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2019年にフォート・デトリック米軍化学兵器研究所での研究が中断された理由

<記事原文 寺島先生推薦>Deadly Germ Research Is Shut Down at Army Lab Over Safety Concerns

ニューヨーク・タイムズ
2019年8月5日
デニス・グレーディ(Denise Grady)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年4月26日



 軍所有の有名な病原菌研究所において、安全面に関する懸念が生じたため、政府はその研究所で行われていた研究にストップをかけた。その研究には、エボラウイルスのような危険な微生物についての研究も含まれていた。

 「現時点では研究は中断しています」。2019年8月2日、フォート・デトリック基地内にある感染病に関する米軍医療研究機関の報道官はこう語った。そして、研究の中断期間は数ヶ月に及ぶと考えられると、カーリー・バンダー・リンデン報道官はインタビューで答えている。

 そのインタビューによると、米国疾病予防管理センター(CDC)は先月(2019年7月)、研究の「停止通告書」を発行し、フォート・デトリック基地で行われていた研究を停止することを決めたとのことだ。その理由は、高度な警備で守られた同研究所から排出される「汚染された廃棄水を除去する十分なシステムが確立されていない」からだ、とのことだった。

 この研究所は、生物兵器センターであり、病原菌や毒物の研究を行っている。それらの病原菌や毒物はテロリストなどによって、軍や国民の健康にとっての驚異となる武器として使用される可能性があるものだ。加えて同研究所は、伝染病の流行についての調査も行っている。さらに同研究所は、政府や大学や製薬会社から委託された研究も行っており、それらの機関から報酬を得ている。また同研究所には900人の従業員がいる。

 研究を中断したことにより、通常そこで行われている研究に大規模な影響が出ている、とバンダー・リンデン報道官は語った。

 中断された研究の中には、ある種の毒物についての研究も含まれており、さらには「選ばれた化学物質」と呼ばれる病原菌も含まれていた。その化学物質は政府により選ばれたものであり、それが「市民の健康や、動植物の発育、あるいは酪農や農業に深刻な危険を与える可能性がある」とされたのだ。そのような選ばれた化学物質や毒物は67種類あり、具体例を挙げれば、エボラ熱や、天然痘や、炭疽菌や、ペストや、リシン(生物兵器として使われる可能性のある薬品)による被害などを引き起こすものである。

 テロリストがこのような化学物質を武器として使用することも理論上考えられるため、政府は、そのような化学物質に対応し、詳しい調査を行い、指定を受け、安全と安心を守るための手順に従い、CDCや米国農務省が運営する計画を通じて調査を行おうという機関を求めている。2017年時点で、公的機関や、大学の機関や、民間の機関を合わせて263の研究所が、このプログラムの研究機関として指定されていた。

 フォート・デトリック基地内の研究所も、そのような指定機関の一つであったが、先月(2019年7月)その指定が保留にされた。それはCDCが、同研究所での研究の実施に待ったをかけたからだ。

 研究の中断のことを始めて伝えたのは、2019年8月2日のフレドリック・ニュース・ポスト紙だった

 この問題は2018年の5月にまで遡る。その際、嵐と洪水のために、同研究所が研究所から排出される廃棄水を浄化するために10年間使用してきた蒸気殺菌工場に被害が出たと、バンダー・リンデン報道官は語った。さらに、その被害のために、同研究所が化学薬品を使った新しい汚染水処理システムを開発するまで、数ヶ月間にわたり研究が中断された、とのことだ。

 その新しいシステムを導入するにあたり、研究所内で研究手順の変更が必要となった。2019年6月に実施された検査期間中にCDCが検知したのは、その新しい手順が安定していないという事実だった。さらに検査官が検知したのは、化学薬品を使った浄化システムに関する機械関連の不具合であり、化学物質の漏洩であった。しかしその点に関して、
バンダー・リンデン報道官は、漏洩は研究所内のことであり、外部には漏れていないと付け加えた。

 「複数の要素が重なったために」、停止通告書が出され、選ばれた化学物質を取り扱う研究所の登録から外されることになったと同報道官は語っている。

 分子生物学者であり、ラトガーズ大学で生物兵器を専門に研究を行っているリチャード・H・ブライト博士は、メールで以下のようなコメントを残した。すなわち、今回の化学薬品を用いた廃棄水の浄化に問題が生じたということは、浄化方法を従来のような熱を使用した浄化方法に戻さなければならない可能性があるということになり、「そうなれば、新しい蒸気を利用した殺菌工場を建設しなければならず、そのためには研究に非常に長期に渡る遅れが生じ、膨大な費用も必要となるだろう」とのことだった。

 研究計画の多くは中断されているが、バンダー・リンデン報道官によると、科学者など研究所の勤務者たちは、問題となった選ばれた化学物質に関する研究のみを中断しているだけであり、それ以外の研究は続けているとのことだ。さらに、同報道官がつけ加えたのは、勤務者たちの多くが、決められた期限までに計画を遂行できるかどうか不安を感じているということだった。

 今回のようなミスは、CDCやNIH(米国国立衛生研究所)など、他の公的研究所でも起こっている。2009年には、フォート・デトリック基地内の研究所での研究が、指定外の病原菌を保管していたことが問題となった。 さらに同研究所には、ブルース・E・イビンズという微生物学者が勤務していたが、彼は5人の命を奪った2001年の炭疽菌郵送事件の主要容疑者だった。(ただし起訴されることはなかったが)。イビンズは2008年に亡くなったが、おそらく自殺であったと考えられている。
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