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ジュリアン・アサンジ、近日中にエクアドル大使館から強制退去か?―グレン・グリーンウォルドの報告

Ecuador's president to hand Assange over to UK during London visit – Greenwald
Published time: 21 Jul, 2018 22:57
Edited time: 23 Jul, 2018 09:44
<記事原文>https://www.rt.com/news/433783-wikileaks-assange-ecuador-uk/
(翻訳:大手山茂 2018.7.24 編集:岩間龍男2018.7.30)    

FILE PHOTO © Pete Maclaine / Global Look Press

エクアドルのレーニン・モレノ大統領は、イギリス当局と近々合意をまとめて(すでに合意した可能性もある)、ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジの亡命保護措置を解除することになると、グレン・グリーンウォルドが報告している。

モレノ大統領のイギリス訪問は、7月22日から28日にかけてのヨーロッパ歴訪の一環だ。彼の訪問は公式なものではないと言われており、イギリス政府高官と会うことはない。 その代わり、イギリス政府が共催する「世界障害者サミット」(7月24日)には参加することにはなるだろう。

しかし予測されていることは、モレノ大統領がこのイギリス訪問を利用して、「エクアドルがジュリアン・アサンジの亡命保護措置から手を引く合意をまとめること」だと、「インターセプト」の共同編集者であるグレン・グリーンワルドが報告している。グリーンウォルドは、エドワード・スノーデンがリークした機密文書を基に、アメリカの監視プログラムの詳細を真摯に報道し続けるジャーナリストとして世界中に知られている。グリーンウォルドは長年ウィキリークスに対しても、また彼のブログに情報を寄せてくれる数々の内部告発者たちにも支援と弁護活動をしてきた。                                                  

     Ecuador to hand over Assange to UK ‘in coming weeks or days,’ own sources tell RT's editor-in chief
モレノ大統領は「この合意をまとめるまで(その手続きが完了していないにしても)あと一歩の所にいる」とグリーンウォルドは書いている。そのニュースソースは匿名だが「エクアドル外務省と大統領官邸に近い情報提供者」からのものだとしている。さらに「この合意の下、ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジはロンドンのエクアドル大使館から退去を強制され、イギリス当局に身柄を引き渡される可能性がある、それも早ければ今週中にも」とグリーンウォルドのレポートは続く。

グリーンウォルドのレポートに先立って、RTの編集長であるマルガリータ・シモニャンは、彼女自身のニュースソースを引用、エクアドルがアサンジをイギリスに引き渡す準備が「ここ数週間、あるいは数日中」に整うと語っていた。グリーン・ウォルドによれば、そのような進展によって、アサンジは「最善のシナリオ」でも少なくともあと一年投獄されることになるだろう。これが意味していることは、「なんらかの罪で告訴されたり、まして有罪判決も受けていないのに」、アサンジが10年近く拘禁されてきたことになるということだ。

スウェーデン政府はアサンジのレイプ疑惑調査を2017年5月には取り下げていたので、アサンジがイギリス国内で現在直面している唯一の刑事訴訟案件は、「不出頭」に対して出されている2012年の逮捕状が未執行になっている件だけだ。それは、アサンジがイギリスでの保釈条件に従わず、エクアドルから亡命を認められ、ロンドンのエクアドル大使館に逃げ込んだことだ。

こういった違反にたいする刑期は3ヶ月だとグリーンウォルドは語っている。しかしイギリス当局がアサンジに対する罪名を「法定侮辱罪」に内々引き上げる可能性を心配している。そうなれば刑期は最大2年まで延びる。さらにイギリス当局がアサンジの身柄をアメリカに引き渡さないという保証を与えることはまず考えられない。アメリカはアサンジを秘密文書漏洩で刑務所送りにしようと待ち構えていることを隠そうともしていない。

機密文書の公表は専門的に見ればアメリカに在住する何人にも適用される犯罪である。しかし司法省の官僚達はこれまでその罪状で訴追することにあまり乗り気ではなかった。そのような事案は、逆に自分達が報道の自由、つまり憲法修正第1条「言論の自由」条項に違反していると告発される可能性を心配したからだ。

しかしトランプ政権はそのような心配はまったくないと表向き言明している。 マイク・ポンペオがCIA長官在任中に語った言葉:

