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いつまで続けるのか。ジュリアン・アサンジへの拷問と医療怠慢ー「アサンジを守る医師団」が世界に呼びかけ

<記事原文 寺島先生推薦>

The Ongoing Torture and Medical Neglect of Julian Assange


Global Research

2021年5月1日

William Hogan, Dr.C.Stephen Frost, and et al.

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年6月1日

 

 「アサンジを守る医師団」を牽引したのはスティーブン・フロスト博士と彼の同僚たちだった

 次のレポートは最初「ザ・ランセット(The Lancet)」(2020年6月25日)に発表されたもの。

 フロスト博士は現在「Covid倫理学のための医師団」という新たな取り組みの先頭に立っている。

***

 ジュリアン・アサンジは、バイデン政権の要請により、英国の最厳戒刑務所(ベルマーシュ刑務所)に強制収監の日々を送っています

 アメリカとNATOの犯罪を暴くのに尽力のあったこの男は、現在、殺人や武装強盗で有罪判決を受けた人々でいっぱいのイギリス最厳戒刑務所(ベルマーシュ刑務所)の住人です。

 ジュリアン・アサンジは、信じられないほど制限の多い過酷な環境の中で独房に入れられています。半年以上前から家族との面会も許されていません。この冬は、家族から送られてきた防寒着も与えられず、独房の中で寒さに震え上がっているのです。彼の背後には致死性パンデミックの世界的な大流行があります。

****

 2020年2月17日、「アサンジを守る医師団」は、ジュリアン・アサンジ(1)に対する拷問と医療怠慢の解消を要求しました。しかし、責任ある当局の動きは何もありません。ニルス・メルツァー(拷問及びその他の残酷な、非人道的な又は品位を傷つける取扱いや刑罰に関する国連特別報告者)と2人の医療専門家は、2019年5月に刑務所のアサンジ氏を訪問しました。そして、彼の処遇は、個人の人格を破壊することを目的とした拷問の一形態である心理的拷問に該当するとの結論に達しました(2)。その後も状況は悪化しており、アサンジ氏の基本的人権は侵され続け、COVID-19による医学的なリスクにも曝されています。

 2020年2月以降、アサンジ氏の米国引き渡し裁判に関連した公聴会が相次いで開催されています。その予定については下にある補遺を参照してください。この間のアサンジ氏の処遇について、国際法曹協会の人権研究所(IBAHRI(3))は「衝撃的で、度を超したもの」と評しています。彼は防弾仕様の囲いの中に拘束され、審理を十分に聞くことができず、弁護士との面会も拒否されています。全裸検査を受け、11回も手錠をかけられ、5つの異なる監房を移動し、依頼人と弁護士が通常持つ意思疎通の権利も奪われているのです(3)

 アサンジ氏は、体調不良のためにビデオを使って出席した審問は1回のみで、その後の4回の審問はCOVID-19による制約や医療上のリスクのために欠席しました。

 英国の刑務所は(COVID-19感染拡大のため)閉鎖措置が取られているので、アサンジ氏は、今後の審理に備えて弁護士と会うこともできないでいます。このような変則的で過度な施設側の対応は、無力感、正当に扱われていないという思い、恐怖感、孤立感を引き起こします。これらはすべて心理的拷問の鍵となる要素です。

 アサンジ氏は、COVID-19に感染する重大な危機に瀕しています。アサンジ氏は非暴力主義者であり、再拘留され、国連の「恣意的抑留に関する作業部会(4)に準じた恣意的な拘束状態にあるので、COVID-19の期間、国際的に推奨されている囚人釈放基準を満たしています(5,6)。しかしながら、監視付きの自宅謹慎を計画に入れた保釈申請は却下され、アサンジ氏は毎日23時間、独房を出ることができません。

 孤立させたり、適切な刺激を与えないことは、深刻な絶望、方向感覚の喪失、不安定、重要な精神的機能の崩壊などを引き起こさせる心理的拷問のお決まりの手口です。最近いろいろなジャーナリストに対して与えられている攻撃を考えると、出版社とジャーナリストに対する心理的拷問は、国際的にも懸念される前例となっています。

 複数の人権団体は、アサンジ氏の釈放を求め、(現在進行中のアメリカへの)引き渡し手続きを非難しています。アムネスティ・インターナショナルは、アサンジ氏の保釈を提唱しています(5)。欧州評議会(7)は、7アサンジ氏の処遇を「メディアの自由に対する最も深刻な脅威」(8)のひとつとみなしています。

  私たちは何度でも繰り返しますが、ジュリアン・アサンジ(1)に対する拷問と医療怠慢はやめるべきです。IBAHRIは、アサンジ氏が心理的拷問の被害者であることを考慮すると、米国への引き渡しは国際人権法上違法(3)のであると述べています。世界精神医学会は、適切な医療行為を手控えること自体が拷問(9)に相当することを強調しています。拷問禁止条約の下では、公的な立場で行動する者は、拷問を実際に実行しなくとも、黙認や同意だけでも共謀と見なされ、責任を負うことになります。

 医師として、私たちには、拷問に対しては声を上げ、報告し、阻止するという職業上および倫理上の義務があります(10, 11)。アサンジ氏の拷問について沈黙することは、彼の死を早めることにつながります(12)。沈黙はだめです。さあ!私たちの輪に入ってください!

 私たちは「アサンジを守る医師団」です。この通信には世界33ヶ国、216名の署名があります。この通信の完全版と署名のリストは以下の補遺をご覧下さい。

*
補遺
1. Doctors for Assange
End torture and medical neglect of Julian Assange. Lancet. 2020; 395: e44-e45

2. Melzer N, State responsibility for the torture of Julian Assange—speech by UN Special Rapporteur on Torture, at the German Bundestag in Berlin, 27 November 2019. 
https://medium.com/@njmelzer/state-responsibility-for-the-torture-of-julian-assange-40935ea5d7c3

3. International Bar Association’s Human Rights Instititute

IBAHRI condemns UK treatment of Julian Assange in US extradition trial.

https://www.ibanet.org/Article/NewDetail.aspx?ArticleUid=C05C57EE-1FEE-47DC-99F9-26824208A750

4. United Nations Office of the High Commissioner for Human Rights
United Kingdom: Working Group on Arbitrary Detention expresses concern about Assange proceedings.
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24552.

5. Amnesty International

UK: Assange bail application highlights COVID-19 risk to many vulnerable detainees and prisoners.

https://www.amnesty.org/en/latest/news/2020/03/uk-assange-bail-application-highlights-covid19-risk-to-many-vulnerable-detainees-and-prisoners/

6. Reporters Without Borders. UK: Adjournment of Julian Assange’s US extradition hearing considered amidst coronavirus concerns.
https://rsf.org/en/news/uk-adjournment-julian-assanges-us-extradition-hearing-considered-amidst-coronavirus-concerns

7. Council of Europe
Continued detention of WikiLeaks founder and publisher Julian Assange.
https://go.coe.int/WIMX9

8. Council of Europe
Hands off press freedom: attacks on media in Europe must not become a new normal.
https://rm.coe.int/annual-report-en-final-23-april-2020/16809e39dd

9. Pérez-Sales P
WPA position statement on banning the participation of psychiatrists in the interrogation of detainees.
World Psychiatry. 2018; 17: 237-238

10. Keller AS
Human rights and advocacy: an integral part of medical education and practice.
Virtual Mentor. 2004; 6: 33-36

11. Rubenstein LS
The medical community’s response to torture.
Lancet. 2003; 3611556

12. Johnson L
Psychological torture, coronavirus, and Julian Assange.
https://concurrentdisorders.ca/2020/04/03/psychological-torture-coronavirus-and-julian-assange/



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「ビル、まさかあなたが・・・」。メリンダはエプスタインの変死を受けて離婚を決意

<記事原文 寺島先生推薦>Who Dunnit Bill? Melinda Gates Sought Divorce After Epstein Reports



フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)著
ストラテジック・カルチャー・ファンデーション
2021年5月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月25日
 事業や慈善活動で世間を股に掛けているビル・ゲイツは、恐喝相手としてとても美味しい相手だったようだ。


 億万長者のITオタクと呼ぶにふさわしいビル・ゲイツは、当時付き合っていた若き日のメリンダと恋に落ちた。それは或るイベント会場であり、その際メリンダは、「クルード(Cluedo)」という推理もののパズルゲームで優勝したのだ。そのゲームは推理力が問われるゲームで、決めゼリフは「誰が犯人だ?」というものだ。今は56歳のメリンダが、当時の推理力を呼び起こすことができたようだ。 そして、長年連れ合ってきた65歳の夫であり、世界中で有名な事業家の伝道師と別の道を歩くことを決めたようだ。

 2人の27年間の結婚生活がいま、離婚に向かっているということを、この慈善家の夫婦が先週(5月第2週)発表した。世界中のメディアが一面で報じている。しかし2人が離別する理由については説明がない。わかったことは、メリンダが2年前に離婚に向けて弁護士と契約したということである。そしてそれは、メディアが、ビルと悪名高い性行為斡旋者であったジェフリー・エプスタインとの間に深い関係があったことを報じた後だった。

 エプスタインが死んだのは、ニューヨークの拘置所で、未成年の少女たちに対して  売春行為を強要していたという罪状で、連邦検察庁から起訴されていたところだった。2019年8月にエプスタインは死亡したが、それは自殺として記録された。しかし、エプスタインの弁護士たちの主張によれば、 その記録は間違いであり、エプスタインの死は殺人によるものだった可能性が高い、とのことだった。 エプスタインは、過去に性犯罪で有罪判決をうけたことがあったのだが、もし裁判になれば、エプスタインと関係のあった多くの著名人たちとの繋がりが明らかになっていた可能性があったと考えられている。具体的には、ビル・クリントン元米国大統領や、ドナルド・トランプや、英国王室のアンドリュー王子、そしてマイクロソフト社の創設者ビル・ゲイツだ。

 エプスタインと関係のあった他の多くの人々と同様に、ゲイツも「エプスタインとは距離がある」という公式表明をしていた。ゲイツの主張によれば、ゲイツは、億万長者の金融業者であったエプスタインとは何度か短時間会ったことがあるだけで、友人でもなく、エプスタインと事業を共にしたこともない、とのことだった。ゲイツは、エプスタインの家に行ったこともないと主張していた。しかしその後のメディアの取材によれば、ゲイツがエプスタインとの関係を否定したこととは食い違う事実が明らかになっている。 その情報によれば、2013年にゲイツはエプスタインのニューヨークの邸宅で1晩泊まっていたようであり、さらに別の日には、エプスタインの自家用飛行機(別名ロリータ・エクスプレス)に搭乗して、フロリダ州のパーム・ビーチというリゾート地にあるエプスタインの豪華な別荘に行ったこともある、とのことだ。

 ゲイツは否定しているが、報道によれば、ゲイツはエプスタインとは深い付き合いがあり、何度も会ったことがあるという。メリンダが、離婚について弁護士と相談し始めたのが、その頃だった。

 ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻は、同名の財団を所有していることで有名だ。この財団の資金は500億ドルほどあり、100を超える国々で医療や教育計画について資金提供を行っている。 この財団が力を入れているのは、特に若い女性たちへの福祉事業だ。 おそらくメリンダは、夫と、性斡旋を行っている人物との間に繋がりがあることを見抜いたのだろう。そして、エプスタインという未成年の女性たちを食い物にしている人物と、夫が繋がっているという事実が、「慈善団体である」という自身の財団に対する世間からのイメージを大きく損なうことになることを考えたのだろう。

 ビルは1975年に立ち上げたマイクロソフト・コンピューター社から得た利益により、1460億ドル以上の個人資産を有している。そのビルは、エプスタインと密接に会っていたとの報道は、「間違い」であり、誤解であるとずっと主張し続けていた。ゲイツの主張によれば、ゲイツがエプスタインとやり取りをしていたのは、エプスタインと親交のある、裕福で、著名な人々と繋がることで、自身の慈善団体の資金を増やしたいと考えていたからだという。しかし、ゲイツが世界で4番目の資産家であるという事実を考えれば、財団がもっと寄付をもらう必要がある、という理由には疑問点が残る。ゲイツの「献金皿を並べようとしていた」という言い分には、説得力がない。

 報道によれば、エプスタインとは数回会っただけの関係だというゲイツの言い分がおかしいという報道の後、メリンダは、ビルがエプスタインと頻繁に会っていることをすでに2013年の時点で「非常に懸念していた」ようだ。おそらく、さかのぼること2011年の時点から懸念していたようだ。メリンダは、ゲイツに対してエプスタインとの関係について警告していたそうだ。エプスタインは2008年に、未成年の売春を斡旋していたことで起訴されていた。世間からのエプスタインに対するイメージは、当然財団を害するものになるはずなのに。それなのに、なぜビル・ゲイツのような著名人が、エプスタインに引きつけられるのだろうか? 1~2回たまたま会ったのではなく、二人は秘密の隠れ家で一晩ともに過ごすなど、密な関係を数年以上続けていたのだ。

 エプスタインが自殺した後、ゲイツとエプスタインとの深い関係を報じる報道があり、そのことがメリンダにとって転機となり、離婚に向けて弁護士をつけるきっかけになったようだ。クルードゲームで優勝したことのある妻が、推理して、二人の間には資金提供以上の関係があることをつきとめたのだろう。

 何千億ドルものお金が関わっていることであるので、この離婚発表に至るまで長期にわたり、弁護団と調停に向けて話し合いを続けていたのだろう。最終的には、先週の以下のようなメディア向けの穏やかな声明が発表された。その声明の中身は、 「私たちは、お互い夫婦としてこれ以上前に進むことはないと考えています」というものだった。

 エプスタインの豪邸やエプスタインが所有するリゾート島は、10代の少女たちも入っての乱交パーティーの場であったとして知られている。エプスタインの自家用飛行機がバージン諸島の隠れ家に到着すると、地元の人たちは、年頃の娘たちを侍らせた年配の男たちの姿を目にしていた。そのためこの自家用飛行機には、「ロリータ・エクスプレス」という別名がついていた。

 エプスタインは、多くの重要人物たちを恐喝していたことをあけすけに自慢さえしていた。よく知られていることだが、エプスタインの住居には、監視カメラや盗聴器がしかけられており、その目的は客人たちの人に見せられないような密会を記録しておくためだった。明らかに、飽くことのない背徳行為を「保険証書」にして保身を得ようとしていたのだ。エプスタインと以前つきあっていたギレーヌ・マクスウェル(今は、性斡旋をしたことで起訴され、米国の留置場にいる)が、エプスタインのこのような行為を補佐していたと考えられている。マクスウェルはエプスタインとアンドリュー王子を引き合わせた人物である。そしてアンドリュー王子は今、性犯罪の疑いがあるとして、米国の検察官から取り調べを受けている。

 しかし「保身のための保険作り」という動機以上のことがあったのだ。エプスタインはイスラエル軍情報部と長期にわたって関係を築いていた。エプスタインは、エフード・バラックと密接な関係をもっていた。バラックは、元イスラエルの首相であり、イスラエル国防軍参謀総長をつとめている人物だ。

 エプスタインが果たしていた役割が、イスラエル政府の戦略にとっての利益のために、重要人物から恐喝のネタを集めることだったという事実は、ほとんど疑いようがない。政治家たちや、メディアや、産業界のリーダーたちが、エプスタインの汚い手口に引っかかり、経済面でも政策面でもイスラエルに決定的なてこ入れを講じざるをえなくなるのだ。ビジネスや、慈善活動で世界を股にかけるビル・ゲイツは、恐喝の相手として申し分ない標的だったのだろう。
 

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問題となっている福島第一原発汚染水海洋放出と夏の東京オリンピック


<記事原文 寺島先生推薦>

Fukushima Daiichi Radioactive Dumping and the Summer Olympics in Japan In Question

New Eastern Outlook

2021年4月18日

ウラジミール・オディンツォフ(Vladimir Odintsov)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年5月26日

 日本の内閣は、非常事態下にある福島第一原子力発電所から、同敷地内にすでに溜まっている大量の水を放出することについて、正式な決定を下した。現在、福島第一原発の敷地全体には、これらのタンクが並んでおり、その中には、浄化されているにもかかわらず、抽出できない放射性トリチウムの同位体で汚染された水が125万トン以上も入っている。トリチウムを分離すればいいのだが、これが非常に難しく、コストもかかる。この技術のテストは部分的には日本で行われたが、本格的な運用は一度もされていない。

 日本政府の発表によると、福島第一原発から汚染水が放出される海域の年間の放射能レベルは、水中で最大0.62マイクロシーベルト、大気中で最大1.3マイクロシーベルトとなり、これは「最大許容濃度」の範囲内に収まると考えられている。

 しかし、福島第一原子力発電所の事故、そして(その結果)放射性物質が環境に入り込んだことによって、(汚染)水がまだ放出されていない現段階でもすでに複数の否定的な影響が指摘されている。2018年には、カリフォルニア産ワインに、福島原子力発電所の事故による放射性粒子が含まれていることが判明している。また、韓国で栽培された野菜や、日本の沿岸で獲れた魚からも、ヨウ素やセシウムの放射性同位元素が少量検出された。

 専門家によると、福島第一原子力発電所からの放射性物質を含んだ水は、部分的に浄化されているとはいえ、海の魚を食べた結果として人体に入ると、外部放射線よりも何倍も有害な内部被曝をさらに引き起こすという。日本政府の論理は明らかに間違っている。また原子力産業の企業ならばどこでも言うことに、太平洋は広大だから、タンクに残った放射性核種の濃度は希釈すれば下がる、という言い方がある。しかし、人間にとっては、環境の中のそのような放射性核種は大きな危険をもたらすのだ。なぜなら、それは食物連鎖に取り込まれ、最終的には人間の体内に入り、内部被曝を引き起こすからである。そして、それがほとんどの病気の原因となる。日本が放射性物質を含んだ水を海に流せば、地球上の生命は、一層危険な状態に曝されるのだ。それは日本だけには止まらない。まず日本人自身がこのことを知るべきなのだ。なぜなら、日本人は、アメリカ空軍による広島と長崎への核爆弾投下と、それに伴う国土と環境への放射能汚染の苦しみをすでに味わった経験があるからである。

 海流の構造に従えば、原子力発電所の周辺で放射性物質を含んだ水が放出されれば、漁場は確実に被害を受けることになる。そこで魚を捕獲し、それを国際的な食品市場に供給しているのは日本の漁師たちだけではない。

 福島県民、特に全日本漁業協同組合連合会は、国の「安心発言」にもかかわらず、この投棄に反対している。また、日本に隣接する国、特に中国、韓国、ロシアからも深い懸念が表明されている。

 特に、韓国国務調整室のクー・ユン・チョル所長は、4月12日の説明会で次のように述べている:

 「福島第一原子力発電所の汚染水を海に投棄するという決定は、周辺国の安全と海洋環境を危険にさらすだけでなく、近い隣国である我が国と十分な議論をすることもなく、許可を得ることなく、日本が一方的に決定したものです。わが国の国会、市民社会、地方自治体、地方議会は、すべてこの投棄の決定に反対しています。日本国内ですら、漁師だけでなく、専門家や社会も強く反対しています。」

 彼はまた、韓国は以前から福島近辺の8県からの水産物の輸入を禁止しており、一般的にすべての水産物を徹底的に精査していると述べた。ここ数カ月、放射性物質の持ち込みに関する検証手続きと追跡措置が強化されてきたが、今回、韓国はすべての輸入水産物の生産地をさらに厳密に監視し、その放射能レベルをチェックすることになるだろう。クー・ユン・チョルは、韓国はこの問題について、IAEAやWTOなどの国際機関との連携を強化する予定であることを強調した。

 日本が福島第一原発からの浄化水の放出を決定したことに対する中国当局の鋭い否定的な反応は中国外務省が4月12日に発表した声明の中に込められている:
 「このような行為は極めて無責任であることははっきりしており、健康に深刻な損害を与え、近隣諸国の住民の安全を脅かしている。」

 中国外交部が強調しているように、日本側のこのような一方的な行動は、「太平洋水域の放射能汚染につながり、遺伝的障害を引き起こす可能性がある。」

 日本のメディアがずっと以前から報じていたことであるが、日本政府は福島第一原子力発電所の浄化水を速やかに排出する決定の準備をしてきた。その目的は日本でのオリンピック開催までに十分な時間を取ってこの決定を下すことだった。

 この件に関しては、昨年、日本でのオリンピック開催を2021年夏まで延期するという決定がなされたことを思い出すのがよい。当時の首相(安倍晋三)が、福島第一原子力発電所における事故後の状況は日本政府によって制御されていると断言した後のことだ。今の状況で放射能汚染水を太平洋に捨てなければならないと表明することは、目前に迫った東京オリンピック参加のために到着するアスリートたちの健康を巡って、どうしても、激しい議論を引き起こすことになるため、今打ち出す選択肢としてはこれ以上ないというくらい間が悪いものとなるだろう。例えば、サーフィン競技は福島から250キロ南の太平洋上の釣ヶ崎で行う計画だったし、他にも原発から60キロ以内で想定されていた大会もあった。

 東京オリンピックは、コロナウイルスのパンデミックにより、2020年夏から2021年に延期されたことは誰でも知っている。2021年7月23日から8月8日まで日本で大会が開催される計画だった。

 しかし、最近、東京でのオリンピック開催に関する住民の社会調査を行った共同通信社によると、日本人のほとんどが2021年の開催に反対している。 調査対象となった日本人の39%が開催中止に賛成し、約33%が開催延期に賛成している。また、2021年の夏に世界中から何千人ものアスリートが日本の首都にやってくることに肯定的な日本人は、わずか24.5%だった。

 このような状況の中、日本の新政府(管政権)は、日本の国民がどう思っているのか、の上でバランスを取りながら、オリンピックを中止する客観的な理由を見つけ出し、それを「面目を失わずに」発表する機会を数ヶ月間模索してきた。最終的には、イギリスのThe Times紙が責任ある情報源を引用して報じたように、日本政府は「Covid-19パンデミックのために」東京での夏季オリンピックを中止するという決定へと暗黙のうちに傾いている。そうは言っても2032年のオリンピック開催の権利を主張する心積もりではいる。

 オリンピック開催はしないことは決まりつつあるのだから、福島第一原子力発電所の貯蔵タンクから水を捨てるという決定は、日本政府の代表者たちの心の中でいつまでもぐずぐずしていることはなかった・・・。

 しかし、問題がひとつ残ることになる:この二つのことが決定された後、他ならぬ日本人が、東京オリンピックに参加する選手たちが、そして国際社会が、現在の日本政府をどのように記憶の中に留めるか、ということだ。

Vladimir Odintsov, expert politologist, exclusively for the online magazine ‘New Eastern Outlook’.

関連記事

インドにおける「Covid危機」の現状。続報。

<記事原文 寺島先生推薦>

India’s Covid Crisis in Context – An Update

left lock down sceptics
 2021年5月14日

ジョー・ナッシュ(Jo Nash)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月20日


 私はこの記事を、先日書いた短い記事の続報として書いています。その記事は多くの関心を集めたようです。インドの状況は急速に変化しているので、詳しい続報を書き足そうと思っています。もとの記事を書いてからすでに3週間が経過しており、状況も変わってきています。

 まず私が強調したいのは、インドの状況を話すのは非常に難しいということです。というのも、インドは国全体が同質の国ではないからです。インドの領土は広大で、人口も多く、気候帯は6つに分かれています。インド国民が住む地域は、その地域の立地場所により環境が全く異なります。ですので、インドの健康状態を「国内どの地域も同質である」と捉えることは賢明ではなく、意味のないやり方だと思います。

 前回書いた記事について、最近私は、ラジオでマイケル・ウエルチ記者からインタビューを受けました。この記事は、その際ウエルチ記者が私に投げかけた一連の質問をもとに、質疑応答形式で書いています。私が言いたいことは、「インドは危機状態にはない」ということではなく「今のインドの危機はCOVIDだけではなく様々な要素が絡んで起こっている」ということなのです。私が現地で得た情報の多くは、インドでの都市封鎖措置による飢餓に対応するために立ち上げたフードバンク関係の人々から得たものです。この記事を読んだ後で、このフードバンクに寄付をしようと思ってくださったり、寄付をしてくださる方は、この記事の最後にあるリンク先をクリックいただければ幸いです。よろしくお願いします。

 (1)あなたは大気汚染を強調されていました。大気汚染が「激しい」時期とそうでない時期があるのでしょうか?一日の中でもそうなのでしょうか? 大気汚染による障害の程度は、COVID前と後でどう変わったのでしょうか?お金で買える酸素が市場で売り出されるようになってからどのくらい経ちますか?また、酸素の購入が富裕層に集中した様子も教えてください。

 大気汚染の問題についても、都市部なのか郊外なのかによりさまざまです。COVID流行が都市部、特にムンバイや、ニューデリーや、カルカッタや、ベンガルや、チェンナイなどの大都市に集中して起こっている傾向があることからすれば、それらの地域での大気汚染を見てみることは意味があることだと思います。
 デリー州の大気が有害であることは世界的に有名になっています。その大気のせいで、外に出ると呼吸器系の疾患を発症してしまう危険があり、市全体規模の都市封鎖が行われたこともあります。メディアが報じている写真には、手押し車に乗せられた人々が苦しそうにあえいでいて、病院に殺到している様子が写されていますが、これらの写真はニューデリーの様子でした。ニューデリーでは、大気汚染が命の危険にかかわる程度まで悪化すると、呼吸器系の疾患をもつ人々の治療で病院が大混雑になることが多いのです。もっとも厳しいのは、モンスーンが来る季節の前の非常に乾燥して暑い時期であり、それが現在の4月から5月にかけての時期です。
 ハリヤーナー州やパンジャブ州で野焼きが行われる季節には、大量の煙が発生し、分厚いスモッグが形成され、11月や12月は煙がデリー州を包んでしまいます。
 海岸沿いの都市であるムンバイやチェンナイでは、大気汚染の問題は少ないです。大気が海に流れるからです。しかし、私が2018年にベンガル州に住んでいたとき、大気の質は定期的に非常に悪化しました。その原因は排気ガスや、建設が盛んであったのでそこから出されるたくさんのほこりや、暖を得るためや料理のために燃やされる固形燃料や、近代的なごみ収集事業が不足しているため燃やされるごみから出る煙などが大気中で混ざり合っていたせいでした。

 科学誌の「ランセット」誌の記事によれば
、2019年の11月に、デリー州の大気は非常に有害であり、行政当局は健康に関する緊急宣言を発令し、市内や郊外の学校の数日間にわたる閉鎖を命じました。石炭やディーゼルを使って行われる産業も、すべて最高裁判所が任命した「環境汚染防止対策委員会」により封鎖されました。

  富裕層向けの酸素バーが、多くの大都市で数年前から開店しています。そのバーでは酸素吸入器が売られており、ストレスや、筋肉痛や、偏頭痛や、頭痛などの健康問題の解消のために利用されています。このような酸素バーでの酸素の消費が、国内の酸素供給に影響を与えているなど夢にも思っていませんでしたが、実際のところはそうなっているようです。健康専門家のヨハン・テングラ氏が最近のインタビューで説明したところによれば、インドで酸素の輸出が始まったのは2年前のことで、ここ6か月は国内の酸素の供給不足に悩まされているとのことです。今のところ、戸外で働き、外気を防ぎきれない家に住んでいる貧困層は、悪質な大気をまともに受けていますが、ぜいたくな酸素バーなどに行くことはできません。私が強調しないといけないのは、COVID19の症例数はまったく「本当の危機を伝える数値ではない」ということであり、インドで現状起こっている危機について正しく理解するには様々なほかの要素があるということです。その一つが大気汚染の問題なのです。もうひとつ、最近「ランセット」誌で掲載された記事によると、インドの毒を含む大気(具体的には粒状物質と大気汚染のこと)は、2017年に124万人の命を奪ったそうです。この数は、2017年のインドの死因の12.5%を占めていました。現在の危機について論じる際は、このような関連事項も熟考すべきです。

 (2) 他のウイルスと比べたら、COVID 19は大したことはないようですね。関連記事が2020年3月に書かれています。最近症例数が激増していますが、この数は正しいのでしょうか?

  インド政府の公式ツイッターアカウント #IndiaFightsCorona は、常にCOVID症例数を報じています。しかし、COVIDの統計結果は、症例数や死亡者数がずっと累計で示されてるという、パンデミックが始まったころとは違う方法で収集されています。他の病気では年別に合計が集計されているのです。そうだとしても、COVIDによる死因は、1月から今日までの死因のトップ10にも入っていません。(TOI紙の記事の通りです)。 もちろん、政府の発表による数値に信頼がおけると考えるなら、ですが。この数値が、多いと主張するメディアの専門家もいれば、少ないという専門家もいます。データを収集する方法に透明性があるとは思えません。上のリンク先にある最近のインタビューでヨハン・テングラ氏が報じたところによると、ムンバイ市街では人々にPCR検査が強制され、自治体当局が1日につき45000件の検査を行うことを目標にしていたそうです。無症状の人々が検査を受けさせられたのですが、「感染病対策法」により、そのことを訴える権利ははく奪されていたようです。テングラ氏の主張によれば、陽性結果が出た中のほとんどの人々が無症状だったり、症状が軽かったそうです。「ベンガルミラー」紙の報道によると、ベンガル州では患者の99.4%が無症状であり、「テングラ・リサーチ」の調査によれば、PCRのCT値(増幅回数)は35であり、この数は間違った陽性結果を大量に出すCT値だそうです。

 (3) あなたは、「COVIDワクチン計画を進めることは、緊急に対応すべき公共医療に必要な資源を奪うことになる」とおっしゃっておられました。必要な資源とは、具体的には水や、衛生や、きれいな空気や、非伝染病疾病に対する治療に関する資源のことだ、と。お知り合いの方々から得られたさらに詳しい情報について教えてくださいませんか?

