようとして、ウクライナ市民たちに害を与えないように気を使っているところだ。ロシアはネオナチを追い出したあと、ウクライナ市民たちと良い関係を結びたいと考えているのだ。ロシア政府は本当にウクライナ市民たちの感情を気にしている。 これがロシアの苛立ちであり弱さなのだ。その理由はロシアには世論をコントロール術がないからだ。どうせロシアがすることは何でも悪く描かれるのだから、ナチを追い出すためならできることは何でもした方が得策なのだ。そうしないから膠着状態に追いやられてしまうのだ。ロシア政府は、国際法に従おうとしているが、実際のところ国際法などは存在しないようなものであることを分かっていないようだ。西側諸国などは、国際法どころか自国の法律さえ守っていないのだから。

 この問題は昨日ロシアが侵攻して始まった問題ではない。この問題が始まったのは米国政府の民主的に選ばれた政府を転覆させ、操り人形のような政府に首をすげ替えた時から始まっていたのだ。その操り人形政府は無力で、ナチが独立した民兵隊を組織するのを止められなかった。 ロシア政府は、蕾のうちから芽を摘んでおくべきだったのに、無垢な子どものように外交政策による解決を信じてそうできなかったのだ。

 ロシアに困難が生じているのは、ロシアが自分の持つ力を常に制限しようとしてきたからだ。こんなことをして効果があるのは、敵が同じような考え方をしている場合だけだ。残念なことにロシアの敵はそのような考え方の持ち主ではない。

 最新の制裁に対するロシアの対応にもロシアの躊躇が見て取れる。制裁により損害を受けるのは、ロシアよりも、米国や欧州なのは事実だ。  しかしロシアは屈辱を味わうことになる。ロシアという大国が、やろうと思えば2分で完璧に破壊し尽くせるような弱小国たちから制裁を受けるという屈辱感だ。  

 制裁や制裁についての話を止めるために、ロシア政府がすべきことは、欧州への天然ガスの輸出を止めることだ。欧州のエネルギー供給企業の或る大手の会社の会長が言ったように、もしロシアが天然ガスの輸出を止めたのならば、ドイツの産業界の全てのエネルギー供給が止まってしまうことになる。つまりドイツ産業界は麻痺するということだ。そうなれば爆撃によってもたされる惨状と変わらない。今はまだ冬なので、多くのドイツ国民たちは家の中で凍えながら冬を過ごさないといけなくなる。

 では今はどうなっているだろう。こうだ。ロシア連邦院議長のワレンチナテ・マトヴィエンコ(Валентина Матвиенко)は、これ以降もロシアは欧州に対する天然ガスで信頼を得られるよう供給し続ける意向を示している。米独がロシア政府の支援するノルド・ストリーム2パイプライン計画を破棄する措置を取ったにも関わらずだ。独政府がこの計画の承認を即時に取りやめることを決定したのは、 ロシアがウクライナに軍事行動を取る前のことだった。この決定は、今週始めにロシア政府がウクライナから分離・独立を主張していたドネスク共和国とルガンスク共和国の独立承認を受けたものだった。

 ロシア銀行に対する欧州による制裁も変更されたが、その狙いはロシアの愚策に乗じようとするものだった。ドイツの金融大臣が18日に語ったところによると、ロシアのウクライナに対する軍事行動に伴う欧州による制裁により、ロシア銀行はドイツとの関係が完全に封鎖されることになるとのことだった。 現在許可されている独露間の唯一のやり取りは、ドイツの企業群がロシアの天然ガスに対する支払いだけだとクリスティアン・リントナー(Christian Lindner)独財務大臣は語っている。

https://www.rt.com/business/550619-germany-blocks-russian-banks/ 

 このようなロシアの施策は愚策ではないと言えるかもしれない。ロシアはただ、契約上の同意事項に従い、ロシアは契約相手として善良で信頼できる相手だと思ってもらおうとしているのかもしれない。 或いは、ロシアの無能な経済専門家たちや中央銀行が、「ロシアには、天然ガスで得られる外貨が必要だ」と、経済に疎い政府を説き伏せてしまっている可能性もある。それでもやはりこれは愚策だ。ロシアが信頼の置けるビジネス相手だと思われても得られるものは何もない。 実際ドイツはロシアが信頼の置けるビジネス相手になることに関心を示していないからこそ、 ノルド2パイプライン計画に待ったをかける行為に出たのだから。 外貨の面についても、ロシアは外貨に頼る必要は全くない。制裁が強まれば外貨はなくなるが、それで困るのは米国や欧州の通貨に支配されている条件下だけのことだ。 ロシア中央銀行はロシア経済の金融の発展に外貨を必要としない。 ロシアが欧州にエネルギー源の輸出を差し止めれば、ルーブルを強化するためにルーブルを手形に入れればいいのだ。敵国の外貨を手形にするのではなく。

 つまり、圧倒的な軍事力があるにも関わらず、ロシアが置かれている立場は弱いということだ。もしプーチンがグローバリズムの世界に足を踏み入れれば、さらに弱くなるだろう。ここにプーチンが抱える二者択一の大問題が生じる。プーチンはロシアの国家主権の確保につとめてきた。しかし国家主権を確保しようとすれば、グローバリズムとは相容れない。プーチンはどちらかを選べるが、両方を選ぶことはできない。

 私の推測では、西側がロシアをうち負けかせるとすれば、それはロシアをグローバリズムに引きずり込めた場合だろう。

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ウクライナ情勢のアップデート

ウクライナ情勢のアップデート

<記事原文 寺島先生推薦>
Update on the Ukrainian situation

ポール・クレーグ・ロバーツ
2022年2月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月27日

 ウクライナ軍の抵抗は、そのインフラが稼働しなくなったため、停止したようだ。ドンバス領内に閉じ込められた少数のネオナチ民兵が抵抗を続けているに過ぎない。

 ロシアの空挺部隊はキエフ空港を占領した。数時間前、ロシア軍はドニエプル川に到達し、キエフ郊外に接近していた。ウクライナは空軍、防空、海軍、そしてすべての軍事空港を失った。 83の軍事施設の破壊により、ウクライナ軍のインフラは一掃された。

 ネオナチは責任を取らされることになる。 ウクライナはNATO加盟を放棄し、非軍事化し、クリミアと[ドンバスの]独立共和国に対するすべての権利を放棄するよう要求される。ウクライナの兵士は家族のもとに帰ることが許されるだろう。

 アメリカやNATOと違って、ロシアは民間人や軍隊の兵舎や住居を攻撃することを避けている。

 ドイツの読者からは、馬鹿な政治家をテレビの前で笑っているとの手紙が私のところへ来ている。彼らは、プーチンの帝国主義を許さないと約束し、ドイツ国民に対するさらなるエネルギー制裁を約束し、ノルド2パイプラインのドイツの投資家からの賠償請求に直面しているのだ。ドイツの国防関係者は、自分たちは歯が立たず、NATO加盟国や、ましてウクライナを守るために軍隊を送る能力さえないことを認めている。

 ヨーロッパ諸国は、セルビアや中東でのワシントンの戦争犯罪を可能にする前に、何度も考えるべきだった。プーチンは、「戦争犯罪者は責任を取らされるだろう」と言った。 彼はそのことを言っていると、私は思う。

 欧州各国政府は思いもよらないほど愚かな馬鹿者たちである。ロシアが制裁に応じ、ガスの供給を停止したらどうなるのか考えなかったのか。今日早く、私は、「ロシアが制裁に制裁で応じたら、ドイツの運命はどうなるのか?」と考えてみた。 ヨーロッパ最大のエネルギーネットワーク運営会社であるE.ONのレオン・ビルンバウム社長は、「ロシアがドイツへのガスの流れを断てば、ドイツの産業は電力網から遮断されてしまうだろう」と述べたのだ。

 まったく愚かで自滅的な人たちの頭の中を想像することは困難である。西側諸国民がなぜあんな無能な指導者を信頼しているのかは分からない。西側の「指導者」たちはあまりにも愚かで、私たちを地球上から消し去ってしまうかもしれないというのに。
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速報。ロシアはウクライナの武装解除を行うつもりだ。

速報。ロシアはウクライナの武装解除を行うつもりだ。
<記事原文 >
Breaking News : Russia Demilitarizes Ukraine

ブログ Paul Craig Roberts
2022年2月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月26日

西側は理性を取り戻せるか?それとも西側には取り戻せる理性などもともと存在しないか?

Paul Craig Roberts

 3日前、私はこう書いた。「今日で世界は変わった」と。ロシア政府は、レーニンがウクライナに割譲していた旧ロシア領にある2つの共和国の独立を承認し、ウクライナにいるネオナチ勢力にドンバス在住のロシア人への攻撃を止めるよう最後通牒を出したのだ。ロシア軍が受けた命令は、これらの2独立共和国の平和を確保することだった。

 残念なことに、ウクライナの愚者たちはプーチンの警告を聞かなかったし、米国政府もそうした。これらの愚者たちは、紛争を回避する道は選ばず、挑発する方を選んだのだ。その結果が今朝(2月24日)届いた。西側には愚者しかいないのだろうか。

 ウクライナによるドンバス攻撃は止まなかった。逆に激しさを増しているという報道さえあった。
ウクライナのネオナチたちが、ロシアが更なる交渉を持ちかけてくると思っていたとしたら、今朝のニュースでロシアは全く逆の反応をしたことに気づいただろう。

 放映されたインタビューにおいて、今朝プーチン大統領は軍事行動に出ることを発表し、その目的は、「ウクライナの武装を解除し、ナチ化を止めるため」だとした。

 西側メディアから真実の情報を得ることは不可能なので、私は最善を尽くして、何が起こっているのか皆さんにお伝えする。

 私が言える範囲では、今このブログを書いている時点では、ロシア軍はウクライナに侵攻してはいない。ロシア軍は2共和国内にさえ進軍していない。 精密誘導兵器を使って、ロシア軍はウクライナの軍の基盤施設や、防空体制や、軍用飛行場や、戦闘機を無能化した。 プーチンの発表したところによると、降参の意思表示をしたウクライナ兵たちには攻撃しないとのことだ。タス通信によると、「ウクライナ軍の中には、武器を捨て持ち場を離れるものが多数出ている」とのことだ。ウクライナの兵士たちの方が、ウクライナの指導者たちよりよっぽど賢い。

 もちろん西側は、金切り声を上げて無意味な非難を行っているが、西側メディアが束になって嘘を垂れ流しても、なんの効果も生み出さないだろう。西側諸国に頭のキレる指導者たちがいたとしたらこの状況からどんな判断をするだろうか?答えはこうだろう。「クマを挑発するのはもう終わりにしよう」。私がこれまで何度か伝えてきた通り、ロシアへの西側の嘘や欺瞞や侮辱や挑発にはうんざりしているのだ。従ってロシアがなにか物申すときには、真剣に耳を傾けないといけないのだ。プーチンが言ったのは、ロシアはウクライナの核兵器開発を許さないということだ。さらにはロシアはロシア国境付近に米/NATOの軍事基地を置くことには耐え難いということだ。米国もNATOもこの話を本気だと取るべきだ。

 プーチンは、ロシアはウクライナを占領する気はないと言っている。ロシアはウクライナを欲していないが、ロシアは米国とNATOによりウクライナの軍事化が強化され続けることは許さないだろう。 さらにはウクライナかドンバス在住のロシア人たちを攻撃することもだ。西側はこのロシアの意向をきちんと理解しておくべきだ。

 米・独は軍を派遣しないと宣告している。これは西側が正気を取り戻しているといういい兆候かもしれない。

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プーチン、ドンバス地域の「即時」承認に署名


プーチン、ドンバス地域の「即時」承認に署名

戦火の絶えないウクライナ東部での紛争悪化が懸念される中での決定となった

<記事原文 寺島先生推薦>Putin signs ‘immediate’ recognition of Donbass regions

The decision comes amid fears of a worsening conflict in Ukraine’s war-torn east

RT 2022年2月21日
レイラ・ゲスト(Layla Guest)著
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月26日


 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部にあるドンバス共和国の2つの分離独立をモスクワが主権国家として承認すると発表した。交戦ラインにおける軍事的膠着状態がエスカレートし続けているためであるとして。

 2月21日月曜日の夜、プーチンは国民に向けたテレビ演説の一部として、「ドネツク(DPR)とルガンスク(LPR)人民共和国を直ちに承認することは、ずっと前に決定される必要があったと思う」 と言って法令に署名した。議員たちは今後、両地域との友好・支持の声明を検討することが求められるだろう。

 この動きは、戦闘に終止符を打つことを目的とした2014年のミンスク協定が失敗に終わったのが直接的な原因であると述べた。「彼らは平和的解決には興味がなく、電撃戦を始めたいのです」と彼は主張した。「彼らは、毎日ドンバスに軍隊を増強させています」とプーチンは続けた。





 同時に、プーチンはウクライナを「極端なナショナリズム」、「ナチズム」、「ロシア恐怖症」であると非難し、ロシア語の報道機関を閉鎖したり、ロシア語を話す人々を差別する法律があることを指摘した。

 また、キエフはロシアのインフラを狙う破壊工作員を送り込み、「外国を我が国との紛争に引きずり込もうとしています」とも指摘した。ウクライナのNATO加盟の野望は、「わが国を攻撃するという差し迫った脅威を意味します」と主張した。

 プーチンは演説の冒頭で、ウクライナの歴史と旧ソビエト連邦のロシアとの結びつきについて、自らの見解を述べた。「ウクライナは単なる隣国ではないことを改めて強調したいです。ウクライナは私たちにとって単なる隣国ではなく、私たち自身の歴史、文化、精神世界の不可欠な部分です」と述べ、ウクライナ人は「ロシア人にとって血や家族とのつながりがあり、友人、隣人、同僚でもある」ことを強調した。

 プーチンは、「現代のウクライナは完全にロシアによって、より正確に言えばボルシェビキ共産主義ロシアによって作られました」 と主張した。彼によると、「レーニンとその支持者は、ロシアの歴史的領土を考慮せず粗雑な方法でそれを行いました。そこに住む何百万人もの人々の声を聞くことは全くありませんでした。」

 ロシア大統領は指摘した。ソ連崩壊後、キエフはソ連での役割に背を向け、主要なマルクス主義者の銅像を倒していると。「脱共産化を望むなら、我々はそれに満足です。しかし、途中で立ち止まらないでください。私たちは、脱共産化が実際にどのようなものかを示す用意ができています」と続けました。 

 この演説が放送される数分前、クレムリンはプーチンがフランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相に、「近いうちに」ドネツク人民共和国とルガンスク共和国を承認する法令に署名するつもりだ、と通告していたことを明らかにした。公式発表によると、独・仏の首脳は「この展開に失望を表明」したが、外交努力を維持する意志を強調した。

 この発表は、二つの分離地域に忠実な軍隊とキエフの軍隊が、前線を越えて激しい砲撃を行っていることを互いに非難する中で行われた。2月21日月曜日にDPRとLPRの指導者であるデニス・プシーリン(Denis Pushilin)とレオニード・パセチニク(Leonid Pasechnik)は、モスクワが自分たちの独立を支持するよう呼びかけた。プーチンはこの要請を検討するため、テレビ中継された「ロシア安全保障会議」の議長を務め、政府高官からは両地域を承認するよう促された。

 両共和国は、ウクライナで民主的に選出された政府を暴力的な街頭抗議が倒した「マイダン」の出来事を受け、2014年にキエフの支配からの自治国家を宣言した。しかし、これまでロシアも他の国連加盟国も主権国家として認めておらず、モスクワは外交的に紛争解決をもたらし、ドンバスとキエフを和解させることを目的とした「ミンスク合意」を支持してきた。

 先週、プーチンはウクライナ政府に対し、緊張が高まる状況に終止符を打つための話し合いを始めるよう促した。「キエフがすべきことは、ドンバスの代表者と交渉のテーブルにつき、この紛争を終わらせるための政治的、軍事的、経済的、人道的措置に合意することである。これは早ければ早いほど良い」と2月18日金曜日に述べた。

 欧米の指導者たちは数カ月前から、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を警告しており、モスクワは軍隊の派遣を正当化するためにドンバス地域に対する「偽旗」作戦を用いる可能性があると述べてきた。ロシアは攻撃的な意図があることを繰り返し否定し、米国主導の軍事ブロックであるNATOの東ヨーロッパへの拡大を制限する安全保障協定を要求してきた。

 2月18日金曜日、ジョー・バイデン米大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が攻撃を決定し、この数日のうちに攻撃が行われると思われる情報を得たと発表した。クレムリンは一貫して攻撃開始の計画を否定しており、ワシントンが発表した情報の報告を 「ヒステリー 」と決め付けた。

 この数週間、ロシア当局は、ヨーロッパ大陸の安定を確保するための保証を西側から求めてきたという。プーチンは、これらは「拒否」され、「我が国に対する脅威のレベルはますます大きくなっています」と述べた。

 12月にワシントンとNATOに送られた提案では、モスクワは米国主導の軍事ブロックの拡大停止、ミサイル配備の制限、現在の加盟国がウクライナ領土はもちろん、他の東欧諸国、トランスコーカサス[現在のアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア]、中央アジア諸国での軍事活動を放棄するよう要求している。

 また、別の条項では、キエフをNATOに加盟させないことも要求しており、これはロシアが以前から強調している「レッドライン」である。

 「NATO加盟国の中には、ウクライナの加盟を懸念する国もあり、ヨーロッパの首都からは、『何を心配しているんだ、明日NATOに加盟するわけではない』という信号が来ていますが、明後日はどうなるのでしょうか?そのまた明日はどうなのでしょうか?」と彼は強調した。

 またプーチンは、2000年にモスクワを訪問したビル・クリントン大統領(当時)に、ロシアのNATO加盟を持ちかけたことを「公の場で初めて」確認した。プーチンによると、欧米はその後、ロシアと距離を置くために大きな政治的溝を作り、関係を悪化させたという。

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プーチンはロシア軍にドンバスの「平和を守るよう」命じた

プーチンはロシア軍にドンバスの「平和を守るよう」命じた

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin orders Russian military to 'secure the peace' in Donbass
~プーチンはロシアと両共和国間と協力する誓約書に署名~
RT 2022年2月21日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月28日



 ウラジミール・プーチン大統領は、新しくロシアが承認したドネツク共和国とルガンスク共和国の「平和を守る」よう、ロシア軍に命令を出した。この両地域は以前はウクライナの一部だと考えられていた地域だ。

 2月21日、ロシア政府はウクライナからの分離を求めていたこの両地域の独立を公式に承認した。

 プーチン大統領は防衛大臣にドンバスに平和維持軍を派遣するよう命じるとともに、外務省には両共和国と外交関係を結ぶよう伝えた。

 このロシア政府の公的な動きは、2月21日の夜、プーチン大統領による国民に向けた長い声明の直後に行われた。その声明の中で、プーチン大統領は、今回の動きは長期にわたり回答が保留されていた問題に対する対応であると語った。具体的には、「兄弟的」国家であったウクライナが、西側諸国の「植民地」化してしまい、「ロシア嫌い」により統治される国になってしまったことに対する対応だと説明した。 そして、ウクライナはロシア政府に対して敵対するだけではなく、ウクライナ在住のロシア人やロシア語話者たちの人権を侵害していると非難した。

READ MORE: Putin signs ‘immediate’ recognition of Donbass regions

 ドネツク共和国とルガンスク共和国は2014年にウクライナからの分離独立を宣言していたが、それは米国が支援する国家主義者たちが民主的に選ばれた政権をメイデンでのクーデターで転覆させた後のことだった。しかしロシア政府は今まで両国の独立を認めてこなかった。その理由は、この件はウクライナの内政問題であり、ミンスク合意に基づいて解決すべきだと考えてきたからだ。そのミンスク合意は2015年の一時的な休戦を成立させるために決められたものだった。

 しかし2月21日の朝、ドネツク共和国の指導者デニス・プシーリン(Denis Pushilin)とルガンスク共和国の指導者レオニド・パセチニク (Leonid Pasechnik)は、ロシアに独立を承認するよう再度公式に要請していた。これはドンバス地方からも、ウクライナからも、休戦ラインで激しい砲撃の応酬があったことが報じられた中でのことだった。

 声明の中でプーチン大統領は、ミンスク同意に基づく体制は失敗に終わり、ウクライナは「平和的な解決を望んでいません。ウクライナは電撃戦を望んでいるのです」と語った。


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西側諸国はNATOの不拡張を約束していた。デア・シュピーゲン誌の報道

  西側諸国はNATOの不拡張を約束していた。デア・シュピーゲル誌の報道
<記事原文 寺島先生推薦>

West promised not to expand NATO – Der Spiegel

~NATOは「拡張しない」とロシアを騙していた証拠となる英国の文書をドイツの週刊誌が発見~

RT 2022年2月18日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日



 新たに発見された1991年3月の文書によると、米、英、仏、独の政府当局は、ソ連に対する或る誓約書について話し合っていたことがわかった。その内容は、NATOはポーランドよりロシア側には拡張しないというものだった。この記事は、ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルが2月18日に出したもので、米国主導の軍事同盟であるNATOの拡張が東欧の軍事的緊張を高めている中でのことだ。

 この1991年3月6日の議事録は、ボンで開かれた米・英・独・仏の政務局長間会議のもので、ドイツ統合に向けた複数の「2+4」外相会議(西独・東独と米英仏ソ) の内容も含まれていた。この議事録でソ連に対して「明言」されているのは、NATOはドイツよりも東側に拡張しないという主張だった。

 「私たちはソ連に対して明言しました。2+4外相会議でも、それ以外の会議の場でも、です。私たちにはソ連軍が東欧諸国から撤退することに乗じようとする意図はありません」。これは議事録に記載されていた米国のレイモンド・サイツ欧州およびユーラシア問題担当国務次官補の発言だ。

 「NATOは、公式にも、非公式にも、東に拡張すべきではありません」とサイツは付け足していた。

 英国代表の1名もその「一般的合意」があったことについて言及していた。その代表は、東欧諸国がNATO加盟国になることは「受け入れられません」と発言していた。 

 「2+4外相会議の交渉中に明らかにしたことは、エルベ川(ママ)を越えてNATOが拡張することはないということでした」と西独のユルゲン・フロボグ(Juergen Hrobog)外交官は語っていた。「従って私たちはポーランドなどの東欧諸国にNATOに加盟すよう申し出ることはできませんでした。」



 この議案書によれば、同外交官が言っていたのはオーデル川のことであることが後に判明している。
オーデル川は東独とポーランドの国境を流れている。フロボク外交官がさらに述べたのは、 西独のヘルムート・コール(Helmut Kohl)首相と、ハンス=ディートリヒ・ゲンシャー 外相もこの立場に同意していたという事実だった。

 この議案書は英国国立公文書館で、ジョシュア・シフリンサンさんが発見したものだ。シフリンサン氏は、米国ボストン大学の政治科学の教授だ。 この議案書には、㊙のマークが付けられていたが、いつかの時点で開示されていた。

 シフリンサン氏は2月18日にこうツイートしている。「私は名誉あることに、デア・シュピーゲル誌と共同してこの文書に携わることになりました。この文書が示しているのは、西側諸国の外交官たちの考えでは、NATOが拡張しない誓約を本当に結んでいたという事実です。」



 「各国政府の高官たちは不拡張の誓約が出されていたことを否定しています。しかしこの新文書の記載内容は、それとは矛盾します」とシフリンサン氏は次のツイートで書いている。さらに、「エルベ川であれ、オーデル川であれ、その基準を「越えて」、NATOはそのたった8年後に拡張を始めています」ともツイートしている。

 2021年12月の大規模な記者会見において、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、西側諸国はソ連に対しNATOは「1インチも」東に拡張しないことを約束していたのにも関わらず、ロシア政府に対して「厚かましくもその約束を反故に」し、「抜け駆け」のようにその行為をやってのけた、と発言していた。

 このプーチン大統領の発言に対してイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長が語ったのは、NATOは「拡張しないという約束をしたことはありません」というものだった。後に受けたデア・シュピーゲル誌からのインタビューでも、ストルテンベルク事務総長はこう繰り返していた。「そんな約束は存在しませんでしたし、そんな裏取引もありませんでした。ただの偽情報です」と。

READ MORE:

 Lavrov labels Western ‘Russia invasion’ claims ‘propaganda, fakes and fiction

 NATOはポーランドとハンガリーとチェコの加盟を1999年3月に認めているが、それは国連の安保理の許可なしにユーゴスラビアに空爆を開始した直前だった。この拡張により、NATOはロシアの国境と直接接することになった。接しているのはロシアの飛び地のカリーニングラードだ。これが史上始めてとことだった。次に拡張が行われたのは、2004年のことで、旧ソ連共和国のエストニアとラトビアとリトアニアが加盟した。このことでNATOの東端が、セントペテルスブルクからたったの135キロ(84マイル)にまで迫った。

 12月に発表された一連の安全保障上の提案の中で、ロシアはNATOに旧ソ連共和国であるウクライナとジョージアを加盟させないことを正式に求め、なによりも米軍を1997年時のNATOの境界線まで戻すことを求めていた。しかし米国もNATOもこの要求を飲まず、NATO加盟の基本原則は「開かれたドアである」と反論していた。
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ロシアによるルガンスクとドネスクの独立承認前のウクライナ軍によるドンバス住宅地に対する集中砲火について

ロシアによるルガンスクとドネスクの独立承認前のウクライナ軍によるドンバス住宅地に対する集中砲火について

<記事原文>
Intensive Shelling of Donbass Residential Areas by Ukrainian Armed Forces Prior to Russia’s Recognition Lugansk and Donesk as Independent States

サウス・フロント(South Front)著

グローバルリサーチ、2022年2月22日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日


 ウクライナ軍がホルリフカ居住区で住宅への集中砲火を開始。2月21日中、中庭に砲弾が命中。爆風で窓が吹き飛んだ。住民は家が倒壊した場合に備えて避難していた。

 地元情報筋によると、ドネツク市の住宅に砲弾が命中した。

 瓦礫の中から女性が出られなかった。緊急事態省の専門家によると、ガスパイプラインが損傷したことが確認された。ドネツク市郊外の民間企業35軒がガスの供給を受けられない状態になった。

 以下の映像は、住民の方が撮影されたものだ。プロによるものではない。
 

 またルハンスクでは、JCCC(共同統制調整委員会)のルハンスク代表事務所付近で車が爆発した。代表のミハイル・フィリポネンコ(Mikhail Filiponenko)の車が破損した。代表自身は生きている。運転手の容態については、現時点では情報がない。

Video: Moscow’s Recognition of Lugansk and Donesk People’s Republics. Russia “Provides Peace Keeping Forces”



 LNR(ルガンスク人民共和国)の住民は全員シェルターに避難している。ルガンスク市は閑散としている。ドネツクへの爆弾攻撃の報告は、警報システムを通じて街の通りで聞くことができた。

 ロシアによるLPR(ルガンスク人民共和国)とDPR(ドネツク人民共和国)の承認のニュースの直後、南部戦線の情勢悪化の情報が入った。人民民兵軍は、DPRのゴルロフカ(Horlivka)付近でAFU(Armed Forces of Ukraine)部隊と戦闘を行っていた。最近徴兵されたDPRの市民に死傷者が出ている。

 

 しかし、2022年2月21日夜(モスクワ時間)にロシアが「ロシア連邦とドネツク人民共和国の間の友好、協力及び相互援助に関する」国際条約を締結してから状況は変わり始め、ルガンスク人民共和国とも同様の条約が同時に締結された。

 条約には以下のような条項がある。

§ 共同防衛

§  国境線の共同保護

§  互いの領土で軍事インフラと軍事基地を使用する権利。

§  締約国の政府機関が発行する文書の承認。

 これらの条約に署名した直後、ロシアのプーチン大統領は、ロシア軍にDPRとLPRの平和維持機能を提供するよう指示する法令に署名した。 

 現在、ロシア軍第8野戦軍の部隊が、ルガンスク人民共和国の領土に入り始めている。


 こうした動きの中で、ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ国家安全保障・防衛評議会の会合後、いかなる決定も下そうとしなかったため、共和国領内の住宅へのウクライナ軍の砲撃活動は減り始め、事実上停止した。

 予定されていた彼の国民に対する大げさな演説も、今日は行われなかった。

 
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ソロスは中国の政権転換を要求

ソロスは中国の政権転換を要求

<記事原文 寺島先生推薦>Soros calls for regime change in China

~リベラル派に資金を出している金融家ソロスは、「世界の開かれた社会への脅威である」と習近平を名指しで批判した~

RT 2022年2月1日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月24日

 1月31日、リベラル派の億万長者として知られているジョージ・ソロスは、中国の習近平政権の交替を求めた。それは、2022年の北京冬期オリンピックと1936年のナチスドイツのオリンピックを比較した演説の中でのことだった。

 保守派のフーヴァー研究所の会合で行った演説の中で、ソロスは中国を「世界で最も強力な権威主義の国家」であるとし、「開かれた社会にとっての今日の最大の脅威だ」とした。

 ソロスの主張によれば、中国は「1936年のドイツと同様」、来る北京冬季オリンピックを「自国をよく見せるよう、うまく利用」し、「中国が、厳格な統制のもと優れた社会体制が取れているという宣伝に使う」だろうとのことだった。さらにソロスは、中国に自由主義経済をもたらした以前の指導者鄧小平とは違い、習近平を「共産主義を心から信じている」と批判した。そしてソロスは、習近平は「毛沢東やウラジミール・レーニンの崇拝者である」と警戒の言葉を述べた。




 演説の締めくくりで、ソロスは中国の政権交代を求めた。この要求は、習近平の統治に反対の声を上げている米国の多くの保守派の主張と共鳴するものだ。

 「習近平が、より抑圧的ではない内政と、より平和的な外交を行う政権と交替することが望まれます。」

  「そうなれば、今日直面している開かれた社会に対する脅威が取り除かれることになるでしょう。中国が望ましい方向に向かうために、できることはすべてすべきです」と億万長者のソロスは言い放った。

 ソロスは、オープン・ソサエティ財団の創設者であり団長も務めている。この財団は米国や世界中のリベラル派や左翼を支援している。具体的には、ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)運動や、プランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood:全米家族計画連盟)や、移民改革協会(Immigration Reforms)などだ。ソロスはさらに、米国の地方検事の選挙にも関心があり、その選挙戦に何百万ドルもつぎ込んでいる。ソロスが支援していた候補者の中には、現在米国の主要都市の検察当局の長官を務めている者もいる。

 

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速報。ロシアは交渉をあきらめ、ドンバス問題の解決を共和国独立承認に持ち込んだ

速報。ロシアは交渉をあきらめ、ドンバス問題の解決を共和国独立承認に持ち込んだ

<記事原文 寺島先生推薦>Breaking news: Russia Has Given Up On Negotiations and Will Resolve the Donbass Issue by Recognizing the Independence of the Republics

ブログ Paul Craig Roberts

 2022年2月21日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月24日

 私は椅子に腰掛けて、ロシアのタス通信がまだプーチンが下した決定を報じていないことを書こうとしていた。その決定とは、ロシアがドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を承認するという決定だ。この両国はかつてロシアの領土だったが、ソ連政権によりウクライナに併合されていた。

 しかし、「ロシア安全保障会議」は全会一致でこの決定を了承し、米国派の汎大西洋主義者たちまで支持していたことから、プーチンが「ロシア安全保障会議」の立場に反することはないだろうと私は判断した。 プーチン自身も同じ考え方をしていたことは、プーチンの声明や質疑応答から分かった。

 このことを理解すれば、クリミアの時のように、今回はドンバス地区をロシアに再併合しようとする動きではなく、ただ両共和国を独立国家として承認したに過ぎないことが分かる。

 そうなれば、この両共和国は国際法で保護されることになるだろう。ロシアは西側諸国とは違い、国際法を頑固に守る国だからこそ、この2国は法により守られるだろう。

 私は1時間35分の長さだった安全保障会議の様子に耳を傾けていた。その間多くの委員が米国やNATOやEUとの8年間の交渉で溜まった苛立ちについて口にしていた。しかもその交渉は結局何も進まなかった。この8年間、多くのドンバス在住のロシア人たちはウクライナ軍に殺害された。そのウクライナ軍はこの両共和国の領土内のかなりの部分を占領することに成功していた。

 現時点でまた明らかになっていないのは、ドンバス共和国の領内には、ウクライナ軍やネオナチの民兵たちが占領していた地域も含まれるのかどうか、という点だ。

 英語字幕付きの安全保障会議のこの動画を見て、
ご自分の目で、ロシアがこの8年間状況を好転させようと、ミンスク議定書に守られたドンバスの人々をウクライナに留めたままにしてきた努力を見て取っていただきたい。この議定書は仏独の承認のもと、ウクライナが署名したものだ。ロシアの人々のこの忍耐力を称賛しないでおくのは不可能だ。ただし、その忍耐力のせいで、ドンバス在住のロシア人たちの命が犠牲になったのだが 。

 今日、ロシア政府の堪忍袋の緒は切れてしまった。この先ロシア政府は、西側諸国に対して今までのように辛抱するとは思えない。

 これはよい傾向だ。というのも、そうなればヨーロッパ諸国は、米国政府がロシアに対してふっかけている厄介事の手助けを余りしなくて済むようになるだろうからだ。ヨーロッパ諸国の全ての政府が知っているのは、米国政府やNATOが、核兵器に頼ることなしに、自分たちの国を守ってくれるというのは不可能だという事実だ。そうなれば自分たちの国が守られるどころか、破壊されることになるのだ。今回のロシアの動きにより、ヨーロッパ諸国は今までよりロシアと良好な関係を築こうとするだろう。

 ウクライナのゼレンスキー大統領も、口先では色々言うだろうが、きっとほっとしているに違いない。ゼレンスキーは大統領としての仕事を果たせずにきていた。それはゼレンスキーが、米国政府と、CIAがコントロールするネオナチ民兵隊の間に挟まれる中で、次期大統領選挙での再選を目指しているからだ。 ロシアが両共和国を独立国家として承認した今なら、ゼレンスキーは米国政府がゴリ押ししてウクライナ軍を使ってドンバス在住のロシア人たちに攻撃を加えることに抵抗できるからだ。 今回のロシア政府の決定により、ゼレンスキーは新しい権威を得たことになり、米国政府がウクライナを利用してロシアに対抗することは難しくなるだろう。しかしもちろん、米国政府はそんなことでは手を引かないだろうが。

 今回のロシアの決定を、米国政府や御用メディアがどう演出するかはお見通しだ。ニューヨーク・タイムズはCIAから得た「新情報」なるものを報じるだろう。 ニューヨーク・タイムズは、両共和国を独立国家として承認したことを、ロシアの侵攻の前段階だと書くだろう。他国の「自決権」を尊重すると言い続けてはいるが、実は他国の自決権を尊重するのは、米国主導によるクーデターが起こった時だけの米国政府は、 ドンバス共和国を独立国家して承認せず、ロシアとウクライナ間の戦争を煽ろうとするだろう。ニューヨーク・タイムズやその他の御用メディアも「ロシアによる侵攻」の勃発を予想し続けるだろう。

 しかし欧州諸国は今は慎重だ。公式には色々おかしなことも言うだろうが。ウクライナは、もしロシアとの戦争にひきずりこまれても、誰も助けに来てくれないことを知っている。今が米国の喧伝が効果を失する好機なのだ。この好機を逸すれば、痛い目を見るのはウクライナとヨーロッパ諸国だ。

 

 

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「ブースター接種の繰り返しは致命的」と研究者は警告する

「ブースター接種の繰り返しは致命的」と研究者は警告する

<記事原文 寺島先生推薦>

Repeated booster jabs may be lethal researcher warns

Global Research 2021年8月20日

Free West Media 著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月22日



 ある研究者が、Covidワクチンのスパイク・プロテインが自然免疫を破壊する可能性があると警告している。免疫不全は、ワクチンによって誘発されたスパイクタンパク質が体内に蓄積されることが原因かもしれないと、WMCResearch.orgのウォルター・チェスナット(Walter Chesnut)氏は述べた。

 チェスナット氏は、注射によって引き起こされる「激しい免疫反応」は、後の段階でも「致命的なリスクを伴うことになるかもしれない」と警告した。査読済みの科学論文で、彼はワクチン接種者のテロメア*が不活性化されることを指摘した。

*訳注:  テロメア----わたしたちの体をつくっている細胞は、常に分裂を繰り返し、新しい細胞をつくりだすことで「若さ」を保っている。しかし、細胞は無限に分裂できるわけではない。ある回数分裂した細胞は、それ以上分裂できなくなる。これが「細胞死」だ。この細胞死と密接にかかわっているのが「テロメア」と呼ばれる、染色体の末端にある構造だ。細胞が分裂するたびテロメアは短くなっていき、テロメアがある長さ以下になった細胞は分裂できなくなる。つまり、テロメアの長さは、細胞の若さを示す「時計」と考えられる。

 ワクチンは「AUF1とWRNの転写を停止させ、テロメアを削除する」とチェスナットはツイートしている。「大惨事です。これは、あなたが今見ているものは、ほんの始まりに過ぎないのです。」

 *訳注:AUF1は、ARE結合タンパク質のことであり、酸化損傷を受けたmRNAを排除する細胞の機構に関与するものである。 
 WRN(DNAヘリカーゼともいう)は、私たちのからだの設計図であるDNAが傷ついた時に修理する役割を担っている。WRNの異常により、ウェルナー症候群(Werner syndrome)など、白内障や白毛、脱毛など、実年齢に比べて「老化が促進された」ように見える諸症状を呈する。




 テロメラーゼ(テロメアを伸長させる酵素のこと)は、人間のDNAにある酵素で、老化を制御している。DNAを包んでいるテロメアは、人間が年をとるにつれて短くなっていく。この研究はJournal of Bacteriology & Parasitology(細菌学と寄生虫学)誌に掲載され、ワクチンのスパイク蛋白質が「テロメラーゼに悪影響を与え、その合成を阻害する」ことが示されたとチェスナットは強調した。

 「テロメアの活性が阻害されると、必然的に免疫細胞の疲弊が現れるまでに時間がかかります。これが、スパイク蛋白質が内包している『トロイの木馬的贈り物』がもつ特徴なのかもしれません。その贈り物は、どんな短期間の免疫反応であっても、免疫系が自己補充する能力に取って代わってしまうという見かけ倒しの役立たずなのです」。

 スパイク蛋白質は、注入された人体内に「慢性的に存在し」、「継続的にテロメラーゼを抑制する」可能性がある。

 チェスナットによれば、「我々が基本的に着目しているのは、スパイク蛋白質を用いた化学療法の影響についてです。しかし、その影響が非常に独特な影響なのです。複製を素早く行う細胞を疲弊させるという影響なのです。この影響により、脱毛症状がよく報告されている理由の説明がつきます。(以下の記事を参照:”Medical Information Is Being Suppressed to Cover Up for the False COVID Narrative

 「ワクチンによるテロメアの破壊は、アルツハイマー病、パーキンソン病、フェロトーシス(細胞死の一種)、視床下部、オートファジー(細胞内の蛋白質を分解する仕組み)と関連していて、テロメアの破壊が起こっています」ともチェスナット氏はツイートしている。彼は、「細胞を欠いたWRN」を使えばテロメアを削除することが可能であると述べた。それは「ご存じないかもしれませんが、細胞死の一つであるSynthetic Lethality(合成致死)というものです」とチェスナット氏は付け加えた。

訳注 合成致死:遺伝子AとBの2つがあるときに、Aが異常をきたしてもBが正常であれば細胞は増え、逆にAは正常でBが変異しても、細胞は正常に分裂するが、AとBの両方に変異があるときだけ細胞が死ぬという現象のこと

 テロメラーゼがないと、「体内の主要な細胞は自己補充ができず、通常の寿命の過程で必要な時期よりかなり前に『使い果たして』しまう」と研究者のエリザベス・ブラックバーン(Elizabeth Blackburn)は説明している。



フランスのクリスチャン・ペロンヌ教授は、ワクチン接種者が問題であると言う。写真 The Conversation

 同じように、世界保健機関(WHO)の欧州予防接種専門家諮問グループ前副会長のクリスチャン・ペロンヌ教授は、すべてのワクチン接種者はワクチン未接種者より大きなリスクをもたらすと考えている。イスラエルと英国における状況の悪化を示唆し、感染症の専門家である彼は次のように述べている。「ワクチン接種者は検疫にかけられ、社会から隔離されるべきです」と。

 ペロンヌ教授の専門は熱帯病学と新興感染症である。フランス公衆衛生高等評議会の伝染病専門委員会の委員長を務めていた。

 彼はさらにこう言った。「予防接種を受けていない人が危険なのではなく、予防接種を受けた人が他の人にとって危険なのです。イスラエルで証明されたことです。私はイスラエルの多くの医師と連絡を取っていますが、彼らは大きな問題を抱えています。というのも、病院で重症例がワクチン接種者の中から出ているからです。より大規模なワクチン接種プログラムが行われているイギリスでも、問題が生じています。」

 現在フランスのCovid-19のパンデミックに関する対策委員会は、この展開に「全くパニック状態」であると伝えられている。

 当初ワクチン接種を推進してきたドナルド・トランプ大統領は、今はワクチンのブースター接種に対する立場を転換している。トランプは、Fox Businessのマリア・バーティロモ(Maria Bartiromo)とのインタビューで、ワクチン・マーケティングの新局面はファイザーによる金儲け計画であると批判した。前米国大統領は、同社が行った約束先だけだと指摘した。

 「ブースター接種が必要だとは誰も思わないだろう。ワクチンが最初に売り出されたときは「一生効果がある」と言われていたのに、その後、「効果があるのは1年か2年」という風に変わってしまった。そのとき、私は禍の前兆を見たのさ。私には、ファイザーの経営者の目の中に$マークが見えたんだ。選挙の翌日に、「自分はワクチンを打った」と発表した男が誰だったか、皆覚えているかい?」

 ファイザー社はこの予防注射を「安全で効果的」と繰り返し言っているが、製薬業界大手である同社は、自社の従業員にはワクチン接種を義務付けていないと伝えられている。ペイアル・ベッチャー(Payal Betcher)上級副社長兼最高人事責任者が書いたファイザーの「機密」冊子から流出した画像から、ファイザーはバイデン米大統領の勧告に従わず、全社員に注射を義務付けることはないことが明らかになった。

(以下はそのことを暴露するアレックス・ベレンソン(Alex Berenson)のツイート、なお、彼のアカウントは既に凍結されている。訳者)

 
従業員にコビド・ワクチンを受けさせない製薬会社はどこだと思う?