    「(ウィキリークスは)憲法修正第1条が正義の盾になっているとみなしている
    ようだ。 ・・・・ 彼らはそう信じてきたが、どうやらそれは間違っている。」
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ワシントンの最新の神話と嘘と石油戦争

Washington’s Latest Myths, Lies and Oil Wars

ウィリアム・エングダール F. William Engdahl
2018年7月6日
<記事原文>
https://journal-neo.org/2018/07/06/washington-s-latest-myths-lies-and-oil-wars/
            (翻訳:新見明)

アメリカのドライバーがガソリン価格値上げに文句を言っているとき、トランプ政権とその背後の石油・金融権益集団は大喜びで銀行へ向かっている。もし我々がイランやベネズエラや今はリビアの一見異なる出来事を見れば、アメリカ石油支配に直ちに有利になるように、主要な石油流通経路を破壊しようとするする首尾一貫した戦略があることがはっきりする。

10年前、アメリカが、世界最大の石油生産者のサウジアラビアやロシア共和国と入れ替わるなどということは考えられないことだった。今日ではそれは、トランプ政権とシェール・オイル生産に資金投入するウォールストリート銀行の外交政策の優先事項なのだ。その戦略はロシアやイランやベネズエラのような独立した石油生産力を弱体化するという地政学的かつ究極的な狙いなのだ。

世界石油価格に劇的に影響を与えた最近のいくつかの事件を見ると、明確なパターンが、自由市場の力でなく、地政学的策謀から生じていることがわかる。とりわけイランやベネズエラやごく最近のリビアのケースを見ると、ワシントンが再びシェールオイル産業に経済的投資をするため、石油価格をかなり高くしようとしていることが明らかである。

イラン核合意破棄は、核兵器ではなく石油が狙い

トランプ政権がイラン核合意を一方的に破棄した明きらかな狙いは、イランの核開発計画とは本質的に何の関係もなく、イラン石油取引や石油・ガス開発に経済制裁を直接加えるものだ。そのイラン核合意は、イランを西欧の経済制裁から解放し(とりわけ石油・ガス産業を)、何十億ドルもの外国投資の道を開いていたのだった。

イランが核合意を遵守しているという国連IAEA報告を無視して、トランプ政権は、5月事実上の合意終了を宣言した。しかしEUやロシアや中国など署名国は反対した。11月4日、ワシントンの要求に対し、イランが屈服することはあり得ないので、主にイラン石油輸出を狙った新たな厳しい制裁が実行されるだろう。ワシントンは、イエメンでのシーア派勢力やシリアのアサドへの支援からイランが撤退することとも関連させている。核合意以来、イランの国家石油会社は石油輸出を4百万バレル/日まで再建したが、第二次制裁を通してワシントンは、イランの石油輸出支援するEUや他の会社はアメリカとのビジネスでも制裁されるという厳しい障害が設けられた。すでにフランスエネルギー会社トタルはイランの巨大エネルギー部門のジョイント・ベンチャーを終わらせると述べた。

7月2日、米国務省幹部はイランにおけるワシントンの狙いを明らかにした。「我々の狙いはイラン体制に原油取引で収入ゼロにする圧力を加えることだ。我々は世界経済の混乱を最小限にするようにしている。しかし世界的に十分な余剰石油生産能力があることに我々は自信をもっている。」

同様にベネズエラも
トランプ政権は、11月下旬には世界市場でイラン石油をターゲットにすることを再開するが、それはベネズエラの石油生産の完全な崩壊を促すものである。それはマドゥーロ政権に対するワシントンの現在進行中の金融・政治戦争の一部である。

最近のベネズエラ選挙で現職の社会主義者マドゥーロ大統領が勝利したとき、ワシントンは国有石油会社PDVSAへの全てのアクセスを遮断する制裁をエスカレートさせた。またアメリカの銀行によるベネズエラへの新たな借款の再融資を全て打ち切る制裁も課した。最近のOPEC閣僚会議に先立って、ベネズエラ石油相マヌエル・ケベドは断言した。「これらの制裁は、非情に強力で、制裁は実質的にPDVSAの流通を止めている。それは石油市場への攻撃だ。」国際エネルギー期間(IEA)によればベネズエラの石油生産は、5年前の290万バレル/日から、6月、平均136万バレル/日に激減した。