 インド政府は、ワクチンを入手するために何百万ものお金を使っています。しかしそうすることは、他の健康関連事業から資源を奪うことになっているのです。たとえば結核ワクチン計画もそうです。インドでは年平均で45万人から50万人が結核で亡くなっています。健康に関する政府予算が少ない中で、呼吸器系ウイルスによる急な流行が起こってしまえば、多くのインド人に対する保健体制は崩壊するでしょう。そして、4月というのはモンスーン前の季節であり、呼吸器系ウイルスが流行し始める時期なのです。

 私が前回の記事で言いたかったのは、医療体制が、脆弱で崩壊寸前にある国においては、資源を大規模なワクチン入手や、ワクチン接種計画に回すことは、他の公共医療に関する問題から資源を奪うことになるということです。そうです。若者や健康な人に対するコロナウイルスの怖さよりもずっと深刻で命に関わる病気はあります。結核や、はしかや、ポリオについてのワクチン計画はすべて保留されています。となると、これらの病気になる人の数が増えることになるでしょう。

 私が、都市封鎖措置により引き起こされた飢餓を緩和しようと、資金調達を呼びかけているフードバンクがあるビハール州で聞いた話ですが、呼吸器系の病気の症状がある患者たちの治療を拒んでいる医師たちが増えているということです。その理由は、医師たちが患者からCOVIDを感染することを恐れてのことだそうです。となると、複数の呼吸器系の病気の感染が流行するおそれのある今の季節に、医師に診てもらえない患者たちや、病気が重症になって、酸素吸入が緊急に必要になる患者が増えてくると思われます。

 今のところ、マハラシュトラ州にいる私の知り合いの一人が語った話によると、その人のおばあさんが腸チフスで入院することになったそうです。しかし入院中にCOVIDに感染し、その人の話では、おばあさんの死因はCOVIDだったのに、死亡証明書の死因欄には「腸チフス」と書かれたようです。その人が考えているのは、「マハラシュトラ州では入院中の患者の多くがCOVIDに感染しているため、本当はCOVIDが死因だったのに、それを少なく報告しているのではないか?行政当局は本当の状況を隠したがっているのではないか?」ということでした。しかしマハラシュトラ州の症例者数は現時点でインド内最大の記録を残しています。

 これらの情報からわかることは、人々はCOVID感染を恐れて、別の病気にかかってしまっても、入院したり医師の診察を受けたりしなくなっている可能性があるということです。そのせいで、季節性の呼吸器系ウイルスなどの呼吸器系疾病の治療が遅れ、肺炎を発症したり、酸素吸入が必要な状況になったりしている可能性があるのです。病気があるのに、検査が行き届かず、しばしば未検査になってしまうということは、さらなる2つの危険が生じます。一つは、呼吸器系の症状がある病気がすべてCOVIDだと診断され、COVID症例数が過大にカウントされてしまうことです。もうひとつは、適切な検査が不足しているためCOVID症例数が過小にカウントされてしまうことです。もちろん、この検査自体、問題の多いものである可能性もあります。というのも、PCR検査というのは、間違った陽性結果をたくさん出してしまう、信頼できないものだということがわかってきているからです。
 私のもとに、或る綿棒の映像が送られてきました。その映像によると、綿棒が労働者の親と子供たちが住むインドの一般家庭で箱詰めされていました。つまりそこで綿棒にCOVIDウイルスが付着するかもしれないということです。(この動画は TelegramというSNSプラットフォームに載っています。リンクは貼っていませんが、もし、Telegramをお持ちでしたら、その様子を見ることができます)。このような情報は信頼性に乏しいですが、しばしばSNSで出回り、炎上しています。現状の混乱状態の中では、ワクチンの直接効果ばかり伝えて、健康上の問題を持ちながら放っておかれる人々のためにお金を回さないということは、あってはならないことです。しかし、国中が巻き込まれる新しい緊急事態に対応する保健計画にお金を投資することが、COVID以外の健康問題の取り組みに回す資源を奪ってしまうということが起こっているのです。同じ事が、英国でも起こっています。例えば、治療されない多数のがん患者への対応が後回しにされているのです。

 (4) インドの国内メディアがゆがんでいる例を教えていただけませんか?そのことが人々に影響を与えていますか?

 大多数の人々が情報を得るのはニュースからです。私が北部で話を聞いた人たちは、COVIDの恐怖の報道はゆがめられていると感じているようでした。恐怖を煽り、ワクチンを打つように説得させようとしている報道だ、と。多くの人が勘ぐっているのは、通常の季節性のインフルエンザのような症状のある人が、COVIDであると誤診され、数値がつり上げられているかもしれないということです。しかし、本当にそれを確認することは不可能なのです。理論上だけの話で終わっています。

 COVIDの報じ方については、政治的な思考により大きく違いが見られます。独立系メディアの中には、死者数や感染者数などの数値が大幅に低く報告されていると主張しているメディアもあります。(例を挙げればワイア紙などです。ワイア紙は反インド人民党派であり、反モディ政権派でもあります)。また真逆の主張をしているメディアもあります。

 私は今日ワイア紙のニュース映像を見ました。その映像は、英国ミドルエセックス大学の数学者であるムラド・バナジ博士のインタビューを元にしたものでした。そのバナジ博士は、現在のモデルとはちがう、真の死者数を計算できる(それは同博士の主張ですが)モデルを使えば、真の死者数の数はおそらく2倍から3倍高くなると説明しています。しかし最近、バナジ博士の以前の研究のより詳しい査読が行われたのですが、その結果によれば以下のようなことが明らかになりました。

 (1)バナジ博士は、英国インペリアル大学と提携してモデリング作りに取り組んだ経験があります。インペリアル大学はゲイツ財団から巨額の支援を受けており、英国やEUや米国で、このウイルスによる総死者数を大幅に高く見積もったモデルを使っていたネイル・ファーガソンとともに責任を問われている大学です。
 (2)バナジ博士は、英国の慈善団体である「ウエルカム協会」や「レバーフルム・トラスト」から資金援助を受けています。両慈善団体はそれぞれ、英国の製薬会社グラクソ・スミスクライン社やユニリーバ社の下部組織です。両社とも、COVID危機を通じて、ワクチン販売、衛生用品の販売、医療防護具の販売、人工呼吸器の製造などにより巨額の利益を手にしています。

 研究者としての立場から、私が非常に危惧しているのは、研究者たちの研究動機のことです。多国籍企業から現在資金提供を受けていたり、過去に資金提供を受けた経験があったりする研究者たちの研究動機が気になってしまうのです。その多国籍企業が、パンデミックが広まることで、医療産業複合体の利益を拡大しようとしている利益団体だからです。しかしインドにおいては、多面的な視点からバランスのとれた構図をつかむことが非常に重要なのです。私はすべての科学者に慎重な研究を求めます。というのも、私自身、研究への資金援助の経験があるから言えるのですが、研究への資金援助というのは、非常に政治的なのです。

 私は非常に慎重な手法を好んでいます。モデリングではなく証拠に基づいたデータ分析の方が肌にあっているのです。特に、わからないことが多く、交絡変数が多くなる可能性のある分野のことについて研究している時は、その手法の方がいいと思います。今まで、数学的モデルが、米国、英国そしてEUにおいて使われてきましたが、その手法では、多すぎる数値を結果としてはじき出し、ほとんど信頼できないものだということがわかってきました。このようなまちがったモデリングを作った責任者たちには、多額の支援金を給付する利益団体から資金援助を受けてきた経歴があります。このような利益団体の目的は、数値をつりあげることで、恐怖を煽ろうとすることです。

 今のところ、ワクチン接種後の副作用による障害(突然死も含めて)についての話が、地元メディアや、Telegram上のSNSなどで広まり、コメントがつけられたりしていますが、全国放送のTVではあまり報道されていません。人々は、全国規模の大手メディアは政治的な影響を受けた報道を行っているものとして、信頼していません。政府の公式発表に反対するような意見を表明する記者たちは、国家の敵であると見なされたり、治安維持法違反とされる危険があります。インドの自主研究者のインドアーイシャ・パトナイク氏はこんなことを書いています。「インド人の言論の自由を擁護する憲法があるのに、国家が市民の意見を押さえ込むために、治安維持法が利用されている」と。
 以下はその文書から私が引用した箇所です。「活動家や、知識階級などで政府に異論を持つ人たちを“反国家主義者”だと見なすことがだんだんと普通のことになってきています。そして治安維持法が、その際大きな役割を果たしているのです。治安維持法や、国家主義を持ち出した治安維持法に関する議論というのは、この国の人権や市民生活を直接犯すものです。特にインドのベイル・ブリー社は、治安維持法は自由や表現の権利を侵害しているという記事を出しています。人権活動家たちが常々この治安維持法の標的になっています」

 このような複雑な状況を説明する際、はっきりしていることは、インドでどの勢力にも傾いていない中立な記事を手にすることは、ほとんど不可能だということです。(それはたぶん他のどの国でも同じですが)。インドの人々は、このことを理解していて、目にする情報をあまり信頼しません。それよりも、村の噂話や、Telegramのような検閲を受けないSNSからの体験に基づく情報を共有するほうを好んでいます。 ご想像の通り、このような状況は大きな問題を生む危険性をはらんでいることは確実です。

  (5) グローバル・ノースの国々と比べて、インドではなぜワクチン接種をためらう人が多いのでしょうか?インドの人々は過去にどのような苦い経験をしてきたためにこのような状況になっているのでしょうか?例を挙げてもらえませんか?

 ワクチン接種をためらう気持ちは様々です。北部のビハール州では、地方部において接種率は低くなっています。それは接種後すぐに副作用が出たり、死に至る事件が報じられているからです。宗教的な理由のせいで受けない人もたくさんいます。それは、ワクチンの成分が動物由来のものだと考えているためです

 また、南部のタミル・ナードゥ州からの情報によれば、ワクチンを接種しない理由が、親戚のお年寄りが接種後に副作用が出た場合、そのお年寄りの世話をするために仕事に行けなくないからだ、という人がたくさんいるとのことでした。
 インドの労働者の80%が日雇い労働を基本とする非公式経済に従事しており、これまでの都市封鎖措置のせいで多額の借金を抱えています。副作用が出た際にその治療をする金銭的な余裕がないという理由だけで、接種をしない人もたくさんいます。その人たちは、病院で呼吸器系ウイルスの治療を受けるよりも、民間療法や、インドの伝統的医療行為であるアーユヴェーダの方を好んでいます。

 インドの「プリント」紙の記事によれば、「タミル・ナードゥ州では、高学歴の家庭や安定した健康保険に加入している人たちの間でも、ワクチン接種をためらう風潮が蔓延している」とのことで、総人口のたった6.31%が1回目の接種を行ったに過ぎず、160万8046人(割合にして2.11%)しか、2回目の接種を受けていないそうです。
 COVIDワクチンに対して不信感をもつ空気が蔓延している理由の一つとしてその記事があげていたのが、タミル地方で人気のある俳優だったヴィヴェックさんが先月亡くなったことです。ヴィヴェックさんは、ワクチン接種の広告費をもらっていて、亡くなる1日前にワクチンを打っていました。そして4月17日に心不全で急死したのです。

 口からポリオワクチンを接種する計画の中で、子どもたちがポリオを発症した事例も複数報告されています。その数は数百人に上るそうです。それでも関係機関は、危険性よりも利益を優先しているようです。

 インドでのヒトパピローマウイルスのワクチンであるガーダシルの臨床実験計画においても、人権侵害行為がありました。インドに両ワクチンを売ったのは二社でした。1社目は、アストラゼネカ社でした。この会社は多くのヨーロッパ諸国で、ワクチン接種後に血液凝固が起こるとして禁止されたワクチンを作っていた会社です。もう1社は、インドのワクチン製造会社であるコボワックス社でした。両社ともゲイツ財団から資金提供を受けていました。ゲイツ財団は、ガーダシルワクチンの試用臨床実験にも資金提供していました。 

 2009年に、アーンドラ・プラデーシュ州とグジャラート州は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対応するガーダシルワクチンの研究計画を立ち上げました。そのウイルスは子宮がんの原因になる可能性があるものです。10歳から14歳までの女子が、ワクチンを接種しました。このワクチンを提供したのは、英国のグラクソ・スミスクライン社とドイツのメルク社でした。この計画は米国に本拠地を置く団体のPATH(健康における適切な技術推進のための計画)により設計され、実行され、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金提供を受けていました。

 しかし2010年4月に、インド政府はこの計画を打ち切りました。というのは、PATHが、倫理基準から逸脱したことをいくつか行っていることが、人権団体からの報告で広く知られることになったからです。しかしすでにその時点までの試用期間中に、24000人の女子がワクチンを打っていて、7名が亡くなっていました。ワクチンを打った多くの女子は、不可触民階級出身者や、先祖が不可触民であった人たちでした。

 国会特別委員会の調査によりわかったことは、ガーダシルワクチン接種後の追跡調査が、起こった副作用の全ては報告していなかったという事実でした。臨床実験において追跡調査を行うことは、接種後の障害や、反応を正確かつ迅速に特定するために不可欠です。 この計画は、インドの人々の健康に利益をもたらすために始められたはずでした。それなのに2013年8月、第2回国会特別委員会は、PATH計画を厳しく非難しました。その結論は、「この計画の唯一の目的は、HPVワクチン製造業者が商業的利益を増進させることだけであり、我が国のUIP計画(包括的予防接種計画)内の取り組みも含めて、HPVワクチンの入手がうまくいけば、これらの業者は多額の儲けを手にしていたことだろう」というものでした。(「健康と家庭の福祉」大臣署名、第72次健康研究省報告、7.13段落)

 リンク先のサイト「サイエンス・マグ」の記事によれば、3回1セットのHPVワクチン接種一回につき、州や国が150ドルを支払っていたとのことです。以下は記事からの抜粋です。

 「HPVに対応するガーダシルワクチンを製造しているメルク社と、同じくHPVに対応するサーバリックスワクチンを製造しているグラクソ・スミスクライン社が、ほぼ600万ドルに相当するワクチンをPATHに寄付していたという事実は、‘’慈善活動ではない‘’とインドで影響力のある医学誌「メディカル・スペシャリティ」誌の月報の編集者であるチャンドラ・グルハチ氏は書いている。 “米国の団体であるPATHが、こっそりとインドに拠点を置こうとしているやり口には驚かされる‘’と、グルハチ氏は主張している。さらに、“これは明らかにインド国民を人体実験の対象にしようという行為だ‘’と、ニュー・デリーのサー・ガンガ・ラム病院の消化器系の専門医であり、ナショナル・メディカル・オブ・インディア誌の名誉記者でもあるサミラン・ナンディ氏も批判している」

 つまりこのようなよくない先例があるので、インド市民の中には、新しいワクチンの危険性についての懸念が高くなっているのです。そして、今回のCOVIDワクチン計画に、ガーダシルワクチン計画の時と同じところから資金提供がなされている点も、警戒心が高まっている理由のひとつなのです。これらの要因が、ワクチン接種をためらう風潮を高めているのです。

 (6)あなたはワクチン接種に関する今の緊急事態をどうご覧になっているのか、教えていただけませんか?単に人々からの切実な要求に応えているだけなのでしょうか?それとも、現状はどうしてもワクチン接種を推し進めたい勢力からの要求が関係しているのでしょうか?(インドでは、何億もの人がワクチン接種の対象になります)。そして、インドの状況が他の国々の教訓になることはありますか?

 多くの国においては、症例数の増加と、ワクチン接種の推進が並立して起こっています。そしてインド政府を批判する多くの人々が主張しているのは、ワクチン接種後の障害が広まっているせいで、病院の病床数が不足しつつあるということです。しかも、そのことは大きく報じられていません。
 さらに、一回目のワクチンを接種した後の数日間は、体内の免疫系が低下しているという実例もかなり出てきています。また、ワクチン接種後に、市中のウイルスに接触した際、 COVID-19のADE(抗体依存性感染増強)が発生することを懸念している科学者たちもいます。 このようなことは、インドに限ったことではありません。英国の「UK Column News」でも、これらの件について追跡調査を続けています。
 私は、インド在住の知り合いからワクチン接種後の障害についての話をたくさん耳にしましたし、亡くなった方々や、マヒや脳卒中などの深刻な副作用が出ている人々もいると聞いています。そのようなことについては、地方のメディアでは取り上げられているようで、その後SNSのTelegram上で拡散されているようです。

 再度先述したヨハン・テングラ氏の話に戻りますが、テングラ氏によれば、PCR検査を受ける人々や、誤診された人々や、軽い症状なのに早く診察を望んでいる人々のせいで、病床数が切迫して、本当に病床が必要な人々に回せなくなっている、とのことです。 さらにテングラ氏は、酸素の供給不足について触れ、この不足状況もまずい政策が引き起こしたものであると非難しています。具体的には近年酸素の輸出を増やしたせいで、酸素が必要となる緊急事態の時に必要な予備が不十分になってしまったことについて、です。 テングラ氏によると、インドにおけるCOVID-19の致命率(症状が出た人のうち亡くなった人の割合)は昨年は3%を超えていましたが、今は1.5%以下に落ちているそうです。感染致命率については、もっとずっと低く、血清抗体検査によれば、0.05%~0.1%の間になるとのことです。

 他の国々でもインドの様子とほぼ同じのようです。というのも他の国々でも感染致命率が、インフルエンザ並に落ちていますので。
 
 (7) (農民たちの抗議活動のような)政治的な運動はCOVID緊急事態の影響をどのように受けていますか?モディ首相は、何百万もの人々にとって正しいことをして満足するという方法を取らずに、この危機にどう対処するつもりなのでしょうか?モディ首相の対処法は、あなたが現地で始められたフードバンクなどの取り組みにどのような影響を与える可能性がありますか?

 この質問は、私には答えるのが難しい質問です。というのも、今はインドにはいませんし、フードバンクはクラウドファンディングで、相互援助の救援活動であり、地域のボランティアが支えている活動ですので。政府とは全く無関係なのです。 

 農民たちが、COVID危機によりこれまでの運動をやめている訳ではないことは、私はよく知っています。農民たちの抗議キャンプも存続していますし、炊き出し活動も続いています。農民たちが、これらの炊き出し活動により、病院に食料を届けていることも知っています。またバスや電車の駅で、この危機の中、医療のために移動する人々や、職探しをしている人々にも食料を提供していることも知っています。
 農民たちはコロナウイルスの危機を理由に、抗議活動を止めるよう要請されています。一方、大規模な政治的な集会や、宗教的な集会は許可されています。 しかし、農民たちは自分たちの主張を曲げようとはしていません。企業が食料生産を牛耳ることを認めた、彼らの言う「暗黒の法律」が廃案になるまでは、彼らは闘い続けるでしょう。
 
 モディ首相は、新世界秩序(new world order)におけるインドの役割について、公式表明を出しています。その世界新秩序は、モディ首相によれば、この世界的流行の後に出現する世界の形だとのことです。
 さらに同首相は、この先10年は、第二次世界大戦後の10年と同じくらい非常に重要な10年になるだろうと発言しました。その上でモディ首相は、第二次世界大戦後とは違い、「我が国は、無言の傍観者でいるつもりはありません」と語っています。つまり首相は、グローバリストたちの言っている「世界の再起動(Great Reset)」 計画や、第4次産業革命のもとでのステークホルダー資本主義を完全に支持するつもりなのです。
 農民たちの抗議活動は、このような風潮に立ち向かい、農業活動の初めから終わりまで、すべてを企業がトップダウン方式で支配する体制から、零細農家たちを守ろうとしています。企業は、種から収穫物の値段を決めるところまですべてを牛耳ろうとしているのですから。
 もちろん、「世界の再起動」や「より良き復興」政策を推し進めているグローバリストたちも、世界規模で毎年行われようとしているワクチン接種計画や、世界で通用するワクチンパスポートなどに依存した世界規模の感染症対策を推し進めているものたちです。 そして西側諸国の政府はこの方向性を支持しています。国内での市民たちによる反対運動は強まっていますが。
 もしかしたらインドでの主要な政治的闘争はすでに終わっているのかもしれません。二大政党である、インド国民党と、インド人民党のどちらも、インドを世界の「新しい通常」に従う方向に導くだろうからです。両党からは、この「新しい通常」という計画への異論は全く見えません。このような状況は、世界の大きな経済界でも同様のようで、インドだけが例外ではありません。
 私たちは今、世界規模の階級闘争に直面しているのです。そして支配者層の第一目標は、中流階級を破壊して、奴隷的な身分に落とし込めることのようです。

 この記事を読んで、私が関わっている「フードバンク」についてもっと知りたい、あるいは寄付をしたい、あるいは寄付をしてもいい、と思われた方は、以下の「ちょっとした寄付を」のリンクをクリックしてください。インドでは、ちょっとした一歩が、千里の道に繋がります。私たちは、少ないですが1家族につき週5ポンドを給付したり、ストリートチルドレンに暖かい食事を提供したりという活動を行っています。よろしくお願いします。




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デジタル・ワクチン・パスポート!? そうだ。ビル・ゲイツは確かにそう言った。これがその証拠だ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Yes, Bill Gates Said That. Here’s the Proof.
https://childrenshealthdefense.org/defender/yes-bill-gates-said-that/
ロバート・F・ケネディ・ジュニア
グローバル・リサーチ 2020年12月14日
チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス 2020年12月11日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2021年5月23日 初出:2020年12月25日


 ゲイツとその手下たちは、この億万長者(すなわちゲイツ)は「デジタル・ワクチン・パスポートが必要になるとは言っていない」と主張している。
 しかし、2020年6月に行われたTEDトークで、ゲイツはまさにそのように発言した。誰かがその発言を編集したが、RFKジュニアが主宰する団体CHD(Children's Health Defense)はオリジナルを探し出した。

By  Robert F. Kennedy, Jr.
The Defender 12/11/20

 私(RFKジュニア)が主宰するサイト『The Defender』は、多くのソーシャルチャンネルで検閲を受けています。本サイトの今日のトップニュースを読んで、重要なニュースに必ず触れてください。無料です。

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 誰か工作人が、2020年6月におこなわれたビル・ゲイツのTEDトークを、巧妙に編集して、ゲイツの「私たちはすぐにデジタルワクチンパスポートが必要になる」という彼の明快な予言を改変していた(スライド1)。
 しかし、かなりの努力の末、私たちは元のビデオを探し出した(スライド2)。

 ゲイツの手下たち、すなわちケーブルニュースやネットワークニュース、公共放送、ソーシャルメディア、ファクトチェッカーなどの連中は、ゲイツがそんなことなど言ったことはないと主張している。
 彼らは、ゲイツが皮下チップや注射されたタトゥーで私たちを追跡しようとしたことはなかったと言っている。

 彼らはそのような話を「陰謀論」として片付けている。

 しかし、それが本当かどうか本人の口で語ってもらおう。以下がそのサイト(*)だ。
https://www.instagram.com/p/CIj3F0Rlsqs
<訳注> このサイトも、今は削除されて見れません。

 さらに言えば、2019年、『サイエンティフィック・アメリカン』誌の記事によると、ゲイツは、マサチューセッツ工科大学に、注射で接種できる染色された量子ドットシステムを構築するよう依頼していた。
 具体的には、医療情報が搭載されたタトゥー(刺青)を、注射により、子どもの皮膚下に注入するというものだ。このタトゥーは、iPhoneアプリを使えば見えるように設計されていた。

 ゲイツが所有するマイクロソフト社は、不気味な技術の特許を取得している。
 それは、体内にセンサー付きのチップが埋め込み、そのチップで人間の体や脳の動きを監視するという技術だ。
 この技術は、センサーを埋め込んで体や脳の活動をモニターし、それに応じた活動をおこなうと暗号通貨という報奨金をやると約束している。(つまり、従順な人間が、与えられた仕事、すなわちチップの埋め込みをやり遂げたときにだ。)

 ゲイツはまた、MicroCHIPS社に約2000万ドル(約20億円)を投資した。MicroCHIPS社は、医療機関が遠隔操作で薬剤を投与するための、無線オンオフ・スイッチを備えた避妊具インプラント・チップなど、チップベースの装具を製造する会社である。

 またゲイツは、COVIDパンデミックの数カ月前の2019年7月、パンデミック感染やワクチンの遵守状況を追跡するために、Serco社の株を370万株購入した。Serco社は、米国と英国の政府と契約している民間の軍事請負会社である。

 そのうえゲイツは、監視社会への移行を促進するために、10億ドルをEarthNow社に投資した。EarthNow社は、5Gビデオ監視衛星で世界中を覆うことを約束している。EarthNow社は500機の衛星を打ち上げ、政府や大企業が地球のほぼ全域を実況で監視し、1秒の遅れもなく瞬時に映像をフィードバックすることを可能にする。

 さらに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、クラウン・キャッスル社の株式530万株を取得した。クラウン・キャッスル社は、40000以上のセルタワーと65000以上のスモールセルを含む5Gのスパイ・アンテナを保有する会社である。

 お願い:この記事をクリップして自分のパソコンにコピーしてください。というのは、不都合な事実を消し去るゲイツの力は、デジタルの世界で日々拡大しているからです。


<訳注> ロバート・F・ケネディ・Jr.の確固たる評価は、環境保護に対する数々の訴訟を成功させてきたことに由来する。
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フロリダ州で、ビル・ゲイツの資金提供を受けた企業による、遺伝子組換え蚊が放たれる計画。住民からは「人体実験だ」と批判の声。

 
<記事原文 寺島先生推薦>

Florida set to release swarms of GMO mosquitoes as residents decry ‘criminal experiment’ by Bill Gates-backed biotech

Russia Today 全米ニュース

2021年4月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月20日




 フロリダ州キーズ諸島で、病気に対抗するために、何千匹もの遺伝子組換された蚊を放出するという計画が出された。これを受けて、地域住民から激しい懸念の声が上がっており、「こんな“犯罪行為“的な実験を行うなど、我々をギニアの豚(人体実験のこと)扱いするのか」という声さえ上がっている。

 この計画を進めているのは、フロリダ州キーズ諸島蚊対策部(FKMCD)と、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から支援を受けている、英国の生物化学会社であるオキシテック社であり、遺伝子組み換え蚊の群れの第一弾を今週中(4月最終週)のある時点で、キー市内に放出する計画があると、両団体が共同記者会見で発表した。



 後に規模を拡大する予定の、この計画の第一弾として、蚊の入った箱が六ヶ所に設置されることになっている。その後の12週間で約14万4000匹の熱帯シマカが放出される予定だ。この熱帯シマカは、デング熱や、ジカ熱や、黄熱病のような病気を媒介する際に最も関連が深いとされる蚊の一種だ。 この計画が上手くいけば、人間の血を吸わないオスの蚊が、この放出されたメスの蚊と交配することになる。このメスは、熱帯シマカが死に絶えるよう遺伝子操作されているので、熱帯シマカの数を抑制したり、病気の蔓延を減らす助けになるとのことだ。

 オキシテック社によると、この熱帯シマカの生態数は、キーズ諸島の蚊の個体数の総数の4%にしかならないが、熱帯シマカは蚊が媒介して人間に感染する病気の「ほとんど全て」に関わっているとのことだ。さらに動物に感染する、フィラリアの一種である犬糸状虫などの感染についても同じであるとのことだ。

 この計画は、米国環境保護庁が昨年3月に試用許可を承認したものであるが、この計画は、野生動物に害を与える可能性のある化学肥料の使用を減らすことも目指している。 しかし、オキシテック社の発表によれば、この計画を地方公共団体の首長に売り込む際の特典としては、この蚊の数の制御計画に化学肥料の使用を減らすことについての言及はない。 .