その会社の米国従業員の20%がワクチン接種していないぜ。

規則を厳しくはしているが、予防接種を義務付けてはいないぜ。

ヒント: その答えは、多分あなたが受けたCovidワクチンを作った会社だ。

よし、よく考えてみろ。答えはファイザーだ。

pic.twitter.com/Ip2WiKFPoe

- アレックス・ベレンソン (@AlexBerenson)
2021年8月11日

 

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オミクロン株を発見した医師がオミクロン株は重症化すると嘘をつくよう迫られていた

オミクロン株を発見した医師がオミクロン株は重症化すると嘘をつくよう迫られていた

<記事原文 寺島先生推薦>

Doctor Who Discovered Omicron Variant Was Forced to Lie About Severity

Global Research 2022年2月15日

マーティン・アームストロング( Martin Armstrong)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月24日



 南アフリカ医師会長であり、オミクロン株を発見した一人でもあるアンジェリック・クッツェー(Angelique Coetzee)医師が認めたところによると、同医師はオミクロン株の症状が軽いことを明かさないよう圧力をかけられた、とのことだ。「私は、オミクロン株の症状は軽いことを明らかにしないように言われました。“重い症状が出る”と言うように何度も迫られました。私は気が進まなかったのですが」、とクッツェー医師はドイツのヴェルト(Welt)紙の取材で答えている。

 クッツェー医師は、政府のどの役人たちから嘘をつくように言われたのかは明らかにしなかった。しかし、同医師が明らかにしたのは、その圧力は南アフリカ政府からの圧力を超えるところから来ていた、という事実だった。クッツェー医師の主張の信頼性を落とすべく、オランダや英国の役人たちもクッツェー医師の批判を始めたと、同医師は語った。

 「私はもういやになって、ある時こう言ったこともあります。「南アフリカではオミクロン株は軽症ですが、ヨーロッパでは重い症状が出ています」と。政府当局の人々がそう言って欲しそうでしたので」とクッツェー医師は語っている。

 「COVID-19による軽い症状の定義は、はっきりしています。WHOによる定義がありますので。それは、「自宅で治療が可能で、酸素供給や入院が必要ない」状況のことです」とクッツェー医師は語り、さらに言葉を続けた。「重症というのは、急性の肺関連の気道感染が見られるものです。酸素供給が必要となり、人工呼吸器が必要となる場合もあります。デルタ株の際はそうでした。でもオミクロン株の時は違うのです。それで私はこう伝えました。「私は重症だとは言えません。なぜならそうは見えないからです」と。

 クッツェー医師が言葉を飲み込んでいなかったら、病院や巨大製薬業界は大損していたことだろう。大手メディアがクッツェー医師の発見を報じていれば、ロックダウンや、ワクチン強制接種や、政府による権力掌握も、ここまでうまくはいかなかっただろう。世界中の各国政府が、或る企て(Agenda 2030)を持っているのは明らかだ。だからこそ共謀して人々に嘘をつき、COVID恐怖をたきつけたことで得られた権力を逃すまいとしている。最後には下層民も真実を見つける。そのためには、数え切れない人々がウイルスに感染しながらも生きながらえて、真実を伝えないといけない。オミクロン株が示してくれたのは、ワクチンには問題点がたくさんあることだった。「ワクチン接種者」でもあいかわらずウイルスに感染し、人にうつしているからだ。常に真実は最後には明らかになる。

*

 

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カナダのトルドー首相は本当にワクチンを接種したのだろうか?登録看護師による検証

カナダのトルドー首相は本当にワクチンを接種したのだろうか?登録看護師による検証

<記事原文  寺島先生推薦>

Video: Has Justin Trudeau Been Duly Vaccinated? Registered Nurse Expresses Doubt on Authenticity of Trudeau’s Vaccine Jab

Global Research 2022年2月20日

ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)教授

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月25日



***

2022年2月20日  続報

 最近の出来事だが、ジャスティン・トルドーは、フリーダム・コンボイ(訳注:オタワで起こっているトラック運転手たちによる反ワクチン抗議運動)に対する暴力的で残忍な作戦を警察に命じた。この抗議運動は、国境を越えて移動するトラック運転手や、カナダ政府の職員や、「飛行機、バス、電車に搭乗したい全ての人」に対して、コロナワクチン強制接種をカナダ政府が命じたことの正当性に抗議するための運動だ。

 この制限措置の対象は、全ての「連邦政府の公務員」になる。もちろんジャスティン・トルドー首相も例外ではない。

 フリーダム・コンボイは、カナダ史上最も残忍で、不当な警察による攻撃の対象になっている。



 私が問いたいのは、ジャスティン・トルドー首相は本当にワクチン接種を行ったのか?という点だ。


 私は完全な疑念を持っている。以下の記事をお読みいただきたい。

 ミシェル・チョスドフスキー

 グローバル・リサーチ

 2022年2月20日

***

 2021年4月、トルドー首相はアストロゼネカ社のウイルスベクターワクチンを接種したとされている。そして二度目の接種は、7月に行ったとのことだ。

 以下の動画は、ジャスティン・トルドーとソフィ夫人が一度目のワクチン接種を行った際のものだ。



 

 画面をスクロールして、下にある3番目の動画を見てほしい。その動画では、一人の登録看護師が具体的な検証を行っている。



 その2ヶ月後の7月に、ジャスティン・トルドーは二度目の接種を行った。二度目はモデルナ社のワクチンだった。



 同じ看護師だ。手順もよく似ている。

検証

 一人の登録看護師が、ネットワークTVで放映された、トルドー首相と夫人がワクチン接種をうけている1番目の動画をじっくりと検証した。

 記者たちも同席していた。これは念入りに計画された広報用のイベントだった。 

  この登録看護師は、トルドーが本当にワクチンを打ったのかについて疑念の声を上げている。

 通常の注射で必ず行う行為として、ワクチンを打った箇所に印をつけるという手順が伴う。しかし、トルドーと夫人の接種の際、その通常の手順が取られていない。

 しかも片手で注射している。「こんなやり方をする人は誰もいません」とその登録看護師は語っている。以下の動画をご覧になるか、こちらをクリックしてください。


 

 打った箇所に印をつける行為はなかった。動画に映っている看護師とされる女性は片手で注射を行っている。「そんなやり方をする人は誰もいません。」

 注射をした時に注射した箇所につけられた印は、「軟部組織(身体の骨以外の部位のこと)の部位や点につけられるものであり、身体や、身体の一部の箇所を特定する印である」と定義されている。

 上の動画で、登録看護師は、ジャスティン・トルドーと夫人が注射した手順と、通常非接種者が受ける手順とを比較している。

 ワクチンを打つ全ての人には誰でも、接種した箇所に印をつけられる。「それが適切な手順なのです。」

 しかしジャスティンには「何の印もつけられなかった」。動画に映っていた看護師は片方の手を使用しなかった。ジャスティン・トルドーにワクチンを注射した、見た感じ看護師のように見える女性は、看護師として必要とされる技術を持っていなかった。

 この登録看護師によると、この動画の出演者たちは「台本を演じるにあたり」、3件の重大な誤ちをおかしているとのことだ。

 #1. 注射した箇所に印をつけなかった。

 # 2. 注射器吸引を行っていない。この行為は血管に注射してしまうことを避けるためだ。血管に注射液が入ってしまえば、深刻な医療問題の原因になる可能性がある。

 #3 片手で注射している。まるでダーツでもするかのような針の指し方だった。

 「これは演技です。」

    「禁止行為だらけです。」

 「ジャスティンは大根役者です。」

 「完全なやらせです。」

 とこの登録看護師は語っている。

 確証や裏付けはまだ取れていないものの、この登録看護師はジャスティン・トルドーが打ったワクチン注射が本当かどうかについて疑念を表明している。証拠はないものの、登録看護師の検証により明らかになったことは、 トルドーに注射を施した人物は必要とされる技術を持っていなかったという事実だ。

 カナダ中のどの看護婦もこの動画を見れば間違いなく疑念をもち、こう言うだろう。「私はこんなやり方では注射しません」。

 トルドーのワクチン接種の模様を取材したCBCやCTVはこの様子に、何も気にとめていなかった。

インフォームド・コンセントという権利

 この記事を書いている時点で、カナダ国民にはワクチンパスポートが課されているが、この措置は、基本的人権の侵害にあたり、インフォームド・コンセントの概念にも反するものだ。

 カナダ国民はインフォームド・コンセントの権利を行使することを否定されてきた。これは「カナダの権利と自由の憲章」やニュルンベルク綱領の侵害にあたる。

 多くの文書(ただし、カナダ医療当局はカナダ国民にそのことは知らせていない)により、実験段階にあるmRNAワクチン接種のせいで、世界中の数えられないほどの数の人々が障害を受け、死に至っていることが明らかになっている。

 最新の公式記録(2021年9月5日時点)によると、EUと英国と米国、合わせて4万666件ほどのワクチン接種が原因、あるいはワクチン接種が関連した死亡が報告されている。さらには660万件の「副反応」事例が報告されている。詳しくはこちらをクリック。(未報告の事例も数に入れたとすれば、実際の(死者数および副反応の事例数)件数は少なくとも公式記録の数値の10倍は多い。

カナダのワクチンパスポート

 この登録看護師による検証が持つ意味は極めて重大だ。 政治的に見て非常に重要な指摘になる。

 この登録看護師の検証により、トルドーがワクチンを打たなかったという証拠にはならないが、本当にワクチンを打ったかどうかをさらに調査することは当然されるべきことだ。

 「注射を打たないと仕事はない!」。医療従事者や教職員を含めたワクチンを打っていない何千もの労働者たちが、いま脅されている。西海岸から東海岸まで、すべてのカナダ国民がワクチンを打つよう求められている中で、こんな疑問をもつ人もいることだろう?「本当にカナダの首相はワクチンを打ったのだろうか?」と。

 さらに、トルドーがワクチンを打っていなかったとしたら、そんな二重基準は許されないだろう。州レベルで取られているワクチン非接種者に対する(不法な)措置が、ジャスティン・トルドーに対しても取られないわけがない。

 「オンタリオ州では(2021年)9月22日から、不要不急の業務に関する移動にはCOVID-19ワクチンの接種証明が必要となっている(もちろんこの措置はジャスティン・トルドーにも適用されるはずだ)。ワクチン接種証明書が適用されるには、承認済みのCOVID-19ワクチンを2度接種しておく必要がある。オンタリオ州当局によると、ワクチン接種が強制されない健康上の理由は2件だけだとのことだ」 (CTV newsより、強調は筆者)



 カナダ国民は間違った方向に誘導され、おかしな情報を流されているのに、首相はこの試用段階のワクチンが健康上に与える悪影響について完全に気づいていた、ということだ。

 ジャスティン・トルドーは、インフォームド・コンセントの権利を行使したのだろうか?トルドーは憲法に定められたカナダ国民の権利は踏みにじっているというのに。

 いったいなぜ、ジャスティン・トルドーはワクチンを打ちたくなかったのだろうか?

 その答えは、ビル・ゲイツに聞こう。

*

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「貧乏人に選択の余地なし」。米国住宅市場の醜い現実

貧乏人に選択の余地なし。米国住宅市場の醜い現実

<記事原文 寺島先生推薦>
Beggars can’t be choosers: The ugly reality of the US housing market
RT 2022年1月30日

ヘレン・ブイニスキー

Helen Buyniski is an American journalist and political commentatoratRT.@velocirapture23@velocirapture23

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日


 生まれて初めて家を購入するつもりだった人々が、「一戸建てを持ちたい」という夢を諦めざるを得なくなっている。さらに、コロナのせいで仕事を奪われ、住宅市場から追い出された、元自宅保有者たちも同じ目にあっている。このような状況の中、かつてはバカにされていたトレーラーハウス(移動式住居)が、いまや大手メディアからもてはやされている。USAトゥディの記事によると、利益奪取に飢えたいくつかの未公開株式投資会社が、何年も前からトレーラーパークを所有していた諸企業の株を買い占め、アメリカン・ドリームの崩壊に乗じて賭けに出ている、とのことだ。

トレーラー・パークとは、移動式住居が密集したコミュニティ。上の画像を参照

トレーラーハウスがダサい時代は終わった

 「移動住宅トレーラー(トレーラーハウスのこと)」を所有する米国民は2200万人に上っていると、マニュファクチャード・ハウジング協会(Manufactured Housing Institute)は伝えている。「普通の」住宅の半分の価格で買えるとあって、 アメリカ国民家族の平均純資産が横ばい、あるいは低下し、インフレが急上昇し、 株式市場がますます現実経済から乖離している生活が長期にわたり続けられている中、トレーラーハウスに対する汚名は返上されつつある。結局のところ、貧乏人には選択の余地なしなのだ。

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Land of the fee, home of the grave? For all its international posturing and boasting, the US can’t even take care of its citizens

 しかし家を持つということはアメリカン・ドリームの第一歩だとずっと考えられてきた。さらには家を持てないとしても、借家でありながらいかにも持ち家であるように見せるくらいにはならないといけないと考えるひともいた。神の仰せでは、トレーラーハウスなどという怪しげな住処に落ち着くな、ということだった。トレーラー・パークが持つイメージというのは、麻薬依存性で歯が抜けていたり、不法に政府から補助金をたかっている連中が住むところ、一言でいえば、「クズの塊が集まっているところ」だと思われていた。

 このようなトレーラー・パークに投資しているいくつかの未公開株式投資会社は、このトレーラー・パークの住民たちに「自分は普通の人の生活水準から転げ落ちてしまった」と思わせたくないと考えている。しかし、トレーラー・パークをイメチェンさせ、魔法のような広報活動を駆使して(しかもそうすることで価格をつりあげて、そうした未公開株式投資会社に礼を尽くそうという魂胆もある)、「こじんまりとしたかわいいおうち」でできた素敵な住宅街というイメージ植え付けに成功したとしても、そのイメージが世間に受け入れられる前からトレーラー・パークに住んでいた人々は、もっと安い土地への移動を余儀なくされているかもしれない。

 トレーラー・パークへの投資の魅力を取り上げた記事においては、移動式住居の持ち主が貧しい状況に置かれていることをあからさまにいいこととして報じている。「呼び名とは違い、移動式住居に住んでいる人々が居住地から移動するのは困難であり、これらの人々が移住する際に発生する費用を賄えないことはよくあることです。ですので、これらの居住者たちは土地の賃貸料を上げられても文句がいえない状況にあり、トレーラー・パークの所有者にとっては利益を増やせるチャンスになります」と。

ホームレスたちにいい思いをさせることになっている?

 未公開株式投資会社がトレーラー・パークをガツガツと買い漁る中、生活水準を保つことが難しくなった人々は、住処をトレーラー・パークから移し、文字通り「道路上」に移動している。米国のRV車(レクレーション車両)の車市場は爆発的に広がっている。それは特にコロナパンデミックにより、人が密集した都市部から逃れたいという気持ちが生まれ、報道によると、最近の調査で、2021年、米国民の4人に1人がRV車を買うか、借りるか、調べてみたい計画を持っていることがわかったとのことだ。それに伴い、RV車の購入費や維持費が高騰し、RV車を持とうとしていた多くの人々が、買うのを小さなバンに変えたり、ベッドや台所やトイレなしの車種にしたりしている。

 SNS上では、#バンライフ(vanlife)のようなハッシュタグが出回り、「キャンプ用バン」が大人気になっ ていることを歓迎するような空気があるが、2020年の映画「ノマドランド(Nomadland)」が描いたように、ホームレスや、お年寄りや、「引退させられた(社会保障が受けられるまでまだ数年残っていたり、自分の稼ぎだけでは食べていけない)」りして、#vanlifeをせざるを得ない人々がたくさんいる。彼らは、定職につけず、仕事を探して国内をあちこち移動したり、街角にこっそり駐車して凌いでいる。 彼らの所持品は急激に増加している国中の保管施設のひとつに直ぐに預けられる。学生ローンの返済に追われる若者たちは実家の両親の家に転がり込むこともできるが、財を失う人々が増加している、その若者たちの祖父母世代は、成人した実子たちの家へは行きたくない(行けない場合もある)ので、年金が奪われ、ブラックロック社などの資産運用会社の管理下に置かれることになり、その年金がギャンブルのような投機に使われたのだ。

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未公開株式投資会社が、人々を立ち退き層に追いやっている

 現在の米国民は、今自分が経済的階層のどの階層にいるかに関係なく、立ち退き層に転落してしまう危険がある。そしてそうなってしまえば必ず、未公開株式投資会社が、吸血鬼の牙を尖らせて落伍者たちの首に近づいてきて、僅かに残っている彼らの金融資産を吸い尽くそうとする。ブラックロック社やブラックストーン社のような国際金融カルテルは、産業界のどこにでも居着いてしまっている。一戸建てだった住宅街が丸ごと賃貸住宅に変えられた住宅街から、立ち退かされたり、抵当に入れられたり、ただ家賃が払えなくなったりして出ていってしまった住民たちが預けざるを得なくなった所持物の保管庫だったり、どこでもござれなのだ。

 何ひとつ儲け口の機会を見落とすことなく、これらの企業群は所有物保管業(以降トランクルーム)市場にも参入している。この市場には、立ち退かされたり、住居を差し押さえられたりしたすべての居住者や、アパート暮らしからバンでの生活に生活水準が落ちてしまったすべての人や、「カウチ・サーフィン(民泊施設の情報を提供してくれるサイト)」にずっと頼らざるを得なくなったすべての人々が関わっている。このトランクルーム市場は、2025年には1156億2千万ドル規模の産業に成長すると見込まれている。この推定値を出したのは、モルドール情報研究所(Mordor Intelligence Research)だ。モルドール(指輪物語に出てくる”影の国”の名前)とはなんとこの状況にふさわしい名前だろう!この研究所は、2019年時点でこの市場に876億5千万ドルという価値を付けていた。ブラックストーン社は、このトランクルーム分野が「魅力的な市場である」ことを認識している。それは「資本支出がほとんど必要なく、売上高の変化も比較的小幅であり、賃貸料を上げることもできる。というのも、[保管物]で得られる収入のほとんどは、所有者が月ごとに支払う保管費からの収入だから」だとのことだ。

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  米国民はこの未公開株式投資会社の最大手群による生活全般の買収に注意しておくべきだ。 ブラックストーン社の子会社は、2008年のリーマンショック時に起こった「差し押さえ不動産による危機」の後に、住宅街をまるごと差し押さえる権利を主張していた時、国連が介入せざるを得ない状況に追い込まれた。そのとき証明されたのは、不動産業界という熾烈な業界においても、未公開株式投資会社がもつ利益獲得能力(つまり家の持ち主から資産を吸い上げる能力) が非常に貪欲であるという事実だった。そして、超低金利のせいで引き起こされている今回の新しい住宅ブームにおいて、未公開株式投資会社による買い占めが再び起ころうとしていることは、ブルームバーグ紙が多数の記事を報じていることからわかる。その記事から伝わるのは、米国民は「一戸建ての家主になる」とい夢を捨て、「住宅賃貸者」になれ、という事実だ。


「巻き添え被害」

 これらの未公開株式投資会社の運営方法は、リーマンショック時から全く進歩していない。ニューヨーク在住の「カーラさん(今後訴訟を起こす可能性もあるため仮名にしている)」は、今年初旬、ライフストレージ社(Life Storage:セルフサービスのトランクルームを設置している会社。ブラックロック社が買収している)のトランクルームに預けていた荷物を取りに行った際、持ち物が黒いカビで汚れていることに気づいた。それは自分の荷物が置いてあるところに続いている廊下にこびりついていた嘔吐物から出たもののように見えた。 そのカビや、神経毒らしきもののせいで、「私の生活や、健康や、精神状態や、貯金は台無しになりました」とカーラさんはRTの取材に答えている。さらに今の状況がこの先もずっと続きそうで、気持ちを支えてくれていた飼い猫までが、そのカビから逃れようと、住居であるカーラさんの車から逃げ出そうとしたそうだ。つまりカーラさんの新車にまでそのカビが繁殖してしまっていたということだ。カーラさんによると、何もかもが「防げたことです。私の荷物が置いてあったところをトランクルーム管理者がきちんと管理していれば、顧客を巻き添え被害に合わせることにはならなかったでしょう」とのことだ。

 最終的には、施設運営者がカーラさんからの主張を受け入れ、カビに気づかなかったことや、嘔吐物の処理をしなかったという落ち度を認めたが、このように保管物にカビを生やしてしまったという事実は、未公開株式投資会社が新規産業に乗り出すときは、一般市民たちのことを常に軽く見ていることを表している象徴的な事件だと言える。このような情のない大企業群(例えばブラックロック社は、自社利益で10兆ドル以上の資産、運用や管理を通した間接的な利益としてさらに数兆ドルを得ている)は顧客に対して適切なサービスを提供する能力は有していない。 故意に悪事を働こうとしていない場合でもそうだ。じめじめとした屋根のない地下室のような場所に荷物を保管することは、顧客に対する対応として当たり前だと思われているのかもしれないし、そのような保管施設で1日数時間働いている労働者に対しても同じことかもしれない。 しかしそんなことで生じる数ドルの費用などは、ライフ・ストレージ社の必要経費にはじめから含まれているのだろう。この会社が丁寧に応対しているのは、株主たちだけなのだから。管理施設にお金をかける理由などなかったのだろう。その結果、人々の生活はむちゃくちゃにされ、一部の企業に儲けが集中し、中小企業は倒産の嵐という今の潮流が引き起こされている。その原因は、政府がコロナ対策として自国民を殺してしまうような経済対策しかとれていないからだ。

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さらなる悪循環

 中流階級の夢さえ手にできる米国民はほとんどおらず、「みんなそうだから」といわれて、絶望が現実になり、小さい夢で妥協せざるを得なくなっている。しかし家を持ちたいという希望はいまでも1番で、賃貸住宅生活で甘んじるのが2番で、さらにはホテルで長期間暮らすことも急速に人気になっている。皆が望んでそうなっているわけではない。トレーラー・パークで起きている現象と同じ兆候だ。ただし問題は、「賃貸者として適さない人々」が記載されている非公式のブラックリストがあることだ。このブラックリストにはますます多くの米国民が記載されている。ブラックリスト入りした人々は、十分な信用格付けや、きちんとした銀行通帳があったとしても、賃貸市場からはじき出されてしまう。

 ニューヨーク・シティに25年間在住している「ジェーン」さんは、ここ8年間アパートを借りることが法的に認められていない。ジェーンさんによると、それは執念深い建築物管理会社が長期間ジェーンさんを排除しようとしていて、ジェーンさんが支払った賃貸料の小切手を現金化しないことで、ジェーンさんが不良賃貸者であると主張しようとしているからだという。ブラックリストから自分の名前を抜いて欲しいという要求をする中で分かったことは、何十もあるブラックリストの中のひとつにでもリスト入りしてしまえば終わりだということだ。 これらのブラックリストは、賃貸者の情報を調べる調査会社が保管しているのだが、その目的は
住居に関する裁判所(housing court)で訴えたり、訴えられたりした時のためだけだ。 家主たちに、「この人たちは問題あり」と思わせるためだけだ。家主たちが、裁判に勝とうが関係なく。ジェーンさんがブラックリストに名前を載せられたくないのは、米国内のどこかで借りられる家を見つけたいからだ。人生のほとんどを過ごした住み慣れたニューヨークで暮らすことはもう諦めている。 ニューヨーク・タイムズもこの賃貸主のブラッリスト現象について報じている。 – 「ブラックリストに一度名前が載ってしまえば、アパートを借りることは不可能になるだろう」。– さらにこの業界では再構築が起こっていて、中小の家主たちが事業からはみ出されている。終わる兆候の見えない不況のせいでローンが払えなくなっているからだ。いっぽう(未公開株式投資会社のような)大手が乗り出し、より多額の金を使って、借主の権利を主張する活動家たちを法廷で待ち構え、裁判でうち負かそうとしている。

 ブラックリストに載せられた人々は、避難所を長期滞在型ホテルに求めているが、ジェーンさんが追い込められているように、そのような人々をホームレス状態に追いやった最初の状況の時と同じ問題と向き合わされることがますます増えている。それは彼らの破滅などお構いなしの情け容赦のない金融カルテルがこれらの長期滞在型ホテル(または廉価アパート住宅街や、トレーラー・パークや、先述のトランクルームでも同じことだが)を、不況に強い投資先だと見ていることだ。これらの産業の好調が持続すれば、事実上の「社会信頼度を図る尺度」として機能しているブラックリストを無視できなくなる。そうなれば、ジェーンさんのような人々は、このブラックリスト地獄からますます逃げ出せなくなっていく。

 この様な状況から分かることはハッキリしている。状況はますます悪化の一途だ。これらの未公開株式投資会社がムチを入れる中、米国民はこの国を丸ごと飲み込まれることになる。 それを止めるには金融権力の集中化という流れを逆行させる行動を起こさねばならない。 「米国民の最大の過ちは、自信(confidence)と能力(competence)を取り違えていることです」と先述のカーラさんは語っている。 そして、カーラさんの思いを以下のようにまとめた。「この残忍な過ちこそが、資本主義が生み出した悲劇的な今の社会の原因になっているのです」。何百万もの米国民が立ち退き層への階段をころげ落ちている。その階段には貪欲な銀行家たちのヨダレが塗りたくられている。人々は所有物を売り払い、アメリカン・ドリームの終焉を目にしている。そしてこの夢から目覚めたときに、多くの人々はアメリカン・ドリームが終わったことを認めざるを得ないだろう。



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不都合な真実。小規模農家の生産網が世界の食料を確保している。

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<記事原文 寺島先生推薦>
An Inconvenient Truth:  The Peasant Food Web Feeds the World

Global Research 2022年2月7日

コリン・トドハンター(Colin Todhunter) 

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日


 2020年10月、国際貿易協会であるクロップライフ・インターナショナル(CropLife International)は、同協会が国連のFAO(食料農業機関)と新しい戦略的提携を結び、その提携のもと、持続可能な食糧体系の確立を推進していくと発表した。 さらに、同協会の発表によれば、FAOが民間企業とこのような提携を結ぶのは初めてのことであり、この提携により植物科学分野における方向性が確立し、共通の目標のもと、建設的な協力体制がとれる、とのことだった。

  貿易とロビー活動を行う強力な団体であるクロップライフ・インターナショナルには世界最大の農業工学産業や農薬業界の企業がメンバーとして加入している。具体的には、ドイツのバイエル(Bayer)社、ドイツのBASF社、スイスのシンジェンタ(Syngenta)社、米国のFMC社、米国のコルテバ(Corteva)社、日本の住友化学だ。 植物科学技術の向上を謳い文句にしているが、その裏で、この団体が何よりも追求しているのは、参加企業が(最終的に)利益を得ることだ。

 クロップライフ・インターナショナルとFAOが提携したことが発表されてからあまり時間がたたないうちに、PAN (農薬行動ネットワーク)アジア太平洋支部は、350団体と共同して、FAOの屈冬玉(くつ・とうぎょく)事務局長に書簡を送り、正当な理由を添えて、その提携を止めるよう要請した。

  アンハーティッド(Unearthed:NGOグリーンピース が運営する組織)と パブリック・アイ(Public Eye :人権関連のNGO)が共同で行った2020年の調査によると、BASF社、コルテバ社、バイエル社、FMC社、シンジェンタ社は、規制当局により毒性が強いことが示された化学物質を売りさばき、人々に健康上重大な危険を及ぼしながら、何十億ドルもの利益を手にしていた、とのことだった。

 両団体の調査結果がさらに明らかにしたことは、これらの企業は化学薬品の売却で10億ドル以上の利益を得ているが、その化学薬品の中には、ヨーロッパの市場で販売禁止になったものもあるという事実だった。その理由は、その化学薬品がミツバチにとって強い毒性を示しているからだ。そして、これらの売り上げの3分の2以上は、ブラジルやインドなど、所得が低い、あるいは中くらいの国々からの売り上げだった。

 「国連食料システムサミット2021」に対する「市民からの自発的な対応に基づく政治宣言」にはこう記述されている。「グローバル企業が、世界各国に持続可能性という言説の持つ効果をますます浸透させ、農業の更なる工業化や、地域からの富と労働力の搾取や、企業の持つ権力の集中化を確実なものにしようとしている」と。

 このことを念頭において大きく懸念されることは、クロップライフ・インターナショナルが目指しているのは、アグロエコロジーに対するFAOのこれまでの対応を転換させ、食料体系をさらに企業の思いのままに推し進めようとしているのではないか、ということだ。

アグロエコロジー(agroecology)は、一言でいえば、従来の小規模農家が行ってきたような、生態系と調和を保ちながら作物を育てる農法のことで、大企業による工業型農業とよく対比される考え方。
 
 2019年7月の国連FAO専門家によるハイレベルパネル報告の結論によれば、アグロエコロジーの考え方を用いれば、食料の安全は改善され、工業型農業と比べても、栄養面や、ジェンダー問題や、環境問題や、産出量の改善が見込まれるとのことだった。この報告で示された立場が、これまでFAOがアグロエコロジーに対して示してきた立場だった。  

参考記事
Living in Epoch-Defining Times: Food, Agriculture and the New World Order

 しかし、このアグロエコロジーの考え方を用いれば、クロップライフに参加している企業の利益は直接阻害されることになる。それぞれの地域の特性に応じた農業資源を使うことに重点を置いているアグロエコロージーの考え方に従えば、画一化された化学薬品や、種子や、知識に凝り固まる必要はなくなるからだ。さらに多国間で展開する農業食品産業界に支配された、世界各地に広くめぐらされた供給網も必要なくなる。

 現在FAO内部で、クロップライフ・インターナショナルに参加している企業の利益を脅かすような開発方法と農業食品のモデルについてのイデオロギー論争が繰り広げられているようだ。 

 「私たちに食料を提供してくれるのは誰になる?”工業型農業による食品供給網”対”小規模農家による食品供給網”(ETC Group :[グローバル企業による農業支配に懸念を示している団体], 2017)」という報告において示されていたのは、小規模生産者たちの多様な供給網により、世界の7割の人々が食料を確保しているという事実だった。最も飢えていて、最も社会から除外されている人々についても、それは当てはまるということだった。

  注目に値するこの報告によると、工業型農業により生産されている食料供給網は、世界のたった24%の人々にしか届いていないということだった。さらにこの報告によると、工業型農業のほうが、経費も掛かるとのことだった。工業型農業で1ドルかけて生産された食品は、後始末にさらに2ドルかかる、というのだ。

  しかし、2件の著名な論文が、小規模農家が生産している食料は、世界の人々のたった35%の人々の食料供給しか確保できていないことを示した。
 
 この2件の論文のうちの一つが、「私たちの世界の食料のうちどれくらいが小規模農家による生産で賄われているか?」 (リチャルデイ[Ricciardi]他、 2018)だ。
     
 もう1件は、FAOによるもので、「どちらの農家の方が世界の食料を賄い、農地をより効果的に使用できているか?(ローダー[Lowder]他、2021)」だ。

 8つの主要な組織が、FAOにこのローダーの論文を激しく非難する書簡を送った。それはこの論文が、FAOがこれまで幾度となく示してきた確固たる立場を覆す内容だったからだ。この書簡の署名者には、オークランド協会、土地労働者連盟(Landworkers Alliance), ETCグループ、 成長する文化( A Growing Culture)、アフリカ食料自給を目指す会(Alliance for Food Sovereignty in Africa)、グレイン(GRAIN:穀物)、グランズウエル・インターナショナル(Groundswell International)、農業と貿易政策協会 (the Institute for Agriculture and Trade Policy)という8団体が名を連ねられていた。

 この公開書簡がFAOに再確認を求めたのは、農民(小規模農家、零細漁師、牧畜家、猟師、野生食物採集者、近郊農業従事者を含む)たちは、農業資源が豊富ではないのにもかかわらず、より多くの食料を生産しているという事実について、だった。さらに農民たちは、世界人口の少なくとも7割の人々の主要な栄養源を提供している事実についても、だった。

 ETCグループはさらに16頁からなる「小規模農家と零細農家が今でも世界の食料を賄っている」という報告書を発表し、先述の2件の論文に反論を加えている。その報告書によると、これらの2件の論文の執筆者たちは、操作された方法論や概念に引きずられて、重要な情報を省略してしまったことにより、35%という数値をはじき出している、とのことだった。 特に顕著だったのは、「家族農家」の定義を変えていたり、「小規模農家」を、「2ヘクタール以下の農地を所有する農家」という定義に変えてしまっていることだ。このような定義は、2018年にFAO自身が出した定義と食い違っている。2018年の定義では、小規模農家の定義には世界統一の基準を使うことを否定し、各国それぞれの基準をより重要視すべきだ、としていた。

 ローダー他の論文はさらに、FAOや他の機関が出した最近の報告書の内容とも食い違っている。それらの報告書によれば、1ヘクタール単位で見れば、大規模農家よりも零細農家の方がより多くの食料を生産しており、より栄養価の高い食料も生産している、とのことだった。 この食い違いが示しているのは、政策立案者たちは零細農家の生産について間違った認識を焦点化することで、より大規模な生産団体を重要視するよう画策し続けているという事実だ。

 FAOに対する公開書簡に署名している諸団体は、ローダー論文が出した推論に強く異議を唱えている。その推論によると、食料消費状況から食料生産状況は推測でき、食物の市場における商品価値と消費される食品の栄養価を同等に見ることができるというものだ。

 この論文には、農業関連産業にとって有利な言説を流す意図があり、零細農家による生産効果を低く見せることにより、 農業関連産業が持つ農薬技術や、 農業関連産業による農業食品の流通方法を推進しようとしている。

 小規模零細農家は、これらの複合企業体にとっては障害なのだ。 このような観点は、大量生産に基づく生産量という狭い視点だけから見たものであり、社会や文化や経済や農業という高次の視点から物事を見ようとしていない手法だ。 このような高次の視点から見なければ、1エーカーごとの食料自給や栄養価の高い農作物の生産の様子などを見るという観点は生まれてこない。

 このような高次の観点から見る手法を用いることは、郊外や地域の発展を広げることにもなる。というのもこれらの発展が、各地域の繁栄や自己持続性に重きを置くことになるからだ。地域を犠牲にして、世界規模の供給網や世界規模の市場の必要に応じないままの人々を軽くあしらうのではなく。 産業界のロビーストたちは、「近代的な農業を進める必要への対応」などと称して、後者の手法を推進しようとしている。決してその手法の本当の名前を言うことはしないで。その名とは「企業帝国主義」だ。

 FAOのこの報告書の結論によれば、世界の小規模農家が世界の農地のうち12%を使用し、世界の全食料のうちたった35%の食料しか生産していない、というものだった。しかしETCグループによれば、FAOが出している通常の比較可能な数値から見れば、零細農家が世界の全食料のうち7割を生産しているということは明らかだとのことだ。零細農家は世界の3分の1以下の農地で、農業資源を使用していないのにも関わらず。  

 しかしたとえ全農地のうち12%の農地しか使用せず、食料の35%しか賄えていないとしても、大規模で、化学薬品を多用する農業に較べ、小規模農家や零細農家への投資が少ないという正当な理由になるのだろうか?  

 全ての小規模農家がアグロエコロジーや、化学農薬を使わない農業をしているわけではないかもしれないが、小規模農家の方が、各地域の市場やネットワークや身近な供給網との繋がりは強いだろう。さらに食料自給や、より多様な収穫体系や、より健康な食品にも繋がると言える。さらに小規模農家は地元の人々の必要に応じた食品供給に力を入れていて、地域の外の産業に対する利益提供や、地球の裏側にいる企業投資家や、株主への配慮に左右されない。

 企業群による公的機関の乗っ取りが起こった場合、真っ先に犠牲になるのは、真実だ。
 

 



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ビデオ映像の文字起こし:大陪審裁判1日_法廷弁護人ライナー・フュエルミヒ博士(ドイツ)、「PCRプランデミック」について大陪審で陳述

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<記事原文 寺島先生推薦>
Video: Grand Jury Day 1: Attorney at Law Dr. Reiner Fuellmich, Germany, for the “PCR Plandemic Trial” Before a Grand Jury

Global Research

2022年2月11日
ライナー・フュエルミヒ(Reiner Fuellmich)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月21日
冒頭陳述

***
 2022年2月5日(土)、国際自然法法廷のひとつと位置付けられる「世論を喚起する人民法廷」*で、7人の弁護士たちが冒頭陳述を行った。4番目の冒頭陳述者として ドイツ出身の弁護士ライナー・フュエルミヒ博士は、今後この法廷で証言することになる多くの専門家たちの証言内容の概要を中心に説明した。
「世論を喚起する人民法廷」*・・・アメリカの陪審制度に倣ってはいるが、あくまでも民間の活動。いかなる政府、いかなるNGOからも独立している。「COVID-19パンデミック」によって、「人道に対する犯罪」が進行している実情を世論に訴えることが主要な目的。

 以下は、フュエルミヒ博士の冒頭陳述のビデオ映像とその文字起こし。
 (動画は原文サイトからご覧下さい。訳者)

 
 みなさん。

 ライナー・フュエルミヒと申します。この非常に重要な事例について、何カ月も前から共同作業を積み重ねてきた国際的に著名な弁護士や司法関係者のグループの一員であることを大変うれしく思っています。

 今回の事例は、「コロナ・パンデミック」という名目の下、世界規模で行われた人道に対する最も凶悪な犯罪ですが、一見したところ複雑そうです。しかしそう見えるだけです。まずこのジグソーパズルのすべてのピースを正しく組み合わせてみてください。それを私たちは、この大陪審で行おうとしています。多くの著名な専門家や他の証人の助けを借りることになります。4組の一連の事実が見えてくるでしょう。

 1つは、コロナ・パンデミックは一切存在せず、世界の人々の間に常にパニック状態を作り出すように設計された精巧な心理作戦によって煽られた「PCRテスト・プランデミック」に過ぎないということです。この計画は長い間計画されてきました。結局は失敗しましたが、12年ほど前の豚インフルエンザはその先駆けでした。豚インフルエンザは、人々を憎み、同時に恐れ、共感力はゼロ、私たち世界の人々すべてを完全に支配したいという欲求に駆られた超富裕層の精神病質者と反社会的人間集団によってでっち上げられました。彼らは各国政府と主流メディアを利用しています。そのいずれも文字通り彼らの所有物であり、それを通して24時間365日「パニック・プロパガンダ」を伝達しています。

 2つ目は、COVID-19ウイルス自体はビタミンC、D、亜鉛などで安全かつ効果的に治療できることです。またイベルメクチン、ヒドロキシクロロキンなどの適応外使用も可能なのです。これらはみんな、代替的な治療方法なんかではありません。本物の治療法です。それなのに、彼らは「プランデミック」を装って、彼らの究極の目標である、効果がないばかりか、非常に危険な、つまり致死的な実験的注射を全ての人が受けるようにするためにこの本物の治療法を禁止したのです。それを今回の大陪審裁判で明らかにしてまいります。

 3つ目です。12年前に豚インフルエンザ、これは結局穏やかなインフルエンザであることが分かったのですが、その豚インフルエンザをパンデミックにした同じ人たちが、まずパンデミックの定義を変えることによって、今回の「コロナ・パンデミック」を創作しました。

 豚インフルエンザは、彼らがパンデミックを引き起こそうとした最初の本格的な試みでした。その時の目的の一つは、金融業界(より適切には金融マフィア。これはリーマン危機で明らかになっています)のあからさまな不正行為を我々の目からそらすことだったように、現在のコロナ・パンデミックもまた、同じことが彼らの主要な目的の一つになっています。

 もし、リーマン危機の時に、「金融犯罪の犯人たちは責任を取らされるだろう」という政府の約束の数々を盲目的に信じるのではなく、しっかり目を凝らしていれば、彼らが何十年にもわたって公金を略奪していたことが分かったはずです。私たちの政府はもう私たちの政府ではなくなっています。むしろ、彼らの主要な活動舞台である「世界経済フォーラム」を通じて、向こう側に乗っ取られてしまったのだということもわかったでしょう。世界経済フォーラムは1992年にはすでに「世界の若手指導者育成」プログラムを通して、彼らお抱えの世界的指導者の創造を始めていました。その最初の卒業生が、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)とビル・ゲイツ(Bill Gates)です。そして、私たちは、しっかり目を凝らしていれば、当時でも、私たちが今回の裁判でお示しするものを理解できたはずです。リーマン危機金融犯罪に対して、私たちが選出した政治家たちは何の異議申し立てもしませんでした。なぜなら、政治家たちはその犯罪者たちに力を貸し、けしかけ、その犯罪から利益を得ているからです。

 4つ目になります。しかし最終的に私たちが陪審員のみなさまにお示しするのは、彼らのもうひとつの主な目的は、私たち全員を過不足なく完全に支配することだ、ということです。これは、彼らの略奪行為の総仕上げでもあります。彼らは、私たちにとって身近な中小企業、小売業、ホテルやレストランを意図的に破壊し、その後をアマゾンのようなグローバル超巨大企業群に引き継がせようとしているのです。

 さらには、そのためには、人口を大幅に減らすことと、残った人口のDNAを、例えば、mRNA実験注射の助けを借りて操作することの両方が必要だと、彼らは考えています。

 しかし、彼らの考えでは、民主主義や法の支配、憲法を混乱によって意図的に破壊し、最終的に私たちが国や文化のアイデンティティーを失うことに同意させ、代わりに次の3つを受け入れさせることも必要となります:

 ①一つの世界政府。今や彼らの完全管理下にある国連(United Nations)と世界経済フォーラムの下に置かれることになります。
 ②デジタルパスポート。これを通して私たち一人ひとりの動きが監視され、コントロールされます。
 ③デジタル通貨。それを受け取ることができるのは、一つしかない世界銀行(もちろん彼らの銀行)からということになります。

 この事案の結論として、そしてすべての証拠をお聞きになった後で、私たちは、陪審員のみなさまがこの事案の頭目とされる4人の被告人、2つの企業すべてに対する起訴を勧告してくださるものと確信しています。具体的には、

 ①ドイツのクリスチャン・ドロステン(Christian Drosden)、
 ②米国のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)、
 ③世界保健機関のテドロス(Tedros)、
 ④ビル・ゲイツ(Bill Gates)、
 ⑤ブラックロック(BlackRock)社、
 ⑥ファイザー(Pfizer)社、
です。

 陪審員のみなさま。この事案は、ロンドン・シティとウォール街に拠点を置く超富裕層とその金融マフィアが、疑似パンデミックを利用して、私たちの関心がパンデミックに向いている間に、私たち全員を過不足なく完全に支配しようとする、数十年にわたる努力を完了させようという長期計画によるものです。

COVID-19 and the PCR Test — No Pandemic, Only Junk Data!