するとこの時期を利用して、2007年ベネズエラが米石油メジャーを国有化したベネズエラ国有石油会社PDVSAが持つ資産63,600万ドルを、アメリカの主要石油会社コノコフィリップスは差し押さえた。その差し押さえは、PDVSAが輸出義務を遂行するのを阻止し、ベネズエラの港でタンカーを封鎖したのであった。ベネズエラの石油輸入における膨大な損失に対応するため、中国開発銀行はベネズエラ石油会社に50億USドルの借款を公表したところだ。ベネズエラとイラン石油の主要輸入国は中国であることを、米財務省も国務省も十分承知していることである。

そして現在のリビア

石油貿易業者は、イランやベネズエラにおける供給減少に対応して、様々なグレードの原油価格を上げて、最初の3年で70ドル以上に高騰させたが、市場状況は、アメリカ石油産業、特にシェール・オイルの観点から見ると、まだ確実ではない。それは、リビアの最近の進展を考えると変わってきている。

リビアはアフリカで最も経済的に発展した国であったが、カダフィのリビアをワシントンが「人道的」爆撃をして以来、リビアは事実上内戦状態であり、政治的にも分断されたままである。一方では国連が据え、ワシントン支援の政権がトリポリにあり、欺瞞的な名称の国民協調政府をつくっている。ファイズ・アル=サラージが指名された首相であり、また大統領委員会(PC)の議長をつとめている。アル=サラージを支援するのは、ムスリム同胞団である。つまりそれはワシントンが支援する「アラブの春」やエジプトのムハメド・ムルシー政権の背後にある秘密政治組織サラフィー主義者である。トリポリ・グループはアメリカ、イギリス、フランスにも支援されている。

(「中東調査会」より、訳者挿入)https://www.meij.or.jp/kawara/2016_096.html
もう一方のアル=サラージの対抗勢力は、フィールド・マーシャル・カリファハフタルであり、彼は反サラフィ主義リビア国民軍を通して事実上軍事支配を打ち立てた。また石油が豊富な東リビアで主要部族長の支援を受けていて、リビア下院(HOR)のリビア人の支援も受けている。

ハフタルは、彼がテロリストと呼ぶムスリム同胞団の仇敵であり、国の東部の石油三日月地帯を事実上軍事支配した。彼の勢力が最近、重要な石油輸出港であるハリガやズエティナを含む東リビアの重要部分を支配したとき、ハフタルはトリポリのアメリカ支援政権に真っ向から対立した。東部石油港の支配は、国連には認められていないが東部政府に属し、独立したベンガジ基盤の国家石油会社のものになると宣言した。その時点で、7月2日、ワシントンの支援を得て、西のトリポリ国営石油(NOC)は東部港に関して不可抗力条項*を宣言し、世界市場向けリビア石油の850,000バレル/日を出荷停止とした。
*(訳注:不可抗力条項とは戦争などで契約を履行できないことを免責する条項)

ハフタル軍は、エジプト大統領アル=シシときわめて密接であることは知られており、ムスリム同胞団の仇敵でもある。ハフタルはまたプーチンのロシアとよい関係にある。しかし石油豊富な東部でハフタル勢力がアメリカ支援のトリポリ体制から並立した石油経済を阻止することは、世界石油市場に劇的な変化を与えることであり、世界市場価格を2014年以来見られなかった1バレル80ドル以上に押し上げるのはごぼ確実である。

それは好都合なことに、アメリカのシェールオイル産出を大きく増加させる利益水準になるだろう。

アメリカのシェールオイル:新たな石油地政学

アメリカ最大のシェールオイル生産者であるテキサス・パイオニア・リソーシズ会長のスコット・シェフィールドは、最近のウィーンのOPEC会合でのインタビューで、今年度末前にアメリカの生産はロシアを超えて世界最大の石油生産国になるだろうと宣言した。彼はアメリカの生産は3・4ヶ月したら1100万バレル/日を超え、急速に1300万バレル/日に達するだろう。そしてテキサスのパーミアン盆地のような場所のシェールオイル生産に基づいて、7・8年以内に1500万バレル/日に達するだろうと述べた。彼はまた、シェールオイルの現在最も好ましい価格は1バレル60~80ドルの範囲であると述べた。トランプ外交政策の背後にいる有力なエネルギー企業が、イランやベネズエラや今はリビアの石油供給を標的にして、アメリカのシェールオイルをこの数ヶ月で世界市場にあふれさせ、石油だけでなく、さらにロシアの石油に取って代わることを狙っているなどということが可能だろうか。

