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2011年3月11日 福島:戦争のない核戦争:
 世界的核拡散の隠された危機

March 11, 2011: Fukushima: A Nuclear War without a War: The Unspoken Crisis of Worldwide Nuclear Radiation
 
ミシェル・チョスドフスキー教授
 
グローバル・リサーチ 2019年3月10日
 
(翻訳: 新見明 2019年3月29日)
 
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/fukushima-nuclear-war-worldwide-nuclear-radiation-2/28870
 

2011年3月11日、8年前の福島第一事故
 
私達は、「想像を絶する」放射能レベルの報告に焦点を当てて、福島の悲劇をこのI-Bookで報告している。福島はメディアの隠蔽と歪曲の対象であった。ヘレン・カルディコット博士の言葉では、「プルトニウム1gの100万分の1をもし吸い込んだら、ガンを引き起こすことができる」と言う。
 
2011年3月の福島の災害では、16,000人が死んだ。そして約165,000人が福島地域の家を避難しなければならなかった。
 
日本のメディアも欧米メディアも、放射能の影響を過小評価する傾向がある。放射能は日本の北部の広範な地域に拡散した。食物連鎖への汚染は言うまでもなく、安部政権は、不用意に「風評被害」を指摘している。
 
さらに、高度に汚染された水を太平洋に捨てることは、世界的な放射能汚染の引き金を引く可能性がある。
 
東電(TEPCO)が隠蔽に関わったことは十分証明されている。そして日本政府も同様だ。
 
もとは2012年1月に発表されたミシェル・チョスドフスキーのこの研究は、放射能の世界的広がりについて、いま明らかにされていることを確認している。
 
読者への注: 将来参照するためにこのページをブックマークしておいてください。
 
どうかさらにグローバル・リサーチのI-Bookをさらに読み進めてください。そしてフェイスブックに投稿してください。
 
2012年1月初出、I-Bookの導入部は、ミシェル・チョスドフスキーの2015年のベストセラーの1章として入れられています。『戦争の世界化、アメリカの人道に対する長い戦争』グローバル・リサーチ、2015年、モントリオール
*    *    *

 
グローバル・リサーチ、オンライン双方向読み物シリーズ
  福島:戦争なき核戦争
  世界的放射能汚染の秘められた危機
  ミシェル・チョスドフスキー(編集)
  I-Book No.3 2012年1月25日

 
 
グローバル・リサーチのオンライン双方向I-Book読み物は、グローバル・リサーチの特区集記事やビデオを集めてまとめられました。広範なテーマや題材に関して討論や分析をしています。
 
この双方向オンラインI-Bookで、福島原発事故やその影響に関する重要な記事や報告やビデオ資料をまとめて読者に提供します。
 
オンライン双方向I-Book読み物シリーズを調べるには、ここをクリックする。
  https://www.globalresearch.ca/global-research-i-books
 
はじめに
 
世界は重要な岐路に立っている。日本の福島の災害は、真っ先に世界的な放射能汚染の危険性をもたらした。
 
日本の危機は「戦争のない核戦争」と言われた。著名な小説家村上春樹の言葉にはこうある。
 
   「今度は誰も我々に爆弾を落とさなかった。・・・我々がお膳立てをして、我々自
    身の手で犯罪を犯した。」
 
放射能汚染は、地球全体の生命を脅かすのに、庶民の最大の関心事である地域の犯罪とかハリウッド有名人のタブロイド紙ゴシップ記事と比べると、新聞の1面記事扱いではない。
 
福島第一の事故の長期的影響がまだ十分評価されていないのに、1986年ウクライナのチェルノブイリ事故の影響の方がさらに重大であると考えている。チェルノブイリはほぼ100万人の死者がでた(New Bookの結論では、チェルノブイリの死者総数は98万5千人で、ほとんどガンが原因である。2010年9月10日、マシュー・ペニー&マーク・セルデン「チェルノブイリと比較して福島第一原発事故の重大性」グローバル・リサーチ2011年5月25日)
 
その上、すべての目が福島第一原発に釘づけになっているとき、日本や世界の報道は、東電福島第一原発の2番目の大惨事の重大性をしっかり認識しなかった。
 
日本、アメリカ、西欧の怪しげな政治的合意は、福島の危機は制御されているということだ。
 
しかし現実は違っている。3号機はプルトニウムを、量は確認されていないが、放出していた。ヘレン・カルディコット博士によると、「プルトニウム1グラムの100万分の1を吸い込んだら、ガンになる」と言われている。
 
2011年5月の世論調査で、日本人の80%以上が核危機に関する政府の情報を信じていないことがわかった。(引用:シェアウッド・ロス、福島、日本の2番目の核惨事、グローバル・リサーチ2011年11月10日)
 
日本の衝撃
 
日本政府は「原発事故の重大性は、・・・1986年チェルノブイリ事故と同等なものである」ことを認めざるを得なかった。しかし厳しい皮肉として、この日本当局による暗黙の承認は、世界的放射能拡散と汚染過程におけるさらに大きな惨事の隠蔽の一部であることがわかった。
 
   「チェルノブイリが前例のない巨大な大災害であったが、それは一つの
    原子炉だけで起こったことであり、急速にメルトダウンしたのであった。
   一旦冷却されたなら、それは10万人の労働者によって建設されたコン
   クリートの石棺で覆うことができた。しかし、福島には驚くなかれ4400ト
   ンの燃料棒があったのだ。福島はチェルノブイリの放射能源の総量を
   きわめて小さく見せるものだ。」(日本におけるきわめて高濃度放射能
   レベル:大学研究員の公式データ、グローバル・リサーチ、2011年4月
   11日)

 
2011年3月、津波の後の福島
 
高濃度の汚染水を太平洋に捨てることは、世界的放射能汚染を誘発する可能性がある。放射性元素は日本の食物連鎖で発見されただけでなく、放射能の雨水がカリフォルニアでも記録された。
 
    福島周辺の海や大気中に放出された危険な放射性元素は様々な
    食物連鎖の各段階で蓄積されている(例えば、藻、甲殻類、小魚、
    大きな魚、そして人間へ。または、土壌、草、牛肉や牛乳、そして
    人間へ)。体内に入ると、これらの元素は、内部被曝と呼ばれ、甲
    状腺、肝臓、骨、脳のような特別な器官に入る。そして絶えず、ア
    ルファ線、ベータ線、ガンマ線で少量の細胞を照射する。そして年
    月がたってしばしばガンを引き起こす。(ヘレン・カルディコット、
    Fukushima: Nuclear Apologists Play Shoot the Messenger on
    Radiation, The Age 2011年4月26日)
 
北アメリカ西海岸への放射能の広がりが、思いがけず認められたのに、初期の報道(APとロイター)は「外交筋によると、微量の放射性分子がカリフォルニアに届いた。しかし人体への影響はない」とだけ述べた。
 
   「報道によると、匿名の情報源が、国連の包括的核禁止条約機構による
    測定機関のネットワークからの情報を得ることができた。
 
    ・・・アメリカ合衆国原子力規制委員会の委員長グレゴリー・ヤッコは、木
   曜日(3月17日)ホワイト・ハウスに次のように話した。ここアメリカやアメリ
   カ領土のどこも危険な放射能レベルを観測していない、と専門家は見てい
   る。」


(放射能降下地図)
 
 
(世界的汚染)
 

(典型的な風の軌跡)
  放射能の拡散、2011年3月
 
一般健康災害、経済的影響
 
広まっているのは、よく組織されたカモフラージュである。日本の一般健康災害である水質、農地、食物連鎖の汚染は、経済的、社会的影響は言うまでもなく、十分認められておらず、また日本当局による包括的、有効な方法で取り組まれてもいない。
 
国民国家としての日本は破壊された。その国土と領海は汚染されている。国の一部は居住不可能である。高濃度の放射能が東京首都圏で記録された。そこには3,900万人[2010年]が住んでいる(3,400万人[2010年]のカナダの人口より上回る)。食物連鎖は日本中で汚染されているという指摘がある。
 
   法定許容量を超える放射性セシウムが、静岡市の工場で作られるお茶
   から検出された。そこは福島第一原発から300キロ以上も離れている。
   静岡県は日本で最も有名なお茶の生産地である。
 
    東京のお茶卸売業者は、静岡市から運び込まれたお茶から高レベルの
    放射能が検出されたと静岡県に報告した。県は工場にお茶の出荷を控
    えるように命令した。福島第一原発事故の後、お茶の葉や焙煎したお茶
    から高濃度の放射能が、東京周辺で広範囲にわたって発見された。
    (注5:さらに多くの会社が福島から300キロ以上離れた地域で許容量を
    超える放射能を検出する、2011年6月15日)
 
日本の産業、製造業基盤は打ちのめされた。日本はもはや主要な産業国家ではない。国の輸出は急激に低下した。東京の政府は、1980年以来始めて貿易赤字を報じた。
 
商業メディアが、産業活動における停電やエネルギー不足の影響を一方的に書き立てているが、国のインフラや産業基盤の放射能汚染というさらに主要な問題は、「科学的タブー」である(つまり、工場、機械、設備、建物、道路などの放射能)。2012年の報告では建築業で使われる建築資材(日本中の道路や住宅建設)の放射能汚染が指摘されている。(参照:福島:日本の住宅や道路の放射能、放射の汚染の建築資材が200以上の建築業者に売られる、2012年1月)
 
経産省による「隠蔽報告」、「東日本大震災による経済的影響と復興の現段階」と題する報告には、既成事実としての「経済回復」が示されている。それはもちろん放射能の問題を避けている。労働力や産業基盤への放射能の影響は述べられていない。東京-福島第一間の距離は約230キロ(約144マイル)であり、東京の放射能レベルは香港やニューヨークよりも低い(経産省「東日本大震災の影響と復興の現状」p.15)。この声明は、確証的な証拠も挙げず、明らかに東京における民間放射線調査とも矛盾する(下図参照)。最近、綜合警備株式会社は、商売として「東京や他の4つの周辺県で、家庭を対象にした放射線測定サービスを開始した」。
 
