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ビデオ:ライナー・フエルミヒ(Reiner Füellmich)と50人の弁護士たち:ワクチンは人殺しのため

ビデオ:ライナー・フエルミヒ(Reiner Füellmich)と50人の弁護士たち:ワクチンは人殺しのため
<記事原文 寺島先生推薦>
Video: Reiner Füellmich and 50 Lawyers: “Different Batches” and “Lethal Doses”, ”The Vaccines Are Designed to Kill”

2022年1月13日

Global Research

ライナー・フエルミヒ(Reiner Füellmich)とPerspektiv

<記事翻訳 寺島翻訳グループ>

2022年1月30日



 ドイツ・コロナ調査委員会でライナー・フエルミヒ率いる弁護団は、36年間科学者であったファイザー社の元副社長マイク・イェードン(Mike Yeadon)博士の証人尋問を聞いた後、同じ結論を導き出した。通常コロナ・ワクチンと呼ばれる注射は、人類を実験台にして、人を殺すためにどれほどの毒素が必要かを調べる意図をもっている、との結論だ。

 イェードン博士によれば、ワクチンと死亡率の関係は、打ったワクチンのグループごとにつけられた割り当て番号で追跡可能である。ワクチンのグループごとに致死性が異なる。入手可能な証拠を見ると、世界中で行われているワクチン注射の主な目的は、世界的な人口削減であると、弁護団は言う。フエルミヒ博士は映像サイトPerspektivに、国際訴訟を準備している弁護士たちは次のことにもはや疑う余地はないと語った: 

 コロナ・ワクチンによる毒殺と大量殺人は、世界中の民族に対して意図的に行われている。

 EU/EES Healthcare ブログの市民ジャーナリストであるウルフ・ビットナー(Ulf Bittner)とスベリゲ・グランスカス(Sverige Granskas)は、インタビューの中で、追跡可能な割り当て番号と割り当て番号に関連したワクチン接種後の健康障害や死亡の状況は、スウェーデンの別々の医療圏で類似した結果を示していると述べた。ビットナーは、あるワクチンコーディネーターと連絡を取っている。このコーディネーターは、接種した「ワクチン」のグループごとに、何人が健康障害を起こし、何人が死亡したか、を追跡調査した文書を提供している。

<以下はインタビューの抄訳:数字は経過時間>

(動画については、原文の記事からご覧ください。訳者)

 01:00 スロベニアの看護師長によると、ワクチンの底に貼ってある他とは区別されたバーコードは、政治家に配られたプラセボ(偽薬)だそうです。他の国でも同じなのでしょうか?

 1:54 Moderna、Johnson& Johnson、Pfizer/Biontechという大製薬会社の一部のワクチンの割り当て番号は、他の製薬会社よりもはるかに高い死亡率との関連があります。

 3:52 フエルミヒ博士によれば、「ワクチン」の製造者は、人々を殺すための適切な投与量を実験しているとのこと。コロナ調査委員会によれば、これは懲罰的損害賠償と大量殺人未遂の説得力のある証拠となるものです。彼らは意図的に殺人を犯しています。
 
 08:30 インドの弁護団が計画的殺人で提訴しました。

 09:55 マイク・イェードンが、この犯人たちを訴追する証人になります。その法的措置はいずれとられるでしょう。
 
 10:44 世界中の政府の悪事を批判する人は皆、『右翼過激派』と呼ばれています。国際的に有名な科学者であるマイク・イェードンにもこのようなことが起こっています。

 13:05 アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、SARS-CoV-2のPCR検査を2021年12月31日から推奨しなくなりました。PCR検査は今回のパンデミックの礎です。アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)はなぜ今になって180度方針を変えたのでしょうか? 
 
 17:25 今回の訴訟に勝利すれば、少なくとも一人当たり100万ドルの懲罰的損害賠償を請求することになります。

 18:33 以前は、全副作用のうち10%しか報告されていませんでした。今の世界の状況では、実際には全副作用の1%しか報告されていないと弁護団は推測しています。

 19:25 米国インディアナ州の、資産1000億ドルの生命保険会社のCEOが言っています:「この1年間で、40%の超過死亡率が発生しています。」これは、ワクチン接種が原因だと思われています。

 21:05 ワクチン液の中のどんな物質が致死性を高めているのでしょうか?酸化グラフェン/水酸化グラフェンでしょうか? 

 22:37 どんなワクチンも毒であり、その違いは投与量です。コロナ・ワクチンはワクチンではありません。ワクチンというものは免疫を与えるものです。しかし、コロナ・ワクチンは次から次へと打たなければなりません。ワクチンは効くか効かないかのどちらかです。

 24:40 遺伝子治療とは、壊れた遺伝子を修正された遺伝子と交換することですから、これは遺伝子治療でもありません。これはむしろ人体実験であり、私たちを殺そうとしているのです。

 25.15 (適正なワクチン)投与量は政府によって検査されていません。一方、政府は少なくとも55年間、この契約を国民から隠しておくことになるでしょう。このことは、人々が処罰される可能性にどのような影響を与えるのでしょうか?フエルミヒ博士は、世界が今置かれている専制的な状況への地固めをしている嘘をひとつ残らず調査しています。 
   
 28:25 コロナ・ワクチンは安全でも効果的でもありません。ワクチン製造者は致死量がどの程度かの実験しているのです。故意に悪意を持って害を与える行為に、今加担している者は全員罰せられるでしょう。

 30:05 マイク・イェードンがここから導き出した結論、つまり、すべては人口削減とワクチン接種による意図的な殺戮が目的であるということについて、法律の専門家たちはどの程度確信しているのでしょうか。50人近い弁護士が同じ意見を持っていれば、それは「反論の余地のない証拠」とみなされます。

 32:08 スウェーデンでは、ワクチンがどのグループのものかは、アプリを使えば追跡できることになっています。

 32:45 フエルミヒは、ワクチン注射を希望しないドイツの諜報機関で働く人たちと協力しています。

 34:15 リー・メリット(Lee Merritt)博士の、米国で戦闘パイロットがワクチン注射を拒否していることについての話。フエエルミヒ博士によると、メリット博士はこう説明しています:「彼らは、もし(ワクチン注射を)強制されたら、殺されることを理解していたのです。」

 35:15 スウェーデンでは、各地域、スウェーデン保健当局(Folkhälsomyndigheten)、医療委員会(Läkemedelsverket)からワクチン・グループに関する情報が収集されています。すべてのワクチン・グループは、アプリケーションを通じて追跡可能です。より多くの人にワクチン注射をすることができたスウェーデンの地域には、経済的な見返りがあります。今度の裁判に参加する専門家弁護士の一人は、ニュルンベルク裁判の専門家です。

 38:45 来るべき裁判はどのように、どのような法体系で行われるのでしょうか?共通の目的、ニュルンベルク裁判と同じ構造です。

 39:40 欧州連合加盟国には自由な選択が中心に据えられるべきです。医療の消費者には消費者の権利があります。不正とは、国民と医療の消費者を欺くことです。

 42:00 今回「ワクチン」と呼ばれているものは、混ぜ物が入った不純物で市場で出回っています。マイク・イェードンによれば、アメリカには不純物によって引き起こされた損害について、(関係者)すべての人に責任を負わせる法律があるとのことです。既知の脂質など以外の毒物がワクチン液の中に入っています。そんなことに、ワクチンを摂取した人々は決して同意していません。

 43:40 EUのようなグローバルな組織が国民に指図するのではなく、権力の分散と国家の独立が重要であること。銀行システムから切り離されたNGO:独立した強力な農業供給チェーン、エネルギー供給チェーンなどを作ること。

 46:15 裁判はいつ行われるのですか?起訴はどのように行われ、裁判はどのように行われるのでしょうか?主要メディアが裁判を無視できないように、代替メディアを巻き込んで人々に情報を提供し、悪事を暴くことが目的の一つです。私たち裁判を推進しているグループは、アメリカ、アフリカ、ドイツにおける新しい法体系を作り上げる作業に取り組んでいます。

 50:48 フュエルミヒ博士は、世界は転換点に近づいており、ワクチンに関して現在流布している言説はすべて、ごくごく近いうちに、おそらく数週間か数ヶ月のうちに、粉々に崩壊すると信じています。

 54:13 ロバート・マローン(Robert Malone)、ロバート・F・ケネディ(Robert F Kennedy)、マイク・イェドン(Mike Yeadon)など、今回の計略の暴露に関わった人たちが連絡を取り合い、3月にアメリカでこれらの内部告発者たちとツアーを計画しています。

 

 

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「ワクチン強制接種」:左翼はCovid-19パンデミック騒動の間、「身体的自律性」の原則を軽視。それは「右翼への贈り物」?

「ワクチン強制接種」:左翼はCovid-19パンデミック騒動の間、「身体的自律性」の原則を軽視。それは「右翼への贈り物」?

“Coerced Vaccination”: The Left’s Contempt for Bodily Autonomy during the Covid-19 Pandemic. A “Gift to the Right”?

Global Research

2021年12月22日

ジョナサン・クック(Jonathan Cook)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月30日

First published on December 22, 2021

 左翼の一部はいつから「身体的自律性(私の身体は私の身体)」の原則を蔑ろにするようになったのか?答え:パンデミックから抜け出すための唯一の手段だと、左翼がワクチンを崇拝の対象として祭り上げ始めた頃だ。

 ほんの2年前までは、ほとんどの人が「身体的自律性」は基本的で疑う余地のない人権であると理解していた

 この人権は、今では、ある種変態的リバタリアンの贅沢品として扱われている。この人権を大事にする「嘆かわしい人々」はタッカー・カールソン(Tucker Carlson)*を見過ぎている証拠だとか、彼らは社会的利益よりも個人の権利を重視する新自由主義の最悪の行き過ぎを理想化するようになったとか、言われながら。

Tucker Carlson*…タッカー・スワンソン・マクニア・カールソン は、アメリカの保守派政治コメンテーター。2016年からFOXニュースの政治トーク番組『タッカー・カールソン・トゥナイト』で司会を務めている。 1990年代に新聞雑誌記者となり、『ウィークリー・スタンダード』誌などに記事を寄稿(ウイキペディア)

 これはナンセンスだし危険な考え方だ。選挙権や医療を受ける権利と同様に、「身体的自律性」の原則が何世紀もの闘いによって確立されていなかったら、この世界はどうなっていただろうと想像してみれば、明らかなことだろう。

 なぜなら、「身体的自律性」の原則がなければ、今でも処女を高い段に引きずり上げて、太陽神をなだめるための生け贄にしているかもしれない。「身体的自律性」の原則がなければ、私たちは今でも黒人を動物のように扱っているかもしれない。白人の地主階級を豊かにするために、黒人を動産として扱い、強制労働による搾取を今でも行っているかもしれない。

 「身体的自律性」の原則がなければ、「劣等人種」であるユダヤ人、ルーマニア人、共産主義者、同性愛者に医師が実験を行い、「優等人種」がその「研究」から利益を得るような医者が今でも存在するかもしれない。「身体的自律性」の原則がなければ、不文律の夫婦の誓いの一つとして、男性が妻をレイプする権利が今でも残っているかもしれない。

 こういった権利獲得の戦いの多くは、ちょっと記憶を辿ってみればわかるが、ごくごく最近勝ち取ったものである。この年になって振り返ると、私は、通学途中の車の中で、BBCラジオ4で、夫が妻をレイプする権利を裁判所が当然とすることは正当かどうかという「真面目な」議論を聞いていたのを思い出す。

 アメリカでは、女性の身体と身ごもった胎児とのどちらが優先されるかという議論が、現在進行形で行われている中絶議論の中心であり、炎上している。そして、「身体的自律性」の原則を守ることが、「テロとの戦い」として知られる褐色人種との戦いの中で、今や当たり前みたいになってしまった米国の拷問体制に反対する人たちの主な理由であった。(道徳心がちょっとしかなくても、拷問体制にはだれだって反対する)

不誠実

 西側社会で、少数民族のワクチン接種率が非常に低いのは、それなりの理由がある。そのヒントは、上の3つ段落に書いた。

 白人エリートが白人エリートの利益のために運営する強力な国民国家は、何世紀にもわたって黒人や褐色人種の「身体的自律性」原則を踏みにじってきた。時には、白人エリートたちは自分たちが引き起こす他への被害に無頓着だった。また時には、こうした「劣等」民族に手を貸しているのだと公言した。たとえば「テロとの戦争」では、私たちが喉から手が出るほど欲しい石油を産出する国々を侵略する理由として、新自由主義的「民主主義」の推進を掲げていたのだ。

 口実はコロコロ変わるが、不誠実さは変わらない。

 西洋の植民地国家の手によって苦しめられた長い歴史があるから、黒人社会や褐色人社会が、「信じられない!」という気持ちを持ち続けるのももっともなのだ。黒人社会や褐色人社会が持つ懸念や国家機関からの疎外感を無視したり矮小化したりすることは、連帯でもなければ、彼らを守ることでもない。そんなことをするのは醜悪な傲慢さだ。彼らの懸念を軽んじても、その懸念が消えるわけではない。むしろその懸念を増幅させる。

 しかし、もちろん、少数民族の懸念を例外的に扱うことにも、またある種の傲慢さがある。何か特別扱いをすることで、その懸念に肩入れをすることになるからだ。まるで少数民族は「身体的自律」原則を存分に堪能する必要があると言っているかのようだ。私たちを含めた他の民族は十分に成熟していてそんな原則は捨て去っているのに、と。

 事実はこうだ。どの世代も、自分たちの先祖が掲げた優先順位が誤っていたことを理解するようになる。どの世代にも強力なエリート層がいる。彼らは多数派であって、その合意はでっち上げられ、「身体的自律」原則などというものは、より高次の原則のために犠牲にしても大丈夫だというまちがった確信に浸りきっている。半世紀前、夫婦間レイプの支持者たちは、伝統や家父長制の価値観を守ることを主張した。なぜなら、それらは社会をまとめる接着剤だとされていたからだ。50年後の今、ワクチン接種の義務化に関する議論、そしてワクチン未接種者は不潔であり、疫病の媒介者であるという全く非科学的な推論を、ほとんど同じ観点から捉えることができるだろう。

 ワクチンの義務化については政治的な共通理解が、大きく広がったが、①パンデミック宣言の2年後にCovid-19ウイルスは途方もなく広がったこと、②その結果、ワクチン接種の有無にかかわらず、人口の大部分が自然免疫を獲得したこと、この2つが意図的に無視されている。この共通理解は、自然免疫が(ワクチン)より長く持続し、今後も出現するCovid-19ウイルスの亜種に対してより効果的であることを証明する可能性が高いという事実も曖昧にしている。そして、この共通理解は、次の不都合な事実から私たちの目を逸らせている。つまり、現在のワクチンの有効期間が短いということは、新しい亜種オミクロンがあまりにも明確に強調しているように、誰もが潜在的に「不潔」であり、疫病保菌者であるという事実だ。

連帯の問題ではない

 真実はこうだ。「身体的自律」原則をめぐる政治的分裂の中で、私たち一人ひとりの立ち位置がどこかということは、人権や社会的利益、あるいは弱者や無力者との連帯をどれだけ優先するかということとあまり関係がない。はるかに関係があるのは以下に列記した、客観的な合理性を著しく欠いた他の事柄だ:

 *Covidが私たち自身と、愛する人たちへの影響について、私たち一人ひとりどれほど恐れているか。

 *私たちの社会を動かしている富裕層が、手っ取り早く利益を生む技術的な解決策への欲求や、見せかけの強いリーダーシップと果断な行動よりも、社会的利益を優先してきたと私たちが思うかどうか。

 *私たちの社会が高齢化し、病人が増えるにつれて利益が急増している製薬企業の利益よりも、科学が優先されていると、私たちがどの程度確信しているのかどうか。また、これらの企業が世界保健機関(WHO)などの規制当局を取り込んでいると私たちが考えているのかどうか。

 *①医療サービスがひっ迫していること②現実には決してなくならないウイルスを根絶できないこと、この2つの責任を少数派であるワクチン未接種者の責任として押し付けることが、有益と考えるのか、危険と考えるか。

 * 特に左翼にあてはまることだが、キューバ、中国、ロシア、イランといった非西側の、公式的な「敵」政府も、「ワクチン開発という卵」を「ワクチンという危険な籠」の中に投げ込んでいることでどれほど私たちが安心できているか。たいていの場合その開発は西側社会と同じくらい熱狂的に行われているのだが。

 しかし、ひょっとして、権力闘争に明け暮れる各国の競争志向のエリートたちが支配する科学技術や物質主義的世界が発達してきたというのは、パンデミックを終わらせる方法として、ワクチンや薬剤といった即効性のある魔法の弾丸を使うという、世界共通の考え方という「箱」が常に存在していたということかもしれない。「善玉国家」「悪玉国家」を問わず、各国政府がこの特定の箱の外に身を置いて思考する可能性は低い。しかし、そうは言っても、それはこの箱が唯一のものであり、すべての国民を強制的にこの箱に入れなければならない、という意味ではない。

 基本的人権は、良い時だけに適用されるものではない。パンデミックのような困難な時に、その権利が迷惑だからとか、私たちがベストだと思うことを拒否する人がいるからという理由で、基本的人権を脇に追いやることはできない。種々の基本的人権は、自由で開かれた社会で生きることの意味にとって基本中の基本だ。もし私たちがこのウイルスに対処している間に「身体的自律」原則を白紙に戻してしまったら、この原則を取り戻すために一から闘いを始めなくてはならないだろう。しかも、これまで見たことも聞いたこともないような強力なハイテク監視国家の中に完全に置かれてしまった中で。

ワクチン接種の強制

 しかし、「身体的自律」原則だけに注目するのは間違いである。「身体的自律」原則の弱体化は、「認知的自律(どんな情報でも自分に関係ある情報は自分で取得できる)」原則の弱体化にも同様に憂慮すべき事態を招きつつある。実際、この2種類の原則は容易に切り離すことができない。なぜなら、人々にワクチン接種を義務付けるべきだと考える人は、ワクチン接種に抵抗感を抱かせるような情報を聞くことは許されない、とすぐに主張するようになるからだ。

 パンデミック下、誠実で開かれた議論を維持することについて、きわめて大事な問題がある。それは、Covidや、COVID対策に批判的である人々が、キーボードに指を置くたびに、取り組まなければならない問題だ。というのも、この議論が交わされる土俵は、お世辞にも理性的なものとは言えない。

 ワクチン接種の義務化を要求し、「身体的自律」原則を「医療」的に不都合だから捨て去ろうとする人々は、ごく少数の孤立した反対派が、自分たちの議論に異議を唱えるのは、あっても時々だ、と思い込んでいる。だから、自分たちの議論を、大口を空けて主張することができるのだ。

 しかし、「身体的自律性」原則を重視する人たちや、ワクチン接種強制を考えると顔面蒼白になるような人たちで、自分たちの言い分を述べたいと思う人がいたら、それはやめたほうがいい。不自由な縛りの中で議論しなければならないことになるからだ。懸案となっている議論の間口を広げようとすると、周囲からもみくちゃにされる可能性がある。とくに左翼陣営からだ。それは、科学的な議論を装ってはいるが、実際は政治的・倫理的な議論になってしまう。

https://twitter.com/jeremycorbyn/status/1470822969010184192

 
 以下のでっち上げられた共通理解を問題視する人は、一言一句吟味してからワクチンの悪影響をを語らなければならない:

 ①ワクチン未接種者を病気の運び屋として意図的にスケープゴートにする共通理解、②99%の人々の間に出来上がっていた社会的連帯を再びグラつかせた共通理解、③パンデミックから利益を得ているエリートたちを適正に精査することをさせない武器として使われた共通理解

人間は数値ではない

 私は、この肉体面と精神面の2つの自律的原則を大事だと考えている。私は、私やあなた方が何を考え、何を言うことが許されるかを国家が決めることに反対であり、私やあなた方の身体に入るものを国家が同意なしに決めることにも反対だ。(ただし、汚染された空気を吸い、汚染された水を飲み、化学的に変えられた食物を食べるしかないことは分かっている。そしてこれらはすべて、私やあなた方の免疫システムを損傷し、Covidなどのウイルスにかかりやすくしている)

 しかし、同時に、ワクチン接種義務にひた走る、群衆と化した人々とは異なり、私は自分の言葉に責任があること、そしてその言葉には結果があり、潜在的に危険なものであることを決して忘れてはいない。ウイルスにさらされることで深刻な被害を受けないようにするために、ほぼ何の迷いもなく、おそらくは手続きに従って、ワクチンを接種する必要がある人たちが相当数いるのだ。責任ある書き手なら、自分の言葉がもたらす影響をよく考える必要がある。私は、ワクチン接種にはプラス面があると考えて接種している人が、接種をためらうようになる責任は負いたくない。特に、パンデミックの最中に神のふりをすることには慎重でなければならない。 

 しかし、私がワクチンの安全性という専門知識のないテーマで偉そうな話はしたくないからといって、他の人に医療倫理や政治倫理のような、自分でもよくわかっていそうもないテーマの議論を仕切らせるわけにもゆかない。

 実際、一部の人がどんなに口うるさくこのCovidワクチンを打った方が無難だと言われるにしても、リスクがあることは認識されている。たとえ私たちの発言が封じられていてもそうだ。ワクチンの長期的な安全性は不明であり、今後数年間は知ることができない。医薬品規制当局(FDA)が今後何十年もワクチンのデータを公表しようとしていないことを考えると、もっと長いかもしれない。

 ワクチン技術は新規のものであり、人体の複雑な生理機能や、一人ひとり様相を異にする気まぐれな免疫系に及ぼす影響は、今後長い間、完全に明らかになることはないだろう。このような状況下で新しいタイプのワクチンを接種するかどうかは、「身体的自律」の原則に基づいて、自分自身で、慎重に心積りしなければならないことなのだ。

 何の心積もりもないふりをする---(どうせ)全員一緒、ワクチンは全員に対して同じように作用するのだ---ことは、ワクチンは緊急に承認されなければならなかったこと、専門家の間でも、ワクチン接種に有利な計算がすべての人にとって、特に子どもにとって意味を持つかどうか、厳しい意見が交わされてきたことからも誤りであることがわかる。さらに、人口のかなりの部分が、ウイルス全体に対する自然免疫を持っているのに、ワクチンで誘発されるのはスパイクタンパク質による免疫にすぎないという事実が、この計算を一筋縄ではゆかなくしている。

 しかし、すべての人を画一的な解決策に詰め込むことは、まさに官僚的、技術的な国家が行うことだ。それが彼らの最も得意とするところ。国家にとって、あなたも私も、パンデミック集計上の数字に過ぎない。そうでないと考えるのは、子供じみた妄想だ。自分を単なる表計算ソフトの数字と考えることを拒否する人々、つまり身体的・認知的自律性の権利を主張する人々は、そんな振る舞いをするからといって、ナルシストとして、あるいは公衆衛生に対する脅威として扱われるべきではない。特に、ワクチンによってもたらされる免疫が非常に短命で、ワクチン自体が非常に漏出しやすく、自然免疫とワクチン誘発免疫の違い、あるいは潜在的対立について、まだほとんど理解されていない場合はそうであろう。

終わりのない緊急事態

 それにもかかわらず、左翼の一部は、このようなことが何一つ事実でないかのように、あるいは議論の余地があるかのように振る舞っている。それどころか、これ見よがしにつるし上げ集団の一員となり、他人の身体ばかりでなく心も支配しようとする独善的な叫びを先導しているのだ。

 こういった左翼は、公式の「医学的」共有理解に対する脅威として、怒り心頭、あらゆる議論を拒否する。科学はその性質上、論争は当然であり、(論争を通して)絶えず進化するという事実を否定して、意見の一致を主張、それを科学だと言い張る。彼らは、利益を追求するソーシャルメディア企業による検閲を支持する。沈黙させられている人が、たとえきちんとその業績が認められている専門家であってもそうだ。

 口には出してはいないが、彼らが実際言っているのはこうだ:

 「反対意見は社会秩序を脅かすものであり、反対意見を出せばワクチン接種をしない人間をますます増やすことになるだろう。」

 私たち全員に、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の祭壇を崇拝しろ、と言っている。さもないと「反ワクチン派」異端者として非難される危険を冒すことになるだろう、と。この終わりのない緊急事態の時代には、いかなる中間地点も許されないのである。

 これは倫理的に問題があるというだけではない。政治的にも破滅的な結果をもたらす。国家はすでに、個人としての私たちに対して強大な力を持っている。私たちは、互いに連帯する限りにおいてのみ、集団的な力を持つのだ。左翼が国家と共謀して、弱者や、黒人共同体と褐色人共同体(国家機関からは虐待的な対応をされたことが多い人々だ)、(身体的自律原則を大事にする)「嘆かわしい人々」に敵対するならば、私たちはわが身を分断し、社会の最も弱い部分をさらに弱体化させることになるのだ。

 労働党の前指導者ジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)は、英国政府が最近行ったワクチン義務化の動きに公然と抵抗した数少ない左翼の一人であり、このことを理解していた。彼は、正しい道は説得であり、強制ではない、と主張した。これは正しい。

 しかし、このような理性と思いやりの双方を備えた議論は、左翼の一部では風前の灯火だ。彼らは、パンデミックという例外的な時代に生きているという理由で、身体的・認知的自律性が侵害されてもやむを得ないと言う。そのような侵害は一時的なもので、ウイルスが根絶されるまでの間だけだと、自己満足的に主張する。このウイルスは今や風土病として、永久に私たちとともにあるのに。彼らは、ワクチン接種をためらう傾向に対処するための対価として、企業メディアにさらに大きな検閲の権限が与えられることに黙って同意するのである。事態が鎮静化すれば、反対意見を述べる権利はその時取り戻せるという前提が彼らにはある。

 しかし、私たちの権利と自由がすでに前例のない攻撃を受けている状況で、いったん失ったものを回復することは簡単ではないだろう。ソーシャルメディアが、政治的・商業的に不都合な事実を述べたことであなたや私を公共の場から消し去ることができるようになれば、もう後戻りはできないだろう。例えば、ワクチン接種者も感染を広げる可能性があるという意見をtwitter社はすべて削除している。



左翼の政治的本能

 しかし、左翼がワクチン未接種者に、どうしようもなく愚かに敵対し、身体的・認知的自律性の原則を侮蔑的に扱うのは、さらに別の理由がある:

 そうすれば、

 ①黒人や褐色人種のコミュニティや「嘆かわしい人々」に対して、左翼はエリート主義者であり、
 ②連帯の話は中身がなく、
 ③私たちが享受する最も身近な自由(身体と心に対する)を守るために戦おうとするのは左翼ではなく右翼だけだ、
というメッセージを送ることになるからだ。

 左翼は、①Covidワクチンの接種をためらう人々を罵倒するたびに、②主に低賃金労働者に対してワクチン接種義務化を要求する権威主義に共鳴するたびに、③議論の場に身を置かない、あるいは反対意見を述べることすら許さないことがあるたびに、政治的戦場を右翼に明け渡すことになる。

 その行動を通して、声高な左翼は次のような右翼の主張を裏付けることになる:

 ①左翼の政治的本能はスターリン主義

 ②左翼は普通の人々の心配事に対して万能の国家権力で対抗する

 ③左翼は顔を持たない大衆しか目に入らない。大衆は群れとして扱い、官僚主義的に便利な解決策へと誘導する必要がある存在。いろいろなジレンマや信念で格闘している個人として人々は耳を傾けてもらう必要があるのだが、そんなことは眼中にない
 
 事実はこうだ。ワクチンを支持するもよし、自らも接種するもよし、全員定期的にCovidワクチンを接種してほしいと切望するもよし。しかしそれでも、身体的および認知的自律性は極めて重要な原則であり、ワクチンよりもさらに重視されるべき原則だと考えることができる。たとえワクチン接種のチアリーダーであっても、ワクチン接種の義務化に反対するデモに参加してもよいのだ。

  左翼の中には、この2つが全く相容れない立場であるかのように、あるいは偽善や悪意の証明であるかのように振舞う者がいる。しかし、この種の左翼が本当の正体を晒しているのは、政治的に複雑な方法で考えることができない彼ら自身であり、どんなに恐ろしい状況であっても、原則は応急処置よりも重要であり、社会をどう組織するかについての議論は、技術や「医学」よりも本質的に政治的なものであるということがわからなくなっている彼ら自身なのだ。

 右翼は、パンデミックへの対応には、重大な政治的代償を払わない限り捨て去ることができない政治的計算があることを理解している。左翼の一部は、この点をあまりよく理解していない。左翼陣営の検閲志向、傲慢さ、どこか弱者いじめを感じさせる雰囲気(変転する「科学」に従っているという主張によってこれらはすべて見えなくされている)、こういった事柄があるから左翼が代表していると主張する人々は離れつつある。そう予想することは可能だ。

 左翼は、身体的・認知的自律性の重要性を再び主張する必要がある。自らの足を撃つ(墓穴を掘る)のをやめる必要がある。


This essay first appeared on Jonathan Cook’s blog: https://www.jonathan-cook.net/blog/

Jonathan Cook won the Martha Gellhorn Special Prize for Journalism. His books include “Israel and the Clash of Civilisations: Iraq, Iran and the Plan to Remake the Middle East” (Pluto Press) and “Disappearing Palestine: Israel’s Experiments in Human Despair” (Zed Books). His website is www.jonathan-cook.net.

