ウクライナを巡る米・露・欧の情勢は1939年の再現だ。米国の愚かさのせいで、世界も米国も危機にさらされている
<記事原文 寺島先生推薦>
Washington’s Follies Are Dangerous to Us and to the World
It is 1939 all over again
ポール・クレイグ・ロバーツ博士(Dr. Paul Craig Roberts)著
グローバル・リサーチ 2021年4月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年4月30日

真のメディアが存在しない国は、その国の政府の愚かさにより国が崩壊する。これがまさに今の米国が置かれている状況だ。この核兵器の時代、世界全体が存続できるかは、米国の愚かさによって決まる。しかし今のところは、危機感に欠けるお気楽な米国民が、無能な愚者たちに自分たちを支配することを許しているので、この愚かな米国政府はロシアの国境に攻撃用ミサイルを配置し、核兵器によるアルマゲドン(最終戦争)の準備をし始めている。
手下の売女メディアを使って、トランプ大統領に「プーチンの引き立て役だ」とか、「ロシアのまわし者」などというレッテルを貼らせることで、軍産複合体は、トランプ大統領に、機能していたINF(中距離核戦力全廃条約)から撤退させることに成功した。
この条約から抜けた米国政府は今、ロシア国境にミサイルを配置している。このようなミサイルを配置する唯一の目的は、先制攻撃を行うためだ。言い換えれば、ロシア政府はこのミサイル配置を米国による先制攻撃の前兆であると見るだろう。
ロシアは、西側諸国に対して敵愾心は持っていないし、西側諸国を軍事により征服しようという計画も熱意も持っていない。だからこそ、米国政府が、常にロシアに汚名を着せようとしたり、ロシアに対して不当な非難を行っていることが、ロシアに対する攻撃を正当化するためのプロパガンダに見えてしまうのだ。この米国政府の行為は本当に無責任だ。ロシアがこの状況をきちんと分かっているならば、攻撃されることをじっと黙ったまま待っているだけということは考えにくい。
危機感に欠けるお気楽な欧州の人々も、米国政府の傀儡政権である各国政府が自分たちを統治することを許しているのだが、これらの欧州諸国の政府は本当に頭が悪い。米国政府に欧州諸国内での攻撃用ミサイルの配置を許可することが、どういうことなのか分かっていないのだ。その後に待ち受けることは、全ての欧州諸国や英国の都市が、ロシアからの標的になることなのに。
今危惧される大きな危険は、警告システムの誤作動により、核戦争が引き起こされる可能性があることだ。
ロシア国境にミサイルが配置されたとなると、ロシアにはその警告が誤作動なのかを調べる時間がないことになる。長きに渡り続いた冷戦時代には、警告システムの誤作動は何度もあったのだが、調査する時間的余裕があったのだ。今米国政府が行っていることは、その時間を無くしてしまうことなのだ。つまり、警告システムの誤作動がたった一回起こっただけで、核戦争の引き金が引かれる可能性があるのだ。
INF条約を米国政府が破棄した時、ネオコンたちは歓声を上げていた。なぜこんな戦争の危険性を最大化するような状況に歓声を上げているか理解に苦しむ。本当は、外交問題の専門家たちから、INF条約を再締結することを求める大きな声が上がるべきなのに。問題なのは、西側諸国にはプロパガンダの声を上げるものはいるが、専門家はいないという現状だ。いわゆるロシア専門家には、根っからのロシア嫌いしかいない。そういう人たちは、「ぜんぶロシアに非がある」という立場でしか記事を書かない。
例えば、ウクライナに対して、米国が与えている庇護の約束について考えて見てほしい。米国は、もしウクライナがドンバス地方への侵攻を再開し、それに対してロシアが干渉してきたならば、米国が救援に入ることを約束している。
ロシアは、ウクライナ政府の狂気ぶりを理解しているので、この米国による約束が、ドンバス地方に住んでいるロシア人たちに対する攻撃の再開に繋がることに懸念を持つのも当然のことだ。ロシア政府の対応は、攻撃を防ぐために、ウクライナとの国境に軍を急いで配置することだった。
このロシアの対応に対して、米国政府や、いわゆる「ロシア専門家たち」はどうしただろうか?
