2011年3月11日 福島:戦争のない核戦争:
世界的核拡散の隠された危機
March 11, 2011: Fukushima: A Nuclear War without a War: The Unspoken Crisis of Worldwide Nuclear Radiation
ミシェル・チョスドフスキー教授
グローバル・リサーチ 2019年3月10日
(翻訳: 新見明 2019年3月29日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/fukushima-nuclear-war-worldwide-nuclear-radiation-2/28870

2011年3月11日、8年前の福島第一事故
私達は、「想像を絶する」放射能レベルの報告に焦点を当てて、福島の悲劇をこのI-Bookで報告している。福島はメディアの隠蔽と歪曲の対象であった。ヘレン・カルディコット博士の言葉では、「プルトニウム1gの100万分の1をもし吸い込んだら、ガンを引き起こすことができる」と言う。
2011年3月の福島の災害では、16,000人が死んだ。そして約165,000人が福島地域の家を避難しなければならなかった。
日本のメディアも欧米メディアも、放射能の影響を過小評価する傾向がある。放射能は日本の北部の広範な地域に拡散した。食物連鎖への汚染は言うまでもなく、安部政権は、不用意に「風評被害」を指摘している。
さらに、高度に汚染された水を太平洋に捨てることは、世界的な放射能汚染の引き金を引く可能性がある。
東電(TEPCO)が隠蔽に関わったことは十分証明されている。そして日本政府も同様だ。
もとは2012年1月に発表されたミシェル・チョスドフスキーのこの研究は、放射能の世界的広がりについて、いま明らかにされていることを確認している。
読者への注: 将来参照するためにこのページをブックマークしておいてください。
どうかさらにグローバル・リサーチのI-Bookをさらに読み進めてください。そしてフェイスブックに投稿してください。
2012年1月初出、I-Bookの導入部は、ミシェル・チョスドフスキーの2015年のベストセラーの1章として入れられています。『戦争の世界化、アメリカの人道に対する長い戦争』グローバル・リサーチ、2015年、モントリオール
* * *
グローバル・リサーチのオンライン双方向I-Book読み物は、グローバル・リサーチの特区集記事やビデオを集めてまとめられました。広範なテーマや題材に関して討論や分析をしています。
この双方向オンラインI-Bookで、福島原発事故やその影響に関する重要な記事や報告やビデオ資料をまとめて読者に提供します。
オンライン双方向I-Book読み物シリーズを調べるには、ここをクリックする。
https://www.globalresearch.ca/global-research-i-books
はじめに
世界は重要な岐路に立っている。日本の福島の災害は、真っ先に世界的な放射能汚染の危険性をもたらした。
日本の危機は「戦争のない核戦争」と言われた。著名な小説家村上春樹の言葉にはこうある。
「今度は誰も我々に爆弾を落とさなかった。・・・我々がお膳立てをして、我々自
身の手で犯罪を犯した。」
放射能汚染は、地球全体の生命を脅かすのに、庶民の最大の関心事である地域の犯罪とかハリウッド有名人のタブロイド紙ゴシップ記事と比べると、新聞の1面記事扱いではない。
福島第一の事故の長期的影響がまだ十分評価されていないのに、1986年ウクライナのチェルノブイリ事故の影響の方がさらに重大であると考えている。チェルノブイリはほぼ100万人の死者がでた(New Bookの結論では、チェルノブイリの死者総数は98万5千人で、ほとんどガンが原因である。2010年9月10日、マシュー・ペニー&マーク・セルデン「チェルノブイリと比較して福島第一原発事故の重大性」グローバル・リサーチ2011年5月25日)
その上、すべての目が福島第一原発に釘づけになっているとき、日本や世界の報道は、東電福島第一原発の2番目の大惨事の重大性をしっかり認識しなかった。