He is a frequent contributor to Global Research

The original source of this article is Global Research

Copyright © Jonathan Cook, Global Research, 2021

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アサンジが、米国ではなく中国の犯罪を暴いていたらどうだったか?

アサンジが、米国ではなく中国の犯罪を暴いていたらどうだったか?
<記事原文 寺島先生推薦>
Imagine if Assange had exposed Chinese crimes, not US ones

2021年12月10日
ジョージ・ギャロウエイ(George Galloway)

George Galloway
was a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator. Follow him on Twitter @georgegalloway

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月28日



 もしジュリアン・アサンジが中国のジャーナリストや出版人だったら、ノーベル賞を受賞し、人権デーの目玉となり、今週はジョー・バイデン大統領の民主化サミットの頂点を飾るものとして彼の肖像画が置かれただろう。

 アサンジの名前は、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が発表した、脅威に晒されているジャーナリスト350人のリストの筆頭に挙げられていただろう。このリストは、皮肉でもなんでもない 、彼の管轄部署がアサンジをスーパーマックス刑務所に175年間収監するために引き渡そうとした日に発表されることになっただろう。

 もし、アメリカの犯罪ではなく、中国の犯罪がアサンジによって明らかにされていたら、彼は今頃、冬季オリンピックのボイコットキャンペーンの広告塔になっていただろう。

 今日のニュース速報のリードはすべて彼の運命で埋まり、まだ稼働中のすべてのマスコミは、この「車輪の上の蝶」(訳注:処刑具に繋がれた受刑者を表す慣用句)を押しつぶすことへの怒りを大々的に公表することになるだろう。

 かわいそうなジュリアン、中国人に生まれていればよかったのに。

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Julian Assange’s extradition battle: What you need to know

 しかし、彼の「罪」は、特に挙げれば以下の5点である:
 ①暗殺や報告されていない1万5000人以上の民間人の死を含むイラクでのアメリカの戦争犯罪を暴露したこと、
 ②グアンタナモでの14歳から89歳までの男性や少年の拷問を暴露したこと、
 ③アメリカが国連事務総長や他の外交官を違法にスパイしていることを暴露したこと、
 ④2009年のホンジュラスのCIAが扇動した軍事クーデターを暴露したこと、
 ⑤何千人もの犠牲者が出たイエメンでのアメリカの秘密戦争を暴露したこと。

 ロンドンの高等法院は、かつらと絢爛たる法衣を身に着け、今やボロボロの断片と化した英国司法ばかりか、ジャーナリズムそのものに致命的な打撃を与えた。そして、理論上、第四の機関(=ジャーナリズム)が民主主義そのものの見張り番であることを考えると、英国がいやしくも民主主義国家であるという建前を打ち消したことになる。この一週間ですべてを台無しにした。自分たちが選び取った「民主主義的な制度」は他の国よりはましだ、という自慰的な自己満足にふけっていたのだ。

 アサンジの事例は最初のハードルを越えられるはずもなかった。その後いくつもハードルはあったが、どうでもいいものだ。英米間の犯罪人引き渡し条約は、政治的訴追を受けることになる人間を相手国に引き渡すことを明確に除外することを明記している。

 皮肉なことに、これは米国にいるアイルランド共和国の逃亡者が、英国で政治的な訴追を受けるため英国に引き渡される可能性を、米国が遮断するためであった。アメリカの大統領はすべて、(オバマすらそうだが)、その系統がきちんと辿れないにしても、祖先はアイルランド人だ。3000万票のアイルランド系アメリカ人の票がかかっている以上、政治的な動機で犯罪者とされる人物については万全の態勢をとることになる。

 この条約を密かに締結した当時の内務大臣デービッド・ブランケット(David Blunkett)に、ネルソン・マンデラのような人物が政治犯として送り込まれる可能性について私は直接質問した。それに対して「そんなことは絶対にありえない」と保証してくれたのだった。

 そんな保証も、中世貴族院のタペストリーのように、今や糸のほつれたぼろきれ。

 適正な法手続きについて数え切れないほどひどい違反があった。そのことを取り上げても、限りなくゼロに近いアサンジの身柄引き渡しの可能性は消滅しただろう。3つだけ挙げてみよう。


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Assange verdict branded as ‘travesty of justice’

 ①米国政府が、ジュリアン・アサンジと彼の有能で高名な弁護士との数年にわたる法的会合をすべてビデオで密かに記録していたことが明らかになった時点で、どの民主主義国家でも、自尊心のある裁判官ならこの訴訟を破棄するはずだった。

 ②アサンジに対する重要な証人が、アイスランド人の泥棒、詐欺師、幼児性愛で有罪判決を受けた嘘つきであり、しかも告発の根拠となった彼の証言が嘘の塊であることを今は自分から認めていることが明らかになった時点で、ほんとうの裁判官ならアメリカ政府に不利な判決を下しただろう。

 そして、③米政府がロンドンでアサンジを誘拐し、必要ならハロッズ百貨店の外、エクアドル大使館周辺の路上で殺害するという周到な計画を立てていたことが明らかになった時点で、アサンジに身辺について米国が約束する「保証」の価値はどん底に落ちた。それは当てにならない。まして、米国へ引き渡すことなど、到底認められないだろう。

 しかし、メディアの輪転機はアサンジのために稼働していない。彼はベルマーシュ刑務所でひっそりと死につつある。

 プロンプターを読む技術で高額な報酬を得ている航空機添乗員風の欧米の「ジャーナリスト」たちは、アサンジの運命と自分たちの「職業」の運命について何も語らない。彼らは、もしこれがアサンジに起こっているのなら、自分たちにも起こりうることだと知っている。しかし、「夜に飛ぶ矢」(訳注:新共同訳「旧約聖書 詩篇」:91-5では「昼飛んで来る矢」。すなわち目に見える恐怖のこと)のように、彼らはそうなる可能性を、とうの昔に自ら断ち切ってしまっている。彼らにとって、喜ばしい確信に満ちた朝が巡ってくることは絶対ないだろう。隷属とその報酬としての銀貨だけが手元に残る。

 そして、アメリカの圧倒的破壊力を持つマスメディアは、再び、事実上何も語らず正義を打ち砕く。それは、車輪の上で蝶を壊すということだ。誰もその悲鳴を聞くことはできない。
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<記事原文 寺島先生推薦>

A Myth is Born: How CDC, FDA, and Media Wove a Web of Ivermectin Lies That Outlives The Truth

Global Research 2022年1月3日

メアリー・ベス・ファイファー(Mary Beth Pfeiffer)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月26日



 ニューメキシコ州の医療当局は、間違いを認めた。亡くなった2二人の死因はCOVIDであって、イベルメクチンではなかった。それでもCDCは国家最大級の警戒態勢を取り、間違った事例に対して無数の嘘の情報を流していた。

<編集部からのコメント>

 当サイト、グローバル・リサーチは、読者の皆さんに注目すべき、また慎重に取材された、リンダ・ボンビー(Linda Bonvie)記者と、メアリー・ベス・ファイファー(Mary Beth Pfeiffer)記者によるこの記事をお届けします。この記事は、ニュースサイトの「レスキュー」と「トライアル・サイト・ニュース」が共同で出している記事の一つです。

<編集部からのコメントはここまで>

 テキサスの79歳の酪農家が、ニューメキシコ州で昨年9月に亡くなったとき、遺族はこのニュースがその後世界中で報じられることになるとは思ってもいなかった。ごたいそうな記者会見において、ニューメキシコ州の医療当局のトップであるデビッド・スクレース(David Scrase)ニューメキシコ州保健省長官は、「これは同州でイベルメクチンの“過剰投与”による初めての死亡事例です」と発表し、さらに「イベルメクチンの毒性」が死因とされた二人目の死者が出たことも明らかにした。

 現在スクレース長官は、自身が何度も繰り返した「ぶしつけな」決めつけに何の根拠もなかったことに気づいていることだろう。二人の死者の死因はイベルメクチンのせいではなかった。イベルメクチンは、長年使われているジェネリック薬でCOVID治療薬の一つとして取り上げられてきた薬だ。同長官が伝えたのは、この2名が亡くなったのは、「両者のCOVID治療を始めるのが遅かったため」という事実だった。

 この違いは大きい。

 スクレース長官が行った12月1日のこの訂正についての記者会見については、オンラインニュースに大まかな記事が少し載った程度だった。それも私たちが代理人に圧力をかけ、「イベルメクチンが理由で亡くなった死である」という証拠を提出するよう求めた後、やっと訂正したのだ。当局が何度も繰り返し伝えていたのは、この酪農家の死が毒物によるものだと証明されるのを待っているという。しかし、そのような報告を行うよう命じられることも、そのような報告がなされることさえなかったということである。さらに、この人が亡くなった原因は「自然死である」という州の検死官の判断も出ていたのだ。

 しかしスクレース長官のこの告白を報じたメディアはひとつもなかった。ヒル誌やニューヨーク・タイムズ紙などの何十ものメディアが、最初の同長官の決めつけを熱心に報じたのとはえらいちがいだ。同長官は2015年にノーベル医学賞を獲得した、抗寄生虫薬のイベルメクチンに濡れ衣を着せていたのだ。「もうこれ以上人が亡くなるのを見たくありません」というスクレース長官のことばを早すぎる見出しにした記事もあった。「本当に危険な状況を引き起こす間違った薬です」とスクレース長官はタイム誌の記事で語っていた。

 世界中の医師も、科学者も、毒物学者も、長官のこの決めつけに困惑していた。というのもイベルメクチンは極めて安全な、FDA承認済みの薬だからだ。WHOが掲げている、すべての医療体制が所持することが推奨される必要不可欠な100の薬品のひとつであり、ここ40年間で40億錠近くが処方された薬だ。

 ニューメキシコ州は、昨年夏に展開された政府による欺瞞を行う重要な地区となった。その目論見は、イベルメクチンを危険な薬であると人々に思わせることだ。その背景には以下の3点があった。①多くの科学者たちが、イベルメクチンがCOVID治療薬として効果があることを強く支持していた。②処方箋を求める要求が急増していた③公的医療当局はただただ治療法はワクチンしかないと思いこんでいた。

 以前私たちが報じたように、米国のFDAが昨年の8月、イベルメクチンを使用することに対する警告のツイートを発していた。理由は、イベルメクチンは家畜用の薬だから、ということだった。その情報を流すために、ミシシッピ州の不正確で、よく確かめられていない事象を持ち出していた。FDAが出したツイートの内容は、ミシシッピ州の毒物管理センターが家畜用のイベルメクチンを求める人々でてんやわんやになったということだった。しかし私たちがつかんだ真実では、そのような届けが毒物管理センターに出されたのはたったの4件だった。

 それなのに、こんなちょっとした証拠を燃料にして、反イベルメクチンの貨車は勢いを増していったのだ。今になって分かったことは、人間や動物の抗寄生虫薬として長年使われてきたイベルメクチンは「驚くべき安全な薬」であるという評判に蓋をしようと躍起になっていたのは、FDAだけではなかったという事実だ。

 私たちが米国CDCから入手したメールによると、8月26日に出された米国の医療に関する影響力の強い警告に、拍車がかけられていったことがわかる。上記のFDAのツイート同様、鬼の首でもとったかのようにイベルメクチンの副反応とされた事例に飛びついたのだ。たった3例しかなかったのにである。そのうち2例は動物用のイベルメクチンを服用していた。また、その3例とも死者は一人も出なかった。一人は入院したようで、もう一人は病院での治療には応じなかった。

 それなのにこれらの3件の報告が、ジョージア州の毒物管理センターからアトランタに拠点をおくCDCに届いた際、CDCはこの件に対して国家最大級の警告を発することを決めたと、私たちが入手したメールには記載されていた。


 3例が分かった直後に、CDCのマイケル・イエー(Michael Yeh)はこう記していた。「私たちは重大な毒性がある証拠を発見しました。」

 医療に関する警告を発する準備について、「私たちの共通理解では、イベルメクチンによる悪い副反応が出ない限りはそのままにしておく、ということでした」と、CDCの医療毒物担当官のマイケル・イエー氏は8月17日のメールで記載していた。「しかし、イベルメクチンには重大な毒性があるという証拠を手にしたようです。」

 このメールが書かれたのは、先述の3件の副作用のそれぞれの報告が届いた72分後だった。

 CDCの意向は人々を保護することにあると思うが、この警告は国家機関であるCDCがどういう機関に成り下がってしまったかを示す象徴のような事象だった。この警告は、(動物用としての薬品としても、人間用の薬品としても)COVIDの初期治療として有効な薬品を、「毒物の可能性があるもの」として描くことになったのだ。

 CDCはさらに歩を進めた。

 同日の後に届いたメールで、イエー氏は或る証拠を示していた。それは、もっとも重篤な副反応が起こった77歳の男性についての件で、その男性は「およそ1800ポンドある牛用の」イベルメクチンを服用したとのことだった。さらにその男性は、「幻覚症状や、体の震えがあり、その後悪化し、最後にはCOVID-19に罹患していると診断され」、酸素補給を行うしかなくなった、とイエー氏は記載していた。

 他の2件においては、人間用のイベルメクチンを服用した女性が、ある種の「精神錯乱」状態に陥った、とのことだった。もう一人の女性は「羊用」のイベルメクチン服用後、「自覚症状のある視覚障害」になったが、病院での治療は望まなかった、ということだった。これらの副反応は、米国保健省が、「抗寄生虫薬の副反応でよくある軽い副反応」だとしているものと一致する。そこに記載されているのは、「めまい、かゆみ、吐き気、下痢」などだ。

 フランスの研究者が昨年3月に出した、医療文献にある350件のイベルメクチンに関する研究を考察した研究によると、イベルメクチンによる副反応は、「頻繁に発生することはなく、たいてい軽症あるいは中程度の症状である」とのことだった。フランスの製薬会社メディンセル(MedinCell)社の研究によると、イベルメクチンを誤って過剰服用したり、自殺を図って使用した後でも、死亡した報告はない、とのことだった。

 これまで長年にわたり積み上げてきたイベルメクチンの安全性から鑑みて、私たちは情報公開法に基づき、CDCに文書の開示を請求したのだが、その目的は、CDCが発したイベルメクチンに関する医療上の警告に合理性があるかを確かめるためであり、特に求めたのはCDCが米国中毒情報センター協会(AAPCC)から得たデータの開示だった。この協会には、各州から毒物に関する情報が送られてくる。(AAPCCは私たちにそのデータを開示することを拒んでいた)。

 情報公開法に基づく開示請求に対して、CDCはこう主張していた。これは非常に注意すべき主張である。「そのデータについては、当方は所持していませんし、データを入手するすべもありません」とのことであり、その理由は、CDCはAAPCCとの間に「許諾契約」を結んでいたからだということだった。CDCがこれらのデータを特定することはできただろう。例えば、人間用や、動物用のイベルメクチンに関してそれぞれ何本の電話がAAPCCに寄せられたかなどは、簡単に特定できただろう。それなのにCDCが出した警告は、すべての報告を十把一絡げにしてしまったので、家畜用のイベルメクチンがどれほど使用されたかについて調べることが困難になってしまった。

 CDCが或る文章で主張した内容によると、医療警告が全国に向けて発せられた原因となった数値については所持していないということだった。

 2021年に毒物管理センターに寄せられたイベルメクチンに関する問い合わせが急増したことは疑いのないことだ。というのも医師達がイベルメクチンを使用すれば、死者数が減り、入院期間も短縮でき、担任患者を増やすという研究を知ったからだ。通常、毒物管理センターへの電話の問い合わせが増えるのは、新薬が使用し始められて、その新薬に関する多くの問い合わせが寄せられるときだ。毒物管理センターに、昔からある、長年使用されてきた医薬品についての問い合わせが寄せられることもある。2019年には、鎮痛剤のアセトアミノフェンの副反応だけで47000件の報告があり、164件の副反応による死亡が報告されたとAAPCCは伝えている。

 もちろん、このアセトアミノフェンの件に関して、CDCから警告は発せられなかった。それなのにCDCの警告では、毒物管理センターへの動物用や、人間用のイベルメクチンに関する問い合わせは5~8倍増えており、「パンデミックの前期段階にあたる」という不気味な報告を行っていた。同時に、この警告はイベルメクチンの処方箋の数が24倍増えていることも伝えていた。これは医師たちが選んだ完全に合法的な潮流であったのに、CDCにとっては受け入れがたく、警戒すべき現象だったのだ。

 警告では、動物用と人間用で明確な区別が全くなされていなかった。その警告で散見されたのは、「イベルメクチンの誤使用と過剰使用」、「発作」「昏睡状態」「死」「羊用溶液」「深刻な症状」「急速な増加」といった言葉だった。つまりCDCが伝えたいメッセージは「動物用でも人間用でもイベルメクチンを使ってはいけません」ということだったのだ。5万180人の患者を対象にした71件の研究において、イベルメクチンを抗COVID薬として服用すれば、64%効果があったことが分かっているのに。

 CDCによる警告や、ニューメキシコ州からの不確かな事例報告があったにも関わらず、イベルメクチンが持つ毒性のために亡くなった人は誰もいない。これは2021年1月1日から12月14日までの間に、AAPCCに寄せられた2,112件の報告からわかったことだ。これらの報告のうち2%にあたる約42件において、「重大な副反応があった」と、AAPCCは広報に記載していた。そして寄せられた報告のうち7割は、「毒性は見いだせなかった」などという、何の悪影響もなかったという報告だった。

 これらの報告の一部分は、「反イベルメクチン・ヒステリー」による報告であると分類すべきだったかもしれない。例えばニューメキシコ州が市民に報告するよう迫っていたのは、「イベルメクチンを使用したのならどんなことでも毒物取扱センターに報告してください」ということだった。たとえ使用者が、「知り合いの人であっても」ということだった。

 私たちは、ポール・マリク博士に問い合わせた。同博士は「新型コロナ治療最前線救命医療医師の会(Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)」の創設者である。博士は、イベルメクチンが危険な薬だと刷り込まされていることについて、こう語った。

 「イベルメクチンは、地球上で最も安全な医薬品の一つです。アスピリンや、アセトアミノフェンよりもずっと安全です。イベルメクチンは、おとぎ話のような薬なのです。ディズニー映画でさえ、こんな素敵なおとぎ話は作れないでしょう。」

 しかし先述の酪農家の遺族にとっては、その人が病気になったときは、おとぎ話などではなかった。政治色を帯びた医療体制のせいで、遺族は痛々しい経験をすることになってしまったのだ。

非常に困惑させられた一本の電話


 ニューメキシコ州でCOVIDが死因でなくなった酪農家が、動物用のイベルメクチンを服用していたことは秘密でも何でもない。この薬はこの酪農家がテキサス州の自分の家畜たちに定期的に与えていて、よく知っている薬だった。

 この人の家族もイボメックを愛用していた。イボメックとはイベルメクチンを液状にした家畜用のものだ。それはイベルメクチンが、抗COVID効果があるというニュースが広まっていたからだった。「ほとんど皆がイベルメクチンを服用していましたよ。」という話を、私たちはテキサス州に住む友人家族や、仕事仲間から聞かされていた。(その家族の希望により、名前は伏せる)。

 イベルメクチンは、FDAが安全性を承認しているたった167品の医薬品のうちのひとつだ。さらに人間用としても、動物用としても承認されている。それなのに抗COVID薬として、人間用や動物用いずれかのイベルメクチンを服用した人々は「反科学主義者」や「偽情報に踊らされている」などと決めつけられている。

 この酪農家が、ニューメキシコ州当局が何度も繰り返し伝えた「イベルメクチンの毒性のために」亡くなった二人のうちの一人だ。この二人の素性は医療当局からは明らかにされていないが、この症例とおぼしき事例が、調査の結果明らかになった。

 この酪農家の死について知っている人々についての記事や、インタビューからわかることは、実際の話はニューメキシコ州当局が伝えていた内容とは違った話だった、ということだ。

 この酪農家が9月2日の夜に、妻に付き添われ緊急治療室に搬送された直後の診断は、急性脱水症であり、COVID陽性ということだった。この人の娘が病院に到着したのは、数時間後だった。

 その娘の話によると、その1週間前に、父親の80歳の誕生日のサプライズパーティがあったそうで、11人の家族のうち8人がCOVIDに罹患したとのことだったが、皆軽症だったそうだ。

 ニューメキシコ州在住の父親の体調が優れないので、娘は治療を受けるよう父親に勧めたそうだ。「父は自分で水分補給をするのが得意ではありませんでした」と娘は語り、父は全く水分をとっていなかった、とも話した。

 この人が病院に着いた時には、脱水症状がひどく、じん臓が損傷していたと、医師は家族に説明したそうだ。リンカーン・カントリー医療センター(Lincoln County Medical Center)には、適切な水分補給器具が不足していたため、家族が病院から告げられたのは、別の病院に父を搬送しようとしているという説明だった。残念ながら、父はニューメキシコ州ルイドソ市から出ることはできず、9月3日に亡くなった。

 この人の妻と娘が集中治療室の外で心配そうに待っていたときに、或るとんでもないことが起こっていた。それは病院から父がまもなく亡くなってしまうということを告げられた直後だった。そんなときにその奇異な出来事が発生したのだ。

 それは一件の電話だった。娘は母が受けたその電話を「とても困惑させられる」電話だったと振り返っている。全く空気をよまない電話で、「母親から電話をとりあげたくなったくらいです」とのことだった。

 見知らぬ男からの電話で、その内容は、父がイベルメクチンを服用したかどうかを聞くものだった。娘がその薬の名前を耳にしたのは病院に来て初めてのことだったそうだ。「私は母親に強引に認めさせようとしているように思いました。本当にいらいらしました。お医者さんでも、看護師さんでもありませんでした。でも母はそれが誰で、いったい何の目的なのか覚えていないといっています」と娘は語っている。

 娘の話によると、電話をかけてきた人たちが一番関心をもっていたのは、父がイボメックを服用していた言質を母親からとることだったという。

 まさにその直後の記者会見において、スクレース長官が発表したのは、「信頼できる情報源からの情報」として、その州でイベルメクチンを服用したことが原因となる「初めての死者」が出た、ということだった。死因が、イベルメクチンであるか、それともCOVID治療が遅れたためであるかの二つの可能性を残しながら、同長官が繰り返し伝えたのは、その男性の死も、もう一人の死もイベルメクチンが引き起こしたものだという決めつけだった。

 しかし9月下旬に提出されたこの酪農家の死亡証明書によると、真実は違っていた。その死亡証明書によると、死因は「自然死」によるものであるとのことだった。「再調査」が必要な死ではない、とされたのだ。さらに検死官の報告が明らかにしたところによると、解剖や毒物検査が行われた報告はなかったという。

 しかしスクレース長官の当初の話はメディアでもてはやされたのだ。USA Today紙に至っては、シリーズものとして数回連載さえしていた。「イベルメクチンの毒性により2名が死亡」という見出しの記事が、死亡証明書が提出された同日に発表された。その5日後、ヒル誌は以下のような見出しを躍らせた。「ニューメキシコ州でイベルメクチンによる2名の死者が発生

 ニューメキシコ州の保健省は或る質問に対する解答をまだ出していない。それは「イベルメクチンが死因であると間違って判断された死に対する訂正を、なぜマスコミにすぐに伝えなかったのか?」という質問だ。さらにまだ明らかになっていないことは、なぜ保健省がマスコミに対して行っている最近の報告会においても、この間違いを正そうとしていないかだ。すでにこの件については真実ではなかったことを当局は認めているのに、その記録を直そうともしていない。さらに、もうひとつのイベルメクチンが死因とされた死についても、なぜ何の証拠も出さずに、そのまま放置しているのだろうか?

 イベルメクチンが死因とされた2件目の死亡については、ナバホ族の血を引くキューバ出身のニューメキシコ州在住の38歳の女性の死亡だった。検死が行われたが、その結果はまだ公表されていない。

 スクレース長官はこの2名の死因が、イベルメクチンではなく、COVIDであることを知った上で、それでも12月1日の記者会見で、「三人目の」イベルメクチンによる死者が出たと発表した。

 スクレース長官によると、この新しい死亡事案は、「馬用のイベルメクチンを服用した60歳の男性です。この方は150ミリグラムのイベルメクチンを服用し、肝不全や腎不全に苦しみ、COVIDに罹患していなかったのに、イベルメクチンが死因でなくなったのです」という。

 最初の2例と同様、死因についてはまだ明らかになっていない。

 マリク博士によると、イベルメクチンを150 ミリグラム服用しても危険な状況にはならないだろう、とのことだ。「イベルメクチンが原因で肝不全や肝臓の器官に障害がでた話は聞いたことがありません」と、マリク博士はメールで回答している。

 CDCもニューメキシコ州保健省も、この記事に対する質問の回答を拒否している。


 ニューメキシコ州保健省が、イベルメクチンを使用した事象について報告するよう人々に要請しているが、12月1日の記者会見で示された上記のグラフを見ればわかるように、ニューメキシコ州の毒物管理センターに寄せられた報告は、たった29件しかなかった。さらに上のグラフから分かることは、イベルメクチンが同州で3名の死者を出したとされているが、そのことが伝えられたまさにその記者会見において、最初の2名の死因はCOVIDであって、イベルメクチンではなかったという事実が報告されたのだ。(しかも3件目の死亡事例については何の証拠も示されていなかった)。

 CDCのメールが示唆しているのは、CDCが全国に向けてイベルメクチンの危険性について警告を発する理由となるものはほとんどないという事実だ。これら3件の死亡事例についての詳細ははっきりしないことが、メールを読めば分かる。

 イベルメクチンの投与量についての情報も書かれていないし、或る事例においては、「濃度は不明」だったと書かれていた。「一人の女性」が病院に搬送されたが、その女性の精神状態についてははっきりと書かれていなかった。別の女性は、病院での治療を断った後、事後観察が行われることになっている、とのことだったが、実際にその事後観察が行われたどうかの記述はない。

 これら裏付けに乏しい情報は、「イベルメクチンには毒性がある」という神話のような言説が縫い込まれた衣装を縫い合わせる糸のようなものだ。こんな神話を目にしようと思えば、ネット上のサイトから簡単に見つかる。

 例えば:

 1) 8月19日のミシシッピ州の保健省が出した警告によると、毒物管理センターに寄せられる電話の7割が家畜用のイベルメクチンを服用したことについてのものだ、という記事が出た。実際はたったの2%だったのに、訂正記事が出されるまで56日もかかった。

 2) FDAの去年3月の主張によれば、家畜用のイベルメクチンを服用して障害が出たり、入院に至ったりした「複数の事例の報告」を受けたという。しかし実際のところは、FDAがその根拠にしていたのはたった4件の報告だったことを報道官がメールで明らかにしている。CDC当局はFDAのこの主張が、「イベルメクチンを服用することへの警告」であるとし、CDCも「イベルメクチンは有害だ」という神話を広めることに貢献した。

 3) ミシシッピ州の間違った数値が訂正されたことはほとんど記事にならなかった。(それは私たちが要請してやっと記事にされたのだ)。ニューヨーク・タイムズ紙で2度ワシントンポスト紙で1度記事になっただけだった。それよりもずっと大きく取り上げられたのは、「恐怖拡大の嵐」だ。それに拍車をかけたのが、ニューメキシコ州であり、ミシシッピ州であり、FDAであり、CDCだった。さらにメディアもけしかけたのだ。そうやってイベルメクチンの本当の姿を見えなくしてしまったのだ。

 では、ワクチン接種計画が失敗に終わり、症例数が増加しつつある今、私たちはどうすればいいのだろうか?