放射能レベルを測定した「市民マップ」は、北日本の広範な地域にわたる複雑な山地地形を反映し、風向きの変化による放射能分布を示している。東京は地図下方の中央にある。

 
SOURCE: Science Magazine
 
    「放射能は毎時0.1マイクロシーベルト以上から青色である。赤色はその
    約50倍で、毎時5.0マイクロシーベルトの民間放射線基準である。子ど
    もは大人より一層影響を受けやすいので、これらの結果は汚染地域の
    幼い子ども達の親にとって大きな懸念材料である。」
 
根本的な問題は、「日本製」の広範な工業製品や部品(ハイテク部品、機械、電子機器、自動車など)が、海外に輸出されていて、汚染されているかどうかということである。もしそのような場合には、東南アジアの産業基盤は、日本の部品や産業技術への依存度が高く、影響を受けているだろう。国際貿易への影響の可能性は計り知れない。この点で1月、ロシア当局は、ロシアで販売用の日本の汚染された自動車や自動車部品をウラジオストックで差し押さえた。言うまでもなく、グローバルな競争環境におけるこの種の出来事は、既に危機に陥っている日本の自動車産業の消滅につながる可能性がある。
 
ほとんど自動車産業が日本の中央部にあるのに、いわき市の日産エンジン工場は福島第一原発から42キロの位置にある。日産の労働者は影響を受けているだろうか。エンジン工場は汚染されているのだろうか。工場は、政府の「避難地域」から約10キロから20キロ圏内にある。避難地域からは約20万人が避難した。(下図参照)
 
核エネルギーと核戦争
 
日本の危機はまた、核エネルギーと核戦争の暗黙の関係を明らかにした。
 

 
原発は民間経済活動ではない。それはいわゆる防衛業者によって支配されている核兵器産業の付属物である。原発と核兵器の背後にある強力な企業利益は重なっている。
 
日本で大災害の真っ最中、「原子力産業と政府機関は、日本の民間原子力発電所に隠された原子爆弾研究施設が発見されないように躍起になっていた。」1(参照:島津陽一「福島原子力発電所内の秘密の兵器計画」グローバル・リサーチ2011年4月12日)
 
注目すべきなのは、メディアも政府も放射能被害に無頓着なのは、核兵器の使用と同様、原発産業と関係していることだ。どちらの場合も、衝撃的な放射能の健康被害が何気なく否定されていることだ。広島原爆の6倍もの爆発力をもった戦術核兵器が、ペンタゴンでは「周辺住民には安全なもの」として言われている。
 
政治的レベルでは、米・NATO・イスラエルが、イランを攻撃する可能性とその影響に関して、いかなる懸念も表明されていない。そこで「市民には安全」な戦術核兵器を非核保有国に向けて使用するのだ。
 
そのような行動は「想像を絶する」結果を生むだろう。中東や中央アジアの広大な地域での核兵器ホロコーストである。しかし核兵器の悪夢は、核兵器が使用されなくても起こるだろう。通常兵器を使ってイランの核施設を爆撃すれば、膨大な死の灰を伴った、もう一つの福島型大惨事を起こすことになる。(詳細はミシェル・チョスドフスキー『第三次世界大戦のシナリオ、核戦争の危機』グローバル・リサーチ、モントリオール2011年)
 
福島に関するオンライン双方向I-Book読み物、「戦争なき核戦争」
 
政府の隠蔽やメディアの偽情報の観点からすると、このオンライン双方向読み物の記事とビデオ報告の内容はより広い人々に伝わらなかった。(下の内容を参照)
 
この福島オンライン双方向読み物には、分析的、科学的記事やビデオレポートが、短いニュース報道や確証されたデータとともに入っている。
 
第一部は、福島原発事故に焦点を当てている。どのように起こったのか。
第二部は、日本における衝撃的な健康、社会的影響についてである。
第三部は、「隠された核大惨事」、つまり日本政府と企業メディアによる隠蔽を中心に扱う。
第四部は、世界的放射能汚染の問題に焦点をあてる。
第五部は、世界的原発産業における福島事故の意味を検討する。
 
絶えざるメディア偽情報に直面して、このグルーバル・リサーチのオンラインI-Bookは世界的放射能汚染に関して、メディアの空隙を埋め、人々の関心を高めることを意図している。また政府や原子力産業やメディアの共謀にも注目している。
 
我々は読者にその言葉を広げてもらいたい。
 
我々は、この福島に関する双方向読み物を生徒達が利用できるように、大学や高校の先生に紹介している。
 
ミシェル・チョスドフスキー2012年1月25日
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アメリカの破産家庭の3分の2は、法外な医療費が原因
--- 調査結果

Medical costs cause two-thirds of all bankruptcies in the US - study

RT /Home/USA News 2019年2月12日 

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月28日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/usa/451316-medical-costs-bankruptcy-illness/

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Medical costs cause two-thirds of all bankruptcies in the US - study
FILE PHOTO © Reuters / Yorgos Karahalis

、アメリカにおける破産申告の3分の2が、医療支出が部分的にも原因となっている、との新しい調査結果が出た。 医療費が天文学的数値になっているので、ほとんどのアメリカ人は「ひとつ重い病気をすればそれで破産」になってしまう。

多くのアメリカ人にとって、ケガや病気の治療をすることは、問題の解決ではなく、問題のほんの始まりに過ぎないということである。 個人負担で治療すると法外な費用がかかるので、毎年約53万家族の家計が破綻していると、ニューヨーク市立大学(CUNY)の調査結果が、「アメリカ公衆衛生」誌上に先週発表された。

医療費関係の破産は、アメリカにおける毎年の破産申告の66%強を占める。

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© Pexels           
Medical tourism to Russia booms as high-quality, low-cost treatment attracts foreigners
ロシアへの医療ツアーが、高度で低コストの治療だと、海外で人気を集める


「ビル・ゲイツでもない限り、ひとつ重い病気をすればそれで破産です。 中流アメリカ人にとって、健康保険が自分の身を守ってくれることはまずありません。 アメリカの医療保険契約には抜け穴、自己負担、控除免責条項が多すぎて、病気をすればすぐ救貧院行きになりかねません」と主任研究員のデイビッド・ヒンメルシュタイン博士は述べた。

ヒンメルスタインは「国民健康プログラムを目指す医師団」の一員で、それは「単一支払者制度、社会医療制度を推進する組織である。 彼の言によれば、今回の調査で示された数値は、2010年には「医療費負担適正化法(オバマケア)」(ACA)が成立しているにもかかわらず、2001年と2007年に実施された同様の研究と大差ないという。 

ACA(オバマケア)成立後最初の三年で、調査対象となった債務者の67.5%の人が、医療費が原因で破産したと言っている。 ACAが成立する前は65.5%だった。 今回の調査がとくに注目したのは、中流アメリカ人の方が貧困層より破産申告者が多かった傾向だ。 貧困層は中流層よりもACAの恩恵に多く恵まれていたのかもしれない。

「アメリカ退職者協会」の数値では、癌の治療になると患者負担は平均15万ドルかかる。 一方、心臓発作などの普通の病気の治療費は3.9万ドル前後だ。  

こういった背景もあり、70%のアメリカ人が、社会主義者バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)が起草した野心的な国民医療法案「すべての人にメディケア」を支持している。 2020年の大統領選に民主党からの出馬を考えている民主党員の中で、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ)とトゥルシー・ギャバード下院議員(ハワイ)は同法案を支持、カーマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア)とコリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー)の二人は最近のインタビューで、部分的な賛意を表明した。

しかしながら、医療費の個人負担は患者を破産させるが、公負担にすると国を破産させかねない。 共和党系のシンクタンクが昨年行った研究の見積もりでは、「すべての人にメディケア」法案が施行されると、納税者の負担が10年で32.6兆ドルとなる。 サンダースの数字はもっと控えめで、13.8兆ドルだ。 サンダースの見積もりでは連邦予算が30%膨らみ、年間の軍事予算までも縮小の対象となっている。 

関連記事

BRICS五カ国、独自の支払いシステム創設へ
――西側依存からの離脱

BRICS countries to create own payment system to cut dependence on West

RT / Home / Business News/ (2019年3月1日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月24日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/business/452737-brics-own-payment-system/

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BRICS countries to create own payment system to cut dependence on West
© Getty Images / Jasmin Merdan

経済的に大きく躍進している五カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)がブリックス・ペイと呼ばれる、新たな支払い共同システムを開発中、とロシアメディアのイズベスチャが報じている。 

BRICS五カ国は、各国の支払いシステムを統合する特別なオンライン決済サービスの創設を考えている、とイズベスチャは、金曜日、ロシア直接投資資金(RDIF)の例を挙げ、報じた。 イズベスチャの報道に依れば、RDIFは開発に必要なテクノロジーを持っている中国やインドからの協力者たちと共に、現在同様のプロジェクトに取り組んでいる。 

このオンライン決済サービスは現存するアップルペイやサムソンペイと同様のものであり、決済はスマートフォンのアプリを使って行う。 利用者の銀行口座はいかなる通貨でも構わない。 クラウド上に特別な共有サイトを設定する予定で、BRICS五カ国は自国の支払いシステムをそこにリンクさせる。  

この支払いシステムのパイロット版は四月南アフリカで試行される予定だ。 ちなみに南アフリカが2010年12月加盟したことで、BRICSという現在の呼称が出来上がった。

BRICSが自前の支払いシステムを持つことで、多国籍支払い組織への依存を大幅に軽減でき、それは地政学的緊張関係の中でとりわけ重要な意味を持つ、とRDIF副頭取はイズベスチャに語った。 また、ロシア商工会議所会長の言葉として、金融市場の乱高下とドル相場を考慮すれば、各国通貨システムを統合することはBRICSにとって最優先課題である、と伝えている。

BRICS五カ国の中央銀行は、上海協力機構やロシアが主導するユーラシア経済連合(EEU)と同じように支払いシステムの共同空間の開発に取り組んでいる。 しかし、ロシアの中央銀行は、ロシアの財務省と同様、オンライン決済サービスを創設するかどうかの議論を特にまだ始めているわけではない。 これはイズベスチャが報じているところだ。