トランプから選挙を盗んだホワイトハウスの住人は、ウクライナ大統領に電話をかけ、こう発破をかけた。
「ドンバス地方や、クリミア半島へのロシアによる侵略が進行する中で、ウクライナ政府の国家主権と領土の保全に対する米国の支持は変わらない」
ロシア嫌いの団体であるアトランティック・カウンシル(訳注:大西洋主義者の団体)に属する能なしのピーター・ディキンソンは、米国がドンバス地方への侵略を再開しようとしているウクライナの軍事力の増強に手を貸していることには目をつぶっている。それなのに、ディキンソンは、その侵略に対するロシアの防衛体制を、「国際社会における」危機を高めているとして非難した。そうだ。米国政府はこの「国際社会」という言葉を多用して、米国がいかにも世界全体の代表者であるかのように見せようとするのだ。ディキンソンはロシアのこの防衛体制を、「ロシアは、ウクライナの東部地域から侵入して、ウクライナを侵略しようとしている」と言っている。安物のプロパガンダ拡声器のような彼が、ロシアが「劇的に軍事力を向上させ」、「ロシアが着々と侵略を進める可能性を示す多くの要因が見受けられる」と明言している。
ディキンソンは、ウクライナから離脱しているドンバス地方の自治政権が、ウクライナからの攻撃に対して行っている防衛行為のことを、「ロシアによる軍事行動である」と間違って捉えている。そんな明らかに間違った事実を公言できる現状こそが、米国にはディキンソンの間違いを正すような真の専門家がいないという証だ。
アトランティック・カウンシルに所属する彼の同僚たちも、ディキンソンと同じくらい不誠実であることは明らかだ。彼の同僚のジョン・バーブストは、「ウクライナの瀬戸際作戦」は、米国がウクライナのドンバス地方への侵略に対する支援を約束しているために起こっているのではなく、米国のウクライナに対する支援の約束に対してロシアが反応しているためだ、という間違った捉え方をしている。
米国においては、ロシア研究は賄賂によりゆがめられてきた。ロシア嫌いでない限り、ロシアの専門家にはなれないのだ。公平な立場でものごとを見る人は、トランプの支持者だと考えられ、大学から追い出されるだろう。20世紀の冷戦時代とは違い、議論の場はないのだ。そして、戦争につながるような好戦的な政策にブレーキをかけるものは誰もいないのだ。
ロン・ポールは、現状を以下のように正しく捉えている。
(以下はロン・ポールの論説からの抜粋)
3月24日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに対する、事実上の宣戦布告になるような宣言に署名した。その「2021年大統領令117号」の文書では、米国が支援するウクライナの大統領が、ウクライナがクリミアをロシアから取り戻すことは国としての正式な政策である、と宣言している。
ウクライナがロシアからクリミアを取り戻すという宣言は、バイデン大統領の以下のような、ばかげた、煽るような発言が後押し、行われたものだと言える。バイデンはこう語っていた。「クリミアはウクライナのものだ」。
2014年のウクライナにおける政変劇の筋書きを書いた主要人物であった、米国のアントニー・ジョン・ブリンケン国務長官は、ウクライナ国民を焚きつけ続けており、ウクライナの「領土保全」を米国が全面的に支援することを約束している。多くの米国人が不思議に思っているのは、「なぜ米国政府は、米国の自国領土の保全には全く関心がないのか!」という点だ。
負けじと今月初旬、ロイド・オースティン米国国防長官(元ミサイル製造会社レイセオン社の理事会のメンバー)は、 ウクライナの要人に電話をかけ、 「米国からのウクライナの国家主権に対する支援は揺るがない」と約束した。米国政府が、クリミアをウクライナの領土だと考えているのなら、ウクライナ政府は、軍事行動に明確なゴーサインが出たと取るだろう。
米国政府は、ウクライナに武器を送り込んでいる。すでにここ数週間で、300トンほどの新兵器が到着し、さらに多くの武器が今送られている途中だ。
予想されたことだが、ロシア政府はゼレンスキー大統領の宣言や、ウクライナ政府や米国政府から出されている好戦的な発表を受けて、ウクライナ国境付近に軍隊や武器を再配置している。もし米国が同じような状況に置かれたとしたら、例えば、中国がメキシコに米国と敵対するような好戦的な政権を打ち立てたとしたら、米軍は今のロシア軍と同じような動きを見せるはずだ。