 10月28日に、サイトWisPolitics.comが報じた記事によると、或る家族が、FDA承認薬であるイベルメクチンを、瀕死の状態にあった愛する家族に処方できることを認めてもらう裁判を起こしたが、敗訴したという。

 「国中で複数の報告が出されている」と同サイトは報じている。「人々がCOVID-19対策用に、動物用に処方されたイベルメクチンを服用し、病気になってしまった」という報告である。

 イベルメクチンに対する間違ったイメージのせいで、医師たちは「処方量を間違えばいのちを奪うことになる薬かもしれない」と思わされている。そんな間違ったイメージは、医療文献では支持されていない。

 イベルメクチンに対して作り上げられた恐怖が、国中のメディアで刷り込まれ、米国民の意識が変えられている。

 これが、いま起こっていることだ。

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米国医師メリル・ナスの訴え。「私の言い分。合衆国憲法により守られていたと思っていた権利が、“偽情報による魔女狩り”によって剥奪されてしまった」

<記事原文 寺島先生推薦>
Dr. Meryl Nass: My Side of the Story, and the Constitutional protections that I believe are being abridged by the Misinformation Witch Hunt
筆者:メリル・ナス(Meryl Nass)医師
出典:Global Research  2022年1月18日
<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ>  2022年1月25日




<訳注>
 以下は、イベルメクチンの使用を理由に、米国メイン州の医療委員会によって医師免許を30日間も停止され、なおかつ精神鑑定まで要求された医師メリ・ナスが、自分のブログで、その不当性を訴えたものです。彼女のブログは以下を参照ください。

https://anthraxvaccine.blogspot.com/2022/01/my-side-of-story-and-constitutional_13.html



 このブログの最後に、私は米国憲法修正条項をいくつか抜粋しています。この条項は我が国の最高法規です。

 州政府も、州機関もこれらの条項が保障している権利を軽視することは許されていません。これらの権利はすべての米国市民に保障されているからです。

 しかし、私の州の医療当局はこれらの権利を剥奪しようと躍起になっているのです。州の医療当局は、私を説得させる証拠を何一つ持っていないことを認識しているようです。だからこそ医療当局は私を法的尋問にかけようとし、私がここ6ヶ月に診察したすべての患者のリストの提出や、それ以上のことを求めています。

 私の話がこんなにもメディアを賑わせたのは、州医療当局が私に精神鑑定を受けるよう命じたからです。そのことが、国が所持する医師記録に強制的に記載されてしまい、その結果、私のことがメディアに知られることになりました。

 メイン州の医療当局が私を公的立場から「排除」しようとしているのですから、私は自分の言い分を公的に明らかにすることに何のためらいも感じていませんし、私は自分の気持ちを公表することをやめません。

 「火のないところに煙はたたない」というから、私が本当に患者にとって危険な医師かもしれないと考えている人に、私のこれまでの経歴や、私が患者をどう診察してきたかにを知っていただきたい。私はおそらくメイン州で最も安全で、最も患者を大切にする医師の一人でした。(その理由を今から述べます)。

1.   この件に関して患者から州の医療当局に苦情の報告は一つもありません。何ひとつ。

2. 私は今まで誤診を行ったことで責められたり起訴されたりしたことはありません。41年間の医師生活で一度もありません。

3. 私が州の医療当局から注意を受けたのは一度きりです。それは15年ほど前のことでした。しかし告発した人は私に謝罪しました。詳しい調査を行ったところ、その告発者は私の治療法が素晴らしいことが分かったからでした。そのときは、州の医療当局は私を支持しました。

4. 私は、慢性的な病気や、病名がはっきりしない症状の病気など、難病の治療に取り組んで成功してきた医師としてよく知られています。

5. 私は有名な人名録「Who’s who in America」「Who’s Who in the World」に載せられたことがあります。それは私の業績が認められたからです。具体的には、伝染病が生物兵器によって引き起こされたことを示す最初の科学的分析を行ったことです。

6. 私は医師としての経歴のほとんどの時間を、これまでの治療法では「見捨てられてきた」患者たちの治療にあてるよう努力してきました。

 そのような患者の中には、危険な炭疽菌ワクチンを打つよう強制された兵士たち、そのワクチンにより障害を受けた兵士たち、湾岸戦争後のストレスに苦しんでいた退役軍人たち、慢性疲労症候群の患者たち、ライム病患者たち、さらには他の医師たちが診断や治療できない奇病に罹った患者たちがいました。

 私はこれまでの実践をCOVID患者の最善の治療法に活かすことに力を入れていました。それは他の医師たちが治療法を見いだせず、患者の多くを院外に出してしまうことしか出来ていなかったからです。 

7. 私はCOVID治療の治療費は1回60ドルを請求していました。この治療費には他の不必要な費用は含まれていません。私がびっくり仰天したのは、州の医療当局が、私が患者に送った手紙や、メールや、かけた電話の多くを、「遠隔治療だ」と批判していたことです。まるでそのメールや電話がすべて治療関係のものだったかのように。他の医師達は、診察室から外に出た患者とは、その後、少しもやりとりをしないのでしょうか?

 私は夜や週末でも患者たちと会話してきました。そして多くの患者たちとのやり取りの内容を記録していました。他の医師たちも同じことをやっていると思います。

 しかし州の医療当局は、そのような患者たちに対する褒められるべき行為と、私がたった一度電話をかけ損ねたことを(その電話に対しては、私は掛け直したのですが、その時相手の医師が病院を出たあとでした)、過失の罪に変えようとしました。挙句の果ては、認知力の低下、精神的疾患の罪に。

 ファイザー社やビオンテック社のCEOでさえ効果がないと考えているワクチン接種を支持せず、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンのような安定した効果が期待でき法的に認可された医薬品を使って患者の治療にあたろうとすると、そのような医師を、彼らはどんなことがあっても阻止せねばならないようです。

 COVIDの治療法として、従来の治療法以外の治療法を望んでいる患者たちはどうなるのでしょうか?従来の治療法とは、アンソニー・ファウチや、フランシス・コリンズや、ローレンス・タバクなどが中心となっている米国保健省が決めている治療法です。

 そしてこれら3名は結託して、COVIDが研究室で人工的につくられた可能性を隠そうとしていますし、「グレート・バーリントン宣言」(*)を執筆した名誉ある医師たちを「引きずり降ろ」そうとしています。

[* 米国の3名の医学博士が出した、COVIDを難病扱いしないことを求める提言]

 言い換えれば、政府公認のCOVID治療には、まだ告訴されていない犯罪者が関わっているのです。 

 いったい州医療当局は、このような新しい治療を求める患者たちにどう対処するつもりなのでしょうか?

 州医療当局は、これらの患者が安価で安全かつ効果的なCOVID医薬品を入手することを断ち切り、いかなる選択肢も否定しようとしています。 さらには、そのような治療情報へのアクセスさえも断ち切ろうとしているのです。

 州の医療当局が合衆国憲法修正第一条の条項を反故にし、政府が決めた治療法を患者たちに押し付け、患者たちと医師たちの間の侵すべからざる絆(きずな)を破壊しつづけているかぎり、黙っているつもりはありません。

メリル・ナス



参考資料

* トニー・ファウチは米国アレルギー・感染症研究所所長です。
 フランシス・コリンズは、米国保健省長官を最近退官したばかりです。
 ローレンス・タバックは、米国保健省の所長代理をつとめています。

 この3名は、多くのメールが明らかにしているのですが、武漢の研究所に米国保健省が或る機関を通じて資金を投じていたことを隠そうとしてきました。

 さらに嘘の科学論文を書き上げ、COVIDが研究室でつくられた可能性をかき消そうとしてきました(しかも自分たちの関わりが分からないようにこっそりと、です)。

 また、グレート・バーリントン宣言や、その執筆者の3名を破壊するための論文を発表することもおこなっています。さらにファウチは、連邦議会で複数回、嘘の証言をしています。

合衆国憲法の修正条項

修正第1条[信教・言論・出版・集会の自由、請願権][1791 年成立]

 連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、 ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、これを制定してはならない。

修正第4条[不合理な捜索・押収・抑留の禁止] [1791 年成立]

 国民が、不合理な捜索および押収または抑留から身体、家屋、書類および所持品の安全を保障される権利は、これを侵してはならない。いかなる令状も、宣誓または宣誓に代る確約にもとづいて、相当な理由が示され、かつ、捜索する場所および抑留する人または押収する物品が個別に明示されていない限り、これを発給してはならない。

修正第14 条[市民権、法の適正な過程、平等権] [1868 年成立]

 第1項 合衆国内で生まれ、または合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権または免除を制約する法律を制定し、または実施してはならない。いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生命、自由または財産を奪ってはならない。いかなる州も、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否定してはならない。

注。1866年6月13日に議会を通過。1868年に7月9日成立。憲法第一条第2項は第14条第2項に移動された。

訳注:上記「憲法修正条項」の和訳はアメリカ大使館HPに載せられているものを転載した。

 https://americancenterjapan.com/aboutusa/laws/2569/
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COVID患者をイベルメクチンとヒドロキシクロロキンで治療した医師が、医師免許を保留され、精神鑑定を受けるよう命じられた。その理由は、「偽情報を拡散したから」。

COVID患者をイベルメクチンとヒドロキシクロロキンで治療した医師が、医師免許を保留され、精神鑑定を受けるよう命じられた。その理由は、「偽情報を拡散したから」。

<記事原文 寺島先生推薦>

Medical Doctor Who Treated COVID Patients with Ivermectin and Hydroxychloroquine: License Suspended, Ordered to Undergo Psychiatric Evaluation ‘for Spreading Misinformation’

Global Research
2022年1月18日

スネジャナ・ファーベロフ(Snejana Farberov)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月25日

 メリル・ナス医師は、立派な医師だ。

 ナス医師は当サイトのグローバルリサーチに定期的に記事を発表されている。ナス医師による記事はこちらをクリック。

 以下の記事は、ロンドンのデイリー・メール紙の記事だが、中立な立場から書かれた記事ではない。
(証拠の欠片も示さずに)メリル・ナス医師が、COVID-19に関して、間違った治療法や、間違った情報に取り憑かれていたことを示唆するような内容だった。

 しかし本当のナス医師とは、巨大製薬産業や、ワクチン強制接種に果敢に立ち向かってきた医師だ。

州医療当局に対するナス医師からの反論はこちら

以下の3段落は、デイリー・メイル紙の記事から抜粋したものだ。

***
 メイン州の医療当局は、MIT卒の医師の医師免許を保留し、精神鑑定を受けるよう命じた。それはその医師が患者たちにイベルメクチンや、ヒドロキシクロロキンを使った治療をしたことと、COVID-19に関する偽情報を拡散したことを受けてのことだった。

 メイン州の医師免許担当部署は先週採決を行いメリル・ナス医師についてより詳しい調査を行うことを決めた。さらに同部署は、ナス医師の医師免許を30日間保留にし、ナス医師に精神鑑定を受けるよう命じた。

 メイン州の医療当局が1月12日に述べたところによると、ナス医師にこのまま医療行為を行わせることを許せば、ナス医師から治療を受けることになるかもしれない人々の健康や身体の安全が保証できない、とのことだった。

 70歳の内科医であるナス医師は「Children’s Health Defense」という団体の一員として活動している。この団体は、ワクチンや、ワクチン接種の強制に反対する声を扇動している団体だ。

 この記事の全文はこちら






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「ワクチンに関する秘密文書の開示には2096年まで かかる」というFDAの主張を退ける判決

「ワクチンに関する秘密文書の開示には2096年まで
かかる」というFDAの主張を退ける判決

 <記事原文 寺島先生推薦>

Judge rules FDA can’t keep vaccine docs secret ‘until 2096’

RT 2022年1月7日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月25日


 或る連邦裁判所が出した判決によると、FDAはファイザー社のワクチンに関する数十万の資料の開示を劇的に速めなければならないとのことだ。

 米国食品医薬品局(FDA) が命ぜられたのは、ファイザー社のコロナウイルスワクチンに関する文書の開示を、100倍以上の速さで行うことだった。これは開示には何十年もかかるだろうというFDAの主張を受けてのものだ。

 1月6日の判決において、マーク・ピットマン地方判事はFDAから出されていた主張を斥けた。その主張とは、情報公開法に基づく請求を満たすには、何十年も、おそらく2096年までかかるだろう、という主張だった。FDAは、ひと月にたった500ページずつ開示すると主張していたが、ピットマン判事はその速度を上げなければならないとした。具体的には、ひと月に55000ページずつ開示するように、とのことだった。

 判決文には、「判決の結論は、今回の情報公開法に基づく請求は、人々にとって最重要要件ととらえている」とあり、さらに、開示が完了するまでの時間を短縮することは、「実現可能であるだけではなく、必要にも迫られているものだ」とあった。


READ MORE: 

Disclosing Pfizer vaccine data ‘may take until 2096’

 ピットマン判事は、FDAから出されていた「1月末までには最初の開示資料として、12000ページ分を開示する」という主張を受け入れたが、開示する速度を3月までには急激に速めなければならないとした。同判事は、FDAが資料に黒塗りすることを許されるのは、 情報に「特例、例外、除外」がある場合のみとし、原告側とFDAに対して「連名の進捗状況報告書」を提出することを求めた。その報告書には、4月1日までの開示の進捗状況と、それ以降の開示が終了するまでの90日ごとの開示の進捗状況を詳述するものとした。

 この情報公開法に基づく開示請求は、昨年9月、弁護士のアーロン・シリさんが、「透明性を求める公共医療と医師の会」の代理人として提出したものだ。この会は、教授や科学者たちの会であり、FDAがファイザー社のワクチンに関する資料の提出を迅速に行っていないことに対してかねてより不満を表明していた。原告側の主張は、FDAはファイザー社が提出した全ての資料をたった108日間という素早さで精査し、ワクチンを承認できたのだから、その資料を読み直し、黒塗りを入れ、開示するのに何十年間もかかるというFDAの言い分はおかしい、というものだった。

 シリ弁護士は、1月6日のこの判決に対して、SNSのサプスタックに投稿した。それによると、シリ弁護士はこの判決は、「透明性を求める人々にとって大きな勝利である」とし、政府によるワクチンに関する資料の「出し惜しみ」を打破することになるだろう、とのことだった。
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カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か? ―「カラー革命」の歴史と分析


カザフスタンは北大西洋条約機構(NATO)の新しいフロンティアか? クーデター未遂か?
―「カラー革命」の歴史と分析

<記事原文 寺島先生推薦>
Kazakhstan: NATO’s New Frontier? Attempted Coup? History and Analysis of “Color Revolutions”

ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)著

グローバルリサーチ、2022年1月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月21日


 カザフスタンの暴動で思い出されるのは、これもエネルギー価格の上昇から始まったアルメニア(2015年9月)の暴動と、親ロシア大統領ミハイル・サーカシヴィリを政権から追い出そうとする野党の試みであったジョージア(2009年4月)の暴動です。さらに2014年のウクライナの暴動のことも少し頭に浮かびます。当時ウクライナでは、ヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領がEUとの連合協定のためにヨーロッパとの交渉を持つよう迫られていました。そしてマイダン暴動は、おそらく、その背後に他の誰か、つまりNATOがいました。ウクライナ人の大多数は、これらの進行中の交渉とその背景については何も知りませんでした。だから、暴動はもっと深いところで計画されたものであり、EUとの交渉とは何の関係もないものでした。EUとヤヌコビッチの協議が中断されたのは、ヤヌコビッチがロシアから「もっといい取引」を持ち込まれたときでした。

 

 そのような状況下で、2014年2月21日に大混乱が発生し、マイダンの虐殺が起こったのです。その激しい破壊は、その集会の目的とは不釣り合いでした。欧米が雇った傭兵が、無慈悲な殺害の背後にいました。マイダンの虐殺で、約18人の警官を含む約130人が殺害されました。そのことが明らかになったとき、この暴動が欧米によって引き起こされたもう一つの「カラー革命」であると判明しました。そしてこのような欧米によるカラー革命には、常に、背後にNATOが控えているのです。NATOの目標は、ウクライナに一つまたは複数の基地を設置することでした。そのような基地はモスクワに近ければ近いほどいいのです。

 ちなみに、ヨーロッパと新しいロシアの間の1991年の合意は、(ベルリンの)東に新しいNATO基地は作らないと規定していましたが、欧米によってその規定は決して守られることはありませんでした。プーチン大統領が「赤い線(越えてはならない一線)」を引いているのはそのためです。

 おそらく、最近の歴史の中で最初のそのようなカラー革命の一つは、2000年の初めのセルビアでの革命でしょう。その革命が起こる前は、セルビアの若者が"スロボ[スロボダン・ミロシェビッチ], セルビアを救え! スロボはセルビアを救う!”と叫んでいました。その年の後半、親ミロシェビッチだったそのセルビアの若者たちのグループに外国から援助や訓練を受けた「改革志向」の若者のグループが潜入し、大多数のセルビア人に敬愛されていたミロシェビッチ大統領は2000年10月に倒されました。彼はすぐにハーグのICC(国際刑事裁判所)刑務所に送られ、彼は、彼が犯していない最大の反逆罪と人道に対する罪で裁判をうけることになりました。

 ミロシェビッチのために彼の弁護士は、欧米がこのカラー革命の背後にいたことを示すしっかりした証拠を集めていました。そして欧米の最終目的は実は、旧ユーゴスラビアの総解体であるという証拠も手にしていました。これらの文書が裁判所(この場合は国際刑事裁判所)の知るところになっていたならば、この事件は一国に対する近代史上最大規模の干渉と破壊の一つとして、当時クリントン大統領らによる欧米の犯罪に、ぬぐい去れない光を当てることになっていたでしょう。だから、ミロシェビッチは「無力化」されなければならなかったのです。2006年3月11日、彼は刑務所の独房で死亡しているのが見つかりました。2001年6月以来、彼は自殺をしないよう絶えず監視されていたという事実にもかかわらずです。

 さて、これらはアルメニア、ジョージア、セルビアの話ですが、カザフスタンの話に戻ると、これ以前のいわゆるカラー革命と多くの点で似ています。NATOは、ロシアが設置した厳しい「レッドライン(越えてはならない一線)」のせいで、モスクワに向かって進撃することはずっと失敗に終わっています。それは、ウクライナでも、それよりも前のベラルーシでも上手くいきませんでした。そしていま南部国境のカザフスタンにおいて同じような試みが行われているのです。

 これは明らかにクーデター未遂であり、もはや単なるガス価格引き上げに対する抗議ではありません。それは欧米によって工作されたものです。以下の、ケヴォルク・アルファシアン(Kevork Almassian)とマーカス・パパドプロス(Marcus Papadopoulos)博士のカザフスタン危機に関する対談動画(2022年1月6日の46分間の動画)を参照ください。



 この新しいクーデターの試みが成功する見込みはありません。欧米のためのあふれるプロパガンダがあるだけです。

 プーチン大統領は、これらの旧ソ連共和国がNATOの西側の権力基盤に入ることを決して許しません。これらの旧ソ連共和国の人口の90%以上がロシア圏にとどまりたいと考えていることはよく知られているからです。

 セルビア、アルメニア、ジョージア、ベラルーシ、そして現在カザフスタンで繰り返される抗議行動のパターンは、ロシアを不安定化させるための欧米・NATOの圧力であることを明らかに示しています。欧米・NATOの望みは、第二次世界大戦以来変わっていませんが、 「西側の影響下」にロシアを持って来ること、つまりロシアを隷属化することなのです。これらの諸国の暴動のいくつかは、大規模なエネルギー価格の引き上げを理由に起こされた暴動でしたが、それはNATO指導下の欧米の傭兵による激しい暴力的な干渉の口実に使われたに過ぎませんでした。

 決して忘れてはいけないのは、このような暴動の背後にある勢力基盤がNATOであることです。そしてNATOの最終的狙いは、NATOが政権転覆しようとしている一国あるいは複数の国にNATO基地を置くことです。しかし、欧米は、それほど賢くないようです。これら旧ソ連共和国のどの国もロシアを裏切らないことを知るべきです。キエフは例外でした。第二次世界大戦以来、キエフはナチスの拠点であったため、キエフで起こったことは他の地域には当てはまりません。

 カザフスタンの暴動は、当初は一地域で起こったかなり平和的な暴動でした。その後、暴力的な集団が、「外部」から導入されました。その集団はよく訓練され、人を殺害するためのほとんど準軍事的抗議者の形をとっていました。それが、未遂の「カラー革命」として知られるようになったのです。

 カザフスタンでは、18人の警官を含む死者数が30人をはるかに上回り、そのうち少なくとも2人が首を切られ、数百人が負傷しました。カザフスタンのトカエフ大統領によると、憲法秩序は先週の金曜日、1月7日に大部分回復しましたが、混乱は続き、4000人近くが逮捕されました。極端な暴力集団が政府建物を乗っ取り、それらを焼き払いました。空港は占領されました。暴力の激しさは、ガス価格の引き上げ抗議行動には不釣り合いでした。明らかに他の動機が関わっています。

 1900万人のカザフ国民の大半は、ガス価格の上昇のための街頭行動には参加していません。大多数は農村部に住んでおり、暴力を避けています。

 これらの最新のカザフスタンの暴動は、NATOがウクライナで失敗して以来繰り返している、ロシアを不安定化させる卑劣なNATOアプローチとも言うことができます。言い換えれば、ウクライナに対するロシアの立場を損なうためです。

 週末、中国の習近平国家主席はカザフスタンのトカエフ大統領に電話し、米国の干渉をほのめかし、中国がロシアを支持していることをトカエフに保証しました。彼はまた、カザフスタンへの直接支援を約束しています。「習近平はカザフスタン大統領トカエフに電話して、米国の干渉をほのめかし、ロシアを支持し、支援を誓う」という記事を参照ください。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は金曜日、集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国と会談を行いました。アルメニア、ベラルーシ、キルギス、ロシア、タジキスタンの平和維持部隊が先週初めにカザフスタンに配備されました。トカエフ大統領は、CSTO部隊が地元の治安部隊を支援するために「期間限定」でとどまると語りました。

 ロシア国防省は後に、CSTO軍も重要な施設と主要インフラの保護を任務としており、「戦闘」活動に参加すべきではないことを明らかにしました。典型的に優柔不断で偽善的な回し者であるEUはまた、抗議側と政府軍の両方に暴力を控えるよう求め、いくつかの国との危機の解決するために自分たちが支援する用意があることを申し出ました。

 はい、そのとおりです。暴力を控えるよう両当事者に呼びかけたのです。暴力的な集団はNATO加盟国によって送り込まれたのは明白なのに、です。そのNATOのほとんどはヨーロッパ諸国です。このことによって、もう一度、ヨーロッパの信頼はがた落ちです。こんな呼びかけは、主にヨーロッパ市民をなだめるためだけのものです。親欧米プロパガンダをたっぷり浴びた無知な欧米人をなだめるためだけのものなのです。

 わからないのは、なぜ、ロシアとカザフスタン政府の特務機関が、ウクライナに「レッド・ライン」を引いた後にも関わらず、この種の「カラー革命」を予見できなかったのかということです。西側がベラルーシでクーデターの試みに失敗した後だったのになぜでしょう?西側メディアによって核の第三次世界大戦のシナリオが絶えず喧伝されたウクライナの騒動が、カザフスタンのような他の脆弱な攻撃地域からプーチン大統領の注意をそらしたからでしょうか?そして、おそらくベラルーシもプーチン大統領の注意からそれていたのでしょうか?ベラルーシ動静は、今は静かです。しかし、外から見れば、それは一時的な落ち着きのように見えます。そして、ウクライナの混乱の終結はほど遠いです。

 ロシアが先制攻撃的な対応を取るのではなく、事象の後追いをしている限り、プーチンは守勢的な窮地に追い込まれるかもしれません。プーチンは、事前に対策を講じるのではなく、ことが起こった後対応する、という戦略を採っていますが、それでは状況は常に不利な方に動いており、この戦略を考え直す必要があるのではないでしょうか。

 先制攻撃的な奇策にはどんな作戦があるか想像してみてください。例えば、ロシアがメキシコに軍事基地を設置するのはどうでしょう?不可能ではないでしょう?そんなことが実現できるくらいメキシコと友好的な関係を結ぶ力も、地位もロシアにはあります。そうなれば状況は逆転します。世界の地政学に異なる回転軸を与えることになるでしょう。メキシコのロペス・オブラドール大統領との会談を開始して、この作戦を試してみてはいかがでしょうか?

  1990年代から欧米・NATOの意図は、カザフスタンを旧ソ連圏や、今日のロシアの勢力圏から切り離すことでした。これまでのところ、先ほど指摘した理由のために、うまくいってはいません。カザフスタンは、輸出量の3割、輸入量の6割を中露に依存しています。今日、カザフスタンはユーラシア同盟に加盟しています。この同盟は事実上の統合国家であり、緊密な連携関係を保っています。

 ロシア国民とカザフスタン国民はウクライナから学びました。カシムジョマルト・ケメレビチ・トカエフ( Қасым-Жомарт Кемелұлы Тоқаев)大統領がロシアに支援を要請するのに長い時間はかかりませんでした。さらにプーチン大統領が集団安全保障条約機構(CSTO – ユーラシア安全保障機関)を通じて対応するのに時間はかかりませんでした。CSTOのメンバーはロシア(事実上の指導者)、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンです。

 ロシア軍の第1陣はすでにアルマトゥイに到着し、状況をコントロールするのに役立っています。CSTO部隊に加えて、ロシアは武装勢力に対抗するために空軍部隊を派遣しています。おそらく、ロシアの意図は、もう一つのキエフにならないようにすることでしょう。キエフの暴動の際、ビクトリア・ヌーランド米外相補佐官が、「ヨーロッパなど糞食らえ!」と言い放ったのは、米国がこのクーデターを準備するために過去数年間にすでに1000万ドルを費やしていたからでした。

 カザフスタンで見られている勢力は、ガス価格の上昇をめぐる抗議行動が始まったときのような、平和的な抗議者ではなく、非常によく訓練され武装した勢力です。平和的な抗議者だったら、政府の建物や空港を乗っ取ることはせず、警察官を撃って殺さないことは明らかです。これは明らかに外国の介入です。

 CSTO部隊が暴力を止めることができるのか、それともロシア軍を派遣する必要があるのか、そして新しい「レッド・ライン」をモスクワが描く必要があるのかが、時がたつにつれて分かるでしょう。

 驚くべきことでもあり、悲しむべきことでもあるのは、ヨーロッパ各国が何も手出ししていないことです。このままでは、NATO軍がヨーロッパの領土を破壊してしまうことになるでしょう。ロシアがNATO軍の攻撃に干渉すればそうなってしまいます。NATOが戦争ゲームをけしかけ、それが「熱戦」に変わってしまう状況を作ってしまうのは、ヨーロッパ各国のノータリンの指導者(ママ)のせいだけなのです。ヨーロッパの領土での三度目の熱戦が繰り広げられることになってしまいます。

 欧州連合(EU)が作られた所以はそこだったのです。EUは、選挙で選出されていない女性ウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen:元ドイツ国防大臣)によって率いられていますが、より重要であまり知られていないことなのですが、彼女は世界経済フォーラムの理事会のメンバーなのです。我々は、欧州連合(EU)に命令をする人を知っています。そしてEU加盟国の悪質な独裁的指導者(ママ)のほとんどは、ヨーロッパ諸国の主権を剥奪している、クラウス・シュワブの「ヤング・グローバル・リーダーズ」の特別コース出身の学者たちです。このような状況は、世界中で最もコロナ専制的な国家の指導者たちに対しても当てはまります。

 彼らを栄えさせてはいけません。

 カザフスタンの話に戻りましょう。単離されず、特定されていないウイルスで西洋人を怖がらせている同じ人々が、ロシアと中国を背後で破壊しています。

 もし彼らがカザフスタンで成功したならば、彼らはロシアをかなり弱めることができるでしょうし、次のステップはおそらく、NATOがウクライナでモスクワの「レッド・ライン」を無視し、ウクライナを武装させることであり、最終目的はウクライナをNATO加盟国にすることでしょう。

 しかしそうなる可能性は低いでしょう。というのもそんな事態になれば、プーチンはドンバス地域からウクライナに侵入することを躊躇せず、ロシアの利益を守ろうとするでしょうから。NATOと米国は、ロシアの最新の防衛システムに対して勝機がないことを知っています。NATOや米軍は、100年あまりの間で、ヨーロッパを3度消滅させることになる行為をとるでしょうか?

 カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシのための戦いは、重要な戦略的チェスゲームです。間違いなく、ロシアはそれに勝利します。しかし、ヨーロッパにとって、そしてユーラシアは、どんな犠牲が払われなければならなくなるのでしょうか。西側が課すCOVIDの制限が厳しければ厳しいほど、ヨーロッパの主権を維持または取り戻すための代価は高くなります。

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「農場から食卓まで」という名のグリーン戦略。EUや世界経済フォーラムの連中が、農業を支配しようとしている

「農場から食卓まで」という名のグリーン戦略。EUや世界経済フォーラムの連中が、農業を支配しようとしている

<記事原文  寺島先生推薦>

The “Farm to Fork” Green Agenda: How the EU and the Davos WEF Cabal Plan to Control Agriculture

ウィリアム・エングドール(F. William Engdahl)

Global Research  2021年10月1日

<記事翻訳   寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月12日



 「持続可能」という言葉を聞く時は、常にその耳あたりの良い響きの言葉の裏側に何があるかを批判的に考えた方が得策だろう。グローバリストたちが推奨している2030アジェンダにある、2030年までに実現すべき17項目からなる持続可能な世界構築に向けての目標のひとつ「持続可能な農業の創造」に関して述べると、その目標を熟視すれば、この目標は欧州の農業生産を破壊し、世界の食糧の価格をずっと高価にしてしまう代物であることが分かる。欧州委員会は、この食糧に関する「グリーンディール」に、「Farm to Fork(農場から食卓へ)」という可愛らしい名をつけている。この取組には、あのお馴染みのクラウス・シュワブの世界経済フォーラムや、グレート・リセットが後援している

  念頭に置いておいて欲しいのは、国連やダボスの世界経済フォーラムによる定義では、「持続可能とは2050年までに二酸化炭素排出ゼロを達成することと同義である」という点だ。

 しかし実は二酸化炭素が地球温暖化を生み出し、地球を危機に陥れていることをはっきりと証明する研究結果は出ていないのだ。各所から資金援助を受けている胡散臭いコンピューター演算だけが、そんな警告を出しているに過ぎない。

  無害である二酸化炭素は、全ての人類、動物、植物が生きていくのに必要不可欠なものだ。今、欧州委員会は、トップダウン的な改革を、世界で2番目に重要な食糧生産地である欧州の農業の中枢に押し付けようとしている。準備もしっかりできていない、欧州グリーンディールの一環としてのことだ。このような改革が見通し通りに導入されてしまえば、穀物生産を劇的に減少させ、食肉生産は深刻な減少に転じるだろう。中でも最も危険だと思われるのは、現行のEUが定める法律を変えてしまい、新たなゲノム編集穀物や、GMO2作物に対する規制が取り払われるかもしれないことだ。そうなればその影響は世界中に波及する。

 農場から食卓まで

 2020年5月、欧州委員会は、「農場から食卓まで」戦略を発表した。欧州委員会の言い方を聞けば、食料に関する天国のような状況がこの先待っているかのように聞こえる。欧州委員会によると、「“ 農場から食卓まで‘’という戦略が、欧州グリーンディール構想の中心となるものであり、その目的は、食料体制を公正で、健康で、環境に優しいものにすることです」。おお、なんとも凄そうな戦略だ。

 しかし本当の狙いはその後の話にある。

 「私たちは食料体制を再構築する必要があります。今の食料体制は、世界の温室効果ガス排出のほぼ3分の1の要因となっており、大量の天然資源を消費し、生物の多様化を失わせ、健康に悪影響を与える原因になっています。」

  このような狡い言い回しを使うことで、農民たちを悪者にし、食料生産が二酸化炭素排出の責任を負っていると思わせようとしているのだ。

  では連中が用意した解決法は?

  「新しい技術や、科学研究の発見に加えて、人々の意識も向上し、持続可能な食料体制を求める声が高まっています。このような状況は全ての人々にとってよい状況に繋がるでしょう。」

 新しい技術とは何かについては後述する。

 選挙で選ばれたわけではないEUの幹部たちの計画によれば、どのように「食料体制の再構築」を成し遂げ、2050年までに世界の温室ガス排出を3分の1までに抑えるつもりなのだろうか?

 その答えは、農民たちを廃業させることだ。その手口は、生産活動にお金がかかる新たな装置を要求したり、安全性が証明されていない新たな特許つきの遺伝子組み換え作物の栽培を求めるというやり方だ。そして連中の最大の目論見は、今は事実上禁じられているゲノム編集作物の栽培を認めさせることだ。ご存知のない方々のために申し添えると、これはファイザー社や、モデルナ社が、安全性が証明されていないCRISPR(訳注:Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsの略で、近年原核生物でファージやプラスミドに対する獲得免疫機構として機能していることが判明したDNA領域のこと)を使った技術でCOVIDワクチンを作っているのと同じことだ。

 ヤヌシュ・ボイチェホフスキ (Janusz Wojciechowski)欧州委員会農業担当委員は、「農場から食卓へ」についてこうコメントしている。

 「農家の皆さんにこの先必要となるのは、生産方法の抜本的改革を行うことと、技術や、デジタルや、宇宙工学を最大限駆使することです。そして新しい農法を導入することです。」

  なるほど。連中の計画は、抜本的改革ということか。この時点で既に胡散臭い。

  2030年までに、無農薬のオーガニック農法の割合をEU全体の25%にまで増やすと同時に、化学肥料の使用を3割減らそうという目標は、内実をよく知らされていない人々には素晴らしいことに思えるだろう。モンサントや遺伝子組み換え業者が「遺伝子組み換え作物は必要な肥料を減らすことができる」と主張していたのと同様に、この話は嘘だ。EUはこの話を餌に現行のEUの規則を根本的に変えようとしているのだ。今の規則では、農業におけるゲノム編集を行った植物や動物の承認を得るのは困難だ。2020年5月の「農場から食卓へグリーンディール戦略」の文書でEUが述べたところによると、欧州委員会は、「新しいゲノム編集技術の可能性を見据えた研究を実行中であり、食料供給網に伴う持続可能性の改善をはかっているところだ」とのことだ。つまりは、ゲノム編集や、 CRISPR/Cas9(訳注:遺伝子改変操作の一種)遺伝子組み換えの研究を行っているということだ。

「新ゲノム編集技術」

 今年(2021年)4月、欧州委員会は新ゲノム編集技術(NGTs)研究について発表した。新ゲノム編集技術を使えば、ゲノム編集作物からゲノム編集動物までも生み出すことが可能だ。

 この報告によれば、新遺伝子技術とは「ひとつの器官のゲノムを改変する技術であり、食料体制をより持続可能なものにすることが見込まれている。これはEUグリーンディールと“農場から食卓へ”政策の一環だ」とのことだ。この報告はこの件について「人々との話し合い」を持った上で、遺伝子組み換え作物の承認に対するEUの厳格な法律を変えることを要求している。現行の法律では遺伝子組み換え作物については幅広い検査や、表示が求められている。

 この法律のおかげで、2001年以降、欧州各国の遺伝子組み換え作物の使用制限はよく守られてきた。一方米国では、遺伝子組み換え作物は主要穀物において規制を受けない方が支配的だ。2018年にEUの裁判所である欧州司法裁判所が出した判決は、ゲノム編集作物は先行の遺伝子組み換え作物と同様の厳格な規制に基づいて取り扱われるべきだ、という内容だった。ダボス会議とEUが掲げる「農場から食卓へ」計画の本当の狙いは、肥料を大幅に減らすことだと見せかけて、実はゲノム編集作物の導入にある。

 EU委員会は、バイエル・モンサント社などの遺伝子組み換え業者のロビー活動と結託し、欧州司法裁判所が出したその制限措置を取り除こうと躍起になっている。ステラ・キリヤキデス欧州委員会保健・食品安全総局長は4月のEUの研究についてこう語っている。「今日発表した研究結果の結論は、この新しいゲノム編集技術があれば、農作物の持続可能性を促進できる可能性があるということです。これは私たちが掲げている“農場から食卓へ”政策の目的と軌を一にするものです」。新しいゲノム編集技術とは、ゲノム編集作物を婉曲的に言っているだけの言葉だ。

  グリーンディール政策の責任者であるフランス・ティメルマンス(Franz Timmermans)欧州委員会副委員長があからさまに認めている事実は、肥料を大幅に削減するという明るい見通しの裏には、ゲノム編集の制限を取り除こうという意図があるということだ。同副委員長が最近EUグリーンディール会議で語ったところによると、EUの目的は、農家に新たな精密農業を取り入れるための道具を授け、種子を最大限利用する科学的発見の梃入れをすることにある、とのことだ。曰く「それが肥料への依存を制限する方法なのです。」

  精密農業や、種子を最大限利用する科学的発見という言い分は、EUの二枚舌だ。その裏にはゲノム編集の規制を大規模に撤回させようという意図がある。「環境に優しい農業に向かうということは、昔のように草を食み、洞窟暮らしに戻るというわけではありません。最新の技術を駆使して、環境に優しい農業をめざすという意味です」。つまりそれがCRISPRを使ったゲノム編集だ。

 わかりやすいことばに翻訳すると、「農場から食卓へ」政策の肝は、2018年の欧州司法裁判所の判決を覆すということだ。その判決の中身は、「CRISPRを使ったゲノム編集作物や動物も、遺伝子組み換え作物と同様の厳格な「予防原則」措置に則る」というものだった。

  何の制限もなければ、バイエル・モンサント社のような多くのゲノム編集を扱う会社は、試験段階にあって、安全性が確認されていない遺伝子書き換え作物や動物を、何の表示もなしで、私たちの食料品として自由に流通させるだろう。

  このような自由なゲノム編集体制は、米国では既に存在する。米農務省も、規制当局も、以下のようなものを許容している。それは、ゲノム編集を使った大豆油、黒い部分がないマッシュルーム、繊維がより多い小麦粉、発育の良いトマト、除草剤に対する耐性をもつアブラナ、成長過程で汚染土壌を吸い込まない米などだ。米国にはさらに、ゲノム編集を行った怪しげな魚や動物までいる。例えばCRISPR技術を使ったゲノム編集により生み出されたオスの子牛しか産まない雌牛や、去勢の必要がない豚や、角のない乳牛や、CRISPR技術を使ったゲノム編集により生み出された成長力が強化されたナマズなどた。そのナマズは筋肉細胞が多くなるようゲノム編集されている。聞いているだけでよだれが出そうだ・・・・(もちろんジョークだ)

 CRISPRの危険度は巨大だが、効果は薄い

  ゲノム編集作物や動物に関するEUの規制を排除しようと躍起になっているロビィイストたちの出現元の多くは、バイエル・モンサント社などの遺伝子組み換え農産業界の巨大企業だ 。具体的には、スイスのシンジェンタ社、ドイツのBASF社、ダウ・デュボン社から分離独立した米国のコルテバ社だ。

  2020年11月に、リアム・コンダン(Liam Condon)バイエル・モンサント社会長が、バイエル社の「農業の未来を考える会」の穀物科学部門で語ったところによると、バイエル社は「非常に強力」なロビー活動を行っていて、遺伝子組み換え作物に対するEUの規制を変えて、ゲノム編集を認めさせようとしているとのことだった。コンダンはこう語っている。「(私たちが)非常に強力に推し進めているのは、今の規制を新しい技術にあった規制に変えることです。そして、この新しい技術の使用を認めてもらうことです。これは欧州の人々にとっても利点だけではありません。ヨーロッパの規制にならおうという他の世界の人々にとっての利益にもなるのです」。コンダンは、ゲノム編集や、CRISPR技術のことを「驚異的な進歩」であると捉えており、これらの技術を使えば農業がより持続可能なものになる、としている。コンダンが敢えて言わなかった事実は、ゲノム編集作物の規制をなくせば、バイエル・モンサント社のような大手遺伝子書き換え企業にとっては、農民たちに特許付きの「持続可能な」種子を売りつける機会が生まれる、という事実だ。

 ゲノム編集植物や、ゲノム編集動物が、言われているようなまったく危険がないものではない。この技術はまったく正確なものでもないし、統制もとれていない。しかも予想もできないような生産物を産むこともよくある。例えば、意図しなかった遺伝子変異が起こったり、ゲノム編集が加えられる器官のゲノムに、他の種由来のDNAや、ゲノム全体を、うっかりと組み込んでしまったりすることさえある。

 このようなゲノム編集技術はまだまだ新しい、試用段階にある技術なのだ。このような技術の良さを主張しているバイエル・モンサント社などの主張によれば、植物にゲノム編集を加えることは正確に行えている、とのことだ。しかし詳しい調査によれば、そうであるという証明など到底できていないのだ。   農業科学について考える機関であるバイオ・サイエンス・リソース・プロジェクトのアリソン・K・ウイルソン(Allison K Wilson)博士はこう語っている。「ゲノム編集を使った植物は、UTs(意図していなかった効果や、遺伝的な損失)を生み出す傾向もあります。ゲノム編集が加えられた植物や動物の検査結果からは、標的とされた箇所や、その近くの箇所において、ゲノム編集により意図していなかった変異を産んでいることもわかっています。具体的には、ベクター遺伝子や、バクテリアなどの不必要なDNAが入り込んでしまって、意図していなかった規模でDNAが消滅してしまったり、DNAの再構築が起こってしまったりするのです。」

  これらの現象は無視できるような小さな被害ではない。ウイルソン博士の結論はこうだ。「ゲノム編集を行った植物にどのような影響が出るかは、正確には掴めておらず、予想もできないものなのです。さらには、現在使用されている技術に依存すれば、ゲノム編集は突然変異を誘発する可能性が高いといえます。理論上は、いつかは持続可能な農業という目標に即した遺伝子組み換え作物を作り出すことはありえるかもしれませんが、実際のところは、そんなことができるようになるとは非常に考えにくいことなのです。」

 EUの「農場から食卓へ」政策について、農業に関する記事に詳しいニュースサイト「Global Ag Media」はこう分析している。「これらの政策がもたらす効果により、EUの農業生産量と、農家の収入は予想できないほど減少することになるでしょう。どの分野においても生産量は5~10%減少しています。とくにその影響が大きいのは畜産分野です。対策は打たれているのでしょうが、生産価格は約10%増加していますが、それは農家の収入が減っているという負の部分から来るものです」。EUの農民組合であるコパ・コゲカ(Copa-Cogeca)の警告によれば、この政策の結果、農業生産量は予想できないほどに減少する、とのことだ。しかしその状況こそが、「持続可能な農業」を求める本当の目的なのだ。

 ダボス会議とEUが掲げる「農場から食卓へ」政策

  EUが掲げるこの「農場から食卓へ」という抜本的な改革は、ダボスの世界経済フォーラムが提唱していた内容に呼応するものだ。世界経済フォーラムは既に2014年には、「有効な取引を。農場から食卓へ」と名付けられた政策を推進していたのだ。

 2018年1月の世界経済フォーラムの報告によると、「CRISPR-Casのような技術を使ったゲノム編集技術によって、多面的な改良の実現に繋がり、生産効率の向上を進めることになる。それにより干ばつによる食糧不足の改善や、食物の栄養面での改善につながるだろう」とのことだった。この取り組みに賛同していたのは、米国のコンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーであった。同社は世界経済フォーラムの「食料安全保障と農業に関する取り組み」や、グレートリセットの一環として賛同していた。世界経済フォーラムと提携しているのは、バイエル社や、シンジェンタ社や、BASF社も含まれている。世界経済フォーラムのホームページの記載内容によると、「2020年1月のダボスでの世界経済フォーラム年次総会には、多くの産業界のリーダー達が集いました。特筆されるのは、フランス・ティメルマンス欧州委員会副委員長が欧州グリーンディール政策を浸透させる方法を模索するために参加していました」。バイエル社のリアム・コンダン以外にも、シンジェンタ社や、BASF社の会長も参加していた。

 EUの農業部門がゲノム編集遺伝子書き換え作物計画に取り込まれたなら、EUの生産は大規模に減少することになり、ひいては世界中のさらなる食糧不足を引き起こすことになろう。これがダボス会議の連中がCOVID-19を使った優性思想に基づくグレート・リセットに伴った計画なのだ。「農場から食卓へ」という呼び名は、人畜無害に聞こえる。実像は明らかに、まったくかけ離れている。

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<記事原文 寺島先生推薦>

New files expose Australian govt’s betrayal of Julian Assange and detail his prison torment

キット・クラーレンバーグ(KIT KLARENBERG)

2021年11月17日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳「グループ>

2022年1月19日

 The Grayzoneが独占的に入手した文書には、オーストラリア政府が自国民であるジュリアン・アサンジを見捨てたこと、そして彼の苦痛に満ちた獄中生活の詳細が衝撃的に記述されている。

 オーストラリア政府は、オーストラリア国民であるジャーナリストのジュリアン・アサンジを暗殺するというアメリカ中央情報局(CIA)の計画を知っていたのだろうか?アサンジは逮捕され、現在英国で、過酷な、先行きの見えない厳しい条件の下で投獄されている。

 なぜオーストラリアの指導者たちは、選挙によって選出されているにもかかわらず、自国民のひとりを公に擁護することを拒否したのか?拷問に関する国連特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)によれば、アサンジは根拠薄弱な容疑で拘束され、ある外国の強国によって拷問にさらされている。オーストラリア政府はジュリアンの運命について何を知っているのか、そしてそれをいつ知ったのか?

 The Grayzoneが入手した文書によると、オーストラリア政府はロンドンのベルマーシュ刑務所でのジュリアンの残酷な扱いを、その最初の日からよく知っていて、それに対してほとんど何もしていないことが明らかになった。実際、「精神が停止するほどひどい状況」という彼の証言を聞いたにもかかわらず、オーストラリア政府は投獄中のジャーナリスト、ジュリアン・アサンジを冷たくあしらった。

 オーストラリア政府は、アサンジの投獄と告発を統括する米国と英国政府に効果的な対抗手段を取らなかっただけではない。これらの文書が詳細に暴露しているように、どうやら米国、英国と共謀して、自国民の人権を侵害するという言語道断の所業があったようだ。そのくせ、アサンジが置かれた現状については、国民の目には曖昧なままにしておこうと、やっきになっている。

 アサンジに対するCIAの陰謀を知るやいなや、オーストラリア外務省は知っているとも知らないとも判然としない、腹に一物ある言い方をしている。

 Yahoo Newsは、CIAがジュリアン・アサンジを監視、誘拐、さらには殺害する計画まであるという驚くべきニュースを9月にすっぱ抜いた。これは、The Grayzoneのマックス・ブルーメンタール(Max Blumenthal)が2020年5月に暴露した内容がほんとうであることを示し、さらに、このニュース記事はそれを基に書かれたものだ。Yahoo Newsの記事が発表された後、NATO指向の「ファイブ・アイズ」という世界スパイネットワークの高官たちは必死に口裏を合わせようとした。

  2021年初頭に引退するまでワシントンの最高防諜責任者だったウィリアム・エヴァニナ(WilliaEvanina)は、ファイブ・アイズ同盟はCIA本部の卑劣な計画にとって「非常に重要」であり、ロンドンのエクアドル大使館からジュリアンが逃亡する可能性は、何としてでも潰せることに「われわれは十分な確信を持っていた」とYahooに語っている。

 しかし、米国がジュリアンの母国であるオーストラリア政府に、この作戦について説明や相談をしたかどうかという質問に対しては、オーストラリア外務省(DFAT[Australian Department of Foreign Affairs and Trade])はその質問をかわした。一方、この、命に係わる審議が行われた当時のオーストラリア首相マルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)は、「私がこのことを耳にしたのは、今日メディアで報道されたのが最初です」と主張した。

 選挙で選出されたオーストラリア政府の高官たちが、CIAの提案について知らされていなかった可能性は確かにある。オーストラリアのゴフ・ウィットラム(Gough Whitlam)首相は、ファイブ・アイズの存在そのものを、自国がUKUSA協定*に署名してから17年後の1973年まで知らなかった。国内スパイ機関であるオーストラリア安全情報機構が、政府に情報を知らせなかったことを理由に警察の手入れがあって初めて知ったのだ。

UKUSA協定*・・・(ユークーサきょうてい、英:United Kingdom – United States of America Agreement)とは、アメリカ合衆国 (USA) の国家安全保障局 (NSA) やイギリス (UK) の政府通信本部 (GCHQ) など5カ国の諜報機関が世界中に張り巡らせたシギント (SIGINT) の設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用する為に結んだ協定のことである。(ウイキペディア)

 ターンブルがこの作戦を知っていたかどうかは問わない。ジュリアンの家族が豪外務省に連絡を取り、マリゼ・ペイン(Marise Payne)豪外相がバイデン政権にアサンジへの告訴を取り下げるよう要求すること、そしてヤフーの記事についてコメントを求めたときの豪外務省の反応は「ふざけるのもいい加減にしろ!」と言いたくなるほどのものだった。 

 「新聞に書かれたからといって、それが真実とは限りません...CIAはこれまでいろいろなことで非難されています。月面着陸の捏造なんかもそうです」と、豪外務省の担当者は昔ながらののらりくらり官僚答弁で応じた。

 このがさつな発言は、ジュリアンの父親であるジョン・シプトン(John Shipton)が豪外相ペインに送った手紙に記されていた。この文書は、ジュリアンのオーストラリアでの法的権限者であるケリー・トランター(Kellie Tranter)がGrayzoneに独占的に提供した多くの文書のうちのひとつに過ぎない。

 トランターは何年も前から、オーストラリア政府に対して情報公開請求を行い、ジュリアンに対する政府の真の立場を明らかにしようと努めてきた。また、オーストラリア政府と米国との密接な同盟関係が、彼の自由を求める能力や意欲をどの程度制限しているのかを明らかにしようとしてきた。

 トランターが入手した文書は、オーストラリア政府が自国民であるアサンジをまったく守っていないことをあからさまにしている。それどころか、ジュリアンがエクアドル大使館にいる間、そして「英国版ガンタナモ刑務所」と呼ばれるベルマーシュ高セキュリティ刑務所に収監されている間、オーストラリア政府は、彼の心身の健康が劇的に損なわれ、拷問的な監禁状態にあるという明確な証拠を持っていながら、「見ざる、聞かざる、言わざる」の態度をまったく変えようとはしなかった。

アサンジは豪政府に、米国が彼の種々の権利を侵害していることを伝えている:「自分が受けている行為は違法だ」

 特に、アサンジが大使館から、劇でも見ているような形で追放された1カ月後の2019年5月17日に、オーストラリア領事館員がベルマーシュ刑務所を短期訪問した際の記録は、豪政府の姿勢をよく表している。その面会の中で、アサンジは刑務所の状況や1日23時間の独房生活について詳しく語っている。

 「彼は1日の大半を独房で過ごし、毎日40分間は 『交友関係』 のために割り当てられている」と、複数のオーストラリア領事官は指摘する。「彼は毎日30分間、外に出ることが許されているが、そうならないこともあると言っている。」しかし、その理由は明らかにされていない。「長い間」全く食べられなかった彼は、現在「少量」を摂取し、台所から食事を取って独房に戻っていた。



 アサンジは毎月たった2回、個人的な面会と法律相談を許可されているが、最近、ニルス・メルツァー、ならびに拷問などの不正な扱いを受けながら表には出ない被害者をチェックする医学専門家2人と最近会ったこと、そしてこれまで自分の家族と話すことができていないことを彼は語った。

 この文書を書いたオーストラリア領事官員によれば、アサンジは、「奴隷労働」に従事することを拒否し、法的裁判の準備のために時間を必要とするという理由で、「独房から頻繁に出る機会を与えてくれる」労働プログラムを敬遠したとのことである。英国の刑務所の囚人たちは、大企業のために、過酷で報われない労働に従事し、週平均13ドルの収入だ。翻って大企業は囚人たちを搾取することで莫大な利益を得ている。

 感染が広がると命にかかわる歯根管治療のため、刑務所の医師から抗生物質とコデインを処方されたのは幸いだった。が、アサンジは老眼鏡に頼っている状態で、検眼士にもまだかかっていない。アサンジは、さらにある年配の刑務員が「私を目の敵にしている」ことを綿々と述べた。そして彼の独房検査で剃刀が発見され、検査後にそれを片付けなかったことを明記した始末書を訪問者に見せている。

 3回目の違反があれば、「運動する特権が取り消されるだろう」と文書に書かれている。報復を恐れたのか、アサンジは職員に刑務官たちにこの問題を刑務所上層部に報告しないよう求めている。明らかに、通常なら自殺の意思を明確に示すものと考えられるものが、単なる懲戒事項として記録されていたのだ。

 こういった心理的なダメージのほかに、アサンジが報告しているのは、血液検査を受けたら、HIV陽性と診断されたことだ。ショッキングな診断だ。しかし、その後の検査で検査結果は偽陽性であることが確認され、アサンジは誤診が単なるミスなのか、それとも 「別の何か」なのかと考えざるを得なくなった。これはグロテスクなまでに趣味の悪い心理ゲームと言ってもいいかもしれない。スウェーデンで彼が直面し、彼を狂気に追いやろうとしたでっち上げの性的暴行申し立てを思い浮かべても見当外れではないだろう。



 アサンジはまた、ベルマーシュ刑務所を訪れたオーストラリア領事官(複数)が、最近発行された英国内務省の国外退去通知書を持参して、当時のサジッド・ジャビット(Sajid Javid)国務長官が1971年の英国移民法に基づき、彼の英国での存在が「公共の利益に資さないため、遅滞なく英国から退去させる」と決定し、この決定に対して控訴する余地はまったくないことを告げた、と報告した。

 オーストラリア領事官員(複数)の文書には次のように書かれている:

 「アサンジ氏は、現在のプロセスを乗り切れるかどうかを懸念し、米国に連れて行かれたら死んでしまうのではないかと恐れています。アサンジ氏は、彼がエクアドル大使館に残しておいた彼の所持品を米国が調べていると主張しました。彼は、この行為は違法だと言っています。彼の所持品には、弁護資金を調達するために売却する予定の貴重な美術品2点、書籍2冊の原稿、法的文書が含まれていると述べています。彼は、自分の法的資料が米国によって自分に不利に利用されることの懸念を表明しました。」



 アサンジの危惧は的中して、機密文書は米国当局によって盗まれた。逮捕直後、彼の弁護士ガレス・ペアース(Gareth Peirce)は、この特権的な資料についてエクアドル大使館に連絡し、緊急に引き渡すよう要求した。ようやく彼の財産が回収されたときには、2冊の最高裁のファイルと「数ページのそれほど重要性をもたない通信文」を除いて、すべての法的書類がなくなっており、彼の身柄引き渡しの弁護は、これまで以上に困難なものとなってしまった。

 2020年初頭に行われたジュリアンの身柄引き渡し審理の過程で、バージニア州東部地区のゴードン・クロンバーグ(Gordon Kromberg)連邦検事補佐は、「汚染チーム」がこれらのファイルから資料を削除し、結果として裁判に使われないようにすると、できもしない約束をした。最近の控訴審でも、大同小異の口先だけの「保証」を連発した。

 逆に、CIAの請負業者であるUCグローバルが大使館を徹底的に監視して不正に入手した情報を悪用しないという疑問だらけの確約を公にすることすら、今のところ、していない。このスペインの民間警備会社は、あろうことか、大使館の女性用トイレを盗聴することまでやっていた。このトイレは、アサンジが詮索好きな耳や目から遠ざかり(それが彼の願望だった)、彼の顧問弁護士(女性)と議論をしていた場所だ。
                                        
 そんな状況にもかかわらず、ジュリアンはオーストラリア領事官(複数)との話し合いの中で、将来について漠然とした楽観主義を何とか失わず、まさに翌日行われたオーストラリアの連邦選挙の結果を受けて、「新政府が自分のために何か支援をしてくれるかもしれない」と示唆し、マリーズ・ペイン豪外相にその動向を報告するように頼んだ。

 結局、スコット・モリソン(Scott  Morrison)自由国民党は政権を維持し、オーストラリア領事官のアサンジ訪問の過程で判明したことについて、公には何の警鐘も鳴らすことはなかった。実際、ジュリアンの苦悩がいかに凄まじいものであったとしても、それについて口をつぐむことに何の変更もなかった。

オーストラリア外務省(DFAT)はアサンジへの「虐待が酷くなっている」ことについて何の関わりも持っていない、と言明。

 2019年5月30日、WikiLeaksはジュリアンがベルマーシュの医療病棟に移されたという衝撃的な発表を行い、彼の健康状態について「重大な懸念」を表明した。その直後、豪外務省グローバル・ウォッチ・オフィス(Global Watch Office)は、この投稿に注意を喚起する内部メールを発した。

 翌日、国連の拷問等に関する特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)は、「ジュリアン・アサンジに対する集団的迫害を今ここで終わらせるべきだ!」と宣言した。この国際的なベテランの法律家は、「戦争、暴力、政治的迫害の被害者と20年間関わってきて」、「これほど長い間、人間の尊厳と法の支配を無視し、一個人を、寄ってたかって、意図的に孤立させ、悪者扱いし、虐待する民主国家のグループを見たことがない」とも述べた。

 次にメルツァーは、米国、英国、スウェーデン、エクアドルによる「執拗で無制限の大衆動員、脅迫、中傷のキャンペーン」を声高に非難した。この4ケ国は、彼を「組織的な司法迫害や、エクアドル大使館での任意監禁から、恣意的な隔離、嫌がらせ、さらには監視に至る持続的でますます厳しくなる虐待」にさらしたことを根拠にしている。

 これに対し、豪外務省は声明を発表し、オーストラリア政府がアサンジに関して「精神的拷問に加担した、あるいはオーストラリア領事館が何の支援もしていない」との見方を否定し、「人権の確固たる擁護者、司法手続きの過程における人道的扱いの強い支持者」であると主張、アサンジは「適切に扱われている」との自信を示した。

 領事館が関与するすべての人に適用されるとされる「プライバシーへの配慮」のため、同省は彼の身体的・精神的状態に関するこれ以上の詳細を明かすことはしなかった。

 また、ロンドンのオーストラリア高等弁務団は、「ベルマーシュ刑務所当局に確認された健康上の懸念について「以前当局に報告し、対処してもらっている」とし、ジュリアンが保健室に移された後さらなる問い合わせをしたことを付け加えた。

 The Grayzoneに提供された文書によれば、オーストラリア政府はウィキリークスの発表を受けて、ベルマーシュに電話や郵便で何度も問い合わせを行ったが、いずれも6日間連続で回答がなかったという。では、なぜオーストラリアの高等弁務官は、文字通り生死にかかわる緊急の問題に介入して、直ちに事態を明らかにするよう要求しなかったのか?