南アフリカは別だが、その他のBRICSの国々はそれぞれ自国内の支払いシステムがある。中国はユニオンペイ、インドはルペイ、そしてブラジルはELOだ。 ロシアの支払いシステムミールペイは、西側の同国に対する経済制裁が発動された1年後の2015年、ロシア中央銀行によって立ち上げられた。 

主要五カ国のドル離れとその理由

Top 5 countries opting to ditch US dollar & the reasons behind their move

RT/ Home/Business News/   2019年1月2日 

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月23日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/business/447915-top-states-ditching-dollar/

Top 5 countries opting to ditch US dollar & the reasons behind their move
© Getty Images

昨年は、世界の地政学的空間を二つの陣営に分裂させることになった出来事がたくさんあった。 二つの陣営の一つは、ドルを普遍的金融ツールとして使うことを支持する陣営であり、もう一つはドルから離反しつつある陣営である。 

アメリカ政府が仕掛ける様々な経済制裁や貿易摩擦によって国際的な緊張が高まり、標的となった国々は、現在のドル一辺倒の支払いシステムを見直さざるを得なくなっている。 

RTは最近の「脱ドル化」現象の真相を探った。 以下、主要五カ国のドル依存脱却の現状と依存脱却に至る理由をまとめた。

中国

米中間の貿易摩擦が進行中であることと、また中国の主要貿易相手国への経済制裁のため、世界第二位の中国経済は、やむを得ず自国経済のドル依存緩和へと舵を切っている。

中国政府には特徴的なソフトパワー・スタイルで、この問題に関してまだ声高な声明は出していない。 しかし、中央人民銀行は米国債の保有高を定期的に削減している。 それでもなお中国は世界最大の米国債保有国だが、2017年5月以来過去に例を見ないほどの保有高にまで削減した。 

さらに、中国は直ちにドルに背を向けることはせず、自国通貨である元を国際化する努力をしている。 これまでドル、円、ユーロ、そしてポンドで構成されていたIMFの通貨バスケットに、2016年、元が加わった。 中国政府は元の強化に向けて、最近次のような手段を講じている。 
    ① 金保有量を増やす
    ② 元建ての原油先物取引を手がける
    ③ 貿易相手国と元で交易する

野心的な「一帯一路」構想の一貫として、元の使用を促進するため、参加国へ「スワップ執行ファシリティ」*を導入する計画がある。 さらに、中国は「地域包括的経済連携(RCEP)」と呼ばれる自由貿易協定を積極的に推し進めている。 この協定には東南アジア各国が含まれる。 RCEPは「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」に容易に取って代わることもできるだろう。 アメリカはトランプ大統領が政権を取るとすぐに同協定から離脱したため、TPPの骨組みはガタガタになっているからだ。 RCEPには16カ国が参加しており、34億人近い人口をまとめ上げる協定となることが期待され、49.5兆ドル規模の経済基盤を形成することになる。 これは世界のGDPのほぼ40%にあたる。 
   *[訳注:スワップ執行ファシリティ(swap-execution facilities) ]  (「投資
   用語集」より)
      デリバティブ取引は実態把握が困難であり、そのためリーマン・ショッ
     クに端を発する金融危機を未然に防げなかったとの反省から、2013年
     10月から米国で導入された電子取引基盤のこと。
      デリバティブ取引の大半が情報開示の義務の無い店頭(OTC:over-the
     -counter)等の相対取引であったため、金融危機再発防止のたに制定さ
     れたドッド・フランク法(金融規制改革法)によりデリバティブ取引をスワッ
     プ執行ファシリティ(SEF)上で行うことが義務付けられ、取引所の売買と
     同様でそれぞれ複数の売買注文を受け付けて取引を成立させることと
     なり、取引の透明度の向上や金融規制当局の不正監視が容易となった。
     また、デリバティブ取引の清算後に取引情報蓄積機関(swap data
     repository)への取引報告も義務付けられている。
      EUにおいては、「組織化された取引施設(OTF:organized trading facility)」
     がSEFと同様な電子取引基盤として整備されている。


インド

世界第六位の経済大国にランクされるインドは、世界最大の商品輸入国のひとつである。 同国が世界のほぼすべての地政学的紛争からの影響をまともに受け、貿易相手国に課せられた制裁によって大きな影響があることは当然である。

今年初め、インド政府はルーブルを使ってロシア製S-400対空システムの対価を支払った。 アメリカがロシアに対して経済的なペナルティーを導入した結果である。 インドは、また、アメリカ政府がイランに対する経済制裁を再開した後、ルピーを使ってイランの原油を購入せざるを得なかった。 12月、インドとアラブ首長国連邦は「通貨スワップ」協定に調印し、第三者の通貨[ドル]を介さずに、交易と投資の拡大を図ることにした。

インドが購買力平価では世界第三位の国であることを考えると、同国のこのような動きは世界貿易におけるドルの役割を著しく低下させることにもなるだろう。 

トルコ

今年初め、トルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンはドル独占を終了させる新しい政策を発表し、貿易相手国とは非ドル仕立ての交易を目指す、とした。 その後の声明で、エルドアン大統領は、中国、ロシア、ウクライナと自国通貨で交易する準備を進めていることを発表した。 また、トルコはイランとの交易にドルではなく自国通貨が使えないかどうかの議論も行った。 

こういった動きの背景には、いくつかの政治的、経済的理由がある。 トルコとアメリカの関係は、2016年のエルドアン大統領追放クーデター未遂事件以来、悪化している。 報道によれば、エルドアンはこのクーデターにアメリカが関与しているのではないかと疑っている。 そして、トルコ政府がクーデターの黒幕として非難している亡命中のイスラム聖職者フェトフッラー・ギュレンに、アメリカが隠れ家を提供していることを糾弾している。

トルコ経済が落ち込んだのは、クーデター未遂事件に関連して、アメリカの福音派牧師アンドルー・ブランソンがテロ容疑で逮捕されたことに対して、アメリカが経済制裁を導入してからだった。 

エルドアンは、アメリカ政府が、①世界貿易戦争の端緒を開いた、②トルコに経済制裁を科した、③イランを孤立させようとしたことを繰り返し非難した。

さらにトルコは、ドルから離れ、自国通貨を支える試みに取り組んでいる。 トルコ通貨リラはドルに対して昨年度比ほぼ50%安となっている。 リラ暴落に、猛烈なインフレと物価、公共サービスの値上げが加わり、事態はさらに悪化した。

イラン

イランは世界交易の場面に意気揚々と復帰したが、長くは続かなかった。 トランプは大統領当選後、2015年イランとの間で署名された「核合意」から離脱する選択をした。 この「合意」にはイギリス、アメリカ、ドイツ、ロシア、中国、そしてEUも参加していた。

石油資源の豊富なイランは、アメリカ政府が再開した厳しい経済制裁の標的となった。 アメリカは、同時に、この禁輸措置に違反するいかなる国もペナルティーの対象になる、と脅した。 一連の懲罰的措置でイランとのビジネスは禁止され、イランの石油産業は身動きが取れなくなった。

アメリカが経済制裁を発動したため、イラン政府はドルに代わる通貨で、輸出した原油の代金を受けざるを得なくなった。 インドの原油代金支払いはインド通貨ルピーで行う契約で、イランは何とか取引きをつなぎ止めることができた。 また、隣国イラクとは通貨を介在させない「バーター取引」の交渉も行った。 この二国は、相互交易にイラク通貨ディナールを使うことも計画している。 ドル依存の度合いを減らすためだ。 アメリカの経済制裁に関連して、銀行業務には種々の問題が発生している。

ロシア

アメリカは「ドルの信頼を失墜させる」ことで「戦略的には壮大な誤りを犯している」、とプーチン大統領は述べた。 プーチンは、ドルを使った取引きの制限や、ドルの使用を禁ずる指示を一度もしたことがない。 しかし、今年初め、ロシア金融大臣アントン・シルアノフは、次のように語った。 ロシアとしてはアメリカ国債の保有を止め、より確かな資産としてルーブル、ユーロ、そして貴金属に傾かざるを得ない、と。

ロシアは、自国経済の脱ドル化に向けた措置をすでにいくつか実施している。 2014年以来、様々な問題をめぐるアメリカの経済制裁のために、ずっしりとロシア経済に大きな負担をかけてきているためだ。  アメリカが、ロシアの金融システムを標的にした新たな、一層厳しい経済制裁の脅しをかけきたので、ロシアは、「国債銀行間通信協会(SWIFT)」、Visa、マスターカードに代わる自国支払いシステムを開発した。 

これまでのところ、ロシア政府は輸出取引きの一部で、ドル建てを止めることができた。 中国、インド、そしてイランを含む国々と「通貨スワップ」協定の署名をしている。 ロシアは最近、ドルではなくユーロを使ったEUとの交易を申し出た。

かつてはアメリカ国債保有高上位10カ国に入っていたロシアだが、それをほぼゼロにした。 アメリカ国債を売却したお金を使い、外貨準備高を増やし、自国通貨ルーブルを安定させるため金の備蓄に努めている。 
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バーニーよ、お前もか?サンダース、
米タカ派のベネズエラ政権転覆路線に同調

Et tu, Bernie? Sanders shamed for joining US hawks in Venezuela regime change push

RT /Home/USA News/ ( 2019年2月24日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月19日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/usa/452276-bernie-sanders-venezuela-regime-change/

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Et tu, Bernie? Sanders shamed for joining US hawks in Venezuela regime change push
ベネズエラとブラジルの国境、ブラジルのパカライマで、ベネズエラ国旗を持つ人々。 2019年2月23日© Reuters / Bruno Kelly

自称民主的社会主義者のバーニー・サンダース上院議員に対して、彼の支持者たちから「一体どうなっているのだ?」という声が、今、上がっている。 彼がトランプ政権とそのベネズエラ政権転覆の動きに明らかに同調しているからだ。