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Defensive bioweapon? DARPA wants insects to spread genetically modified viruses… to ‘save crops’

 2002年にオックスフォード大学で設立された英国に拠点を置くこのオキシテック社はさらに、 この計画に対する住民からの支持は「高いままである」と主張している。しかし、地域住民からは強い疑問の声が上がっており、その声がその地域の首長にまで直接届いているケースもある。

 「私たちは科学者ではないかもしれませんが、文献を読むことはできます。オキシテック社が言っていることと、私たちが別の情報源から得た情報は、完全に食い違っています」とは課題意識を持っている住民のメーガン・フルさんの意見だ。 3月に開かれた村規模の公聴会で語った内容だ。さらに彼女はこう付け加えた。「お願いします。すぐに対応してください。この技術を利用することを考え直していただけませんか」

 「これは犯罪行為だと思います。この実験に私たちが巻き込まれて。これは、公的機関であるフロリダ州キーズ諸島蚊対策部が、私たちに行うテロ行為であり、犯罪行為です」

 他の地域住民も「私は非常に心配している」と語っている。具体的には、この計画が進行すれば、、遺伝子操作されたメスの蚊にこの地域の人々が刺されるという危険性が出てくることについての心配だ。

 「みんなはそんなことは起こらないと言っていますが、私には信じられません」。さらに彼女が指摘したのは、オキシテック社や、関連の公的機関には「情報の透明性が欠けている」ことだった。

 議員の中にも不安の声を上げている人がいる。市会議員のマーク・グレッグ氏はこの遺伝子組み換え蚊のことを「フランケンシュタインのような虫」呼ばわりしている。

 「“私たちはギニアの豚(人体実験のこと)扱いされようとしている”と言っている人たちもいます。多分その通りなのでしょう。今本当にこの措置を取る準備をしないといけない時期なのか、私には分かりません」 とグレッグ議員は語った。

 しかしフロリダ州キーズ諸島蚊対策部は、病気を媒介する虫に農薬耐性がついてきているため、このような蚊の個体数を統制する措置を改善する必要性を主張している。さらに同組織は、今回のオキシテック社の計画は「安全で、環境にやさしく、的を得た」新しい対策法になる可能性があると語っている。


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Did a gene-modified mosquito apocalypse plan backfire in Brazil? Study says ‘Yes,’ company says ‘No’

 
 オキシテック社が、遺伝子組み換え蚊を使った対策を行うのはこれが初めてではない。すでに南アメリカや、カリブ海地域において、10億万匹以上の蚊の放出を行っている。例えば2013年、ブラジルにおいて27ヶ月間の放出実験を行い、現地に生息する蚊の個体数の90%を減らそうと計画していた。 キーズ諸島の新たな取り組みと同様に、遺伝子組み換え蚊を放出することにより、ブラジルの蚊を絶滅させようという計画だった。しかし、2019年、オキシテック社は槍玉にあげられた。というのも、蚊が再生しているという研究結果を、研究者たちが発表したからだ。その結果によると、調査した蚊のうち60%から遺伝子組み換えの形跡が見つかったのだ。

 同社は後にこの研究結果に反論をし、この実験は計画通り上手くいったと主張していたが、これ以外のオキシテック社の取り組みも、批判の的になっている。ケイマン諸島で行われた同様の計画も、2018年に打ち切りになっている。それは、政府がその計画は失敗に終わったと結論づけたからだ。ドワイン・セイマー保健大臣がこの計画についてこう発言している。「この計画では、予想していたような結果を得られることができそうもなかった」

 ケイマン諸島との契約が切れる数ヶ月前に、同社はビル&メリンダ財団と提携を結び、同じような「環境にやさしい遺伝子操作による「個体の自己減少」という蚊対策法を進めることを公表した。その時は、マラリアを媒介するハマダラカが対象だった。同財団の財務記録によると、それ以来、オキシテック社はゲイツ財団から手付金だけで850万ドルを得ており、2021年だけでもすでに1200万ドル以上の資金援助を受けている。今回のフロリダ州キーズ諸島の計画に、同財団の資金援助があるかどうかは不明だ。

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Sweden axes Bill Gates-funded Harvard experiment aiming to DIM THE SUN to fight climate change amid outcry from activists

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ビル・ゲイツと人口削減計画。ロバート・F・ケネディ・ジュニアが調査を要請

<記事原文>
Bill Gates and the Depopulation Agenda. Robert F. Kennedy Junior Calls for an Investigation
 

ピーター・ケーニッヒ、グローバルリサーチ、2021年3月04日

By Peter Koenig、Global Research, March 04, 2021、初出:GR 2020年4月18日

<記事翻訳 寺島隆吉>
2021年5月21日

 

  ビル・ゲイツと彼の財団であるビル&メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)は、20年以上にわたり、アフリカやアジアを中心とした貧しい国々の遠隔地で、何百万人もの子どもたちにワクチンを接種してきた。

 彼らの予防接種プログラムのほとんどは悲惨な結果をもたらした。まさに病気を引き起こし(例えばインドではポリオなど)、若い女性を不妊にした(ケニアでは改良型破傷風ワクチンを使用)。多くの子どもたちが亡くなった。

 これらのプログラムの多くは、WHOや、そう、国連の子どもの保護を担当する機関であるユニセフの支援を受けて実施された。

 これらの予防接種キャンペーンの多くは、子どもたち、両親、保護者、教師のインフォームド・コンセントがないまま、また、政府当局のインフォームド・コンセントがないまま、あるいは、偽装コンセンサスのもとに実施された。

 その結果、ゲイツ財団は、ケニア、インド、フィリピンなど、世界中の政府から訴えられた。

 ビル・ゲイツは、自分に対して奇妙なイメージを持っている。彼は自分自身を、ワクチン接種を通じて、人口削減を通じて、で世界を救う救世主だと思っている。

 2010年にロックフェラー報告書が発表された。これは、まさにいま私たちが生きているパンデミックの始まりを劇化した悪名高い「ロック・ステップ」シナリオのことだが、これが発表されたちょうど同じ頃、ビル・ゲイツはカリフォルニアで開催されたTEDショー「ゼロへの革新」でエネルギーの利用について語っている。

 このTEDでのプレゼンテーションを利用して、ビル・ゲイツは予防接種プログラムを宣伝し、文字通り「もし私たちが子供たちに本当に良い仕事をしていれば、子どもたちにワクチンを接種することで、世界の人口を10%から15%減らすことができる」と言っている。

ビデオ「ビル・ゲイツと彼の破滅的なワクチン接種プログラム」

 https://www.youtube.com/watch?v=JaF-fq2Zn7I  (最初から4分に11秒のところ)


 「まず、人口です。現在、世界には68億人の人口がいます。それが約90億人になろうとしています。もし、新しいワクチンやヘルスケア、生殖医療サービスなどで優れた成果を上げれば、人口を10~15%減少させることができるかもしれません。しかし、今は約13億人の増加となっています。」

  これでは、まるで優生学だ。このゲイツのスピーチは、次の録画ビデオが、そのすべてを教えてくれる。

 ビデオ、最初の6分45秒「ビル・ゲイツと彼の悲惨なワクチン接種プログラムの真実」を見れば、そのすべてがわかる。

Read also Gates’ Globalist Vaccine Agenda: a Win-Win for Pharma and Mandatory Vaccination by Robert F Kennedy Jr


 ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、ホワイトハウスに「ビル&メリンダ・ゲイツ財団の医療過誤と人類に対する犯罪についての調査」を求める以下のような請願書を提出した。

 「その先頭にいるのがビル・ゲイツで、彼はワクチン接種によって『人口増加を10~15%削減する』ことに関心があると公言している。ゲイツ、ユニセフ、WHOは、破傷風ワクチンにHCG抗原を隠して使用し、ケニアの子供たちを意図的に不妊にしたとして、すでに告発されている」。請願書本文より抜粋


 署名を希望される方はこちらをクリック。 (この記事を書いている時点で、請願書は265,000を超えている。ホワイトハウスからの回答には10万人が必要である。)

 ビデオ 「CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、実際のところワクチン会社だ」――ロバート・F・ケネディ・ジュニア

https://youtu.be/5CfLDXpC324

作家のビル・スティル氏が登場するビデオ(6分)「ビル・ゲイツと世界の悲惨なワクチンプログラムの真実」もご覧ください。

<訳注> この動画は今は削除されて見ることができません。

 今、ビル・ゲイツとその仲間たちは、世界中の70億人の人々に、今のところ安全性が検証されていないコロナウィルス・ワクチンを強制的に接種することを提案している。

 ビル・ゲイツの中には、巨大製薬会社、WHO、ユニセフ、ゲイツの盟友であるNIAID、NIH所長のアンソニー・ファウチ博士、そしてもちろんアジェンダID2020がいる。

 上記のワクチンは、大手製薬会社とワクチンを支持するすべての人々にとって、数十億ドルの大当たりである。ワクチン・カクテルに何が含まれているのかは、誰にもわからない。彼らは、まず南半球(発展途上国)から始めて、徐々に北半球(先進国)に移っていくつもりである。

 注意してほしいのは、コロナウイルスを治すのにワクチンは必要ないということである。治療法はたくさんある。

フランスのDidier Raoult教授は、世界で5本の指に入る著名な伝染病の研究者だが、その彼は、マラリア対策にも使われSARSなどの過去のコロナウイルスにも有効性が認められているヒドロキシクロロキン(Chloroquine or Plaquenil)の使用を提案している。これはシンプルで安価な薬として知られている。

 また、2020年2月中旬までに、彼の研究所と中国でおこなわれた臨床試験では、この薬がウイルス量を減らし、目を見張るような改善をもたらすことがすでに確認されていた。

 中国の科学者たちは、100人以上の患者を対象とした最初の試験結果を発表し、中国国家衛生委員会は、COVID-19の治療のための新しいガイドラインで、クロロキンを推奨すると発表した。(ピーター・ケーニッヒ, 2020年4月1日)

耳をすまし、目を覚まし、警戒して、皆にも警告せよ。


Peter Koenig

  is an economist and geopolitical analyst. He is also a water resources and environmental specialist.

  He worked for over 30 years with the World Bank and the World Health Organization around the world in the fields of environment and water.

  He lectures at universities in the US, Europe and South America. He writes regularly for Global Research; ICH; RT; Sputnik; PressTV; The 21st Century; Greanville Post; Defend Democracy Press, TeleSUR; The Saker Blog, the New Eastern Outlook (NEO); and other internet sites.

  He is the author of Implosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed – fiction based on facts and on 30 years of World Bank experience around the globe.

  He is also a co-author of The World Order and Revolution! – Essays from the Resistance.

  Peter Koenig is a Research Associate of the Centre for Research on Globalization.

 

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RFKジュニアの請願書:「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の医療過誤と人類に対する犯罪についての調査を求める

<記事原文>
We Call For Investigations Into The "Bill & Melinda Gates Foundation" For Medical Malpractice & Crimes Against Humanity
<記事翻訳 寺島隆吉>
2021年5月21日

作成日:2020年4月10日、署名数689,078筆 10万人達成


請願趣旨

 「COVID-19パンデミック」を取り巻く出来事を見ていると、さまざまな疑問が未だに解けないままです。

 中国の武漢でグラウンドゼロが宣言されるわずか数週間前の、2019年10月18日に、二つの大きなイベントが行われました。一つは「イベント201」であり、もう一つは武漢郊外で開催された「世界軍事オリンピック」です。

 それ以来、ワクチン&ウイルス追跡のための世界的推進が開始されました。

 この先頭に立っているのはビル・ゲイツであり、彼は、ワクチン接種によって「人口増加を10~15%減らす」ことに関心を持っていることを公に表明しています。

 またゲイツ、ユニセフ、WHOは、破傷風ワクチンにHCG抗原を隠して使用することによってケニアの子どもたちを意図的に不妊化させたとして、すでに信憑性のある告発を受けています。

 徹底した公的な調査が完了するまで、議会をはじめとするすべての統治機関は、義務を怠っていることになります。

<訳注> 
HCG:human chorionic gonadotropin●ヒト絨毛性ゴナドトロピン[性腺刺激ホルモン]

 

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プーチン大統領が、地政学ジャングルの掟を書き換えた


<記事原文 寺島先生推薦>
Putin Rewrites the Law of the Geopolitical Jungle

Strategic Culture
2021年4月24日

ペペ・エスコバー( Pepe ESCOBAR)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月15日

 プーチン大統領のロシア連邦議会での演説 (これは、事実上一般教書演説にあたる)は、柔道の技のように見事な技だった。これを聞いた大西洋の向こう側のタカ派たちは、唖然としたことだろう。

 プーチン大統領は、1時間半の演説の大部分を内政に関する問題に使った。具体的には、プーチン大統領は、ロシア政府が、貧困に苦しむ人々を救済するためにどんな対策を立てようとしているかについて詳細に述べた。その対象は、低所得の家庭や、子供たち、シングルマザーたち、青年研究者たち、恵まれない人々についてだった。その対策として、例えば近い将来、無料で医療がうけられる制度を導入することに触れたが、これは、ゆくゆくはベーシック・インカムの導入も見据えたものだろう。

 もちろんプーチン大統領は、現状の非常に不安定な国際関係についても触れないわけにはいかなかった。その件については、彼は手短に済ませる方法を選んで、大西洋主義者たちの広めているロシア嫌いを牽制したが、インパクトはかなりあったようだ。

 まず、プーチン大統領は大前提を明らかにした。すなわち、ロシアの政策は、「平和を守り、我がロシア市民の暮らしの安定と安全を保証し、我が国の安定した発展を確実なものにすることです」と語ったのだ。

 さらに、「我が国との対話を望まず、自分勝手な傲慢なやり方を選ぶ勢力に対しては、我が国は毅然とした対応をとる方策を模索するつもりです」とも語った。

 その点に関してプーチン大統領が名指しで非難したのは、「政治的な意図のもとでの不法な経済制裁」についてであり、このような行為は「さらにもっと危険な状況」につながると警告した。実際、そうした状況を西側諸国は隠して語らないのではあるが、プーチン大統領は「最近、ベラルーシにおいてクーデターを遂行し、ベラルーシの大統領を暗殺しようという動きがありました」と述べ、「これは完全に危険信号を突破したということです」と語気を強めた。

 ルカシェンコ大統領を暗殺しようという企みは、ロシアとベラルーシの秘密工作員により明らかにされた。彼らは何名かの関与者を拘留したが、その関与者はほかでもなく米国の秘密工作員から支援を受けていた。予想通り、米国務省は、この事件への関与を否定している。

 以下はプーチンの発言だ。「この陰謀に関わって拘留された関与者たちの証言は、取り上げる価値があります。彼らは、ミンスクの封鎖を準備していました。具体的には、インフラ基盤や、通信手段の封鎖も含む、ベラルーシの首都の電力システムを完全に封鎖する準備をしていたのです。つまり、大規模なサイバー攻撃の準備が行われていたということになります」

 そうなれば、非常に不快な真実と向き合わねばならない。「もちろん、このような事態が生じた理由は、ロシア側が申し出ていた情報やサイバーの安全を守る分野での国際的な話し合いを持つ提案を、西側諸国が何度も何度も拒んできたこととは無関係ではないと思いますが」

「素早く、激しく、倍で返す」

 プーチン大統領は、「ロシアに対する攻撃」が、「スポーツ、しかも新しいスポーツ」と考えられ、どれだけ大きな声でロシアを攻撃できるかのゲームのようになってしまっていると語った。ここで、プーチン大統領は、ジャングル・ブックのたとえ話を本格的に持ち出したのだ。「ロシアは、理由なしにあちこちで攻撃されています。もちろん、おべっか使いのタバキ(ジャッカル)がシア・カーン(虎)の周りをうろついたように、あらゆる種類のこざかしいタバキたちが、虎の周りを駆け回っています。現状はキップリングの『ジャングル・ブック』とまったく同じです。虎の周りを吠え回ってご主人様に仕えようというタバキたち。キップリングというのは偉大な作家でした」

 この比喩が「二枚重ね」であることに気づいた人はもっとびっくりするだろう。というのは、作者キップリングが生きていた19世紀の地政学というのは、大英帝国と帝政ロシアの間で「グレート・ゲーム」が行われていた時期であり、キップリングは英国側のプロパガンダの広告塔をつとめていたのだ。
(訳注:グレート・ゲームとは、19世紀に中央アジアをめぐって繰り広げられた英露間の覇権争いのこと)
 プーチン大統領は再度以下のことを強調せざるを得なかった。「私たちは対話の橋を焼き落としたいとは全く思っていません。しかし、私たちが無関心であるか、私たちが弱いというふうに勘違いをして、そのような橋を完全に焼き落としたり、吹き飛ばそうとさえする勢力があるのであれば、その勢力は、ロシアからの迅速で激しい反撃を目にすることになるでしょう」

 さあここで地政学ジャングルにおける新しい掟の登場だ。その掟の後ろに控えているのは、イスカンデル・ミサイル氏、カリブル・ミサイル氏、アバンガルド・ミサイル氏、戦艦ペレスヴェート氏、キンザル核弾頭ミサイル氏、サーマット・ミサイル氏、ジルコン・ミサイル氏などロシアが誇る優秀な紳士たちだ。どれも超高音速のスピードなどで、記録を残している優秀なものたちだ。ロシアという大熊にちょっかいをだそうとするものたちが、ロシアを怒らせてしまったのだ。「私たちの国防力が実力行使したことを後悔する事態が生じるかもしれません。私たちの国防軍が実力行使を行って後悔することはずっとなかったのですが」

 ここ数週間で事態は驚くように進展している。中米アラスカ会談。桂林でのラブロフ-王毅外相会談NATO会談イランと中国の戦略会議。習近平国家主席の博鰲アジアフォーラムでの演説こうした進展が今全く新しい現実に融合しつつあるのだ。米国という怪獣リバイアサンが、一方的に、有無を言わせぬ鉄の意志を突き通す時代は終わったのだ。

 それでもまだ、そのような時代の風を感じられないロシア嫌いの人々に対して、冷静で、穏やかで、落ち着き払ったプーチン大統領は、以下のような厳しい言葉を発しなければならなかった。「明らかに、私たちはいままでずっと耐えてきました。責任感と、プロ意識と、自信と、誇りをもって、私たちの立ち位置や、常識を正しくとらえ、何か事を決める際に、正しく進む道を選んできました。しかし私は、どんな勢力にも、ロシアが考えているいわゆる「レッドライン」を踏み越えようなどと、考えて欲しくないのです。しかしもしそうなった場合には、そのたびに私たちは毅然とした決断を行います」

 現実の政策について話を戻したプーチン大統領が再び強調したのは、「核保有5カ国」が果たすべき「特別な使命」についてであった。さらに、この件に関してプーチン大統領は、「戦略兵器に関する問題」について真剣な論議が必要であると語った。これは、この呼びかけに同意するかについて、バイデンーハリス政権に対する公開質問であると考えていいだろう。バイデンーハリス政権の後ろには、ネオコンと「人道的帝国主義者」たちという「有毒なカクテル」のような一団が隠れているのだ。

 プーチン大統領の発言:「このような交渉の目的は、世界が武力衝突なしで共存できるための環境作りをすることではないでしょうか。そのためには、軍事力の均衡が基礎になると思われます。大陸間弾道ミサイルや、重爆撃機や、潜水艦のような戦略兵器にとどまらず、私はここを強調したいのですが、その装備にかかわりなく、戦略的な問題を解決できるすべての攻撃および防衛システムについても交渉すべきです」

 習近平国家主席が、博鰲アジアフォーラムで語った内容がほとんどグローバル・サウスについての問題に向けられていたのと同様に、プーチン大統領も「私たちはこれまで密接な関係を築いてきた、上海協力機構や、BRICSや、独立国家共同体や、集団安全保障条約の同盟国との連携を深めていく」ことを強調した。さらに、「ユーラシア経済連合の枠組みでの共同プロジェクト」について、「各国の発展についての問題を解決する有効な手段」であると賞賛した。

 一言で言えば、「ロシアが考えている“偉大なユーラシア”という概念に即した事実上の融合政策」だということだ。

「緊張が戦時状態ほどに高まっている」

 上記のようなプーチン大統領の発言と、「ロシアからの脅威に対応する」ための「国家緊急事態」宣言をしている米国大統領令(EO)を比べてみてほしい。

 この大統領令は、ウクライナ政府がドンバス地方やクリミア半島を奪回したいと考えている事に対して、「対策を取る」とバイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に約束したことと直接つながっている。(正確には、バイデン大統領ではなく、イヤホンやテレプロンプターを通してどう振る舞うかをすべてバイデン大統領に陰で指示しているあの連中が出した大統領令なのだが)

 ロシアのOFZ(ロシア連邦発行のローン債権)を購入することは、制裁の対象となっている。さらには、スプートニクⅤワクチン製造に関わっている企業の一つからワクチンを購入することも、制裁の対象だ。それでも厳しい制裁は激しさを増し、これからは米露二重国籍をもつ人々も含めて、すべてのロシア人が、通常のピザに特別な権威からの承認があるというかなり特別な事情がなければ、米国領内に入国できなくなる可能性もある。この大統領令には、目が飛び出るほどびっくりするような措置もいくつか書かれている。例えば、ロシア国籍を持つ人は誰も、米国内で資産を所有する権利が事実上認められなくなる、とある。どのような米国在住者も、米国の治安を乱す活動に関わっているロシアの工作員とみなされた人々はみな、そういった制裁を受ける可能性がある、ということだ。大統領令の副段落のさらに副段落の(C)項に、その対象について、こう詳しく書かれている。すなわち、 「米国内外の民主的な手続きや、民主的な組織を損ねる活動や、考え」を持つものである、と。このような表現はあまりに曖昧すぎて、国際関係におけるロシア政府を支持するようなメディアをすべて消し去るための口実に使える表現である。

 ロシアの新聞社ヴェドモースチ紙によると、このような被害妄想が漂う雰囲気の中では、ロシアの大企業であるネット検索会社のヤンデックス社や、コンピューターセキュリティ会社のカスペルスキー社などが深刻な打撃を受けつつある、とのことだ。それでもまだ、ロシア政府はこの程度の制裁で驚いてはいけないようだ。米国の政府関係者によれば、最悪の制裁がこのあと来る、とのことだ。具体的には、ロシアが露独間に建設している天然ガスパイプラインのノルド・ストリーム2に関する二件の制裁の法案が米国司法省の承認をすでに得ている。

 決定的なことは、この大統領令が、ロシア政府の政治的立場を報じることはすべて「米国の民主主義」を脅かすことになる、と捉えていることだ。一流の政治専門家であるアラステア・クルーク氏が記述している通り、この大統領令は「戦時中、敵国の市民に対してとられる手続き」だ。さらに、クルーク氏はこう付け加えた。「米国のタカ派たちは、ロシア政府に対する姿勢を強固なものにしている。米露間の緊張やロシアに投げかけられている言葉は.戦時中の様相を呈してきた」と。

 プーチンが連邦議会の演説で語った内容を、ネオコンや人道的帝国主義者たちという「気の狂った有毒な」連中が深刻に受け止めるかどうかが問われているのが現状だといえる。この陰謀団は、ロシアと中国両方をいじめるのに熱中しているのだから。

 しかし、今、実際、或る尋常ではない状況が起こりつつある。「緊張緩和」とでも呼べるべき状況だ。

 プーチン大統領の連邦議会での演説の前からすでに、ウクライナ政府と、NATOと、米国防総省はあきらかにロシアからの示唆的な警告を受け取っていた。ロシア政府は、ドンバス地方やクリミア半島の国境付近に大規模な2つの軍団(陸軍と空軍)を派遣していた。もちろん、カスピ海から黒海に海軍も配置していた。NATOは、これらのロシア軍と一線を交えることなど夢にも思っていないだろう。

 様々な側面から色々な事実が伝わってきている。フランス政府も、ドイツ政府も、ウクライナ政府がロシア軍と衝突する可能性を危惧して、その事態を避けようとEUやNATOを通したロビー活動を行った。

  そのとき誰か(たぶんジェーク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官だろう)が、バイデンのイヤホンが壊れていないかの検査のためにこんなことをつぶやいたにちがいない。「世界からの米国に対する“信頼”を保持しようとして核保有国のトップを侮辱して回るのはよろしくないでしょう」と。その後、今や有名になった「“バイデン”からプーチンへの電話事件」が起こったのだ。その電話で、バイデンはプーチン大統領に気候サミットへの参加を促した。その電話での高尚な約束事のほとんどは、口先だけだろう。米国防総省がこの先もこの地球を汚す実行者であり続けるだろうから。

 さあ、米国政府がロシア政府と話し合いが持てる経路を少なくとも一つは見つけられたかもしれない。だが同時にロシア政府は、ウクライナ・ドンバス・クリミア問題が終わったなどという幻想はこれっぽっちも抱いていないだろう。プーチン大統領が、連邦議会での演説でウクライナ問題について全く触れなかったにしても、だ。さらにロシアのショイグ防衛庁長官が、西側との緊張緩和を命じたとしても、だ。

 常につかみどころない存在であるロシア軍関係の専門家アンドレ・マルチャノフ氏は、嬉々として以下のように記述している。「EUと米国が、“ロシアはウクライナを求めていない”と考え始めた時は、文化の違いを感じた。ロシアが求めているのは、ウクライナが腐敗し、ロシアへの打撃にならないように後腐れなくウクライナが内部崩壊することなのだ。西側がこの集団的暴行の清算の代金を払うことも、ロシアがウクライナをバントゥスタンにしてしまう計画に入っているのだ」

訳注:バントゥスタンとは、アパルトヘイト政策の批判をかわすために、かつて南アフリカ共和国が、黒人たちに与え、自治を認めた居住地域のこと。

 プーチン大統領が演説の中でこの「他民族自治居住区(=ウクライナのこと)」に触れなかったという事実が、マルチャノフの分析の裏付けになっている。「レッドライン」という用語を使っている以上、プーチン大統領の胸三寸は常に変わらない。つまり、ロシアの西の国境にNATOの基地を置かせることをロシアは許さないということだ。フランス政府も、ドイツ政府もそのことは理解している。しかしEUはその現実から目をそらしているのだ。NATOもこの現実を認めようとはしない。

 このような問題について考えると、常に同じ決定的な問いに直面するのだ。それは、プーチン大統領が、ちょっとしたおふざけには目をくれず、ビスマルク(19世紀にドイツを統一した宰相のこと)と孫子を結びつけた戦法を選択し、独露間で長く続く協定(“同盟と呼ぶにはほど遠くてもよい)を結ぶことができるかという問題だ。ノルド・ストリーム2は、この戦法を動かす車輪の中心だ。だからこそ、米国のタカ派たちはこのパイプラインに狂ったように目くじらを立てているのだ。

 次に何が起ころうが、実際上「鉄のカーテンの第2弾」が進行中であるので、状況はそう変わらないだろう。制裁はまだまだ行われるだろう。熱い戦争にはいたらずとも、ロシアという大熊にあらゆる石が投げつけられてきたのだ。さあ、本当に見物だ。「外交手腕により、ロシアとの緊張を緩和」しなければならない状況において、米国政府がどんな一手を見せるだろう。

 世界の覇権者として君臨してきた米国は大規模なPR作戦を繰り出す方法を見いだすかもしれない。そして、外交的手腕を発揮して最終的にはこの袋小路を抜け出せることに成功するかもしれない。そうなれば、戦争はきっと回避できる。だから、腰の低いジャングル・ブックの冒険者たちはこう助言されてきたのだ。「面白そうな事があれば挑戦してみて。そうなれば、きっと“迅速で、激しい倍返し”を食らうことになるよ」と。

 

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完全悪の存在を否定するな

<記事原文 寺島先生推薦>

Denying the Demonic
Global Research 2021年4月18日

エドワード・カーティン( Edward Curtain )

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月15日



<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月15日

 去年の3月、コロナウイルス騒ぎが始まった頃、私はあまり重要ではない記事を書き、その記事の中で「トイレットペーパーを買い占めることが、人々にとってのワクチンだ」と書いた。

 私が言いたいことは単純だった。排泄物と死は、文化史においてずっと関連づけられてきたものだということだったのだ。さらに邪悪な悪魔であるサタンに対して西洋の人々が持つイメージもそうなのだ。サタンは、黄泉の国の王であり、神や自然界の秩序を乱すトリック・スターであり、死後人間たちが行く地下の世界の、死の匂いの漂う地獄を支配する最高位の存在だ。

 精神分析の文献には、死への恐怖を表わす夢に出てくるのは、「便所が糞で溢れている夢」や、「糞でズボンを汚してしまう夢」などで溢れている。 アーネスト・ベッカー氏は『死の否定』という著書でこのことを分かりやすくまとめている。

 「間違ってはいけない。糞とは人類にとっての真の敵なのだ。というのも、糞は死を連想させるものだからだ」

 神学の文献においても、悪魔の仕業に対する警告がたくさん書かれている。古代ギリシャの劇作家アイスキュロスから19世紀の米国の作家メルヴィルに至るまで、西洋古典文学においても同様だ。悪魔についての話は、古代からずっと育まれてきたもので、悪魔に当てられる名前も様々だ。合理的にものを考える人々は、直感的にこのような考え方を無意味であると否定しがちだ。しかしそれは思い上がりだ。ギリシャ神話の復讐の神フューリーは常に、自身の存在が否定された時に復讐を果たそうとする。というのも、悪魔というのは、私たち人間の一部に存在するものであり、人間ではない存在ではないからだ。それは何度も繰り返されてきた人類史の悲劇を振り返ればわかることだ。

 「排泄物に対する見方」と死への恐怖に、人間はとりつかれている。哲学者ウィリアム・ジェームスの名言にもある。我々は「人生という宴の中でいずれは骸骨になる存在」なのだ。だからそのような恐怖から人間を守るのがトイレットペーパーなのだ。トイレットペーパーのおかげで、パニックが引き起こされている世界で死に対する恐怖を抱えているのに、私たちは、安全で、きれいで、自由にいられるのだ。これは一種のお守りのようなものであり、自分が守られているという感覚を無意識のうちに感じるためのものだ。いわば一種の自分が自分にかける催眠術のようなものだ。

 1年後、このお守りは別のものに取って代わっている。去年のすこしふざけた拙論での主張が、より暗黒なものになっている。今はトイレットペーパーを買い占めてもだめだ。「やつ」を注射しないといけないのだ。そうだ。体内にRNAを注入するというワクチンという名の偽ワクチンのことだ。

 人々は「ワクチンを打ちなさい」と四六時中言われ続け、列をなしてそのワクチンを待っている。この「ワクチン」はトイレットペーパーよりも、たちが悪い。少なくとも、トイレットペーパーなら実用性はある。本当のワクチンというのは、語源を調べればわかるとおり、ラテン語の“vaccinus(雌牛)”という単語から来ている。これは、英国の医師エドワード・ジェンナーが、天然痘の感染を防ぐために1800年に初めて牛痘ウイルスを使ったことに由来する。つまり少量のウイルスを使うことがワクチンの本来の意味である。RNAを注入するというのは、ワクチンではない。これを「ワクチン」と呼ぶのは、牛の糞(bullshit)くらいばかげているし、第一全く牛とは無関係だ。こんな代物を「ワクチン」と呼ぶのは、言葉によるマインドコントロールだ。

 このような試用段階であるRNA注入薬を接種したとしても、「ウイルス」からの感染を防げないし、ウイルスとされるものの感染を妨げることはできないだろう。最近米国食品医薬品局(FDA)が出した報告が、それを明らかにしている。FDAは、これらの注入薬に対しては、条件付きの「緊急使用許可措置(EUAs)」を発行している。これらの注入薬は「感染を弱める効果があるかもしれない」ことだけが、承認されている。  それでも何百万人もの人々が言われたままに注射を打っている。そんな注射を打っても期待するような効果は何も得られないというのに。この状況からわかることは何だろう?

 何億もの人々が注射を打っている。そして、その注射を打てば生体反応のある「遺伝子療法」分子を体内に入れることになるのだ。そんなことを許している理由は、恐怖のせいであり、何も知らないからだ。さらには、この薬品を売り出している人々が「邪悪な存在」であり、隠された意図をもっていることについてよく考えていないせいだ。そうだ、奴らはいい人たちではないのだ。奴らは邪悪な存在であり、邪悪な意図を持っているのだ。言い過ぎじゃないかって?奴らは本当に邪悪な存在なのだろうかだって?何を言っている!しっかりしろ!

 このコロナ危機において悪の力がうごめいていることについてよく考えないなんて、いったいどういうことなんだ!

 なぜ、「PCR検査を発明したカリー・マリスによれば、PCR検査はいわゆるウイルスの検査には使えないと言っていた」ことや、「陽性結果」の数はインチキであることを信じている人が、ワクチンを打ったのだろうか?こんな人たちは、このウイルスが単離さえされていないことを知っているのだろうか? こんな盲信はただの信念であり、科学や事実に基づいたものではない。

 死への恐怖のせいだけで、こんな思考になってしまうのだろうか?

 それとも、こんなことを盲信してしまうのは、無知や、宣伝行為のせいだけでは片付けられないもっと深い原因があるのだろうか?

 事実を知りたい方もいらっしゃるだろうが、事実についてはここでは触れない。いまだに「事実が大事だ」と考えている人々の善良な意思は存在するのだが、私の考えでは、大多数の人々はもう事実によって説得されなくなっているようだ。しかしそのような事実は、優れた代替メディアからいつでも入手可能だ。

 グローバル・リサーチのミシェル・チョスドフスキー氏は、包括的な内容を扱っている電子書籍を無料で出している。タイトルは『2020年から2021年にかけての世界規模のコロナ危機:社会文明を破壊し、大恐慌を促し、世界規模のクーデターを起こし、「世界の再起動(Great Reset)」へ』 。この本は、事実と分析を追い求めたいのであれば、まず手にすべき本だ。

 あるいは、ロバート・ケネディ・ジュニア氏の「Childrens Health Defense」や, 「Off-Guardian」や,「Dissident Voice」や, 「Global Research」などの多数の記事を参照して欲しい。

 読者の皆さんはおそらく、「このようなサイトは右派からのプロパガンダを流すサイトだ」と思われていることだろう。というのも、これらのサイトが載せている多くの記事は、いくつかの保守系のメディアでも見ることができるからだ。

 そう思われているのなら、反応する前にまずは考える必要がある。意味のない「右か左か」という分類法を取れば、大手メディアや政権党は完全に「右派」だ。

 私はこれまでずっと「おまえは左派」だという批判を浴び続けてきた。しかし、今は「おまえは右派だ」と言われている。私が書いた記事が左派系の出版社から出されているというのに。たぶん私を批判している人たちは、どちらに回せばねじが閉まり、どちらに回せばねじが緩まるかがわかっていないようだ。型にはまった見方をしてびくびくしていても、先には進めない。

 私が関心を持っているのは、なぜこんなにも多くの人が完全悪が存在することを認めようとしないかについて、だ。こんなことに疑問を持つのは、右派の人たちからだけだろうか?もちろんそうではない。 これは右や左など関係なく、人類が、何年もずっと問い続けてきた疑問だ。

 私は今日の我々の世界が「完全悪」や「悪魔の力」に握られていると思っている。このことを理解し、受け入れることを拒絶することは、何も今に始まったことではない。

 著名な神学者ディビッド・グリフィンが指摘しているように、米国は長期にわたる、そして今も続く殺戮を行ってきているのだ。これこそ明らかに完全悪だ。米帝国は、サタンを象徴とする死を求める力に引っ張られている。

 私が長年理解しようと努めてきたのは、なぜこんなにもたくさんに善良な人々が、何十年にも渡って、この状況を理解し、受け止めようとすることを拒んできたのかということと、どちらともつかない中道主義を貫いてきたのかということだ。中道とは、いわば安全な道だ。「自分たちの支配者たちには慈悲の心があるはずだ」と信じることだ。わたしが「真の邪悪な存在」と言っているのは、深遠な霊的な感覚から来るものだ。宗教的な考え方といってもいいかもしれない。しかし私が言う「宗教的な」という意味は、組織的な宗教団体のことを指してはいない。というのも、組織的な宗教団体の大多数は、邪悪な存在と共犯の関係にあるからだ。

 米国人たちにとっては、ヒトラーや、毛沢東や、スターリンなどの外国の指導者たちが邪悪な性質を持っていることなら簡単に受け入れる。さらには、米国政府が殺したり、失脚させたいと思っている外国のリーダーを「新ヒトラー」と呼びたがる米国政府の手口も、簡単に受け入れる。それなのに、自国の政府の指導者たちが、邪悪な存在であることを受け入れることはほとんど不可能に近い。

 ではここで、いくつかの歴史の振り返りを始めさせていただこう。

 ジョージ・W・ブッシュ政権下での、2003年から始まった米国による、イラク破壊攻撃や、大量殺戮。この行為を「不法行為であり、不当なものだ」や、「間違った前提から始められた行為だ」という人は多いが、「完全悪である」と言う人はいるだろうか?