注目すべきは、イランはアメリカが石油価格を上げるために、JCPOAから撤退したことを非難した。5月11日イラン石油相ビジャン・ナムダル・ザンギャネは宣言した。「トランプ大統領は石油市場で裏表がある。一部のOPEC加盟国はアメリカの術中にはまっている。アメリカはシェールオイル生産を増大させたいのだ。」

ワシントンの石油支配戦略で長期的問題は、シェールオイル供給の不安定性である。最近の技術投資がかなり生産性や生産速度を改善させたが、シェールオイルは大きな問題を抱えている。一つは既存のシェール油井が既存の油井よりも急速に枯渇することである。典型的なものは最初の1年で75%かそれ以上生産が落ちる。そのとき全体量を維持するためにさらなる油井やもっと費用のかかる油井が必要とされる。その他の問題は、フラッキングのために油井に水を大量に必要とすることである。パーミアン盆地のようなところでは1バレルの石油に5バレルの水が必要とされる。産業報告では、アメリカのシェールオイル生産の黄金期は2020年のはじめに終わるだろうと示唆されている。価格上昇や品質低下や他の制約がシェールオイルの成長はアメリカ石油産出を制限する。それはアメリカを偉大な石油王にしようとする現在のトランプ政権戦略に大きな否定的要素を与えるだろう。それは究極的に神話と嘘と石油戦争によって成り立つ戦略である。

F・ウリアム・エングダルは戦略危機コンサルタントで講師である。かれはプリンストン大学の政治学学位をもっていて、石油と地政学に関してベストセラーの著者である。これはオンライン雑誌「New Eastern Outlook」への独占寄稿である。

                                   
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通貨戦争はエスカレートする: 「オイル元」が、米軍が支援する「オイル・ダラー」に挑戦するとき

The Currency War Will Escalate as China’s ‘Petro-Yuan’ Challenges the U.S. Military-Backed ‘Petro-Dollar’

ティモシー・アレクサンダー・グズマン

グローーバル・リサーチ 2018.6.24
(翻訳:新見明 編集:大手山茂)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/a-currency-war-will-escalate-as-chinas-petro-yuan-is-set-to-challenge-the-u-s-military-backed-petro-dollar/5616456

現在進行している通貨戦争に関連して。最初2017年11月に発表。


米ドルとそれに関連した地政学的状況に関して、私の頭をいつもよぎる一つの引用は、トレンド調査研究所の創設者ジェラルド・セレンテの言葉だ。「他の全てが失敗したとき、彼らは戦争へと導く」

米ドルが世界の主要準備通貨の地位を失い続けるとき、世界戦争の現実は避けられないようだ。特に中国、ロシア、イランが、米ドルを回避して、「オイル元」のような他の通貨に肩入れする戦略的動きをしているときはなおさらだ。中国は自分の通貨「元」で石油価格を決定するとした。そのような新たな金に裏付けられた先物契約は、世界経済の力学を変えることになるだろう。中国は今年後半にオイル元を開始する準備をしている。それは結果的に世界準備通貨としての米ドルを脅かすことになるだろう。

第二次世界大戦の終結時、国際経済システムは大混乱していた。だから新しい経済システムを構築するために一つの計画が考案されていた。1944年7月までに730人の代表団がニュー・ハンプシャー州ブレトンウッズの国連金融財政会議に集まって、歴史的ブレトンウッズ協定にサインした。それは国際復興開発銀行(IBTD)と国際通貨基金(IMF)を創設することになる規則体系を作り出す計画であった。IMFの主目標は支払いの一時的不安定を阻止することであった。ブレトンウッズ協定の枠組みは、国家間の貨幣価値を管理することであった。各国は金に換算できる固定価格内に自国通貨の交換比率を保つ金融政策を持たなければならなかった。しかし1971年までにアメリカは米ドルと金の兌換性を終了させた(当時、金の固定率は1オンス35ドルだった)。そしてアメリカが米ドルを法定不換紙幣にすることになり、ブレトンウッズ体制を終わらせたのだ。法廷不換紙幣とは、中央銀行(特に米連邦準備銀行)にお金をどんどん印刷することを認めることなのだ。