しかし、米国の、軍・産・議会・メディア複合体のメディア部門が流す情報によれば、ロシア軍の動きは、近隣国からの攻撃に備えての行為ではなく、「ロシアの好戦的な政策のせい」にされてしまうのだ。
(ロン・ポールの論説からの抜粋、終わり)
記事全文はこちら
クリミアは1783年以来、ロシアの領土だ。ロシアもウクライナも同じ国の一部だった1954年に、クリミアはソ連内のウクライナ共和国に併合された。ソ連が崩壊した際、米国はエリツィンを使ってロシアを解体させようとし、元ソ連内の多くの共和国や元からロシアの領土だった地域を分離独立させた。ウクライナもロシアから分離独立し、1991年に独立国家となった。クリミアは自治共和国の形を取り、ロシアは、クリミア内にロシア軍の基地を置く権利を保持する長期間の条約を、クリミア自治共和国と結んでいた。
米国がウクライナのヤヌコヴィッチ元大統領を失脚させ、傀儡政権を樹立させた際、クリミアではクリミアがロシアに再編入することの是非を問う住民投票が行われ、その結果ロシアへの再編入が決められた。クリミアとドンバス地方を失ったウクライナの傀儡政権は、ロシアへの報復として、ロシア語を公用語から外した。
米国政府は、ロシアから、ロシアの黒海海軍基地を奪い損なって非常にイライラしていた。そのため米国政府は、ウクライナとロシアの間に紛争が起こるよう、ウクライナ政変後からこの7年間、ずっと画策し続けてきた。
こんな状況でも、ロシアが黙って耐えている理由が謎だ。
いつかロシアの堪忍袋の緒が切れるときが来るだろう。米国政府がその状況を見誤れば、地獄絵図がその先には待っている。
追記: 今は、第二次世界大戦の始まりとなった1939年のポーランド情勢が再び起こっているのだ。当時連合国側は、ポーランドと「相互援助条約」を結んでいた。
正当な政府であるという顔をしているが、実際のところは愚者たちで構成されている米国政府は、頭がいかれている。
ロシア政府は、いかなる西側諸国でも、ウクライナに軍を配置するのであれば、「厳しい措置」を取ると警告している。これは、ウクライナ政府が、ロシアと衝突があった場合、米国から庇護される約束を交わしたことを発表したことを受けてのことだ。詳しくはこちら。
Washington’s Follies Are Dangerous to Us and to the World
It is 1939 all over again
ポール・クレイグ・ロバーツ博士(Dr. Paul Craig Roberts)著
グローバル・リサーチ 2021年4月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年4月30日

真のメディアが存在しない国は、その国の政府の愚かさにより国が崩壊する。これがまさに今の米国が置かれている状況だ。この核兵器の時代、世界全体が存続できるかは、米国の愚かさによって決まる。しかし今のところは、危機感に欠けるお気楽な米国民が、無能な愚者たちに自分たちを支配することを許しているので、この愚かな米国政府はロシアの国境に攻撃用ミサイルを配置し、核兵器によるアルマゲドン(最終戦争)の準備をし始めている。
手下の売女メディアを使って、トランプ大統領に「プーチンの引き立て役だ」とか、「ロシアのまわし者」などというレッテルを貼らせることで、軍産複合体は、トランプ大統領に、機能していたINF(中距離核戦力全廃条約)から撤退させることに成功した。
この条約から抜けた米国政府は今、ロシア国境にミサイルを配置している。このようなミサイルを配置する唯一の目的は、先制攻撃を行うためだ。言い換えれば、ロシア政府はこのミサイル配置を米国による先制攻撃の前兆であると見るだろう。
ロシアは、西側諸国に対して敵愾心は持っていないし、西側諸国を軍事により征服しようという計画も熱意も持っていない。だからこそ、米国政府が、常にロシアに汚名を着せようとしたり、ロシアに対して不当な非難を行っていることが、ロシアに対する攻撃を正当化するためのプロパガンダに見えてしまうのだ。この米国政府の行為は本当に無責任だ。ロシアがこの状況をきちんと分かっているならば、攻撃されることをじっと黙ったまま待っているだけということは考えにくい。