 この集団が会合を開き、この計略を議論してきた舞台は数多くあります。しかし、最も重要なものは、1971年に当時33歳だったクラウス・シュワブ(Klaus Schwab)によって創設された「世界経済フォーラム」です。そのメンバーは、①年間売上高50億ドル以上のグローバル企業1000社、②政治家、③メディア関係者、④科学者、そして、⑤その他いわゆる著名な人物たちです。年に一度、ダボス(スイス)で会合を持ちます。中国などで開催されることもあります。

 そして、1992年以来、彼らは世界の政治的リーダーのための独自のグループを作り、私たちに提示してきました。最初の卒業生には、先ほど申し上げたように、1992年にアンゲラ・メルケルとビル・ゲイツがここを卒業しています。その他にも、以下のような人たちがいます。最近までオーストリアの首相だったセバスチャン・クルツ(Sebastian Kurz)、カナダの首相ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)、ニュージーランドの首相ジャシンダ・アーデルン(Jacinda Ardern)、フランスの大統領フランソワ[エマニュエル]・マクロン(Francois [Emmanuel] Macron)、そしてもっともっと多くの人たちがいます。

 現在「ダボス会議」と呼ばれているこのグループ(クラウス・シュワブ著『グレート・リセット』という出版物は、この情報の最も重要な情報源の一つ)は、世界の資産をこの超富裕層集団に移し、2030年には普通の人々が「何も持たずに幸せになる」ことを推進すると、この本に明確に述べられています。彼らは、彼らの世界銀行が提供するデジタル通貨を用いながら、彼らの単一世界政府のもとで、世界人口の大幅な削減と残りの人々のDNAを操作して、なんとかトランスヒューマニズム*にまでもっていこうとの取り組みを、公然と押し進めています。今回の裁判で被告とされているビル・ゲイツ、ロックフェラー財団、そしてその他の個人や組織との密接な協力関係があります。
トランスヒューマニズム*・・・新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想である。省略して>HやH+と書かれる場合もある。日本語では「超人間主義」などと訳される。 (ウィキペディア)

 しかし、彼らの最も重要な目標は、彼らが完全に略奪した金融システムを、当然ながら彼らの力で制御しつつ内側から崩壊させることです。そして彼らがコントロールする「単一世界銀行」が発行するデジタル通貨を同時に導入することです。そしてそれと同じくらい重要なのは国連の下に置かれる世界政府の導入です。国連は2019年に彼らの完全支配下に入っています。この目的のために、彼らは少なくとも2001年の春以来、このコロナのプランデミックのための具体的な計画、「暗黒の冬」作戦を作り上げています。そして次のことがあります:

・2010年にロックフェラー財団が行った”Lockstep”のリハーサルもそうですし、最後に、
  ・2019年10月、ニューヨークで行われた“Event 201”があります。これはジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター、ロックフェラー財団、世界経済フォーラム、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が主催しました。

 陪審員の皆さん、この裁判では、科学の各分野のさまざまな高名な専門家証人ばかりでなく、実験的ワクチン注射を受けた結果、被った損害について証言する証人のみなさんもお呼びします。

 この冒頭陳述の1週間後、まず以下の人たちを証人に呼びます:

 ・2001年の「暗黒の冬」作戦に参加した元米軍兵士のジェイムズ・ブッシュ(James Bush);

 ・ 英国諜報機関の元メンバー ブライアン・ゲリッシュ(Brian Gerrish) とアレックス・トムソン( Alex Thomson);および

 ・ 調査ジャーナリストのウイットニー・ウエッブ(Whitney Web)とマシュー・エーレット
(Matthew Ehret );

 ・ 世界保健機関の元職員であり、相談役だったシルビア・ベーレンド(Sylvia Behrend)博士、そしてアストリッド・シュトッケルベルガー(Astrid Stuckelberger)博士;

 彼らは私たちが直面している事柄の歴史的、地政学的な背景を説明してくれるでしょう。そして、この計略が少なくとも20年前から計画されてきたこと、2001年の「暗黒の冬」作戦に始まり、約10年後のロックフェラー財団によるロックステップ・シナリオ、そして2019年10月の「衣装合わせ的」取り組みEvent201で終わることを示してくれることでしょう。最後に彼らは、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するのに必要な感染事例がなかったので、被告ドロステンにありもしない「無症状感染」の話を作り出させました。このPCR検査を使えば、完全に健康な人々を集団検査にかければ、感染者を検出できる、というのはウソです。それは私たちが今後の裁判の流れでお示しするところです。

 続けて、私たちがお呼びする証人は次の方々です:
 
 ・12年前の豚インフルエンザで、初めてパンデミック騒ぎを起こそうとした相手側を、それは軽いインフルエンザだと喝破した、経験豊富な肺の専門家であり、ドイツ連邦議会や欧州評議会の元議員でもあるウォルフガング・ウォダルグ(Wolfgang Wodarg)博士;

 ・ ビュルツブルグ(Wuerzburug)大学のウルリケ・ケンメレル(Ulrike Kaemmerer)生物学教授;

 ・ 元ファイザー社副社長マイク・イェードン(Mike Yeadon)博士
 
 ・シルビア・ベーレント(Sylvia Behrend)博士;アストリッド・シュトッケルバーガー(Astrid Stuckelberger);ダブリン大学のドローレス・カイール(Doroles Cahil)教授

 ・イタリアからはアントニア・ガッチ(Antonia Gatti)教授;ドイツからはベルクホルツ(Berkholtz)教授。

 この専門家たちは、武漢の生鮮市場の大発生伝説の背後にあるものを説明してくれるでしょう。彼らは次の3点を示してくれます:

 ①このウイルスの危険度は普通のインフルエンザと同じだということ、
 ②PCR検査は感染について何も教えてくれない。それなのに、PCR検査が究極の対策である、いわゆる「ワクチン」を含むすべてのコロナ対策の唯一の根拠となっていること、
 ③いわゆる「ワクチン」は効果がないだけでなく極めて危険であること。

 ウイルスの起源が天然か人工かにかかわらず、私たちの免疫システムはウイルスに対処する能力が完全に備わっていることは、感染の致死率が0.14~0.15%、あるいはそれ以下であることからも明らかです。この実験的なワクチン注射を始めるまで、どこにも超過死亡はありませんでした。2020年初頭には一人の感染者もいませんでした。しかし「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するためには感染事例が必要だったのです。世界保健機関加盟国の全政府が合意した独自のルールに従って、未試験の新薬(実験的ワクチン注射)を人々に使うことができる唯一の根拠が、これ(「感染事例があるから」)だったからです。

 感染事例がまったくなかったため、この「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を発表することは最初できませんでした。しかしその後、彼らが再度挑戦したのは2020年1月下旬、今や悪名高いあのドロステンPCRテストの助けを借りて感染事例を創作した後、この「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を発表しました。感染事例を創作した2週間後のことでした。私たちは、これらの症例はほとんどすべて偽陽性の検査結果であり、それ以外の何ものでもなかったと、これらの専門家から聞くことになるでしょう。

 次の専門家グループです:
 ・スイスからはトマス・ビンダー(Thomas Binder)博士;

 ・テキサスからはブライアン・アーディス(Bryan Ardis)博士;

 ・南アフリカからはシャンカラ・チェッティ(Shankara Chetty)博士

 ・ドイツからはヴォルフガング・ヴォーダルク(Wolfgang Wodarg);そして、

 ・イギリスからは葬儀屋のジョン・オルーニィ(John O’Looney)

 これらの専門家は、呼吸器疾患に対する通常の効果的で安全な治療が、意図的かつ完全に無意味に禁止されている様子を私たちが最初から目撃していることを語るでしょう。その代わりに、挿管、レムデシビル、ミダゾラムといった、今や重大な医療過誤とみなされるべき治療が義務づけられたのです。ジョン・オルーニィは、最初、パンデミックに関する相手側の主張を信じて、BBCのパニック宣伝に協力さえしていましたが、パンデミックという名目で人々が意図的に殺されていることに気づきました。その経緯を説明します。

 私たちは、さらに、次の専門家グループを証人としてお呼びします:
  
 ・フランスからはアレクサンドラ・アンリオン・コード(Alexandra Henrion-Caude)教授;

 ・マイク・イェードン博士;

 ・ドイツからはズカリット・バクディ(Sucharit Bhakdi)教授;

 ・フランスからはルク・モンテニエ(Luc Montagnier)教授;

 ・ドイツからはバネッサ・シュミット-クルーゲル(Vanessa Schmidt-Kruger)博士

 ・アメリカからはmRNAワクチン技術の発明者ロバート・マロン(Robert Malone)博士;そして、

 ・ドイツからは病理学者のアルネ・ブルクハルト(Arne Burkhardt)教授

 この証人グループが示してくれるのは次の2点です:

 ①COVID-19ウイルスは超過死亡を引き起こさないし、(罹患しても)その生存率は99.97%であること

 ②9月以降、スパイクタンパク質の毒と私たちの免疫システムを停止させた結果、ワクチン注射が人々を殺し、最大40人の超過死亡を引き起こしていること

 マイク・イェードン博士は、科学者のグループが、ワクチンの製造者が、致死的な副作用を、国民がすぐに理解できないような方法で操作することができるかどうか、致死的な投与量で実験しているという具体的な証拠さえ見つけたことを教えてくれるでしょう。

 次の専門家証人グループは、そんなことがどうして可能だったのかを説明してくれるでしょう。メンバーは次の通りです

 ・ベルギーからはマティス・デスメット(Mattias Desmet);

 ・フランスからはアリアンヌ・ビルエラン(Ariane Bilheran);

 ・アメリカからはメリデス・ミラー(Merideth Miller);

 ・ドイツからはハラルド・ヴァラク(Harald Walach)教授;そして、

 ・ドイツ内務省職員のステファン・コーエン(Stefan Cohen)です。

 この専門家たちは、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を確立した後、相手側がどのようにして、監禁、無意味で危険なマスクの義務付け、身体的にも心理的にも非常に有害な社会的距離を置くことを次々と紹介し、最終目的である非効率で危険な致死注射にたどり着いたかを教えてくれます。そして、私たちがこれらすべてを受け入れることが、いかに巨大な心理作戦によって可能になったかを、主流メディアと政治家(どちらも相手側に所有されている)の執拗なプロパガンダを通して私たちが受け取り続けたパニック・メッセージを通して、詳しく説明してくれることでしょう

 次の専門家証人グループ以下です:

 ・ アメリカからは前投資銀行家だったレスリー・マヌキアン(Leslie Manukian);

 ・アメリカからはジャーナリストで作家のナオミ・ウルフ(Naomi Wolfe);

 ・ドイツの経済学者アーンスト・ヴォルフ(Ernst Volff);

 ・ドイツの経済学者クリスチャン・クライス(Christian Kreiss)教授

 ・ドイツの経済学者ホルゲル・ライヘル(Holger Reichel)教授;そして、

 ・ドイツの経済学者マルクス・クロール(Marcus Kroll)

 裁判のこの場面において、上に挙げた専門家たちに、意図的な経済破壊と、相手側が金融システムの制御された崩壊をどのように進めているか、の両方について、詳しく説明してもらう予定です。過去数十年間に彼らがすでに犯した犯罪、つまり何も残らなくなるまで私たちの公的財源をさんざんに略奪しておいてその罪を逃れ、そして一つの世界銀行とデジタル通貨、デジタルパスポートを導入しようとしているのです。

 次が最後の専門家証人グループです:

 ・カナダからは調査ジャーナリストのマシュー・エーレット(Matthew Ehret);

 ・ホロコースト生存者のヴェラ・シャラフ(Vera Sharav);

 ・イスラエルからはイラーナ・レイチェル・ダニエル(Ilana Rachel Daniel);

 ・ニューヨークからはラビのスミス(Smith);

 ・アメリカからはテクノクラシーの専門家パトリック・ウッド(Patrick Wood);

 ・イスラエルからはアヴィタル・リヴニイ(Avital Livny)

 この調査の最後の場面では、この専門家たちに、相手側の計略の重要な部分が、人口コントロール、つまり優生学とどのように関係しているかを語ってもらいます。第二次世界大戦後、優生学は悪名を残しました。UNESCOを設立したジュリアン・ハックスレー(Julian Huxley)がそうです。しかし、彼と優生学の考えを支持する非常に大きなグループの人々は、彼が公然といいのけているこの方向で努力を続けることがすぐにでもできるでしょう。80年前に起こったことと、今起こっていることの類似性を無視してはなりません。ヴェラ・シャラフは、このことを私たちに思い起こさせてくれるでしょう。

 すべての証拠をお聞きになった後、私たちが想定している被告人全員に対して、人道に対する罪での起訴を、陪審員のみなさまが勧告されることに私たちは何の疑問も持っていません。
 
 以上です。

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アメリカン・ドリームとともに崩れゆくアメリカ

アメリカン・ドリームとともに崩れゆくアメリカ

<記事原文   寺島先生推薦>

America is Crumbling along with the American Dream

NEO 2022年2月7日

著者 ヴァレリー・クリコフ(Valery Kulikov)

 <記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月17日



 ここ数日、欧米のメディアは米国の将来を占う象徴的な記事をいくつも発表している。

 まず、ジョー・バイデン大統領のピッツバーグ訪問の数時間前に、同市で橋が崩落したというThe Hill紙の報道は注目に値するだろう。これは、「世界で最も成功している国」のリーダーが落胆したような、米国の4万5千の橋の悲惨な現状というよりも、むしろ国全体の危機的状況を予感させる出来事であったことは明らかである。この「現状」については、ジョー・バイデン自身が、経済が依然として苦境にあることは絶対に明らかであると指摘している。1000万人以上のアメリカ人が失業し、400万人が6カ月以上仕事を失っている。3,600万人の国民が瀬戸際に立たされている。

 しかし、ドイツの週刊誌『シュピーゲル』は、すでにアメリカを襲っている災難について、もっと率直に、「アメリカは貧しい人々の国である」と述べている。現在、アメリカ人の6人に1人が飢餓に直面している。パンデミック以前から、約3,500万人の米国民が十分な食料を得られないでいる。「フィーディング・アメリカ(Feeding America)」によると、COVIDの大流行によって、その数はすでに5,050万人に上り、そのうち1,700万人は子どもたちだという。世帯主のほぼ4分の1が自分の食料確保に不安を抱いていると認めており、これは2018年末の2倍にあたる。特に子供のいる家庭の生活は厳しい。ニューヨークやロサンゼルスのような豊かな巨大都市であっても、貧困化の兆候は至る所に見られる。無料の温かい食事を求める列は非常に長く、最後に立っている人は昼食を食べられないかもしれない。その日の配給が単になくなってしまうからだ。食糧銀行は、米国政府からの20億ドルの援助が予定されているが、「差し迫った危機」を解決するには十分でないと指摘している。

 「アメリカ没落」のさらなる証拠として、サンフランシスコの高級住宅用超高層ビル「ミレニアムタワー」でさえ、「ピサの斜塔」のように、「年に約3インチ(7.5センチ)ずつ沈み、横に傾き続けている」と「ガーディアン」は報じている。米国を訪れたデンマークの新聞ユランス・ポステン(Jyllands-Posten)の特派員は、「世界は米国の崩壊を目の当たりにしている」と書いている。

 米労働統計局によると、昨年12月、米国のインフレ率算出の主要ツールとなる消費者物価指数は、2020年同月比で7%上昇し、1982年6月以来の高水準に達したという。ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)のディレクター兼シニアエコノミストであるサラ・ハウス氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に次のようにコメントしている。「今、インフレに関しては、まだ途方もない勢いがあります。インフレ率は今後数ヶ月でピークを迎える可能性が高く、全般的な上昇ペースは消費者、企業、政策にとって難題として残るでしょう」と。高いインフレはすでに消費者が実感できるほどに伝わっており、消費者は支出を減らし始めている。

 米国のインフレ率は過去40年間で最も高い水準に達している。ガソリンや食品価格の急激な上昇により、アメリカ人は倹約を余儀なくされている、とABCニュースは報じている。

 AP通信によると、このような困窮の中で、ロサンゼルスのダウンタウンに近づく列車内の貨物コンテナを、泥棒が数ヶ月にわたって自由に物色しているという。彼らの「獲物」は、アマゾンやREI(レクリエーショナル・イクイップメント:アウトドア用品店)などの小売業者からの小包だ。線路の両側には、ホームレスのためのキャンプがある。「地球上で最も公平な社会」からはみ出した何千人もの人々にとって、陳腐な泥棒が唯一の生計手段となっている。

 ジョー・バイデン政権は、「人種的正義」を標榜しながら、自分たちが犯した過去の罪を償うために白人を苦しめている、とFox Newsは報じている。同チャンネルが指摘するように、差別は医療にまで及んでいる。貴重なCOVID-19薬は、慢性疾患の有無にかかわらず、主に非白人種に処方されているのである。

 ワシントンポストとメリーランド大学が行った世論調査によると、アメリカ国民の約半数(46%)が、国内の民主主義のあり方に「少し」または「絶対」不満があると答えたという。こうした中、当局に対する武力行使を容認する米国人の割合が、ここ数十年で前例のない水準に上昇している。現在、アメリカ人のほぼ3人に1人が、政府に対する暴力は時として正当化されることがあると信じている。このような考えを持つ米国人の割合は、20年来の高水準に達している、と同誌は指摘している。

 「カリフォルニア・ドリーム」は、パンデミックの試練に敗れ、1年間で17万3千人がカリフォルニアを離れた。そして、そのほとんどがロサンゼルス郡とサンフランシスコ郡からだとル・フィガロ誌は伝えている。政権を担う民主党は、この傾向を出生率の低下、移民流入の減少、COVID-19による死亡率の上昇のせいにしているが、共和党は、人口逃避は犯罪増加などの原因となる州の政策のせいだとしている。

 アメリカの国家はかつてないほど病んでいる、とAmerican Conservative誌は書いている。米国の平均寿命は低下しており、一方で病的な不安やうつ病を持つ人々の数は増加している。この出版物は、"アメリカでは、馬から落ちる人は増えているようだが、自分で起き上がることができる人は減っているようだ "と推測している。これらの状態にあるティーンエイジャーや成人の抗うつ剤使用の驚くべき高さは、公式統計に反映されていて、アメリカ人の10%がこのような薬を服用しており、40歳から50歳の女性では25%に近い数字になっている。

 米公共放送NPRと調査会社イプソスが行った世論調査では、アメリカ人の間で政治的、文化的に深い溝があるにもかかわらず、彼らは一つのことに同意している。それは、民主主義とアメリカそのものが危機に瀕しており、崩壊する可能性があるということだ。

 ニュースサイト「Insider」によると、共和党のリンゼイ・グラハム(Lindsey Graham)上院議員は、「失敗した民主党の急進的な政策」によって、アメリカは1930年代後半以来の最も危険な時代に突入したと述べたという。彼は、「アメリカ人は今年、国のあり方を危うくした失敗した民主党の過激なアジェンダに反対するために投票する。」と述べた。

 それにもかかわらず、「アメリカのエリートは、自分たちの失政を裏付けるような現実を否定しようとし、その結果生じた国民の不満を、外国の陰謀家が企てた悪巧みとして扱う」と、American Conservative誌は書いている。そしてこれは、「ロシアのプロパガンダ」とされる国務省の別の文書によって証明されているように、ロシアがあらゆる種類の悪さをしていると非難するということだ。しかし実際には、「西側の "反偽情報 "産業は、それを無視することができる。プーチンは真実を語っている」と同誌は強調する。

 現在のアメリカの政治エリートは、自分たちの間違いを糺す代わりに、数々のプロパガンダ情報キャンペーンを繰り広げている。例えば、「モスクワのウクライナに対する侵略という世界的な脅威」だ。ロシアや中国に対抗できない兵器でヨーロッパ全体を守ろうとしているワシントンのこうした行動の無意味さとあからさまな捏造を、キエフ自身ですら公式に語っているのだ。
 
 そして、「人権の擁護者」であると自ら宣言することで、米国はますますマッカーシズムの牙城となりつつあるのである。左翼やリベラルな人物や組織に向けられたマッカーシズムの時代は、主に1950~54年の政治反動の時期に起こったと考えられている。しかし、最近の出来事を見ると、このイデオロギーが現在のアメリカの政治体制の中でも大きく脈打っていることがよくわかる。外国の敵対者を万能の存在として描き、人々の恐怖心を維持しようと、今日のアメリカで積極的にこの思想を復活させようと試みている勢力が存在するのである。今日のマッカーシズムの伝道師たちは、すべての不幸の背後にはロシアがいるという考えを植え付けようとし、この主張にあえて異議を唱える者がいれば、"こいつはプーチンのために働いている"という裏切り者のレッテルを自動的に貼るのである。

 最近、米国の司法長官代理が、政府の権力に反対する市民を追跡するための「国内テロ」部門を新設すると発表したのも、こうした状況が原因となっている。元米国下院議員のトゥルシ・ガバード(Tulsi Gabbard)がFox Newsのインタビューでこう指摘した。「これは権威主義の土台となる・・・そしてこれは(アメリカの)民主主義において容認できないし、野放しにしてはならない」と。

ヴァレリー・クリコフ、政治専門家、オンラインマガジン「New Eastern Outlook」の専属記者。

 

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1936年のオリンピック。世界から批判の声が上がる中、米国はヒトラーを支援

1936年のオリンピック。世界から批判の声が上がる中、米国はヒトラーを支援

<記事原文 寺島先生推薦>
Olympic Games 1936: How USA Supported Hitler Amid International Protest
Strategic Culture
2022年2月6日
ベルナー・リュグナー(Werner Rügemer)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月15日

 米国はオリンピック開催国にはふさわしくないと、中国を激しく攻撃している。しかし1936年に、ヒトラー統治下のドイツは夏期オリンピックと、冬季オリンピックを成功裡に終わらせていた。米国はその手助けをしていたのだ。世界中のユダヤ人や労働者たちから抗議の声が上がっていたにもかかわらず。

 1936年のベルリンオリンピックについては、世界中から中止させようとする動きがあったのだが、最終的には実施され、しかもこれまでにないほど大きく、素晴らしい大会になった。独裁者ヒトラーはそのオリンピックを利用して、世界中から知られることになった。

 ヒトラー政権が犯した罪は、1933年の年始から世界中で知られていた。ヒトラー政権が直接権力を手中に収め始めたのは1933年1月のことで、政敵たちを逮捕し、殺害し、収容所に閉じ込めていた。この影響を主に受けたのは共産主義者や、社会民主主義者など左翼の人々だった。NSDAP(国民社会主義ドイツ労働者党)以外のすべての政党は禁止された。1933年5月1日以降、労働組合は破壊され、解散させられた。

 ナチスはユダヤ人や、シンティ・ロマ人や、左翼の人々をスポーツクラブから追い出した。ユダヤ系の2つのスポーツ団体であったマッカビ(Maccabi)とシルト(Schild)– この二つの団体は1935年のドイツにおいて350ほどのクラブを所有しており、合計4万人のメンバーが存在していた–はスポーツ施設の使用が許されなくなった。さらにドイツのオリンピック選手団にはユダヤ人が一人も入りそうもないことは明らかだった。

バルセロナでの代替大会


 ヒトラーが権力を掌握した2年前の1931年、国際オリンピック委員会(以降IOC) は1936年のオリンピック(夏期も冬期も両方)をドイツで行うことを決めていた。

 ヒトラーが権力を掌握した後の1933年、異論を挟んだ国は2国にすぎなかった。それはソ連と1931年に政権を取ったスペイン共和党政権だった。1936年のオリンピックとして、この両国は第2回「人民オリンピック」をバルセロナで開催する準備をしていた。このオリンピックは、17カ国が参加する労働者のためのスポーツ大会だった。第1回人民オリンピックは、1931年にバルセロナで開催されていた。しかし2000人の参加者が1936年夏にバルセロナ入りしたとき、スペインではフランシスコ・フランコ将軍によるクーデターが開始された。このクーデターは米国の数企業から支援を受けていた。具体的には、テキサコ社、ゼネラルモーターズ社、クライスラー社だ。米国議会は、スペインに対しては中立の立場を取ると決めていたのだが。

 いくつかの欧州諸国のスポーツ当局からもベルリンオリンピックを中止させようという声が上がっていた。当時最大のスポーツ組織であった米国のアマチュア運動連合(AAU)のジェレミアー・マホーニー(Jeremiah Mahoney)連合長も中止を求めていた。

ニューヨークとテルアビブでのユダヤ人のための代替大会

 1933年5月、スティーヴン・ワイズ(Stephen Wise)伝道師は、アメリカユダヤ人委員会とともにニューヨークでデモ行進を行った。アマチュア運動連合は、ニューヨークで、「労働者のための世界運動大会」を組織した。この大会はユダヤ人運動家の指導者たちによって支援されていた。その中には、フィオレロ・ラガーディア(Fiorello La Guardia)ニューヨーク市長や、ハーバート・リーマン(Herbert Lehman)ニューヨーク州知事や、ユダヤ人労働者委員会や、反ナチス連盟も含まれていた。ただしユダヤ人の主要な団体であった米国ユダヤ人委員会や、ブナイ・ブリス(B’nai B’rith)は ナチスを批判することには二の足を踏んでいた。1936年8月15日と16日のニューヨークでの世界大会の参加者はたった400人だった。

 1935年に、二回目のユダヤ人のスポーツ大会であるマカビア(Maccabiad)競技大会が、テルアビブで開かれ、27カ国から1350人が参加した。しかし選手のほとんどは母国には戻らなかった。その理由は、ヨーロッパ(スペインや、ハンガリーや、オーストリアや、ポーランドなど)でファシズムが台頭しつつあったからだ。

ノルウェーで開催された冬期大会の代替大会

 1936年ノルウェーで、複数の左翼組織が冬期スパルタキアダ(Spartakiade)を開催し、ソ連やスウェーデンやフィンランドから選手が集まった。しかしニューヨーク・タイムズ紙といった世界のマスコミは、同時期にドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェン(Garmisch-Partenkirchenk)で開催されていた冬季オリンピックのことのみ報じた。

 オーストリアでは、8名のユダヤ人選手のうち6名(その中には、水泳の優勝者であったジュディス・ドイツ(Judith Deutsch)も含まれていた)がベルリンオリンピックへの参加を棄権した。ジュディス・ドイツはスポーツ界から永久追放され、1936年になってやっとテルアビブへ移住した。

 一方、ウエイトリフティングのデビッド・マイヤー(David Mayer)選手や、バスケットでサムエル・ボルター(Samuel Balter)選手や、短距離走のサムエル・ストーラー(Samuel Staller)選手や、マーティ・グリックマン(Marty Glickman)選手といったユダヤ系米国人の何名かは、ベルリンオリンピックに参加したいと考えていた。1924年のパリオリンピックの100メートルの金メダリストのハロルド・アブラハム(Harold Abrahams)選手は、英国運動協会の協会長や、トーマス・インスキップ(Thomas Inskip)英国国防相に対して、ベルリン大会に出場できるよう、ロビー活動を行っていた。

貴族と将軍と起業家たちからなるIOC

 伝統ある大会であるオリンピックの組織委員会は今よりも力を持っていた。その力を得て、ベルリンが開催地になれたのだ。

 1936年のIOCのメンバーには、デンマークや日本やリヒテンシュタインの皇太子が加わっていた。さらに、大佐や将軍や陸軍元帥や大将たちが、ドイツ、イタリア、ポーランド、南アフリカ、ユーゴスラビア、オランダから集まっていた。

 米国のIOCのメンバーは二名とも起業家だった。シカゴの建設業の大物アベリー・ブランデージ(Avery Brundage)と、不動産投機家のウィリアム・ガーランド(William Garland)だ。フランスからは、ポメリー・グレノ(Pommery & Greno)シャンペン・セラーのマルキ・ド・ポリナック(Marquis de Polignac)社長だ。ドイツからは、ドイツ銀行の重役であり、NSDAP(国民社会主義ドイツ労働者党)の党員であり、寄付を行うのが好きだったナチス親衛隊のハインリヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler)とも交友関係のあったカール・リッター・フォン・ハルト(Karl Ritter von Halt)だ。スウェーデンからは、電子工学会社ASEAの社長だったジークフリード・エドストリーム(Sigfrid Edström)だ。IOCのメンバーには貴族やその家族も多く含まれていた。例えば、英国のIOCのメンバーは、第3代アバーデア男爵であり、第6代のエクセター侯爵でもあるクラレンス・ネィピア・ブルースだったが、彼は多くの不動産を所持していただけではなく、複数の企業の重役も務めていた。このことは、IOC委員長のアンリ・ド・バイエ・ラトゥール伯爵についても当てはまった。同伯爵はベルギー国内の富裕家族上位10位の一つに入っており、ベルギー最大の銀行であるソシエテ・ジェネラル銀行などの複数の企業の株を所有していた。

主たる決定権を有していたのは米国だった

 IOCや国内オリンピック委員会は、中止の動きを止めようとしていた。オリンピックへの参加を早くから表明したのは、ファシストの枢軸国であったイタリアと日本であり、ファシスト政権と友好関係にあったフィンランド、ポーランド、南アフリカ、ポルトガル、ルーマニア、オーストリアも続いた。

 1932年のロサンゼルスオリンピックは、オリンピックの新しい規準を打ち立てるものだった。参加者数や記録や競技場などの近代的スポーツ施設の大きさが躍進したのだ。スポーツ政策に成功していた「世界最大のスポーツ国家」米国がベルリンオリンピックに参加するかしないかにより、1936年のベルリンオリンピックが開催できるかどうかが決せられる、と考えられていた。

 米国オリンピック委員会(AOC)委員長は、アベリー・ブランデージ(Avery Brundage)だった。 第1次世界大戦時に政府と契約したことにより、ブランデージが所有していた会社は躍進できた。ブランデージはシカゴ最大の住宅開発業者であり、不動産投資家だった。ブランデージは超高層ビルや、高級大邸宅や、ホテルを建設し、フォード社の製造工場まで作っていた。

米国オリンピック委員会委員長は、猛烈な反ユダヤ主義者だった

 ブランデージはヒトラーを崇拝していて、自分も反ユダヤ主義者であることを公言していた。「シカゴにも、私のクラブ内にもユダヤ人は立ち入り禁止」と彼は語っていた。彼から見れば、オリンピック中止運動は、「ユダヤ人共産主義者たちによる陰謀」だった。バイエ=ラトゥールIOC 委員長も、ブランデージの反ユダヤ主義を支持していた。「ユダヤ人は、理由もないのに金切り声を上げ始める」と、同委員長はブランデージへの書簡の中で記していた。

 バイエ=ラトゥールIOC 委員長の主導のもと、ブランデージはIOCのメンバーに選出された。ブランデージとともに米国から選ばれたのは、チャールズ・シェリル(Charles Sheril)だった。シェリルは、第1次大戦時の准将であり、ニューヨークで弁護士もしており、アルゼンチンやトルコの米国大使も務めていた。このシェリルも熱狂的なファシズム支持者だった。1933年3月4日のニューヨーク・タイムズ紙の記事において、シェリルは他の米国の実業家と同様に、ヒトラーをドイツで最も素晴らしい政治家であると持ち上げていた。同様に、シェリルはムッソリーニの登場についても歓迎し、ムッソリーニのことを、「無能な民主主義に基づくヨーロッパの体制を再構築してくれる政治家だ」と捉えていた。

ヒトラーはオリンピックの創設者を買収

 ヒトラーは、オリンピックの創設者と、IOCのピエール・ド・クーベルタン名誉会長にそれぞれ「名誉報酬」として1万ライヒスマルク(現在の価値で10万ドル程度)をオリンピック直前に贈っていた。ヒトラーは既に、ベルリンでオリンピックが開催された際は、クーベルタンに生涯に亘る年金の提供を申し出ていた。

 スイスのIOCの役員たちもベルリンでオリンピック開催にむけて重大な役割を果たしていた。王室侍従で、米国の実業家の娘と結婚したクラレンス・フォン・ローゼンは、ヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング(Herman Goering)の妻カリンと姻戚関係にあった。クラレンスの弟のエリック・フォン・ローゼン(Eric von Rosen)はスウェーデンでのファシズム運動を創設した人物であり、クラレンスも同調していた。スウェーデンの二人目のIOCメンバーは、電子工学会社ASEAの社長 ジークフリード・エドストレーム(Sigfrid Edström)だった。この会社はヒトラーの大ゲルマン帝国と親密な取引を行っていた。

チャーチルはベルリンオリンピックをどう見ていたか?

 英国IOCの二人のメンバー、アバーデア男爵とバーバリー男爵も、ベルリンオリンピック開催に向けて政治的な働きかけを行っていた。中止派だったノエル・カーティス・ベネット(Noel Curtis Bennet)卿には支持が全く集まらなかった。ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)はこの論争をこうなだめていた。「共産主義よりもヒトラーの方がましだ!」

フランスのシャンパン王はベルリンオリンピックをどう見ていたか?

 ドイツ国防軍が、1936年3月に、非武装地帯だったラインラント地方を占領したのち、フランスのスポーツ当局は夏期オリンピックの中止を求めた。その中には、国際ホッケー連盟(HIF)のマルク・ベルン・ド・コト-(Marc Bellin de Coteau)連盟長や、国際サッカー連盟(FIFA)のジュール・リメ連盟長もいた。しかしフランスについては、IOCのメンバーでもあり、シャンパン王だったマルキ・ド・ポリナックが決定権を握っていた。フランスのベルリン大使アンドレ・フランソワ・ポンセ(André Francois-Poncet)は、フランスの重工業界のロビーストであり、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンでの冬季オリンピック開催を熱烈に歓迎していた。

アパルトヘイト推進将軍はベルリンオリンピックをどう見ていたか?

 一方ヘンリー・ナースには、ナチス政権と敵対する理由は全くなかった。南アフリカからのIOCメンバーだったナースは、ボーア戦争(1899-1902)時、英国植民地軍でキッチナー(Kitchener)元帥のもと中佐を務めていたことに誇りを持っていた。収容所において、ボーア人の家族や地元の人々が飢え死にし、焦土作戦が行われ、人殺しは罪に問われなかった。ナースは南アフリカの金鉱や炭鉱の所有者となり、そこでナースは国家の助けを借りることで、黒人を搾取することができた。アパルトヘイト政策が法制化されたのは第二次世界大戦後のことだったのだが、ナースは既にアパルトヘイト政策を地で行っていたのだ。

 ナースが行っていたことは、以下のナチスが犯した3つの蛮行と何のひけもとらなかった。①ナチス政権が犯した罪②1935年に成立させた「ニュルンベルク人種法」③オリンピックに先立つ数週間前に起こったスペインのフランコ将軍のクーデターを支持したこと。

大熱狂とエリートたちの贅沢

 アルプスのリゾート地、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンでの冬期オリンピックは、何の障害もなく、1936年2月6日から16日まで開催された。またベルリンでの夏期オリンピックは、1936年8月1日から16日まで開催された。

 当初、ナチスの新聞「シュテルマー」紙と、「フェルキッシャー・ベオバハター」紙は、黒人やユダヤ人を排除することを煽る記事を書き、黒人やユダヤ人はオリンピックに参加させるべきではないという主張をしていた。しかしバイエルン州の町ガルミッシュ=パルテンキルヒェンで開催された冬期オリンピックや、ベルリンでの夏期オリンピックの際、「ユダヤ人禁止」の看板はすべて撤去され、悪魔化されていた「黒人音楽」のジャズはほぼ許可され、卍型のナチス旗が、世界各地からの観客の前で、全世界に向けて揺れていた。

マスコット的扱いを受けたユダヤ人たち

 IOCの米国メンバーのチャールズ・シェリルが二回の個人的な面会の際にヒトラーにすすめたのは、「ドイツのオリンピックチームにマスコット的なユダヤ人を加えれば、国際社会からの批判の対策になるかもしれない」、という作戦だった。ナチスはシェリルからの助言に従った。二名の「ユダヤ人ハーフ」が、マスコット的存在のユダヤ人として、ドイツチームに加えられたのだ。その二名とは、アイスホッケーのスター選手だったルディ・ボール(Rudi Ball)選手と、フェンシングのヘレン・メイヤー(Helene Mayer)選手だった。メイヤー選手は、外見上は金髪の非ユダヤ人女性の理想的な顔立ちをしており、米国在住者だった。表彰式において、メイヤー選手は競技場でヒトラーに敬礼を捧げた。

 新しく建設されたオリンピック競技場には10万席が用意されていた。これは1932年のロサンゼルスオリンピックで使用された大競技場と同じ大きさにしたものだったが、ヨーロッパで最も大きい競技場となった。その競技場は巨大な閲兵場やオリンピック村や広いスポーツ施設に囲まれていて、そこで様々な訓練もでき、美術作品も展示されていた。

リヒャルト・シュトラウスの音楽と、福音教会と、レニ・リーフェンシュタールと、コカコーラと・・

 1936年、古代ギリシャのオリンピアから、ヨーロッパを横断する聖火リレーを初めて行ったのがナチスだった。その風習がそれ以来続けられている。3075名の走者が聖火を運び、5カ国を通り抜け、ベルリンに到達した。最終走者は以下の3つの条件を満たしているものしか認められなかった。①走り方②良い体格と良い姿勢③髪の色と目の色、そして政治的志向。すべてが満たされていないと認められなかった。

 世界的に有名な作曲家リヒャルト・シュトラウスが、オリンピックの歌を作曲した。ヒトラーのお抱え彫刻士であったアルノ・ブレーカー(Arno Breker)が非ユダヤ人運動選手の裸体像「十種競技の勝者」の彫刻作りに貢献した。プロテスタント派教会は、ベルリン大聖堂でIOCのために大規模な開会式典を催した。ヒトラーのお気に入りの建築家アルベルト・シュペーア(Albert Speer)作の光のドームが国民社会主義ドイツ労働者党の党大会に合わせて開発され、競技場を上から照らした。

 ヒトラーの到着や試合や表彰式に合わせてファンファーレが鳴り響いた。歴史上初めて、試合の模様が放映された。コカコーラなどの企業がスポンサーについた。IOCはヒトラーのお気に入りの監督であるレニ・リーフェンシュタール(Leni Riefenstahl)にオリンピックの公式映像の製作を依頼したが、この映像には近代化されたカメラが使用され、水中カメラまであった。これらは当時全くの新製品だった。

ゲッベルスがユダヤ人排斥運動で手に入れた施設で開いた「イタリアの夜」

 プロパガンダ戦略担当大臣だったヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)とヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング(Hermann Göring)陸軍元帥は、張り合うかのようにセレブたちのための豪華なパーティを開いた。ゲッベルスは、アーリア化(ユダヤ人排斥運動)で手に入れたベルリン孔雀島の施設で、「イタリアの夜」というパーティを開催した。

 いっぽうゲーリングは、自身のプロイセン宮殿に客人たちを招待した。どのパーティにも1回につき1000人の客人が招かれていた。その客人とは、諸国の王や、ヨーロッパの貴族たち、諸国からの外交団、IOCのメンバーたち、ナチス親衛隊や国民社会主義ドイツ労働者党の役員たち、大臣たち、映画や演劇界のスターたち、メダリストたちなどだった。花火も上がり、古代衣装や、ビクトリア朝衣装をまとった舞踏会が催され、戦闘爆撃機の操縦士エルンスト・ウーデットが妙技を披露していた。

ニューヨーク・タイムズ紙と、ディリー・エクスプレス紙と、ケルニシェ・ツァイトゥング紙

 ヒトラーはオリンピックの目的についてこう宣言していた。「諸国間の平和の絆を強めるためです」と。ヒトラーに与していたのは、ドイツのブルジョア系メディアだけではなかった。

 ケルニシェ・ツァイトゥング(Kölnische Zeitung)紙、(現在も後継であるケルナー・シュタットアンツァイガー(Kölner Stadt-Anzeiger)紙は健在だ)はこう報じていた。「(このオリンピックは)新生ドイツが平和を愛する世界のすべて人々に贈った最も偉大な祝賀だ」と。「世界の人々の世論」を形成していたアングロサクソンのメディアもこの報道に共鳴していた。「歴史上最も偉大なスポーツショーだ」(ニューヨーク・タイムズ紙)。「ドイツ国民の考え方を素晴らしく変革させたものだ」(ディリー・エクスプレス紙、ロンドン)。

アベリー・ブランデージはヒトラーの願いをすべて実現させた

 ベルリンオリンピック開始日であった1936年8月1日のアドロンホテルでの会合において、すでにIOCは1940年のオリンピックの開催地を東京にすることを決定していた。当時大日本帝国は、朝鮮、中国、台湾に侵攻していたのだが・・・。1939年にIOCは冬季オリンピックを再度ドイツで開催することを決めた。ブランデージもIOCも、ヒトラーの願いをすべて実現させたのだ。