 オーストラリア政府が足踏みしている理由が何であれ、2019年年8月8日付の領事ファイルには、ジュリアンがベルマーシュの病室に再入所したことを知らせる父親シプトンの手紙が記録されている。さらには弁護士が、豪外務省に対して「外交筋を使って独立した医療診断(つまり刑務所外の)を求める」ように要請するマリーズ・ペイン宛ての手紙を作成していたことが記されている。

 そして11日後、シプトンは、アサンジの兄のガブリエル(Gabriel)が最近刑務所を訪れ、アサンジの「状態の悪化」に心を痛めていることに触れ、オーストラリア総督のデビッド・ハーリー(David Hurley)とモリソン(Morrison)の両氏に不安を訴える手紙を書くことになったという。

 10月21日、アサンジは身柄引き渡し事件の公判前審問のため裁判所に出廷した。主要メディアで大きく報じられたように、彼は虚弱で混乱した様子で、裁判官の質問に対して必死に自分の名前と生年月日を思い出そうとした。裁判長が、「今どんな状況かわかりますか?」と尋ねると、アサンジは「よくわかっていません」と答えた。このことは、ベルマーシュ刑務所で収監生活を送ってきたせいで、「適切に考える」ことができなくなってしまったこととも考えられる。


10月21日の公聴会を獄中から見守るアサンジ(左上)の法廷スケッチ画

 
 アサンジは、「どうしてこれが公平なのか理解できない。何も調べることができないし、自分の書いたものにもアクセスできない。この状況を何とかしてもらいたい」とはっきり述べた。

 アサンジの弁護士マーク・サマーズ(Mark Summers)は、2020年2月に予定されている最初の身柄引き渡し審問を、事件の複雑さを理由に3カ月遅らせるべきだと主張した。「この事件の証拠を揃えることは...どんな弁護士が取り組んでもほぼ無茶だ」とサマーズは述べた。さらに、コンピュータへのアクセスがないことから、拘置所にいる依頼人のアサンジと連絡を取ることが非常に困難であることを問題視した。

 裁判官はこの要求を拒否した。その結果、ジュリアンは審問のわずか数週間前まで、「適切な意見陳述をするための必要な最低限のアクセス」を奪われることになるだろう。

アサンジの弁護人、オーストラリア外務省に「差し迫った危機」を警告

 3日後、アサンジの弁護士ガレス・ペアース(Gareth Peirce)は高等弁務官事務所に手紙を出し、領事官の体表者が法廷に出席していれば、「法廷にいた全員が観察して明らかだったことを間違いなく指摘したでしょう」、つまり彼女の依頼人アサンジは「衝撃的なほど状態が悪く...精一杯だったのはその状況に対処することだけではなかったのです。自分が言いたいことをはっきり言語化することにも苦労していました」と強く主張した。

 信じがたいことに、トランターが発見した豪外務省の報告書には、ジュリアンのみすぼらしい姿や、明らかに精神状態がおかしくなっていることについては、まったく触れられていない

 さらにピアースは、このような状況下では、アサンジがオーストラリア政府に彼の医療に関する情報を提供することを刑務所職員に許可しなかったのは当然であると主張した。「(この医療に関する情報は)法を甚だしく無視した形で、一定期間洩らされていました。あろうことか、ベルマーシュ刑務所にいる間ですら、少なくとも1回は誤った情報が、刑務所内の情報源から、報道機関に流されているのです。」

ピアースの手紙の続き:

 「私たちがこうして口にできていることを、独立した専門の臨床医を含む人の綿密な観察に基づいたものとして、高等弁務官が受け入れることを望みます。ベルマーシュ刑務所が呼んだ少なくとも1人の独立した医師を含む、刑務所に提供されたあらゆる専門家の警告は無視されてきました。差し迫った危機(強調は筆者)に介入することで、事態の改善と危機回避に貢献してくださるのであれば、いつでも喜んでお会いしたいと思います。」

 そして、11月1日、領事関係者がベルマーシュを訪れたのである。そのやり取りの中で、アサンジは、豪外務省がメディアに対して行った、彼が支援の申し出を拒否したとする虚偽の発言を批判した。

 次に、刑務所の医師がアサンジの状態を「心配している」ことを明らかにした。実際、アサンジは自分の心理状態が「精神活動が停止するほど悪い」と言っており、ほぼ常時隔離されているため、「考えることも、弁護活動の準備をすることもできない」と言っている。

 筆記用具すらなく、調べ物もできず、弁護士との面会でも書類を受け取ることができず、郵便物はすべて刑務官に読まれてから渡された。

 ロンドン大学のマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)名誉教授(神経精神医学専攻)は、ジュリアンがベルマーシュで過ごした最初の6カ月間の面会、両親、友人、同僚、彼のパートナーで、彼との間に2人の子どもを儲けたステラ・モリス(Stella Morris)との会話に基づいて、ジュリアンの精神状態についての報告書を作成した。

 ヴァネッサ・バライツアー(Vanessa Baritser)判事が1月に下した米国の身柄引き渡し請求に関する判決で明らかにしたように、コペルマンはジュリアンを重度の再発性うつ病性障害と診断し、時には幻覚などの精神病的特徴を伴い、頻繁に自殺願望を抱くこともあると述べた。

 さらに、睡眠不足や体重減少、集中力の低下、泣き出しそうな状態が続き、疲れ果てるまで独房内を歩き回り、頭を殴ったり、壁にぶつけるなど、激しい興奮状態に陥った。

 アサンジはコペルマンに、自分の人生は生きるに値しないと考えており、「1日に何百回も」自殺について考え、自傷行為や自殺をしたいという「絶え間ない欲求」があると教授に語った。さらに自殺の仕方についても事細かに説明しているが、「それは十分実行可能だ」と教授は考えた。

 「サマリタンズ」(精神的苦痛や対処に苦しんでいる人、自殺の危険がある人に精神的支援を提供する英国の慈善ヘルプライン)への電話は「事実上」毎晩のようにかけ、連絡が取れない時には、アサンジは孤独感を紛らわすために自分の太ももや腹部を切りつけていた。

 コペルマンは、アサンジが米国で長期間独房に拘束された場合、彼の精神衛生は「実質的に悪化し、持続的な重度の臨床うつ病と不安障害、PTSD、自殺願望の深刻な悪化が生じる」と結論付けており、特に英国で得られるさまざまな「保護要因」が米国にはないためであるとしている。

バライツァ判事の判決文から:

 「例えば、彼はほぼ毎日パートナーと電話で話し、監禁前には彼女と子供たち、様々な友人、父親、その他の親族が訪ねてきていた...[コペルマンは]、非常に高い自殺のリスクを示すことが分かっている危険要因が山のようにあると考えた。彼は「米国への引き渡しが迫れば、アサンジ氏は自殺する方法を見つけると、精神科医としてこれ以上ないほど確信している」と述べている。」

 この教授の報告は、引き渡し命令が却下される根拠となった。これまでバライツァ判事が判決を下した事件の96%引き渡しを認めていることを考えると、驚くべき結果である。

 それにもかかわらず、彼女は司法省が提出した他のすべての議論と告発を受け入れた。事実上、多くのまったく正当なジャーナリズム活動を犯罪とし、どの国の国民も、米国の法律に違反の疑いがあれば米国に送還されることができるという冷酷な前例を作り、したがってワシントンの法的管轄が世界規模で行われていることを暗に示したことになる。



アサンジに関するオーストラリア外務省と米国務長官との話し合いが全面的に編集される

 この判決を受けて、オーストラリアのシャドー司法長官マーク・ドレフュス(Mark Dreyfus)は力強い声明を発表し、特にジュリアンの「不健康」を考えると「この問題は十分に長く引きずっている」と野党労働党は考えていると宣言し、モリソン政権に対して「この問題にけじめをつけて、米国政府にこの問題を終わらせるよう促すためにできることをする」よう要求している。

 これに対して豪外務省は、役所独特の簡潔で魂を欠いたメモを発表した。オーストラリアは「この事件の当事者ではなく、現在進行中の法的手続きを尊重し続ける」とだけ述べ、ジュリアンがオーストラリア領事館からの援助の申し出を何度も拒否したという以前の誤った主張を蒸し返した。
 
 オーストラリア政府は、6月にアイスランドの出版社Stundinが、2020年9月にアサンジに対して起こされた「上乗せ起訴」が、シッギ・ソーンダーソン(Siggi Thordarson)という男の、虚偽とわかっている証言を基になされた詳しい経緯を明らかにしても、ただ無言だった。アサンジとウィキリークスの他の人間が「ハッカーを募集してコンピュータ侵入を行うことに同意した」との起訴内容だ。シッギは 詐欺師、社会病質者、そして小児愛で有罪判決を受けたことがある。彼は以前ウィキリークスから巨額の資金を横領し、創設者を内部から弱体化させるためにFBIに採用された人物である。

 オーストラリア政府がアサンジの起訴を知っていたと考えるには十分な理由がある。2020年7月、ペイン外相は「二国間協議の主要な場」である豪米閣僚協議大会でマイク・ポンペオCIA長官と会談している。

 トランターは二人が同じ場所に居合わせることになった詳細について情報の自由を要求したが、彼女が受け取った文書は完全に編集されたものだった。2021年5月のペイン外務大臣とアントニー・ブリンケン(Anthony Blinken)国務長官のトップ会談に関するファイルも同様である。

  この会談でアサンジが話題になったことはほぼ確実だ。豪外務省の言い分

 ①ペイン外務大臣が9月にブリンケンに再会した際に「この状況について提起した」、

 ②ペイン外務大臣自ら、2020年2月にキャンベラを訪れたドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相とアサンジの処遇に関するオーストラリアの「期待」を具体的に議論した。

 トランターはこの会談に関する記録も要求したが、何も存在しないと言われている。

 ジュリアンが逮捕されたとき、モリソン首相は「他のオーストラリア人と同じ待遇を受ける」と断言した。

 「オーストラリア人が海外に渡航し、法律上の問題に直面した場合、その人は当該国司法制度に向き合うことになります。犯したとされる犯罪がどのようなものであるかは関係ありません。そんな風に現在の制度は動いています」とモリソン首相は語った。

 しかし、トランターがオーストラリア司法長官事務所から入手した2019年4月5日付の内部メールは、徹頭徹尾アサンジに対する侮蔑の念で貫かれたものだった。メモには「参考までに:アサンジは立ち退きを迫られるかもしれません。彼の弁護士団が彼に対するオーストラリアの責任について(あまり説得力のない)[強調は筆者]主張をするかどうかはわかりませんが、注意する価値はあると思いました」とはっきり書かれている。

 例によって、オーストラリア当局はアサンジの引き渡しが迫っていることについて公の場で何も語っていない。

 アサンジの扱い、そして彼の投獄、刑務所の状況、彼を執拗に追跡するためにワシントンが行ったあからさまな手続き上の虐待、ウィキリークス創設者であるアサンジを誘拐and/or殺害するCIAの計画に対する怒りが全くないことは、2018年9月にスパイ容疑の疑いで10年間イランに投獄されたオーストラリア系英国人の学者、カイリー・ムーア-ギルバート(Kylie Moore-Gilbert)に対するオーストラリアの対応と大きく乖離している。

 秘密裏に、オーストラリア外交団がほぼ2年間必死に動き、カイリー・ムーア・ギルバートは解放された。結果的に、彼女はタイにいる3人のイラン人受刑者(うち2人は2012年にバンコクで起きた爆破テロ事件に関連して有罪判決を受けた)と交換されたことになる。ペイン外相は声明の中で、ムーア・ギルバートが「(外交団の)プロフェッショナルで断固とした働き」の結果、ようやく解放されたことに安堵感を示し、オーストラリア政府は彼女が拘束された理由を「一貫して認めなかった」と述べている。

 一方、オーストラリア政府は、アサンジに対するアメリカ政府の立場を一貫して強化してきた。実際、オーストラリア政府関係者は時として、米国政府よりもさらに先に進んで、アサンジと彼の行動を公に非難してきた。

 2010年12月、当時のジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は、ウィキリークスが米国の外交文書を公開したことは、アサンジが「違法行為を行っている」ことを意味すると宣言し、連邦警察が「関係者の犯罪行為の可能性について助言する」ために捜査を行っていると発表した。しかし、オーストラリア政府に対して公平であろうとすれば、そこで選ばれた代表者は事実上、この問題に対して選択の余地がないのかもしれない。

 調査ジャーナリストのダンカン・キャンベル(Duncan Campbell)によると、ファイブ・アイズの各メンバー国は理論上、諜報機関が収集した個人、グループ、組織に関する情報提示の要求に対して別のメンバー国が拒否する権利を有している。しかし、キャンベルの説明では、「オーストラリアやニュージーランドのような後輩挌のメンバー国であれば、決して拒否することはない。」たとえ、表向きのメンバー国となっている国がその機密情報をどう扱うか懸念されるような状況であっても、である。

 トランターが入手し、The Grayzoneに提供した文書には、オーストラリアというファイブ・アイズの後輩挌メンバー国の国民の一人が、長年にわたって彼を追ってきた帝国権力を裏切ったことが、あからさまに示されている。ジュリアン・アサンジの権利がことごとく侵害される中、オーストラリア政府もその加害者の側にいたようだ。

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目撃者が語るカザフスタン動乱の真実。「この社会不安は何者かの扇動によるものだ」。

目撃者が語るカザフスタン動乱の真実。「この社会不安は何者かの扇動によるものだ」。

<記事原文>

Kazakhstan: Eyewitnesses Say Unrest Is Being Coordinated

サイト・フリーウエストメディアの記事より

グローバルリサーチ、2022年1月09日

フリーウエストメディア2022年1月7日


<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月18日



 アルマトゥイの暴動はプロ集団によって長期間にわたり計画されたものであったと、YouTubeで放送されたソロビエフ・ライブ・チャンネルの生放送で、ウズベキスタンのジャーナリストであるウズルベク・エルガシェフ地域の専門家が報告しました。

 彼は、200万人都市アルマトゥイの住民たちと電話で会話したことに触れ、「(住民たちによると)暴動や略奪に関わった人々はアルマトゥイの住人ではなく、またSUV車に乗った迷彩服を着た人々が暴動を統率していた、とのことです」と語りました。

 普通の群衆なら、あんなによく組織だって、迅速な行動ができないはずだ、と彼は強調しました。「警察により押収された物品を見れば、誰かが統率していたことは明らかです。そして群衆はたまたまそこにいた人々ではなかったのです。あの暴動は、指示に基づいたものだったのです。」

 この暴動に関わったものたちは、少なくとも6ヶ月かけて準備を行っていた、と彼は付け加えました。

 今回のカザフスタンの抗議行動は、ウクライナのマイダンで起こった「蜂起」と同じような形態です。マイダンの「蜂起」は、LPG価格の高騰に対する「自発的な」抗議を装ったものでした。今回のカザフスタンでの抗議行動は、わずか数日で全国規模に広がりました。暴力的なデモ隊が、次々と政府庁舎を占領し、軍と警察部隊全体を武装解除しました。

関連記事:同じ恐怖が、違った年にも 



 2020年6月、カシム・ジョマート・トカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領は、暗号通貨マイニングを合法化するための新しいデジタルコードと、銀行による暗号通貨口座の提供開始を承認しました。

(訳注:暗号通貨・マイニングとは、暗号通貨による取引に関わる情報をチェックしたり承認したりする行為のこと。その行為の報償として、マイナー(採掘者)には暗号資産が付与される)

 カザフスタンは、仮想通貨・マイニングでの使用電力で、世界第3位です。(訳注:暗号通貨マイニングには大量の電力消費が必要となる)。暗号通貨の最大の生産国であった中国が暗号通貨の使用を禁止した後、世界中の多くの暗号通貨マイナーがカザフスタンのサーバーに切り替えました。中国最大のマイナーの一人であるBITマイニングは、320のサーバーを持つカザフスタンに拠点を移し、カザフスタンは少なくとも20の暗号ファームを持つ国になりました。

 今回の動乱が起こる前、カザフスタンは世界の暗号通貨・マイニングで米国に次ぐ2位になり、カザフスタンの世界のビットコイン・マイニング占有率が、昨年6月の8.8%から18.1%に増加していました。

 ロシア、中国、米国ではkWhあたり9~11セントかかる石炭発電電力が、カザフスタンでは平均5セントで提供されています。しかし、今回のカザフスタンの暴動により、世界のビットコインの計算能力の12%が消滅させられることとなりました。

 ロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)は、カザフスタンに平和維持部隊を派遣すると発表しました。同部隊は今アルマトゥイに派遣されていますが、反乱を終わらせるのには数日かかることになるでしょう。ロシアの軍隊が入ったため、ことはワシントンではなくモスクワに有利に働くでしょう。



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オミクロン株がクリスマスを台無しに。この道は世界中での金融崩壊とインフレと、デジタル化に繋がっている

オミクロン株がクリスマスを台無しに。この道は世界中での金融崩壊とインフレと、デジタル化に繋がっている。
<記事原文 寺島先生推薦>
COVID-Omicron is Killing Christmas. The Roadmap Towards a Worldwide Financial Crash, Inflation, Digitization
ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)
Global Research 2022年1月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2022年1月19日
<この記事の初出は、Global Research 2021年12月24日>


 COVID変異株と呼ばれているオミクロン株が単離されたことはない。国連加盟193カ国が異口同音に伝えようが、大手メディアが口をそろえて報じようが、裏切り者の国連加盟193カ国の街中で人々が噂しようが、オミクロン株について現在流布している言説は嘘八百だ。

 オミクロン株で人が亡くなっているというのは真っ赤な嘘だ。

 人々が亡くなっているのは、他の多くの死因によるものである可能性がある。例えばmRNAワクチンが死因かもしれない。こんなワクチンはワクチンとは呼べない。遺伝子を変えてしまい、免疫力を破壊してしまう注射なのだから。さらに製薬業界に買収されているメディア各社(そのメディアは主に西側メディアだが、それ以外の国々のメディアもある)は、ほぼ2年間にわたって、人々の死をCOVIDや、いわゆる変異種によるものであると報じてきた。そして、その変異種は恐ろしいものだとされているが、(ご注意あれ、何度繰り返しても繰り返しすぎにはならない事実だ)、この変異種はこれまで単離されたことも、特定されたこともないものだ。

 デルタ株に始まり、今はオミクロン株だ。この2株はいずれも単離されたことはない。人々の大多数(もう一度繰り返させていただきたい。国連加盟193カ国の人々のことだ)は、恐怖心と敬意から、こんな嘘を真に受けてしまっている。まるでこの嘘が事実であるかのように。自分たちの政府が自分たちに嘘をつくことなどありえないと考えているかのように。国連体制が世界の人々を騙すなんてことはあり得ないかのように。そんなことは本当にあり得ないことなのだろうか?いや、十分あり得る話なのだ。

 もちろんそれを確認するのは難しいことだ。しかし最終的にそのことを私たちは突き止めなければならない。そうしなければ、人類は奈落の底に突き落とされ、もう引き戻すことはできなくなるだろう。いわゆるオミクロン「変異種」は突然どこか不明なところから出現し、最終的には都合良く南アフリカ起源であるとされた。南アフリカにしておけば、痕跡を追跡し、真実を突き止めたがる人は誰もいないだろうからだ。そのためオミクロン株の発祥地を見つけることが非常に困難になった。

 しかしオミクロン株はクリスマスシーズンに合わせて用意されたのだ。そうなればロックダウン措置や、半ロックダウン措置や、社会的距離の確保や、家族の別離が可能となるからだ。クリスマスは、西側諸国で最も重要視されている季節だからだ。そうなれば人々は悲しむだろう。怒る人々も出てくるだろう。しかし再び恐れをなし、怖がる人々の方がほとんどだろう。「次はどうなるんだろう?」と恐れる人々のほうが圧倒的に多いだろう。それでも人々は命令に従う。そうして人々はまた一歩譲歩する。来たるべき専制政治の完全なる実現に向けて、さらに一歩踏み出すのだ。ご注意を。既に専制政治は眼前にある。全ての人々か気づいているという訳ではないというだけだ。

 ワクチン接種者が非接種者を責めるだろう。そうやって社会的な分離や、分断が生まれる。それは同じ国民でも、知り合い同士でも、友人同士でも、さらには同じ家族内においても、そんな分断が続けられる。これが、何千年もの間使われてきた「分断して統治せよ」という手法だ。

 「恐ろしく、感染力も高い」オミクロン株の抑えが効かないくらい広まって、病床が想像できないくらいの規模で埋まってしまう事態を避けるため、オランダは2022年1月14日まで完全なロックダウン措置をとることを決定したと、スペインのEl Pais紙は報じている。

 つまりオランダ政府は、12月19日(日)の午前5時から、2022年1月14日まで、人々を厳格な牢獄に閉じ込めることを決定した、ということだ。

 すべてのホテル、レストラン、文化行事、生活必需品ではないものを売る店舗、スポーツ大会、ジムが閉鎖、あるいは中止される。各家庭がクリスマス休暇中に受け入れることができるのは13歳以上の大人たった2名だ。

 他の国も続くのだろうか?おそらくそうだ。

 生きるために必要なすべての活気が、オミクロン株のせいで絞り出されなければならない。これが最終手段だ。人々を抑え込み、実在しないことを実在すると信じこませるための。

 びっくりさせられるのは、人々がなぜこんなにも従順なのか、ということだ。なぜ人々はこんな嘘を真に受けるのだろう。これが嘘だとますます明らかになってきているのに。流されている言説がどんどん意味をなさなくなっているのに。言っていることが以前言っていたことと矛盾しているのに。それでも人々は目を開けない方を望んでいるのだ。

 外出を禁じられ、従順であるほうが、反抗したり、真実を追究したりするよりも都合がいいからだ。

 しかし真実は眼前にあるのだ。様々な矛盾が目の前で繰り広げられている。目に入っているはずだ。笑い飛ばせるはずだ。それなのに人々は嘘に従っている。ほんとうにそうだ。そのほうが都合がいいからだ。「わかった」と言えば、「困難はなくなり、すべてうまくいく」と思っているようだが、そんなことはない。自分たちが心地よく暮らす権利は、生まれながら神から与えられたものではない。そのことを忘れてしまわないよう、自由を求めて闘い続けなければ。

 「連中(つまり世界経済フォーラムや、世界保健機関や、ゲイツ財団や、ロックフェラー財団などの裏側にいるお目にかかりにくい獣たちのことだ)が、世界中をロックダウンしてしまうことに再度成功すれば、そのロックダウンはきっと最後になるだろう。人々がきっと立ち上がる。人々はきっと立ち上がり、専制政治や独裁政治を課そうとする権力に立ち向かう。これらの権力が拠り所にしているものは何もない。ただただ抑圧したいだけだ。すべてを破壊したいという欲望を叶えたいだけだ。すべてとは、現在の経済体制や、何十億人もの世界の人々の生活のことだ。そうして数え切れない数の倒産を引き起こして、資産を我が物にしたいだけだ。なんとケツの穴の小さいエリートなんだろう。そして連中が次にやろうとしているのは・・・

サイバー・ポリゴン(多角形)とは?

 幾何学の定義における多角形とは、相隣る頂点が一つの辺に接続し、かつ、相隣る辺が一つの頂点に接続する、閉じた図形のことである。最も単純な多角形は三角形(3面)であり、次が四角形(4面)、そして五角形(5面)だ。


 世界経済フォーラムはこの多角形という用語を、「サイバー攻撃パンデミックの予行演習」に使用している。この予行演習は2021年7月にオンライン上のイベントとして開催された。世界経済フォーラム関係者は、この演習を或る状況が起こった際の訓練だと称していた。クラウス・シュワブが実際以下のように語っていた。

 「これは、総合的なサイバー攻撃が起こった際の恐るべきシナリオに基づく演習であり、実際に起こってしまえば、電力供給や、交通手段や、病院など社会全体が止まってしまうことになる可能性がある。そういう意味では、このような大規模なサイバー攻撃がひとたび起こったことと比べれば、COVID-19による危機などたいしたことはないものに映るでしょう。」

 世界経済フォーラムのジェレミー・ジャーゲン(Jeremy Jurgens)常務はこう語っている。

 「私はさらなる危機が生まれると考えています。その危機はより重大なものになるようです。COVID-19危機で目にした影響よりも、その危機による影響が回るスピードは速いでしょう。影響もより大きく、その結果、経済や社会はより大きな打撃をうけることになるでしょう。」

 上記の引用元の記事の全文はミシェル・チュフドフスキーの以下の記事を参照。

Towards Another Devastating Worldwide Crisis? The WEF’s “Cyber Attack With Covid-like Characteristics”. Paralysis of the Power Supply, Communications, Transportation?」


 この演習の話を聞いていると、2019年10月18日に行われたEvent201という演習と非常によく似ているように思える。Event201はニューヨーク・シティで開催された、世界経済フォーラムや、ビル&メリンダ財団が資金を出していたイベントだ。Event201は、この先の世界の変容の準備をするために行われた。それはまさにSARS-CoV-2ウイルス、のちに世界保健機関によりCOVID-19と改名されたウイルスの出現による世界変容の準備のために行われたものだ。COVID-19騒ぎにより、人類史上なかったような規模で経済が破壊されている。この破壊は、これまで近代歴史上起こってきた、人為的な災害や、自然災害による破壊を超えるものだ。

 サイバー攻撃パンデミックによる影響力は、COVIDよりもずっと大きく、ずっと速くなるだろう。それが連中の計画なのだから。サイバー攻撃パンデミックにより経済の主要な要素は止められ、残された資源はすべてトップに吸収されることになろう。さらに、このパンデミックにより、何億、いや何十億の人々に、筆舌に尽くしがたい困難をもたらすだろう。特にこの攻撃が北半球の冬の季節に起こされたとしたなら。食料供給は阻害され、暖房器具は動かなくなり、貧困と、寒冷と、飢餓が巻き起こされるだろう。そうなれば多数の人々が亡くなってしまう。毒のようなmRNAワクチンから逃げ延びられている人々も、被害を受けてしまうだろう。

 このサイバー攻撃パンデミックもよく練られた計画なのだろう。

 これが2021年12月20日に、世界経済フォーラムが、2022年1月にダボスでの毎年の年会を2022年夏の初旬に延期することを決めた理由なのだろうか?こちらの記事を参照。


 人々にはこの企みに立ち向かう時間が残されているだろうか?多角的なサイバー攻撃の動きに気付き、立ち上がり、防ぐことができるだろうか?