そこで中国の動きが重要になるだろう。まず第一に、中国は、ワシントンが勝手にどの国にも経済的制裁を課す能力を徐々に現象させるだろう。そして同時にアメリカの消費者は、輸入品がさらに高価になるので、ゆっくりとの購買力を減少させるだろう。

中国(米国債の最大の保有者)は、石油の最大輸入国である。一方ロシアは世界で最大の輸出国であり、オイル元を使っオイルダラーを回避することに同意した。オイル元は世界中の米ドルのヘゲモニーを脅かしている。ワシントンの大敵である数カ国、イランやベネズエラやインドネシア(現在ワシントンの攻撃目標になっていない)さえも、最近石油取引で米ドルから元への切り替えに加わることに興味を示しているのだ。

大手メディアは、中国がドルを回避し、国際社会でペトロ元を導入する最近の展開を報道している。CNBCの記事、「中国はドルを退位させる大望を抱いている。それは今年の大きな動きとなるかもしれない」の中で次のように書いている。

  
中国は、ドルの世界支配に対抗する大きな動きをするつもりである。それは今年早々になるかもしれない。新しい戦略は、エネルギー市場の支援に積極的に参加することだ。北京はこの数ヶ月のうちに石油価格決定の新たな方法を導入する可能性がある。しかし現在世界市場を支配している米ドルに基づく契約とは異なって、これは中国自身の通貨を使用することになる。もし中国が希望するように、広範な採用があれば、それは世界で最大の通貨としての米ドルの地位に対抗する第一歩となるだろう。

中国は世界最大の石油輸入国だ。だから北京は自国通貨が世界経済の最も重要な商品の価格を決定するのは当然のことだとみている。しかしそれ以上に、ドルから離れることは、中国やロシアのような国にとって戦略的優先事項なのだ。両国とも米ドル依存度を減らし、米国の通貨リスクを減らし、アメリカの経済制裁の影響に歯止めをかけようとしているのだ。


ワシントンはドナルド・トランプ大統領が先頭に立って、もう一つの戦争である北朝鮮と衝突過程にある。アメリカ負債帝国は、生命維持装置としての米ドルの力で、戦争という脅しを使い続けていている。ある場合には世界で、ワシントンの攻撃目標であるイランやシリアやベネズエラと実際に戦争をしている。イランとロシアは、ワシントンから課される経済制裁を避けるために米ドルからすでにゆっくりと移行している。ベネズエラも米ドルに対抗する動きをすでに準備している。ロイターは、マドゥーロ政権が石油輸出の新たな国際決済システムを実施する決定について報道しなかった。しかし「ベネズエラのマドゥーロは中国元を支持し、米ドルを避けるだろう」という見出しの報道は、マドゥーロがベネズエラ、カラカス連邦立法宮殿での憲法制定議会で述べたことを次のように引用した。

「ベネズエラは新たな国際決済システムを実施し、ドルから我々を解放してくれる通貨バスケットを創設するだろう」とマドゥーロは新たな立法府に対して数時間に及ぶ演説で語ったが、新たな制度の詳細は語らなかった。「もし彼らが我々にドルを求めるなら、我々はロシアのルーブルや元やインドのルピーやユーロを使うだろう」とマドゥーロは述べた。


「中国、サウジアラビアへ元での石油取引を“強要”、その米ドルへの影響」とだいされたCNBCのもう一つの最近の記事で、高度流通経済のチーフ・エコノミスト、理事長カール・ワインバーグへのインタビューがあった。それは世界最大の石油輸入国である中国が、サウジアラビアに「オイル元」を強要した場合、アメリカドル体制が近い将来どのように世界の支配力を失うかがテーマだった。

        
中国が「世界最大の石油輸入国」としてアメリカの地位を奪ったので、北京は石油需要において世界で最も影響力を持った国になっている、とチーフ・エコノミスト、理事長のカール・ワインバーグは述べた。