 米国との間に深く、また経済的なつながりがあったため、ヒトラー統治下のドイツは米国政府からの覚えをめでたくしようと考え、大使館をかなり大きなものに作り替えた。その際ほかでもないやり手のブランデージが、ワシントンのドイツ大使館の建設の契約を勝ち取っていた。

ルーズベルトはナチスに対して批判的な大使を更迭した

 オリンピック後の1938年に、ルーズベルト政権は、ベルリン駐在のウイリアム・ドット(William Dodd)大使を更迭し、後任にヒトラーの崇拝者であるヒュー・ウィルソン(Hugh Wilson)を選んだ。ウィルソンは、米国メディアを、「ユダヤ人たちの影響を受けている」と叱り飛ばしていた。その理由は、当時のドイツのユダヤ人の扱い方を批判しすぎているから、ということだった。

 ウィルソンは、ヒトラー政権については、「よりよい未来」建設にむかって努力していると賞賛していた。ウィルソンはヒトラーについてこう語っている。「道徳的な絶望や、経済的な絶望から国民を抜け出させ、自尊心を醸成させ、繁栄へと導いた」と。

 チャーチルは何度もヒトラーを認める発言を行っている。「ヒトラーを憎む人もいるだろうが、ヒトラーの愛国心溢れる業績を賞賛する人も多い」、と1937年にチャーチルが記述している。頑固な反共産主義者であった彼が当時心配していたのは、ヒトラーが「ロシア」に対して間違った戦略を取って、(対ソ連攻撃を)失敗したままにしてしまうのではないか、ということだった。「ヒトラーはナポレオンと同じ間違いをしてしまわないだろうか?」と。

 チャーチルの懸念は現実のものとなった。しかし、ヒトラーが敵と見た国との戦争はヒトラー後も続けられたし、今でも続いている。

 


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COVIDワクチンを接種したら、身体の免疫機能を完全に獲得することは絶対になくなるーー政府統計が明かす驚愕の真実

COVIDワクチンを接種したら、身体の免疫機能を完全に獲得することは絶対になくなるーー政府統計が明かす驚愕の真実
<記事原文 寺島先生推薦>
If You Take the COVID Vax, You Can Never Achieve Full Immunity Again – Government Stats Unveil the Horrifying Truth

Global Research
2022年2月22日
BigPharmaNews.com(2021年10月24日)
イーサン・ハフ(Ethan Huff)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月16日


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 武漢コロナウイルス(Covid-19)の「ワクチン」を一度接種すると、二度と完全な自然免疫を獲得することができないという、例の事実を、英国政府がうっかり洩らしてしまった。

 英国健康安全局は、第42週「COVID-19ワクチン監視報告書」の23ページで、「2回接種後に感染した人はN抗体価が低いようだ 」と認めている。さらに、この抗体低下は基本的に永久的なものであると説明している。

 「これは何を意味するのだろうか?いくつかあるが、すべて悪い意味だ。私たちは、ワクチンがウイルスの感染や伝染を止めることはないことを知っている(実際、この報告書は、ワクチン接種を受けた成人が、ワクチン未接種者よりもはるかに高い割合で感染していることを別の場所で示している)。」とアレックス・ベレンソン(Alex Berenson)は書いている。

 「イギリス人たちが言っているのは、ワクチンが、身体が本来持っている能力を阻害しているということがわかってきたということだ。この能力とは感染後、スパイクタンパク質だけでなく、他のウイルスの対する抗体を作ることができる能力のこと。特に、ワクチン接種を受けた人は、ウイルスの殻であるヌクレオカプシド蛋白質に対する抗体を産出しないようだ。この抗体がワクチン未接種者の反応としてはきわめて重要な役目を担っている。

READ MORE:Comparing SARS-CoV-2 Natural Immunity to Vaccine-induced Immunity: Reinfections Versus Breakthrough Infections

 長期的に見れば、「オペレーション・ワープ・スピード」*の注射を打った人は、たとえすでに一度、あるいはそれ以上感染して回復した人でも、スパイクタンパク質の突然変異が起きれば、はるかに脆弱になるのである。
「オペレーション・ワープ・スピード」*・・・(英: Operation Warp Speed、略称: OWS)は、COVID-19のワクチン、治療法、診断法(医療対策)の開発、生産、流通の加速を目的とするアメリカ合衆国連邦政府による国家プログラム。(ウイキペディア)

 一方、ワクチン未接種の人は、一度でも自然に感染すると、すべてのウイルス株に対して、永久的とは言わないまでも、永続的な免疫を獲得することになる。

 「このことは、ウイルスがまさにその方向に向かう突然変異を選択する可能性が高いことを意味する。なぜなら、この突然変異株にとって、本質的に、(ワクチンを打って)脆弱になった巨大な集団が感染するカモになるからだ。そして、おそらく、それはワクチンが感染後の長期にわたる強固な免疫の発達を阻害する可能性があることのさらなる証明になる」とベレンソンは警告している。

信頼するのは神であって、ビッグ・ファーマではない

 これは、私たちが警告してきたことと同じ。しかし、結果的には、自然免疫は存在しないと、現在、主張している主流メディアから嘲笑を受けている。それは政府筋からも。

 二つの現実が同時に起こっている。①ワクチンを受けていない人が、免疫に関しては神様を信頼している現実、②「完全なワクチン接種者」が「科学」、政府、そしてメディアを信頼して注射針に身をゆだねている現実。

 正しいのは片方だけ。結論をいえば、ワクチン接種によって永久的な免疫障害をもたらす広範な道を歩んでいるのは、正しい道ではない。このことについては、すべてが語られ、すべてのことがしつくされたときに、免疫系が機能して、この世に残っているのは、自分の体をそっとしておく決断をした人たちだけ、ということになる。

 端的に言えば、大半の人にまったく症状が出ていないウイルスのために注射を打つ必要性はゼロだ。ましてや、分離されたこともなく、存在すら証明されていないウイルスに、注射をする必要はない。

 「これは人類史上最大の詐欺である」とのコメントが、今回の「COVIDワクチン接種の悪夢」に関して、ベレンソンのブログに投稿されている。

 「グローバル・エリートは1991年から92年までこの計画を練っていた。「アジェンダ21」をご存知だろうか?それは、2015年に国連のアジェンダ2030、あるいは今では、「グレート・リセット」と呼ばれるものに置き換えらている」という別のコメントもある。

 さらに、アジェンダ21について話すことさえ、何年もの間、荒唐無稽な「陰謀論」だと考えられてきたと指摘する投稿者もいる。今、その陰謀論は陰謀の事実に変わった。 

 「私たちは、平和と繁栄を次の世代に継承しようとする社会を離れ、極悪人たちに、生物兵器を使って私たちを感染させることを許す社会へ歩みを始めた。彼らが、「取るに足らない人間」、「意味のない人間」、そして「使い捨てできる人間」とみなす人々は一掃されるのだ」とのコメントもある。
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Featured image is from Free West Media
The original source of this article is BigPharmaNews.com
Copyright © Ethan Huff, BigPharmaNews.com, 2022

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ウクライナ プーチンの勝利で終わりか?

ウクライナ プーチンの勝利で終わりか?
<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine: It’s Over, Putin Has Won?

ポール・クレイグ・ロバーツ博士 (Dr. Paul Craig Roberts)著
グローバルリサーチ社、2022年2月3日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月16日

 終わりだ。プーチンの勝ちだ。

 ホワイトハウスの愚か者によって国務次官に任命された新保守主義の戦争屋、ビクトリア・ヌーランドは、ウクライナを侵略から救うために中国にロシアとの影響力を行使するよう求めたのは、ワシントンの降参を告げたということだ。彼女はこうして、誰もがすでにわかっていたことを、つまりアメリカとNATOには能力がないのだということを認めたのだ。

 ワシントンの降参は、ロシアの侵攻が準備されている兆候はなく、ワシントンの言動があまりにも挑発的だったため、ウクライナ大統領がワシントンに「ロシアの侵攻」というプロパガンダを止めるよう要請したことから来ている。

 ドイツは、ウクライナへ武器輸送するイギリスへの飛行許可を拒否した。NATO加盟国2カ国は、NATOがウクライナに関与した場合、軍隊を派遣しないと発表した。ワシントンは悪い前兆を見たのだ。

参考記事
Washington’s Rejection of Russia’s Security Proposal Is a Bad Decision
 (ロシアの安全保障提案を拒否したワシントンの判断は間違っていた)


 ほとんどの国は、ロシアの相互安全保障提案に同意しないワシントンの姿勢を、不合理で危険なものと見ていた。さらに、ウクライナ人を武装・訓練し、ドンバス・ロシアへの大規模な攻撃に挑むというワシントンの戦略も失敗している。

 ウクライナは、ドンバス地域に重大な損害を与えることをロシアが許さないことを知っている。しかも、ウクライナ人は、ロシアの新型高衝撃兵器で武装している可能性があるドンバス軍を打ち負かすことができるかどうかさえわからないのだ。

 ロシアがドンバスに国境を越えて軍隊を送ることなく、通常ミサイルでウクライナ軍を一掃できることを、ウクライナは理解している。ウクライナ人は、誰も自分たちを助けに来てくれないことも知っている。米国防総省は自ら、ウクライナに米軍を派遣しないと発表した。

 ワシントンがロシアの提案を公に拒否したことは、ワシントンがそれを受け入れる以外に選択肢がない以上、何の意味もない。ロシアは当然のように厳しく非難した。ワシントンを含む誰もが、ウクライナは決してNATOの一員にはなれないと理解している。

 ポーランドとルーマニアにある米・NATOのミサイル基地は、時間をかけて静かに撤去されていくだろう。ワシントンは威嚇と脅しを続けるだろうが、何の行動も起こせない。そつのないロシア人は、何らかの方法でワシントンの面目を保たせるだろう。

 この時点で必要なのは、署名された文書を過信しがちなロシア外務省の外交官やロシアの強硬派が、ワシントンの提案拒否が無意味になり、プーチンが勝利したことを理解することである。

 世界はロシアの確固たる要求と、中国を後ろ盾とする比類なき軍事的優位に従ったのである。

 久々のロシアの自己主張の出現に、ワシントンも矛を納めて、より協調的、平和的な立場へ向かうことを期待したい。

*
ポール・クレイグ・ロバーツ博士は、自身のブログサイト「PCR Institute for Political Economy」で執筆しており、この記事の原文はここに掲載されています。彼はGlobal Researchへの定期的な寄稿者です。

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フリーダム・コンボイ2022に集結するトラック運転手たち。支配層は寄って集ってそのトラック闘士たちに総攻撃をかけている。

フリーダム・コンボイ2022に集結するトラック運転手たち。支配層は寄って集ってそのトラック闘士たちに総攻撃。
<記事原文 寺島先生推薦>

Freedom Convoy 2020: The Elite Gathers Its Forces for a Counterattack on the Truckers

Global Research 2022年2月7日

ポール・グレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)博士

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月14日


 報道によると、従順な公僕たるオタワ警察(もちろん市民たちにとってではなく、支配層にとっての、という意味だ)は、水や食料などの「支援物資」がトラック運転手たちに届かないよう妨害する計画を立てているとのことだ。

 言い換えれば、支配層が、トラック運転手たちを兵糧攻めにしようとしている、ということだ。

 別の報道によると、米国政府がカナダの地まででしゃばって、FBIや、DHS(国土安全保障省)を派遣するつもりのようだ。

 支配層が所持しているこれら2つの米国機関がカナダで行うことは、「より綿密な調査」らしい。FBIとDHSは、抗議者や、この運動に関わっている人々や、支援している全ての人々を特定することに力を入れるようだ。そして「有害で不法な」抗議活動を実現させた全ての人々を起訴できるよう特定するつもりだ。車両番号や、運転免許証、保険の加入状況などが個人の特定に使われ、「起訴資料」に利用されるそうだ。

 「ゲシュタポ」警察署長がこの抗議活動を、犯罪行為だと決めつけていることが分かる2分間の動画を載せた記事はこちら。

 <以下はその記事からの抜粋>

 オタワ警察署からの勧告

 オタワ警察署は、フリーダム・コンボイ抗議活動の活動者や、支持者や、支援者たちに対してデジタルを使った監視体制をとることを発表した。

 警察は、新しい作戦を行うことを発表し、その作戦では米国の2つの諜報機関と連携し、「さらなる詳しい諜報活動や捜査」を行うとした。そしてその対象はカナダのトラック運転手たちによるフリーダム・コンボイの参加者や支援者たちである。

 オタワ警察署によると、同警察署は米国のFBIやDHSと協力して「オンライン上の脅威」について操作を行うとのことだ。

 オタワ警察署の「強化捜査」は、手始めとしてコンボイ抗議活動の組織作りに取り組んでいる人々の捜査を重点的に行い、監視システムを使って「抗議者たちに資金を出し、支援することで、抗議者たちによる有害で不法な活動を可能にしている人々を特定し、標的にする」とのことだ。

 同警察署はさらにこう発表している。「金融情報や、デジタル情報や、車両番号や、運転免許証や、保険の加入状況など関連する個人情報を使って起訴資料に使用するつもりだ」と。

 オタワ警察署はさらに、オンタリオ州の警官や、王立カナダ騎馬警察やケベック州の警官とも連携して取り組むと、発表した。

 <記事からの抜粋はここまで>

 問題は、このようなことを本気で行おうとしているのか、それともこのような発表をすることで、人々を怖がらせ、抗議活動者たちから遠ざけ、抗議者たちの強い士気を弱めようという意図があるだけなのか、だ。

 (昨年1月に国会議事堂前で起こった)トランプ支持者たちによる暴動に参加して捕らえられた抗議者たちのように、ほかの人々への見せしめとして、この暴動に参加している数百人の抗議者たちを取り締まってしまおうという魂胆なのかもしれない。

 ただし今回の網は前回よりも広く張られている。抗議者たちに資金を出している人々も捕まえるつもりのようだ。

 支配層は完全に市民たちとは逆方向を向いていて、市民たちに害を与えるような秘密の企みを計画中だ。支配層は、もはやどんな反抗も受け入れないし、ワクチンの強制接種という不法行為を拒否させないつもりだ。

 私はこのトラック運転手たちの抗議活動に勇気をもらったが、同時に心配にもなった。というのも、トランプ支持者たちによる暴動の参加者たちと同様、このトラック運転手や、支持者たちが分かっていないことがあるからだ。それは今の世の中、市民の持つ抗議する権利が認められているのは、その活動が支配層にとって利のある場合だけで、支配層に反対するような抗議活動の権利は認められていないことだ。合衆国憲法修正第一条で認められている集会の自由権が重要な意味を持つのは、この条項を権力層が軽んじようとしているからだ。 いつからか、平和的な抗議活動には明らかに効果がなくなってしまった。それは権力層が市民たちを尊重したり、市民たちの思いや願いを気にかけていないからだ。支配層が奉仕しているのは、ほんのひと握りの既得権力層であり、この連中は市民たちのことを全く気にもかけていない。

 トラック運転手と支持者たちが十分武装できていて、暴力に対応できる準備ができていたとしたら、警察、もしくはカナダ軍でさえ手を出せないほど大規模な暴動になっていただろう。そうなればカナダのトルドー首相も隠れ家から出てきて、米国政府に介入を依頼し、市民たちの攻撃から支配層を守ってもらおうとしていただろう。そこまで行けば、米国によるカナダ侵攻という事態になっていた、ということだ。

 現状では、支配層は力を持っているが、米国に侵攻を依頼して、自国民の暴動をおさめてもらおうということを世界に対して正当化できるほどの力は持っていない。米国とカナダの御用メディアでさえ、このような行為を「国内のテロ活動から民主主義を守る動きだ」など報じることはさすがに不可能だろう。そうなればカナダ政府はこの抗議活動に屈し、自身の不法で、不実で、非生産的な手口を撤回しないといけなくなるだろう。

 カナダ政府が抗議活動の押さえ込みに勝利すれば、国家権力による専制体制は大きな前進を遂げることになろう。そうなれば支配層は、抗議に支援するどんな勢力も排除できると考えるようになろう。

 悪と戦う際には平和的な方法では埒が明かない。悪が勝利するのは、悪と戦っている勢力が自分たちが何と戦っているのかを見失ってしまって、勝機がある時に、徹底的な対応が取れなかった時だ。トラック運転手たちの身に同じ運命が訪れないことを願うのみだ。

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以下のツイートも参照。

From Denis Rancourt  Ottawa Police Operation against the Truckers

 

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<記事原文 寺島先生推薦>

Reaching COVID-19 “Turning Point of Critical Mass”: Is Nuremberg 2 Next? London Metropolitan Police Criminal Investigation

2022年1月28日

Global Research

ヨハヒム・ハゴピアン(Joachim Hagopian)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月15日


 しかし、最近次から次へといろいろ出来事が起きている。そして、それをこの地球上で起きているプラスの変化とする記事が続々と報道されている。このプレゼンテーションでは主にそれらに焦点が当てられる。

 結局、少なくとも1,011の科学的研究により、ワクチンでもなんでもない「Covid-19ワクチン」が実際は致死的なものであることが疑問の余地なく証明された。

 敵が、嫌になるほど使い続けている「科学に従え」というあの古いセリフは、もう通用しない。 騙す側は、もうそれを信じない人たちに何度嘘を繰り返しても、遅かれ早かれ自分たちを破滅に導くだけだということに気づいているのだ。専制君主的に振る舞う敵の言い分が、本物の科学によって粉々に打ち砕かれ、急速に崩壊しているのは明らかだ。

 この流れの中で、権威あるテルアビブ大学の微生物学・免疫学部の学部長がイスラエル保健省に公開書簡を送り、世界で最もワクチン接種率が高い国の一つである自国イスラエルを実質的に破滅の道に導いた重大な失敗を痛烈に批判しているのだから、この明白な真実はもはや無視も否定もできないだろう。

ビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)の純然たる悪を明白に証明する、目の玉が飛び出るような科学的発見が、これでもかというほど最近発表されている。

 ファイザー社の実験的生物兵器(ともいうべきワクチン)を最初の試験段階で受け入れた妊娠中の母親に関すること。このワクチンは、申請してからたった108日で、FDA(食品医薬品局)がEUA(実験的許可使用)のみを承認したものだ。ファイザー社の利用可能なデータベースによると、同社(のワクチン)を使った母親の胎児(追跡できたもの)は一人残らず死亡している。

 このような大規模な虐殺を行ったにもかかわらず、わずか3ヶ月半後、FDAはファイザー社にEAUを認可し、さらに多くの赤ん坊を大掛かりに虐殺し続けることにゴー・サインを出した。その上、今後55年間、その文書の公開はしないのだという。盗人たけだけしいとはこのことだ。FDAが訴えられ、EAUを承認する前に使用したデータを公表するよう強制された後、最初に公表された文書では、公表されたデータセットに含まれる全27件の妊娠のうち28人の赤ちゃんが死亡した。さらに243件の結果が不明で、最近の公表文書では未公表であった。

 発表されたデータの別の表では、28人の胎児死亡は、結果がわかっている32の妊娠から生じたもので、圧倒的多数は自然流産(流産)であり、それはまともな人間なら、だれが見ても冷血な殺人だ。

 17年間看護師をしている勇敢な内部告発者、コレット・マーティン(Collette Martin)は先月、ルイジアナ州の保健福祉公聴会で発言した:

 今現在、COVIDそのものよりもCOVIDワクチンで死亡した子供の方が多いんです。そして、保健省は、新しい変種には、COVIDワクチン反応としての副作用はあるが、それは私たちが現在目にしているものしかない、と言い出したのです。イラつきます。なぜもっと多くの人がそれに気づかないのか、理解に苦しみます。彼らは気づいていると思うのですが、それを口にすることを恐れ、さらに悪いことには解雇されることも恐れているのです。

 目を背けてはいけない。製薬会社と製薬会社の娼婦のように振る舞うFDA(食品医薬局)、さらにはそして医療スタッフたちも含む。これらの罪ある集団から目を背けてはいけない。人々を害することは一切しない、という自分たちが誓った宣誓を真摯な考えも持たず彼らは破っている。何百万人もの人々を殺傷する毒物を注射している。これらの犯罪的な悪者たちは、第二次ニュルンベルク裁判で責任を問われる必要がある。殺人者たちが自己防衛のためにバイデンの司法省と画策した55年なんか待たず、それよりもずっと早い時期に起訴されなければならない。罰を受けずに安全に墓に入ることができるだろうと彼らは考えたのだ。これでは、イギリスVIPの小児性愛者を守るためにイギリスで制定された100年にわたる報道管制と同じだ。

 おそらく、これが前兆となっているのだろう。被害者の生々しい血痕が、技術とメディアが共謀した検閲の網をかいくぐって、今日、多くの最新記事の中に消されず残っている。ついに流れが変わりつつあるのかもしれない。

 欧州連合のFDAに相当するEUの医療規制当局は先週、数ヶ月ごとにブースター注射を受けることによる潜在的な深刻な健康リスクについて警告した。「何回も追加接種すれば免疫系はダメになる」がその趣旨だ。こんなことを言い出すのは、後々のためにもっともらしい反証の余地を少しでも残しておこうという彼らなりの、お粗末で、弱弱しい、おざなりの悪あがきのように見える。つまり、抗体依存性増強(ADE)の原因となる生物兵器の毒性スパイク・タンパク質が、最終的には身体器官のいろいろな部位に移動する共通の殺人物質であり、自己免疫細胞が自分の身体に敵対するように指示するという冷たく厳然とした事実を彼らはきちんと認識しているというわけだ。

 2ヶ月前には主流メディアの代表であるアトランティック紙でさえ「パンデミックは、うめき声をあげながら終わりつつある」という記事を掲載した。そして1ヶ月前には専門家たちがコロナウイルスのパンデミックの終わりを楽観的に予測し、最新のオミクロン亜種は、感染力は強いが、攻撃性や致死性ははるかに低いとの見方を示した。エルサレム・ヘブライ大学の教授や医師たちも、真の集団免疫が優勢になってきたと思われるので、追加接種が必要だとする意見はどうなのか?と言っている。最近1月17日、中立路線を行くMedium.comの「専門家によれば、パンデミックは終息へ」と題した記事で、は次のような論理的理由を挙げている:

 大半の専門家は、SARS-CoV-2がエンデミック(風土病)になると考えている。この病気がパンデミックからエンデミックに移行するにつれ、健康への影響は少なくなり、私たちはひとつの社会として、COVID-19にまつわるさまざまなリスクを管理することに関して、その能力をさらに高めることができるようになるだろう。

 こんな風に最近では科学界、そしてそれほどの広がりはないが、主流メディアの一部からは、私たちの心を元気づけるような兆しが見えている。そして、こういった動きは何ヶ月にも亘って、大衆から猛烈に反抗的な反撃が生まれた。それは怒りに燃えた人々がさらにその怒りの高まりを世界中に示したものである。自国政府に「手を引け!このくそ野郎!」という明確なメッセージを声高らかに送った。これ以上、政府の噓八百で、破壊的に誤った、一か八かのゲーム、つまり際限のない強制命令、ロックダウン、そして禁止パスポートなどに付き合うつもりはない、と拒否の声をあげたのだ。が、相当多くの西側諸国では、パンデミックを工作したエリートたちは、さらに思い切った、厳格な専制政治につながる徹底的な規制をすべきだと主張している。

  転機が訪れたのは、12月末、世界一のポッドキャスターで情報通のジョー・ローガン(Joe Rogan)が、mRNAの発明者でありながら、COVIDワクチン批判の第一人者ロバート・マローン(Robert Malone)博士にインタビューしたときのようだ。このインタビューがあっという間に拡散すると、「(何かあれば)それは陰謀説だ」と言っていた集団の棺桶は、優勢となってきた世論という法廷で釘を打たれ、蓋を閉ざされた。以前ほど議論にもならず、本質的な事実が明らかになってきた。そして「陰謀」という言葉を振りまく集団が否定できなくなっているのは、偽パンデミックが2年近く続き、もはや隠せなくなったこの1年の大量死と重傷者の数々を目撃した大衆が、ますます苛立ち、反抗の度合いを深めたことだ。人々は、もはやそう簡単に怯えたり、動揺したりすることはないし、管理されることもなくなっている。人々は、「これ以上は許さない!」という一線を引いた。人類の生存のために戦う準備がようやく整ったのだ。

 さらに、イギリスのような一部の専制国家では、実際にこの流れに乗って、パンデミックを公式に終結させようとしている。

 グローバリストでドジなボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の辞任を求める声が高まる中、今週、同首相はワクチンパスポートとマスクの義務付けを突然中止した。COVID患者の発生が少なくなったというジョンソンの言い訳以外にも、いくつかの説明がある。ボリスが認めようとしないのは、自分の人気低下である。それは、すべての英国人に対して度重なるロックダウン規制(この前の年末年始の休暇時も含め)を発令していたパンデミックの間、彼自身は豪華なダウニング街10番地で偽善的に祝杯をあげる「どんちゃん騒ぎ」をやっていたとのうわさが止まないという複数の報道があった後のことだ。「私が言うようにやれ、私がやるようにやるな」というインターネット情報は、事実上世界中の政策立案者たちがだれでも流しているが、それはコロナウイルスと共に生きることはこれからもずっと続く、という警告を人々に念押ししなければ気が済まなくなる。英国の医療従事者のワクチン接種義務がそうだ。16万人の請願書名なぞどこ吹く風だ。ボリスは自分の墓穴を掘っている。

 だれも触れないが、ボリス・ジョンソンが、何回もロックダウンを宣言してさらにまたロックダウンに取り組んだ後わずか1ヶ月後に、突然自分の「ゲシュタポの番犬」(訳注:彼の強硬策)を呼び戻した理由は、ロンドン警視庁が2021年12月20日に提出した法的訴状を調査する刑事事件を取り上げることに同意したからである

 英国最大の警察組織が積極的にこの件の捜査に関与しているだけでなく、ハマースミス警察とオランダのハーグにある国際刑事裁判所も連携して、世界最大の国際犯罪捜査と呼ばれている事件捜査にあたっている。


 ハマースミスCID(犯罪捜査部)警察署、事件番号6029679/21の正式な旗印の下、国際刑事裁判所(ICC事件番号OTP-CR-473/21)と連携して提訴された画期的な刑事事件である

 COVIDに関連するすべての犯罪を調査する現在の英国警察の責任者は、ロンドン警視庁長官クレシダ・ディック(Cressida Dick) の元補佐だったジョン・シンプソン(Jon Simpson)警視である。英国の刑事告訴のちょうど2週間前に、46ページの文書がICCで発表され、常連となった容疑者ビル・ゲイツ(Bill Gates)、アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士と元WHOの獣医ピーター・ダスザック(Peter Daszak)博士を告発した。ダズザックはファウチの仲介者として武漢の「コウモリ女」石正則博士に機能性獲得SARS-CoV-2のバトンを渡すことを主に担当、アメリカ国民の税金60万ドルを、アメリカ最大の敵(中国)に対して、裏切り的謝礼として支出した。

 ハーグと英国におけるこれらの記念碑的な訴訟は正真正銘の法的手続きであると確認されているが、どちらの訴訟もクズ企業メディアは一切報道していない。主要メディア(MSM)がパンデミックを通して真実を抑圧する主要な共謀者であったのと理由はまったく同じだ。この2つのとてつもなく重要な訴訟は1か月前に提訴された。サム・ホワイト(Sam White)医学博士、元警察官のマーク・セクストン(Mark Sexton)、弁護士のフィリップ・ハイランド(Philip Hyland)とロイス・ベイリス(Lois Bayliss)が陣頭指揮を執っている。そして、ロバート・ケネディJr(JFKの甥でベストセラー『The Real Anthony Fauci:ビル・ゲイツ、ビッグ・ファーマ、そして民主主義と公衆衛生に対する世界的戦争』の著者)のような国際的著名人、ドイツ系アメリカ人の弁護士ライナー・フユェルミヒ(Reiner Fuellmich)博士、元ファイザー副社長マイケル・イェードン(Michael Yeadon)博士など、さらには数十人の国際的に著名な専門家や権威が支援している。人道に対する罪には、①公職における不正行為および職権乱用、重大な過失、故殺、共同過失致死、殺人、および殺人と殺人についての共謀罪、そして②ジェノサイドが含まれている。私たちの未来にとって、人類のために起こされたこの2つの訴訟は、この事件を起こした犯罪者たちによって「影の国家」は薄物一枚で隠されているが、どちらも、とてつもなく大きなものだ。

 

2021年7月からライナー・フュエルミヒ弁護士がコロナ調査委員会を主宰し、コロナ騒動全体について多数の科学者、医師、ジャーナリスト、尊敬する第一人者から聞き取り調査を行っている。計画的大量殺人の証拠を提出するこれらの著名人の中には、尊敬すべきウイルス学者で元ファイザー社内人だったマイケル・イェードン博士がいる。

 ライナー・フュエルミヒと彼の委員会は、すべての入手可能な証拠を慎重に検討し、COVID19「ワクチン」が地球人口の減少を目的とし、明確な悪意をもった害を与え、人を殺すように設計されていることは疑う余地がないという結論的な主張をおこなった。ライナーによれば、イェードン博士のような専門家がデータを分析した結果、次の2つのことが判明しているのだという:

 ①ファイザー、モデルナ、そしてジョンソン・エンド・ジョンソン各社は、最も致死的な殺人注射の製造者として、世界人口の中で最も高い死亡率を達成するために、追跡可能な特定のロット番号を使用していること

 ②これらの「ワクチン」製造各社は一丸となって実験を行い、最も多くの人々を、明白な意図をもって絶滅することができる最適量を達成するために活発に、順次互いに協調していること、
の2つだ。

 最近のインタビューでライナーは、2022年1月末までに大陪審による捜査の法廷手続きが開始され、彼のチームは4人の共同被告人、すなわちビル・ゲイツ、アンソニー・ファウチ博士、WHOのテドロス・アダノム(Tedros Adhanom)博士、そして偽陽性PCRテスト作成者であるドイツのウイルス学者クリスチャン・ドロステン(Christian Drosten)博士に対する刑事起訴を求める証拠を提示し始めるだろうと語っている。ドロステンは、WHOとドイツのアンドレア・メルケル首相を、あらかじめペテンにかけ、2020年1月に武漢の街中で中国人がハエのように死んでいるビデオが流行しているときに、PCR誤診検査を進める宣伝を開始したといわれている。

 ちなみに、歴代のWHO事務局長としては唯一医師の資格を持たないテドロス・アダノムは、現在、国連の複数の行動規範に違反し、国連の中立性という方針を踏みにじっているとして非難されている。テドロスは、自国エチオピアの内政に介入し、縁故採用、特にティグラヤ人民解放戦線(TPLF)を優遇し、自国政府と首都アディスアベバの国連職員の両方を故意に弱体化させた隠しようもない前歴がある。

 ビル・ゲイツやアンゲラ・メルケルのようなグローバリスト・エリートたちの、大衆とはかけ離れた雲の上社会に身を置かれるとだれでもそうだが、テドロスは明らかに、すぐに空っぽの頭が膨れ上がり、一人で舞い上がって自分が偉いと思い込み、自国エチオピアの国情を不安定にするような動きを公然と行った。TPLF独裁政権は1991年から2018年までエチオピアを無慈悲に支配し、テドロスはその中で保健大臣から外務大臣として第3の地位にまで上り詰めた。2017年にゲイツが支配するWHOの仕事を引き継ぐまで、その地位にあった。1年後の2018年にTPLFは打倒され、それ以来、この裏切り者テクノクラートであるテドロスはエチオピアの民主的に選ばれた政府に反対してきたのである。中国、ファウチ、クリントン財団、ジェノサイドの仲立ちをするゲイツとして、テドロスはテロリストだと主張する人もいる。ニュルンベルク・コードに違反する彼の取り巻きと同様に、彼もまた、人道に対する罪で訴追される必要がある。

 ライナー・フュエルミヒ弁護士は、彼と50人の弁護士団が、有力な証拠をすでに集めたことを確信している。その証拠は国際司法裁判所に提出され、ニュルンベルク裁判のような法廷で、製薬企業が世界各国の政府、公衆衛生機関、ビッグメディア(大手メディア)、ビッグテック(大手テクノロジー企業)と共謀したことを十分に証明することになる。

 狙った人間に対してワクチン生物兵器を使って国内のバイオテロ行為を行う計画的な犯罪意図を証明して、恐怖に陥れられた世界の人々は、(犯人たちへの)有罪判決、および(自分たちには)懲罰的損害賠償が与えられてしかるべきである。

 インドでは、ニュルンベルク裁判の専門家であり、英国とハーグの両訴訟でもライナー・フユェルミヒの同僚であるディパリ・オジャ(Dipali Ojha)弁護士が2021年7月末に起こした第3の訴訟において、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団などをジェノサイドで告発している。

 ビル・ゲイツがインドで起訴されるのは今回が初めてではない。2014年、インドの最高裁判所は、十数年前にさかのぼり、何千人もの子供たちにジャブを打ち、死者や後遺症をもたらしたことに加え、親の同意なしに部族の少女に違法にワクチンを打ったとして、彼の逮捕を求めた。アジア、アフリカ、そして南米における第三世界の国民、そして今では全世界国民への人口被害は、優生学的殺人を仕掛ける陣営にとっては、悪意をちらつかせながら、計算通り事が進んでいることへの満腔の喜びとなっていることは明らかだ。

 ゲイツとファウチという「コロナ陰謀二人組」は、彼らを人形のように扱う主人たちによってウイルス沈没船と一緒に沈むことになっている。ゲイツの相棒である大量殺人者ファウチは、現在ほぼ毎日のように攻撃の的となっている。

 ファウチは、ホワイトハウスの最高医学顧問がランド・ポール(Rand  Paul)と上院公聴会で2021年に対決する際に重要な役割を果たしたことは別として、宣誓の下で偽証を繰り返し、機能獲得研究にも、今日の生物兵器を国を裏切る形で作り出すためにアメリカの第一の敵「赤の中国」に50万ドル以上の税金を密かに渡したことにも全く関係がないと嘘をついているのである。

 全米で最も高給な連邦職員として、アンソニー・ファウチは最初の大当たりパンデミックの年である2020年に43万4312ドルを荒稼ぎした。同年、トランプ就任のわずか数週間後に行った将来予想で、「彼の第1期の終わりまでにパンデミックが不審な現れ方をするだろう」と語った。国立衛生研究所の生命倫理と被験者研究のチーフである妻のクリスティン・グレイディ(Christine Grady)にも、監視の目が厳しくなっているが、ファウチ夫妻は、彼の財務記録、そして1040万ドルの高額な投資ポートフォリオについて、情報自由法に基づいた開示命令に頻繁に応じざるを得なかった。

 最後に、悪夢のような支配、奴隷化、息苦しい暗闇へと向かう人類の強権的な行動に抵抗するために、地球上のいたるところで街頭に立っている何千何万もの非従順な市民を見てみよう。オーストラリア・ワン党を率いる元オージー特殊部隊中佐のリカルド・ボシ(Ricardo Bosi)は、彼の残忍な権威主義的警察国家に公然と挑戦している。

 陰謀団のカード・ハウスは急速に崩落している。

 その前兆として、英国の隣国アイルランドは、COVIDに関する規制をほぼすべて撤廃することを決定した。先月う、オーストリアなどでは、2月1日以降、ワクチン未接種者を犯罪者として監禁する動きがあったが、これも撤回された。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ニューヨーク、西海岸の州とともに、ほとんどのヨーロッパ諸国で厳格に実施されていた広範なワクチンパスポートが終了する。

 ワクチン未接種者を組織的に軟禁監禁し、食料品店や公共の建物、会場への立ち入りを禁止することは、もはや強制されるものではない。スペインフランスの警察は、これ以上医療の横暴を執行したくないと、街頭で抗議する人々に加わっている。その傾向は広がりつつある。5人の国家指導者が、世界的なパンデミックゲームを拒否すると宣言した直後に不審な死を遂げたにもかかわらず、最近、ガーナの赤毛のナナ・アド・ダンクワ・アクフォ-アド(Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)大統領は、ロックフェラー財団のロックステップ・パンデミック戦略と、大量虐殺の主要人物ビル・ゲイツとファウチ博士のことを公に暴露した。

 世界中の、多くの勇敢で正直な医師、科学者、看護師が、恥ずべき犯罪に加担した検閲や嫌がらせにもかかわらず、ビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)の殺人注射に固有の致命的な危険性について、英雄的に粘り強く警告を発し続けている。そして今、多くの人々が彼らの悲惨なメッセージを聞き、耳を傾けたため、犯罪組織の同様にしつこい嘘のシナリオは急速に崩れ、もはや信じられなくなっている。そして今、明らかに歴史の間違った側にいる製薬会社、各国政府とファウチのようないわゆる公衆衛生専門家、世界の医療制度、ビッグメディアとビッグテック、これらすべてが信用を失い、まもなく始まる第二次ニュルンベルク裁判において、世界規模の殺人的暴走について説明しなければならなくなるのだ。

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Joachim Hagopian is a West Point graduate, former Army officer and author of “Don’t Let the Bastards Getcha Down,” exposing a faulty US military leadership system based on ticket punching up the seniority ladder, invariably weeding out the best and brightest, leaving mediocrity and order followers rising to the top as politician-bureaucrat generals designated to lose every modern US war by elite design. After the military, Joachim earned a master’s degree in Clinical Psychology and worked as a licensed therapist in the mental health field with abused youth and adolescents for more than a quarter century. In Los Angeles he found himself battling the largest county child protective services in the nation within America’s thoroughly broken and corrupt child welfare system.

The experience in both the military and child welfare system prepared him well as a researcher and independent journalist, exposing the evils of Big Pharma and how the Rockefeller controlled medical and psychiatric system inflict more harm than good, case in point the current diabolically lethal pandemic hoax and genocide. As an independent journalist for the last 8 years, Joachim has written hundreds of articles for many news sites, particularly Global Research and lewrockwell.com. As a published author of a 5-book volume series entitled Pedophilia& Empire: Satan, Sodomy & the Deep State, Joachim’s books and chapters are Amazon bestsellers in child advocacy and human rights categories. His A-Z sourcebook series fully documents and exposes the global pedophilia scourge and remains available for free at the late Robert David Steele’s https://pedoempire.org. Joachim’s empire exposed blogsite was recently deplatformed.