 バラク・オバマ政権によるシリア壊滅行為を「完全悪である」と言う人はいるだろうか?

 広島と長崎への原爆投下や、東京大空襲など日本の多くの都市に対する空襲で、何十万にもの日本市民たちを殺戮したことを「完全悪である」と言っている人はいるだろうか?

 米国によるシリア攻撃を「完全悪である」という人はいるだろうか?

 何百万人ものベトナム人を殺戮したことを「完全悪である」という人はいるだろうか?

 2001年9月11日の偽旗行為のことを「完全悪である」という人はいるだろうか?

 奴隷制度や、先住民の虐殺や、弱き者たちに対する秘密の人体実験や、CIAによるマインド・コントロールの人体実験や、世界中の国々でのクーデターを画策し、何百万人もの人を大量殺戮したことに対して、「完全悪である」と言う人はいるだろうか?本当に心の底から「真の悪である」と言う人はいるだろうか?

 米国が国家として、ケネディ大統領や、マルコムXや、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアや、ロバート・ケネディや、フレッド・ハンプトンなどの人々を暗殺したことを「完全悪である」という人はいるだろうか?

 核兵器に何兆ドルも使い、人類を虐殺するために核兵器を使用したいと考えることが、「完全悪である」という人はいるだろうか?

 こんなリストを作成すれば、そのページは永遠に続くだろう。「米国はずっと完全悪の実行者の手に握られて来たわけではない」と結論づけるのは、歴史的感覚に欠けた人々だけだ。

 続きを付け足すとしたら、その総数は驚くべき結果になるだろう。ちょっと考えただけでも、とんでもないことになりそうだ。

 ただし、このような歴史を「完全悪である 」と捉えることと、今もその歴史が連続したものであると考えることは別だ。私が思うに、あまりに多くの人々が「今の自分たちの指導者たちは、意図的に邪悪なことを行ってきたり、行っていること」と認めたがらないのにはふたつの理由がある。1つ目の理由は、認めてしまうと、これらの指導者たちの邪悪な行為を自分たちが支持し、反対しなかったことになってしまうからだ。つまり、 自分たち自自身がそのような真の悪を受け入れた責任が問われることになってしまうということだ。そうなると罪の意識を引き受けないといけなくなる。

 二つ目の理由は、自分たちの指導者たちが完全悪であるという考えを受け入れることが多くの人たちにとってほぼ不可能に近いのは、現代の社会が理にかなった形態のように見えて、じつはその裏に邪悪な力が隠れていて、自分たちが巨大な嘘で固められた社会に住んでいることを認めないといけなくなるかれだ。そうなった時にもっともいい選択肢は、「自分たちの社会はそうではない」と信じ込むことだからだ。このような邪悪な行為が過去にあったことを認めている人々の中には、意識的に以下のような言葉を発する人が結構いるのだ。「それは昔の話で、今は状況が変わっている」と。今自分が生きている現状の世界を正しく理解することは、困難なだけではなく、気持ちを害することになる。その理由は、自分たちがその現状の世界の一部だからだ。

 私の言っていることが正しく、大多数の米国人が自分たちの指導者たちが完全悪を意図的に行っているという事実を認めたがっていないとすれば、今のコロナ危機に関して行政機関が持ち出している意向に対して疑念を持つことは、必然的に自己検閲の対象となるのだ。さらに、すでに皆が分かっていることだが、行政機関は広範囲に渡る検閲の目を光らせているので、 人々は行政機関の措置に対する異論の声を聞くことができない。そのような声を発するものは、国内のテロリスト扱いされているからだ。自己検閲と公的事業の協力体制ができてしまっているのだ。

 或ることを示す多くの情報が流れてきている。それは、世界保健機関や、米国疾病予防管理センターや、世界経済フォーラムや、巨大製薬会社や、世界各国の政府機関が、この危機のことを予め知った上でこの危機を楽しんでいるという事実だ。 そして、数値に手を加え、偽情報を流し、手先のメディアを使って恐怖を煽るキャンペーンを張り、 厳しい都市封鎖措置をかけることで、もっとも裕福なものたちをもっと裕福にし、その代わりに大多数の人々を経済的にも、心理的にもズタズタにするなど、この状況をゲームのように楽しんでいるのだ。

 このことを理解するには、少しの研究を読めば十分だ。巨大製薬会社の本質を理解するのも。ピーター・ゲッチェ博士が8年前に出した『死の薬と組織的な犯罪:巨大製薬会社が医療を崩壊させた手口』を読めばよい。 これは本当に世界規模の犯罪行為だ。数分あれば、このような巨大製薬会社が、十分な臨床試験を受けていない試用医薬品である、本当はワクチンではない「ワクチン」について、緊急時の特別使用許可を受け、何十億ドルもの儲けを手にするという犯罪行為と、人々に対する詐欺行為を行う手口が理解できるだろう。

 世界保健機関やゲイツ財団や、クラウス・シュワブ率いる世界経済フォーラムや、国際的な繋がりを持つ「陰謀集団」が、彼らの言う「世界の再起動(Great Reset)」の計画を立てているのは、公然の秘密だ。これは、COVID-19の危機を利用して、サイボーグが仮想空間のような世界で暮らす世界を創造しようというたくらみを前進させる計画だ。その世界では、人工知能が人間にとって変わり、人体には科学技術による細工が課され、支配者たちによる統制を受ける。 連中は公然と明らかにしている。そう、彼らにとってはこの惑星の人口は多すぎるので、何十億万もの人々が死なないといけないということを。詳しい内容は、この見え透いた、「未来人間」の世界を作ろうという陰謀から十分透けて見えている。

 これが完全悪でなくてなんだろう?悪魔的行為でなくてなんだろう?

 この最後に関連した話について書かせて欲しい。「悪魔的」と呼べるもうひとつの組織的犯罪が存在する。それが中央情報局(CIA)だ。  CIAの伝説的な役人の1人に、ジェームス・ジーザス・アングルトンがいる。彼は1954年から1975年まで防諜部長をつとめた。彼はアレン・ダレスの側近であった。アレン・ダレスは、CIAの長官をもっとも長くつとめた人物だ。


 2人とも多くの邪悪な行為に深く関わっていた。例えば、ナチスの科学者や医師たちを米国に引き込み、CIAの汚い仕事をさせたのだ。具体的には、マインド・コントロールや、生物兵器の研究などだ。そうだ、彼らがヒトラーのためにやっていたのと同じことをさせたのだ。

 ディビッド・タルボットの著書『悪魔のチェス盤:アレン・ダレスと、CIAと、米国の秘密政府の台頭』には、敬虔なカトリック教徒であったアングルトンが死の床で語った内容が記されている。アングルトンは、訪問した記者たちとのインタビューに応じていた。その中にヨセフ・トレントもいた。アングルトンはこう告白していた。

 アングルトンは神に仕えていたのではなかった。アレン・ダレスの元で仕えていたということは、結局 そうなるのだ。アングルトンは悪魔的行為の探求に明け暮れていたのだ。「基本的には、米国の情報組織の創設者たちはみな嘘つきだった」。アングルトンはトレント記者に、感情のない声でこう語っていた。「上手な嘘をつければつけるほど、神に背くことにはなるが、出世の近道にもなる・・・。この二者択一の外側にある唯一の共通点は、絶対権力を手にしたいという欲望だった。これが私が人生で成してきたことなのだ。今は後悔している。でも、私はそんな世界の一翼を担ってきたし、自分がそんな世界にいることを愛していた」。それからアングルトンは、彼の時代にCIAを回していた要人たちの名を挙げた。 ダレスとヘルムズとウィズナーだ。アングルトンは、これらの人物をこう評した。「彼らと同じ部屋にいるということは、いずれは地獄に落ちるような人々でいっぱいの部屋にいることと同じだった」。アングルトンは、熱いコーヒーを一口すすってから最後にこう語った。「私ももうすぐ地獄で、あの人たちと再会することになるだろう」 

 我々が今いるこの世の中の地獄における悪魔の本質を認識するまで、我々もさまよい続けるのだろう。我々は我々の命のために、そして世界の人々の魂を救済するために戦っているのだ。嘘を並べ立てるあの創造主たちの「耳あたりの良いセイレーン*の歌声」に屈しないようにしよう。

 抵抗しよう。

訳注:セイレーンは、ギリシア神話に登場する海の怪物である。複数形はセイレーネス。上半身が人間の女性で、下半身は鳥の姿とされるが後世には魚の姿をしているとされた。海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる。歌声に魅惑された挙句セイレーンに喰い殺さ
れた船人たちの骨は、島に山をなしたという。





 

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追悼:パトリス・ルムンバ・・・1961年1月17日に暗殺

<記事原文 寺島先生推薦>

In Memory of Patrice Lumumba, Assassinated on 17 January 1961

エリック・トゥーサン(Eric Tousaint)

2021年1月19日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年5月17日


 国民が参加したコンゴ初の本格的な選挙で圧勝したパトリス・ルムンバは、1960年6月24日コンゴ首相となった。同年9月14日、ジョセフ=デジレ・モブツ(Joseph-Désiré Mobutu)大佐とその支持者たちに首相の座を追いやられ、投獄された。その後、モブツはコンゴの支配者となった。最初は表舞台には出なかったが、1965年から1997年に彼の政権が転覆されるまで直接コンゴを統治した。

 1961年1月17日、コンゴの独立、社会正義、そして国際主義のために立ち上がった偉大な闘士であるルムンバは、欧米列強に加担したコンゴの指導者たちやベルギーの警察・兵士たちによって拷問され、数人の仲間とともに処刑された。ルムンバはまだ35歳であり、自国コンゴで、アフリカで、そして世界レベルで重要な役割を果たし続けることができたはずである。

 ジャーナリストのコレット・ブレックマン(Colette Braeckman)はこう書いている:
「コンゴの首相パトリス・ルムンバは、9月、違法に首相職を解任され、自宅軟禁された後、シスビルに拘留され、翌年1961年1月17日にカタンガに送られた。カタンガの地に到着してから5時間後、彼は2人の仲間であるモーリス・ムポロ(Maurice M’Polo)とロバート・オキト(Robert Okito)とともに処刑された。」 [1]

 ルムンバ殺害に直接参加したコンゴの指導者の中には、コンゴ・カタンガ州大統領を自認するモイーズ・チョンベ(Moïse Tshombé)がいた。コンゴ・カタンガ州は1960年6月30日のコンゴ独立から2週間も経たない1960年7月11日に分離独立している。モイーズ・チョンベが宣言したカタンガ州の分離独立は、パトリス・ルムンバ首相率いる政府を不安定にする目的で、ベルギーとコンゴの一部を支配していたベルギーの大規模鉱山会社(後述)に支援されていた。

 暗殺現場には少なくとも5人のベルギー人警察官と兵士がいた。ルムンバ暗殺の責任者であるコンゴの中心的指導者のひとり、ジョセフ・デジレ・モブツ(Joseph-Désiré Mobutu)は、コンゴ西部にある首都キンシャサにいたため、暗殺には参加しなかった。

 1961年1月のルムンバ暗殺におけるベルギーの責任は、何人かの歴史家によって立証されている。『ルムンバの暗殺(The assassination off Lumummba)』を書いた*ルード・ヴィッテ(Ludo De Witte)はその一人。ベルギーの責任は、2001年から2002年にかけてベルギー議会の調査委員会のテーマとなった。また、2018年に行われたルード・デ・ウィッテのインタビュー(フランス語)もある。
*ルード・デ・ウィッテ・・・パトリス・ルムンバの殺害に関する彼の著書「ルムンバの暗殺」で国際的に知られているベルギーの社会学者、歴史家、作家。(ウィキペディア)

 このインタビューでデ・ウイッテは簡単な言葉でルムンバの暗殺にいたる動機をまとめ上げている:
「ルムンバは帝国主義の犠牲者だった。実際、コンゴで帝国支配を続けようとしていた列強は、植民地システムを新植民地システムに置き換え、アフリカ人が政治的権力を行使するが、西側列強とその企業がそれを支配するシステムにした。これは新植民地主義であり、ルムンバが闘う対象としたかったものだ。これが、彼が暗殺された理由である。」

 コンゴ共和国の首相パトリス・ルムンバが、ベルギー国王ボードゥアン(Baudouin)の発言に対して行った演説:
「コンゴの独立は、*レオポルド二世という天才が考案した「文明化作戦」の集大成です。彼はこの作戦を粘り強い勇気を持って立ち上げ、ベルギーという国はそれを辛抱強く継続していきました。」
*レオポルド二世・・・在位1865~1909のベルギー国王。自分が所有していたゴム園の労働者数百万人が、殺害されたり、体を切断されたり、病気で亡くなったりしたという。

During the proclamation of Congo’s independence on June 30, 1960, the Prime Minister of Congo, Patrice Emery Lumumba, gave a memorable speech

 この演説でルムンバはコンゴの人々のために正義が実行されることを主張した。ここにその演説の英訳がある。

 以下は、コンゴ共和国独立宣言の日に国会で行われた彼の演説。その前にボードゥアン国王とジョゼフ・カサブブ大統領の演説があった。

 「コンゴ共和国のみなさん、独立を勝ち取った戦士諸君、

コンゴ政府の名の下にご挨拶します。

 私の友であるみなさん!みなさんは私たちの隊列の中で疲れを知らずに戦ってきました。みなさんにお願いがあります。今日この日1960年6月30日を輝かしい日としてみなさんの心の中に刻み込んでください。その意味を誇らしげに自分の子供たちに説明する日としてください。そうすれば今度はその孫たちが、そしてひ孫たちが、自由のために私たちが闘った輝かしい歴史を伝えることになるでしょう。

 コンゴの独立は、対等な関係にある友好国ベルギーとの合意によって、今日、宣言されていますが、コンゴ人は、独立が闘いの中で勝ち取られたことを誰一人忘れることはないでしょう。日々弛むことのない、霊的な息吹を与えられる闘いの連続でした。この闘いにおいて私たちは欠乏や苦難があっても怯むことはありませんでした。持てる力を出し惜しみすることはなかったし、血が流されることも厭わなかったのです。

 涙と炎と血に満ちた闘いでした。私たちはこの闘いに心の底から誇りを持っています。なぜなら、この闘いは正義であり、崇高であり、私たちに強要された屈辱的な束縛に終止符を打つために不可欠なものであったからです。

 この闘いは80年に及ぶ植民地支配が導き出した私たちに与えられた運命でした。私たちの傷はあまりにも生々しく、その途方もない痛みは到底忘れることなどできません。

 私たちは、強制労働をさせられ労賃を得るということを経験しました。その労賃たるや、飢えを満たすものではなく、着る物も手に入りませんでした。まともな家に住むこともできず、最愛の子ども達をきちんと育て上げられるような労賃ではなかったのです。

 朝も昼も夜も、私たちは「ニグロ」であるがゆえに、いろいろな嘲笑、侮辱、そして実際の暴力も受けてきました。誰が忘れましょう、黒人が「tu」と呼ばれたのは、親しみを込めてのことではありませんでした。尊称の「vous」は白人のために取っておかれました。

 私たちの土地は、「正義の法」の名の下に、奪われてゆきました。力ある者の権利だけが認められたのです。

 私たちは忘れてはいません。法は白人と黒人ではまったく別物でした。白人には甘く、黒人には残酷で非人間的なものでした。

 私たちは、政治的信念や宗教的信念のために迫害され、祖国から追放されるなど、非道な苦しみを経験してきました。私たちに与えられた運命は死よりも過酷でした。

 私たちは忘れていません、都会では、大邸宅は白人のものでした。荒れ果てた小屋が黒人のものでした。黒人たちは「ヨーロッパ人」専用の映画館、レストラン、そしてお店には入れませんでした。黒人は貨物船の船倉で旅をしていました。天井からは豪華な船室を行き来する白人たちの足音が聞こえました。

 誰が忘れることができるでしょう、多くの兄弟たちを殺した銃撃音や、植民地主義者が支配の道具として用いた不正、抑圧、搾取の体制にもはや従うことを望まない人々が容赦なく投げ込まれた独房を。

 兄弟達よ、こんなことがあっても私たちはその苦難を口にすることはできませんでした。

 しかし、私たちはみなさんの、人民の選んだ議員の投票によってここにいます。そして私たちの祖国の導き手となるのです。植民地支配の抑圧で私たちの体も魂も大きな苦しみを受けました。いいですか、みなさん、これからはそんなことはすべて縁のないものになったのです。

 コンゴ共和国の独立が宣言されました。私たちの愛すべき国の未来は、今や、その人民の手の中にあります。

 兄弟達よ、共にまた新たな闘いを始めましょう。私たちの国を平和と繁栄と偉大さに導く崇高な闘いです。

 共に手を携え社会的な正義を確立し、誰もが自分の労働に対する正当な報酬が確実に手に入るようにするのです。

 自由の中で労働をすることで黒人は何ができるのかを世界中の人たちに見て貰いましょう。コンゴをアフリカの誇りにしましょう。

 私たちの祖国が子ども達の幸せをほんとうに考えるところを見届けましょう。

 古い法律はすべて改訂しましょう。そして公正で気高い法律に改めるのです。

 言論の抑圧は終わらせましょう。人権宣言によって与えられている基本的な自由が、すべての市民にとって、一点の曇りもなく自分の自由となるまで見届けましょう。

 私たちは、その起源が何であれ、あらゆる差別を撤廃し、すべての人に対し、その人間としての尊厳にふさわしく、その労働と国への忠誠心に値する生活の場を確保するでしょう。

 私たちは、銃や銃剣ではなく、和合と親善に基づく平和をこの国にもたらします。

 これらすべてにおいて、親愛なる同胞の皆さん、私たちは自国の巨大な力と莫大な富に頼るだけでなく、多くの外国の援助にも頼ることができます。私たちに異質な政策を押し付けることを目的としたものではなく、友好の精神に基づいて与えられるものであれば、私たちはその協力を受けることができるでしょう。

 ようやく歴史の教訓を学び、もはや私たちの独立に反対する必要がなくなったベルギーでさえ、私たちに援助と友情を与えようとしています。その目的のために、対等で独立した関係をもつこの両国の間に合意文書が締結されました。(その結果から生じる)協力関係は両国に利益をもたらすことを確信しています。私たちとしては、警戒を怠らず、私たちが自由に交わした約束を守るよう努めます。

 このようにして、内的にも外的にも、私の政府によって創設される新コンゴ、私たちの愛するこの共和国は、豊かで自由で繁栄した国になるでしょう。しかし、この目標を滞りなく達成するために、議員の皆様、コンゴ国民の皆様には、できる限りのご協力をお願いいたします。

 部族間の紛争のことはお忘れください。部族間紛争が続けば、私たちの力は弱まり、国外から侮蔑される原因となりかねません。

 私たちの壮大な事業を確実に成功させるために必要であれば、どんな犠牲にも怯まないでください。

 最後に、同胞や私たちの国に定住している外国人の生命と財産を無条件に尊重することをお願いします。もし、これらの外国人の行動に問題がある場合、私たちの司法は速やかに彼らを共和国の領土から追放するでしょう。逆に、彼らの行動が良い場合は、彼らもまた私たちの国の繁栄のために働いているのですから、平和裏に滞在してもらう必要があります。

 コンゴの独立は全アフリカ大陸の解放に向けた歴史的な第一歩です。

 国家と国民が統合した私たちの政府は、この国に奉仕します。

 すべてのコンゴ国民のみなさん、男性も女性もそして子ども達も、国民経済の創出と私たちの国の経済的独立を不動のものにする作業に決然と取り組んでください。

 国民解放のために闘う戦士たちに永遠の栄光あれ!

 独立と統一アフリカ万歳!

 コンゴの独立と主権万歳!」

国際主義の戦士であるルムンバ

 ルムンバは、首相になる前から、反帝国主義、汎アフリカ主義、国際主義の多くの運動や人々と強固な関係を築いていた。1958年12月、彼はアクラで開催された全アフリカ人民会議に出席し、カリブ海・アルジェリア出身の精神科医で自由の戦士であるフランツ・ファノン(Frantz Fanon)、ガーナ大統領のクワメ・ンクルマ(Kwame Nkrumah)、カメルーンの反植民地主義指導者フェリクス=ロランド・ムミエ(Félix-Roland Moumié)などと会った。彼は、次の様な演説をした:
「私たちの運動の基本的な目的は、コンゴの人々を植民地主義体制から解放し、独立を勝ち取ることです。私たちは、世界人権宣言に基づいて行動しています。国連憲章によって市民の誰にも保障されている権利です。コンゴは人間社会として自由な民族の仲間入りをする権利があると私たちは考えています。」

 最後に次の言葉で締めくくった:
「だからこそ、私たちはすべての代表者とともに熱烈な叫びをあげるのです。植民地主義と帝国主義を打倒せよ!植民地主義と帝国主義を倒せ! 人種差別と部族主義を倒せ!そして、コンゴ民族万歳!独立アフリカ万歳!」

 全アフリカ人民会議の終わりに、ルムンバは調整委員会の常任メンバーに任命された、とサイード・ブアママ(Saïd Bouamama)が『Figures de la révolution africaine(アフリカ革命を巡る人物たち)』[3]で回想している。ルムンバはまた、ジャン・ヴァン・リエルデ(Jean Van Lierde)のような反植民地主義そして反資本主義の武闘派とも緊密な連絡をとっていた。ジャン・ヴァン・リエルデはアルジェリアでの革命を支援するために活動し、週刊誌『ラ・ゴーシュ(La Gaucheand)』やそれを中心的に推進していたアーネスト・マンデル(Ernest Mandel)と密接な関係を保っていた[4]。

 アクラでの会議から数週間後、ルムンバと彼が率いる運動は、レオポルドヴィル(当時のベルギー領コンゴの首都)で開催された反植民地主義サミットの議事を報告する会議を開いた。ルムンバは、1万人の聴衆を前にコンゴの独立を訴えた。彼は、コンゴ民族運動の目標を「植民地主義体制と人間による人間の搾取を清算すること」と表現した。[5]

 ル・モンド・ディプロマティーク誌の1959年2月号によると、会議後のレオポルドヴィルでは、1959年1月4日から暴動が起きていた。次はこのフランスの月刊誌からの引用:
「この暴動の発端は、アクラの全アフリカ人民会議に直接関係している。騒動が最初に起こったのは、この運動の議長であるルンバ氏が率いるコンゴ民族運動の指導者たちが、このテーマで公開会議を開く準備をしていたときだった。ベルギーのコンゴ総督コルネリス氏の許可を得て、ルムンバ氏率いるコンゴの民族主義者の代表団は12月ガーナを訪問した。1月4日、代表団がガーナを訪問したこととその活動について報告する準備をしているときに、警察が会議出席者や彼らの話を聞きに来た人たちに解散命令を出したのである。」[6]

 ここで重要なのは、1959年に植民地主義者ベルギーが組織した弾圧によって、数百人とは言わないまでも、数十人の死者が出たことである。どんな弾圧だったかの一例:
1959年10月、スタンレービルで行われたMouvement National Congolais(コンゴ民族運動)(MNC)の全国大会の際、警察が群衆に発砲し、30人が死亡、数百人が負傷した。ルムンバは数日後に逮捕され、1960年1月に裁判にかけられ、1960年1月21日に6ヵ月の禁固刑が言い渡された。

 しかし、あまりにも激しい抗議行動に、ブリュッセルの政権は恐れをなして、コンゴ人の参加を認める地方選挙を実施して事態を収拾することにしたのである。ルムンバは、判決からわずか数日後の1月26日に釈放された。地方選挙に続いて、ついには、1960年5月にベルギー領コンゴ史上初の総選挙が行われた。1960年5月、ベルギー領コンゴ史上初の総選挙が行われ、Mouvement National Congolais(コンゴ民族運動)(MNC)が勝利し、ルンバが首相に任命されたのだ。

ルムンバ政権へのクーデターと彼の暗殺に至る流れ

 6月30日のルムンバの演説を受けて、ベルギー政府、王室、コンゴに進出しているベルギーの主要企業のトップは、ルムンバ(政権)を揺るがし、原料(銅、コバルト、ラジウム)の大半が採取されているカタンガ州の分離を挑発して実現させることを決めた。時を置かず、次にあげるコンゴ国内にいる内応者たちがこの動きを加速させた:
①モイーズ・チョンベ。1960年7月11日にカタンガ州大統領を宣言。
②ジョゼフ・カサ-ブブ大統領。1960年9月、憲法上の権限がないにもかかわらずルムンバ(の首相任命)を撤回した。
③ジョゼフ-デジレ・モブツ。数日後にクーデターを起こし、ルムンバを逮捕した。閣僚たちはルムンバに信任を表明し、議会ではルムンバの政党が第一党であったのに、だ。モブツは植民地時代に軍人としての経歴があり、コンゴの親植民地新聞の記者でもあった。モブツは新軍の大佐に任命され、すぐさまコンゴの選挙で選ばれた政府に対して反旗を翻したのである。

 ベルギーは、NATOの一員として、西ドイツ領内に、ベルギー国境からソビエト同盟諸国との国境付近まで伸びる重装備の軍事地帯を持っていた。ベルギー軍参謀本部は、少なくとも部分的には米国に由来する相当な軍事兵器を自由に使用することができ、NATOは航空機、兵員輸送機、さらには軍艦の配備を許可し、コンゴの河口にあるコンゴ軍の陣地を砲撃した。アメリカ政府とCIAは、ルムンバを暗殺することを決めたベルギー軍と「歩調を合わせ」指令する側にいた。[7]. フランスも一枚噛んでいた。1960年8月26日付の電報で、CIA長官のアレン・ダレスはレオポルドヴィルにいる彼の工作員たちに対して、ルムンバについて語っている:

 「それだから、彼の排除はどうしても緊急かつ最重要な目的であり、現在の状況下ではこれが我々の秘密行動の最優先事項でなければならない、というのが結論だ。」[8]

 1960年8月12日、ベルギーがチョンベと協定を結び、カタンガの独立を事実上承認したことに触れておきたい。ルムンバ政府が(チョンベ派の)分離独立に対処しようとしたことは、十分に合法的なものであったが、欧米の大国がこれに反対する闘いに出た。

 ルムンバは、モブツに逮捕されたにもかかわらず、屈することなく、自分たちの為すべきことに忠実な閣僚や同志たちとの連絡を続けた。スタンレービルには、アントワーヌ・ギゼンガ(Antoine Gizenga)が率いる秘密政府が設立された。ルムンバは、1960年11月27日に脱獄し、スタンレービルの政府に合流しようとしたが、数日後、移動中に逮捕された。1961年1月、ルムンバは依然として高い人気を誇っていたが、モブツと西欧列強は、民衆の反乱が指導者の解放につながることを恐れ、ルムンバの処刑を決定した。ルムンバの処刑に至る作戦は、ベルギー政府からの命令を受けたベルギー人が直接同行し、指揮した。1961年1月17日、ルムンバ、モーリス・ムポロ(Maurice Mpolo)、そしてジョセフ・オキト(Joseph Okito)の3人は、ベルギー人乗組員が操縦する飛行機でカタンガ州の州都エリザベートビルに連行され、地元当局に引き渡された。その後、モイーズ・チョンベをはじめとするカタンガの指導者やベルギー人から拷問を受けた。そしてその日の夜、ベルギー人将校の指揮下にある兵士によって銃殺された。

 当時、「カタンガ国家警察」の設立を担当していたベルギー人のジェラール・ソエテ(Gerard Soete)警視総監の証言によると、3人の遺体は処刑場から220キロ離れた場所に運ばれ、森に囲まれたサバンナの中にあるシロアリ塚の後ろの土中に埋められたという。



Image on the right: Mobutu and Ronald Reagan

 この証言を収集したAFP通信によると、3日後には追跡の可能性を消すために死体を再び移動させたという。ソエテは、「もう一人の白人」と数人のコンゴ人がノコギリで死体を切り刻み、酸で溶かしたときに同行していたと語った。[9]

ボブツ独裁へのベルギーからの支援

 ベルギー軍は、モブツとその独裁政権がルムンバ派組織の抵抗を潰すのを助けるために、コンゴに2度介入した。最初は1964年11月、スタンレービルでのレッド・ドラゴン作戦、そしてポーリスでのブラック・ドラゴン作戦だ。このときの作戦は、ベルギー軍、モブツ軍、米軍参謀本部、そして反カストロ派のキューバ人を含む傭兵が共同で指揮を執った。