2020年の民主党の大統領指名選挙に出馬することを今週表明した後、サンダース(無所属 バーモント州)は、自分のツイッターが医療、賃金格差、そして金持ち層への課税などで沸騰していることから逸れて、アメリカのベネズエラに対する「人道的支援」を支持する内容のツイートをした。 トランプ政権はこの「人道的支援」を利用しながら、「暫定大統領」と自ら宣言したフアン・ガイドを後押ししているのだ。

ベネズエラの人々は現在深刻な人道上の危機に曝されている。 マドゥロ政権は、国民が今必要としているものを第一に考え、人道的支援を受け入れるべきだ。 そして、抗議する人々への暴力は絶対すべきでない」とサンダースは土曜日にツイートした。

このツイートにはベネズエラの政権転覆をよしとするアカウントからは賞賛の反応、保守層からの声は多少冷笑的だった。 反面サンダースの政治姿勢に共感するバーモント州の支持者たちからは、「本当にがっかりした!」との声が一斉に上がった。 政権転覆工作に反対するジャーナリストや有名人からも失望の声があがった。 

バーニーさん、どうかしちまったのかよ!」とツイートしたのはロジャー・ウォーターズ。 彼はピンクフロイドを立ち上げたメンバーの一人で、歯に衣を着せずアメリカのベネズエラ介入に反対の声を上げている。 トランプ、ボルトン、エイブラムスやルビオなどと意見を同じくするなら、大統領に立候補しても「選挙民に信頼してもらうのは無理だよ」とサンダースに言い含めた。 

いいか、あんたはバーニー・サンダースだよ。 マイク・ペンスやジョン・ボルトンやエリオット・エイブラムスのような連中が、純粋な気持ちでベネズエラ国民の人道に関わるほどの窮状を軽減しようと頑張っているとでも思っているのか? あいつらの送っている『食料と医薬品』には魂胆があるに決まっているじゃないか! あんたは正気か???」とジャーナリストのマイケル・トレイシーは書いている。 

戦争犯罪人たちは、過去、支援物資に武器を忍び込ませるようなとんでもないことをやっている。 サンダースはそんな手口を支持するようなことをすべきでない。 だったら自分も同じようにやろう、と考える民主党員が増えるだろうし、社会主義者からの支持も失うだけだ」と書くのは調査サイト「The Empire Files(帝国ファイル)」を運営しているアビー・マーチンだ。

バーニー・サンダースというアメリカで最も傑出した、社会主義者を自称する人物が、トランプ政権の細工した介入主義の言い分に巻き込まれるのは, 米国政治において非常にかなしいことだ。」とコメントするのはサイト「Grayzone」のジャーナリスト、マックス・ブルーメンソールだ。 彼は現在ベネズエラで緊迫した情勢を取材中だ。

サンダースのツイートは一般のサンダース支持者からも不評だ。 「しっかりしろよ、バーニー」とか「見かけ倒しだったな」という言い方から、ここに印字できないような悪口雑言までいろいろだ。 

一人のポッドキャスト配信者は、外交政策顧問のマット・ダスを解任しろ、とサンダースに言っている。
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韓国の保守派 -----「南ー南摩擦」と核危機

The Conservatives, “Nam-Nam Friction” and Nuclear Crisis in South Korea

ジョセフ・H・チャン教授

グローバル・リサーチ 2019年2月26日

(翻訳:新見明 2019年3月14日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/conservatives-nam-nam-friction-nuclear-crisis-south-korea/5669716



最近5つの韓国政党党首がワシントンを訪れた(2月12日~14日)。その任務はハノイでの2回目のトランプー金正恩会談の支援をするためである。

しかし、信じがたいのは、4つの政党党首がサミット成功のロビー活動をしたのに、主要な野党保守党、自由韓国党 (LKP)の黄教安(ファン・ギョアン)党首は、北朝鮮を信頼すべきでなく、朝鮮戦争を終わらせるべきでないとワシントンの政治家に説得しようとした。この党は核危機の継続を願っているようであった。

このエピソードは、韓国社会がいかに深く「保守派」と他の住民と分断されているかを示している。特に核危機や南北問題に関して意見がわかれるのだ。保守とその他住民の関係は、相互に疑い、不信、恨み、さらには正に敵意にまで到るのだ。

保守派とその他の住民との摩擦は、「韓国内の南ー南摩擦」と呼ばれる。

これは韓国の深刻な問題である。これは和平過程のみならず、民主主義の将来にとっても、南北経済協力、そして最終的な朝鮮の再統一にさえ影響する。

最初にこの文章では、保守派グループの起源に焦点を当てる。このグループは、日本人に協力した人々によって設立された。だから朝鮮人の目には、保守政府は統治に正当性がなく、人民の信頼もないのだ。

2番目に、保守政権は正当性や人民の信頼に欠けるので、できる限り長く統治する必要があったことだ。保守派は、韓国を58年間にわたって統治したのだ。

3番目に、保守政権をそんなに長く統治させた抑圧的手段やいかがわしい戦術についてである。

4番目に、この章では、朝鮮人民がどのように保守政権と闘ったかを見ることにする。

最後に、第5章ではいくつかの結論を引き出す。

***
1. 親日保守派グループの起源

保守派グループの起源を探るためには、朝鮮が日本に不当に併合された1910年に戻らなければならない。裏切り者グループの反愛国的な行動のために併合が可能となったのだ。このグループは親日で、当時首相の李 完用(イ・ワンヨン)に率いられていた。彼は李朝高宗皇帝の承認なしで併合条約に署名したのだ。

35年間の厳しい日本の植民地統治の間、多くの親日派メンバーは日本に協力し、日本の植民地政府と共謀して権力を乱用した。そして朝鮮人青年を日本やその他の奴隷労働現場に送り、朝鮮人青年を日本の帝国軍隊に勧誘して送り込んだ。また朝鮮愛国者に属する土地や他の不動産を没収したり、朝鮮人の氏名を日本名に変えさせたりした。

日本によってなされた人道に対する最悪の犯罪の一つは、大規模な慰安婦問題だ。20万人の10代の少女は、ほとんど朝鮮人で、捕らえられて日本の軍隊に送られた。そこで彼女らは何年もの間、悲惨な非人間的性奴隷として苦しんだ。親日朝鮮人の中には、これらの少女を性奴隷として働かせるため、日本の警察に協力して探し出し、送り出す者もいた。

親日保守派グループによってなされた最も深刻な犯罪は、日本の抑圧的な植民地主義に対して、朝鮮の独立のために命をかけて闘った朝鮮人愛国者の逮捕に協力したことだった。

協力者達は、自分たちが抵抗する朝鮮人を犠牲にして日本の利害に奉仕していることがわかっていた。

1945年朝鮮は日本の残忍な植民地主義の軛から解放された。通常だったら、朝鮮は日本人に協力した朝鮮人を処罰すべきであった。

しかし、そうはならず、協力者は一人も罰されることはなかった。彼らを罰するために委員会がつくられた。しかしワシントンはそれを許さなかった。1945年から1948年まで韓国を統治したアメリカ軍事政府のもとで、元朝鮮人協力者の多くは、アメリカ軍事政府のために働いた。

1949年、李承晩(イスンマン)は第一次朝鮮政府をつくった。ほとんどの政府高官は元対日協力者だった。警官の約40%は、日本植民地政府下で働いた元朝鮮人警官で組織された。

日本人にただで土地を没収されたことに抗議した3人の朝鮮人が、レールを引き抜いたかどで射殺された。(公開資料より)

朝鮮の愛国者は日本政府に対して主に満州、中国、朝鮮半島で闘った。彼らの多くは中国やロシア軍と共に闘った。彼らの政治的指導者は、1919年中国で設立された朝鮮共和国臨時政府大統領の金九(キム・グ)であった。金九は1945年対日協力者を排除して、独立政府を打ち立てようとして朝鮮に戻った。しかし彼は1949年李承晩(イスンマン)政府によって暗殺された。非常に多くの朝鮮愛国者が暗殺されるか、北朝鮮に逃亡した。

だから、解放後の朝鮮の運命は、元対日協力者の手に握られていた。そして朝鮮社会は明らかに親日協力者と無力な朝鮮人に分断されていた。これが1945年に始まり70年間続いた南-南摩擦である。それは今も続いている。

親日保守派は6つの政府をつくり、6人の大統領がいた。李承晩[イ・スンマン](1948~1960)、朴正煕[パク・チョンヒ](1961~1979)、全斗煥[チョン・ドファン](1987~1992)、盧泰愚[ノ・テウ](1987~1992)、李明博[イ・ミョンバク](2007~2012)、朴槿恵[パク・クネ](2013~1992)である。

これらの大統領はみなその悲惨な任期の終わり方した。一人は学生によって追放され、一人は暗殺され、二人は刑務所に収監された。現在あと二人が刑務所に収監されている。彼らは全て権力の乱用や贈収賄で起訴されたり、現在、起訴されている。

2.長年にわたる保守派政権

親日保守派は、植民地日本人と協力して35年間(1910~1945)統治してきた。そして彼らは1948年以来70年で、さらに58年間、韓国を統治し続けてきた。

皆さんは保守派政権が、どうやって、なぜそんなに長く権力を維持できたのか不思議に思われるかもしれない。それは次の要素で説明がつく。つまり「北風」戦略とクーデターと憲法の改ざんと抑圧的な政策によって権力を維持してきたのだ。

「北風」は選挙戦術であり、保守派によって選挙に勝利するために最大限に利用する。それは2段階がある。一つは選挙2・3週間前に、戦争の恐怖を煽り、国家安全保障を最優先事項とすることだ。そうすることで保守派は、しばしば偽の目撃証言で、北からの脅威をねつ造する。ある場合には、保守派は北に大金を与える代わりに、敵対的行動を頼んだこともあった。しかしその試みはしぱしば失敗に終わった。

READ MORE:Denuclearization of the Korean Peninsula: A Blessing for South Korean People
朝鮮半島の非核化:韓国人民のたまもの