日本、アメリカ、西欧の怪しげな政治的合意は、福島の危機は制御されているということだ。
しかし現実は違っている。3号機はプルトニウムを、量は確認されていないが、放出していた。ヘレン・カルディコット博士によると、「プルトニウム1グラムの100万分の1を吸い込んだら、ガンになる」と言われている。
2011年5月の世論調査で、日本人の80%以上が核危機に関する政府の情報を信じていないことがわかった。(引用:シェアウッド・ロス、福島、日本の2番目の核惨事、グローバル・リサーチ2011年11月10日)
日本の衝撃
日本政府は「原発事故の重大性は、・・・1986年チェルノブイリ事故と同等なものである」ことを認めざるを得なかった。しかし厳しい皮肉として、この日本当局による暗黙の承認は、世界的放射能拡散と汚染過程におけるさらに大きな惨事の隠蔽の一部であることがわかった。
「チェルノブイリが前例のない巨大な大災害であったが、それは一つの
原子炉だけで起こったことであり、急速にメルトダウンしたのであった。
一旦冷却されたなら、それは10万人の労働者によって建設されたコン
クリートの石棺で覆うことができた。しかし、福島には驚くなかれ4400ト
ンの燃料棒があったのだ。福島はチェルノブイリの放射能源の総量を
きわめて小さく見せるものだ。」(日本におけるきわめて高濃度放射能
レベル:大学研究員の公式データ、グローバル・リサーチ、2011年4月
11日)
2011年3月、津波の後の福島
高濃度の汚染水を太平洋に捨てることは、世界的放射能汚染を誘発する可能性がある。放射性元素は日本の食物連鎖で発見されただけでなく、放射能の雨水がカリフォルニアでも記録された。
福島周辺の海や大気中に放出された危険な放射性元素は様々な
食物連鎖の各段階で蓄積されている(例えば、藻、甲殻類、小魚、
大きな魚、そして人間へ。または、土壌、草、牛肉や牛乳、そして
人間へ)。体内に入ると、これらの元素は、内部被曝と呼ばれ、甲
状腺、肝臓、骨、脳のような特別な器官に入る。そして絶えず、ア
ルファ線、ベータ線、ガンマ線で少量の細胞を照射する。そして年
月がたってしばしばガンを引き起こす。(ヘレン・カルディコット、
Fukushima: Nuclear Apologists Play Shoot the Messenger on
Radiation, The Age 2011年4月26日)
北アメリカ西海岸への放射能の広がりが、思いがけず認められたのに、初期の報道(APとロイター)は「外交筋によると、微量の放射性分子がカリフォルニアに届いた。しかし人体への影響はない」とだけ述べた。
「報道によると、匿名の情報源が、国連の包括的核禁止条約機構による
測定機関のネットワークからの情報を得ることができた。
・・・アメリカ合衆国原子力規制委員会の委員長グレゴリー・ヤッコは、木
曜日(3月17日)ホワイト・ハウスに次のように話した。ここアメリカやアメリ
カ領土のどこも危険な放射能レベルを観測していない、と専門家は見てい
る。」

(放射能降下地図)
(世界的汚染)

(典型的な風の軌跡)
放射能の拡散、2011年3月
一般健康災害、経済的影響
広まっているのは、よく組織されたカモフラージュである。日本の一般健康災害である水質、農地、食物連鎖の汚染は、経済的、社会的影響は言うまでもなく、十分認められておらず、また日本当局による包括的、有効な方法で取り組まれてもいない。
国民国家としての日本は破壊された。その国土と領海は汚染されている。国の一部は居住不可能である。高濃度の放射能が東京首都圏で記録された。そこには3,900万人[2010年]が住んでいる(3,400万人[2010年]のカナダの人口より上回る)。食物連鎖は日本中で汚染されているという指摘がある。
法定許容量を超える放射性セシウムが、静岡市の工場で作られるお茶
から検出された。そこは福島第一原発から300キロ以上も離れている。
静岡県は日本で最も有名なお茶の生産地である。
東京のお茶卸売業者は、静岡市から運び込まれたお茶から高レベルの