 クラウス・シュワブやシュワブを先導し、世界経済フォーラムを主導し、統率している者たちは、自分たちが言っていることが矛盾しているどころか、物議を醸すくらいにおかしくなっていることに気づいていないのだろうか?気付いているのかもしれない。でもそんなことは気に、していないようだ。

 かつてビル・ゲイツが語っていた。(彼になりきって言ってみよう)。「私がいなくなったとしても、私の代わりをしてくれる人がきっと出てくるでしょう。この体制は周到に構築されているので、空白が残されたままになることはないのです。」


 ほぼ同じことが、クラウス・シュワブなど明らかに邪悪な意思を持っている多くの人々にもあてはまる。連中が演じているこのカルト寸劇の一部は目に見える。連中はあらかじめ人々に伝えておかないといけないからだ。「注意しろ、今から俺たちはこんなことをするからな」と。

 首尾よく実行するためには、人々に呪文をかけ、彼らの企みを見せておく必要がある。人々の目に映るものは信じがたいものなので、人々は信じようとはしない。しかし悪魔のようなカルト集団は、ただただ自身の義務を果たそうとしてきたのだ。

 Covid騒ぎからの目覚め。「人類の5%でも革命は始められる」

 私の考えでは、COVIDのまやかしに気付いているのは、世界人口の2割から3割の人々だろう。少なめに見積もっても、だ。今手を付ける必要があるのは、これらの人々と団結してつながることだ。そして、地球上の総人口80億人とつながることだ。

 そして戦いを組織しよう。「分断して統治せよ」という手口に長けた連中の企みを阻止し、好機を与えないことを必ず成し遂げよう。

 私たちと一緒に共同戦線をはろうとしてくれているのは誰だろう?

 ライナー・フェルミッヒ(Reiner Fuellmich)博士は、COVIDまやかしに対して裁判をおこした先駆者である。同博士はこの裁判を「新・ニュルンベルク裁判」と呼んでいる。

 この裁判で思い起こされる「元祖ニュルンベルク裁判」は、第二次世界大戦直後(1946-47)にほぼ1年間にわたって起こされた裁判だった。

 今の世界情勢は、第3次世界大戦のシナリオが進んでいると言えるのだが、ple-rising-up/" >戦車も、銃も、核爆弾もないが、この戦争に対して、新たなニュルンベルク裁判が起こされている。これが「新ニュルンベルク裁判」だ。

こちらの記事を参照

Attorney Reiner Fuellmich on Nuremberg 2.0: Justice will Not Come Through the Courts but by the People Rising Up.

 フェルミッヒ博士は最近、ポーランドで行われた自身のコロナ調査委員会の会議で分かったことの多くを明らかにしている。そして博士が明言したのは、 他の多くの専門家たちがここ数か月言い続けてきたことと重なるのだが、「法体制はグローバリストたちの手にあり、運営され、統率されている」という事実だ。そのため世界中で裁判が起こされることがないであろうという見通しだ。ドイツでも、スイスでも、フランスでも、オーストリアなどのEU加盟のすべての国々や、米国や、世界のほとんどの国々でも。

 博士はこう語っている。

 「この騒ぎを終わらせるには、人々が立ち上がり、権力に対して“これ以上は譲ることができない”という意思表示をするしかありません。」

 「それを裁くのは法廷ではないからです。法廷に持ち込めば、問題が解決することもあります。しかし私が恐れているのは、法廷がきちんとした裁きをだしてくれるのか、という点なのです。法関係者たちには、グローバリストたちの手が入り込んでいるため、私たちは全く新しい法体制を設立することから始めなければならないのです。」

 第2次世界大戦後に行われた元祖ニュルンベルク裁判は、当時のグローバリストたちを裁くことはできなかった。当時のグローバリストたちは、第二次世界大戦の当該国両側に資金援助をしていたのだ。具体的には、IBMや、フォード社や、ロックフェラーのスタンダード・オイル社などの企業の金持ちの重役たちが裁かれることは決してなかった。言わずもがな、人類に対する彼らの罪、すなわちヒトラーやナチズムを台頭させたことに対して罪が宣告されることはなかった。これらの富裕者たちこそ、8千万人以上の戦死者および戦争に関連した死者を出した大きな元凶だったのに。

 「ただ指示に従っただけ」のナチの医師たちが裁判にかけられ、有罪判決を受け、処刑された。しかしその指示を出した人々はそうはならなかった。

 『ニュルンベルク裁判』という映画を見られたことがあるだろうか?1961年の秀逸な法廷映画だ。輝かしい評価を受けた映画で、ドイツ側の弁護人を演じた主演のマクシミリアン・シェルはアカデミー賞を獲得した。見るべき価値のある映画だ。

(この映画の動画は原文サイトからご覧ください。訳者)

 ハリウッドが描いた元祖ニュルンベルク裁判の弁護士の姿は、見る価値がある。というのもその描かれ方が、実際の裁判の様子にかなり肉薄した内容だったからだ。

 フェルミッヒ博士や、博士の仲間たちが言っていることは非常に重要なことである。それは博士たちが暴こうとしているのは、COVIDにかかわる陰謀の全貌だからだ。博士はこう語っている。

 「陰謀論などはもう残っていません。すべてが真実であることがわかり、もはや陰謀論などはないのです」

 新ニュルンベルク裁判に関して、ライナー・フェルミッヒ博士はこう語っている。

 「この裁判が世界に伝える最も重要なメッセージは、実際の目撃者たちから伝えられるメッセージです。これらの目撃者たちが説明してくれるのは、自分たちの身に何が起こったか、どんな苦しみを体験したのか、自分たちの事業がどう破壊されたのか、愛するものをどうやって失ったか、そしておそらくワクチン接種の副作用や、副反応によって気力をどうなくしたのかについてもです。」

 さらにこうも語っている。

 「立ち上がりましょう。そして連中に”地獄に落ちろ“と叫びましょう。連中は地獄から来たのですから。」

爆弾情報。ファイザー社の極秘「死の報告書」

 「ワクチン接種計画が開始されて2ヶ月半くらい経過した2021年2月の時点で、ファイザー社はすでにワクチンによるものとされる1200件もの異常があったという報告を受けていた。そして何万もの副反応の報告を受けていた。その中には、270名の妊婦のうち、23件の流産があったことや、2000件以上の心臓異常の報告も含まれていた。」 (サイトElection Wizardの記事から)

 以下はファイザー社の内部資料だ。

 ファイザー社の極秘報告によると:

 「この報告は情報公開法に基づいて行われたものであり、2020年12月から2021年2月末までに実施されたワクチン接種後に起こった死亡や副反応についての報告である」。本当にごく短期間(ほぼ2か月半)のことだ。

 皮肉にも、この「内部報告書」に示された数値は各国政府や、世界保健機関により広められた公式見解と相いれない内容になっている。

 この報告書がさらに明らかにしたことは、無数の医師や科学者たちの分析によれば、mRNA「ワクチン」は恐ろしい結果を招くことが明らかになっているという事実だった。 (こちらのミシェル・チョスドフスキーの記事を参照)

 本Global Researchが明らかにしたファイザー社の極秘報告の内容によると、ファイザー社は事実上「自己の過ち」を認めていることがわかる。「そうです。本社のワクチンは死のワクチンです」と。

金融崩壊・インフレ・デジタル化

 投資。何もないものから泡のように金を生み出し続けるこの仕掛けと、それに伴って生じている果てしなきインフレのことと合わせて考えれば、この先西側諸国が引き起こすであろう巨大な金融崩壊が目前に迫っていると予想せざるを得ない。

 巨大企業や、巨大銀行などの金融機関を助けるためにカネが使われたが、その巨大なカネはUSドルか、USドルの舎弟分のユーロ建てによるものだった。これは危険な兆候だ。しかし誰も気にしていない。西側諸国の金融体制が、第4コーナーを回ってしまったことを示す兆候だ。

 ウイリアム・エングドールの以下の記事を参照。「Will the Federal Reserve Crash Global Financial Markets As a Means to Implementing Their “Great Reset”?」

 金利はほぼゼロに近づいている。マイナスになっている金利さえある。これはもうすでに終末を迎えているという兆候だ。今の西側諸国の何のよりどころもないポンジ・スキーム(訳注:詐欺的な運用法)の下での金融体制が終わりを迎えつつあるということだ。いつかはそうなると予想されていたのだ。そのことをわかっていた人々もいる。真剣に物事を考える銀行家たちはわかっていた。しかし利益獲得にしか頭が回っていない西側の新自由主義世界の人々は、わざと目を閉じている。

 活動をやめないでおこう。可能な限り。新しい金融体制の構築に向けて。完全に改変された経済モデルに基づいた金融体制を構築しよう。その金融体制においてはUSドルやユーロに基づくGDPでは中国やロシアなどの東側諸国のGDPは比較できなくなる。

 金融崩壊は供給網の崩壊によりさらに加速させられている。その供給網の崩壊のほとんどの原因が、都合よくCOVIDのせいにされ、もう一つの要因が隠される中で、連中は経済を我がものにし、さらなる倒産や、苦境を生み、さらなる現金と、(株価的に)名ばかりの価値のない資産がトップの資産家たちに流れる仕組みができている。

 この時点で登場するのが各国の中央銀行だ。その中央銀行を取り仕切っているのが、スイスのバーゼルにある国際決済銀行 (BIS)だ。(所在地は重要だ。その理由はこの先数年たてばわかるだろう)。BISが借金で膨れあがった体制を停止させ、世界金融体制におけるグレート・リセットの準備をするのだ。

 このグレート・リセットにかかわる主要な金融改革の一つに、金銭のデジタル化がある。この「チップ」を使って、悪名高いQRコードを使ったすべてのデジタル化をしてしまうのが最終ゴールだ。

 QRコードを使ってすべてをデジタル化してしまう(最終的には人体の皮膚下などに埋め込まれることになるだろうが)ことは、すでにスウェーデンで臨床試験段階に入っている。人々(“私たち”といってもいいだろう)はますます個人の自由や、自分たちのお金や、自尊心に制限がかけられるのだ。最後には完全に連中の統率下に置かれ、ただの操り人形と化してしまうだろう。

 私には連中が偽善がましい笑顔でこう言っている姿が目に浮かぶ。「そんなことはありませんよ。そんなことを言っているのは陰謀論者です!」

 皆さんが無事であることをお祈りする。しかし無事であるためには、皆が目を覚まさないといけない。私たち(人類の3割程度だろうか?)はすでに目覚めている。その私たちが団結し、ほかの人々と手を結ばないといけないのだ。そうすればこのろくでもない、邪悪な体制を止めることができる。もうこれ以上先に進ませてはいけない。

 中央銀行主導のデジタル紙幣などいらない。欲しいのは自国が主権を持っている現金経済だ。

 すべてをデジタル化することなどは不要だ。

 私たちを外から、ましてや体内からQRコード化させることには反対だ。



世界の金融を操作しているのは誰だ?


 米国の資産運用会社であるブラックロック社やバンガード社、ステート・ストリート銀行、ファイディリティ証券会社これら4社は相互でつながっている株主だ。この4社が合わせて20兆ドルの運用資産を統括している。この額は米国GDP総額と同規模であり、少なめに見積もっても、実質はその4~5倍の資産能力を所持している。

 つまり80~100兆USドルほどの資産能力があるということだ。この規模は世界のGDPの総額である82兆ドルに匹敵する。

 この事実こそ、国連加盟193か国や、国連自体が足並みをそろえて、わかっていながら社会や、世界経済や、人類を破壊するような命令を出している理由になるのではないだろうか?

 すべての情報を考慮に入れれば以下のことがわかる。

(i)平常心を逸脱させるようなプランデミック。 COVIDにきりのない「変種」あるいは「変異種」を出現させる手口だ。この作戦が、国連のアジェンダ2030まで引き伸ばされる。それが連中の目論見だ。このようにして平常心が失われ、恐怖、そう震えんばかりの恐怖により、人々は冷静さを欠き、全ての人々が「ワクチン接種」することが当然とされていく。しかしそれはワクチンではない。「試用段階」にある遺伝子組み換え治療 だ。ワクチンとは全く無関係で、大量の死者を生み出す原因になる物資だ。これまでもゲイツやロックフェラーが何度も行い、進めてきた優生思想に基づいて行ってきたワクチン計略と同じようなものだ。

(ii)現行の金融体制と世界経済の計画的な解体

(iii) 人類全体と「事物」の支配。それを可能にするのは全てのデジタル化。人間の体外、あるいは体内へのQRコードの埋め込み。その中には中央銀行発行のデジタル貨幣の情報も組み込まれている。このQRコードの埋め込みの事実上の実験台にされている2国がスウェーデンとスイスだ。

そして最後に

(iv)この経済崩壊作戦の決定に付随しているのは、NATOがロシアと中国を攻撃すると脅している現状だ。言い換えれば、「熱戦」を始めれば、恐らく核戦争になる。その標的は西側メディアが世界の宿敵であると喧伝している2カ国。すなわち中国とロシアだ。

 このような企みの裏側にいる人々は、そんなことになれば予想もつかない結果になることがよく分かっている。全てが消滅してしまう可能性があり、誰一人無事ではおれないことも想定内だ。従って熱戦には至らないだろう。しかし連中は人々に恐怖を植え付けようとしているので、これは有効な手段となる。

 これらすべてに関わるのが、ライナー・フェルミッヒ博士の新ニュルンベルク裁判だ。

 現時点では世界各国で公平な裁きができる裁判所は存在しない。すべての裁判所は、買収され、脅されている。しかしある瞬間に、世界の人々のうち十分戦えるだけの多数が、目を覚ますだろう。それは世界の3割ほどの人々になろう。その人々が団結して行動を起こし始めるだろう。その原動力は憎しみではない。共通の目標に基づくものだ。具体的には、人間に尊厳と、自由と、人間や社会の権威を取り戻すという目標だ。

 そんな時はきっと訪れる。ライナー・フェルミッヒと仲間たちが熱意と信念をもって連中を訴えている今だからこそ。

Peter Koenig is a geopolitical analyst and a former Senior Economist at the World Bank and the World Health Organization (WHO), where he has worked for over 30 years on water and environment around the world. He lectures at universities in the US, Europe and South America. He writes regularly for online journals and is the author of Implosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed; and co-author of Cynthia McKinney’s book “When China Sneezes: From the Coronavirus Lockdown to the Global Politico-Economic Crisis” (Clarity Press – November 1, 2020)

Peter Koenig is a Research Associate of the Centre for Research on Globalization.
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アメリカ外交政策のジレンマ。危険な状況だ。第三次世界大戦の危機が迫っている

アメリカ外交政策のジレンマ。危険な状況だ。第三次世界大戦の危機が迫っている

<記事原文 寺島先生推薦>

America’s Foreign Policy Dilemma. A Dangerous Situation. The Risk of World War III is Real

‎ポール・クレイグ・ロバーツ博士‎

‎グローバルリサーチ、2021年12月20日‎

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月12日



 アメリカの外交政策は、アメリカ例外主義の傲慢さに満ちていて、危険な状況を認識できていない。 

 ‎‎そして、危険な状況が、我々を待っている。‎

‎ ‎‎ロシアのセルゲイ・リャブコフ‎‎副外相‎‎は、NATOのロシア国境に向けたこれ以上の拡大を、ロシアは容認できないことを明らかにした。‎

 ロシアは、ウクライナとグルジアの旧ロシアの共和国が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国になることを問題外とした。この赤い線が無視されれば、その結果は「悲惨なことになるだろう」と‎‎リャブコフは述べた。さらに、ロシアは軍事的に対応するだろうし、安全保障を損なうのはロシアではなく、西側であると彼は言った。‎

 言い換えれば、クレムリンが見ているように、ウクライナやグルジアを北大西洋条約機構(NATO)に組み込むことは、ロシアの国家安全保障にとって容認できない脅威である。もうお終いだ。交渉の可能性はない。‎

 合理的な世界だったら、極超音速核ミサイルを搭載し、優れた軍事力を持った国によるこのような明確な声明は、真剣に受け止められるだろう。‎

 しかし、欧米の世界はもはや合理的ではない。傲慢さに酔っている世界だ。北大西洋条約機構(NATO)の事務総長は、事実上、核兵器を持った国からの最後通告に、そんな強力な国の安全保障上の懸念を即座に拒絶することによって答えた。

 愚かなNATO事務総長は、「ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するかどうかは、ブロックの加盟国とその指導者次第であり、ロシア政府は決定に関与できない」と愚かにも述べ、NATOはロシアの反対にほとんど気にもとめず、NATOは「すでにウクライナ軍を訓練し、彼らと協議し、合同演習を行い、軍事物資と技術を提供している」と自慢げに続けた。‎

So NATO, so drunk on exaggerated American military power, spit in the Kremlin’s eye

 ‎バイデン大統領と国家安全保障会議に答えてホワイトハウスの報道官は、アメリカ政府は北大西洋条約機構(NATO)の拡大について「妥協しない」と述べ、ロシアが何を要求しようが、アメリカ政府はNATO拡大を停止する考えはないと付け加えた。‎

 ‎このこととその結末を、しっかり確認しておこう。言い換えれば、‎‎ワシントンの立場は、ロシアが、ワシントンによって定められた以外は、正当な国家安全保障上の権益を持っていないということである。

 ここには、かなり危険な状況がある。足を踏まれている方が、「我慢できない」と言っているのに、 踏んでいる方が踏まれている方に、「その問題について何も言う権利はない」と言っているようなものだ。‎

 20世紀の冷戦中、私たち冷戦戦士はソ連が何かことばを発すれば、一言一句、抑揚まで聞き逃さないよう耳を傾けた。当時は愚か者が耳栓をしていたり、男気を見せびらかしたいがために核戦争の危機を招くことなどは問題外だった。当時、米国の大学には、軍・安保複合体からの資金援助に依存していないロシアの研究部門があった。公開討論もあった。ロシア人が状況をどのように見たかを皆に気づかせるために、スティーブン・コーエンのような独立した専門家が常にいた。‎

Russia Has Western Enemies, Not Partners 

 ‎今日、独立した学識は消え去った。大学でのロシア研究プログラムは、援助資金に従属してみんなロシア嫌いだ。客観的な学者がいないので、米国の情報コミュニティには見識のある人がいない。バイデンの国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンの最近の声明では、米国の情報機関はプーチンがウクライナ侵攻を「真剣に考慮している」と報告しているのだ。‎

 ‎ワシントンは、2014年以来、こう言っている。クリミアのロシア海軍基地を押収する過程で、ロシアに友好的なウクライナ政府をワシントンが倒した時からだ。凝り固まったメッセージだ。考察はない。プロパガンダの繰り返しだけ。だから、我々には、プロパガンダの繰り返し以外に何もできない国家安全保障会議があるだけだ。

 事実上、アメリカ政府はすでにロシアと戦争をしている。‎

 一方、先週の木曜日12月16日の夕方、ワシントンとそのネオナチ・ウクライナの操り人形は、ワシントンとウクライナが失地回復論者のナチズムであるというロシアの疑惑を確認することとなった。つまり、ナチズムを非難する国連決議に反対票を投じたのは2カ国だけだった。そう、それは米国とウクライナだった。米国の投票が全く愚かなものであることは並外れている。ワシントンがナチズムを支持していることは、ロシア政府が全く思いもよらなかったことだ。‎

 私の世代は、イデオロギーで教え込まれずに西洋で教育を受けた最後の世代であり、第一次世界大戦と第二次世界大戦に関する嘘にもうんざりしていた。‎

 これに続く世代は、ドイツ占領下の西ウクライナでは、大規模な軍隊が組織され、ドイツ軍のロシアへの進撃に組み込まれたことをほとんど知らない。ロシア政府が裏庭のことを無視してソチオリンピックを楽しんでいる間、ワシントンがウクライナ政府を打倒し、旧ロシア領にアメリカの傀儡国家を設置していたのは、これらの「バンデラズ」(訳注:ステピング・バンデラ。第二次世界大戦後ソ連に組み込まれたウクライナの独立に向けて動いていた人物)の残滓だった。‎

 人々が犯す過ちは、どんな采配が取られたかで見るよりも、世界史を振り返る方が正しく捉えることができる。

 ‎私は、四半世紀、高官レベルに参加してよく知っているが、ワシントンが致命的な間違いを犯しているのがわかる。ワシントン政権は傲慢さに満ちているので、ロシアが忍耐力を使い果たしたことを理解できない。‎

 ロシア人は現実の問題を見ている。ワシントンが見ているのはプロパガンダの機会だ。これは、ワシントンの誤算につながる状況だ。誤算は致命的になる。

 この記事の続報

‎ アメリカでは、ロシア嫌いが暴れ回っている。‎

 政権はプロパガンダのスピーカーのように、ロシアがウクライナ侵攻の寸前であると毎日繰り返している。‎

 長い間ロシアを敵とみなすように仕込まれたアメリカ国民は、この主張を何度も聞いてきたが、それが現実となっている。‎

 傲慢なバイデン政権はロシアの安全保障上の懸念を拒絶しており、共和党も変わりはない。ロシアに対する盲目的な好戦性が高まっている。共和党の上院議員も、プーチンがウクライナに侵攻し、「ウクライナの人々の主権を奪う」つもりだというプロパガンダに加勢している。(ワシントンは、2014年に選挙で選ばれたウクライナ政府を倒し、キエフに傀儡国家を打ち立てたとき、すでにそう言っていた。‎)

 共和党は、「勇敢なウクライナ軍」にさらに4億5000万ドルの武器支援をせき立てている。そして、おまけに、共和党はロシアをテロリスト国家に指定したがっている。‎

 ウクライナ危機は、法案を支持する共和党が軍・安保複合体と密接に結びついているように、一部は兵器売買市場計画である。しかし、誰もが、ワシントンへの信頼がゼロになったクレムリンへの影響を見落としている。

 クレムリンの安全保障上の懸念に、アメリカ政府が無関心であるため、クレムリンはおそらく最終段階になると見て、2つの戦略的核ミサイル部隊に戦闘準備を命じた。さらに、ロシアは北極海ルートを閉鎖し、米国の地平線上のレーダーを妨害するために無線工学部隊と電子ドームを配備した。黒海で米海軍の挑発が続けば、ロシアは黒海も閉鎖するかもしれない。‎

 一方、ワシントンが武装したネオナチ・ウクライナ大隊は、ドンバスのロシア人との対決をエスカレートさせている。‎

 ワシントンは、厄介な退却か、それとも大規模な対決のために準備している。‎ワシントンに残されたカードはほとんどない。


以下の記事も参照してください。‎

https://www.paulcraigroberts.org/2021/12/13/the-biden-putin-talk/ 

https://www.paulcraigroberts.org/2021/12/14/russia-speaks-can-the-dumbshits-in-washington-hear/

https://www.paulcraigroberts.org/2021/12/16/cuban-missile-crisis-redux/ 

https://www.paulcraigroberts.org/2021/12/16/washington-spits-in-the-kremlins-eye/ 

 
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中露は米国による国際金融支配を終わらせようとしている

中露は米国による国際金融支配を終わらせようとしている
<記事原文 寺島先生推薦>

China & Russia are ready to end US dominance of global finance

Russian President Vladimir Putin held extensive talks with his Chinese counterpart, Xi Jinping, earlier this week, with the two world leaders agreeing on plans to establish a new shared international financial framework.
RT 2021年12月19日
グレン・ディーセン

By Glenn Diesen, Professor at the University of South-Eastern Norway and an editor at the Russia in Global Affairs journal. Follow him on Twitter @glenn_diesen.

