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「バーニー・サンダース現象」はアメリカ社会主義運動の新たな突破口だったのか?

Did Bernie Sanders break down doors for new US socialist movement?
RT 2018年7月20日

(翻訳・大手山茂 2018年8月22日)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/433821-socialism-us-sanders-ocasio-cortez/

デイブ・リンドルフはアメリカの受賞ジャーナリストであり、元ビジネス・ウィークのアジア特派員です。また共同所有のニュース・サイトThisCantBeHappening.netの創設者でもあります。


Erik Mcgregor / Global Look Press
アメリカにおける社会主義は、20世紀初期に頂点を極めたが、それ以降の些細な選挙に勝利するのにも四苦八苦してきた。しかし今や、選挙に立候補する人間は自分は社会主義者だとおおっぴらに名乗り、当選している。

(フィラデルフィア発)
先月大きな地震がニューヨーク政界の岩盤を揺るがした。その振動波は全米で感知された。28歳ブルックリン生まれプエルトリコ人の社会主義者アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏が下院議員を10期勤めた民主党の重鎮ジョー・クローリー氏対し、申し分のない勝利を収めたのだ。クローリー氏は長年の議会指導者であるナンシー・ペロシ氏の後継者になるというのが大方の見方だった。

一国の重要な国政選挙において社会主義者が勝利を収めた。しかもその国アメリカは億万長者の資本家であるドナルド・トランプ氏を大統領に選出したばかりなのだ。 これをどう考えたらいいのだろうか。 

アメリカ政界である種の地殻変動が進行中だということははっきりしている。何故ならオカシオ・コルテス氏は社会主義者として選挙に勝利しただけではなく、 民主党の支配層を斥けたのだ。ペンシルバニア州議会4人の現職議員が今年の予備選で造反候補者に敗北している。ペンシルバニア州と言えば2016年の大統領選挙では僅差でトランプ氏支持となった州である。またこの造反候補者はオカシオ=コルテス氏と同じくアメリカ民主社会主義グループのメンバーだ。このグループの会員数は2016年以前は6千人だったが、今年は4万人強に急増している。 
(さらに読む)
Avision of the future? 28-year-old socialist stirs up New York politics

これだけではまだ話は十分でないかのようだ。ブルックリン地区における最初の勝利の驚天動地の余震の中で、隣接するブロンクス地区においてもオカシオ=コルテス氏が「改革党」路線で予備選の勝利を収めていたことがわかったのだ。「改革党」はマイナーな政党で候補者を立てられずブロンクス地区ではオカシオ=コルテス氏に投票するよう強い要請を出していた。それが大量得票につながった。

社会主義はひとつの政治勢力としてアメリカにおいて多難な道を歩んできた。 アメリカは独立独歩の起業家や因習に囚われない一匹狼を神秘化するところがある。 二つの世界大戦に挟まれた一時期、短期間ではあったが、社会主義がアメリカ労働者の間に広まり、アメリカ社会主義党の指導者であったユージン・デブスが1912年の大統領選で100万にも届くという票数を得た。この100万というのは全有権者の約6%にもあたる数字だ。1920年代と1950年代、反共運動を展開する2つの野蛮な政権が続いた。しかしユージン・デブスは逮捕され、1950年代には共産主義者であるという容疑で多くの俳優、教師、ジャーナリストがブラックリストに載せられ、最後は何十年にも亘って政府、メディアが社会主義は共産主義、ボルシェビズムそして毛沢東主義と同じというプロパガンダを展開した。 それ以降社会主義はアメリカ人の間で信奉者も少なく、大衆に受容されることもほとんどなかった。

それもこれまでは、ということだが。

変化の兆しは2015年後半から2016年春に見えて始めた。 この年、共和党、民主党いずれにも属さず、長年「民主的社会主義者」と自称していたバーニー・サンダース上院議員が民衆に基盤を置いた草の根運動で民主党大統領候補の指名をヒラリー・クリントン候補にあと一歩というところまで迫り、衆目を驚かせた。 (民主党指導層が舞台裏でえこひいき的な動きや妨害工作があったからサンダース氏が指名争いに負けたと信じる人は少なくない)