放射能が検出されたと静岡県に報告した。県は工場にお茶の出荷を控
えるように命令した。福島第一原発事故の後、お茶の葉や焙煎したお茶
から高濃度の放射能が、東京周辺で広範囲にわたって発見された。
(注5:さらに多くの会社が福島から300キロ以上離れた地域で許容量を
超える放射能を検出する、2011年6月15日)
日本の産業、製造業基盤は打ちのめされた。日本はもはや主要な産業国家ではない。国の輸出は急激に低下した。東京の政府は、1980年以来始めて貿易赤字を報じた。
商業メディアが、産業活動における停電やエネルギー不足の影響を一方的に書き立てているが、国のインフラや産業基盤の放射能汚染というさらに主要な問題は、「科学的タブー」である(つまり、工場、機械、設備、建物、道路などの放射能)。2012年の報告では建築業で使われる建築資材(日本中の道路や住宅建設)の放射能汚染が指摘されている。(参照:福島:日本の住宅や道路の放射能、放射の汚染の建築資材が200以上の建築業者に売られる、2012年1月)
経産省による「隠蔽報告」、「東日本大震災による経済的影響と復興の現段階」と題する報告には、既成事実としての「経済回復」が示されている。それはもちろん放射能の問題を避けている。労働力や産業基盤への放射能の影響は述べられていない。東京-福島第一間の距離は約230キロ(約144マイル)であり、東京の放射能レベルは香港やニューヨークよりも低い(経産省「東日本大震災の影響と復興の現状」p.15)。この声明は、確証的な証拠も挙げず、明らかに東京における民間放射線調査とも矛盾する(下図参照)。最近、綜合警備株式会社は、商売として「東京や他の4つの周辺県で、家庭を対象にした放射線測定サービスを開始した」。
放射能レベルを測定した「市民マップ」は、北日本の広範な地域にわたる複雑な山地地形を反映し、風向きの変化による放射能分布を示している。東京は地図下方の中央にある。

SOURCE: Science Magazine
「放射能は毎時0.1マイクロシーベルト以上から青色である。赤色はその
約50倍で、毎時5.0マイクロシーベルトの民間放射線基準である。子ど
もは大人より一層影響を受けやすいので、これらの結果は汚染地域の
幼い子ども達の親にとって大きな懸念材料である。」
根本的な問題は、「日本製」の広範な工業製品や部品(ハイテク部品、機械、電子機器、自動車など)が、海外に輸出されていて、汚染されているかどうかということである。もしそのような場合には、東南アジアの産業基盤は、日本の部品や産業技術への依存度が高く、影響を受けているだろう。国際貿易への影響の可能性は計り知れない。この点で1月、ロシア当局は、ロシアで販売用の日本の汚染された自動車や自動車部品をウラジオストックで差し押さえた。言うまでもなく、グローバルな競争環境におけるこの種の出来事は、既に危機に陥っている日本の自動車産業の消滅につながる可能性がある。
ほとんど自動車産業が日本の中央部にあるのに、いわき市の日産エンジン工場は福島第一原発から42キロの位置にある。日産の労働者は影響を受けているだろうか。エンジン工場は汚染されているのだろうか。工場は、政府の「避難地域」から約10キロから20キロ圏内にある。避難地域からは約20万人が避難した。(下図参照)
核エネルギーと核戦争
日本の危機はまた、核エネルギーと核戦争の暗黙の関係を明らかにした。
原発は民間経済活動ではない。それはいわゆる防衛業者によって支配されている核兵器産業の付属物である。原発と核兵器の背後にある強力な企業利益は重なっている。
日本で大災害の真っ最中、「原子力産業と政府機関は、日本の民間原子力発電所に隠された原子爆弾研究施設が発見されないように躍起になっていた。」1(参照:島津陽一「福島原子力発電所内の秘密の兵器計画」グローバル・リサーチ2011年4月12日)
注目すべきなのは、メディアも政府も放射能被害に無頓着なのは、核兵器の使用と同様、原発産業と関係していることだ。どちらの場合も、衝撃的な放射能の健康被害が何気なく否定されていることだ。広島原爆の6倍もの爆発力をもった戦術核兵器が、ペンタゴンでは「周辺住民には安全なもの」として言われている。