危機感に欠けるお気楽な欧州の人々も、米国政府の傀儡政権である各国政府が自分たちを統治することを許しているのだが、これらの欧州諸国の政府は本当に頭が悪い。米国政府に欧州諸国内での攻撃用ミサイルの配置を許可することが、どういうことなのか分かっていないのだ。その後に待ち受けることは、全ての欧州諸国や英国の都市が、ロシアからの標的になることなのに。
今危惧される大きな危険は、警告システムの誤作動により、核戦争が引き起こされる可能性があることだ。
ロシア国境にミサイルが配置されたとなると、ロシアにはその警告が誤作動なのかを調べる時間がないことになる。長きに渡り続いた冷戦時代には、警告システムの誤作動は何度もあったのだが、調査する時間的余裕があったのだ。今米国政府が行っていることは、その時間を無くしてしまうことなのだ。つまり、警告システムの誤作動がたった一回起こっただけで、核戦争の引き金が引かれる可能性があるのだ。
INF条約を米国政府が破棄した時、ネオコンたちは歓声を上げていた。なぜこんな戦争の危険性を最大化するような状況に歓声を上げているか理解に苦しむ。本当は、外交問題の専門家たちから、INF条約を再締結することを求める大きな声が上がるべきなのに。問題なのは、西側諸国にはプロパガンダの声を上げるものはいるが、専門家はいないという現状だ。いわゆるロシア専門家には、根っからのロシア嫌いしかいない。そういう人たちは、「ぜんぶロシアに非がある」という立場でしか記事を書かない。
例えば、ウクライナに対して、米国が与えている庇護の約束について考えて見てほしい。米国は、もしウクライナがドンバス地方への侵攻を再開し、それに対してロシアが干渉してきたならば、米国が救援に入ることを約束している。
ロシアは、ウクライナ政府の狂気ぶりを理解しているので、この米国による約束が、ドンバス地方に住んでいるロシア人たちに対する攻撃の再開に繋がることに懸念を持つのも当然のことだ。ロシア政府の対応は、攻撃を防ぐために、ウクライナとの国境に軍を急いで配置することだった。
このロシアの対応に対して、米国政府や、いわゆる「ロシア専門家たち」はどうしただろうか?
トランプから選挙を盗んだホワイトハウスの住人は、ウクライナ大統領に電話をかけ、こう発破をかけた。
「ドンバス地方や、クリミア半島へのロシアによる侵略が進行する中で、ウクライナ政府の国家主権と領土の保全に対する米国の支持は変わらない」
ロシア嫌いの団体であるアトランティック・カウンシル(訳注:大西洋主義者の団体)に属する能なしのピーター・ディキンソンは、米国がドンバス地方への侵略を再開しようとしているウクライナの軍事力の増強に手を貸していることには目をつぶっている。それなのに、ディキンソンは、その侵略に対するロシアの防衛体制を、「国際社会における」危機を高めているとして非難した。そうだ。米国政府はこの「国際社会」という言葉を多用して、米国がいかにも世界全体の代表者であるかのように見せようとするのだ。ディキンソンはロシアのこの防衛体制を、「ロシアは、ウクライナの東部地域から侵入して、ウクライナを侵略しようとしている」と言っている。安物のプロパガンダ拡声器のような彼が、ロシアが「劇的に軍事力を向上させ」、「ロシアが着々と侵略を進める可能性を示す多くの要因が見受けられる」と明言している。
ディキンソンは、ウクライナから離脱しているドンバス地方の自治政権が、ウクライナからの攻撃に対して行っている防衛行為のことを、「ロシアによる軍事行動である」と間違って捉えている。そんな明らかに間違った事実を公言できる現状こそが、米国にはディキンソンの間違いを正すような真の専門家がいないという証だ。
アトランティック・カウンシルに所属する彼の同僚たちも、ディキンソンと同じくらい不誠実であることは明らかだ。彼の同僚のジョン・バーブストは、「ウクライナの瀬戸際作戦」は、米国がウクライナのドンバス地方への侵略に対する支援を約束しているために起こっているのではなく、米国のウクライナに対する支援の約束に対してロシアが反応しているためだ、という間違った捉え方をしている。
米国においては、ロシア研究は賄賂によりゆがめられてきた。ロシア嫌いでない限り、ロシアの専門家にはなれないのだ。公平な立場でものごとを見る人は、トランプの支持者だと考えられ、大学から追い出されるだろう。20世紀の冷戦時代とは違い、議論の場はないのだ。そして、戦争につながるような好戦的な政策にブレーキをかけるものは誰もいないのだ。
ロン・ポールは、現状を以下のように正しく捉えている。