さて、サンダースの選挙運動で国民健康管理や大学無償化などの社会主義的考え方-これまで民主党候補者の選挙公約に載ったことは一度もない-が突然政治論議で許容されるトピックになったことも一因となって、彼の選挙運動に参加した何百万という若い熱狂的な支持者が社会主義を自分達が直面する経済的な問題へのあり得る答えだとの考えをおおっぴらに口外している。 
(さらに読む)
Clinton’s new book removes all doubt. She still has no idea why she lost


そしてそういった若い層が、年配層も含めて、いろいろな答を模索するにつれ、その動きを無視しない姿勢を示す候補者の数がだんだん増えてきている。 オカシオ・コルテス氏やペンシルバニア州の予備選を勝ち抜いた4人の社会主義者のように、彼らは社会主義的な計画を提案したり、提案することが勝利の戦略になり得るということを鮮明にさせている。

こういった社会主義的な政策やアイデアに突然人気が出てきたことが一過性の現象ではないことを示す証拠は、それがより若い世代にもっとも顕著に現れているところだ。 以前であれば政治にはあまり関心を示さない世代だった。 例えば4月に公表されたハーバード大学の研究に依れば、18歳から29歳までの世代の51%が資本主義を嫌っている。 政治体制として社会主義を選ぶというのが多数派だ。 1年前、保守系雑誌の「ナショナル・レビュー」の警告を込めた記事によればサンダース氏の選挙運動の後の世論調査で40%のアメリカ人が資本主義よりは社会主義がいいと口にしているとのことだ。 この世論調査は保守系組織である「アメリカの文化と信条協会」が行ったものだ。

この若い世代に、社会保障制度上の退職手当で生活する退職者世代が加わる。 この世代の数は膨大であり、年々増え続けている。 (退職手当については共和党も民主党保守派も減額が必要だと警告し続けている) さらに彼らはメディケアと呼ばれる不十分な制度でありながら、たいへんな人気があり、65歳以上の人にしか適用されない一種の社会医療にすでに頼っている。 この世代の人たちは少なくともこの二つの社会主義者的施策の価値がすでにわかっている。 他方、60年代70年代()に成人したベビー・ブーマー達の多くは、この時期に資本家的消費主義への拒絶やコミューン的生活の試みがあったので、「社会主義者」としての自分のルーツに立ち戻り、コミューンの再興を生活費削減と高齢になっても施設に入らなくてすむ手段として本気で考えている。 
(さらに読む)
Three out of four Democrats want ‘fresh face’ to take on Trump in 2020

アメリカ人の間に社会主義者的な考えや社会主義的な候補者を受容する新しい動きがあることに着目しているのがケビン・ジーズ氏だ。 彼は長年の活動家であり、「緑の党」から時折出馬することもある。 「緑の党」は環境主義者や社会主義者がメンバーの小さな党であり、何年も地方や中央の議会に候補者を送り出している。 大統領選挙にも参加する。 ジーズ氏がRTに対して、「そう、社会主義の人気はますます高まっています。 社会主義というのはひとつの経済的なアプローチであるのに、学校では禁句であり、メディアで正当に議論されることはありません。 だから、誰かが社会主義を支持しますと言ってもまず眉につばをつけてから考えます。 いろいろな答えがあるからです」と語っている。 

さらに、「そういった微細な点は脇においておいても、私たちは現在資本主義の不公平さを経験しているところです。 人口の半分の富が文字通り三人の富と同じだというのはどこか真剣におかしいのです。 特に人口の半数が経済的に安定していない、何千万人が貧困状態、多くの人の収入が少なくきちんとした住宅を借りられない、まして住宅購入などとんでもない、という状態は変です。 資本主義はほとんどの人にとって機能していません。 みんな別の選択を求めています」とジーズ氏は言葉を続けた。