政治的レベルでは、米・NATO・イスラエルが、イランを攻撃する可能性とその影響に関して、いかなる懸念も表明されていない。そこで「市民には安全」な戦術核兵器を非核保有国に向けて使用するのだ。
そのような行動は「想像を絶する」結果を生むだろう。中東や中央アジアの広大な地域での核兵器ホロコーストである。しかし核兵器の悪夢は、核兵器が使用されなくても起こるだろう。通常兵器を使ってイランの核施設を爆撃すれば、膨大な死の灰を伴った、もう一つの福島型大惨事を起こすことになる。(詳細はミシェル・チョスドフスキー『第三次世界大戦のシナリオ、核戦争の危機』グローバル・リサーチ、モントリオール2011年)
福島に関するオンライン双方向I-Book読み物、「戦争なき核戦争」
政府の隠蔽やメディアの偽情報の観点からすると、このオンライン双方向読み物の記事とビデオ報告の内容はより広い人々に伝わらなかった。(下の内容を参照)
この福島オンライン双方向読み物には、分析的、科学的記事やビデオレポートが、短いニュース報道や確証されたデータとともに入っている。
第一部は、福島原発事故に焦点を当てている。どのように起こったのか。
第二部は、日本における衝撃的な健康、社会的影響についてである。
第三部は、「隠された核大惨事」、つまり日本政府と企業メディアによる隠蔽を中心に扱う。
第四部は、世界的放射能汚染の問題に焦点をあてる。
第五部は、世界的原発産業における福島事故の意味を検討する。
絶えざるメディア偽情報に直面して、このグルーバル・リサーチのオンラインI-Bookは世界的放射能汚染に関して、メディアの空隙を埋め、人々の関心を高めることを意図している。また政府や原子力産業やメディアの共謀にも注目している。
我々は読者にその言葉を広げてもらいたい。
我々は、この福島に関する双方向読み物を生徒達が利用できるように、大学や高校の先生に紹介している。
ミシェル・チョスドフスキー2012年1月25日
ミシェル・チョスドフスキー教授
グローバル・リサーチ 2019年3月10日
(翻訳: 新見明 2019年3月29日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/fukushima-nuclear-war-worldwide-nuclear-radiation-2/28870

2011年3月11日、8年前の福島第一事故
私達は、「想像を絶する」放射能レベルの報告に焦点を当てて、福島の悲劇をこのI-Bookで報告している。福島はメディアの隠蔽と歪曲の対象であった。ヘレン・カルディコット博士の言葉では、「プルトニウム1gの100万分の1をもし吸い込んだら、ガンを引き起こすことができる」と言う。
2011年3月の福島の災害では、16,000人が死んだ。そして約165,000人が福島地域の家を避難しなければならなかった。
日本のメディアも欧米メディアも、放射能の影響を過小評価する傾向がある。放射能は日本の北部の広範な地域に拡散した。食物連鎖への汚染は言うまでもなく、安部政権は、不用意に「風評被害」を指摘している。
さらに、高度に汚染された水を太平洋に捨てることは、世界的な放射能汚染の引き金を引く可能性がある。
東電(TEPCO)が隠蔽に関わったことは十分証明されている。そして日本政府も同様だ。
もとは2012年1月に発表されたミシェル・チョスドフスキーのこの研究は、放射能の世界的広がりについて、いま明らかにされていることを確認している。
読者への注: 将来参照するためにこのページをブックマークしておいてください。
どうかさらにグローバル・リサーチのI-Bookをさらに読み進めてください。そしてフェイスブックに投稿してください。
2012年1月初出、I-Bookの導入部は、ミシェル・チョスドフスキーの2015年のベストセラーの1章として入れられています。『戦争の世界化、アメリカの人道に対する長い戦争』グローバル・リサーチ、2015年、モントリオール
* * *