2番目に、保守派はメディア戦略を開始する。彼らは北の脅威から国民を守るのだと選挙民に納得させるのだ。これを証明するために、彼らは保守派軍事政権の長い歴史を自慢する。この戦略は保守派の選挙勝利に非常に有効な手段となってきた。だから北朝鮮が、保守派にとって役に立つ選挙同盟でもあった。

クーデターは、権力を保持する戦術の一つであった。韓国には二つの大きなクーデターがあった。一つは朴正煕が1961年5月16日に行ったもの。もう一つが、全斗煥が1980年12月12日に行ったものである。

憲法の改ざんは、保守派が好むもう一つの政権維持の手段だ。李承晩大統領は1956年憲法を改ざんして、1948年から1960年まで権力に就くことを可能にした。朴正煕大統領は1972年「スシン(維新)」憲法を制定し、1980年に権力を奪取した。そして彼は1987年まで政権にとどまった。

1987年の憲法まで、間接大統領選挙が行われていて、朴正煕将軍と全斗煥将軍は、事前に選ばれた同僚にによって選ばれた。

保守派政権の抑圧的政治は、保守派が権力を維持するもう一つの強力な道具であった。これらの政策の目的は、政府に対する反対派の声を圧殺することだ。これらの抑圧政治は様々な形をとった。つまり、大量殺戮、北朝鮮スパイ容疑のねつ造、警官による攻撃、デモに参加した若い学生を拷問し殺すことであった。それは政府やメディアへの圧力に抗議するデモであった。

どれほど多くの韓国人が、保守は政権によって「アカ」として攻撃され、殺され、投獄され拷問されたか誰にもわからない。しかし数百万人が犠牲者となった可能性がある。李承晩政権下で、20万人以上の無実の韓国人が、済州(チェジュ)や麗水(ヨス)や順天(スンチョン)地域で殺された*。政府は、これらの悲惨な犠牲者を、「共産主義者」とか「アカ」とか「PPal-gaing-ie」と呼んで起訴した。犠牲者の中には、イデオロギーに無関係の子どもや老人も含まれていた。
    *[訳注:李承晩の弾圧
       1948年4月3日 - 済州島四・三事件反乱鎮圧。
       1948年8月15日 - 朝鮮半島南部単独で大韓民国政府樹立を宣言。初代大統領に就任。
      1948年10月27日 - 麗水・順天事件反乱鎮圧。
       1948年12月1日 - 国家保安法を制定。
        1949年6月5日 - 国民保導連盟を組織させる。
       1949年12月24日 - 聞慶虐殺事件。
       1950年6月25日 - 朝鮮戦争勃発。
       1950年 6月 - 国民保導連盟の加盟者や収監中の政治犯など、少なくとも20万人あま
                 りを大量虐殺(保導連盟事件)。](ウィキペディアより)


全斗煥将軍も人民を殺害した。1980年5月18日、光州市民が全斗煥の独裁に抗議して街頭デモを組織した。全斗煥は高度に訓練された空挺部隊を動員し、戦車やヘリコプターで少なくとも1000人が殺された。そして非常に多くの市民が負傷した。さらに全斗煥は、彼の任期中(1980~1987)に山清(サムチョン)教育隊*で大量殺戮が行った。約10万人の若者が、全斗煥政権の政策を支持しなかったり、他の疑わしい理由で大量殺虐が行われた。
   *[訳注:「三清(サムチョン)教育隊事件」とは、1980年に軍事クーデターにより政権を掌握した全斗煥
    元大統領の下で、社会浄化を名分に市民が組織的な暴力を受け、人権を踏みにじられた事件です。暴
    力、密輸、麻薬、詐欺事犯等の社会悪一掃ということで、まともな令状もなく検挙し、検挙者を一方的にラ
    ンク付けしました。そして等級BとCになった4万2千余人を「三清(サムチョン)教育隊」に入隊させ、「純化
    教育」を行いました。1980年8月から81年1月の半年で6万人を越える検挙者があり、無実の市民も多
    数連行されました。教育隊では暴力と過酷な労役が待っていました。88年に被害者たちが真相究明と
    国家補償を求めて立ちあがりましたが、翌年に「三清(サムチョン)教育隊」での死亡者が54名であるこ
    とが初めて国防部によって明らかになりました。被害者たちの長年の要求が実り、04年1月に、「三清
    (サムチョン)補償法」が制定されました。]

  https://www.hurights.or.jp/news/0609/b05.html

これらの大虐殺の真の理由は、腐敗や人権侵害に対する反対の声を、保守派が圧殺するためであった。これらの人々は、「アカ」とか「北と通じている」(Chin-book)とか口実をつけて非難された。言い換えれば、南北の緊張が、人民を抑圧する格好の口実を与えたのだ。

朴正煕や全斗煥の軍事独裁下で、何百万の韓国市民が、「アカ」と「疑われ」、その友人や家族も警察から嫌がらせを受けた。

数え切れない若者が、不当に「アカ」であると告発され、投獄され、拷問され、殺されたのだ。韓国に勉強しに来た10人以上の在日韓国人学生が、朴正煕政権のCIAによって不当に北のスパイとして告発された。彼らはみな後に無罪判決が出たが、これはねつ造されたスパイ事件の典型例であった。

全斗煥政権下で、おびただしい数の学生が拷問され死んでいった。その中には1987年1月14日拷問され死んだ朴 鍾哲(パク・ジョンチュル)*がいた。
 *朴 鍾哲(パク・ジョンチョル、박종철、1965年4月1日 - 1987年1月14日)は、大韓民国釜山直
  轄市出身の学生運動家。治安本部の取り調べ中に拷問により死亡した。その死は6月民主抗争に強
  い影響を与え、韓国の民主化闘争の象徴となった。


 2016年25日、白南起(パク・ナムギ)という名前の老人は朴槿恵政府の汚職に反対する街頭デモで警察の放水銃に撃たれて死んだ。白は10年以上凍結されているコメの値上げを政府に要求しただけであった。

メディアへの圧力は、保守派政府による権力乱用の常套手段であった。李明博政府は、MBCテレビ系列に、何百人というかなり有能なテレビレポーターを解雇させた。彼らが政府の政策に批判的であったという理由で圧力を加えた。


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最も有名なケースは、MBCのChoi Sung-ho(チェ・ソンホ)と李相湖 (イ・サンホ)の解雇である。現在二人は、保守派企業メディアによる大量の偽情報を見破り、素晴らしい仕事をしている。

メディアへの圧力は、朴槿恵政権下でさらに悪化した。彼女の政権は、政権の政策に好ましくない考えをもった1万人の芸術家、映画制作者、画家、その他大勢の個人のリストを作成した。ブラックリストに挙げられたこれらの人々は、常時監視下に置かれ、政府補助金の配分で不利益を被った。

3. 保守派政権の否定的影響

確かに保守派政権は、韓国経済の近代化、工業化、そして急速な発展に重要な貢献をした。特に、韓国経済の離陸過程で朴正煕大統領の強い指導性はよく知られている。しかし、残念なことに彼らは韓国の腐敗文化や南-南摩擦や南北の緊張に大きな責任がある。

韓国保守派政府による58年の支配は、韓国社会に深刻で破滅的な足跡を残した。まず、上で見たように、このグループは日本植民地時代に形成された。彼らの多くは日本の協力者であった。これは彼ら自身が疎外されていて、孤立した状態にあることである。

日本人に協力し、韓国の利益を損ねたため、彼らは国を治める正当性に欠けた。そして彼らは人民の強い抵抗に対処しなければならなかった。このことは彼らに住民が敵対者(敵でないとしても)であると考えさせるに到った。

保守派にとって、北朝鮮は対立者以上であった。北は二つの理由で敵であった。まず初めに、北は共産主義国家であった。二番目に、北朝鮮政府は、親日協力者を敵とみなした愛国者達によって打ち立てられたことだ。だから韓国の保守派は、南の非友好的住民と北の敵対的な相手の両者と対峙しなければならなかった。

このような状況で、保守派の優先事項は、自らの防衛と自らの生き残りに賭けなければならなかった。だから社会正義や国民の福祉は重要なものと考えられなかった。一番の優先事項は、彼らの個人的グループの利害の最大化であった。

そのような状況で、腐敗が広まったのは避けられないことであった。保守派は韓国社会のエリートである。彼らは社会の上流階層である。残りの国民は社会の下層である。古い諺がある。「もし、上流が腐れば、下流も腐る」。保守派の腐敗した風潮は社会のあらゆる部門あらゆる階層に及んだ。つまり腐敗が「文化」になったのだ。

保守派の腐敗として、保守派政権幹部による何百万、何十億ドルにも及ぶ横領が劇的に明らかにされた。

どれほど多くの納税者のお金が、朴正煕大統領や朴槿恵大統領の家族によって奪われたか誰もわからない。それは、海外の不動産に投資され、何十億ドルにもなる可能性がある。

全斗煥大統領や盧泰愚大統領は、何億ドルという納税者のお金を横領したかどで告訴された。                                                
李明博大統領は、何百万ドルの贈収賄で告訴されている。彼はまた悪名高い「4大河川事業」や恥ずべき「海外資源開発外交」を通じて自分が儲けた容疑も受けている。李明博は刑務所で最終審を待っている。こらは彼が15年間にわたって糾弾されてきた最初の裁判である。

腐敗文化は、致命的な損害を社会全体に与えうる。贈収賄による倒産企業の救済は、企業の競争力を弱める。贈収賄のため、危険な犯罪者が刑務所に行かない。kick-knackのため、海軍は沈まない潜水艦を買う。何百万ドルの横領は、警察署長が彼の父親であるため問われることはない。全てこれらは社会を破壊することこの上ない。

しかし私を非常に悲しませることは、腐敗文化と権力の乱用が、人間関係の道義的基盤そのものを揺るがしてしまうことだ。何千年も韓国の個人的関係に行き渡ってきた暖かさ、相互信頼、相互理解がほとんど見られなくなってしまった。お金が人間関係の主要な決定要因になってしまった。