 エルネスト・チェ・ゲバラ(Ernesto Che Guevara)は、1964年11月の国連総会での演説で、サンチアゴ・デ・クーバ(訳注:キューバ南東部の都市)での演説と同様に、この介入を非難した:
「今日、私たちの誰もが忘れ得ない痛ましい記憶は、コンゴとルムンバの記憶である。今日、距離的にはとても遠いが、私たちの心にはとても近い(コンゴという)国で、私たちが知らなければならない歴史的な出来事が起こっています。そこで経験されていることから私たちは学ばなければなりません。先日、ベルギーのパラシュート部隊がスタンレービルの街を襲撃しました。」1964年11月30日、フランク・パイス(訳注:キューバの革命家であり、キューバのフルジェンシオ・バティスタ将軍政権の打倒を訴えた)に率いられた町の蜂起8周年を記念して、サンティアゴ・デ・クーバで行われたチェ・ゲバラの演説からの抜粋(フランス語版から*CADTMが翻訳)
*CADTM=The Committee for the Abolition of illegitimate Debt(違法債務廃止委員会)・・・1990年3月15日にベルギーで設立された活動家の国際的ネットワーク。発展途上国の債務の廃止と人々の基本的な権利、責務、そして自由を尊重する世界の創造を追求する運動_ウィキペディア)

 ベルギー軍の2回目の介入は、1978年5月にシャバ(カタンガ州)の鉱山地帯の中心にあるコルウェジで、フランス軍やモブツ軍と協力して行われた。

ルムンバの暗殺に関する訴訟は今でもベルギーで進行中

 
 ルムンバ殺害事件について、ベルギーの裁判所はまだ判決を下していない。この裁判が閉廷せずにいるのは、それはひとえに正義を貫こうとするすべての人々の継続的な行動があるからだ。ルムンバ家の人たちは、真実を明らかにするための行動を続けている。この事件は、時効が適用されない戦争犯罪に分類されているため、ベルギーの審査官は現在も事件を担当している。また、2011年6月23日にベルギーのテレビでルムンバ家の弁護士であるクリストフ・マルシャン(Christophe Marchand)が指摘したように、「この事件を推進した主要な人間たち全員死んでしまったが(中略)、外務省の元顧問や大使館員たちはまだ生きている。」

Image below: Lumumba in Brussels (1960) (CC – Wikimedia)


ルムンバは象徴的な人物に

 パトリス・ルムンバという人物は歴史という枠に収まらず、今日でも民族解放を擁護するすべての人にとってお手本となっている。

 独裁者モブツ体制下でも彼の人気はたいへんなもので、1966年、パトリス・ルムンバは国民的英雄であるとの布告を彼は出すことになった。1960年9月にルムンバを失脚させ、彼の殺害に加担したことに満足せず、モブツは彼のオーラの一部を剥奪せんとした。彼が処刑された1月17日は、コンゴ・キンシャサの銀行休業日になっている。

 ブリュッセルでは、反植民地主義急進派が長年活動した後、2018年4月23日に市議会は「パリス・ルムンバ広場(Place Patrice-Lumumba」の創設を決議し、コンゴ民主共和国独立58周年の日である同年6月30日に正式に開設した。

 しかし、そんなものは束にしても(彼の真価には)ほど遠い。

 ルムンバの闘争に関する真実を広め、彼に正義がなされることを要求する必要があるだけでなく、彼の闘争、そしてあらゆる形態の搾取、抑圧、搾取と闘ったコンゴのすべての女性と男性の闘争は継続されなければならない。

 ベルギー当局者は次の7点を実行しなければならないと、CADTMが感じている所以だ:

§  レオポルド二世とベルギー君主制がコンゴ人民に対して犯した虐待と犯罪の数々を公に認め、それをつまびらかにして正式に謝罪すること。

§  公共の教育や一般的な教育活動、また組織的な分野も含めて、適切な人材を関与させることにより、追悼の課題を深め、拡大すること。

§  コンゴのすべての文化財をコンゴ人に返却すること。

§  ベルギーの公共スペースにあるすべての植民地主義的なシンボルの再調査を積極的に支援すること。

§  コンゴの植民地化の際に搾取された金額を無条件で財政的に賠償し、遡及するために、債務の歴史的監査を行うこと。

§  多国籍機関(世界銀行、IMF、パリクラブなど)の内部で、その参加国はコンゴ民主共和国に対するすべての違法債務の返済を完全かつ無条件に中止するように行動すること。

§  公衆衛生システムを改善し、公衆衛生への支出を増やせば完全に防ぐことができる致死性のCoViD-19やその他の病気の蔓延に立ち向かうために、コンゴ政府が制定したすべての債務返済モラトリアムを公的に支持すること。

 CADTMは、「Black Lives Matter」の抗議行動を受けてベルギーで行動を呼びかけているさまざまな団体や、植民地主義の認識の分野で行動を起こしているすべての人々を支援する。

 CADTMは、CoViD-19危機の健康、経済、社会的影響に正面から向き合うことでコンゴの人々を支援する。債権者たちの有無を言わさぬ押しつけと、歴代コンゴ政府の深刻な失政の数々だった。その結果が厳しい弾圧と基本的人権の明白な否定だったのだ。にも拘わらずコンゴの社会運動は抵抗姿勢を崩さなかった。CADTMはこのような社会正義のための闘争を支援する。

補遺

世界中のアフリカ人の間に拡大する賠償請求

1:コンゴ独立以前のベルギーの犯罪



Belgium’s crimes before Congo’s independence (1885-1960)

 ベルギー国王と、彼が当時のベルギー政府と議会の同意を得て統治したコンゴ自由国には、意図的な「人道に対する罪」の責任があることは確かであると考えてよい。これらの犯罪は過失ではない。コンゴ国民が曝されていたタイプの搾取の直接的な結果である。著名な作家の中には、「ジェノサイド」を口にする人もいる。私はこの問題に焦点を当てた議論はしないことにしている。というのも、数字で一致点を見いだすことは難しいからだ。一部の著名な著者は、1885年のコンゴ人の人口を約2,000万人と推定し、レオポルド2世がコンゴをベルギーに譲渡してベルギー領コンゴが誕生した1908年には、1,000万人のコンゴ人が残っていたと書いている。しかし、これらの著名な著者による推定値は、人口調査が行われていないため、検証が困難である。

ベルギーがコンゴを所有していた植民地時代(1908-1960)

 レオポルド2世は、コンゴと縁を切ろうとした。というのもコンゴをベルギーに譲渡することで、様々な銀行から集めた借金も振り払うことになるだろうからだ。ベルギーはレオポルド2世の要請に応じ、コンゴ人を搾取するために契約した借金を引き継いだ。国王は、搾取した富を私財として貯め込む一方で、ベルギーの権力とイメージを強化するために、ベルギーに莫大な支出を命じていた。しかし、ベルギー国内外の大資本主義企業も、その分け前にあずかっていたのだ。ベルギーの武器製造会社や貿易会社、機材を供給する会社、天然ゴムを採取して加工する会社などである。

 ベルギー国はかくしてコンゴとレオポルド二世の借金を引き継いた。それはコンゴ人民を更に搾取することにつながった。

 コンゴがベルギーの植民地であった間、ベルギーの大資本は、コンゴの巨大な天然資源、特にあらゆる種類の鉱物を搾取することで、最大の利益を上げていた。ベルギー国は、レオポルド2世の債務を返済し、新たな債務を契約することで、大資本が最大の利益を蓄積できるようにしていたのである。

 コンゴの人々にはこれといった権利は何もなかった。ベルギーはコンゴ人が高等教育や大学に進学してほしくなかったので、教育制度は悲しくなるほど不十分だった。

 コンゴの人々は、自分の国土で搾取されただけでなく、コンゴの東にあるドイツの植民地ルワンダやブルンジを狙って、ベルギーが関与したさまざまな戦争の際にも、ベルギーのために戦うことを求められた。何千人ものコンゴ人が、ヨーロッパの資本主義国が起こした戦争で、故国を離れて戦死していったのである。

 第二次世界大戦中、アメリカはコンゴのカタンガ州で採取したウランを使って、1945年に広島と長崎を消滅させた原子爆弾を製造した。また、第一次世界大戦で勝利したベルギーは、1919年のベルサイユ条約によってドイツ帝国から奪い取ったルワンダとブルンジで植民地を拡大することができたのである。

 第二次世界大戦中、アメリカはコンゴのカタンガ州で採掘されたウランを使って、1945年に広島と長崎を壊滅させた原子爆弾を製造した。アメリカは謝意を表す目的で、ベルギーが負っていた借金を帳消しにした。

 一方、1960年6月30日にコンゴの独立に同意したベルギーは、パトリス・ルムンバ率いるコンゴ政府が、ベルギーが1950年代に世界銀行と共に「ベルギー領」のコンゴを搾取するために溜め込んでいた借金を引き継ぐことを期待していた。

 ルムンバは拒否した。これが誘因となってベルギーが1961年のルムンバ暗殺の計画とその直接参画に至った理由の一つであった。

2:コンゴ独立後のベルギーの犯罪

 世界銀行に唆され、その協力も得て、ベルギーは、力尽くで、コンゴ人民に自分たちが植民地的搾取のために使った借金を払わせた

 2006年に出版された『世界銀行:終わることのないクーデター(The World Bank: a never-ending coup d'Etat)』[10]で、私は、1950年代にベルギーが世界銀行と契約した債務は、モブツが加担したお陰で、コンゴの人々に不当に押しつけられたという事実を指摘した。このころモブツはルムンバの逮捕を手配し、彼の暗殺に積極的に参画した。

 その仕組みは?自決権に違反して、世銀はベルギー、フランス、イギリスの植民地でのプロジェクトに資金を提供するために融資を行ったのである。[11] 世銀の歴史家が認めているように、「ヨーロッパの植民主義列強のドル不足を緩和する役割を果たした融資は、直接投資や、鉱業に関連した輸送インフラの開発のような間接的な援助を通じて、主に植民地の利益、特に鉱業に向けられた」のである。[12]これらの融資のお陰で、植民地主義列強は植民地の人々を支配するための軛を強化することができた。この融資が、植民地の大都市に鉱物、農作物、燃料を供給することに貢献したのである。ベルギー領コンゴの場合、この植民地を支配する権力が決定したプロジェクトのために供与された数百万ドルは、コンゴの植民地政権がベルギーから輸出される製品を購入するためにそのほとんどすべてが費やされた。ベルギー領コンゴは全体で1億2000万米ドル(3回に分けて)の融資を「受けた」が、そのうち1億540万米ドルはベルギーで使われた。[3]パトリス・ルムンバの政府にとって、ベルギー領コンゴを搾取するためにベルギーが契約した債務を世界銀行に支払うことはまったく考えられないことだった。

 世界銀行とベルギーは、国際法に違反して、1960年代に独立したばかりのコンゴに、自分が植民地化のために契約した借金の負担を押し付けた。

 事情が変わったのは1965年:モブツの軍事クーデターの後、ザイールと改称されたコンゴは、世界銀行に対する債務があることを認めた;もちろんこの債務の契約を実際に結んだのはベルギー。ベルギー領コンゴを搾取するためだった。

 この点について、国際法は非常に明確である。過去にも似たようなケースがあり、ベルサイユ条約が決定を下している。第一次世界大戦後、ポーランドが独立国としての地位を取り戻したとき、ドイツが占領していたポーランドの一部を植民地化するために契約した債務は、この新たに独立した国ポーランドには請求しないことが決められた。1919年6月28日に締結されたベルサイユ条約では、次のように規定された:
「賠償委員会の調査結果により、ドイツ政府およびプロイセン政府がポーランドにおけるドイツの植民地化を目的として採用した措置に起因する債務の一部は、ポーランドが負う金融債務の分担から除外されるものとする。」[14]

 ベルサイユ条約では、ポーランド領内でのプロジェクトのためにドイツに貸し付けた債権者は、ポーランドではなく、その植民地の本国(つまりドイツ)にのみ支払いを請求できると定めている。不良債権の理論家であるアレクサンダー・ナハム・サック(Alexander Nahum Sack)は、1927年法条約の中で次のように明記している:
「政府が自国の領土の一部の住民を服従させるために、あるいは支配的な国籍の国民で植民地化するために債務を契約する場合、それらの債務は債務国領土のその地域にいる先住民にとっては違法債務となる。」[15]

 ベルサイユ条約は、ドイツ帝国がアフリカの植民地を失い、その債務を帳消しにすることを定めたものである。この点についてサックは、支払い義務が生じるからという理由で債務の帳消しを受け入れないドイツに対して、連合国が出した回答の一部を引用している:
「植民地はドイツの債務の一部といえども負担してはならないし、保護国の帝国管理にかかった費用をドイツに返還する義務を負うこともない。実際、ドイツ自身の利益のために発生したと思われる支出を先住民に負担させるのは不当であり、国際連盟によって受託者に任命される限り、そのような受託から何の利益も得られない委任統治国にこの責任を負わせるのも同様に不当である。」[16]

 これは、世銀がベルギー、フランス、英国の植民地開発のために行った融資についても完全に当てはまる。かくして、世銀とベルギーは、独立したばかりのコンゴに、1960年代、植民地化のために負った債務の負担を押し付け、国際法に違反する行為を行ったのだ。

モブツ独裁へのベルギーの支援

 さらにベルギーは、モブツ独裁政権下のコンゴに高級顧問を派遣していたが、その中には、1960年初頭にベルギー・コンゴ間で行われたベルギー領コンゴ独立準備のための円卓会議に参加したジャック・ド・グルート(Jacques de Groote)がいた。モブツは、ブリュッセルで開かれた円卓会議の開会式にも参加した。1960年4月から1963年5月にかけて、ド・グロートはワシントンのIMFと世界銀行でベルギーの専務理事のアドバイザーを務めた。1965年11月24日、モブツはカサブブ大統領に対してクーデターを起こし、完全な権力を掌握した。1966年3月から1969年5月まで、ド・グルートはモブツ実質政権の経済顧問を務める一方、コンゴ国立銀行の顧問としても働いた。コンゴの経済政策の立案・実施や、モブツ、IMF、世界銀行、そして米国政府との交渉に積極的な役割を果たした。

 1973年から1994年の間、ジャック・ド・グルートは国際通貨基金(IMF)の専務理事と世界銀行グループのひとつである国際復興開発銀行(IBRD)を管理する側の一人であった。彼はベルギーの政治階級の中核的メンバーとして活動する一方で、国際機関においてベルギーの利益と大企業の利益を代表していた。[17]

 1970年代末、IMFの高官であり、ドイツの銀行家であり、元ブンデスバンクの外交部長であったアーウィン・ブルメンタールが、モブツのザイール経営について非難のレポートを発表した[18]。彼は外国の債権者に対して、モブツが政権を維持する限り返済を期待してはならないと警告した。

 1965年から1981年の間に、ザイール政府は外国の債権者から約50億ドルを借り入れている。1976年から1981年の間に、22億5000万ドルにのぼる対外債務の一部について、パリクラブから認可された4つの再建プログラムがあった。(モブツの独裁時代のコンゴ・キンシャサの債務額については、以下の図を参照)。これらの債務はすべて違法債務に該当するため、無効とみなされる可能性がある。

 非常に拙い経済運営と、モブツによる融資の一部の組織的な横領があっても、IMFと世界銀行はモブツの独裁政権への支援を止めることはしなかった。驚くべきことに、ブルメンタール報告書が提出された後、世銀の融資額は増加した(IMFの融資額も増加したが、下のグラフには表示されていない)。[19]明らかに、世銀やIMFの選択は、健全な経済運営を主要な根拠にして決定されているわけではない。モブツ政権は、冷戦が続く限り、米国やブレトンウッズ機関の他の影響力のある大国(フランスやベルギーなど)の戦略的同盟国であり続けた。

コンゴ-キンシャサ(モブツ政権下のザイール):世界銀行の融資

 


 1989年から1991年にかけて、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊すると、欧米諸国はモブツ政権への関心を失い始めた。ザイールを含む多くのアフリカ諸国では国民会議が開催され、民主化を主張していたため、なおさらである。世界銀行は融資を減らし、1990年代半ばには融資を完全に停止した。

 モブツの支配下(1965年~1997年)では、IMFと世界銀行は米国の政策と地政学に貢献する道具だった。それ故、冷戦時代における支持に対してモブツはその報酬を受けていたという訳だ。


Source : World Bank, CD-Rom, GDF, 2001

 「冷戦時代には、この融資が政府の腐敗に利用されるケースも少なくありませんでした。問題は、そのお金が国の福祉を向上させているかどうかではなく、世界の地政学的な現実を踏まえた上で、安定した状況につながっているかどうかだったのです。」

 ジョゼフ・E・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)。世界銀行主席経済学者(1997-1999)。2001年ノーベル経済学賞受賞。これは2000年3月7日にアルテ(Arte)(訳注:フランス語およびドイツ語で放送される、独仏共同出資のテレビ局。本部はフランス・ストラスブール)で放送されたフランス語番組「もう一つのグローバリゼーション」での発言。

 そのため、ド・グルートが幹部を務めていたIMFと世銀は、金融債務をまったく履行しない独裁体制への支援を続ける限り、モブツ政権による人権、経済、社会、文化的権利の侵害に加担することになった。

 「債権者の道義的責任という問題は、冷戦時代の融資の場合に特に顕著だった。IMFと世界銀行がコンゴ民主共和国の悪名高い支配者モブツに資金を貸し付けたとき、彼らはその資金のほとんどがコンゴの貧しい人々を助けるために使われるのではなく、モブツを豊かにするために使われることを知っていた(知らないはずはない)。それは、この腐敗した指導者にコンゴを西側と同一歩調を確実に取らせるために支払われた金だった。多くの人にとって、腐敗した政府を持つ国の一般納税者が、自分たちを代表していない指導者が取り決めた融資を返済しなければならないのは、公平ではないと思われる。」- Joseph Stiglitz, Globalization and Its Discontents, 2002年

 モブツとその一派は、国家の財源を安定した豊富な個人的利益の源として利用していたが、その際、合法的な支出、違法な支出、不可解な支出という3種類の不正流用が行われていた。合法的なものは、大統領基金のように、何の管理もなく割り当てられた。違法な支出については、ブルメンタール報告書(この秘密報告書は1982年に公開された)[20]に記載されており、大統領府が個人的な支出と公的な支出をほとんど区別していなかったため、国家の財務取引を管理することは不可能であったと書かれている。アーウィン・ブルメンタールは、モブツの個人的な銀行口座や腐敗した政治家に直接お金を流すために使われた、海外に保有されている少なくとも7つの銀行口座を特定した。アーウィン・ブルメンタールのメッセージは明確だ:
「ザイール(訳注:コンゴの旧称)の腐敗したシステムは、その邪悪さと醜さをすべて露呈しており、その不始末と不正行為は、ザイール経済の回復と再生に向けた国際機関、友好国政府、商業銀行のすべての努力を台無しにするだろう。もちろん、モブツはまた新たな約束はするだろうが、ザイールの債権者が予見可能な将来に資金を取り戻せる見込みはない(繰り返す:ない)。」[21]

 1979年以来、IMFと密接な関係にあるモブツ政権への主要な融資者は、こうした行為は不正であり、モブツへの融資を続ければリスクがあることを知っていたし、自覚もしていた。

 本報告書では、横領の第3のカテゴリーとして、「謎の支出」を挙げている。1989年の世界銀行の調査によると、国の最大の予算項目の1つ(18%)は「その他の商品およびサービス」であり、この支出がどのように配分されているかについてはほとんど情報がない「ごた混ぜ経理状態」である。世界銀行の専門家によると、軍事機器の購入はあるが、その大半は贅沢品の支出に使われていたという。これは、世銀が自分たちが融資した資金の不正使用を知っていたことを示している。

 1970年代半ばまでに、融資や助成金の形でザイールに注入された資金が組織的に不正利用されていることが明らかになった。それらは海外にある個人の銀行口座に直接送金されたり[22]、誰が見ても立派だが、(ザイールの現状に)合わない、そして/あるいは無駄なプロジェクトに投資された。それは多くの人が(一時的に)より豊かになる手助けにはなったが、(ザイール)経済の持続的な工業化に役立たなかったことははっきりしている。例えば、国民会議で創設された不正蓄財局(Office des biens mal acquis、OBMA)によると、モブツはインガ水力発電所の資産価値7%を手数料として懐に入れたとされている。この調査は、官界の抵抗により、結論まで追求することができなかった。 [23]

 J.ド・グルーテは、モブツ政権を積極的に支援し、IMF、世界銀行とモブツとの関係を改善するために何度も介入したが、ブルメンタールが報告書で糾弾した内容を詳細に知っているという点では、非常に有利な立場にあったと言える。また、モブツ政権による深刻な人権侵害についても知っていた。

 しかし、任期を終えた1994年、ド・グルーテは、コンゴ・キンシャサ(=モブツ政権)に対する自分の行動に満足していると語った。その間一貫して、コンゴ人民の圧倒的多数は凄惨な境遇で生活していたし、政権に反対する人たちへの弾圧と暗殺は横行していた。経済も壊滅状態だった。

ベルギーの企業はベルギーとコンゴ間の関係を利用して組織的に利益を得ていた

 以下の抜粋がそれを物語っている。1986年、ジャック・ド・グルーテがベルギーの会社役員たちを前にして行ったスピーチであり、Bulletin de la Fédération des Entreprises de Belgique(ベルギー企業連盟のニュースレター)に掲載されたもの:
「ベルギーが関係グループ機関の活動に参加していることから得る利益がどの程度かは「フローバック」を見れば分かります。世界銀行のメンバーとなっている国はすべて同じです。つまり次の2つの間の関係ということになります:

①IDA(国際開発協会、世界銀行グループの一員)や世界銀行が、ある国の企業と契約を結んだ際に、その国の企業のために支出した金額の総額
②世銀の資本金やIDAの財源に対するその国の貢献度

 つまり、「フローバック」とは、企業が機器の販売やコンサルティングサービスを通じて得るものと、ベルギーがIDAの資源や世銀の資本に拠出するものとの間の関係になります。世界銀行から先進国への「フローバック」は大きく、継続的に増加しています。すべての先進国において、1980年末から1984年末にかけて、フローバックは7から10に増加しました。言い換えれば、システムに投入された1ドルに対して、先進国は1980年に7ドルを取り戻し、今日では10.5ドルを受け取っています。」 [31]

IMFや世界銀行での役職を終えた後のジャック・ド・グルーテ

 
 1994年ル・ソワール(Le Soir)(訳注:ベルギーで発行されているフランス語日刊紙)のベアトリス・ドルボーから受けたインタビューでド・グルーテは、1980年代ベルギーが新自由主義的な取り組みを採用する時に自分が果たした役割を振り返って悦に入っていた:
ベアトリス・ドルボー:しかし、あなたはワシントンから、ベルギーの経済政策の方向性に大きな役割を果たしていました。1980年代初頭の経済転換にIMFからの保証を提供したのは、プペアングループとの密接な関係からですね。

J.ド・グルーテ    :もちろんです。自分でも本当によくやったと思いますよ。これ以上の満足はないと言ってもいいでしょう。当時、私たちは色々な研究を完成させ、この重要な経済的選択肢をベルギーに当てはめることを可能にしました。このことについては、その後アルフォンス・ヴァープラエッツ氏(Alfons Verplaetse)[33]やその他ウィルフリード・マルテンス氏(Wilfried Martens)を始めいろいろな方々と議論しました。

 これらの発言は、ド・グローテのような人物と、特定の国において鍵となる政治指導者との間に密接な関係があることをよく表している。更に言えば、ド・グルーテにはベルギー国立銀行の独立性が形の上だけであることがよく分かっていた。ベルギーの(金融)政策は、首相から国立銀行総裁、キリスト教組合長や企業経営者の代表など、重要な利害関係者を集めた、ごく少数の秘密の集まりで決定されていたからである。みんなIMFと同じ穴のムジナだった。

モブツ没落後のベルギーの態度

 
 ベルギーは、モブツが溜め込んだ違法債務を誤魔化すことに加担した。ベルギーは、違法な債務だから取り消さなければならないということを認める代わりに、コンゴ国民が損をして、旧政権を支援した債権者が勝つという複雑なメカニズムの構築に関与した。

 モブツが倒れた後、CADTMなどの嘆願にもかかわらず、ベルギー政府は、モブツとその一派が横領し、ベルギー国内で現金や不動産という形で投資した金をコンゴ人が取り戻すために何もしなかった。もっとも、スイスのような国は、一度は、その方向で動き始めている。しかし、ベルギーの支配層とモブツ一派の結びつきは非常に強く、積極的な対策を取ろうとする判事がいても、決定的なことは何もしなかった。

 その後、ベルギーはモブツが積み上げた違法債務を誤魔化すことに加担した。ベルギーは、非合法であるがゆえにそんなことは撤回しなければならない、とは認めず、コンゴ国民が損をし、旧政権を支援した債権者が勝つという複雑なメカニズムの構築に関与したのである。

This article was originally published on CADTM.
Translated by Snake Arbusto and Christine Pagnoulle


Source of the two appendices: Éric Toussaint, “Reply to the letter by Philippe, King of the Belgians, about Belgium’s responsibility in the exploitation of the Congolese people”

Eric Toussaint is a historian and political scientist who completed his Ph.D. at the universities of Paris VIII and Liège, is the spokesperson of the CADTM International, and sits on the Scientific Council of ATTAC France. He is the author of Debt System (Haymarket books, Chicago, 2019), Bankocracy (2015); The Life and Crimes of an Exemplary Man (2014); Glance in the Rear View Mirror. Neoliberal Ideology From its Origins to the Present, Haymarket books, Chicago, 2012 (see here), etc.



[1] Colette Braeckman, « Congo La mort de Lumumba Ultime débat à la Chambre sur la responsabilité de la Belgique dans l’assassinat de Patrice Lumumba Au-delà des regrets, les excuses de la Belgique REPERES La vérité comme seule porte de sortie Van Lierde l’insoumis», 6 February 2002 https://plus.lesoir.be/art/congo-la-mort-de-lumumba-noir-ultime-debat-a-la-chambre_t-20020206-Z0LGFG.html (in French)

[2] Félix Roland Moumié (1925-1960), a leader of the anticolonialist and anti-imperialist struggle in Cameroon, was assassinated on orders from France in Geneva on 3 November 1960.

[3] Saïd Bouamama, Figures de la révolution africaine, La Découverte, 2014, 300 p.

[4] See the synthesis of Jean Van Lierde’s intervention during a conference in Brussels in October 1995 in homage to Ernest Mandel http://www.ernestmandel.org/new/sur-la-vie-et-l-œuvre/article/dernier-hommage-a-ernest-mandel

[5] Saïd Bouamama, Figures de la révolution africaine, La Découverte, 2014, p. 160-177.

[6] Philippe Decraene, “L’Afrique noire tout entière fait écho aux thèmes panafricains exaltés à Accra” in Le Monde diplomatique, February 1959 https://www.monde-diplomatique.fr/1959/02/DECRAENE/22920

[7] The Assassination Archives and Research Center, Interim Report: Alleged Assassination Plots Involving Foreign Leaders, III, A, Congo. http://www.aarclibrary.org/publib/church/reports/ir/html/ChurchIR_0014a.htm consulté le 15 janvier 2021

[8] Saïd Bouamama, Figures de la révolution africaine, La Découverte, 2014, p. 160-177.

[9] « Les aveux du meurtre de Patrice Lumumba », https://www.thomassankara.net/les-aveux-du-meurtre-de-patrice-lumumba/

[10] Eric Toussaint, Banque mondiale : le Coup d’Etat permanent. L’Agenda caché du Consensus de Washington, co-published by CADTM / Syllepse / CETIM, Liège/Paris/Geneva, 2006, 310 pages. http://cadtm.org/Banque-mondiale-le-coup-d-Etat; translated into Spanish Banco mundial: el golpe de estado permanente Editorial Viejo Topo (Barcelona), 2007 ; Editorial Abya-Yala (Quito), 2007 ; Editorial del CIM, Caracas, 2007 ; Editorial Observatorio DESC, La Paz, 2007; into English The World Bank: a never-ending coup d’Etat: the hidden agenda of Washington Consensus Pub. VAK (Mumbai-India), 2007, also as The World Bank : A Critical Primer, Pluto Press, London; Michigan University Press, Michigan; Between The Lines, Toronto,; David Philip, Cape Town; and recently into Japanese.

[11] The colonies for which the World Bank granted loans are, to Belgium the Belgian Congo, Rwanda and Burundi; to the UK, East Africa (including Kenya, Uganda and future Tanzania), Rhodesia (that became Zimbabwe and Zambia) as well as Nigeria, to which we must add British Guyana in South America; to France, Algeria, Gabon, French West Africa (Mauritania, Senegal, French Sudan that became Mali, Guinea-Conakry, Ivory Coast, Niger, Upper-Volta that became Burkina Faso, Dahomey that became Benin).

[12] KAPUR, Devesh, LEWIS, John P., WEBB, Richard. 1997. The World Bank, Its First Half Century, Volume 1, p. 685-686.

[13] The fact that Belgium was the beneficiary of loans to the Belgian Congo can be deduced from a table published in the WB’s 15th Annual Report for 1959-1960. IBRD (World Bank), Fifteenth Annual Report 1959-1960, Washington DC, p. 12.

[14] Article 92, see http://polandpoland.com/treaty_versailles.html.

[15] SACK, Alexander Nahum, Les Effets des Transformations des Etats sur leurs Dettes Publiques et Autres Obligations financières, Recueil Sirey, Paris, 1927. p. 158.

[16] Source : Treaty series, no. 4, 1919, p. 26. Cited by Sack, p. 162.

[17] In 2013, I devoted a book to this figure: The Life and Crimes of an Exemplary Man, https://cadtm.org/The-Life-and-Crimes-of-an-Exemplary-Man Though anecdotal, the list of decorations awarded to Jacques De Groote is quite telling: he is Grand Officier de l’Ordre de Léopold Ier in Belgium, i.e. the second highest Belgian distinction; Mobutu decorated him with the Palme d’or in Zaire; he is also Grand Officier de l‘Ordre d’Orange-Nassau (Luxembourg), he is bearer of the Orden für Verdienste in Austria and received the Red Star in Hungary.

[18] It is worth mentioning that at the height of his power, Mobutu had people call him “Mobutu Sese Seko Kuku Ngbendu wa Za Banga” (which means Mobutu the unstoppable warrior who goes from one victory to another).

[19] The Bank’s historians wrote that in 1982 “Lured by Mobutu’s guile and promise of reform and by pressures from the United States, France, and Belgium, the bank embarked on an ambitious structural adjustment lending program to Zaire” in Devesh Kapur, John P. Lewis, Richard Webb, The World Bank, Its First Half Century, 1997 Volume 1: History, p. 702.

[20] In 1978, the IMF sent Erwin Blumenthal to the Central Bank of Zaire to improve its operations. In July 1979, he resigned after receiving death threats from those close to Mobutu.

[21] Erwin Blumenthal, “Zaire: Report on her Financial Credibility”, 7 April 1982, typescript, p.19.

[22] Mobutu even managed to intercept money before it actually reached the public coffers, as happened for instance with the $5 million granted by Saudi Arabia in 1977 (Emmanuel Dungia, Mobutu et l’argent du Zaïre (Mobutu and the money of Zaire), 1992, L’Harmattan, p.157).