グローバル・リサーチ、オンライン双方向読み物シリーズ 福島:戦争なき核戦争 世界的放射能汚染の秘められた危機 ミシェル・チョスドフスキー(編集) I-Book No.3 2012年1月25日 |
グローバル・リサーチのオンライン双方向I-Book読み物は、グローバル・リサーチの特区集記事やビデオを集めてまとめられました。広範なテーマや題材に関して討論や分析をしています。
この双方向オンラインI-Bookで、福島原発事故やその影響に関する重要な記事や報告やビデオ資料をまとめて読者に提供します。
オンライン双方向I-Book読み物シリーズを調べるには、ここをクリックする。
https://www.globalresearch.ca/global-research-i-books
はじめに
世界は重要な岐路に立っている。日本の福島の災害は、真っ先に世界的な放射能汚染の危険性をもたらした。
日本の危機は「戦争のない核戦争」と言われた。著名な小説家村上春樹の言葉にはこうある。
「今度は誰も我々に爆弾を落とさなかった。・・・我々がお膳立てをして、我々自
身の手で犯罪を犯した。」
放射能汚染は、地球全体の生命を脅かすのに、庶民の最大の関心事である地域の犯罪とかハリウッド有名人のタブロイド紙ゴシップ記事と比べると、新聞の1面記事扱いではない。
福島第一の事故の長期的影響がまだ十分評価されていないのに、1986年ウクライナのチェルノブイリ事故の影響の方がさらに重大であると考えている。チェルノブイリはほぼ100万人の死者がでた(New Bookの結論では、チェルノブイリの死者総数は98万5千人で、ほとんどガンが原因である。2010年9月10日、マシュー・ペニー&マーク・セルデン「チェルノブイリと比較して福島第一原発事故の重大性」グローバル・リサーチ2011年5月25日)
その上、すべての目が福島第一原発に釘づけになっているとき、日本や世界の報道は、東電福島第一原発の2番目の大惨事の重大性をしっかり認識しなかった。
日本、アメリカ、西欧の怪しげな政治的合意は、福島の危機は制御されているということだ。
しかし現実は違っている。3号機はプルトニウムを、量は確認されていないが、放出していた。ヘレン・カルディコット博士によると、「プルトニウム1グラムの100万分の1を吸い込んだら、ガンになる」と言われている。
2011年5月の世論調査で、日本人の80%以上が核危機に関する政府の情報を信じていないことがわかった。(引用:シェアウッド・ロス、福島、日本の2番目の核惨事、グローバル・リサーチ2011年11月10日)
日本の衝撃
日本政府は「原発事故の重大性は、・・・1986年チェルノブイリ事故と同等なものである」ことを認めざるを得なかった。しかし厳しい皮肉として、この日本当局による暗黙の承認は、世界的放射能拡散と汚染過程におけるさらに大きな惨事の隠蔽の一部であることがわかった。
「チェルノブイリが前例のない巨大な大災害であったが、それは一つの
原子炉だけで起こったことであり、急速にメルトダウンしたのであった。
一旦冷却されたなら、それは10万人の労働者によって建設されたコン
クリートの石棺で覆うことができた。しかし、福島には驚くなかれ4400ト
ンの燃料棒があったのだ。福島はチェルノブイリの放射能源の総量を
きわめて小さく見せるものだ。」(日本におけるきわめて高濃度放射能
レベル:大学研究員の公式データ、グローバル・リサーチ、2011年4月
11日)

2011年3月、津波の後の福島
高濃度の汚染水を太平洋に捨てることは、世界的放射能汚染を誘発する可能性がある。放射性元素は日本の食物連鎖で発見されただけでなく、放射能の雨水がカリフォルニアでも記録された。
福島周辺の海や大気中に放出された危険な放射性元素は様々な
食物連鎖の各段階で蓄積されている(例えば、藻、甲殻類、小魚、
大きな魚、そして人間へ。または、土壌、草、牛肉や牛乳、そして
人間へ)。体内に入ると、これらの元素は、内部被曝と呼ばれ、甲
状腺、肝臓、骨、脳のような特別な器官に入る。そして絶えず、ア
ルファ線、ベータ線、ガンマ線で少量の細胞を照射する。そして年