Featured image is from Children’s Health Defense

The original source of this article is Global Research

Copyright © Joachim Hagopian, Global Research, 2022

 

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60 years on, lives are still being ruined by the US’ Agent Orange campaign in Vietnam
RT 2022年1月15日
クリス・スイーニー(Chris Sweeney)

Chris Sweeney is an author and columnist who has written for newspapers such as The Times, Daily Express, The Sun and the Daily Record, along with several international-selling magazines. Follow him on Twitter @Writes_Sweeney


<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月20日


 60年前、米国はベトナム各所に毒性のある除草剤を撒き、何百万もの人々の命を奪い、障害を負わせた。当RTは、自身の人生を捧げ、自国によるこの恐ろしい負の遺産を修復しようとしてきた一人の男性から話を聞いた。

 失敗に終わったベトナム戦において、米国が残した最も恥ずべき負の遺産のひとつに、今もその影響が残っている「オレンジ剤(枯葉剤の代表的なもの)(以降AO)作戦」がある。

 AOは米軍が1962年に始めた「ランチ・ハンド作戦」で使用した強力な枯葉剤だった。その目的は草を枯らせて、そこに基地や輸送路を確保するためだった。さらにはベトナム側の軍が隠れるための森を消滅させる意図もあった。米国の侵攻中、何百万ガロンもの枯葉剤が撒かれたが、 その枯葉剤に恐ろしい化学物質であるダイオキシンが含まれていたため、この除草剤と接触した多くの人々の健康が害されることになった。この作戦で被害を受けた人の約2割が救援をうけているが、大多数の被害者は放置されたままだ。しかし一人の男性、チャールズ・ベイリー(Charles Bailey)さんは、自身の生涯を捧げてこの現状を変えようとしており、現在も進行中の汚染問題に取り組むと同時に、被害を受けた人々に救援を届ける活動を行っている。その被害者の多くは今もこの枯葉剤の被害に苦しんでいる。

 77歳の好々爺であるベイリーさんは、オレンジ剤作戦の負の遺産に関する深い見識と、高い課題意識を持っている。ベイリーさんが行ってきた実践的な取り組みのおかげで、米越両国が一緒になってこの問題に対応できるようになった。さらにベイリーさんは、2018年に出されたこの取組に関する著書の執筆者の一人にまでなっている。zoom越しのベイリーさんの話しぶりは穏やかだったが、ベイリーさんが自分に課している任務に対して持っている責任感は強く伝わってきた。

 自然資源経済学の博士号を持っているベイリーさんがベトナムを訪れたのは、1997年のことだった。ベイリーさんはフォード財団の支援員の一人だった。その後14年間、米国政府と掛け合って、被害を受けた人々に対して責任を果たすよう働きかけを行ってきた。現在はこの活動から半ば引退しているが、
ベイリーさんは、ワシントン州にある拠点から声を上げ続けており、シンクタンクのスティムソン・センターの「戦争の負の遺産に関する対策団」の一員としても活動している。ベイリーさんが居なければ、これまで成し遂げられてきた大きな前進はありえなかっただろう。

「随分後になってからも、米国大使たちは「被害者」という言葉を使うことを拒否していました。」チャールズ・ベイリー

<ベイリーさんの動画は原文サイトでご覧ください。訳者>

 ベイリーさんがベトナムの地に足を踏み入れたのは、ベトナムが米国との国交を復活させてから18ヶ月後のことだった。両国の国交は1975年以来断絶していた。ベイリーさんは、こう懐古している。「初めの頃は本当に困難でした。90年代後半の米国大使たちはAOについて話さないよう言われていたし、AOの被害者と話をすることもきっと禁じられていたようです。ずっと後になっても、米国大使たちは「被害者」ということばを使うことを拒んでいました。」

 しかし実際のところは、被害者は多数存在し、推定ではAOに含まれていたダイオキシンのせいで、ベトナム国民の40万人が死亡し、300万人が影響を受けたと見られている。「ダイオキシンは薬品の杜撰な製造過程により生まれた副産物であり、知られている中で最も毒性の強い物質のひとつです。」とベイリーさんは語っている。 さらに、「ダイオキシンに直接接触した人々は、ガンや、二型糖尿病や、局所貧血や、虚血性心疾患を患い、若くして亡くなります。」

 「このことが米国で問題になったのは、70年代の後半に、ベトナム戦争から帰還した若い男性たちが、「普通は高齢者がなる病気」になり始めてからです。もちろん同様のことがベトナムでも起こっていました。しかし私たち米国民はベトナムの状況についてよく分かっていませんでした。米国は1975年にベトナムへの渡航を禁止したからです。」 

 ベトナム国民たちは助けを求めていたのだが、その道は閉ざされていたのだ。ベトナムの世界貿易機関への加入を米国に認めてもらうために、AOが起こした影響のことは議論の対象にしないようベトナム政府は警告を受けていた。ベイリーさんはこの重いドアを開ける方法を模索せねばならなかったが、逆に、関わっていた米国当局者に同情心を抱くこともあったという。ベイリーさんは、こう語っている「大きな組織や政府にいる個人が、正しいことをやりたいと思っても、自分の出世のことが心配になり、自分の組織に害を与えないかとか、評判が落ちるのではなどと考えるものなのだと思います。または、被害者たちを非難して、「誰かにそそのかされているだけなのではないですか?あなたの障害が枯葉剤のせいだという証拠はないですよ。」などと言い張るか、という選択肢もありました。」

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 HIV/AIDSや性関連の病気に使用するための補助金の支出を申し出たことで、ベイリーさんは、ベトナムの人々からの信頼を得ることになった。ベイリーさんは、毎年1000万ドルの補助金を出すよう主張していた。ベイリーさんはこう振り返っている。「ベトナムの人々は、私がMr.WYSIWYG (裏表のない見た目のままの人)だと思ってくれていたようです。私は一度もベトナムの人から「戦争中に、お前たち米国民は俺たちに酷いことをした」と責められたことはありませんでした。ベトナムの人々は過去に拘らない実に前向きな人たちなのです。」

 色々と連絡を取る中で、ベイリーさんはカナダの会社であるハットフィールド社が、ダイオキシンの有無についてベトナムの土壌を調査中であることを知った。ハットフィールド社の報告によれば、ダイオキシンに汚染されていたのは、AOが貯蔵されたり、航空機に積みこまれたりした地域、つまり米軍基地跡地だけだったことがわかった。それでベイリーさんは、ハットフィールド社に資金を払い、ベトナムにあった全ての米軍の2735ヵ所の基地跡地の調査を依頼した。それには3年半かかった。

 結果が届いたのが2006年で、すぐにでも対応しなければならない基地跡地が3ヵ所あることが分かった。

 「この事実が大きなきっかけになりました」とベイリーさんは語った。「この汚染の話を米国民たちにすることで、‘ 私たちはベトナムの地にとんでもないものを置いてきたんですよ。ベトナムに行ってそれをきれいにしなくていいんですか?’と伝えられるようになったのです。」

 2007年以降、米国はAOに関して総額4億2500万ドルの資金を出している。 初めて浄化された基地跡地はいまダナン市にある空港になっている。2番目に浄化されたフォーカー空軍基地跡地の浄化を行ったのは国連だったが、これもベイリーさんが圧力をかけたからだ。 

 「3番目に浄化されたビエンホアがもっとも汚染の程度が激しく、(ベトナム国内で知られているダイオキシンのうちの)85%が見つかりました。この基地跡地の浄化は2020年に開始されましたが、10年の月日と、5億ドルの支出が見込まれています。」

 汚染地域の浄化は前進したが、オレンジ剤が直接撒かれた人々には何の手立ても打たれなかった。さらに、オレンジ剤のせいで身体障害や知的障害を持ったその人々の子どもや孫たちに対しても、だ。苦しんでいた人々を助けるお金はなかった。

 「[米国]政府当局が心配していたのは、オレンジ剤によって被害を受けた人々が、果てしない数ほど存在していたことだったと思います。‘ いったい(被害者たちからの申し出は)いつ終わるのか?被害者は何人いるのか?‘’ということです。それに比べて浄化作業は、すぐ見通しがたちました。汚染地域を見つけて、汚染状況を測定して、腕まくりして、浄化すればいいだけですから。」とベイリーさんは説明してくれた。「それに比べて被害者たちへの対応は大変です。病気に苦しむ高齢者たちよりも、ずっと数が多い(恐らく何十万人にもなると思われます)若い世代の人々の方が大変です。これらの若い人々は、深刻な障害を先天的に持って生まれ、そして生きていかなければいけないのですから。」

 「これらの若い人々の方がずっと大変なのです。ベトナムの被害者たちに、快適な暮らしと、威厳が持てる暮らしを送ってほしい。それが私がずっと目指してきたことなのです。でも時間を巻き戻して、人々に障害のない身体を与えることは不可能なのです。」


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 元米国大使のマイケル・マリーン(Michael Marine)氏と、バーモント州選出パトリック・リーヒー (Patrick Leahy)上院議員両氏は、被害者たちへの基金提供者開拓の際に大きな影響力を果たした。最も新しい配当では、被害者たちへの医療や障害に対して年間450万ドル、汚染地域(主にビエンホア)の浄化に対して年間340万ドルの基金が集まった 。

 しかしこの程度の金額で非常に多くの人々を支援するのに十分なのだろうか?これらの被害者たちは、生まれてからこれまで受けた苦難に対する支援が必要であるし、被害者たちの家族への対応も必要だというのに。

 ベイリーさんはこう語っている。「医療や障害に対する基金は、当初年間300万ドルでした。そこから15年間、その額は増え続けています。ただし支援が行われているのは、10の省だけに集中していますが、深刻な障害を持つ人々がまだまだたくさんいます。私たちにはその人たちと顔見知りです。なぜかというとこの活動の一部は、省単位の調査をもとに展開しているからです。ですので、この活動により支援の手が届いているのは、深刻な障害を負っている人々のうちの15~20%に留まっていると言えます。」

 「1年間で必要なお金や規模は今の2倍、いやさらに2倍いると思います。次の10年で5倍に増えれば嬉しいです。私はいつもこのことを口癖のように言い続けています。」

 ベイリーさんたちの前に立ちはだかる障害のひとつに、資金を管理しているUSAID(米国国際開発庁)が、ベトナムには全ての被害者に届けられるような生活産業基盤が整っていないと感じていることだ。ベイリーさんは、同開発庁のそのような見解は間違っていると考えている。

 ベイリーさんはさらにこう語った。「米国政府は被害者のことを第一に考えた取り組み方をする必要があります。物理的な支援を行うこともひとつですが、人々の人たちと手を取り合って行う必要のある こともあります。その際必要なことは、‘ なぜ私たちがこのことをやっているのか?’という意識であり、深い謙遜の気持ちであり、悲しみであり、障害を持つ人々と共に暮らしている人々への敬意です。」

 「障害を持つ人々には、週末も休暇もありません。[さらに]、これは個人の問題ではありません。家族や兄弟の人生設計にも深く関わる問題なのです。」

 さらにベイリーさんはこう付け加えた。「私たちが語っているのは真の人間性とは何か、というようなことなのです。私たちが、支援の手を差し出し、支援しようとしているのは、自分に何の落ち度もないのに、考えられる全ての面において、制限された人生を送らざるを得なくなっている人々です。なぜその人たちの苦しみという視点から、支援を始めようとしないのでしょうか?」

 米国が被害者たちに対しての活動にもう一歩踏み込もうとしていない理由に、「米国はベトナム戦争の敗者だからだ」という見方をしている人々もいる。さらに、AOを散布したパイロットたちの多くは、その行いを高尚な行為だったと考えている。「パイロットたちは、自分たちが行っていたことに誇りを持っています。」とベイリーさんは語った。「私はアルバマ州出身の空軍に所属していた男性の話を読んだことがあります。その人はC-123輸送機に乗って、遥かハワイからグアム、さらにはベトナムまで飛んだそうです。そこでオレンジ剤を積み込み、散布を始めたとのことです。この人、そして明らかに他の多くのパイロットたちはこう考えていたはずです。‘ 俺たちはいい事をしていたんだ’と。」

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 「現地には、オレンジ剤が無害であると考えている人々もいます。或る有名な写真があって、その写真では或る人がオレンジ剤をグラスに入れて飲んでいたんです。嘘の情報を広めるパンフレットがあちこちの村で撒かれて、人々にオレンジ剤は全くの無害であると思わせていたのです。これも戦争行為のひとつだったと言えます。このような喧伝行為に関わった人たちは、本当に熱が入っていたようです。」

 しかし、このようなことを証言できる米軍退役軍人は多くない。 ミシガン州アルピーナ市のゲイリー・リッチ(Gary Rich)さんは、1967年から1968年まで従軍する前に、解剖医の資格を取った。リッチさんはタイに駐在し、国境を越えてベトナム入りする中で、知らず知らずのうちにAOに触れていた。自分がどんな薬品に接触していたのかが分かったのは、随分後になってのことだった。

 リッチさんはこう語っている。「後で思い出した事実なんですが、私がいた病院や、地面や、居住地には草はありませんでした。何も生えていませんでした。離れた所から基地を見ると、本当に草がなかったんです。記憶を辿れば全く明らかなことなのですが、きっと何かが撒かれていたんです。」

 2000年に、リッチさんは甲状腺ガンだと診断され、その4年後には前立腺ガンを発症した。さらに心臓発作にも襲われたリッチさんはさらにこう話を続けた。「米国退役軍人省は、私を100%の障害者だと認定しています。私はTDIU、つまり完全な障害者で雇用は不可能である、と認定されました。その認定を受けるまでは本当に大変な闘いでした。友人たちが認定を受けるまでの手ほどきをしてくれたのです。」。推定では、AOに晒された退役軍人の数は、280万人に上るとされている。

 戦後、リッチさんは何度かタイを再訪しているが、そのうち一度だけ米越両側にAOが影響を与えた実例を目撃している。リッチさんはこう語った。
「私は学校を訪問しました。そこに通っていた女子生徒への支援金を送るためでした。そこで分かったのは、その女子生徒の祖父が腎臓の病気で透析を受けていることでした。そして私はその祖父が私がタイにいたのと同時期にタイにいたことが分かりました。その時AOが使われていたのです。」

 AOに苦しんだ人々にとって重要なことは、その人々の犠牲を無駄にしないことだ。この先も戦争はあるだろう。だからこの先の最重要課題は 二度と同じような惨劇を繰り返させないことだ。

 「米軍や準軍事組織が何かを散布することで、コロンビアやアフガニスタンの薬物問題を抑制しようという話が出るたび、私はとても不快な気持ちになります。」とベイリーさんは語った。「私の希望は、AOが次世代へ引き継ぐべき教訓となることです。 そしてどんなに貪欲な軍司令官や、軍事行動計画者でも、撒くという決定を下す前に、もう一度考え直すようになってほしいのです。そんなものを撒いてしまったら、‘ 戦いが済めば人々の住処となる地域なのだから、どれだけ広く汚染してしまうか分からないようなものは撒かないでおこう‘’と思い直して欲しいのです。」

 「戦争の相手国の国民であっても、きれいな環境の中で暮らし、そこで家族や共同体が繁栄する必要があります。あなたがどんな立場の人間であったとしても、考えてください。思い起こしてください。そうすればきっとこんな残虐行為には至らなかっただろうし、環境を汚染することもなかったでしょう。何のための戦争であったとしても、です。」
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What Kind of Threat Is China?

Book review of "America and the China Threat: From the End of History to the End of Empire" by Prof.

(パオロ・ウリオ(Paolo Urio)教授著『米国と、中国の脅威:歴史の終わりから帝国の終わりまで』書評)

Global Research

2022年1月25日

キム・ピーターソン(Kim Petersen)

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月20日
 


 米国の「残虐的な哲学」が、TikTok上に“曝光”というタイトルの暴露映像で明らかにされている。この映像に登場するのは、ロバート・ダリー(Robert Daly)。2015年に中国大使として北京に駐在していた元外交官だ。現在、ダリーは「中米関係に関するキッシンジャー研究所」の所長を務めている。この映像でダリーは外交辞令などは使わず、米国の外国政策を率直に話している。ダリーはこう言ったのだ。「中国は決して米国のレベルには届かない」と。

 ジュネーブ大学のパオロ・ウリオ(Paolo Urio)名誉教授は、『米国と、中国の脅威。歴史の終わりから、帝国の終わりまで(America and the China Threat: From the End of History to the End of Empire:Clarity Press, 2022)』という著書の中で米国についてこう指摘している。 すなわち、「中国の発展が、米国が作った世界を終わらせる脅威になりつつあることを、米国は理解し始めている。つまり米国が世界において支配的な役割を担ってきた基盤が揺らぎつつあるのだ。これは米国の支配層にとって大きな脅威であることは間違いない。」(p 5)

 バラク・オバマ政権が「アジア基軸戦略」をとった目的は、中国の封じ込めのためだった。 (p 22)

 オバマは2016年の一般教書演説で次のように豪語していた。

 「調査結果が明らかにしていることですが、我が国の世界における地位は私が大統領に選出された時よりも高まっています。すべての国際問題に関して、世界の人々は、中国やロシアを当てにしていません。世界の人々は、我が米国を求めているのです。」

 オバマがこのような傲慢な主張をしたという事実だけとっても、中国の発展に対する米国の不安が感じ取られると主張する評論家たちもいた。

 「中国の台頭に対する米国の対応の裏には、米国には世界を主導してきた米国の力を失うのではという不安がある。具体的には、国際体制の秩序を決定できる唯一の超大国であるという権力が失われるのでは、という不安だ。」(p 232)。ジョー・バイデン大統領はこの恐怖を理解した上で、こう語っている。「私の在任期間にはそんなことは起こさせません。この先、米国は成長し、拡大し続けるのですから。」(p 235)。

 『米国と、中国の脅威』という著書において精査されているのは、中国の脅威というものに妥当性があるのかという点であり、米国は中国の勢力が拡大していることを否定できるかどうかという点だ。この著書は3章に分かれていて、最後に結論の章が設けられている。第1章で、ウリオ氏は米国と中国に関する神話について反駁している。第2章では、これまでの歴史を振り返りながら、米中間のイデオロギーの違いについて詳述している。第3章は、「政策と権力の分割」と題し、米中間の相違について歴史的観点から論じている。そして結論として、以下のような問いを投げかけている。「米国が力を取り戻したとしたなら、その米国はどのような姿になっているだろうか?」と。

 ウリオ氏は、米国資本主義の根本である「自由市場という神話」を解きほぐすことから議論を始めている。スイス人である彼は、アダム・スミスの言を引いている。アダム・スミスが推進していたのは、「生産活動により生み出されたものではない賃貸金(スミスの時代においては、それは土地の賃貸金のことだった)をもとにした経済では回らない市場であった」(p 44)。しかしウリオ氏によると、現在の市場は 一握りの富裕層に富が集中する市場になっている」とのことだ (p 45) 。

 次に、ウリオ氏は民主主義の神話も解体している。ウリオ氏の主張によると、資本主義諸国における主要な課題は、経済と政府機関による干渉にある、とのことだ(p 48)。もちろんお金の影響による問題もある(p 49)。ウリオ氏はこう記している。「西側諸国は香港の抗議運動のことを“中国政府による独裁的な干渉に対して民主主義を熱望的に求める動き”と決めつけている。しかしこの抗議運動の本質はきっと別のところにある」と(p 53)。「本質」とは何だろう? ウリオ氏ははっきりと記していないが、それは民主主義が不足していることではなく、「香港の人々が感じている不平等感」にあるという書き方をしている。

 ウリオ氏が後に明らかにしたのは、中国は独裁国家ではない、という事実だ(p 86-92)。さらに、中国政府は国民の要求に基づいて運営されており、国民から広く支持されているとも書いている (p 91) 。

 ウリオ氏は、西側メディアの民主主義の報じ方を一笑に付している(p 57)。ウリオ氏の主張によれば、米国は民主主義国家ではなく、金権国家だとのことだ(p 341)。一方、蔡伟麟(ウェイ・リン・チュア)氏はこう書いている。「中国の政治体制の強さの源は、西側諸国とはちがって、企業の利益に妥協する必要がないからだ」と。(1)。

 ウリオ氏はこう記している。「20世紀の初めから、米国は単独で起こした偉大な(great)戦争で一度も勝利したことがない」と(p 61)。この主張に対して、二つ言いたいことがある。一つ目、戦争に「great」な戦争などない。ウリオ氏が言いたいのは、きっと「大きな戦争」という意味だろう。20世紀、大きな戦争は2度だけ起こった。第1次世界大戦(「大戦争」と呼ぶ人も多い)と、第2次世界大戦だ。これらの大戦には多くの国々が参戦したので、「米国自身の戦争」とは呼べない。米国が独自戦争で勝ったのは数回だ。(例えば、パナマ侵攻や、グレナダ侵攻)。しかし、これらの戦争は、比較的小規模の敵を相手にしたものであり、米国による「弱いものいじめ」のような戦争だった。弱いものいじめをする人は、道徳的な考え方が欠落している。米国が道徳的に問題のある国であるという事実は、米国が植民地主義を奉じるヨーロッパの移民たちが建国した国で、深い人種差別主義に基づく歴史をもっていることからも明らかだ。米国は、タートル・アイランド(訳注:ネイティブ・アメリカンによる北アメリカ大陸の呼称)の原住民たちとの戦争と、原住民との間の協定破りを繰り返して建国された国なのだから(p 207-209)。その後、アフリカの人々を強制的に移動させ、奴隷労働力に充ててきたという歴史もある(p 79-83)。そしてウリオ氏の記述に対して指摘しておきたい2つ目は、ウリオ氏は明言していないし、歴史から忘れ去られることも多い事実でもあるが、ネイティブ・アメリカンの人々も米国では奴隷にされていたという事実だ。(2)。

 米国民が優れていて、無敵であるという神話も、この『米国と、中国の脅威』で打ち砕かれている。米国は常に戦争中の国だ。1776年から2015年までの239年の歴史の中で、229年間(93%)は戦争状態だった(p 66)。その229年という数字に、2016年から2022年までの年数も足さなければならない。ウリオ氏の主張によれば、米国が軍事的に優位であると、特に中国に対してそう考えることは危険だ、とのことだ。「敵国がますます軍事力を増進している中、今の米国の軍事力を過大評価し続ければ、破壊的な状況を招くだろう」 (p 74) 。
 
 中国が起こした最後の戦争は、恥ずべき戦争であり、中途半端に終わってしまったが、1979年にベトナムに侵攻した中越戦争だ。

 もうひとつ粉砕された中国に関する神話は、「中国は政府が主導する資本主義国家である」という主張だ。ウリオ氏の説明によると、他にも理由はあるが、「中国は市場社会主義経済に基づく国家だ」という。中国では、土地は集団資産であり、中国の反自由主義観念の基盤は、人民を第一に考える点にあり、銀行は国家の統制下にある (p 94-95) 。

 農業と工業における中国の飛躍的な発展をきちんと見る人であれば、「中国は異国の技術を猿マネしているだけだ」という神話はただの戯言だということが分かるはずだ。ロバート・テンプル(Robert Temple:米国の作家)氏は中国人が初めて発明したものは多数存在することを、ヨセフ・ニードハム(Joseph Needham)教授の研究に基づいた『中国の智。科学と発見と発明の3000年の歴史(The Genius of China: 3000 Years of Science, Discovery and Invention:1998)』という著書で記している。今日の中国で見られている大改革は、これまでの歴史で培われた創造力のたまものなのだ。

 しかし、中国が技術においても、改革においても世界の先頭を走ることに、多くの西側諸国の人々は悔しい思いを抱いている。その顕著な例が、コミュニケーション産業のトップを走る華為(Huawei)が主導している5Gや6Gに対する妨害に現れている。

 中国がもつこの創造性に対して、米国の支配者層は羨望と狼狽の気持ちを持ち始めた。中国が優れていることを示す多くの例の中のひとつに、現在の最高水準の速度を誇る鉄道網がある。その中には、磁気浮上式鉄道最先端のAIやロボットを使った技術、量子コンピューター技術の新開発などがある。中国の発表によると、CEPC(円形電子・陽電子衝突型加速器)の建築を計画しており、その大きさはスイスのCERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器の5倍の大きさだという。中国は核融合反応とその技術を使った「人工太陽」の研究を継続している。EAST(全超伝導トカマク型核融合エネルギー実験装置、人工太陽のこと)計画において、華氏1億8500万度の核融合反応を17分以上持続させたとのことだ。宇宙においては、月の裏側への月面車の軟着陸を成功させ、火星においては、一度目の挑戦で、ロケットを火星の軌道に乗せ、着陸し、探査させることができた世界最初の国になった。米国は国際宇宙ステーションに中国を参画させていないので、中国は「天宮」宇宙ステーションを軌道に乗せ、他国にも参入を呼びかけている。

 成長しつつある中国の中流階級が、西側の政治体制を求めようとするだろうか?中国の人々が西側の政治体制の方が優れていると考えて、その方向に向かうのでは?と期待する向きもあるが、その期待の裏側に、西側の人々の奢りがあることは間違いないだろう。中国の国民が高水準の教育を受けていることをもっと信頼すべきだ。中国がこんなに短期間でこんなにも発展し、厳しい貧困を克服し、月に原子力を電源とする研究所を建設しようとしている一方で、 西側諸国の多くの地域では、テントのような家屋や、空腹や、失業や、上がらない給料や、薬物依存などに人々が苦しんでいる。こんな状況なのに、中国国民が、多くの悲惨な状況を生み出している西側の政治体制の方を選ぶだろうか?

 ウリオ氏がさらに反駁しているのは、中国は帝国主義国家になったという考え方についてだ。習国家主席は何度も覇権主義を卑下している。ウリオ氏が明らかにしている通り、西側は自分の姿を他国に投影して見ているだけのようだ (p 114) 。

 米国のイデオロギーが基盤に置いているのは、選民思想であり、自国が例外として許されることであり、「明白な運命(訳注:19世紀に米国が領土拡大を正当化する際に使われた概念)」であり、自国は唯一無二の国であり、自由主義世界のリーダーであるという自負だ(p 120-131)。リーダーとして、米国には物事の是非を決める権利や、自国の都合で他国に介入できる権利を有している。ウリオ氏はこう記している。「このような米国の性癖は、常に、しかも執拗に残っており、可能であれば、いつでも、どこにでも、どんな手段を使っても、他国に介入し、新世界秩序に向けた良い知らせを撒き散らそうとしている」(p 131)

 モンロー主義(訳注:19世紀に米国が欧州諸国に対して提唱した、互いに不干渉であろうという立場)が世界規模で拡がっている。そのため米国は約束を破り、ロシアと国境を接している、旧ソ連内の共和国であったウクライナに軍を送っている。 そこはロシアが超えてはいけない「レッドライン」だとしてきた線だ。米国にはNATO同盟国であるドイツに、ロシアから天然ガスを輸入しないよう要求していることになんの恥じらいも感じていない。 「このような状況も、米国の計画は、世界のリーダーになり、同盟国の利益が何なのかを勝手に決めてしまおうとしているという一例だ」(p 145) 。

 ただし、米国にとっての主たる敵は中国だ (p 150) 。

 ウリオ氏が比較の対象にしているのは、ずっと変わらず同じイデオロギーを抱えている米国の世界観と、世界は変わり続けるものであるという捉え方をする中国の世界観だ。だからこそ中国は、各国との協調を求める世界の潮流に呼応しようとし続けているのだ。1949年から続けられているこの中国の各国との協調を希求する原動力になったのは、中国の状況を加味した中国版マルクス・レーニン主義だ。さらに孔子の教えも現在に合う形に鋳直され、支配者層は、徳を持つことや、人民を大切に扱うことを矜恃すべきことだと捉えている(p 171, 187, 203)。ウリオ氏の記載によると、快適な生活を過ごせている限りは、中国国民は中国共産党とともにあることを結局は選択するだろう、ということだ。(p186)

 ウリオ氏は米国は衰退に向かっていると捉えているが、その理由は、米国政府が国家や国民の福祉よりも資本家たちを優先しているからだとしている (p 243)。軍産複合体のための国家支出は膨大で(p 244)、他の社会的分野に回されるべき支出が抑え込まれている (p 247)。このような状況こそ、中国との比較における最も大きな差異だ。

 核武装もしており、手強い中国を軍国主義国家であると捉えることは、まともな専門家にとっては問題外であることは間違いない。従って反中プロパガンダは、選び抜かれた限られた論点に絞られている。米国がその矛先に特に選んでいる対象が、チベット新疆香港だ。これらの地域に関する西側のプロパガンダ、偽情報、煽りにより、西側にとって都合の良い情報が拡散されている。北米大陸では、先住民族を虐殺し、財産を奪うことで、支配の基盤を確立し、ハワイでは、ハワイの先住民族の財産を奪い、グアムやサイパンは、米国が(スペインに)戦争を吹っ掛けた結果、委託統治領にした。そんな歴史からすれば、米国が他国を批判することなど、穏健な見方からしてもとんでもないことだと言える。

 習国家主席の統治下で、「チャイニーズ・ドリーム」という目標が達成されつつある。「チャイニーズ・ドリーム」達成のためのひとつの課題に経済の正常化がある。経済成長という点に関しては、中国は非常に成功しているのだが、『米国と、中国の脅威』が詳述している通り、都市部と地方との格差や、地域による格差の是正や、富裕層と貧困層の間の格差の是正はまだ解決途中の課題だ。(中国のジニ係数(所得格差を表す数値)の値は高い)。 ウリオ氏はこうまとめている。「なかなか手強い格差は残ってはいるが、最終的には、中国が全ての社会階層の生活を向上させ、それに伴って満足のいく、社会の団結と、安定と、統一と、調和の水準を達成するだろう。」(p 287)

 中国にとっても、その他の国々にとっても、残っている課題のひとつは、世界貿易において公平な条件を確立して、現状のドルによる支配を打破することだ。ウリオ氏は、中国や他の国々が、この状況を打破しつつある状況を記している。中国は各国といくつかの経済協定を結んでいるが、その中には上海協力機構  (SCO)、BRICS、そして2022年1月1日に発効した「地域的な包括的経済連携(RCEP)」がある。このRCEPは、アジア太平洋諸国間の「自由」貿易の同意協定であり、加盟国は、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、フィリピン、シンガポール、ミャンマー、マレーシア、タイ、ベトナムだ。このRECPが、米ドルの覇権を脅かす存在になるのではという指摘を行っている人々もいる。


 この著書の終盤近くで、中国の政策の中枢である一帯一路構想(BRI)が、議論のまな板に載せられている。一帯一路構想は、壮大で、素晴らしい構想だ。ユーラシア大陸の陸路と、アフリカに繋がる海路を結ぶこの構想により、世界が一帯となる。これは拡大し続ける計画であり、経済発展を活性化し、各国の成長可能性を参加国が共有でき、 他の国々の利益を享受し合える。こんな大規模な計画に取り残されたいと思っている国などあるだろうか?米国が一帯一路構想に反対しているのは、中国主導の計画だからだ。 一帯一路構想が的を得ている点は、この計画が米軍による中国包囲網の大半を取り囲んでいるところだ。ウリオ氏はこう書いている。「一帯一路構想の何より一番重要な点は、これが地政学的に重要であるという点だ。一帯一路構想が完全に実現すれば、中国はかつて有していた世界的な権力を再度保持できることになる。そうなれば‘米国が作った‘米国の一極支配による世界は終焉するだろう」(p 337) 。

 バイデン政権も、バイデン以前の各政権も分かっていない事実は、他国を引きつけることができるのは軍事力ではなく、経済力であるという事実だ。 (p 349)。中国が希求しているのは、他国と両得になる 関係であり、他国の主権を尊重し、他国の内政には干渉しないという姿勢だ(p 351)。

 2022年1月10日、楽玉成(らく・ぎょくせい)中国外交部筆頭副部長は、人民大学主催の会議でこう語っている。

 「14億の中国国民の皆さんがいい生活が送れるようにし、もっと良い暮らしがしたいという皆さんの熱い願いを満足させること。これが中国共産党の目標です。知っておかないといけない事実ですが、今でも10億人の国民が一度も飛行機に乗ったことがありませんし、2億以上の家庭にはトイレがありません。国民の大学の学位以上の取得率は、米国の25%に対して、たったの4%です。このような現状こそ、私たちが奮闘して取り組むべき重要な課題なのです。GDPの値が素晴らしいことよりも、私たちが価値を置くべきなのは、イデオロギーであり、統治能力であり、 「追いつき追い越せ」のスローガンのもと世界への貢献度の向上であり、  もっと前進しようという奮闘であり、人々の期待や、時代の流れに寄り添うことなのです。    

  このような態度のどこに脅威が感じられるというのだろう?『米国と、中国の脅威』は、表からも、裏側からも、米中間の違いを明らかにしている。この著書を読めば、米帝国が中国の強力な前進に不安を抱いていることを感じ取ることができるだろう。さらに米国が中国の台頭を受け入れようとしていないことも分かるだろう。ほとんどの人々にはそのような現状が既成事実として映っているのだ。米国は、中国の前進にケチをつけることも、中国と協調することもどちらも可能だ。ただしどの道、中国は発展し続けるのだ。

*

Kim Petersen is a former co-editor of the Dissident Voice newsletter. He can be emailed at: kimohp at gmail.com. Twitter: @kimpetersen. He is a regular contributor to Global Research.

 

Notes

 

1.  Wei Ling Chua, author of Democracy: What the West Can Learn from China (review: location 1692.

 

2.  See Andrés Reséndez, The Other Slavery: The Uncovered Story of Indian Enslavement in America (2016).

 

 

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<記事原文 寺島先生推薦>The 5G Roll Out: EMF Radiation, Devastating Health Impacts, Social and Economic Implications. Crimes Against Humanity?

Global Research 2022年1月22日

リチャード・ゲール(Richard Gale)とゲリー・ナル (Gary Null)博士

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月15日



***

 新しいCバンド5G(第5世代移動通信)サービスが、AT&T社とベリゾン社により1月19日に開始されることになっているが、このことについて、主要航空会社の重役から警告が発せられている。その中身は、この5Gは、離陸時と着陸時に、航空ナビゲーションシステムとパイロットの安全飛行に「壊滅的な」障害を与えるというのだ。さらにこのことによる危険度は、悪天候の時ほど増すというのだ。 これらの警告には、商業や、商品の供給網に障害を来たし、航空機の電子安全システムや電波高度計が無効になり、飛行禁止で、「米国の何万人もが足止めをくらうことになってしまうだろう」とのことだ。

 CNNの報道によると、航空会社の試算では、一日1000便が欠航になるとのことだ。5Gによる障害を大きく受けるのは、視界が悪い時だそうだ。アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空、サウスイースト航空、ジェットブルー航空の最高責任者が要請しているのは、5Gの電波を主要な米国の空港から半径2マイル以内には流さないようにすることだ。運送会社のフェドエックス社や、物流会社のUPS社も航空会社と同様の主張を行っている。ドバイのエミレーツ航空社や、エアインド社、日本航空社や、ルフトハンザ航空社や、ブリティッシュエアウェイズ社は既に米国への航空便を変更したり、廃止したりしている。世界最大手の航空機製造会社の2社、エアバス社と、ボーイング車も同様の警告を発している。

 現状は、「連邦航空局対民間のテレコム(遠距離通信)産業及びそのロビイストの抗争」という様相を呈している。連邦航空局は、5Gが航空機のナビゲーションシステムに障害を与えることになることに対して、かなり以前から警告を発してきた。 一番の問題は、テレコム産業界がこの警告に対応していないことなのだが、その理由は、バイデン政権が既に9割の無線電波塔の稼働開始を予定通り承認しているからだ。 連邦航空局や、各航空会社が安全上の理由で5Gの配信の制限を要求しているのは、主要な空港の近辺についてのみだ。しかし、私たちがここ数年間ずっと報じ続けてきた通り、テレコム業界の各巨大会社、特にAT&T社とベリゾン社、さらにはこれらの会社の代弁者と化しているCNNやニューヨーク・タイムズなどのメディアは、5Gが引き起こす障害を軽視あるいは否定している。人間の健康や環境に対する障害については特にそうだ。それは無線通信技術が商品化されて以来ずっとである。

 5Gは国中に永久的に設置されることになっている。5Gの電磁波から逃れることはほぼ無理だ。数千もの医療及び環境に関する研究において、低周波電波に高い危険度があることが確認されており、何千人もの科学者たちが国を超えて署名活動を行い、5Gの稼働を阻止しようとしているが、明らかにそのような警告は無視され、悪ければ排除され、阻止されている。

 1万件を超えると思われる査読済みの臨床研究論文において、分子生物学的に深刻な障害が生じ、器官や、神経や、細胞や、細胞機能に不具合が生じることが分かっている。2016年8月から2018年9月までの間だけでも、電磁放射線の危険度に関する新しい研究が400件以上行われたと、カリフォルニア大学バークレイ校公衆衛生学のジョエル・モスコビッツ(Joel Moskowitz)教授が明らかにしている。

 パンデミックや、ロックダウンや、ソーシャル・ディスタンスなどの混乱があったにも関わらず、5Gの促進が衰えることはなく、すべての米国民が5G通信網に晒されてしまう方向に向かっている。2019年12月には、T-Mobile社は目標としていた5G通信領域を130万平方マイル(米国の34%にあたる)まで到達させることを実現し、AT&T社も、5Gを1億7900万人に使用可能するという目標を達成した。5Gの稼働は世界を股にかけるグローバリストたちにとっても重要なことであり、5Gの通信網を駆使した第4次産業革命を実現しようとしている。

 世界経済フォーラムでの「なぜ第四次産業革命において5Gが重要なのか」というプレゼンテーションにおいてその大枠が示されている。具体的には、5G通信網が整えば、数兆ドル規模の利益が生まれ、製造業、卸売業、転売業、スマートシティやスマートホーム(ICTの新技術を駆使した町や家のこと)、公共サービス、交通運輸業、リアルタイムで取引できる銀行、株取引や保険産業、農業、林業、マイクロチップを使った監視体制、不動産、教育、鉱業、医療産業、医薬品産業などに好影響が与えられるとしている。

 「バイデン政権が最終的には航空機の安全上の懸念を優先してくれる」などという希望を夢にも持ってはいけない。なぜかというと、2020年の大統領選の間に、バイデンは9700万ドルをコミュニケーション/テック産業から得ている。一方トランプが手にしたのは1800万ドルだった。アルファベット(グーグル)社、マイクロソフト社、アマゾン社、フェイスブック社、アップル社、AT&T社、コムキャスト社がバイデンの選挙資金としてとてつもない額の金を献上していたのだ。

 米国民はずっと騙され続けている。5Gが必要で、革命的な技術であり、私たちの生活にとって利益をもたらし、改善してくれるなど、明らかな間違いだ。実際のところはその真逆だ。

 以下の情報は、完全に信頼のおける科学論文を簡略に示したものだ。デブラ・デービス(Devra Davis)博士や、マーティン・ポール(Martin Paul)博士など国際的に活躍する専門家の人々も、低周波電波による副反応について各国政府の指導者たちや国会議員たちに向けて繰り返し訴えてきた。以下の副反応の概略は、ワシントン州立大学の生物化学及び医学の名誉教授であるマーティン・ポール博士が、米国の国立衛生研究所にあてて記したものをもとにしたものだ。ポール博士は、無線通信技術に関連する生体や病気に対する低周波電波や5Gがもつ有害な影響についての世界的な専門家である。

 *生殖能力の低下----精巣と卵巣の構造を変更し、精子数と卵胞の数を減らし、自然流産を増加させ、3つの性ホルモンの分泌量を下げる。

 *神経および神経精神病に対する影響----携帯電話、インターネット、ワイヤレス技術の出現以来、以下のような症状が劇的に増加している。不眠症、疲労、うつ病、頭痛や認知機能障害、不安、記憶喪失など。動物実験の結果からは、低周波電波が脳構造に大きな変化を生み出すことが分かっており、このような症状は、日常生活において常に低周波電波環境にいるすべての人に起こっている可能性が高い

 *細胞のDNAの損傷----低周波電波に晒されることにより生じるDNAの損傷には3つの型がある。①単一のDNAの損傷②2個のDNAの損傷③DNA塩基の酸化、の3つだ。これらの損傷は、生殖系列の遺伝子において、ガンや変異をもたらす原因になりうる。

 *細胞の自然死----低周波電波はプログラム細胞死(不要な細胞が計画的に消されていくこと)の原因となり、生殖器疾患や神経変性疾患を引きおこす可能性がある。

 *酸化ストレス----遊離基の損傷。この損傷は、多くの健康状態の異常に繋がる。例えば、ガン、肥満、関節リューマチ、脳卒中、慢性炎、パーキンソン病、多発性硬化症、細胞死や細胞老化など。

 *内分泌物質の異常----ポール博士によると、体内のすべてのホルモン系が、低周波電波に晒されることにより影響を受ける、とのことだ。

 *細胞内のカルシウム量の過剰----カルシウムイオンの量は細胞の運動に関して決定的な要素だ。

 *ガン----査読済みの35件の別個の論文の考察を行った結果、低周波電波は発がん性物質を増やし、腫瘍拡大の進行を促進し、転移の原因になっている証拠が見つかった。

 上記以外にも、低周波電波に晒されることと関係する以下のような症状が挙げられている。

 *心臓に対する影響。低周波電波は心臓の電気信号に干渉し、頻脈や、徐脈や、不整脈や、心臓の動悸異常につながる可能性がある。

 *若年性アルツファイマーや認知症の発症----近年低周波電波に晒されることが増加していることに伴って起きている現象は、30才以下でアルツファイマー病に罹るという現象だ。ポール医師はこの現象を「デジタル化が引き起こしている認知症」と呼んでいる。

 *ADHDや自閉症----各若年世代でADHD*や自閉症の発症が広まっているが、その原因は妊娠後期や出産直後に、低周波電波に晒されたことにある可能性がある。これらの神経異常は、カルシウムの過剰により、細胞株が浸透しすぎることにより起こっている。そしてその原因は、低周波電波の振動によるシナプス*形成不良だ。
 訳注*(ADHDとは、注意欠如、多動症のこと)
   *(シナプスとは、神経興奮を伝達するときの二つの神経細胞の接合部)
 
 すべての人が5Gの放射線により影響を受けることになる。しかし5Gが与える傷害を見極めるのに30年という年月は必要ない。タバコとは違い、5Gに晒されるか、晒されずにすむかを自分で選ぶことはできない。5Gによる電磁放射線を避けることは不可能だ。

 大手メディア、特にニューヨーク・タイムズ紙は、5G関連産業の先頭を走るベリゾン社と提携しており、上記で示したような科学的な研究結果を示して、人々に警告を発しようという意図は全くない。科学界や、医療界において「5Gが人類史上これまで見られたこともない規模の病気の広がりの原因になる」という常識が広まりつつある。予想することは非常に困難だ。しかし、低周波電波による、ここ50年の健康や環境に与える副反応についてのこれまでの研究と、現在進行中の研究を考慮すれば、すでに人類は、全く対処する準備が全くできていない病気や神経機能障害に苦しまされる新時代に突入していることがわかる。

 このような状況は、選挙で選ばれた大統領や国会議員たちをうっかり信頼してしまっていることから生まれているものだ。大統領も国会議員たちも、テレコム業界の各巨大会社や、シリコンバレーから選挙資金として札束を積まれており、メディア界の大手を支配しているのは、こりない嘘つきたちと、民間企業の利益のために偽情報をばらまくのに長けた者たちだ。まさに、「ハゲタカ資本主義の悪事、ここに極まれり」だ。




習近平のダボス会議発言は、彼がグローバリストの手先だという証明になるのか?「その果実によって、あなたがたはそれを知ることになる」

習近平のダボス会議発言は、彼がグローバリストの手先だという証明になるのか?「その果実によって、あなたがたはそれを知ることになる」

<記事原文>
Do Xi Jinping’s Davos Remarks Prove He Is a Globalist Shill? ‘By Their Fruits Ye Shall Know Them’

マシュー・エレット

Matthew Ehret

Matthew J.L. Ehret is a journalist, lecturer and founder of the Canadian Patriot Review.