最近では「富は力であり権利である」。お金が神である世界では、人間性は、強き者やお金持ちが、弱き者や貧しき者を軽蔑し、抑圧する。

韓国では、そんなゆがめられた関係は、強者が弱者を虐待することを意味する「カプジル(訳注:パワハラ)」と呼ばれている。2・3年前(2014年12月5日)、カプジルの例として、大韓航空ニューヨーク=ソウル便で大韓航空創設者の娘、趙顕娥(チョ・ヒョナ)の出来事がある。彼女は搭乗スタッフをまるで奴隷のように扱い、侮辱した。問題はスタッフが彼女に出したマカデミア・ナッツの出し方であった。

事実、趙の家族はみんな大韓航空の従業員に対してカプジルを行っていた。残念ながらそのカプジルの行いは保守派を代表するエリートに広まっている。

4. 保守派に対する人々の決起

独裁、権力の乱用、保守派政権の腐敗は、韓国国民が立ち上がらなければ、さらに悪化する。

歴史の重要な局面で、韓国国民は保守派政権に対して街頭に出て闘った。

1960年4月19日、5万人の学生が大統領不正選挙に反対して闘った。これは「4月革命」であった。彼らは李承晩大統領を追放するのに成功した。李承晩はアメリカCIAの飛行機で韓国を脱出した。

1979年10月16日、10万人以上の若者や老人が、朴正煕の大統領職の永続化に反対して釜山-馬山地域で闘った。これは「釜-馬民主闘争」*であった。朴正煕大統領は1979年10月26日大韓民国中央情報部部長によって暗殺された。
   (訳注:釜馬(ブマ)民主抗争は、朴正煕・維新政権下の韓国(第四共和国時代)において最大
   野党であった新民党総裁の金泳三の議員職除名案が大韓民国国会で半ば強引に通過された事件(金
   泳三総裁議員職除名波動)を発端として、金総裁の地元である釜山直轄市(現釜山広域市)と隣接する
   馬山市(現昌原市)で学生・市民が反独裁・民主化を要求した大規模デモである。1979年10月16日から
   20日にかけて発生した。) ウィキペデアより


1980年5月、光州市民は、全斗煥将軍の独裁政治に対して10日間(18日から27日)闘った。これは「5月18日民衆蜂起」だった。1000人以上の市民が戦車やヘリコプターで殺された。そして若い女の子がレイプされた。しかしそれは全斗煥の犯罪体制に対して勝利した。

1987年16日、光州蜂起のあと2・3週間して100万人以上の人々が街頭に出て、新憲法制定のために19日間闘った。維新(ユシン)憲法を終わらせ、直接大統領選挙の新たな政治システムを構築するための闘いだ。この運動が「6月民主運動」*だった。
    [訳注:6月民主抗争は、大統領の直接選挙制改憲を中心とした民主化を要求するデモを中心とした
    韓国における民主化運動の名称で、1987年6月10日から「6・29宣言」が発表されるまでの約20日間
    にわたって繰り広げられた。この民主抗争の結果、大統領直接選挙制改憲実現などの一連の民主化
    措置を約束する「6・29宣言」を全斗煥政権から引き出すことに成功した。]ウィキペディアより


最終的な市民の抗議行動は2016年にやってきた。1700万人以上の市民が、2016年10月から20週間にわたって、朴槿恵政権とその友人たちの腐敗、権力の乱用、有力者の不正取引、高官職の取引、あらゆる種類の違法、不道徳な活動に対して闘った。これが「キャンドル・ライト革命」であった。

朴槿恵は弾劾された。1987年文在寅が民主政権を復活させた。朴槿恵は少なくとも25年間収監される。

5. まとめ

文在寅に率いられたリベラル政権は、朴槿恵大統領の弾劾後、2018年に政権の座についた。

文在寅とともに、韓国はよりよい未来を希望できるかもしれない。つまり、もはや南-南摩擦のない、北と南が協力して共存する、カプジル[パワハラ]ももうなくなり、公共心が取り戻され、お金がもはや「神」とされない未来だ。

しかし保守派は死んだわけではない。腐敗の痕跡はいまだにある。彼らは権力を奪取しようと反撃している。彼らはお金をたくさん持っている。お金は権力を買うことができる。現実的可能性として、彼らは日本の保守派やワシントンのタカ派と共謀して和平プロセスを妨害しようとするだろう。

日本の保守派は核危機を必要としている可能性がある。核危機は選挙で勝たせてくれるからである。ワシントンのタカ派は朝鮮半島の緊張を維持したいと考えている可能性がある。そうすればさらに多くの兵器が売れるからである。韓国の保守派は、選挙で勝てるように非核化を望んでいない可能性がある。同時に兵器売買から裏金が作れるからである。つまり、韓国の保守派は、最も熱心な非核化の反対者でありうる。

たとえ2月末のハノイでの2回目のトランプー金サミットが成功しようとも、保守派は和平プロセスを葬り去ることができる。もし彼らが3年後の大統領選挙に勝利すれば。

それ故、文在寅大統領とリベラル派は二つの選択がある。一つ目は彼らは腐敗の浄化プロセスを通じて保守派を無力にすることができる。これは簡単ではない。よりよい方法はリベラル政権の2期目に勝利することである。これは不可能ではない。

*

ジョゼフ・チャン教授は、モントリオールのケベック大学の統合・グローバル化研究センター(UQAM)にあるEast Asia Obsevatory(OAE)の共同所長である。彼はグローバル・リサーチセンター(CRG)の研究員でもある。
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戦争の親玉:アメリカの兵器産業が
世界の兵器貿易を支配する

Lords of war: US weapons factories dominate global arms trade

RT Business News 2019年1月19日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月9日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/business/449171-us-weapons-first-sales/

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© Reuters / Mark Wilson

「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」による最新報告で、2017年度、世界の巨大兵器産業は合計3980.2億ドルの武器並びに軍事設備を売り上げていることがわかった。 過去15年間と比較すると44%増である。 

「全体の数値に中国のデータは含まれていない。 必要な情報が不足しているので、一貫性のある適正な評価ができないからである」と『報告』は述べている。

『報告』でランク入りする世界のトップテン兵器産業は次の通りだ。

1.ロッキードマーティン社


© Global Look Press

ロッキードマーティン社は、2017年度449億ドルの武器を売り上げだった。 前年度比8.3%増である。 メリーランド州ベセスタに本社のある同社は、兵器売り上げ世界一の座を今年も守った。 同社は、戦闘艦から極超音速ミサイルやジェット戦闘機に至るまで様々な武器を生産している。 また、世界で最も高額の兵器システムであるF-35ジェット戦闘機をペンタゴン(米国国防総省)に納入している。 

2.ボーイング社


© Global Look Press

アメリカの宇宙・航空巨大産業であるボーイング社は、269億ドルの売り上げがあった。 2017年度トップのロッキードマーティン社とは売上高で180億ドルの開きがあった。 

「ボーイング社の兵器売り上げが落ちたのは、KC-46空中給油機の納入が遅れたことと、C-17輸送機の納入が打ち切りになったことが原因になった可能性もある」と『報告』は述べている。

2017年度同社の兵器売り上げは収益全体の29%にしかならない。 昨年はアメリカ政府との幅広い契約にこぎ着けた。 9月だけで、20件以上、総額137億ドルの契約案件に調印している。 

3.レイセオン社


© Reuters / Michaela Rehle

アメリカの兵器製造会社であるレイセオン社は、誘導ミサイルやミサイル防衛システムの製造に関して世界一である。 2017年度の兵器売り上げは、前年度比2%増で、239億ドルの収益があったとされる。 

レイセオン社の製品には実戦で検証済みのパトリオット・ミサイルシステムがあり、 『報告』ではこれが欧州弾道ミサイル防衛の要とされている。  このパトリオット・ミサイルは欧州以外では9カ国で使われている。

4.BAEシステムズ


FILE PHOTO Philippine soldiers aboard an M113 armored personnel carrier during an operation against Islamic militants at a remote village in Butig town, the southern Philippine island of Mindanao © AFP / Richele Umel
画像:イスラム兵掃討作戦中にM113兵員輸送機に乗るフィリピン兵士。南フィリピン、ミンダナオ州、ブチグ町の遠方の村にて。

イギリスの兵器メーカーであるBAEシステムズは、229億ドルの兵器を売り上げで、前年度比3.3%増である。 イギリスは欧州最大の武器生産国の座を2017年度も維持し、総売り上げは357億ドルである。

5.ノースロップ・グラマン社


FILE PHOTO Two Northrop Grumman MQ-4C Triton unmanned aerial vehicles © Reuters

アメリカの兵器製造企業ノースロップ・グラマン社は、2017年度224億ドルの売り上げがあった。 前年比2.4%増の兵器の売り上げで毎年順調に成長している。 航空宇宙や防衛技術を手がける同社は、アメリカのロケットメーカー、オービタルATKを買収し、宇宙でのビジネス拡張をねらっている。

6.ジェネラル・ダイナミックス社


© Reuters / Ints Kalnins

バージニア州に本拠があるこの防衛関連企業は195億ドルの売り上げだが、前年度売り上げ196億ドルからわずかに減少した。 同社のM1エイブラムズ戦車は、過去40年以上に亘り、アメリカのほぼすべての大規模軍事作戦で使用されてきた。 

7.エアバス・グループ


© Global Look Press / Qian Baihua

ヨーロッパ第二の防衛兵器請負企業であるエアバス社は、2017年度の兵器売り上げが113億ドルだった。 航空宇宙を手がける欧州の巨大企業である同社にとって、兵器販売は同社収益の要ではない。 全収益750億ドルの15%を占めるに過ぎない。 宇宙船の商業化や宇宙部門がビジネスの中心となっている。 

ユーロファイター・タイフーンジェット戦闘機は、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインとの提携で完成したものだが、エアバス社製軍事製品として最もよく知られている。

8.タレス社


© Wikipedia

2017年度、フランスの防衛兵器企業であるタレス社は、90億ドルを売り上げた。 これは同社の2017年度全収益の約半分にあたる。 また、兵器販売は前年度比ほぼ7%増をなんとか達成した。 タレス社には装甲車両からミサイル防衛、航法装置にいたるまで幅広い防衛製品がある。