月がたってしばしばガンを引き起こす。(ヘレン・カルディコット、
Fukushima: Nuclear Apologists Play Shoot the Messenger on
Radiation, The Age 2011年4月26日)
北アメリカ西海岸への放射能の広がりが、思いがけず認められたのに、初期の報道(APとロイター)は「外交筋によると、微量の放射性分子がカリフォルニアに届いた。しかし人体への影響はない」とだけ述べた。
「報道によると、匿名の情報源が、国連の包括的核禁止条約機構による
測定機関のネットワークからの情報を得ることができた。
・・・アメリカ合衆国原子力規制委員会の委員長グレゴリー・ヤッコは、木
曜日(3月17日)ホワイト・ハウスに次のように話した。ここアメリカやアメリ
カ領土のどこも危険な放射能レベルを観測していない、と専門家は見てい
る。」

(放射能降下地図)

(世界的汚染)

(典型的な風の軌跡)
放射能の拡散、2011年3月
一般健康災害、経済的影響
広まっているのは、よく組織されたカモフラージュである。日本の一般健康災害である水質、農地、食物連鎖の汚染は、経済的、社会的影響は言うまでもなく、十分認められておらず、また日本当局による包括的、有効な方法で取り組まれてもいない。
国民国家としての日本は破壊された。その国土と領海は汚染されている。国の一部は居住不可能である。高濃度の放射能が東京首都圏で記録された。そこには3,900万人[2010年]が住んでいる(3,400万人[2010年]のカナダの人口より上回る)。食物連鎖は日本中で汚染されているという指摘がある。
法定許容量を超える放射性セシウムが、静岡市の工場で作られるお茶
から検出された。そこは福島第一原発から300キロ以上も離れている。
静岡県は日本で最も有名なお茶の生産地である。
東京のお茶卸売業者は、静岡市から運び込まれたお茶から高レベルの
放射能が検出されたと静岡県に報告した。県は工場にお茶の出荷を控
えるように命令した。福島第一原発事故の後、お茶の葉や焙煎したお茶
から高濃度の放射能が、東京周辺で広範囲にわたって発見された。
(注5:さらに多くの会社が福島から300キロ以上離れた地域で許容量を
超える放射能を検出する、2011年6月15日)
日本の産業、製造業基盤は打ちのめされた。日本はもはや主要な産業国家ではない。国の輸出は急激に低下した。東京の政府は、1980年以来始めて貿易赤字を報じた。
商業メディアが、産業活動における停電やエネルギー不足の影響を一方的に書き立てているが、国のインフラや産業基盤の放射能汚染というさらに主要な問題は、「科学的タブー」である(つまり、工場、機械、設備、建物、道路などの放射能)。2012年の報告では建築業で使われる建築資材(日本中の道路や住宅建設)の放射能汚染が指摘されている。(参照:福島:日本の住宅や道路の放射能、放射の汚染の建築資材が200以上の建築業者に売られる、2012年1月)
経産省による「隠蔽報告」、「東日本大震災による経済的影響と復興の現段階」と題する報告には、既成事実としての「経済回復」が示されている。それはもちろん放射能の問題を避けている。労働力や産業基盤への放射能の影響は述べられていない。東京-福島第一間の距離は約230キロ(約144マイル)であり、東京の放射能レベルは香港やニューヨークよりも低い(経産省「東日本大震災の影響と復興の現状」p.15)。この声明は、確証的な証拠も挙げず、明らかに東京における民間放射線調査とも矛盾する(下図参照)。最近、綜合警備株式会社は、商売として「東京や他の4つの周辺県で、家庭を対象にした放射線測定サービスを開始した」。
放射能レベルを測定した「市民マップ」は、北日本の広範な地域にわたる複雑な山地地形を反映し、風向きの変化による放射能分布を示している。東京は地図下方の中央にある。

SOURCE: Science Magazine
「放射能は毎時0.1マイクロシーベルト以上から青色である。赤色はその
約50倍で、毎時5.0マイクロシーベルトの民間放射線基準である。子ど