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月15日



 中国とロシアは新たな国際金融の骨組を樹立しようという動きを徐々に見せ始めている。それは、2008年の世界規模で起こった金融危機(訳注:別名リーマンショック)により、米国への依存過多は危険であることが判明したからだ。両国に対する米国による経済制裁が続く中、その制裁が逆に、両国が国際金融の別の骨組みを必死に模索しようとする要因となっているようだ。

米国支配下での世界の銀行取引

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 米国を中心とした金融構造は巨大な力を生み出す源だ。国際間の貿易のほとんどがドル建てで行われており、支払いはSWIFT(国際銀行間金融通信協会)と呼ばれる取引団体を通じて行われている。このSWIFTという協会において米国は巨大な影響力を有している。そして資金調達については、主に米国の投資銀行から出された資金が使われ、借金利子は米国の格付機関により決定されている。さらに世界の主要なクレジットカード会社までもが米国企業だ。このような経済構造から生まれる力のおかげで、米国は帝国を維持できている。そうやって米国は多額の貿易赤字でも持ちこたえ、敵諸国のデータを集め、同盟諸国には好意的な扱いをし、敵諸国には制裁で衝撃を与えることが可能なのだ。

 しかし、米国を中心とした金融構造はもはや持続可能ではない。ホワイトハウスは、改善すべき貿易不均衡を統制する術を失っている。借金は抑制が効かないほど増え続け、あちこちで見られているインフレのせいで貨幣の流通は破壊されている。さらに米国政府がその経済構造を外交政策に利用して、敵諸国に制裁を課していることが状況を悪化させている。米国の防衛戦略によると、中露2カ国は米国が照準を合わせている主要敵国であるとはっきり伝えている。そのことにより、中露両国が米国の金融構造から脱して、別の金融構造を樹立することを余儀なくさせているのだ。

ドル体制からの脱却

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 ドル体制からの脱却、すなわち準備通貨や、取引通貨としてドルに依存する体制からの脱却が、いま盛んに試みられている。USドルの支配的役割は、75年以上も国際間の金融システムにおいて続けられてきた。ドルが強い通貨のままで持続できている理由として以下の3つの要因が挙げられる。①米国経済が巨大であること②インフレ率を低く抑えることにより、ドルの威力を維持できていること③金融市場が、自由で流動的であること。の3点だ。米国経済が比較的低迷している中、抑制が効かないほどのインフレ状態が生じ、さらに米国金融市場が武器として利用されている。ドルの強い役割を支えてきた基盤が急速に終息に向かっているのだ。

 世界最大のエネルギー輸入国である中国と、世界最大のエネルギー輸出国であるロシアの間の金融提携は、ペトロダラーの力を弱らせる決定的な要因となった。2015年に、ロシアと中国の間の貿易のほぼ9割はドル建てで行われていたが、2020年には、ユーラシアの2大国家である両国のドル建て貿易は、約半数の46%までに減少している。さらにロシアは外貨におけるドルの割合を減らす方向で進んでいる。中露貿易におけるドル体制からの脱却の潮流は、中露以外の国々との貿易でドルを使わない潮流をも生み出している。そのような潮流が進んでいるのは、ラテンアメリカ諸国や、トルコや、イランや、インドなどだ。ここ何十年もの間、米国は世界全体に向けてドルを送り出してきたが、そろそろその波の方向が変わり、価値を失ったドルの波が自国に戻ってくる時が来ているのかもしれない。

金融制裁

 世界中の銀行間の金融取引におけるSWIFT体制は、これまで国際間の支払いにおける世界で一つしかない体制だった。しかしSWIFTが果たしてきた中心的な役割が崩れ始めたのだ。それは米国がSWIFTを政治の道具に使い始めたからだ。米国はまず、イランと北朝鮮をSWIFT体制から締め出した。そして2014年には、米国はロシアに対しても締め出すことを警告し始めた。ここ数週間は、SWIFTという武器を使ったロシアに対する警告が激しさを増している。

 これに対して中国はCIPS(訳注:中華人民共和国の人民元の国際銀行間決済システム)、ロシアはSPFS(訳注:ロシアの金融メッセージ転送システム)という体制を開発した。両体制ともSWIFT体制の代替となるものだ。SWIFT体制の代替としてこれらの体制と契約したヨーロッパの国々もいくつか出てきている。その目的は、米国による越権行為的な妨害を逃れ、イランとの貿易を継続するためだ。中露が新たな国際金融構造を樹立するためには、CIPSとSPFSの結合は避けられないだろう。そして両者の結合は両国以外の世界各国に広がっていくだろう。米国がロシアを閉め出せば、世界各国のSWIFT体制から脱却は加速することになるだろう。

複数の開発銀行

 米国が主導しているIMF、世界銀行、アジア開発銀行は、米国が繰り出す経済政策を支える著名な機関だ。中国主導によるアジアインフラ投資銀行 (AIIB)が2015年に設立されたことは、世界の金融構造を変える大きな分岐点となった。というのも、米国の主要な同盟諸国(日本を除く)が米国からの警告を拒否して、この銀行と契約を結んだからだ。かつてBRICS開発銀行とも呼ばれた「新開発銀行」の設立は、米国主導による開発諸銀行からさらにもう一歩脱却する動きだった。「ユーラシア開発銀行」や、この先設立されるであろう「SCO(上海協力機構)開発銀行」は、米国の統制下にある開発諸銀行を終止符に向かわせるさらなるきっかけとなるだろう。

相乗効果

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 さらに中露は自前の格付機関を開発し、これまで両国で支配的な地位を占めていたVISAやマスターカードの価値を下落させた。この新たな金融構造の樹立には、エネルギーの提携や、技術の提携が補完的役割を果たすことになる。第四次産業革命に向かう中、中国もロシアも米国のハイテク産業に依存する気はないからだ。さらに中露は米国支配下の通商路を使用しない方法を模索している。中国は一帯一路構想に数兆ドルを投資し、新たな大陸間通商路や海洋通商路の構築に努めている。いっぽうロシアは、似てはいるが、より控えめな通商路構想を練っている。その中には、中国と連携して、北極圏を海洋通商路にしようという構想も含まれている。これらハイテクを駆使した計画や、通商路構想に資金を出し、運営を進めていけば、望ましい相乗効果が得られ、新たな国際金融構造の樹立に向けたさらなる発展が望まれるだろう。

 米国はさらなる制裁を課し、多極体制に基づく国際金融構造の樹立を妨げようとするだろう。しかし強硬な対外経済政策を維持しても、世界各国が米国から脱却しようとする流れしか作れないだろう。制裁を課しても、対象諸国はなんとか制裁から逃れようと、意地悪な権力に頼らずに生き抜く方法を学んでいくことになるだろう。敵諸国を弱化させ、孤立させようと始めた制裁措置が、結局は米国を孤立させてしまうことになるのだ。

 
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権威ある学術誌の『ランセット』が珍しくCOVID-19ワクチンへの異論を発する記事を掲載

権威ある学術誌の『ランセット』が珍しくCOVID-19ワクチンへの異論を発する記事を掲載

<記事原文 寺島先生推薦>
Establishment Journal The Lancet Publishes Rare Dissenting Voice on COVID-19 Vaccines

COVIDを「ワクチン未接種者がパンデミックの原因となっている」とすることは、「余りに短絡的な考え方だ」とギュンター・カンプフ(Günter Kampf)博士は語った。

Global Research 2021年11月24日

カルビン・フライバーガー(Calvin Freiburger)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月12日



 
 COVID-19の正統派と見なされている学者から異論の声が上がり、その記事が医療界の権威として最も著名な学術誌のひとつに掲載された。その記事はドイツの一人の疫学者が記した、今のCOVIDの感染は、「非接種者たちによるパンデミック状態」にあるという言説を批判する書簡に基づく記事だった。

 ギュンター・カンプフ博士は、ドイツの衛生・環境医学協会グライフスヴァルト医科大学の衛生・環境医学部の客員教授だ。同博士の書簡が、ランセット誌の11月20日号に掲載されたのだが、その書簡が強調していたのは、「ワクチン接種者が、ウイルスの感染拡大において、ある種の役割を果たし続けている」という点だ。従って「ワクチン非接種者が、接種者の脅威になっている」と考えるのは、「余りに短絡に過ぎる」とのことだった。

 「米国においては、2021年4月30日迄で、ワクチン接種者のCOVID-19の症例数の報告は合計1万262件あった。うち2725件(26.6%)は無症状、995件(9.7%)が入院、そして160件(1.6%)が死亡だった」とカンプフ博士は説明している。「ドイツでは、60歳以上の症状が出たCOVID-19患者の55.4%はワクチン接種を2度済ませている人々であり、その割合は毎週増え続けている。」

 「歴史的に見て、米独は両国とも、肌の色や、宗教による差別により、一部の国民に対して汚名を着せてしまったという苦い体験をしてきた国です」と、同教授は結論づけた。「政府高官たちや科学界の重鎮の方々に求めます。ワクチン非接種者たちに対して不当な汚名を着せる行為は止めていただきたいのです。ワクチン非接種者の中には、親や、同僚や、同胞である市民たちも含まれています。そんなことはせずに、社会をひとつに束ねる取組を進めていただきたいのです。」

 カンプフ博士はこのような懸念について、10月29日に著したエッセイで詳述している。そのエッセイは、NPO法人であるブラウンストーン誌に掲載された。そのエッセイの中で同博士が付け加えたのは、ワクチン接種者が、ウイルスの変異種の出現の一因になっている可能性があるという指摘だった。さらにCOVIDの感染を拡大している一因に、ワクチンを打った人々が接種後に振る舞いを変えている点にある可能性にも言及している。

 「ワクチンを接種した人々は、接種前よりも感染の危険が高まるような行為を行うことが増えていることが多いです。人々との接触を増やし、コンサートやパーティに行く機会も前より増えています」と同博士は語った。「ドイツでは接種者については検査は行われませんし、隔離されることもありません。ワクチン接種済みは、ほぼ通常の社会生活が送れる免罪符なのです。接種者が感染しても、無症状か、軽い症状にしかならないので、自分が感染したことに気づかなかったり、気づくのが遅れたりするのです。その結果、ワクチン接種者が感染源となる流行はほとんど見えなくなってしまうでしょう。」

 米国における多数のデータから考えられることは、COVID-19を根絶させるための大規模なワクチン接種計画は上手くいかなかったということだ。連邦政府の見積もりでは、1億9600万人の米国民(ワクチンが打てる米国民の59%にあたる)が、2度接種を済ましているとのことだ。(ウイルス感染の現状からいくと、2度で済むかどうかは流動的だ)。それでもABCニュースは10月に、今年これまでにCOVID-19が原因で亡くなった米国民(35万3000人)の数が、2020年まる1年間で亡くなった人の数(35万2000人)を超えてしまったと報じた。ジョンズ・ホプキンズ大学が出した数値からの報道だ。

 ワクチン慎重派がここまで持ちこたえられているのは、ワクチンの安全性について説明されていない懸念がいくつかあるからだ。その懸念の根本にあるのは、このワクチンがこれまでのどのワクチンよりも短い時間で開発され、市場に売り出されたという事実だ。

 ワクチン擁護派が強調しているのは、このワクチンの開発が全くのゼロから始められたのではなく、mRNA技術に関する長年の研究が基板にあったという点だ。そしてワープ・スピード作戦(訳注:トランプ前大統領政権が打ち出したワクチン開発・販売を迅速に行えるシステム)により実現した改革により、ワクチン開発の様々な過程が、順次ではなく、同時に行えるようになり安全性の確保のために掛かっていた時間の短縮につながった点も強調していた。しかしそのことが、臨床試験の相を短縮できる説明にはなりきっていない。それぞれの相の臨床試験は通常1~3年をかけて行われているのに、それを各3ヶ月で済ましてしまった説明にはならない。

 米国ワクチン有害事象報告システム(VAERS)にはワクチン接種後生じた深刻な副反応が報告されているが、その数は米国で実施されたワクチン接種のうちの1パーセント未満にすぎない。しかし、2010年に米国保健福祉省(HHS)の米国医療研究品質局(AHRQ)に出された報告書が警告していたのは、VAERSが掴んでいるのは、実際の副反応の「1パーセントに満たない」という事実だった。NBCニュースの5月の報道によると、主流派と目されている専門家でさえ、米国のワクチン有害事象の監視と実際の副反応の件数の間には、「差異」があることを認識しているとのことだった。

 さらに、ワクチンを接種していない人々が、ワクチン接種が不必要であると考えているのは、COVIDに感染した際に生じた免疫の方が、ワクチン接種したことによって獲得した免疫よりも長続きすることがはっきり分かっているからだ。さらに、宗教を信じている米国民や、生命を尊重する立場をとっている米国民たちが、ワクチン接種に対して道徳的な抵抗を感じている。それはこのワクチンの開発や検査に、中絶死した胎児の細胞が使われたからだ。

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米国のパイロットの死亡件数がCOVIDワクチン接種開始後17.5倍増

米国のパイロットの死亡件数がCOVID19ワクチン接種開始後17.5倍増

<記事原文 寺島先生推薦>

US Pilot Deaths increase by 1,750% after Covid Vaccine Rollout


ランス・ジョンソン(Lance Johnson)

Global Research 2021年12月25日

この記事の初出は2021年12月16日


 健康だった米国の航空パイロットが、かつてないペースで亡くなっている。パイロットたちは万全の体調でいることを求められているのだが、2021年には航空業界全体で共謀してパイロットたちの健康を侵すような取組を始め、COVID-19ワクチン接種の臨床試験に参加しなければ、解雇すると脅されてきた。その結果、100人以上の若いパイロットたちが、2021年に謎の死を遂げている。さらに数えきれない程のパイロットたちが、副反応に密かに苦しんでおり、元々体内にある免疫系を弱化させられている。

 今年、ほんの8ヶ月で合計111人のパイロットが亡くなった!!これは2020年の死亡件数と比べて17.5倍増だ。

 2020年といえば、COVIDの流行が猛威をふるっていた年だったのに。亡くなったパイロットたちの一覧表が、『エアライン・パイロット協会』誌上で公開されている。それによると、2020年のパイロットの死亡件数は6件で、2019年は1件だった。

パイロットの死亡件数の急増は皆にとっての警告サインだ

 111件の死亡のほとんどは、COVID-19ワクチンの集団接種が開始された後に起こっている。ワクチンが原因となった死亡については診断手順が確立していないため、これらの死亡のほとんどの死因はワクチンではない別の死因とされている。しかし死因とされている要因は、実はワクチンの副反応が隠された病状である可能性があるが、そのような診断が下されることは決してない。病状はしばしば無視され、若い男性や女性たちの死亡が、「突然死」や、「説明がつかない死亡」であるとされることが常だ。病状に対する検査などなされないままで。

 2021年の1月から3月まではたった5件の死亡件数しかなかった。当時はワクチン接種はそれほど盛んではなかった。しかしその後特に多かった月について述べると、7月には合計39件、8月には34件の死亡件数が発生している。これは政府や民間企業が、被雇用者の個人の権利を侵害し、応じない人々には罰を与えることで脅したワクチンの強制接種を強行し始めた時期と重なる。このような恐喝的行為は法律違反なのだが、このワクチン強制接種が、パイロットたちを怯えさせ、ワクチン接種を受諾せざるをえなくなった。多くの他の業界と同様に、パイロットたちは自身の信念や、健康状態に関わらず、服従するしかなかった。多くの人々が妥協してワクチン接種を受けたのは、 ワクチンを打たないことで生じる差別か強烈で、ワクチンを打った人には与えられる機会が与えられなくなってしまうからだ。そして自分が自分の健康に関する判断を行うことが尊重されなかったからだ。多くの人々が仕事や、将来の経歴を失うことをおそれ、自分にとっての最善を考慮し、列を成してワクチンを打ったのだ。そうやって専制政治的な医療行為を正当化してしまったのだ。



ワクチンは恐ろしいものであるという問題については、何十年も軽視されてきた。しかし世界の人々は製薬業界の隠された目論見に気づきつつある。

 健康だったスポーツ選手においても、パイロットたちのように死に至る事件が多発している。サイトGoodsciencing.comの追跡調査により、1月1日から12月20日までの300件以上のワクチン接種後の障害が発生したことがわかった。障害を受けた人々の中には、若く、健康だった運動選手もいる。これらの運動選手たちは2021年、試合中にフィールドで突然倒れたのだ。 これらの事故は医学的な説明がないまま、170人の運動選手たちが命を落とした。この潮流な驚くべきことでもない。というのも世界中から報告されている医薬品の安全性調査の数値によると、mRNAワクチンが原因となり、心筋炎や、自己免疫の問題や、免疫系の低下が引き起こされ、突然の心停止や、神経の機能不全や、重い感染症の発症につながっている。サイト  CovidVaccineVictims.comは、犠牲者の追悼記事を載せている。これらの犠牲者たちは、恐ろしいこの遺伝子治療法の治験の実験台の生け贄となったのだ。

 ワクチン接種の問題は、何十年もの間取り上げられないままで来た。1986年に小児ワクチン障害法が成立し、米国内のワクチン製造業者たちが法的防御を受けられることになって以来ずっとそうだ。30年以上もの間、法に問われないのをいいことに、ワクチン製造業者は法律を軽んじ、自分たちだけ特別扱いを受けてきた。彼らの製造した医薬品が人々に害をなしてきたというのに。今、mRNAワクチン製造業者たちは世界中の国々の政府と契約を結び、自分たちの製品による不具合が生じても、法的に問われたり、裁判にかけられたりしないような手はずを整えている。ワクチン製造業者たちは法律違反を続け、人類に対する大量虐殺行為の罪を問われないままでいられるだろう。それを制御する法律が整備されない限りは。mRNAワクチン製造業者たちが今計画しているのは、永久に続く追加接種だ。そうやって永久に儲け口を確保しようとしている。このままでは連中は、プロパガンダや、強制や、力を駆使することにより、人々からいのちと金を奪い、人々を破壊し続けることになるだろう。


情報源:

SteveKirsch.substack.com

NaturalNews.com

NaturalNews.com

GoodSciencing.com

NaturalNews.com

Publications.aap.org

CovidVaccineVictims.com



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中国がイラクに進出しているが、米国のやり方とは違う

中国がイラクに進出しているが、米国のやり方とは違う

<記事原文 寺島先生推薦>
 
China moves in on Iraq, but not like America did

中国はイラク国内に1000校の学校の建築を行う契約をイラク政府と結んだ。それは米国が、イラクでの戦闘任務の終了を発表した直後だった。米国はこれまでイラク国民100万人の命を奪ってきた。

RT 論説面 2021年12月19日

ブランドリー・ブランケンシップ(Bradley Blankenship)

is a Prague-based American journalist, columnist and political commentator. He has a syndicated column at CGTN and is a freelance reporter for international news agencies including Xinhua News Agency. Follow him on Twitter @BradBlank_


 先週イラク政府と結んだ契約のもと、中国電力建設集団は679校、シノテック社は残りの321校を建築することになった。

 このニュースは、米国がイラクで果たしてきた役割がなくなった文脈の中で起こったことだ。米国はイラクでの「戦闘任務」の終了を発表したばかりだった。そして米軍は撤退することになった。撤退するのは米兵2500人程度と、同盟国の兵1000人だ。完全な撤退ではなく、イラクにおける米軍の役割が、「助言者的立場」に変わる、とのことだ。 

 恐らくイラクにおける両国の外交の進め方ほど、米中が他国と外交関係を結ぶやり方の違いを浮き彫りにしている事例はないだろう。




 もちろん、米国側にはここに至るまで紆余曲折の経緯があったことは事実だ。2003年に米国はジョージ・W・ブッシュ元大統領のもと、イラクに侵攻した。その口実は、イラクが「大量破壊兵器」を所持しているという間違った口実だった。その口実の元、戦争を始め、結局その戦争は9年近く長引くことになった。
 
 犠牲者数についていえば、100万人以上のイラク国民がこの戦争の最初の数年で亡くなった。さらに数え切れない人々が、住処や生活を奪われたり、怪我に苦しめられたりした。さらに米軍による女性や子どもたちに対する戦争犯罪がイラクで行われたと言われている。

 米国は2011年にイラクから軍を引いたが、2014年に再度軍を入れた。その目的は、イスラム帝国(IS、かつてのISIS)に対抗することだけに限定されていた。その目的は果たされたが、米軍や同盟諸国軍によって更なる戦争犯罪が行われたと言われている。

 米軍を歓迎する気持ちはとうになくなり、イラク国会は、イラク駐留の何千もの米兵たちを撤収させる議を出した。これはイランの最高司令官ガーセム・ソレイマーニー将軍と、イラクのアブ・マフディ・アル・ムハンディス副司令官が暗殺されたことをうけてのことだった。このような米国の行為は、イラン・イラク両国に対するあからさまな戦争行為だった。

 米国は、イラクの国会議員たちが出したこの決議を無視し、イラクに不法に駐留し続け、イラクに対して空爆を行うことさえした。その上、イラク民兵からの警告にも耳を貸さず、「助言者的立場」という名目で、軍の駐留を続ける構えだ。


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Nation that has hundreds of overseas military bases says China isn’t allowed one

 ジョー・バイデン大統領政権からすれば、イラクでアフガニスタンの二の舞は踏みたくないところだろう。アフガニスタンでは、米軍の撤退がタリバンを支配者として返り咲かせてしまった。

 しかし、アフガニスタンとイラクを比較しても意味がない。米国の言い分は、「イラクでISの再興を防ぐ為の駐留だ」ということかもしれないが、「イラクに他国が影響力を伸ばすのを押さえ込みたい」というのが本音のところだろう。例えば、米国安全保障の専門家たちは、イラクを中東における米国の言いなり国家や、中東で最も米国に近い同盟国であると見なしている。それはイラク戦争が影響してたまたまそうなった、という見方をしてきたのだ。 

 ただし、米国政府筋の中枢部は、中東における中国やロシアの影響力の拡大を、望まない傾向であると見ている。中露は中東の安全保障にますます参画しており、特に中国は貿易や経済発展分野において進出を強めている中でのことだ。米国政府の中枢部は、中東を中国の台頭を抑え込むべき重要な地域であると捉えている。

 しかしこのような見方自体が中国政府と米国政府のイラク国民や、中東を総体的にどう捉えるかについての質の違いを浮き彫りにするものだ。
一言でいえば、「自立支援か支配か」だ。最近のイラクの発展を、中米両国の影響から見比べれば、両国の捉え方の違いが具体的にはっきり分かる。

 もちろん、西側諸国のメディアは数えきれない程の見出しを出して、各国と契約を結ぶことで中国が利益を得ようとしているという構図を強調し、このような取引は不正で、ただの機嫌取りで、中国が他国支配の際繰り出す狡いやり方だという報じ方をしている。そしてこれらの西側諸国のメディアが強く問いかけているのは、中国が支援している国々は、自国や、自国民の本当の利益のために必要なものを中国から支援してもらったことに対して「どんな代償」を支払うことになるのか、という点だ。

 とはいえ、イラクを見ればこのような言説が意味をなさないことがすぐに分かる。米国は、何年もの間イラクを爆撃したことなど忘れ、イラク国民を殺害したことは問われないと思っている。どれだけイラクからその反動を受けたとしても(イラク侵攻は、人類史上人々から最も大きい抗議を受けた事件である)、米軍は今でも不当にイラクに居座っている。

 反面中国は、イラクに1000校の学校を建設予定だ。そして誇張でもなんでもなく、これらの学校が子どもたちのためになるであろうことは疑いもない。イラクの子どもたちは米国による対イラク戦争で被害を蒙ってきた。その子どもたちが通っていた学校がその戦争で破壊されたこともあっただろう。

 これ以上、いわゆる「中国帝国主義」と、実在する米国帝国主義の違いについて論じる必要があろうか?
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なぜニカラグアを守ることが重要なのか‎

なぜニカラグアを守ることが重要なのか‎
<記事原文 寺島先生推薦>

Why Defending Nicaragua Is Important

‎スティーブン・セフトン‎‎ (Stephen Sefton)著‎

‎グローバルリサーチ、2021年10月22日‎

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月4日



 少なくとも21‎‎世紀の開始以来、それ以前には見られなかった、2つの世界的な傾向が非常に明確に現れました。第一は、北米とヨーロッパの海外侵略が増加して、米国自体やその同盟国の国内における経済的、政治的な抑圧が増加してきたことです。この国内の抑圧は、過去2年間で前例のないレベルに達しています。‎

 第二に、‎コーリー・モーニングスター(‎‎Cory Morningstar)から‎‎アイイン・デイビス‎‎(Iain Davis)までの作家が長年にわたり詳細に報告してきたように、欧米主導の経済グローバリゼーションが明らかに崩壊しているにもかかわらず、‎北米とヨーロッパの企業は様々に装って、国際的な政策決定と支配を共謀してきたことです。 

 ‎これらやその他の傾向の中で、ニカラグアが国家主権を断固として防衛し、経済的、社会的、環境政策において非常に成功しているために、約700万人のこの小さな国は米国と同盟国の侵略の標的となってきました。来月11月7日の総選挙が近づく中、‎‎ニカラグアは、ラテンアメリカやカリブ海諸国の中で、西側政府やその企業、代替メディア、および国際NGOから、次の理由から最も攻撃を受けています。‎

§  ‎ニカラグアの保健システムは、経済的な制約や、学校の閉鎖を行うことなくCOVID-19に対処できたくらい、世界で最も成功したシステムです。

§  ニカラグアは世界で最も男女平等な国の一つです‎。

§  先住民族とアフリカ系の人々のための地域自治のモデルは、西半球で最も進歩的で発展しています。

§  ニカラグアは、地球環境政策に関する国際的な議論において、豊かな国々を批判する主導的な役割を果たしています。

§  教育システムはラテンアメリカとカリブ海諸国で最も革新的で進歩的なシステムの一つです。

§  公衆衛生システムは、中米で最も大規模で近代的です。21の新しい病院と、改修され、近代化された46の病院を持ち、1,259の診療所、192の保健センター、妊娠中の母親‎のための178のホステスもあります。

§  高速道路のインフラは、ラテンアメリカとカリブ海諸国で最高レベルの国の一つです。

§  ニカラグアは、すべてのアメリカ大陸の国々の中で最も安全な国の一つです。

§  ニカラグアは、麻薬密売や組織犯罪との戦いにおいてその地域で最も成功した国です‎。

§  経済は、食料生産において最も民主的に社会的に組織化され、実質的に自給自足であるため、この地域で最も成功している国の一つです。

§  ‎ ‎ニカラグアは、同地域の他のどの国よりも、幅広く世界の大多数の国々と優れた外交関係を享受しています‎

 ‎‎‎‎ニカラグアの政府と人々のこれらの成果はすべて、国民解放のためのサンディニスタ戦線(FSLN)の‎‎歴史的な1969年の革命プログラム‎‎に基づいています。それらは、米国とヨーロッパと同盟関係にある同地域の国々がそれぞれ政策に失敗しているのとは、きわめて対照的です。そういう国々には、ニカラグアの中米の隣国だけでなく、チリやコロンビアのようなはるかに大きく、おそらくより発展した国も含まれます。この単純な事実は、現在北米とヨーロッパを支配している企業と国家権力のファシスト勢力にとってきわめて都合が悪いため、組織的に抑圧されています。
    
 ‎したがって、ニカラグアは、西洋のメディアやNGOによる虚偽報道の対象であり、真実がまさに逆であるのに、ニカラグア政府は反民主的で、腐敗し、無能であると非難されています。この種の報告は、キューバ、ボリビア、ベネズエラの場合と非常によく似ています。西側諸国政府とその同盟国は、軍事侵略や破壊活動、そしてあらゆる種類の経済的侵略、あからさまな政治的介入など様々な手段によって社会的、経済的発展を後退させ、これら3カ国の人々を攻撃することに成功しました。僅かな例外を除いて、西洋の企業メディアや、代替メディアや、NGOは、この邪悪な犯罪を支持しています。‎

 西側諸国の報道によれば、これらの国々の人々の自由と民主主義を促進するためだと報じていますが、これらの国々の人々の生活を破壊しているのは西側諸国の政府であるという事実を批判的に報じることはありません。ニカラグアの場合、2018年の政権交代の試みが失敗した後、企業に所有されている米国政府とその同盟国は経済的侵略を激化させ、外交、メディア、NGOを使ってニカラグアの人々に対する心理戦を主導しました。彼らは、ボリビア、キューバ、ベネズエラの人々に対して行おうとしたように、社会経済発展を成功させ持続させるというニカラグアの展望を破壊したいと考えています。‎

 ‎‎それでも、すべての兆候は、ニカラグアの人々が自国のサンダニスタ政府を支持して、11月7日に大規模に投票するだろうというふうに見えます。2007年1月にオルテガ大統領が就任して以来、過去14年間、国民生活のあらゆる分野で彼らの生活が大きく変わったので、彼らはサンデイニスタに投票するでしょう。世界中の人々は、西側のエリートの抑圧的な専制政治に対するニカラグアの挑戦を擁護すべきです。

*
 この記事はもともと‎‎トルティーヤ・コン・サル‎‎に掲載されました。

‎ ニカラグア北部に拠点を置く著名な作家で政治アナリストの‎‎スティーブン・セフトン‎‎は、教育と医療に焦点を当てた地域開発作業に積極的に携わっています。

 
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アサンジの支援者たちはロンドンで集会。米国はアサンジの引き渡しを諦めてはいない。

アサンジの支援者たちはロンドンで集会。米国はアサンジの引き渡しを諦めてはいない。

<記事原文 寺島先生推薦>
Assange supporters rally in London, as US prepares new extradition attempt

Russia Today
2021年10月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年1月10日
 
 ジュリアン・アサンジの支援者たちがロンドンに集まり、獄中のWikiLeaks創設者ジュリアン・アサンジの自由を要求した。一方、米国はアサンジ氏を引き渡し、スパイ容疑で裁判にかけるべく、新たな法廷闘争の準備に入った。



 2021年10月23日、英国・ロンドンで行われたアサンジの身柄引き渡しを巡る控訴審を前に、抗議行動に参加するウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジのパートナー、ステラ・モリス(Stella Morris)とウィキリークス編集長クリスティン・フラフンソン(Kristinn Hrafnsson) © Reuters / Tom Nicholson

 アサンジ支持者のグループは、土曜日(10月23日)にロンドンの高等裁判所まで行進し、米国政府のジュリアン・アサンジ対する起訴を取り下げるよう要求した。




 横断幕を掲げたデモの隊列が続く中、アサンジの写真と「ジャーナリズムは犯罪ではない」というメッセージを掲げたトラックがデモのコースを走った。






 来週から、アメリカの検察当局は、アサンジの米国への引き渡しを却下した1月の英国下級裁判所判決を不服として控訴する。その判決の根拠とされたのが、アサンジの精神状態は悪化しており、アメリカの刑務所の厳しい環境にさらされれば、アサンジは自殺する危険があるという点だ。アメリカ側は、8月、控訴する許可を得た。高等法院の判決が、アサンジの引き渡しを認めない理由として使われたアサンジの精神医学報告書は誤解を招くものであった、と判断したからだ。

 10月27日(水)に控訴審が開始される際には、高等裁判所の外でさらなる抗議行動が予想される。10月23日(土)にはアサンジの支援者たちがロンドンを行進し、英国とアイルランド各地で小規模の抗議行動が行われた。

 米国への引き渡しは阻止されたものの、アサンジはロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されたままだ。引き渡され、米国の裁判所で有罪が確定すれば、最長で175年の刑期が待っている。

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Snowden tells The Belmarsh Tribunal: If you love truth, you're as much of a criminal as Assange and risk sharing his fate

 しかし、アサンジはスパイ容疑に問われてはいるが、機密文書の窃盗や漏洩の罪には問われておらず、それを公開した罪にのみ問われている。アサンジを告発する側の証人の1人で、ウィキリークスのボランティアとして活動していながら、FBIの情報提供者となったアイルランド人シグルール・インギ・ソルダーソン(Sigurdur Ingi Thordarson)は、アサンジがコンピューターハッキングを行うよう指示したことはないと、この夏、認めている。以前は反対の証言をしていた。

 このような容疑が法廷で問われたことはこれまで一度もない。さらに、アサンジの弁護団は、彼のやったことは、イラクやアフガニスタンでの米国の戦争犯罪の疑いについて同様の記事を掲載した新聞社がやったことと何ら変わらないと主張している。この法的なグレーゾーンが、オバマ政権がアサンジを告訴しないことにした理由である。告訴すれば、他の新聞社も同じように告訴されることになるからだ。

 オバマ大統領がアサンジの告訴に消極的だったにもかかわらず、トランプ政権下で彼を告発する裁判が開かれ、ジョー・バイデン政権下でも続いている。この間、ピンクフロイドの代表、ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)を含む著名なアサンジ支援者たちは、アメリカ当局に訴追を取り下げるよう嘆願してきた。

 アサンジの身柄引き渡しには、言論の自由を守ろうとするほぼすべての大物活動家や人権活動家が反対している。報道機関も例外ではない。
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プロスポーツ選手たちは、COVIDという炭鉱のカナリアになってしまったのか

プロスポーツ選手たちは、COVIDという炭鉱のカナリアになってしまったのか

<記事原文  寺島先生推薦>

Have Professional Athletes Become the Canary in the Covid Coalmine?