[23] Steve Askin and Carole Collins, “External Collusion with Kleptocracy: Can Zaire Recapture its Stolen Wealth?” in African Political Economy, 1993, no. 57, p.77.

[24] L’ENTREPRENEUR. 1980. « Le lancinant problème de la dette extérieure du Zaïre » (The problem of Zaire’s persistent external debt), n°11, December 1980, p. 44-47.

[25] The $32 million corresponds to the debt that Belgium and the World Bank imposed on the Congo with the complicity of Mobutu’s regime. As stated above, during the 1950s Belgium borrowed $120 million from the World Bank to develop its colonial projects in the Belgian Congo. Belgium had only repaid part of this loan before the Congo gained its independence on 30 June 1960. The remaining amount ($32 million) was passed on to the Congo when Mobutu established his dictatorship in 1965.

[26] HAYNES, J., PARFITT, T. and RILEY, S. 1986. “Debt in Sub-Saharan Africa: The local politics of stabilisation,” in African Affairs, July 1986, p.346.

[27] Ibid, p. 347.

[28] NDIKUMANA, Leonce and BOYCE, James. 1997. Congo’s Odious Debt: External borrowing and Capital Flight, Department of Economics, University of Massachusetts.

[29] Ibid, p.17.

[30] Ibid, p.18.

[31] FEB, 1986, p. 496-497.

[32] The Poupehan group was a lobby made up of the main conservative political leaders in the Belgian Christian Social Party, who played a key role in the neoliberal shift. See http://archives.lesoir.be/les-fantomes-de-poupehan-liberaux-et-fdf-veulent-enquet_t-19910917-Z04EPV.html

[33] Alfons Verplaetse was the Governor of the National Bank of Belgium, and a member of the Flemish Christian Social Party.

[34] Wilfried Martens, the Christian Social Prime Minister who put in place neoliberal policies in alliance with the Liberal Party.

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<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月5日




 奇っ怪な出来事が起こっている。それは、コビドワクチンを打った人が、周りのワクチンを打っていない人に明らかに病気をうつしているという現象だ。 そしてそのような現象を裏付ける数え切れない報告やエピソードが出てきている。時間が経つに連れて、コビド「ワクチン」の恐るべき悪影響が、明らかになっている。(これはワクチンではない。医療処置の一つであり、遺伝子組み換えに過ぎない)。コビドワクチンを打ちさえしなければ、自分の身は守れると考えている人も考え直したほうがいい。 これらの報告によれば、ワクチンを打っていない人でも、ワクチンを打った人の近くにいるだけで、病気になったり、ある種の病状を示すことが分かっている。 そのような症状を示している人々の中で最も多いのは女性、特に妊娠中の女性だ。その症状というのは、生理不順や、生理時の多量の出血や、妊娠中の出血や、流産などだ。他にもワクチンを打っていない人に出ている症状としては、偏頭痛や、身体中あちこちに出来るアザや、突然の鼻血だ。そういう症状が、コビドワクチンを打った人のそばに居るだけで出ているのだ。コビドワクチンを打った人に触れられたペットが死んでしまう事例も報告されている。コビドワクチンが、病原菌を撒き散らしているのだろうか? ウイルスが排出されている以上の何かが起こっているのだろうか?何らかの形で病気が伝染しているのだろうか?一体何が起こっているのだろうか?

コビドワクチンを打った人のせいで、コビドワクチンを打っていない人に大きな悪影響が出ている。

 よく知られていることだが、女性が他の女性と同居していたり、そばで一緒に多くの時間を過ごしたりすると、その女性の月経周期が自然と同じになるという現象がある。それは自然に起こる現象なのだが、今見られている現象は明らかに不自然だ。 クロレ・アンジェリーナさん (自称「自己回復の母」)は、出産関係全般に関わる仕事や、ドゥーラ(訳注:産前産後の女性を支える仕事のこと)を務めており、子作りに取り組んでいる女性たちや、妊婦たちと関わる仕事をしている。そのアンジェリーナさんが、先週こんな動画をアップし、人々(特に女性)に、コビドワクチンを打った女性たちに気をつけるよう、警告を発した。具体的には、ワクチンを打っていない女性たちが、コビドワクチンを打った女性たちの近くに居るだけで、激しく辛い生理痛に 襲われたというものだ。アンジェリーナさんは、コビドワクチンは不妊症(通常の不妊症も絶対的不妊症も両方)の直接の原因となると見ている。以下はアンジェリーナさんの言葉だ。

 「生理がある年齢であるなしに関わらず、女性たちが、このワクチンを打った人たちのせいで深刻な副作用を示すケースが出ています。まだはっきりと何が起こっているのかは私たちには分かりません。この現象が速すぎるスピードで進行しているので、ついていけていないのです。私たちが目にしたのは、人生で最も激しい生理を体験している女性たちです。大量の出血があり、普段とは全く違う状況なのです。閉経しているのに月経が戻った女性たちもいます。この分野では、閉経している女性が出血するというのは、ガンになったせいだということはよく知られていることです」

 「私は、人類の健康のためにこの警告を発しています。見えないところで何かが起こっているのです。そしてそれは、女性たちの健康に関することなのです。男性の精子数が激しく減少しています。あの人たちは私たちを消滅させようとしているのです。流産の件数はほぼ4倍に上がっています」
(アンジェリーナさんの話はここまで)

 さらに、ある看護師がアップしたこんな動画もある。この看護師によると、コビドワクチンを打った人々が何気なくペットに触れただけで、ペットを死にいたらせたそうだ。この看護師はさらに多くの情報を自身のサイトでアップしている。

 以下はその看護師の話だ。

 「この現象をウイルス排出が原因であると考える人は多いでしょう。しかし、ウイルス排出というのは、ワクチン接種の後の弱化したウイルスが排出されることであると考えられているので、今起こっている現象がウイルス排出のためだとは考えにくいのです。今ワクチンと呼ばれているものは、ウイルスのスパイクタンパク質を人間の体内に作らせようという遺伝子レベルの治療法であり、mRNA遺伝子療法と呼ばれているものです。こんなことは人体実験です。こんなことが未だかつて行われたことはありません。この治療法は、実際のところは人体の構造物を変えてしまうものなのです。このような組み換えが人体で起こってしまえば、もう止めることはできません。組み換えられた遺伝子は、呼吸により排出され、毛穴からも排出されます。スパイクタンパク質も同じです。こうして人々の間に出産関連の問題が生まれているのです。不妊の原因になっているのです」

 「女性も男性も、このワクチンを打った人と接触すれば、突然身体に奇妙な発疹ができます。たった10歳で今まで生理になった事のない女の子が突然初潮を迎えました。11歳の女の子は月に2回も生理が来ました。流産をしてしまった人たちもいます。拳大の血塊がてきた人たちもいます。何年も前に閉経していたのに、突然重い生理が始まった人たちもいます。配偶者がワクチンを打った男性で、就寝して起きると、身体に発疹がでた人たちもいます」

 「このコビドワクチンを打った人たちの近くに居れば、死産の危険性や、障害をもつ赤ちゃんを出産する危険性があります。その理由は、このワクチンは妊娠に悪影響を与え、流産を起こす原因になることがあるからです。この‘’ワクチン‘’を打つことで生じるスパイクタンパク質を体内で製造するというメカニズムを排除できるかどうかは分かりません。ですので、この‘’ワクチン‘’を打った人は永久にこのスパイクタンパク質を体内で作り続けることになるかもしれないのです」
(看護師の話はここまで)

 これは確かに奇怪な現象だ。今紹介した2名の女性たちだけが、このような現象に警告を発しているのではない。「ワクチンを打った人と接触したワクチンを打っていない女性が流産になった」という題名のついた記事も出ている。この記事を読めば、このような現象が広まっていることがわかる。

 最近行われた座談会には、コビド流行のインチキを公然と暴いている著名な5名の医師が参加していた。その5名とは、シェリー・テンペニー医師、ラリーパブロフスキー医師、キャリー・マデフ医師、クリスティーナ・ノーサップ医師、リー・メリット医師だ。この医師たちが、このような現象の分析を行ってくれたのだが、今はまだ分かったことよりも、わかっていないことの方が多いようだ。テンペニー医師によれば、今起こっていることは、ウイルス排出ではなく、病気の感染の一つだと考えているとのことだ。パブロフスキー医師が思い出させてくれたのは、コビドには「血液を毒化する」という症状があるという事実であり、普通のウイルス感染では見られないような、血塊の発生や、血液内の酸素濃度の低下という症状もあるということだった

コビドワクチン接種→不妊→人口削減という流れ

 多くの医師たちは、空気を読むなどはしないで、 おかしいことはおかしいと大きな声を上げている。コビドの公式説明に異議を唱えているドイツの微生物学者スチャリト・バクディ博士は、 最近コビドのインチキ世界的流行の中に隠された人口削減計画について示唆してくれた。具体的には、彼はこう語った。「コビド‘’ワクチン‘’は、世界に壊滅的な影響を与えるために使われており、世界の人々を大量に殺戮する意図がある」と。元ファイザー社の科学部長で、ファイザー社の副社長でもあったマイケル・イードン博士も、勇敢にも以下のような話をしてくれている。「ここ数年で世界人口の大部分に害を与えるか、もしくは殺害しようとするのならば、今世界規模で行われているこの手口を使えば可能でしょう。私はよく考えた上で言っています。このコビド‘’ワクチン‘’を使えば、世界人口の大規模な削減は可能なのです」と。 イードン博士は、ドイツのヴォルフガング・ワダルグ医師とともに、欧州議会に対して嘆願書を提出している。その嘆願書の内容は、コビドやSARS-CoV-2ウイルスに関する全ての臨床処置を、今懸念されている重要な安全面の課題に取り組むという研究デザインが打ち出されるまでは、中断するという命令を出すことを嘆願しているものだ。

 シンシチン遺伝子に関して、一つの問題が浮上している。この遺伝子は、妊娠が上手くいくための前提条件となる遺伝子だ。以前拙論で述べた通り、SARS-CoV-2というウイルスは存在しないし、同時に「スパイクタンパク質」も存在しない。しかし今はその事は置いておいて議論を進めよう。実は人間のシンシチン遺伝子とSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質は、驚くほどよく似ているのだ。(たとえこのウイルスがデジタルで作られた理論上のモデルであったとしても、だ)。このことで何が大事になるかというと、 SARS-CoV-2のスパイクタンパク質と言われているものに対する抗体が、シンシチン遺伝子に対しても抗体となるのだ。であるのでコビド「ワクチン」を接種すれば、体内に抗体ができることになり、この抗体が、体内にもともと存在するシンシチン遺伝子を攻撃して、破壊する可能性が生じるのだ。妊婦にとって、シンシチン遺伝子が破壊されることは、胎盤の形成を妨げることに繋がり、ワクチンを打った女性たちが不妊症にしてしまうことになるのだ。

コビドワクチン計画の本当の狙いは?

 今私たちは、巨大な人体実験の真っ只中に置かれているのだ。この後どうなるかはっきりと見通せる人はいないだろう。ただ、モデルナ社の上層部の二人が語っている以下の内容は覚えておくに越したことはない。

 「mRNAはコンピューターのソフトのようなものです。少し手を加えれば、多くのものを開発できるのです」

– モデルナ社のステファン・バンセル最高経営責任者

 「ソフトのプログラムのコードを作ったり、変えたりすることができるのであれば、インフルエンザでもガンでも、どんな病気でも治療できるということです。我々がやっているのは、生命というソフトウェアのプログラムにハッキングしているのと同じことなのです。

– モデルナ社タル・ザック医学部門長

 世界新秩序(NWO)を画策している連中が望んでいるのは、「人々を殺し、‘’役立たずの穀潰し‘’たちの数をあるところまで減らすことだ」と考えている人もいる。そしてある地点まで到達すれば、(そのある地点とは、私の見立てでは、連中がこのくらいの人数であれば、後に彼らが抵抗運動を起こしたとしても、簡単にひねり潰せると思えるくらいの人数に到達する地点だろう)、連中は殺すことはやめて、人々を支配することに関心を移し始めるだろう。 (カーター大統領時代に国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めた地政学者である故ブレジンスキーが人々を支配することと、人々を殺すことを対比して語った発言を覚えておいでだろうか?)。
訳注:この言葉は、ブレジンスキーが1998年の外交問題評議会でのスピーチで述べたものだ。

 古代の奴隷制度を思い浮かべてはいけない。 鎖に繋がれて、材木を運ばされたり、重労働させられている人々の姿を思い浮かべてはいけない。未来の奴隷は、技術により操作された奴隷だ。喜んで自分から奴隷になるよう遺伝子レベルで仕組まれるのだ。二十世紀初頭の英国の作家、オルダス・ハクスリーが1932年の『素晴らしい新世界』で描いたような管理社会だ。NWOによる人民に対する操作がそのように進められれば、技術により操作された未来の奴隷は、もはや人間とは呼べない生き物になってしまうだろう。彼らには、支配者層に奉仕する存在となるように、絶え間なく遺伝子組み換えが行われるのだ。

最後に

 女性たちが統制ができないくらい出血している。今まで一度も生理がなかった少女が突然初潮を迎えた。閉経したはずの女性たちが、突然再度出血し始めた。このコビド偽ワクチンが標的にし、大きな影悪響を与えているのは、あきらかに出産に関わる営みだ。この現象は本当に今までにない新しい現象なので、今私たちができることは、データを収集することと、疑問の声を上げることだ。 コビド‘’ワクチン‘’を打った人々が、打っていない人々にこのような悪影響を及ぼすメカニズムを正確に把握している人など誰もいないだろう。 最後に私が言いたいことは、人々の遺伝子を書き換えることにより、このコビド偽ワクチンが人々の肉体やエネルギー体系にまで悪影響を及ぼすことになっても、何も驚かないということだ。私たちは一筋縄ではいかない複雑な世界に住んでいるので、この分野におけるこのような変化や崩壊状態が、近くにいる人々を、共鳴や周波数を通じて影響を与えているのかもしれない。初めは目に見えない程度だったのだが、その後はっきりと目に見えるくらい明らかな崩壊状態を示すものになっているのかもしれない。

Makia Freeman is the editor of alternative media / independent news site The Freedom Articles, author of the book Cancer: The Lies, the Truth and the Solutions and senior researcher at ToolsForFreedom.com. Makia is on Steemit and LBRY.

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「新疆の大虐殺」はメディアによる作り話だ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Media Allegations of Genocide in Xinjiang

global research 2021年4月17日

キム・ピーターソン(Kim Petersen)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月7日


 2月に私はこんな問いを投げかけた。「西側は中国が新疆で大虐殺を行っているというが、具体的な証拠はあるのだろうか?」

 中国は絶え間なく西側諸国の政府や、企業メディアや、国営メディアから濡れ衣をきせられている。そうしたメディアは、どんなことでも言いがかりをつけたり、もっともらしい話を作り上げたりして、中国に汚名を着せるチャンスを狙っている。 中国の経済が目覚しい発展を遂げ、中国式の社会主義が上手くいっていることに、資本主義社会が動揺しているのだ。だからといって、「大虐殺をおこなっている」などというとんでもない嘘を主張することは、恨み辛みという範疇を超えて、明らかなやり過ぎだ。

 ある特定の民族が攻撃されているとしたら、特にその民族が、2018年の調査で1271万8400人の人口をもつ民族だとしたら、そんな攻撃を見えなくすることなど不可能だ。それが、新疆ウイグル自治区という広大な土地であったとしても。さらに、もし誰かがそのような恐ろしい罪を糾弾しようとするならば、相手が反論できないような確かな証拠もなしに、犯罪だなどと言いたてることはできないだろう。

 中国を拠点にしている或るフランスの記者が、ローレン・ボードンというペンネームで、西側諸国が、新疆地区(2)のウイグル族に対する大虐殺(1)をでっち上げていることを批判する記事をCGTN(中国国営放送の英語版サイト)に出した。

 ボードン記者は以下のような問いかけを投げかけている。

 「この茶番は何なのだろう?中国に対して遠く離れた場所から批判を行い、具体的な証拠は何一つ示さず、信頼のおける証言もない。それなのに、この地域に一度も足を踏み入れたことのない人たちが批判を繰り広げている」(3)

 この記者の言う通り、中国の罪を主張しているすべて人たちは、具体的な証拠を示すべきだ。

 このような大虐殺が行われたとされているが、ウイグル族の人口は、新疆地区で大幅に増加している。「ピープルズ・ディリー」社の傘下にあるグローバル・タイムズ紙(英文記事を発行している中国の新聞社)は、2010年から2018年までの以下のような統計を明らかにしている。

 「ウイグル族の人口は、1017万1500人から、254万6900人(25.4%)増加し、1271万8400人になった。一方漢民族の人口は、882万9900人から、17万6900人(2.0%)増加し、900万6800人になった」

 この統計が正しい事実に基づいたものであるとすれば(今のところ私はこの統計に対する反論は目にしたことがない)、この統計結果は、大虐殺が起こっていることに対する反論になるではないか!!それでも大虐殺が起こっているとすれば、現代の中国政府は、大虐殺を全く実行できないくらいの無能な政府だという答え以外は導き出せない。

 西側メディアの中国に対する糾弾の拠り所の大部分は、全く信頼のおけないドイツの「専門家」アドリアン・ゼンズの主張に基づいている。

 フランスの新聞社のル・モンド社は新疆地区での大虐殺報道について批判するのではなく、ローレン・ボードンという記者が実在するのかについて疑問を投げかける記事を掲載した。ル・モンド紙は、このような人物は実在しないと報じている。

 これに対してグローバル・タイムズ紙は、ボードン記者は実在するが、ローレン・ボードンという名は仮名である、と報じている。

 これは厄介だ。実は西側メディアの世界で当たり前だと思われていることがある。ある記者が西側メディアで働きたがっているとしよう。しかし、その記者が過去に西側の支配者層を激しく批判するような記事を書いていたとしたら、西側メディアに入るドアは固く閉ざされ、記事を書く仕事はもらえないのだ。

 そのような理由でボードン記者は仮名を使ったのかもしれないが、仮名で記事を書くことは、メディアにおける倫理に反することになる。独占メディアがしばしば独立メディアや、自由思考の読者たちから批判を浴びるのは、匿名の情報源からの情報を使っていることだからだ。情報源が匿名だとしたら、主張や声が具体性に欠けることになり、その情報源や、その記事の主張が、猜疑心のある目で見られてしまう。

 私の気持ちを言わせてもらえれば、CGTN社も、それ以外の真摯に真実を伝えようとするメディアも、仮名で書かれた記事の掲載を許可するのは、例えば実名を示すことで、その記者の生命が危険にさらされるといった極めて危険な状況の時だけにすべきだ。さらにメディアは、前もって記者や情報源をはっきりと特定しておくべきだ。特に今回のような「大虐殺のでっち上げ」という深刻な件に関しては、そのような努力が必要となる。

 この状況の打開策はある。そのために必要なのは、「ローレン・ボードン」記者が勇気をだして一歩踏み出すことだ。彼女が世間の前に顔を出し、自身の本当の身元を明らかにし、彼女の存在を特定化すれは、全てが明らかになる。CGTN社に必要なのは、仮名記事を出す際の方針を透明化することだ。さらに私が提案するのは、この記事を仮名で出したことに対するお詫びの記事を出すことだ。(4)

 大虐殺が行われたというとんでもない間違った主張はすぐに正され、偽情報であるという烙印を押されなければならない。このような偽情報を使って敵を陥れようとする行為は、人道に対する罪であり、平和を脅かす罪でもある。そのことに関して、カナダのレスブリッジ大学のアンソニー・J・ホール博士が以下のように明白に述べてくれている。

 「意図的でしかも体系的な画策により、偽情報を流すそもそもの目的は、社会における結束を破壊し、私たちから、現状を正しく感じ取る意識を奪うためだ。偽情報を流す目的は、人々を分断し、孤立させることだ。私たちから自分の感覚や、知性や、人と繋がるコミュニケーション能力を奪うことだ。このような能力のおかげで、私たちは真実を見出し、正しい知識によって行動を起こしているのだから。偽情報を流すことは、以下のような人類の負の歴史の中で深く使われてきた手法だ。すなわち、帝国主義、欧州中心主義に基づく人種差別、白人による米国の西部開拓、ナチスによるプロパガンダ、冷戦時の心理作戦、そして資本主義のもとでのグローバル化政策、などの際に取られた手法だ。偽情報を流す目的は、個人や集団が蓄積してきた記憶や、歴史の遺産の基盤をおかし、破壊することだ。このような記憶や遺産のおかげで、私たち人類は、様々な言語や、文化や、国や、民族意識や、自己決定の方法などの豊かな多様性を享受できてきたのだ。偽情報のいう手法が激しさを増し、広まっているのは、大衆に情報を提供する手段であるメディアが、一部の人々の手に渡り、その支配下に置かれるようになったからだ」

 頭を柔らかくして、疑問をもつ練習をしよう。証拠がなければ、証拠を求めよう。そのことに関わっているのは誰かを知る権利を要求しよう。人々や、メディアや、地域の歴史をよく調べよう。つまり、簡単に騙されないようにしようということだ。


Kim Petersen is a former co-editor of the Dissident Voice newsletter. He can be emailed at: kimohp@gmail. Twitter: @kimpetersen.


1
 いくつかのメディアが、新疆における大虐殺に対する「主張」や「糾弾」を行っている。具体的には、  CNNBBCアルジャジーラBerlinskeCTV, CBC,Frankfurter Allegemeine Forbesなどだ。日本は少し様子を見ているようだ。真実を知りたいと思っている方々に強くおすすめしたいのは、シアオ・ コレクティブという団体が出している記事を読むことだ。この団体は海外に住む中国人が作っているボランティア団体である。同団体は、新疆問題について、「政治的な意図のある」西側による偽情報だと捉えている。

2
 リンク先の記事には、編集者による注が付いている。「(この記者は)フランスを拠点とするフリーの記者であり、パリ第6大学で美術史と考古学のふたつの学位を取得している。さらに、ジャーナルリズムにおいて修士学位を取得している。ローレン・ボードン記者は、パリの様々な編集局で務めた後、北京を拠点に移し、7年になる。この記事は記者の観点で書かれたものでり、フランス語版CGTN社の主張とは必ずしも一致しない」

3
 原文のフランス語は以下の通り。
 “Qu’est-ce donc cette parodie de procès que l’on fait à la Chine à distance, sans aucune preuve concrète, sans aucun témoignage valable, par des individus qui n’ont jamais mis le pied dans cette région du monde…?”

4
 最終的に、グローバル・タイムズ紙は、ルモンド紙が、「ローレン・ボードン」という名の記者の実在に疑問を投げかけたことに対する謝罪を要求した。しかし、確かにこの名を持つ記者は実在しないため、この点に関してはルモンド紙の主張は正しい。
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ロックダウン措置に反対する何千人もの人による抗議活動がロンドンの中心街を席巻(動画)

<記事原文 寺島先生推薦>

THOUSANDS of anti-lockdown protesters TAKE OVER central London (VIDEOS)

Russia Today UK ニュース

 2021年4月24日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月7日


 何千人もの抗議者がロンドンの町に繰り出し、英国政府が行っているコロナウイルスに関する制限措置に抗議の意を示した。パブや店舗は再開されているが、集会を行うことはいまだに制限がかけられている。

 4月24日、抗議者たちは、「自由は譲れない」や、「ヘルスパスポートはいらない」などと書かれた立て看を持ち、 首都ロンドンに集結した。主催者によれば、この集会は、「ロンドン市街で行われた集まりの中で史上最大規模の」集会だったとのことだ。この集会には、いつまでも続けられている集会や運動に関する制限措置に不満を持っている何千人もの参加者が参加していた。さらに抗議者たちは、政府が導入しようとしているいわゆる「ワクチン・パスポート」にも反対の意を表明していた。

 ロンドン市長候補である俳優のローレンス・フォックス氏は、もし当選すればCovid-19に関わるすべての措置を取りやめることを公約しているが、彼もこの集会に熱心に参加していた。町中を行進している多数の人々の様子を映した動画とともに、フォックス氏は、この抗議活動を「腐敗した主流メディアは完全に無視している」と非難するツイートを残している。

 

 昼下がりの中、集会は陽気な雰囲気のもとで行われたようだ。このような大規模な集会はロックダウン措置下の英国では今でも禁止されているが、マスクを着用していない大多数の群衆は自由に町を闊歩していた。 






  先日行われた「気候活動家」たちによる抗議活動とは違い、この日の行進は大手メディアからはほぼ無視されていた。英国の2~3のタブロイド紙がこのデモ行進のことに少し触れた程度だった。

 抗議活動者たちはメディアが、「何十万もの」人が参加したこの行進や、活動者たちが要求していた内容を伝えないことを非難していた。しかし、「数千人」という以上に正確な数字を示すことは直ちには困難だ。




 現在英国が取っているロックダウン措置は、6月下旬にならないと終了しないようだ。それも、感染状況が悪化したり、コロナウイルスの変異種によって計画が変更されない限りの話だが。4月24日の朝の時点で、イングランドでは3800万人以上が少なくとも1回Covid-19のワクチンを打っており、政府の研究者が4月23日に発表した内容によれば、英国における感染状況は「パンデミックの状態から、流行の終結の状態に移行している」とのことだった。


ALSO ON RT.COM

Covid-19 no longer leading cause of death in England and Wales, govt data shows for first time in months
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このコビド危機を乗り越える希望のダンスを踊ろう

<記事原文 寺島先生推薦>

There is Hope. Coming to Grips with This Covid Chaos

ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)著
Global Research 2021年4月14日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月9日



 希望はある。そう。このコビド危機を乗り越えられるという希望は。社会体制や、経済が意図的に破壊されている。しかも世界中の国々で、だ。何千万もの人々が職を失い、極端な貧困に晒され、悲惨な飢餓状態に置かれ、死に至らしめられている。何百万人もの人々が、この15ヶ月の間、この目に見えない敵であるコロナ禍のせいで亡くなっている。間違ってはいけない。コビドという病気や、SARS-CoV-2と呼ばれるウイルスのせいで亡くなっているのではない。 このコビドの偽流行に付随する対策がもたらす害のせいで亡くなっているのだ。

 希望はある。私たちが自分たちの正常な感覚や自由を取り戻す希望は。さらには、人間としての尊厳や、独立した国家としての国家主権を取り戻す希望は。 新世界秩序(OWO:One World Order)などクソ喰らえだ。世界の再起動(Global Reset)も。悪名高い世界経済フォーラム(WEF)の思い通りの世界など消えてしまえ!マスクという仮面を被らされたり、社会的距離を取らされたり、家族や友人など人と会うことが禁じられたり、そんな無意味で害にしかならない隔離措置にはもううんざりだ。 ほぼ全ての国で、憲法に反するような措置が取られ、 その措置に刃向かおうものなら莫大な罰金が課され、監獄に放り込まれることさえある。こんな連帯が失われた世界を再生するのだ。
2020年の3月位からのこの13ヶ月間に我々世界全ての人民に起こったことは、支配者層が作り出した悲劇だ。 このショックは今も健在だ。人々は恐れおののいている。「怖い。とてつもなく怖い。死ぬかもしれない。怖い敵だ。誰もその姿を目にしたことのないウイルスだが、致命的な病気だそうだ・・」。しかし、真の科学によれば、(ただし、真の科学は西側諸国ではどこでも耳を傾けられず、検閲の対象になっているのだが)、このいわゆるコロナウイルスの致死率は、0.03~0.08%であることが確定しており、これは通常のインフルエンザとほぼ同程度だ。 (米国アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長の論文「Covid-19-未知の世界の航海」(米国アレルギー感染症研究所・米国国立衛生所)ニュー・イングランド・ジャーナル誌、2020年2月28日号を参照)。

 このショックが、たとえナオミ・クライン(2008) のいう「ショック・ドクトリン」のためのショックであったとしても、このショックは払拭され、そしてその下から希望が湧き上がり、大きくなっていくだろう。 これが今起こっていることだ。これは、「闇の陰謀団(Dark Cabal)」の人権(HR)破壊行為であり、これまで様々な人権擁護団体が長年苦心して築いてきた活動の成果を無にするものだ。 。法廷は、彼らに買収され、脅されることにより、得手勝手な判決を下し、その判決により人権が破壊されているのだ。その法廷とは、欧州人権裁判所(ECHR)のことだ。この裁判所が「公共の福祉」を理由に、各国政府がワクチンの強制接種を行うことに対する法的なお墨付きを与えているのだ。こうして、闇の陰謀団は、基本的人権をないがしろにすることに対する先鞭をつけているのだ。くわしくはこちら
 
 希望は、世界中で真実を求める医師たちによる不屈の取り組みから生み出されている。その先頭を走っているのが、「ドイツコロナ調査委員会」代表で、弁護士のライナー・ヒュルミッヒ(Reiner Füllmich)博士だ。

 ヒュルミッヒ博士は、欧州や米国において個人や組織に対する訴訟を起こすだけではなく、米国やカナダで複雑訴訟を起こすという計画を進めている。同博士が警告しているのは、現在の世界における地政学的変化は、人類に対する犯罪とみなされるべきものである、ということだ。というのも、このような状況は科学や理性に基づいたものではないからだ。以下の動画をご覧いただきたい。



 2020年3月以来、世界は少数の超富裕層からなる陰謀団の手中にある。
 陰謀団に誰が属しているか、その名前を明かすことは禁止されている。しかし、この陰謀にかかわっているものたちは、陰謀団に属している人々が誰なのかを承知しているし、陰謀団が世界全体を独裁しようとしている手口についても知っている。世界全体とは、国連加盟国193か国だ。もちろん国連組織自体も、このような陰謀団による陰謀については承知の上だ。

 第2次世界大戦後に作られたまさに世界的組織である国連は、地球上の平和を保持するために作られたのだ。人権の擁護のために戦い、人種や、文化や、宗教や、地理的位置や、国による差別をなくすために戦う組織なはずだ。(もちろんそれらを成し遂げるのは簡単なことではない)。しかしそんな仕事は、この組織の活動にかかわっている誠実な人々のみが携わることのできる高尚な仕事なのだ。

 能力もあり、誠実さも兼ね備えている人々が地球上で不足しているということはありえない。しかし、そのような能力もあり誠実さも兼ね備えているような人々は、不幸にも、今の(特に西側諸国における)腐敗した体制において適さない人々なのだ。そしてこの腐敗は、ここ2~3百年の間にどんどんと進んでいるのだ。

 すべての善良な意図が脇に追いやられている中で、国連や国連の下部組織の多くの指導者たちはコネと賄賂で自分の仕事を得たのだ。あるいは、仕事を得たのちに、その環境で腐敗したものもいるだろう。そうでもなければ、少数のいわゆる自称支配者層の、物質的な富をむさぼる、道徳心のないあの連中が、世界に命令を下す世の中になることなどありえなかったはずだ。