2022年1月31日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月11日
 

 真実は時に苦い薬となる。しかし、患者を救う苦い薬は、糖衣毒よりもつねに優れている。

 「良い木はすべて良い実を結ぶが、腐った木は悪い実を結ぶ。良い木は悪い実を結ばず、堕落した木も良い実を結ばない。良い実を結ばない木は、すべて切り倒され、火の中に投げ込まれる。だから、あなたがたはその実によってそれを知るのである」(マタイによる福音書7章20節)

 1月17日、習近平国家主席はダボス会議で演説した。ダボス会議では、ITを駆使した新しい封建主義のもと、世界をディストピアに改変しようという野望を抱く億万長者たちが集まり、数日間にわたって自己満足の演説や、野望実現に向けた各勢力との連携作りに明け暮れた。

 案の定、習近平の演説は、大西洋の向こう側の米国の多くの民族主義者からかなりのヒステリーを引き起こした。このことからも、彼ら米国の民族主義者たちが、人類の文明をリセットしようとする非常に社会病的な超国家的存在によって自国政府が乗っ取られ、生活が脅かされるという醜い事実にうまく対応していないことがよく分かる。

 歴史的に一帯一路構想(BRI)を支持してきた「LaRouche PAC」という名の独特な国家主義者たちが運営しているニュースサイトは、習近平の発言は、不快なメルトダウンにつながるものだとして、ロバート・イングラハムの1月22日付け社説で次のように報じた。
(ラルーシュ運動LPACは、物議を醸したアメリカの政治家、リンドン・ラルーシュの政治組織の一部である。LYMの「ウォー・ルーム」はバージニア州リーズバーグにあり、LPACの本部でもある。)

 「習近平の演説は非難されるべきものだった。『グローバルな協力』や『ウィン・ウィン』などという表現を使ってはいたが、彼の発言は、ベールで隠してはいるが、ドナルド・トランプに対する攻撃であり、ダボス会議の企みを明確に支持しているとしか読み取れない。彼は、『全体論的』環境主義、カーボンニュートラル、『グリーン経済への完全移行』を支持した。彼はTTP(Trans-Pacific Partnership環太平洋戦略的経済連携協定)を支持し、自由貿易を賞賛し、保護主義を非難した。COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)の計画や、WTO、WHOにも絶賛の声を上げた。中でも最も反吐が出そうだったのは、大量虐殺を目的とした政策である国連の『持続可能な開発』を(スピーチの中で2度も)強く賞賛したことだ」

 ラルーシェPACは、習近平の演説を、中国がWEFの「世界大リセット」に加担している証拠だと批判する多くの報道機関の一つに過ぎないけれども、私は習近平擁護の主張をこの組織に向けて発することにした。その理由は2つある。

 ●(習近平批判を棚に置けば)、同ニュースサイトのこの論説記事は多くの非常に良いアイディアを提供してくれていると見ることができるからだ。そのアイディアが、文明を恐怖で圧倒している業火を消すという重要な役割を果たしうると私は心から信じている……ただし、その業火が最も激しく燃えさかっているいま、愚かなポピュリズムに甘んじることによって、彼らが自己破壊的行為をしてしまわないか、という懸念はあるが。

 ●この論説の著者は、私がこれまで読んだ中で最高の歴史的研究をおこなっていて、読者の心や自分の組織、そしてもっと一般的には、真実の目的に大きな損害を与えるような、許しがたい判断ミスをしないように予防しているはずだからだ。

 以下の反論の際、私は手厳しい言葉を使うかもしれないが、それはこの論説の著者が中国の動機について誤った分析をしていることを真摯に主張するためなので、ご容赦いただきたい。

主張1:「中国は脱炭素を支持しているから、悪である」

 COP26の脱炭素目標が、実は産業文明(と現在の世界人口規模を持続させる手段)の解体を意図していることを発見したひとたちに、祝辞を捧げる。グレタ・トゥンバーグやチャールズ皇太子やビル・ゲイツが気候変動専門家であるとか、われわれの集団行動を根本的に変えて産業文明を直ちに停止させなければ、世界は12年後に地獄の竈(かまど)になって終わる、と信じてやまない洞窟から抜けだし、誤った情報を切り抜ける知的能力を身につけたのだから。

 この問題に関して洞窟から抜け出せた人々にとって、習近平の公の発言は確かに混乱を招くものだった。中国国家主席は本当に「グローバリスト」の人口削減計画を支持しているのだろうか?先進工業文明の解体を支持しているのだろうか?
 
 ダボス会議で習近平が使った単なる表面上の言葉に惑わされず、彼の行動に注目すれば、答えは明確に「ノー」である。

ユーラシアの「脱炭素」と大西洋両岸の「脱炭素」の差異

 「脱炭素」と「持続可能な発展」に対する中国のアプローチは、NATO(北大西洋条約機構)とファイブアイズ(米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5カ国から構成され、政治的、軍事的な情報を共有する同盟)の檻の中での支配的なアプローチとは多くの面で大きく異なっている。「この先生活必需品が欠乏するので、生活水準を落とし、生産量を下げ、さらには個人の持ち物の所有権を返上しないといけない時代が来るから、それに備えよう」と言われている西側諸国民とは異なり、中国の「グリーンアジェンダ」は、天然ガス、石炭、石油、原子力を中心とした炭化水素開発(脱化石燃料の動きを支持し、将来的な再生可能エネルギーへの移行のために、エネルギー源の中心に天然ガスを据え、自国の経済成長に必要なエネルギー確保を目指すこと)に向けられている。

 中国の強力な原子力発電部門(CO2排出量ゼロ)は、溶融塩トリウムや高速増殖炉など、現存するすべての第3・第4世代の原子炉を利用している唯一の国で、実用的な商業核融合に向けた取り組みは他のどの国よりも進んでいる。

 中国は風車やソーラーパネルなどのいわゆる「再生可能」エネルギーへの投資も積極的ではあるものの、大西洋共同体とは異なり、資本集約型産業(機械化が進み、労働生産性の高い産業のこと)の基盤についてはこうした低強度で信頼性が低く高価な電力に依存させず、主に家庭用消費に「グリーン」エネルギーを利用する方向を選択している。

 また、中国が、コンクリート、鉄鋼、鉄などの鉱物を必要としている世界有数の国家であることは周知の事実であり、これらは「一帯一路」構想に象徴される大規模プロジェクトの建設に欠かせない。

主張2:「中国はTPPを支持しているから、悪である」

 
 習近平が「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)推進派」だと捉えるのは、単純すぎる。

 ペペ・エスコバールが非常にうまく説明しているように、「誰が“第二次グローバル化”のを支配することになるのか?」をめぐる戦いだと見るべきである。

 50年にわたり世界を蹂躙してきた第一次グローバリゼーションはすでに水面下では死に体であり、このグローバリゼーションは、新しいタイタニック号が暗い深淵に引きずり込まれるように、間もなく訪れる衝撃で船がバラバラになるのを待つだけである。この崩壊は、多くの人が推測しているのだが、何かのシステムが崩壊して起こるのではない。実際にはとうの昔から時限爆弾が仕掛けられていたのだ。1971年にドルが金準備制度から変動相場制に移行して以降、現在の全体的なバブル崩壊を迎えるまでずっとそうだったのだ。

 したがって、問題は「システムが崩壊するかどうか」ではなく、むしろ「誰がこの新しいシステムを形成する」のか、であり、「どのような運営システムにそのルールが基づくことになるのか」、である。

 それは創造的成長と自主的改善が可能な開放型システムなのか、それとも同質性(エントロピー)と収益の不変の法則によって定義される閉鎖型システムなのか?そのシステムはゼロサム(参加者全員が負け、勝ち分の総和がゼロになる)なのか、それとも全体が部分よりも多くなる(共に利益となるウィンウィン、両者に有利な)のか?

 オバマ時代のTPPは、2016年にトランプが正当にも破棄したが、それは中華人民共和国、とくに主権国家システム全般に対する露骨な経済攻撃以外のなにものでもなかった。この攻撃は、以下のようないくつかの要因を前提としていた。

 A) 太平洋沿岸のすべてのTPP加盟国を、ロンドンとウォール街が支配するNAFTAのようなトップダウン型のシステムに縛り付けていること。

 B)TPPが定めていた「自由貿易」のルールを破った国を直接訴える権利を企業に与えていること
(多国籍私企業が、世界経済フォーラムのような機関を通じて調整するなどして常に支配力を維持しようとするため、「自由貿易」といっても実際には自由ではなかった)

 C) 2016年以前のTPPがつねに中国を除外していたため、中国を近隣諸国から切り離していること。

 習近平が言及している「第二次TPP」は、(第一次TPPとは違い)その名の通りの「環太平洋パートナーシップ協定」だ。

 運営システムの観点から言えば、第二次TPPは、2020年に世界人口の30%を占める太平洋地域15カ国が参加する史上最大の貿易協定として発足したRCEP(地域包括的経済連携)の延長に近いように見える。

 第二次TPPは、真の意味での自由貿易を含んでいるのだろうか?答えはYESだ。第二次TPPにおける自由貿易は、貧しい国々に対する帝国主義による強姦を正当化するために使われるだろうか?答えはNOだ。

自由貿易はどのような意図で運営されるのか?

 アダム・スミスが1776年に悪名高い『国富論』を書いて以来、多くの悪が「自由貿易」という隠れ蓑のもとでおこなわれてきたことは明白な事実にちがいない。

 アヘン戦争、ジャガイモ飢饉(19世紀のアイルランド島で主要食物のジャガイモが疫病により枯死したことで起こった大飢饉)、度重なるインドでの大虐殺、そして現代のグローバリゼーションの下での略奪に至るまで、英国が提唱する「自由貿易」はしばしば、対象国に安全装置のスイッチを切らせているすきに、その国民を丸裸にするまで搾取し尽くす手段として使われてきたのである。

 中国式自由貿易と英米式の自由貿易の違いは、その目的にある。

 英米式が国家の発展を破壊するために設計されたのに対し、中国式(あるいはそれ以前の米国のハミルトン方式)は、参加するすべての国の産業向上と表裏一体となって設計されている。一方が分割、征服、破壊を意図しているのに対し、他方は団結、協力、創造を意図しているのだ。大きな違いだ。

 ここで、ある人は叫ぶかもしれない。「意図なんてどうやって見極められるのか?」

 その答えについては、かつてイエスが問いに答えたように、「あなたがたはその果実によってそれを知るであろう」だ。唯物論者にはどう処理したらいいかわからないだろうが、世界の歴史を見れば、政治の世界では、自分の意図が透けて見えるような言葉を使うと、ほぼ必ず目的が台無しになることがすぐにわかるだろう。私たちはジョン・F・ケネディの強靭な率直さを愛しているが、その率直さ故に、就任してわずか1000日で殺害され、彼の持つ偉大な良さが花開くことがないままになってしまった。ベンジャミン・フランクリンのようなもっと賢明で精通した政治家がいたなら、そんな事態が起こることは決して許さなかったであろうが。

 悪いことをしようとする悪人が良い言葉を使い、良いことをしようとする善人が悪い言葉を使うことがある。その意図や善意をどうやって知ることができるのだろうか。言葉ではなく、その果実で知るしかないのだ。

中国のハミルトン的果実

 一極集中の帝国主義が数十年にわたる飢餓、貧困、戦争を生み出しただけであるのに対し、中国は8億人以上の人々を絶望的な貧困から救い出したことが証明されている。中国は、国有銀行を通じて何兆ドルもの生産的な長期信用を立ち上げ、その資金を債務の投機ではなく、実際のインフラの建設に結びつけた。

 西側の金融システムは、投機的・架空的資本の誇張された上昇率に完全に依存しているが、中国の金融システムは物理的な生産と価値のシステムを前提としている。エバーグランデ(中国恒大集団Evergrande Groupは、中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く不動産開発会社)のバブル崩壊は、西側なら原子爆弾のような破壊力をもつことになっただろうが、中国では十分に抑制可能な異常事態なのである。

 もし習近平を攻撃しているラルーシュPAC(LPAC)系の著者が、経済学者アレクサンダー・ハミルトンの原著の趣旨をきちんと読み解けていたのなら(その著者は読んだと公言してはいるが)、著者が信奉するアメリカのシステムは、本質的に自由貿易に反対ではなく、またつねに保護主義的でないこともわかるはずなのだ。

(ハミルトン:合州国憲法の実際の起草者。合州国憲法コメンタリーの古典『ザ・フェデラリスト』の主執筆者。統一された中央政府を有する必要があると考え、近代的な資本主義の基盤は、連邦政府によって成し遂げられるものとした。これは連邦主義といわれる。)

ハミルトンは何を創造したのか?

 ハミルトンが1791年の議会への報告で指摘したのは、破産した未成熟状態の新生国家は悲惨な内部分裂と混沌に追いやられるだけだということであった。最初の7年間、アメリカは大英帝国に奪還されるのを待つ財政破綻国であった。各州は経済の優先順位や通貨発行を自州内で管理し、13州のうちどの州も相互の自由貿易さえおこなわず、連合というにはほど遠い状態であった。

 このように、初期の連合体には統一性がなかったため、共通の行動をとることは不可能であった。共通の行動力を持たなければ、ロンドン中心部に集中していた高度に中央集権化された世界規模の金融寡頭政治と戦うに足る強力な武器は存在しえなかったのである。

 ハミルトンが行ったのは、アメリカ独立戦争中に発生した多くの局所的で返済不能な州債務を連邦が肩代わりし、それらを新しい国家銀行システムの資産に転換することだった。その資産が包括的な国家インフラ目標のために信用供与を開始することになり、亡国の危機を解決したのである。各州は「やりたい放題」にできる自由を失ったが、貿易障壁は取り除かれ、国家通貨が発行され、この飛躍的な進歩によって、若い国家は生き残るどころか、繁栄することさえできたのである。ハミルトンのもとでは、借金はもはやインフレを引き起こす装置などではなく、国民全体の利益に貢献する自己清算可能な「国家の恵み」であった。この点に関して、中国が国営放送の報道でハミルトンをよく引き合いに出すのも、偶然ではないだろう。

 ハミルトン計画の最初の数十年間で、アメリカの人口は4倍に増え、技術的知識、産業生産性、相互接続性、発明は飛躍的に成長し、やがてアメリカは世界最大の帝国への道に挑戦するようになった。

 (習近平批判の記事を書いたサイトのラルーシュPACの)イングラハム氏は、ハミルトンが独断的な関税支持者(つまり保護主義者)ではなく、自由貿易を支持していたことを知ったら驚くかもしれない。ただしその条件は、その自由貿易が、或る統一目的に従って形成されている場合に限られる。そしてその統一目的とは、その自由貿易により、全体の多くの部分の産業と創造が最大限に発展できるようにしようという目的だ。この目的は、米国憲法の重要な第1条第8節を含む「公共の福祉」条項の本質的な目的に繋がるものである。

 ハミルトンの後進であるフリードリヒ・リスト(1828年に「アメリカ政治経済システム」という言葉を作った)は、このシステムを用いて、バラバラだったドイツを、歴史上初めて、地域的に分裂していた国家間の自由貿易を推進する「ゾルフェライン」(別名:関税同盟)の下に統一した。リストの計画のもと、国内改善(鉄道、運河、新産業、純粋科学)と結びついた国家の信用が、ドイツを近代時代へと導いたのである。

 このシステムが適用された地域(19世紀のロシアを含む)ではどこでも、人口が量的にも質的にも増加し、国内の各地域間の調和的な関係が改善され、寡頭制はその支配力を失い、創造的な変化が生まれたおかげで、終わりのない成長をどんどん実現できるようになっていった。

 これは良い果実であったと言っていい。

 英国の自由貿易は、「第一次グローバリゼーション」のように、いつも耳あたりの良い言葉を使うが、本質は腐った果実を実らせるものであった。

 どこに適用されようとも、英国式の自由貿易は経済主権国家を破壊し、長期計画を不能にし、民間資本の規制を解体し、つねに「分断して征服せよ」政策に利用されたのである。

 英米のアイビーリーグの大学で教え込まれたこのシステムの信奉者たちは、知らず知らずのうちに、金の亡者の悪党の一員に成り下がり、ますます近視眼的な見方しかできなくなり、局所的で利己的な自己認識の先にある全体像が見えなくなってしまった……それこそまさに、悪夢のビデオゲームのようなシステムを動かしている寡頭エリートがつねに望んでいた姿だったのだ。

主張3:「習近平はWTOを賛美したので、悪である」

 世界貿易機関(WTO)には、国連憲章と同様に、多くの立派な言葉や経済行動のルールが埋め込まれている。このルールと言葉に従えば、どちらの組織も誰にも害を与えることはなく、むしろ多くの利益をもたらすかもしれない。

 「健全な競争」、「公正さ」、「取引の自由を促進する」、という素敵な言葉がちりばめられたルールが問題なのではない。

 問題は、これらのルールの多くを、それを破ることを意図して書いた勢力の意向にあるのだ。

 WTOのルールは、19世紀にこの小さな島を世界の大部分に対して支配的なアルファ位(αの位置、炭素原子の位置)に保つために、各国国家が自由貿易に服従することを求めた英国の要求とよく似ていて、欺されやすい犠牲者には信じやすい書き方になっていたものの、グレートゲームを形成する支配者層の人々にとっては、つねに植民地主義や奴隷制度の単なる道具だと理解されていた。


 この意味で、1999年のWTOは、アダム・スミスの1776年の『国富論』と多くの共通点をもっている。

 アダム・スミスは悪の美徳を賞賛し、はたまた、弱者を支配する覇権主義者の権利を促進するような書き方をしていただろうか。

 そんなことはない。

 アダム・スミスの著書を読めば、素晴らしい言葉がちりばめられていることが分かるし、もし世界が本当に、国際的に拡大した金融寡頭政治のない、生活の質の向上を目指して共に暮らす国々の平等な場であったなら、何も悪いことは見つからないだろう。

 問題は、ベンジャミン・フランクリンやハミルトン、そして最も有力な建国の父たちの多くが(あるいはフリードリヒ・リストが後に)理解していたように、アダム・スミスはただの雇われ政治専門家で、スミス自身、自分が書いた文言を信じてはいなかったというところにある。歴史家のアントン・チェイトキンが『Who We Are: America's Fight for Universal Progress, from Franklin to Kennedy』の第1巻で指摘しているように、アダム・スミスは大英帝国の上層部と直接結びついており、『国富論』を(偶然にもアメリカ独立宣言と同じ年に)出版するまで、第2代シェルバーン伯(米国の独立に反対していた17世紀の英国の政治家。首相や内務大臣を歴任)によって何年も教育されていた。



 アダム・スミスとロンドンの寡頭制の主人たちがつねに理解していたのは、自分たちが彼の「見えざる手(市場原理の万能性を説明する際にアダム・スミスが使用したことば)」の真の所有者だということだった。その「見えざる手」ということばこそ、規制のない市場を支配する「魔法の秩序原則」なのだ、と彼らが犠牲者たちに信じこませたいと願っていたことばなのである。

 ここ7年間で適用されたBRI(一帯一路構想)指向の自由貿易圏は、すべての参加国間で実際に測定可能なインフラと産業力を構築するという意図によって形成されている。アフリカ-中国自由貿易協定、中国-パキスタン経済回廊、中国のRCEP(アールセップ、東アジア地域包括的経済連携)、中国-EU取引、中国-南米自由貿易協定などを見ていると、大英帝国の暗黒時代やJFK後の米帝国資本の時代におこなわれたこととは正反対であることがわかる。これらの条約が適用された地域では、略奪や債務奴隷が蔓延するのではなく、産業成長、大規模インフラ、製造業、教育が爆発的に発展している。その意図は、第一次グローバリゼーションの時代に見られたものとは全く異なっている。

 中国がわかっているのは、もし国連憲章とWTOの規則が、3兆ドル以上のBRI(一帯一路構想)が追い求める意図のもとで施行されうるならば、第二次グローバリゼーションは、基本的に反独裁的、人口増加的、国民国家的、協力的、反人口削減的な規則に支配されることになる、ということである。

 これはなんと良き果実だろうか。

主張4:「習近平はWHOや、COVID協力体制を賞賛したから、悪である」


 最後に言っておかなければならないのは、習近平の「世界保健機関・パンデミック対応」に関する発言について、である。

 この話をすると嫌がる人々もいるだろうが、あえて述べることにする。

 今日に至るまで中国は、ソロスの諜報員である趙紫陽(ちょうしよう、党中央委員会副主席、国務院総理、党総書記などを歴任)治世下の1980年代に動き出したトランスヒューマニスト志向の西側寄り第5列(諜報活動家)を、まだ完全に粛清しきれていない。

(トランスヒューマニスト:超人間トランスヒューマンは、遺伝的な生物学と、デジタル技術や遺伝子組み換え技術を組み合わせたもの。ヒトゲノムの改変は、様々なナノテクノロジーを挿入することでサポートされ、自然界と非自然界の融合によって変化した生命のほとんどは、現在急速に進行中のAIの管理下に置かれることになる。)

 趙が中国政府に影響を及ぼしていた時期、トランスヒューマニスト(超人間主義者)、マネタリスト(通貨主義者)、テクノクラート(技術部門出身の官僚)が大量に流入し、現代の中国のディープ・ステートを形成していた。これら寄生虫らの多くが、1989年に始まり、1997年に再びおこなわれ、そして2012年の習近平体制の発足とともに始まった最近の粛正で、段階的に駆除されたことは喜ばしいことである。今日まで150万人以上の官僚が汚職容疑により粛正されている。

(マネタリスト:通貨供給や金利操作などの金融政策の重要性を主張する経済学者。主唱者は経済学者ミルトン・フリードマンらで、マネタリストの考え方は「新貨幣数量説」とも呼ばれる。ケインズ学派とは立場を異にし、1980年代の金融政策に大きく影響を与えた。通貨主義者)

(テクノクラート:技術部門出身の官僚、権力者。大衆国家において、国家行政が経済統計や社会計画を含む段階に至ると、従来の法律・組織・宣伝等の技術以外の社会工学的な高度の専門技術の保持者が官僚・行政官・管理者として重用され、支配者集団に入っていくことから生まれた)


 こうした粛正にもかかわらず、中国国内における世界経済フォーラムや英米の存在は、特定の方面でまだ感じられる。それが最も明確に表れているのは、江沢民(こうたくみん)元国家主席を中心とする「上海閥」や、ジャック・マー(アリババグループの創業者)など欧米寄りの億万長者たちが、何度も中国の経済主権を覆そうと様々な試みをおこなってきたことである。

 ロシアもまた、ゴルバチョフ-エリツィン時代に構築された独自のディープ・ステート問題に苦しめられている。

 銀行の国家管理を維持してきた中国とは異なり、モスクワのテクノクラート的なディープ・ステートは、ケインズ主義に侵された自由主義の中央銀行システムにおける絶大な影響力を依然として享受している。さらに中央銀行システムはロシアの大手製薬会社と密接に結びついている。(多くの例の一つとして、ズベルバンクを参照のこと)。

(ズベルバンク:ロシア貯蓄銀行は、ほぼ太陽の沈まない帝国といわれるロシア最大の商業銀行。もともとは帝政ロシア時代1841年に設立、社会主義のソ連時代に「貯蓄信用金庫」として国民に身近となり、それが市場経済導入に伴い商業銀行に改組され、現在でもロシアの銀行界では圧倒的なシェアを誇る。日本のゆうちょ銀行に近い存在。ロシア最大のIT企業であり、新型コロナワクチンの開発・生産もおこなっている。)

 北米やヨーロッパとは異なり、中国はつねに代替のコロナ救済策を提供してきた。単にワクチンに固執したり、コンピュータモデルに基づいて経済を停止させたりしない。中国がヒドロキシクロロキンに亜鉛を組み合わせた治療法だけでなくさまざまな東洋医学の治療法を使用して、当初から大きな効果を上げ、結果的に、コロナによる死亡率はアメリカの0.6%に収まっている。

 中国が明言しているのは、①コロナが国防総省とつながりのある200以上のバイオラボの1つから生まれたものなのか、②2000年のPNAC(アメリカ新世紀プロジェクト)文書『アメリカの防衛を再建する』で血も凍るような詳細が説明されたごとく、将来的に遺伝子を標的とした創造物が中国社会に放出されたものなのかが、まったくわからないのだということだ。

 はっきりしているのは、2020年1月以来、中国は起こりうる戦争のシナリオであるかのごとくコロナ対応を行っているということだ。

PNAC(Project for the New American Centuryアメリカ新世紀プロジェクト、1997年設立のネオコン系シンクタンク。20世紀を「アメリカの世紀」となぞらえることにあやかって、21世紀を「アメリカ新世紀」と謳っており、防衛再建計画では、サイバースペースや宇宙のような情報空間や物理空間をアメリカがコントロールすることを主張して、「完全支配」と呼ばれるフル・スペクトラム・ドミナンスの確立を目指した。)

 ロシアと同じように、中国でもワクチン接種の義務化をめぐって、さまざまな地域勢力と連邦政府との間で、何度も衝突が起きているのだ。

 連邦政府が(地域・州政府の抵抗に対して)専制的なワクチン接種の主要な執行者となっているほとんどの西側の政府とは異なり、ロシアと中国には逆のパターンが見られる。

 これらのユーラシア大陸の国家では、主に連邦政府が、地方当局が市民達に対して行っている専制的で行き過ぎた追い込みに対して介入してきたのである。

 ロシアと中国の指導者たちは、自分たちの文明の存続のためだけでなく、自分たちよりもはるかに大きなもののために戦っているのだ。しかも、彼らはこの戦いから生還するだけでなく、システムが崩壊し、第二次グローバリゼーションが実行に移されている中で、支配的なポジションに立つことを意図している。

 アメリカ人の中には、自分たちの愛する共和国がファシストのクーデターに取り込まれているという事実を受け入れることができない人もいる。ドナルド・トランプがこの件に関して何かできる道徳的・知的能力を持っていなさそうなことも受け入れがたいし、ユーラシアの国々によって外部から強制される広範なグローバルな変化なしでは、今の米国は自らを変える不屈の精神が持てていないことも、受け入れがたいようだ。

 真実は時に苦い薬である。しかし、患者を救う苦い薬は、糖衣毒よりもつねに優れている。

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<記事原文 寺島先生推薦>

“Vladimir the Terrible” Fits the Needs of the U.S. Military-Industrial Complex for an “Evil Foreign Enemy”

But the Real Putin Is Well-Regarded by Many Russians for Standing Up to U.S. Imperialism and Reviving the Russian Economy

Global Research 2021年11月29日

ダニー・ショー(Danny Shaw)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月20日



 プーチンが脅威であると考えている理由は、プーチンがロシアの主権を取り戻し、ボリス・エリツィン時代の屈辱を消し去り、ロシアの国家利益を擁護したからだ。しかしそのような行為は、米国の支配者層には耐え難いことだった。

 米国の軍産複合体が敵を欲するのは、肺が酸素を欲するのと同じことだ。敵がなければ、作り出さずにはおれないのだ。

 ソ連が崩壊した際、国防総省の政策立案者たちは新しい悪の標的を見つけ出さなければならなくなった。そうしないと7780億ドルというとんでもない額の軍事予算を正当化できなくなったからだ。もちろんその軍事予算は、米国経済に壊滅的な悪影響を及ぼすことになっているのだが。パナマのマニュエル・ノリエガ(長年CIAに利用されてきた人物だったのだが)を「米国に脅威をもたらすであろう」狂犬扱いにするようなプロパガンダを広めることで、1989年のパナマ侵攻を正当化しようとしたことも、その一例だ。

 あるいはCIAに利用されていた他の人物たち、例えばサダム・フセインや、ウサーマ・ビン・ラーディンも、米国民主主義の脅威であるように描かれ、アフガニスタン侵攻や、イラク侵攻を正当化するために利用され、数え切れないくらいのアフガニスタンやイラク国民の命を奪った。さらに言うまでもないことだが、何千もの無垢な米国軍人たちが、弾除けにされ、命を奪われてしまった。これもその一例だ。

 しかしそのような敵がいなくなれば、すぐに新たな敵が必要となった。その時タイミングよく、1999年に強い主権国家としてのロシアが再興し、敵にとって新たなまたとない候補が登場したのだ。そしてその新生ロシアが、新しい冷戦の火蓋を切る完全な口実になった。その新冷戦が、新型兵器導入の口実に使われて、かつてないほど大規模な軍事支出が正当化された。それは軍産複合体がホワイトハウスの政治家たちや、国会議員を買収して要求し続けてきたことだった。

壊滅国家から主権国家に再生したことにより、ロシアは最も新しい「米国民主主義の敵」となった

 1990年代というのは、ロシアにとって屈辱の時代だった。西側からのいいなりで、堕落し、アル中だったボリス・エリツィン大統領のもと、ロシアは事実上西側帝国主義勢力の新たな植民地と化していた。しかし1999年にエリツィンが退陣し、後継者であるウラジーミル・プーチン副大統領が後を継いだ(翌年2000年に正式に大統領に選出された)とき、新時代の幕開けの兆候が見えたのだ。それはロシアと西側諸国との関係において、新時代の幕開けでもあった。

 メディアの見出しや印象操作的な報道では常にロシア(中国、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなど米国帝国主義による権力統制の外側にあえて存在している国々も同様だが)は、「我々の」国家安全保障上危険な外敵というように描かれてきた。しかし、米国民たちはロシアという国の社会や外交政策について、真に理解しているのだろうか?

 ロシア連邦の特性は、正しくはどこにあるのだろうか?なぜバイデン政権は、ロシアに対して新しい制裁措置を取り続けたり、外交官を追放したりし続けているのだろうか?「ロシア嫌い」という国家宗教を新たにしつらえ直した背後に何があるのか?これらの疑問に対する言及から、この記事を書き始めよう。

誇り高く、力強いロシアの再興

 現在、ロシアは資本主義社会において中庸の地位を占めている。GDP順でいえば11位で、10位の韓国と、12位のブラジルの間に位置している。一方米国は、ロシアの20倍の生産能力を有している。これが、西欧諸国の力に屈してきた屈辱の4分の1世紀を耐えた後で、自国の利益を主張しようとしているロシアの現実だ。

 オリガルヒ(新興財閥)と資本家が、今日のロシア経済1兆4600億ドルの中心にいる。ロシアとロシアの複数の小隣国との関係を悪化させてきた社会主義体制は、資本家たちの利益に取って代わられた。そしてロシアの国家的な排外主義がいま広まっている。

 ウラジミール・プーチンは、ロシアのブルジョアの国家主義的な部分の代表となっている。ボリス・エリツィンや、その仲間たちとのプーチンの大きな違いは、プーチンの主目的は、国際社会において、強く、誇り高きロシアを再興させることにある。元KGBの工作員であり、敵を暗殺し、ソ連時代をほうふつとさせる強硬な手法をとることで、批判を受けてきたプーチンだが、それでも自身の出身地での評判は、前任者と比してすこぶる良い。


2000年の就任式でのプーチンとエリツィン

 この20年間、プーチン政権が外交政策の主目的に置いてきたのは、地政学上、息継ぎ的な時期を作り出すことによって、ロシアが以前の国力を挽回し、国際政治における主要な地位を取り戻し、西側諸国に追いつけることができるようにすることだった。

 ジョージ・ワシントン大学の欧州・ロシア・ユーラシア研究所長マレーネ・ラリュエル(Marlene Laruelle)の説明によれば、プーチンやロシアに、「ファシスト」や、「専制政治」というレッテルを貼ることは、学術的理由ではなく、ロシアに対する信頼を失墜させようという政治的な意図にある、とのことだ。そうすることにより人口1億4400万人のロシアという国を、国際社会において一目置かれる存在にしなくてすむからだ。

 ニコライ・N・ペトロ教授(米国ロードアイランド大学の平和と非暴力学の代表であるシルビア・チャンドリー教授)も同様の見解を示し、プーチンの指揮のもと、多くの良い改革が進んでいると指摘し、ロシアの犯罪者に対する裁判制度を劇的に変えたこともその一例だとしている。

 これらの研究者たちからは、プーチンは好評だ。それはプーチンが支配者層や、オリガルヒや、公務員たちなどロシア社会の強力な勢力にある程度の安定を保証したからだ。さらに多くの一般のロシア国民たちも、エリツィン時代の経済崩壊を覚えていて、それ以降起こった経済の好転をプーチンと結びつけて考えている。もちろんある程度の困難はまだ残存してはいるのだが。


1992年ロストフ・ナ・ドンの蚤の市で

 ラリュエルの論文の結論によれば、ロシア国家は無数のイデオロギーの吹き溜まりになっている、とのことだ。具体的には、社会保守主義や、ソ連時代への郷愁、リベラル、ロシア正教会、ロシア国家主義だ。ラリュエルは自身の著書『ロシアはファシストか?西側や、東側諸国のプロパガンダの謎解き』において、以下のように説明している。「包括的なイデオロギーの流れをひとつあげるとすれば、それは脱リベラル主義でしょう。リベラル主義 [資本主義、帝国主義、西側覇権主義といった言葉をラリュエルは著書の中で決して使用していないが]は今や「時代遅れ」で、「本来の目的から外れている」と否定されています。そのことについては2019年にプーチンが宣言していました。国家主権を取り戻そうというイデオロギーへの回帰が今の潮流です。つまり国家や、経済や、文化・道徳に関する主権を取り戻そうという流れです」。[1]

プーチン勝利による揺り戻し

 ソ連の平等主義や社会や経済において保障されていた国民の権利、さらには歴史上最も強力な米国という帝国と地政学上で対等に渡り合ってきたことに長年慣れ親しんできた人々にとっては、ロシアが西側諸国の従属国に戻ってしまった1990年代という時代には、ショックを受けたであろう。

 フランスの経済学者トーマス・ピケティ(Thomas Piketty)の研究が示したところによると、所得の不平等や、ロシアが「オリガルヒが公共資産を大量に横領するような社会」にまで落ち込んでしまっていたことがわかる。[2]。国の資産が最高値で売りさばかれる中、1991年~1995年に実施された民営化バウチャー方式(訳注:国営企業が株式会社に変異するに伴って、政府は国民に民営化された企業の株式と交換できるバウチャー(民営化証券)を配布した方式のこと)を実施したため、富が億万長者たちの手に集中した。IMFや世界銀行の西側の助言者達は金融体制を監視し、相続税や累進税を導入することには完全に反対していた。

 共産主義後のロシアでは、国民全員に対して同じ税率が課された。果物の売り子であろうが、ガス会社の大物であろうが関係なく、一律13%だったのだ。タックスヘイブン下での企業の横行のため、必要な多くの社会資本が奪われることも普通だった。ピケッティの著書『資本とイデオロギー』の結論によると、ロシアの経済の枠組みは、レーガンやサッチャーの手中におかれ、西側が超資本主義を試す実験台にされていた。

 だからこそエリツィン大統領が、西側諸国から寵愛されていたのだ。エリツィンはタイム誌の表紙を何回も飾ったが、型にはまらず、革命的で、ビル・クリントンの同士という描かれ方だった。

 ロシアの専門家ジェレミー・クズマロフ(Jeremy Kuzmarov)は、エリツィンとプーチンの指導力の決定的な違いについてこう記している。

 「プーチンが誹謗中傷を受けている主な原因は、プーチンが前任のボリス・エリツィンと比べてより国家的な政策を推進しているからだ。エリツィンは、ショック療法士たち(ハーバード大学の助言者たち)にロシアを明け渡していた。そして、その助言者たちはよく練られていないままで民営化を進めようとしていたのだ。その結果記録的な貧困と崩壊を1990年代のロシアにもたらすことになったのだ。1500億ドル以上の資産がたった6年でロシアからなくなってしまった。その大部分は西側や外国の銀行に貯蓄された。飢えを凌ぐためになすすべもなく、ロシアは民営化バウチャーを売りさばいた。ロシアが借金のせいで破産し、ルーブルが価値を失ったとき、何百万人もの人が貯金を失い、男性の平均寿命は7歳縮まった。」[3]


民営化バウチャー

なぜプーチンは人気があるのか?

 ドイツの世論調査会社によると、プーチンに対する支持率はずっと75%以上を維持しているとのことだ。その理由は、その調査結果にも書かれているのだが、ロシア経済が1990年代の低迷を乗り越え、プーチン政権下において劇的に改善したことだ。そしてロシアが世界の地政学における存在価値を取り戻したことだ。


 西側の支配者層が、プーチンに対して持っている怒りを理解するには、ロシアの昨今の歴史を振り返る必要がある。「帝国のファイル」という番組の「ソ連後のロシア。米国の植民地から第一敵国への変遷」というタイトルの長編のインタビューにおいて、マーク・エーメズ(Mark Ames)記者がその基盤を提示してくれている。具体的には、なぜプーチンの指導力が或る勢力にとって、耐えられなくなっているかだ。その勢力とは、世界で最も戦略的に重要で、裕福な地域にあるロシアの支配者になるつもりにしていた勢力のことだ。

 エーメズは、エリツィン時代にも、プーチン時代にもロシアで暮らしていた。エーメズが語ったのは、ロシア社会が感じている心の傷についてだった。地球上で最も平等だった国が、ほぼ一夜にして世界で最も金権に支配される国になってしまったのだから。世界で最も豊富な天然ガス資源を持つ国の一つであり、世界の四分の一のニッケル埋蔵量を持つ国が、オークションにかけられ、売りさばかれたのだから。

 1998年に、ロシアの株式市場は95%下落し、ルーブルが貨幣価値を失い、食糧不足が発生し、国は崩壊し、教員には給料が支払われず、ロシアの3分の1が自給自足農民に戻ってしまった。1990年代の終盤には、西側メディアが西側諸国の新植民地であるロシアを褒めちぎる中、ロシア国民は実験台にされることにあきあきしていた。エーメズの視点では、1999年に起こったユーゴスラビア/セルビア軍を標的にした米国のコソボ単独爆撃にロシアが同盟国として関わったことが、ロシア人の堪忍袋の最後の緒だった、とのことだ。この事件が国家主義的な感傷につながったのだ。「共産主義は正しかった。(次にまな板にのせられるのは)俺たちの番だ」という感傷だ。

 クズマロフの著書『米国にとっての新しい戦場:ロシア制裁と新しい冷戦』を読めば、プーチンの指導力が一般のロシア国民にとってどんな意味があるのかがよく分かる。

 「有名なロシアの作家であるアレクサンダー・ソルジェニーツィン(Александр Солженицын)はこう語っている。「プーチンが引き継いだのは、ぐちゃぐちゃにされ、混乱した状態のロシアだった。プーチンはできることからまず手をつけた。それは緩慢で、段階的な復興という方法だった。」

 「プーチンがこの目的を成し遂げられた理由のひとつは、オリガルヒに税金を支払うことを命じたことだ。その方法は、エリツィン政権時に、エクソン社などの西側石油会社に買い取られていた天然ガス産業や石油資金に対して以前のように国が圧力をかけられるようにしたことだ。さらに、インフラや、生活水準を改善するような政策を採ったことにより、汚職や犯罪の減少につながったことだ。それに伴い、インフレや失業率や貧困率が低下し、給料は改善し、10倍の経済発展を成し遂げた。プーチンは、ロシア国家が抱えていた借金を減らし、ロシアの富の海外への流出を止め、年給制度の改善にも成功した。」[4]

 1世紀前のボルシェビキと同様に、世界の巨人に対して、負け犬が立ち上がったのだ。

 追い詰められたロシア国民たちは別の方法を模索していた。このことがプーチンの台頭の原動力となった。プーチンは酒飲みではなかった。プーチンはまじめだった。さらに、元KGBの諜報員だった。

米国単極支配への挑戦

 オバマ政権の財務長官であったジャック・ルー(Jack Lew)は経済制裁についてこう語っていた。「米国にとっての新しい戦場であり、私たちを害しようとしているもの達に対して、軍を送らずに害を与えられる方法です。」

 『制裁に対するロシアの反応。西側経済の国政術によりロシアの政治と経済の再構築が進んでいる』という著書において、バーミンガム大学のリチャード・コノリー(Richard Connolly)教授が評価していたのは、ロシア政府は、米国が敵対している中国や、イランや、ベネズエラとの交易を増やすことで、世界の多極化を構築しようとしている点についてだった。

 10月15日、ロシアとベネズエラの代表者が「第15回政府間会議及び第2回ビジネスフォーラム」に集まり、そこで各戦略部門における協力を維持することに同意した。具体的には農業や、漁業や、文化部門などだ。米国がイランに対して軍・経済両面から攻撃を加えたため、イランは、上海協力機構を通して中露両国に近づくことになった。このことは米国や、イスラエルや、アラブ首長国連邦のシンクタンクにとって警告となっている。

 イランが見せたこのような新しい同盟を作る動きにより、世界の独裁者たる米国の行為が狂気じみてきており、他国の外交官や貿易大使を投獄することまでしている。有名な例をあげると、米国からの支配を逃れ、迂回しようとしたアレックス・サーブ(Alex Saab、ベネズエラのマドゥロ大統領の同士であるコロンビアの商人)が逮捕された事件だ。米国が世界人口の4分の1の人々に対して越権的な行為を行い、制裁を課すことにより、逆に対象国同士が貿易によりつながりを深めている現象が起きている。

ロシア左翼からの批判

 プーチンがこれまでの経歴に闇の部分があることは間違いがない。そのため、ロシア国内の政敵から正当な批判を浴びている。

 ロシア共産党のゲンナディー・アンドレエービッチ(Геннадий Андреевич)党首が批判しているのは、力によって反対意見を抑えようというやり方や、国家所有の企業を敵対的買収(買収対象となる企業の経営陣や筆頭株主の合意を事前に得ることなく、株式公開買付を実施すること)していることや、「非情で激しい年金制度の再建」の手法をとっていることだ。ロシア共産党は、アレクセイ・ナワリヌイのサイトを封じ、ナワリヌイからの反論を制限したことを批判している。

 このような見方からすれば、ロシア議会内の他の主要4政党は、政権与党である統一ロシア党に忠実であり、その党が反対の姿勢を見せたとしても、それは統制されたものに過ぎず、ロシアの民主主義は見掛け倒しでしかない、ということになる。

 「立場を維持する」というユーチューブチャンネルは、ロシアの共産主義者バシリー・エレメイェフ(Васи́лий Еремейев )が運営している。エレメイェフはソ連時代には議会議員を選ぶ際には、民主主義に則り正当な手続がとられていたのに、今は国会議員の席は資本主義のもとお金で買えることになったことを対照的に指摘している。 さらにこのユーチューブチャンネルでは、医療や教育の民営化や、オリガルヒに対する課税の少なさを批判している。 今日のロシア国内の不平等の状況は、米国よりもひどい。

Russia Today (RT)について

 以前Russia Todayという名前だったRTは、ロシア政府と民間メディア会社の合弁巨大メディアだ。スプートニク・ラジオ局や、いくつかの多言語版RTニュースや、メディアである「レッドフィッシュ・ドキュメンタリー」などのメディアや企画を傘下に収めている。RTのプロデューサーたちは、番組の司会者を選び、記事を編集し、ゲストを招く仕事を行っているが、イデオロギーをきちんと整理していなければ、様々なイデオロギーがごちゃ混ぜになり、混乱をきたすところだろう。

 ロシアの若い革命家たちの指摘によれば、RT (Russia Today)と下部のメディア組織が帝国主義を批判する左翼のゲストや、左翼の取り組みを紹介することがあるのは、ロシア政府の本当のイデオロギーを隠すためだ、とのことだ。ロシア国家と民間企業の合弁会社であるRTが右翼のゲストを呼ぶことがあるのも、左翼のゲストを招くのと同じ意図があり、西側社会の矛盾を深く取り上げるためだ、とのことだ。リベラル系メディアや、主流メディアには呼ばれることのない左翼や右翼にも発言の機会を与えることによって、RTは西側社会の社会矛盾を強調しようという意図がある。RTが意識しているのは、いわゆる「二色同盟」であろう。つまり左翼と右翼が、グローバリズムの動きに反対するため手を取り合っている状況だ。

 RT は移民問題や、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル(Viktor Orbán )首相や、フランスの右翼を支持する記事を頻繁に取り上げている。プーチンは自身が反進歩主義者であり、反ウォーク主義者(訳注:ウォーク主義とは、様々な差別の撤廃を強く求めている考え方を持つ人々)であることを自負している。プーチンは最近ソチで演説を行ったが、その演説の内容からは、プーチンは米国の白人至上主義や、女性蔑視や、同性愛者に対する差別の歴史については冷ややかに捉えていて、誤解していることが窺えた。プーチンの言動とトランプの言動に類似性があることがここでも分かる。

 RTには、世界の諸勢力の力の均衡を保ち、権威が偏らないような働きがある。タイム誌が出したRTの暴露記事がある。タイトルは、「プーチンの息のかかったメディアの内側で」だ。この記事で明らかにされている事実は、RTの読者数が何百万人という記録的な数字に上っており、BBCやVICEやABCなど、西側のグローバリストの代弁者である世界の主流メディアと肩を並べつつあるという事実だ。自誌や、西側メディアを投影するような形で、タイム誌はRTを「クレムリンの代弁者」だと報じている。

 このようなタイム誌の報道は、CNNやニューヨーク・タイムズが激しく、しかもかなり大げさにロシアのことを悪く取り上げてきたことに続く一つの反応だと言える。CNNやニューヨーク・タイムズは、「ロシアが2016年の大統領選挙に介入し、トランプを大統領にする手助けをした」と主張してきた。このような批判から見れば、RTは外国の搾取に対して左派に反論の機会を提供しているふりをして、実のところは反リベラル体制を支え、ロシア国内の真の左翼に狙いを定め、破壊する意図があると言える。これはイラン国家が取っている立場と似ている。イラン国家は基本的には社会主義ではないのに、世界の反帝国主義勢力の主張と共鳴している。

 さらにロシア国家の支配者層は、「白人至上主義」を再生させようとしている。さらには、ツァーリ制や君主制を信奉し、ボリシェビキや赤軍には反感を持つという動きも出ている。先述のラリュエルは、プーチンが(帝政ロシア時代の)白人将校たちや、亡命者たちに敬意を表していることを記述している。プーチンは(ナチス占領下で)敵国に協力したとされてきた人々の名誉回復に関して、映画や記念碑などの費用を出しているが、レーニンの遺体が眠る霊廟は2005年から「建築中」のまま置かれている。

 2021年5月9日の第二次世界大戦戦勝記念行進で、これまで使われていたソ連旗がロシア旗に置き換えられた。さらにこれまではナチスを打ち破った英雄として「赤軍」や「ソ連国民」という言葉が使われてきたが、その表現が「私たちの先人たち」という曖昧な表現に変わった。ウクライナにおける右翼主導のクーデター先導者達との情報戦においては、ロシアの指導者たるプーチンは、その右翼のファシスト的要素を常に指摘してきた。目撃者が恐れているのは、反ウクライナ感情が、(ウクライナから分離独立した親露派の)ドネツク人民共和国や、ルハンスク人民共和国における、国を超えた動きと同調するのではないか、ということだ。

 米国の支配者層の間にはロシアに対する見方に決定的な違いがある。プーチンは左翼ではなく、保守的な国家主義者であるので、メディアのフォックス社や、ブライトバート社や、ニュースマックス社は、プーチンを好意的に報じる傾向がある。

 代替メディアは至る所に存在している。例えば「デモクラシー・ナウ」のようなメディアは大手メディアと呼応して、マーシャ・ゲッセン(Masha Gessen)のような反プーチン派のゲストを呼んでいる。バーニー・サンダース(Bernie Sanders)や、アレクサンドリア・オカシオーコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)や、マキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)などは、「進歩的な民主党員」とされているが、彼らもロシア嫌いを広めることに一役買っている。トランプも当初は、ロシアとの関係を深めようとしていたが、最終的にはロシアとの対抗的な姿勢を維持し、制裁を拡大し、中距離核戦略(INF)のような軍縮交渉は決裂に終わっている。トランプの当初の政策は、米国の真の支配者層からは受け入れがたいものであり、とうの前に、トランプは「大統領にふさわしくない」という烙印を押されていた。

 RTに対してこのような真っ当な批判をもつことにより、ある重要な疑問が浮かび上がる。それは、「反帝国主義者であるなら、RTや、プレスTVやヒスパンTV(両者とも、RTにあたるイランのTV局)の報道をもとに、世界を正しく捉え、分析してもいいのだろうか?」という問いだ。さらに、「反帝国主義者であろうとするならば、これらのメディアを活用して、米国がホンジュラスや、ウクライナや、ハイチで犯している罪を暴露していいのだろうか?」という問いだ。この問いは、世界の帝国主義の中心地である米国における、急進的な世界改革を希求している勢力や、マルクス・レーニン主義を信奉する政党にとって、自身の立ち位置を確認するために、本当に興味深い問いだ。組織化は、純粋に同質な環境で発生するというよりは、常に矛盾や挫折を抱えながら前に進むものだ。 社会的・経済的矛盾を抱えてはいるが、ロシアを資本主義や、白人至上主義と闘う同士として見ることは可能なのだろうか?