ジーズ氏は最近の国政と地方選挙におけるオカシオ・コルテス等の社会主義候補者の最近の予備選勝利を、次の二点の理由であまり深読みすべきでないと注意を促している。 一点目は予備選における投票率は一般選挙と反対に常に相当低いこと、二点目はいずれにしても地方選あるいは議会選挙において地域特有の要素や課題が少なからずあること。 彼が指摘する例は、オカシオ・コルテスの場合だ。 彼女がラテン系アメリカ人として立候補した地域は主にラテン系アメリカ人の居住区であり、そこには彼女と同じプエルトリコ人の投票者がたくさんいる。 

ただしそうした但し書きをつけながらも、オカシオ・コルテスが予備選に勝利し、11月にはおそらく議会の議席を手にすることで彼女は「人々を教育し、自分達の問題に目を向けさせるたいへん重要な役割を果たすことになります。 今でも大きな広告塔です。 彼女から学ぶ人がますます多くなり、社会主義運動は発展するでしょう」と語っている。
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「私たちはモルモットだった」:アメリカ在住広島原爆被爆者の証言

Us used HIroshima atomic bomb victims as 'guinea pigs', survivor tells RT
RT 2018年8月3日
(翻訳:大手山茂、岩間龍男 2018年8月22日)
<記事原文>https://www.rt.com/news/435030-hiroshima-victims-nuclear-guinea-pi

広島平和記念資料館で原爆のキノコ雲の写真を見学している家族連れ
          © Issei Kato / Reuters

「広島原爆投下の生存者はアメリカ側研究のモルモットでした。そして占領軍は原爆の悲惨さに光をあてようとするメディアの報道を検閲していたのです」とある広島原爆生存者はRTに語った。
セツコ・サーロウ女史は核兵器廃止運動の活動家であり、広島原爆の生存者だ。 彼女はRTのソフィー・シェバナゼ記者のインタビューに対して、「第二次世界大戦後日本を占領したアメリカ軍は核兵器の影響を研究することに関心があって、原爆投下による犠牲者に援助の手を差しのべることはしていません」と語った。

『日本はアメリカの核の傘から離脱すべきだ」・・・広島市長

「アメリカはABCC(原爆傷害調査委員会)という名称の機関を立ち上げました。 みんなとても喜びました。 これでやっと治療を受けられるし、原爆について知識のある専門家が来ると思ったのです。 日本人の医師達はどうしていいかわからない状態だったものですから」とサーロウ女史はシェバナゼ記者の番組「ソフィコ」の中で語った。
「でもABCCの目的はひとつで、それは人間の体への放射線を研究することだったのですね。 放射線で病気になった人に救いの手を差しのべることは念頭にありませんでした。 生存者達は2回モルモットにされたと感じました。 1回目は投下目標だったし、2回目は研究対象でした。」
もっとひどいのはアメリカの占領軍があらゆる手段を使って原爆投下とその恐るべき影響を報道しようとするメディアに圧力をかけたことだ、とサーロウ女史は述べた。
「占領軍はメディアや新聞が占領軍に不都合と思われる記事は一切書いてほしくなかったのですね。 もしどこかの新聞社が広島や長崎での破壊の様子、とりわけ人間への被害を報じるとすればそれは不都合と考えられ、記事の発行にストップがかけられたでしょう。 実際占領軍は検閲を行い、メディア数社は廃社に追い込まれました。 こんなのは民主主義ではありません。」
サーロウ女史によれば日記、写真そして俳句まで何万点という個人的なファイルがアメリカ当局者によって押収され、核戦争の終末がどんな結末になるのかを世界に知らせまいとした、とのことだ。
「アメリカが原爆を製造した科学的な勝利は問題なし。 それは世界中知ることができました。 問題は人間への被害です。 それを世界に知らせるわけにはいかなかったのです。 それが個人的ファイルまで押収したことの理由です。」
(映像は省略)
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