  連中が腐敗すると同時に、国連加盟193か国すべての政府が、強制されるか脅されるかして、連中の命令に従わざるを得なくなっている。連中は、新世界秩序(OWO)を創設し、文化の違いや、人種の違いや、歴史の違いや、言葉の違いや、肌の色の違いや、さらには信念の違いや、宗教を信じるか無宗教かの違いを否定し、最終的には完全にデジタル化された世界を推し進めようとしている。そんな世界では、人々には電磁波が埋め込まれ、常にこの支配者層から監視され、操作され、そのしもべとなり下がるのだ。そして人間は、「トランスヒューマン(訳注:未来において進化した人間の姿)」という人間の姿をした人間ではないものに変えられてしまうのだ。(第4次産業革命と、世界の再起動(グレート・リセット)に関する、クラウス・シュワブの発言を参照)。

  この目的に達するカギとなる前提は、世界の人口を今よりずっと減らすことだ。

  こんなことは奴らにとっては朝飯前のことだ。そうなれば、天然資源、特に再生できない天然資源は、もっと長く使えて支配者層を潤すことができるし、連中の贅を尽くした生活様式ももう少し長続きすることができるようになるからだ。つまり、やつらが人々から盗んだ「やつらの」資源を、より少ない人数で分けることができるというわけだ。 

  この極悪非道の陰謀団の構成員である先進的な優生学者たちが、好き勝手にできるようになれば、世界の人口は減少させられるはずだ。 

  「2010年ロックフェラー報告書」の中で、悪名高い「ロックステップシナリオ」(このシナリオに書かれていたことが、今我々が暮らしているこの世界ですでにはじまっている)が出されたのとほぼ同じ頃、ビル・ゲイツは、カリフォルニアで行われたテッドショーで、「ゼロへの革新」というタイトルでエネルギー使用についてのスピーチを行っていた。ゲイツはこのテッドショーでのスピーチを利用して、自身のワクチン計画の広報活動を行ったのだ。以下の言葉は、その際ゲイツが本音で語った、そのままの言葉だ。

  「新しいワクチン計画が本当に上手くいけば、世界の人口を10~15%減らせるだろう

 

リンク先のスピーチの04:21を参照
 
  この極悪非道な目的を果たす道程として、連中は、10年後のゴールを設定した。それが国連アジェンダ2030だ。連中は、まだ残っている人々の資源や資産を底辺の庶民たちから吸いあげようとしているのだ。そしてまたもや国連がこの企みの先頭を走っている。国連や、国連の指導者たちはこれらの要求を黙って聞きいれているのだ。

  この企みが生み出されたのは、1992年にブラジルのリオ・デジャネイロで開かれたいわゆる「環境会議」の場だった。その会議の正式名称は、「環境と開発に関する国際連合会議 (UNCED)」であり、「地球サミット」という名でも知られている。 1992年6月3日から14日に、ブラジルのリオ・デジャネイロで開催されたものだ。国際間の外交や、国際組織で名のある人物、さらには金融機関や、企業利益団体の著名人たちが出席していた。 パイの分け前を手にするためだ。 この会議の結論を受けて、その後の数十年に、暫定会議やサミットが何度も持たれることになった。

 この会議の最終結論は、環境問題についてだった。具体的には、すべて偽りの危機である、「地球温暖化」や気候変動や、人口過剰の問題だ。そして、見えざる敵であるウイルスが、この惑星全体をいっぺんに危機に陥れるという問題だった。このリオの会議で話し合われたシナリオが全て、今の私たちの世界で現実のものにされてしまっているのだ。

 コビドショックの最初の波が訪れてから1年が過ぎたが、腐敗した(特にグローバル・ノースの)各国政府は、この危機が犯罪的な詐欺であるという証拠には目もくれず、コビド対策措置を推し進めている。

 しかし時間が経つにつれて、真実があきらかになるだろう。あの政治家たち、そして国連加盟193カ国の括弧付きの「指導者たち」は、このコビド騒ぎがゲームであることをはっきりと認識している。さらには、このコビド騒ぎが、人類に対して仕掛けられた大きな犯罪であることも。その人類こそ、彼らを代表として選び、給料を払い、彼らに社会的利益を付与している人たちなのに。このような政治家たちこそ、真実が表面化し行き渡るにつれ、正義の名の下に審判を受けなければならない人たちなのだ。
 
 希望は、もっとささやかな形で、もっと人々に元気を与える形で、あらわれてきている。人々が求めているのは、生きることだ。奪われた生活を取り戻すことだ。生活を楽しむことだ。尊厳に満ちた自己を取り戻すことだ。

 人々が求めているのは、再び踊ることだ。警察官さえ、その踊りの輪に加わっている。以下のユーチューブの6分間の元気の出る動画を見てほしい。2021年4月8日、パリの北駅で、人々が自然と集まって踊りの輪ができたのだ。自発的に集まったバンドの演奏に合わせて踊り、歌っている。そして彼らは、ほとんど失われてしまった「生の喜び“Joie de vivre”」を燦然と体現している 。本当に元気の出る動画だ。世界中の人々に繰り返し見てほしい動画だ。

 再会!「もう一度踊ろう(DANSER ENCORE)」 – フラッシュモブ – パリ北駅 – 2021年4月8日 
 


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IAEA(国際原子力機関)の福島汚染水問題調査チームに中国の専門家が加わる

  
<記事原文 寺島先生推薦>
IAEA invites Chinese experts to join the technical working group on Japan’s nuclear wastewater disposal, Beijing says

Russia Today
ワールド・ニュース
2021年4月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月7日


 中国外務省によれば、国際原子力機関 (IAEA) は、日本が放射能汚染水を海に流すという問題についての調査研究チームに、中国の専門家を招く予定であると、中国政府に伝えたとのことだ。

 4月26日の会見で、中国外務省の汪文斌(ワン・ウェンビン)報道官は、中国政府は、廃炉となる福島原発から出される100万トンを超える放射能汚染水を海に放出する前に、国際間の話し合いを持つよう日本に対して要請し続けると語った。

 「中国には、IAEAによる調査を全面的に支援するつもりがあり、日本は、放射能汚染水の放出を決定する前に、中国や、汚染水により被害を受けるであろう国々や、国際社会からの懸念を真摯に受け止めるべきだ」と、汪報道官は語った。

 さらに汪報道官が語ったところによると、IAEAは、処理されたという廃棄水の放出について調査する研究チームに中国の専門家を加える旨を、中国政府に通達したとのことだ。

 「中国はこの件に関して、引き続きIAEAとの連携を密にし、共同して取り組んでいく。さらにIAEAはこの件に関する研究チームの立ち上げの準備を行っている模様だ」と同報道官は語った。



 「中国には、IAEAによる調査を全面的に支援するつもりがあり、日本は、放射能汚染水の放出を決定する前に、中国や、汚染水により被害を受けるであろう国々や、国際社会からの懸念を真摯に受け止めるべきだ」と、汪報道官は語った。

ALSO ON RT.COM

Disposing of Fukushima’s nuclear water is ‘not Japanese housework,’ countries have every right to claim compensation, China says

  中国と近隣の国々は、日本政府が、2・3年以内に福島原発から出される廃棄水を海に流す計画があることを表明して以来、日本政府を激しく非難してきた。

 これまで何年も処理が行われているにも関わらず、廃棄水の安全性に疑問が投げかけられることは何度もあった。昨年の国際環境NGOの「グリーンピース」の報告によれば、原発から出される廃棄水は、日本政府の見通しよりも危険な状態にあるとのことだった。グリーンピースが出版した文書によれば、 処理されたとされる廃棄水には依然として、「人体のDNAに害を与える可能性のある」放射性物質「炭素14が、危険なレベルで」含まれている、ということだ。さらにその処理水には、放射性物質であるトリチウムも残存していることがわかっている。

 中国政府は、国際的な行動を推進しており、こう語っている。「これは日本の内政問題では全くない。放射性物質から出る水が汚染されていないのならば、なぜその水を海に放出せず、日本国内に置いておかないのか?」




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米国の大学は学生たちにワクチン接種を強制するという暴挙を行っている

<記事原文 寺島先生推薦>


Medical Tyranny on US College Campuses

ステファン・レンドマン( Stephen Lendman)著
グローバル・リサーチ
2021年4月21日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月5日


 高等教育に熱い志を抱いている米国の若者たちにとって、おかしな時代になってしまった。大学や専門学校などの高等教育機関に入学することが、学生たちの健全な生活と健康を、短期間においても、長期間においても、取り返しのつかない脅威に晒すことになるような措置を取る学校の数がどんどん増えているのだ。

 3月にラトガーズ大学は、学生たちにあの薬品の接種を要求した。その薬品とは、まだ試用期間中であり、リスクも高く、承認されてもおらず、市場に出回るよう急いで拵えられたものであり、DNAを組み換えるというファイザー社やモデルナ社が採用した技術に基づいたあの薬品だ。こんな薬品を接種すれば、取り返しのつかない害を身体に与えることになるというのに。それでも、米国のいくつかの高等教育機関はラトガーズ大学と同じことを行ったのだ。

 このようなワクチン接種の強制により、学校は学生たちの身体に害を及ぼしているのだ。そうだ。敢えて学生たちの身を、取り返しのつかない危険に晒ことになっているのだ。

 意識の高い学生ならば、そのような学校ではなく、学生たちの健康を大切にしてくれ、健全な生活を送る術を学生自身が決める権利を保証してくれている学校に転校すべきだ。

 学校が学生に強制的にワクチン接種をさせることは、連邦法にも、ニュルンベルク綱領 (訳注:第二次大戦後、人間を被験者とする実験に関して定められた国際的な原則)にも反する。

 連邦法によれば、試用段階であり、未承認の薬品に関しては、その薬品を「服用するか、しないか」の決定は、個人の判断に任されるとされている。

 ニュルンベルク綱領によれば、健康に関する全ての被験については、被験者の自発的な意思が必要条件である、とされている。

 このような原則を無視して、米国の学校は、学生たちに本人の意思に関わらずコビドワクチンの接種を要求している。こんなことはこのような原則を踏みにじるものであり、学生たちの健康や身体を、あまりにも軽んじたものだ。

 このような暴挙を行っているのは、ラトガーズ大学、ノース・イースタン大学、フォート・ルイス大学、セント・エドワード大学、ロジャー・ウィリアム大学、ノバ・サウスイースタン大学、ブラウン大学、コーンネル大学、イェール大学、コロンビア大学、シカゴにあるコロンビア・カレッジだ。

 私の敬愛する母校であるハーバード大学は、現時点では、強制とはいかないまでも、学生たちにコビドワクチンを接種するよう強く要請している。

 ハーバード大学は学生たちにこう呼びかけている。
「本学は、学生のみなさんに、ワクチン接種に向けて持ちうる最大限の機会を模索することを奨励します。そしてワクチン接種の機会を先に伸ばさないで欲しいのです」。この間違ったメッセージの後、さらにこう続けている。

 大学からのメッセージ:「コビドワクチン接種の安全性については、政府が最も優先的に取り組んでいる政策なのです」

 真実: 「真実は、ハーバード大学が言っていることの真逆だ」

  真実:「昨年度から政府が国民に強制している措置や、国民に推奨している措置は、その措置に従おうとする国民に害を与える意図があり、それ以外の意図はない」

 事実:「これらの措置はすべて、国民に対する厳しい管理を押し付けるためだ」

 事実:「試用段階にあるコビドmRNA技術や、ワクチンは米国や他の国々の人口削減のための生物兵器であり、その人口削減は、影で跋扈する闇の勢力が求めているものだ」

 大学からのメッセージ:「コビドワクチンを接種すれば、ウイルスによる感染から守られます」

 真実:「ワクチンを接種すれば、感染する確率が上がる。ハーバード大学は、全く逆の主張をしている」

 大学からのメッセージ:「ワクチン接種後に副作用が出る可能性もあるが、それは身体がウイルスに対して防御するためにおこる通常の反応です」

 真実: 「有害なワクチンを打てば、深刻な健康被害を引き起こし、防ぎようがない」

 真実:「ワクチンを打てば打つほど、リスクはどんどん高くなる」

 真実: 「ワクチンを打てば、接種後すぐ、又は、接種してからしばらく後に、深刻な病気にかかるリスクが生じる」

 真実:「免疫力の弱いお年寄りの人々や、アレルギーを持っている人々などの場合、死に至る場合もある」

 大学からのメッセージ:「ワクチン接種の費用は、政府が負担します」

 真実:「大規模なワクチン接種を進めるために、米国の闇の勢力は、真実を聞かされていない米国民たちに、自分で自分に害を与える行為を行うことを奨励している」

 大学からのメッセージ:「コビドワクチンを接種することは、この世界的流行を止める助けになる重要な手段のひとつです。ワクチンを打った後も、公共の場においては、マスクを着用し、社会的距離を保持するようにしてください」

 真実:「世界的流行など起こっていない。季節性のインフルエンザが流行っているだけなのに、そのインフルエンザをコビドという名前に付け変えて、我々を怯えさせ、自分で自分に害を及ぼすような行為をさせ、とんでもなく厳しい強制措置や、奨励措置に従わそうとしているだけだ」

 真実: 「マスクをしていても病気から身を守れないし、マスクを長時間着けていると、健康に深刻な影響を及ぼす危険が生じる」

 真実:「社会的距離を保持してもなんの効果もない。社会的距離を保持することで、日常的な人々との相互のやりとりが軽視されてしまう。そのやり取りこそ、日常生活において欠くことのできないものなのに」

 真実: 「社会的距離を保持することは、不必要であり、人間関係の破壊になる。なんの利も無い行為だ」

 世界全体に米国のプロパガンダを発信する一躍を担っている「ボイス・オブ・アメリカ」社は、以下のような間違った情報を流している。

 ボイス・オブ・アメリカの記事:「米食品医薬品局は、ファイザー社とバイオテック社の共同ワクチンと、モデルナ社のワクチンを承認した」

 嘘は二つ!!まず一つ目。これらの会社が作っている薬品はワクチンではない。

 これらの薬品は、危険で、試用段階であり、DNAを組み換えるmRNAという認可されていない技術を用いている。二つ目の嘘は、これらの薬品は、非常事態だという理由で特別に緊急使用することを許されているのだが、実のところは、今は全く非常事態ではないという点だ。

 米国大学保健協会コビド対策委員会の共同理事を務めるゲリー・テイラーはこう語っている。

 ゲリー・テイラーの談話:「全ての学生が、帰省のために米国内の実家や、留学生であれば本国に戻る前に、ワクチン接種を受けてくれることを強く望んでいます。というのも、ワクチンを受けずに帰省すれば、家族やその地域にウイルスを伝播してしまうかもしれないからです」

 ここまで紹介してきたような主張はすべて、国家が資金を出したキャンペーンにより広められてきた大嘘の一部であり、真実を知らされていない大多数の人々を納得させ、何の得にもならない高いリスクを負わせようとしているのだ。

 健康を保持したいのであれば、このような大嘘に引っかからないことだ。

 健康と健全な生活を守るために何よりも大事なのは、ワクチン接種を拒むことだ。そんなものは不必要であり、言われるままに接種してしまえば、取り返しのつかない害を受けることになるかもしれない。

 遥か昔、私が学生だった時、そう、1950年代くらいのことだが、今まで書いてきたような状況はこれっぽっちもなかった。

 大学生や院生だったころ、健康面に関する強制など全くなかったと記憶している。

 今でもそうだ。学生たちに自分で自分を害するようなことはしないよう、健康に過ごせるような生活を送るように勧める以上のことを学校は行うべきではない。ところが、現状は全く逆だ。

結びに変えて

 イェール大学のとんでもなく厳しい措置や、コロンビア大学の絶対的命令によると、コビドワクチン接種を受けようと思っていない学生は、教室から追放され、大学構内への入構も禁止されることになるそうだ。病気や宗教上の理由など一部の例外を除いては。

 このような大学や専門学校が課している措置は、おそらく今後他の大学や専門学校でも採用されることになるだろう。

 学生たちが学校から保護されるのではなく、遅かれ早かれ害を受けるような措置を学校から講じられるなんて。考えられないことだ。

 米国においては、高等教育機関は学生たちにとって危険を生じさせる場となってしまった。本当であれば学校は、学生たちを守り、学生たちが追い求めている学問の道を提供する場所であるはずなのに。

*

Stephen Lendman is a Research Associate of the Centre for Research on Globalization (CRG).
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「太陽光はコロナウイルスを予測より8倍速く非活性化した」という新たな研究結果

‎<記事原文 寺島先生推薦>

Sunlight renders coronavirus inactive 8 TIMES faster than predicted, says new study

Russia Today World News

‎‎2021年4月2日 10:08

 <記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月3日



 ‎研究者たちは、コロナウイルスが現在の理論的モデリングで予測されるよりも、8倍も速く太陽光によって不活性化されることを実験で発見し、パンデミックの潮流を変える一縷の希望を与えた。‎

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校機械工学部のパオロ・ルザット・フェギス助教授は、紫外線の種類により、SARS-CoV-2に対する影響が変わるかどうかについて研究した2020年の研究の分析を行い、有意な違いを発見した。‎

 ‎ すべての電磁放射と同様に、紫外線(UV)は波長の長さにより分類できる。例えば、長波長紫外線(UVA)は、太陽光に含まれる他の中波長紫外線(UVB)波とは異なり、微生物を殺したり、人間を日焼けさせる力がある。‎

 また、短波長紫外線(UVC)放射は、Covid-19の原因であるSARS-CoV-2のようなウイルスを非活性化することが以前に示されているが、この短波長紫外線は、地球のオゾン層に遮られるため、地球上には届かない。
 
ALSO ON RT.COM

Sweden axes Bill Gates-funded Harvard experiment aiming to DIM THE SUN to fight climate change amid outcry from activists

 2020年7月の実験‎‎研究‎‎では、擬似唾液に含まれるSARS-CoV-2に対する紫外線の効果を調査した。その結果、ウイルスが20分以内に不活性化されたことが発見された。

 その1ヶ月後に発表された論文では、太陽光が紫外線と同じ効果を達成できることを示した。しかし、この論文はあまり注目を集めなかった。この2番目の研究は、SARS-CoV-2がインフルエンザA・ウイルスよりも日光に含まれる紫外線に対して3倍傷つきやすいと結論づけた。‎

 さらに、コロナウイルス粒子の大半は、真昼の夏の日光にさらされてから30分以内に非活性化されたのに対し、冬の日光の下では何日も生き残ることができるということも分かった。

 ‎「疑似唾液中のウイルスの不活性化は、理論上予想されていたよりも8倍以上速いことが実験の結果分かった」と、‎‎ルザット・フェイギス助教授と彼のチームは述べた。「今のところ科学者たちは、まだ何が起こっているのか分っていない」‎

 そのチームが考えたことは、短波長紫外線(UVC)が地球に到達しないので、短波長紫外線が、ウイルスのリボ核酸(RNA)を直接攻撃することはできない。しかし、太陽光下の長波紫外線(UVA)が、唾液のようなウイルス環境内で分子と相互作用を起こし、ウイルスの不活性化の速度の更新を促すのではないか、ということだった。排水処理に紫外線を用いた以前の研究でも同様の結果が出ている、とのことだった。
 
 ‎この発見は、長波長紫外線(UVA)排出機を空気ろ過システムなどの機器に追加して、ウイルス粒子の拡散を減らす安価でエネルギー効率の高い手段を提供できることを示唆している。マスクや社会的距離の保持はまだ必要である可能性が高いが、予防接種の努力にもかかわらず、各国がパンデミックの繰り返しの波に苦しむ中、このような紫外線(UV)ベースの治療処置は、何らかの利益をもたらす可能性がある。‎

 

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「生命倫理学と新優生学」 ( 2021年3月6日、ニュースサイトのコーベット・レポートの音声記事の文字起こし )(その2)

(その1はこちら
 エゼキエル・エマニュエルのような生命倫理学者が、危機が全体に広まっている最中に、医療活動の適正配分ルールを変えるような論文を書いていることは、驚くべきことではない。弟のラーム・エマニュエル(RAHM EMANUEL)が「恰好の危機を無駄にしてはいけない」と顰蹙を買うような発言をしてもエゼキエル・エマニュエルに関しては驚くべきことではない。


ラーム・エマニュエル(RAHM EMANUEL):

 深刻な危機を無駄にしようなどと考える人は一人もいません。そして私は本気で言っていますが、これはチャンスです。以前であればとてもできないと考えていたことが今ならできるのです。

出典: Rahm Emanuel on the Opportunities of Crisis

 


 しかし、より広い視点から見れば、「生命の選別委員会」という概念が、生命倫理学者たちによって裏口からこっそり、まんまと持ち込まれたとしてもまったく不思議ではない。

 実際、生命倫理学の歴史を最初から見てみると、この分野の研究が目指しているものがまさにそうであることがわかる。つまり、大きな争点となる議論の枠組みをつくり、優生思想の持ち主が抱く理想や価値観を社会の主流になるよう画策し、それを法制化することを可能にさせる。中絶から安楽死に至るまで、医療分野で議論する前には必ず、生命倫理学者や生命倫理学の機関が、道徳観、価値観、そして法律の大変革に向けて国民に心構えをさせている。

 その生命倫理の歴史を調べていくと、「生命倫理の分野を確立する上で重要な役割を果たした」とホームページに書かれている非営利研究センター「ヘイスティングスセンター」の門前にたどり着く。ヘイスティングスセンターの創設者であるテオドシウス・ドブジャンスキー(Theodosius Dobzhansky)は、1969年から1975年まで米国優生学協会の会長を務めていた。一方、ヘイスティングスセンターの共同設立者であるダニエル・キャラハン(Daniel Callahan)は、このセンターの初期の活動はロックフェラー人口評議会や国連人口基金の資金に頼っていたことを認めている。1987年から1992年まではアメリカ優生学協会(社会生物学研究協会に改称)の理事を務めていた。

 前回のコーベット・レポートのゲストであるアントン・チェイキンが幅広い範囲で報告している通り、20世紀初頭にロックフェラー家がアメリカで優生学を推進したことと、20世紀後半にヘイスティングスセンターが設立されたことには、歴史的な連続性がある。ヘイスティングスセンターは、ロックフェラーが設立したPopulation Council(人口評議会)が、「生命倫理」の名の下に、中絶、安楽死、死の判定団の設置などの優生学的課題を推進するための前線基地として育成したものだとチェイキンは指摘する。



チェイキン:
 私たちが目にした優生学の実践や、1920年代初頭にアメリカで行われていた優生学の議論や諸準備は、19世紀後半にさかのぼりますが、同じ議論や諸準備はイギリスでも行われていました。それらはナチス・ドイツにも引き継がれました。第二次世界大戦後、これらの運動に参加した人々は、優生学の考えを存続させたいと考え、特にロックフェラー財団(第二次世界大戦前にヨーロッパでナチスの優生学を支援していた)の支援を受けて、優生学協会や優生思想と重なる人口管理運動を立ち上げました。そして優生学と人口制御の組み合わせから、いろいろな機関やプログラムが生まれたました。それらは今日、「生命倫理学」と呼ばれるものの中心に位置しています。そこで制限があると考えられている医療資源をベースにした医療実践における倫理的な問題について決断が下される、まあ、決断が下されると見なされます。

 一般的に、この分野は完全にインチキで、道徳的にも嫌悪感を抱かせるものです。根底にあるのはその怪しげな生誕であり、医療界や学術界では、これを実践の一部としていますが、「生命倫理学」の存在の根拠と向き合ったことなど一度もありません。

出典: Anton Chaitkin on the Eugenics / Euthanasia Agenda

 


 生命倫理学の歴史は、アメリカ優生学の第一波を支えたロックフェラーの資金、カイザー・ウィルヘルム研究所とナチス時代のドイツの優生学プログラムを支えたロックフェラーの資金、そして人工評議会(Population Council)、ヘイスティングスセンター、その他の戦後の「隠れ優生学」研究センターを支えたロックフェラーの資金と結びついている。その結果、今日活躍している最も有名で最も物議をかもしている生命倫理学者の多くがヘイスティングスセンターに関係していることは、おそらく驚くに当たらないだろう。

 例えば、エゼキエル・エマニュエルその人。エゼキエル・エマニュエルは、ジョン・ポデスタが設立したアメリカ進歩センター(Center for American Progress)のシニアフェローである。このセンターは、オバマ政権との間に「回転ドア」を持ち、さまざまな業界のロビイストとの間で金のやりとりを行っているとThe Nation誌の2013年の暴露記事で告発されている。彼は同時にヘイスティングスセンターのフェローでもあるのだ。エマニュエルの生命倫理学者としてのキャリアは、1996年11月に掲載された「The Hastings Center Report」の記事に端を発している。この記事では、ダニエル・キャラハンが医学の目的に関する議論を医療活動の議論に持ち込もうとしたことを称賛した上で、リベラル派とコミュニタリアン派の双方が同意できる点を強調している:「参加する市民である、あるいはこれから参加する市民になる道を不可逆的に閉ざされている個人に提供される(医療)サービスは、基本的なものではないし、保証すべきものでもない。」エマニュエルは、この原則が実際に運用されている「わかりやすい例」として、「認知症の患者に医療サービスを保証していない」ことを挙げている。

 つい昨年、ヘイスティングスセンターは、米国におけるCOVID-19のパンデミック規制を検討する際に、「どのような価値観を指針とすべきか」というオンライン・ディスカッションを開催した。その中でエマニュエルは、大手テクノロジー(ビッグテック)企業はユーザーの動きに関するデータを政府や研究者と共有するのに十分な努力をしていないとの意見を述べた:

 

エマニュエル:
 これまでのところ、ビッグテック(大手テクノロジー企業)はこの件に関して全く役に立たないと言わざるを得ません。COVID-19に関しては、彼らが何か本当に役立つことをしたとは思えないのです。彼らには多くの能力があります。本当ですよ。Facebookはすでに、あなたが普段誰と交流しているのか、どのくらい親しくしているのか、いつ家を出るのか、どの店に行くのかを知っています。Googleも同じです。そして、彼らはこのデータを使っていません。人々の怒りを恐れているのかもしれませんが、誰かに渡して効果的に使ってもらうことすらしていません。このままでは、彼らの道は二つだと思います。このプロセスとは無関係な存在になってしまうか、あるいは、この問題の解決に貢献してくれる存在に実際なること、のいずれかです。

出典: Re-Opening the Nation: What Values Should Guide Us?

 


 また、ヘイスティングスセンターのフェローであり、ウィスコンシン大学マディソン校の生命倫理学教授であるノーマン・フォスト(Norman Fost)を取り上げよう。彼は、Kennedy Institute of Ethics Journalという学術誌で「臓器提供者が死んでいることが重要かどうか」を問うだけでなく、2013年に開催されたパネルディスカッション「Challenging Cases in Clinical Ethics(臨床倫理における挑戦的な事例)」で、今では世界中で非難されているアメリカの優生学プログラムと言えばこれ、とされる強制不妊手術を支持している。

 


ノーマン・フォスト:
 避妊手術について言えば、もし彼の性行動が減衰させる可能性があり、誰かを妊娠させる危険性がなくなるのであれば、それが一番いいことでしょう。(強制)不妊手術は除外すべきでないと思います。それは彼の利益であると同時に、彼の性的暴行を受ける可能性のある潜在的な被害者にとっても利益になるからです。

 アメリカで不妊手術の評判が悪いのは、10万人以上の発達障害者を優生学的に不妊手術したからだと思いますが、そのほとんどは不適切な措置でした。そして、ウィスコンシン州は、その過剰反応の先頭に立っています。立法府が許可するまでは未成年者の不妊手術をしてはならないという最高裁の判決があります。そして同州は絶対に許可を出しません。それは発達障害を持った多くの子どもたちの利益になりません。彼らにとって生殖活動は最悪の事態となるでしょう。妊娠が自発的なものであれ、押しつけられたものであれ、です。

 もし、この子が親になることができないことが本当だとしたら・・・そしてこの国の限られた歴史から言ってそんなことを言い切ることができないとしたら、そしてそれが本当でないのかもしれないとしたら、でもこれだけは申し上げたいのはこの国の(強制)不妊手術に対する過剰反応は、――正しいとは言えないのかもしれません。誰かをその人の意志に反して不妊手術をすることは、例外なく酷いことだ、という言い方は正しくありません。少なくともその人の利益になるかもしれないものとして(討議の)テーブルには置いて置くべきです。

出典: A Conversation About Challenging Cases in Clinical Ethics


 
 しかしこういった議論はヘイスティングスセンターの上層部だけに止まっていない。

 例えば、ジョセフ・フレッチャー(Joseph Fletcher)。フレッチャーは、彼を批判する人間からも彼を擁護する人間からも生命倫理学のパイオニアと呼ばれている。彼はバージニア大学で医療倫理学の初代教授を務め、同大学に「生物学と社会プログラム」を共同で設立した。アメリカ安楽死協会の会長として、また家族計画連盟の設立に尽力したほか、アメリカ優生学協会のメンバーでもあった。1968年に発表した論文には、ダウン症や他の痴呆症を持った赤ちゃんを殺すことを擁護する内容が書かれている:


 「聖なるもの(それを尊いものにしているもの)は、本質的には生命そのものにあるのではない。あくまでも外在的なものであり、bonum per accident, ex casu(たまたま偶然に外から与えられるもの)である。つまり状況に応じたものなのである。あるものに比べれば、命を奪うことは小さな悪であり、あるものに比べれば、命を失うことは小さな悪である。死は常に敵というわけではなく、時には友であり僕にもなり得る。」

 例えば、ピーター・シンガー(Peter Singer)。生命倫理学者の中で、一般に名前が知られているのは、動物解放論で有名なピーター・シンガーである。しかし、一般にあまり知られていないのが、嬰児殺しを是とする彼の議論だ。中絶と「重度障害児」の殺害との間には関連する差異は全くないとする考えも彼は持っている。批判派が彼を「フレッチャーの息子」呼ぶことになった立場だ。

 もっともシンガーは、一般の人向けに話すときには、最新の注意を払って、議論の波風が極力立たないような立場を取りながら、嬰児殺しを是とする議論を組み立てている・・・。.