ロシアは帝国主義なのか?

 ロシアは、非難を受けるべき多くのひどい行為を行ってきたかもしれないが、ロシアを帝国主義呼ばわりするのは、明らかにやり過ぎで、科学的ではない。

 実は、ソ連崩壊以降25年間、ロシアが、米国が次々に引き起こした各国に対する戦争を止めようと動いたことはほとんどなかった。エリツィン政権下では、ロシア政府は完全に米国の従属国だった。2013年に新自由主義者によるウクライナ危機が起こるまでは、ロシア政府の願いは、ラテンアメリカや、中東や、アジアや、ロシア国境でロシアがアメリカを刺激しないことだった。その代わり米国に、ロシアが強国になることを許容してもらうことだった。実際、ロシアという戦略的敵国が不在だったため、米国主導の単極的世界秩序が幅をきかし、多くの死や破壊を生んできたのだ。

 ロシアは2011年のリビアでのNATO/米国同盟軍の戦争においてどちらかといえば、受動的な態度を示したことで、西側の帝国主義者たちの手によって、それまで深い関係を結んできたリビアが空爆を受けることになった。そのことは批判されて当然だ。ロシアが国連のインチキ決議から距離を取ったことで、西側の同盟国は力を得て、リビアの政権転覆につながったのだ。その際ロシアは拒否権を発動しなかった。さらに決定的な行為として、ロシアはリビア政府に対する武器販売を全面禁止するという決議も飲んだのだ。

 2015年に、ロシアは初めて一線を画し、軍事同盟を結んでいた中東の或る国を支えようとした。それがシリアだ。ロシアが介入したのは、ロシアが中東において大きな勢力を得ようとしていたためではない。ロシアにはシリア近辺に軍や経済拠点をもっていなかったのに、このような介入に踏み切ったのだ。ロシアが直接戦争に介入したのは、4年間だった。そして介入した理由は、オバマ政権内部に矛盾が生じ、介入する機会が生まれたので、リビアでの失敗を繰り返したくないという思いがあったからだ。米国が関わったこれまでの内戦とはちがい、シリア政府は、ISISやISISを外から支援する勢力に対して、ロシア軍が軍事支援することをあからさまに歓迎していた。

 シリア国民や、世界中の反帝国主義者たちの立場からすると、ロシア政府がシリア政府に強力な軍事支援の手をさしのべたことと、反空爆装置を配置したことは、米国がシリア政府を直接爆撃することを未然に防ぐ行為に映った。

 西側を最も怒らせたロシアの二つの行為(シリアとクリミア)は、いずれも全く正当な行為だ。それはロシアが所持している不凍港を守るためだけに取られた行為だからだ。その港とは、クリミアのセヴァストポリ港と、シリアのタルトゥース港だ。両港ともがロシアにとって重要なのは、ロシアが国内に持っている主要7港(ノヴォローシースク港、サンクトペテルブルク港、ウラジオストック港など)は、冬になると凍結し、冬期の貿易量が深刻に減少するからだ。

 ロシアの援軍を得たという戦況の変化のため、シリア政府は奇跡的に持ちこたえ、米国の単極支配の時代において、ロシアは米国にこれまでにない煮え湯を飲ませることになった。

 つまり、シリアや東ウクライナで、ロシアが米国帝国主義による侵略を回避させたことは、国家の利益に基づく慎重な行為だったのだ。ロシアは侵略者ではなかった。

 米国の軍事費は7780億ドルにのぼり、ロシアの年間軍事予算617億ドルのはるか上を行く。米国の軍事費は、米国の次に軍事費が高い下位11カ国の総額を合わせた額よりも多い。こんなにも社会は金を必要としている中、米国国防総省が7780億ドルの予算をどうやって正当化できるというのだろう?この金額は、バイデン政権が掲げる「よりよき復興」法案が社会投資費として要求している年間3500億ドルの二倍以上の額だ。


  旧約聖書でダビデ王が圧倒的な力を持っていた巨人ゴリアテを恐れなかったのと同様に、米はロシアの国境付近でNATO同盟国に行動を起こさせている。ロシアが抵抗し、国境を守ろうとすれば、NATO加盟国は、条約第5条に則って行動することになる。その条項にはこうある。「一つの加盟国に対する攻撃は、全加盟国に対する攻撃と捉える。」

 今年(2021年)6月、NATOと、米第6艦隊と、黒海周辺国は「シーブリーズ21」という軍事演習を、「加盟国間の相互運用性を強化するため」という名目のもとロシア国境付近で行った。参加したのは、32カ国ほど(ほとんどのNATO加盟国及びエジプト、韓国、アラブ首長国連邦など米国の従属国)だった。

 もちろん、単極的ではなく多極的な世界であったとしても、それが帝国主義であるなら、その先にあるのは同じような未来だ。だからこそそのような相手とも真剣に闘っていかなければならない。貧しい人々や、労働者階級が求めている世界は、資本主義や帝国主義とは全く相容れないものだ。しかしだからといって、ロシアを米国と同一視してしまうことは、歴史からみれば根拠のないことであり、ロシアの外交政策を見誤っていることになるだろう。

 ロシアを帝国主義国家であると見做してしまえば、国際政治における力関係や、ロシアによるクリミアとシリアへの介入の本質を見誤ってしまう。中立的な立場から見れば、ロシアの介入により、かつて植民地だった主権国家であるシリアが—これはベトナム戦争以降ではじめてのことになるが—米帝国の侵略にすんでの所で耐えることができたのだ

ロシアの地政学上における利益

 ロシアがどんな意図をもち、どんな役割を果たすつもりでシリアに介入したかをはっきりさせることは重要なことだ。

  ロシアがアサド政権を支援したのは、イデオロギーの問題ではなかった。実用的な理由があったからだった。その一例をあげれば、西側諸国や、湾岸の君主制諸国の代理人たちによってアサド政権が転覆させられれば、シリアはそれらの国々の従属国になってしまい、ロシアによる不凍港タルトゥース港の使用を阻害されることになりそうだという理由だ。さらにアサド政権が転覆させられれば、中国の一帯一路構想の重要な部分が封鎖されることにもなるからだ。シリアは地中海と繋がっているので、米国が支配しているスエズ運河の代替通商路になるからだ。

 シリアにおける政権交代が成功すれば、米国防総省は同地域の次の標的にたやすく手が出せることになっていただろう。それはおそらくイランだ。そうなれば米国はもっと本気で、ロシア本国を包囲していただろう。ロシアがどのような外交政策を取るかの理由のほとんどは米国への恐怖心からだ。米国は他国の主権などはほとんど尊重せず、最終的にはロシア本国での政権転覆を狙うことになるのは避けられないという恐怖心だ。ある意味でこのような取り組みは既に始まっている。西側は、自身のイデオロギーなど放り投げて、新リベラル主義で反プーチンの旗頭であるアレクセイ・ナバリヌイを支援している。

 10月20日、EUはサハロフ賞の「良心と思想の自由部門」にナバリヌイを選出した。この賞は、人権を尊重した人に与えられる最大の賞である。これは西側帝国主義国家が転覆したいと思っている国の政府に異論を唱えている人々に毎年授与されることになっている。

 シリアにおいてロシアは、自国の利益を守ると同時に、シリアの独立を帝国主義者たちによる政権転覆の働きかけから守ろうとしていた。さらにこの働きかけには、サウジアラビアや米国の支援を受けたサラフィー主義者たちによる社会的・文化的な反革命運動も加わっていた。

  ロシアは確実に、シリアのタルトゥースにある不凍港への経路を守りきった。ロシアはタルトゥース港をロシア海軍の軍施設として借りている。ロシアが、シリアに介入したことで得られる経済的利益はほとんどなかったのだが。

 ロシアが世界規模の闘争の舞台に再登場したことは、単極支配を続けてきた支配者たちにとっては大きな警告となった。トルコ米国が警告しているのは、ロシア政府の管理下にあるロシアの民間軍事会社ワグナー・グループがリビアやシリアや中央アフリカ共和国や東ウクライナの戦闘に加わっていることだ。

  戦略国際問題研究所のような米国のシンクタンクは「ロシアの黒海沿岸地域」を、帝国主義に敵対する社会的勢力に力を与え、地域抗争のバランスを崩す可能性のある地域だと考えている。CIAは何十億ドルもの資金を使って、新植民地主義に甘んじたくない国々を弱体化させようとしているのだが、米国の支配者層は米国による秩序から逃れようとしている世界の他の勢力とのやりとりには慣れていない。ジェレミー・クズモロフの『ロシアの再来』という著書を読めば、今の新冷戦におけるプロパガンダ抗争の重要な振り返りができるだろう。 [5]

 しかし本当のところは、ロシアがソ連の元領土の外に有している軍事基地はたった一つしかない。それはシリア北部のラタキア市(ロシアの南の国境から約500マイル離れたところ)近郊にある。米国が知られているだけでも800以上の軍事基地や施設と、何十万人もの米兵を世界140の「主権」国家に派遣している状況とを比べていただきたい。


いじめられ、制裁を受け、経済封鎖され、包囲されているロシア

 2013年、EUと米国政府はウクライナのメイデンでの反革命運動画策に手を貸した。この反革命運動は、元ソ連共和国であったウクライナでの右翼によるクーデターだった。NATO勢力が軍事演習を行うのは、たいていロシアを牽制するためだ。例えば、英国は800人の兵をエストニアのロシア国境に送った。NATOは帝国主義を推進する最も戦略的な機能を持っているだけではなく、反ロシア同盟形成にも効果的な役割を果たしている。

 米国はロシアをNATOには招聘しなかった。米露の協力関係が最も近接していたエリツィン時代でもそうはしなかった。米国の政策考案者たちは、「いつかはロシアが勢力を回復し、フランスやドイツと協力することにより、NATOを米国が主導することができなくなる可能性がある」と考えていたようだ。NATOには招聘しない代わりに、米国はNATOをこれ以上東進させて、ソ連の元領土内には入り込まないことを約束していた。しかし米国は何度も何度もこの約束を破ってきた。

 逆の立場で考えてみて欲しい。ロシアが米国のすぐ近くに軍を配置して、戦闘を始めたとしたらどうなるだろう?ロシアがメキシコ(シリアのこと)の代理戦争に資金を出し、カナダ(ウクライナのこと)でのクーデターを画策しプエルトリコ(エストニアのこと)の兵を招集したとしても、米国が黙っていると考える人がいるだろうか?

  現状を表す以下のを見れば、米国とNATOがロシアを包囲しているさまがよく分かるだろう。 


  トランプ政権が、ロシアと何らかの取引を行うのでは?という見方もあった。それは二国間の関係の緩和についての取引だ。その条件は、ロシアがシリアから手を引き、イランを孤立させることに同意することだった。さらに「トランプの目的は中国を犠牲にしてロシアと協調することだ」とういう憶測が企業メディアで報じられたこともあった。

 米国が起こしたシリアでの代理戦争というのは、正しくは、抑圧された国々が自国の権利を守る自己防衛のための戦争であり、帝国主義者たちによる政権転覆工作を完全に拒絶しようとした戦争であった。シリア内戦というのは、シリアのブルジョア階級に属する国家主義者たちの非宗教政権を転覆させようというサーフィー主義者達による動きだ。もちろん、現政権が多くの問題や矛盾を抱えていることは事実だが、この転覆作戦がうまくいったとしてもシリア国民や、中東にとっては大きな後退にしかならないだろう。社会的にみればこの反革命運動は、シリア国家を破壊することにしかならないだろう。

 だからといって、今のアサド政権のもとでのシリアの政治体制を歓迎したり、支持しているとは思わないでいただきたい。今の政権は、アサドというバアシズム(訳注:アラブの統一と自由・社会主義を掲げる思想)を奉じる個人に指導力が集中した政体だ。それよりも現状の戦争の危険性を認識する方が肝要だ。残念ながら、ここ10年間、生死をかけた戦闘が繰り広げられているシリアで、社会主義に基づく左翼的な方向に進もうという議論は全く見られていない。

最後に

 ここまで深い分析を行えば、米国の軍産複合体や、外交政策立案者たちが人々に知られたくない一つの決定的な問いが浮かび上がる。米国支配層の代弁者たる企業メディアは既得権を行使して、ロシアは悪者で、米国「民主主義」はその被害者だという報道をしている。それに伴って、「ロシア嫌悪」という米国の国家的なイデオロギーの植え付けが、ニューヨーク・タイムズ紙の記事の全文や、TV番組の司会者レイチェル・マドーが読み上げるプロンプターの文章に刷り込まれことにより、この巨大で複雑な国ロシアに対する何百万もの米国民の世論が形成されている。

  予想通りの結果だが、ロシアに好意を持っている米国民はたったの22%だ。ロシアが米国の大統領選挙に介入したことや、ハッキングに関わっていることを批判する報道が常に報じられ、感情が煽られ、政治問題化され、反ロシア感情が激しさを増している。全く検証されることもないまま、仮説だけが流されている。しかし考えて欲しいのは、米国がどれだけ他国の選挙に干渉してきたか、第二次世界大戦後どれだけ他国の軍事クーデターに関与してきたか、米国の諜報機関が東南アジア、中東、南アメリカ、そしてロシア本国で、どれだけ画策をおこなってきたのか?ということだ。

 絶体絶命の危機にある革命家であるなら、今のロシア国家を労働者国家ソビエトの再来であるなどと考えるべきではない。以前のソビエトは、世界における階級闘争における、世界各国の自由を求める闘いとしばしば共闘していた。この闘争を西側は婉曲的に「冷戦」と呼んでいたのだが。

 しかし真の進歩主義者であるなら、以下のようなことも考慮に入れるべきだ。すなわち、経済封鎖を受け、包囲されているベネズエラや、シリアや、ジンバブエや、キューバや、イランの人々や、抑圧されている世界中の人々が、プーチンを恐れ知らずのすごい奴だと考え、抑圧された国々の主権を守ってくれる国として、ロシアを米帝国に立ち向かう同士だと考えている理由についてだ。

引用文献

1
Marlene Laruelle, Is Russia Fascist? Unraveling Propaganda East and West (Ithaca, N.Y.: Cornell University Press, 2021). 

2
Thomas Piketty, Capital and Ideology (Cambridge, Mass.: Harvard University Press 2020).

3
Jeremy Kuzmarov, “A New Battlefield for the United States: Russia Sanctions and the New Cold War,” Socialism and Democracy, August, 2020. 

4
Kuzmarov, “A New Battlefield for the United States.” 

5
Jeremy Kuzmarov and John Marciano, The Russians are Coming, Again: The First Cold War as Tragedy, the Second as Farce (New York: Monthly Review Press, 2018). 







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<記事原文 寺島先生推薦>
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F・ウィリアム・エンダール( F. William Engdahl)著
グローバルリサーチ、2022年1月19日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月8日

***
 米国とEU・NATO諸国の明らかに自殺的な国家グリーン・アジェンダ経済政策から判断すると、ロシアと中国に対する米国とNATOの軍事姿勢がますます侵略的になっているのには大きな矛盾があります。 世界の最も先進的な産業経済の驚くべき転換が進行中であり、勢いを増しているからです。

 転換の核心は、エネルギーであり、2050年までに「ゼロカーボン」エネルギーを実現しようという馬鹿げた要求です。エネルギー産業から炭素を排除することは、現時点では不可能であり、おそらく今後もありえません。しかし、それを推し進めるということは、世界で最も生産的な経済を引き裂くことを意味します。実行可能な産業エネルギー基盤がなければ、NATO諸国の軍事行為などただの悪ふざけになります。太陽光、風力、蓄電池といった「再生可能な」エネルギーなど実際はお話にもなりません。それらは信頼できないエネルギー源なのです。こんなエネルギーに頼ろうというのは、歴史上で最も巨大な科学的妄想の一つです。

 12月31日、新ドイツ連立政権は残りの6基の原子力発電所のうち3基を恒久的に閉鎖しました。天然ガスの埋蔵量が低くなる厳しい冬に入ろうとしている時であり、厳しい寒冷前線によって停電になる可能性がある時にです。ドイツが2番目のロシアのガスパイプライン、ノルド・ストリーム2の輸入を拒否したため、ドイツは2021年1月と比較して電力のスポット価格(訳注:翌日の電気価格を前もって入札で決めておく価格のこと)が500%上昇しています

あらかじめ計画されたEUのエネルギー危機

 2011年、メルケル首相が原子力発電の早期終了を宣言し、彼女の悪名高いエネルギー転換は、原子力を段階的に廃止して再生可能エネルギーにすることでしたが、その時点で17の原子力発電所がすべての電力の25%を確実に国に供給していました。今、残り3つの発電所は2022年末までに閉鎖しなければなりません。同時に、2016年以降の政府のグリーンエネルギー計画は、2022年1月時点で15.8ギガワットの石炭発電を閉鎖しました。太陽光と風力は、輝かしいプロパガンダにもかかわらず、その発電ギャップを埋められず、ドイツの電力網は、EU近隣諸国のフランスとチェコ共和国から重要な電力を輸入しなければなりません。皮肉にもその多くが原子力発電所からの輸入です。ドイツは今日、エネルギー転換の結果として、どの産業国家よりも電力コストが高くなっています。

 現在、フランスからの原子力発電の供給が問題となっています。12月、フランスの国営原子力機関EDF(フランス電力会社)は、腐食損傷の発見後、合計4基の原子炉を点検と修理のために停止すると発表しました。4月の選挙に直面しているマクロン大統領は、ドイツの強い反核の立場に反対していて、EUの中で原子力発電の勝者の役割を演じようとしています。しかしフランスは最近の主張にもかかわらず、原子力電力網は脆弱であり、今後数年間で12基の原子炉を石炭発電と共に停止する計画です。そして、原子力への大規模な新たな投資を行う可能性は低く、フランスとドイツの両方が将来のエネルギー不足に対して脆弱なままになっています。マクロンの「フランス2030年プログラム」は、小型原子力発電技術にわずか12億ドルの投資を要求しているだけです。

 しかし、原子力問題がEUのエネルギー危機の中で唯一の欠点ではありません。現在のEUエネルギー計画はあらゆる面で、現代の産業経済を破壊するように設計されており、ドイツのポツダム研究所のような環境シンクタンクにたっぷり資金提供をしている設計者はそれを知っています。石炭、ガス、原子力に置き換えて、風力と太陽光という二つの危ういエネルギー源だけに頼ることは、単純に不可能だと言われています。

風車と群衆の狂気

 日照が少ないドイツにとって、風力が有力な選択肢です。しかし、2021年の冬が劇的に示したように風力の問題の1つは、それが常に吹くわけではなく、しかも予測できないことです。そうなると、原子力と同様に石炭や天然ガスが強制的に追い出されるときに、停電の可能性や信頼性の高いバックアップ電源の必要性が出て来ます。ドイツのような国が再生可能エネルギーの進歩を誇りたいとき、風力発電は、総電力という面で誤って評価されています。

 実際に大切なのは、ある期間に産み出される実際の電力、容量係数、または負荷係数と呼ばれるものです。太陽光の場合、容量係数は通常約25%に過ぎません。北ヨーロッパや北米の太陽は24時間照るわけではありません。また、空は常に雲がないわけではありません。同様に、風は常に吹くとは限らず、ほとんど信頼性がありません。ドイツは45%の総再生可能エネルギー比率を誇っていますが、それは現実を隠しています。2021年の研究では、フラウエンホーファー研究所は、ドイツが2045年、100%カーボンフリーの目標に達するために、少なくとも現在の6~8倍の太陽光発電所を設置しなければならないと推測されています。報告書によると、現在の総54GWの太陽光発電容量は、2045年までに544GWも必要とされています。これは、3,568,000エーカーまたは140万ヘクタールの土地面積を必要とし、全国で16,000平方キロメートル以上の固体ソーラーパネルを設置しなければなりません。それを補うのに風車の追加が計画されています。こんな計画は、自殺的な計画です。

 カーボンフリーの実際的な選択肢として、風力と太陽光の欺瞞がわかり始めています。今年1月5日、政府が猛烈に風力と太陽光の発電所を建設しているカナダのアルバータ州では、華氏マイナス45°近くの気温で厳しい寒さの日、同州にある13の電力網接続太陽光発電施設は、736メガワットの電力を供給するとされていたのに、たった58メガワットしか貢献できず、2,269メガワットの容量規格を持つ26の風力発電所は、電力網にたった18メガワットの電力しか供給できませんでした。つまり、再生可能エネルギーの合計は、理論的に必要とされていた再生可能エネルギーの3,005メガワットのうち、わずか76メガワットでした。2021年2月の激しい雪の間、テキサス州はドイツと同様に太陽光と風力に問題がありました。また、雪が降るとき、太陽光発電はに立ちません。

「グレート・ゼロ・カーボン」陰謀

 再生可能な供給源を使ってゼロカーボンに到達するには、巨大な土地の作付面積を太陽光発電の反射板で埋め尽くすか、風力発電所専用にする必要があります。1つの推定によると、米国のために想定される46,480の太陽光発電施設のために必要な土地の量は650,720平方マイルであり、これは米国の南部48地域のほぼ20%であり、テキサス州、カリフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州の地域を合わせた面積になります。米国バージニア州だけとってみても、新しいグリーン法「バージニア・クリーン・エコノミー法(VCEA)」が成立し、これまでに780平方マイルのソーラー板の太陽光発電プロジェクト申請が大幅に増加しました。 デビッド・ウォジックが指摘するように、それは約50万エーカーの田園地帯、農地、森林が破壊され、約500のそれぞれのプロジェクトでバージニア州の農村部の大部分が埋め尽くされることになります。そして主に中国からの輸入になるでしょうが、何百トンもの有毒廃棄物になる運命である驚異的な1億6000万枚のソーラーパネルが必要とされます。

何百万もの仕事を生みだすのか?

 バイデン政権と再生可能エネルギー皇帝ジョン・ケリーは、彼らのグリーンアジェンダと、より良い再建策は、何百万もの新しい仕事を生みだすと偽って主張しています。彼らがあえて触れていない事実は、そのことにより仕事が増えるのは中国であるということです。中国はほぼ独占的に世界の全てのソーラーパネルを生産しているからです。中国は既に10年前に、政府から補助金を得た安価なパネルで米国やEUの競争相手を蹴散らしているのですから。

 同様に、ほとんどの風力発電は中国企業によって中国で作られています。一方、中国は記録的な量の石炭を使用し、EUと米国よりりも10年遅い2060年までにゼロカーボンの公約を延期しました。中国は、偽のデータに基づく気候変動理論、つまりCO2が地球を破壊しようとしているという嘘によって、彼らの産業支配を危険にさらす気はありません。ドイツ労働組合連盟DGBは最近、2011年以降、主に中国製のソーラーパネルがドイツの大手太陽光発電会社を破壊したため、再生可能エネルギー部門だけで約15万人の雇用を失ったと推定しました。そして、ドイツは最もグリーンエネルギーに狂ったEUの国です。自明のこととして、風力や太陽光というエネルギー密度の低い再生可能エネルギーは、基本的な電力コストをかなり高くするので、ドイツは経済全体でこれまで以上に多くの雇用を失うことになるのです。

NATOの産業崩壊

 太陽光と風力は、従来の炭化水素や原子力発電よりもはるかに高くつくので、電力の全体的なコストを押し上げ、多くの企業が閉鎖するか、または他の場所に移転することを余儀なくされています。公式の統計詐欺だけがこれを隠しています。ヨーロッパと北米は、予想される何百万ものソーラーパネルや風力発電所を建設するために、膨大な量の鉄鋼とコンクリートを必要とします。それは従来の石炭や原子力を膨大に必要とします。4,700万台のドイツの電気自動車を自前で充電するには、何台の電気自動車用充電ステーションが必要でしょうか?そして、どのくらいの電力需要が必要とされるのでしょうか?

 米国の重要なグリーン・エネルギー・シンクタンクRethinkXは、2021年に「エネルギーの再考:2020-2030:100%ソーラー、風力、蓄電池はほんの始まりに過ぎない」と題した再生可能エネルギーのプロパガンダ研究を発行しました。風力と太陽光の低容量の問題に対する彼らの答えは、25%の低い容量係数を補うために、想定されるよりも500%または1000%多く発電所を建設することです。彼らは、「我々の分析は、太陽光、風力、蓄電池(SWB)の組み合わせによる100%クリーンな電気が、2030年までに米国大陸全体と世界の他の地域の圧倒的多数に、物理的に可能かつ経済的に手頃な価格で提供されることを示しています。この有り余るクリーンエネルギー出力は、我々がスーパーパワーと呼んでいますが、年間を通してほぼ限界コストゼロで利用できるようになります」。 その声明は、少しのデータや具体的で科学的な実現可能性の分析なしで、単なる独断的な主張として提示されています。

 「国連アジェンダ21」の設計者、カナダ人の故モーリス・ストロングは、億万長者デビッド・ロックフェラーの石油仲間で国連次官であり、1972年6月の「ストックホルム地球の日会議」の事務総長でした。彼はまた、ロックフェラー財団の理事を務めました。彼はおそらく他の誰よりも、ゼロカーボン「持続可能な経済」の脱工業化アジェンダに責任があります。

 1992年の国連リオ地球サミットで、彼はゲイツやシュワブのような急進的な優生学の唱道者のぶっきらぼうな計画を公然と述べました。「[それは]、先進国文明が崩壊しようとする地球のための唯一の希望ではありませんか? それを実現するのは私たちの責任ではないでしょうか?」 その計画こそ、今日の「グレイト・リセット」(地球の大々的な変革)なのです。

戦争をしている場合なのか?

 ヨーロッパ諸国や米国などのNATO加盟国のかつて先進的でエネルギー集約的だった経済が、この自殺の道を歩み続けるならば、圧倒的な軍事防衛や攻撃を仕掛ける能力は蜃気楼にすぎなくなるでしょう。最近、腐敗したドイツEU委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ドイツのハイテク防衛産業とその供給業者が、十分に「グリーン」で、または「持続可能」ではなかったので、銀行信用を受け取るべきではないと宣言しました。報道によると、銀行はすでにそのメッセージを受け取って、石油・ガスと共に防衛産業が対象となるようになりました。ドイツ国防相のフォン・デア・ライエンは、ドイツの防衛が壊滅的な崩壊状態になることを許したことで多くの人々に非難されました。

 今彼らの非常識な「アジェンダ2030」と「ゼロカーボン・アジェンダ」の一方的な追求のせいで、バイデン政権とEUは、この10年が終わる前に、彼らの産業を意図的な破壊への道に押し進めています。そんな時に、ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、そして現在カザフスタンにおいて、ロシアに向かって現在のNATO拡大計画を推進しようというのでしょうか?近い将来、軍事産業インフラの基礎を欠くことを知った上で、今ロシアと戦争を始めて、彼らの産業破壊計画に対する潜在的な抵抗を排除したいとでもいうのでしょうか?中国以外で、ロシアは挑発された場合、NATOに壊滅的な打撃を与える唯一の可能性を秘めた国だというのに。

精神病の集団形成または群衆の狂気

 1852年、英国の歴史家チャールズ・マッケイは、『人々の異常な妄想と群衆の狂気の回想録』というタイトルの古典を書きました。そこでは、12世紀の宗教的な大十字軍、魔女マニアやオランダのチューリップマニア、その他多くの一般的な妄想の背後にある集団ヒステリーにあまり知られていない洞察を与えています。経済的、政治的自殺への世界的な不合理な突進を理解することは重要です。

 証明されていない実験的な遺伝子改変ワクチンと、世界的に続くロックダウンを受け容れさせる大量のCOVIDワクチン計画の背後にいる主要な同じ役者が、ビル・ゲイツとフランシス教皇を含め、クラウス・シュワブ世界経済フォーラムの「グレートリセット」とその「国連アジェンダ2030グリーン・ゼロカーボン」で、世界に前例のない過酷な経済政策を受け入れさせる狂気の背後にいます。

 従順で肉体的にも弱い人々を狂気に追いやる状況を説明するには、ベルギーの心理学教授マティアス・デスメット博士とロバート・マローン博士が、「群衆精神病の集団形成」と名付けた集団心理という概念が必要となるでしょう。いわば多くの人々にかけられた催眠術のようなものです。

 地球温暖化の神話とコロナ・パンデミックのアジェンダの両方が、このような大量催眠術を必要としていることは明らかです。

 COVIDの恐怖ヒステリーがなければ、グリーンアジェンダがここまで進むことはなかっただろうし、私たちの電力網が、まさに停電の危機に瀕し、経済は崩壊の危機に瀕することはなかったでしょう。WHOが主導したCOVIDパンデミックとグリーン・アジェンダの両方の究極の目標は、ブラックロック*やグーグルアルファベット*のような一握りのグローバル企業が利益を独占するために、シュワブが提唱する世界経済全体のディストピアである「グレイト・リセット」へ突き進むことです。

<訳注>*ブラックロック---ニューヨークに本拠を置く世界最大の資産運用会社
*グーグル-アルファベット---グーグルとその持ち株会社アルファベット、
アメリカの多国籍コングロマリット
*

F.ウィリアム・エンダールは、戦略的リスクコンサルタント兼講師であり、プリンストン大学で政治学の学位を取得し、石油と地政学のベストセラー作家です。グローバル化研究センター(CRG)の研究員。
この記事は「New Eastern Outlook」によって最初に公開されました








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8年前の記事。「米国と北大西洋条約機構(NATO)がウクライナにネオナチ政府を設置」

8年前の記事。「米国と北大西洋条約機構(NATO)がウクライナにネオナチ政府を設置」

<記事原文>

 

Eight Years Ago: US-NATO Installed a Neo-Nazi Government in Ukraine

 

ミシェル・チョスドフスキー教授

グローバルリサーチ、2022年1月23日

グローバルリサーチ 2014年3月6日

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月8日



 この記事は、ウクライナ危機勃発直後の2014年3月に当グローバルリサーチが最初に発表したもので、キエフの傀儡体制の性質を説明した記事である。この記事で取り上げたのは、「欧米民主主義」と「国際コミュニティ」に支えられているキエフの「ネオナチ政府」についてである。

(以下は記事本文)

 以下はニューヨークタイムズの記事である。

 「米国と欧州連合(EU)は、ここウクライナでの革命を祝福している。これは、民主主義のもう一つの開花であり、旧ソ連圏における権威主義と収奪政治を打破するものだ。」(「最初の勝利の後、ウクライナの指導者は信頼性を獲得するための戦いに直面する。」NYTimes.com、2014年3月1日、太字は筆者)

 「民主主義の開花、革命」だって? おぞましい現実は違っていた。現実は、国際法の露骨な違反で、米・EU・NATOが支援するクーデターであった。

 隠された真実は、西側が慎重に進めた隠密作戦を通じて、ネオナチによって統合された傀儡体制を樹立したということである。

 ビクトリア・ヌーランド国務次官補が確認したネオナチ党スボボダを含むウクライナの主要組織は、ワシントンによって惜しみなく支援されていた。「我々は、これらの他の目標を達成するためにウクライナの支援に50億ドル以上を投資しました。 ...我々は、それにふさわしいウクライナの未来を促進し続けます。」

 欧米のメディアは、政府連合の構成とイデオロギー基盤を分析することをさりげなく避けてきた。「ネオナチ」という言葉はタブーである。これは、主流メディアの解説の辞書から除外されている。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、インディペンデントの記事には表示されない。ジャーナリストは、スヴォボダ党と右派セクター党を説明する際「ネオナチ」という用語を使用しないように指示されている。



連合政権の構成

 我々がこの記事で問題にしているのは、暫定政権のことではない。この暫定政権には、ネオナチの勢力が連立与党の中に含まれているが、その連立与党を率いているのは、(ネオナチではない)祖国党だからだ。

 内閣は、スヴォボダ党と右派セクター党(廃止されたファシストUNA-UNSOの元メンバーは言うまでもなく)が入っているだけでなく、この2つの主要なネオナチ集団は、軍隊、警察、司法、国家安全保障の事実上の支配権を持つ重要な地位を委ねられたのだ。


 ヤッツェニュクが率いる祖国党は、大臣の地位の大半を支配し、スヴォボダ党のネオナチ指導者オレ・ティアニボクは(明らかにビクトリア・ヌーランド国務次官補の要請で)主要な内閣ポストを与えられなかったが、スヴォボダ党と右派セクター党のメンバーは防衛、法執行機関、教育、経済問題の分野で重要な地位を占めている。

 

 ウクライナのネオナチ社会国民党(その後、スヴァボーダ党と改名)のアンドリー・パルビー (上の写真)共同創設者は、国家安全保障防衛委員会(RNBOU)の事務局長に任命された。(防衛省、軍隊、法執行機関、国家安全保障、情報省を海外に派遣する重要な立場である)。RNBOUは、中央の意思決定機関だ。公式には大統領が率いるが、国防長官、情報、国家安全保障の専門家を含む180人のスタッフと共に事務局によって運営されている。

 パルビーは2004年のオレンジ革命の背後にある主要なリーダーの一人だった。彼の組織は西側から資金提供を受けていた。彼は欧米のメディアからユーロマイダン運動の「司令官」と呼ばれている。

 アンドリー・パルビーは党首のオレ・ティアニボクと共に、第二次世界大戦中にユダヤ人とポーランド人の大量殺人で協力したウクライナのナチス、ステファン・バンデラの信奉者である。

 
ステパン・バンデラを称えるネオナチ国民自衛隊(UNA=UNSO)の行進

 


 次に、議会の右派セクター党のリーダーであるドミトロ・ヤロシュが、パルビーのRNBOU(国家安全保障防衛委員会)副長官に任命された。

 ヤロシュは、ユーロマイダンの「抗議」運動の間、ブラウンシャツ・ネオナチ準軍事組織の指導者だった。彼は地域の党や共産党の解散を求めている。

  ネオナチのスヴォボダ党は、ウクライナの検事総長の地位に自党のオレ・マクニツキーを任命し、司法分野を支配している。ネオナチがウクライナ検察庁を牛耳っていて、どのような正義がはびこるというのだろうか?