もは大人より一層影響を受けやすいので、これらの結果は汚染地域の
幼い子ども達の親にとって大きな懸念材料である。」
根本的な問題は、「日本製」の広範な工業製品や部品(ハイテク部品、機械、電子機器、自動車など)が、海外に輸出されていて、汚染されているかどうかということである。もしそのような場合には、東南アジアの産業基盤は、日本の部品や産業技術への依存度が高く、影響を受けているだろう。国際貿易への影響の可能性は計り知れない。この点で1月、ロシア当局は、ロシアで販売用の日本の汚染された自動車や自動車部品をウラジオストックで差し押さえた。言うまでもなく、グローバルな競争環境におけるこの種の出来事は、既に危機に陥っている日本の自動車産業の消滅につながる可能性がある。
ほとんど自動車産業が日本の中央部にあるのに、いわき市の日産エンジン工場は福島第一原発から42キロの位置にある。日産の労働者は影響を受けているだろうか。エンジン工場は汚染されているのだろうか。工場は、政府の「避難地域」から約10キロから20キロ圏内にある。避難地域からは約20万人が避難した。(下図参照)
核エネルギーと核戦争
日本の危機はまた、核エネルギーと核戦争の暗黙の関係を明らかにした。

原発は民間経済活動ではない。それはいわゆる防衛業者によって支配されている核兵器産業の付属物である。原発と核兵器の背後にある強力な企業利益は重なっている。
日本で大災害の真っ最中、「原子力産業と政府機関は、日本の民間原子力発電所に隠された原子爆弾研究施設が発見されないように躍起になっていた。」1(参照:島津陽一「福島原子力発電所内の秘密の兵器計画」グローバル・リサーチ2011年4月12日)
注目すべきなのは、メディアも政府も放射能被害に無頓着なのは、核兵器の使用と同様、原発産業と関係していることだ。どちらの場合も、衝撃的な放射能の健康被害が何気なく否定されていることだ。広島原爆の6倍もの爆発力をもった戦術核兵器が、ペンタゴンでは「周辺住民には安全なもの」として言われている。
政治的レベルでは、米・NATO・イスラエルが、イランを攻撃する可能性とその影響に関して、いかなる懸念も表明されていない。そこで「市民には安全」な戦術核兵器を非核保有国に向けて使用するのだ。
そのような行動は「想像を絶する」結果を生むだろう。中東や中央アジアの広大な地域での核兵器ホロコーストである。しかし核兵器の悪夢は、核兵器が使用されなくても起こるだろう。通常兵器を使ってイランの核施設を爆撃すれば、膨大な死の灰を伴った、もう一つの福島型大惨事を起こすことになる。(詳細はミシェル・チョスドフスキー『第三次世界大戦のシナリオ、核戦争の危機』グローバル・リサーチ、モントリオール2011年)
福島に関するオンライン双方向I-Book読み物、「戦争なき核戦争」
政府の隠蔽やメディアの偽情報の観点からすると、このオンライン双方向読み物の記事とビデオ報告の内容はより広い人々に伝わらなかった。(下の内容を参照)
この福島オンライン双方向読み物には、分析的、科学的記事やビデオレポートが、短いニュース報道や確証されたデータとともに入っている。
第一部は、福島原発事故に焦点を当てている。どのように起こったのか。
第二部は、日本における衝撃的な健康、社会的影響についてである。
第三部は、「隠された核大惨事」、つまり日本政府と企業メディアによる隠蔽を中心に扱う。
第四部は、世界的放射能汚染の問題に焦点をあてる。
第五部は、世界的原発産業における福島事故の意味を検討する。
絶えざるメディア偽情報に直面して、このグルーバル・リサーチのオンラインI-Bookは世界的放射能汚染に関して、メディアの空隙を埋め、人々の関心を高めることを意図している。また政府や原子力産業やメディアの共謀にも注目している。
我々は読者にその言葉を広げてもらいたい。
我々は、この福島に関する双方向読み物を生徒達が利用できるように、大学や高校の先生に紹介している。
ミシェル・チョスドフスキー2012年1月25日
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