9.レオナルド社


© Reuters

イタリアの兵器製造企業であるレオナルド社は、2017年度89億ドルの収益があった。 これは全歳入の68%にあたる。 同社はヘリコプター、ミサイル、ドローンを製造しているが、非軍事的宇宙プログラム用の装備も手がけている。 

10.アルマズ・アンテイ社


© Reuters / Maxim Shemetov

ロシアの武器供給企業であるアルマズ・アンテイ社は、SIPRIの年間ランキングで上位10社にランキングされた。 2017年度、ロシア最大の兵器製造企業である同社は売り上げを17%伸ばし、86億ドルに達した。 同社の主力製品であるS-400(移動式地対空ミサイルシステム)は、過去5年間、国外の何十という軍事関係バイヤーたちの注目の的となっている。 

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アメリカにおける死亡原因のトップは薬物(オピオイド)、
交通事故死を上回る

Opioid overdoses surpass car crashes among leading causes of death in US - report

PREPARE FOR CHANGE   2019年1月15日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月9日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://prepareforchange.net/2019/01/30/opioid-overdoses-surpass-car-crashes-among-leading-causes-of-death-in-us-report/

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Opioid overdoses surpass car crashes among leading causes of death in US - report
Opioid overdose rescue kit (file photo) © Reuters / Andrew Kelly

アメリカ人の死亡率は、オピオイド(アヘンに似た作用をもつ合成麻酔薬)の過剰摂取が交通事故死を上回っている、との最新統計的分析が公表された。 自殺が病気以外の死亡原因では依然トップである。

オピオイド過剰摂取で死亡した人の数は、この20年で三倍に増え、2017年は43、000人を超えた。 議会から認可された非営利団体である安全性評議会(NSC)の新しい報告である。 それに比べて、同年交通事故で死亡した人の数は40、000人を少し超えた程度だった。 

NSCの統計分析によれば、アメリカ人死亡者の93人に1人はオピオイドが原因で、103人に1人は交通事故が原因で死亡したことになる。 アメリカ史上初めての事態だ。 

「「メリカ人は、はっきり事故と呼べるようなことが原因となり、過去50年間見たこともないような比率で、死亡しています。毎日466人の命が失われているなんて自慢できる数字ではありません」とNSC統計部門主任ケン・コロシュは語った。

オピオイド問題に関する他の統計でも、ぞっとするような数値が出ている。 一日当たり62人のアメリカ人がオピオイドの過剰摂取で死亡していると推定される。 つまり、年間22、630人の死者で。ベトナム戦争の戦死者数全体の3分の2以上になる。 圧倒的な死亡原因はフェンタニルと呼ばれるヘロインを含有することの多い合成オピオイドだ。  

この調査が実施された年、トランプ大統領は「非常事態」を宣言した。

もう一つのぞっとする数値としては、自殺が病気以外の死亡原因として断然トップになっていることだ。 オピオイドや交通事故よりも多い47、000件の死亡例が2017年報告されている。 対照的に、殺人事件は17、284件が報告されている。
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アビー・マーチン:ベネズエラから手を引け

Abby Martin: Hands Off Venezuela

テレスールEnglishさんの投稿

グローバル・リサーチ 2019年2月5日

(翻訳:新見明 2019年3月5日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/video-abby-martin-hands-off-venezuela/5667673?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles



最初ベネズエラに行って私はわかった。
どれほどメディアが実際の現場について私達に嘘をついているかを。

アメリカ政府とそのプロパンダ機関は言う。
そこでは大量飢餓と国内不安がアメリカの介入を求めていると。

彼らは意図的に重要な事実について話さない。
アメリカ経済制裁によって、国内の私企業と国外からなされた壊滅的な経済戦争についてだ。

トランプの経済制裁はベネズエラ経済を弱体化させた。
去年だけで60億ドルに上る。
そして制裁は貧困層や労働者階級にひどく影響を及ぼす。

その戦略は人々を飢えさせ、屈服させるのだ。
そして皮肉にもその人道危機をさらなる介入の口実に使うのだ。

何百万人の人々がマドゥーロ追放を要求している、と彼らは言う。

しかし彼らは意図的に見せない。人々がマドゥロを支持し、彼に投票し、また
通りに出て犯罪的なクーデターの試みに抗議しているのを。

クーデターはグアイドが憲法を復活させる民主主義だと言う。
去年大統領選挙が行われたばかりの国で、自分を大統領だと宣言している。

私達は以前こんなプロパガンダの台本を見たことがある。
ラテンアメリカでも中東でも、
そしてそれは実際に同じ戦争犯罪人によって行われてきた。

ジョンボルトンはイラク戦争で、
エリオット・エイブラムズはグアテマラの大虐殺の手助けをしたのだ。

いわゆる自由報道という名の下に、100万人のイラク人が、嘘で塗り
固められた戦争で死んだのだ。

全ての進歩派と反介入主義者は、ベネズエラの兄弟、姉妹と連帯しなけれ
ばならない。
彼らの主権を守るため、彼らに自分たちの未来を決定させるために、
アメリカの制裁と介入から解き放たれて。

私達はこう呼ばなければならない。それは血に飢えたトランプ政権による、違
法なクーデターだと。

ラテンアメリカの独立した国を転覆させ、石油を簒奪しようとする違法な軍事クーデターだと。

トランプは既にアメリカが軍事介入をして、彼らの石油を略奪すると脅している。
何百万人の命が危険にさらされているのだ。

今や、アメリカのもう一つの石油戦争に反対するために、皆さんの声を必要としているのです。

ベネズエラから手を引け!
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ビデオ:本当の人道支援、
ベネズエラの国が支援する地域市場

Video: The Real Humanitarian Aid: Inside Venezuela’s State-subsidized Communal Markets

マックス・ブルーメンソール

グローバル・リサーチ 2019年2月25日

(編集:新見明 2019年3月4日)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/video-the-real-humanitarian-aid-inside-venezuelas-state-subsidized-communal-markets/5669654
The Grayzone’s Max Blumenthal toured open air markets in Caracas full of food and supplies subsidized by the Venezuelan government, which debunk the “humanitarian crisis” lie spread by corporate media.



「グレーゾーン」のマックス・ブルメンソールが『カラカスの屋外市場を訪れたが、国が支援する食料や供給品であふれていた。そして企業メディアによって広められている「人道危機」の正体を暴く。


*

READ MORE:Video: Abby Martin: Hands Off Venezuela
ビデオ:アビー・マーチン:ベネズエラから手を引け


The original source of this article is The Grayzone Project

Copyright © Max Blumenthal, The Grayzone Project, 2019
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「プーチン万歳!」ハイチの抗議デモ、
アメリカ国旗を燃やし、ロシアの介入を求める

‘Long live Putin!’ Haiti opposition protesters burn US flag, demand Russian intervention
RT World News 2019年2月17日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月2日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/451673-haiti-putin-burning-us-flag/


ロシア大統領ウラジミール・プーチンの写真を掲げるポルトープランスのデモ隊 © AFP / Hector Retamal

カリブ最貧国ハイチが混沌の淵に沈み込んでいる。 エリート層の汚職が原因だ。 街頭ではデモ隊が、この国には一度も足を踏み入れたことのない人物に大声で助けを求めている。 その人物とはウラジミール・プーチンだ。

「打倒アメリカ!プーチン万歳!」と約200人のデモ隊が金曜日、首都のポルトープランスで気勢を上げた。 プーチンの顔写真を掲げる人もいた。

デモ隊はアメリカの国旗に火をつけ、アメリカ政府が国民から不人気なジョブネル・モイーズ大統領政府と繋がりがあることを非難した。 2016年の選挙で大統領に選出されたモイーズを人々はアメリカの操り人形と呼んでいる。 彼が政権を維持できているのは、ひとえにアメリカが国際的な圧力をかけることを渋っているからだ。 


ハイチの抗議参加者ブロンソンが、アメリカ国旗を燃やす。2月15日© AFP / Hector Retamal

「このデモが象徴しているのはアメリカ人との完全な決別です。 我々はアメリカの占領で嫌というほど苦しんできました。 もう限界です」とブロンソンを名乗るデモ参加者がAFP記者に語った。 彼がアメリカ国旗に火をつけた。
Also on rt.com US piles pressure on Venezuela… but remains mute on Haiti anti-govt unrest

ハイチはアメリカ政府のがんじがらめの影響下にある。 外部の世界に少しでも関心を持ってもらえるならば、とブロンソンはハイチからは遠く離れた強国に、自国から必死の呼びかけを行った。

「ロシア、ベネズエラ、そして中国に、ハイチが現在置かれた悲惨な状況を是非とも見てほしいのです」とはブロンソンの心からの声だ。

略奪と死者を出した衝突

この小規模なデモを常軌を逸したふざけたパフォーマンスと扱いたい気持ちにもなるが、この抗議行動は、笑い事ではすまされない急速な危機の拡大に国際的な関心を引きつける役目を果たした。


警官が群衆に発砲する、ポルトープランス© AFP / Hector Retamal

2月7日以来、高層ビルはないが、人口の密集した首都ポルトープランスはほぼ常態化した散発的なデモで揺れている。 ポルトープランスは2010年の壊滅的な地震からまだ十分には復興していない。 デモ隊の要求は政府退陣だ。   

バリケードが主要道路を封鎖している。 私的ビジネスも学校などの公的機関も、その活動は断続的だ。 食料、飲料水、そして燃料の供給が減少しているので、略奪が当たり前になっている。


デモ隊はロシア国旗を掲げ、プーチン支持のスローガンを唱える© AFP / Hector Retamal

警察は催涙ガスや銃弾を繰り返し使用し、デモ隊を追い散らしている。 デモ隊の標的の一つは大統領府であり、外国大使館だ。 少なくとも6人が衝突で死亡している。 西側の主要な国は自国民にハイチ出国の指示を出した。 また100人を超えるカナダ人旅行者は緊急避難の対象となった。 