(以下はロン・ポールの論説からの抜粋)
3月24日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに対する、事実上の宣戦布告になるような宣言に署名した。その「2021年大統領令117号」の文書では、米国が支援するウクライナの大統領が、ウクライナがクリミアをロシアから取り戻すことは国としての正式な政策である、と宣言している。
ウクライナがロシアからクリミアを取り戻すという宣言は、バイデン大統領の以下のような、ばかげた、煽るような発言が後押し、行われたものだと言える。バイデンはこう語っていた。「クリミアはウクライナのものだ」。
2014年のウクライナにおける政変劇の筋書きを書いた主要人物であった、米国のアントニー・ジョン・ブリンケン国務長官は、ウクライナ国民を焚きつけ続けており、ウクライナの「領土保全」を米国が全面的に支援することを約束している。多くの米国人が不思議に思っているのは、「なぜ米国政府は、米国の自国領土の保全には全く関心がないのか!」という点だ。
負けじと今月初旬、ロイド・オースティン米国国防長官(元ミサイル製造会社レイセオン社の理事会のメンバー)は、 ウクライナの要人に電話をかけ、 「米国からのウクライナの国家主権に対する支援は揺るがない」と約束した。米国政府が、クリミアをウクライナの領土だと考えているのなら、ウクライナ政府は、軍事行動に明確なゴーサインが出たと取るだろう。
米国政府は、ウクライナに武器を送り込んでいる。すでにここ数週間で、300トンほどの新兵器が到着し、さらに多くの武器が今送られている途中だ。
予想されたことだが、ロシア政府はゼレンスキー大統領の宣言や、ウクライナ政府や米国政府から出されている好戦的な発表を受けて、ウクライナ国境付近に軍隊や武器を再配置している。もし米国が同じような状況に置かれたとしたら、例えば、中国がメキシコに米国と敵対するような好戦的な政権を打ち立てたとしたら、米軍は今のロシア軍と同じような動きを見せるはずだ。
しかし、米国の、軍・産・議会・メディア複合体のメディア部門が流す情報によれば、ロシア軍の動きは、近隣国からの攻撃に備えての行為ではなく、「ロシアの好戦的な政策のせい」にされてしまうのだ。
(ロン・ポールの論説からの抜粋、終わり)
記事全文はこちら
クリミアは1783年以来、ロシアの領土だ。ロシアもウクライナも同じ国の一部だった1954年に、クリミアはソ連内のウクライナ共和国に併合された。ソ連が崩壊した際、米国はエリツィンを使ってロシアを解体させようとし、元ソ連内の多くの共和国や元からロシアの領土だった地域を分離独立させた。ウクライナもロシアから分離独立し、1991年に独立国家となった。クリミアは自治共和国の形を取り、ロシアは、クリミア内にロシア軍の基地を置く権利を保持する長期間の条約を、クリミア自治共和国と結んでいた。
米国がウクライナのヤヌコヴィッチ元大統領を失脚させ、傀儡政権を樹立させた際、クリミアではクリミアがロシアに再編入することの是非を問う住民投票が行われ、その結果ロシアへの再編入が決められた。クリミアとドンバス地方を失ったウクライナの傀儡政権は、ロシアへの報復として、ロシア語を公用語から外した。
米国政府は、ロシアから、ロシアの黒海海軍基地を奪い損なって非常にイライラしていた。そのため米国政府は、ウクライナとロシアの間に紛争が起こるよう、ウクライナ政変後からこの7年間、ずっと画策し続けてきた。
こんな状況でも、ロシアが黙って耐えている理由が謎だ。
いつかロシアの堪忍袋の緒が切れるときが来るだろう。米国政府がその状況を見誤れば、地獄絵図がその先には待っている。
追記: 今は、第二次世界大戦の始まりとなった1939年のポーランド情勢が再び起こっているのだ。当時連合国側は、ポーランドと「相互援助条約」を結んでいた。
正当な政府であるという顔をしているが、実際のところは愚者たちで構成されている米国政府は、頭がいかれている。
ロシア政府は、いかなる西側諸国でも、ウクライナに軍を配置するのであれば、「厳しい措置」を取ると警告している。これは、ウクライナ政府が、ロシアと衝突があった場合、米国から庇護される約束を交わしたことを発表したことを受けてのことだ。詳しくはこちら。
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