ワインバーグは続けて、サウジアラビアは「このことを無視できない。今後1・2年もたたないうちに、中国の石油需要はアメリカのそれを圧倒するからだ。元の石油価格決定力は、サウジがそれを受け入れるや否や実現するだろう。こういった動きと平行して他の石油市場も歩調をあわせることになるだろう」と述べた。


米ドルは世界の準備通貨としての地位を徐々に失いつつある。そうすると中国との戦争の可能性があるのか。アメリカは、中国への容赦ない警告として、北朝鮮を攻撃するのか。それとも米ドルを救おうとして、中国を紛争に巻き込むのか。サダム・フセインはイラクの石油輸出で米ドルの代わりにユーロでの取引を望んだ。リビアのムアンマール・カダフィはアフリカ大陸で米ドルを退けて、ディナール金貨を使うことを望んだ。イラクとリビア両国によってなされた決定は、米・NATO軍による国家破壊へと導く結果となった。アメリカは中国に対しても同じことができるのか。私はそれを疑わしく思う。なぜなら中国はアメリカのどんな攻撃に対しても防衛できる侮りがたい軍隊を持っているからだ。確かに中国はイラクやリビアではない。それでは長期的に見て、中国に対する戦争はあるのだろうか。アメリカはゆっくりと着実に崩壊しているので、ワシントンは生き残りのためなら何でもするだろう。米ドルが、軍産複合体と、それが世界で仕掛けている破壊的でとてつもなく金のかかる軍事的冒険を支えているからだ。

「オイル元」の開始が、いわゆる脱ドル化の過程を促進するだろう。しかしオイル元がいつか米ドルをひっくり返すことをわかっていない人々が大手メディアにはいる。例えば、ブルームバーグ・ニュースのディビッド・フィックリングは「オイル元の時代はやってこない」と書いていた。 
        
例えば、中国の大連商品取引場で最も取引されている商品、鉄鉱石をご覧なさい。本土の商品市場が最近、過熱気味であるが、ロンドンやニューヨークの主要取引契約よりも気配値にまだ数倍の開きがある。そのため取引はコスト高になり、価格の乱高下も激しく、適正価格発見力も弱くなる。中国は現有の大消費国なのだから、こういった不安定な変動には異論を唱えてしかるべきだ。

考慮すべき生産国もいる。ほとんどの中東の石油輸出業者はドルペグの通貨をもっている。元による価格決定に転換することは、はっきりしないもうけのために予算に外国為替リスクをもたらすことになる。特に中国への原油輸出は産油国全体では20%にも満たないからである。

予定された契約が役に立たないということではない。中国は自分の目的にもっと適した基準を持つことで利益を得るだろう。特に、現地の製油所によって精製される硫黄化合物を含んだ原油を対象とする契約はそうだ。西側主要諸国が結ぶ契約をさせている硫黄分の少ない形質の原油とは事情が異なる。

ただそれが世界を変えるとは期待できない。経済的重心が東へ移動しているのだが、西テキサスや北海との石油コネクションはこれから何年も強いだろう。


「通貨戦争:次の世界危機を作るもの」の著者ジェイムズ・リカーズはこのフィックリングの分析にきっと賛成しないだろう。

        
自国で紙幣を印刷することは中国では高いインフレ、エジプトでは物価高騰、ブラジルでは株式バブルを意味する。ドル紙幣をどんどん印刷することはアメリカ国債の価値が下がり、外国債権者を売却する場合に手取りが少なくなるということだ。このアメリカ国債価値下落はいろいろな経済発展活動分野で執拗者が増えることを意味する。アメリカへの輸出品の値段が高騰し、その結果アメリカ国内で商品があまり売れなくなるからだ。当然インフレということになるが、それは銅、トウモロコシ、石油そして小麦のような一次産業を発展させるときに必要な資材の価格を高騰させる。アメリカが資金援助や関税や資本調整を通じて引き起こすインフレに対して、外国は戦い始めた。通貨戦争は急速に拡大している。


米ドルが失敗しているのは、ワシントンの経済的、外交政策のため、そしてウォールストリート銀行カルテルや多国籍企業や軍産複合体との共謀のためだ。カイザーレポートのマックス・カイザーはRTのインタビューで、なぜ世界が米ドルから離れようとしているかを説明している。