盗まれた義援金

危機に火がついたのは長年に亘る横領が発覚したからだ。 ベネズエラが行った石油価格減額プログラムから得られた20億ドルが横領された。 そのプログラムは、死者十万人を超えた地震の後遺症に苦しむハイチのためにものだった。 かくして、その犯人を大きな権限を持った人物から探す段取りなのだが、ハイチだけは周辺国の中にあっても、より危機的な街頭情勢があることもあり、ハイチ高官を監視することはほとんどできていない。

いずれにしても、20億ドルなど国際的な基準からすれば些細なものだ。 アメリカは防衛費として20億ドルを毎日使っている。 だが、人口110万人のほぼ3分の2が一日2.5ドル以下で暮らしている国では些細とは言えない。


去年の9月、就任式で共に笑うモイーズ(左端)とセアン© Reuters / Andres Martinez Casares

沈黙することでかえって周囲の注目を集めた一週間が経過すると、Moise と首相のジャン=ヘンリー・セアンは大衆に語りかけた。 この週末に放映された演説でセアンは、長期間問題となっている貧富格差、統治力の低さ、そして汚職は悪い、と言いながら、デモ参加者には暴力を控えるよう強く説得し、特にアメリカ国旗を燃やしたことを非難した。

Also on rt.com Haiti govt summons US official to explain Trump’s ‘s***hole’ remark – report


しかし、その演説で、アメリカ政府から言葉だけではない実際の後ろ盾が、追い詰められたハイチ政府に与えられるかどうかがはっきりしたわけではない。 ウソか本当か、トランプがハイチを「クソ国家」のリストに載せたというのは有名な話だからだ。 アメリカは2010年に有益な支援と難民避難所を提供した。 しかし、貴重な資源をほとんど持たず、明らかに戦略的に意味のない国に融資する気はほとんどない。 他方ハイチの経済は全面的にアメリカへの輸出に依存したままである。 その割合は全体の90%。 そしてアメリカからの送金がGDPで大きな割合を占めている。


ガソリンに行列を作るハイチ人、 土曜日ポルトープランスで© AFP / Ivan Alvarado

それで、地理的には離れているロシア政府と中国政府に満腔のSOSを送っているわけだが、ハイチの運命が上向くか、下降するかは、アメリカの行く末と切り離すことはできないだろう。
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「もう誰も戦争を支持しない!」
アメリカ人が、米主導のベネズエラ介入に反対デモ

‘Zero support for another war’: Americans march to prevent US-led intervention in Venezuela

RT World News 2019年2月24日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月1日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/452287-americans-support-venezuela-march/

‘Zero support for another war’: Americans march to prevent US-led intervention in Venezuela
© Flickr / Joe Catron

ニコラス・マドゥロ政権は自国民のためにいろいろな無料施策を実施している。アメリカ政府の人道支援など足元にも及ばないほどの規模だ、と反戦活動家サラ・フラウンダースはRTに、アメリカ主導のベネズエラ介入を糾弾した。

アメリカ主導の介入に反対する活動家たちは土曜日、150ものデモを世界中で組織して、「庶民は、外国への介入に反対している」との意思表明をした。集会は全米各地で開催されている、とフラウンダースは語った。彼女は、ニューヨーク市で開かれた「ベネズエラ戦争反対」集会に参加してきたところだった。

「今日のベネズエラでは、600万以上の家族に、最低これさえあれば生きてゆける物資の詰まったバスケットが毎週供給されています。アメリカの食料配給プログラムとは遙かに規模が違うのです」とフラウンダースは語った。

「また戦争をすることに賛成するか、いや、どんな戦争にだって賛成する労働者は一人だっていません。 アメリカの軍国主義が最大の原因となって、ここアメリカでは貧困や、貧富の格差や、権利剥奪が起きているのです」と、著名な作家であり、反戦活動家でもあるフラウンダースは説明した。 そしてアメリカが介入するならば、ラテンアメリカは全域が「炎の嵐に包まれてしまう」と警告した。


© Reuters / Eduardo Munoz


アメリカ人は、他国への内政干渉はどんなことがあっても駄目だと反対しているのに、アメリカのメディアは、マドゥロ政権が今にも崩壊するかのように「言語道断で、思い上がった仮定」の下で報道活動を展開している。大半のベネズエラ人は、現政府の社会主義的政策を支持している、とフラウンダースは語った。 


「ベネズエラ国民とマドゥロ大統領は、どんなことがあっても絶対抵抗するという決意を示している。その決意があるから、政府が何を言おうが、人々は自分たちの判断で行動する」とフラウンダースは語った。

イギリスのロック・ミュージシャンでピンクフロイドの共同創立者であるロジャー・ウォーターズは、ツイッターでベネズエラ支持のビデオを配信した。 短い映像の中で、長年アメリカの干渉主義外交政策を批判してきたロジャー・ウォーターズは「We Shall Overcome」の歌の一部を演奏した。 彼はこの配信より前にも、西側が支援するベネズエラのための「人道的コンサート」を批判していた。


集会は、同時に、オタワ、ベルリン、ローマ、シドニーそしてその他の場所で開かれた。しかしそれらの各国政府は、アメリカが背後で操るベネズエラ国内の反対勢力に、あからさまな支持を表明しているのだ。抗議行動はインドや韓国を含むアジア諸国でも展開された。 

マドゥロ大統領は街頭に出てアメリカの介入に反対しているアメリカ人に感謝の言葉を述べた。 そして、自ら車を運転して撮影した映像で、カラカス市中は「平穏」、「静寂」であることを配信した。
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Otpol(オトポール)の台本どおり、
ベネズエラ反政府勢力が「兵士にバラを!」作戦

‘Straight out of the Otpor playbook’: Venezuelan opposition gears up to fight soldiers with roses

RT World News(2019年2月24日)

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ 2019年3月1日)

<記事原文>寺島先生推薦
https://www.rt.com/news/452262-venezuela-protest-roses-propaganda/

‘Straight out of the Otpor playbook’: Venezuelan opposition gears up to fight soldiers with roses
ベネズエラ反政府派向けの、花を摘んだトラックが到着する© Twitter / Dan Cohen

ベネズエラの反政府勢力はテレビ放映用の準備を進めているようだ。何箱もの花をトレーラーに積んでデモ隊へ搬送した。おそらくはコロンビア国境を警護するベネズエラ兵士たちを懐柔する意図があるのだろう。 

ベネズエラとコロンビアの国境付近では、今、外国の支援物資の搬入をめぐる騒ぎがエスカレートしている。反対派のリーダーであるフアン・グアイドはアメリカの支援物資をコロンビア側からベネズエラに運び込むと約束した。 一方、ニコラス・マドゥロ大統領は国境を閉鎖し、前線に軍隊を配備した。マドゥロは、アメリカの支援物資は「屑」であり、軍事侵略の前触れだと彼は言った。

散発的な衝突が、デモ隊とベネズエラ軍との間で土曜日の早朝、何回か起こった。その後、コロンビア側にいる反対派デモ隊は、戦術を「愛の爆弾」作戦に変えようとしているようだ。 

ジャーナリストのダン・コーエンのレポートでは、トレーラーに積まれたバラが、コロンビア側の国境に向かっている、とのことだ。橋を渡ってベネズエラへ行こうとするデモ隊に、このバラは渡されるのだろう。 

「ジーン・シャープのオトポール作戦{訳注}そのままだ」と指摘したのは独立系ジャーナリストのマックス・ブルーメンソールだ。ブルーメンソールの記事によると、シャープの著作にはメディア受けがいい、非暴力革命に関するものがいくつかあり、「オトポール(抵抗)!」がアメリカの資金援助を受けた反政府抵抗運動であって、21世紀への変わり目のころ、オトポールはセルビアで活動していたことなどに言及している。

人々の視線にどう映るかは重要だ。そして、クーデターは醜いものだ。だから、「バラを兵士に!」のような一般受けする写真を作り上げることを、グアイドやワシントンで彼を支援する者達が必要としているのだ。

1967年、ベトナム反戦運動で撮られた「兵士に花を」の伝説的な写真© Wikipedia


(訳注:Otpolオトポール)「櫻井ジャーナル」(2019年2月23日)に、オトポールについてしっかりした位置づけがなされていたので、引用します。
(「ベネズエラ国民の多数派に支持されていない人物を使って米国は侵略を試みている」)

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 しかし、現在のベネズエラ軍がアメリカ支配層の思い通りに動く気配は見られない。そこで東ヨーロッパで使われた「カラー革命」の手法を採用したようだ。

 アメリカ支配層が大統領を名乗らせているグアイドは2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学、新自由主義を信奉している人物。政権を奪取した暁には私有化を推進、国営石油会社のPDVSAをエクソンモービルやシェブロンへ叩き売るつもりだと言われている。

 本ブログでも書いたことだが、グアイドがアメリカへ留学する2年前、アメリカ支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んだ。

 セルビアにはCIAから資金が流れ込んでいるCANVASと呼ばれる組織が存在しているが、そこでベネズエラの学生は訓練を受けている。

 CANVASを生み出したオトポール(抵抗)!はスロボダン・ミロシェビッチの体制を倒すため、アメリカ支配層などによって1998年に作られた組織。運動の目的はごく少数の富豪による富の独占だ。

 こうした組織は民主化、人権、人道といった耳触りの良い用語を使うが、実態は逆。一種のイメージ戦略だが、この戦略を始めたのはロナルド・レーガン政権の時代だった。1983年1月にレーガン大統領が署名したNSDD 77が始まりだと考えられている。

 その前、1982年6月にレーガン大統領はイギリス下院の本会議でプロジェクト・デモクラシーという用語を使ったが、これはイメージ戦略の名称でもある。「民主主義」という旗を掲げながらアメリカの巨大資本にとって都合の悪い国家、体制を崩壊させようというのだ。いわゆるレジーム・チェンジ。国内での作戦はプロジェクト・トゥルースと名づけられた。その延長線上にカラー革命はある。

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