Strategic Culture  2021年12月10日

ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)

<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月3日

 フィールド上での突然の緊急事態が続発していることが、ベテランのスポーツ選手たちから疑問の声を生んでいる。以下はロバート・ブリッジ記者による記事だ。

 ワクチンと心臓関連の病気の間に関連性があることが研究により明らかになりつつある中、プロスポーツ選手たちがこれまでにないような頻度で、「夢を叶えるはずの」フィールド上で倒れている。これはただの偶然なのだろうか?それともワクチン強制接種計画により生じた症状なのだろうか?

 日常生活の多くの場面に参加する際に、ワクチン強制接種が要求される国々がますます増えており、スポーツイベントもその場面のひとつになっている。そんな中で世界各国の球場が、ワクチンの効果を確かめる検査場になっている。そしてその結果は、望ましいものではないようだ。

 先月、女子ラグビー界はとあるニュースで震撼させられた。それは、スコットランドの優れた選手であるショバーン・カッティガン(Siobhan Cattigan)26歳が突然、「不審死ではなく」亡くなったと、デイリー・メイル紙が報じたことだ。しかし、健康なスター選手でなくとも、一人の若者が突然前触れもなく亡くなったのであれば、何かしら「不審な要素」があってもおかしくはない。おそらくそれは、「犯罪的な意味」ではなく、「医学的観点」からの要素だ。

 死因も明らかにされていないままのカッティガンの若すぎる死が、ただの孤立した事故であれば、この事故をただの「偶然の悲劇」として片付けてしまってもいいかもしれない。だが、カッティガンの突然死はただの孤立した事故ではないようだ。世界のスポーツ界で同じような嫌な事件が起こっているのだ。
 


 先月、3人のプロスポーツ選手が同じ週に立て続けに急に体調に変調をきたすことが起こった。ウィガン・アスレチックのサッカー選手チャーリー・ワイク(28)は練習中に心停止となり病院に搬送され、病状が安定したのは病院に着いてからのことだと報じられている。ワイクはマネージャーのリーム・リチャードソンから緊急蘇生法の手当てをうけたことで、一命を取り留めたとのことだ。

 数日後、シェフィールド・ユナイテッドのジョン・フレック(30)が、リーディングとの決勝戦の最中に、フィールド上から担架で搬送された。デイリー・メイル紙は、匿名情報としてかなりキッパリとした論調で以下のように報じた。「ジョン・フレックの事故はワクチンとは関係がない」と。しかし同様の事故はこれでは終わらなかった。

 10月下旬には、今最も優れたストライカーであると目されているバルセロナのサッカー選手のセルヒオ・アグレロ(33)が、 自身の輝かしい経歴に終止符を打った。それは試合後に不整脈であるとの診断をうけたからだった。11月1日、アイスランドのミッドフィールダーのエミル・パルソン(28)はプレー中に12分間心停止となり、蘇生法の処置を受けることを余儀なくされた。6月12日には、デンマークの年間最優秀サッカー選手に5度選ばれたことのある、ミッドフィールダークリスチャン・エリクセン(29)が、EURO2020大会の試合中に心臓発作を起こし、心肺蘇生法の処置を受けた。エリクセン選手は、サッカー競技からの引退を発表した。植え込み型除細動器をつけて心拍数を安定させなければならなくなったからだ。

 

 これらの緊急医療事故のどれかひとつでも、原因がワクチンの強制接種にあるとされたものはあるだろうか?答えは「全くない」だ。実際、多くの医療専門家たちがこれらの事故に関してコメントを残しているが、これらは「偶発事故」だったとする傾向が強い。デイリー・メイル紙に至っては、多くの科学者たちがワクチンが原因ではないかという推測を否定しているのは、「英国政府が、オミクロン株が発見されたことで、COVIDの症例数や死者数がこの先増えることを予想して、手網を締め直しているからである」とまで報じている。

 ロイター通信の結論によれば、多くの医療専門家たちからの話はほぼ一致し、「運動選手たちが、心筋炎のために転倒したり亡くなったリしている事故と、COVID-19ワクチンとの間に関連性があるという証拠は何もない」とのことだ。 

 しかしフィールド上での突然の緊急医療事故が立て続けに起こっていることに対しては、長年試合に出続けていたベテラン選手たちから疑問の声が上がっている。

 「19年間のプロサッカー選手としての現役生活と、20年以上の指導者や解説者としての経歴の中で、選手が倒れたり、意識をなくしたりしたのを1度も目にしたことはありません。私が体験してきた本番の試合中や、何千回も行った練習中や練習試合において、です」。こうTwitterで回顧したのは、元プロサッカー選手のケビン・ゲイジだ。

 元イングランドのスター選手トレバー・シンクレアは、ラジオ番組トーク・スポーツで、フレック選手の事故に触れ、こうコメントしていた。「フレックがCOVIDワクチンを打っていたかどうかを、みなが知りたがっていると思いますよ」と。 

 

 
 裏付けの乏しい証拠はこれくらいにして、これらの事故の原因や影響はワクチンによるものである、とする論文は医療界で出ていないのだろうか?

 その答えはイエスだ。ワクチンと健康異常の間の関連性について可能性を示唆する研究は様々行われてきた。しかし、そのような危険性については、稀に報じられることはあるが、概してSNS上や、主流メディアで、取り上げられてこなかった。

  11月上旬に、お馴染みの右翼陰謀論者グループではなくて、米国心臓病学会(AHA)が以下のような長い題名の論文を発表した。「摘要論文番号10712。mRNACOVIDワクチンは血管内皮の炎症マーカー(訳注:白血球など炎症の程度の予想の為の測定に使われるもの)や、ACS(重症心臓発作)の危険度を劇的に増幅させることが心拍数を調べることにより判明。警告的論文」

 AHAが出した結論には注視する価値があるようだ。その内容は、「結論として、mRNAワクチンは、劇的に内皮やT細胞の心筋浸透を促進させ、これがワクチン接種後の血栓症や、心筋症などの血管系の障害に繋がる恐れがある」というものだった。

 長きに渡り信頼を得てきたAHAという団体なのに、Twitter社はこの研究に関連した投稿に警告を発した。その理由は、この研究は、「安全ではない」というものだった。
 

What the hell is going on? pic.twitter.com/WlpUKP8QFU 

— Heidegger (@Kukicat7) November 8, 2021

(このツイートは凍結されました。訳者)

 現在、ファイザー社のCOVID-19ワクチンの臨床試験のデータのほんの触りの部分が公開されている。ただしこのデータはなんとゆっくりなことに、1ヶ月にたった500ページずつしか公表されない。つまり、すべてが開示されるのは2076年まで待たないといけないのだ。これでは何の証拠にもならない。

 ニュースサイトのZerohedgeは、カイル・ベッカー記者の記事からの引用で以下のことを報じている。「副反応の報告は全部で4万2086人からあった(うち2万5379件が医師から診断を受けた件数で、残り1万6707件は医師から診断を受けていない件数)。そしてすべての副反応の症例数は15万8893件にまで上った。」 

 うち2万5000件以上が、「神経系の障害」だと分類されていた。  

 繰り返すが、このことが、ワクチンのせいで多くのスポーツ大会で選手たちの転倒事故が起こっている証拠にはならない。実はCOVID-19そのものによる「何らかの炎症反応」を引き起こし、心停止の症例が増えている原因になっている可能性も示唆されている、とニューヨーク・シティのレノックス・ヒル病院の心臓病専門のトジット・ブスリ医師が、サイトWebMDの取材で答えている。

 大事なことは、私たちはよく分かっていないという事実だ。世界は、この打ち破り難い暗黒時代を痛みを伴いながら進んでいる。その道すじは危険な岩場でいっぱいだ。こんな中だからこそ、どんな可能性でも蓋をしてしまわない方が賢明だろう。その可能性がどれだけ信頼性が低いとしても。そうするしか、科学が曇りのない目で真実を見出す術はない。議論における反対の観点を「陰謀論者」と片付けてしまえば、議論すべき議論が初めから排除されることになるだろう。しかし実はそうなることが、この危険な試合の隠された真の目的なのかもしれないのだが。

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ロシアは戦争の火蓋が切って落とされる前に正しい身の処し方を学ぶだろうか?

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<記事原文 寺島先生推薦>
https://www.globalresearch.ca/will-russia-learn-in-time-before-war-is-upon-us/5765349
Global Research


2021年12月23日

ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)博士

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月10日


 ソ連崩壊後初めてのことになるが、ロシア政府はついに一歩を踏み出した。そのメッセージは、「ウクライナやジョージアにNATOは入るな。以上。」だ。

 私はこうなることを予測していた。ロシア政府は、永年の屈辱や、挑発にさらに耐え続けるだろう。ただしそれは、自国の存在が危ぶまれるまでの話だ、と。

 この踏み出された一歩を、傲慢で自信過剰な米国政府は気づけるだろうか?

 ロシアメディアがロシアに対する不公平な扱いに泣き言を言い続けたところで米国政府には届かないだろう。今はロシアメディアは、WTO(世界貿易機関)の規定を満たしていないと責められ、この国際的な金銭支払システムからの締め出しを脅されていることを非難しているが、そんなことをしても米国政府には効かない。

  巨大な権力は泣き言など言わないものだ。巨大な権力が危険な意思表示をすれば、他国から嫌われることはなくなるものだ。しかしロシアはそういうやり方はずっととってこなかった。ロシア外相はいつもフェアプレーを重んじた善良な意志や意図のもとで動いている。そのような動きを米国政府がわかってくれると思っているかのように。しかし、米国政府はそんな動きにはお構いなしなのだ。

 米国政府は、ロシアを米国政府の権力と覇権の障害だと捉えている。米国政府が唯一興味を持っているのは、ロシアを弱体化させることだけだ。米国政府がロシアと交渉する気になるのは、ロシアに降伏するつもりがある時だけだ。

 ロシア政府や、ロシアメディアはヌーランドのことを気づいているだろうか?彼女は、オバマ政権で国務次官補を務め、選挙で正式に選ばれたウクライナ政府を米国が転覆させ、ロシアに敵対する米国の操り人形のような政府が樹立したのを影から指示していた人物だ。そのヌーランドが今バイデン政権で国務次官に就任している。

 米国政府は常に、ロシアを苦しませようとする勢力は後押しして、そうしない勢力は排除しようとする。トランプ大統領は、ロシアとの関係を正常化したがっていたが、3年間にわたる「ロシアゲート」に直面させられ、「盗まれた選挙」により、大統領官邸から追い出された。トランプは、米国の軍(防衛)産複合体を、敵国のない形で残そうとしたのだが、それは許されない選択だったのだ。

 ロシアが平和を望んでいるのは分かる。私も同じ気持ちだ。しかし平和を手にするためには、侮辱や挑発を受け入れないという姿勢を示すことが必要なのだ。ラブノフ外相がいつも言う「西側諸国の皆さんと交渉する準備はいつでもできています」という姿勢ではだめなのだ。米国政府には、善良な意志は弱さにとられる。そうなることで挑発がエスカレートし、結果、戦争になってしまう。

 ラブノフ外相はこう言うべきだった。「ロシアは敵国からの侮辱は受け入れません」と。米国政府がロシアと交渉する気になるのは、ロシアに降伏する意思がある時だけだ。米国政府の言い分はこうだ。「ロシアが西側諸国の一員になるには、操り人形のような国になれば可能だ。フランスや、ドイツや、英国など他の全ての西側諸国のように」

 ロシアが善良な意思ではなく、強さや、危険な面を出していたのなら、西側諸国はロシアに交渉の手を差し出していただろう。ロシアは米国政府と意味のある交渉などできはしないだろう。米国政府がロシアを恐れない限りは。政府の中枢やメディアが、自国が不公平に扱われているなどと泣き言をいっているだけの国であるなら、米国政府はそんな国と真剣に交渉しようなどと夢にも思わないだろう。
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クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

<記事原文 寺島先生推薦>
Chris Hedges: The Assange case is the most important battle for press freedom in our time




RT

2021年10月29日

クリス・ヘッジズ(Chris Hedges)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月1日

ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの支持者が、プラカードや横断幕を持って、英国ロンドンの王立裁判所前で抗議行動(2021年10月28日撮影)


Chris Hedges is a Pulitzer Prize-winning journalist and host of RT’s On Contact, a weekly interview series on US foreign policy, economic realities and civil liberties in American society. He’s the author of 14 books, including several New York Times best-sellers.

 もしジュリアン・アサンジ(Julian Assange)が送還され、機密資料の公開で有罪となれば、国家安全保障関係の報道は実質的にできなくなる法的前例を作ることになるだろう。

  この2日間、ジュリアン・アサンジの引き渡し審問をロンドンからのビデオリンクで見ていた。米国は、アサンジの引き渡し要求を却下した下級審判決を不服として控訴している。却下した理由は、残念ながら、裁判所の目から見て彼が無実だからではなく、1月のヴァネッサ・バライツァー(Vanessa Baraitser)判事判決の結論にあったように、非人道的な米国の刑務所システムの「過酷な条件」からアサンジの不安定な心理状態が悪化して「自殺に至る」可能性があるためなのだ。米国は、アサンジをスパイ活動法に基づく17の訴因と、政府のコンピューターに侵入しようとした1つの訴因で起訴し、彼は175年間の刑期を言い渡される可能性がある。

 白髪の長髪のアサンジは、初日、ベルマーシュ刑務所のビデオ会議室からスクリーンに登場した。白いシャツを着て、首のネクタイはほどけていた。やせ細り、疲れているようだった。裁判官たちは、彼が法廷に現れなかったのは、「高用量の薬物投与」を受けていたからだと説明した。2日目、どうやら刑務所のビデオ会議室には姿を見せていない。

ALSO ON RT.COM


‘If they destroy the free press, they destroy the world,’ Roger Waters says after UK court adjourns to rule on Assange extradition


 アサンジがアメリカに引き渡されようとしているのは、ウィキリークスが2010年10月に「イラク戦争日誌」を公開したからだ。この記録には、数多くの米国の戦争犯罪が記録されていた:

①2人のロイター通信記者と10人の非武装市民が銃殺された「巻き添え殺人」ビデオの映像、
②イラク人捕虜に対する日常的な拷問、
③数千人の民間人の死の隠蔽、
④米国の検問所に近づきすぎた700人近い民間人の殺害、
などだ。

 彼はまた、他のリーク、特にCIAが使用しているVault 7と呼ばれるハッキングツールを暴露したことで、米国当局の標的になっている。このツールにより、CIAは自動車、スマートテレビ、ウェブブラウザ、ほとんどのスマートフォンのOS、およびMicrosoft Windows、macOS、LinuxなどのOSに不正アクセスできてしまう。

 もしアサンジが引き渡され、機密資料の公開が理由で有罪となれば、アメリカ政府はスパイ活動法を用いて機密文書を所持する記者や機密情報を漏らした内部告発者を告発できるようになり、国家安全保障の報道が事実上終了する法例となる。

 米国による控訴が認められれば、アサンジはロンドンで再審されることになる。(しかし)控訴審の判決は少なくとも1月まで出ない見通しだ。

 2020年9月のアサンジ裁判に、アサンジは、ロンドンのエクアドル大使館での7年間を含む12年間の拘束を経て、いかにも痛々しい、弱りきった姿を晒した。彼は過去に手首を切って自殺未遂をしたことがある。幻覚やうつ病を患い、抗うつ薬や抗精神病薬のクエチアピンを服用している。彼が倒れるまで独房を歩き回り、自分の顔を殴り、壁に頭を打ち付ける様子が観察された後、彼は数ヶ月間ベルマーシュ刑務所の医療棟に移送された。刑務所当局は、彼の靴下の下に隠された「剃刀の刃の半分」を発見した。彼は 「1日に何百回も」自殺を考え、サマリタンズが運営する自殺ホットラインに何度も電話をかけている。

 米国側弁護士のジェームズ・ルイス(James Lewis)は、2020年9月に裁判所に提出されたアサンジに関する詳細かつ自分たちに都合の悪い医療・心理報告書を信用せず、代わりに彼を嘘つきで仮病をつかっている人物として描き出そうとした。彼は、引き渡しを禁止したバライツァー判事の決定を非難し、彼女の能力を疑問視した。そしてアサンジと同じように米国で特別管理措置(SAM)を受け、スーパーマックス刑務所で事実上隔離されている高セキュリティ囚が心理的苦痛を受けているという証拠の山をルイスはあっさりとはねつけた。彼は、アサンジを診察し弁護側の証言をしたキングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所のマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)名誉教授を、ロンドンのエクアドル大使館に避難している間にアサンジが婚約者のステラ・モリス(Stella Moris)と2人の子供をもうけたことを「隠蔽」したとして、詐欺罪で告発した。ルイスは、もしオーストラリア政府からアサンジ引き渡しの要請があった場合、控訴案件がすべて出尽くした後であれば、母国であるオーストラリアで刑に服することができると語った。しかし、アサンジが隔離されたり特別管理措置(SAM)を受けたりすることはない、と約束するまでには至らなかった。

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US appeal hearing to extradite Julian Assange concludes in UK High Court with no immediate ruling               

 ルイスが繰り返し引用した、アサンジが米国で拘束され裁判にかけられる条件を説明する権威者とは、バージニア州東部地区の米国弁護士補ゴードン・クロンバーグ(Gordon Kromberg)である。クロンバーグは、テロと国家安全保障に関する事件ではアメリカ政府の「大審問官」である。彼はイスラム教徒とイスラム教を公然と軽蔑し、彼が言う「アメリカの司法制度のイスラム化」を批判している。彼はパレスチナの活動家で学者のサミ・アル=アリアン(Sami Al-Arian)博士に対する9年間の迫害を監督し、ラマダンという宗教的祝日には裁判の期日を延期するよう求めた申し出を拒否したこともある。「ラマダン中に殺し合いをすることも、大陪審に出廷することもできる。日没前に食事をすることだけは許されない」と、2006年の会話でクロンバーグは言ったと、アリアンの弁護士の一人であるジャック・フェルナンデス(Jack Fernandez)が提出した宣誓供述書に書かれている。

 クロンバーグは、最近、無人偵察機による民間人の無差別殺戮に関する情報をリークしてスーパーマックス(超厳重警備)刑務所での45ヶ月の刑を受けた元空軍分析官ダニエル・ヘイル(Daniel Hale)を批判し、ヘイルは公共の議論に貢献したのではなく、「戦いをする人々を危険にさらした」のだと述べている。クロンバーグはウィキリークスを調査する大陪審の前での証言を拒否したチェルシー・マニング(Chelsea Manning)を収監するよう命じた。マニングは2020年3月、バージニア州の刑務所に収容されている間に自殺を図っている。

 2006年にロンドンで逮捕されたサイード・ファハド・ハシュミ(Syed Fahad Hashmi)の事件を取材した経験から、もしアサンジが送還されたら何が待っているのか、私はよく分かっている。ハシュミもベルマーシュに収容され、2007年に米国に送還され、SAM(特別管理措置)のもと、3年間独房で過ごした。彼の「罪」は、ロンドンの大学院生時代に彼のアパートに一緒に滞在した知人が、アパートの荷物の中にレインコート、ポンチョ、防水靴下などを入れていたことだ。その知人は、それらの品々をアルカイダに届けるつもりだったのだ。しかし、防水靴下がパキスタンに送られることをアメリカ政府が気にしていたとは思えない。ハシュミが標的にされた理由は、パレスチナの活動家サミ・アル=アリアン博士やアサンジのように、ブルックリン大学の学生だったころ、イスラム圏で爆撃、銃撃、テロ、殺害されている人たちを大胆不敵にも熱心に弁護していたからではないか、と私は考えている。

 ハシュミは深い信仰心を持ち、アフガニスタンのレジスタンスを賞賛するなど、その意見には賛否両論があったが、彼にはこうした感情を表明する権利があった。もっと重要なことは、当然の権利として、自分の意見を表明しても迫害や投獄をされることはない、と期待する自由を彼が持っていたことだ。それはちょうどアサンジが他の出版人と同様に、権力の内部構造について大衆に情報を提供する自由を当然持っていることとまったく同じだ。70年の実刑判決の可能性に直面し、すでに4年間を刑務所で過ごし、その大半を独房で過ごしたハシュミは、テロリズムへの物質的支援共謀という1件については司法取引に応じた。ハッカーのジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)と人権弁護士のスティーブン・ドンジガー(Steven Donziger)に判決を下したロレッタ・プレスカ(Loretta Preska)判事は、彼に最高刑の15年を言い渡した。ハシュミは、コロラド州フローレンスにあるADXフローレンス刑務所(連邦刑務所)に、グアンタナモ刑務所と似た条件で9年間拘束された。アメリカの裁判所でアサンジが有罪となれば、ここに収監されることはほぼ確実である。ハシュミは2019年に釈放された。

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 ハシュミが何とか持ちこたえた未決拘留条件は、彼を破滅させるような建付けになっていた。彼は1日24時間、電子的に監視されていた。メールの送受信は肉親との間でしかできなかった。壁越しに他の囚人と話すことは禁止。集団礼拝に参加することも禁止。運動は1日1時間だけ。それも新鮮な空気のない独房の中で。彼は、自分が起訴された証拠品のほとんどは、「機密情報手続き法」に基づいて機密扱いにされたため見ることができなかった。これは、米国の諜報員が起訴された場合、その諜報員が法的手続きを自分の都合のいいようにするために「国家機密を明らかにする」、と脅すのを防ぐために制定されたものである。その過酷な環境は、彼の肉体的、精神的な健康をむしばんだ。有罪を認める最後の法廷に現れたとき、彼はほとんど緊張性状態にあり、自分についての法的手順が進行しているにも関わらず、明らかにそれが分かっていない状態であった。

 もしアメリカ政府が、アルカイダに防水靴下を送ることに関与したとされる人物をここまで迫害するなら、アメリカ政府はアサンジに対し、何をしでかすことになるのだろうか?

 真実を語ることを禁じた社会は、正義の中で生きる力を消滅させる。アサンジの解放を求める戦いが、一人の出版人への迫害などというレベルをはるかに超えたものであることははっきりしている。それは、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ。この戦いに敗れれば、アサンジとその家族だけでなく、私たちも壊滅的な打撃を受けることになるだろう。

 専制君主は法の支配を逆転させる。彼らは法を不正の道具に変えてしまう。 彼らは自分たちの犯罪を虚偽の合法性で覆い隠す。裁判所や裁判の礼儀正しさを利用して、自分たちの犯罪性を覆い隠す。アサンジのように、その犯罪性を人々に暴露する輩は危険なのだ。というのも、合法性という口実がなければ、専制政治は信用を失い、恐怖、強制、暴力以外何も彼らには残らないからだ。アサンジとウィキリークスを敵視する長期間に亘る運動は、法の支配の崩壊、つまり政治哲学者シェルドン・ウォリン(Sheldon Wolin)が「逆全体主義」と呼ぶシステムの台頭を見ることのできる窓となっている。この全体主義は、制度や図像、愛国的シンボル、レトリックなど、古い資本主義民主主義の虚構を維持しながら、内部ではグローバル企業や安全保障・監視国家の命令に完全支配を明け渡している。

 アサンジを刑務所に拘束する法的根拠はゼロだ。オーストラリア市民の彼を、米国のスパイ活動法の下で裁く法的根拠はゼロだ。CIAは、大使館の警備を請け負ったスペインの会社UCグローバルを通して、エクアドル大使館にいるアサンジをスパイしていた。このスパイ行為には、アサンジと彼の弁護団が弁護について話し合う際の特権的な会話の録音も含まれていた。この事実だけでも、この裁判は無効になる。国連拷問特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が証言しているように、アサンジが厳重警備の刑務所に収容されているのは、アメリカという国家が卑劣な虐待と拷問を続けられるからであり、肉体的にはともかく精神的には崩壊させることを望んでいるからだ。帝国主義の立役者、戦争の支配者、企業に支配された立法府、司法府、行政府、そしてマスコミの卑屈な廷臣たちは、重罪を犯している。この単純な真実をいったん口にすると、多くの人がそうであったように、みんなメディア界の片隅に追いやられる。それが真実であることを証明すれば、アサンジ、チェルシー・マニング、ジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)、エドワード・スノーデンのように、みんな追い詰められ迫害される。彼らが権力の内部を私たちに垣間見させてくれたのだ。

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 アサンジの「罪」とは、報道されていない1万5000人以上のイラク市民の死を暴露したことである。彼は、グアンタナモ刑務所で14歳から89歳までの約800人の男性や少年が拷問・虐待を受けていることを暴露した。ヒラリー・クリントンが2009年に米国の外交官に命じて、潘基文国連事務総長や中国、フランス、ロシア、英国の国連代表に対するスパイ活動をさせたことを暴露した。DNA、虹彩スキャン、指紋、個人パスワードの入手を含むスパイ行為、2003年の米国主導のイラク侵攻前の数週間にコフィ・アナン(Kofi  Annan)国連事務総長への盗聴を含む、昔から行われている違法監視方式の一端を暴露した。彼は、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、そしてCIAが、2009年6月にホンジュラスで起きた軍事クーデターを画策し、民主的に選出されたマヌエル・セラヤ大統領を失脚させ、腐敗した人殺し軍事政権に取って代わらせたことを暴露した。

 彼は、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてデビッド・ペトレイアス(David Petraeus)将軍が、ニュルンベルク裁判後の法律では犯罪的な侵略戦争と定義されるイラク戦争を遂行し、イエメンの、米国市民を含む、何百人もの標的暗殺を認可したことを暴露した。彼は、米国がイエメンに対して密かにミサイル、爆弾、ドローンによる攻撃を行い、多数の民間人を殺害したことを暴露した。ゴールドマン・サックスがヒラリー・クリントンに65万7000ドル(賄賂としか思えないほどの大金)を支払って講演させたこと、彼女が金融規制と改革を国民に約束しながら、企業のリーダーたちには内々に彼らの言いなりになると確約したことを暴露した。英国労働党のジェレミー・コービン党首の信用を失墜させ、その政治生命を絶つための党内運動があったことを暴露した。CIAと国家安全保障局が使用するハッキングツールが、私たちのテレビ、パソコン、スマートフォン、アンチウイルスソフトを政府が全面的に監視し、暗号化されたアプリからでも私たちの会話、画像、プライベートなテキストメッセージを記録・保存することを可能にしていることを暴露した。

 彼が暴露したのは真実だ。真実を繰り返し、徹底的に、飽くことなく暴露し続け、ついにはグローバルな支配エリートならではの法律無視、腐敗、そしてうそについて、疑問の余地がまったくないところまで暴き出した。そして、これらの真実だけを理由として、彼は罪ありとされている。

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