        
世界中の国々は「アメリカの軍事的冒険に“帝国の負債”の一部となって」資金援助することに、うんざりしている。それは世界中で知られている米ドルという負債だ。それ故に、脱ドル化の動きに加わりがちなのだ、とカイザーは述べた。しかしアメリカ金融部門とその軍産複合体は、戦うことなしにドルのヘゲモニーを諦めることはない。ドルがアメリカの基本であり、主要産物であるからだ。そしてアメリカはそのために他のお気に入りの道具を使う。つまり戦争だ、とカイザーは考える。

たぶんアメリカは日中間の戦争を仕掛けるだろう。そして彼らは北朝鮮との戦争を始めるかもしれない。アメリカは、世界準備通貨としての米ドルを守るために何でもするだろう」とカイザーは述べた。「彼らはアフガニスタンでやったように、国々を侵略するだろう。彼らはどんなことがあっても止めない。なぜならこれがアメリカ帝国の土台だからだ。それは土地に基づいたものでも、物質的商品に基づいたものでもない。それは借金経済(賃貸料)に基づいたものだ。それはドルを上陸させ、収入を奪うことに基づいている。そして支払わない国があると、彼らはその資産を解体し、それらを乗っ取る。我々はそれをラテンアメリカや南アメリカで見てきた。このようにしてアメリカは帝国を築いた。」


あなた方が同意しようがしまいが、通貨戦争は始まった。我々は来たるべき数ヶ月、しっかり注意を払うだろう。そして何年か先に米ドルの優越性を維持するためワシントンがどこまでやるか見ることになる。そうなると中国がオイル元へ踏み込む準備をする様子を見ながら、アメリカは北朝鮮との戦争に乗り出すということになるのだろうか。

この記事は元々Silent Crow Newsで発表された。

(さらに読む)「特集記事:通貨戦争、中国ペトロ元の介入」
https://www.globalresearch.ca/selected-articles-the-inception-of-petroyuan/5624061?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles
                                  

<新見コメント>--------------------------------
ティモシー・アレクサンダー・グズマン「通貨戦争はエスカレートする。“オイル元”が、米軍が支援する“オイル・ダラー”に挑戦するとき」

この翻訳には経済・金融用語がで出てくるのでとても苦労しました。私自身まだ理解できていない点や、不正確な翻訳があると思うので、気づかれた点を指摘してください。

しかし、この記事が石油取引で、ドルに対して中国元が挑戦している動きはとても重要なので翻訳してみました。

アメリカは自分に従わない国に、経済制裁を加え、ドル支配を維持しようとしている。それに対して経済制裁や軍事的圧力を加えられた国々は、生き残りをかけて脱ドル化をはかろうとしている。中国、ロシア、イラン、ベネズエラなどである。

サウジアラビアなど中東産油国はドルで石油取引して、入ってきたお金はアメリカの高額兵器を購入したり、アメリカ財務証券を購入する取り決めがある。その代わりアメリカはサウジアラビアなどの政権維持を保証するのだ。このペトロ・ダラーの仕組みを、経済制裁や軍事圧力を受けた国々が中国元での石油取引をすることによって対抗しているのだ。

この記事の重要なところは、アメリカはドルの一極支配体制を維持するために、戦争をも辞さない段階に来ている点を指摘している点です。サダム・フセインのユーロ石油取引、カダフィのアフリカディナール金貨構想、これらの国は全てアメリカの戦争によって破綻国家とされました。いま中国が元で石油取引をしようとしているが、この場合はイラクやリビアのようには行かないだろう。しかしアメリカは日本など属国を巻き込んで、東アジアや中国周辺で紛争を起こす可能性が高いことは、我々も警戒しておかなければならない。
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ジュリアン・アサンジの迫害は、西欧的価値がもはや存在しないことの証明だ

The Persecution of Julian Assange Proves that Western Values No Longer Exist

ポール・クレーグ・ロバーツ博士
グローバル・リサーチ 2018年6月24日


西欧は、決して「民主的価値」について語ることをやめない。西欧の政治的論理では、民主主義が機能するのは、言論の自由と報道の自由によってである。市民とメディアは、しっかり発言することによって、政府に説明責任を果たさせることだ。