ピーター・シンガー:
 ・・・そこで私たちは「いいですか、難しい決断は、この嬰児を生かしておきたいかどうかです」と言いました。それは、両親と医師が、病状についての可能な限りの情報に基づいて決定すべきことです。しかし、そのような判断をした後、もしそれがあなたの判断であれば、赤ちゃんを迅速かつ人道的に死なせることも許されるはずです。その子が生きていない方が良いという判断であれば、その子が速やかに人道的に死ぬようにすることは可能なはずです。

 それが私たちの提案でした。さて、この提案は、プロライフ運動の人々や行動的障害者運動の人々など、さまざまな反対派によって取り上げられました。ついでに申し上げれば、この行動的障害者運動は、私たちがこのテーマについて初めて文章を書いた時には存在していませんでした。彼らは、私たちが乳幼児をどのように扱うべきかを率直に述べていることから、私たちを(反対陣営を攪乱させる目的だけの)「おとり」――あるいは、(悪い子どもをさらってゆくといわれる)「ブギーマン」)のように捉えています。

出典: The Case for Allowing Euthanasia of Severely Handicapped Infants 




 ・・・彼の実際の著作には、もしそれをあからさまに言ってしまえば、平均的な人々の感性に確実なショックを与えてしまうような、より大胆な主張が含まれている。例えば、倫理学入門コースのテキストとして書かれた『実践倫理学』では、シンガーは重度の障害や先天性欠損症についての議論を抜きにして、新生児を殺すことが根本的に不道徳であるかどうかについて広く語っており、「新生児は選択できる自律的な存在ではないので、新生児を殺すことは自律性尊重の原則に反することはない」と述べている。

  「もちろん、子どもたちが、何歳で、自分たちがゆっくりとした時間の流れの中で存在する独自の存在と見なし始めるかを断言するのは難しいだろう」と認めた上で、「2歳や3歳の子どもたちと話をしても、死についての首尾一貫した概念を引き出すのは通常非常に難しい」と指摘し、「生命に対する完全な法的権利は、出生時ではなく、出生直後(おそらく1か月程度)まで効力がある」と決定することで、そのような懸念に対する「十分な安全圏」を確保することができる。」

 このテーマについて自分の職業の中で議論しているのは、シンガー一人だけではない。実際、彼は、嬰児殺しを議論する際にどこで線を引くべきかを考えている一連の生命倫理学者の流れの一端を担っているに過ぎない。

 例えば、オーストラリアで活躍する2人の生命倫理学者、アルベルト・ジュビリーニ(Alberto Giubilini)とフランチェスカ・ミネルバ(Francesca Minerva)は、2012年The Journal of Medical Ethics誌に「After-birth abortion: Why should the baby live?(堕胎後:その赤ん坊が生きるのは何故か?)」を発表している。その論文の中で彼らは、「乳児の道徳的地位は胎児のそれと同等である」と主張。それ故「堕胎を正当化する同じ理由で、嬰児の段階にいる潜在的な人(訳注:人としての十分な条件をまだ満たしていない、という意味に解する)を殺すことも正当化されるべき」とも主張している。重度の障害を持つ新生児を殺すことについて、生命倫理学者が何十年も前から主張してきたのと同じ古い議論をさらに展開するのかと誤解されないように、この二人は注意深く次の事例を補足している:「新生児は(最低)生きられる潜在力を持っているにしても、その家族の幸福が危機に曝される事例がある。」

 しかし、他の多くの学術論文とは異なり、この論文は一般の報道機関にも広く取り上げられた。The Guardianのような有力大手メディアでさえも「嬰児殺しは不快な話題だ。(しかし)そう感じても全員が*グレン・ベック(Glenn Beck)にはなるわけではない」と主張している。
*グレン・ベック(Glenn Beck)・・・アメリカ合衆国の保守系ラジオパーソナリティ、コメンテーターである。かつては、FOXニュースのテレビ番組で司会者を務めていた。2011年、保守系複合メディア企業「THE BLAZE」を設立、現在もオーナーを務める。( ウィキペディア)

 「赤ちゃんを殺すことは道徳的に許されている」という学術論文に否定的な反応が多かったことに驚いたのか、この二人の筆者は、「一般の人々は、あまりに無知なため生命倫理という高度に学術的な分野で行われているこの複雑な議論を理解できないのだ」とやり返し、非難した。



 出産後の中絶についてこの記事を書こうと決めたとき、私たちの論文がこのような激しい議論を引き起こすとは思いませんでした。

 「なぜダメかって?そんなこと聞くまでもないでしょう!」と、ウェブ上いたるところで繰り返されます。それに対する答えはとても簡単です。私たち二人の記事は、このテーマや私たちの主張をすでによく知っている生命倫理学の仲間たちに読んでもらうことを想定していたということです。実際、サバレスキュ(Savulescu)教授が彼の編集記で説明しているように、この議論は40年前から続いています。



 この研究者たちの反応について別に何か言われるかもしれないが、上に引用したことは彼らの研究に対する不誠実な弁護というわけではなかった。この論文を掲載した『The Journal of Medical Ethics』誌の編集者であるジュリアン・サバレスキュ(Julian Savulescu)は、その論文を擁護して、赤ちゃんを殺すことが許されるかどうかについての学術的な議論は、少なくとも1960年代にまでさかのぼると実際指摘している。DNAの構造を共同発見したフランシス・クリック(Francis Crick)は、政府が貧しい人々や望ましくない人々の繁殖を防ぐために、政府発行の出産許可証を必要とすることを提案した自他共に認める優生思想家であり、出生後に特定の遺伝子基準を満たしていることが判明した場合にのみ、子供の生存を認めるべきであると提案しているのだ。

 実際、医療倫理の専門誌には、まさにそのような議論が次のように数多く掲載されている。

①1992年にThe Hastings Center Report誌に掲載されたダン・ブロック(Dan Brock)の「自発的積極的安楽死」に関する論文
②1997年にThe Hastings Center Report誌に掲載されたジョン・ハードウィグ(John Hardwig)の「死ぬ義務はあるのか?」を問う論文
③ヘイスティングスセンター副所長のナンシー・バーリンガー(Nancy Berlinger)による2008年の公式声明:「子供へのワクチン接種を良心に基づいて拒否することを親に許すのは、いくつかの点で問題がある」

 これらの倫理学の教授達はこれまで知られていなかった、そして注目されていなかった学問の片隅で苦労しながら、世界中の人々にとって文字通り生死を分ける政策の舵取りにおいて、ますます大きな影響力を持つようになってきている。


 リチャード・J・ノイハウス(Richard J. Neuhaus)が執筆した1988年の予知的論文『優生学の再来』から:


 医療倫理学者や生命倫理学者と呼ばれる何千人もの人々は、考えられないことから出発し、議論可能という途中経過を通過しながら、それが正当化できるものになり、最終的には例外はあり得ない、というところまで専門的な観点から全体の議論を引っ張っている。その過程で、やっかいな問題にあまり時間をかけすぎて考える人は、「専門的にはその点は解決済みになっているのですよ」と言われるのがおちだ。実際、たいていの場合、専門家たちが必死になってやっているのは、道徳的な問題は何もないというお墨付きも得ぬまま自分たちがもう始めてしまっていることの帳尻合わせだ。



 確かに、生命倫理学者は、一般的に言って、訓練を受けた医師でもないし、訓練をうけた研究者でも医療従事者でもない。彼らは(医療現場には身を置かない)学者として、医師や研究者の言葉を字面通りに受け取るしかない。しかし、どの医師?誰の研究?必然的に、WHO(世界保健機関)、AMA(米国医師会)、その他の組織のそれとなるが、これらの組織は、その内部の人間でさえも認めているように、医療上の必要性だけではなく、組織を支援する億万長者の恣意的な気まぐれに左右される。

 その結果、生命倫理学の教授たちは、権威者と奉られ、医学的なアドバイスをするだけでなく、どのような医療行為を受けることが道徳的に義務づけられているかについて、一般の人々にお説を垂れるまでになっている。人々が自分の体の状態をどう感じているかにはお構いなしだ。

*CLIP (0m35s-1m27s)

出典: Emanuel: Wearing a mask should be as necessary as wearing a seatbelt


ジュリアン・サバレスキュー:

 世界には、すでにワクチン接種を義務化している国があります。オーストラリアでは、「no jab, no pay」といって、予防接種を受けていない子どもには育児手当を出さないという政策がとられています。イタリアでは罰金が科せられます。アメリカでは予防接種を受けていないと学校に通えません。これらの政策は、いずれもワクチン接種率を向上させ、問題なく実行されています。

出典: “Mandatory COVID-19 vaccination: the arguments for and against”: Julian Savulescu & Sam Vanderslott


 

ケリー・ボウマン(Kerry Bowman):
 ある形式を持ったワクチン・パスポートの流れはもうほぼ止められません。旅行の際には、事実上当然のことになっています。また、イスラエルのようにグリーンカードを導入している国もあります。これらはすべて、ワクチンを接種した人は簡単にはウイルスを広げられない、つまり感染させられないという前提のもとに行われています。それはまるで科学についての私なりの読み取りみたいに見えます。大半のワクチンについて当てはまるように見えます。だから、それが問題になってくるのでしょう。

 民主主義社会では、ワクチンを拒否する人もいれば、ワクチンを打てない人もいるのだから、そんなことは絶対にできないと言う人がいます。しかし、ここで反対の意見があります。ワクチンを接種した後、1年間都市閉鎖をしてもう他の人に感染させるリスクがなくなったカナダ人に対して、その自由を制限し続けることは本当に公平なのでしょうか?

 さあ、この議論について相反する二つの立場が出てきました。

出典: ‘Vaccination passports’ a near certainty says bio-ethicist | COVID-19 in Canada


 生命倫理の分野は、その発足当初から、その中核となる機関を設立した正真正銘の優生学信奉者たちから道徳的なヒントを得てきた。この優生思想を持った学者たちにとって、現代の医学の進歩がもたらす重要な道徳的問題は、本質的に常に実利的な意味を持っている。強制的なワクチン接種や強制的な不妊手術は、地域社会にどのような価値をもたらすのか?水道にリチウムを入れることでより幸せな社会になるのか?新生児を殺すことでもたらされる家族の救いは、殺される時のその赤ん坊の不快さを上回るのか?

 このような考え方の行間から読み取れるのは、「価値」、「幸福」そして「安心感」を定義するものは何か、そしてこれらの抽象的な概念をどのように測定し、比較するのかという、すべてその中に組み込まれた前提だ。そうこうするうちに、個人の価値は、恣意的に決められる集団の利益と対抗するように調整することができるし、そうすべきだという功利主義の基本に関わる前提が考慮されることはほとんどなくなる。

 だが、一般の人の大半は、この種の疑問が、生命倫理学の教授たちによって問われていることを知らない。ましてその答が出ていることなど、なおさらだ。訳の分からない学術誌でのやりとりだからだ。一般人は、こういう議論についての知識を欠いていることで文字通り滅びてしまうかもしれない。

 すべてが平等であるならば、こういうタイプの思念はこれまでずっとやってきたように扱われることになるだろう。つまり、象牙の塔に住む学者の意味の無い室内ゲームとして、その狂った思念を人に押しつける権限を一切持たずにやれ、ということだ。しかし、(現実は)すべてが平等ということではなくなっている。

 エゼキエル・エマニュエルは、社会を変えるための危機管理の有用性について、兄のラームのノートを参考にしたのか、「戦争や恐慌、その他の大きな内乱が起きたときにのみ、医療制度改革が実現する」と2011年に宣言した。彼はそういう異変のリストの中に「パンデミック」は入れなかった。その必要もなかった。この1年の出来事が証明しているように、危機が起きていると言われれば、国民はこれまでは考えられないとされていたことを、誰に指図されるまでもなく自分から進んで考慮するようになる。

 強制的な予防接種。免疫(証明)パスポート。バイオセキュリティー(生物テロ対策ができている)国家の創設。優生学の影響を受けた生命倫理の哲学者たちが、初めて実権を握ろうとしているのである。そして、このような学者たちが何十年もかけて行ってきた議論を、一般の人々はまだほとんど知らない。

 少なくともビル・ゲイツはやっとホッとできる。ついに「生命の選別委員会」についての議論を持てることになったのだから。

関連記事

「生命倫理学と新優生学」 ( 2021年3月6日、ニュースサイトのコーベット・レポートの音声記事の文字起こし )(その1)

<記事原文>

Episode 396 – Bioethics and the New Eugenics Corbett • 03/06/2021 

元の記事はこちらのYouTubeを参照

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月1日

 生命倫理学は、医学、生物学、そして諸々の生命科学から起こる道徳的問題を研究する学問である。

 一見すると、生命倫理学は、倫理哲学の一分野であり、学者が他の学者と「針の頭で何人の天使が踊れるか」という(何の実用性もない時間の無駄のような)現実離れした、SFのような議論を台本通りにしているだけ、と見えるかもしれない。



ポール・ルート・ウルプ(PAUL ROOT WOLPE)

 想像してみてください。記憶剤があったら、どうなると思いますか?まず、申し上げますが、手は上げる必要はありませんよ。自分に正直になってみましょう。みなさんはその記憶剤を飲みますか?

出典: Memory Enhancing Drugs: Subject of “Arms” Race?

 


マイケル・サンデル(MICHAEL SANDEL)

 確かアフガニスタンで行われていたと思うのですが、ポロの一種で、馬に乗って行うスポーツの話を読んだことがあります。馬なのかラクダなのか?どちらかはわかりません。そして彼らは死んだ山羊か何かを、ポロボールのように叩くのです。そうです。死んだ、多分山羊です。社会学を研究している人なら、この話を知っているかもしれません。つまり、その山羊は痛みを感じてるということではないのです。すでに死んでいるのですから。そうは言ってもそのやり方は少し残酷だと思いませんか?いえ、その山羊の利益が全く考慮されていないというわけではありません。競技が始まる前に山羊は苦しまずに殺されていたということにしておきましょう。

出典: The Ethical Use of Biotechnology: Debating the Science of Perfecting Humans


 

モリー・クロケット(MOLLY CROCKETT):

 もし私が、一錠の薬で何が正しくて何が間違っているかの判断を変えることができると言ったらどうでしょう。あるいは、あなたの正義感が今朝の朝食に何を食べたかによって変わると言ったらどうでしょう。まるでSFのような話だと、たぶん、思われるのでしょうね。

出典: TEDxZurich – Molly Crockett – Drugs and morals

 


 しかし、(上に引用した)生命倫理学者たちは、「SFのような話でお茶を濁して終わり」とはいかなくなっている。彼らの考えは、各国政府が人々の身体に対する支配を確立したり、その支配をますます悪夢のような方法で強要するために利用されているのだ。



アーチェル・ジョルジュ(ARCHELLE GEORGIOU):

 リチウムは、双極性障害や躁鬱病の人の気分障害を治療するために処方される薬です。日本の研究者が発見したのは、ある地域の水道水に微量のリチウムが含まれており、そのような地域では自殺率が低いということでした。そこで彼らは、微量のリチウムが地域社会の雰囲気を変え、リチウムの悪い影響を受けずにポジティブな方向に作用し、自殺率を低下させることができるかどうかを本当に調査しています。非常に興味ある考え方です。

出典: Lithium May Be Added To Our Water Supply


ゲイツ(Bill Gates):

 カリフォルニア大学の授業料は急ピッチで引き上げられているので、これまで中流階級などにも開かれていたこの大学への門戸が急速に閉じられています。これは、医療費がとても、とても高いのに、皆があえて口にしたがらない以下の論議に蓋をしているから起こっていることなのです。その議論とは、「余命3ヶ月しかない患者のために100万ドル使うより、そのお金を10人の教師を解雇せずに済む資金に充てるほうがよくはありませんか?」という議論です。しかしそんな議論は、「生命の選別委員会」呼ばわりされ、タブー視されています。

出典: Bill Gates: End-of-Life Care vs. Saving Teachers’ Jobs

 


 一昔前までは、水道を使って国民に薬を投与するとか、高齢者を対象とした死の判定団を設置するなどという話は、まだ突飛なものだった。しかし、世界中でパンデミックや医療費高騰を巡ってヒステリー状態になっている今、これまで語られることのなかったこれらの話題が、人々の間で議論されるようになってきている。

 しかし、一見すると穏やかな学問である生命倫理学が、優生学の暗い歴史に根ざしていることを知っている人は多くはない。そのことを知れば、人間の生死と健康に関する最も重要な議論を、一部の人間に委ねることの危険性がより一層明らかになる。

 2020年11月10日、ジョー・バイデンは、バイデン政権のCOVID-19関連政策の設定について政権移行チームに助言するコロナウイルス特別委員会のメンバーを発表した。その委員会には、生命倫理学者で*アメリカ進歩センター(Center for American Progress)のシニアフェローであるエゼキエル・エマニュエル(Ezekiel Emanuel)博士が含まれていた。
*アメリカ進歩センター:2003年10月24日、ジョン・ポデスタ(John Podesta)が設立。ワシントンDCに本部。経済、社会問題についてリベラル派の立場から公共政策の研究と主張を展開するシンク・タンク。(ウィキペディア)


ジョー・バイデン(JOE BIDEN):

 そのため、私は本日、公衆衛生の著名な専門家で構成されるCOVID-19移行諮問委員会を設置し、移行チームがバイデン-ハリスのCOVID-19計画を実行に移すことに力を貸してもらうことにしました。2021年1月20日にカマラと私が就任したらこの青写真はすぐ実行に移せます。

出典: President-elect Biden Delivers Remarks on Coronavirus Pandemic
 



司会者:
 次期大統領の特別委員会に当地出身の医師が参加していることがわかりました。Eyewitness Newsのレポーター、ハワード・モンローがこの記事を報告します。

トマス・ファーレイ(THOMAS FARLEY):

 彼は非常に聡明で有能な人物であり、今回のパンデミックに対処する医学界の代表として最適な人物だと思います。

ハワード・モンロー(HOWARD MONROE):

 今朝、Eyewitness Newsに出演したフィラデルフィアの保健所長トマス・ファーレイ博士。ファーレイ博士は、ジョー・バイデン次期大統領の政権移行チームが、エゼキエル・エマニュエル博士をコロナウイルス特別委員会のメンバーに選んだことを賞賛しました。エゼキエル・エマニュエル博士は、ペンシルバニア大学の医療倫理・医療政策学科の学科長です。

出典: UPenn Dr. Ezekiel Emanuel To Serve On President-Elect Biden’s Coronavirus Task Force



 この発表は、一般の人々にとってはほとんど意味のないものだった。エマニュエルを知っているのは、テレビのパネルディスカッションの語り手としてか、オバマ大統領の元首席補佐官で元シカゴ市長のラーム・エマニュエルの弟ということくらいだろう。しかし、エゼキエル・エマニュエルの生命倫理学者としてのキャリアや、アメリカの医療制度の改革を提唱してきた歴史を追ってきた人々にとっては、彼の就任は不吉な兆候であった。

 彼が言っているのは、①*ヒポクラテスの誓いは時代遅れであり、②そんな誓いにそった医療行為をしていれば、医師たちが大真面目に患者のためにできる限りのことをすべきだと考えるようになり、③(本当に)すべきことは自分たちの患者の命を犠牲にして、より優先順位の高い人間の命を救うことだという三点だ。彼の議論によれば、人々が75歳で死ぬことを選択すれば、その人は老後の世話という負担を社会に与えずに済む、となる。彼はオバマ政権の医療政策アドバイザーとして*アフォーダブルケア法(Affordable Care Act)(=オバマケア)の策定に携わった。オバマケアを一緒に設計したジョナサン・グルーバー(Jonathan Gruber)は、この法が可決されたのはひとえにアメリカ国民の愚かさのせいだ、と認めている。

*ヒポクラテスの誓い・・・米国の全ての医大生が、暗記するほど何度も読むことになっている医療における倫理を示した文章のこと。詳しくはこちら
*アフォーダブルケア法・・・ペイシェントプロテクション・アンド・アフォーダブルケア法(Patient Protection and Affordable Care Act、通称アフォーダブルケア法(ACA)またはオバマケア)は、アメリカ合衆国第111議会で制定され、2010年3月23日にバラク・オバマ大統領によって署名された米国の連邦法である。2010年修正の医療・教育改革法(Health Care and Education Reconciliation Act of 2010)と合わせて、1965年にメディケアとメディケイドが可決されて以来、米国の医療制度において最も重要な規制の見直しと適用範囲の拡大を意味している(ウィキペディア)




ジョナサン・グルーバー:

 いいですか?国民の透明性、そうです。国民の透明性の欠如が政治的には大きな利点です。アメリカの有権者の愚かさとでも言うのでしょうか。基本的にはこれが法案を通すのに非常に重要でした。

出典: 3 Jonathan Gruber Videos: Americans “Too Stupid to Understand” Obamacare



 オバマケアの審議の過程で、「生命の選別委員会」の問題が浮上した。「生命の
選別委員会」という言葉は、メディア上で政府擁護派によって一笑に付されたが、その本質は、エマニュエルが以前から主張していたことだ:「医療行為を(適正に)配分する機関や評議会を任命し、医療を受ける価値がないと判断された人を事実上死に追いやる」というものだ。

 

ロブ・マス(ROB MASS):
 私があなたのことを初めて知ったのは、ちょうどオバマケア(Affordable Care Act)が検討されていた時期に書かれた記事のことでした。その記事のタイトルは "Principles for the Allocation of Scarce Medical Interventions"(希少な医療介入の配分に関する原則)でした。当時、この新しいオバマケアが生命の選別委員会を作るのではないかと話題になっていたのを覚えている方がどれくらいいらっしゃるかわかりませんが、それからこの人は1つの記事を書きました。この人の書いた記事は、医療の適正配分がテーマです。これはアメリカ全土でぜひ読まれなければいけないと思いました。医療の適正配分はオバマケアから始まるとお考えですか?医療は常に配分されるのであり、適正配分は絶対条件です。それを説明してください。

エゼキエル・エマニュエル:
 つまり、「配分」には2種類あると言えるでしょう。1つは、量が絶対的に少ないから配分しなければならない場合です。これは単に量が足りないだけでは事は済みません。人を選別しなければなりません。移植用の臓器では現にそうしています。十分な量がないのです。移植を受けられる人もいれば、受けられない人もいて、人が死んでしまう悲劇も出来(しゅったい)します。同様に、もしもインフルエンザが大流行したら、いや、もしもではなく、インフルエンザの大流行はありますから、その時は、です。その時は、十分なワクチンがありません。人工呼吸器も病院のベッドもありません。その時は、もう、誰を生かすのか(誰を殺すのか)の選択をするしかなくなります。

出典: Dr. Zeke Emanuel: Oncologist and Bioethicist

 


 この議論を、少ない資源を巡って経済的に抑制したり、(反対に)されたりする人間が誰だかわからなくなるという議論と同等にしてしまうと、エマニュエルが提唱していることが本当は何なのかが簡単に忘れ去られてしまう。このような出来合のインタービューにおいては、誰が医療を受ける価値があるかを誰が決めるのか、という背後にある問題が排除されてしまっている。エマニュエルや彼の仲間の生命倫理学者たちが長年にわたって、ごく普通に提案してきたことは、生命倫理学者、経済学者、その他のテクノクラートからなる政府に任命された、ある意味で「独立した」委員会に、これらの生死の決定を任せるべきだということであった。

 もしこの考えに違和感を感じないならば、それは、「適者」だけが子孫を残すことを許されるべきであり、「適者でない」と判断された者は、優生論者が主宰する政府任命の委員会によって不妊手術を受けさせるか、極端な場合にはその命は死に追いやるべきであると主張した優生論者たちにまで遡る、長く暗い歴史があるからだ。


ジョージ・バーナード・ショー(GEORGE BERNARD SHAW):

 ・・・しかし、私には殺したいと思う人が非常に多いのです。悪気があるわけでもなく、個人的な感情でもないのですが、皆さんにも明らかなように、少なくとも6人はこの世界で役に立たない人を知っているはずです。この世でプラス面よりはマイナス面が多い人がいます。そして、すべての人を適切に任命された委員会に出席させることは良いことだと思います。ちょうど、税務官の前に出頭するように、です。5年ごと、あるいは7年ごとに、その人に向かってこう言うのです。「サー(あるいはマダム)!恐れ入りますが、あなたがこの世に存在する意義をおっしゃっていただけますか?」

出典: George Bernard Shaw talking about capital punishment

 


 これは、ナチス・ドイツが*T4作戦を正当化するために採用した「Life Unworthy of Life(生きるに値しない生)」の話と全く同じで、T4作戦では、7万人以上の子供や高齢者、精神病患者がナチス政権によって殺害された。
*T4作戦・・・ナチス・ドイツで精神障害者や身体障害者に対して行われた強制的な安楽死政策である。 1939年10月から開始され、1941年8月に中止されたが、安楽死政策自体は継続された。「T4」は安楽死管理局の所在地、ベルリンの「ティーアガルテン通り4番地」を略して第二次世界大戦後に付けられた組織の名称である。(ウィキペディア)

 2009年、作家で研究者であるアントン・チェイキン(Anton Chaitkin)が、このジェノサイド的な考えを巡ってエゼキエル・エマニュエルと対決している。


司会:
 それでは同じ手順で参りましょう。まず3分間(の意見陳述)、それから質問の時間です。チェイキンさん、どうぞ。

アントン・チェイキン:
 (名前は)アントン・チェイキンです。歴史家で、Executive Intelligence Review誌の歴史校正を担当しています。

 オバマ大統領は、1939年にドイツで大虐殺を始めたヒトラー・ドイツの安楽死を復活させる改革装置を導入しました。その装置とは、高齢者、慢性病患者、貧困者の医療を拒否し、ナチスの医師が言ったように「生きるに値しない」と思われる命を奪うことで、オバマ大統領の言葉によれば、2兆から3兆ドルを節約するというものです。

 エゼキエル・エマニュエル博士をはじめとするコスト削減を公言するパネリストたちは、エマニュエル博士がフェローを務めるヘイスティングスセンターを中心とした安楽死のプロパガンダ運動を主導しています。例えば、11月にワシントン州で可決された法律では、国民皆保険制度の崩壊によって医療を受けることができなくなった患者の殺害を医師が手助けすることになっていますが、このような死の文化を受け入れるように世論や医療関係者を誘導しています。エマニュエル博士の生命倫理と安楽死のための運動とこの協議会の目的は、ヒトラーが患者を殺害し、さらにその他の費用のかかる「価値のない」とされる人々を殺害することを組織した優生学運動を直接継承するものです。

 エマニュエル博士は昨年10月12日に、危機、戦争、金融崩壊が起きれば、おびえた国民がこの計画を受け入れるようになると書いています。ヒトラーは1935年にブラント博士に、安楽死プログラムは戦争が始まるまで待たなければならない、と言いました。そうなれば国民がついてくるからです。エマニュエル博士は昨年、ヒポクラテスの誓いは破棄されるべきだと書いています。つまり医師はもはや、患者のニーズに応えるだけではいけない、という内容です。ドイツの優生思想家であるホーシェ(Hoche)とビンディング(Binding)は、まさに同じことを言って(安楽死という)殺人を始めようとしています。

 この協議会の委員たちであるあなたは、現在の世界的な大混乱の中で、医療活動を手控えることによって、何百万人もの人の死を招くことになる手順を作成しているのです。あなたは、権力を握った人間、つまり金融関係者の支援があれば、説明責任から逃れられると考えているようですが、今、あなたにスポットライトが当てられているのですよ。

 こんな協議会は解散して、ナチス党の復活につながるこの流れ全体を元に巻き戻しなさい。

出典: Obama’s Genocidal Death Panel Warned by Tony Chaitkin


 昨年、エマニュエルが、COVID-19治療の適正配分を提唱するNew England Journal of Medicine誌の論文の主執筆者として登場し、後にその論文がカナダ医師会に採用されたことは驚くに値しない。この論文「Covid-19時代における医療リソースの公正割り当て」は、エマニュエルと著名な生命倫理学者のチームによって書かれたもので、パンデミックの緊急時に「医療機器や治療介入を配分する必要性」について論じている。

 彼らは高齢者と生存率の低い患者、あるいはそのどちらからかの治療から手を引くことを提言している。なぜなら、こういった人たちがいるお陰で、希少な医療リソースが若い患者や治療予後の良い患者に向けられないからだ。著者らは言葉としては使っていないが、誰が治療を受けるべきか否かを決定する「生命の選別委員会」を設置する必要性は、この提案の行間に滲み出ている。

 平時であれば、これは理論的な状況についての学者の議論の一つに過ぎなかっただろう。しかし、今は平時ではない。カナダの研究者でメディカルライターのローズマリー・フライ(Rosemary Frei)が当時記録したように、COVIDの危機が宣言されたことで、この論文は抽象的な提案から具体的な現実へと急速に変化していった。


ジェイムズ・コーベット:

 病院の医療行為の配分に話を戻しましょう。これは今回の話の中でとても重要な部分ですから。これは、表面的に読むと一見、合理的に聞こえるのですが、その内容を見れば見るほど恐ろしくなります。

 例えば、あなたが引用している、とくに3月23日の論文「Covid-19時代における医療リソースの公正割り当て」です。これは一流学術誌New England Journal of Medicineに掲載されたものです。この論文では「最も多くすべきなのは、ある程度余命があり、治療を受けて生き長らえることのできた患者の数」であることを求めています。これは、繰り返しになりますが、一見すると合理的に聞こえます。そう、生き残る患者さんの数を最大化したいというのは当然のことです。そのどこが悪いというのですか?

 そこで、この論文とこの論文が前提としているものについてお話しいただけませんか?

ローズマリー・フライ:

 そうですね、突然それまでの言い方が変わり、「さて、最も重要なことは、トリアージ(治療順番)において老齢者の順位が下がったことです」となりました。

  私は自分の論文の中でも指摘していることですが、カナダ人はSARSについて多くの経験を持っています。なぜなら、オンタリオ州ではSARSによってかなりの数の死者が出たからです。SARS――これはもちろん(少なくとも見かけ上は)新型コロナウイルスと同族――を直接経験したトロントの人たちの中に、トリアージのガイドライン、少なくともパンデミック時のトリアージ方法の倫理的枠組みについて書いた人はいます。これは2006年のことで、年齢についての言及ははまったくありません。しかし、14年後の今、この重要なNew England Journal of Medicine誌の論文を含むすべてのガイドラインが、「年齢は重要な基準である」と述べています。そして、これは興味深い点です。

 この論文が重要なのは、米国医師会の公式機関誌であるJournal of the American Medical Associationでも同じことが記載されているからです:年齢だ、と。そこでみんな足並みを揃えました。それから、カナダ医師会が言ったのです、「自分たちのガイドラインを作る時間がないから、『New England Journal of Medicine』の論文を使おう」と。私は目の玉が飛び出ました。

 医療関係のライターやジャーナリストとして活動していた頃、カナダ胸部学会という胸部感染症などを扱う様々な団体を支援する仕事をしていました。彼らがガイドラインを作成するのを手伝いました。ガイドラインを作成するために、あらゆる専門分野の組織が集まっています。それなのに「おお!これをまとめている時間はありません」ですか?繰り返しになりますが、カナダはSARSを経験していたのです。だからガイドライン作成の背景的データもたくさんありました。それなのに、「そんなことはできない!」と言うのです。そこで彼らはすべて丸投げしました。彼らは、「New England Journal of Medicine」誌の提案を引き合いに出して、自分たちはこれに従うしかないと言ったのです。

出典: How the High Death Rate in Care Homes Was Created on Purpose

 


その2に続くhttp://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-557.html
 
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