 内閣の地位はまた、ネオナチ周辺組織の「ウクライナ国民議会・ウクライナ人民自衛隊 (UNA-UNSO)*」の元メンバーに割り当てられた。:

*訳注:Ukrainian National Assembly – Ukrainian People's Self-Defence(ウクライナ国民議会・ウクライナ人民自衛隊)(Українська Національна Асамблея-Українська Народна Самооборона)

<以下はグローバル・リサーチの記事からの抜粋>

 「テティヤナ・チェルノボルは、反ユダヤ主義UNA-UNSOへの彼女の過去の関与については言及されることなく、改革派調査ジャーナリストとして西側の報道機関で描かれ、政府の腐敗防止委員会の議長に任命された。警察により拉致された前科があるとされるドミトロ・ブラトフは、UNA-UNSOとのつながりでも知られているのに、青少年・スポーツ大臣に任命された。

 独立マイダンの市民団体リーダーであり、ヤッツェニュクに政治的に近いイェゴール・ソボレフは、浄化委員会の委員長に任命されたが、彼はヤヌコビッチ大統領派の人々を政府や公的生活から追放した罪で起訴された。」

(以下の記事からの抜粋。「ウクライナ暫定政府:ネオナチが軍隊、国家安全保障、経済、司法、教育を支配する」

グローバルリサーチ、2014年3月02日)

 浄化委員会は、新しいネオナチ政権のすべての反対者に対して、ネオナチによる魔女狩りを組織することが任務である。この活動の対象は、公務員、地方政府、自治体、教育、研究等において権威ある立場にある人々である。

 浄化という用語は、前政府に関連する人々の「大量資格剥奪」を意味する。また、人種的な含みも持っている。それは恐らく共産主義者、ロシア人、ユダヤ人コミュニティのメンバーに向けられるだろう。

 公的には民主主義に重きを置くとされている西側が、選挙で選ばれた大統領の排除を先導しただけでなく、ネオナチによって統合された政治体制を設置したという事実をよく考えることが重要である。

 この暫定政権は、米国、NATO、EUがウクライナの内政に干渉し、ロシア連邦との二国間関係解体を可能にする傀儡政府だ。しかし、ネオナチは、最終的な決定権を持っていないことを理解する必要がある。内閣の構成は、漏洩したウクライナ米国大使への電話に見られるように、ビクトリア・ヌーランド米国務次官補の「勧告」と概ね一致している。

 ワシントンはネオナチを政権の地位に就けることを選んだ。しかしネオナチは、「間接統治体制」の下で、米国務省、国防総省、NATOからロシア連邦に向けられた部隊の配備を含む、重要な軍事・外交政策問題に対する命令を受けている。

 世界は危険な岐路に立っている。西側によって設置されたこの傀儡政府の構造と性格は、ロシア政府やロシア軍との対話を好まない。



画像:ジョン・マケインがスヴォボダの指導者オレ・ティアニボク(中央)と面会

 軍事的緊張が高まり、ロシアとNATOの対立が生じる可能性は、明らかにある。ネオナチが支配するウクライナの国家安全保障・国防委員会(RNBOU)は、軍事問題において中心的な役割を果たしている。モスクワとの対決では、ネオナチのパルビーと彼の元ブラウン・シャツ出身の副党首ドミトロ・ヤロシュが率いるRNBOUがワシントンやブリュッセルと協議して行った決定は、壊滅的な結果をもたらす可能性がある。

 しかし、ネオナチ政権樹立に対する「支援」が、ホワイトハウス、国務省、米国議会内の「ファシスト傾向」の増加を意味するものではないことは言うまでもない。

 ウクライナにおける「民主主義の開花(ニューヨーク・タイムズが使った表現)」は、共和党と民主党によって支持されている。それは超党派のプロジェクトである。忘れてはならないのは、ジョン・マケイン上院議員はネオナチ・スヴォボダの指導者オレ・ティアニボックの強固な支持者であり友人であるということだ。

 
著者について:

受賞歴のある作家、オタワ大学経済学教授(名誉)、モントリオールグローバルリサーチ編集長(CRG)の創設者兼ディレクター。西ヨーロッパ、東南アジア、太平洋、ラテンアメリカの客員教授として教えている。途上国の政府の経済顧問を務め、いくつかの国際機関のコンサルタントを務めた。彼は、『貧困のグローバリゼーションと新世界秩序』(2003年)、『アメリカの「テロとの戦い」』(2005年)、「世界経済危機、21世紀の大恐慌」(2009年)(編集者)、『第三次世界大戦シナリオに向けて:核戦争の危険性』(2011年)、「戦争のグローバリゼーション」、『アメリカの人類との長い戦争』(2015年)を含む11冊の本の著者。彼はブリタニカ百科事典に寄稿している。彼の著作は20以上の言語で出版されている。2014年、北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア侵略戦争に関する著作でセルビア共和国功労賞を受賞。彼とは crgeditor@yahoo.com で連絡が取れる。

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「イベルメクチンは、COVID治療薬として効果がある」という研究結果を日本の製薬会社が発表

「イベルメクチンは、COVID治療薬として効果がある」という研究結果を日本の製薬会社が発表

<記事原文  寺島先生推薦>

Ivermectin Shows Antiviral Effect Against Omicron: Japanese Pharma Firm

The Epock Time  2022年1月31日(続報は2月2日)

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月5日



 抗寄生虫薬イベルメクチンの研究を行っている日本の複合企業は、イベルメクチンは、オミクロン株に対して抗ウイルス効果があることを発見した。これは臨床実験ではない共同研究の結果わかったことだ。

 医療や、医薬品以外にも、貿易、接客、電子機器、などを取り扱う複合企業である興和株式会社が1月31日に発表した報道発表(PDF)によると、試験管レベルの研究において、イベルメクチンはオミクロン株に対して効果があることが分かった、とのことだ。同社はさらに、COVID-19の患者治療にイベルメクチンの使用に関する第3相の臨床実験を実施中であることも発表した。ただし同社によると、効果があることが認められたのはまだ研究室レベルだとのことだ。

 興和株式会社の代表者は、この記者発表に関するコメントを求められていたが、それには応じてはいない。

 東京の北里大学と提携している興和株式会社によると、イベルメクチンには、すべての「変異種」に対して「同様の抗ウイルス効果」があるとのことだ。この変異種には、アルファ株、デルタ株、オミクロン株が含まれる。さらに興和株式会社によると、イベルメクチンはウイルスの侵入を抑え、ウイルスの複製も抑える効果があるとのことだ。

 「[イベルメクチン]は、コロナウイルスのすべての新しい感染に対する治療薬(錠剤)として使用することが期待される」とそのPDFには記されていた。

 イベルメクチンは、世界保健機構が30年以上抗寄生虫感染薬として使用してきた医薬品だ。「ボランティアたちの手によってアフリカ諸国の人々に配布されたのだが、大きな効果が見られた」と、興和株式会社は記している。

 しかしイベルメクチンを使用した治療法の是非については、議論の対象になっている。それは米国FDAが抗COVID-19薬として、イベルメクチンの使用を承認していないからだ。イベルメクチンは、人間用に使用されて、多くの症状の治療に使われているのではあるが。

 FDAは情報公開法に基づく開示要請に応じていない。その要請は、COVID-19の治療のためにイベルメクチンを使用した際に生じた副反応の報告の詳細の開示を求めているものだ。現状イベルメクチンをCOVID-19治療薬として使用することは、公式には否定されている。

 連邦政府は、COVID-19の患者の治療に当たっている病院に補助金を出しているが、その補助金が受け取れる条件は、承認された治療手順に従うこととなっており、イベルメクチンはその治療手順として認められていない。

 しかし愛する家族のいのちを救いたい一心の人々は、最後の手段としてこっそりとイベルメクチンを病院で処方してもらい、その結果、感染した家族が回復したということもよくある話だ。

 イベルメクチンをCOVID-19の治療薬として全面的、あるいは部分的に認可している国は世界で22カ国あることが、多くの研究から分かっている。日本はまだイベルメクチンをCOVID-19の治療薬としては認めていない。

 法案が提出されているので、ニューハンプシャー州がイベルメクチンをCOVID-19の治療薬として承認する米国で最初の州になるかもしれない。法案が通れば、イベルメクチンを薬局のカウンターで買えるようになるようだ。

 「私は、人間用のイベルメクチンがCOVID患者に処方されるのであれば、多くのいのちが救われるということに何の疑いも持っていません」と、共和党員で、正式な看護師でもあるリー・カッシュマン州議会議員は、当エポック・タイムズ紙に彼女が提案したHB3005法案について語っている。

 イベルメクチンを使うことを中傷する人々は、「イベルメクチンは非常に危険だ」と主張している。「自分や、自分の家族にこんな薬を絶対処方してもらいたくないし、私が愛する人にこの薬を処方しようとするのであれば、法的措置に出るつもりです」とダートマウスーヒッチコック医療センターのディビッド・リバイン(David Levine)医師は、この法案に対する証言書に記している。

 イベルメクチンを使うことを支持しているポール・マリク博士の証言によれば、イベルメクチンは、「地球上で最も安全な医薬品のひとつだ」とのことだ。

 医師たちで構成されている団体「コロナと闘う最前線医師の会」の創設者の一人であるマリク博士によると、イベルメクチンは79カ国でウイルスに対する治療薬として承認されているとのことだ。

 「つまり、日本や、インドや、ブラジルの人々には、安全なこのイベルメクチンの使用が許されているのです。しかし、米国民にとっては、イベルメクチンは毒なのです。そんな冗談は止めて欲しいです」とマリク博士は語っている。

 マリク博士は東バージニア医療大学から離職せざるをえなくなった。それは同博士が、COVID-19の治療法として代替的な治療法を使用したことで裁判を起こされたからだ。その治療法にイベルメクチンも含まれていた。

 


  <訂正>この記事の続報が出された理由は、興和株式会社が発表した研究結果が「臨床実験段階のものではない」ことをはっきりと伝えるためです。前回の記事の誤報について当サイトエポックタイムズは、お詫びいたします。

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「米国はシリアのダムの空爆により、何万もの人々のいのちを奪うところだった」。ニューヨーク・タイムズ紙の報道

「米国はシリアのダムの空爆により、何万もの人々のいのちを奪うところだった」。ニューヨーク・タイムズ紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>

US nearly wiped out tens of thousands of civilians with dam strike in Syria – NYT

 その後軍は爆撃の報告を「狂った報告だ」と取り下げ、ISISを非難した。

RT 2022年1月21日

<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ>2022年2月5日 



 2017年に米国はシリアの戦略的な社会基盤施設の一つを爆撃した。それはユーフラテス川のタブカダムだ。しかも、そのダムは非爆撃対象とされていたとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

 B-52爆撃機の一機が、対象施設に向けて米国空軍が所有する中で最も重い爆弾のいくつかを投下し、その中には少なくとも一発BLU-109地中貫通爆弾も含まれていた。この爆弾は頑丈なコンクリート建造物を破壊するために製造された爆弾だ。この爆弾は、ダムにある塔のうちの一つの5階まで貫通したが、爆発はしなかった。

 ソ連製のこの土とコンクリートでできた建造物が破壊していたなら、下の谷に住んでいた何万もの人々のいのちを奪うことになったであろう。

 このダムはすぐには崩壊しなかったが、ダムの設備に被害が生じ、ダムが作動しなくなり、水があふれ出す危険にさらされた。テロリスト集団であるイスラム帝国(IS、かつてのISIS)と、米国が支援する反政府勢力と、シリア政府軍が、ロシアの援助の元、急遽休戦を取り決めたため、クレーンを使った緊急の洪水防波堤の修復作業が可能となった。

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US shadow unit’s deadly ‘self-defense’ strikes in Syria revealed – media


 16名の作業員による修復作業が終了した後、ダムを攻撃したのと同じ米軍の部隊が命じたドローン攻撃によって、作業を終えた作業員を乗せたバンが撃破された。この攻撃により、機械技師と、技術者と、シリアの赤十字社の職員が亡くなった。

 ニューヨーク・タイムズ紙が、これらの事件を報じた情報源は、氏名が明らかにされていない複数の米軍職員と、シリア市民たちからの聞き取り情報だった。そのシリア市民の中には、ダム爆撃当日に現地にいた技術者もいた。この事実を明らかにしたのは、ニューヨーク・タイムズ紙の最近の暴露記事であり、特殊部隊である「タロン・アンビル(Talon Anvil)」部隊について、評論家たちが「無謀な行為を行った」として批判していた。この部隊は、ISに対する戦闘行為の調整を行うために立ち上げられた部隊であり、構成員は 米陸軍のテロ対策部隊であるデルタ・フォースの部隊員があてられていたと、以前の報道にあった。

 タブカ・ダムに対する3月26日の爆撃の責任は米軍にあると、ロシアとシリアは主張したが、特別部隊の行動を管理していたステファン・J.タウンセンド(Stephen J. Townsend)中将(当時)は、このような主張は、「馬鹿げた報告である」と斥けていた

 「タブカ・ダムは、連合軍の攻撃対象になっておらず、ダムそのものや、ダムの近くの対象を爆撃する際は、空から投下するような武器は使用せず、ダムに不必要な損害を与えないようにしています」と、中将は記者団に断言していた。

 「タブカ・ダムに何かあったとすれば、それはISISの手によるものであって、連合軍によるものではありません」


  ニューヨーク・タイムズ紙の情報源によれば、タロン・アンビル部隊は上司の命令を回避して空爆を行う手段として、米軍の連合軍を突発的な攻撃から守るためという理由を使うことを常套手段としていたようだ。ダムに対する空爆も、同様の手続きで認められたが、目撃者の証言によれば、爆弾が投下される前に、その地域で大規模な戦闘は発生していなかった、とのことだった。

 米中央軍は、2000ポンドの爆弾を3発投下したことは承知していたが、それはダムそのものを狙ったのではなく、塔を狙ったものであり、その爆撃によりダムが崩壊しなかったということはその作戦が安全だったという証拠になる、との推測を軍の報道官は発表していた。またその報道官は、その爆撃を承認するための通常取られるべき手続きが抜けていたという事実はなかった、としていた。
 
 ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、ダム攻撃が行われる前に、米国防情報局の「防衛資源とインフラ部門」所属の技術士は、「ダム付近で爆発物を使用することは推奨できない」との報告を行っていた。「ヘルファイヤ・ミサイルのような比較的小さな爆弾でも、水流を管理するコンクリートの建造物に被害を与える可能性がある」と4ページに渡るその報告書に書かれていた、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 タロン・アンビル部隊は、ダム攻撃について報告していなかった。米軍は、B-52爆撃機の記録を参照し、何が起こったかの全貌をつかむべきであると、或る情報源はニューヨーク・タイムズ紙に語っている。この秘密部隊の隊員に対する懲戒処分などは全く行われなかった、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

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ライナー・フエルミヒ(Reiner Fuellmich)博士、最新の電撃発言:COVID「ワクチン」でビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)は崩壊するだろう。

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<記事原文 寺島先生推薦>

Dr. Reiner Fuellmich: Latest Bombshell About COVID “Vaccines” Will Dismantle Big Pharma

Global Research

2022年1月18日

Planet Today、ライナー・フエルミヒ、ウォルフガング・ウォダルク(Wolfgang Wodarg)、そしてケビン・ヒューズ(Kevin Hughes)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月4日
***


 国際的な法廷弁護士であるライナー・フュエルミヒ博士は12月31日、武漢コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関する最新の「電撃発言」で、パンデミックの際に数十億ドルを懐に入れた巨大製薬会社は崩壊するだろうと述べた。

 OVAL Media「世界的ジェノサイドを防げ!」チャンネルで紹介され、Brighteon.comで流されているビデオで、フュエルミヒは、ロンドン大学キングストン校の研究者クレイグ・パールデコパー(Craig Paardekooper)による最新の、流れを一変させる発見についてウォルフガング・ウォダルグ博士と議論しています。
(ケビン・ヒューズの記事:初出はNaturalNews.com
*

ワクチンのバッチは毒性の違いによって印がつけられている

 肺疾患と環境医学を専門とするドイツの医学者であり疫学者であるウォダルクによると、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)のデータを見ると、ワクチンのバッチが毒性の違いによって順番に印がつけられていることがわかるそうだ。

 さらに、このことを、現在、統計的なグラフに打ち出しており、それはCOVIDワクチンメーカーが、ワクチンを接種した人々を意図的に殺傷する目的で、連携して動いてきたことを証明することになるだろうと付け加えた。

 「これは普通言われるワクチンではありません。毎回の接種で同じ成分が入っているというのはウソです。そして、バッチに関し、それぞれ(質が)異なり、形状が異なり、効果が異なる動かぬ証拠を私たちはもっています」 とウォダルクは説明した。

 ウォダルクは、米国において何の(副作用)症例がないロットやバッチがある一方で、多くの人が死亡しているバッチがあることに注目した。バッチによっては、何か(異常事態)が起こっているのがわかる。そしてそこでは死者が発生し、それでその毒性が明らかになっているケースだ」と説明した。さらに、ファイザーとジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンについて、恐ろしいほどの症例数を積み重ねているバッチがある、とウォダルクは述べている。

 フュエルミヒは、いったん「故意」が証明されれば、これらの人道に対する犯罪に関与した者や組織には、いかなる刑事免責も法的責任免除もないことを指摘した。

 「証拠全体を見れば、証拠は十分すぎるほどあります。(元ファイザー社副社長の)マイク・イェドン(Mike Yeadon)博士が行ったごく最近のプレゼンテーションで、一点の曇りもなく明らかにしているのは、人を殺傷する投与量をはじき出すために異なるバッチを使った「実験内実験」の経緯です」と、フォルクスワーゲンやドイツ銀行などの大企業を起訴した経験を持つフュエルミヒは言う。

 「これは「故意」であることを証明するものであり、いったん「故意」ということになれば、もう誰も免責されることはないのです。米国においてもそうです。」

ウォダルク:何千人も故意に殺害するために作られたワクチン

 ウォダルグの言によれば、このワクチンは計画的で実体のはっきりしない試行的なものであり、何千人もの人々を故意に殺害するために作られたものだ。

 フュエルミヒは、「ファイザー社が主導的な役割を果たし、モデナ社とジョンソン・エンド・ジョンソン社が追随する協調的な努力と同期的な方法で行われた」と付け加えた。これらの製薬会社3社はこの大量連続殺人事件を知っていたのだ、と彼は指摘した。

 「これは法的な問題です。で、この[グラフ]があれば、この世でいやしくも弁護士を名乗る人間であれば、「故意」を示すことなど朝飯前です。このグラフから、必然的に導き出される結論があります。それは「故意」を示すことができる、ということです。この製薬会社3社は、十分考えて異なる投与量を互いに干渉しないように調整して使っており、投与量がどれくらいあればもっとも効率的な殺傷力を持つかを見つけようとしているのです」とフュエルミヒは語った。

 2021年6月、COVID注射の安全性に懸念を示したとして国民保健サービス(NHS)から停職処分を受けた英国の医師、サム・ホワイト(Sam White)博士は、①なりふり構わず本当の数字を隠蔽しようとする工作があった、②「報告制度」は、何百万、場合によっては何十億の人々を対象とした真っ当な臨床試験に耐えうるほど堅牢な作りにはなっていない、と述べた。

 「犯罪目的、あるいは重過失、故殺を証明できれば、被害を受けた人、あるいは愛する人を失った人が、実際に何らかの補償を受けられるようになるかもしれません」とホワイトは述べた。

 「現時点では、(補償請求は)英国をはじめ世界的にそれは基本的に不可能です。そしてそれは、長い間、長い間、ワクチンについてそうでした。(この3社の間で)同調しようとする動きなどがあるなんて、ほとんど信じられないようなことです。」

 フュエルミヒは、この調査結果は、ワクチンが意図的かつ故意に人を傷つけるために行われたことが証明された場合、計り知れない法的影響を及ぼすだろうと述べた。

 「そういう法的な結論を引き出す必要があります。法的な結論とはその故意性です。そして、その故意性から、懲罰的損害賠償を手にすることができます。実際の損害の21倍まで、実際の損害に上乗せしていくことができます。私たちが問題にしている事例では、関係者がひどい健康被害を被っているので、1000倍まで上乗せできるでしょう。これは巨大製薬業界全体を崩壊させるほどのものになると思います」とフュエルミヒは締めくくった。

 こちらの動画を参照すれば、COVID-19ワクチンに関する最新の電撃情報をさらに知ることができる。


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「デルタ株に感染したことにより獲得した免疫は、ワクチンによる免疫よりも効果がある」とCDCが発表

「デルタ株に感染したことにより獲得した免疫は、ワクチンによる免疫よりも効果がある」とCDCが発表

<記事原文 寺島先生推薦>

Natural Covid Delta immunity more effective than vaccination – CDC study

CDCが以前出していた助言とは食い違うが、この研究結果によると、ワクチンは、コロナウイルスに対する「安全な対策」だとのことだ。

2022年1月20日

RT ワールドニュース

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年2月5日

 1月18日の米国CDC(疾病予防管理センター)の発表によると、2021年の後半にデルタ株がコロナウイルスの主要な株となる中で、ワクチン接種済みの人々は、ワクチンを接種していない人々と比べてCOVID-19に罹患する確率は6分の1ほどだということがわかった、とのことだ。

 しかし、初期のコロナウイルスの株に感染していて、ワクチンを接種していない人々は、15倍~29倍ほどウイルスに感染しにくくなっていることも分かったとのことだ。

 入院率についても同様のことが当てはまり、感染によって得られた免疫は、ワクチンにより得られた免疫よりも、入院を防ぐことが分かったとのことだ。

READ MORE


: WHO says ‘no evidence’ for boosting children & teens

 体内に元々存在する免疫と比べて劣るものの、CDCが強調したのは、COVID感染を防ぐには依然として、「ワクチン接種は安全な対策」であるということであった。その理由として、「COVIDに初めて罹患することは重大な危険になる可能性があるからです」と、この研究の著者の一人であるエリ・ローゼンバーグ(Eli Rosenberg)博士はCNNの取材に答えている。同様に、カリフォルニア州公衆衛生局の疫学者エリカ・パン(Erica Pan)博士も、以前COVIDに感染した人々でも、「念には念を入れた保護のため」ワクチン接種を行うよう推奨している。

 この研究の結論は、米国医療当局の指導者的立場にある人物が以前行っていた主張とは食い違っている。デルタ株の流行が始まった昨年5月の時点で、大統領首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ博士は、以下のような主張を行っていた。すなわち「ワクチンは感染により体内で自然に得られる反応よりも効果があります」と。さらに、ファウチは共和党国会議員から、自然免疫の効果を強調する論文を無視していることで、批判を受けていた。その議員はファウチがそのような主張をしていた理由を、「すべての人にワクチン接種を行うという、ファウチの計画を台無しにしてしまうからです」としていた。

 この研究は、デルタ株が急増している際に行われたものであり、今猛威を振るっているオミクロン株に対するワクチンの効果についても同じ考察があてはまるわけではない。

 

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最大のCOVIDワクチンスキャンダル。「COVIDワクチンのバッチ番号により、副反応の深刻度が決まる」

最大のCOVIDワクチンスキャンダル。「COVIDワクチンのバッチ番号により、副反応の深刻度が決まる」
<記事原文 寺島先生推薦>

Biggest COVID Vaccine Scandal. “COVID Vaccine Batch Numbers and the Range of Adverse Impacts”

Global Research 2022年1月22日

Joel S Hirchhorn (ジョエル・S・ヒルシュホーン)

この情報は絶対見逃してはいけない!

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年2月2日

 昨年度起こったことを批判的に検討してみれば、或る複雑な問いに対する答えを求めようとするのは自然の流れだ。その問いとは、何百万もの人々がCOVIDワクチンを接種した中で、どうして何万もの人々が、ワクチン接種が原因で亡くなったり、重大な障害を受けることになったのだろうか?という問いだ。

 別の言い方をすれば、確かに統計的に見ればワクチンによる被害者の数は少ないかもしれないが、被害者や被害者の家族にとってはその被害は甚大なものだということだ。皆さんもそうだろうが、私はこのワクチンのせいで心臓に障害が出た被害者が何百件もでていることを記事で読んだ。若くて健康な人々が、ワクチン接種直後に亡くなることが非常に多いことも耳にしている。

 このような状況であるので、筋の通った、科学的な問いというのは、特定のワクチン接種者だけが亡くなったり、深刻な症状が出ている現象をどう説明できるのか?という問いだ。

 これは個人の問題なのだろうか?それとも、ワクチンに問題があるためだろうか?

 この問いの答えとして、ついに、優秀な専門家であるクレイグ・パーデクーパー(Craig Paardekooper)氏が画期的な論文を書き上げてくれた。この研究はCDCのワクチン有害事象報告システムの数値を使用し、この問いに対する完全に信頼の置ける回答を出してくれたのだ。

最重要のウエブサイト

 私が強力に皆さんにおすすめするのは、このパンデミック、特にワクチンの件について心から真実の情報を入手したいと切に願っている人は、How Bad is My Batch websiteというサイトにアクセスすることだ。

 この研究の成果を大まかにいうならば、COVIDワクチンのバッチ番号と副反応の程度の間、さらにそのバッジ番号と、ワクチンによる死亡の間に相関関係があることが分かったという点だ。

 さてしばし時間をおこう。ワクチン接種済みの方であれば、ワクチン接種証明書をよく見てほしい。その証明書には、接種に使われた注射のバッチ番号として文字や数字の羅列が書かれているのが分かるだろう。接種した注射ごとに違うバッチ番号が書かれている。この文字と数字の組み合わせが長い時もあり、複雑な時もある。いずれにせよ、その文字と数字の羅列が証明書に記載されている。

 その番号を知った上で、上記のサイトにアクセスすれば、自分に打たれたワクチンの種類が分かる。(大多数の人が、モデルナ社かファイザー社製のワクチンだろうが)。そして、それぞれのワクチンの種類ごとに、とてつもなく長いバッチ番号の一覧表が書かれたページがある。そのページは、副反応を最も多く生じたワクチンのバッチ番号が最初に書かれていて、後はほんの少ない副反応しかでなかったワクチンのバッチ番号まで、降順に並んでいる。つまり、最も恐ろしく、有害であったワクチンのバッチ番号から始まって、ほとんど症状が出なかったバッチ番号をもつ多くのワクチンが後に続いている。自分に打たれたワクチンのバッチ番号を入力すれば、結果がわかる、ということだ。

 バッチ番号と副反応の間の相関関係を導き出す際には、すべてCDCが出している公式記録が使用されている。膨大な数値を操作して、このウエブサイトに相関関係を載せられるようにするまでの努力は相当なものだっただろう。しかしこのバッチ番号と副反応の間の相関関係の分析からわかったことは、ワクチンのバッチ番号こそが真犯人だったということだ。この番号こそ、人々のいのちを奪い、障害を与えた大きな原因だったことがわかったのだ。

 以下をお読みいただければすぐに分かることなのだが、最悪の、最も有害なバッチ番号をもつワクチンについては、驚愕すべき高い副反応や、死亡件数が生じており、最も多いものでは、数千件に上っていた

 真実についての示唆を得るためにlifesitenews.comのサイトで示された分析における以下の点を参照されたい。例えば、ファイザー社のワクチン接種関連で亡くなった人は、ワクチンの全てのロット番号のうちのたった4%のロット番号に集中していることが分かる。またモデルナ社のワクチンについても同じことがあてはまり、たったの 5%のバッチ番号に集中している。さらにより良性なバッチ番号を持つワクチンが送られた地域は少ない一方、高い毒性のあったバッチ番号を持つワクチンは多くの州にまたがって広く送られていることも分かった。ファイザー社のワクチンに関して言えば、全てのロット番号のうちたった2.9%が12以上の州に送られ、そのロット番号を持つワクチンが、全てのワクチンが出した死者数の96.5%、副反応のせいで入院になった人々の95.5%、全ての副反応の報告件数の 94.7%と関係があることが分かった。 逆の見方をすれば、ファイザー社のワクチンのすべてのロット番号の97.1%が12州よりも少ない州にしか運ばれておらず、そのロット番号をもつワクチンによる死者数は全体の報告数のたったの3.5%で、入院した患者数は4.5%で、副反応の報告件数のうち5.3%だったということだ。

 この時点で皆さんが祈るであろうことは、ご自分が接種されたワクチンのバッチ番号が1番上に来ないでくれ!ということだろう。ただしご注意いただきたいのは、全ての死亡事例や、有害な副反応が生じるのは、ワクチン接種直後とは限らないことがよくあることだ、という事実だ。数週間後かもしれないし、数ヶ月後、あるいは数年後になるかもしれない。

 友人や、親戚にワクチン接種後に亡くなったり、非常に重い症状が出た人がいらっしゃれば、その人のワクチンのバッチを教えてもらい、その番号が悪性で、有害な副反応を出している番号かどうか確かめてみたらどうだろうか?

 上記のウェブサイトでは、他にも震え上がるような情報や数値が載せられている。時間を割いて見る価値のあるサイトだ。多くの点においてこのサイトこそ、現存するパンデミックの情報を正しく伝えるサイトの中で最良で唯一無二のサイトである。

政府の失態

 しかしこのサイトから得られる唯一無二の最重要情報が明らかにしてくれるのは、或る問に対する完全に賢明で、明白で、科学的な答えだ。その問とは。「なぜ特定の比較的小さな集団だけが、COVIDワクチンの被害者になっているのか」という問だ。

 そしてこの答えを突き詰めれば、決定的に重要な結論が導き出せる。その結論とは、政府が全てのワクチンの安全性を保証できているわけではない、という結論だ。悪性で、有害なワクチンが多く含まれるバッチ番号が存在するということは、何かの不具合が製造過程で発生した!ということだ。 

 製造物の品質保証を行うことは、FDAが果たすべき最も重要な任務だ。死や健康に対する弊害と関連づけられるバッチ番号がこんなにも多数存在するということは、大量のワクチンが急ピッチで製造された中で、政府当局が品質確認を誤った確たる証拠だと言える。 この政府の失態のおかげで、ワクチンを製造している各製薬会社が、大きな利益を得たのでは、という結論を導いている人々もいる。政府が任務を果たさず、深刻な異常を持つワクチンのバッチ番号を間引かなかったことで、何十億ドルもの金を節約できたのだから。

 道徳的に許されない決定が、政府当局によりなされ、ワクチンの品質や安全性よりも、大量のワクチンを製造することに重きが置かれることになったのだろうか?上記のサイトに載せられている数値をみれば、「政府はワクチン大量接種計画実現のために健康な人々の命を犠牲にする方向を選んだ」という答えを出すのが筋が通っているだろう。

 このような状況ひとつとっても、政府当局が犯した罪に対する調査を求めることが正当であると言えるだろう。そして、この罪の発起人はファウチだ。こんなにも絶大な権力を有している政府が、上記のウェブサイトに載せられている情報を知らないとは明らかに考えられない。悪性のワクチンを持つバッチ番号が人々の命を奪っているのは、COVID感染により人々の命が奪われることがあるのと同様、確かに起こっていることだ。バッチ番号の件については、政府がワクチンの品質点検を怠ったのが真の原因だ。COVID感染で人々が亡くなっているのは、政府がイベルメクチンのような、既存であり、効果もあるジェネリック薬の幅広い使用を妨害してきたからだ。

悪性のバッチ番号をもつワクチンはどこがおかしいのか

 悪性のワクチンが多く含まれているバッチ番号が存在することが分かったあと、次に聴きたくなる重要な問は「ではいったいこれらのワクチンはどこがおかしいのだろう?政府がファイザー社やモデルナ社などのワクチン製造業者のどんな落ち度に目をつぶっていたのか?」ということだ。最終的にはお分かりになられるであろうが、これらのワクチン製造業者が確信していたのは、効果もなく、安全でもないCOVIDワクチンであったとしても、業者がその責任を取らされることはない、という事実だった。

 悪性のワクチンが含まれるバッチ番号をもつこんなにも多数のワクチンのどこがおかしかったのか?という問に対する答は、簡単だ。それは、様々な不純物や汚染物が、ワクチンの成分に含まれていたのではないか、ということだ。この記事においては、その件については、以下のような大まかな説明にとどめる。

 ドイツの科学者たちが、COVIDワクチンの成分に何が入っていたかを調べた報告があり、その中で科学者たちが発見したのは、例えばファイザー社のワクチンの中の異物や、正確に構築された或る物質だった。このドイツの科学者たちのチームは、これらの発見を「権威者たち」に提出したが、返答はなかった。

 具体的にいうと、このチームは、4種類のバッチを調べて、その結果をEMA(欧州医薬品庁)や、STIKO(ドイツの予防接種常設委員会)や、ポールエンリッヒ協会(ドイツの政府機関)に伝えたのだが、全く反応が得られなかったとのことだ。

 別の記事もある。:

 「8月に日本はモデルナ社のワクチンを停止した。それはモデルナ社のコロナウイルスワクチンの中に外から入れられた異物が見つかったからだ、と日経アジアは報じている。さらにその物質は磁石にくっついたことがわかったとのことだった」。さらに、「内科医のキャリー・マデジ(Carrie Madej)博士も、モデルナ社のワクチンを調べた結果、異物を発見し、「グラフェンのような」物質や、「繊毛のついた器官のような動く生物をモデルナ社のワクチン内で発見したとのことだった。」

 さらにはこんな報道もあった。

 「さらに、10月の或るツイッターのスレッドには、同様の物質が示されていた。それは「粒子の塊」や「繊維のような構造をして」おり、「枝わかれ」していたり、「輪のような構造」を持っていた。この研究結果は、ファイザー・バイオンテック共同開発ワクチンのサンプルを「顕微鏡による観察」をもとに行ったものだ。或る匿名の科学者(その科学者は、ランセット誌や、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌などの科学誌に査読済みの論文を100回以上掲載されたことがあると自称しているそうだ)の分析によると、この研究は、「明視野顕微鏡と位相差顕微鏡が使われており、厳格な科学と衛生学に基づく研究である」とのことだ。」

 欧州医薬品庁が2020年12月にワクチンの品質を特定する報告を出した。その報告の内容は以下の通りだ。

 「欧州医薬品庁が、発見された不純物についての評価を行い、分析したところ、最終的にその不純物は許容範囲内であることが分かった。同薬品庁の他の主張によれば、不純物の有無に関して、バッチ番号により差があることが確認されたとのことだったが、最終的にはそれもおとがめなしという判断だった。そして、欧州医薬品庁が加えた説明の多くは、ワクチンの重要な構成物(mRNAと呼ばれる遺伝物質)に異常があったという点や、「RNAの完全性」の程度に関する説明だった。」

 この報告にさらに記載されていた内容は、脂質に関するある種の異常が検出されたことであった。脂質とは、脂肪を含む物質のことであり、それがmRNAをコーティングするのに使われていたとのことだ。この報告によれば、脂質関係の不純物が、最近生産が完成したワクチンのバッチ番号に含まれていたとのことだ。さらにこの報告では、ワクチンの内部に「粒子状の物質」が見つかったことについても触れられていた。

 この報告が指摘していたさらなる重要な点を以下に示そう。

 「欧州医薬品庁の報告によれば、臨床試験用に使用されたバッチに対してとられた生産過程と、市場に出される可能性があるバッチに対してとられた生産過程が一致しなかったということだ。(この報告においては、それぞれの過程を、「第1過程」や「第2過程」と呼んでいる)。この不一致が重要な意味をもつのは、一般の人々向けに分配されたワクチンと、臨床試験時に使用されたワクチンとが大きく異なっているとすれば、臨床試験の結果が分かっても、市場に出された際、人々にどのような影響を与えるかの予想がつけられないことになるからだ。」

 最後の情報であるが、これはバッチ番号の種類により、不純物や汚染物が違ってくるという話ではなく、mRNAを使った技術自体に何かしらの不具合があったかもしれない、ということだ。この懸念に関しては、バッチ番号と副反応の関連性を調べたスウェーデンのサイトが分析を行っている。この分析は、ファイザー社のワクチンがもつ毒性について経時的に調査したものだ。そのグラフからは、時間が経過するごとにワクチンの安全性が増加しているように見える。

結論

 明白に分かっている事実は、ワクチン製造の品質管理について大きな問題があると追求されている政府当局は世界中で全く存在しておらず、死亡や有害な影響が大きく発生しているワクチンのバッチ番号が存在している理由についての説明責任が問われていないということだ。つまり、主要製造業者が製造したワクチンが、バッチ番号によって集中して障害が生じている理由が問われていないのだ。そうやって、何十万という人々のいのちが「犠牲に」されて、大規模ワクチン接種計画が守られている。

 ワクチンの大規模な接種計画が遂行されてしまえば、ワクチン製造業者に対してワクチンの厳格な品質管理を確認しようとする動機はなくなってしまうようだ。そうなれば生産が追いつかなくなることになるからだ。さらに、ワクチン製造業者の利益に大きな影響を与えることにもなるからだ。

 最後に注意しておいていただきたいのは、CDCはワクチンによるすべての副反応、とくに死亡件数については大幅に低い数字を出している可能性がある、という点だ。ほとんどの分析が明らかにしているところによれば、この過小の程度は甚大だろうということだ。おそらく公表されているのは実際の件数の10倍から100倍少ない数字だろう。(そのことを加味した上で)もっと正確な数値が出されたとしたら、副反応とバッチ番号の相関関係はどう変わるだろうか?予想は難しい。ただ、副反応や死亡件数がもっと高い数値になったとしても、副反応が生じているのは、すべてのワクチン接種者のうちの比較的少数の特定の人々になりそうだ。つまり、毒性のあるワクチンと「特定のバッチ番号」の間の相関関係があることになりそうだ。そうなれば、品質管理という点において製造上問題があったということになるのだ。

 ワクチンが健康に与える影響について、もっと良い数値が手に入ったならば、もっと悪質なバッチ番号があるという証拠が出るかもしれない。そして頭に入れておくべきことは、すべてのバッチ番号が、多数のワクチンによる副反応と関連づけられる可能性もあるという事実だ。というのも、副反応が出るのは、接種後長い時間がたってやっと分かることもあるだろうからだ。

*

 Dr. Joel S. Hirschhorn, author of Pandemic Blunder and many articles on the pandemic, worked on health issues for decades. As a full professor at the University of Wisconsin, Madison, he directed a medical research program between the colleges of engineering and medicine. As a senior official at the Congressional Office of Technology Assessment and the National Governors Association, he directed major studies on health-related subjects; he testified at over 50 US Senate and House hearings and authored hundreds of articles and op-ed articles in major newspapers. He has served as an executive volunteer at a major hospital for more than 10 years. He is a member of the Association of American Physicians and Surgeons, and America’s Frontline Doctors.

He is a regular contributor to Global Research.

 

 

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COVIDで正気を失った左翼への手紙

COVIDで正気を失った左翼への手紙

<記事原文 寺島先生推薦>

Letter to the COVID Deranged Left

Global Research 2021年12月31日

レオン・トレッセル(Leon Tressell)博士

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>


**
 私は以下の手紙を、ロックダウン、大規模なワクチン接種キャンペーン、そして医療スタッフへの強制的ワクチン接種などを支持する社会主義者の仲間たちに送りました。30年間、社会主義運動を続けてきた私は、多くの左翼の人たちが、パンデミックに対する政府の誤った施策と同一歩調を取っている様子を目にしてショックを受けました。そこで私は、社会主義者の仲間たちを議論に巻き込むことにしました。以下は、議論を喚起するための私の最初の書状です。

*

 みなさま

 今回のパンデミックを解消するための答えとして、みなさまがワクチンを推奨していることに、私はたいへん困惑しています。

 「ワクチン接種推奨」など、「COVID錯乱症候群」とでも言うべきものでしょう。今回のパンデミックで大半の左翼のみなさまが罹患した病気です。

 まず何よりも、ワクチンを打ったからといって感染しない、感染させないというものではありません。
 
 第二に、Covidにかかったことのある人が持つ自然免疫は、ワクチンよりもはるかに大きな予防効果を発揮します。

 第三に、世界中の政府やトップレベルの公衆衛生機関は、人々の免疫システムを強化するための政策、例えば、運動、良い食事、十分な休息と睡眠の推進、ビタミンDやCなどの極めて重要な医薬品の普及を全く行っていません。

 各国政府やアメリカ疾病管理予防センター(CDC)、国立衛生研究所(NIH)などのトップレベルの保健機関は、わずかな医学的根拠に基づいてレムデシビルなどの有毒な医薬品を承認しています。WHOの集団試験でも、効果がないだけでなく、多くの患者がこの薬に毒性を感じているとして、この薬に反対する意見が出されています。しかし、英国を含む世界中の病院では、Covid患者の治療にレムデシビルを使用しています。

 一方、パンデミック終結の鍵となる安価で超安全な再利用薬を悪者扱いする国際キャンペーンが展開されています。たとえば、フルボキサミン、コルヒチン、イベルメクチンなど、です。まだまだあります。

 再利用薬の悪者扱いは、イベルメクチンのケースが最も有名です。イベルメクチンは、Covid19の予防薬および治療薬として69の臨床試験が行われ、その有効性が証明されています。イベルメクチンの有効性、安価さ、超安全性については、世界で最も多くの論文を発表している集中治療専門医の一人であるEVMS(Eastern Virginia Medical School) のポール・マリック(Paul Marik)教授の研究を参照してみてください。メタ分析では、イベルメクチンが他のどの抗ウイルス剤よりも優れていることが証明されています。

 イベルメクチンは、アフリカを中心とした低所得国数十カ国で使用されています。イギリスやアメリカの科学者たちは、アフリカではワクチン接種率が非常に低いのに、なぜ感染率が低いのかと首をかしげています。イベルメクチンの使用はアフリカ全域で非常に広く、何十年にもわたって行われています。

 疫学者のジュアン・チャミー(Juan Chamie)博士は、Covid感染率が最も高いのは、ワクチン接種率が最も高い裕福な国で、病気を治療する有効な抗ウイルス剤がなく、不健康なライフスタイルによる炎症性の病気が多いことを示すデータを発表しました。

 インドのウタープラデシュ州(人口2億4100万人)、メキシコシティ、そして日本からの疫学的証拠により、イベルメクチンがいかに感染率を押し下げ、病院からCovid患者を一掃したかが明らかになっています。

 また、みなさまの分析は、米国のVAERS(ワクチン有害事象報告システム)で指摘されているように、ワクチンによって引き起こされる甚大な害を無視しています。MRNAワクチン技術の発明者の一人であるロバート・マローン(Robert Malone)博士や世界的に有名な心臓学者であるピーター・マッカラ(Peter McCllough)博士は、この問題について話し、メディアからの途方もない検閲と攻撃に晒されました。もしワクチンがそんなに安全なら、(副反応が出た際に)肩代わりさせられている製薬会社の責任を各国政府が取り払えばいいのです。

 現在のワクチンは、免疫系の一部を刺激するだけで、漏出しやすい非殺菌ワクチンです。このワクチンを打ったからといってCovid19に感染しない、感染させないというものではありません。

 しかし、オーストリアではワクチン未接種者のロックダウンが行われています。来年、ドイツとオーストリアは、人々にワクチンの接種を強制しようとしています。両国がナチの時代にどうだったかを考えれば、そんな馬鹿なことはすべきではないのです。これは、第二次世界大戦末期のナチスの医師たちの裁判の後に作られたニュルンベルク医療規定に明白に違反します。

 このような施策を行う政府は、「国民を分断して統治せよ!」政策をとっていることになります。その一方で、政府は反動的な社会・経済政策を何の規制もなく追求します。

 左翼の多くは、ビッグファーマ(巨大製薬会社)による公衆衛生機関の規制獲得と、世界中の政府が推進する多くの健康政策がまったく実施されない事態を結びつけて考えることができないようです。世界中の何十万人もの一般人がワクチン・パスポートに抗議しているのに、左翼の多くはこれらの抗議を取り上げようともしません。イタリア政府のワクチン・パスポートに抗議して港を封鎖したトリエステの港湾労働者を見てください。

 資本主義は2020年代に極度の危機の10年に突入するでしょう。今Sars-Cov-2の問題に何の手も打たないでおいて、私たちは、これから出現するもっと大きな問題にきちんと対処できるのでしょうか?

*

 

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