このリベラルな伝統とは、ある「犠牲者団体」と指定された者が、傷つけられたと訴えることができるからと言って、使えない言葉や用語がないことを意味する。政治的矯正と銘打ってなされる言論の自由への侵害は、今や大学や公立学校システムやグーグルのようなアメリカ企業やアメリカ人の文化適応習慣に制度化されていて、言論の自由の衰退を示している。政府も「テロ戦争」で、令状なしのスパイ活動や大量の監視や反対派への取り締まりを正当化して、言論の自由を侵害した。

報道の自由は、言論の自由よりもさらに劇的に衰退した。ペンタゴン・ペーパーのニューヨークタイムズが消え去ったのは第1期ジョージ・W・ブッシュ政権の時で、ブッシュ政権が令状なしのスパイ活動をしているという話を、新聞が握りつぶした時だった。ニューヨークタイムズは1年間その話を握りつぶし、ブッシュが難なく再選を果たし、政府にスパイ活動を既成事実として合法化する時間を与えた。

(さらに読む)「ウラジミール・プーチンは正直に語る。『世界を戦争へと導く』西欧の政治的嘘とは好対照」
https://www.globalresearch.ca/vladimir-putin-speaks-honestly-refreshing-contrast-to-western-political-liars-who-drive-the-world-to-war/5486141?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles
今日メディアはロシアやトランプを悪魔化し、ワシントンやその属国の戦争犯罪を正当化する宣伝省だ。

だから、ロンドンのエクアドル大使館にジュリアン・アサンジを6年間監禁していることにメディアは何の騒ぎも起こさないのだ。

ウィキリークスはニュース組織であり、他の自由報道となんら変わるところがない。ジュリアン・アサンジはオーストラリアとエクアドルの市民だ。彼はアメリカ人ではない。だから反逆罪は当たらない。しかし、ワシントンは彼に対してそのような事件をでっち上げるために、陪審を使ったと考えられる。

エクアドルの新大統領は、前任者ほど強力でも、善人でもない。モレノはワシントンの圧力でエクアドル大使館の生活をできるだけ耐えがたいものにしている。イギリス政府はアサンジを引き出して、イギリスの手に取り戻そうとしている。イギリス政府は、ワシントンの圧力に応えて、彼の保護施設を認めず、彼が大使館から離れることを阻止している。

この事件に「民主的価値」は存在しない。それはミンツェンティ枢機卿に対するソ連の扱いと同じである。自由を踏みにじっているのはモスクワではなくワシントンなのだ。

オーストラリア政府は他の全ての属国と同様、ワシントンに従ってアサンジ救出に何もしていない。ワシントンの利益を法や市民の利益より優先しているのだ。

今週オーストラリアでアサンジを支援して抗議行動が行われた。しかし西欧政府は今のところ市民の行動を無視している。革命とはほど遠いものが、西欧政府に説明責任を回復させることはあり得ないことを示している。

「西欧民主主義」は矛盾語法となった。マイクヘッドのこの記事は、西欧エリートが言論の自由や報道の自由や真実や市民的権利を軽蔑していることを示している。

*

この記事は元々ポール・クレイグ・ロバーツ政治経済研究所で発表されたもの。

ポール・クレイグ・ロバーツ博士はグローバル・リサーチの常連寄稿者である。
(翻訳:新見 明)

<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/the-persecution-of-julian-assange-proves-that-western-values-no-longer-exist/5645184
<新見コメント>--------------------------
ポール・クレイグ・ロバーツの「ジュリアン・アサンジの迫害は西欧的価値がもはや存在しないことの証明だ」をアップしました。

前回RT記事「ジュリアン・アサンジの救出に動く人気女優 」をブログに掲載しましたが、今回のPCRの記事はジュリアン・アサンジの状況をさらに詳しく論じたものとして重要なので翻訳しました。
    http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-47.html

エクアドル新大統領モレノがワシントンの圧力に屈していること、アサンジの出身国オーストラリは救出に何もしていないこと、そしてアメリカ人ではないのにアメリカで反逆罪が訴えられていることなど矛盾に満ちた状況が書かれています。

アサンジの窮状に対して西欧のメディアが何も伝えない。西欧の言論の自由や報道の自由が衰退していることを訴えている。
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